以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
以下に、本発明にかかる電子部品実装装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。本実施形態の電子部品実装装置は、リード線(挿入部)を有し、当該リード線が、基板の基板孔(挿入穴、穴)に挿入されることで、基板に実装される電子部品、いわゆる挿入型電子部品、及び挿入穴(基板孔)に挿入されずに基板上に搭載される搭載型電子部品を実装する電子部品実装装置である。ここで、挿入型電子部品は、リード線が基板に形成された穴に挿入されることで実装されるものである。また、挿入穴(基板孔)に挿入されずに基板上に搭載される電子部品、例えばSOP、QFP等は、搭載型電子部品とする。なお、電子部品実装装置は、挿入型電子部品(リード型電子部品)を実装する機能のみを備えていてもよい。
次に、本実施形態の電子部品実装装置10について説明する。電子部品実装装置10は、基板上に載せることで実装される搭載型電子部品とリードを基板の挿入穴に差し込んで実装する挿入型電子部品(リード型電子部品)との両方を実装することができる装置である。電子部品実装装置10は、1台で搭載型電子部品と挿入型電子部品の両方を実装することも、いずれか一方のみを実装することもできる。つまり電子部品実装装置10は、搭載型電子部品と挿入型電子部品の両方を実装することが可能で、製造する基板や他の電子部品実装装置のレイアウトに応じて、種々の用途で使用することができる。
図1は、電子部品実装装置の概略構成を示す模式図である。図1に示す電子部品実装装置10は、基板8の上に電子部品を搭載する装置である。電子部品実装装置10は、筐体11と、基板搬送部12と、部品供給ユニット14f、14rと、ヘッド15f、15rと、XY移動機構16と、VCSユニット17と、交換ノズル保持機構18と、部品貯留部19と、制御装置20と、操作部40と、表示部42と、を有する。なお、XY移動機構16は、X軸駆動部22f、22rと、Y軸駆動部24と、を備える。ここで、本実施形態の電子部品実装装置10は、図1に示すように、基板搬送部12を中心にしてフロント側とリア側に部品供給ユニット14f、14r、ヘッド15f、15r、X軸駆動部22f、22rを備える。電子部品実装装置10は、部品供給ユニット14f、ヘッド15f、X軸駆動部22fが電子部品実装装置10のフロント側に配置され、部品供給ユニット14r、ヘッド15r、X軸駆動部22rが電子部品実装装置10のリア側に配置される。また、以下では、2つの部品供給ユニット14f、14r、2つのヘッド15f、15r、2つのX軸駆動部22f、22rを特に区別しない場合、部品供給ユニット14、ヘッド15、X軸駆動部22とする。
基板8は、電子部品を搭載する部材であればよく、その構成は特に限定されない。本実施形態の基板8は、板状部材であり、表面に配線パターンが設けられている。基板8に設けられた配線パターンの表面には、リフローによって板状部材の配線パターンと電子部品とを接合する接合部材であるはんだが付着している。また、基板8には、電子部品が挿入されるスルーホール(挿入穴、基板孔)も形成されている。
基板搬送部12は、基板8を図中X軸方向に搬送する搬送機構である。基板搬送部12は、X軸方向に延在するレールと、基板8を支持し、基板8をレールに沿って移動させる搬送機構とを有する。基板搬送部12は、基板8の搭載対象面がヘッド15と対面する向きで、基板8を搬送機構によりレールに沿って移動させることで基板8をX軸方向に搬送する。基板搬送部12は、電子部品実装装置10に供給する機器から供給された基板8を、レール上の所定位置まで搬送する。ヘッド15は、所定位置で、電子部品を基板8の表面に搭載する。基板搬送部12は、前記所定位置まで搬送した基板8上に電子部品が搭載されたら、基板8を、次の工程を行う装置に搬送する。なお、基板搬送部12の搬送機構としては、種々の構成を用いることができる。例えば、基板8の搬送方向に沿って配置されたレールと前記レールに沿って回転するエンドレスベルトとを組合せ、前記エンドレスベルトに基板8を搭載した状態で搬送する。これは、搬送機構を一体としたベルト方式の搬送機構である。
電子部品実装装置10は、フロント側に部品供給ユニット14fが配置され、リア側に部品供給ユニット14rが配置されている。フロント側の部品供給ユニット14fと、リア側の部品供給ユニット14rは、それぞれ基板8上に搭載する電子部品を多数保持し、ヘッド15に供給可能である。つまり、ヘッド15で保持(吸着又は把持)可能な状態で保持位置に供給する電子部品供給装置を備える。
図2は、部品供給ユニットの一例の概略構成を示す模式図である。フロント側の部品供給ユニット14fは、図2に示すように、支持台(バンク)96に保持されている複数の電子部品供給装置(以下、単に「部品供給装置」ともいう。)90、90aで構成されている。これらの電子部品供給装置90、90aは、搭載する電子部品の種類により、その電子部品を保持する機構や供給機構が異なる。また、部品供給ユニット14は、同一種類の電子部品供給装置90、90aを複数備えていてもよい。また、部品供給ユニット14は、装置本体に対して着脱可能な構成とすることが好ましい。また、支持台96は、部品供給装置90、90aの他の装置(例えば、計測装置やカメラ等)を搭載することができる。
部品供給装置90は、テープに複数のラジアルリード型電子部品のリードを貼り付けて構成される電子部品保持テープを使用してヘッド15にラジアルリード型電子部品を供給する。また、部品供給装置90は、電子部品保持テープを保持し、保持している電子部品保持テープを送り、保持しているラジアルリード型電子部品をヘッド15のノズルにより電子部品が保持できる保持領域(吸着位置、把持位置、保持位置)まで移動するテープフィーダである。さらに、部品供給装置90は、保持領域まで移動させたラジアルリード型電子部品のリードを切断して分離することで、当該テープでリードが固定されたラジアルリード型電子部品を所定位置に保持可能な状態とすることができ、当該ラジアルリード型電子部品をヘッド15のノズルにより保持(吸着、把持)することができる。
なお、複数の部品供給装置90は、それぞれ異なる品種の電子部品を供給しても、別々の電子部品を供給してもよい。また、部品供給装置90は、テープに複数のラジアルリード型電子部品を貼り付けて供給するテープフィーダに限定されず、ボウルフィーダや、アキシャルフィーダ、スティックフィーダ、トレイフィーダ等を用いて種々のリード型電子部品を供給することができる。
電子部品供給装置90aは、テープに基板搭載するチップ型の電子部品を貼り付けて構成される電子部品保持テープを使用してヘッド15に電子部品を供給する。なお、電子部品保持テープは、テープに複数の格納室が形成されており、当該格納室に電子部品が格納されている。電子部品供給装置90aは、電子部品保持テープを保持し、保持している電子部品保持テープを送り、格納室をヘッド15のノズルにより電子部品が吸着できる保持領域まで移動させるテープフィーダである。なお、格納室を保持領域に移動させることで、当該格納室に収容されている電子部品を所定位置に露出した状態とすることができ、当該電子部品をヘッド15のノズルにより吸着、把持することができる。電子部品供給装置90aは、テープフィーダに限定されず、チップ型電子部品を供給する種々のチップ部品フィーダとすることができる。チップ部品フィーダとしては、例えば、スティックフィーダ、バルクフィーダを用いることができる。
次に、図3から図6を用いて、リア側の部品供給ユニット14rとリア側の部品供給ユニット14rから供給する電子部品の一例であるコネクタ型電子部品について説明する。図3は、部品供給ユニットの他の例の概略構成を示す模式図である。図4は、コネクタ型電子部品の一例を示す斜視図である。図5は、図4に示すコネクタ型電子部品の正面図である。図6は、図4に示すコネクタ型電子部品のラッチ部を示す拡大斜視図である。
リア側の部品供給ユニット14rは、複数のトレイを保持し、実装する電子部品に応じて、電子部品を供給する位置に配置するトレイを選択するトレイフィーダである。リア側の部品供給ユニット14rは、図3に示すトレイ98を複数有する。トレイ98は、複数のコネクタ型電子部品80aが載置されている。図3ではコネクタ型電子部品80aが載置されている場合としたが、リア側の部品供給ユニット14rは、トレイ毎に載置している電子部品が異なっていてもよい。リア側の部品供給ユニット14rは、トレイ毎に載置している電子部品が異なることで、電子部品を供給する位置に配置するトレイを切り換え、異なる種類の電子部品を供給することができる。
