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JP2016183218A - ゴム組成物およびタイヤ - Google Patents

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JP2016183218A JP2015063035A JP2015063035A JP2016183218A JP 2016183218 A JP2016183218 A JP 2016183218A JP 2015063035 A JP2015063035 A JP 2015063035A JP 2015063035 A JP2015063035 A JP 2015063035A JP 2016183218 A JP2016183218 A JP 2016183218A
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Abstract

【課題】低燃費性および耐摩耗性に優れたゴム組成物、ならびにそのゴム組成物により構成されたトレッドを有するタイヤを提供すること。
【解決手段】
(a)所定のスチレンブタジエンゴム1、(b)所定のスチレンブタジエンゴム2、および(c)所定のハイシスブタジエンゴムを含むゴム成分100質量部、所定量のシリカ、式(I):
Figure 2016183218

で表されるシランカップリング剤1、ならびに3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン(シランカップリング剤2)を含むゴム組成物であって、SBR1、シリカおよびシランカップリング剤2を含むMB1、ならびにSBR2、シリカおよびシランカップリング剤1を含むMB2を用いて得られるゴム組成物、およびそのゴム組成物により構成されたトレッドを有するタイヤ。
【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム組成物およびそのゴム組成物で構成されたトレッドを有するタイヤに関する。
近年、環境問題への関心の高まりから、自動車に対して低燃費化の要求が強くなっており、自動車用タイヤに用いるゴム組成物に対しても、低燃費性に優れることが求められている。自動車タイヤ用のゴム組成物としては、ポリブタジエンやブタジエン−スチレン共重合体などの共役ジエン系重合体と、カーボンブラックやシリカなどの充填剤とを含有するゴム組成物が用いられている。
また、ゴム成分としてジエン系ゴムの一部を官能基で変性した変性ジエン系ゴムを用いることでシリカとポリマーの反応率を上げる技術が提案されている(特許文献1)。
特開2010−111753号公報
しかし、経済性および安全性の観点からは、タイヤの耐摩耗性および破壊特性を十分に確保することも重要な課題であり、特許文献1では、低燃費性は改善されるものの、低燃費性に対して背反性能となる耐摩耗性が十分でなく、また、ゴム欠けを引き起こしてしまう問題があり、改善の余地がある。
そこで、本発明は、低燃費性および耐摩耗性に優れたゴム組成物、ならびにそのゴム組成物により構成されたトレッドを有するタイヤを提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討の結果、2種類の所定のスチレンブタジエンゴムと、それぞれ異なる特定のシランカップリング剤との組み合わせを含む2種類のマスターバッチを用いることにより、加工中の粘度上昇が抑制され、上記課題を解決できることを見出し、さらに検討を重ねて本発明を完成することに成功した。
すなわち、本発明は、
[1](a)スチレン含量が27質量%以下、好ましくは5〜26質量%、より好ましくは7〜26質量%であり、ブタジエン部におけるビニル結合量が50%以上、好ましくは54〜70%、より好ましくは58〜66%であるスチレンブタジエンゴム1(SBR1)、(b)スチレン含量が35質量%以上、好ましくは38〜50質量%、より好ましくは38〜45質量%であり、ブタジエン部におけるビニル結合量が45%以下、好ましくは20〜41%、より好ましくは25〜41%であるスチレンブタジエンゴム2(SBR2)、および(c)シス1,4結合含有率が90%以上、好ましくは95%以上のハイシスブタジエンゴムを含むゴム成分100質量部、
シリカ15〜150質量部、好ましくは45〜120質量部、より好ましくは50〜110質量部、
式(I)で表されるシランカップリング剤1、および
3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン(シランカップリング剤2)
