JP2016185522A - 水処理装置および水処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】生物処理水を対象に細かなろ過ができ、目詰まりが起こってもろ過性能を簡単に再生することができる水処理装置および水処理方法を提供する。【解決手段】生物反応槽21と、生物反応槽21の流出水31が導入されるろ過槽1を有する水処理装置であって、ろ過槽1は、粒径が1mm以上10mm未満かつ比重が1より大きいろ材が充填された横向流式の微細ろ過部7と、微細ろ過部7の下流側に設けられ、微細ろ過部7よりも上方に位置する排出部9とを有する。ろ過槽1はさらに、微細ろ過部7の上流側に、粒径が10mm以上かつ比重が1より大きいろ材が充填された下向流式の粗大ろ過部2を有することが好ましい。【選択図】図3
Description
本発明は、生物処理水をろ過するためのろ過槽を備えた水処理装置と、当該ろ過槽によりろ過を行う水処理方法に関する。
従来、様々なろ過方法が知られている。例えば、ろ材として砂を用いた砂ろ過方法は、水処理において広く用いられている(特許文献1等)。特許文献2には、浮遊ろ材を用いた上向流式のろ過装置が開示され、特許文献3には、長繊維ろ材を用いた下向流式のろ過装置が開示されている。
ところで、生物反応槽からの流出水(生物処理水)のろ過を行う場合は、生物反応槽に元々いた微生物が流出水中にも含まれるために、バイオフィルムの形成によりろ材の目詰まりが起こりやすくなり、特に細かなろ過を継続して行うことが難しくなる。本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、生物処理水を対象とした場合でも細かなろ過を行うことができ、目詰まりが起こってもろ過性能を簡単に再生することができる水処理装置および水処理方法を提供することにある。
上記課題を解決することができた本発明の水処理装置とは、生物反応槽と、生物反応槽の流出水が導入されるろ過槽を有する水処理装置であって、ろ過槽は、粒径が1mm以上10mm未満かつ比重が1より大きいろ材が充填された横向流式の微細ろ過部と、微細ろ過部の下流側に設けられ、微細ろ過部よりも上方に位置する排出部とを有するところに特徴を有する(第1実施態様)。本発明の水処理装置はまた、生物反応槽と、生物反応槽の流出水が導入されるろ過槽を有する水処理装置であって、ろ過槽は、粒径が1mm以上10mm未満かつ比重が1以下のろ材が充填された下向流式の微細ろ過部と、微細ろ過部の下流側に設けられ、微細ろ過部の上端と実質的に同じ高さに位置する排出部とを有するものであってもよい(第2実施態様)。
本発明の水処理装置によれば、微細ろ過部によって、生物処理水に含まれる細かな固形物を除去することができる。この際、上記の第1実施態様と第2実施態様のように、微細ろ過部のろ材を適切に設定し、微細ろ過部の排出部を適切な位置に設けることにより、微細ろ過部にろ材を保持するためのスクリーンを設けなくても、好適に微細ろ過部のろ過層を維持することができる。そのため、生物反応槽の流出水(生物処理水)に含まれる微生物によって微細ろ過部にバイオフィルムが形成されて目詰まりが起こっても、微細ろ過部のろ材の洗浄を容易に行うことができ、ろ過性能を簡単に再生することができる。
微細ろ過部が横向流式の場合、微細ろ過部は、ろ材よりも上方に水面が存在し、当該水面より上からろ材まで延びる仕切り部材が設けられることが好ましい。このように微細ろ過部を構成すれば、微細ろ過部の底部から洗浄媒体を供給することにより、ろ材を水中で流動させて、ろ材の間に詰まった夾雑物を除去しやすくなる。また、微細ろ過部の上方の水で満たされた空間は、ろ材を洗浄した際に発生する洗浄廃水の貯留部として機能させることもできる。
微細ろ過部が下向流式の場合、微細ろ過部の上方に分水手段が設けられることが好ましい。微細ろ過部の上方に分水手段を設けることにより、微細ろ過部に被ろ過水が分散供給され、微細ろ過部のろ過層が好適に維持されるようになる。これにより、微細ろ過部によってろ過を好適に行うことができる。
微細ろ過部においては、微細ろ過部の上流側と下流側のいずれにも、微細ろ過部のろ材を保持するためのスクリーンが設けられないことが好ましい。これにより、微細ろ過部の上流側と下流側に目開きの小さいスクリーンを設ける必要がなくなり、当該スクリーンにバイオフィルムが形成されることによる目詰まりの問題も起こらなくなる。
微細ろ過部またはその下方には、散気手段が設けられることが好ましい。微細ろ過部またはその下方に散気手段を設け、散気手段から空気等のガスを導入することにより、微細ろ過部のろ材の洗浄を行うことができる。また、微細ろ過部の上方と生物反応槽や後述する粗大ろ過部とを繋ぐ返送流路を設ければ、散気手段をエアリフトポンプとして、微細ろ過部の洗浄廃水を生物反応槽や粗大ろ過部に移送することができる。
ろ過槽には、微細ろ過部の上流側に、粒径が10mm以上かつ比重が1より大きいろ材が充填された下向流式の粗大ろ過部が設けられることが好ましい。微細ろ過部の上流側に粗大ろ過部を設けることにより、生物反応槽の流出水に含まれる比較的大きな固形物を除去することができ、微細ろ過部での目詰まりを起こしにくくすることができる。
粗大ろ過部のろ材には微生物が担持されていることが好ましい。粗大ろ過部のろ材に微生物が担持されれば、粗大ろ過部にろ過機能だけでなく、生物処理機能も付与することができる。
粗大ろ過部の下方には、粗大ろ過部のろ材を保持するためのスクリーンを設け、当該スクリーンの下方にろ材が存在しない空間が形成することが好ましい。粗大ろ過部には粒径が大きいろ材が充填されるため、スクリーンも比較的目開きが大きいものを用いることができる。粗大ろ過部の下方にスクリーンを設けることにより、粗大ろ過部を好適に保持できるとともに、当該スクリーンの下方の空間をろ材を洗浄した際に発生する洗浄廃水の貯留部として機能させることができる。
