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JP2016162794A - 真空処理装置 - Google Patents

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JP2016162794A JP2015037608A JP2015037608A JP2016162794A JP 2016162794 A JP2016162794 A JP 2016162794A JP 2015037608 A JP2015037608 A JP 2015037608A JP 2015037608 A JP2015037608 A JP 2015037608A JP 2016162794 A JP2016162794 A JP 2016162794A
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浩平 佐藤
Kohei Sato
浩平 佐藤
勤 田内
Tsutomu Tauchi
勤 田内
英治 丸山
Eiji Maruyama
英治 丸山
崇 植村
Takashi Uemura
崇 植村
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Abstract

【課題】エネルギー消費が小さく生産性の高い真空処理装置を提供する【解決手段】真空容器とその内部に配置された処理室内に配置されその上面に処理対象の試料が載せられる試料台とを有して当該処理室内に形成されたプラズマを用いて前記試料が処理される複数の処理ユニットと、これらの処理ユニット内の各々の前記試料台内に配置された冷媒流路と連結されて所定の温度に調節した冷媒を供給して循環させるチラーとを有し、前記冷媒が前記チラーから吐出された後に分岐して前記複数の試料台の冷媒流路に供給されこれらの試料台の冷媒流路の各々から流出して合流した後前記チラーに戻る循環の経路と、前記冷媒が前記チラーから吐出され前記分岐部及び複数の試料台並びに合流部をバイパスして前記チラーに戻る別の循環の経路とを備えた真空処理装置。【選択図】 図4

Description

本発明は、真空容器内の処理室内に配置された試料台の上面上方に載せられた半導体ウエハ等の基板状の試料を当該処理室内に形成したプラズマを用いて処理する真空処理装置に係り、試料台の内部に冷媒を供給しつつ当該試料を処理する真空処理装置に関する。
半導体ウエハなどの試料を試料台に載せて、その上部に発生させたプラズマにより試料に処理を行うプラズマ処理装置であって、例えば、プラズマと試料との間の化学反応によって試料表面の対象膜を除去したり、試料表面に膜を堆積させたりしている。このようなプラズマ処理では、化学的に活性なプラズマを用いて、イオンや活性ガス種と試料との間の化学反応により処理が進行している。ここで、前記化学反応が起こるかどうか、あるいは、化学反応によって生成された反応生成物が気体となって試料表面から脱離・放出されるか、あるいは、この反応生成物が固体となって試料表面に堆積するかは、前記試料の温度に大きく影響される。
例えば、半導体製造エッチングプロセスでは、被エッチング膜の上面に、所望のパターン形状を有したマスクを形成し、このマスクパターンに沿って、被エッチング膜をエッチングする。すなわち、前記被エッチング膜は、前記マスクで覆われた部分はエッチングされずに残り、前記マスクで覆われていない部分はエッチング、除去される。
高い精度と信頼性や再現性を有するエッチング処理を実現する上で、以下の点が課題として挙げられる。
まず、マスクパターンに沿って、被エッチング膜を垂直にエッチングすることである。この際に、化学的に反応性の高いプロセスでは、マスクの下部まで反応性ガスが廻り込んでエッチングが進行してマスクパターンの線幅に対して被エッチング膜の線幅が狭くなるという現象が生じる。
一方で、反応生成物が被エッチング膜の側壁に付着しこれが堆積すると、マスクパターン対して被エッチング膜の線幅が太くなることになる。そこで、従来から、被エッチング膜の線幅を所望の形状にするために、試料の温度を最適な温度に調節することにより、所期の加工形状が得られるようにエッチング速度と反応生成物の固着速度との関係を調節することが行われている。
次の課題として、加工処理の結果あるいは処理の特性の、試料表面の面内方向についての均一性を高めることが挙げられる。試料の径が大きくなると試料の中心付近と外周付近では反応生成物の密度の差異が大きくなるため、エッチング速度や加工した溝や孔の深さと幅との比率といった処理の特性の差異も大きくなってしまう。そこで、従来の技術では、試料の面内方向についてこれらの不均一を抑制できるように、試料の半径方向、あるいは周方向についての試料の温度を所望の変化率や分布を有する分布となるように調節している。
さらに、複数の膜が積層された多層膜を同じ処理室で処理することが課題となる。近年の半導体プロセスでは、複数に積層された異なる膜種を一貫してエッチング処理することが求められている。このような膜構造では、異なる材質によって構成された各膜層について処理に最適な温度が異なることが一般的であるが、このような膜構造の複数の膜層を同一の処理室内の試料台に載せた状態で連続的に処理するためには、試料台が複数の温度の値及びその分布を実現できる機能を備えることが必要となる。
通常、試料の温度の調節は試料台に載置し、試料台と試料との間にHe等の熱伝導ガスを充填して熱伝導性を高めている。さらに、チラーなどにより温度制御された熱交換流体(以下、冷媒)を試料台の内部に流して試料台および試料の温度を所望の温度とその分布になるように調節することが行われている。
しかし、多量の冷媒を循環させるチラーでは冷媒の温度を変更するには時間がかかり、試料上に予め形成された複数膜層を処理しようとすると一枚当たりの処理に要する時間が長くかかり全体としての装置による処理の効率が低下してしまう。このような問題点に対して、従来から試料台内部にヒータを配置して試料台の試料を載置する表面を所望の温度に短時間で変化させ膜種毎に異なる温度とその分布にする技術が考えられている。
この従来技術においても、チラーにより温度が所定の範囲の値にされた冷媒を試料台に供給して試料台延いてはその上に載せられる試料の温度を調節している。そして、冷媒は、試料台の温度が周方向及び半径方向についての分布の不均一を低減するように供給しつつ、試料台内のヒータに供給する電力を調節することにより試料台表面または試料の温度を所望の値とその分布となるようにしている。
例えば、試料台の温度が設定値より低いと判定された場合には、ヒータに供給する電力を増大させることで発熱量を増大させ試料台の温度を上げることが出来る。逆に、試料台または試料の温度が設定値より高いと判定された場合には、ヒータの出力を下げる或いはオフにすることによって、試料台の内部に供給された試料台上面または試料の温度より低い温度に調節された冷媒により試料台を冷却して温度を下げることが出来る。
一般的に、チラーには内部に冷凍サイクルを利用した冷媒の温度の調整手段や、開度を可変に調節できるバルブを用いた突出圧力あるいは流量の調整手段を有している。また、このような冷媒の温度調節機であるチラーに対してプラズマ処理装置の動作を調節する制御器からチラーに設定信号を送ったり、装置の使用者が指令を入力して当該チラーに設定値を指令したりして冷媒の流量や温度が所望の値に調節される。
