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JP2016168739A - 液体吐出装置 - Google Patents

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JP2016168739A
JP2016168739A JP2015049849A JP2015049849A JP2016168739A JP 2016168739 A JP2016168739 A JP 2016168739A JP 2015049849 A JP2015049849 A JP 2015049849A JP 2015049849 A JP2015049849 A JP 2015049849A JP 2016168739 A JP2016168739 A JP 2016168739A
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坪田 真一
Shinichi Tsubota
真一 坪田
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Abstract

【課題】液体吐出ヘッドが設置される内部空間の乾燥を抑制する。【解決手段】印刷装置は、内部空間Rを形成する筐体部と、内部空間Rを通過するように媒体Mを搬送する搬送機構と、内部空間Rに設置されて媒体Mにインクを吐出する液体吐出ヘッドと、内部空間Rからみて媒体Mの搬送方向の下流側に設置され、加湿された気体G2を媒体Mに噴射することで内部空間Rに当該気体G2を供給する第2給気機構62とを具備する。【選択図】図3

Description

本発明は、インク等の液体を媒体に吐出する技術に関する。
印刷用紙等の媒体に対して複数のノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドを筐体部の内部の空間(以下「内部空間」という)に設置した液体吐出装置が従来から提案されている(例えば特許文献1)。
特開2013−151110号公報
液体吐出ヘッドが設置された内部空間が乾燥すると、例えば水分蒸発等に起因して液体がノズルの内部で増粘し、結果的に適切な液体の吐出が阻害される可能性がある。例えば国際標準規格のA2以上のサイズの大判印刷が可能な大型の印刷装置において、特許文献1に開示されるように内部空間から排出された媒体の加熱により当該媒体の表面のインクを迅速に乾燥させる構成では、加熱機構により加熱された外気が内部空間に進入し得るから、内部空間の乾燥の問題は格別に顕著となる。以上の事情を考慮して、本発明は、液体吐出ヘッドが設置される内部空間の乾燥を抑制することを目的とする。
以上の課題を解決するために、本発明に係る液体吐出装置は、内部空間を形成する筐体部と、内部空間を通過するように媒体を搬送する搬送機構と、内部空間に設置されて媒体に液体を吐出する液体吐出ヘッドと、内部空間からみて媒体の搬送方向の上流側または下流側に設置され、媒体に加湿気体を噴射することで内部空間に当該加湿気体を供給する給気機構とを具備する。以上の構成では、給気機構が媒体に加湿気体を噴射することで内部空間に加湿気体が供給されるから、液体吐出ヘッドが設置される内部空間の乾燥を抑制することが可能である。また、内部空間からみて媒体の搬送方向の上流側または下流側の給気機構から媒体に加湿気体が噴射されるから、内部空間に対する外気の進入を抑制できるという利点もある。
本発明の好適な態様において、給気機構は、媒体の搬送方向に交差する方向に長尺な噴射口から加湿気体を噴射する。以上の態様では、媒体の搬送方向に交差する方向に長尺な形状に噴射口が形成されるから、噴射口から噴射される気体により層状の気流が形成される。したがって、内部空間に対する外気の進入を抑制するという前述の効果は格別に顕著である。
本発明の好適な態様に係る液体吐出装置は、前述の給気機構(以下では便宜的に「第2給気機構」と表記する)が加湿気体を噴射する噴射口(以下では便宜的に「第2噴射口」と表記する)からみて内部空間とは反対側の第1噴射口から媒体に気体を噴射する第1給気機構を具備する。以上の構成では、第1噴射口および第2噴射口の双方から気体が噴射されるから、第2噴射口のみから気体を噴射する構成と比較して、内部空間に対する外気の進入を抑制するという前述の効果は格別に顕著である。
