JP2016009647A - 二次電池電極用バインダ樹脂、スラリー、二次電池用電極、及び非水二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、分子量を一定の範囲内にすることで炭素系材料のバインダ樹脂溶液への分散性を保ちつつ、従来のものよりバインダ樹脂水溶液の粘度を上げることでスラリーの粘度を上げて安定性を高める、バインダ樹脂を提供することにある。
【解決手段】次の(α)〜(γ)の要件をすべて満たす重合体(A)を含有する、二次電池電極用バインダ樹脂。
(α):重合体(A)がN−ビニルホルムアミド系の構造単位を有する。
(β):重合体(A)のピークトップ分子量が80万〜150万である。
(γ):重合体(A)の3質量%水溶液の粘度が0.4〜2.0Pa・sである。
【選択図】なし
【解決手段】次の(α)〜(γ)の要件をすべて満たす重合体(A)を含有する、二次電池電極用バインダ樹脂。
(α):重合体(A)がN−ビニルホルムアミド系の構造単位を有する。
(β):重合体(A)のピークトップ分子量が80万〜150万である。
(γ):重合体(A)の3質量%水溶液の粘度が0.4〜2.0Pa・sである。
【選択図】なし
Description
本発明は、二次電池電極用バインダ樹脂、該バインダ樹脂を含有するスラリー、二次電池用電極、及び該電極を備える非水二次電池に関する。
近年、携帯電話、ビデオカメラ、ノート型パソコン等のポータブル機器や、ハイブリッド車、電気自動車等の蓄電池として、二次電池が用いられており、二次電池としてリチウムイオン二次電池が多用されている。
一般に、リチウムイオン二次電池用電極は、集電体と、集電体上に設けられ、結着剤(バインダ樹脂)によって電極活物質材料(活物質)、導電助剤等が保持された合剤層とを備えるものが用いられている。通常、活物質にバインダ樹脂を適当量添加した混合物に溶媒を混ぜて電極スラリーとし、これを集電体に塗布、乾燥後、圧着させて電極層を形成することで得られる。
一般に、リチウムイオン二次電池用電極は、集電体と、集電体上に設けられ、結着剤(バインダ樹脂)によって電極活物質材料(活物質)、導電助剤等が保持された合剤層とを備えるものが用いられている。通常、活物質にバインダ樹脂を適当量添加した混合物に溶媒を混ぜて電極スラリーとし、これを集電体に塗布、乾燥後、圧着させて電極層を形成することで得られる。
バインダ樹脂としては、二次電池の電解液に用いられる有機溶媒への耐溶媒性、駆動電圧内での耐酸化性や耐還元性等を満足する材料が使用される。このような材料としては、ポリフッ化ビニリデン等が用いられている。
一方、活物質やバインダ樹脂等の混合物をスラリーとするための溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(以下「NMP」と記す。)等のアミド類、ウレア類といった含窒素系有機溶媒が用いられる。
しかし、NMP等の含窒素系有機溶媒は、溶媒回収コストや、環境に対する負荷が高い等の問題があった。また、例えばNMPは、沸点が204℃と高いため、乾燥時や溶媒回収精製時に多くのエネルギーを必要とするという問題があった。
一方、活物質やバインダ樹脂等の混合物をスラリーとするための溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(以下「NMP」と記す。)等のアミド類、ウレア類といった含窒素系有機溶媒が用いられる。
しかし、NMP等の含窒素系有機溶媒は、溶媒回収コストや、環境に対する負荷が高い等の問題があった。また、例えばNMPは、沸点が204℃と高いため、乾燥時や溶媒回収精製時に多くのエネルギーを必要とするという問題があった。
こうした問題に対し、非イオン性の水溶性重合体をバインダ樹脂として用い、水に溶解又は分散させて電極スラリーを調製し、電極を製造することが検討されている。
例えば負極用のバインダ樹脂としてスチレン−ブタジエンゴムラテックスが、カルボキシメチルセルロース(以下「CMC」と記す。)等の増粘剤と併せ用いられている。
例えば負極用のバインダ樹脂としてスチレン−ブタジエンゴムラテックスが、カルボキシメチルセルロース(以下「CMC」と記す。)等の増粘剤と併せ用いられている。
しかし、電池に組み込まれる水溶性の高分子として用いられる増粘剤のCMCは天然物由来であるため、供給ロットにより電極の品質が安定しにくい等の問題が指摘されている。そのため、安定品質で供給可能な非天然物の水溶性高分子が望まれる。加えて、水溶性高分子には、高い電池性能を併せ持つことも要求される。
そこで、非天然物由来の水溶性バインダ樹脂として、N−ビニルホルムアミド単位を有する重合体が報告されている。
例えば特許文献1には、アミド構造を有する繰り返し構造単位を含む重合体として、ポリN−ビニルホルムアミドを含む非水電池用ペーストが開示されている。ポリN−ビニルホルムアミドは、結着性、電気化学的安定性等の性能に優れ、二次電池(特に非水二次電池)における要求性能を改善できるとしている。
例えば特許文献1には、アミド構造を有する繰り返し構造単位を含む重合体として、ポリN−ビニルホルムアミドを含む非水電池用ペーストが開示されている。ポリN−ビニルホルムアミドは、結着性、電気化学的安定性等の性能に優れ、二次電池(特に非水二次電池)における要求性能を改善できるとしている。
ところで、現在、正極では活物質、導電助剤、バインダ樹脂を、負極では活物質、バインダ樹脂を、溶媒と混合してスラリーとし、集電箔上に設けて電極を形成している。導電助剤はその粒径が小さいために、それを添加、分散させた液は静置させた時の粘度が高くなり、溶媒に分散させた活物質等が沈降しにくい安定性の高い分散液が得られる。負極では一般的に活物質に炭素系材料が用いられることが多く、それ自身に導電性があるために、導電助剤を必要としないか、または添加しても少量である。そのため、負極のバインダ樹脂水溶液や活物質等を混合した分散液(スラリー)は、その効果が得られにくく、調製したスラリーは活物質が沈降しやすい安定性の悪いスラリーとなってしまう。
そこで、バインダ樹脂水溶液の粘度を上げて、スラリーを静置させた時の粘度を高くし、スラリーの安定性を上げて活物質の沈降を防ぐことが考えられる。バインダ樹脂水溶液の粘度を上げる方法としては、バインダ樹脂の分子量を上げることが考えられる。
そこで、バインダ樹脂水溶液の粘度を上げて、スラリーを静置させた時の粘度を高くし、スラリーの安定性を上げて活物質の沈降を防ぐことが考えられる。バインダ樹脂水溶液の粘度を上げる方法としては、バインダ樹脂の分子量を上げることが考えられる。
しかしながら、分子量の大きいポリN−ビニルホルムアミドは、電極の密着力には優れるが、重合体の水への溶解性が低く、完全に溶解させるには多大な時間や高温等のエネルギーを要する。また、導電助剤や活物質等の炭素系材料のバインダ樹脂水溶液への分散性が悪く、導電助剤を均一に分散することが困難な傾向にあった。そのため、平滑な電極が出来にくく、得られる電池の電池特性が低下しやすかった。
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、バインダ樹脂の分子量を一定の範囲内にすることで炭素系材料のバインダ樹脂溶液への分散性を保ちつつ、従来のものよりバインダ樹脂水溶液の粘度を上げることでスラリーの粘度を上げて安定性を高めた。その結果、均一性に優れ、且つ安定性の高い電極スラリーが得られ、平滑性の高く密着性の高い電極が得られる二次電池用バインダ樹脂、二次電池電極用スラリー、及び二次電池用電極とこれを備えた非水二次電池を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、二次電池用バインダ樹脂に、アミド構造単位を有し、且つ、ピークトップ分子量が80万〜150万であり、且つ、3質量%水溶液の粘度が0.4〜2.0Pa・sである重合体を用いることで、均一性に優れ、且つ安定性の高い電極スラリーが得られ、平滑性の高く密着性の高い電極を形成でき、かつ電池特性に優れた電池が得られることを見出した。
即ち、本発明は以下の態様を有する。
[1] 下記の(α)〜(γ)の要件をすべて満たす重合体(A)を含有する、二次電池電極用バインダ樹脂。
(α):重合体(A)が下記一般式(1)で表される構造単位を有する。
(β):重合体(A)のピークトップ分子量が80万〜150万である。
(γ):重合体(A)の3質量%水溶液の粘度が0.4〜2.0Pa・sである。
(式(1)中、R1及びR2はそれぞれ独立して、水素原子又はアルキル基である。)
[2] [1]記載のバインダ樹脂と、活物質と、溶媒とを含有する、二次電池電極用スラリー。
[3] 集電体と、該集電体上に設けられた合剤層とを備えた二次電池用電極であって、前記合剤層が、[1]記載の二次電池電極用バインダ樹脂と、活物質とを含有する、二次電池用電極。
[4] [3]記載の二次電池用電極を備える、非水二次電池。
[1] 下記の(α)〜(γ)の要件をすべて満たす重合体(A)を含有する、二次電池電極用バインダ樹脂。
(α):重合体(A)が下記一般式(1)で表される構造単位を有する。
(β):重合体(A)のピークトップ分子量が80万〜150万である。
(γ):重合体(A)の3質量%水溶液の粘度が0.4〜2.0Pa・sである。
(式(1)中、R1及びR2はそれぞれ独立して、水素原子又はアルキル基である。)
[2] [1]記載のバインダ樹脂と、活物質と、溶媒とを含有する、二次電池電極用スラリー。
[3] 集電体と、該集電体上に設けられた合剤層とを備えた二次電池用電極であって、前記合剤層が、[1]記載の二次電池電極用バインダ樹脂と、活物質とを含有する、二次電池用電極。
[4] [3]記載の二次電池用電極を備える、非水二次電池。
本発明によれば、炭素系材料のバインダ樹脂溶液への分散性を保ちつつスラリーの粘度を上げることで、密着性の高い電極を形成できる二次電池用バインダ樹脂、二次電池電極用スラリー、及び二次電池用電極とこれを備えた非水二次電池を提供することを目的とする。
以下、本発明を詳細に説明する。
<二次電池電極用バインダ樹脂>
本発明の二次電池電極用バインダ樹脂(以下、単に「バインダ樹脂」と記すことがある。)は、以下の要件(α)、(β)、(γ)をすべて満たす重合体(A)を含むことを特徴とする。