次に、コネクタ型電子部品80aについて説明する。図4から図6に示すコネクタ型電子部品80aは、DIMM(Dual Inline Memory Module)が挿入されるDIMMコネクタである。コネクタ型電子部品80aは、一方向が長手方向となるベース部110と、ベース部110の長手方向の両端に設けられたラッチ部112と、を有する。ベース部110は、挿入部122が形成され、リード線124が接続されている。挿入部122は、コネクタ型電子部品80aに挿入される電子部品(メモリモジュール)が挿入される。挿入部122は、ベース部110の長手方向に沿って延在する溝であり、溝の内部に電子部品と接する回路が形成されている。リード線124は、挿入部122が形成されている面と反対側の面に配置されている。図4から図6において、リード線124は、ベース部110の底面の一部のみに示しているが、全面に配置されている。ラッチ部112は、固定部130と可動部132と、を有する。固定部130は、ベース部110に対して固定されている。可動部132は、固定部130に対して移動可能であり、ベース部110の中心側(コネクタ型電子部品80aの中心側)の面に溝134が形成されている。可動部132は、挿入される電子部品が挿入されると、挿入される電子部品とともに移動する。具体的には、可動部132は、挿入される電子部品を締め付ける方向に移動する。また、溝134は、挿入される電子部品を案内する機構であり、挿入部122の一部となる。つまり、コネクタ型電子部品80aは、挿入する側の電子部品の底面と側面の一部を溝に挿入させることで、挿入する側の電子部品を支持する。
コネクタ型電子部品80aは、リード線124が基板8に形成された孔に挿入されることで基板8に実装される。つまり、挿入部122が鉛直方向上側を向いた状態で基板8に挿入される。また、コネクタ型電子部品80aは、挿入部122に沿って挿入されることで、可動部132が移動し、所定の固定位置まで移動する可動部132が固定部130に対して移動しないように支持される。コネクタ型電子部品80aを挿入する機構については後述する。
コネクタ型電子部品80aは、DIMMコネクタに限定されない。コネクタ型電子部品80aは、基板8に挿入されるリード線と、他の部品が挿入部とを有していればよい。なお、挿入部122は、ラッチ部112の中心側の面に形成される溝134を含む。コネクタ型電子部品80aとしては、フラットケーブルが挿入されるフラットケーブル用コネクタも例示される。
なお、本実施形態は、リア側の部品供給ユニット14rとして、トレイで電子部品を供給する装置を設けたがこれに限定されない。電子部品実装装置10は、フロント側の部品供給ユニット14fにトレイ98で電子部品を供給する装置を設けてもよい。また、本実施形態の部品供給ユニット14は、コネクタ型電子部品80aをトレイで供給する場合で説明したがトレイ以外の方法で供給してもよい。また、部品供給ユニット14は、トレイで電子部品を供給する機構と、図2のようにテープフィーダで電子部品を供給する機構を並列に配置してもよい。例えば、リア側の部品供給ユニット14rとして、トレイで電子部品を供給する機構と、テープフィーダで電子部品を供給する機構の両方を配置してもよい。
ヘッド15は、部品供給ユニット14fに保持された電子部品又は部品供給ユニット14rに保持された電子部品をノズルで保持(吸着又は把持)し、保持した電子部品を基板搬送部12によって所定位置に移動された基板8上に実装する機構である。また、ヘッド15は、部品供給ユニット14rが電子部品供給装置90aを備えている場合、電子部品供給装置90aに保持されたチップ型電子部品(搭載型電子部品)を基板8上に搭載(実装)する機構である。なお、ヘッド15の構成については、後述する。なお、チップ型電子部品(搭載型電子部品)とは、基板8に形成された挿入穴(スルーホール)に挿入するリードを備えないリードなし電子部品である。搭載型電子部品としては、上述したようにSOP、QFP等が例示される。チップ型電子部品は、リードを挿入穴に挿入せずに、基板8に実装される。
XY移動機構(ヘッド移動機構とも称する。)16は、ヘッド15f、15rを図1中X軸方向及びY軸方向、つまり、基板8の表面と平行な面上で移動させる移動機構である。XY移動機構16は、X軸駆動部22f、22rとY軸駆動部24とを有する。X軸駆動部22fは、ヘッド15fと連結しており、ヘッド15fをX軸方向に移動させる。X軸駆動部22rは、ヘッド15rと連結しており、ヘッド15rをX軸方向に移動させる。Y軸駆動部24は、X軸駆動部22を介してヘッド15と連結しており、X軸駆動部22fをY軸方向に移動させることで、ヘッド15fをY軸方向に移動させる。また、Y軸駆動部24は、X軸駆動部22rをY軸方向に移動させることで、ヘッド15rをY軸方向に移動させる。XY移動機構16は、ヘッド15fをXY軸方向に移動させることで、ヘッド15fを基板8と対面する位置、または、部品供給ユニット14fと対面する位置に移動させることができる。
XY移動機構16は、ヘッド15rをXY軸方向に移動させることで、ヘッド15rを基板8と対面する位置、または、部品供給ユニット14rと対面する位置に移動させることができる。
また、XY移動機構16は、ヘッド15を移動させることで、ヘッド15と基板8との相対位置を調整する。これにより、ヘッド15が保持した電子部品を基板8の表面の任意の位置に移動させることができ、電子部品を基板8の表面の任意の位置に搭載することが可能となる。つまり、XY移動機構16は、ヘッド15f、15rを水平面(XY平面)上で移動させて、部品供給ユニット14f、14rの電子部品供給装置90、90aにある電子部品を基板8の所定位置(搭載位置、実装位置)に移送する移送手段となる。
なお、X軸駆動部22としては、ヘッド15を所定の方向に移動させる種々の機構を用いることができる。Y軸駆動部24としては、X軸駆動部22を所定の方向に移動させる種々の機構を用いることができる。対象物を所定の方向に移動させる機構としては、例えば、リニアモータ、ラックアンドピニオン、ボールねじを用いた搬送機構、ベルトを利用した搬送機構等を用いることができる。
VCSユニット17と、交換ノズル保持機構18と、部品貯留部19とは、XY平面において、ヘッド15の可動領域と重なる位置で、かつ、Z軸方向における位置がヘッド15よりも鉛直方向下側となる位置に配置されている。本実施形態では、VCSユニット17と、交換ノズル保持機構18と、部品貯留部19とは、基板搬送部12と部品供給ユニット14rとの間に、隣接して配置される。
VCSユニット17は、画像認識装置であり、ヘッド15のノズル近傍を撮影するカメラや、撮影領域を照明する照明ユニットを有する。VCSユニット17は、ヘッド15のノズルで吸着された電子部品の形状や、ノズルによる電子部品の保持状態を認識する。より具体的には、VCSユニット17は、対面する位置にヘッド15が移動されると、ヘッド15のノズルを鉛直方向下側から撮影し、撮影した画像を解析することで、ノズルで保持された電子部品の形状や、ノズルによる電子部品の保持状態を認識する。VCSユニット17は、ノズルよりも基板8側に配置され、基板8側からノズルに保持された電子部品を撮影することで、電子部品の基板8と対面する面を、撮影することができる。VCSユニット17は、取得した情報を制御装置20に送る。
交換ノズル保持機構18は、複数種類のノズルを保持する機構である。交換ノズル保持機構18は、複数種類のノズルをヘッド15が着脱交換可能な状態で保持する。ここで、本実施形態の交換ノズル保持機構18は、電子部品を吸引することで保持する吸引ノズルと、電子部品を把持することで保持する把持ノズルと、を保持している。ヘッド15は、交換ノズル保持機構18で装着するノズルを変更し、装着されたノズルに対して空気圧を供給して駆動することで、保持する電子部品を適切な条件(吸引又は把持)で保持することができる。
部品貯留部19は、ヘッド15がノズルで保持し、基板8に実装しない電子部品を貯留する箱である。つまり、電子部品実装装置10では、基板8に実装しない電子部品を廃棄する廃棄ボックスとなる。電子部品実装装置10は、ヘッド15が保持している電子部品の中に基板8に実装しない電子部品がある場合、ヘッド15を部品貯留部19と対面する位置に移動させ、保持している電子部品を解放することで、電子部品を部品貯留部19に投入する。
制御装置20は、電子部品実装装置10の各部を制御する。制御装置20は、各種制御部の集合体である。操作部40は、作業者が操作を入力する入力デバイスである。操作部40としては、キーボード、マウスと、タッチパネル等が例示される。操作部40は検出した各種入力を制御装置20に送る。表示部42は、作業者に各種情報を表示する画面である。表示部42としては、タッチパネル、ビジョンモニタ等がある。表示部42は、制御装置20から入力される画像信号に基づいて各種画像を表示させる。
なお、本実施形態の電子部品実装装置10は、基板搬送部12を平行に2つ配置することも好ましい。電子部品実装装置10は、2つの基板搬送部12で2つの基板8を交互に電子部品の搭載位置に移動させ、前記2つのヘッド15で交互に部品搭載すれば、効率よく基板8に電子部品を搭載することができる。
次に、図7及び図8を用いて、ヘッド15の構成について説明する。図7は、電子部品実装装置のヘッド15の概略構成を示す模式図である。図8は、電子部品実装装置のヘッド15の概略構成を示す模式図である。なお、図7には、電子部品実装装置10を制御する制御装置20の各種制御部と部品供給ユニット14rの1つの部品供給装置90もあわせて示す。
ヘッド15は、図7及び図8に示すように、ヘッド本体30と、撮像装置36と高さセンサ37と、レーザ認識装置38と、を有する。また、電子部品実装装置10は、図7に示すように、制御部60と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64と、画像処理部66と、を有する。制御部60と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64と、画像処理部66と、は、上述した制御装置20の一部である。また、電子部品実装装置10は、電源と接続されており電源から供給される電力を制御部60、ヘッド制御部62、部品供給制御部64、画像処理部66、及び各種回路を用いて、各部に供給する。制御部60と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64と、画像処理部66と、については後述する。
