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JP2016092280A - 発光性薄膜、有機エレクトロルミネッセンス素子、照明装置及び表示装置 - Google Patents

発光性薄膜、有機エレクトロルミネッセンス素子、照明装置及び表示装置 Download PDF

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JP2016092280A
JP2016092280A JP2014226815A JP2014226815A JP2016092280A JP 2016092280 A JP2016092280 A JP 2016092280A JP 2014226815 A JP2014226815 A JP 2014226815A JP 2014226815 A JP2014226815 A JP 2014226815A JP 2016092280 A JP2016092280 A JP 2016092280A
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隆太郎 菅原
Ryutaro Sugawara
隆太郎 菅原
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Konica Minolta Inc
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Abstract

【課題】本発明の課題は、発光寿命に優れた発光性薄膜及び当該発光薄膜を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子、当該有機エレクトロルミネッセンス素子が具備された表示装置及び照明装置を提供することである。
【解決手段】本発明の発光性薄膜は、最低励起一重項エネルギーと最低励起三重項エネルギーとのエネルギー差の絶対値(ΔEst)が、0.5eV以下である発光性化合物と、下記一般式(I)で表される構造を有する化合物を含有することを特徴とする。
【化1】
Figure 2016092280

【選択図】なし

Description

本発明は、発光性薄膜、有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置に関する。より詳しくは、発光寿命に優れた発光性薄膜、それを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子ともいう。)は、発光性化合物を含有する発光性薄膜(発光層)を、陰極と陽極とで挟んだ構成を有し、電界を印加することにより、陽極から注入された正孔と陰極から注入された電子を発光層内で再結合させることで励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・リン光)を利用した発光素子である。また、有機EL素子は、電極と電極の間を厚さ僅かサブミクロン程度の有機材料の膜で構成する全固体素子であり、数V〜数十V程度の電圧で発光が可能であることから、次世代の平面ディスプレイや照明への利用が期待されている。
実用化に向けた有機EL素子の開発としては、プリンストン大学より、励起三重項からのリン光発光を用いる有機EL素子の報告がされており、以来、室温でリン光を示す材料の研究が活発になってきている。
さらに、リン光発光を利用する有機EL素子は、以前の蛍光発光を利用する有機EL素子に比べ原理的に約4倍の発光効率が実現可能であることから、その材料開発を初めとし、発光素子の層構成や電極の研究開発が世界中で行われている。
しかし、リン光発光方式は、大変ポテンシャルの高い方式であるが、リン光発光方式において実際に高い量子効率を得るためには、中心金属にイリジウムや白金などの希少金属を用いた錯体を用いる必要があり、将来的に希少金属の埋蔵量や金属自体の値段が産業上大きな問題となることが懸念される。
一方で、蛍光発光型においても発光効率を向上させるために様々な開発がなされており、近年新しい動きが出てきた。
例えば、三重項励起子から一重項励起子への逆項間交差(Reverse Intersystem Crossing:以下、適宜「RISC」と略記する。)が生じる現象を利用した現象(熱活性型遅延蛍光(「熱励起型遅延蛍光」ともいう。):Thermally Activated Delayed Fluorescence:以下、適宜「TADF」と略記する。)を適用した蛍光発光化合物と、その有機EL素子への利用の可能性が報告されている(例えば、特許文献1参照。)。
TADF機構は、図1に示すように、一般的な蛍光発光化合物に比べ、励起一重項エネルギーと励起三重項エネルギーの差(ΔEst)が小さい材料(図1では、ΔEst(TADF)がΔEst(F)よりも小さい。)を用いた場合に、三重項励起子から一重項励起子への逆項間交差が生じる現象を利用した発光機構である。
すなわち、ΔEstが小さいことによって、電界励起により75%の確率で発生する三重項励起子が、本来なら発光に寄与できないところ、有機EL素子駆動時の熱エネルギーなどで一重項励起状態に遷移し、その状態から基底状態へ輻射失活(「輻射遷移」又は「放射失活」ともいう。)し、蛍光発光を起こすものである。このTADF機構による遅延蛍光を利用すると、蛍光発光においても、理論的には100%の内部量子効率が可能となると考えられている。
さらに、ホスト化合物と発光性化合物からなる発光層に、TADF性を示す化合物(以下、「TADF性化合物」ともいう。)を第三成分(アシストドーパント)として発光層に含めると、高発光効率発現に有効であることが知られている(例えば、非特許文献1参照。)。アシストドーパント上に25%の一重項励起子と75%の三重項励起子を電界励起により発生させることによって、三重項励起子は逆項間交差(RISC)を伴って一重項励起子を生成することができる。
一重項励起子のエネルギーは、発光性化合物へ蛍光共鳴エネルギー移動(Fluorescence Resonance Energy Transfer:以下、適宜、「FRET」と略記する。)し、発光性化合物が移動してきたエネルギーにより発光することが可能となる。したがって、理論上100%の励起子エネルギーを利用して、発光性化合物を発光させることが可能となり、高発光効率が発現する。
上記したように、近年は、ホスト化合物と、発光性化合物又はアシストドーパントとしてTADF性を示す化合物とを用いた発光層が注目され、高い発光効率を実現するための開発研究が様々に行われているが、一方で、発光寿命に関しては、十分に検討されておらず、満足な性能は得られていない。
特開2013−116975号公報
H.Nakanоtani,et al.,Nature Communicaion,2014,5,4016−4022.
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、発光寿命に優れた発光性薄膜及び当該発光薄膜を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子、当該有機エレクトロルミネッセンス素子が具備された表示装置及び照明装置を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、発光性薄膜を形成する組成物を構成する成分として含まれる発光性化合物と一般式(I)で表される化合物との組み合わせにより前記組成物の凝集が抑制され、発光寿命を改善できる可能性があることに着目し、発光性化合物と一般式(I)で表される化合物のマッチングについて十分な検討をした結果、一般式(I)で表される構造を有する化合物を適切に選択することで上記問題を解決できることを知見し、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.最低励起一重項エネルギーと最低励起三重項エネルギーとのエネルギー差の絶対値(ΔEst)が、0.5eV以下である発光性化合物と、下記一般式(I)で表される構造を有する化合物を含有することを特徴とする発光性薄膜。
Figure 2016092280
[式中、X101は、NR101、酸素原子、硫黄原子、CR102103又はSiR102103を表す。y〜yは、各々、CR104又は窒素原子を表す。R101〜R104は、各々、水素原子又は置換基を表し、互いに結合して環を形成してもよい。Ar101及びAr102は、各々、芳香族環を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。n101及びn102は、各々、0〜4の整数を表す。]
2.前記発光性化合物がTADF性化合物であり、かつ前記一般式(I)で表される構造を有する化合物がホスト化合物であることを特徴とする第1項に記載の発光性薄膜。
3.第1項又は第2項に記載の発光性薄膜を、発光層として、陽極と陰極の間に有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
4.前記発光層の少なくとも一層が、前記TADF性化合物と前記ホスト化合物と、蛍光発光性化合物及び燐光発光性化合物のうち少なくとも1種類の発光性化合物とを含有することを特徴とする第3項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
5.前記ホスト化合物が、下記一般式(II)で表される構造を有することを特徴とする第3項又は第4項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 2016092280
[式中、X101、Ar101、Ar102、及びn102は、それぞれ、前記一般式(I)におけるX101、Ar101、Ar102、及びn102と同義である。]
6.前記ホスト化合物が、下記一般式(III)で表される構造を有することを特徴とする第3項から第5項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 2016092280
[式中、X101、Ar102及びn102は、それぞれ、前記一般式(I)におけるX101、Ar101、Ar102、及びn102と同義である。]
7.前記一般式(III)におけるAr102が、置換又は無置換のカルバゾール環であることを特徴とする第6項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
8.前記TADF性化合物が、下記一般式(1)、(3)、又は(5)のいずれかで表される構造を有することを特徴とする第3項から第7項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 2016092280
[一般式(1)において、Ar1〜Arは、各々独立に、置換又は無置換のアリール基を表し、少なくとも1つは下記一般式(2)で表される構造を有する基で置換されたアリール基を表す。]
Figure 2016092280
[一般式(2)において、R〜Rは、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。Zは、O、S、O=C、Ar−N、又は化学結合を表す。Arは、置換又は無置換のアリール基を表す。R〜Rのうち隣り合う基同士は、互いに結合を形成、又は、連結基を介して環を形成してもよい。]
Figure 2016092280
[一般式(3)において、R〜Rの少なくとも1つは、シアノ基を表し、R〜Rの少なくとも1つは下記一般式(4)で表される構造を有する基を表し、残りのR〜Rは水素原子又は置換基を表す。]
Figure 2016092280
[一般式(4)において、R21〜R28は、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。ただし、下記要件<A>か<B>の少なくとも一方を満たす。
<A>R25及びR26は、単結合を形成する。
<B>R27及びR28は、置換又は無置換のベンゼン環を形成するのに必要な原子団を表す。]
Figure 2016092280
[一般式(5)において、R及びRは、各々独立に、下記一般式(6)で表される構造を有する基である。]
Figure 2016092280
