JP2016039721A - 直流配電システム - Google Patents
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Abstract
Description
また、最近では、燃料電池の高効率化が進んでおり、前述の再生可能エネルギーによる発電システムに加えて燃料電池が設置される建造物もある。燃料電池として発電効率が高い固体酸化物型燃料電池(SOFC)を用いた場合、発電量を一定出力とすることが一般的であるため、燃料電池はベース電力として利用される。この場合でも上記と同様に、設置コストの増加が課題となっている。
また、燃料電池は停止や発電量制御が困難であるため、蓄電池の容量を大きくするか、負荷の待機電力を検討し、最低限必要な負荷電力量よりも小さな容量の機器が選定されるのが一般的である。
燃料電池と太陽光発電とによる合計発電量が負荷電力以下の場合には、負荷には蓄電池からの放電および系統からの電力が給電される。ここで、系統電力のピークを抑制するような蓄電池からの放電制御が可能になれば、契約電力を下げることができるため、ランニングコストを低減することが可能になる。
その対応として、DC/AC変換器あるいはAC/DC変換器の変換効率の低下を抑制するようにした直流配電システムが提案されている。
例えばAC/DC変換器として、定格出力電力よりも低い所定値において、変換効率が最大となる特性を有するAC/DC変換器を用い、重負荷の場合には他の分散電源と分担して給電することによって、軽負荷および重負荷に関係なく、AC/DC変換器の変換効率の低下を抑制するようにした直流配電システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
そこで、この発明は、上記従来の未解決の課題に着目してなされたものであり、エネルギーの変換ロスを低減し、かつ構成機器の小容量化を図ることの可能な直流配電システムを提供することを目的としている。
なお、ここでいう、直流発電装置とは、水素と酸素とを反応させて継続的に電力を取り出すことのできる燃料電池と、太陽光発電、或いは風力発電、水力発電など自然エネルギーを利用して電力を取り出す自然エネルギー発電システム等とを含む。
図1は、本発明の直流配電システム1の一例を示す、概略構成図である。
図1に示す直流配電システム1は、直流電力を給電する直流発電装置としての燃料電池2および太陽光発電システム3と、照明器具(LED等)やOA機器等の、直流電力が給電される直流負荷4と、複数の蓄電池システム5と、を備える。燃料電池2および太陽光発電システム3と、直流負荷4と、蓄電池システム5とは、これら各部毎に設けられたDC/DC(直流/直流)変換器6を介して直流配電網10に接続されている。なお、ここでは直流発電装置として、燃料電池や太陽光発電システムを適用した場合について説明するが、これに限るものではなく、例えば風力発電や水力発電などの自然エネルギーを利用した発電システムであっても適用することができる。特に、燃料電池のように天候など自然に左右されることなく継続的に電力を得ることのできる発電装置と、自然エネルギーを利用した発電システムとの両方を直流発電装置として備えたシステムに好適である。
交流電源系統12には、燃料電池発電用PCS(Power Conditioning System)に含まれるAC/DC(交流/直流)変換器7aおよび太陽光発電用PCSに含まれるAC/DC変換器7bが接続され、燃料電池2は、DC/DC変換器6(6a)およびAC/DC変換器7aを介して交流電源系統12との間で電力授受を行い、太陽光発電システム3は、DC/DC変換器6(6b)およびAC/DC変換器7bを介して交流電源系統12との間で電力授受を行う。
燃料電池2には、燃料電池による発電電力を検出する電力センサm1が設けられ、同様に、太陽光発電システム3には太陽光発電による発電電力を検出する電力センサm2が設けられている。また、蓄電池システム5のそれぞれには、蓄電装置5aの充放電可能容量を検出するための充放電可能容量検出センサm3が設けられている。さらに、直流負荷4、また、一般負荷8のそれぞれには、需要電力を検出する電力センサm4が設けられている。