電子部品供給装置90は、電子部品保持テープ(ラジアル部品テープ)にリードが保持された電子部品80の本体が上方に露出している。なお、電子部品80としては、アルミ電解コンデンサが例示される。なお、電子部品80として、アルミ電解コンデンサの他にも、リードを有する各種電子部品を用いることができる。電子部品供給装置90は、電子部品保持テープを引き出し、移動させることで、電子部品保持テープに保持された電子部品80を保持領域(吸着領域、把持領域)に移動させる。本実施形態では、部品供給装置90のY軸方向の先端近傍が、電子部品保持テープに保持された電子部品80をヘッド15のノズルが保持する保持領域となる。電子部品供給装置90の構成については後述する。また、電子部品供給装置90aの場合も同様に、所定の位置が、ヘッド15のノズルが電子部品保持テープに保持された電子部品80を保持する保持領域となる。
ヘッド本体30は、各部を支持するヘッド支持体31と、複数のノズル32と、ノズル駆動部34と、を有する。本実施形態のヘッド本体30には、図8に示すように、6本のノズル32が一列に配置されている。6本のノズル32は、X軸に平行な方向に並んでいる。なお、図8に示すノズル32は、いずれも電子部品80を吸着して保持する吸着ノズルが配置されている。
ヘッド支持体31は、X軸駆動部22と連結している支持部材であり、ノズル32及びノズル駆動部34を支持する。なお、ヘッド支持体31は、レーザ認識装置38も支持している。
ノズル32は、電子部品80を吸着し、保持する吸着機構である。ノズル32は、先端に開口32aを有する。開口32aは、内部の空洞及びノズル支持部33の空洞を介してノズル駆動部34に連結されている。ノズル32は、この開口32aから空気を吸引することで、先端に電子部品80を吸着し、保持する。ノズル32は、ノズル支持部33に対して着脱可能であり、ノズル支持部33に装着されていない場合、交換ノズル保持機構18に保管(格納)される。また、ノズル32は、開口32aの形状や、大きさが種々のものがある。また、本実施形態では、電子部品80を吸着するための開口32aを備える吸着型のノズルを示したが、空気圧により稼動するアーム部を用い、電子部品80を挟み込むことで保持する把持型のノズルも用いることができる。
ノズル支持部33は、鉛直方向下側の端部(先端)でノズル32を保持する機構であり、例えば、ノズル駆動部34にとってヘッド支持体31に対して移動されるシャフトと、ノズル32と連結するソケットと、を有する。シャフトは、棒状の部材であり、Z軸方向に延在して配置されている。シャフトは、鉛直方向下側の端部に配置されたソケットを支持する。シャフトは、ソケットに連結する部分がZ軸方向に移動可能な状態及びθ方向に回転可能な状態でヘッド支持体31に対して支持されている。ここで、Z軸は、XY平面に対して直交する軸であり、基板8の表面に対して直交する方向となる。θ方向とは、すなわち、ノズル駆動部34がノズル32を移動させる方向と平行な軸であるZ軸を中心とした円の円周方向と平行な方向である。θ方向は、ノズル32の回動方向となる。シャフトは、ソケットに連結する部分がノズル駆動部34によってZ軸方向及びθ方向に移動、回転される。
ノズル駆動部34は、ノズル支持部33をZ軸方向に移動させることでノズル32をZ軸方向に移動させ、ノズル32の開口32aで電子部品80を吸着させる。また、ノズル駆動部34は、電子部品80の実装時等にノズル支持部33をθ方向に回転させることでノズル32をθ方向に回転させる。
ノズル駆動部34は、ノズル32をZ軸方向に移動させる機構として、Z軸モータ34aを有する。また、ノズル駆動部34は、Z軸モータ34aの回転部にかけられたベルトと、Z軸方向に伸び、ベルトで回転されるねじロッドと、ねじロッドにねじ込まれ、ノズル支持部33に固定されたねじとを有する。ノズル駆動部34は、Z軸モータ34aでベルトを介して接続されているねじロッドを回し、ねじロッドにねじ込まれているねじをZ軸方向に移動させる。ノズル駆動部34は、ねじロッドにねじ込まれているねじがノズル支持部33に固定されている。ノズル駆動部34は、Z軸モータ34aでねじロッドを回転させ、ねじに固定されたノズル支持部33とともにノズル32をZ軸方向に移動させることで、ノズル32の先端部の開口32aのシャフトをZ軸方向に移動させる。また、ノズル駆動部34は、ノズル32をθ方向に回転させる機構として、例えばモータとノズル支持部33のシャフトに連結された伝達要素とで構成された機構がある。ノズル駆動部34は、モータから出力された駆動力を伝達要素でノズル支持部33のシャフトに伝達し、シャフトをθ方向に回転させることで、ノズル32の先端部もθ方向に回転させる。
ノズル駆動部34は、ノズル32の開口32aで電子部品80を吸着させる機構、つまり吸引機構としては、例えば、ノズル32の開口32aと連結された空気管と、当該空気管と接続されたポンプと、空気管の管路の開閉を切り換える電磁弁と、を有する機構がある。ノズル駆動部34は、ポンプで空気管の空気を吸引し、電磁弁の開閉を切り換えることで開口32aから空気を吸引するか否かを切り換える。ノズル駆動部34は、電磁弁を開き開口32aから空気を吸引することで開口32aに電子部品80を吸着(保持)させ、電磁弁を閉じ開口32aから空気を吸引しないことで開口32aに吸着していた電子部品80を解放する、つまり開口32aで電子部品80を吸着しない状態(保持しない状態)とする。
また、本実施形態のヘッド15は、電子部品80の本体を保持するときに本体上面がノズル(吸着ノズル)32で吸着できない形状である場合には、後述する把持ノズルを用いる。把持ノズルは、吸着ノズルと同様に空気を吸引解放することで固定片に対して可動片が開閉することで電子部品80の本体を上方から把持解放することができる。また、ヘッド15は、ノズル駆動部34でノズル32を移動させ、交換動作を実行することで、ノズル駆動部34が駆動させるノズルを換えることができる。
図8に示す、撮像装置36は、ヘッド本体30のヘッド支持体31に固定されており、ヘッド15と対面する領域、例えば、基板8や電子部品80が搭載された基板8等を撮影する。撮像装置36は、カメラと、照明装置と、を有し、照明装置で視野を照明しつつ、カメラで画像を取得する。これにより、ヘッド本体30に対面する位置の画像、例えば、基板8や、部品供給ユニット14の各種画像を撮影することができる。例えば、撮像装置36は、基板8の表面に形成された基準マークとしてのBOCマーク(以下単にBOCともいう。)やスルーホール(挿入穴)の画像を撮影する。ここで、BOCマーク以外の基準マークを用いる場合、当該基準マークの画像を撮影する。撮像装置36は、1つのヘッド15に対して1つ設けられている。また、撮像装置36は、カメラがZ軸方向に平行に配置されており、Z軸方向に平行な方向から撮影する。
高さセンサ37は、ヘッド本体30のヘッド支持体31に固定されており、ヘッド15と対面する領域、例えば、基板8や電子部品80が搭載された基板8との距離を計測する。高さセンサ37としては、レーザ光を照射する発光素子と、対面する位置で反射して戻ってくるレーザ光を受光する受光素子とを有し、レーザ光を発光してから受光するまでの時間で対面する部分との距離を計測するレーザセンサを用いることができる。また、高さセンサ37は、測定時の自身の位置及び基板8の位置を用いて、対面する部分との距離を処理することで、対面する部分、具体的には電子部品80の高さを検出する。なお、電子部品80との距離の測定結果に基づいて電子部品80の高さを検出する処理は制御部60で行ってもよい。
レーザ認識装置38は、光源38aと、受光素子38bと、を有する。レーザ認識装置38は、ブラケット50に内蔵されている。ブラケット50は、図7に示すように、ヘッド支持体31の下側、基板8及び部品供給装置90側に連結されている。レーザ認識装置38は、ヘッド本体30のノズル32で吸着した電子部品80に対して、レーザ光を照射することで、電子部品80の状態を検出する装置である。ここで、電子部品80の状態とは、電子部品80の形状、ノズル32で電子部品80を正しい姿勢で吸着しているか等である。光源38aは、レーザ光を出力する発光素子である。受光素子38bは、Z軸方向における位置、つまり高さが同じ位置であり、光源38aに対向する位置に配置されている。
次に、電子部品実装装置10の装置構成の制御機能について説明する。電子部品実装装置10は、図7に示すように、制御装置20として、制御部60と、記憶部61と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64と、画像処理部66と、を有する。各種制御部は、それぞれ、CPU、ROMやRAM等の演算処理機能と記憶機能とを備える部材で構成される。また、本実施形態では、説明の都合で複数の制御部としたが、1つの制御部としてもよい。また、電子部品実装装置10の制御機能を1つの制御部とした場合、1つの演算装置で実現しても複数の演算装置で実現してもよい。
