JP2016164969A - 太陽電池素子およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 太陽電池素子の光電変換効率を向上させうる構造の太陽電池素子およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】 太陽電池素子10は、第1主面1aおよび第1主面1aの反対側に位置する第2主面1bを有する基板1と、基板1の第2主面1bに配置されている、パッシベーション膜4と、パッシベーション膜4を多数箇所で貫通した状態で基板1に接している、亜鉛およびアルミニウムを導電成分として有する第1電極8aと、パッシベーション膜4および第1電極8aのそれぞれを覆っているとともに、第1電極8aに接している第2電極8bと、を備えている。
【選択図】 図3
【解決手段】 太陽電池素子10は、第1主面1aおよび第1主面1aの反対側に位置する第2主面1bを有する基板1と、基板1の第2主面1bに配置されている、パッシベーション膜4と、パッシベーション膜4を多数箇所で貫通した状態で基板1に接している、亜鉛およびアルミニウムを導電成分として有する第1電極8aと、パッシベーション膜4および第1電極8aのそれぞれを覆っているとともに、第1電極8aに接している第2電極8bと、を備えている。
【選択図】 図3
Description
本発明は、太陽電池素子およびその製造方法に関する。
結晶系のシリコン基板を用いた高効率の太陽電池素子として、PERC(Passivated Emitter and Rear Cell)構造が研究されている(例えば、下記の特許文献1および特許文献2を参照)。このような太陽電池素子は、シリコン基板の非受光面となる主面側に酸化膜、窒化膜などの絶縁膜、またはそれらの積層膜からなるパッシベーション膜を配置している。さらに、パッシベーション膜を貫通してシリコン基板に電気的に接続する電極を配置している。
現在、上述のような太陽電池素子では光電変換効率を向上しうる構造が求められている。
そこで、光電変換効率を向上させることが可能な太陽電池素子およびその製造方法を提供することを本発明の目的の1つとする。
本発明の一形態に係る太陽電池素子は、表主面および該表主面の反対側に位置する裏主面を有する半導体基板と、該半導体基板の前記裏主面に配置されているパッシベーション膜と、該パッシベーション膜を多数箇所で貫通した状態で前記半導体基板に接している、亜鉛およびアルミニウムを導電成分として有する第1電極と、前記パッシベーション膜および前記第1電極のそれぞれを覆っているとともに、前記第1電極に接している第2電極と、を備えている。
本発明の一形態に係る太陽電池素子の製造方法は、上記の太陽電池素子の製造方法であって、前記第1電極は、アルミニウムと、アルミニウムよりも融点が低い、亜鉛を含む金属と、を導電成分として有する導電性ペーストを焼成して形成する。
上記の太陽電池素子およびその製造方法によれば、光電変換効率を向上しうる構造の太陽電池素子を提供できる。
以下、本発明に係る太陽電池素子およびその製造方法の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図面は模式的に示したものであり、断面図等において構成要素の一部を省略している。
<太陽電池素子>
図1〜3に示すように、本実施形態に係る太陽電池素子10は、主として光が入射する表主面である第1主面10aと、この第1主面10aの反対側に位置する裏主面である第2主面10bとを有する。
図1〜3に示すように、本実施形態に係る太陽電池素子10は、主として光が入射する表主面である第1主面10aと、この第1主面10aの反対側に位置する裏主面である第2主面10bとを有する。
また、太陽電池素子10に用いられる半導体基板である基板1も第1主面1aと、この第1主面の反対側に位置する第2主面1bとを有する。基板1は、一導電型(例えばp型)半導体領域である第1半導体層2と、第1半導体層2における第1主面1a側に設けられた逆導電型(例えばn型)半導体領域である第2半導体層3とを有する。
以下、基板1(または第1半導体層2)にp型シリコン基板を用いる太陽電池素子を例として説明する。
p型の多結晶または単結晶のシリコン基板は、例えば厚みが100〜250μm程度のものを用いる。基板1の形状は、特に限定されるものではないが平面視で1辺が150〜200mm程度の略四角形状であれば、複数の太陽電池素子10を並べて太陽電池モジュールを作製しやすい。基板1からなる第1半導体層2をp型にする場合には、ドーパント元素として、ボロン、ガリウム等の不純物をシリコン基板に含有させる。
第2半導体層3は、第1半導体層2における第1主面10a側に設けられる。また、第2半導体層3は、第1半導体層2に対して逆の導電型(本実施形態の場合はn型)を有する。よって、第1半導体層2と第2半導体層3との間でpn接合部が形成される。第2半導体層3は、例えば、基板1の第1主面1a側にドーパント元素として、リン等の不純物を含有させることによって形成できる。
図3に示すように、基板1の第1主面1a側には、照射された光の反射率を低減するための微細な凹凸構造(テクスチャ)を設けている。テクスチャの凸部の高さは0.1〜10μm程度であり、隣り合う凸部同士の間隔は0.1〜20μm程度である。
また、太陽電池素子10は、第1主面10a側に反射防止層5および表面電極7を備えており、第2主面10b側に裏面電極8およびパッシベーション膜4を備えている。
反射防止層5は、太陽電池素子10の第1主面10aに照射された光の反射率を低減することによって、太陽電池素子10の光電変換効率を向上する効果を有する。反射防止層