粗大ろ過部またはその下方には、散気手段が設けられることが好ましい。粗大ろ過部またはその下方に散気手段を設け、散気手段から空気等のガスを導入することにより、粗大ろ過部のろ材の洗浄を行うことができる。また、粗大ろ過部の上方と生物反応槽を繋ぐ返送流路を設ければ、散気手段をエアリフトポンプとして、粗大ろ過部の洗浄廃水を生物反応槽に移送することができる。
粗大ろ過部の下流側には、上向流式の粗大ろ過部の排出流路が設けられることが好ましい。粗大ろ過部の下流側に上向流式の排出流路を設けることにより、粗大ろ過部のろ過水に含まれる比重の大きな固形分を当該排出流路で沈降分離させることができる。
ろ過槽の下流側には、下向流路と、その下流側に設けられた上向流路とを有する沈降槽を設けることが好ましい。ろ過槽の下流側にこのように構成された沈降槽を設けることにより、沈降槽の底部に固形分を沈降させて、ろ過槽の流出水から固形分を除去することができる。
本発明は、ろ過槽に導入する生物処理水が嫌気性生物処理水である場合に、ろ過性能の改善効果が特に好適に発揮される。嫌気性生物処理水には、分散性が高く微細な固形分が含まれているため、通常の固液分離手段では、嫌気性生物処理水に含まれる固形分を除去することが難しい。しかし本発明によれば、嫌気性生物処理水をろ過対象とした場合でも、微細な固形分の除去ができ、また目詰まりが起こっても簡単にろ材の洗浄ができるため、長期にわたり安定した処理を行うことができる。この点で、生物反応槽が嫌気性生物反応槽であることが好ましい。
本発明はまた、粒径が1mm以上10mm未満かつ比重が1より大きいろ材が充填された横向流式の微細ろ過部と、微細ろ過部の下流側に設けられ、微細ろ過部よりも上方に位置する排出部とを有するろ過槽を用い、生物処理水をろ過槽に導入して、生物処理水に含まれる固形分を除去する工程を有する水処理方法も提供する。本発明の水処理方法はまた、粒径が1mm以上10mm未満かつ比重が1以下のろ材が充填された下向流式の微細ろ過部と、微細ろ過部の下流側に設けられ、微細ろ過部の上端と実質的に同じ高さに位置する排出部とを有するろ過槽を用い、生物処理水をろ過槽に導入して、生物処理水に含まれる固形分を除去する工程を有するものであってもよい。
本発明の水処理方法においては、微細ろ過部の上流側に、粒径が10mm以上かつ比重が1より大きいろ材が充填された下向流式の粗大ろ過部を設け、生物処理水をろ過槽に導入して、粗大ろ過部と微細ろ過部を順に通過させることにより、生物処理水に含まれる固形分を除去するようにすることも好ましい。また、生物処理水が嫌気性生物処理水であると、ろ過性能の改善効果が特に好適に発揮される。
本発明の水処理装置および水処理方法によれば、生物処理水を微細ろ過部でろ過することにより、細かな固形物まで除去することができる。この際、粒径の細かい微細ろ過部のろ材を水理学的に保持することにより、微細ろ過部のろ材を保持するためのスクリーンを設けなくても、好適に微細ろ過部のろ過層を維持することができる。そのため、生物反応槽の流出水(生物処理水)に含まれる微生物によって微細ろ過部にバイオフィルムが形成されて目詰まりが起こっても、微細ろ過部のろ材の洗浄を容易に行うことができ、ろ過性能を簡単に再生することができる。
本発明は、生物処理水をろ過するためのろ過槽を備えた水処理装置と、この水処理装置を用いた水処理方法に関する。本発明の水処理装置は、生物反応槽と、生物反応槽の流出水(生物処理水)が導入されるろ過槽を有しており、生物処理水をろ過槽に導入することにより、生物処理水に含まれる固形分を除去することができるものである。
生物反応槽には被処理水が導入されて、生物処理槽内で被処理水の生物処理が行われる。生物処理は、好気性処理であっても、嫌気性処理であっても、これらの組み合わせであってもよい。
生物反応槽に導入される被処理水は、少なくとも有機物を含有していればよい。生物反応槽に導入される被処理水としては、例えば、トイレや洗濯、風呂、台所排水等を含む下水やし尿等の生活排水が挙げられる。これ以外にも、畜産糞尿、食品工場や製紙工場等から発生する工場排水、厨房排水、これらの処理に伴い発生するプロセス排水等も対象となる。
生物反応槽には、微生物を含む汚泥が保持されている。微生物は、分散状態で被処理水中に浮遊していてもよく、グラニュール化(粗粒化)していてもよく、担体や固定床に固定されていてもよい。微生物が担体に固定される場合、微生物は担体に包括固定されていてもよく、担体表面に付着固定されていてもよい。
生物反応槽の流出水はろ過槽に導入される。ろ過槽は少なくとも微細ろ過部を有しており、微細ろ過部には、粒径が1mm以上10mm未満のろ材が充填されている。なお、ろ過槽は、後述するように粗大ろ過部を有していてもよく、粗大ろ過部には、粒径が10mm以上のろ材が充填されている。微細ろ過部と粗大ろ過部には、いわゆる流動ろ材あるいはろ過担体が充填されている。
微細ろ過部に充填されるろ材は、粒径が10mm未満である。微細ろ過部に充填されるろ材は、流動ろ材としては比較的粒径の小さなものであり、微細ろ過部によって、生物処理水に含まれる細かな固形物まで除去することができる。微細ろ過部に充填されるろ材の粒径は、好ましくは9mm以下であり、より好ましくは8mm以下である。一方、微細ろ過部に充填されるろ材の粒径の下限は、ろ材の流出(特にろ材の洗浄時の流出)を防止する点から、粒径が1mm以上が好ましく、2mm以上がより好ましく、3mm以上がさらに好ましい。
微細ろ過部に充填されるろ材の形状は特に限定されず、球形状、柱形状、多面体形状、管形状、リング形状、不定形状等、特に限定されない。ろ材には開口が形成されていてもよく、また多孔体やスポンジ状であってもよい。粗大ろ過部に充填されるろ材についても同様である。
本発明において、ろ材の粒径は、ろ材の外形の最大寸法を意味する。つまり、ろ材の粒径は、篩い分けの考え方に基づき定められる。ろ材の外形の最大寸法は、ろ材を様々な角度から撮影し、その中で最も長い部分の長さを測ることにより求められる。