近年では、一つの半導体デバイスを製造するための半導体ウエハの処理装置に複数の処理ユニットを搭載する構成が一般的である。このような構成では、各々の処理ユニット毎に1台ずつ、もしくは複数のチラーが冷媒を供給可能に接続されている。
このような構成では処理ユニット毎に内部の処理室内の試料台の温度を別の値に調節することも可能である。このことにより、処理ユニット毎に異なる処理を可能としている。
このような技術の例としては、特開平8−181110号公報(特許文献1)に開示のものが知られている。
特開平8−181110号公報
しかしながら、上記従来技術では次の点について考慮が不十分であったため問題が生じていた。
すなわち、半導体デバイスを製造するにおいては、通常、1つの建屋内に多数の処理装置を設置して同時に並行してこれらの装置を可動させて処理を並列に実施することで、デバイスの所謂大量生産がなされる。建屋の内部では当該生産中に、これら複数の半導体処理装置に、処理前の半導体ウエハ等の試料を搬送して処理後の試料を各装置から回収される。特に、同じ構成の半導体デバイスを製造するために半導体ウエハを処理して多数のデバイスを製造するために、これらの複数の半導体処理装置には、複数試料の間で同一かまたはこれと見做せる程度に近似した実質的に同等な仕様でその表面に処理対象の膜とマスク層とを含む複数の膜構造が予め形成された半導体ウエハ複数を内部に収納したカセットあるいはフープ(FOUP)が搬送されてその前面部分に配置された複数のカセット台の上面に載せられて処理装置に装着される。
このような場合、複数の処理装置ではこれらが備える複数の処理ユニットにおいては同じ仕様の試料の同じ処理対象の膜に対して同一かまたは実質的に同等の条件で処理が実施されるで、処理中に調節されるべき試料台の温度の設定も各処理ユニットの間で同一または実質的に同等であって共通と見做せるものとなる。このような構成において処理が実施される場合には、処理ユニット毎に独立して異なる温度あるいは流量で試料台に冷媒を供給可能にチラーを具備する必要はないことになる。例えば、所定の温度に設定された単一のチラーと複数の処理ユニット或いはこれらの内部の試料台とが接続または連結され、当該チラーから供給される冷媒が複数の処理ユニットに並行して供給される構成により、真空処理装置の複数の処理ユニットで並行して所期の結果が得られるように試料の処理を実施することができる。
寧ろ、各々の処理ユニット毎に接続された異なる冷媒の温度調節器を複数備えることで、全体での冷媒の分量やチラーの設置面積が増大してしまい、装置の構成が複雑となって設置のためのコストや消費電力を賄うための運用のコストが増大してしまう点について、上記の従来技術では考慮されていなかった。
さらに、近年の半導体デバイスの製造では、多くの種類のデバイスを少量ずつ生産する工程(多品種少量生産)が実施されている。このような半導体処理装置の運転では、複数の処理ユニット毎に異なる複数の処理を実施可能であることが求められる。
このような場合に、短時間で各々のユニット毎に試料台の表面または試料の温度を処理に適した温度にすることが必要となる。特に、試料を処理室内に保持したままで複数の種類の膜層を処理するあるいは処理の条件を異なる複数のものに変えて処理するような複数の処理のステップを実行して試料の処理を行う場合には、前後で実施される複数の処理のステップ同士間に次の処理の処理に適した値に試料または試料台の温度を変化させることが必要となる。
しかし、冷媒の温度の変化は一般的に非常に緩やかであり、処理のステップの間で上記温度を変化させると試料毎の処理に要する時間が長くなって真空処理装置の単位時間当たりの処理枚数(所謂スループット)が損なわれてしまう。一方で、短時間で温度を変化させようとして冷媒の量を低減すると冷媒の熱容量が低下して設定出来る温度の範囲が小さくなってしまう。このことから、短時間で試料台または試料の温度の値を広い範囲で変更可能な構成が求められていた。このような課題を解決する手段について上記従来技術では考慮が不十分であった。
さらに、チラーは、内部で冷媒を循環させるポンプを保護するために、最低吐出流量が定められていることが一般的である。通常、各処理ユニットが必要とする冷媒の流量に対して、チラーが必要とする最低吐出流量の方が多いと、試料台の内部に配置されてその内側を冷媒が通流する冷媒の経路の出入口と連結された冷媒の循環経路上には、冷媒が試料台の入口の手前で分岐して試料台内部を流れずに戻るバイパス流路が供えられる。さらに、最大吐出流量は、想定される複数の処理の条件において試料または試料台が最も高い熱量を受ける場合においても試料台から熱交換によって熱を除去できるだけの流量にされている。
この構成では、各処理ユニットが必要とする量以上の分の冷媒は当該バイパス流路に流れて必要な量が各処理ユニットに供給される。しかし、最大吐出流量と任意の処理条件における冷媒の必要な循環量との間の差が大きいと、チラーにおいて温度調節される冷媒の少なからぬ部分が処理ユニットには供給されずに戻ることになり、チラーによる温度の調節に消費されるエネルギーが試料台または試料の温度の調節に利用される効率が小さいものとなっていた。近年では、半導体デバイスの製造工程での消費エネルギーや電力を低減できることが、使用者から求められているが、従来の技術ではこれを十分に解決することができていなかった。
また、複数の処理ユニットに任意のチラーから冷媒を並行して供給している構成では、各処理ユニットにおいて処理室内部の部品、特に試料台の部品の交換やクリーニング等の保守、点検の作業が必要となった場合には、試料台への冷媒供給をストップして冷媒の流路に空気や窒素などを導入し、冷媒流路内に残存する冷媒を試料台または処理ユニットから排出する(パージする)必要がある。しかし、前記の通り、所定の温度に設定された単一のチラーから供給される冷媒を複数の処理ユニットで共有する場合、ある処理ユニットは処理を継続しつつ、別の処理ユニットではメンテナンスのために冷媒の供給を停止するあるいはパージしなければならないが、このような作業を短時間で効率良く行って処理の効率が低下してしまうことを抑制する手段について、上記従来技術では考慮されていなかった。
本発明の目的は、エネルギー消費が小さく生産性の高い真空処理装置を提供することにある。
上記の目的は、真空容器とその内部に配置された処理室内に配置されその上面に処理対象の試料が載せられる試料台とを有して当該処理室内に形成されたプラズマを用いて前記試料が処理される複数の処理ユニットと、これらの処理ユニット内の各々の前記試料台内に配置された冷媒流路と連結されて所定の温度に調節した冷媒を供給して循環させるチラーとを有し、前記冷媒が前記チラーから吐出された後に分岐して前記複数の試料台の冷媒流路に供給されこれらの試料台の冷媒流路の各々から流出して合流した後前記チラーに戻る循環の経路と、前記冷媒が前記チラーから吐出され前記分岐部及び複数の試料台並びに合流部をバイパスして前記チラーに戻る別の循環の経路とを備えた真空処理装置によって達成される。