制御部60は、電子部品実装装置10の各部と接続されており、入力された操作信号や、電子部品実装装置10の各部で検出された情報に基づいて、記憶されているプログラムを実行し、各部の動作を制御する。制御部60は、例えば、基板8の搬送動作、XY移動機構16によるヘッド15の駆動動作、レーザ認識装置38による形状の検出動作等を制御する。また、制御部60は、上述したようにヘッド制御部62に各種指示を送り、ヘッド制御部62による制御動作も制御する。制御部60は、部品供給制御部64による制御動作も制御する。
記憶部61は、制御部60と接続されており、ROMやRAM等の記憶機能を備えている。なお、記憶部61は、制御部60と一体で設けてもよいし、別体で設けてもよい。記憶部61は、制御部60が各部から取得したデータや、制御部60で演算して算出したデータを記憶する。記憶部61は、例えば、スルーホール座標設計値と、基準マーク座標設計値と、電子部品搭載座標設計値と、を含む設計図のデータや、各種電子部品の形状、吸着条件、吸着処理の補正条件、生産プログラム等を記憶する。また、記憶部61は、ラジアルリード型電子部品等、リードを有する挿入型電子部品のリードの形状を検出する際の条件である作成条件を挿入型電子部品の種類に対応付けて記憶する。さらに記憶部61は、作成条件を決定する際の動作(パラメータ取得処理)を制御するためのプログラムも記憶する。なお、記憶部61は、制御部60の制御により、不要となったデータは削除することもできる。
ヘッド制御部62は、ノズル駆動部34、ヘッド支持体31に配置された各種センサ及び制御部60に接続されており、ノズル駆動部34を制御し、ノズル32の動作を制御する。ヘッド制御部62は、制御部60から供給される操作指示及び各種センサ(例えば、距離センサ)の検出結果に基づいて、ノズル32の電子部品80の吸着(保持)/解放動作、各ノズル32の回動動作、Z軸方向の移動動作を制御する。また、ヘッド制御部62は、ノズルの交換動作も制御する。
部品供給制御部64は、部品供給ユニット14f、14rによる電子部品80、80aの供給動作を制御する。部品供給制御部64は、電子部品供給装置90、90a毎に設けても、1つですべての電子部品供給装置90、90aを制御してもよい。例えば、部品供給制御部64は、電子部品供給装置90による電子部品保持テープの引き出し動作(移動動作)、リードの切断動作及びラジアルリード型電子部品の保持動作を制御する。また、部品供給制御部64は、部品供給ユニット14が電子部品供給装置90aを備えている場合、電子部品供給装置90aによる電子部品保持テープの引き出し動作(移動動作)等を制御する。部品供給制御部64は、制御部60による指示に基づいて各種動作を実行する。部品供給制御部64は、電子部品保持テープ又は電子部品保持テープの引き出し動作を制御することで、電子部品保持テープ又は電子部品保持テープの移動を制御する。
画像処理部66は、VCSユニット17での撮影動作を制御し、取得した画像を処理する。画像処理部66は、画像処理して得た情報や、画像の情報を制御部60に送る。画像処理部66は、挿入型電子部品の画像を取得する場合、挿入型電子部品との距離が異なる複数の位置で撮影した画像を合成する。つまり、画像処理部66は、挿入型電子部品のリードが形成されている側の面の画像を全焦点認識処理で取得し、リードの形状の情報を取得する。また、画像処理部66は、VCSユニット17で取得した画像に種々の画像処理を行う。画像処理としては、1次(微分)フィルタを用いたエッジ強調処理、2次(微分)フィルタを用いた平滑化処理、二値化処理等である。制御装置60による処理については後述する。
ここで、上記実施形態では、ヘッド15に装着するノズルに吸着ノズルを用いる場合として説明したがこれに限定されない。ヘッド15に装着するノズルとしては、電子部品を把持する把持ノズルも用いることができる。電子部品実装装置10は、保持する電子部品80の種類に応じて、当該電子部品80を保持するノズルの種類を選択することで、電子部品80を適切に保持することができる。具体的には、保持する電子部品80に応じて、吸着ノズルを用いるか把持ノズルを用いるかを選択し、さらにそれぞれの種類のノズルの中でもどのノズルを用いるかを切り換えることで、1台の電子部品実装装置でより多くの種類の電子部品80を実装することができる。
次に、図9から図11を用いて、コネクタ型電子部品80aの挿入に用いるノズル(コネクタ用ノズル、電子部品搬送ノズル)について説明する。コネクタ用ノズル150は、コネクタ型電子部品80aの挿入に用いるノズルである。コネクタ用ノズル150は、ノズル32と同様にヘッド15のノズル支持部33に装着される。また、コネクタ用ノズル150は、ヘッド15に装着されていない場合、交換ノズル保持機構18に保持されている。
コネクタ用ノズル150は、ベース部152と、スライド部154と、ガイドシャフト156と、アーム部160と、伸縮調整機構162と、を有する。
ベース部152は、コネクタ用ノズル150の基体であり、ノズル支持部33に装着されている場合、ノズル支持部33に固定される。ベース部152は、連結部164と、Dカット部166を有する。連結部164は、ベース部152のノズル支持部33に支持されている状態で、鉛直方向上側となる端部に形成されている。連結部164は、ノズル支持部33に連結する。Dカット部166は、ノズル支持部33に支持されている状態で、コネクタ用ノズル150のZ軸に直交する方向に突出した一部が欠けた円板である。Dカット部166は、ベース部152に固定されている。コネクタ用ノズル150は、Dカット部166の欠けている部分(切り欠き部)の位置を検出することで、コネクタ用ノズル150の姿勢を特定することができる。
スライド部154は、ベース部152の対向する2つの側面にそれぞれ配置されている。つまり、コネクタ用ノズル150は、2つのスライド部154を有し、1つのスライド部154が、ベース部152の対向する2つの側面の一方の面と対面し、1つのスライド部154が、ベース部152の対向する2つの側面の他方の面と対面している。スライド部154は、ガイドシャフト156によりベース部152に対して移動可能な状態で支持されている。
2つのガイドシャフト156は、2つのスライド部154のそれぞれに対応して配置されている。ガイドシャフト156は、ベース部152の側面に移動可能な状態で連結され、スライド部154に固定されている。ガイドシャフト156は、ベース部152に対してスライド部154を移動させる方向を所定の方向とする。ガイドシャフト部156は、スライド部154をベース部152に対して、ベース部152の側面に直交する方向に移動可能な状態で支持している。
2つのアーム部160は、2つのスライド部154にそれぞれに固定されている。アーム部160は、ボルト、ねじ等の締結部190で着脱自在な状態で固定されている。アーム部160は、ベース部152の側面に直交する方向に延びた腕状の部材である。アーム部160は、スライド部154から最も離れた部分が先端部202となる。先端部202は、コネクタ型電子部品80aの溝134と接する。
アーム部160は、先端部202がベース部152の鉛直方向下側の端部よりも鉛直方向下側に設けられている。具体的には、ノズル支持部33に装着された状態において、アーム部160は、先端部202の鉛直方向下側の端部が、ベース部152の鉛直方向下側の端部よりも距離h分、鉛直方向下側に配置されている。アーム部160をベース部152よりも鉛直方向下側に設けることで、電子部品の実装動作中にベース部152が他の機器や、電子部品と接触することを抑制することができる。これにより、コネクタ型電子部品を高密度に実装することが可能となる。
伸縮調整機構162は、ベース部152とスライド部154との間に配置され、ベース部152に対してスライド部154を移動させ、ベース部152からアーム部160の先端部202までの距離を変化させる。伸縮調整機構162は、ばね部170と空気圧調整部172とを有する。ばね部170は、ベース部152とスライド部154との互いに対向する面に配置され、一方がベース部152に固定され、他方がスライド部154に固定される。ばね部170は、スライド部154に対して、矢印210の力、つまり、ベース部152とスライド部154とが離れる方向の力を加える。
空気圧調整部172は、空気圧が供給されることで、ばね部170とは反対側の力、つまり、スライド部154に対して、矢印220の力、つまり、ベース部152とスライド部154とが近づく方向の力を加える。空気圧調整部172は、空気圧供給部180と、空気流路182と、シリンダ部184と、ピストン部186と、を有する。空気圧供給部180は、ヘッド15に接続され、ノズル支持部33を介して、コネクタ用ノズル150に空気を供給する。空気圧供給部180は、他の方式のノズルの電子部品の実装動作の際にも使用される。
空気流路182は、ベース部152の内部に形成され、ノズル支持部33の空気流路と接続される。空気流路182は、ノズル支持部33の空気流路から供給された空気をシリンダ部184のピストン部186よりもスライド部154側から供給する。シリンダ部184は、ベース部152の内部に形成される円筒の空間である。ピストン部186は、シリンダ部184の内部に配置され、ガイドシャフト156と接続されている。
空気圧調整部172は、空気圧供給部180から空気圧を供給することで、シリンダ部184のピストン部186に、矢印220の力、つまり、ベース部152とスライド部154とが近づく方向の力を加える。