微細ろ過部に充填されるろ材を構成する材料も特に限定されず、各ろ材の比重に応じて適宜設定すればよい。ろ材の構成材料としては、セラミック、金属、プラスチック、炭化物等が挙げられる。粗大ろ過部に充填されるろ材についても同様である。
ところで、通常、微細ろ過部に充填されるような粒径の小さなろ材を用いてろ過を行う場合、当該ろ材により形成されたろ過層の上流側と下流側の一方または両方にスクリーン(ろ材の流出を防ぐための支持部材)を設けることにより、ろ過層を保持したり、ろ材の流出を防ぐようにするのが一般的である。しかし、生物処理水をろ過対象とした場合は、生物処理水中に微生物が含まれるために、スクリーン表面にバイオフィルムが形成されて、スクリーンでの目詰まりが起こりやすくなる。この点で、従来は、このような小さな粒径のろ材を用いて生物処理水をろ過することは困難であった。しかしながら本発明者らは、このような小さな粒径のろ材を用いた場合に、ろ材の充填の仕方や水の流し方を工夫することで、たとえスクリーン(支持部材)を設置しなくても、好適にろ過を行えることを見出した。以下、微細ろ過部とその周辺の構成について、第1実施態様と第2実施態様とに分けて詳しく説明する。
第1実施態様では、微細ろ過部に比重が1より大きいろ材を充填し、微細ろ過部を横向流式に構成する。第1実施態様では、微細ろ過部は、微細ろ過部の入口と出口が水平方向に離れて位置するように形成し、微細ろ過部の入口から出口に向かって水が流れることにより、横方向に移動する水の流れが形成されるようにする。微細ろ過部は中間部で水が横方向(水平方向)に移動するように形成されていれば、微細ろ過部が横向流式と見なされ、中間部では上下方向にずれて(すなわち斜め上方向や斜め下方向に)水が移動してもよい。
第1実施態様では、微細ろ過部に充填するろ材として比重が1より大きいろ材を用いているため、ろ材が水中に沈んだ形でろ過層が形成される。例えば、微細ろ過部は、水平方向や斜め方向に設置された管の内部にろ材が充填されて形成されたり、槽の底部にろ材が充填されて形成される。すなわち、微細ろ過部は、底部と、底部を取り囲む側部とから形成された容器内に、ろ材が充填されて構成されることが好ましい。当該容器は蓋部を有していてもよい。なお、底部と側部と蓋部は連続した曲面状に形成されていてもよく、この場合、各部の境は、上下左右方向が概ね合っていれば任意に定めることができる。
微細ろ過部は、微細ろ過部の入口と出口が上方に向き、入口と出口が水平方向に離れて位置するように形成されていることが好ましい。このように微細ろ過部の入口と出口が形成されていれば、微細ろ過部にスクリーンを設けなくても、微細ろ過部にろ材を好適に保持することが可能となる。また、微細ろ過部の入口と出口が水平方向に離れて位置しているため、その間で水が横方向に移動するように形成される。つまり、この場合、微細ろ過部の入口で被ろ過水がまず下向きに導入され、次いで微細ろ過部の中間部で被ろ過水が横方向に移動し、微細ろ過部の出口でろ過水が上向きに排出される。なお、微細ろ過部の入口と出口では、水流の影響により多少の差が出る可能性はあるものの、通常、ろ材の上端位置が略同一高さとなる。
微細ろ過部の入口と出口は、ろ材で満たされていることが好ましい。すなわち微細ろ過部には、ろ材の粒径よりも大きい空間が、入口から中間部まで続くように形成されないことが好ましく、また、ろ材の粒径よりも大きい空間が、中間部から出口まで続くように形成されないことが好ましい。これにより、微細ろ過部での短絡が起こりにくくなり、ろ過を好適に行えるようになる。このような微細ろ過部は、例えば、U字状に形成された管内にろ材を充填することにより形成することができる。また、ろ材が充填された容器内を仕切り板で区切り、容器の底部で仕切り板で区切った空間を流通可能に形成することにより、微細ろ過部を形成してもよい。
微細ろ過部の水平方向の長さは、処理水量、生物処理水の性状、装置規模等により変わるため、一概に決めることは難しいが、例えば、0.2m以上が好ましく、0.4m以上がより好ましく、また5m以下が好ましく、3m以下がより好ましい。なお、微細ろ過部の水平方向長さは、微細ろ過部の入口と出口の水平方向の離間距離を意味する。
微細ろ過部の下流側には、微細ろ過部よりも上方に位置する排出部が設けられる。この排出部からは、微細ろ過部からのろ過水が排出される。この場合、微細ろ過部の下流側には、上向流式の微細ろ過部の排出流路が設けられることとなる。微細ろ過部の下流側に、微細ろ過部よりも上方に位置するように排出部を設けることにより、微細ろ過部全体を浸漬した状態に維持でき、微細ろ過部での短絡を防ぐことができる。その結果、微細ろ過部でのろ過を好適に行えるようになる。また、微細ろ過部からのろ材の流出も防ぐことができる。なお、微細ろ過部からのろ材の流出を抑える点から、微細ろ過部の排出部は、微細ろ過部の上端(微細ろ過部に充填されたろ材の上端)から5cm以上上方に位置することが好ましく、10cm以上上方に位置することがより好ましい。微細ろ過部の上端と排出部の高さは、静水状態で決めるものとする。微細ろ過部の排出部は、微細ろ過部を浸漬した状態を維持できるように設けられればよいため、微細ろ過部の排出部に下向流路が接続していてもよい。
微細ろ過部に充填するろ材として比重が1より大きいろ材を用いる場合は、上記のように微細ろ過部を構成することにより、スクリーンを用いなくても、微細ろ過部にろ材を保持して、ろ過を好適に行うことができる。仮に、微細ろ過部が閉塞を起こしても、微細ろ過部のろ材の洗浄を行うことにより、ろ材の流出なしに微細ろ過部の閉塞を簡単に解消することができ、微細ろ過部の再生を簡単に行うことができる。従って、本発明においては、長期にわたりろ過を好適に行えるようにする点から、微細ろ過部の上流側と下流側のいずれにも(すなわち微細ろ過部の入口と出口のいずれにも)、微細ろ過部のろ材を保持するためのスクリーンが設けられないことが好ましい。