第1給気機構および第2給気機構を具備する態様の好適例において、第2給気機構が第2噴射口から噴射する気体の流速は、第1給気機構が第1噴射口から噴射する気体の流速を下回る。以上の態様では、第2噴射口からの気体の流速が第1噴射口からの気体の流速を下回るから、第2噴射口の気流から第1噴射口の気流に向かう圧力が発生する。したがって、内部空間に対する加湿気体の過剰な供給が抑制されるという利点がある。
第1給気機構および第2給気機構を具備する態様の好適例に係る印刷装置は、第1給気機構が噴射する気体および第2給気機構が噴射する気体の少なくとも一方の流速を制御する制御部を具備する。以上の態様では、第1噴射口から噴射される気体および第2噴射口から噴射される気体の少なくとも一方の流速が制御されるから、第2噴射口の気流から第1噴射口の気流に向かう圧力(ひいては内部空間に対する加湿気体の進入量)を調整できるという利点がある。さらに好適な態様では、内部空間の湿度を検出する湿度検出部が設置され、制御部は、湿度検出部が検出した湿度に応じて、第1給気機構が噴射する気体および第2給気機構が噴射する気体の少なくとも一方の流速を制御する。以上の態様では、内部空間に対する加湿気体の進入量が内部空間の湿度に応じて調整されるから、内部空間を適切な湿度に維持できるという利点がある。
内部空間の外側に設置された加熱機構により媒体を加熱する構成では、加熱機構により加熱された外気が内部空間に進入し得るから、内部空間の乾燥は特に発生し易い。したがって、内部空間に対する外気の進入を抑制し得る前述の各態様は格別に有効である。
本発明の好適な態様において、第1給気機構は、内部空間からみて媒体の搬送方向の下流側に設置され、鉛直方向の下向きに対して媒体の搬送方向の下流側に傾斜した方向に気体を噴射する。以上の態様では、鉛直方向の下向きに対して下流側に傾斜した方向に第1噴射口から気体が噴射される。したがって、媒体Mの表面に対する気体の衝突に起因した乱流の発生を抑制できるという利点がある。
第1実施形態に係る印刷装置の外観図である。 印刷装置の断面図である。 気体噴射機構の説明図である。 気体噴射機構の噴射口の説明図である。 第1実施形態の効果(色ムラの低減)の説明図である。 第2実施形態における気体噴射機構の説明図である。 第3実施形態における気体噴射機構の説明図である。 第4実施形態における気体噴射機構の説明図である。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る印刷システムの構成図である。図1に例示される通り、第1実施形態の印刷システムは、印刷装置100と制御装置(ホストコンピュータ)200とを具備する。制御装置200は、例えばパーソナルコンピュータで実現され、印刷装置100に対する指令や印刷すべき画像の画像データを印刷装置100に送信する。
第1実施形態の印刷装置100は、液体の例示であるインクを媒体Mに吐出することで媒体Mの表面に画像を印刷する液体吐出装置である。媒体Mは、インクの吐出対象となる印刷用紙やフィルム等の記録媒体である。第1実施形態の印刷装置100は、国際標準規格のA2以上の大判サイズ(例えば128インチ程度の紙幅)の媒体Mに対する印刷が可能な印刷装置(LFP:Large Format Printer)であり、図1に例示される通り、本体部12と脚部14とを具備する。本体部12は、媒体Mの幅方向に相当するX方向に長尺な構造体である。本体部12には、相異なる種類のインクを貯留する複数の液体容器(カートリッジ)16が装着される。脚部14は、本体部12を所定の高さに支持する。脚部14の底面には運搬用の車輪142が設置される。なお、以下の説明では、鉛直方向(上下方向)をZ方向と表記し、X-Z平面に垂直な方向(印刷装置100の前後方向)をY方向と表記する。
図2は、本体部12の断面図(Y-Z平面に平行な断面)である。図2に例示される通り、第1実施形態の本体部12は、支持体22と筐体部24とを具備する。前述の脚部14は支持体22に固定され、筐体部24は、支持体22に軸支されて開閉可能である。