[一般式(6)において、R〜Rは、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。Zは、O、S、O=C、Ar−N、又は結合を表す。Arは、置換又は無置換のアリール基を表す。R〜Rのうち隣り合う基同士は、互いに結合を形成、又は、連結基を介して環を形成してもよい。]
9.第3項から第8項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を具備することを特徴とする表示装置。
10.第3項から第8項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を具備することを特徴とする照明装置。
11.第10項に記載の照明装置及び、表示手段として、液晶素子を具備することを特徴とする表示装置。
本発明の上記手段により、発光寿命に優れた発光性薄膜及び当該発光薄膜を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子、当該有機エレクトロルミネッセンス素子が具備された表示装置及び照明装置を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
従来の有機エレクトロルミネッセンス素子において、十分な発光寿命が得られない要因としては、発光性薄膜を形成する組成物として含まれる発光性化合物又はホスト化合物の凝集にあると推察される。すなわち、前記組成物の凝集は発光性薄膜の形成時、又は駆動電流印加時に発光性化合物若しくはホスト化合物などの分子運動が活発化し、凝集が生じると考えられる。特に、組成物として含まれる発光性化合物が凝集すると、励起子同士が複合体を形成して発光するエキシマー蛍光等の現象も引き起こすと考えられる。
本発明においては、発光性化合物と、一般式(I)で表される構造を有する化合物とを併用したことにより、それぞれの化合物分子自体非平面性及び両化合物の分子相互間の化学構造の相違性及び立体的障害性等により凝集を防止できたものと考えられる。
さらに、TADF性化合物として、前記一般式(1)、(3)、又は(5)のいずれかで表される構造を有する化合物を用いることにより、化合物の凝集を防止するとともに、ΔEstを小さくすることができたものと考えられる。
以上のように、本発明の手段によれば、一般式(I)で表される構造を有する化合物と発光性化合物(TADF性化合物)の凝集を防止できると伴に、ΔEstを小さくできるため有機EL素子の発光寿命が向上するものと推察される。
通常の蛍光発光性化合物及びTADF化合物のエネルギーダイヤグラムを示した模式図
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、最低励起一重項エネルギーと最低励起三重項エネルギーとのエネルギー差の絶対値(ΔEst)が、0.5eV以下である発光性化合物と、下記一般式(I)で表される構造を有する化合物を含有することを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項11までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記発光性化合物がTADF性化合物であり、かつ前記一般式(I)で表される構造を有する化合物がホスト化合物であることが好ましい。
本発明の発光性薄膜は、有機エレクトロルミネッセンス素子において、発光層として、陽極と陰極の間に好適に用いることができる。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子としては、本発明の効果発現の観点から、
前記発光層の少なくとも一層が、前記TADF性化合物と前記ホスト化合物と、蛍光発光性化合物及び燐光発光性化合物のうち少なくとも1種類の発光性化合物とを含有することが好ましい。また、前記ホスト化合物が、前記一般式(II)で表される構造を有することが好ましい。さらに、前記ホスト化合物が、前記一般式(III)で表される構造を有することが、化合物の凝集の防止及び電子や正孔の輸送性の観点から、好ましい。さらに、前記一般式(III)におけるAr102が、置換又は無置換のカルバゾール環であることが、上記と同様の観点から好ましい。
前記TADF性化合物としては、前記一般式(1)、(3)、又は(5)のいずれかで表される構造を有することが、化合物の凝集の防止及びΔEstを小さくさせる点で好ましい。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、表示装置及び照明装置に好適に用いられる。
本発明の照明装置は、表示手段として、液晶素子を具備した表示装置に好適に用いられる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
<発光性薄膜>
本発明の発光性薄膜は、最低励起一重項エネルギーと最低励起三重項エネルギーとのエネルギー差の絶対値(ΔEst)が、0.5eV以下である発光性化合物と、下記一般式(I)で表される構造を有する化合物を含有することを特徴とする。
本発明の発光性薄膜の実施態様としては、前記発光性化合物がTADF性化合物であり、かつ前記一般式(I)で表される構造を有する化合物がホスト化合物であることが好ましい。
(ホスト化合物)
TADF性化合物を発光性化合物として用いる場合、三重項励起状態の存在時間が長いことから、ホスト化合物自体の最低励起三重項エネルギー(T:「最低三重項エネルギー」、「三重項エネルギー」、及び、単に、「三重項状態」ともいう。)のエネルギーが高いこと、さらにホスト化合物同士が会合した状態で低T状態(最低三重項エネルギーが低下した状態)を作らないこと、TADF性化合物とホスト化合物とがエキサイプレックスを形成しないこと、ホスト化合物が電界によりエレクトロマーを形成しないことなど、ホスト化合物が低T化(最低三重項エネルギーが低下)しないような分子構造の適切な設計が必要となる。
このような要件を満たすためには、ホスト化合物自体が電子のホッピング移動性が高いこと、かつ、正孔のホッピング移動が高いこと、三重項励起状態となったときの構造変化が小さいことが必要である。このような要件を満たすホスト化合物の代表格としてカルバゾール骨格、アザカルバゾール骨格、ジベンゾフラン骨格、ジベンゾチオフェン骨格又はアザジベンゾフラン骨格などの、高い最低三重項エネルギーを有し、かつ14π電子系の拡張π共役骨格を部分構造として有するものが好ましく挙げられる。特に、発光層が、カルバゾール誘導体を含有することにより、発光層内における適度なキャリアホッピングや発光性化合物の分散を促すことができ、素子の発光性能や薄膜の安定性を向上させる効果が得られることから、好ましい。
さらに、これらの環がビアリール及び/又はマルチアリール構造を取った化合物などが代表例として挙げられる。ここでいう「アリール」とは、芳香族炭化水素環だけでなく芳香族複素環も含む。
より好ましくは、カルバゾール骨格と、カルバゾール骨格とは異なる分子構造を持つ14π電子系の芳香族複素環化合物とが直接結合した化合物であり、さらに14π電子系の芳香族複素環化合物を分子内に二つ以上持つカルバゾール誘導体が好ましい。特に、前記カルバゾール誘導体が、14π電子以上の共役系構造部分を二つ以上有する化合物であることが、本発明の効果を一層高めるために好ましい。
本発明に係るホスト化合物は、下記一般式(I)で表されることを特徴としている。一般に縮合芳香族環は三重項エネルギー(T)が低い傾向があるが、一般式(I)で表される化合物は高い最低三重項エネルギーTを有しており、発光波長の短い(すなわちT及びSの高い発光性化合物に対して好適に用いることができる。
Figure 2016092280
上記一般式(I)において、X101は、NR101、酸素原子、硫黄原子、CR102103又はSiR102103を表す。y〜yは、各々CR104又は窒素原子を表す。
101〜R104は、各々水素原子又は置換基を表し、また互いに結合して環を形成してもよい。
Ar101及びAr102は、各々芳香族環を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
n101及びn102は、各々0〜4の整数を表す。
一般式(I)におけるR101〜R104は、水素又は置換基を表し、ここにいう置換基は本発明に用いられるホスト化合物の機能を阻害しない範囲で有してもよいものを指し、例えば、合成スキーム上置換基が導入されてしまう場合で、本発明の効果を奏する化合物は本発明に包含される旨を規定するものである。
101〜R104で各々表される置換基としては、例えば、直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素環基(芳香族炭素環基、アリール基等ともいう。例えば、ベンゼン環、ビフェニル、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−ターフェニル環、m−ターフェニル環、p−ターフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、インデン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環、テトラリン等から導出される基)、芳香族複素環基(例えば、フラン環、ジベンゾフラン環、チオフェン環、ジベンゾチオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環(カルボリン環を構成する炭化水素環の炭素原子の一つがさらに窒素原子で置換されている環等から導出される基。また、カルボリン環とジアザカルバゾール環を合わせて「アザカルバゾール環」と呼ぶ場合もある。)、非芳香族炭化水素環基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、非芳香族複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基又はヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、チオール基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、重水素原子等が挙げられる。
これらの置換基は、上記の置換基によってさらに置換されていてもよい。また、これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
一般式(I)におけるy〜yとしては、好ましくは、y〜yのうちの少なくとも三つ、又はy〜yのうちの少なくとも三つがCR102で表され、より好ましくはy〜yが全てCR102である。このような骨格は、正孔輸送性又は電子輸送性に優れ、陽極・陰極から注入された正孔・電子を効率よく発光性薄膜内で再結合・発光させることができる。
中でも、最低空分子軌道(LUMO)のエネルギー準位が浅く、電子輸送性に優れる構造として、一般式(I)中でX101が、NR101、酸素原子又は硫黄原子である化合物が好ましい。より好ましくは、X101及びy〜yとともに形成される縮合環が、カルバゾール環、アザカルバゾール環、ジベンゾフラン環又はアザジベンゾフラン環である。
さらに、ホスト化合物を剛直にすることが好ましいという目的から、X101がNR101の場合においては、R101は前述で挙げられた置換基のうち、π共役系骨格である芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基であることが好ましい。また、これらのR101はさらに前述のR101〜R104で表される置換基で置換されていてもよい。
一般式(I)において、Ar101及びAr102により表される芳香族環としては、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環が挙げられる。該芳香族環は単環でも縮合環でもよく、さらに未置換でも、前述のR101〜R104で表される置換基と同様の置換基を有してもよい。
一般式(I)において、Ar101及びAr102により表される芳香族炭化水素環としては、例えば、前述のR101〜R104で表される置換基の例として挙げられた芳香族炭化水素環基と同様の環が挙げられる。
一般式(I)で表される部分構造において、Ar101及びAr102により表される芳香族複素環としては、例えば、前述のR101〜R104で表される置換基の例として挙げられた芳香族複素環基と同様の環が挙げられる。