コネクタ用ノズル150は、以上のような構成である。コネクタ用ノズル150は、空気圧調整部172によって加えるベース部152とスライド部154とが近づく方向の力を調整し、ばね部170から加わる力とのバランスを調整することで、スライド部154及びアーム部160の位置を調整する。つまり、空気圧調整部172によって加える矢印220の力をばね部170で加える矢印210の力よりも大きくすることで、ベース部152とスライド部154とを近づく方向に移動させることができる。また、空気圧調整部172によって加える矢印220の力をばね部170で加える矢印210の力よりも小さくすることで、ベース部152とスライド部154とを遠ざかる方向に移動させることができる。このように、スライド部154を移動させることで、スライド部154に固定されているアーム部160の先端部202間の距離を調整することができる。コネクタ用ノズル150は、ガイドシャフト156によって、具体的には、ピストン部186によって、ベース部152とスライド部154との距離の移動範囲は、所定の範囲に制限されている。つまり、ピストン部186がシリンダ184内で移動できる範囲が制限される構造とすることで、ガイドシャフト156を介して接続されるスライド部154の移動範囲を制限することができる。
次に、電子部品実装装置の各部の動作について説明する。なお、下記で説明する電子部品の各部の動作は、いずれも制御装置20に基づいて各部の動作を制御することで実行することができる。
図12は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。図12を用いて、電子部品実装装置10の全体の処理動作の概略を説明する。なお、図12に示す処理は制御装置20が各部を制御することで実行される。電子部品実装装置10は、ステップS52として、生産プログラムを読み込む。生産プログラムは、専用の生産プログラム作成装置で作成されたり、入力された各種データに基づいて制御装置20によって作成されたりする。
電子部品実装装置10は、ステップS52で生産プログラムを読み込んだら、ステップS54として、装置の状態を検出する。具体的には、部品供給ユニット14f、14rの構成、充填されている電子部品の種類、準備されているノズル32の種類等を検出する。電子部品実装装置10は、ステップS54で装置の状態を検出し、準備が完了したら、ステップS56として、基板8を搬入する。電子部品実装装置10は、ステップS56で基板8を搬入し、電子部品を実装する位置に基板8を配置したら、ステップS58として電子部品を基板8に実装する。電子部品実装装置10は、ステップS58で電子部品の実装が完了したら、ステップS60として基板8を搬出する。電子部品実装装置10は、ステップS60で基板8を搬出したら、ステップS62として生産終了かを判定する。電子部品実装装置10は、ステップS62で生産終了ではない(No)と判定した場合、ステップS56に進み、ステップS56からステップS62の処理を実行する。つまり、生産プログラムに基づいて、基板8に電子部品を実装する処理を実行する。電子部品実装装置10は、ステップS62で生産終了である(Yes)と判定した場合、本処理を終了する。
電子部品実装装置10は、以上のようにして、生産プログラムを読み込み、各種設定を行った後、基板8に電子部品を実装することで、電子部品が実装された基板を製造することができる。また、電子部品実装装置10は、電子部品として、本体と当該本体に接続されたリードとを有するリード型電子部品を基板8に実装、具体的には、リードを基板に形成された穴(挿入穴)に挿入することで当該電子部品を基板に実装することができる。
図13は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。なお、図13に示す処理動作は、基板を搬入してから、基板への電子部品の搭載が完了するまでの動作である。また、図13に示す処理動作は、制御部60が各部の動作を制御することで実行される。
制御部60は、ステップS102として、基板8を搬入する。具体的には、制御部60は、電子部品を搭載する対象の基板を基板搬送部12で所定位置まで搬送する。制御部60は、ステップS102で基板8を搬入したら、ステップS104として保持移動を行う。ここで、保持移動(吸着移動)とは、ノズル32が部品供給ユニット14の保持領域にある電子部品と対面する位置までヘッド本体30を移動させる処理動作である。
制御部60は、ステップS104で保持移動を行ったら、ステップS106として、ノズル32を下降させる。つまり、制御部60は、電子部品を保持(吸着、把持)できる位置までノズル32を下方向に移動させる。制御部60は、ステップS106でノズル32を下降させたら、ステップS108として、ノズル32で電子部品を保持し、ステップS110として、ノズル32を上昇させる。制御部60は、ステップS110でノズルを所定位置まで上昇させたら、ステップS112として、検査移動を行う。具体的には、電子部品の形状を検出する位置まで電子部品8を移動させる。具体的には、VCSユニット17と対面する位置まで移動する。電子部品の種類によってはノズル32の位置を移動させ、電子部品をレーザ認識装置38の計測位置まで移動させる場合もある。制御部60は、電子部品の検査を行う位置まで移動させた場合、ステップS114として、ノズル32で吸着している電子部品の形状を検出する。ステップS114の処理については後述する。なお、制御部60は、上述したようにステップS114で電子部品の形状を検出し、保持した電子部品が搭載不可であると判定した場合、電子部品を廃棄し、再び電子部品を吸着する。
制御部60は、ステップS114で電子部品の形状を検出したら、ステップS116として、搭載移動、つまりノズル32で吸着している電子部品を基板8の搭載位置(実装位置)に対向する位置まで移動させる処理動作を行い、ステップS118として、ノズル32を下降させ、ステップS120として部品搭載(部品実装)、つまりノズル32から電子部品を開放する処理動作を行い、ステップS122として、ノズル32を上昇させる。つまり、制御部60は、ステップS112からステップS120の処理動作で、上述した実装処理を実行する。
制御部60は、ステップS122でノズル32を上昇させた場合、ステップS124として全部品の搭載が完了したか、つまり基板8に搭載する予定の電子部品の実装処理が完了したかを判定する。制御部60は、ステップS124で全部品の搭載が完了していない(No)、つまり搭載する予定の電子部品が残っていると判定した場合、ステップS104に進み、次の電子部品を基板8に搭載する処理動作を実行する。このように制御部60は、基板8に全部品の搭載が完了するまで、上記処理動作を繰り返す。制御部60は、ステップS124で全部品の搭載が完了した(Yes)と判定した場合、本処理を終了する。
次に、図14から図18を用いて、電子部品としてコネクタ型電子部品を基板に実装する場合、具体的には、ノズルとしてコネクタ用ノズル150を有し、挿入対象の部品として、コネクタ型電子部品が設定されている場合に実行する処理動作について説明する。図14から図18は、それぞれ電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。図16は、電子部品実装装置の動作を説明するための説明図である。また、図14から図18に示す処理動作は、制御部60が各部の動作を制御することで実行される。
制御部60は、コネクタ型電子部品80aを実装するかを判定する(ステップS202)。つまり、制御部60は、次に実装する電子部品がコネクタ型電子部品を含むかを判定する。制御部60は、コネクタ型電子部品を実装しない(ステップS202でNo)と判定した場合、ノズルの交換が必要かを判定する(ステップS204)。制御部60は、ノズルの交換が必要である(ステップS204でYes)と判定した場合、ヘッド15のノズル支持部33に装着するノズルを交換ノズル保持機構18で交換する(ステップS206)。制御部60は、ノズルの交換が必要ではない(ステップS204でNo)と判定した場合、またはノズル支持部33で装着するノズルを交換ノズル保持機構18で交換した場合、電子部品を実装する(ステップS208)。ここで、ステップS204からステップS208は、コネクタ型電子部品以外の電子部品を実装する際に実行する動作と同様の動作である。
制御部60は、コネクタ型電子部品80aを実装する(ステップS202でYes)と判定した場合、コネクタ用ノズル150が装着済みかを判定する(ステップS212)。つまり、ヘッド15のノズル支持部33にコネクタ用ノズル150が装着されているかを判定する。制御部60は、コネクタ用ノズル150が装着されていない(ステップS212でNo)と判定した場合、ヘッド15のノズル支持部33に装着するノズルを交換ノズル保持機構18に保持されているコネクタ用ノズル150に交換する(ステップS214)。制御部60は、ノズルが交換済みである(ステップS212でYes)と判定した場合、またはノズル支持部33で装着するノズルを交換した場合、コネクタ用ノズル150を用いてコネクタ型電子部品80aを実装する(ステップS216)。
