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JP2016178267A - 半導体発光素子 - Google Patents

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JP2016178267A
JP2016178267A JP2015059251A JP2015059251A JP2016178267A JP 2016178267 A JP2016178267 A JP 2016178267A JP 2015059251 A JP2015059251 A JP 2015059251A JP 2015059251 A JP2015059251 A JP 2015059251A JP 2016178267 A JP2016178267 A JP 2016178267A
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康之 柴田
Yasuyuki Shibata
康之 柴田
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Stanley Electric Co Ltd
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Abstract

【課題】広範囲に亘る発光波長帯域(スペクトル幅)を有する高い演色性かつ高い発光強度の半導体発光素子を提供する。
【解決手段】第1の導電型を有する第1の半導体層12と、第1の半導体層上に形成され発光層13を含む発光機能層と、発光機能層上に形成され第1の半導体層とは反対の導電型を有する第2の半導体層15とを有する半導体発光素子であって、発光層は、第1の半導体層から応力歪を受ける組成を有してランダムな網目状に区画された複数のベースセグメントBSを有するベース層BLと、ベース層上に形成された少なくとも1つの量子井戸層WA及び少なくとも1つの障壁層BAからなる量子井戸構造層QWとを有し、第1の半導体層は、相対的に不純物濃度が低い低濃度層と、低濃度層に対して相対的に不純物濃度が高い高濃度層とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、発光ダイオード(LED)などの半導体発光素子に関する。
半導体発光素子は、通常、成長用基板上に、n型半導体層、活性層及びp型半導体層からなる半導体構造層を成長し、それぞれn型半導体層及びp型半導体層に電圧を印加するn電極及びp電極を形成して作製される。
特許文献1には、伝導性サブマウント基板上に金属層によって接合された第1発光部と、伝導性サブマウント基板の上面の一領域に形成された第2発光部とを含む白色発光素子が開示されている。特許文献2には、n型層と活性層の間に配置されたAlN凹凸層を備え、活性層がAlN凹凸層の形状に基づいて凹凸に形成されているGaN系半導体発光素子が開示されている。
特開2006-339646号公報 特開2005-093682号公報
半導体発光素子は、電極から素子内に注入された電子と正孔(ホール)とが活性層において結合(再結合)することによって発光する。活性層から放出される光の波長(すなわち発光色)は、活性層を構成する半導体材料のバンドギャップによって決まる。例えば、窒化物系半導体を用いた発光素子の場合、その活性層からは青色の光が放出される。
一方、例えば照明用途など、光源に演色性が求められる場合がある。高い演色性を有する光源は自然光に近い光を発する光源である。高い演色性を得るためには、光源から可視域のほぼ全域の波長を有する光が取出されることが好ましい。例えば、演色性の高い光源から取出された光は白色光として観察される。
これに対し、上記特許文献に記載されるように、半導体発光素子を用いて白色光を得る様々な手法が提案されている。例えば異なる組成を有する複数の活性層を積層することで、蛍光体を用いずに発光波長の広帯域化を図る手法が提案されている。また、活性層とn型半導体層との間に凹凸構造を有する層を挿入することで、活性層内でのバンドギャップを不均一にし、発光波長を広帯域化することが提案されている。