本発明の第1の実施例を搭載した真空処理装置の全体の構成を模式的に示す図である。 図1に示す処理ユニットの構成の概略を模式的に示す縦断面図である。 図2に示す処理ユニットの処理室内に配置された試料台の構成の概略を模式的に示す縦断面図である。 図1に示す実施例の複数の処理ユニットに冷媒を供給する構成の概略を模式的に示す図である。 図2に示す実施例に係るチラー及び試料台を含む冷媒の循環経路の動作の流れを示すタイムチャートである。 図2に示す実施例に係るチラー及び試料台を含む冷媒の循環経路の動作の流れを示すタイムチャートである。
本発明の実施の形態を図面を用いて以下に説明する。
本発明の実施例を以下、図1乃至6を用いて説明する。
図1は、本発明の第1の実施例に係る真空処理装置の全体の構成を模式的に示す図である。図1(a)は、その上方から見た横断面図、図1(b)は斜視図である。これらは図上右方側を前方とし左方を後方にして示されている。
本真空処理装置は、大きく分けて前方側の部分に大気ブロック101と、その後方側に配置された処理ブロック102とを備え、これらの間を後述の複数のロック室105が連結している。なお、大気ブロック101の前方側(図上右方)には、内部に処理前或いは処理後の半導体ウエハ等の基板状の試料を複数枚収納可能なカセットまたはフープの図示しない搬送用の経路が配置されており、これらカセットやフープは当該通路を搬送されて真空処理装置に装着されたり取り外されて搬送されたりする。
また、このような真空処理装置の複数は、それら前面を当該搬送用の通路に面するように建屋内のクリーンルーム等の室内の床面上に並べられて配置される。また、建屋は複数階層から構成され真空処理装置の図1に示す本体が設置される階の真空処理装置が設置された領域の下方の階ではこの真空処理装置の設置の領域に対応する床面の箇所に、真空処理装置に供給される冷媒の温度を調節するチラーが複数台配置され、その間を冷媒通流用の管路を介して接続されている。
大気ブロック101は、大気圧下で試料をカセットまたはフープに対して搬入、搬出して内部に収納されている試料の収納位置決めや、ロック室105へ搬入して内部の収納位置への位置決め等の動作をする部分であり、その後方の処理ブロック102は大気圧から所定の真空度に減圧された圧力下で試料を搬送し、処理等を行なう箇所であっって、さらに前記所定の真空度の圧力と大気圧との間で圧力を上下させる機能を供えた部分である。
大気ブロック101は、内部の大気圧にされた搬送用の空間に搬送用のロボットを備えた直方体またはこれと見做せる程度に近似した実質的な直方体の形状を有した筐体106を有し、この筐体106の前面には処理用又はクリーニング用の半導体ウエハ等の基板状の試料が複数枚収納されているカセット107が搬送されて装着または取り外されるカセット台を複数備えている。
処理ブロック102は、減圧された真空容器内部の処理室に搬送された試料を処理室内に形成したプラズマを用いて処理する処理ユニット103−1,103−2,103−3,103−4と、上方から見た平面形が多角形であってその辺に相当する側壁とこれらの処理ユニットとが連結する真空容器である真空搬送容器と、この真空搬送容器の内部に配置された空間であって試料が減圧下で搬送される搬送室104と、この搬送室104と大気ブロック101の筐体106内の大気圧の搬送室とを連結して筐体106の背面に各々水平方向に並列に接続された複数のロック室105を備えている。この処理ブロック102は内部が減圧されて高い真空度の圧力に維持可能なユニットである。
真空搬送容器内の搬送室104内には、端部同士が関節により連結された複数の腕部を有し当該関節を軸周りに回転させて全体を伸長及び収縮可能な複数のアーム及びこれらのアームが連結され搬送室104の中央部に配置されて上下方向の軸回りに回転する中心部とを供えた真空搬送ロボット108が配置されている。また、本例の処理ユニット104−1〜4は、内部の処理室において異なる処理の条件を実現して内部に搬送された試料を処理可能な真空容器を備えている。また、本例の処理ユニット104−1〜4が実現する処理の条件は、相互に同等と見做せるものを含み、全く異なる条件を含む。
図示していないが、ロック室105は前方側及び後方側の端部の各々には、内部の室を密封して閉塞及び試料を大気側または搬送室104の側に搬入出可能に開放できるゲートバルブが配置され、密封された状態の内部を排気して搬送室104の圧力と同等の値まで減圧可能な真空ポンプと連結されている。
図2に処理ユニット103における真空容器内部の構成を示す。図2は、図1に示す処理ユニットの構成の概略を模式的に示す縦断面図である。
本処理ユニットは、図1に示す任意の1つ、例えば処理ユニット103−1を示している。本図において、処理ユニット103−1は、大きく分けて真空容器を有する真空容器部とその上方または側方周囲に配置されて内部の処理室にプラズマ形成用の電界または磁界を供給するプラズマ形成部と真空容器下方でこれに連結され内部の処理室と連通して排気して減圧するターボ分子ポンプを含む真空ポンプを供えた排気部とを供えている。さらに、図上処理ユニット103−1は、処理用のガス供給装置及び処理室内部の試料台に高周波電力を供給する高周波電源と接続されている。
処理ユニット103−1の真空容器部は、円筒形を有した真空容器204とその上部を構成して真空容器104の円筒形の側壁の上端部上方に載せられる円板形状を有した蓋201とを備えている。蓋201が真空容器104の側壁上部上方に載せられた状態で当該上端の部材とその下面外周縁部表面との間で対向するこれらに挟まれるOリングが変形することで内外が気密に封止される。
本図において蓋201は、円板形状を有した一つの部材として示されているが、この例に限定される必要は無く、複数枚の板状の部材で構成されていても良い。また、石英等の電界が透過可能は誘電体で構成された部材を含み、一部はプラズマを形成するための電力が印加されて電界を放出する金属製の円板形状を有した部材を含んでいても良い。
本図において、プラズマ形成部はプラズマ形成用の電界を供給するための電力を出力する電界供給電源210と、真空容器204の円筒形の側壁の側方周囲を囲んで配置され直流の電力が供給されて磁界を発生するソレノイドコイル212とを有している。電界供給電源210が発生する電界は、マイクロ波或いはUHFやVHF帯に属するものであり、前者ではマグネトロンが用いられ、後者では所定の周波数の高周波電源が用いられる。
電界供給電源210を用いてマイクロ波の電界を形成する場合には、マグネトロンはこれと蓋201との間に配置されて内部をマイクロ波の電界が伝播するものであって蓋201の上方に配置される図示しない導波管の端部に配置される。導波管は蓋201の径よりも小さな管径を有した円筒形の部分を有しその下端部は蓋201の上方でこれと同一または同等と見做せる近似した径を有した円筒形の空間と接続され、当該円筒形内に伝播したマイクロ波の電界が所定のモードが増幅された後蓋201を透過して処理室内に上方から導入される。
また、UHFまたはVHF帯の電界が用いられる場合には、電界供給電源210としての高周波電源は同軸ケーブルを通して蓋201内に配置された金属製の円板に接続される。高周波電源からの電力は同軸ケーブルを介して円板に供給されると、円板から放出される電界が蓋201を伝播して蓋201の下面を通して処理室内に上方から導入される。