DC/DC変換器6およびAC/DC変換器7はそれぞれ図示しない制御部を有しており、燃料電池2、太陽光発電システム3、これら燃料電池2、太陽光発電システム3および直流負荷4に対応するDC/DC変換器6や、AC/DC変換器7、また充放電制御装置13を、配電制御装置14により制御することによって、直流負荷4への給電および蓄電装置5aへの充放電などが行われる。すなわち配電制御装置14は、各種センサの検出信号をもとに、燃料電池2、太陽光発電システム3、充放電制御装置13、DC/DC変換器6およびAC/DC変換器7を制御し、燃料電池2や太陽光発電システム3による発電電力を直流負荷4に給電し、不足分を蓄電装置5aから給電するとともに、交流電源系統12から給電される交流電力を直流電力に変換して直流負荷4に給電し、余剰分は蓄電装置5aに蓄電する。また、配電制御装置14は、直流負荷4および一般負荷(交流)8の需要電力量、燃料電池2および太陽光発電システム3による発電電力量、蓄電装置5aの充放電可能容量などに基づき、現時点から所定時間T(例えば30分後)経過後までの間に必要な、所定時間T当たりに、交流電源系統12から受電する電力量(以後、受電電力量という。)を予測するとともに、現時点から所定時間T経過後までの間の所定時間T当たりの、交流電源系統12からの受電電力量の目標値(以後、目標受電電力量ともいう。)を設定し、単位時間当たりの実際の受電電力量が目標受電電力量と一致し、且つ、DC/DC変換器6やAC/DC変換器7といった電力変換器の変換効率が予め設定した閾値以上となるように、蓄電装置5aの充放電量や交流電源系統12から受電する受電電力量の制御等を行う。
直流配電システム1では、図2に示す演算処理を予め設定した所定周期で実行する。
配電制御装置14は、起動されると各種センサの検出信号を読み込む(ステップS1)。蓄電池システム5に設けられた充放電可能容量検出センサm3については、その検出信号を充放電制御装置13が読み込み、配電制御装置14は、充放電可能容量検出センサm3の検出信号を充放電制御装置13から受信する。
直流負荷4の消費電力、すなわち需要電力が、燃料電池2による発電電力よりも小さい場合(ステップS3)、つまり、燃料電池2による発電電力に余剰分が生じる場合にはステップS4に移行し、蓄電装置5aにより蓄電可能であるかを判断する。すなわち、充放電制御装置13に対して余剰電力量を通知し、充放電制御装置13では、蓄電装置5aの充電可能容量や、DC/DC変換器6cの負荷率の閾値等に基づいて、燃料電池2による発電電力の余剰分を蓄電可能な蓄電装置5aがあるかどうかを判断する。そして、判断結果を配電制御装置14に通知する。
充放電制御装置13は、指定された蓄電電力量の指令値相当の電力を、蓄電可能として判断した蓄電池システム5に充電する。すなわち、蓄電可能として判断した蓄電池システム5、およびこの蓄電池システム5に対応付けられたDC/DC変換器6cを制御し、燃料電池2の発電電力のうち余剰分を、直流配電網10およびDC/DC変換器6cを介して蓄電池システム5に充電する(ステップS5)。
また、ステップS8の処理で、直流負荷4の需要電力と燃料電池2による発電電力との差、つまり需要電力のうちの、燃料電池2の発電電力による不足分(P1)が、太陽光発電システム3による発電電力以下である場合、すなわち、直流負荷4の需要電力を、燃料電池2および太陽光発電システム3による発電電力で賄いきれない場合にはステップS12に移行する。