5は、例えば、酸化シリコン、酸化アルミニウムもしくは窒化シリコン層等の絶縁膜、またはこれらの積層膜からなる。反射防止層5の屈折率および厚みは、太陽光のうち、基板1に吸収されて発電に寄与し得る波長範囲の光に対して低反射条件を実現できる屈折率および厚みを適宜採用すればよい。例えば、PECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor
Deposition)法によって窒化シリコンからなる反射防止層5を成膜する場合では、屈折
率は1.8〜2.5程度とし、厚みは60〜120nm程度とすることができる。
5は、例えば、酸化シリコン、酸化アルミニウムもしくは窒化シリコン層等の絶縁膜、またはこれらの積層膜からなる。反射防止層5の屈折率および厚みは、太陽光のうち、基板1に吸収されて発電に寄与し得る波長範囲の光に対して低反射条件を実現できる屈折率および厚みを適宜採用すればよい。例えば、PECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor
Deposition)法によって窒化シリコンからなる反射防止層5を成膜する場合では、屈折
率は1.8〜2.5程度とし、厚みは60〜120nm程度とすることができる。
表面電極7は、図1に示すように、基板1の第1主面1a側に設けられた電極である。表面電極7は、数本(例えば、図1では3本)のバスバー電極7aと、複数の線状のフィンガー電極7bとを有する。バスバー電極7aは、基板1の第1主面1aにおいて、光電変換によって得られた電気を太陽電池素子10の外部に取り出すための電極であり、例えば、1〜3mm程度の幅を有している。バスバー電極7aの少なくとも一部は、フィンガー電極7bと略垂直に交わるように電気的に接続されている。フィンガー電極7bは、基板1での光発生キャリアを集電し、バスバー電極7aに伝えるための電極である。フィンガー電極7bは複数の線状であって、例えば30〜200μm程度の幅を有し、互いに1〜3mm程度の間隔を空けて設けられている。なお、フィンガー電極7bと同様な形状のサブフィンガー電極7cを基板1の周縁部に設けて、フィンガー電極7b同士を電気的に接続するようにしてもよい。
このような表面電極7は、例えば、銀を主成分とする導電性ペーストをスクリーン印刷等によって所望の形状に塗布した後、焼成することによって形成できる。表面電極7の厚みは、10〜40μm程度である。なお、本実施形態において、主成分とは、全体の成分に対して含有される比率が50%以上であることを示し、以下の記述においても同様とする。
パッシベーション膜4は、基板1の第2主面1b側の略全面に、一主面が第2主面1bと当接するように設けられる。これにより、基板1との界面において、少数キャリアの再結合の原因となる欠陥凖位を低減するので、少数キャリアの再結合を低減する機能を有する。パッシベーション膜4は、例えば、酸化シリコン、酸化アルミニウムもしくは窒化シリコン層等の絶縁膜、またはこれらの積層膜からなる。パッシベーション膜4の厚みは10〜200nm程度である。本実施形態のように、第1半導体層2がp型層であれば、パッシベーション膜4として、ALD(Atomic Layer Deposition)法で形成した酸化アルミニウム層等、負の固定電荷を有する膜を用いることが好適である。このように、負の固定電荷を有するパッシベーション膜4では、電界効果によって少数キャリアである電子が基板1とパッシベーション膜4との界面から遠ざけられるので、少数キャリアの再結合が低減される。同様に、第2半導体層3がn型層であれば、反射防止層5としては、PECVD法などで形成した窒化シリコン等、正の固定電荷を有する膜を用いるとよい。
裏面電極8は、基板1の第2主面1b側に設けられる電極であり、図2および図3に示すように、第1電極8a、第2電極8bおよび第3電極8cを有する。
第1電極8aは、パッシベーション膜4を多数箇所で貫通するように設けられる。第1電極8aの一端部は基板1の第2主面1bに当接して、基板1の第2主面1bにおいてキャリアを集電できる。第1電極8aの他端部は、第2電極8bと接している。第1電極8aの形状は、ドット(点)状であってもよいし、帯状(線状)であってもよい。第1電極8aの径(幅)は60〜500μm程度、ピッチは0.3〜2mm程度であればよい。第1電極8aは主成分としてアルミニウムから構成される。
第3電極8cは、基板1の第2主面1bにおいて、光電変換によって得られた電力を太陽電池素子10の外部に取り出すための電極である。第3電極8cは平面視して第1電極
8aに重ならない位置で、パッシベーション膜4の上に直線状に配置されている。または、第3電極8cは平面視して第1電極8aに重ならない位置で、パッシベーション膜4を貫通した状態で基板1の上に直線状に配置されている。第3電極8cの厚みは10〜30μm程度であり、その幅は1〜7mm程度である。第3電極8cは、複数個、形成されて一直線状に配置されている。また、第3電極8cは、太陽電池モジュール製造工程において、リボン状の接続導体であるタブ銅箔を簡単に接続可能なように、ハンダ付け可能な銀を主成分として含んでいる。このような第3電極8cは、例えば銀を主成分とする導電性ペーストをスクリーン印刷等によって所望の形状に塗布した後、焼成することによって形成できる。なお、第3電極8cの形状は、第2電極8bと導通できる形状であればよい。例えば、図2に示すように、矩形状の電極本体部に対して突出部を設けた形状にし、この突出部を第2電極8bが覆うように構成にしてもよい。
8aに重ならない位置で、パッシベーション膜4の上に直線状に配置されている。または、第3電極8cは平面視して第1電極8aに重ならない位置で、パッシベーション膜4を貫通した状態で基板1の上に直線状に配置されている。第3電極8cの厚みは10〜30μm程度であり、その幅は1〜7mm程度である。第3電極8cは、複数個、形成されて一直線状に配置されている。また、第3電極8cは、太陽電池モジュール製造工程において、リボン状の接続導体であるタブ銅箔を簡単に接続可能なように、ハンダ付け可能な銀を主成分として含んでいる。このような第3電極8cは、例えば銀を主成分とする導電性ペーストをスクリーン印刷等によって所望の形状に塗布した後、焼成することによって形成できる。なお、第3電極8cの形状は、第2電極8bと導通できる形状であればよい。例えば、図2に示すように、矩形状の電極本体部に対して突出部を設けた形状にし、この突出部を第2電極8bが覆うように構成にしてもよい。