を含むゴム組成物であって、SBR1、シリカおよびシランカップリング剤2を含むマスターバッチ1、ならびにSBR2、シリカおよびシランカップリング剤1を含むマスターバッチ2を用いて得られるゴム組成物
Figure 2016183218
[2]前記ハイシスブタジエンゴムが、マスターバッチ1および/またはマスターバッチ2に含まれる上記[1]記載のゴム組成物、および
[3]上記[1]または[2]記載のゴム組成物により構成されたトレッドを有するタイヤ
に関する。
本発明によれば、所定のスチレンブタジエンゴム1(SBR1)、所定のスチレンブタジエンゴム2(SBR2)、および所定のハイシスブタジエンゴムを含むゴム成分、所定量のシリカ、式(I)で表されるシランカップリング剤1、および3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン(シランカップリング剤2)を含有し、SBR1、シリカおよびシランカップリング剤2を含むマスターバッチ1、ならびにSBR2、シリカおよびシランカップリング剤1を含むマスターバッチ2を用いて得られるゴム組成物とすることにより、良好なウェットスキッド性能、操縦安定性(ハンドリング性能)を有し、低燃費性および耐摩耗性に優れたゴム組成物、ならびにそのゴム組成物で構成されたトレッドを有するタイヤを提供することができる。
本発明のゴム組成物は、所定のSBR1、所定のSBR2、所定のハイシスブタジエンゴム、所定量のシリカと、式(I)で表されるシランカップリング剤1および3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン(シランカップリング剤2)とを含み、SBR1、シリカおよびシランカップリング剤2を含むマスターバッチ1と、SBR2、シリカおよびシランカップリング剤1を含むマスターバッチ2とを用いて得られることを特徴とする。
SBR1は、スチレン含量が27質量%以下であり、ブタジエン部におけるビニル結合量が50%以上であるスチレンブタジエンゴムであれば特に限定されるものではなく、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E−SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。なかでも、低燃費性の改善効果が大きいという点から、分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能化合物により変性(カップリング)され、水酸基やエポキシ基が導入された変性SBRが好ましい。このような変性S−SBRとしては、旭化成(株)製のアサプレンY031等を使用することができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
SBR1のスチレン含量は、27質量%以下であり、26質量%以下が好ましい。また、SBR1のスチレン含量は、5質量%以上が好ましく、7質量%以上がより好ましい。SBR1のスチレン含量が27質量%を超えると、組成物のTgが上昇し、燃費性能が悪化する傾向がある。SBR1のブタジエン部におけるビニル結合量は、50%以上であり、54%以上が好ましく、58%以上がより好ましい。また、SBR1のブタジエン部におけるビニル結合量は、70%以下が好ましく、66%以下がより好ましい。SBR1のブタジエン部におけるビニル結合量が50%未満であると、ウェットスキッド性能が悪化する傾向がある。なお、本明細書においてスチレン含量は、1H−NMR測定により算出され、ビニル結合量は、赤外吸収スペクトル測定により算出される。
SBR1の全ゴム成分中の含有量は、15質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましい。SBR1の含有量を15質量%以上とすることにより、良好な低燃費性が得られる傾向がある。また、SBR1の全ゴム成分中の含有量は、75質量%未満が好ましく、70質量%未満がより好ましい。SBR1の含有量を75質量%未満とすることにより、十分な耐摩耗性が得られる傾向がある。
SBR2は、スチレン含量が35質量%以上であり、ブタジエン部におけるビニル結合量が45%以下であるスチレンブタジエンゴムであれば特に限定されるものではなく、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E−SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。なかでも、S−SBRが好ましい。このようなS−SBRとしては、日本ゼオン(株)製のNipol NS522等を使用することができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