配電制御装置14は、まず、現時点から所定時間T経過後までの間の所定時間T当たりの、交流電源系統12から受電する必要のある受電電力量を予測する(ステップS21)。この予測は具体的には、次の手順で行う。まず、交流電源系統12を介して給電すべき交流負荷である一般負荷8および直流負荷4の消費電力と、燃料電池2による発電電力と、太陽光発電システム3による発電電力とを単位時間(例えば1分)毎に計測し、集計および分析等を行う。この分析等を行う処理は、図2に示す演算処理と並行して行われる。集計および分析としては、具体的には、図1に示す直流負荷4を初め、図1に記載されていない照明、コンセント、空調、換気、給排水ポンプ、制御用電力、動力機械などの、交流電源系統12から給電を受ける各種負荷毎に設置した電力センサの測定値を単位時間(例えば1分)単位で読込み、時間軸上の電力量データとして集計する。この際の電力量データの傾きを求め、所定時間(例えば30分)後に必要となる電力量を予測する。ただし、測定値は変動する要因を持つため(たとえば、エレベータ動力などはエレベータが動作した時間における測定値は大きくなり、停止している時間は測定値が小さい。このような動作状態によって測定値は大きく変動する)、単位時間(1分)単位で測定値を集計し、所定時間T(30分)後の予測値を補正する。太陽光発電システム3の発電量は日射によって変化するため、測定値は変動する要因を持つ。そのため、単位時間(1分)単位で測定値を集計し、所定時間(30分)後の予測値を補正する。一方、燃料電池2は一定の発電量を供給するが、同様の集計と予測を行う。
続いて、ステップS22に移行し、現時点から所定時間T経過後までの、所定時間T当たりに、交流電源系統12から受電(買電)する電力量の目標値、すなわち目標受電電力量を設定する。
図4において、横軸は経過時間、縦軸は電力量kWhである。また、図4において、特性線Kは、実績(直流負荷4の消費電力−直流発電装置による発電電力)を表す。ΔWは、所定時間T(例えば30分)が経過するまでの間の、所定時間T当たりの受電電力量の予測値と目標受電電力量との差を表す。
特性線Kが第1の傾きで変化する区間t1では、特性線k1で表される所定時間T当たりの受電電力量の予測値は、特性線k2で表される所定時間T当たりの目標受電電力量を上回る。
蓄電池システム5から直流負荷4へ直流配電を行う場合、DC/DC変換器6cを介して給電されるため、エネルギー変換による損失が生じる。この損失は、DC/DC変換器6cの容量と送電する電力量との比(送電する電力量/(DC/DC変換器6cの容量))で表される負荷率によって変動する。
交流電源系統からの給電は、AC/DC変換器を用いて行われる。このAC/DC変換器として、定置型蓄電池のAC/DC変換器を用い、その定格容量を50kWとした場合、前述の不足分1kWを供給する場合の負荷率は2%程度となり、非効率である。
そこで、直流配電システム1では、2kWを交流電源系統12から受電し、そのうち、1kWを直流配電網10に接続された直流負荷4に給電し、余剰する1kWは蓄電装置5aに充電する。蓄電装置5aに対応するDC/DC変換器6cは比較的低容量であるため、高い変換効率で充電することができ、すなわち変換ロスは比較的小さくてすむ。
一方、燃料電池2および太陽光発電システム3による発電電力と、蓄電装置5aによる放電電力とを用いても直流負荷4の需要電力を賄いきれないときにはステップS15に移行し、ステップS12の処理で予測した、所定時間T当たりの交流電源系統12からの受電電力量と、所定時間T当たりの目標受電電力量と、AC/DC変換器7の負荷率の閾値と、蓄電池システム5における放電可能容量と、等に基づき、交流電源系統12からの給電電力を単位時間(例えば1分)ごとに決定する。そして、配電制御装置14は、決定した給電電力相当の、交流電源系統12による供給電力をAC/DC変換器7により直流電力に変換させ、直流負荷4の需要電力の不足分を、直流配電網10を介して直流負荷4に給電する。
ここで、蓄電装置5aから直流負荷4に対して直流配電を行う場合、DC/DC変換器6cを介して給電されるため、DC/DC変換器6cにおいてエネルギー変換による損失が生じ、この損失は負荷率によって変動する。配電制御装置14では、放電電力量を設定する際に、DC/DC変換器6cの負荷率がその閾値以上となるように設定しており、DC/DC変換器6cでのエネルギー変換による損失が多くならないように設定している。そのため、DC/DC変換器6cが動作することによるエネルギー損失を低減することができる。