ソレノイドコイル212は、真空容器204の円筒形の側壁の外周を囲んでリング状に配置された複数のコイルを供え、直流電力が供給されることにより磁場を形成する。形成された磁場はプラズマを形成するために処理室内に供給され、プラズマが発生する高さ方向の位置を試料の処理に適した所定の値にできるように供給される電力及びコイルの形状と位置とが予め調節されている。
真空容器204の円筒形の側壁部分の内側には処理室の円筒形を有した内部が配置されプラズマが形成される。処理室の下部には試料がその上面に載せられて保持される円筒形の試料台207が配置されている。試料台207の内部には、金属製の円板または円筒形の基材が配置されるとともに、当該基材は電界供給電源210が発生する電力のものより小さい所定の周波数の高周波電力を出力する高周波電源211と電気的に接続されている。
試料台207上方であって処理室のプラズマが形成される空間である放電部の上方には、試料台の上面と対向して配置され円板形状を有してその中央部に処理用のガスがその内側を通り処理室内に上方から流入する複数の貫通孔を備えたガス分散板(シャワープレート)202が配置されている。本例のガス分散板202は、処理室の天井面を構成する部材であって、蓋201と同様に石英等の電界が透過する誘電体材料により構成され、蓋201の下方にその下面との間にすき間を開けて配置される。
蓋201とガス分散板202との間のすき間は、ガス供給手段の供給用のガスラインと連結され試料の処理に使用される処理用ガスが当該すき間に導入される。また、本例の処理用ガスは単一または複数の種類のガスから構成されている。
このためガス供給手段のガスラインは、複数種類の本数を備えており、各々のガスライン上にはその管路の内部を通流する原子または分子から構成される複数種類のガスの各々の流量、速度を調節するガス流量制御器208が配置されている。これらのガス流量制御器208によって流量、速度が調節された処理に必要な種類のガス各々は、1つに合流したガスラインと接続されて合流して混合され、合流したガスラインの端部と接続された真空容器204またはその円筒形の側壁の上方に配置されたリング状の接続部材を通してすき間に導入される。
すき間に導入された処理用ガスは、すき間内を拡散して充満した後、ガス拡散板202の貫通孔を通って処理室内に導入される。なお、当該ガス供給手段は、試料の処理に用いられるガスのみでなく、処理室内部の表面の付着物を除去するためのクリーニング用のプラズマを形成する目的のもの、或いは処理室内を処理中のものより高い真空度まで排気する工程に用いられるものを供給するためのガスラインとガス流量制御器208とを備えていても良い。
処理室の試料台207の下方の底面には、処理室内に導入されたガスや処理中に処理室内に形成された生成物の粒子やプラズマの粒子を排気するための排気口213としての開口が、円筒形を有した試料台207の中心軸とその軸を合致またはこれと見做せる程度に近似した位置に軸を備えて配置されている。当該排気口213は、ターボ分子ポンプを含む真空ポンプ206の入り口と連通して、真空ポンプ206の動作に伴って排気口213を通して処理室内が排気されて減圧される。
排気口213と真空ポンプ206の入り口との間には、その間を連結する排気経路の流路開口の断面積を調節して排気の流量、速度を所望に増減する複数のコンダクタンス調整バルブ205が配置されている。コンダクタンス調整バルブ205は、排気経路の軸方向を横切る方向にその軸が配置されて当該横切る軸周りに回転する板状のフラップを有し、当該フラップが回転した角度に応じて排気経路の流路断面積が増減する構成を備えており、本例ではフラップ複数の表面が回転軸を含む面に並行にされて各々の端部が重なり合う状態で排気経路の断面積が最小にされ、これらフラップの軸を含む表面の方向が排気経路の軸方向に沿った状態で最大となる。これらの間の任意の角度となるようにフラップの回転を調節することで排気の流量、速度が調節される。
処理中または処理と処理との間の期間では、ガス分散板202の貫通孔を通して供給されるガスと排気口213を通した真空ポンプ206による排気とのそれぞれの流量、速度のバランスにより、処理室内の圧力は所定の値の範囲内に調節される。本実施例では、試料台207の上面の下方側の処理室側壁にその検知部が配置された真空計213を有し、この真空計213によって検出された処理室の圧力を示す情報を受信した図示しない制御装置が所定の圧力となるように、コンダクタンス調整バルブ205の回転の角度を調節する指令信号をコンダクタンス調整バルブ205を駆動するモータ等の駆動装置に発信する。
真空容器204の側壁は、真空搬送容器の側壁と、それらの間に試料搬送用の通路を開閉するゲートバルブを挟んで連結されている。真空搬送容器の内部の搬送室104内に配置された真空搬送ロボット108の何れかのアームの先端部上に載せられた状態で処理前の試料Wがアームの伸長の動作により処理ユニット103−1内の処理室に搬入され、試料台207に受け渡される。受け渡しの後に試料台207の上面に載せられた試料Wは、図示しない試料台207上面に配置された静電吸着用の電極に供給された電力により形成された静電気力により、試料台207上面に吸着されて保持される。
この状態で、試料Wと試料台207上面との間に熱伝達を促進するためのHeガス等の熱伝達ガスが供給される。さらに、ガス分散板202の貫通孔を通して処理用ガスが処理室内に供給されて処理室内が処理に適した圧力の範囲内の値に維持される。
次に、電界供給電源210からの電力が供給されて処理室内に電界が供給される。さらに、真空容器204の外周側に配置されたソレノイドコイル212により形成された磁界が処理室内に導入される。処理室内に導入された処理用ガスの原子または分子は、供給された電界及び磁界の相互作用により形成される電子の共鳴(電子サイクロトロン共鳴:ECR)により励起されてイオン等の荷電粒子やラジカル等の活性種が生成され放電部内にプラズマが形成される。
試料台207上面に試料Wが保持された状態で、高周波電源211からの出力が試料台207内の電極としての金属製の基材に供給され、供給された高周波電圧により当該基材の上面に配置された誘電体製の膜の上面上方に載せられ保持された試料Wの上方に、プラズマの電位との電位差に応じたバイアス電位が形成される。この電位差に応じてプラズマ中に含まれるイオン等の荷電粒子が試料Wの上面の方向に誘引しその表面に予め形成され配置された膜構造の表面に引き込んで衝突させることによる物理反応とラジカルと当該表面との化学反応との相互反応により処理対象の膜の処理が開始され進行する。
なお、本例の基材の上面上方に配置された誘電体製の膜は、試料Wとの間に静電吸着用の電荷を蓄積するためのもので、誘電体の材料を基材の表面に直接溶射することにより形成される。また、溶射による膜に代えて誘電体の板状の焼結体を接着剤を挟んで下方の部材と接合する等の方法によっても良い。
誘電体製の膜の内部には、試料Wを静電吸着できる静電気を形成するための膜状の電極複数が溶射等の方法によって形成されて配置され、これらは、それぞれ別の極性となるように、異なる直流電源と電気的に接続されている。また、誘電体製の膜の上面には複数の凹凸が形成され、試料Wが誘電体製の膜の上面上に載せられた状態で、試料Wの裏面との間にすき間が形成されるように構成されている。これらのすき間には、試料Wが静電気力により誘電体製の膜上に吸着され保持された状態で上述の熱伝達ガスが供給されて充填されたガスにより試料Wと試料台207、特に基材内部に配置された冷媒流路内を通流する冷媒との間の熱伝達が促進される。