<二次電池電極用バインダ樹脂>
本発明の二次電池電極用バインダ樹脂(以下、単に「バインダ樹脂」と記すことがある。)は、以下の要件(α)、(β)、(γ)をすべて満たす重合体(A)を含むことを特徴とする。
(α):重合体(A)が下記一般式(1)で表される構造単位を有する。
(β):重合体(A)のピークトップ分子量が80万〜150万である。
(γ):重合体(A)の3質量%水溶液の粘度が0.4〜2.0Pa・sである。
(β):重合体(A)のピークトップ分子量が80万〜150万である。
(γ):重合体(A)の3質量%水溶液の粘度が0.4〜2.0Pa・sである。
式(1)中、R1及びR2はそれぞれ独立して、水素原子又はアルキル基である。
アルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖アルキル基、又は、炭素数3〜5の分岐アルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基が挙げられる。
得られる重合体(A)の溶解性、粘度特性、酸化安定性の観点から、R1及びR2としては、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基が好ましい。
前記重合体(A)を構成する全ての構造単位の合計を100モル%とした場合、重合体(A)における一般式(1)で表される構造単位の含有率は、30〜99モル%が好ましく、50〜97モル%がより好ましく、60〜95モル%が更に好ましい。
一般式(1)で表される構造単位の含有率が30モル%以上であれば、得られる重合体(A)の水溶性と増粘性が向上する。また、一般式(1)で表される構造単位の含有率が99モル%以下であれば、集電体に対する電極層の結着性が高まる傾向にあり、集電体に対して高い結着性を示す。
また、一般式(1)で表される構造単位の含有率が高くなるほど電解液中で膨張しにくく、導電助剤のネットワークが形成されやすくなり、サイクル特性、レート特性が高まる。
一般式(1)で表される構造単位の含有率が30モル%以上であれば、得られる重合体(A)の水溶性と増粘性が向上する。また、一般式(1)で表される構造単位の含有率が99モル%以下であれば、集電体に対する電極層の結着性が高まる傾向にあり、集電体に対して高い結着性を示す。
また、一般式(1)で表される構造単位の含有率が高くなるほど電解液中で膨張しにくく、導電助剤のネットワークが形成されやすくなり、サイクル特性、レート特性が高まる。
一般式(1)で表される構造単位の由来源となる単量体(以下「単量体(a)」と記す。)としては、例えば、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドが挙げられる。
前記重合体(A)のピークトップ分子量は、実施例に記載の方法で測定することができる。
前記重合体(A)のピークトップ分子量は、80万〜150万である。好ましくは90万〜140万であり、100万〜130万がより好ましい。ピークトップ分子量が80万〜150万であれば、得られる重合体(A)の水溶液への炭素系材料の分散性を保ちつつ、スラリーの粘度を上げることができる。そのため、均一なスラリーができ、それを塗工した電極は平滑性が良好になるため、集電体に対する合剤層の結着性が高まる傾向にあり、集電体に対して高い結着性を示す。
前記重合体(A)のピークトップ分子量は、80万〜150万である。好ましくは90万〜140万であり、100万〜130万がより好ましい。ピークトップ分子量が80万〜150万であれば、得られる重合体(A)の水溶液への炭素系材料の分散性を保ちつつ、スラリーの粘度を上げることができる。そのため、均一なスラリーができ、それを塗工した電極は平滑性が良好になるため、集電体に対する合剤層の結着性が高まる傾向にあり、集電体に対して高い結着性を示す。
前記重合体(A)の3質量%水溶液の粘度は、実施例に記載の方法で測定することができる。
前記重合体(A)の3質量%水溶液の粘度は、0.4〜2.0Pa・sである。好ましくは0.4〜1.6Pa・sであり、0.4〜1.3Pa・sがより好ましい。3質量%水溶液の粘度が上記範囲にあれば、重合体(A)をバインダ樹脂として使用したスラリーの粘度を上げることができる。そのため、得られたスラリーは活物質等が沈降しにくい安定性の高いスラリーとなり、それを塗工した電極は集電箔側に活物質等が偏在化することなく均一性が高くなるため、集電体に対する合剤層の結着性が高まる傾向にあり、集電体に対して高い結着性を示す。
前記重合体(A)の3質量%水溶液の粘度は、0.4〜2.0Pa・sである。好ましくは0.4〜1.6Pa・sであり、0.4〜1.3Pa・sがより好ましい。3質量%水溶液の粘度が上記範囲にあれば、重合体(A)をバインダ樹脂として使用したスラリーの粘度を上げることができる。そのため、得られたスラリーは活物質等が沈降しにくい安定性の高いスラリーとなり、それを塗工した電極は集電箔側に活物質等が偏在化することなく均一性が高くなるため、集電体に対する合剤層の結着性が高まる傾向にあり、集電体に対して高い結着性を示す。
重合体(A)は、必要に応じて、一般式(1)で表される構造単位以外の単位(任意単位)を含んでいてもよい。任意単位を含むことで、後述する電極層の剛性や曲げ強度等の機械的特性が向上する。
任意単位の由来源となる単量体(以下「任意単量体」と記す。)としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−シアノアクリレート、ジシアノビニリデン、フマロニトリルエチル等のシアン化ビニル単量体;(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体及びその塩;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;マレイミド、フェニルマレイミド等のマレイミド類;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;(メタ)アリルスルホン酸、(メタ)アリルオキシベンゼンスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有ビニル単量体及びその塩;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート・モノエタノールアミン塩、ジフェニル((メタ)アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、3−クロロ−2−アシッド・ホスホオキシプロピル(メタ)アクリレート、アシッド・ホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アシッド・ホスホオキシポリオキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のリン酸基含有ビニル単量体及びその塩;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドの三級塩又は四級アンモニウム塩;酢酸ビニル、N−ビニルピロリドンが挙げられる。
中でも、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート等の(メタ)アクリレートを任意単量体として用いると、電極層の柔軟性を向上させることができるので好ましい。また、スルホン酸基含有ビニル単量体及びその塩やリン酸基含有ビニル単量体及びその塩は、電極層と集電箔との密着性を向上させることができ、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体及びその塩やN−ビニルピロリドンは、導電助剤の分散性を向上させることができる。
これら任意単量体は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
中でも、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート等の(メタ)アクリレートを任意単量体として用いると、電極層の柔軟性を向上させることができるので好ましい。また、スルホン酸基含有ビニル単量体及びその塩やリン酸基含有ビニル単量体及びその塩は、電極層と集電箔との密着性を向上させることができ、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体及びその塩やN−ビニルピロリドンは、導電助剤の分散性を向上させることができる。
これら任意単量体は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
<加水分解>
重合体(A)は、必要に応じて、一般式(1)で表される構造単位を含む重合体を加水分解して用いてもよい。加水分解によって一般式(1)で表される構造単位の一部が下記一般式(2)で表される構造単位に変換される。一般式(2)で表される構造単位はアミノ基を有しており、金属との密着性に優れる。特に一般式(2)で表される構造単位を有することで銅への密着性に優れ、電池の負極用バインダ樹脂組成物として適している。
式(2)中、R1は水素原子又はアルキル基である。
一般式(2)のR1は、前記一般式(1)のR1と同じである。
重合体(A)は、必要に応じて、一般式(1)で表される構造単位を含む重合体を加水分解して用いてもよい。加水分解によって一般式(1)で表される構造単位の一部が下記一般式(2)で表される構造単位に変換される。一般式(2)で表される構造単位はアミノ基を有しており、金属との密着性に優れる。特に一般式(2)で表される構造単位を有することで銅への密着性に優れ、電池の負極用バインダ樹脂組成物として適している。
式(2)中、R1は水素原子又はアルキル基である。
一般式(2)のR1は、前記一般式(1)のR1と同じである。
得られる重合体(A)の水溶性を高める観点から、R1が炭化水素基である場合は炭素数が少ない方が好ましく、R1としては水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましい。重合体(A)の水溶性がより高まる点で、R1が水素原子であるものが特に好ましい。