SBR2のスチレン含量は、35質量%以上であり、38質量%以上が好ましい。また、SBR2のスチレン含量は、50質量%以下が好ましく、45質量%以下がより好ましい。SBR2のスチレン含量が35質量%未満であると、ウェットスキッド性能が悪化する傾向がある。SBR2のブタジエン部におけるビニル結合量は、45%以下であり、41%以下が好ましい。また、SBR2のブタジエン部におけるビニル結合量は、20%以上が好ましく、25%以上がより好ましい。SBR2のブタジエン部におけるビニル結合量が45%を超えると、低燃費性能が悪化する傾向がある。
SBR2の全ゴム成分中の含有量は、15質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましい。SBR2の含有量を15質量%以上とすることにより、十分な耐摩耗性が得られる傾向がある。また、SBR2の全ゴム成分中の含有量は、75質量%未満が好ましく、70質量%未満がより好ましい。SBR2の含有量を75質量%未満とすることにより、良好な低燃費性が得られる傾向がある。
ハイシスブタジエンゴム(ハイシスBR)は、シス含量が90%以上のものであり、たとえば、JSR(株)製のBR730、BR51、日本ゼオン(株)製のBR1220、宇部興産(株)製のBR130B、BR150B、BR710などがあげられる。ハイシスBRのなかでも、シス1,4−結合含有率が95%以上のものがさらに好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ハイシスBRを含有することで耐摩耗性を向上させること、低温でのゴム硬化を抑制することができる。
ハイシスBRの全ゴム成分中の含有量は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。ハイシスBRの含有量を5質量%以上とすることにより、耐摩耗性が良好となる傾向がある。また、ハイシスBRの全ゴム成分中の含有量は、40質量%未満が好ましく、35質量%未満がより好ましい。ハイシスBRの含有量を40質量%未満とすることにより、ウェットグリップ性能が良好となる傾向がある。
本発明のゴム組成物においては、式(I)で表されるシランカップリング剤1および3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン(シランカップリング剤2)を、それぞれ上記SBR2およびSBR1と組み合わせて用いる。
Figure 2016183218
シランカップリング剤1は、従来のビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどのポリスルフィドシランに比べ、加工中の粘度上昇が抑制され、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプトシランに比べてスコーチタイムの短縮を抑制することができる。
シランカップリング剤1の含有量は、マスターバッチ2を作製する際に同時に使用するシリカ100質量部に対して、2質量部以上が好ましく、4質量部以上がより好ましい。シランカップリング剤1の含有量を、同時に使用するシリカ100質量部に対して、2質量部以上とすることにより、転がり抵抗の増大を抑制できる傾向がある。また、シランカップリング剤1の含有量は、同時に使用するシリカ100質量部に対して、20質量部以下が好ましく、16質量部以下がより好ましい。シランカップリング剤1の含有量を、同時に使用するシリカ100質量部に対して、20質量部以下とすることにより、コストの増加に見合った効果を得ることができる傾向がある。
シランカップリング剤2は、従来のビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどのポリスルフィドシランに比べ、加工中の粘度上昇が抑制され、転がり特性にも優れる。
シランカップリング剤2の含有量は、マスターバッチ1を作製する際に同時に使用するシリカ100質量部に対して、2質量部以上が好ましく、4質量部以上がより好ましい。シランカップリング剤2の含有量を、同時に使用するシリカ100質量部に対して、2質量部以上とすることにより、転がり抵抗の増大を抑制できる傾向がある。また、シランカップリング剤2の含有量は、同時に使用するシリカ100質量部に対して、20質量部以下が好ましく、16質量部以下がより好ましい。シランカップリング剤2の含有量を、同時に使用するシリカ100質量部に対して、20質量部以下とすることにより、コストの増加に見合った効果を得ることができる傾向がある。