しかし、これらの手法によって発光装置を作製する場合、各発光色の均一化や製造工程の複雑化、発光強度の点で課題があった。その一例としては、半導体層の形成工程の追加、半導体層の加工工程の追加及び半導体層の結晶性の劣化などが挙げられる。
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、広範囲に亘る発光波長帯域(スペクトル幅)を有する高い演色性かつ高い発光強度の半導体発光素子を提供することを目的としている。
本発明による半導体発光素子は、第1の導電型を有する第1の半導体層と、第1の半導体層上に形成され、発光層を含む発光機能層と、発光機能層上に形成され、第1の半導体層とは反対の導電型を有する第2の半導体層と、を有する半導体発光素子であって、発光層は、第1の半導体層から応力歪を受ける組成を有してランダムな網目状に区画された複数のベースセグメントを有するベース層と、ベース層上に形成された少なくとも1つの量子井戸層及び少なくとも1つの障壁層からなる量子井戸構造層と、を有し、第1の半導体層は、相対的に不純物濃度が低い低濃度層と低濃度層に対して相対的に不純物濃度が高い高濃度層とを有することを特徴としている。
(a)は実施例1に係る半導体発光素子の構造を示す断面図であり、(b)は発光層のベース層を模式的に示す上面図である。 実施例1に係る半導体発光素子における半導体構造層の構造を示す断面図でありる。 実施例1の変形例に係る半導体発光素子の構造を示す断面図である。 (a)は、実施例2に係る半導体発光素子の構造を示す断面図であり、(b)は、実施例2に係る半導体発光素子の発光スペクトルを示す図である。 実施例2の変形例に係る半導体発光素子の構造を示す断面図である。
以下に本発明の実施例について詳細に説明する。本明細書においては、同一の構成要素に同一の参照符号を付している。
図1(a)は、実施例1の半導体発光素子(以下、単に発光素子又は素子と称する場合がある)10の構造を示す断面図である。半導体発光素子10は、搭載基板(以下、単に基板と称する場合がある)11上に半導体構造層SSが形成された構造を有している。半導体構造層SSは、搭載基板11上に形成されたn型半導体層(第1の半導体層)12、n型半導体層12上に形成された発光機能層13、発光機能層13上に形成された電子ブロック層14、電子ブロック層14上に形成されたp型半導体層(第2の半導体層、第1の半導体層12とは反対の導電型を有する半導体層)15を含む。
本実施例においては、搭載基板11は、例えば半導体構造層SSの成長に用いる成長用基板であり、例えばサファイアからなる。また、半導体構造層SSは、窒化物系半導体からなる。半導体発光素子10は、例えば、サファイア基板のC面を結晶成長面とし、サファイア基板上に有機金属気相成長法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:MOCVD法)を用いて半導体構造層SSを成長することによって、作製することができる。なお、図示していないが、発光素子10は、n型半導体層12及びp型半導体層15にそれぞれ電圧を印加するn電極及びp電極を有している。
なお、本実施例においては、発光素子10が搭載基板11としての成長用基板上に半導体構造層SSが形成された構造を有する場合について説明するが、搭載基板11は成長用基板である場合に限定されるものではない。例えば、半導体発光素子10は、成長用基板上に半導体構造層SSを成長した後、半導体構造層SSを他の基板(支持基板)に貼り合わせ、成長用基板を除去した構造を有していてもよい。この場合、当該貼り合わせた他の基板はp型半導体層15上に設けられる。当該貼り合わせ用の基板としては、例えばSi、AlN、Mo、W、CuWなどの放熱性の高い材料を用いることができる。
なお、図示していないが、搭載基板11とn型半導体層12との間にバッファ層(下地層)が設けられていてもよい。当該バッファ層は、例えば、成長用基板と半導体構造層SSとの界面及び半導体構造層SS内の各層の界面に生じ得る歪の緩和を目的として設けられる。本実施例においては、サファイア基板(搭載基板11)上にバッファ層としてアンドープのGaN層を成長した後、n型半導体層12を積層した。