第2電極8bは、第1電極8aおよび第3電極8cのそれぞれに接して、両者を電気的に接続している。第2電極8bは、第3電極8cの一部、パッシベーション膜4および第1電極8aのそれぞれを覆っている。第2電極8bは、第1電極8aによって集電された電気を第3電極8cに伝えるものである。このため、第2電極8bは、すべての第1電極8aを覆うように、例えば基板1の第2主面1bの第3電極8cが形成された領域の一部を除く略全面に形成され、その厚みは15〜50μm程度である。第2電極8bは主成分としてアルミニウムから構成される。
本実施形態に係る太陽電池素子10では、第1電極8aは、亜鉛およびアルミニウムを導電成分として有し、アルミニウムを主成分とする。理由は定かではないが、第1電極8aは、亜鉛を含む金属を含有することによって、第1電極8aと第2電極8bとの接触抵抗が低下し、太陽電池素子10の光電変換効率を向上させうる。また、第1電極8aが亜鉛を含む金属を含有することによって、パッシベーション膜4がファイアースルーされやすくなり、均一なBSF層13が形成されやすい。これにより、基板1と第1電極8aとの界面の接触抵抗が均一になりやすい。その結果、太陽電池素子10の光電変換効率を向上させることができる。
第1電極8aのアルミニウムに対する亜鉛を含む金属の含有量は、0.5〜10原子%が好ましい。上記範囲にすることによって、第1電極8aの電気抵抗の増大を低減することができる。これにより、太陽電池素子10の光電変換効率をさらに向上することができる。また、亜鉛を含む金属としては、亜鉛、亜鉛アルミニウム合金、亜鉛錫合金等であるが、特に亜鉛の場合において顕著な効果を奏し得る。
また、第1電極8aはアルミニウムを含有する導電性ペーストで形成すれば、基板1にBSF(Back Surface Field)層13を形成することができる。例えば、アルミニウムを含有する導電性ペーストを塗布後、アルミニウムの融点以上の最高温度を有する所定の温度プロファイルで導電性ペーストを焼成する。これにより、第1電極8aが形成されるとともに、導電性ペースト中のアルミニウムと基板1との間で相互拡散が起こる。そして、基板1と第1電極8aとの界面には、基板1中にアルミニウムが第1半導体層2よりも高濃度に拡散したBSF層13が形成される。アルミニウムは、p型ドーパントとなりうるので、BSF層13が含有するドーパントの濃度は、第1半導体層2が含有するドーパントの濃度よりも高くなる。すなわち、BSF層13中には、第1半導体層2において一導電型にするために、ドープされるドーパント元素の濃度よりも高い濃度でドーパント元素が存在する。BSF層13では、基板1の第2主面1b側において内部電界を形成する。これにより、基板1における第2主面1bの表面近傍で、少数キャリアの再結合による光電変換効率の低下を低減させる。BSF層13は、例えば、基板1の第2主面1b側に、ボロンまたはアルミニウムなどのドーパント元素を拡散させることによって形成できる。第1半導体層2およびBSF層13が含有するドーパント元素の濃度は、それぞれ5×1
015〜1×1017atoms/cm3、1×1018〜5×1021atoms/cm3程度とすることができる。
015〜1×1017atoms/cm3、1×1018〜5×1021atoms/cm3程度とすることができる。
第2電極8bは、アルミニウムを含む金属を有し、さらに亜鉛を含む金属を含有している場合には、理由は定かではないが、第2電極8bと、第1電極8aまたは第3電極8cとの接触抵抗をさらに低下させることができる。また、亜鉛を含む金属がアルミニウムを含む金属の周囲に被膜として形成され、アルミニウムを含む金属同士の接触面積が増加する。これにより、第2電極8bの電気抵抗が低下して、太陽電池素子10の光電変換効率を向上させうる。
また、理由は定かではないが、第2電極8bが亜鉛を含む金属を含有することによって、第2電極8bとパッシベーション膜4との密着性を向上させうる。なお、密着性の程度は、例えば、異なる接着強度を有するテープを貼り付けて引張試験を行ない、第2電極8bの剥離の有無で確認できる。
第2電極8bのアルミニウムを含む金属に対する亜鉛を含む金属の含有量は、0.5〜10原子%が好ましい。上記範囲にすることによって、第2電極8bの電気抵抗の増大を低減することができる。これにより、太陽電池素子10の光電変換効率をさらに向上することができる。また、第2電極8bとパッシベーション膜4との密着性をさらに向上させうる。また、上記亜鉛を含む金属としては、特に亜鉛単体の場合において顕著な効果を奏しうる。
以上述べたように、本実施形態の太陽電池素子10は、第1主面1aおよび第1主面1aの反対側に位置する第2主面1bを有する基板1と、基板1の裏主面に配置されているパッシベーション膜4と、基板1の裏面に配置された裏面電極8とを備えている。裏面電極8は、第1電極8a、第2電極8bおよび第3電極8cを有している。第1電極8aは、パッシベーション膜4を多数箇所で貫通した状態で基板1に接している。第3電極8cは、平面視して第1電極8aに重ならない位置で、パッシベーション膜4の上に、またはパッシベーション膜4を貫通して、基板1の上に直線状に配置されている。そして、特に、第2電極8bは、第3電極8cの周縁部などの一部、パッシベーション膜4および第1電極8aのそれぞれを覆っているとともに、第1電極8aおよび第3電極8cのそれぞれに接している。これらのことから、第2電極8bの一部が剥離しても、光発生キャリアは面状に設けられた第2電極8bの他の部分を通り第3電極8cに達することができるので、光電変換効率が低下しにくい太陽電池素子10を提供することができる。