次に、図15を用いて、コネクタ用ノズル150を用いてコネクタ型電子部品80aを実装する動作について説明する。制御部60は、空気を供給して、アーム部160を縮める(ステップS220)。具体的には、空気圧供給部180から空気を供給することで、ピストン部186をベース部152の中心側に付勢し、スライド部154及びアーム部160をベース部152に向けて移動させる。電子部品実装装置10は、アーム部160を縮めることで、アーム部160の先端部202の距離をコネクタ型電子部品80aの溝134の間隔よりも狭くする。
制御部60は、アーム部160を縮めたら、電子部品供給装置(部品供給ユニット14r)の保持位置に移動する(ステップS222)。つまり、制御部60は、ヘッド15に装着しているコネクタ用ノズル150を部品供給ユニット14rのコネクタ型電子部品80aが載置されている位置の上に移動させる。ここで、制御部60は、図16に示すように、先端部202を結んだ線と溝134を結んだ線とが重なる位置にヘッド15に装着しているコネクタ用ノズル150を移動させる。制御部60は、さらに、コネクタ用ノズル150を鉛直方向下側に移動させ、先端部202と溝134とを対面させる。
制御部60は、コネクタ用ノズル150を電子部品供給装置の保持位置に移動したら、空気の供給を停止して、アーム部160を伸ばしコネクタ用ノズル150でコネクタ型電子部品80aを保持する(ステップS224)。つまり、空気の供給を停止し、ばね部170の力でアーム部160を先端部202間の距離が広がる方向に伸ばし、溝134と先端部202とを接触させ、さらに先端部202を溝134に押し付ける方向に付勢することで、コネクタ用ノズル150でコネクタ型電子部品80aを保持する。
制御部60は、ノズルで電子部品を保持したら、電子部品を基板の実装位置に移動させ、電子部品を基板に実装させる(ステップS226)。つまり、コネクタ型電子部品80aのリード線124を基板の穴に挿入する。このとき、制御部60は、コネクタ用ノズル150をコネクタ型電子部品80aの実装位置よりも鉛直方向側に所定距離移動させることが好ましい。これにより、基板に対してコネクタ型電子部品80aを押し付け、基板にコネクタ型電子部品80aをより確実に実装させることができる。
制御部60は、電子部品を基板に実装したら、空気を供給して、アーム部160を縮めて、電子部品をノズルから離脱させる(ステップS228)。つまり、先端部202間の距離を溝134間の距離よりも短くして、先端部202と溝134とが離れた状態とする。
次に、図17を用いて、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。図17に示す処理は、図14のステップS214のノズルの交換処理時に実行する。制御部60は、レーザ認識装置38とDカット部166とが対面する位置まで移動させ(ステップS302)、レーザ認識装置38でDカット部166の形状を認識する(ステップS304)。正確には、制御部60は、Dカット部166があると想定される位置の形状を認識する。なお、制御部60は、コネクタ用ノズル150が装着されているノズル支持部33を所定角度分回転させつつ、レーザ認識装置38を照射して形状を計測することで、Dカット部166があると想定される位置の外形形状を計測する。レーザ認識装置38は、各位置における端部の位置を計測し重ね合わせることで、外形形状を計測する。制御部60は、Dカット部166の形状を認識したら、Dカット部166の認識に成功したかを判定する(ステップS306)。制御部60は、Dカット部166がある位置に許容範囲の幅の部材があるか否かで、Dカット部166の認識に成功したかを判定する。
制御部60は、Dカット部166の認識に成功した(ステップS306でYes)と判定した場合、コネクタ用ノズル150の装着に成功したと判定する(ステップS308)。制御部60は、Dカット部166の認識に失敗した(ステップS306でNo)と判定した場合、ノズルの装着失敗と判定し、ノズルの取り外し指示を出力する(ステップS309)。また、制御部60は、Dカット部166の形状の認識に成功した場合、Dカット部166の位置に基づいて、コネクタ用ノズル150の角度を特定し、特定した結果に基づいて、コネクタ用ノズル150のZ軸周りの位置を決定してもよい。
次に、図18を用いて、ノズルの移動時の処理動作について説明する。なお、図18の処理は、動作を設定するティーチング時に実行しても実際の実装動作時に実行してもよい。制御部60は、Z軸の上昇指示があるかを判定する(ステップS312)。Z軸の上昇指示とは、ノズルをZ軸方向の上側(鉛直方向上側)に移動させる指示である。制御部60は、Z軸の上昇指示がある(ステップS312でYes)と判定した場合、コネクタ用ノズル150を装着しているかを判定する(ステップS314)。制御部60は、コネクタ用ノズル150を装着している(ステップS314でYes)と判定した場合、Z軸方向の高さが閾値を超えるかを判定する(ステップS316)。Z軸方向の高さの閾値は、予め設定した値であり、Z軸方向において、コネクタ用ノズル150が、ヘッド15の他の部品と接触する高さよりも低くなる高さであり、ヘッド15の他の部品と接触する危険があるため、これ以上上昇させないために設定する高さである。制御部60は、Z軸方向の高さが閾値を超える(ステップS316でYes)と判定した場合、移動不可と判定し、エラーを出力する(ステップS318)。
制御部60は、Z軸の上昇指示がない(ステップS312でNo)と判定した場合、コネクタ用ノズル150を装着していない(ステップS314でNo)と判定した場合、Z軸方向の高さが閾値を超えない(ステップS316でNo)と判定した場合、軸移動動作を実行する(ステップS319)。
電子部品実装装置10は、以上の処理を行い、コネクタ用ノズル150を装着し、鉛直方向において、コネクタ用ノズル150を鉛直方向上側の移動可能位置の閾値を超える位置に移動させる指示の場合、コネクタ用ノズル150を移動させないことで、コネクタ用ノズル150を装着している場合も、コネクタ用ノズル150がヘッド15の他の部品と接触することを抑制することができる。これにより、電子部品実装装置10は、コネクタ型電子部品80aの実装に用いる幅が広いコネクタ用ノズル150を用いる場合でも、ノズルがヘッドと接触することを抑制することができる。これにより、装置の故障を抑制しつつ、コネクタ型電子部品80aを実装することが可能となり、電子部品実装装置10で実装できる電子部品の種類をより多くすることができる。
また、電子部品実装装置10は、先端部202をコネクタ型電子部品80aの中心側に向いた面に形成される溝134に挿入し、アーム部160をコネクタ型電子部品80aの中心側に向いた面に向けて付勢することで、コネクタ型電子部品80aを保持することができる。これにより、電子部品実装装置10は、コネクタ用ノズル150を用いてコネクタ型電子部品80aを基板8に実装することができる。このように、コネクタ用ノズル150を用いて、コネクタ型電子部品80aを基板8に実装できることで、種々の電子部品を実装する電子部品実装装置10でコネクタ型電子部品80aも実装することができる。これにより、ノズルを交換するのみで、電子部品実装装置10で実装できる電子部品の数を増加させることができる。
また、電子部品実装装置10の伸縮調整機構162は、本実施形態のようにベース部152とスライド部154とが離れる方向に付勢するばね部170と、空気圧を調整することで、ベース部152とスライド部154とが近づく方向に付勢する空気圧調整部172とを組み合わせることで、アーム部160を好適に移動させることができる。
また、本実施形態の空気圧調整部172は、空気を供給することで、つまり正圧を供給することで、ベース部152とスライド部154とが近づく方向に付勢したが、空気を吸引することで、つまり負圧を供給することで、ベース部152とスライド部154とが近づく方向に付勢するようにしてもよい。空気を吸引する場合、空気圧供給部180からシリンダ部184に空気を供給する開口をピストン部186のスライダ部154から遠い側の面に供給する。
また、電子部品実装装置10の伸縮調整機構162は、ベース部152とスライド部154とが近づく方向に付勢するばね部170と、空気圧を調整することで、ベース部152とスライド部154とが離れる方向に付勢する空気圧調整部172とを組み合わせることでも、アーム部160を好適に移動させることができる。また、この場合も、空気圧調整部172は、空気を供給することで、つまり正圧を供給することで、ベース部152とスライド部154とが離れる方向に付勢しても、空気を吸引することで、つまり負圧を供給することで、ベース部152とスライド部154とが離れる方向に付勢するようにしてもよい。
また、伸縮調整機構162は、ばねと空気圧以外の組み合わせでアーム部160を移動させるようにしてもよい。
また、コネクタ用ノズル150は、締結部190を設け、アーム部160をスライド部154に対して着脱可能とすることで、アーム部160を交換することができる。これにより、実装するコネクタ型電子部品80aに応じて、アーム部160を交換することができ、1つのベース部152及びスライド部154等のユニットを有効に活用することができる。
また、上記実施形態では、ベース部152の両方にスライド部154を設け、両方を移動する機構とすることで、移動量を多くすることができる。なお、コネクタ用ノズル150の構造は、これに限定されず。ベース部152の一方にスライド部154を設け、他方は固定されたアーム部160としてもよい。
