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JP2016199416A - サファイア単結晶の製造方法 - Google Patents

サファイア単結晶の製造方法 Download PDF

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JP2016199416A JP2015079533A JP2015079533A JP2016199416A JP 2016199416 A JP2016199416 A JP 2016199416A JP 2015079533 A JP2015079533 A JP 2015079533A JP 2015079533 A JP2015079533 A JP 2015079533A JP 2016199416 A JP2016199416 A JP 2016199416A
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Toshio Kochiya
敏男 東風谷
利行 小見
Toshiyuki Omi
利行 小見
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Abstract

【課題】育成結晶下部でのボイドの発生、及び金属粒子の育成結晶への取り込みを抑制できるサファイア単結晶製造方法の提供。
【解決手段】モリブデン、タングステンから選択された1種類以上の金属を含有する坩堝11内に充填されたサファイア原料を溶融した原料融液21を用いてサファイア単結晶22を製造するサファイア単結晶の製造方法であって、前記サファイア原料の強熱減量が0.01wt%以下であるサファイア単結晶の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、サファイア単結晶の製造方法に関する。
サファイア単結晶は発光ダイオード(LED)の基板材料や、光学結晶等として用いられ、特に近年の省エネルギーの要求から発光ダイオードの需要に伴って、サファイア単結晶基板の需要が伸びている。
発光ダイオードの基板材料や、半導体ウエハー結晶、光学結晶等に利用される大型のサファイア単結晶を製造する方法としては、チョクラルスキー法(Cz法)、キロプロス法またはEFG法(Edge−defined Film−fed Growth)などが知られている。
サファイア単結晶の製造に当たっては、大型で高品質なバルク単結晶が安価に得られるように、装置材料や、装置の構成について各種検討がなされてきた。
具体的には例えば、サファイアの融点が高いために、坩堝等の炉内構成材料は耐熱性等の観点から選択され、用いられている。
サファイア単結晶の製造に用いることができる坩堝の材料として、イリジウム、モリブデン、タングステン、もしくはそれらの合金が挙げられる。ただし、イリジウムは非常に高価であるから、設備面で経済的に不利であり、大型のサファイア単結晶作製には、モリブデン、タングステンもしくはそれらの合金製の坩堝が使用されるようになってきた。
ただし、坩堝材にモリブデンやタングステンもしくはそれらの合金を用いた場合、これらの材料は高温で酸化されやすい。そして、モリブデンやタングステンの酸化物は蒸気圧が高いため、酸化物蒸気により育成した結晶表面や原料融液が汚染され、坩堝材が結晶内に混入する現象がおこり、その結果、育成した結晶の着色や純度の低下といった問題があった。
そこで、本発明の発明者らは特許文献1で、坩堝として、イリジウムを含まない耐熱性坩堝を用いるとともに、サファイア原料粉末を加熱溶融する際に、雰囲気ガスを予め不活性ガスで置換し、引き続き、チャンバー内に実質的に酸素が存在しない状態を維持するのに十分な量の不活性ガスを流通するサファイア単結晶の育成方法を開示している。特許文献1においてイリジウムを含まない耐熱性坩堝として、モリブデン製又はタングステン製坩堝を好適に用いることができる旨も開示している。
特許文献1に開示したサファイア単結晶の育成方法によれば、インクルージョンを含まない良好なサファイア単結晶を得ることができる。
特開2008−007354号公報
しかしながら、本発明の発明者らが特許文献1に開示されたサファイア単結晶の製造方法でサファイア単結晶の育成を繰り返したところ、育成結晶下部でボイドが大量発生する場合や、金属粒子の育成結晶への取り込みを生じる場合があった。