n型半導体層12は、例えば、n型ドーパント(例えばSi)を含むGaN層からなる。また、n型半導体層12は、高濃度のn型ドーパント(不純物)を有するn+GaN層(高濃度層)12Aとn+GaN層12Aよりも低濃度のn型ドーパントを有するn−GaN層(低濃度層)12Bとを含む。電子ブロック層14は、例えばAlGaN層からなる。p型半導体層15は、例えば、p型ドーパント(例えばMg)を含むGaN層からなる。また、電子ブロック層14は、p型ドーパントを含んでいてもよい。また、p型半導体層15は、電子ブロック層14との界面とは反対側の主面にコンタクト層を有していてもよい。
なお、発光機能層13は複数の発光層を有していてもよいが、本実施例においては、発光機能層13が1つの発光層からなる場合について説明する。発光層13は、n型半導体層12上に形成され、量子井戸(QW)構造を有している。
発光層13は、n型半導体層12とは異なる組成を有するベース層BLを有している。ベース層BLは、n型半導体層12から応力を受けてランダムな網目状に形成された溝GRを有している。すなわち、溝GRは、n型半導体層12とベース層BLとの間の異なる組成によってベース層BLに生じた応力歪によって生じた複数の溝部が結合したメッシュ形状として形成されている。なお、ベース層BLに生じた応力歪とは、n型半導体層12とベース層BLとの間の格子定数の差によって、ベース層BLの結晶構造が歪むことをいう。
また、発光層13は、ベース層BL上に形成された量子井戸層WA及び障壁層BAからなる量子井戸構造層QWを有している。量子井戸層WAはベース層BL上に形成され、障壁層BAは量子井戸層WA上に形成されている。なお、ベース層BLは、量子井戸層WAに対して障壁層として機能する。
ここで、図1(b)を参照して、ベース層BLについて説明する。図1(b)は、ベース層BLの上面を模式的に示す図である。また、ベース層BLは、溝GRによって区画され、かつランダムなサイズで形成された多数の微細なベースセグメントBSを有している。ベースセグメントBSの各々は、ベース層BLにおいて、ベース層がn型半導体層12によって応力歪を受けることによって、ランダムな網目状に区画されている。
溝GRは、互いにランダムにかつ異なる長さ及び形状の溝部から構成されている。溝GRは、ベース層BLの表面において網目状(メッシュ状)に張り巡らされるように形成されている。ベースセグメントBSの各々は、この溝GRによってベース層BL内にランダムに区画形成された部分(セグメント)である。なお、ベースセグメントBSの各々は、略円形や略楕円形、多角形状など、様々な上面形状を有している。
図1(a)に示すように、溝GRは、例えばV字形状を有し、ライン状の底部BPを有している。本実施例においては、ベースセグメントBSの各々は、溝GRにおける底部BPをその端部とする。ベースセグメントBSの各々は、底部BPにおいて他のベースセグメントBSに隣接している。
また、ベース層BLは、ベースセグメントBSの各々に対応する平坦部FLを有している。ベース層BLの表面は、平坦部FLと溝GRの内壁面によって構成されている。平坦部FLの各々は、溝GRによってベースセグメントBS毎に区画されている。ベースセグメントBSは、平坦部FLからなる上面と溝GRの内壁面からなる側面とを有している。
すなわち、平坦部FLはベースセグメントBSの各々における上面を構成し、溝GRの内壁面はベースセグメントBSの側面を構成する。従って、ベースセグメントBSの各々は、傾斜した側面を有し、またその断面において例えば略台形の形状を有している。
発光層13は、ベース層BL上に形成された量子井戸層WAを有している。量子井戸層WAは、溝GRを埋め込んで形成されている。また、量子井戸層WAは、その上面が平坦面(以下、第1の平坦面と称する)FS1として形成されている。量子井戸層WAは、ベース層BLとの界面(下面)においては溝GRに対応する凹凸形状を有する一方で、上面においては平坦形状を有している。量子井戸層WAは、図1(a)に示すように、ベース層BLを埋め込んで平坦化された第1の平坦面FS1を有している。量子井戸層WAは、歪み量子井戸層として形成されている。