また、本実施形態のコネクタ用ノズル150を用いることで、上記効果を得ることができるが、他の構造のノズルを用いてコネクタ型電子部品80aを保持、搬送してもよい。
次に、図19及び図20を用いて、コネクタ用ノズル150を用いてコネクタ型電子部品80aを実装する際の処置動作の一例をより詳細に説明する。図19は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。図20は、電子部品実装装置の動作を説明するための説明図である。
制御部60は、コネクタ用ノズル150でコネクタ型電子部品80aを保持する(ステップS320)。制御部60は、コネクタ型電子部品80aを保持したら、コネクタ型電子部品80aの搭載角度が90度または270度かを判定する(ステップS322)。ここで、搭載角度は、コネクタ型電子部品80aの長手方向が、ノズルの配列方向と平行になる向き、つまり図20に示すように、レーザ認識装置38の延在方向とコネクタ型電子部品80aの長手方向が、平行となる向きが0度、または180度となる。
制御部60は、搭載角度が90度または270度ではない、つまり搭載角度が0度または180度である(ステップS322でNo)と判定した場合、搭載角度に回転させる(ステップS324)。制御部60は、搭載角度が90度または270度である(ステップS322でYes)と判定した場合、コネクタ型電子部品80aを搭載角度+90度に回転させる(ステップS326)。つまり、制御部60は、向きは180度異なる場合があるがコネクタ型電子部品80aとヘッド15との関係が図20に示すように、コネクタ型電子部品80aの長手方向が、ノズルの配列方向と平行になる向きとなるように回転させる。
制御部60は、ステップS324またはS326の処理を行ったら、ビジョン認識処理を行う(ステップS328)。ビジョン認識処理は、コネクタ型電子部品80aのリード線の位置を検出する処理である。ビジョン認識処理については後述する。
制御部60は、ビジョン認識処理を行ったら、コネクタ型電子部品80aの搭載角度が90度または270度かを判定する(ステップS330)。制御部60は、搭載角度が90度または270度である(ステップS330でYes)と判定した場合、コネクタ型電子部品80aを搭載角度−90度に回転させる(ステップS332)。
制御部60は、搭載角度が90度または270度ではない、つまり搭載角度が0度または180度である(ステップS330でNo)と判定した場合、またはステップS332の処理を行った場合、挿入位置にコネクタ型電子部品80aを移動させ(ステップS334)、コネクタ型電子部品80aを基板8に実装する(ステップS336)。なお、制御部60は、コネクタ型電子部品80aを基板8に実装する際に、ビジョン認識処理の結果に基づいて位置を補正する。この点については後述する。
次に、図21から図24を用いてビジョン認識処理について説明する。図21は、電子部品実装装置の動作の例を示すフローチャートである。図21は、コネクタ型電子部品の形状、具体的にはリード線の測定時のコネクタ型電子部品の動き、具体的には、コネクタ型電子部品を保持するノズル及びヘッドの動作の一例を示している。図21に示す処理は、制御部60によって各部、特にヘッド制御部62で動作を制御することで実現できる。また、制御部60は、ノズルに保持しているコネクタ型電子部品の種類に基づいて記憶部61に記憶されている作成条件を用意し、作成条件に基づいて処理を行う。
制御部60は、コネクタ型電子部品をVCSユニット17上に移動させる(ステップS350)。具体的には、制御部60は、XY移動機構16でヘッド15をXY軸方向に移動させ、ノズルで保持しているコネクタ型電子部品をVCSユニット17上に移動させる。なお、この処理は、上述した図18の処理のステップS312と同様の処理である。
制御部60は、コネクタ型電子部品をVCSユニット17と対面する位置に移動させたらZスタートポジションに移動させる(ステップS352)。Zスタートポジションは、コネクタ型電子部品の計測(合成画像の作成)を開始するZ軸方向の位置である。Zスタートポジションは、作成条件の1つとして含んでもよいし、同じ位置としてもよい。つまり、ノズル駆動部34でノズル32のZ軸方向の位置を調整することで、コネクタ型電子部品のZ軸方向の位置を調整する。
次に、制御部60は、画像処理部66を介して、VCSユニット17に撮像コマンドを発行する(ステップS354)。撮像コマンドは、VCSユニット17で画像を取得する動作を実行する指示を含む。制御部60は、撮像コマンドを発行したら、VCSユニット17から応答レスポンス、つまり撮影を実行したことを示す情報があったかを判定する(ステップS356)。制御部60は、応答レスポンスなし(ステップS356でNo)と判定した場合、ステップS356に戻る。つまり制御部60は、応答レスポンスを検出するまで、ステップS356の処理を繰り返す。
制御部60は、応答レスポンスあり(ステップS356でYes)と判定した場合、コネクタ型電子部品をZ軸方向に下降させる(ステップS358)。ここで、Z軸方向の移動距離は作成条件に設定されている距離である。つまり、制御部60は、ノズル駆動部34でノズル32のZ軸方向の位置を調整することで、コネクタ型電子部品をVCSユニット17に所定距離近づける。
制御部60は、コネクタ型電子部品をZ軸方向に下降させたら、画像処理部66を介して、VCSユニット17に撮像コマンドを発行する(ステップS360)。撮像コマンドは、VCSユニット17で画像を取得する動作を実行する指示を含む。制御部60は、撮像コマンドを発行したら、VCSユニット17から応答レスポンス、つまり撮影を実行したことを示す情報があったかを判定する(ステップS362)。制御部60は、応答レスポンスなし(ステップS362でNo)と判定した場合、ステップS362に戻る。
制御部60は、応答レスポンスあり(ステップS362でYes)と判定した場合、最後の認識か、つまり必要な枚数の画像を取得したかを判定する(ステップS364)。
制御部60は、最後の認識ではない(ステップS364でNo)と判定した場合、ステップS358に戻り、ステップS358からステップS364の処理を再び行う。制御部60は、最後の認識である(ステップS364でYes)と判定した場合、移動可能高さへ移動する(ステップS366)。つまり、ヘッド15をXY軸方向に移動できる位置まで、ノズル32及びコネクタ型電子部品をZ軸方向に上昇させる。制御部60は、以上のようにして、画像の撮影時にコネクタ型電子部品の位置を移動させる。
図22は、電子部品実装装置の動作の例を示すフローチャートである。図22に示す処理は、図21の処理に対応して、制御部60が画像処理部66及びVCSユニット17で実行する処理である。以下、画像処理部66の処理として説明する。
画像処理部66は、撮像コマンドを検出したかを判定する(ステップS370)。画像処理部66は、撮像コマンドを検出していない(ステップS370でNo)と判定した場合、ステップS370に戻る。画像処理部66は、撮像コマンドを検出するまでステップS370の判定を繰り返す。
画像処理部66は、撮像コマンドを検出した(ステップS370でYes)と判定した場合、VCSユニット17で撮影を行って画像を取得し(ステップS372)、応答レスポンスを制御部60に出力する(ステップS374)。つまり、画像処理部66は、コネクタ型電子部品のリードが配置されている面側の画像を撮影し、撮影を行ったことを示す応答レスポンスを出力する。
画像処理部66は、応答レスポンスを出力したら、撮影が完了したか、つまり対象のコネクタ型電子部品の各位置での撮影が終了したかを判定する(ステップS376)。画像処理部66は、撮影を完了していない(ステップS376でNo)と判定した場合、ステップS370に戻る。
画像処理部66は、撮影が完了した(ステップS376でYes)と判定した場合、合成画像を生成する(ステップS378)。以下図23を用いて、VCSユニット17とコネクタ型電子部品との距離が異なる複数の画像を合成した合成画像を取得する処理について説明する。図23は、電子部品実装装置の動作を説明するための説明図である。画像処理部66は、図23に示すようにZ軸方向の座標が異なる、例えば、Z=1.00、0.50、0.00、−0.50、−1.00のそれぞれの位置の画像100a、100b、100c、100d、100eの5つの画像を取得する。ここで、Zは、VCSユニット17とコネクタ型電子部品との基準距離0との差である。画像処理部66は、VCSユニット17で撮影した画像を、一次フィルタ、二次フィルタを用いて、リード線をわかりやすくした状態で、二値化処理を行い、リード線とそれ以外の部分とを分離する。これにより、画像100a、100b、100c、100d、100eは、リード線102a、102b、102c、102d、102eが白、それ以外の部分が黒となる。画像処理部66は、100a、100b、100c、100d、100eを合成して、画像106を生成する。画像106は、リード線108がより明確に特定できる画像となる。なお、抽出する対象は異なるが、複数の画像から特定の部分の画像を抽出する処理は、特開2012−23340号公報と同様の処理であり、一次フィルタ、二次フィルタを用いた処理、二値化処理、画像の合成処理は同様の処理で行うことができる。