シリカとしては、特に限定されるものではないが、たとえば、乾式法により調製されたシリカ(無水ケイ酸)や、湿式法により調製されたシリカ(含水ケイ酸)などが挙げられ、湿式法により調製されたシリカが、シリカを均一に分散させることができる点から好ましい。
シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)は、70m2/g以上が好ましく、140m2/g以上がより好ましい。シリカのN2SAを70m2/g以上とすることにより、十分な補強性が得られ、破壊強度、耐摩耗性を良好なものとすることができる。また、シリカのN2SAは、220m2/g以下が好ましく、200m2/g以下がより好ましい。シリカのN2SAを220m2/g以下とすることにより、シリカの分散が容易になり、加工性を良好にすることができる。ここで、本明細書におけるシリカのN2SAは、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
全シリカの含有量は、全ゴム成分100質量部に対して、15質量部以上であり、45質量部以上が好ましく、50質量部以上がより好ましい。全シリカの含有量が15質量部未満であると、ゴム強度が低下する傾向がある。また、全シリカの含有量は、全ゴム成分100質量部に対して、150質量部以下であり、120質量部以下が好ましく、110質量部以下がより好ましい。全シリカの含有量が150質量部を超えると、シリカのゴムへの分散が困難になり、ゴムの加工性が悪化する傾向がある。
また、マスターバッチ1におけるシリカの含有量は、マスターバッチ1に含まれるゴム成分100質量部に対して、15質量部以上が好ましく、45質量部以上がより好ましい。マスターバッチ1におけるシリカの含有量を15質量部以上とすることにより、良好なゴム強度を得ることができる傾向がある。また、マスターバッチ1におけるシリカの含有量は、マスターバッチ1に含まれるゴム成分100質量部に対して、150質量部未満が好ましく、120質量部未満がより好ましい。マスターバッチ1におけるシリカの含有量を150質量部未満とすることにより、良好なシリカの分散が得られ、ゴムの加工性を良好にすることができる傾向がある。
同様に、マスターバッチ2におけるシリカの含有量は、マスターバッチ2に含まれるゴム成分100質量部に対して、15質量部以上が好ましく、45質量部以上がより好ましい。マスターバッチ2におけるシリカの含有量を15質量部以上とすることにより、良好なゴム強度を得ることができる傾向がある。また、マスターバッチ2におけるシリカの含有量は、マスターバッチ2に含まれるゴム成分100質量部に対して、150質量部未満が好ましく、120質量部未満がより好ましい。マスターバッチ2におけるシリカの含有量を150質量部未満とすることにより、良好なシリカの分散が得られ、ゴムの加工性を良好にすることができる傾向がある。
本発明のゴム組成物は、上記材料以外に、必要に応じて、SBR1、SBR2およびハイシスBR以外のその他のゴム成分や、シランカップリング剤1およびシランカップリング剤2以外のその他のシランカップリング剤、カーボンブラック、クレーなどの充填剤、老化防止剤、プロセスオイルなどのオイル、ステアリン酸、酸化亜鉛、加硫剤、加硫促進剤、その他ゴム組成物の製造に一般的に用いられている各種材料を、通常使用される量含有することができる。
その他のゴム成分としては、たとえば、天然ゴム(NR)、ポリイソプレン合成ゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合ゴム(SIBR)などが挙げられる。
その他のシランカップリング剤としては、特に限定されるものではないが、ゴム工業において、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤を併用することができ、たとえば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィドなどがあげられ、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドを好適に使用できる。