また、発光層13は、量子井戸層WA上に形成された障壁層BAを有している。障壁層BAは、その両主面が平坦面として形成されている。具体的には、障壁層BAは、量子井戸層WAの第1の平坦面FS1上に形成され、上面が平坦面(以下、第2の平坦面と称する)FS2として形成されている。
図2は、半導体構造層SSの構造を示す断面図である。図2は、図1(a)の破線で囲まれた部分を拡大して示す部分拡大断面図である。図2を用いて、まず、発光層13についてより詳細に説明する。ベース層BLは、例えばAlGaN又はAlNの組成を有している。ベース層BLにおけるベースセグメントBSは、ベース層BLとしてのAlGaN層又はAlN層を、成長温度を比較的低温でn型半導体層12としてのGaN層上に成長することで形成することができる。
まず、n型半導体層12上に、これとは異なる結晶組成のベース層BLを成長した場合、ベース層BLには応力(歪)が生ずる。例えばn型半導体層12としてのGaN層にベース層としてノンドープのAlGaN層を成長する場合、AlGaN層にはGaN層によって伸張歪が生ずる。従って、AlGaN層にはその成長時に引張応力が生ずる。従って、AlGaN層の成長開始時又は成長途中でAlGaN層に溝が生じ、これ以降は、AlGaN層は3次元的に成長する。すなわち、AlGaN層は立体的に成長し、複数の微細な凹凸が形成される。この溝の形成開始点が溝GRの底部BPとなる。
さらに、GaN層上に低温でAlGaN層を成長する場合、AlGaN層における3次元的な成長が促進される。従って、AlGaN層の表面に無数の溝が互いに結合しながら形成され(溝GR)、これによってAlGaN層の表面が粒状の複数のセグメントに区画されていく。このようにしてベースセグメントBSを有するベース層BLを形成することができる。なお、本実施例においては、1100℃の成長温度でベース層BLとしてのAlGaN層を形成した。
このベース層BL上に量子井戸層WAとしてのInGaN層を形成すると、量子井戸層WAは歪み量子井戸層として形成される。また、量子井戸層WA内におけるInの含有量に分布が生ずる。すなわち、量子井戸層WAのうち、例えば平坦部FL上の領域と溝GR上の領域とでIn組成が異なるように形成される。また、ベースセグメントBSの上面上と側面上とでは量子井戸層WAの層厚が異なる。従って、量子井戸層WAの層内においてはバンドギャップが一定ではない。このようにして微細な島状の凹凸を有する発光層13からは、様々な色の光が放出されることとなる。
また、ベースセグメントBSのサイズが小さくなるほど、ベース層BL内におけるInの取り込み量が増加し、発光波長は長波長側にシフトしていく。さらに、ベース層BLであるAlGaN層上に量子井戸層WAであるInGaN層を形成する場合、InGaN層はAlGaN層によって圧縮歪を受ける。InGaN層が圧縮歪を受けると、井戸層WA内にInが取り込まれ易くなる。これによって、InGaN層におけるバンドギャップ、すなわち量子準位間のエネルギーは小さくなる。量子井戸層WAからは、より長波長側の発光波長を有する光が放出される。
次に、n型半導体層12について説明する。n型半導体層12は、低濃度層12Bと、低濃度層12Bよりもベース層BLに近い側に形成された高濃度層12Aとからなる。高濃度層12Aは低濃度層12Bよりも高い不純物濃度を有する。n型半導体層12は、n型ドーパントとしてSiを有している。また、高濃度層12Aは、ベース層BL(発光(機能)層13)に接して形成されている。高濃度層12Aは、量子井戸層WAに応力歪を与える不純物濃度を有する歪生成層として機能する。すなわち、高濃度層12AのSi濃度は、量子井戸層WAに応力歪を与える濃度である。
より具体的には、量子井戸層WAは、ベース層BLと、高濃度層12Aとによって応力歪を受ける。具体的には、量子井戸層WAとしてのInGaN層は、高濃度層12AとしてのSiを含むGaN層と、ベース層BLとしてのAlGaN層との両方から圧縮歪を受ける。従って、ベース層BLだけでなく高濃度層12Aを用いて量子井戸層WAの波長を調節することが可能となる。例えば本実施例においては、高濃度層12Aがない場合に比べて長波長化された光が放出される。