支持体22は、平面状の上面(以下「搬送面」という)224で媒体Mを支持する。筐体部24は、本体部12の内部の空間(以下「内部空間」という)Rを形成する構造体であり、支持体22の搬送面224(いわゆるプラテン)の上方の空間を包囲する。具体的には、筐体部24は、支持体22の搬送面224に間隔をあけて対向する頂面部242と、頂面部242のうちY方向の正側の周縁からZ方向の正側(鉛直方向の下向き)に突起する前面部244と、頂面部242のうちY方向の負側の周縁からZ方向の正側に突起する背面部246とを包含する。図2に例示される通り、背面部246の底面と支持体22の搬送面224との間隙は、内部空間Rに媒体Mを供給するための供給口QAであり、前面部244の底面と支持体22の搬送面224との間隙は、内部空間Rから媒体Mを排出するための排出口QBである。すなわち、第1実施形態の内部空間Rは、供給口QAおよび排出口QBを介して本体部12の外側の空間と連通する。
図2に例示される通り、支持体22の搬送面224には吸引機構32と搬送機構34とが設置される。吸引機構32は、内部空間Rの気体(空気)を吸引することで媒体Mを搬送面224に密着させる。すなわち、媒体Mのカール等の変形が吸引機構32により低減される。また、吸引機構32による吸引で内部空間Rは減圧される。
搬送機構34は、媒体Mを搬送面224に沿ってY方向(搬送方向)に搬送する。第1実施形態の搬送機構34は、回転軸がX方向に平行な2本の搬送ローラー342と、各搬送ローラー342を回転させるモーター等の駆動機構344とを具備する。図2に例示される通り、支持体22の搬送面224の面上に位置する媒体Mは、2本の搬送ローラー342の間に挟持され、各搬送ローラー342の回転とともにY方向に移動する。以上の説明から理解される通り、搬送機構34の上流側に位置する供給口QAから内部空間Rに供給された媒体Mは、搬送機構34により搬送面224の面上でY方向に搬送され、搬送機構34の下流側に位置する排出口QBから本体部12の外側に排出される。すなわち、第1実施形態の搬送機構34は、内部空間Rを通過するように媒体Mを搬送する。なお、帯状の媒体Mが巻回されたロールを回転させて媒体Mを供給口QAに供給する給紙機構や、排出口QBから排出された媒体Mを巻取る巻取機構を、搬送機構34として利用することも可能である。
図2に例示される通り、本体部12の内部空間Rには液体吐出ヘッド42およびキャリッジ44が設置される。液体容器16から液体吐出ヘッド42にインクが供給される。液体吐出ヘッド42は、制御装置200から送信される各種の指令や画像データに応じて媒体Mにインクを吐出する。図2に拡大して図示した通り、液体吐出ヘッド42は、支持体22の搬送面224(または媒体M)に対向する吐出面422に形成された複数のノズルNの各々からインクを吐出する。具体的には、第1実施形態の液体吐出ヘッド42は、相異なるノズルNに対応する圧力室および圧電素子の複数組(図示略)を包含し、画像データに応じた駆動信号の供給により各圧電素子を駆動させて圧力室内の圧力を変動させることで、圧力室内に充填されたインクを各ノズルNから吐出する。キャリッジ44は、液体吐出ヘッド42を収容および支持する構造体であり、搬送ベルトやモーター等を含む駆動機構(図示略)によりX方向に沿って反復的に往復する。搬送機構34による媒体Mの搬送に並行して液体吐出ヘッド42が媒体Mにインクを吐出することで媒体Mの表面に画像が形成される。
図2に例示される通り、第1実施形態の印刷装置100は、本体部12の外側に設置されて媒体Mを加熱する加熱機構52および加熱機構54を具備する。加熱機構52は、内部空間Rに対して媒体Mの搬送方向の下流側に設置され、排出口QBから排出された媒体Mを加熱することで媒体Mの表面のインクの乾燥を促進する。具体的には、加熱機構52は、媒体Mの搬送方向の下流側(Y方向の正側)ほど低くなるように傾斜した搬送面522と、搬送面522を加熱する発熱体524とを包含し、搬送面522に沿って搬送される媒体Mを加熱する。他方、加熱機構54は、搬送面522から離間した位置に設置され、排出口QBから排出された媒体Mを加熱する。なお、前掲の図1では加熱機構54の図示は便宜的に省略されている。また、第1実施形態では加熱機構54を印刷装置100に設置した構成を例示するが、印刷装置100とは別体の加熱機構54を印刷装置100の近傍に設置することも可能である。
図1および図2に例示される通り、第1実施形態の印刷装置100は気体噴射機構60を具備する。第1実施形態の気体噴射機構60は、内部空間Rからみて媒体Mの搬送方向の下流側に設置される。すなわち、筐体部24の前面部244を挟んで内部空間Rとは反対側に気体噴射機構60が設置される。