一般式(I)で表されるホスト化合物が高い最低三重項エネルギーTを有するという目的を考えた場合には、Ar101及びAr102で表される芳香族環自身の最低三重項エネルギーTが高いことが好ましく、ベンゼン環(ベンゼン環が複数連結したポリフェニレン骨格(ビフェニル、テルフェニル、クォーターフェニル等)も含む)、フルオレン環、トリフェニレン環、カルバゾール環、アザカルバゾール環、ジベンゾフラン環、アザジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、ピリジン環、ピラジン環、インドロインドール環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イミダゾール環又はトリアジン環等が好ましい。より好ましくは、ベンゼン環、カルバゾール環、アザカルバゾール環、ジベンゾフラン環である。
Ar101及びAr102がカルバゾール環又はアザカルバゾール環の場合は、N位(又は9位ともいう)又は3位で結合していることがより好ましい。
Ar101及びAr102がジベンゾフラン環の場合は、2位又は4位で結合していることがより好ましい。
また、上記の目的とは別に、有機EL素子を車内に積載して使用する用途などを考えた場合においては、車内の環境温度が高くなることが想定されるため、ホスト化合物のTgが高いことも好ましい。そこで、一般式(I)で表されるホスト化合物を高Tg化するという目的から、Ar101及びAr102により表される芳香族環としては、各々3環以上の縮合環が好ましい一態様である。
3環以上が縮合した芳香族炭化水素縮合環としては、具体的には、ナフタセン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、ヘキサセン環、フェナントレン環、ピレン環、ベンゾピレン環、ベンゾアズレン環、クリセン環、ベンゾクリセン環、アセナフテン環、アセナフチレン環、トリフェニレン環、コロネン環、ベンゾコロネン環、ヘキサベンゾコロネン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フルオランテン環、ペリレン環、ナフトペリレン環、ペンタベンゾペリレン環、ベンゾペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピラントレン環、コロネン環、ナフトコロネン環、オバレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。なお、これらの環は、さらに上記の置換基を有していてもよい。
また、3環以上が縮合した芳香族複素環としては、具体的には、アクリジン環、ベンゾキノリン環、カルバゾール環、カルボリン環、フェナジン環、フェナントリジン環、フェナントロリン環、カルボリン環、サイクラジン環、キンドリン環、テペニジン環、キニンドリン環、トリフェノジチアジン環、トリフェノジオキサジン環、フェナントラジン環、アントラジン環、ペリミジン環、ジアザカルバゾール環(カルボリン環を構成する炭素原子の任意の一つが窒素原子で置き換わったものを表す)、フェナントロリン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ナフトフラン環、ナフトチオフェン環、ベンゾジフラン環、ベンゾジチオフェン環、ナフトジフラン環、ナフトジチオフェン環、アントラフラン環、アントラジフラン環、アントラチオフェン環、アントラジチオフェン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、チオファントレン環(ナフトチオフェン環)等が挙げられる。なお、これらの環はさらに置換基を有していてもよい。
一般式(I)において、n101及びn102は各々0〜2の整数であることが好ましく、より好ましくはn101+n102が1〜3の整数である。また、R101が水素原子の場合にn101及びn102が同時に0であると、一般式(I)で表されるホスト化合物の分子量が小さく、低いガラス転移温度Tgしか達成できないため、R101が水素原子の場合には、n101は1〜4の整数を表す。
本発明で用いられるホスト化合物として、カルバゾール誘導体が、一般式(II)で表される構造を有する化合物であることが好ましい。このような化合物は、特にキャリア輸送性に優れる傾向があるためである。
Figure 2016092280
一般式(II)において、X101、Ar101、Ar102、及びn102は、それぞれ前記一般式(I)におけるX101、Ar101、Ar102、及びn102と同義である。
n102は、好ましくは0〜2の整数であり、より好ましくは0又は1である。
一般式(II)において、X101を含んで形成される縮合環は、Ar101及びAr102以外にも本発明に用いられるホスト化合物の機能を阻害しない範囲でさらに置換基を有してもよい。
さらに、一般式(II)で表される化合物が、下記一般式(III)で表されることが好ましい。
Figure 2016092280
一般式(III)において、X101、Ar102、及びn102は、それぞれ前記一般式(II)におけるX101、Ar102、及びn102と同義である。
一般式(III)において、Ar102が置換又は無置換のカルバゾール環であることを特徴とする。
以下に、本発明に用いられるホスト化合物として、一般式(I)、(II)、又は(III)で表される構造を有する化合物及びその他の構造からなる化合物例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2016092280
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本発明に用いられるホスト化合物は、少なくとも1種が一般式(I)で表される構造を有する化合物であればよく、複数種組み合わせて用いてもよい。好ましいホスト化合物は、昇華精製が可能な程度の分子量をもった低分子化合物であっても、繰り返し単位を有するポリマーであってもよい。
低分子化合物の場合、昇華精製が可能であるため精製が容易で、高純度の材料を得やすいという利点がある。分子量としては、昇華精製が可能な程度であれば特に制限はないが、好ましい分子量としては3000以下、より好ましくは2000以下である。
繰り返し単位を有するポリマー又はオリゴマーの場合は、ウェットプロセスで成膜しやすいという利点があり、また一般にポリマーはガラス転移温度(Tg)が高いため耐熱性の点でも好ましい。
本発明に用いられるホスト化合物として用いられるポリマーは、所望の素子性能が達成可能であれば特に制限はないが、好ましくは一般式(I)、(II)、又は(III)で表される構造を主鎖若しくは側鎖に有するものが好ましい。分子量としては特に制限はないが、分子量5000以上が好ましく、若しくは繰り返し単位数が10以上のものが好ましい。
また、ホスト化合物は、正孔輸送能又は電子輸送能を有しつつ、かつ、発光の長波長化を防ぎ、さらに、有機EL素子を高温駆動時や素子駆動中の発熱に対して安定して動作させる観点から、高いガラス転移温度(Tg)を有することが好ましい。好ましくはTgが90℃以上であり、より好ましくは120℃以上である。
ここで、ガラス転移温度(Tg)とは、DSC(Differential Scanning Colorimetry:示差走査熱量法)を用いて、JIS K 7121−2012に準拠した方法により求められる値である。
(発光性化合物)
本発明の発光性薄膜は、発光性化合物として、少なくとも最低励起一重項エネルギーと最低励起三重項エネルギーとのエネルギー差の絶対値(ΔEst)が、0.5eV以下である発光性化合物を含むことを特徴とする。また、本発明の効果を損なわない範囲で、発光性化合物として、蛍光を発光する蛍光発光化合物又はリン光を発光するリン光発光化合物を併用することができる。
(1)TADF性化合物
TADF性化合物は、リン光発光化合物のような重金属錯体である必要性は特になく、炭素、酸素、窒素、水素などの一般的な元素の組み合わせから構成される、いわゆる有機化合物が適用でき、さらに、リンや硫黄、ケイ素などその他の非金属元素を用いることも可能で、また、アルミニウムや亜鉛などの典型金属の錯体も活用できるなど、その多様性はほぼ無限と言える。
本発明におけるTADF性化合物とは、分子内に重原子を持っていないにもかかわらず、励起一重項エネルギーと励起三重項エネルギーの差であるΔEstが、0.5eV以下の化合物を意味する。
ΔEstが0.5eV以下であることで、三重項励起状態から一重項励起状態への逆項間交差が起こる。さらに、一重項励起状態から基底状態への失活(=蛍光発光)の速度定数が極めて大きいことから、三重項励起子はそれ自体が基底状態に熱的に失活(無輻射失活)するよりも、一重項励起状態経由で蛍光を発しながら基底状態に戻る方が速度論的に有利である。そのため、TADF性化合物では理想的には100%の蛍光発光が可能となる。
ΔEstを0.5eV以下とするためには分子上に分布している最高被占分子軌道(highest occupied molecular orbital:HOMO)と最低空分子軌道(lowest unoccupied molecular orbital:LUMO)の分布領域同士が十分に分離していることが好ましいとされている。そして、これらは、電子受容性基と電子供与性基をそれぞれ発光性化合物に付与することで達成できる。
しかし、HOMOとLUMOの分布領域同士が大きく分離し、分子内電荷移動状態に近い状態となってしまうと、複数の分子間でも形成が可能であり、結果、広い分布を持った種々の安定化状態が存在することになり、吸収スペクトル及び発光スペクトルの形状はブロードとなる。この吸収スペクトル及び発光スペクトルの形状がブロードとなることを抑制するという観点から、本発明に係るTADF材料は発光スペクトル形状をシャープで、発光極大波長と発光スペクトルの立ち上がり波長の差が小さいことが好ましい。そして、これらは、一重項励起状態及び三重項励起状態の分子構造の変化を小さくすることで達成される。
また、重金属を含まないTADF材料においては、三重項励起状態から基底状態に失活する遷移は禁制遷移であるため、三重項励起状態での存在時間(励起子寿命)は数百μ秒からミリ秒オーダーと極めて長くなる。そのため、仮にホスト化合物のTエネルギーが発光性化合物のそれよりも高いエネルギーレベルであったとしても、その存在時間の長さから発光性化合物の三重項励起状態からホスト化合物へと逆エネルギー移動を起こす確率が増大してしまう。その結果、本来意図するTADF材料の三重項励起状態から一重項励起状態への逆項間交差が十分に起こらずに、ホスト化合物への好ましくない逆エネルギー移動が主流となって、十分な発光効率が得られないという不具合が生じてしまう。そこで、ホスト化合物への逆エネルギー移動を抑制するという観点から、本発明に係るTADF材料は三重項励起状態の存在時間(励起子寿命)が短いことが好ましい。そして、これらは、基底状態と三重項励起状態との分子構造変化を小さくすること、及び、禁制遷移をほどくのに好適な置換基や元素を導入することで達成される。
上記した分子構造を有する発光性化合物として、下記一般式(1)〜(6)で表される構造を有する化合物が好ましい。
Figure 2016092280
[一般式(1)において、Ar1〜Arは、各々独立に、置換又は無置換のアリール基を表し、少なくとも1つは下記一般式(2)で表される構造を有する基で置換されたアリール基を表す。]
Figure 2016092280
[一般式(2)において、R〜Rは、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。Zは、O、S、O=C、Ar−N、又は化学結合を表す。Arは、置換又は無置換のアリール基を表す。R〜Rのうち隣り合う基同士は、互いに結合を形成、又は、連結基を介して環を形成してもよい。]
Figure 2016092280
[一般式(3)において、R〜Rの少なくとも1つは、シアノ基を表し、R〜Rの少なくとも1つは下記一般式(4)で表される構造を有する基を表し、残りのR〜Rは水素原子又は置換基を表す。]
Figure 2016092280
[一般式(4)において、R21〜R28は、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。ただし、下記要件<A>か<B>の少なくとも一方を満たす。
<A>R25及びR26は、単結合を形成する。
<B>R27及びR28は、置換又は無置換のベンゼン環を形成するのに必要な原子団を表す。]