そこで、本発明の一側面では、上記従来技術が有する問題に鑑み、育成結晶下部でのボイドの発生、及び金属粒子の育成結晶への取り込みを抑制できるサファイア単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明の一態様によれば、モリブデン、タングステンから選択された1種類以上の金属を含有する坩堝内に充填されたサファイア原料を溶融した原料融液を用いてサファイア単結晶を製造するサファイア単結晶の製造方法であって、
前記サファイア原料の強熱減量が0.01wt%以下であるサファイア単結晶の製造方法を提供することができる。
本発明の一態様によれば、育成結晶下部でのボイドの発生、及び金属粒子の育成結晶への取り込みを抑制できるサファイア単結晶の製造方法を提供することができる。
単結晶育成装置の構成例の説明図。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、本発明は、下記の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、下記の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
本実施形態のサファイア単結晶の製造方法の一構成例について以下に説明する。
本実施形態のサファイア単結晶の製造方法は、モリブデン、タングステンから選択された1種類以上の金属を含有する坩堝内に充填されたサファイア原料を溶融した原料融液を用いてサファイア単結晶を製造するサファイア単結晶の製造方法に関する。そして、強熱減量が0.01wt%以下のサファイア原料を用いることができる。
以下、具体的な例を挙げながら説明する
1.単結晶育成装置
本実施形態のサファイア単結晶の製造方法において使用できる単結晶育成装置は特に限定されるものではなく、単結晶の製造方法に応じて各種単結晶育成装置を選択し、使用できる。ここでは、図1にチョクラルスキー法(Cz法)による単結晶育成装置の構成例を示す。なお、図1は単結晶育成装置の内部に配置された坩堝の中心軸を通る面における断面図を模式的に示したものである。
図1に示した単結晶育成装置10は、単結晶用原料を入れる坩堝11をチャンバー12内の支持軸13の上に配置できる。そして、単結晶用原料を融解するために、例えば坩堝11の側面に側面ヒータ14を設けることができる。また、坩堝11の下方に円盤状のボトムヒータ15を支持軸13が貫通する形で配置できる。
なお、坩堝を加熱する方法として、高周波加熱方式と抵抗加熱方式とがあるが、高周波加熱方式の場合、坩堝自体を発熱させるため、坩堝の直径方向の温度勾配が大きくなる。このため、作製される結晶の直径が坩堝直径の50%程度となり、大型の結晶を作製するためには装置サイズが大きくなる。また、結晶育成中の温度勾配が大きいため、温度差に起因した歪が育成結晶内に入る場合がある。
これに対して、抵抗加熱方式の場合、坩堝周囲に配置したヒータが発熱することで、坩堝周囲の雰囲気が加熱されるため、高周波加熱方式と比較して坩堝内の温度勾配を小さくできる。そのため、抵抗加熱方式により結晶育成を行うと、温度差に起因した歪が結晶内に入る場合があるという高周波加熱方式の問題は解決され、大型のサファイア単結晶を安価に製造することが可能となる。
このため、本実施形態のサファイア単結晶の製造方法において用いる単結晶育成装置において坩堝を加熱する方法は、図1に示した単結晶育成装置10のようにヒータにより坩堝を直接加熱する抵抗加熱方式であることが好ましい。
側面ヒータ14の周囲、ボトムヒータ15の下方には、断熱材16をチャンバー12の内面に沿って設けることができる。チャンバー12の頂部と底部にはチャンバー12内の雰囲気を制御するためのガス供給管17や、ガス排出管18を設けることができる。また、坩堝11の上部には上下動可能な引上げ軸19を、断熱材16を貫通する形で設けることができる。引上げ軸19は先端部に種結晶20を固定できるように構成することができる。
坩堝11の材質は、モリブデン、タングステンから選択された1種類以上を含有する金属を用いることができる。特に坩堝11の材質は、モリブデン、タングステン、もしくはそれらの合金のいずれかであることが好ましい。
チャンバー12内に設置したヒータおよび/または断熱材についてはカーボン製であることが好ましい。すなわち、図1に示した単結晶育成装置10の場合、側面ヒータ14、ボトムヒータ15、及び断熱材16のうちいずれか1つ以上はカーボン製であることが好ましい。側面ヒータ14、ボトムヒータ15、及び断熱材16の全てについてカーボン製とすることもできる。