その他のシランカップリング剤を1種以上用いる場合、ゴム組成物中のシランカップリング剤の合計含有量は、全シリカ100質量部に対して、2質量部以上が好ましく、4質量部以上がより好ましい。シランカップリング剤の合計含有量を2質量部以上とすることにより、転がり抵抗の増大を抑制できる傾向がある。また、シランカップリング剤の合計含有量は、全シリカ100質量部に対して、20質量部以下が好ましく、16質量部以下がより好ましい。シランカップリング剤の合計含有量を20質量部以下とすることにより、コストの増加に見合った効果を得ることができる傾向がある。
カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイトなどが挙げられ、これらのカーボンブラックは単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。なかでも、耐摩耗性を向上させることができる、カーボンブラックとゴムとの結合を強めるという理由から、ファーネスブラックが好ましい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、十分な補強性および耐摩耗性が得られる点から、80m2/g以上が好ましく、110m2/g以上がより好ましい。また、カーボンブラックのN2SAは、分散性に優れ、発熱しにくいという点から、200m2/g以下が好ましく、150m2/g以下がより好ましい。なお、N2SAは、JIS K 6217−2「ゴム用カーボンブラック−基本特性−第2部:比表面積の求め方−窒素吸着法−単点法」に準じて測定することができる。
カーボンブラックを含有する場合の全ゴム成分100質量部に対する含有量は、3質量部以上が好ましく、5質量部以上が好ましい。カーボンブラックの含有量を3質量部以上とすることにより、耐候性や着色に優れる傾向がある。また、カーボンブラックの全ゴム成分100質量部に対する含有量は、30質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。カーボンブラックの含有量を30質量部以下とすることにより、加工性が良好となり、発熱が抑えられ、耐摩耗性を向上することができる。
オイルとしては、特に限定されるものではないが、たとえば、プロセスオイル、植物油脂またはその混合物を用いることができる。プロセスオイルとしては、たとえば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどを用いることができる。植物油脂としては、ひまし油、綿実油、亜麻仁油、菜種油、大豆油、パーム油、ヤシ油、落花生油、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油などがあげられる。なかでも、プロセスオイル、特にアロマ系プロセスオイルを用いることが好ましい。
オイルを含有する場合の全ゴム成分100質量部に対する含有量は、3質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましい。オイルの含有量を3質量部以上とすることにより、加工特性が良好になる傾向がある。また、オイルの全ゴム成分100質量部に対する含有量は60質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましい。オイルの含有量を60質量部以下とすることにより、加工性の悪化、耐摩耗性の低下、老化物性の低下を防ぐ傾向がある。なお、本明細書において、オイルの含有量には、油展ゴムに含まれるオイル量も含まれる。
また、オイルは、マスターバッチ1および/またはマスターバッチ2に含有させることが好ましい。
本発明に用いられる老化防止剤としては、アミン系、フェノール系、イミダゾール系の各化合物や、カルバミン酸金属塩などの老化防止剤を適宜選択して配合することができ、これらの老化防止剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、耐オゾン性を顕著に改善できる、効果が長持ちするという理由からアミン系老化防止剤が好ましく、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンがより好ましい。
老化防止剤を含有する場合の全ゴム成分100質量部に対する含有量は、0.5質量部以上が好ましく、1.0質量部以上がより好ましく、1.2質量部以上がさらに好ましい。老化防止剤の含有量を0.5質量部以上とすることにより、十分な耐オゾン性を得ることができる傾向がある。また、老化防止剤の含有量は、8質量部以下が好ましく、4質量部以下がより好ましく、2.5質量部以下がさらに好ましい。老化防止剤の含有量を8質量部以下とすることにより、変色を抑制することができ、ブリードを抑制することができる傾向がある。
