JP2016037577A - ノルボルネン系重合体溶液及び絶縁被膜の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、ノルボルネンとα−オレフィンとのノルボルネン系重合体と、溶媒とを含むノルボルネン系重合体溶液であって、前記ノルボルネン系重合体は、ガラス転移温度が240℃以上310℃以下であり、かつ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量が5,000以上300,000以下であり、前記ノルボルネン系重合体をp−メンタンに溶解させて得られる20重量%溶液を23℃で24時間放置したときの前記20重量%溶液の粘度が31,000mPa・s以下であり、前記ノルボルネン系重合体の5GHzにおける比誘電率は2.3以下であり、かつ、誘電正接は4.0×10−4以下である、ノルボルネン系重合体溶液を提供する。
【選択図】なし
Description
前記ノルボルネン系重合体は、ガラス転移温度が240℃以上310℃以下であり、かつ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量が5,000以上300,000以下であり、
前記ノルボルネン系重合体をp−メンタンに溶解させて得られる20重量%溶液を23℃で24時間放置したときの前記20重量%溶液の粘度が31,000mPa・s以下であり、
前記ノルボルネン系重合体の5GHzにおける比誘電率は2.3以下であり、かつ、誘電正接は4.0×10−4以下である、ノルボルネン系重合体溶液。
本発明に係るノルボルネン系重合体溶液は、ノルボルネン系重合体と溶媒とを含む。該溶液に含まれるノルボルネン系重合体は、ノルボルネンとα−オレフィンとのノルボルネン系重合体であり、かつ、所定範囲の組成比及び重量平均分子量を有するので、高いガラス転移温度(以下、「Tg」ともいう。)、並びに、低い比誘電率及び誘電正接を併せて有する。したがって、本発明に係るノルボルネン系重合体溶液からは、耐熱性及び高周波特性が要求される用途に好適な材料(樹脂膜等)が得られる。
本発明に係るノルボルネン系重合体溶液に含まれるノルボルネン系重合体は、ガラス転移温度が240℃以上310℃以下であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量が5,000以上300,000以下である。また、このノルボルネン系重合体をp−メンタンに溶解させて得られる20重量%溶液を23℃で24時間放置したときの上記20重量%溶液の粘度が31,000mPa・s以下であり、ノルボルネン系重合体の5GHzにおける比誘電率は2.3以下であり、かつ、誘電正接は4.0×10−4以下である。ノルボルネン系重合体は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
R9とR10、R11とR12は、一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、
R9又はR10と、R11又はR12とは、互いに環を形成していてもよい。
また、nは、0又は正の整数を示し、
nが2以上の場合には、R5〜R8は、それぞれの繰り返し単位の中で、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
ただし、n=0の場合、R1〜R4及びR9〜R12の少なくとも1個は、水素原子ではない。)
本発明に係るノルボルネン系重合体溶液に含まれる溶媒は、上記ノルボルネン系重合体を溶解できるものである限り、特に限定されず、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、p−メンタン、デカヒドロナフタレン等の脂肪族炭化水素溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン系炭化水素溶媒等が挙げられ、中でも、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、p−メンタン、トルエン、及びキシレンが好ましい。溶媒は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
本発明に係るノルボルネン系重合体溶液を支持体上に塗布し、塗布した上記ノルボルネン系重合体溶液から溶媒を除去することにより、ノルボルネン系重合体を含む樹脂膜を得ることができる。塗布方法は特に限定されず、マイクログラビアコート法、ダイコート法、コンマコート法、スピンコート法等の公知の塗布方法が挙げられる。本発明に係るノルボルネン系重合体溶液から得られる樹脂膜は、比誘電率及び誘電正接が低いので絶縁被膜として好適に使用できる。本発明に係るノルボルネン系重合体溶液から絶縁被膜を得る場合、均一な薄膜が得られやすいため、スピンコート法によって絶縁被膜を形成することが好ましい。
モノマー:
ノルボルネン
1−オクテン(1−Oct)
1−デセン(1−Dec)
1−ヘキセン(1−Hex)
触媒:
(t−ブチルアミド)ジメチル−9−フルオレニルシランチタンジメチル
助触媒A:
6.5質量%(Al原子の含有量として)MMAO−3Aトルエン溶液([(CH3)0.7(iso−C4H9)0.3AlO]nで表されるメチルイソブチルアルミノキサンの溶液、東ソー・ファインケム(株)製、なお全Alに対して6mol%のトリメチルアルミニウムを含有する)
助触媒B:
9.0質量%(Al原子の含有量として)TMAO−211トルエン溶液(メチルアルミノキサンの溶液、東ソー・ファインケム(株)製、なお全Alに対して26mol%のトリメチルアルミニウムを含有する)
溶媒:
トルエン
(重合体の調製)
乾燥し、窒素雰囲気下に保ったガラス反応器に、表1に記載された量(単位:重量部)の各モノマー、溶媒(トルエン)及び助触媒A及びBを加え、40℃に保ったのち、表1に記載された量(単位:重量部)の触媒を加えた。なお、触媒及び助触媒は、それぞれトルエンに溶解させた状態で反応器に加えた。表1に示す重合温度(単位:℃)及び重合時間(単位:時間)で、反応器内を撹拌して重合を継続した後、2−プロパノール1重量部を添加して反応を終了させた。次いで、塩酸100mLを系内に加え、室温で30分間撹拌させたのち、この溶液を同容積の蒸留水で3回洗浄させたのち、重合溶液と同容量積のアセトンに注ぐことで重合体を完全に析出させた。その後、濾別及び洗浄を行った後、60℃で1日間以上減圧乾燥して重合体を得た。