重合体(A)は、単量体(a)及び必要に応じて任意単量体を共存させて、重合した後に、得られた重合体を加水分解することによって一般式(2)で表される構造単位を含む重合体となる。この方法によれば、一般式(2)で表される構造単位の由来源となる単量体(以下「単量体(b)」)を用いることなく、一般式(2)で表される構造単位を含む重合体(A)を製造することができるので、単量体(b)の沸点が低かったり、取り扱い性が悪かったり、毒性が高かったりする場合に単量体(b)の使用を回避できる等、優位である。
重合体(A)を構成する全ての構造単位の合計を100モル%とした場合、重合体(A)における一般式(2)で表される構造単位の含有率は、1〜70モル%が好ましく、3〜50モル%がより好ましく、5〜40モル%が更に好ましい。
一般式(2)で表される構造単位の含有率が上記範囲内であれば、合剤層と集電体との密着性に優れ、且つ電池性能を良好に維持できるバインダ樹脂が得られる。
一般式(2)で表される構造単位の含有率が上記範囲内であれば、合剤層と集電体との密着性に優れ、且つ電池性能を良好に維持できるバインダ樹脂が得られる。
加水分解の方法としては、酸による加水分解、アルカリによる加水分解、熱を加えることによる加水分解が挙げられるが、これらの中でもアルカリによる加水分解が好ましい。
アルカリによる加水分解に用いるアルカリ(塩基)としては、周期律表の第1及び第2族の金属の金属水酸化物が挙げられる。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムが挙げられる。
また、アルカリとしては、アンモニア及びアンモニアのアルキル誘導体、例えばアルキルアミン、アリルアミン等のアミン類も好適である。斯かるアミン類としては、例えばトリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、アニリンが挙げられる。
これらの中でもアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムが好ましい。
アルカリによる加水分解に用いるアルカリ(塩基)としては、周期律表の第1及び第2族の金属の金属水酸化物が挙げられる。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムが挙げられる。
また、アルカリとしては、アンモニア及びアンモニアのアルキル誘導体、例えばアルキルアミン、アリルアミン等のアミン類も好適である。斯かるアミン類としては、例えばトリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、アニリンが挙げられる。
これらの中でもアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムが好ましい。
重合体(A)を加水分解して重合体(A’)を製造する場合、重合体(A)中の一般式(1)で表される構造単位及び一般式(2)で表される構造単位の含有率は、加水分解の進行度合いを制御することで調整できる。加水分解の進行度合いは、上述したアルカリの添加量、加水分解の時間や温度により制御できる。
酸やアルカリを使用して重合体(A’)を加水分解した場合、得られる反応液のpHは酸性、もしくはアルカリ性となるが、必要に応じて反応液を中和して中性の水溶液としてもよい。また、加水分解により得られる反応液は、そのまま重合体(A)の水溶液として用いることもできるが、反応液から水分を除去することで得られる粉末を重合体(A)として用いてもよい。
バインダ樹脂中の一般式(2)で表される構造単位の含有率の測定方法としては、以下に示すコロイド滴定方法を好適に使用できる。
バインダ樹脂の水溶液を精秤し、メスフラスコに採取し、これに脱塩水を加える。このメスフラスコからバインダ樹脂の水溶液をホールピペットで採取したものに脱塩水を加えた後、pH計で確認しながら1N−塩酸溶液によりpHが2.5になるように調整し、これを試験液とする。
得られた試験液にトルイジンブルーを加え、N/400−ポリビニル硫酸カリウム溶液で滴定する。試験液が青色から紫色に変色した点を終点とする。滴定結果から、一般式(2)で表される構造単位の含有率を求める。
バインダ樹脂の水溶液を精秤し、メスフラスコに採取し、これに脱塩水を加える。このメスフラスコからバインダ樹脂の水溶液をホールピペットで採取したものに脱塩水を加えた後、pH計で確認しながら1N−塩酸溶液によりpHが2.5になるように調整し、これを試験液とする。
得られた試験液にトルイジンブルーを加え、N/400−ポリビニル硫酸カリウム溶液で滴定する。試験液が青色から紫色に変色した点を終点とする。滴定結果から、一般式(2)で表される構造単位の含有率を求める。
重合体(A)は、上述した単量体(a)を単独で重合する、又は単量体(a)と任意単量体とを共重合することにより得られる。
重合方法は特に限定されず、原料として用いる単量体や生成する重合体の溶解性等に応じて、バルク重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、光重合等の方法を採用すればよい。
重合方法は特に限定されず、原料として用いる単量体や生成する重合体の溶解性等に応じて、バルク重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、光重合等の方法を採用すればよい。
重合体(A)の重合に用いる重合開始剤としては特に限定されないが、水溶性アゾ化合物、有機過酸化物、水溶性無機過酸化物、レドックス系重合開始剤等のラジカル重合開始剤を用いることができる。
水溶性アゾ化合物としては、例えば、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)、2,2’−ビス(2−イミダゾリン−2−イル)2,2’−アゾビスプロパン二塩酸塩、2,2’−ビス(2−イミダゾリン−2−イル)2,2’−アゾビスプロパン二硫酸塩二水和物、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−(N−(2−カルボキシエチル)アミジノ)プロパン)、2,2’−アゾビス(2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルプロパンアミド]が挙げられる。
有機過酸化物としては、水溶性の過酸化物が好ましく、例えば、t−ブチルハイドロパーオキサイドが挙げられる。
水溶性無機過酸化物としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;過酸化水素が挙げられる。
尚、過硫酸塩等の酸化剤は、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイト等の還元剤、硫酸鉄等の重合促進剤と組み合わせて、レドックス系開始剤として用いることもできる。
水溶性アゾ化合物としては、例えば、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)、2,2’−ビス(2−イミダゾリン−2−イル)2,2’−アゾビスプロパン二塩酸塩、2,2’−ビス(2−イミダゾリン−2−イル)2,2’−アゾビスプロパン二硫酸塩二水和物、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−(N−(2−カルボキシエチル)アミジノ)プロパン)、2,2’−アゾビス(2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルプロパンアミド]が挙げられる。
有機過酸化物としては、水溶性の過酸化物が好ましく、例えば、t−ブチルハイドロパーオキサイドが挙げられる。
水溶性無機過酸化物としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;過酸化水素が挙げられる。
尚、過硫酸塩等の酸化剤は、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイト等の還元剤、硫酸鉄等の重合促進剤と組み合わせて、レドックス系開始剤として用いることもできる。
また、重合体(A)の重合には、分子量調節等の目的で連鎖移動剤を用いたり、分散性を向上させる目的で分散剤を用いたりしてもよい。
連鎖移動剤としては、例えば、メルカプタン化合物、チオグリコール、四塩化炭素、α−メチルスチレンダイマーが挙げられる。
連鎖移動剤としては、例えば、メルカプタン化合物、チオグリコール、四塩化炭素、α−メチルスチレンダイマーが挙げられる。
分散剤としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、CMC等の水溶性セルロース樹脂、ポリビニルアルコール類、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドンポリアクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸塩の有機物、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム等の無機固体、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタンエステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、クエン酸モノ(ジ又はトリ)ステアリンエステル、ペンタエリストール脂肪酸エステル、トリメチロールプロパン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリコール脂肪アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチレン)脂肪アミン、エチレンビスステアリン酸アミド、脂肪酸とジエタノールとの縮合生成物、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのブロックポリマー、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。