Figure 2016092280
[一般式(5)において、R及びRは、各々独立に、下記一般式(6)で表される構造を有する基である。]
Figure 2016092280
[一般式(6)において、R〜Rは、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。Zは、O、S、O=C、Ar−N、又は結合を表す。Arは、置換又は無置換のアリール基を表す。R〜Rのうち隣り合う基同士は、互いに結合を形成、又は、連結基を介して環を形成してもよい。]
以下にTADF性化合物を例に挙げるが、本発明はこれに限定されない。
Figure 2016092280
Figure 2016092280
Figure 2016092280
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Figure 2016092280
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以下に、本発明に係るTADF性化合物に関する種々の測定方法について記載する。
(電子密度分布)
本発明に係る発光性化合物は、ΔEstを小さくするという観点から、分子内においてHOMOとLUMOが実質的に分離していることが好ましい。これらHOMO及びLUMOの分布状態については、分子軌道計算により得られる構造最適化した際の電子密度分布から求めることができる。
本発明における発光性化合物の分子軌道計算による構造最適化及び電子密度分布の算出は、計算手法として、汎関数としてB3LYP、基底関数として6−31G(d)を用いた分子軌道計算用ソフトウェアを用いて算出することができ、ソフトウェアに特に限定はなく、いずれを用いても同様に求めることができる。
本発明においては、分子軌道計算用ソフトウェアとして、米国Gaussian社製のGaussian09(Revision C.01,M.J.Frisch,et al,Gaussian,Inc.,2010.)を用いた。
また、「HOMOとLUMOが実質的に分離している」とは、上記分子計算により算出されたHOMO軌道分布及びLUMO軌道分布の中心部位が離れており、より好ましくはHOMO軌道の分布とLUMO軌道の分布がほぼ重なっていないことを意味する。
また、HOMOとLUMOの分離状態については、前述の汎関数としてB3LYP、基底関数として6−31G(d)を用いた構造最適化計算から、さらに時間依存密度汎関数法(Time−Dependent DFT)による励起状態計算を実施してS、Tのエネルギー(それぞれE(S)、E(T))を求めてΔEst=E(S)−E(T)として算出することも可能である。算出されたΔEstが小さいほど、HOMOとLUMOがより分離していることを示す。本発明においては、前述と同様の計算手法を用いて算出されたΔEstが0.5eV以下であることが好ましく、より好ましくは0.2eV以下であり、さらに好ましくは0.1eV以下である。
(最低励起一重項エネルギーS
本発明における発光性化合物の最低励起一重項エネルギーSについては、本発明においても通常の手法と同様にして算出されるもので定義される。すなわち、測定対象となる化合物を石英基板上に蒸着して試料を作製し、室温(25℃)でこの試料の吸収スペクトル(縦軸:吸光度、横軸:波長とする。)を測定する。この吸収スペクトルの長波長側の立ち上がりに対して接線を引き、その接線と横軸との交点の波長値に基づいて、所定の換算式から算出される。
ただし、本発明において使用する発光性化合物の、分子自体の凝集性が比較的高い場合においては、薄膜の測定においては凝集による誤差を生じる可能性がある。本発明における発光性化合物はストークスシフトが比較的小さいこと、さらに励起状態と基底状態の構造変化が小さいことを考慮し、本発明における最低励起一重項エネルギーSは、室温(25℃)における発光性化合物の溶液状態の最大発光波長のピーク値を近似値として用いた。ここで、使用する溶媒は、発光性化合物の凝集状態に影響を与えない、すなわち溶媒効果の影響が小さい溶媒、例えばシクロヘキサンやトルエン等の非極性溶媒等を用いることができる。
(ストークスシフトの測定)
発光性化合物の溶液(ジクロロメタン、クロロホルム等の適切な溶媒を使用)の励起(吸収)スペクトルと発光スペクトルとを、蛍光分光光度計(例えば、島津製作所製RF−5300型蛍光分光計、日立社製F−4500型蛍光分光計等)を用いて測定し、蛍光極大波長と励起(吸収)極大波長との差を「ストークスシフト」として求めることができる。
発光性薄膜中のTADF性化合物の濃度については、使用されるTADF性化合物及びデバイスの必要条件に基づいて、任意に決定することができ、発光性薄膜の層厚方向に対し、均一な濃度で含有されていてもよく、また任意の濃度分布を有していてもよい。
また、本発明に係るTADF性化合物は、複数種を併用して用いてもよく、構造の異なるTADF性化合物同士の組み合わせや、蛍光発光化合物とリン光発光化合物とを組み合わせて用いてもよい。これにより、任意の発光色を得ることができる。
本発明に係る化合物の発光する色は、「新編色彩科学ハンドブック」(日本色彩学会編、東京大学出版会、1985)の108頁の図14.16において、分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタ(株)製)で測定した結果をCIE色度座標に当てはめたときの色で決定される。
本発明においては、1層又は複数層の発光性薄膜が、発光色の異なる複数の発光性化合物を含有し、白色発光を示すことも好ましい。
白色を示す発光性化合物の組み合わせについては特に限定はないが、例えば青と橙や、青と緑と赤の組み合わせ等が挙げられる。
本発明における白色とは、2度視野角正面輝度を前述の方法により測定した際に、1000cd/mでのCIE1931表色系における色度がx=0.39±0.09、y=0.38±0.08の領域内にあることが好ましい。
本発明の発光性薄膜の形成方法は、特に制限はなく、従来公知の例えば真空蒸着法、湿式法(ウェットプロセスともいう)等による形成方法を用いることができる。
湿式法としては、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、印刷法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法、カーテンコート法、LB法(ラングミュア−ブロジェット法)等があるが、均質な薄膜が得られやすく、かつ高生産性の点から、ダイコート法、ロールコート法、インクジェット法、スプレーコート法などのロール・ツー・ロール方式適性の高い方法が好ましい。
本発明に用いられるπ共役系化合物を溶解又は分散する液媒体としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル等の脂肪酸エステル類、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素類、シクロヘキサン、デカリン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類、DMF、DMSO等の有機溶媒を用いることができる。
また、分散方法としては、超音波、高剪断力分散やメディア分散等の分散方法により分散することができる。
成膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度を50〜450℃の範囲内、真空度を10−6〜10−2Paの範囲内、蒸着速度0.01〜50nm/秒の範囲内、基板温度−50〜300℃の範囲内、層厚0.1nm〜5μmの範囲内、好ましくは5〜200nmの範囲内で適宜選ぶことが望ましい。
また、成膜にスピンコート法を採用する場合、スピンコーターを100〜1000rpmの範囲内、10〜120秒の範囲内で、乾燥不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
≪発光性薄膜の応用≫
本発明の発光性薄膜は、有機EL素子の発光層に好適に用いられる。これにより、発光寿命が改善された有機EL素子、表示装置及び照明装置が得られる。
≪有機EL素子≫
本発明の有機EL素子は、発光性薄膜を陽極と陰極の間に本発明の発光性薄膜を少なくとも1層以上、発光層として有することを特徴とする。
本発明の有機EL素子における代表的な素子構成としては、以下の構成を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
(1)陽極/発光層//陰極
(2)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(3)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
(4)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(5)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(6)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(7)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/(電子阻止層/)発光層/(正孔阻止層/)電子輸送層/電子注入層/陰極
上記の中で(7)の構成が好ましく用いられるが、これに限定されるものではない。
本発明に係る発光層は、単層又は複数層で構成されており、発光層が複数の場合は各発光層の間に非発光性の中間層を設けてもよい。
必要に応じて、発光層と陰極との間に正孔阻止層(正孔障壁層ともいう)や電子注入層(陰極バッファー層ともいう)を設けてもよく、また、発光層と陽極との間に電子阻止層(電子障壁層ともいう)や正孔注入層(陽極バッファー層ともいう)を設けてもよい。
本発明に係る電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する層であり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。また、複数層で構成されていてもよい。
本発明に係る正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する層であり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。また、複数層で構成されていてもよい。
上記の代表的な素子構成において、陽極と陰極を除いた層を「有機層」ともいう。
有機層の形成方法は、特に制限はなく、従来公知の例えば真空蒸着法、湿式法(ウェットプロセスともいう)等による形成方法を用いることができる。
湿式法としては、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、印刷法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法、カーテンコート法、LB法(ラングミュア−ブロジェット法)等があるが、均質な薄膜が得られやすく、かつ高生産性の点から、ダイコート法、ロールコート法、インクジェット法、スプレーコート法などのロール・ツー・ロール方式適性の高い方法が好ましい。
本発明に係る有機層を形成する材料を溶解又は分散する液媒体としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル等の脂肪酸エステル類、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素類、シクロヘキサン、デカリン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類、DMF、DMSO等の有機溶媒を用いることができる。
また、分散方法としては、超音波、高剪断力分散やメディア分散等の分散方法により分散することができる。
塗布後、乾燥処理工程にて溶媒の除去を行ってもよい。乾燥処理工程では乾燥炉を用いることができ、乾燥炉では有機化合物層の材料に応じて、適宜数ゾーンにして温度条件の変更や風速の変更等を行うことが可能である。
溶媒除去後、加熱処理を行ってもよい。加熱処理は裏面より伝熱される形態であれば形式には拘らないが、加熱処理はガラス転移点温度±50度で且つ分解温度を超えない温度且つ裏面伝熱で行うことが好ましい。