微細ろ過部のろ材の洗浄は、微細ろ過部に洗浄媒体を導入することにより行うことができる。洗浄媒体は液体であっても気体であってもよい。例えば、微細ろ過部の出口から洗浄用液体を導入して、ろ過時と逆方向の流れを形成することにより、微細ろ過部の洗浄を行うことができる。洗浄用液体としては、例えば、ろ過槽からの流出水や水道水、工水等を用いることができる。微細ろ過部の洗浄は、微細ろ過部に散気手段を設けて、ここから洗浄用ガスを導入することによっても行うことができる。散気手段は、微細ろ過部の下方、すなわち微細ろ過部の底面を形成するように設けてもよい。洗浄用ガスとしては、例えば、空気や窒素ガス等を用いることができる。生物反応槽が嫌気性生物反応槽である場合は、嫌気性生物反応槽から発生するバイオガスを洗浄用ガスとして用いることもできる。なお、微細ろ過部の洗浄は洗浄用ガスにより行うことが好ましく、これにより洗浄により生じる廃水の量を低減することができる。従って、本発明の水処理方法は、微細ろ過部またはその下方に設けられた散気手段から洗浄用ガスを導入して、微細ろ過部に充填されたろ材を洗浄する工程を有することが好ましい。微細ろ過部の洗浄で発生した洗浄廃水は、生物反応槽や後述する粗大ろ過部に返送することが好ましい。
微細ろ過部のろ材の洗浄を行いやすくする点から、微細ろ過部は、ろ材よりも上方に水面が存在し、当該水面より上からろ材まで延びる仕切り部材が設けられることが好ましい。仕切り部材は、微細ろ過部の入口側と出口側にそれぞれ設けられることが好ましく、入口側に設けられた仕切り部材により微細ろ過部の入口と中間部とが区分され、出口側に設けられた仕切り部材により微細ろ過部の中間部と出口とが区分される。仕切り部材は、少なくとも微細ろ過部のろ材の上端まで延び、ろ材により形成されたろ過層内部(微細ろ過部の内部)まで延びていることが好ましい。なお、ろ材により形成されたろ過層は、微細ろ過部の底部で仕切り部材を跨がって存在している。このように微細ろ過部を構成すれば、微細ろ過部の底部から洗浄媒体(洗浄用液体や洗浄用ガス)を供給することにより、ろ材を水中で流動させて、ろ材の間に詰まった夾雑物を除去しやすくなる。また、微細ろ過部の上方の水で満たされた空間は、ろ材を洗浄した際に発生する洗浄廃水の貯留部として機能させることもできる。
第1実施態様においては、微細ろ過部のろ材の比重は1より大きければ特にその値は限定されないが、微細ろ過部のろ材の比重は、好ましくは1.2以上であり、より好ましくは1.4以上であり、これにより微細ろ過部からのろ材の流出を抑えることができる。ろ材の比重の上限は、ろ材の洗浄のしやすさを考慮すると、1.8以下が好ましく、1.6下がより好ましい。なお本発明において、ろ材の比重はJIS Z 8807に従って求めることができ、比重瓶やルシャテリエ比重瓶を用いた測定方法が簡便に用いられる。
次に、微細ろ過部の第2実施態様について説明する。第2実施態様では、微細ろ過部に比重が1以下のろ材を充填し、微細ろ過部を下向流式に構成する。第2実施態様では、微細ろ過部は、微細ろ過部の入口が上方に向き、出口が下方に向くように形成され、これにより微細ろ過部の上から下へ向かって水の流れが形成される。
第2実施態様では、微細ろ過部に充填されるろ材の比重が1以下であるため、ろ材は被ろ過水中に浮遊した状態で存在し、浮遊状態のろ材が集まってろ過層を形成する。微細ろ過部の上端は実質的に微細ろ過部の被ろ過水の水面高さと一致する。
第2実施態様では、スクリーンを用いなくても微細ろ過部のろ材が保持されるようにするために、微細ろ過部の下流側に、微細ろ過部の上端と実質的に同じ高さに位置する排出部を設ける。従って、第2実施態様では、下向流式の微細ろ過部の下流側に上向流式の微細ろ過部の排出流路を設け、当該排出流路に排出部を設けるようにすることが好ましい。この場合、微細ろ過部の排出流路の排出部の高さに一致して、微細ろ過部の上端が規定されることとなるため、スクリーンを設けなくても、微細ろ過部のろ材によりろ過層が形成され、微細ろ過部でのろ過が可能となる。なお、微細ろ過部の上端と排出部の高さは、静水状態で決めるものとする。微細ろ過部の排出部は、微細ろ過部にろ材によるろ過層が形成されるように設けられる限り、微細ろ過部の排出部に下向流路が接続していてもよい。第2実施態様においても、バイオフィルムの形成等による目詰まりの問題が起こらず、簡単に微細ろ過部の再生を行えるようにする点から、微細ろ過部の上流側と下流側のいずれにも(すなわち微細ろ過部の入口と出口のいずれにも)、微細ろ過部のろ材を保持するためのスクリーンが設けられないことが好ましい。
微細ろ過部の厚み(上下方向の長さ)は、処理水量、生物処理水の性状、装置規模等により変わるため、一概に決めることは難しいが、例えば、0.3m以上が好ましく、0.5m以上がより好ましく、また5m以下が好ましく、3m以下がより好ましい。なお、微細ろ過部の厚みは、静水状態での厚みとする。
第2実施態様では、微細ろ過部のろ材によってろ過層が好適に形成されるようにする点から、下向流の流速を速くしすぎない方が好ましい。換言すれば、微細ろ過部のろ材によってろ過層が好適に形成されるように、下向流の流速を適宜調節することが好ましい。
微細ろ過部の上方には、分水手段が設けられていることが好ましい。微細ろ過部の上方に分水手段が設けられれば、微細ろ過部に被ろ過水が分散供給され、微細ろ過部のろ過層が好適に維持されやすくなる。その結果、微細ろ過部によって好適にろ過が行われやすくなる。分水手段としては、被ろ過水を分散供給できるものであれば特に限定されず、複数に枝分かれした流路、複数の開口が設けられた板や流路、複数の越流部が設けられた枡(分水枡)、各種スプレー等を用いることができる。