試料台の詳細図を図3に示す。図3は、図2に示す処理ユニットの処理室内に配置された試料台の構成の概略を模式的に示す縦断面図である。
本例で試料Wは、図示のように試料台207の内部に配置された金属製の円板または円筒形状を有する基材311の上面に予め形成された誘電体製の膜である絶縁膜301の上面に載置される。基材311の内部には、同心状に多重に配置された円弧または螺旋状に配置され熱交換流体(以下、冷媒)がその内側を循環する冷媒流路305が配置され、内部を通流する冷媒と試料Wとの間で試料台207の部材を介した熱伝達によって試料Wの温度が所定の温度の範囲内の値に調節されている。
本実施例の冷媒は、冷媒流路305内を通流している間に、冷媒流路305の壁面との間で熱量を交換するものであって、熱量の交換に伴なう相変化を生じないものが用いられている。冷媒流路内で熱量を交換した結果加熱または冷却された冷媒は、真空容器204の外部に配置されたチラー等の冷媒の温度調節器に流入して戻され、当該温度調節器内で別の冷熱源との間で熱交換して所定の温度にされた後に再度冷媒流路305に供給されて、循環しつつ試料台207またはその上面に載せられた試料Wの温度を調節している。
冷媒流路305は、その冷媒の出入口は詳細には図示していない管路により真空処理装置100が設置される床面を有する階層の下方の階に配置されたチラー308と接続され、チラー308内部のポンプの動作によりこれから流出した冷媒が管路を通り冷媒流路305の入り口に流入後、出口から流出した冷媒は管路を通り再度チラー308に戻る経路を循環する。チラー308の内部で所定の温度に調節され所定の流量、速度に調節された冷媒が試料台207に供給されている。
絶縁膜301の内部には、上記の静電気力により試料Wを吸着するため膜状の電極302および303が配置されている。これらの電極302,303の各々には、正と負との各々の直流電圧が直流電源である静電吸着用電源310から印加されることにより、絶縁膜301の上部を挟んで試料Wに分極が発生し、静電気力により試料Wは試料台207の絶縁膜310上面に吸着され保持される。
本例の電極302,303は、試料Wの形状に合わせて絶縁膜310の円形またはこれと見做せる程度に近似した形状を有した載置面の中央部及びこの外周側でこれを囲むリング状の領域に各々が対応する絶縁膜310の内部の領域に各々が同等またはこれと見做せる程度に近似した値の面積を有して配置されている。本例の中央部に対応する電極302および外周側の領域に対応する電極303の形状は各々円形及びリング形状を有したものであるが、これに限られず試料Wを離脱させる際に電荷が偏って残存しないような面積を有して径方向または周方向の吸着力の不均一が抑制される他の形状も採用されて良い。またこれらの電極の間には誘電体製の絶縁膜310の材料が充填されて両者を絶縁している。
さらに、電極302,303の下方の絶縁膜301の内部には、膜状のヒータ316が、試料Wの形状に合わせて載置面の全体または中央部を含んでほぼ全体の領域に亘って、溶射によって形成されている。ヒータ316に供給される直流電源であるヒータ用電源307からの直流電力の大きさの増減により絶縁膜310または試料Wの加熱の量及び上面の温度が調節される。
試料台207上面を構成する絶縁膜310表面近傍の温度は、基材311内に配置された温度センサ304により検知され、温度センサ304からの出力を受信したコントローラ309において、ヒータ316による加熱の量とこれを実現する直流電力の大きさの値が算出されこれを実現する指令信号がヒータ用電源307に発信される。このことよって、試料載置面の温度あるいは試料Wの温度が所望の温度の範囲内の値になるようにヒータ316の出力が調節される。
また、絶縁膜301の表面である載置面には極浅い溝が複数、その中心から径方向に延在し且つ中心の周りに角度当たりにその面積が均等となるように、すなわち周方向に均等に形成されている。これらの溝によって試料Wを絶縁膜310にその上面上で吸着させた際に、試料Wと絶縁膜301との間に隙間空間312が形成される。
上記の溝の凹みの内側の表面には図示しないHeガスの貯留タンク等のガス源と連結された開口が配置され、試料Wが絶縁膜310上面上に静電吸着されて保持された状態で、当該開口にガス源からのHe等の熱伝達ガスが供給され、開口から試料Wと絶縁膜310との間の隙間空間312に供給される。ガス源と溝内の開口との間のHe供給ライン上には、及び供給ラインの接続及び閉塞を調節するためのバルブ313及びガス流量制御器314とが配置されている。これらの動作はコントローラ309からの指令信号に応じて調節され、隙間空間312内のガスの圧力が、例えば1kPa程度の圧力に維持されて、試料Wと試料台207との間の熱伝達延いてはその温度が調節される。
次に、図4を用いて本実施例において複数の処理ユニットに単一のチラー308から冷媒を供給する構成について説明する。図4は、図1に示す実施例の複数の処理ユニットに冷媒を供給する構成の概略を模式的に示す図である。図4(a)は処理ユニット103−1と処理ユニット103−2との各々の試料台207−1,207−2にチラー308から冷媒を並行して供給する構成を、図4(b)は処理ユニット103−1の試料台207−1では冷媒の供給を停止し希ガスを供給しつつ処理ユニット103−2の試料台207−2にチラー308から冷媒を供給する構成を示している。
本実施例では、チラー308は試料台207−1,207−2との間で冷媒の循環する経路を構成している。具体的には、冷媒のチラー308からの吐出口に接続された冷媒の供給側の1つの経路は、試料台207−1,207−2の冷媒流路305の入り口までの間で2つに分岐して、分岐した各々の先が試料台207−1,207−2の冷媒流路305の入り口に接続される。また、試料台207−1,207−2の冷媒流路305の各々の出口に接続された戻り側の2つの経路は、チラー308の冷媒の戻り口までの間で合流して1つの経路となり、チラー308の戻り口に接続される。
さらに、チラー308の吐出口に接続された1つの供給側の経路であってこれが2つの試料台各々に接続される2つの経路に分岐する分岐部441と吐出口との間の所定の箇所と、チラー308の戻り口に接続された1つの戻り側の経路であって2つの試料台の冷媒流路305の出口に接続された2つの冷媒の戻り経路が合流する合流部442と戻り口との間の所定の箇所との間を接続して冷媒が内部を流れる経路であるバイパス流路443とを備えている。バイパス流路443上には流れる冷媒の流量を調節する流量制御弁431が配置されている。チラー308から供給される任意の量の冷媒のうち処理ユニット103−1及び処理ユニット103−2に必要とされる量以外のものはバイパス流路443を通りこれらに供給されることなく戻り口からチラー308に戻り循環する。