図3は、気体噴射機構60の説明図である。図3に例示される通り、気体噴射機構60は、排出口QBから排出される媒体Mに対して気体G(G1,G2)を噴射する。気体Gの典型例は空気であるが、例えば不活性ガス等の他の気体を利用することも可能である。第1実施形態の気体噴射機構60は、第1給気機構61と第2給気機構62とを包含する。第1給気機構61は、噴射口E1から媒体Mに気体G1を噴射し、第2給気機構62は、噴射口E2から媒体Mに気体G2を噴射する。
具体的には、図3に例示される通り、第1給気機構61は給気部612を具備する。給気部612は、噴射口E1に気体G1を供給する送風機である。他方、第2給気機構62は給気部622と加湿部624とを具備する。給気部622は、噴射口E2に気体G2'を供給する送風機であり、加湿部624は、給気部622から噴射口E2に供給される気体G2'を加湿する。加湿部624による加湿後の気体(加湿気体)G2が噴射口E2から媒体Mに噴射される。以上の説明から理解される通り、噴射口E2から噴射される気体G2の湿度は、噴射口E1から噴射される気体G1の湿度を上回る。
図4は、第1実施形態の気体噴射機構60をZ方向の正側(媒体M側)からみた斜視図である。図4に例示される通り、気体噴射機構60のうち媒体Mとの対向面に噴射口E1および噴射口E2が形成される。図3および図4から理解される通り、内部空間Rの下流側で噴射口E1と内部空間Rとの間に噴射口E2が位置する。すなわち、噴射口E1は噴射口E2の下流側に位置する。図4に例示される通り、噴射口E1および噴射口E2の各々は、媒体Mが搬送されるY方向に交差するX方向に沿って長尺な開口(スリット)である。したがって、噴射口E1から噴射される気体G1と噴射口E2から噴射される気体G2とは、X方向を幅方向としてZ方向の正側に進行する層状の気流(いわゆるエアカーテン)を形成する。すなわち、気体G1の気流と気体G2の気流とがY方向に相互に間隔をあけて略平行に形成される。
図3に例示される通り、第1給気機構61はZ方向に平行な方向D1に気体G1を噴射し、第2給気機構62もZ方向に平行な方向D2に気体G2を噴射する。前述の通り、加熱機構52の搬送面522は下流側ほど低くなるように傾斜し、媒体Mは搬送面522に沿って搬送される。したがって、噴射口E1から噴射された気体G1は、媒体Mの表面で搬送面522に沿う方向に進行方向が変化し、搬送面522に沿って下流側に進行する。他方、噴射口E2から噴射された気体G2は、媒体Mの表面に衝突することで、一部が下流側に進行するとともに気体G1に合流して下流側に進行し、他の一部が媒体Mの表面に沿って上流側に進行して排出口QBから内部空間Rに進入する。すなわち、加湿部624による加湿後の気体(加湿気体)G2が内部空間Rに供給されることで内部空間Rは加湿される。以上の説明から理解される通り、第1実施形態の第2給気機構62は、気体G2を媒体Mに噴射することで内部空間Rに当該気体G2を供給する要素として機能する。
以上に説明した通り、第1実施形態では、内部空間Rからみて媒体Mの搬送方向の下流側に設置された気体噴射機構60から媒体Mに気体G(G1,G2)が噴射されるから、内部空間Rに対する外気の進入が気体Gの気流により阻害される。したがって、外気の進入に起因した内部空間Rの乾燥を抑制することが可能である。第1実施形態では、媒体Mの搬送方向に交差するX方向に長尺な噴射口E1および噴射口E2から気体Gを噴射することで層状の気流(エアカーテン)が形成される。したがって、外気の進入を阻害するという効果は格別に顕著である。また、第1実施形態では、第1給気機構61および第2給気機構62により複数層の気流が形成されるから、単層の気流を形成する構成と比較して効果的に内部空間Rに対する外気の進入を抑制できる。なお、第1実施形態では、吸引機構32による吸引で内部空間Rが減圧されるから、排出口QBを介して外気が内部空間Rに進入し易いという事情がある。以上の事情を考慮すると、内部空間Rに対する外気の進入を阻害できる第1実施形態は非常に有効である。
なお、内部空間Rが乾燥すると、例えば水分蒸発等によりインクがノズルNの内部で増粘し、結果的に適切なインクの吐出が阻害される可能性がある。第1実施形態では特に、加熱機構52や加熱機構54で加熱された外気が排出口QBを介して内部空間Rに進入することで内部空間Rが乾燥し易い。したがって、媒体Mに対する気体Gの噴射により内部空間Rに対する外気の進入を抑制できる第1実施形態は特に有効である。また、内部空間Rが過度に乾燥すると、内部空間Rに設置された各部品(例えば液体吐出ヘッド42やキャリッジ44等)の劣化が進行する可能性がある。第1実施形態によれば、前述の通り内部空間Rの乾燥が抑制されるから、内部空間Rに設置された各部品の劣化を抑制できるという利点もある。