重合体(A)の重合に用いる重合用溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、四塩化炭素、二塩化エチレン、酢酸エチル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドが挙げられる。
これら重合用溶媒は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
これら重合用溶媒は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
本発明の二次電池電極用バインダ樹脂組成物は、本発明の樹脂を含有する。具体的には、必要に応じて、本発明の重合体(A)以外のバインダ樹脂(他のバインダ樹脂)や塗工性を向上させる粘度調整剤等の添加剤を含有していてもよい。
<他のバインダ樹脂>
他のバインダ樹脂としては、例えば、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)、アクリルゴム系ラテックス、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等のフッ素系樹脂が挙げられる。
他のバインダ樹脂としては、例えば、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)、アクリルゴム系ラテックス、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等のフッ素系樹脂が挙げられる。
<粘度調整剤>
粘度調整剤としては、例えば、CMC、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系重合体及びこれらのアンモニウム塩;ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム等のポリ(メタ)アクリル酸塩;ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、アクリル酸又はアクリル酸塩とビニルアルコールの共重合体、無水マレイン酸、マレイン酸又はフマル酸とビニルアルコールの共重合体、変性ポリビニルアルコール、変性ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリカルボン酸が挙げられる。中でも、添加剤は、電極に残留するため、電気化学的安定性のあるものが好ましい。
粘度調整剤としては、例えば、CMC、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系重合体及びこれらのアンモニウム塩;ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム等のポリ(メタ)アクリル酸塩;ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、アクリル酸又はアクリル酸塩とビニルアルコールの共重合体、無水マレイン酸、マレイン酸又はフマル酸とビニルアルコールの共重合体、変性ポリビニルアルコール、変性ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリカルボン酸が挙げられる。中でも、添加剤は、電極に残留するため、電気化学的安定性のあるものが好ましい。
<二次電池電極用スラリー>
本発明の二次電池電極用スラリー(以下、単に「スラリー」と記すことがある。)は、前記重合体(A)を含むバインダ樹脂と活物質と溶媒を含む。
本発明の二次電池電極用スラリー(以下、単に「スラリー」と記すことがある。)は、前記重合体(A)を含むバインダ樹脂と活物質と溶媒を含む。
<活物質>
リチウムイオン二次電池の場合、正極の電極活物質(正極活物質)としては、負極の電極活物質(負極活物質)より高電位(金属リチウムに対し)であり、充放電時にリチウムイオンを吸脱できる物質が用いられる。例えば、鉄、コバルト、ニッケル、マンガン及びバナジウムから選ばれる少なくとも1種類以上の金属と、リチウムとを含有するリチウム含有金属複合酸化物、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン及びその誘導体、ポリパラフェニレン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリチエニレン及びその誘導体、ポリピリジンジイル及びその誘導体、ポリイソチアナフテニレン及びその誘導体等のポリアリーレンビニレン及びそれらの誘導体等の導電性高分子が挙げられる。導電性高分子としては、有機溶媒に可溶なアニリン誘導体の重合体が好ましい。正極活物質は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
負極活物質としては、例えば、黒鉛、非晶質炭素、炭素繊維、コークス、活性炭等の炭素材料;前記炭素材料とシリコン、錫、銀等の金属又はこれらの酸化物との複合物が挙げられる。負極活物質は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
リチウムイオン二次電池の場合、正極の電極活物質(正極活物質)としては、負極の電極活物質(負極活物質)より高電位(金属リチウムに対し)であり、充放電時にリチウムイオンを吸脱できる物質が用いられる。例えば、鉄、コバルト、ニッケル、マンガン及びバナジウムから選ばれる少なくとも1種類以上の金属と、リチウムとを含有するリチウム含有金属複合酸化物、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン及びその誘導体、ポリパラフェニレン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリチエニレン及びその誘導体、ポリピリジンジイル及びその誘導体、ポリイソチアナフテニレン及びその誘導体等のポリアリーレンビニレン及びそれらの誘導体等の導電性高分子が挙げられる。導電性高分子としては、有機溶媒に可溶なアニリン誘導体の重合体が好ましい。正極活物質は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
負極活物質としては、例えば、黒鉛、非晶質炭素、炭素繊維、コークス、活性炭等の炭素材料;前記炭素材料とシリコン、錫、銀等の金属又はこれらの酸化物との複合物が挙げられる。負極活物質は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
<溶媒>
溶媒としては、例えば、水、NMP、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルスルホルアミド、テトラメチル尿素、アセトン、メチルエチルケトン、N−メチルピロリドンと、エステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート等)との混合溶媒;NMPとグライム系溶媒(ジグライム、トリグライム、テトラグライム等)との混合溶媒が挙げられる。中でも、溶媒回収コスト、環境負荷、乾燥時等のエネルギーを軽減できる観点から、水が好ましい。
これら溶媒は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
溶媒としては、例えば、水、NMP、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルスルホルアミド、テトラメチル尿素、アセトン、メチルエチルケトン、N−メチルピロリドンと、エステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート等)との混合溶媒;NMPとグライム系溶媒(ジグライム、トリグライム、テトラグライム等)との混合溶媒が挙げられる。中でも、溶媒回収コスト、環境負荷、乾燥時等のエネルギーを軽減できる観点から、水が好ましい。
これら溶媒は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
<割合>
本発明のスラリーにおける、バインダ樹脂と活物質の割合は、固形分換算で、活物質を100質量部とした時、バインダ樹脂は0.1〜20質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。0.1質量部以上であれば集電体への密着性や活物質間の結着性が良好となり、20質量部以下であれば電極中の抵抗が悪化するのを抑制できる。
本発明のスラリーにおける、バインダ樹脂と活物質の割合は、固形分換算で、活物質を100質量部とした時、バインダ樹脂は0.1〜20質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。0.1質量部以上であれば集電体への密着性や活物質間の結着性が良好となり、20質量部以下であれば電極中の抵抗が悪化するのを抑制できる。
<その他>
本発明のスラリーは、必要に応じて、バインダ樹脂、活物質、溶媒以外の導電助剤、結着性向上剤、分散剤等の公知の添加剤を含有していてもよい。
本発明のスラリーは、必要に応じて、バインダ樹脂、活物質、溶媒以外の導電助剤、結着性向上剤、分散剤等の公知の添加剤を含有していてもよい。
<スラリー調製工程>
スラリー調製工程は、本発明のスラリーを構成する、重合体(A)、活物質、溶媒と、必要に応じて他のバインダ樹脂や、粘度調整剤、導電助剤等の添加剤を加えて分散させ、二次電池負極用スラリーを得る工程である。
スラリー調製工程は、本発明のスラリーを構成する、重合体(A)、活物質、溶媒と、必要に応じて他のバインダ樹脂や、粘度調整剤、導電助剤等の添加剤を加えて分散させ、二次電池負極用スラリーを得る工程である。
このとき、上述した重合体(A)や活物質は予め粉体状で混合して溶媒に分散させてもよいし、重合体を溶媒に溶解又は分散させた後に活物質等を溶媒に分散してもよい。
スラリーは、少なくとも本発明のバインダ樹脂を構成する重合体(A)と活物質とを溶媒の存在下で混練することで得られる。