これは、単結晶育成装置において、ヒータとして例えばタングステン製の抵抗加熱ヒータが、断熱材としてタングステン等の高融点金属、もしくはそれらの合金により作製された反射板が用いられる場合もあるが、タングステン等は脆く高価である。このため、上述の様に、ヒータおよび/または断熱材についてはカーボン製であることが好ましい。
なお、側面ヒータ14および/またはボトムヒータ15をカーボン製とする場合、カーボン粒子あるいは炭素繊維の成形体を用いることができる。また、断熱材16をカーボン製とする場合、カーボンフェルト断熱材を用いることができる。
2.サファイア単結晶の製造方法
次にサファイア単結晶の製造方法について図1に示した単結晶育成装置10を用いた場合を例に説明する。
サファイア単結晶の製造に当たっては、まず、図1に示した単結晶育成装置10の坩堝11内に単結晶用原料であるサファイア原料を充填しておき、側面ヒータ14およびボトムヒータ15を作動させてサファイア原料を加熱して原料融液21を形成できる。その後、原料融液21表面に種結晶20を接触させるシーディングを実施し、次いで種結晶20を引き上げながら育成結晶22であるサファイア単結晶の育成を行うことができる。
以下に、サファイア単結晶の製造方法の具体的な手順の一構成例について説明する。
(原料融液形成工程)
まず、サファイア原料である酸化アルミニウムを坩堝11内に充填し、チャンバー12内に配置する。
次に、この坩堝11内のサファイア原料を加熱融解させる。
坩堝11内のサファイア原料を加熱溶融する際、チャンバー12内の雰囲気は特に限定されるものではない。ただし、坩堝11がモリブデンや、タングステンを含有する金属から構成されている場合や、ヒータや断熱材にカーボンが用いられている場合には、チャンバー12内の雰囲気中に酸素が存在すると上記金属やカーボンが酸化する恐れがある。
そして、上記金属やカーボンが酸化すると育成結晶内に不純物が混入する原因となったり、良好なサファイア単結晶の育成が困難となる場合がある。このため、チャンバー12を密封した後、チャンバー12内にガス供給管17から不活性ガスを流して不活性ガス雰囲気にすることが好ましい。なお、チャンバー12内に不活性ガスを供給する前に図示しない真空ポンプによりチャンバー12内の真空引きを行ってから、不活性ガスを供給することもできる。
不活性ガスとしては特に限定されないが、アルゴン、またはヘリウムを好適に用いることができる。特に経済的な観点からアルゴンを用いることが好ましい。
チャンバー12内の構成物の酸化を特に抑制する観点から、チャンバー12内は実質的に酸素が存在しない状態を維持することが好ましい。そして、チャンバー12内に十分な量の不活性ガスを流通させることで、チャンバー12内に実質的に酸素が存在しない状態を維持することができる。
このため、不活性ガスは、毎分チャンバー12内の容積に対して0.2%以上の割合でチャンバー12内に供給することが好ましい。これは、不活性ガスの流量をチャンバー12内の容積に対して0.2%/分以上とすることで、チャンバー12内に酸素が混入することをより確実に防ぐことができるからである。
不活性ガスの流量の上限は特に限定されるものではないが、チャンバー12内の容積に対して毎分1.3%以下の割合でチャンバー12内に供給することが好ましい。これは、不活性ガスの流量をチャンバー12内の容積に対して1.3%/分以下とすることで、チャンバー12内の熱バランスを安定させることができ、その結果、良好なサファイア単結晶の育成ができるためである。
チャンバー12内に不活性ガスの供給を開始してからは、過加圧にならないようにガス排出管18からガスを排出できる。
サファイア原料の加熱溶融時のチャンバー12内の圧力は、常圧、すなわち大気圧であることが好ましい。チャンバー12内の圧力が減圧の場合、坩堝11を構成するモリブデン等の金属が昇華しやすく原料融液が汚染される恐れがあるからである。また、チャンバー12内の圧力が加圧の場合、モリブデンの昇華を抑えることができるが、装置を耐圧設計にする必要があり、経済性の観点から好ましくない。
チャンバー12内を例えば上述の様に不活性雰囲気とした後、側面ヒータ14およびボトムヒータ15を作動させて加熱し、サファイアの融点(2040℃)以上の温度として、サファイア原料を溶融して原料融液を得ることができる。