第2実施態様では、微細ろ過部の下方から洗浄媒体を導入したり、微細ろ過部に直接洗浄媒体を導入することにより、微細ろ過部の洗浄を行うことができる。洗浄媒体としては、上記に説明した洗浄用液体や洗浄用ガスを用いることができる。なお、第2実施態様においても、微細ろ過部の洗浄は洗浄用ガスにより行うことが好ましく、これにより洗浄により生じる廃水の量を低減することができる。この場合、微細ろ過部やその下方に散気手段を設けることにより、微細ろ過部に洗浄用ガスを導入して、ろ材の洗浄を行うことができる。従って、第2実施態様に係る水処理方法においても、微細ろ過部またはその下方に設けられた散気手段から洗浄用ガスを導入して、微細ろ過部に充填されたろ材を洗浄する工程を有することが好ましい。ろ材の洗浄により発生した洗浄廃水は、第2実施態様では、微細ろ過部の下方の空間に貯められる。ここに貯められた洗浄廃水は、生物反応槽や後述する粗大ろ過部に返送することが好ましい。
第2実施態様においては、微細ろ過部のろ材の比重は1以下であれば特にその値は限定されないが、当該ろ材によって微細ろ過部に好適にろ過層が形成されるようにする点から、比重は0.98以下が好ましく、0.95以下がより好ましく、また0.90以上が好ましく、0.92以上がより好ましい。
次に、粗大ろ過部について説明する。ろ過槽には、微細ろ過部の上流側に、粒径が10mm以上かつ比重が1より大きいろ材が充填された下向流式の粗大ろ過部が設けられることが好ましい。微細ろ過部の上流側に粗大ろ過部を設けることにより、生物反応槽の流出水に含まれる比較的大きな固形物を除去することができ、微細ろ過部での目詰まりを起こしにくくすることができる。
粗大ろ過部は下向流式であり、粗大ろ過部の入口が上方に向き、出口が下方に向くように形成されている。粗大ろ過部では、粗大ろ過部の上から下に向かって水の流れが形成される。粗大ろ過部に充填されるろ材の比重は1より大きいため、粗大ろ過部での下向きの流れと相まって、粗大ろ過部には下方向への圧力がかかる。そのため、ろ材間の空隙が大きくならずに固形物の除去が可能となる。ろ材の空隙に捕捉された固形物に生物反応槽から流出した微生物が含まれる場合は、この微生物により、粗大ろ過部において生物処理を行うようにすることもできる。
粗大ろ過部に充填されるろ材の粒径は10mm以上であり、15mm以上が好ましく、25mm以上がより好ましい。粗大ろ過部に充填されるろ材の粒径の上限は特に限定されないが、例えば、180mm以下が好ましく、150mm以下がより好ましく、100m以下がさらに好ましく、50mm以下が特に好ましい。
粗大ろ過部のろ材の比重は、1より大きければ特に限定されないが、ろ材によりろ過層を安定して形成する点から、比重は1.05以上が好ましく、1.1以上がより好ましい。粗大ろ過部のろ材の比重の上限については、例えば、粗大ろ過部のろ材の洗浄(逆洗)を効果的に行えるようにする点から、比重は1.8以下が好ましく、1.6以下がより好ましい。
粗大ろ過部のろ材は、開口が形成されていることが好ましい。粗大ろ過部のろ材に開口が形成されていれば、ろ材の表面積が増え、ろ過面積を増やすことができる。そのため、効率的なろ過が可能となる。粗大ろ過部のろ材は、例えば、円相当径で3mm以上(より好ましくは5mm以上)の大きさの貫通開口が形成されていることが好ましい。
粗大ろ過部のろ材には、微生物が担持されていることが好ましい。すなわち、粗大ろ過部は、処理に伴って、ろ材表面に微生物によるバイオフィルムが形成されたり、ろ材表面に微生物を含む汚泥が付着したりして、微生物がろ材表面に担持されることが好ましい。粗大ろ過部のろ材に微生物が担持されれば、粗大ろ過部にろ過機能だけでなく、BOD(生物学酸素消費量)除去機能も付与することができる。なお、微細ろ過部のろ材にも微生物が担持されていてもよい。
粗大ろ過部の厚み(上下方向の長さ)は、処理水量、生物処理水の性状、装置規模等により変わるため、一概に決めることは難しいが、例えば、0.3m以上が好ましく、0.5m以上がより好ましく、また5m以下が好ましく、3m以下がより好ましい。なお、粗大ろ過部の厚みは、静水状態で測定する。
粗大ろ過部のろ材は、スクリーンによって保持されていることが好ましい。すなわち、粗大ろ過部の下方に、粗大ろ過部のろ材を保持するためのスクリーンが設けられることが好ましい。スクリーンとしては、ろ材を通さずに水を透過させるものであれば特に限定せずに用いることができ、例えば、金属メッシュ(金網)、パンチングメタル、ウェッジワイヤースクリーン、多孔質体等を用いることができる。スクリーンの開口の大きさやクリアランス(隙間の幅)は、粗大ろ過部のろ材の粒径よりも小さい範囲で適宜設定すればよいが、粗大ろ過部のろ材の粒径よりも小さい範囲で、できるだけ大きくなるように設定することが好ましい。例えば、スクリーンとして金属メッシュやパンチングメタルを用いる場合は、開口の円相当径が8mm以上であることが好ましく、ウェッジワイヤースクリーンであれば、クリアランス(隙間の幅)が8mm以上であることが好ましい。
スクリーンの下方には、ろ材が存在しない空間が形成されていることが好ましい。スクリーンの下方にろ材が存在しない空間を設けることにより、当該空間を、ろ材を洗浄した際に発生する洗浄廃水の貯留部として機能させることができる。
粗大ろ過部の洗浄は、粗大ろ過部の下方の空間に洗浄媒体を導入したり、粗大ろ過部に直接洗浄媒体を導入することにより行うことができる。この際、粗大ろ過部のろ材は比較的粒径が大きいものであるため、洗浄によりろ材から剥離した夾雑物は粗大ろ過部の下方の空間に貯まることとなる。従って、ろ材の洗浄後に当該空間から排水することにより、固形分濃度の高い洗浄廃水を効率的に除去することができる。なお、ここで得られる洗浄廃水には、生物反応槽から流出した微生物が多く含まれていることから、洗浄廃水は生物反応槽に返送することが好ましい。