混練方法としては、バインダ樹脂と活物質とを充分に混練できる方法であれば特に限定されないが、例えば、自公転攪拌機、プラネタリミキサ、ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、ロールミル等の各種分散機で混練する方法が挙げられる。
混練方法としては、バインダ樹脂と活物質とを充分に混練できる方法であれば特に限定されないが、例えば、自公転攪拌機、プラネタリミキサ、ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、ロールミル等の各種分散機で混練する方法が挙げられる。
以上説明したように、本発明のバインダ樹脂は重合体(A)を含むため、均一性に優れ、且つ安定性の高いスラリーが得られる。このスラリーを用いて製造した電極は平滑性及び密着性に優れる。
本発明のスラリーは、二次電池、特にリチウムイオン二次電池の電極のスラリーとして好適である。
<二次電池用電極>
本発明の二次電池用電極(以下、単に「電極」と記すことがある。)は、集電体と、該集電体上に設けられた合剤層とを備える。
合剤層は、少なくとも、本発明の電極用バインダ樹脂である重合体(A)と活物質を含有するものであり、必要に応じて添加した他のバインダ樹脂や、粘度調整剤、結着性向上剤、分散剤、導電助剤等の公知の添加剤を含有していてもよい。
本発明の二次電池用電極(以下、単に「電極」と記すことがある。)は、集電体と、該集電体上に設けられた合剤層とを備える。
合剤層は、少なくとも、本発明の電極用バインダ樹脂である重合体(A)と活物質を含有するものであり、必要に応じて添加した他のバインダ樹脂や、粘度調整剤、結着性向上剤、分散剤、導電助剤等の公知の添加剤を含有していてもよい。
合剤層は、例えば、板状の集電体、又は、その他の基材の少なくとも一方の面上に形成された層である。
その厚さは0.1〜500μmが好ましく、20〜200μmがより好ましく、50〜150μmが更に好ましい。尚、正極電極は、負極電極と比べ活物質の容量が小さいため、正極電極の合剤層は、負極電極の合剤層より厚くされることが好ましい。
その厚さは0.1〜500μmが好ましく、20〜200μmがより好ましく、50〜150μmが更に好ましい。尚、正極電極は、負極電極と比べ活物質の容量が小さいため、正極電極の合剤層は、負極電極の合剤層より厚くされることが好ましい。
集電体の材料としては、導電性を有する物質であればよく、金属が使用できる。金属としては、リチウムと合金ができ難い金属が好ましく、具体的には、アルミニウム、銅、ニッケル、鉄、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、又はこれらの合金が挙げられる。
集電体の形状としては、薄膜状、網状、繊維状が挙げられる。この中では、薄膜状が好ましい。集電体の厚さは、5〜30μmが好ましく、8〜25μmがより好ましい。
集電体の形状としては、薄膜状、網状、繊維状が挙げられる。この中では、薄膜状が好ましい。集電体の厚さは、5〜30μmが好ましく、8〜25μmがより好ましい。
その他の基材としては、例えば、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等からなるプラスチック製シート、紙、不織布等の繊維シート、金属の薄膜シートが挙げられる。
その他の基材の形状としては、薄膜状、網状、繊維状が挙げられる。
その他の基材の形状としては、薄膜状、網状、繊維状が挙げられる。
その他の基材の上に電極層を形成した場合は、転写等の方法により集電体の少なくとも一方の面上に電極層を設けて負極とすることができる。
本発明の電極は、公知の方法を用いて製造することができる。例えば、本発明のスラリーに、必要に応じて他のバインダ樹脂や、粘度調整剤、導電助剤等の添加剤を加えたスラリーを調製し(スラリー調製工程)、該スラリーを集電体に塗布し(塗布工程)、溶媒を除去して(溶媒除去工程)、本発明の電極用バインダ樹脂、活物質を含有した層(合材層)が集電体上に形成された電極を得る。
塗布工程は、スラリー調製工程で得られたスラリーを集電体又はその他基材に塗布する工程である。
塗布方法は、電極層の厚さが0.1〜500μmとなるようにスラリーを集電体に塗布できる方法であれば特に限定されない。例えば、バーコート法、ドクターブレード法、ナイフ法、ディップ法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、エクストルージョン法、カーテン法、浸漬法、ハケ塗り法が挙げられる。
塗布方法は、電極層の厚さが0.1〜500μmとなるようにスラリーを集電体に塗布できる方法であれば特に限定されない。例えば、バーコート法、ドクターブレード法、ナイフ法、ディップ法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、エクストルージョン法、カーテン法、浸漬法、ハケ塗り法が挙げられる。
溶媒除去工程は、集電体又はその他基材に塗布したスラリー中の溶媒を除去する工程である。
除去方法としては、溶媒を除去できれば一般に採用されている方法を利用することができる。特に、熱風、真空、赤外線、遠赤外線、電子線及び低温風を単独又は組み合わせて用いることが好ましい。
除去条件は、溶媒が充分に除去可能で、かつ重合体(A)が分解しない条件であれば特に限定されないが、40〜120℃、好ましくは60〜100℃で、1分間〜10時間、加熱処理することが好ましい。この条件であれば、重合体(A)が分解することなく、活物質と集電体、又は活物質間の高い密着性を付与することができる。また、集電体が腐食しにくい。
除去方法としては、溶媒を除去できれば一般に採用されている方法を利用することができる。特に、熱風、真空、赤外線、遠赤外線、電子線及び低温風を単独又は組み合わせて用いることが好ましい。
除去条件は、溶媒が充分に除去可能で、かつ重合体(A)が分解しない条件であれば特に限定されないが、40〜120℃、好ましくは60〜100℃で、1分間〜10時間、加熱処理することが好ましい。この条件であれば、重合体(A)が分解することなく、活物質と集電体、又は活物質間の高い密着性を付与することができる。また、集電体が腐食しにくい。
溶媒除去工程の後、必要に応じて合剤層をプレスしてもよい(プレス工程)。プレス工程を設けることで、合剤層の面積を広げ、かつ任意の厚さに調節でき、合剤層表面の平滑度及び電気密度を高めることができる。プレス方法としては、金型プレスやロールプレス等が挙げられる。
更に、必要に応じて、得られた負極を任意の寸法に切断してもよい(スリット加工工程)。
更に、必要に応じて、得られた負極を任意の寸法に切断してもよい(スリット加工工程)。
このようにして得られる本発明の電極は、本発明の電極用バインダ樹脂を用いて製造される。本発明の電極用バインダ樹脂は、重合体(A)を含み、スラリーを調製する場合に、均一性に優れ、且つ活物質等の沈降しにくい安定性の高いスラリーを得られる。このスラリーを用いて製造した電極は平滑性及び合剤層と集電箔との密着性に優れる。
本発明の電極は、二次電池、特にリチウムイオン二次電池の電極として好適である。
本発明の電極は、二次電池、特にリチウムイオン二次電池の電極として好適である。
<非水二次電池>
本発明の非水二次電池とは、具体的にはリチウムイオン二次電池であり、本発明の電極を備える。
リチウムイオン二次電池としては、例えば、電極として正極と負極とを、透過性のセパレータ(例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン製の多孔性フィルム)を間に介して配置し、これに非水系の電解液を含浸させた非水系二次電池;集電体の両面に合剤層が形成された負極電極/セパレータ/集電体の両面に合剤層が形成された正極電極/セパレータからなる積層体をロール状(渦巻状)に巻回した巻回体が、電解液と共に有底の金属ケーシングに収容された筒状の非水系二次電池等が挙げられる。
本発明の非水二次電池とは、具体的にはリチウムイオン二次電池であり、本発明の電極を備える。
リチウムイオン二次電池としては、例えば、電極として正極と負極とを、透過性のセパレータ(例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン製の多孔性フィルム)を間に介して配置し、これに非水系の電解液を含浸させた非水系二次電池;集電体の両面に合剤層が形成された負極電極/セパレータ/集電体の両面に合剤層が形成された正極電極/セパレータからなる積層体をロール状(渦巻状)に巻回した巻回体が、電解液と共に有底の金属ケーシングに収容された筒状の非水系二次電池等が挙げられる。
リチウムイオン二次電池に用いられる電解液としては、電解質としてのリチウム塩を1M程度の濃度で非水系有機溶媒に溶解したものが用いられる。
リチウム塩としては、例えば、LiClO4、LiBF4、LiI、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiAlCl4、LiCl、LiBr、LiB(C2H5)4、LiCH3SO3、LiC4F9SO3、Li(CF3SO2)2N、Li[(CO2)2]2Bが挙げられる。
非水系有機溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等のカーボネート類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;トリメトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、2−エトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン等のオキソラン類;アセトニトリル、ニトロメタン、NMP等の含窒素類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、リン酸トリエステル等のエステル類;ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のグライム類;アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;スルホラン等のスルホン類;3−メチル−2−オキサゾリジノン等のオキサゾリジノン類;1,3−プロパンスルトン、4−ブタンスルトン、ナフタスルトン等のスルトン類が挙げられる。