ワックス、ステアリン酸、酸化亜鉛はいずれも、ゴム工業において一般的に用いられるものを好適に用いることができる。
加硫剤は特に限定されるものではなく、ゴム工業において一般的なものを使用することができるが、硫黄原子を含むものが好ましく、粉末硫黄が特に好ましく用いられる。
加硫促進剤も特に限定されるものではなく、ゴム工業において一般的なものを使用することができる。
本発明のゴム組成物は、SBR1、シリカおよびシランカップリング剤2を含むマスターバッチ1と、SBR2、シリカおよびシランカップリング剤1を含むマスターバッチ2とを別々に用意し、それらをブレンドすることにより得られることを特徴とする。SBR1、シリカおよびシランカップリング剤2と、SBR2、シリカおよびシランカップリング剤1とを別々に混練りし、2種類のマスターバッチとすることにより、各SBRに対して、シリカとの反応性が良好となり、シリカとの分散性が改善され、良好な加硫速度、加工性、ウェットスキッド性能、操縦安定性を有し、低燃費性および耐摩耗性に優れたゴム組成物を提供することができる。以下、本発明のゴム組成物の製造方法について、例示的に説明するが、これら製造方法に限定されることを意図するものではない。
(工程1)
ゴム成分としてのSBR1、シリカ、シランカップリング剤2を必要に応じてオイルと共に混練りし、マスターバッチ1を得る。マスターバッチ1の混練方法は、特に限定されず、バンバリーミキサー、オープンロールなどの一般的なゴム工業で使用される混練機を使用することができる。
工程1における混練温度は、130℃以上が好ましく、140℃以上がより好ましく、150℃以上がさらに好ましい。混練温度を130℃以上にすることで、シランカップリング剤とシリカの反応を十分に進ませ、シリカを良好に分散させることができ、低燃費性および耐摩耗性を改善させやすくなる。また、工程1における混練温度は、180℃以下が好ましく、175℃以下がより好ましく、170℃以下がさらに好ましい。混練温度を180℃以下にすることで、ゴム焼けを防止し、スコーチ特性、加工特性が良好となる傾向がある。
工程1における混練時間は、特に限定されるものではないが、通常30秒以上であり、1〜30分間が好ましく、3〜6分間がより好ましい。また、ゴム温度130〜180℃の状態での混練時間を30〜120秒確保することが好ましい。
(工程2)
ゴム成分としてのSBR2、シリカ、シランカップリング剤1を必要に応じてオイルと共に混練りし、マスターバッチ2を得る。マスターバッチ2の混練方法は、特に限定されず、バンバリーミキサー、オープンロールなどの一般的なゴム工業で使用される混練機を使用することができる。
工程2における混練温度は、130℃以上が好ましく、140℃以上がより好ましく、150℃以上がさらに好ましい。混練温度を130℃以上にすることで、シランカップリング剤とシリカの反応を十分に進ませ、シリカを良好に分散させることができ、低燃費性および耐摩耗性を改善させやすくなる。また、工程2における混練温度は、180℃以下が好ましく、175℃以下がより好ましく、170℃以下がさらに好ましい。混練温度を180℃以下にすることで、ムーニー粘度の上昇を抑え、加工性を良好にすることができる傾向がある。
工程2における混練時間は、特に限定されるものではないが、通常30秒以上であり、1〜30分間が好ましく、3〜6分間がより好ましい。また、ゴム温度130〜170℃の状態での混練時間を30〜120秒確保することが好ましい。
本発明のゴム組成物の製造においては、工程1および2の混練工程には、ハイシスBRを加えることができる。ハイシスBRは、後述の工程3において加えることもできるが、ハイシスBRを均一に分散させる点から工程1および/または工程2に加えることが好ましい。なお、工程1および2は、その順序が特に制限されるものではなく、いずれを先に行ってもよい。
(工程3)
工程1において得られたマスターバッチ1と、工程2において得られたマスターバッチ2と、その他必要に応じて各種材料を合わせて混練りし、混練物を得る。カーボンブラック、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤およびワックスなどの材料は、工程1または工程2に加えるよりも、カップリング剤とシリカとの反応を阻害しないという点から工程3に加えることが好ましい。工程3の混練方法は、特に限定されず、バンバリーミキサー、オープンロールなどの一般的なゴム工業で使用される混練機を使用することができる。