加熱処理を行うことにより膜の平滑性や残留溶媒の除去、塗膜の硬化が図られることにより、積層時の素子特性の向上が図られる。
加熱処理後、基板を減圧下(10−6Pa〜10−2Pa)に収納させてもよく。適宜、温度をかけてもよい。収納期間は1〜200時間の範囲内が好ましく、長ければ長い程よい。これにより、素子劣化に起因する酸素や微量水分が取り除かれる。
これらの層を形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは50〜200nmの範囲内の膜厚になるように、例えば、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陰極を設けることにより所望の有機EL素子が得られる。
また、作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。このようにして得られた多色の表示装置に、直流電圧を印加する場合には陽極を+、陰極を−の極性として電圧2〜40V程度を印加すると発光が観測できる。また交流電圧を印加してもよい。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
また、本発明に係る有機EL素子は、少なくとも1層の発光層を含む発光ユニットを複数積層した、いわゆるタンデム構造の素子であってもよい。
タンデム構造の代表的な素子構成としては、例えば以下の構成を挙げることができる。
陽極/第1発光ユニット/中間層/第2発光ユニット/中間層/第3発光ユニット/陰極
ここで、上記第1発光ユニット、第2発光ユニット及び第3発光ユニットは全て同じであっても、異なっていてもよい。また二つの発光ユニットが同じであり、残る一つが異なっていてもよい。
複数の発光ユニットは直接積層されていても、中間層を介して積層されていてもよく、中間層は、一般的に中間電極、中間導電層、電荷発生層、電子引抜層、接続層、中間絶縁層とも呼ばれ、陽極側の隣接層に電子を、陰極側の隣接層に正孔を供給する機能を持った層であれば、公知の材料構成を用いることができる。
中間層に用いられる材料としては、例えば、ITO(インジウム・スズ酸化物)、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)、ZnO、TiN、ZrN、HfN、TiO、VO、CuI、InN、GaN、CuAlO、CuGaO、SrCu、LaB、RuO、Al等の導電性無機化合物層や、Au/Bi等の2層膜や、SnO/Ag/SnO、ZnO/Ag/ZnO、Bi/Au/Bi、TiO/TiN/TiO、TiO/ZrN/TiO等の多層膜、またC60等のフラーレン類、オリゴチオフェン等の導電性有機物層、金属フタロシアニン類、無金属フタロシアニン類、金属ポルフィリン類、無金属ポルフィリン類等の導電性有機化合物層等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
発光ユニット内の好ましい構成としては、例えば、上記の代表的な素子構成で挙げた(1)〜(7)の構成から、陽極と陰極を除いたもの等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
タンデム型有機EL素子の具体例としては、例えば、米国特許第6337492号、米国特許第7420203号、米国特許第7473923号、米国特許第6872472号、米国特許第6107734号、米国特許第6337492号、国際公開第2005/009087号、特開2006−228712号公報、特開2006−24791号公報、特開2006−49393号公報、特開2006−49394号公報、特開2006−49396号公報、特開2011−96679号公報、特開2005−340187号公報、特許第4711424号、特許第3496681号、特許第3884564号、特許第4213169号、特開2010−192719号公報、特開2009−076929号公報、特開2008−078414号公報、特開2007−059848号公報、特開2003−272860号公報、特開2003−045676号公報、国際公開第2005/094130号等に記載の素子構成や構成材料等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
以下、本発明の有機EL素子を構成する各層について説明する。
<発光層>
本発明に係る発光層は、本発明の発光性薄膜を用いることを特徴としている。電極又は隣接層から注入されてくる電子及び正孔が再結合し、励起子を経由して発光する場を提供する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても、発光層と隣接層との界面であってもよい。本発明に係る発光層は、本発明で規定する要件を満たしていれば、その構成に特に制限はない。
発光層の層厚の総和は、特に制限はないが、形成する膜の均質性や、発光時に不必要な高電圧を印加するのを防止し、かつ、駆動電流に対する発光色の安定性向上の観点から、2nm〜5μmの範囲内に調整することが好ましく、より好ましくは2〜500nmの範囲内に調整され、さらに好ましくは5〜200nmの範囲内に調整される。
また、本発明の個々の発光層の層厚としては、2nm〜1μmの範囲内に調整することが好ましく、より好ましくは2〜200nmの範囲内に調整され、さらに好ましくは3〜150nmの範囲内に調整される。
<電子輸送層>
本発明において電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する材料からなり、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよい。
本発明の電子輸送層の総層厚については特に制限はないが、通常は2nm〜5μmの範囲内であり、より好ましくは2〜500nmの範囲内であり、さらに好ましくは5〜200nmの範囲内である。
また、有機EL素子においては発光層で生じた光を電極から取り出す際、発光層から直接取り出される光と、光を取り出す電極と対極に位置する電極によって反射されてから取り出される光とが干渉を起こすことが知られている。光が陰極で反射される場合は、電子輸送層の総層厚を数nm〜数μmの間で適宜調整することにより、この干渉効果を効率的に利用することが可能である。
一方で、電子輸送層の層厚を厚くすると電圧が上昇しやすくなるため、特に層厚が厚い場合においては、電子輸送層の電子移動度は10−5cm/Vs以上であることが好ましい。
電子輸送層に用いられる材料(以下、電子輸送材料という)としては、電子の注入性又は輸送性、正孔の障壁性のいずれかを有していればよく、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
例えば、含窒素芳香族複素環誘導体(カルバゾール誘導体、アザカルバゾール誘導体(カルバゾール環を構成する炭素原子の一つ以上が窒素原子に置換されたもの)、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリダジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、フェナントロリン誘導体、アザトリフェニレン誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体等)、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、シロール誘導体、芳香族炭化水素環誘導体(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、トリフェニレン誘導体等)等が挙げられる。
また、配位子にキノリノール骨格やジベンゾキノリノール骨格を有する金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。
その他、メタルフリー若しくはメタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、発光層の材料として例示したジスチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることができるし、正孔注入層、正孔輸送層と同様にn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
また、これらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
本発明に係る電子輸送層においては、電子輸送層にドープ材をゲスト材料としてドープして、n性の高い(電子リッチ)電子輸送層を形成してもよい。ドープ材としては、金属錯体やハロゲン化金属など金属化合物等のn型ドーパントが挙げられる。このような構成の電子輸送層の具体例としては、例えば、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等の文献に記載されたものが挙げられる。
本発明の有機EL素子に用いられる、公知の好ましい電子輸送材料の具体例としては、以下の文献に記載の化合物等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
米国特許第6528187号、米国特許第7230107号、米国特許出願公開第2005/0025993号明細書、米国特許出願公開第2004/0036077号明細書、米国特許出願公開第2009/0115316号明細書、米国特許出願公開第2009/0101870号明細書、米国特許出願公開第2009/0179554号明細書、国際公開第2003/060956号、国際公開第2008/132085号、Appl.Phys.Lett.75,4(1999)、Appl.Phys.Lett.79,449(2001)、Appl.Phys.Lett.81,162(2002)、Appl.Phys.Lett.81,162(2002)、Appl.Phys.Lett.79,156(2001)、米国特許第7964293号、米国特許出願公開第2009/030202号明細書、国際公開第2004/080975号、国際公開第2004/063159号、国際公開第2005/085387号、国際公開第2006/067931号、国際公開第2007/086552号、国際公開第2008/114690号、国際公開第2009/069442号、国際公開第2009/066779号、国際公開第2009/054253号、国際公開第2011/086935号、国際公開第2010/150593号、国際公開第2010/047707号、EP2311826号、特開2010−251675号公報、特開2009−209133号公報、特開2009−124114号公報、特開2008−277810号公報、特開2006−156445号公報、特開2005−340122号公報、特開2003−45662号公報、特開2003−31367号公報、特開2003−282270号公報、国際公開第2012/115034号等である。
本発明におけるより好ましい電子輸送材料としては、少なくとも一つの窒素原子を含む芳香族複素環化合物が挙げられ、例えばピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、トリアジン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、アザジベンゾフラン誘導体、アザジベンゾチオフェン誘導体、カルバゾール誘導体、アザカルバゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体などが挙げられる。電子輸送材料は単独で用いてもよく、また複数種を併用して用いてもよい。
<正孔阻止層>
正孔阻止層とは、広い意味では電子輸送層の機能を有する層であり、好ましくは電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が小さい材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
また、前述する電子輸送層の構成を必要に応じて、本発明に係る正孔阻止層として用いることができる。
本発明の有機EL素子に設ける正孔阻止層は、発光層の陰極側に隣接して設けられることが好ましい。
本発明に係る正孔阻止層の層厚としては、好ましくは3〜100nmの範囲内であり、さらに好ましくは5〜30nmの範囲内である。