電解液は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
リチウム塩としては、例えば、LiClO4、LiBF4、LiI、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiAlCl4、LiCl、LiBr、LiB(C2H5)4、LiCH3SO3、LiC4F9SO3、Li(CF3SO2)2N、Li[(CO2)2]2Bが挙げられる。
非水系有機溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等のカーボネート類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;トリメトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、2−エトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン等のオキソラン類;アセトニトリル、ニトロメタン、NMP等の含窒素類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、リン酸トリエステル等のエステル類;ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のグライム類;アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;スルホラン等のスルホン類;3−メチル−2−オキサゾリジノン等のオキサゾリジノン類;1,3−プロパンスルトン、4−ブタンスルトン、ナフタスルトン等のスルトン類が挙げられる。
電解液は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
リチウムイオン二次電池は、例えば正極と負極とを、透過性のセパレータを間に介して配置し、これに非水系の電解液を含浸させることで得られる。
また、筒状の場合は以下のようにして得られる。
先ず、集電体の両面に合剤層が形成された負極/セパレータ/集電体の両面に電極層が形成された正極/セパレータからなる積層体をロール状(渦巻状)に巻回して巻回体とする。得られた巻回体を有底の金属ケーシング(電池缶)に収容し、負極を負極端子に、正極を正極端子に接続する。ついで、金属ケーシングに電解液を含浸させた後、金属ケーシングを封止することにより筒状のリチウムイオン二次電池とする。
また、筒状の場合は以下のようにして得られる。
先ず、集電体の両面に合剤層が形成された負極/セパレータ/集電体の両面に電極層が形成された正極/セパレータからなる積層体をロール状(渦巻状)に巻回して巻回体とする。得られた巻回体を有底の金属ケーシング(電池缶)に収容し、負極を負極端子に、正極を正極端子に接続する。ついで、金属ケーシングに電解液を含浸させた後、金属ケーシングを封止することにより筒状のリチウムイオン二次電池とする。
このようにして得られる本発明のリチウムイオン二次電池は、本発明の電極用バインダ樹脂を用いた電極を備えているので、電池性能に優れる。電池性能に優れるのは、均一性が高く、活物質等の沈降しにくい安定性の高いスラリーを用いて電極を製造できるので、電極は平滑性が良く、合剤層と集電箔との密着性が高いため、合剤層と集電体との界面で剥離が起こりにくく、長期にわたって放電容量を高く維持できるためである。
本発明のバインダ樹脂は、二次電池、特にリチウムイオン二次電池の電極のバインダ樹脂として好適である。
本発明のバインダ樹脂は、二次電池、特にリチウムイオン二次電池の電極のバインダ樹脂として好適である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
尚、実施例中の「部」及び「%」は、それぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
尚、実施例中の「部」及び「%」は、それぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
[評価方法]
<1:ピークトップ分子量の測定方法>
キャリア:アセトニトリル/0.1M−NaNO3水溶液=90/10
流速:0.5mL/分
サンプル濃度:2000ppm
検出器:示差屈折検出器(RID)
カラム:Shodex SB−807HQ(2本を直列で接続)
検量線:粘度平均分子量を求めたポリN−ビニルホルムアミドによる検量線を使用
<1:ピークトップ分子量の測定方法>
キャリア:アセトニトリル/0.1M−NaNO3水溶液=90/10
流速:0.5mL/分
サンプル濃度:2000ppm
検出器:示差屈折検出器(RID)
カラム:Shodex SB−807HQ(2本を直列で接続)
検量線:粘度平均分子量を求めたポリN−ビニルホルムアミドによる検量線を使用
<2:粘度平均分子量の測定方法>
粘度平均分子量は、バインダ樹脂の水溶液の粘度又はバインダ樹脂の有機溶剤溶液の粘度から、粘度換算分子量として算出される。
バインダ樹脂の水溶液の還元粘度(ηsp/C)と、Hugginsの式(ηsp/C=[η]+K’[η]2C)とから、固有粘度[η]を算出する。尚、上記式中のCは、バインダ樹脂の水溶液におけるバインダ樹脂の濃度(g/dL)である。バインダ樹脂の水溶液の還元粘度の測定方法は、後述のものである。
得られた固有粘度[η]から、Mark−Houwinkの式([η]=KMa)で粘度平均分子量(M)を算出する。
尚、1N食塩水において、ポリN−ビニルホルムアミドのパラメータは、K=8.31×10−5、a=0.76、K’=0.31である。
粘度平均分子量は、バインダ樹脂の水溶液の粘度又はバインダ樹脂の有機溶剤溶液の粘度から、粘度換算分子量として算出される。
バインダ樹脂の水溶液の還元粘度(ηsp/C)と、Hugginsの式(ηsp/C=[η]+K’[η]2C)とから、固有粘度[η]を算出する。尚、上記式中のCは、バインダ樹脂の水溶液におけるバインダ樹脂の濃度(g/dL)である。バインダ樹脂の水溶液の還元粘度の測定方法は、後述のものである。
得られた固有粘度[η]から、Mark−Houwinkの式([η]=KMa)で粘度平均分子量(M)を算出する。
尚、1N食塩水において、ポリN−ビニルホルムアミドのパラメータは、K=8.31×10−5、a=0.76、K’=0.31である。
<3:還元粘度の測定>
バインダ樹脂の濃度が0.1%となるように、1N食塩水にバインダ樹脂を溶解して、バインダ樹脂の水溶液を得る。得られたバインダ樹脂の水溶液について、オストワルド粘度計を用いて、25℃での流下時間(t1)を測定する。
ブランクとして、バインダ樹脂を含まない1N食塩水について、オストワルド粘度計を用いて、25℃での流下時間(t0)を測定する。
得られた流下時間から、下記(i)式により還元粘度を算出する。
ηsp/C={(t/t0)−1}/C ・・・(i)
(i)式中、Cは、バインダ樹脂の水溶液におけるバインダ樹脂の濃度(g/dL)である。
バインダ樹脂の濃度が0.1%となるように、1N食塩水にバインダ樹脂を溶解して、バインダ樹脂の水溶液を得る。得られたバインダ樹脂の水溶液について、オストワルド粘度計を用いて、25℃での流下時間(t1)を測定する。
ブランクとして、バインダ樹脂を含まない1N食塩水について、オストワルド粘度計を用いて、25℃での流下時間(t0)を測定する。
得られた流下時間から、下記(i)式により還元粘度を算出する。
ηsp/C={(t/t0)−1}/C ・・・(i)
(i)式中、Cは、バインダ樹脂の水溶液におけるバインダ樹脂の濃度(g/dL)である。
<4:3%水溶液の粘度の測定条件>
装置:AR550(TA Instruments Waters LLC)
治具:コーンプレート φ60mm 角度2度 ギャップ54μm
温度:30℃
測定条件:重合体(A)の3%水溶液を適量測定台に載せて、剪断速度0.05s−1〜100s−1を5分で測定(「行き」)後、剪断速度100s−1〜0.05s−1を2分で測定(「帰り」)する。「帰り」の測定の剪断速度1s−1における粘度を、3%水溶液の粘度とする。
装置:AR550(TA Instruments Waters LLC)
治具:コーンプレート φ60mm 角度2度 ギャップ54μm
温度:30℃
測定条件:重合体(A)の3%水溶液を適量測定台に載せて、剪断速度0.05s−1〜100s−1を5分で測定(「行き」)後、剪断速度100s−1〜0.05s−1を2分で測定(「帰り」)する。「帰り」の測定の剪断速度1s−1における粘度を、3%水溶液の粘度とする。
<5:加水分解率の測定方法>
バインダ樹脂水溶液0.3〜0.5gを精秤し、100mLメスフラスコに採取する。これに脱塩水を加えて標線を合わせる。このメスフラスコからバインダ樹脂の水溶液をホールピペットで5mL採取し、脱塩水を加えて200mLとした後、pH計で確認しながら1N−塩酸溶液によりpHが2.5になるように調整する。これを試験液とする。
得られた試験液に0.1%トルイジンブルー溶液を3滴加え、N/400−ポリビニル硫酸カリウム溶液で滴定する。試験液が青色から紫色に変色した点を終点とする。
滴定結果から一般式(2)で表される構造単位の含有率を求め、重合体中の一般式(1)で表される構造単位が加水分解工程によって一般式(2)で表される構造単位に変換された割合を算出して加水分解率とした。
バインダ樹脂水溶液0.3〜0.5gを精秤し、100mLメスフラスコに採取する。これに脱塩水を加えて標線を合わせる。このメスフラスコからバインダ樹脂の水溶液をホールピペットで5mL採取し、脱塩水を加えて200mLとした後、pH計で確認しながら1N−塩酸溶液によりpHが2.5になるように調整する。これを試験液とする。
得られた試験液に0.1%トルイジンブルー溶液を3滴加え、N/400−ポリビニル硫酸カリウム溶液で滴定する。試験液が青色から紫色に変色した点を終点とする。
滴定結果から一般式(2)で表される構造単位の含有率を求め、重合体中の一般式(1)で表される構造単位が加水分解工程によって一般式(2)で表される構造単位に変換された割合を算出して加水分解率とした。