なお、高濃度層12Aは、比較的大きな層厚で形成しても発光層13の結晶性への影響が小さい。従って、高濃度層12Aによって、高い自由度でその層厚、すなわち量子井戸層WAに与える歪の大きさを調節することができる。さらに、大きく量子井戸層WAを歪ませるように高濃度層12Aを調節した場合でも発光強度への影響が少ない(発光強度が低下しにくい)。従って、n型半導体層12が歪生成層としての高濃度層12Aを有することによって、高い発光強度を有する高演色性の発光を得ることが可能となる。
なお、本実施例においては高濃度層12A(歪生成層)がベース層BLに接して形成されており、高濃度層12A上にベース層BLが生成されている場合について説明した。しかし、n型半導体層12が高濃度層12Aを有していれば、n型半導体層12内のいずれの位置に高濃度層12Aが形成されていてもよい。また、n型半導体層12が2つの層からなる場合について説明したが、n型半導体層12は3つ以上の層から構成されていてもよい。例えば、n型半導体層12が低濃度層12B、高濃度層12A及びその中間の不純物濃度を有する中濃度層からなっていてもよい。なお、長波長化を考慮すると、高濃度層12Aはベース層BLに近い位置に形成されていることが好ましい。
なお、本実施例においては、高濃度層12AのSi濃度を8×1018atom/cm3から5×1019atom/cm3の範囲内で調整した。また、高濃度層12の層厚は100nmから300nmの範囲内で調整した。また、本実施例においては、高濃度層12Aが低濃度層12Bの2倍以上の不純物濃度を有するようにn型半導体層12を調整した。
なお、本実施例においてはベース層BLが平坦部FL及び溝GRからなる場合について説明したが、ベース層BLの表面形状はこの場合に限定されない。例えば、ベースセグメントBSの上面が曲面形状を有していてもよい。
なお、本実施例においては、量子井戸構造層QWが1つの量子井戸層WA及び1つの障壁層BAからなる構造を有する場合について説明したが、この場合に限定されない。すなわち、量子井戸構造層QWは複数の量子井戸層WA及び複数の障壁層BAから構成されていてもよい。すなわち、量子井戸構造層QWは単一量子井戸(SQW)構造を有していてもよいし、多重量子井戸(MQW)構造を有していてもよい。すなわち、量子井戸構造層QWは、ベース層BL上に形成された少なくとも1つの量子井戸層WA及び少なくとも1つの障壁層BAから構成されていればよい。
図3は、実施例1の変形例に係る半導体発光素子10Aの構造を示す断面図である。半導体発光素子10Aは、発光層13Aの構造を除いては半導体発光素子10と同様の構造を有している。
実施例1で示した半導体発光素子10においては、発光層13の上面は完全に平坦化されている。より具体的には、量子井戸層WA及び障壁層BAがベース層BLの溝GRを完全に埋め込んで形成されており、量子井戸層WA及び障壁層BAの上面がそれぞれ第1及び第2の平坦面FS1及びFS2として形成されている。一方、図3に示すように、本変形例の半導体発光素子10Aにおいては、発光層13Aの上面は、ベース層BLの溝GR1を引き継いだ溝GR2を有している。すなわち、発光層13Aの上面における平坦部FL1の直上に相当する領域は平坦部FL2として形成されており、溝GR1の直上に対応する位置には凹部(溝GR2)が形成されている。
本変形例においては、量子井戸層WA及び障壁層BAがベースセグメントBSを完全には埋め込んでいない。しかし、このような凹凸構造の上面を有する量子井戸層WAに対しても、高濃度層12Aは、有効に歪みを与えることができる。すなわち、量子井戸層WA及び障壁層BAは、ベース層BL上に形成されていればよい。
図4(a)は、実施例2に係る半導体発光素子30の構造を示す断面図である。発光素子30は、発光機能層(発光層)33の構造を除いては、発光素子10と同様の構成を有している。発光機能層33は、n型半導体層12と発光層(第1の発光層)13との間に、少なくとも1つ(本実施例においては2つ)の一様に平坦な量子井戸層WBと少なくとも1つ(本実施例においては2つ)の障壁層BBとからなり、これらがそれぞれ交互に積層された量子井戸構造を有する発光層(第2の発光層)33Aを有している。