第1実施形態では、加湿部624による加湿後の気体G2を媒体Mに噴射することで内部空間Rに気体G2が供給される。したがって、気体G2の気流により内部空間Rに対する外気の進入を抑制するとともに、気体G2の供給により内部空間Rを加湿することが可能である。すなわち、内部空間Rに対する外気の進入の抑制と内部空間Rに対する加湿との双方が気体G2により実現される。したがって、乾燥した気体を媒体Mに噴射する構成と比較して内部空間Rの乾燥を有効に抑制することが可能である。
以上に説明した通り、第1実施形態では、内部空間Rの乾燥が抑制されるから、液体吐出ヘッド42の各ノズルN内のインクの増粘が抑制される。したがって、直前のインクの吐出から長時間が経過した時点でインクを噴射する場合でも、適切な条件(吐出量や吐出方向)でインクを吐出できるという利点がある。すなわち、長時間の間隔をあけて間欠的にインクを吐出する性能を維持できるという利点がある。なお、内部空間Rが乾燥し易い構成では、水分蒸発に起因したインクの増粘を抑制するための保湿剤がインクに添加され得る。第1実施形態では、前述の通り内部空間Rの乾燥(ひいては水分蒸発に起因したインクの増粘)が抑制されるから、保湿剤の添加量を削減(理想的には省略)することが可能である。また、保湿剤の添加量の削減により、排出口QBから排出された媒体Mの表面のインクが乾燥し易くなるから、加熱機構52や加熱機構54による加熱量(温度)や加熱時間を低減することも可能である。したがって、印刷効率(単位時間毎の印刷頁数)の向上や加熱機構52および加熱機構54の消費電力の削減が実現されるという利点もある。また、例えば昇華転写インクにグリセリンを保湿剤として添加した場合、転写時の加熱によりグリセリンが気化して蒸気が発生する可能性がある。第1実施形態では、内部空間Rの乾燥の抑制により保湿剤の添加量が削減されるから、昇華転写インクの転写時におけるグリセリンの蒸気量を削減できるという利点もある。
ところで、液体吐出ヘッド42がX方向に沿って往復するシリアル方式の印刷装置100では、媒体Mのうち特に幅方向の端部の近傍の領域に対して順次にインクが吐出される時間的な間隔が、液体吐出ヘッド42の移動の方向に応じて相違し得る。例えば、図5には、液体吐出ヘッド42がX方向の正側に移動する過程で媒体Mの領域eにインクを吐出する時点tAと、液体吐出ヘッド42がX方向の負側に移動する過程で媒体Mの領域eにインクを吐出する時点tBとが図示されている。時点tAから時点tBまでの間隔TABは、時点tBから時点tAまでの間隔TBAと比較して短い。したがって、時点tAで吐出されたインクの時点tBでの乾燥状態は、時点tBで吐出されたインクの時点tAでの乾燥状態とは相違し得る。そして、乾燥状態の相違に起因して、媒体Mの表面に印刷される画像の特性(例えば色相や彩度)が時点tAのインクと時点tBのインクとで相違し、結果的に媒体Mの両端部の近傍における色ムラとして知覚される可能性がある。以上に説明した色ムラは、内部空間Rでのインクの乾燥の速度が速い(乾燥状態の相違が大きい)ほど顕在化する。第1実施形態によれば、前述の通り内部空間Rの乾燥が抑制されるから、乾燥状態の相違に起因した色ムラが低減されるという利点がある。液体吐出ヘッド42の往復の範囲が広いほど乾燥状態の相違(ひいては当該相違に起因した色ムラ)は発生し易い。以上の事情を考慮すると、内部空間Rの乾燥の抑制により色ムラを低減できる第1実施形態は、前述の例示の通り、A2以上の大判サイズの媒体Mの印刷が可能な印刷装置100に格別に好適である。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態を説明する。なお、以下に例示する各形態において作用や機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
図6は、第2実施形態における気体噴射機構60の説明図である。第1実施形態では、気体G1および気体G2の双方がZ方向に平行な方向(D1,D2)に噴射される構成を例示した。図6に例示される通り、第2実施形態の第1給気機構61は、Z方向の正側(鉛直方向の下向き)に対して媒体Mの搬送の下流側に角度θだけ傾斜した方向D1に噴射口E1から気体G1を噴射する。角度θは鋭角(0<θ<90°)である。具体的には、気体G1が方向D1に噴射されるように噴射口E1の形状や給気部612による送風の方向が選定される。他方、第2給気機構62は、第1実施形態と同様にZ方向に平行な方向D2に気体G2を噴射する。