[重合体の製造]
<製造例1>
脱イオン水 70部に対し、N−ビニルホルムアミド 27部、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(新中村化学工業製、「AM−130G」) 3部を混合した単量体水溶液を、リン酸によりpH=6.3となるよう調節し、単量体調節液を得た。この単量体調節液を5℃まで冷却した後、温度計を取り付けた断熱反応容器に入れ、15分間窒素曝気を行なった。
その後、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ヒドレート(和光純薬工業株式会社製、「VA−057」)を0.05部添加し、次いで、t−ブチルハイドロパーオキサイド及び亜硫酸水素ナトリウムをそれぞれ0.01部添加して重合を行なった。
内温がピークを超えた後、更に1時間熟成し、ゲルを取り出した。これに水を加えて溶解し、N−ビニルホルムアミド重合体の4%水溶液とした。
<製造例1>
脱イオン水 70部に対し、N−ビニルホルムアミド 27部、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(新中村化学工業製、「AM−130G」) 3部を混合した単量体水溶液を、リン酸によりpH=6.3となるよう調節し、単量体調節液を得た。この単量体調節液を5℃まで冷却した後、温度計を取り付けた断熱反応容器に入れ、15分間窒素曝気を行なった。
その後、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ヒドレート(和光純薬工業株式会社製、「VA−057」)を0.05部添加し、次いで、t−ブチルハイドロパーオキサイド及び亜硫酸水素ナトリウムをそれぞれ0.01部添加して重合を行なった。
内温がピークを超えた後、更に1時間熟成し、ゲルを取り出した。これに水を加えて溶解し、N−ビニルホルムアミド重合体の4%水溶液とした。
別途、10%LiOH水溶液を17部調製し、上記4%水溶液に加え、75℃で5時間加熱して加水分解反応を行なった。反応液を冷却し、N−ビニルホルムアミド重合体(A1)水溶液を得た。
得られたN−ビニルホルムアミド重合体(A1)のピークトップ分子量を測定した。結果を表1に示す。
また、N−ビニルホルムアミド重合体(A1)の3%水溶液を調製して、3%水溶液の粘度を測定した。結果を表1に示す。
更に、得られたN−ビニルホルムアミド重合体(A1)の加水分解率を測定した。結果を表1に示す。
得られたN−ビニルホルムアミド重合体(A1)のピークトップ分子量を測定した。結果を表1に示す。
また、N−ビニルホルムアミド重合体(A1)の3%水溶液を調製して、3%水溶液の粘度を測定した。結果を表1に示す。
更に、得られたN−ビニルホルムアミド重合体(A1)の加水分解率を測定した。結果を表1に示す。
<製造例2>
脱イオン水 70部に対し、N−ビニルホルムアミド 27部、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(新中村化学工業製、「AM−130G」) 3部を混合した単量体水溶液を、酢酸ナトリウムを0.1部添加した後に、リン酸によりpH=6.3となるよう調節し、単量体調節液を得た。この単量体調節液を5℃まで冷却した後、温度計を取り付けた断熱反応容器に入れ、15分間窒素曝気を行なった。
これ以降の操作は製造例1と同様にして、N−ビニルホルムアミド重合体(A2)水溶液を得た。
脱イオン水 70部に対し、N−ビニルホルムアミド 27部、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(新中村化学工業製、「AM−130G」) 3部を混合した単量体水溶液を、酢酸ナトリウムを0.1部添加した後に、リン酸によりpH=6.3となるよう調節し、単量体調節液を得た。この単量体調節液を5℃まで冷却した後、温度計を取り付けた断熱反応容器に入れ、15分間窒素曝気を行なった。
これ以降の操作は製造例1と同様にして、N−ビニルホルムアミド重合体(A2)水溶液を得た。
得られたN−ビニルホルムアミド重合体(A2)のピークトップ分子量を測定した。結果を表1に示す。
また、N−ビニルホルムアミド重合体(A2)の3%水溶液を調製して、3%水溶液の粘度を測定した。結果を表1に示す。
更に、得られたN−ビニルホルムアミド重合体(A2)の加水分解率を測定した。結果を表1に示す。
また、N−ビニルホルムアミド重合体(A2)の3%水溶液を調製して、3%水溶液の粘度を測定した。結果を表1に示す。
更に、得られたN−ビニルホルムアミド重合体(A2)の加水分解率を測定した。結果を表1に示す。
<製造例3>
脱イオン水 70部に対し、N−ビニルホルムアミド 27部、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(新中村化学工業製、「AM−130G」) 3部を混合した単量体水溶液を、酢酸ナトリウム 0.1部と、次亜リン酸ナトリウム一水和物 0.03部を添加した後に、リン酸によりpH=6.3となるよう調節し、単量体調節液を得た。この単量体調節液を5℃まで冷却した後、温度計を取り付けた断熱反応容器に入れ、30分間窒素曝気を行なった。
これ以降の操操作は製造例1と同様にして、N−ビニルホルムアミド重合体(A3)水溶液を得た。
脱イオン水 70部に対し、N−ビニルホルムアミド 27部、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(新中村化学工業製、「AM−130G」) 3部を混合した単量体水溶液を、酢酸ナトリウム 0.1部と、次亜リン酸ナトリウム一水和物 0.03部を添加した後に、リン酸によりpH=6.3となるよう調節し、単量体調節液を得た。この単量体調節液を5℃まで冷却した後、温度計を取り付けた断熱反応容器に入れ、30分間窒素曝気を行なった。
これ以降の操操作は製造例1と同様にして、N−ビニルホルムアミド重合体(A3)水溶液を得た。
得られたN−ビニルホルムアミド重合体(A3)のピークトップ分子量を測定した。結果を表1に示す。
また、N−ビニルホルムアミド重合体(A3)の3%水溶液を調製して、3%水溶液の粘度を測定した。結果を表1に示す。
更に、得られたN−ビニルホルムアミド重合体(A3)の加水分解率を測定した。結果を表1に示す。
また、N−ビニルホルムアミド重合体(A3)の3%水溶液を調製して、3%水溶液の粘度を測定した。結果を表1に示す。
更に、得られたN−ビニルホルムアミド重合体(A3)の加水分解率を測定した。結果を表1に示す。
<製造例4>
脱イオン水 70部に対し、N−ビニルホルムアミド 27部、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(新中村化学工業製、「AM−130G」) 3部を混合した単量体水溶液を、酢酸ナトリウム0.1部を添加した後に、リン酸によりpH=6.3となるよう調節し、単量体調節液を得た。この単量体調節液を5℃まで冷却した後、温度計を取り付けた断熱反応容器に入れ、30分間窒素曝気を行なった。
これ以降の操作は製造例1と同様にして、N−ビニルホルムアミド重合体(A4)水溶液を得た。
脱イオン水 70部に対し、N−ビニルホルムアミド 27部、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(新中村化学工業製、「AM−130G」) 3部を混合した単量体水溶液を、酢酸ナトリウム0.1部を添加した後に、リン酸によりpH=6.3となるよう調節し、単量体調節液を得た。この単量体調節液を5℃まで冷却した後、温度計を取り付けた断熱反応容器に入れ、30分間窒素曝気を行なった。
これ以降の操作は製造例1と同様にして、N−ビニルホルムアミド重合体(A4)水溶液を得た。
得られたN−ビニルホルムアミド重合体(A4)のピークトップ分子量を測定した。結果を表1に示す。
また、N−ビニルホルムアミド重合体(A4)の3%水溶液を調製して、3%水溶液の粘度を測定した。結果を表1に示す。
更に、得られたN−ビニルホルムアミド重合体(A4)の加水分解率を測定した。結果を表1に示す。
また、N−ビニルホルムアミド重合体(A4)の3%水溶液を調製して、3%水溶液の粘度を測定した。結果を表1に示す。
更に、得られたN−ビニルホルムアミド重合体(A4)の加水分解率を測定した。結果を表1に示す。
<製造例5>
脱イオン水 70部に対し、N−ビニルホルムアミド 27部、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(新中村化学工業製、「AM−130G」) 3部を混合した単量体水溶液を、酢酸ナトリウム0.1部と、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.015部を添加した後に、リン酸によりpH=6.3となるよう調節し、単量体調節液を得た。この単量体調節液を5℃まで冷却した後、温度計を取り付けた断熱反応容器に入れ、30分間窒素曝気を行なった。
これ以降の操作は製造例1と同様にして、N−ビニルホルムアミド重合体(A5)水溶液を得た。
脱イオン水 70部に対し、N−ビニルホルムアミド 27部、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(新中村化学工業製、「AM−130G」) 3部を混合した単量体水溶液を、酢酸ナトリウム0.1部と、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.015部を添加した後に、リン酸によりpH=6.3となるよう調節し、単量体調節液を得た。この単量体調節液を5℃まで冷却した後、温度計を取り付けた断熱反応容器に入れ、30分間窒素曝気を行なった。
これ以降の操作は製造例1と同様にして、N−ビニルホルムアミド重合体(A5)水溶液を得た。
得られたN−ビニルホルムアミド重合体(A5)のピークトップ分子量を測定した。結果を表1に示す。
また、N−ビニルホルムアミド重合体(A5)の3%水溶液を調製して、3%水溶液の粘度を測定した。結果を表1に示す。