本実施例においては、発光層33Aは、n型半導体層12上に、2つの量子井戸層WBの各々が3つの障壁層BBの各々によって挟まれた多重量子井戸(MQW)構造を有している。最もp型半導体層15側に位置する障壁層BB上には発光層13(ベース層B1)が形成されている。量子井戸層WBの各々は、例えば、量子井戸層WAと同一の組成、例えばInGaNの組成を有している。障壁層BBの各々は、障壁層BAと同一の組成、例えばGaNの組成を有している。障壁層BBのうち、最も発光層13側に位置する障壁層BBは、n型半導体層12と同一の組成を有している。
本実施例においては、実施例1の発光素子10における発光層13のn型半導体層12側に量子井戸構造の第2の発光層33Aが追加された構成となる。従って、実施例1に比べて、純粋な青色領域に発光波長のピークを有する光を追加で放出させることが可能となる。本実施例は、例えば青色領域の光の強度を大きくしたい場合に有利な構成となる。すなわち、本実施例においては、発光機能層33は、n型半導体層12と発光層13との間に、発光層13よりも短波長で発光する量子井戸層WBを有している。
また、本実施例においても、n型半導体層12の高濃度層12Aは、発光層13の量子井戸層WAに応力歪を与える不純物濃度を有している。さらに、本実施例においては、高濃度層12Aは、発光層33Aの量子井戸層WBにも歪を与える機能を有している。従って、発光層13及び33Aからの放出光の長波長化を、発光強度の低下を抑制しつつ行うことができる。
図4(b)は、発光素子30の発光スペクトルを示す図である。図の横軸は波長を示し、縦軸は発光強度を示している。なお、発光素子30の発光スペクトルを評価するために、比較例として、高濃度層12Aを有しない点を除いては発光素子30と同様の構造を有する発光素子100を作製した。図4(b)は、発光素子30及び100の発光スペクトルの比較結果をそれぞれ実線及び破線で示す。図4(b)に示すように、発光素子30及び100は、共に2つの発光強度のピークを有している。両者とも、その短波長側のピークは発光層33Aからの放出光によるものであり、長波長側のピークは発光層13からの放出光によるものであると考えられる。
発光素子30は、発光素子100に比べて、2つのピークが長波長側にシフトしているのがわかる。これは、高濃度層12Aによって量子井戸層WA及びWBに歪を与えていることが要因であると考えられる。また、発光素子30における長波長側のピークは、発光素子100の長波長側のピークよりも、その強度が大きいことがわかる。これは、発光強度が大きい状態を維持しつつ発光波長を長波長化できていることを示している。このように、本実施例においては、発光強度を犠牲にすることなく発光波長を長波長化することができた。
図5は、実施例2の変形例に係る発光素子30Aの構造を示す断面図である。発光素子30Aは、発光機能層(発光層)33Mの構造を除いては、発光素子10と同様の構成を有している。発光機能層33Mは、発光層(第1の発光層)13とp型半導体層15との間に、少なくとも1つ(本変形例においては2つ)の一様に平坦な量子井戸層WBと少なくとも1つ(本実施例においては2つ)の障壁層BBとからなり、これらがそれぞれ交互に積層された量子井戸構造を有する発光層(第2の発光層)33Bを有している。
本実施例においては、発光層33Bは、発光層13上(障壁層BA上)に、2つの量子井戸層WBの各々が3つの障壁層BBの各々によって挟まれた多重量子井戸(MQW)構造を有している。量子井戸層WBの各々は、例えば、量子井戸層WAと同一の組成、例えばInGaNの組成を有している。障壁層BBの各々は、障壁層BAと同一の組成、例えばGaNの組成を有している。障壁層BBのうち、最も発光層13側に位置する障壁層BBは、n型半導体層12と同一の組成を有している。
本実施例においては、実施例1の発光素子10における発光層13のp型半導体層15側に量子井戸構造の第2の発光層33Bが追加された構成となる。従って、実施例1に比べて、純粋な青色領域に発光波長のピークを有する光を追加で放出させることが可能となる。本実施例は、例えば青色領域の光の強度を大きくしたい場合に有利な構成となる。なお、本変形例においては、実施例2に比べて、青色領域の光の強度がより大きくなると考えられる。すなわち、本変形例においては、発光機能層33Mは、発光層13とp型半導体層15との間に、発光層13よりも短波長で発光する量子井戸層WBを有している。