<太陽電池素子の製造方法>
次に、太陽電池素子10の製造方法の各工程について、詳細に説明する。
次に、太陽電池素子10の製造方法の各工程について、詳細に説明する。
まず図4(a)に示すように基板1を用意する。基板1は、単結晶シリコンであっても多結晶シリコンであってもよい。基板1は、例えば、既存のCZ法または鋳造法などによって形成される。以下では、基板1として、p型多結晶シリコン基板を用いた例について説明する。例えば鋳造法によって多結晶シリコンのインゴットを作製する。インゴットの抵抗率は1〜5Ω・cm程度であればよい。ドーパント元素としては、例えばボロンを添加すればよい。次いで、そのインゴットを例えば1辺約160mm角の正方形状で、厚さ200μm程度の厚みにスライスして基板1を作製する。その後、基板1の切断面の機械的ダメージ層および汚染層を清浄にするために、基板1の表面をNaOH、KOH、フッ酸またはフッ硝酸などの水溶液でごく微量エッチングしてもよい。
また図4(b)に示すように、基板1の第1主面1aに、光の反射を低減するためにテクスチャを形成してもよい。テクスチャの形成方法としては、NaOH等のアルカリ溶液
もしくはフッ硝酸等の酸溶液を使用したウエットエッチング方法、またはRIE(Reactive Ion Etching)法等を使用したドライエッチング方法を用いることができる。
もしくはフッ硝酸等の酸溶液を使用したウエットエッチング方法、またはRIE(Reactive Ion Etching)法等を使用したドライエッチング方法を用いることができる。
次に、図4(c)に示すように、テクスチャを有する基板1の第1主面1aに、n型の第2半導体層3を形成する。第2半導体層3は、ペースト状にしたP2O5を基板1の表面に塗布して熱拡散させる塗布熱拡散法、ガス状にしたオキシ塩化リン(POCl3)を拡散源とした気相熱拡散法などによって形成される。この第2半導体層3は0.1〜2μm程度の厚み、40〜200Ω/□程度のシート抵抗値を有するように形成される。例えば、気相熱拡散法では、POCl3等からなる拡散ガスを有する雰囲気中で600〜800℃程度の温度において基板1を5〜30分程度熱処理してリンシリコンガラス(PSG)を基板1の表面に形成する。その後、アルゴンや窒素等の不活性ガス雰囲気中で800〜900℃程度の高い温度において、基板1を10〜40分間程度熱処理することによって、PSGから基板1にリンが拡散して、基板1の第1主面1a側に第2半導体層3が形成される。
上記第2半導体層3の形成工程において、第2主面1b側にも第2半導体層3が形成された場合には、第2主面1b側に形成された第2半導体層3のみをエッチングして除去する。これにより、第2主面1b側にp型の第1半導体層2を露出させる。例えば、フッ硝酸溶液に基板1における第2主面1b側のみを浸して第2主面1b側に形成された第2半導体層3を除去する。その後に、第2半導体層3を形成する際に基板1の第1主面1a側に付着したPSGをエッチングして除去する。この時、基板1の側面に形成された第2半導体層3も合わせて除去してもよい。
次に、パッシベーション膜形成工程として、図4(d)に示すように第1半導体層2の第2主面1b上に、酸化アルミニウムからなるパッシベーション膜4が形成される。パッシベーション膜4の形成方法としては、例えばALD法、PECVD法などを用いることができるが、基板1の表面のカバーレッジに優れたALD法を用いることによってパッシベーション効果がより大きくなるため、ALD法を好適に使用できる。
ALD法によるパッシベーション膜4の形成工程では、まず、成膜装置のチャンバー内に上記第2半導体層3が形成された基板1が載置される。そして、基板1が100℃〜250℃の温度域で加熱された状態で、アルミニウム原料の供給、アルミニウム原料の排気除去、酸化剤の供給、酸化剤の排気除去、の各工程を複数回繰り返して酸化アルミニウムからなるパッシベーション膜4を形成する。アルミニウム原料として、例えばトリメチルアルミニウム(TMA)、トリエチルアルミニウム(TEA)等、酸化剤として、例えば、水、オゾンガス等を用いることができる。ALD法を用いることによって第1半導体層2の第1主面1aと基板1の側面を含む全周囲にもパッシベーション膜4が形成される場合は、第2主面1b上のパッシベーション膜4に耐酸レジストを塗布した後、フッ化水素酸(HF)などで不要なパッシベーション膜4をエッチングによって除去してもよい。
次に、図4(e)に示すように、反射防止膜形成工程として、基板1の第1主面1a側に窒化シリコン膜からなる反射防止層5を形成する。反射防止層5は、例えばPECVD法またはスパッタリング法を用いて形成される。PECVD法を用いる場合であれば、事前に基板1を成膜中の温度よりも高い温度で加熱する。その後、加熱した基板1にシラン(SiH4)とアンモニア(NH3)との混合ガスを窒素(N2)で希釈して供給し、反応圧力を50〜200Paにしてグロー放電分解でプラズマ化させて反応、堆積させることで反射防止層5が形成される。このときの成膜温度は、350〜650℃程度とする。また、グロー放電に必要な高周波電源の周波数としては10〜500kHzの周波数を使用する。また、ガス流量は反応室の大きさ等によって適宜決定されるが、例えばガスの流量としては、150〜6000sccmの範囲とすることが望ましく、シランの流量Aと
アンモニアの流量Bとの流量比B/Aは0.5〜15であればよい。
アンモニアの流量Bとの流量比B/Aは0.5〜15であればよい。
次に、図4(f)〜(h)に示すように、電極形成工程として、表面電極7(バスバー電極7aとフィンガー電極7b、サブフィンガー電極7c)と、裏面電極8(第1電極8a、第2電極8b、第3電極8c)とを以下のようにして形成する。