洗浄媒体としては、微細ろ過部の洗浄に使用可能な洗浄用液体や洗浄用ガスを用いることができる。例えば、洗浄用液体を粗大ろ過部の下から上向流で導入することにより、粗大ろ過部の洗浄を行うことができる。また、粗大ろ過部やその下方に散気手段を設け、当該散気手段から洗浄用ガスを導入することにより、粗大ろ過部のろ材の洗浄を行うことができる。なお、粗大ろ過部の洗浄は洗浄用ガスにより行うことが好ましく、これにより洗浄により生じる廃水の量を低減することができる。従って、本発明の水処理方法は、粗大ろ過部またはその下方に設けられた散気手段から洗浄用ガスを導入して、粗大ろ過部に充填されたろ材を洗浄する工程を有することが好ましい。
粗大ろ過部の下流側(粗大ろ過部と微細ろ過部の間)には、上向流式の粗大ろ過部の排出流路を設けることが好ましい。上向流式の排出流路を設けることにより、粗大ろ過部のろ過水に含まれる比重の大きな固形分を当該排出流路で沈降分離させることができる。この場合、上向流式の排出流路の底部や粗大ろ過部の下方の空間が、比重の大きな固形分の貯留部として機能する。上向流式の排出流路の底部や粗大ろ過部の下方の空間に貯まった固形分は、生物反応槽に返送することが好ましい。
粗大ろ過部の下流側に上向流式の排出流路を設ける場合、当該排出流路は粗大ろ過部の上端(粗大ろ過部に充填されたろ材の上端)と同じ高さかそれより上方まで延在していることが好ましい。このように粗大ろ過部の排出流路が設けられていれば、これにより粗大ろ過部全体を浸漬した状態で維持することができ、粗大ろ過部での短絡を防止することができる。また、粗大ろ過部のろ材に微生物が担持されている場合は、微生物をろ材上に好適に保持することができる。なお、微細ろ過部を上記の第1実施態様のように構成する場合は、微細ろ過部の排出部を、粗大ろ過部の上端と同じ高さかそれより上方に位置するように設けることによっても、粗大ろ過部を浸漬した状態に維持し、粗大ろ過部での短絡を防ぐことができる。
微細ろ過部を上記の第2実施態様のように構成する場合は、粗大ろ過部の排出流路の排出部が、微細ろ過部の被ろ過水の水面よりも上方に位置するように形成されていることが好ましい。つまり、粗大ろ過部の排出流路に設けられる排出部が、微細ろ過部の排出流路に設けられる排出部よりも、上方に位置することが好ましい。このように構成することにより、微細ろ過部のろ材によってろ過層が好適に形成されやすくなる。
本発明においては、ろ過槽の下流側に、下向流路と、その下流側に設けられた上向流路とを有する沈降槽を設けることが好ましい。微細ろ過部のろ過水を沈降槽に導入し、下向流路と上向流路を順に通過させることにより、下向流路と上向流路の間の流れが変わる部分、すなわち沈降槽の底部に固形分を沈降させて、ろ過槽の流出水から固形分を除去することができる。また、微細ろ過部の洗浄を行う場合には、微細ろ過部の排出部から流出した洗浄廃水を沈降槽に導入することで、洗浄廃水に含まれる固形分を沈降させて集めることができる。沈降槽の底部に貯まった固形分濃度の高い水は、ろ過槽や生物反応槽に返送することが好ましい。
ろ過槽や沈降槽には、ろ過槽や沈降槽に貯まった固形分濃度の高い水(濃縮水)やろ材の洗浄の際に発生した洗浄廃水を上流側の工程に返送するための返送手段が設けられることが好ましい。例えば、送液元と送液先を繋ぐ返送流路を設け、送液ポンプにより送液元から送液先に濃縮水や洗浄廃水を移送したり、あるいはエアリフトポンプによって送液元から送液先に濃縮水や洗浄廃水を移送してもよい。粗大ろ過部やその下方に、あるいは微細ろ過部やその下方に、ろ材洗浄用の散気手段を設ける場合は、これらの散気手段がエアリフトポンプの機能を兼ねることもできる。この場合、本発明の水処理方法は、粗大ろ過部またはその下方に設けられた散気手段から洗浄用ガスを導入して、粗大ろ過部に充填されたろ材を洗浄し、発生した洗浄廃水を生物反応槽に返送する工程を有していたり、微細ろ過部またはその下方に設けられた散気手段から洗浄用ガスを導入して、微細ろ過部に充填されたろ材を洗浄し、発生した洗浄廃水を生物反応槽または粗大ろ過部に返送する工程を有していることが好ましい。
粗大ろ過部の下方や微細ろ過部の下方に貯まった固形分を排出する場合は、粗大ろ過部の排出流路の底部や微細ろ過部の排出流路の底部に散気手段を設けることが好ましい。これにより、粗大ろ過部の下方や微細ろ過部の下方に貯まった固形分を、ろ材に邪魔されずに、粗大ろ過部の排出流路や微細ろ過部の排出流路を通じて、濃縮水として好適に排出し、返送できるようになる。
本発明は、ろ過槽に導入する生物処理水が嫌気性生物処理水である場合に、ろ過性能の改善効果が特に好適に発揮される。嫌気性生物処理水には、分散性が高く微細な固形分が含まれているため、通常の固液分離手段では、嫌気性生物処理水に含まれる固形分を除去することは難しい。しかし本発明によれば、嫌気性生物処理水をろ過対象とした場合でも、微細な固形分の除去ができ、また目詰まりが起こっても簡単にろ材の洗浄ができるため、長期にわたり安定した処理を行うことができる。この点で、生物反応槽が嫌気性生物反応槽であることが好ましく、嫌気性生物反応槽の流出水がろ過槽に導入されることが好ましい。なお、ここでの嫌気性生物処理とは、酸生成菌やメタン菌等の働きによって嫌気性消化が行われる処理を意味し、嫌気性生物反応槽の酸化還元電位(ORP)が、例えば−450mV〜−180mV(より好ましくは−400mV〜−200mV)の範囲にあることが好ましい。
次に、本発明の水処理装置の構成例について、図面を参照して説明する。なお、本発明は、図面に示した実施態様に限定されない。
図1には、第1実施態様に係る水処理装置の構成例を示した。図1に示した水処理装置は、生物反応槽21と、生物反応槽21の流出水(生物処理水)31が導入されるろ過槽1を有する。ろ過槽1は、下向流式の粗大ろ過部2と、粗大ろ過部2の下流側に設けられた横向流式の微細ろ過部7と、微細ろ過部7の下流側に設けられ、微細ろ過部7よりも上方に位置する排出部9とを有する。
粗大ろ過部2には、粒径が10mm以上かつ比重が1より大きいろ材が充填されている。粗大ろ過部2により、生物処理水31に含まれる比較的大きな固形物を除去することができる。