なお、本実施例においては、発光機能層(発光層)13、13A及び33とp型半導体層15との間に電子ブロック層14を形成する場合について説明したが、電子ブロック層14を設ける場合に限定されるものではない。例えば発光機能層13上にp型半導体層15が形成されていてもよい。なお、電子ブロック層14は、n型半導体層12、発光機能層13及びp型半導体層15よりも大きなバンドギャップを有している。従って、電子が発光機能層13を越えてp型半導体層15側にオーバーフローすることを抑制することが可能となる。従って、大電流駆動時及び高温動作時においては電子ブロック層14を設けることが好ましい。
なお、実施例1、実施例2及び変形例は、互いに組み合わせることが可能である。例えば発光層13、発光層33A及び発光層33Bからなる発光機能層を形成することができる。また、発光層13を複数層積層することも可能である。
本実施例及びその変形例においては、発光層13は、n型半導体層12から応力歪を受ける組成を有してランダムな網目状に形成された複数のベースセグメントBSを有するベース層BLと、ベース層BLを埋め込んで形成された少なくとも1つの量子井戸層WA及び少なくとも1つの障壁層BAからなる量子井戸構造層とを有し、n型半導体層12は、量子井戸層WAに応力歪を与える不純物濃度を有する歪生成層12Aを含む。従って、可視域の広範囲に亘って高い発光強度を有する光を放出することが可能な発光素子を提供することが可能となる。
なお、本実施例においては、第1の導電型がn型の導電型であり、第2の導電型がp型である場合について説明したが、第1の導電型がp型であり、第2の導電型がn型であってもよい。
10、30、30A 半導体発光素子
12 n型半導体層(第1の半導体層)
12A 高濃度層(歪生成層)
13、33、33M、33A 発光機能層(発光層)
WA、WB 量子井戸層
14 電子ブロック層
15 p型半導体層(第2の半導体層)
BL ベース層
BS ベースセグメント
GR 溝

Claims (6)

  1. 第1の導電型を有する第1の半導体層と、前記第1の半導体層上に形成され、発光層を含む発光機能層と、前記発光機能層上に形成され、前記第1の半導体層とは反対の導電型を有する第2の半導体層と、を有する半導体発光素子であって、
    前記発光層は、前記第1の半導体層から応力歪を受ける組成を有してランダムな網目状に区画された複数のベースセグメントを有するベース層と、前記ベース層上に形成された少なくとも1つの量子井戸層及び少なくとも1つの障壁層からなる量子井戸構造層と、を有し、
    前記第1の半導体層は、相対的に不純物濃度が低い低濃度層と前記低濃度層に対して相対的に不純物濃度が高い高濃度層とを有することを特徴とする半導体発光素子。
  2. 前記高濃度層は、前記ベース層に接して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
  3. 前記第1の半導体層はGaNの組成を有し、前記ベース層はAlGaNの組成を有し、前記少なくとも1つの量子井戸層の各々はInGaNの組成を有し、
    前記第1の半導体層は、Siをドーパントとして有することを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体発光素子。
  4. 前記発光機能層は、前記第1の半導体層と前記発光層との間に、前記発光層よりも短波長で発光する量子井戸層を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の半導体発光素子。
  5. 前記発光機能層は、前記発光層と前記第2の半導体層との間に、前記発光層よりも短波長で発光する量子井戸層を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の半導体発光素子。
  6. 前記高濃度層は、前記低濃度層の2倍以上の不純物濃度を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の半導体発光素子。
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