まず図4(f)に示すように、表面電極7を第1ペースト16を用いて形成する。第1ペースト16は、例えば主成分として銀を含む金属粉末(例えば主たる金属成分が、平均粒径0.05〜20μm程度、好ましくは0.1〜5μm程度の銀粉末のみからなり、銀含有量が導電性ペーストの総質量の65〜85質量%程度)を有する。第1ペースト16は、さらに有機ビヒクル(例えば、導電性ペーストの総質量の5〜15質量%程度)およびガラスフリット(例えば、導電性ペーストの総質量の0.05〜10質量%程度、成分は鉛40〜60原子%程度、シリコン20〜40原子%程度、リン1〜5原子%程度、ホウ素7〜15原子%程度)を含有する。まず、この第1ペースト16を、スクリーン印刷を用いて、基板1の第1主面1aに塗布する。この塗布後、所定の温度で溶剤を蒸散させて乾燥させる。
また裏面電極8である第3電極8cは、主成分として銀のみからなる金属粉末と、有機ビヒクルおよびガラスフリット等を含有する導電性ペースト(第2ペースト17)を用いて作製される。第2ペースト17の成分は、第1ペースト16と同様でもよい。第2ペースト17の塗布法としては、例えば、スクリーン印刷法などを用いることができる。この塗布後、所定の温度で溶剤を蒸散させて乾燥させる。
さらに第1電極8aを第3ペースト18を用いて形成する。第3ペースト18は、主成分としてアルミニウムを含む金属粉末(例えば、主たる金属成分が、平均粒径0.05〜20μm程度、好ましくは0.1〜10μm程度のアルミニウム粉末からなり、アルミニウム含有量が導電性ペーストの総質量の65〜80質量%程度)を有する。また、第3ペースト18は、アルミニウムを含む金属粉末に対して亜鉛を含む金属粉末(亜鉛、亜鉛アルミニウム合金、亜鉛錫合金等が含まれていればよい)が0.5〜10原子%添加されている。亜鉛を含む金属粉末の平均粒径は、0.001〜60μm程度である。また、亜鉛を含む金属粉末はアルミニウムを含む金属粉末よりも低温で溶融する。第3ペースト18は、さらに有機ビヒクル(例えば、導電性ペーストの総質量の5〜15質量%程度)およびガラスフリット(例えば、導電性ペーストの総質量の0.05〜10原子%程度、成分は鉛40〜60原子%程度、シリコン20〜40原子%程度、リン1〜5原子%程度、ホウ素7〜15原子%程度)を含有する。この第3ペースト18は、すでに塗布された第2ペースト17とは離れた位置で、第2主面1b上の所定の位置に、点状または線状に塗布する。塗布法としては、スクリーン印刷法などを用いることができる。この塗布後、所定の温度で溶剤を蒸散させて乾燥させてもよい。
その後、第1ペースト16、第2ペースト17および第3ペースト18が塗布された基板1を、焼成炉内にて最高温度が約700℃以上900℃以下、加熱時間が数十秒〜数十分程度で第1焼成を行う。これにより、各導電性ペーストが焼結し、図4(g)に示すように、表面電極7と裏面電極8の第1電極8a、第3電極8cとが形成される。第1焼成の際に、第1ペースト16は反射防止膜5をファイアースルーして基板1の第1主面1aのn型の第2半導体層3と接続され、表面電極7が形成される。また第3ペースト18もパッシベーション膜4をファイアースルーして、第2主面1bのp型の第1半導体層2と接続され、第1電極8aが形成される。また第1電極8aの形成に伴い、BSF層13も形成される。さらに第2ペースト17が焼成され、第3電極8cが形成される。この時第2ペースト17は、図3に示すように、パッシベーション膜4をファイアースルーせずに、パッシベーション膜4上に形成されてもよいし、図5に示すように、パッシベーション膜4をファイアースルーして、第1半導体層2上に形成されてもよい。例えば、第2ペースト17中のガラスフリットの成分を適宜選択することによって、ファイアースルーの有無を調整することができる。例えばパッシベーション膜4をファイアースルーさせる場合には、ガラスフリット中の酸化鉛の割合を増加させることで可能となり、パッシベーション膜4をファイアースルーさせない場合には、ガラスフリット中の酸化亜鉛の割合を増加させることで可能となる。
第1焼成において亜鉛を含む金属粉末がアルミニウムを含む金属粉末より低い温度で溶融するために、溶融した亜鉛によって、アルミニウムを含む金属が均一に分散する。また、亜鉛を含む金属粉末を含有することによって、アルミニウムを含む金属粉末のみを含む場合と比較して、パッシベーション膜4がファイアースルーされやすくなる。その結果、BSF層13が均一に形成される可能性がある。これによって、基板1と第1電極8aとの界面の接触抵抗の分布が改善されて太陽電池素子10の光電変換効率を向上させることができる。
次に、図4(h)に示すように、第2電極8bを第4ペースト19を用いて形成する。第4ペースト19は、主成分としてアルミニウムを含む金属粉末(例えば、導電性ペーストの総質量の65〜80質量%程度)を有する。第4ペースト19は、さらに有機ビヒクル(例えば、導電性ペーストの総質量の5〜15質量%程度)およびガラスフリットを含有する。なお、ガラスフリットの組成は、導電性ペーストの総質量の0.05〜10質量%程度である。また、ガラスフリットの組成は、鉛40〜60原子%程度、シリコン20〜40原子%程度、リン1〜5原子%程度、ホウ素7〜15原子%程度である。この第4ペースト19は、すでに形成された第1電極8a上および第3電極8cの端部に接触するように、第2主面1b上に塗布する。このとき、第2主面1b上の第3電極8cが形成されない部位のほぼ全面に塗布することによって、厳密な位置合わせをすることなく第3電極8cの端部に接触するようにでき望ましい。塗布法としては、スクリーン印刷法などを用いることができる。この塗布後、所定の温度で溶剤を蒸散させて乾燥させてもよい。