粗大ろ過部2の下方には、粗大ろ過部2のろ材を保持するためのスクリーン3が設けられ、スクリーン3の下方にろ材が存在しない空間4が形成されている。空間4には、例えば散気手段を設けることができ、これにより、粗大ろ過部2のろ材の洗浄を行うことができる。すなわち、空間4に設けた散気手段から洗浄用ガスを導入することにより、粗大ろ過部2のろ材の洗浄を行うことができる。この際、粗大ろ過部2の上方と生物反応槽21を繋ぐ返送流路を設ければ、空間4に設けた散気手段をエアリフトポンプとして、粗大ろ過部2の洗浄廃水を生物反応槽21に移送することができる。
粗大ろ過部2のろ過水は、微細ろ過部7に導入される。微細ろ過部7には、粒径が1mm以上10mm未満かつ比重が1より大きいろ材が充填されている。微細ろ過部7により、粗大ろ過部2で除去されなかった細かな固形物を除去することができる。微細ろ過部7は、入口7Aと出口7Bが上方に向き、入口7Aと出口7Bが水平方向に離れて位置するように形成されている。これにより、微細ろ過部7では、入口7Aと出口7Bの間で、横向きの流れが形成される。微細ろ過部7は、このように形成されることにより、微細ろ過部の入口7Aや出口7Bにスクリーンを設けなくても、微細ろ過部7にろ材を好適に保持することができる。
微細ろ過部7の下流側には、微細ろ過部7よりも上方に位置する排出部9が設けられている。詳細には、微細ろ過部7の出口7Bに接続して上向流式の排出流路8が設けられ、排出流路8に排出部9が設けられている。排出部9からは、ろ過槽からの流出水32が流出する。このように排出部9を設けることにより、微細ろ過部7が浸漬状態に維持され、微細ろ過部7で好適にろ過を行えるようになる。なお、第1実施態様では、排出部9は、粗大ろ過部2の上端と同じ高さかそれよりも上方に位置するように設けることが好ましく、これにより粗大ろ過部2も浸漬状態に維持することができる。
微細ろ過部7の洗浄は、微細ろ過部7の出口7B側から逆洗用液体を導入したり、微細ろ過部7の底部に散気手段を設け、ここから逆洗用ガスを導入することにより行うことができ、これにより微細ろ過部7のろ過性能の再生を行うことができる。
図2には、第1実施態様に係る水処理装置の他の構成例を示した。なお、図2に示した水処理装置に関する下記の説明では、図1の説明と重複する説明を省く。
図2に示した水処理装置では、微細ろ過部7の上方に、ろ材が存在せず水で満たされた空間10が設けられている。空間10では、微細ろ過部7に充填されたろ材よりも上方に水面が存在し、この水面より上から微細ろ過部7まで延びる仕切り部材12が設けられている。仕切り部材12によって、空間10と排出流路8が区分される。なお図面において、水面の位置は下向きの三角で示されている。微細ろ過部7の上方に水で満たされた空間10を設けることにより、微細ろ過部7のろ材の洗浄を好適に行うことができる。例えば、微細ろ過部7の入口7Aと出口7Bの間の部分の底部に散気手段を設け、ここから洗浄用ガスを導入することにより、微細ろ過部7のろ材が空間10で流動し、ろ材の洗浄を好適に行うことができる。この際、空間10と生物反応槽21または粗大ろ過部2の上方とを繋ぐ返送流路を設ければ、微細ろ過部7に設けた散気手段をエアリフトポンプとして、微細ろ過部7の洗浄廃水を生物反応槽21や粗大ろ過部2に移送することができる。
図2の水処理装置においては、微細ろ過部7の入口7Aの下方に散気手段を設ければ、微細ろ過部7の入口7A付近のろ材と粗大ろ過部2のろ材の洗浄を同時に行うことができる。また、微細ろ過部7の出口7Bの下方に散気手段を設ければ、微細ろ過部7の出口7B付近のろ材を洗浄するとともに、その際に発生した洗浄廃水を、排出流路8を通して排出部9から排出することができる。この洗浄廃水は、生物反応槽21や粗大ろ過部2に返送してもよい。
図2では、ろ過槽1の下流側に沈降槽26が設けられている。沈降槽26は、下向流路27と上向流路28とから構成されており、ろ過槽1からの流出水32が沈降槽26に導入される。沈降槽26では、流出水32に含まれる比較的比重の大きな固形分を沈降分離することができる。ここで沈降分離された固形分は、生物反応槽21や粗大ろ過部2に返送してもよい。沈降槽26の出口からは、固形分濃度が低減した分離水33が得られる。
図3には、第1実施態様に係る水処理装置のさらに他の構成例を示した。なお、図3に示した水処理装置に関する下記の説明では、図1と図2の説明と重複する説明を省く。
図3の水処理装置では、粗大ろ過部2の下流側に、上向流式の粗大ろ過部の排出流路5が設けられている。これにより、粗大ろ過部2のろ過水に含まれる比較的比重の大きな固形分を沈降分離させて、粗大ろ過部2の下方の空間4や排出流路5の底部に貯めることができる。
排出流路5の下流側には、下向流式の微細ろ過部の導入流路6が設けられている。導入流路6は、微細ろ過部7の入口7Aに接続している。図3では、微細ろ過部7の入口7A側と出口7B側にそれぞれ、微細ろ過部7の上方の水面より上から微細ろ過部7まで延びる仕切り部材11,12が設けられている。入口7A側の仕切り部材11によって、空間10と導入流路6が区分され、出口7B側の仕切り部材12によって空間10と排出流路8が区分されている。
図3のように、仕切り部材11,12によって微細ろ過部の導入流路6と排出流路8を形成すれば、微細ろ過部7全体の水平方向の長さに対して、死水域となる領域を減らすことができる。そのため、入口7Aと出口7Bの間の部分、すなわち実際のろ過に寄与する部分の水平方向の長さを相対的に長く取ることが可能となり、微細ろ過部7のより多くの部分がろ過に有効に寄与し、ろ過効率を高めることができる。
図3に示した水処理装置では、ろ過槽1の下流側に沈降槽26が設けられているが、ろ過槽1と沈降槽26は仕切り部材によって隔てられた1つの槽のように形成されている。ろ過槽1と沈降槽26はこのように形成してもよい。