(工程4)
工程3において得られた混練物に、加硫剤や加硫促進剤を、たとえばオープンロールなどゴム工業において一般的な方法で練り込み未加硫ゴム組成物を得、その後加硫する方法などにより本発明のゴム組成物を得ることができる。工程4における混練は、特に限定されず、バンバリーミキサーやニーダーなどを用いて行うことができる。
本発明のゴム組成物は、タイヤの各部材、たとえばトレッド、カーカス、サイドウォール、ビード等のタイヤ用途をはじめ、防振ゴム、ベルト、ホース、その他の工業製品等にも用いることができる。なかでも、本発明のゴム組成物は、低燃費性、ウェットスキッド性能、耐摩耗性およびハンドリング性能に優れることから、トレッドに好適に使用されるものであり、さらにトレッドがキャップトレッドとベーストレッドとからなる2層構造のトレッドである場合はキャップトレッドに好適に使用されるものである。
本発明のタイヤは、本発明のゴム組成物を用いて、通常の方法により製造することができる。すなわち、本発明のゴム組成物の未加硫段階でゴム組成物をタイヤのトレッドの形状に合わせて押出し加工し、タイヤ成形機上で他のタイヤ部材とともに貼り合せ、通常の方法にて成形することにより、未加硫タイヤを形成し、この未加硫タイヤを加硫機中で加熱および加圧することにより、本発明のタイヤを製造することができる。トレッドの形成は、シート状にしたものを、所定の形状に貼り合せる方法、または2本以上の押出機に挿入して押出し機のヘッド出口で2相に形成する方法によっても作成することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は、実施例のみに限定されるものではない。
以下、実施例および比較例において用いた各種薬品をまとめて示す。
SBR1:旭化成(株)製のアサプレン(登録商標)Y031(スチレン含量:26質量%、ブタジエン部におけるビニル結合量:63%)
SBR2:日本ゼオン(株)製のNipol(登録商標)NS522(スチレン含量:39質量%、ブタジエン部におけるビニル結合量:39%、ゴム固形分100質量部に対してオイル分37.5質量部含有)
ハイシスBR:宇部興産(株)製のBR150B(シス1,4−含有率97%)
シリカ:エボニック・デグザ(Evonik Degussa)社製のULTRASIL(登録商標)VN3(N2SA:175m2/g)
カップリング剤1:モメンティブ社製のY−19084(式(I)の化合物)
カップリング剤2:モメンティブ社製のNXT(3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン)
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラック(ISAF、N2SA:125m2/g)
オイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスAH−24(アロマ系プロセスオイル)
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛
ステアリン酸:日油(株)製の「椿」
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックN
硫黄:軽井沢硫黄(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(1,3−ジフェニルグアニジン)
実施例1〜4および比較例1〜2
<工程1>
表1および2の工程1に示す配合処方にしたがい、ゴム成分およびその他の材料を入れ、1.7Lのバンバリー型ミキサーを用いて、3分間混練りし、かつゴム温度150〜170℃の状態での混練時間を30秒確保して、マスターバッチ1(MB1)を得た。
<工程2>
表1および2の工程2に示す配合処方にしたがい、MB1またはゴム成分、およびその他の材料を入れ、1.7Lのバンバリー型ミキサーを用いて、3分間混練りし、かつゴム温度150〜170℃の状態での混練時間を30秒確保して、マスターバッチ2(MB2)を得た。
<工程3>
表1および2の工程3に示す配合処方にしたがい、マスターバッチおよびその他の材料を入れ、1.7Lのバンバリー型ミキサーを用いて、3分間混練りした混練物を得た。
<工程4>
工程3で得られた混練物と、表1および2の工程4に示す配合処方にしたがい、硫黄および加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて3分間練り込み、170℃で排出することにより未加硫ゴム組成物を得た。