その後、第4ペースト19が塗布された基板1は、焼成炉にて最高温度が500℃以上700℃未満、加熱時間が数十秒〜数十分程度で第2焼成を行う。これによって、第2電極8bが基板1の第2主面1b側に形成される。これによって、第2電極8bを形成する第4ペースト19が第3ペースト18と同じ材料を用いた場合であっても、パッシベーション膜4がファイアースルーされることが低減されるために、光発生キャリアの再結合を低減する機能の低下が改善され、太陽電池素子10の光電変換効率を向上させうる。
また、第4ペースト19は、亜鉛を含む金属を含有していてもよい。これによって、光発生キャリアの再結合を低減するとともに、パッシベーション膜4と第2電極8bとの密着性を向上させることができる。
なお、第4ペースト19が亜鉛を含む金属を含有している場合は、アルミニウムを含む金属粉末100質量部に対して亜鉛を含む金属粉末が1〜25質量部添加されている。亜鉛を含む金属粉末の平均粒径は、0.001〜60μm程度である。
なお、本発明は上記形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で多くの修正および変更を加えることができる。例えば電極形成工程の焼成は、成分が類似した表面電極7(バスバー電極7aとフィンガー電極7b、サブフィンガー電極7c)と裏面電極8の第3電極8c形成のための焼成を行った後、第2電極8bおよび第1電極8a形成のための焼成を別途行ってもよい。
<変形例1>
変形例1に係る実施形態は、図6に示すように、第2主面10b側において、パッシベーション膜4と基板1との間に、パッシベーション膜4よりも薄い第1酸化シリコン膜11が介在している。他の構成については上述した実施形態と同様であるので説明を省略する。
変形例1に係る実施形態は、図6に示すように、第2主面10b側において、パッシベーション膜4と基板1との間に、パッシベーション膜4よりも薄い第1酸化シリコン膜11が介在している。他の構成については上述した実施形態と同様であるので説明を省略する。
第1酸化シリコン膜11を設けることによって、基板1表面の結晶欠陥に由来する未結合手を効果的に終端させることができ、太陽電池素子の光電変換効率をより向上させることができる。
この第1酸化シリコン膜11は、カバーレッジに優れたALD法を用いることが望ましい。ALD法による原料ガスとしては、例えば、N,N,N’,N’,テトラエチルシランジアミン〈H2Si[N(C2H5)2]2〉ガスと、オゾン(O3)または水蒸気などとを用いて成膜できる。
ここで、第1酸化シリコン膜11の膜厚を、パッシベーション膜4よりも薄くする。これにより、パッシベーション膜4を形成する酸化アルミニウムの負の固定電荷が、第1酸化シリコン膜11の正の固定電荷に比べ優勢になる。そして、パッシベーション膜4のパッシベーション効果を低下させにくくすることができる。
第1酸化シリコン膜11の膜厚は、パッシベーション膜4の膜厚の半分未満であることが望ましい。例えば、パッシベーション膜4の膜厚が50nm程度であった場合には、第1酸化シリコン膜11の膜厚は、20nm程度として、第1酸化シリコン膜11の膜厚をパッシベーション膜4の膜厚の半分未満とすることが望ましい。これにより、第1酸化シリコン膜11に加え、後述する第2酸化シリコン膜12を形成した場合においても、パッシベーション膜4を形成する酸化アルミニウムの負の固定電荷が、第1酸化シリコン膜11の正の固定電荷に比べ優勢になる。このため、パッシベーション膜4のパッシベーション効果を低下させにくくすることができる。
<変形例2>
変形例2に係る実施形態は、図7に示すように、パッシベーション膜4と第2電極8bとの間に、パッシベーション膜4よりも薄い第2酸化シリコン膜12が介在している。他の構成については上述した実施形態と同様であるので説明を省略する。
変形例2に係る実施形態は、図7に示すように、パッシベーション膜4と第2電極8bとの間に、パッシベーション膜4よりも薄い第2酸化シリコン膜12が介在している。他の構成については上述した実施形態と同様であるので説明を省略する。
第2酸化シリコン膜12を設けることによって、第2電極8b形成時においてアルミニウムなどがパッシベーション膜4へ拡散しにくくすることができる。これにより、パッシベーション膜4のパッシベーション効果をより向上させることができる。
この第2酸化シリコン膜12は、第1酸化シリコン膜11と同様にカバーレッジに優れたALD法を用いることが望ましい。
さらに、第2酸化シリコン膜12の膜厚は、上述のようにパッシベーション膜4の膜厚の半分未満であることが望ましい。例えば、パッシベーション膜4の膜厚が50nm程度であった場合には、第2酸化シリコン膜12の膜厚は20nm程度であることが望ましい。
<変形例3>
変形例3に係る実施形態は、図8に示すように、第3電極8cの周縁部とパッシベーション膜4との間に第2電極8bが形成されている。他の構成については上述した実施形態と同様であるので説明を省略する。
変形例3に係る実施形態は、図8に示すように、第3電極8cの周縁部とパッシベーション膜4との間に第2電極8bが形成されている。他の構成については上述した実施形態と同様であるので説明を省略する。
第2電極8bを形成するための導電性ペースト(第4ペースト19)を形成した後に第3電極8cを形成するための導電性ペースト(第2ペースト17)を形成して焼成を行うことによって、第3ペースト18と第4ペースト19を異なる条件で焼成した場合と比較して、第2電極8bと第3電極8cとの接触抵抗が低下し、さらなる変換効率の向上を図ることができる。
なお、変形例3に係る第2ペースト17と第4ペースト19の成分は、上述と同様である。
<変形例4>
変形例4に係る実施形態は、第3電極8cを形成するための導電性ペースト(第2ペースト17)の金属成分が、主として銀とアルミニウムからなる。他の構成については上述した実施形態と同様であるので説明を省略する。