正孔阻止層に用いられる材料としては、前述の電子輸送層に用いられる材料が好ましく用いられ、また、前述のホスト化合物として用いられる材料も正孔阻止層に好ましく用いられる。
<電子注入層>
本発明に係る電子注入層(「陰極バッファー層」ともいう)とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために陰極と発光層との間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されている。
本発明において電子注入層は必要に応じて設け、上記のごとく陰極と発光層との間、又は陰極と電子輸送層との間に存在させてもよい。
電子注入層はごく薄い膜であることが好ましく、素材にもよるがその層厚は0.1〜5nmの範囲内が好ましい。また構成材料が断続的に存在する不均一な層(膜)であってもよい。
電子注入層は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、電子注入層に好ましく用いられる材料の具体例としては、ストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム等に代表されるアルカリ金属化合物、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム等に代表されるアルカリ土類金属化合物、酸化アルミニウムに代表される金属酸化物、8−ヒドロキシキノリネートリチウム(Liq)等に代表される金属錯体等が挙げられる。また、前述の電子輸送材料を用いることも可能である。
また、上記の電子注入層に用いられる材料は単独で用いてもよく、複数種を併用して用いてもよい。
<正孔輸送層>
本発明において正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する材料からなり、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有していればよい。
本発明の正孔輸送層の総層厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μmの範囲内であり、より好ましくは2〜500nmの範囲内であり、さらに好ましくは5〜200nmの範囲内である。
正孔輸送層に用いられる材料(以下、正孔輸送材料という)としては、正孔の注入性又は輸送性、電子の障壁性のいずれかを有していればよく、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
例えば、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、トリアリールアミン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、イソインドール誘導体、アントラセンやナフタレン等のアセン系誘導体、フルオレン誘導体、フルオレノン誘導体、及びポリビニルカルバゾール、芳香族アミンを主鎖又は側鎖に導入した高分子材料又はオリゴマー、ポリシラン、導電性ポリマー又はオリゴマー(例えばPEDOT/PSS、アニリン系共重合体、ポリアニリン、ポリチオフェン等)等が挙げられる。
トリアリールアミン誘導体としては、α−NPDに代表されるベンジジン型や、MTDATAに代表されるスターバースト型、トリアリールアミン連結コア部にフルオレンやアントラセンを有する化合物等が挙げられる。
また、特表2003−519432号公報や特開2006−135145号公報等に記載されているようなヘキサアザトリフェニレン誘導体も同様に正孔輸送材料として用いることができる。
さらに不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報の各公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)に記載されているような、いわゆるp型正孔輸送材料やp型−Si、p型−SiC等の無機化合物を用いることもできる。さらにIr(ppy)に代表されるような中心金属にIrやPtを有するオルトメタル化有機金属錯体も好ましく用いられる。
正孔輸送材料としては、上記のものを使用することができるが、トリアリールアミン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、アザトリフェニレン誘導体、有機金属錯体、芳香族アミンを主鎖又は側鎖に導入した高分子材料又はオリゴマー等が好ましく用いられる。
本発明の有機EL素子に用いられる、公知の好ましい正孔輸送材料の具体例としては、上記で挙げた文献の他、以下の文献に記載の化合物等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
例えば、Appl.Phys.Lett.69,2160(1996)、J.Lumin.72−74,985(1997)、Appl.Phys.Lett.78,673(2001)、Appl.Phys.Lett.90,183503(2007)、Appl.Phys.Lett.90,183503(2007)、Appl.Phys.Lett.51,913(1987)、Synth.Met.87,171(1997)、Synth.Met.91,209(1997)、Synth.MeT111,421(2000)、SID Symposium Digest,37,923(2006)、J.Mater.Chem.3,319(1993)、Adv.Mater.6,677(1994)、Chem.Mater.15,3148(2003)、米国特許出願公開第2003/0162053号明細書、米国特許出願公開第2002/0158242号明細書、米国特許出願公開第2006/0240279号明細書、米国特許出願公開第2008/0220265号明細書、米国特許第5061569号、国際公開第2007/002683号、国際公開第2009/018009号、EP650955、米国特許出願公開第2008/0124572号明細書、米国特許出願公開第2007/0278938号明細書、米国特許出願公開第2008/0106190号明細書、米国特許出願公開第2008/0018221号明細書、国際公開第2012/115034号、特表2003−519432号公報、特開2006−135145号公報、米国特許出願番号13/585981号等である。正孔輸送材料は単独で用いてもよく、また複数種を併用して用いてもよい。
<電子阻止層>
電子阻止層とは、広い意味では正孔輸送層の機能を有する層であり、好ましくは正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
また、前述する正孔輸送層の構成を必要に応じて、本発明に係る電子阻止層として用いることができる。
本発明の有機EL素子に設ける電子阻止層は、発光層の陽極側に隣接して設けられることが好ましい。
本発明に係る電子阻止層の層厚としては、好ましくは3〜100nmの範囲内であり、さらに好ましくは5〜30nmの範囲内である。
電子阻止層に用いられる材料としては、前述の正孔輸送層に用いられる材料が好ましく用いられ、また、前述のホスト化合物として用いられる材料も電子阻止層に好ましく用いられる。
<正孔注入層>
本発明に係る正孔注入層(「陽極バッファー層」ともいう)とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために陽極と発光層との間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されている。
本発明において正孔注入層は必要に応じて設け、上記のごとく陽極と発光層又は陽極と正孔輸送層との間に存在させてもよい。
正孔注入層は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、正孔注入層に用いられる材料としては、例えば前述の正孔輸送層に用いられる材料等が挙げられる。
中でも銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニン誘導体、特表2003−519432や特開2006−135145等に記載されているようなヘキサアザトリフェニレン誘導体、酸化バナジウムに代表される金属酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体等に代表されるオルトメタル化錯体、トリアリールアミン誘導体等が好ましい。
前述の正孔注入層に用いられる材料は単独で用いてもよく、また複数種を併用して用いてもよい。
<添加物>
前述した本発明における有機層は、さらに他の添加物が含まれていてもよい。
添加物としては、例えば臭素、ヨウ素及び塩素等のハロゲン元素やハロゲン化化合物、Pd、Ca、Na等のアルカリ金属やアルカリ土類金属、遷移金属の化合物や錯体、塩等が挙げられる。
添加物の含有量は、任意に決定することができるが、含有される層の全質量%に対して1000ppm以下であることが好ましく、より好ましくは500ppm以下であり、さらに好ましくは50ppm以下である。
ただし、電子や正孔の輸送性を向上させる目的や、励起子のエネルギー移動を有利にするための目的などによってはこの範囲内ではない。
(有機層の形成方法)
本発明の有機層(正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層等)の形成方法について説明する。
本発明の有機層の形成方法は、特に制限はなく、従来公知の例えば真空蒸着法、湿式法(ウェットプロセスともいう)等による形成方法を用いることができる。
湿式法としては、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、印刷法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法、カーテンコート法、LB法(ラングミュア−ブロジェット法)等があるが、均質な薄膜が得られやすく、かつ高生産性の点から、ダイコート法、ロールコート法、インクジェット法、スプレーコート法などのロール・ツー・ロール方式適性の高い方法が好ましい。
本発明に用いられる有機EL材料を溶解又は分散する液媒体としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル等の脂肪酸エステル類、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素類、シクロヘキサン、デカリン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類、DMF、DMSO等の有機溶媒を用いることができる。
また、分散方法としては、超音波、高剪断力分散やメディア分散等の分散方法により分散することができる。
さらに層ごとに異なる製膜法を適用してもよい。製膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃、真空度10−6〜10−2Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃、層(膜)厚0.1nm〜5μm、好ましくは5〜200nmの範囲内で適宜選ぶことが望ましい。
本発明の有機層の形成は、一回の真空引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる製膜法を施しても構わない。その際は作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
<陽極>
有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上、好ましくは4.5V以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。
陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度を余り必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。
あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。
陽極の膜厚は材料にもよるが、通常10nm〜1μmの範囲内、好ましくは10〜200nmの範囲内で選ばれる。
<陰極>
陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。