本実施形態では、このような安価なシステムを統合管理し、所定時間T(例えば30分)単位で発電や消費動向の計測・管理・予測を行い、また、単位時間(例えば1分)単位で蓄電池システム5を制御し、エネルギー変換の回数が少なく、エネルギー変換効率の高い直流配電網への給電や充電を行うことで、ピークカットを実現し、省エネルギーを実現することができる。
また、交流電源系統12から交流電力を受電し直流配電網10に電力供給する際に必要なAC/DC変換器7cのエネルギー変換効率を最大化するために、比較的変換効率の高い負荷率で交流電力を受電し、高効率な直流配電網10内で消費と充電とを行うことで省エネルギーを実現することができる。
さらに、本発明の範囲は、請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、全ての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画され得る。
また、図2のステップS15の処理が受電電力量設定部に対応している。
2 燃料電池
3 太陽光発電システム
4 直流負荷
5 蓄電池システム
6、6a〜6c DC/DC変換器
7、7a〜7c AC/DC変換器
10 直流配電網
12 交流電源系統
Claims (3)
- 直流電力を発電する直流発電装置と、
蓄電装置と、
交流電源系統と直流配電網との間に接続される交流/直流変換器と、
前記直流発電装置、前記蓄電装置および直流給電負荷のそれぞれと前記直流配電網との間に接続される直流/直流変換器と、
前記直流給電負荷の需要電力量と、前記蓄電装置の充放電可能電力量と、前記直流発電装置が供給可能な直流電力量と、をそれぞれ検出する電力量検出部と、
前記蓄電装置の充放電制御を行う充放電制御装置と、
前記電力量検出部の検出結果に基づき、前記直流給電負荷への配電制御を行う配電制御装置と、を備え、
前記配電制御装置は、
前記直流給電負荷の需要電力量と前記直流発電装置が供給可能な直流電力量との差分から、所定時間当たりの、前記交流電源系統から受電する必要のある受電電力量を予測する受電電力量予測部と、
前記所定時間当たりの、前記交流電源系統から受電する受電電力量の目標値を設定する目標受電電力量設定部と、
前記需要電力量と前記直流発電装置により供給される直流電力量との差分を補うための、前記蓄電装置から放電させる目標放電電力量を設定する放電電力量設定部と、
を有し、
前記放電電力量設定部は、
前記受電電力量予測部で予測した必要受電電力量が前記目標受電電力量設定部で設定した目標受電電力量と一致し、かつ前記蓄電装置に対応して駆動される前記直流/直流変換器の負荷率が予め設定した閾値以上となり得る放電電力量を前記目標放電電力量として設定し、
前記充放電制御装置は、前記蓄電装置の放電電力量が、前記目標放電電力量となるように前記放電制御を行うことを特徴とする直流配電システム。 - 前記配電制御装置は、
前記直流発電装置が供給可能な直流電力量と前記蓄電装置の放電電力量との和と、前記直流給電負荷の需要電力量との差分相当の受電電力量でありかつ、前記交流/直流変換器の負荷率が予め設定した閾値以上となり得る受電電力量を受電電力量指令値として設定する受電電力量設定部を有し、
前記交流電源系統からの受電電力量が前記受電電力量指令値と一致するように、前記交流/直流変換器を制御することを特徴とする請求項1記載の直流配電システム。 - 前記蓄電装置を複数備え、
前記放電電力量設定部は、
前記複数の蓄電装置のうち、1又は複数の蓄電装置の放電電力量の和が前記目標放電電力量となり、且つ、前記1又は複数の蓄電装置に対応して駆動される前記直流/直流変換器の負荷率が予め設定した閾値以上となり得る前記1又は複数の蓄電装置を選定するとともに、当該蓄電装置それぞれの放電電力量の目標値を設定し、
前記充放電制御装置は、前記選定した1又は複数の蓄電装置の放電電力量が当該蓄電装置に設定された前記放電電力量の目標値となるように充放電制御を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の直流配電システム。
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