原料融液を形成後、後述するシーディング工程を実施することができるが、原料融液形成後、すぐにシーディングを実施して結晶の育成を開始すると、育成した結晶中に無数の微小な気泡が発生する場合がある。気泡の原因となるガスは、サファイア原料の分解によっても発生するが、原料に吸着または内包しているガス成分が原料の融解前に完全に除去されず原料融液内に残り、これが育成結晶に取り込まれて気泡となっているものが多い。そこで、サファイア原料を坩堝内で溶融後、十分な時間加熱を維持して気泡を排出させ、その後シーディング工程を実施することが望ましい。
(シーディング工程)
シーディング工程は、種結晶20を保持した引上げ軸19を回転させながら降下させ、原料融液21に種結晶20を接触させることで実施できる。シーディング工程で種結晶20を原料融液21に接触させた後、種結晶20を適温で原料融液21に十分馴染ませてから、引き上げを開始できる。
なお、シーディング工程を実施する前に、上述の様に原料融液形成工程において、サファイア原料の融解から加熱を維持して原料融液内の気泡を排出させることが好ましい。このため、サファイア原料の融解から、例えば3時間以上経過後にシーディング工程を実施することが好ましく、特に5時間以上経過後にシーディング工程を実施することがより好ましい。
(単結晶育成工程)
単結晶育成工程では、引き上げ軸19の回転数や引き上げ速度を調整して、育成する単結晶のネック部および肩部を形成し、引き続き直胴部を形成することで実施できる。
なお、シーディング工程、単結晶育成工程においても原料融液形成工程と同様にチャンバー12内を不活性ガス雰囲気に保つことが好ましい。
育成中の結晶の結晶形状の制御方法は特に限定されるものではない。例えば、育成中の結晶重量を引上げ軸19に接続された図示しない重量測定手段により測定し、育成中の結晶の直径や育成速度などを計算によって算出し、これに基づいて引き上げ軸19の回転速度や引き上げ速度を調整して行うことができる。また、結晶重量の変化を側面ヒータ14および/またはボトムヒータ15への投入電力にフィードバックして原料融液21の温度を制御して行うこともできる。
このようにして坩堝11内でサファイア単結晶が育成され、予め設定された結晶長さに成長した時に、原料融液21から育成結晶22を切り離し、単結晶育成工程を終了できる。
原料融液21から育成結晶22を切り離す方法は特に限定されないが、例えば引上げ軸19を上方に引上げるか、坩堝11の位置を下方に移動させることにより実施できる。引上げ軸19を上方に引上げ、かつ坩堝11の位置を下方に移動させて実施してもよい。
単結晶育成工程終了後は、図示しない制御装置のシーケンスパターンにより室温、または室温近傍まで降温する冷却工程を実施できる。
なお、ここではCz法を用いたサファイア単結晶の製造方法を例に説明したが、係る形態に限定されるものではなく、カイロポーラス法(KY法)、ブリッジマン法等の融液固化法等の坩堝内で原料融液を生成する、各種サファイア単結晶の製造方法を適用できる。
3.サファイア原料
次に、本実施形態のサファイア単結晶の製造方法で好適に用いることができるサファイア原料について説明する。本実施形態のサファイア単結晶の製造方法においては、強熱減量が0.01wt%以下のサファイア原料を用いることができる。
サファイア原料として酸化アルミニウムを用いることができ、サファイア原料としては特にα−アルミナ(Al)を用いることが好ましい。
サファイア原料の形態は特に限定されるものではなく、例えばアルミナ粉末、アルミナ粉末を焼結した焼結体、アルミナ粒から選択された1種類以上を含むサファイア原料を用いることができる。アルミナ粒としては例えばグラニュール等が挙げられる。
サファイア原料としては上述の様に酸化アルミニウムを用いることができ、材料純度は、例えば99.95wt%以上99.998wt%以下であることが好ましい。なお、サファイア原料は、目的とするサファイア単結晶の種類に合わせて、AlとOのほかに、Ti、Cr、Si、Ca、Mgなどを含んでいてもよい。このうちSi、Ca、Mgなどは、焼結助剤の成分として不可避的に含まれうるが、その含有量は極力少ないことが望ましい。
アルミナ粒の、粒径や密度は、特に制限されないが、取り扱い上、例えば粒径は10mm以下であることが好ましく、5mm以下であることがより好ましい。