図4(a)の例では、処理ユニット103−1および処理ユニット103−2の両者において試料Wの処理が実施されるか実施可能な状態にされている。チラー308の供給側の経路の分岐部441と試料台207−1,207−2の冷媒流路305の入り口との間の各々を接続する供給側の経路上には、各々の経路の開放及び閉塞の2つの動作をするバルブ411,421と経路の流路断面積を増減して冷媒の流量速度を可変に調節する流量制御弁415,425とが、冷媒流路305に向かう冷媒の流れに沿ってこの順で備えられている。
また、試料台207−1,207−2の冷媒流路の各々出口とチラー308の戻り側の経路の合流部442との間を接続する各々の戻り経路上には、冷媒の流量計416,426と各々の経路の開放及び閉塞との2つの動作をするバルブ412,422とが合流部442に向かう冷媒の流れに沿ってこの順で配置されている。
また、2つの供給側の経路上の流量制御弁415,425と試料台207−1,207−2の冷媒流路305の入り口との間の所定の箇所で、冷媒の供給及び戻り経路並びに冷媒流路305に供給される窒素等の希ガスを冷媒供給用の経路に供給する希ガス供給経路と連通した開口が配置されている。希ガス供給経路は、その一端側が希ガスの貯留タンクを含むガス源と接続されるとともに他端の側は分岐して各々の試料台207−1,207−2用の2つの冷媒の供給経路の各々に接続され上記開口と連通されている。また、各々の分岐した部分上には内部の経路の開放と閉塞との2つの動作をするバルブ413,423が配置されている。
また、2つの試料台207−1,207−2の冷媒流路305の出口からこれらと接続された2つの冷媒の戻り側の経路の合流部442までの間の当該2つの冷媒の戻り流路各々の上の流量計415,426とバルブ412,422との間の所定の箇所には、チラー308から供給された冷媒またはガス源から供給された希ガスを外部に排出する各々の排出経路と連通した開口が配置されている。各々の排出経路上には当該各々の経路の開放と閉塞との2つの動作をするバルブ414,424が配置されている。
以上のように、本実施例では、チラー308と2つの試料台207−1,207−2との間に、チラー308の吐出口から流出された冷媒が分岐部441で分岐して後にバルブ411、流量制御弁415、試料台207−1の冷媒流路305を通って戻り経路を通り流量計416、バルブ412を通って合流部442に至りチラー308の戻り口に戻る第1の循環経路と、分岐部441で分岐して後にバルブ421、流量制御弁425、試料台207−2の冷媒流路305を通って戻り経路を通り流量計426、バルブ422を通って合流部442に至りチラー308の戻り口に戻る第2の循環経路と、チラー308の吐出口から流出された冷媒がバイパス流路443を通り上記2つの戻り経路の合流部442とチラー308の戻り口との間の戻り経路に接続してチラー308の戻り口に戻る第3の循環経路とを有している。
チラー308は、内部に配置された冷凍サイクル等の温度調節手段により所定の温度に制御された冷媒を内部に配置されたポンプの駆動により所定の圧力で吐出口から吐出する。本実施例では各処理ユニット103−1,103−2が備えるか遠隔された位置で通信可能に接続された図示しない制御器からの指令信号を受けて、バルブ411またはバルブ421が開放されて、チラー308からの冷媒は分岐部441で分流された後処理ユニット各々の試料台207−1,207−2に供給され、これら或いはその上面上方に載置され保持された試料Wとの間でこれらの温度を処理に適した所定の範囲の値に調節するために熱交換した後、戻り側の経路を通り合流部442で合流した後にチラー308に戻る循環をする。
このとき、各試料台207−1,207−2各々の冷媒流路305に流れる第1、第2の循環経路における冷媒の流量は、流量計416,426で検出される。上記の制御部は検出された結果を示す出力を受信して各試料台207−1,207−2を通流して循環する流量が設定された範囲の値となる、指令信号を流量制御弁415,425、およびバイパス流路443上の流量制御弁431に発信してその動作を調節する。
例えば、処理ユニット103−1,103−2各々に流れる冷媒の流量が安定している状態から、処理ユニット103−1の流量を増やす場合、流量制御弁415の開度が大きくなる。一方、処理ユニット103−2の流量は、設定された元の流量が維持されるように、流量制御弁425,431の開度の増減あるいはチラー308から吐出される冷媒の流量の増加量の調節が為される。
なお、図4(a)に示される状態は、2つの処理ユニット103−1,103−2共に試料Wの処理を実施中またはこれを可能にされている状態であるため、第1及び第2の循環経路各々の上のバルブ411,412,421,422は開放された状態で維持されている。さらに、希ガスの供給経路上に配置されたバルブ413,423及び排出経路上に配置されたバルブ414,424は気密に閉塞された状態で維持されている。
図4(b)は、処理ユニット103−2は試料Wの処理を継続またはこれを実施可能に各部が維持された状態で、他方の処理ユニット103−1において試料台207−1に接続された第1の循環経路の冷媒を排出して試料台207−1の保守点検を実施可能にされた状態を示した図である。本図において、冷媒の第1の循環経路では合流部441から試料台207−1への冷媒の供給が遮断され且つ試料台207−1から合流部442移行への戻りが遮断される。
この為に、図示しない制御部からの指令信号に応じてバルブ441,412が閉塞されバルブ414が開放される。次に、バルブ413が開放されて窒素等の希ガスがガス源から第1の循環経路内に導入される。冷媒は、バルブ413並びにバルブ414が開放されることにより、供給される窒素ガスに押し出される形で、供給側の経路、冷媒流路305及び戻り側の経路から排出経路を通り外部に排出される。
この際、バルブ421,422は開放の状態が、バルブ423,424は気密に閉塞された状態が維持されているので、チラー308を含む冷媒の第2の循環経路は維持され、処理ユニット103−2における試料Wの処理またはこれを可能にする状態が継続される。さらに、処理ユニットで熱交換して温度の調節をするための循環を必要とされる冷媒の量は低下することになるため、チラー308から吐出される冷媒の量は、制御部からの指令信号に応じて、その吐出ポンプの駆動が調節されると共にバイパス流路441上の流量制御弁431の開度が調節されて、低減される。
図4(a)に示すように、処理ユニット103−1,103−2各々にチラー308から冷媒を並行して供給している状態から、図4(b)に示すように、処理ユニット103−1のみをメンテナンス出来る状態にするまでの各バルブや、流量制御弁の動きを、図5を用いて説明する。図5は、図2に示す実施例に係るチラー及び試料台を含む冷媒の循環経路の動作の流れを示すタイムチャートである。
本図に示すように、処理ユニット103−1で任意の試料Wの処理が終了した後試料台207−1の保守あるいは点検のために、試料台207−1の冷媒流路305を通る冷媒の循環を停止する。まず、当該試料Wの処理が終了した後、処理ユニット103−1に供給され試料台207−1内を流れる冷媒を停止するように設定する(冷媒の流量速度を0L/minに設定する)。