図4には、第2実施態様に係る水処理装置の構成例を示した。なお、図4に示した水処理装置は、粗大ろ過部の排出流路までは図3に示した水処理装置と同じであるため、下記の説明では当該部分の説明を省く。
図4に示した水処理装置では、粗大ろ過部2の下流側に下向流式の微細ろ過部7を設け、微細ろ過部7に、粒径が1mm以上10mm未満かつ比重が1以下のろ材が充填されている。そして、微細ろ過部7の下流側に、微細ろ過部7の上端と実質的に同じ高さに位置する排出部9を設けている。微細ろ過部7に充填するろ材として比重が1以下のろ材を用いる場合は、このように微細ろ過部7を形成することにより、スクリーンを用いなくても微細ろ過部7のろ材を好適に保持することができる。なお、第2実施態様では、微細ろ過部の排出部9が、粗大ろ過部の排出流路5の水面よりも下方に位置するよう設けることが好ましい。
図4に示した水処理装置では、微細ろ過部7の上方に分水手段13が設けられている。分水手段13を設けることにより、微細ろ過部7に被ろ過水を分散供給することができ、微細ろ過部7のろ過層が好適に維持されやすくなる。これにより、微細ろ過部7によるろ過が好適に行われやすくなる。
以上、本発明の水処理装置の構成例について説明したが、本発明においては、例えば、ろ過槽が粗大ろ過部を有しないものであってもよい。この場合、粗大ろ過部にろ材を充填せずにろ過槽を構成したり、粗大ろ過部とその排出流路に係る構成を除いたりして、ろ過槽に導入する生物処理水を直接微細ろ過部の入口に導入すればよい。
本発明は、下水やし尿等生活排水、下水処理やし尿処理に伴い発生するプロセス排水、食品工場、紙パルプ工場、化学工場等から発生する工場排水、家畜糞尿、家畜糞尿等の畜産廃棄物の処理により発生する排水等の処理に用いることができる。本発明の水処理装置は、例えば、下水処理場、し尿処理場、各種廃水施設、浄化槽等に適用することができる。
1:ろ過槽
2:粗大ろ過部
3:スクリーン
5:粗大ろ過部の排出流路
7:微細ろ過部
8:微細ろ過部の排出流路
9:排出部
11,12:仕切り部材
13:分水手段
21:生物反応槽
26:沈降槽
2:粗大ろ過部
3:スクリーン
5:粗大ろ過部の排出流路
7:微細ろ過部
8:微細ろ過部の排出流路
9:排出部
11,12:仕切り部材
13:分水手段
21:生物反応槽
26:沈降槽
Claims (17)
- 生物反応槽と、前記生物反応槽の流出水が導入されるろ過槽を有する水処理装置であって、
前記ろ過槽は、粒径が1mm以上10mm未満かつ比重が1より大きいろ材が充填された横向流式の微細ろ過部と、前記微細ろ過部の下流側に設けられ、微細ろ過部よりも上方に位置する排出部とを有することを特徴とする水処理装置。 - 生物反応槽と、前記生物反応槽の流出水が導入されるろ過槽を有する水処理装置であって、
前記ろ過槽は、粒径が1mm以上10mm未満かつ比重が1以下のろ材が充填された下向流式の微細ろ過部と、前記微細ろ過部の下流側に設けられ、前記微細ろ過部の上端と実質的に同じ高さに位置する排出部とを有することを特徴とする水処理装置。 - 前記微細ろ過部は、ろ材よりも上方に水面が存在し、当該水面より上からろ材まで延びる仕切り部材が設けられている請求項1に記載の水処理装置。
- 前記微細ろ過部の上方に分水手段が設けられている請求項2に記載の水処理装置。
- 前記微細ろ過部の上流側と下流側のいずれにも、微細ろ過部のろ材を保持するためのスクリーンが設けられていない請求項1〜4のいずれか一項に記載の水処理装置。
- 前記微細ろ過部またはその下方に散気手段が設けられている請求項1〜5のいずれか一項に記載の水処理装置。
- 前記ろ過槽には、前記微細ろ過部の上流側に、粒径が10mm以上かつ比重が1より大きいろ材が充填された下向流式の粗大ろ過部が設けられている請求項1〜6のいずれか一項に記載の水処理装置。
- 前記粗大ろ過部のろ材に微生物が担持されている請求項7に記載の水処理装置。
- 前記粗大ろ過部の下方に、粗大ろ過部のろ材を保持するためのスクリーンが設けられ、当該スクリーンの下方にろ材が存在しない空間が形成されている請求項7または8に記載の水処理装置。
- 前記粗大ろ過部またはその下方に散気手段が設けられている請求項7〜9のいずれか一項に記載の水処理装置。
- 前記粗大ろ過部の下流側に、上向流式の粗大ろ過部の排出流路が設けられている請求項7〜10のいずれか一項に記載の水処理装置。
- 前記ろ過槽の下流側に、下向流路と、前記下向流路の下流側に設けられた上向流路とを有する沈降槽が設けられている請求項1〜11のいずれか一項に記載の水処理装置。
- 前記生物反応槽が嫌気性生物反応槽である請求項1〜12のいずれか一項に記載の水処理装置。
- 粒径が1mm以上10mm未満かつ比重が1より大きいろ材が充填された横向流式の微細ろ過部と、
前記微細ろ過部の下流側に設けられ、微細ろ過部よりも上方に位置する排出部とを有するろ過槽を用い、
生物処理水を前記ろ過槽に導入して、前記生物処理水に含まれる固形分を除去する工程を有することを特徴とする水処理方法。 - 粒径が1mm以上10mm未満かつ比重が1以下のろ材が充填された下向流式の微細ろ過部と、
前記微細ろ過部の下流側に設けられ、前記微細ろ過部の上端と実質的に同じ高さに位置する排出部とを有するろ過槽を用い、
生物処理水を前記ろ過槽に導入して、前記生物処理水に含まれる固形分を除去する工程を有することを特徴とする水処理方法。 - 前記ろ過槽には、前記微細ろ過部の上流側に、粒径が10mm以上かつ比重が1より大きいろ材が充填された下向流式の粗大ろ過部が設けられており、
生物処理水を前記ろ過槽に導入して、前記粗大ろ過部と前記微細ろ過部を順に通過させることにより、前記生物処理水に含まれる固形分を除去する請求項14または15に記載の水処理方法。 - 前記生物処理水が嫌気性生物処理水である請求項14〜16のいずれか一項に記載の水処理方法。
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