また、アルミナ粉末を焼結した焼結体の形状、サイズ、密度は特に限定されないが、使用する坩堝サイズや、焼結体以外にアルミナ粉末等も充填する場合には同時に充填するアルミナ粉末やアルミナ粒等に応じて、充填密度が高くなるように選択することが好ましい。ただし、焼結体の厚みが厚いと、焼結時に内部の水分等の揮発成分が残留し、原料の純度低下を招く恐れがある。このため、アルミナ焼結体は厚さが10mm以下であることが好ましい。
また、サファイア原料の密度は、α−アルミナの理論密度4g/cmに近いものが原料充填時に有利である。そのため、使用するサファイア原料の密度は2g/cm以上であることが好ましく、3g/cm以上であることがより好ましい。
本実施形態のサファイア単結晶の製造方法においては、強熱減量(イグロス)が0.01wt%以下のサファイア原料を使用することが好ましく、強熱減量が0.005wt%以下のサファイア原料を使用することがより好ましい。
なお、強熱減量は、測定試料を大気雰囲気下、予め1000℃まで昇温した加熱炉に入れ、1時間加熱した際の、加熱の前後での重量変化により算出することができる。
これは、本発明の発明者らの検討によると、強熱減量が0.01wt%を超える場合、原料融液形成工程においてサファイア原料の加熱中や、サファイア原料の溶解中に、サファイア原料の水和水や、結晶水、吸着水などの水分により坩堝が浸食される場合がある。そして坩堝の浸食が生じることで、金属粒子の育成結晶への取り込み、すなわち金属粒子内包物が生じたり、育成結晶下部にボイドが大量発生するためである。
これに対して、サファイア原料の強熱減量を0.01wt%以下とすることで、原料融液形成工程において坩堝が浸食されることを抑制し、金属粒子の育成結晶への取り込みを抑制し、かつ育成結晶下部に大量のボイドが生じることを抑制することが可能になる。
そして、サファイア原料の強熱減量を0.005wt%以下とすることで、金属粒子の育成結晶への取り込みと育成結晶下部のボイドの発生を特に抑制することができる。
このため、金属粒子内包物や、育成結晶下部でのボイドの含有量を抑制したサファイア単結晶を製造するために、サファイア単結晶の製造を開始する前に強熱減量を測定し、強熱減量が0.01wt%以下の材料を選択することが好ましい。
なお、サファイア原料として、既述のようにアルミナの焼結体や、粒状体であるグラニュールを用いることができるが、アルミナの焼結体やグラニュールは水分の含有量が多い。これは、グラニュールは、その製造段階で加水分解や水中火花放電を使用するため、水分を内包し易く、また、焼結体は、表面積が大きく空気中の水分を吸着し易いためである。このため、グラニュールや、焼結体を用いる場合には特に、原料融液形成工程に供する前に強熱減量の測定を実施し、強熱減量が0.01wt%以下の材料を選択して用いることが好ましい。
また、強熱減量を0.01wt%以下とするため、予め真空雰囲気下で加熱を行ったサファイア原料を本実施形態のサファイア単結晶の製造方法で用いるサファイア原料とすることもできる。具体的には、サファイア原料は例えば予め真空雰囲気下、500℃以上で1時間以上加熱しておくことが好ましく、予め真空雰囲気下、1000℃以上で1時間以上加熱しておくことがより好ましい。これは、予め、真空雰囲気下、500℃以上の温度で1時間以上加熱しておくことで、サファイア原料に付着および/または吸着している物質を焼き飛ばし、所定の強熱減量とすることができるためである。
以上に説明した本実施形態のサファイア単結晶の製造方法により得られるサファイア単結晶は、アルミニウム及び酸素の2元素を含む単結晶である。そして、例えばこの単結晶からウエハーをスライスし、ポリッシュ研磨することで、エピタキシャル成長用結晶ウエハーとすることができる。
本実施形態のサファイア単結晶の製造方法により得られたサファイア単結晶は結晶下部でのボイドの発生や、金属粒子内包物の取り込みを抑制できている。このため、該サファイア単結晶から作製したウエハーを用いることで、優れた特性を有する電子部品材料、光学用部品材料を提供できる。
以下に具体的な実施例、比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
図1に示した単結晶育成装置10を用いて、サファイア単結晶の製造を行った。
(原料融液形成工程)
図1に示した単結晶育成装置10において、断熱材16としてカーボンフェルト断熱材を、側面ヒータ14及びボトムヒータ15としてカーボン製ヒータを用いた。また、坩堝11としては直径160mm、高さ160mm、厚さ2mmモリブデン製の坩堝を用いた。なお、ここでいう厚さとは、坩堝11の肉厚をいう。