この際、流量制御弁415はその開度の大きさが徐々に低減され(絞られ)、処理ユニット103−1に供給され循環する冷媒の流量を低減させていく。この際、処理ユニット103−2では試料Wの処理は継続か或いはこれを可能な状態に維持されており、処理ユニット103−2に供給される冷媒の流量は流量制御弁415の上記動作の前後で一定に保たれるべきである。処理ユニット103−2の試料台207−2を通流する冷媒の流量は、流量制御弁425の開度の増減により適切な値の範囲内となるよう調節されているが、処理ユニット103−1に流れる冷媒流量を絞るために流量制御弁415の開度を急速に低下させると、冷媒の循環経路を構成する管路内の冷媒の圧力が急激に変動してしまい、これが処理ユニット103−2に供給される冷媒の流量に影響を与えてこれが一時的に変動してしまう虞がある。
そこで、本実施例では、流量制御弁415はこのような悪影響が抑制され生起されないように開度を徐々に低減する。この際、図示しない制御部は、流量計426からの出力を所定の周期毎に受信してその変動を検出し、流量の変動した値の所定値に対する割合や時間当たりの変化率が許容範囲を超えた場合に、これを低下させるように流量制御弁415或いは流量制御弁431の開度を調節する。
例えば、流量計426が検出した流量の変化率が許容値を超えた場合にはこれが許容範囲内となるように流量制御弁の開度の減少率を低下させる。このような構成により、本実施例では、処理ユニット103−1における試料台207−1へ供給される冷媒を停止させる際に、処理ユニット103−2に流れる流量の変動が低減され当該処理ユニットでの試料Wの処理に対する悪影響を低減して処理の歩留まりや効率が損なわれることが抑制される。
また、本実施例ではチラー308のポンプを安定に駆動するために必要な最低吐出流量を維持するため、流量制御弁415の開度の低減の動作または流量計416で検出される流量の低下に合わせて並行して流量制御弁425の開度が徐々に低減される。さらに、この流量制御弁425の開度の低下の開始後に流量制御弁431の開度を徐々に増加させバイパス流路443に流れる冷媒の流量を増大させる。
このようにして、処理ユニット103−1に流れる流量がほぼ0L/minになった状態で、処理ユニット103−2に流れる流量が安定した状態で、バルブ411,バルブ412が閉じられる。本例では、バルブ411が閉塞された後、所定の時間が経過して冷媒を合流部442を通してチラー308に戻した後に、バルブ412が閉塞される。
この状態では、処理ユニット103−1とチラー308との間を接続する冷媒の供給及び戻りの経路は、バルブ411,412によって気密に封止されている。しかし、この状態で排出経路上のバルブ414を開放しても、試料台207−1の冷媒流路305の内部等のコンダクタンスが小さい箇所等には冷媒が残存している場合が有る。このような残存した冷媒は試料台207−1あるいは処理ユニット103−1の保守や点検の効率的な作業や安全性を妨げる虞がある。
そこで、バルブ413を開放して上記の経路内に窒素ガスを導入して当該内部の冷媒を排出経路を介して外部にパージする。まず、バルブ414を開き、その先を冷媒回収容器等に接続する。その後所定の時間が経過後に、バルブ413が開かれて冷媒の供給側の経路内に窒素ガスが導入されることにより、窒素ガスに押し出される形で冷媒が排出経路から排出される。
排出経路からの冷媒の排出が停止または許容される程度に少量に成ったことが確認されると、パージを終了して、バルブ413が、その後所定の時間後にバルブ414が閉塞されて冷媒の経路内が気密に封止される。この状態で、処理ユニット103−1の真空容器204の内部を大気に開放して内部から試料台207−1をユニットとして処理室外に取り外す。或いは試料台207−1の部品のみを、または処理室内部の部品を交換したり清掃したりするといった、保守や点検の作業が実施される。なお、パージされ排出された冷媒は図示しない回収用の容器に貯留しても良いし、窒素ガスが混じらないようにした上でチラー308内のタンクに貯留されるようにしてもよい。
次に、図5に示した処理ユニット103−1への冷媒供給を停止した状態でメンテナンス作業を完了した後、試料Wの処理を可能な状態にするための処理ユニット103−1の動作の流れを図6を用いて説明する。図6は、図2に示す実施例に係るチラー及び試料台を含む冷媒の循環経路の動作の流れを示すタイムチャートである。
図6では、その左端に、図5に示したように試料台207−1内の冷媒流路305を含む冷媒の第1の循環経路の一部を他と気密に区画してその内部の冷媒を窒素ガスを内部に供給してパージした後、真空容器204内部を大気開放し試料台207−1を含む処理室内の部品の交換や清掃等の保守や点検を可能にしている状態として示している。この状態で、流量制御弁415は閉塞または最小の開度の状態にされバルブ411,412,413,414は気密に閉塞された状態となっている。
まず、保守や点検の作業が終了すると、図示しない制御部は、流量調整弁415が閉じた状態になっているのを検出した後、指令信号を発信してバルブ411を開放させる。図5の動作において、流量制御弁415が閉塞されており、バルブ411を開く際に処理ユニット103−2に供給されて第2の循環経路を循環する冷媒の流量への影響が低減されている。また、バルブ412も閉塞状態にして第2の冷媒の循環経路内の冷媒の循環にバルブ411の開放による冷媒の第1の循環経路への流入による影響が低減されるようにして、その後に開放するようにしても良い。
次に、制御部において試料台207−1の冷媒流路305に冷媒が供給され第1の循環経路を循環させる冷媒の流量が設定されると、これからの指令信号に応じて流量制御弁415の開度が徐々に増加されて、処理ユニット103−1へ供給される冷媒の流量が設定された流量になるように調節される。これに並行して、制御部からの指令信号に応じて、第2の循環経路上の流量制御弁425の開度が徐々に増加され、あるいはバイパス流路431上に配置された流量制御弁431の開度が徐々に低減され、試料Wを処理中であったとしても処理ユニット103−2に供給され循環する冷媒の流量の変動が抑制され、好ましくは一定となるように調節される。
上記の実施例では、単一のチラー308から複数の処理ユニット103−1,103−2の各々の試料台207−1,207−2に並行して冷媒を供給して循環させ、この状態から何れか一方への供給、循環を停止してメンテナンス等の作業を実施した後、再度冷媒の供給、循環を開始して試料Wの処理を可能な状態にする動作を可能にする構成とその動作の流れを説明した。このような処理ユニット内に配置された試料台への冷媒の供給または循環の量を変動させた際に、その影響を受けて他の処理ユニットでの試料台に供給される冷媒の量が変動して冷媒の熱交換の量がしてしまい延いては試料Wの温度が変動することになる。
このような試料Wの温度の変動を低減するために、試料台207の絶縁膜310内に配置されたヒータ316に供給する電力を、試料台207の基材311の温度から検出した絶縁膜310の表面または試料Wの温度を所期の温度にするように、フィードバック制御して調節するようにしても良い。上記実施例の構成において、1つの処理ユニットに冷媒を循環させる量に対する他の処理ユニットへ供給する冷媒の流量、速度の変動の影響を十分に低減できない場合には、試料台207内に配置したヒータ316の発熱の量や電極302,303による吸着の強度等の他の試料の温度を調節する手段による動作の調節の組合せによって、所期の処理結果を得ることのできる温度の条件を実現するようにしても良い。