得られた各未加硫ゴム組成物をそれぞれキャップトレッドの形状に成形し、他のタイヤ部材と共に貼り合せて170℃で15分間加硫することにより、試験用タイヤ(タイヤサイズ:195/65R15)を製造した。
得られた未加硫ゴム組成物、試験用タイヤについて、下記試験により、ムーニー粘度、スコーチタイム、転がり抵抗、ウェットスキッド性能、耐摩耗性、ハンドリング性能の評価を行った。それぞれの試験結果を表1および2に示す。
<ムーニー粘度>
各未加硫ゴム組成物を用いて、JIS K 6300「未加硫ゴム−物理特性−第1部:ムーニー粘度計による粘度及びスコーチタイムの求め方」に準じたムーニー粘度の測定方法にしたがい、130℃の温度条件にて、ムーニー粘度(ML1+4)を測定した。比較例1のムーニー粘度指数を100とし、下記計算式により各配合のムーニー粘度を指数表示した。指数が大きいほどムーニー粘度が低く、加工性に優れる。なお、90以上、好ましくは100以上を性能目標値とする。
(ムーニー粘度指数)=(比較例1のML1+4)/(各配合のML1+4)×100
<加硫速度:T95>
各未加硫ゴム組成物を用いて、JIS K 6300「未加硫ゴム−物理特性−第1部:ムーニー粘度計による粘度及びスコーチタイムの求め方」に準じて、160℃にて、95%加硫度に達する時間(スコーチタイム(分))を測定した。結果は比較例1を100として指数表示した。この値が大きい方がスコーチタイムが長く、加工性に優れていることを示す。
<転がり抵抗>
転がり抵抗試験機を用い、試験用タイヤを、リム(15×6JJ)、内圧(230kPa)、荷重(3.43kN)、速度(80km/h)で走行させたときの転がり抵抗を測定し、比較例1を100としたときの指数で表示した。指数が大きいほど転がり抵抗が小さく、低燃費性に優れることを示している。なお、103以上を性能目標値とする。
<ウェットスキッド性能>
湿潤アスファルト路面にて初速度100km/hからの制動距離を求めた。結果は指数で表し、指数が大きいほどウェットスキッド性能が良好であることを示す。指数は次の式で求めた。
(ウェットスキッド性能指数)=(比較例1の制動距離)/(各実施例または各比較例の制動距離)×100
<耐摩耗性>
試験タイヤを実車走行させ、30000km走行前後のパターン溝深さの変化を求めた。結果は指数で表し、比較例1を100とした。指数が大きいほど耐摩耗性が良好であることを示す。なお、103以上を性能目標値とする。
<操縦安定性>
試験タイヤを車輌(国産FF2000cc)の全輪に装着してテストコースを実車走行し、ドライバーの官能評価により操縦安定性を評価した。評価は10点を満点とし、比較例1を6.0点として相対評価を行った。評点が大きいほど操縦安定性に優れることを示す。
Figure 2016183218
Figure 2016183218
表1および2の結果より、SBR1、シリカおよびシランカップリング剤2を含むマスターバッチ1、ならびにSBR2、シリカおよびシランカップリング剤1を含むマスターバッチ2を使用することにより、良好な加硫速度、加工性、ウェットスキッド性能、操縦安定性(ハンドリング性能)を有し、低燃費性および耐摩耗性に優れたゴム組成物が得られることがわかる。

Claims (3)

  1. (a)スチレン含量が27質量%以下であり、ブタジエン部におけるビニル結合量が50%以上であるスチレンブタジエンゴム1(SBR1)、(b)スチレン含量が35質量%以上であり、ブタジエン部におけるビニル結合量が45%以下であるスチレンブタジエンゴム2(SBR2)、および(c)シス1,4結合含有率が90%以上のハイシスブタジエンゴムを含むゴム成分100質量部、
    シリカ15〜150質量部、
    式(I)で表されるシランカップリング剤1、ならびに
    3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン(シランカップリング剤2)
    を含むゴム組成物であって、SBR1、シリカおよびシランカップリング剤2を含むマスターバッチ1、ならびにSBR2、シリカおよびシランカップリング剤1を含むマスターバッチ2を用いて得られるゴム組成物。
    Figure 2016183218
  2. 前記ハイシスブタジエンゴムが、マスターバッチ1および/またはマスターバッチ2に含まれる請求項1記載のゴム組成物。
  3. 請求項1または2記載のゴム組成物により構成されたトレッドを有するタイヤ。
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