そして、坩堝11内にサファイア原料を充填しておき、チャンバー12の開口部を閉じた後、チャンバー12内をアルゴン雰囲気とした。具体的には、アルゴンガスをチャンバー12内の容積に対して毎分0.6%の流量で流し、チャンバー12内の気体を置換した。なお、アルゴンガスは育成したサファイア単結晶を取出すまで上記流量で供給を継続した。
その後、常圧において、20時間以上かけて坩堝11を側面ヒータ14、及びボトムヒータ15により直接加熱し、サファイア原料を融解させ、原料融液21を形成した。なお、サファイア原料が融解後、後述するシーディング工程を実施するまで5時間温度を保持し、原料融液中の気体を除去した。
(シーディング工程)
次いで、引上げ軸19を回転させながら降下させ、原料融液形成工程で形成した原料融液21に、種結晶20を接触させるシーディング工程を実施した。
(単結晶育成工程)
シーディング工程の後、結晶の引上げに適当な温度になるよう原料融液21の温度を調整し、引上げを開始した。引上げ速度は毎時1.4mm、結晶回転数は2rpmとした。その後、自動直径制御装置を用いて所望の直径になるよう結晶径を制御し、所望の長さまで結晶を引き上げた後、原料融液21から育成結晶22を切離し、およそ15時間かけて冷却した。
本実施例においては、サファイア原料として表1に示した原料1のうち加熱前原料を使用した。原料1の加熱前原料の強熱減量は、表1に示したように0.001wt%となる。
なお、強熱減量は、サファイア原料を大気雰囲気下、予め1000℃まで昇温した加熱炉に入れ、1時間加熱したときの、サファイア原料の加熱前後の重量の減少率を意味する。
サファイア原料の強熱減量は、具体的には以下の手順により測定した。
まず、測定するサファイア原料を白金皿に秤取った。サファイア原料は白金皿に秤取る際、加熱前質量(W1)として白金皿を含むサファイア原料の質量を測定しておいた。また、サファイア原料を秤取る前に白金皿の質量(W3)も予め測定を行っておいた。質量を測定する際には0.1mgまで測定を行った。以下、質量を測定する場合には同様に0.1mgまで測定を行っている。
そして、予め試験炉内を1000℃まで昇温しておいた。
次いで、上記白金皿に秤取ったサファイア原料を試験炉内に挿入し、1時間加熱した。
なお、サファイア原料を試験炉に入れる際に試験炉内の温度が下がるため、サファイア原料を挿入後、試験炉内の温度が1000℃になってから1時間加熱を行った。
1時間加熱を行った後、試験炉の炉内温度を600℃まで下げ、炉内から白金皿ごとサファイア原料を取り出し、シリカゲルで乾燥させたデシケータ内で除熱した。室温まで温度が下がったところで、デシケータから白金皿ごとサファイア原料を取り出し、加熱後質量(W2)として白金皿を含むサファイア原料の質量を測定した。
以上の手順により測定した結果から、以下の式により強熱減量を算出した。
B=(W1−W2)/(W1−W3)×100
なお、上記式中、Bが強熱減量(%)、W1が加熱前質量(g)、W2が加熱後質量(g)、W3が白金皿の質量(g)をそれぞれ表す。
以下の実施例、比較例においても強熱減量は同様の条件で測定を行った。
[実施例2]
サファイア原料として、表1に示した原料2のうち、加熱前原料を使用した点以外は、実施例1と同様にしてサファイア単結晶の製造を行った。
[実施例3]
サファイア原料として、表1に示した原料3のうち加熱後原料を使用した点以外は、実施例1と同様にしてサファイア単結晶の製造を行った。
なお、原料3の加熱後原料とは、表1に示した原料3の加熱前原料について、表1に示した加熱条件(1000℃、2時間、真空雰囲気)で加熱処理した後の原料を意味する。表1に示したように、原料3の加熱後原料については、強熱減量が0.005wt%となる。
以下の実施例で、加熱後原料という場合には、各原料について表1に加熱前原料として示した強熱減量を有するサファイア原料について、表1に示した加熱条件で加熱処理したサファイア原料を指す。そして、各原料の加熱後の強熱減量は、表1中に加熱後原料として示している。
[実施例4]
サファイア原料として、表1に示した原料4のうち加熱後原料を使用した以外は、実施例1と同様にしてサファイア単結晶の製造を行った。
[実施例5]
サファイア原料として、表1に示した原料5のうち加熱後原料を使用した点以外は、実施例1と同様にしてサファイア単結晶の製造を行った。
[実施例6]