さらに、本実施例では、単一のチラー308が2つの処理ユニット103−1,103−2内の各々の試料台207−1,207−2に冷媒を供給する構成を説明したが、冷媒が供給される処理ユニットは2つに限られず3つ以上の処理ユニットに冷媒が供給されても良い。その場合の上記実施例の冷媒の循環経路は、冷媒の分岐部441、合流部442から処理ユニットに近い側に供給側の経路及び戻り側の経路が各々の処理ユニットの試料台に連結されて、各々の処理ユニット用の冷媒の循環経路を構成する点は、実施例と同様のものとなる。さらに、チラー308と分岐部441及び合流部442との間の冷媒の経路上にバイパス流路443が接続される構成も同様である。
さらにまた、複数のチラー308を複数の処理ユニットに連結しこれら複数のチラー308から供給される冷媒を複数の処理ユニットに供給及び戻して循環させるように構成しても良い。この場合、冷媒の循環経路は、複数のチラー308各々の吐出口からの冷媒が合流して分岐部441に流入する経路及び各々の試料台から流出して合流部442で合流した冷媒が再度分岐して複数のチラー308各々の戻り口に流入する経路を備えている。さらに、複数チラー308の各々において、その吐出口から分岐部441までの間の経路と及び合流部442からチラー308の戻り口までの間の経路とに接続されたバイパス流路443を備えた構成となる。
この構成においても、複数の処理ユニットの試料台内の冷媒流路の各々を含む当該処理ユニット数と等しい数の冷媒の循環経路と、バイパス流路443を含む冷媒の循環流路とが構成される。さらに、複数の処理ユニットの何れかの保守、点検のためその試料台に対する冷媒の供給、循環を停止する場合にも、当該何れかの処理ユニットの試料台に対応する冷媒の循環経路上の分岐部からの供給側の経路上の流量制御弁の開度が徐々に低減されて十分に小さな流量となった後に当該循環経路上のバルブを気密に閉塞して冷媒の供給を停止して試料台を含む領域を他の循環経路から気密に区画すること、その後区画された領域で窒素ガスを供給して残留する冷媒を経路外部にパージした後、窒素ガスを停止して保守や点検を実行する点は同等である。
さらに、前記何れかの処理ユニットの試料台に対応する冷媒の循環経路上の流量制御弁の開度が徐々に低減されていくことに伴って、他の処理ユニットの試料台に対応する冷媒の循環経路上の流量制御弁の開度を徐々に低減させていくとともにバイパス流路443上の流量制御弁431の開度を徐々に増大していく動作が行われることも同等である。
また、真空容器204が大気に開放されて試料台または処理室内部に対する保守や点検の作業が終了した後、先に気密に閉塞したバルブを開放して冷媒の供給を開始し徐々に流量制御弁の開度を増大させて冷媒の流量を所定の値になるように調節する点、及びその際に、他の処理ユニットの試料台に対応する冷媒の循環経路上の流量制御弁の開度を徐々に増大させていくとともにバイパス流路443上の流量制御弁431の開度を徐々に低減させていく動作が行われることも同等である。
101…大気ブロック、102…処理ブロック、103…処理室、104…真空搬送室、105…ロック室、106…大気搬送室筐体、107…カセット、108…搬送ロボット、109…搬送ロボット、201…蓋、202…ガス拡散板、203…プラズマ、204…処理容器、205…コンダクタンス調整バルブ、206…真空ポンプ、207…試料台、208…ガス流量制御器、209…バルブ、210…マグネトロン、211…高周波電源、212…ソレノイドコイル、213…真空計、W…試料、301…絶縁膜、302…静電吸着用電極、303・・静電吸着用電極、304…温度センサ、305…熱交換流体、306…ボルト、307…ヒータ用電源、308…チラー、309…コントローラ、310…静電吸着用電源、311…試料台、312…試料台ベース、313…バルブ、314…ガス流量制御器、315…カバー、316…ヒータ、401…熱交換流体用配管、411…バルブ、412…バルブ、413…バルブ、414…バルブ、415…流量制御弁、416…流量計、421…バルブ、422…バルブ、423…バルブ、424…バルブ、425…流量制御弁、426…流量計、431…流量制御弁。

Claims (6)

  1. 真空容器とその内部に配置された処理室内に配置されその上面に処理対象の試料が載せられる試料台とを有して当該処理室内に形成されたプラズマを用いて前記試料が処理される複数の処理ユニットと、これらの処理ユニット内の各々の前記試料台内に配置された冷媒流路と連結されて所定の温度に調節した冷媒を供給して循環させるチラーとを有し、
    前記冷媒が前記チラーから吐出された後に分岐して前記複数の試料台の冷媒流路に供給されこれらの試料台の冷媒流路の各々から流出して合流した後前記チラーに戻る循環の経路と、前記冷媒が前記チラーから吐出され前記分岐部及び複数の試料台並びに合流部をバイパスして前記チラーに戻る別の循環の経路とを備えた真空処理装置。
  2. 請求項1に記載の真空処理装置であって、
    前記冷媒の循環の経路を構成し、前記複数の試料台内の前記冷媒流路の各々と前記分岐部及び前記合流部との間で連結された複数の経路上の各々に配置され冷媒の通流を開放及び閉塞するバルブを備え、これらのバルブの開閉により前記複数の試料台の前記冷媒流路の各々への冷媒の供給の開始及び停止を行う真空処理装置。
  3. 請求項1に記載の真空処理装置であって、
    前記冷媒の循環の経路を構成し、前記複数の試料台内の前記冷媒流路の各々と前記分岐部及び前記合流部との間で連結された複数の経路及び前記バイパスする経路上に配置され前記冷媒の通流の量を調節する複数の流量調節器を備え、これらの流量調節器の少なくとも何れか1つの流量の調節に伴なって他の流量調節器による流量の調節がされる真空処理装置。
  4. 請求項3に記載の真空処理装置であって、
    前記複数の試料台内の前記冷媒流路の各々と前記分岐部及び前記合流部との間で連結された複数の経路のうちの何れか1つの経路上の前記流量調節器による冷媒の流量の低下に伴って他の循環経路上の流量調節器による冷媒の流量の増大及び前記バイパス経路上の前記流量調節器による冷媒の流量の低下が行われる真空処理装置。
  5. 請求項3に記載の真空処理装置であって、
    前記複数の試料台内の前記冷媒流路の各々と前記分岐部及び前記合流部との間で連結された複数の経路のうちの何れか1つの経路上であって前記分岐部と前記試料台内の前記冷媒流路との間に配置された第1のバルブ及びこのバルブと前記冷媒流路との間に配置された前記流量調節器と、当該経路上であって前記冷媒流路と前記合流部との間に配置された冷媒の排出口及び第2のバルブと、を備え、
    当該1つの経路上の前記流量調節器により前記冷媒の流量を徐々に低下させた後、前記第1及び第2のバルブを閉塞してこの経路への冷媒の供給を停止し、その後、当該経路内に希ガスを供給してその内部の冷媒を前記排出口から排出した後に試料台を前記処理室から取り出し可能な真空処理装置。
  6. 請求項1から5に記載の真空処理装置であって、
    前記分岐部と複数のチラーの冷媒の吐出口とが及び前記合流部と複数のチラーの冷媒の戻り口とが連結されている真空処理装置。
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