変形例4に係る実施形態は、第3電極8cを形成するための導電性ペースト(第2ペースト17)の金属成分が、主として銀とアルミニウムからなる。他の構成については上述した実施形態と同様であるので説明を省略する。
第2ペースト17に、銀の他にアルミニウムを添加することによって、第2ペースト17の焼成に伴い、第3電極8cの直下の基板1の第1半導体層2にもBSF層13が形成できる。これにより、BSF層13部分の少数キャリアの再結合を低減し、さらなる光電変換効率の向上を図ることができる。
なお、変形例4に係る第2ペースト17は、金属成分の組成を除いて、他の成分は、上述と同様である。
また、発明者らが繰り返し行ったテストの結果では、金属成分における銀は85〜99.5質量%程度であり、アルミニウムは0.5〜15質量%程度であることがより望ましい。これにより、第3電極8cの直下の基板1の第1半導体層2に良好なBSF層13を形成できるとともに、第3電極8cへのハンダ付けも可能になる。
さらに、第1電極8aを形成するための導電性ペースト(第3ペースト18)と第3電極8cとを形成するための導電性ペーストを同一材料にすることが望ましい。これにより、スクリーン印刷法で、第3ペースト18と第2ペースト17とを同時に印刷することが可能になり、太陽電池素子10の製造工程における工数の削減を図ることができる。
以下に、本発明の実施形態をさらに具体化した実施例について説明する。
<実施例1>
まず、半導体基板としてp型の導電性を有する第1半導体層2を有する基板1を用いた。基板1は、平面視して正方形の一辺が約156mm角、厚さが約200μmの多結晶シリコン基板である。これらの基板1をNaOH水溶液でエッチングして、その後、洗浄を行った。そして、基板1に対して、以下の処理を行った。
まず、半導体基板としてp型の導電性を有する第1半導体層2を有する基板1を用いた。基板1は、平面視して正方形の一辺が約156mm角、厚さが約200μmの多結晶シリコン基板である。これらの基板1をNaOH水溶液でエッチングして、その後、洗浄を行った。そして、基板1に対して、以下の処理を行った。
まず、基板1の第1主面1a側にRIE法を用いてテクスチャを形成した。
次に、基板1にガス状にしたPOCl3(オキシ塩化リン)を拡散源とした気相熱拡散法によって、リンを拡散させて、シート抵抗が90Ω/□程度となるn型の第2半導体層3を形成した。なお、基板1の第2主面1b側に形成された第2半導体層3をフッ硝酸溶液で除去して、その後、PSGをフッ酸溶液でエッチングして除去した。
次に、基板1の片面にALD法を用いて酸化アルミニウムからなるパッシベーション膜4を形成した。
ここでは、成膜装置のチャンバー内に基板1を載置して、基板1の表面温度が100〜200℃程度になるように維持した。そして、アルミニウム源材料としてTMAを用い、酸化剤としてオゾンガスを用いて、約30nmの厚さのパッシベーション膜4を形成した。
その後、第1主面1aの上にプラズマCVD法によって窒化シリコン膜からなる反射防止層5を形成した。
そして、基板1の上に、表面電極7を形成する銀粉末を主成分とする第1ペースト16を塗布して乾燥させ、第3電極8cを形成する銀粉末を主成分とする第2ペースト17を塗布して乾燥させた。また、基板1の上に、第1電極8aを形成するアルミニウムからなる金属粉末を主成分とし、さらに亜鉛が添加された第3ペースト18を塗布して乾燥させた。その後、第1ペースト16、第2ペースト17、第3ペースト18を800℃で焼成して、表面電極7、第1電極8a、第3電極8cを形成した。
次に、基板1の上に、第2電極8bを形成するアルミニウムからなる金属粉末を主成分とする第4ペースト19を、第2電極8bが形成されない部位のほぼ全面に塗布して乾燥させた。そして、これを690℃で焼成して第2電極8bを形成した。
このようにして、表1に示す試料1〜7の第1電極8aおよび第2電極8bを有する太陽電池素子10を作製した。各試料の亜鉛含有量はEDS(Energy Dispersive X-ray Spectrometry)で分析した。なお、以下に説明する、実施例2の試料11〜16および比較例の試料8〜10についても同様の分析を行った。
表1に示すように、第1電極8aのアルミニウムに対する亜鉛の含有量は、0.1原子%(試料1)、0.5原子%(試料2)、1原子%(試料3)、3原子%(試料4)、5原子%(試料5)、10原子%(試料6)、15原子%(試料7)であった。
<実施例2>
実施例1と共通する部分については説明を省略する。
実施例1と共通する部分については説明を省略する。
基板1の上に、表面電極7を形成する銀粉末を主成分とする第1ペースト16を塗布して乾燥させた。また、基板1の上に、第3電極8cを形成する銀粉末を主成分とする第2ペースト17を塗布して乾燥させた。また、基板1の上に、第1電極8aを形成するアルミニウムを含む金属粉末を主成分とし、さらに亜鉛が添加された第3ペースト18を塗布して乾燥させた。その後、第1ペースト16、第2ペースト17、第3ペースト18を800℃で焼成して、表面電極7、第1電極8a、第3電極8cを形成した。
次に、基板1の上に、第2電極8bを形成するアルミニウムを含む金属粉末を主成分とし、さらに亜鉛が添加された第4ペースト19を第3電極8cが形成されない部位のほぼ全面に塗布して乾燥させた。そして、690℃で焼成して第2電極8bを形成した。このようにして、表1に示す試料11〜16の第1電極8aおよび第2電極8bを有する太陽電池素子10を作製した。表1に示すように、第1電極8aのアルミニウムに対する亜鉛の含有量は1原子%であった。また、第2電極8bの亜鉛の含有量は0.1原子%(試料11)、0.5原子%(試料12)、3原子%(試料13)、5原子%(試料14)、10原子%(試料15)、15原子%(試料16)であった。
<比較例>
実施例と共通する部分については説明を省略する。
実施例と共通する部分については説明を省略する。