サファイア原料として、表1に示した原料6のうち加熱後原料を使用した点以外は、実施例1と同様にしてサファイア単結晶の製造を行った。
[実施例7]
サファイア原料として、表1に示した原料3のうち加熱前原料を使用した点以外は、実施例1と同様にしてサファイア単結晶の製造を行った。
[実施例8]
サファイア原料として、表1に示した原料4のうち加熱前原料を使用した点以外は、実施例1と同様にしてサファイア単結晶の製造を行った。
[比較例1]
サファイア原料として、表1に示した原料5のうち加熱前原料を使用した点以外は、実施例1と同様にしてサファイア単結晶の製造を行った。
[比較例2]
サファイア原料として、表1に示した原料6のうち加熱前原料を使用した点以外は、実施例1と同様にしてサファイア単結晶の製造を行った。
Figure 2016199416
以上の各実施例および比較例で育成したサファイア単結晶について、金属粒子内包物、ボイドの有無に関しての評価と、サファイア単結晶育成後の坩堝について浸食の有無について評価を行った。
(金属粒子内包物)
金属粒子内包物は育成したサファイア単結晶をスライスしてウエハー状とした際に、ウエハー表面の突起物として観察される。
そこで、金属粒子内包物の有無の評価に当たってはまず、各実施例、比較例で作製したサファイア単結晶をスライスしてウエハー状に加工し、次いでウエハー主表面を鏡面研磨した。そして、鏡面に仕上げたウエハー主表面にレーザ光を走査し、反射光から表面の凹凸を観察し、突起物を形成する異物の占める面積が測定面積の0.5%以下の場合を○、0.5%より多く2%未満の場合を△、2%以上の場合を×と評価した。
(結晶下部ボイド)
結晶下部のボイドの評価に当たってはまず、育成したサファイア単結晶について、スライスしてウエハー状に加工し、次いでウエハー主表面を鏡面研磨加工した。そして、鏡面研磨したウエハー主表面について目視及び拡大鏡検査により評価した。その結果ボイドの発生率が3%以下の場合を○、3%より多く5%未満の場合を△、5%以上の場合を×と評価した。
(坩堝浸食)
坩堝の浸食に関しては、サファイア単結晶を製造した後、坩堝11を取り出し、その内表面を目視で観察することにより評価を行った。目視の結果、坩堝表面に浸食が無かったものを〇、坩堝の内壁の一部に浸食が有ったものを△、坩堝の内壁の原料融液と接触していた部分の全面に浸食が有ったものを×と評価した。
上記実施例、比較例で得られたサファイア単結晶についての評価結果を表2に示す。
Figure 2016199416
表2の結果から明らかなように、実施例1〜実施例6は、強熱減量が0.005wt%以下のサファイア原料を使用したため、坩堝の浸食は発生せず、育成結晶の金属粒子内包物や、育成結晶下部のボイドの発生も十分に抑制されており、良好な結果であった。
実施例7および実施例8に関しては、用いたサファイア原料の強熱減量が0.009wt%と実施例1〜実施例6で用いたサファイア原料と比較すると多少高めであった。このため、結晶下部のボイド、金属粒子内包物ともに実施例1〜実施例6の場合よりも多少多めであったが、実用可能なレベルであった。
比較例1に関しては、用いたサファイア原料の強熱減量が0.012wt%と0.01wt%を超えていたため、坩堝の浸食量が多く、育成結晶下部のボイドが大量に発生した。なお、育成結晶の金属粒子内包物については評価が△であり実用可能なレベルであった。
比較例2に関しては、用いたサファイア原料の強熱減量が0.019wt%と非常に高い値であったため、坩堝の浸食が激しく、育成結晶の金属粒子内包物、育成結晶下部のボイドがともに大量に発生することが確認された。
11 坩堝
21 原料融液

Claims (3)

  1. モリブデン、タングステンから選択された1種類以上の金属を含有する坩堝内に充填されたサファイア原料を溶融した原料融液を用いてサファイア単結晶を製造するサファイア単結晶の製造方法であって、
    前記サファイア原料の強熱減量が0.01wt%以下であるサファイア単結晶の製造方法。
  2. 前記サファイア原料は、予め真空雰囲気下、500℃以上で1時間以上加熱している請求項1に記載のサファイア単結晶の製造方法。
  3. 前記サファイア原料がアルミナ粉末、アルミナ粉末の焼結体、及びアルミナ粒から選択された1種類以上を含む請求項1または2に記載のサファイア単結晶の製造方法。
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