以下のとおりにして、得られた重合体又はその溶液のモノマー組成、ガラス転移温度、平均分子量、溶解性、及び溶液粘度を評価した。結果を表2に示す。
得られた重合体約70mgをテトラクロロエタン−d2 0.6mlに溶解して、BRUKER AVANCE 600を用いて、381°KでパルスプログラムZGPG45により繰り返し時間3秒、積算2万回で13C−NMRスペクトルを測定した。得られたスペクトルから、Macromolecules 2010, 43, 4527−4531に記載の方法によりモノマー組成を算出した。
JIS K 7121に準拠して、示差走査熱量分析装置(TA Instrument製Q−1000)にて、室温から20℃/分の昇温条件で重合体のガラス転移温度を測定した。
得られた重合体について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によりポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を測定した。
得られた重合体を溶媒(p−メンタン又はトルエン)に重合体/溶媒=10mg/1mlの割合で添加した。この混合物を室温(23℃)24時間撹拌して、上記重合体が溶解するか否かを目視で観察した。
得られた重合体を溶媒(p−メンタン又はトルエン)に溶解させて20重量%溶液を得た。23℃で24時間放置した上記20重量%溶液の粘度を測定した。粘度の測定は、JIS K 7117−2に準拠して、東機産業製TVE−22HT型粘度計(回転粘度計(円錐−平板システム)、コーンロータ:3°×R17.65(R17.65は半径17.65mmを表す))を用いて行った。
以下のとおりにして、得られた重合体から樹脂膜又は成形体を作製し、その比誘電率、誘電正接、絶縁破壊強さ及び引張弾性率を評価した。結果を表3に示す。
ノルボルネン系重合体から、真空プレス機で1.8mm×1.8mm×長さ80mmの試験片を350℃でプレス成形して、Agilent社製ネットワークアナライザー8757D及び関東電子株式会社製空洞共振器複素誘電率測定装置を用い、1、5、又は10GHzにおける比誘電率を空洞共振器摂動法により23℃で測定した。なお、比較例2のノルボルネン系重合体はTgが高過ぎ、真空プレスによって試験片を作製できず、測定ができなかった。
ノルボルネン系重合体から、真空プレス機で70mm×70mm×厚さ1mmの平板を350℃でプレス成形した。ヤマヨ試験器社製絶縁破壊試験装置YST−243−100ADを用いて、その平板の絶縁破壊強さをIEC60243−1に準拠して測定した。絶縁破壊強さの測定の際、絶縁破壊電圧の測定をしたところ、貫通絶縁破壊をせず、フラッシュオーバー(平板表面を通して電流が流れる現象)が起こった。そこで、フラッシュオーバーが発生した時点での電圧を求め、絶縁破壊強さを、フラッシュオーバー電圧以上の値として特定した。なお、比較例2のノルボルネン系重合体はTgが高過ぎ、真空プレスによって試験片を作製できず、測定ができなかった。
マルチコーターを用いて、ノルボルネン系重合体のトルエン溶液をPETフィルム上にコートして、その後、210℃で3時間真空乾燥して、厚さ100μのフィルム(樹脂膜)を作製した。そのフィルムを打ち抜いて2号ダンベル試験片を作製して、室温(23℃)で、ISO527−3に準拠した引張試験を行い、引張弾性率を算出した。
実施例2と同様にして得られたノルボルネン系重合体をトルエンに8重量%で溶解して、その溶液を0.5ミクロンのメンブレンフィルターを用いて加圧濾過してポリマー溶液を作製した。4インチのシリコンウエハーをヘキサメチルシラザンで処理をして疎水化シリコンウエハーを準備した。この疎水化シリコンウエハーをスピンコーターにセットした後、上述のポリマー溶液をディスペンサーで滴下して、回転数1500rpmでスピンコートした。次いで、150℃で2時間真空乾燥した。その結果、厚さ約1μmの均一なノルボルネン系重合体の樹脂膜がシリコンウエハー表面に形成されたことを確認した。該ノルボルネン系重合体の樹脂膜は、低い比誘電率及び誘電正接を有し、絶縁被膜として良好な性質を有していた。
Claims (7)
- ノルボルネンとα−オレフィンとのノルボルネン系重合体と、溶媒とを含むノルボルネン系重合体溶液であって、
前記ノルボルネン系重合体は、ガラス転移温度が240℃以上310℃以下であり、かつ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量が5,000以上300,000以下であり、
前記ノルボルネン系重合体をp−メンタンに溶解させて得られる20重量%溶液を23℃で24時間放置したときの前記20重量%溶液の粘度が31,000mPa・s以下であり、
前記ノルボルネン系重合体の5GHzにおける比誘電率は2.3以下であり、かつ、誘電正接は4.0×10−4以下である、ノルボルネン系重合体溶液。 - 前記重量平均分子量は、30,000以上300,000以下である請求項1に記載のノルボルネン系重合体溶液。
- 絶縁被膜の形成のために使用される請求項1又は2に記載のノルボルネン系重合体溶液。
- 前記絶縁被膜は、電気デバイス又は電子デバイスにおける層間絶縁層である請求項3に記載のノルボルネン系重合体溶液。
- 前記電気デバイス又は電子デバイスは、1GHz以上の伝送周波数を用いるデバイスである請求項4に記載のノルボルネン系重合体溶液。
- 前記ノルボルネン系重合体は、ノルボルネンに由来する構造単位の含有量が全構造単位に対し78モル%以上90モル%以下である請求項1から5のいずれかに記載のノルボルネン系重合体溶液。
- 請求項1から6のいずれかに記載のノルボルネン系重合体溶液を使用し、スピンコート法によって絶縁被膜を形成する工程を含む絶縁被膜の製造方法。
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