基板1の上に、表面電極7を形成する銀粉末を主成分とする第1ペースト16を塗布して乾燥させた。また、基板1の上に、第3電極8cを形成する銀粉末を主成分とする第2ペースト17を塗布して乾燥させた。また、基板1の上に、第1電極8aを形成するペーストに亜鉛を添加していない第3ペースト18を塗布して乾燥させた。その後、第1ペースト16、第2ペースト17、第3ペースト18を800℃で焼成して、表面電極7、第1電極8a、第3電極8cを形成した。
次に、基板1の上に、第2電極8bを形成するアルミニウムを含む金属粉末を主成分とし、さらに亜鉛がそれぞれ0、3原子%、5原子%添加された第4ペーストを第3電極8cが形成されない部位のほぼ全面に塗布して乾燥させた。そして、これを690℃で焼成して第2電極8bを形成した。このようにして、表1に示す試料8〜10の第1電極8aおよび第2電極8bを有する太陽電池素子10を作製した。第2電極8bのアルミニウムに対する亜鉛含有量は、0原子%(試料8)、3原子%(試料9)、5原子%(試料10)であった。
<光電変換効率>
上述のように作製した試料1〜11について光電変換効率を測定した。光電変換効率の測定は、JIS C 8913に基づいてAM(Air Mass)1.5および100mW/cm2の条件下にて測定した。なお、光電変換効率の測定結果は、試料8の測定値を100として規格化した光電変換効率を示す。
上述のように作製した試料1〜11について光電変換効率を測定した。光電変換効率の測定は、JIS C 8913に基づいてAM(Air Mass)1.5および100mW/cm2の条件下にて測定した。なお、光電変換効率の測定結果は、試料8の測定値を100として規格化した光電変換効率を示す。
第1電極8aに亜鉛が含まれている試料1〜7、および、第1電極8aおよび第2電極8bの双方に亜鉛が含まれている試料11は、第1電極8aおよび第2電極8bのいずれにも亜鉛が実質的に含まれていない試料8と比較すると、以下のことが分かった。表1に示すように、試料1〜7および試料11〜16では、少なくとも第1電極8aに亜鉛が含まれていたので、第1電極8aと第2電極8bとの接触抵抗の低下によるものと思われる光電変換効率の向上が確認された。特に、第1電極8aのアルミニウムに対する亜鉛を含む金属の含有量が0.5〜10原子%の試料2〜試料6では、第1電極8aの電気抵抗の増大を低減する効果が高く、光電変換効率を向上させることができた。
また、第1電極8aに亜鉛が実質的に含まれていないが、第2電極8bに亜鉛が含まれている試料9、10は、第1電極8aに同程度の量の亜鉛が含まれている試料4、5と比較すると、光電変換効率の向上がみられなかった。
さらに、第1電極8aに亜鉛が含まれており、第2電極8bのアルミニウムに対する亜鉛の含有量が0.5〜10原子%の試料12〜15では、試料4〜6と同様に光電変換効率が高くなった。このように、亜鉛の含有量を上記範囲にすることによって、第2電極8
bの電気抵抗の増大を低減できた。
bの電気抵抗の増大を低減できた。
1 :基板(半導体基板)
1a:第1主面(表主面)
1b:第2主面(裏主面)
2 :第1半導体層(p型半導体層)
3 :第2半導体層(n型半導体層)
4 :パッシベーション膜
5 :反射防止層
7 :表面電極
7a:バスバー電極
7b:フィンガー電極
7c:サブフィンガー電極
8 :裏面電極
8a:第1電極
8b:第2電極
8c:第3電極
10 :太陽電池素子
10a:第1主面(表主面)
10b:第2主面(裏主面)
11 :第1酸化シリコン膜
12 :第2酸化シリコン膜
13 :BSF層
16 :第1ペースト
17 :第2ペースト
18 :第3ペースト
19 :第4ペースト
1a:第1主面(表主面)
1b:第2主面(裏主面)
2 :第1半導体層(p型半導体層)
3 :第2半導体層(n型半導体層)
4 :パッシベーション膜
5 :反射防止層
7 :表面電極
7a:バスバー電極
7b:フィンガー電極
7c:サブフィンガー電極
8 :裏面電極
8a:第1電極
8b:第2電極
8c:第3電極
10 :太陽電池素子
10a:第1主面(表主面)
10b:第2主面(裏主面)
11 :第1酸化シリコン膜
12 :第2酸化シリコン膜
13 :BSF層
16 :第1ペースト
17 :第2ペースト
18 :第3ペースト
19 :第4ペースト
Claims (6)
- 表主面および該表主面の反対側に位置する裏主面を有する半導体基板と、
該半導体基板の前記裏主面に配置されているパッシベーション膜と、
該パッシベーション膜を多数箇所で貫通した状態で前記半導体基板に接している、亜鉛およびアルミニウムを導電成分として有する第1電極と、
前記パッシベーション膜および前記第1電極のそれぞれを覆っているとともに、前記第1電極に接している第2電極と、
を備えている、太陽電池素子。 - 前記半導体基板の裏主面がp型シリコンからなり、前記パッシベーション膜が酸化アルミニウムを主成分とする材料からなる、請求項1に記載の太陽電池素子。
- 前記第1電極および前記第2電極が、それぞれアルミニウムを主成分とする材料からなる、請求項2に記載の太陽電池素子。
- 前記第2電極に亜鉛を導電成分として含んでいる、請求項1乃至3のいずれかに記載の太陽電池素子。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の太陽電池素子の製造方法であって、前記第1電極は、アルミニウムと、アルミニウムよりも融点が低い、亜鉛を含む金属と、を導電成分として有する導電性ペーストを焼成して形成する、太陽電池素子の製造方法。
- 前記第1電極および前記第2電極は、いずれもアルミニウムを主成分とする導電性ペーストを焼成して形成するものであり、前記導電性ペーストの焼成温度は、前記第1電極よりも前記第2電極の方が低い、請求項5に記載の太陽電池素子の製造方法。
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