第2実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。また、第2実施形態では、Z方向に対して下流側に傾斜した方向D1に気体G1が噴射されるから、噴射口E1から媒体Mの表面の近傍に到達した気体G1の進行方向が媒体Mの表面で円滑に変化する。したがって、媒体Mに対する気体G1の衝突に起因した乱流の発生を抑制できるという利点がある。
<第3実施形態>
図7は、第3実施形態の気体噴射機構60の説明図である。第3実施形態では、第1給気機構61が噴射口E1から噴射する気体G1の流速V1と、第2給気機構62が噴射口E2から噴射する気体G2の流速V2とが相違する。具体的には、気体G2の流速V2は気体G1の流速V1を下回る(V2<V1)。したがって、図7に白抜の矢印で図示された通り、噴射口E2が噴射する気体G2の気流から噴射口E1が噴射する気体G1の気流に向かう圧力Pが発生する。圧力Pは、噴射口E2から噴射された気体G2を気体G1側(Y方向の正側)に引寄せるように作用する。したがって、流速V1と流速V2とが相等しい構成と比較すると、噴射口E2から噴射された気体G2のうち気体G1とともに下流側に進行する体積は増加し、排出口QBから内部空間Rに進入する体積は減少する。
第3実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。また、第3実施形態では、噴射口E2から噴射される気体G2の流速V2が噴射口E1から噴射される気体G1の流速V1を下回るから、加湿部624による加湿後の気体G2が過剰に内部空間Rに進入する可能性が低減される。したがって、内部空間Rの過度な加湿を抑制できるという利点がある。なお、Z方向に対して角度θの方向D1に気体G1を噴射する第2実施形態の構成は第3実施形態にも適用され得る。
<第4実施形態>
図8は、第4実施形態の気体噴射機構60の説明図である。第3実施形態の説明から理解される通り、噴射口E1から噴射される気体G1の流速V1と噴射口E2から噴射される気体G2の流速V2との差異(V1−V2)が大きいほど圧力Pは増加する。したがって、流速V2が流速V1と比較して低い(すなわち圧力Pが高い)ほど、噴射口E2から噴射された気体G2のうち排出口QBから内部空間Rに進入する体積(以下「進入量」という)は減少する。以上の傾向を考慮して、第4実施形態では、気体G1の流速V1と気体G2の流速V2とを制御することで、内部空間Rに対する気体G2の進入量を調整する。具体的には、第2給気機構62の給気部622は、例えば制御装置200からの指令に応じて気体G2の流速V2を可変に設定する。
図8に例示される通り、内部空間Rには湿度検出部70が設置される。湿度検出部70は、内部空間Rの湿度Hを測定する湿度計である。制御装置200は、湿度検出部70が検出した内部空間Rの湿度Hに応じて気体G2の流速V2が変化するように第2給気機構62を制御する。具体的には、制御装置200は、湿度Hが低いほど流速V2が増加する(流速V1との差異が減少する)ように第2給気機構62の給気部622を制御する。したがって、内部空間Rの湿度Hが低いほど圧力Pは低下して、結果的に内部空間Rに対する気体G2の進入量は増加する。以上の説明から理解される通り、内部空間Rの湿度Hが目標値に接近するように気体G2の進入量を調整することが可能である。
第4実施形態においても第1実施形態や第3実施形態と同様の効果が実現される。また、第4実施形態では、内部空間Rの湿度Hに応じた気体G2の流速V2の制御により内部空間Rに対する気体G2の進入量が可変に設定されるから、内部空間Rの湿度Hを適宜に調整できるという利点がある。なお、以上の例示では気体G2の流速V2を制御したが、気体G1の流速V1を制御する構成や流速V1および流速V2の双方を制御する構成も採用され得る。内部空間Rの湿度Hが低いほど流速V1と流速V2との差分が減少する(ひいては圧力Pが低下して内部空間Rに対する気体G2の進入量が増加する)ように、流速V1および流速V2の少なくとも一方を制御する構成が好適である。なお、Z方向に対して角度θの方向D1に気体G1を噴射する第2実施形態の構成は第4実施形態にも適用され得る。