画像処理部66は、合成画像を生成したら、合成画像に基づいて補正値を算出する(ステップS380)。具体的には、合成画像で検出したリード線の位置に基づいて、設計データ、部品の形状等の基準データと実際のコネクタ型電子部品のリード線の位置とのずれを検出し、ずれに基づいて、実装時のヘッドのXY軸方向の位置、ノズルのθ方向の位置の補正値を算出する。画像処理部66は、補正値を算出したら、認識レスポンスを出力する(ステップS382)。
図24は、電子部品実装装置の動作の例を示すフローチャートである。図21の処理を行った後の制御部60及びヘッド15の処理動作の一例を示している。制御部60は、認識レスポンスがあるかを判定する(ステップS390)。制御部60は、認識レスポンスなし(ステップS390でNo)と判定した場合、ステップS390に戻る。
制御部60は、認識レスポンスあり(ステップS390でYes)と判定した場合、実装位置の補正を行い(ステップS392)、コネクタ型電子部品を基板8に挿入する(ステップS394)。つまり、コネクタ型電子部品を挿入する位置を、合成画像に基づいて算出した補正値に基づいてXY軸方向及びθ方向に補正し、補正した位置で、コネクタ型電子部品を基板8に実装する。
また、電子部品実装装置10は、上述したビジョン認識処理を用いて、リードの位置を検出し、検出したリードの位置に基づいて、コネクタ型電子部品80aの姿勢や位置を検出し、その結果に基づいて、位置を補正することで適切な位置にコネクタ型電子部品80aを実装することができ、コネクタ型電子部品80aをより高い精度で実装することができる。
また、ビジョン処理まえに、コネクタ型電子部品80aの姿勢を制御し、コネクタ型電子部品80aの長手方向とノズルの配列方向とを平行にすることで、コネクタ型電子部品80aをノズルが上下動する領域、レーザ認識装置38の発光部38aと受光部38bとの間の鉛直方向下側に配置することができる。これにより、コネクタ型電子部品80aを上下動させた場合にコネクタ型電子部品80がヘッド15に接触する可能性を低減することができる。
電子部品実装装置10は、以上のように、ビジョン認識処理で、コネクタ型電子部品を保持するノズルの鉛直方向下側(基板側)に配置されたVCSユニット17を用いて、VCSユニット17とコネクタ型電子部品とのZ軸方向の距離を変化させつつ、複数の画像を作成し、リード線を抽出する処理を行い、その後合成することで、コネクタ型電子部品を挿入する方向から画像におけるリード線の位置を高精度に検出することができる。また、リード線が不規則に並んでいたり、複雑な形状であったりする場合も、それぞれのリード線の状態を検出することができる。つまり、実装装置10は、コネクタ型電子部品のリード線側から撮影した画像に基づいて、リード線の位置を取得することで、二次元配列されているリード線のそれぞれ、つまり外周の形状以外のリード線の位置も検出することができる。
これにより、上述した処理でリード線の位置を検出することで高い精度でリード線の位置を検出することができる。また、電子部品実装装置10は、コネクタ型電子部品のリード線側から撮影した画像に基づいて、リード線の形状を検出することで、リード線が最初に基板と接触する位置の座標を検出することができる。これにより、挿入の際に挿入できるかの基準となる位置を検出することができる。また、その結果に基づいて、実装する位置を補正し、コネクタ型電子部品を基板に実装することで、高い確率で基板にコネクタ型電子部品を挿入することができる。また、リード線の位置が正確に検出できることで、実装できるか否かをより高い精度で検出することができ、実装できないコネクタ型電子部品を基板に押し付けることを抑制できる。
図25を用いて、電子部品実装装置10の他の処理について説明する。図25は、電子部品実装装置の動作の例を示すフローチャートである。図25は、図19のステップS328のビジョン認識処理に代えて実行する処理である。制御部60は、ビジョン認識中のZ軸動作を判定する(ステップS402)。制御部60は、ビジョン認識中のZ軸動作である(ステップS402でYes)と判定した場合、認識角度が0度または180度かを判定する(ステップS404)。つまり、制御部60は、コネクタ型電子部品80aの長手方向とノズルの配列方向とは平行な向きであるかを判定する。
制御部60は、認識角度が0度または180度である(ステップS404でYes)と判定した場合、高さの閾値を上げる(ステップS406)。つまり、制御部60は、図18のステップS316の高さの閾値をより高い値に設定し、コネクタ型電子部品80aをより鉛直方向上側に移動できる設定とする。
制御部60は、ビジョン認識中のZ軸動作ではない(ステップS402でNo)と判定した場合、認識角度が0度または180度ではない(ステップS404でNo)と判定した場合、または、ステップS406の処理を行った場合、ビジョン認識処理を行う(ステップS408)。
制御部60は、ビジョン認識処理を行ったら、閾値を元に戻す(ステップS410)。ここで、ステップS406の処理を行っていない場合、閾値は変更せずそのままとなる。
電子部品実装装置10は、図25に示す処理を行い、ビジョン認識処理を行う場合で、かつ、コネクタ型電子部品80aの長手方向とノズルの配列方向とは平行な向きである場合、高さの閾値をより高い値に設定することで、ビジョン認識処理で撮影できる画像をより多くすることができ、リード線の位置をより高い精度で計測することができる。また、上記条件を満たす場合に、高さの閾値をより高い値に設定し、処理終了後に元の閾値に戻すことで、コネクタ用ノズル150がヘッド15の他の部品と接触することを抑制しつつ、リード線の位置をより高い精度で計測することができる。
図26及び図27を用いて、電子部品実装装置10の他の処理について説明する。図26は、電子部品実装装置の動作の例を示すフローチャートである。図27は、電子部品実装装置の動作を説明するための説明図である。電子部品実装装置10は、VCSユニット17の視野よりもコネクタ型電子部品が大きい場合、一回のビジョン認識処理でコネクタ型電子部品の全域の形状を認識することができない。これに対して、電子部品実装装置10は、図27に示すように、コネクタ型電子部品80aに対して、ビジョン認識処理を実行する撮影領域302a、302b、302c、302d、302eをずらして、複数回のビジョン認識処理を実行することで、コネクタ型電子部品80aのリード線の位置、形状を検出することができる。
以下、図26を用いて、処理の一例を説明する。制御部60は、コネクタ部品(コネクタ型電子部品)のビジョン認識位置を決定する(ステップS422)。制御部60は、認識位置を決定したら、決定した位置のビジョン認識処理を実行する(ステップS424)。制御部60は、全ての位置のビジョン認識を終了したかを判定する(ステップS426)。制御部60は、全ての位置のビジョン認識を終了していない(ステップS426でNo)と判定した場合、ステップS422に戻り、異なる位置をビジョン認識位置に決定して、ビジョン認識処理を行う。
制御部60は、全ての位置のビジョン認識を終了した(ステップS426でYes)と判定した場合、複数の認識処理の結果を合成し、その結果に基づいて補正値を算出する(ステップS428)。
電子部品実装装置10は、コネクタ型電子部品80aの全ての領域をビジョン認識することで、コネクタ型電子部品80aの位置や形状をより正確に検出することができる。
図28及び図29を用いて、電子部品実装装置10の他の処理について説明する。図28は、電子部品実装装置の動作を説明するための説明図である。図29は、電子部品実装装置の動作の例を示すフローチャートである。電子部品実装装置10は、図28に示すように、コネクタ型電子部品80aの両端のそれぞれに対してビジョン認識処理を実行する撮影領域312、314を設定し2回のビジョン認識処理を実行することでも、コネクタ型電子部品80aのリード線の位置、形状を検出することができる。この場合、撮影領域312、314のそれぞれの結果に基づいて、コネクタ型電子部品80aの長手方向に延びる基準線316や、コネクタ型電子部品80aの中心位置318を検出する。基準線316を検出することで、コネクタ型電子部品80aの傾きを検出することができる。
以下、図29を用いて、処理の一例を説明する。制御部60は、コネクタ部品(コネクタ型電子部品)の一方の端部をビジョン認識位置に決定する(ステップS430)。制御部60は、認識位置を決定したら、決定した位置のビジョン認識処理を実行する(ステップS432)。次に、制御部60は、コネクタ部品(コネクタ型電子部品)の他方の端部をビジョン認識位置に決定する(ステップS434)。制御部60は、認識位置を決定したら、決定した位置のビジョン認識処理を実行する(ステップS436)。制御部60は、2か所のビジョン認識を行ったら、2か所の認識処理の結果を合成し、その結果に基づいて補正値を算出する(ステップS438)。
電子部品実装装置10は、図28及び図29に示すように、コネクタ型電子部品80aの長手方向の両端部のみに対してビジョン認識処理を行うことで、ビジョン認識処理の処理量を低減することができる。処理量を低減することで実装処理にかかる時間を短くすることで生産効率を向上させることができる。また、コネクタ型電子部品80aの長手方向の両端部の位置を検出することで、コネクタ型電子部品80aの傾きをより高い角度で検出することができる。これにより補正値の精度もより高くすることができる。