更に、得られたN−ビニルホルムアミド重合体(A5)の加水分解率を測定した。結果を表1に示す。
また、N−ビニルホルムアミド重合体(A5)の3%水溶液を調製して、3%水溶液の粘度を測定した。結果を表1に示す。
更に、得られたN−ビニルホルムアミド重合体(A5)の加水分解率を測定した。結果を表1に示す。
[実施例1]
<二次電池電極用スラリー組成物の調製>
重合体(A)として製造例1で得たN−ビニルホルムアミド重合体(A1)の水溶液を固形分で2部と、アセチレンブラック(電気化学工業株式会社、「デンカブラック」、以下「AB」と表記する)1部とを、自公転攪拌機を用いて、自転1000rpm、公転2000rpmの条件にて混練した。均一にABが分散した後、負極活物質として天然の黒鉛系負極活物質(三菱化学(株)製、「MPGC16」) 100部を加え、充分に混練した後、塗工可能な粘度になるまで脱イオン水を用いて粘度調節し、電極用スラリーを得た。
<二次電池電極用スラリー組成物の調製>
重合体(A)として製造例1で得たN−ビニルホルムアミド重合体(A1)の水溶液を固形分で2部と、アセチレンブラック(電気化学工業株式会社、「デンカブラック」、以下「AB」と表記する)1部とを、自公転攪拌機を用いて、自転1000rpm、公転2000rpmの条件にて混練した。均一にABが分散した後、負極活物質として天然の黒鉛系負極活物質(三菱化学(株)製、「MPGC16」) 100部を加え、充分に混練した後、塗工可能な粘度になるまで脱イオン水を用いて粘度調節し、電極用スラリーを得た。
<電極の作製>
得られた電極用スラリーを、スラリー調製後、集電体(銅箔、20cm×25cm、厚さ18μm)上にドクターブレードを用いて塗布し、定温乾燥機(80℃)で乾燥させ、更に、真空乾燥機にて60℃で12時間減圧乾燥させて、膜厚90μmの合剤層が集電体(銅箔)上に形成された電極を得た。
得られた電極用スラリーを、スラリー調製後、集電体(銅箔、20cm×25cm、厚さ18μm)上にドクターブレードを用いて塗布し、定温乾燥機(80℃)で乾燥させ、更に、真空乾燥機にて60℃で12時間減圧乾燥させて、膜厚90μmの合剤層が集電体(銅箔)上に形成された電極を得た。
<密着性の評価>
電極を横20mm×縦80mmになるように切り出し、ロールプレスで合剤層の密度が1.6g/cm3になるようにプレスした。切り出し片の合剤層面を両面テープ(積水化学工業株式会社製、「#570」)でポリカーボネートシート(横25mm×縦100mm×厚さ1mm)に固定し、試験片とした。
試験片を引張り強度試験テンシロン試験機(オリエンテック社製、「RTC−1210A」)にセットし、10mm/minで銅箔を180°剥離し、剥離強度を測定した。結果を表1に示す。
電極を横20mm×縦80mmになるように切り出し、ロールプレスで合剤層の密度が1.6g/cm3になるようにプレスした。切り出し片の合剤層面を両面テープ(積水化学工業株式会社製、「#570」)でポリカーボネートシート(横25mm×縦100mm×厚さ1mm)に固定し、試験片とした。
試験片を引張り強度試験テンシロン試験機(オリエンテック社製、「RTC−1210A」)にセットし、10mm/minで銅箔を180°剥離し、剥離強度を測定した。結果を表1に示す。
[実施例2]
重合体(A)として製造例2で得たN−ビニルホルムアミド重合体(A2)の水溶液を固形分で2部用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電極用スラリー及び電極を得た。密着性の評価結果を表1に示す。
重合体(A)として製造例2で得たN−ビニルホルムアミド重合体(A2)の水溶液を固形分で2部用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電極用スラリー及び電極を得た。密着性の評価結果を表1に示す。
[比較例1]
重合体(A)として製造例3で得たN−ビニルホルムアミド重合体(A3)の水溶液を固形分で2部用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電極用スラリー及び電極を得た。密着性の評価結果を表1に示す。
重合体(A)として製造例3で得たN−ビニルホルムアミド重合体(A3)の水溶液を固形分で2部用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電極用スラリー及び電極を得た。密着性の評価結果を表1に示す。
[比較例2]
重合体(A)として製造例4で得たN−ビニルホルムアミド重合体(A4)の水溶液を固形分で2部用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電極用スラリー及び電極を得た。密着性の評価結果を表1に示す。
重合体(A)として製造例4で得たN−ビニルホルムアミド重合体(A4)の水溶液を固形分で2部用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電極用スラリー及び電極を得た。密着性の評価結果を表1に示す。
[比較例3]
重合体(A)として製造例5で得たN−ビニルホルムアミド重合体(A5)の水溶液を固形分で2部用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電極用スラリー及び電極を得た。密着性の評価結果を表1に示す。
重合体(A)として製造例5で得たN−ビニルホルムアミド重合体(A5)の水溶液を固形分で2部用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電極用スラリー及び電極を得た。密着性の評価結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1及び実施例2でバインダ樹脂として使用した重合体(A1)及び重合体(A2)は、以下の要件をすべて満たしている。
(α):一般式(1)で表される構造単位を有する、(β):ピークトップ分子量が80万〜150万である、(γ):3%水溶液の粘度が0.4〜2.0Pa・sである。
そのため、重合体(A1)、重合体(A2)を用いた実施例1、実施例2は、均一性が高く、活物質等が沈降しにくい安定性の良好なスラリーを得ることができた。このスラリーを用いて得られた電極は、表1の通り、高い密着性を発現することに成功した。
(α):一般式(1)で表される構造単位を有する、(β):ピークトップ分子量が80万〜150万である、(γ):3%水溶液の粘度が0.4〜2.0Pa・sである。
そのため、重合体(A1)、重合体(A2)を用いた実施例1、実施例2は、均一性が高く、活物質等が沈降しにくい安定性の良好なスラリーを得ることができた。このスラリーを用いて得られた電極は、表1の通り、高い密着性を発現することに成功した。
一方、比較例1でバインダ樹脂として使用した重合体(A3)は、ピークトップ分子量が80万未満であり、スラリーに充分な粘度がないために活物質が沈降しやすく、密着性の低い電極となった。
比較例2でバインダ樹脂として使用した重合体(A4)は、ピークトップ分子量が150万を超えており、スラリーの均一性が悪くなり、そのため合剤層が不均一になりやすくなり、密着性を発現するバインダ樹脂成分の希薄な部分ができて、充分な密着性を発現できなかったものと推測される。
比較例3でバインダ樹脂として使用した重合体(A5)は、ピークトップ分子量が80万〜150万であったが、3%水溶液の粘度が0.4Pa・s未満であるため、比較例1と同様にスラリーに充分な粘度を持たすことができず、活物質が沈降しやすくなり、密着性の低い電極となった。
このことから、一般式(1)の構造単位を有し、且つ、ピークトップ分子量が80万〜150万であり、且つ、3%水溶液の粘度が0.4〜2.0Pa・sである重合体(A)をバインダ樹脂として用いた実施例1及び2では、得られるスラリーの均一性が高く、また粘度が高いために活物質の沈降しにくい安定性の良好なスラリーである。そのため、電極を作成した際に合剤層が平滑で均一になるために、密着性の高い電極が得られる。
一方、ピークトップ分子量が80万未満のバインダ樹脂であった比較例1、3%水溶液の粘度が0.4Pa・s未満であった比較例3の電極用スラリーは、バインダ樹脂水溶液の粘度が低いために、そのスラリーの粘度も低く、活物質の沈降しやすい安定性の悪いスラリーとなった。そのため、活物質が集電箔側に偏在し、バインダ樹脂が充分に合剤層と集電箔とを密着させることができず、密着性が低くなったものと推測される。
一方、ピークトップ分子量が80万未満のバインダ樹脂であった比較例1、3%水溶液の粘度が0.4Pa・s未満であった比較例3の電極用スラリーは、バインダ樹脂水溶液の粘度が低いために、そのスラリーの粘度も低く、活物質の沈降しやすい安定性の悪いスラリーとなった。そのため、活物質が集電箔側に偏在し、バインダ樹脂が充分に合剤層と集電箔とを密着させることができず、密着性が低くなったものと推測される。
また、ピークトップ分子量が150万を超えたバインダ樹脂であった比較例2は、炭素系材料の分散性が悪いために、スラリーの均一性が低く、そのため合剤層が不均一になりやすくなり、密着性を発現するバインダ樹脂成分が希薄な部分ができて、充分な密着性を発現できなかったものと推測される。
Claims (4)
- 下記の(α)〜(γ)の要件をすべて満たす重合体(A)を含有する、二次電池電極用バインダ樹脂。
(α):重合体(A)が下記一般式(1)で表される構造単位を有する。
(β):重合体(A)のピークトップ分子量が80万〜150万である。
(γ):重合体(A)の3質量%水溶液の粘度が0.4〜2.0Pa・sである。
(式(1)中、R1及びR2はそれぞれ独立して、水素原子又はアルキル基である。) - 請求項1記載のバインダ樹脂と、活物質と、溶媒とを含有する、二次電池電極用スラリー。
- 集電体と、該集電体上に設けられた合剤層とを備えた二次電池用電極であって、
前記合剤層が、請求項1記載の二次電池電極用バインダ樹脂と、活物質とを含有する、二次電池用電極。 - 請求項3記載の二次電池用電極を備える、非水二次電池。
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