<変形例>
以上に例示した各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
(1)前述の各形態では、内部空間Rからみて媒体Mの搬送方向の下流側に気体噴射機構60を設置した構成を例示したが、以上の構成に代えて(または当該構成とともに)、気体噴射機構60を内部空間Rの上流側に設置することも可能である。内部空間Rの上流側の気体噴射機構60は、供給口QAに供給される媒体Mに気体Gを噴射することで、供給口QAから内部空間Rに対する外気の進入を阻害する。
(2)前述の各形態では、図4を参照して説明した通り、気体噴射機構60が1個の噴射口E1と1個の噴射口E2とを含む構成を例示したが、複数の噴射口E1をX方向に配列した構成や、複数の噴射口E2をX方向に配列した構成も採用され得る。
(3)第1実施形態では、第1給気機構61の給気部612と第2給気機構62の給気部622とを相互に別個の要素として例示したが、第1給気機構61と第2給気機構62とで給気部612を共用することも可能である。具体的には、第1給気機構61の給気部612から送出された気体G1が噴射口E1側の第1流路と加湿部624側の第2流路とに分岐され、第2給気機構62の加湿部624は、第2流路に供給される気体G1を加湿することで気体G2として噴射口E2に供給する。以上の構成によれば、第2給気機構62の給気部622が省略されるから、気体噴射機構60の構成が簡素化されるという利点がある。
(4)前述の各形態では、第1給気機構61および第2給気機構62の双方を具備する印刷装置100を例示したが、第1給気機構61および第2給気機構62の一方を省略した構成や、第1給気機構61および第2給気機構62に他の給気機構を追加した構成も採用され得る。
(5)液体吐出ヘッド42の構造は適宜に変更される。例えば、前述の各形態では、圧力室に機械的な振動を付与する圧電素子を利用した圧電方式の液体吐出ヘッド42を例示したが、加熱により圧力室の内部に気泡を発生させる発熱素子を利用した熱方式の液体吐出ヘッドを採用することも可能である。
(6)以上の各形態で例示した印刷装置100は、印刷に専用される機器のほか、ファクシミリ装置やコピー機等の各種の機器に採用され得る。もっとも、本発明の液体吐出装置の用途は印刷に限定されない。例えば、色材の溶液を噴射する液体吐出装置は、液晶表示装置のカラーフィルターを形成する製造装置として利用される。また、導電材料の溶液を噴射する液体吐出装置は、配線基板の配線や電極を形成する製造装置として利用される。
100……印刷装置、200……制御装置、12……本体部、14……脚部、16……液体容器、22……支持体、224,522……搬送面、24……筐体部、242……頂面部、244……前面部、246……背面部、32……吸引機構、34……搬送機構、342……搬送ローラー、344……駆動機構、42……液体吐出ヘッド、44……キャリッジ、52……加熱機構、524……発熱体、54……加熱機構、60……気体噴射機構、61……第1給気機構、612,622……給気部、62……第2給気機構、624……加湿部、E1,E2……噴射口。

Claims (3)

  1. 内部空間を形成する筐体部と、
    前記内部空間を通過するように媒体を搬送する搬送機構と、
    前記内部空間に設置されて前記媒体に液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
    前記内部空間からみて前記媒体の搬送方向の上流側または下流側に設置され、前記媒体に加湿気体を噴射することで前記内部空間に当該加湿気体を供給する給気機構と
    を具備する液体吐出装置。
  2. 前記給気機構は、前記媒体の搬送方向に交差する方向に長尺な噴射口から前記加湿気体を噴射する
    請求項1の液体吐出装置。
  3. 前記内部空間の外側に設置されて前記媒体を加熱する加熱機構
    を具備する請求項1または請求項2の液体吐出装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN111452500A (zh) * 2019-01-18 2020-07-28 柯尼卡美能达株式会社 喷墨图像形成装置以及加湿方法

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