陰極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させることで作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は、数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μmの範囲内、好ましくは50〜200nmの範囲内で選ばれる。
なお、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極又は陰極のいずれか一方が透明又は半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
また、陰極に上記金属を1〜20nmの範囲内の膜厚で作製した後に、陽極の説明で挙げる導電性透明材料をその上に作製することで、透明又は半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
<支持基板>
本発明の有機EL素子に用いることのできる支持基板(以下、基体、基板、基材、支持体等ともいう。)としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また透明であっても不透明であってもよい。
支持基板側から光を取り出す場合には、支持基板は透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明な支持基板としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましい支持基板は、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)あるいはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等を挙げられる。
樹脂フィルムの表面には、無機物、有機物の被膜又はその両者のハイブリッド被膜が形成されていてもよく、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が0.01g/m・24h以下のバリア性フィルムであることが好ましく、さらには、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、1×10−3ml/m・24h・atm以下、水蒸気透過度が、1×10−5g/m・24h以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
バリア膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素等を用いることができる。さらに該膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
バリア膜の形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。
不透明な支持基板としては、例えば、アルミ、ステンレス等の金属板、フィルムや不透明樹脂基板、セラミック製の基板等が挙げられる。
本発明の有機EL素子の発光の室温(25℃)における外部取り出し量子効率は、1%以上であることが好ましく、5%以上であるとより好ましい。
ここで、外部取り出し量子効率(%)=有機EL素子外部に発光した光子数/有機EL素子に流した電子数×100である。
また、カラーフィルター等の色相改良フィルター等を併用しても、有機EL素子からの発光色を、蛍光体を用いて多色へ変換する色変換フィルターを併用してもよい。
<封止>
本発明の有機EL素子の封止に用いられる封止手段としては、例えば、封止部材と、電極、支持基板とを接着剤で接着する方法を挙げることができる。封止部材としては、有機EL素子の表示領域を覆うように配置されていればよく、凹板状でも、平板状でもよい。また、透明性、電気絶縁性は特に限定されない。
具体的には、ガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等が挙げられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。金属板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブテン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる1種以上の金属又は合金からなるものが挙げられる。
本発明においては、有機EL素子を薄膜化できるということからポリマーフィルム、金属フィルムを好ましく使用することができる。さらには、ポリマーフィルムはJIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/m・24h以下、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度90±2%)が、1×10−3g/m・24h以下のものであることが好ましい。
封止部材を凹状に加工するのは、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等が使われる。
接着剤として具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。また、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
なお、有機EL素子が熱処理により劣化する場合があるので、室温から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、前記接着剤中に乾燥剤を分散させておいてもよい。封止部分への接着剤の塗布は市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
また、有機層を挟み支持基板と対向する側の電極の外側に該電極と有機層を被覆し、支持基板と接する形で無機物、有機物の層を形成し封止膜とすることも好適にできる。この場合、該膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素等を用いることができる。
さらに該膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることが好ましい。これらの膜の形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。
封止部材と有機EL素子の表示領域との間隙には、気相及び液相では、窒素、アルゴン等の不活性気体やフッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また、真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。
吸湿性化合物としては、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、ヨウ化バリウム、ヨウ化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
<保護膜、保護板>
有機層を挟み支持基板と対向する側の前記封止膜又は前記封止用フィルムの外側に、素子の機械的強度を高めるために、保護膜又は保護板を設けてもよい。特に、封止が前記封止膜により行われている場合には、その機械的強度は必ずしも高くないため、このような保護膜、保護板を設けることが好ましい。
これに使用することができる材料としては、前記封止に用いたのと同様なガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等を用いることができるが、軽量かつ薄膜化ということからポリマーフィルムを用いることが好ましい。
<光取り出し向上技術>
有機EL素子は、空気よりも屈折率の高い(屈折率1.6〜2.1程度の範囲内)層の内部で発光し、発光層で発生した光のうち15%から20%程度の光しか取り出せないことが一般的に言われている。これは、臨界角以上の角度θで界面(透明基板と空気との界面)に入射する光は、全反射を起こし素子外部に取り出すことができないことや、透明電極ないし発光層と透明基板との間で光が全反射を起こし、光が透明電極ないし発光層を導波し、結果として、光が素子側面方向に逃げるためである。
この光の取り出しの効率を向上させる手法としては、例えば、透明基板表面に凹凸を形成し、透明基板と空気界面での全反射を防ぐ方法(例えば、米国特許第4774435号明細書)、基板に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(例えば、特開昭63−314795号公報)、素子の側面等に反射面を形成する方法(例えば、特開平1−220394号公報)、基板と発光体の間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(例えば、特開昭62−172691号公報)、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法(例えば、特開2001−202827号公報)、基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法(特開平11−283751号公報)などが挙げられる。
本発明においては、これらの方法を本発明の有機EL素子と組み合わせて用いることができるが、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法、又は基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法を好適に用いることができる。
本発明は、これらの手段を組み合わせることにより、さらに高輝度又は耐久性に優れた素子を得ることができる。
透明電極と透明基板の間に低屈折率の媒質を光の波長よりも長い厚さで形成すると、透明電極から出てきた光は、媒質の屈折率が低いほど、外部への取り出し効率が高くなる。
低屈折率層としては、例えば、エアロゲル、多孔質シリカ、フッ化マグネシウム、フッ素系ポリマーなどが挙げられる。透明基板の屈折率は一般に1.5〜1.7程度の範囲内であるので、低屈折率層は、屈折率がおよそ1.5以下であることが好ましい。またさらに1.35以下であることが好ましい。
また、低屈折率媒質の厚さは、媒質中の波長の2倍以上となるのが望ましい。これは、低屈折率媒質の厚さが、光の波長程度になってエバネッセントで染み出した電磁波が基板内に入り込む膜厚になると、低屈折率層の効果が薄れるからである。
全反射を起こす界面又は、いずれかの媒質中に回折格子を導入する方法は、光取り出し効率の向上効果が高いという特徴がある。この方法は、回折格子が1次の回折や、2次の回折といった、いわゆるブラッグ回折により、光の向きを屈折とは異なる特定の向きに変えることができる性質を利用して、発光層から発生した光のうち、層間での全反射等により外に出ることができない光を、いずれかの層間若しくは、媒質中(透明基板内や透明電極内)に回折格子を導入することで光を回折させ、光を外に取り出そうとするものである。
導入する回折格子は、二次元的な周期屈折率を持っていることが望ましい。これは、発光層で発光する光はあらゆる方向にランダムに発生するので、ある方向にのみ周期的な屈折率分布を持っている一般的な一次元回折格子では、特定の方向に進む光しか回折されず、光の取り出し効率がさほど上がらない。
しかしながら、屈折率分布を二次元的な分布にすることにより、あらゆる方向に進む光が回折され、光の取り出し効率が上がる。
回折格子を導入する位置としては、いずれかの層間、若しくは媒質中(透明基板内や透明電極内)でも良いが、光が発生する場所である有機発光層の近傍が望ましい。このとき、回折格子の周期は、媒質中の光の波長の約1/2〜3倍程度の範囲内が好ましい。回折格子の配列は、正方形のラチス状、三角形のラチス状、ハニカムラチス状など、二次元的に配列が繰り返されることが好ましい。
<集光シート>
本発明の有機EL素子は、支持基板(基板)の光取出し側に、例えばマイクロレンズアレイ上の構造を設けるように加工したり、又は、いわゆる集光シートと組み合わせることにより、特定方向、例えば素子発光面に対し正面方向に集光することにより、特定方向上の輝度を高めることができる。
マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を二次元に配列する。一辺は10〜100μmの範囲内が好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付き、大きすぎると厚さが厚くなり好ましくない。
集光シートとしては、例えば液晶表示装置のLEDバックライトで実用化されているものを用いることが可能である。このようなシートとして例えば、住友スリーエム社製輝度上昇フィルム(BEF)などを用いることができる。プリズムシートの形状としては、例えば基材に頂角90度、ピッチ50μmの△状のストライプが形成されたものであってもよいし、頂角が丸みを帯びた形状、ピッチをランダムに変化させた形状、その他の形状であっても良い。
また、有機EL素子からの光放射角を制御するために光拡散板・フィルムを、集光シートと併用してもよい。例えば、(株)きもと製拡散フィルム(ライトアップ)などを用いることができる。
≪用途≫
本発明の有機EL素子は、電子機器、例えば、表示機器、ディスプレイ、各種発光装置として用いることができる。
発光装置として、例えば、照明装置(家庭用照明、車内照明)、時計や液晶用バックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるがこれに限定するものではないが、特に液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
本発明の有機EL素子においては、必要に応じ成膜時にメタルマスクやインクジェットプリンティング法等でパターニングを施してもよい。パターニングする場合は、電極のみをパターニングしてもよいし、電極と発光層をパターニングしてもよいし、素子全層をパターニングしてもよく、素子の作製においては、従来公知の方法を用いることができる。
本発明の有機EL素子や本発明に係る化合物の発光する色は、「新編色彩科学ハンドブック」(日本色彩学会編、東京大学出版会、1985)の108頁の図14.16において、分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタ(株)製)で測定した結果をCIE色度座標に当てはめたときの色で決定される。
また、本発明の有機EL素子が白色素子の場合には、白色とは、2度視野角正面輝度を上記方法により測定した際に、1000cd/mでのCIE1931表色系における色度がX=0.33±0.07、Y=0.33±0.1の領域内にあることをいう。
<表示装置>
本発明の有機EL素子を具備する表示装置は単色でも多色でもよいが、ここでは多色表示装置について説明する。
多色表示装置の場合は発光層形成時のみシャドーマスクを設け、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法又は印刷法等で膜を形成できる。
発光層のみパターニングを行う場合、その方法に限定はないが、好ましくは蒸着法、インクジェット法、スピンコート法及び印刷法である。
表示装置に具備される有機EL素子の構成は、必要に応じて上記の有機EL素子の構成例の中から選択される。
また、有機EL素子の製造方法は、上記の本発明の有機EL素子の製造の一態様に示したとおりである。
このようにして得られた多色表示装置に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として電圧2〜40V程度を印加すると発光が観測できる。また、逆の極性で電圧を印加しても電流は流れずに発光は全く生じない。さらに交流電圧を印加する場合には、陽極が+、陰極が−の状態になったときのみ発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
多色表示装置は、表示デバイス、ディスプレイ又は各種発光光源として用いることができる。表示デバイス又はディスプレイにおいて、青、赤及び緑発光の3種の有機EL素子を用いることによりフルカラーの表示が可能となる。
表示デバイス又はディスプレイとしては、テレビ、パソコン、モバイル機器、AV機器、文字放送表示及び自動車内の情報表示等が挙げられる。特に静止画像や動画像を再生する表示装置として使用してもよく、動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。
発光装置としては、家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
<照明装置>
本発明の有機EL素子は、照明装置に用いることもできる。
本発明の有機EL素子は、共振器構造を持たせた有機EL素子として用いてもよい。このような共振器構造を有した有機EL素子の使用目的としては、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これらに限定されない。また、レーザー発振をさせることにより上記用途に使用してもよい。
また、本発明の有機EL素子は、照明用や露光光源のような一種のランプとして使用してもよいし、画像を投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として使用してもよい。
動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は、パッシブマトリクス方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。又は、異なる発光色を有する本発明の有機EL素子を2種以上使用することにより、フルカラー表示装置を作製することが可能である。
また、本発明の発光性化合物は、照明装置として、実質的に白色の発光を生じる有機EL素子に適用できる。例えば、複数の発光性化合物を用いる場合、複数の発光色を同時に発光させて、混色することで白色発光を得ることができる。複数の発光色の組み合わせとしては、赤色、緑色及び青色の3原色の三つの発光極大波長を含有させたものでもよいし、青色と黄色、青緑と橙色等の補色の関係を利用した二つの発光極大波長を含有したものでもよい。
また、本発明の有機EL素子の形成方法は、発光層、正孔輸送層又は電子輸送層等の形成時のみマスクを設け、マスクにより塗り分ける等単純に配置するだけでよい。他層は共通であるのでマスク等のパターニングは不要であり、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法及び印刷法等で、例えば、電極膜を形成でき、生産性も向上する。
この方法によれば、複数色の発光素子をアレー状に並列配置した白色有機EL装置と異なり、素子自体が発光白色である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
また、各実施例における化合物の体積%は、作製する層厚を水晶発振子マイクロバランス法により測定し、質量を算出することで、比重から求めている。
なお、本実施例において使用される化合物は、下記のとおりの化学構造式で表されるものである。
Figure 2016092280
Figure 2016092280
Figure 2016092280
Figure 2016092280
[実施例1]
(有機EL素子1−1の作製)
50mm×50mm、厚さ0.7mmのガラス基板上に、陽極としてITO(インジウム・スズ酸化物)を150nmの厚さで成膜し、パターニングを行った。その後、このITO透明電極を付けた透明基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った後、この透明基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定した。
真空蒸着装置内の蒸着用るつぼの各々に、各層の構成材料を、各々素子作製に最適の量を充填した。蒸着用るつぼは、モリブデン製又はタングステン製の抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
真空度1×10−4Paまで減圧した後、HAT−CNの入った蒸着用るつぼに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒でITO透明電極上に蒸着し、層厚10nmの正孔注入層を形成した。
次いで、TrisPCzの入った蒸着用るつぼに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で蒸着し、層厚30nmの正孔輸送層を形成した。
次に、ホスト化合物としてmCBP、TADF性化合物としてD−1が、それぞれ85%、15%の体積%になるように蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、層厚30nmの発光層を形成した。
さらに、T2Tの入った蒸着用るつぼに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で蒸着し、層厚10nmの励起子ブロッキング層を形成した。
その次に、BPy−TP2の入った蒸着用るつぼに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で蒸着し、層厚40nmの電子輸送層を形成した。
その上に、フッ化リチウムを膜厚0.8nmで形成した後に、アルミニウム100nmを蒸着して陰極を形成した。
上記素子の非発光面側を、純度99.999%以上の高純度窒素ガスの雰囲気下で、缶状ガラスケースで覆い、電極取り出し配線を設置して、有機EL素子1−1を作製した。
Figure 2016092280
Figure 2016092280
Figure 2016092280
(有機EL素子1−2〜1−109の作製)
ホスト化合物とTADF性化合物を表1〜表3に示すように変えた以外は、有機EL素子1−1と同様の方法で有機EL素子1−2から1−109を作製した。
〈有機EL素子の評価〉
得られた有機EL素子について下記の評価を行った。
《発光寿命》
2.5mA/cmの一定電流で駆動したときに、輝度が発光開始直後の輝度(初期輝度)の半分に低下するのに要した時間を測定し、これを半減寿命時間(τ0.5)として寿命の指標とした。なお、測定には分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルタ製)を用いた。
また、表1〜表3の発光寿命の測定結果は、有機EL素子1−1の測定値を100とした時の相対値で表した。
(結果)
表1〜表3に示した結果より、本発明に係る有機EL素子では、比較例の有機EL素子に比べて、発光寿命が優れることが認められた。
[実施例2]
(有機EL素子2−1の作製)
陽極として30mm×30mm×0.7mmのガラス基板上に、ITO(インジウムチンオキシド)を120nm製膜した基板にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
この基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、Bayer製、Baytron P Al 4083)を純水で70%に希釈した溶液を3000rpm、30秒でスピンコート法により製膜した後、200℃にて1時間乾燥し、層厚30nmの正孔注入層を設けた。
この基板を、窒素雰囲気下、JIS B9920に準拠し、測定した清浄度がクラス100で、露点温度が−80℃以下、酸素濃度0.8ppmのグローブボックスへ移した。
グローブボックス中にて正孔輸送層用塗布液を下記のように調製し、スピンコーターにて、1500rpm、30秒の条件で塗布した。
この基板を、150℃で10秒加熱し、加熱したまま、高圧水銀ランプ(株式会社オーク製作所製OHD−110M−ST)を用い30mW/cmの紫外光を20秒間照射した。
さらに120℃で30分間加熱し、正孔輸送層を設けた。別途用意した基板にて、同条件にて塗布を行い測定したところ、層厚は20nmであった。
(正孔輸送層用塗布液)
トルエン 100g
HT−A 0.45g
HT−B 0.05g
次いで、発光層塗布液を下記のように調製し、スピンコーターにて、30秒間に500rpmから5000rpmまで上げる条件で塗布した。さらに、150℃で30分加熱し発光層を設けた。別途用意した基板にて、同条件で塗布を行い測定したところ、層厚は40nmであった。
(発光層用塗布液)
トルエン 100g
mCBP 1.00g
DP−1 0.11g
次いで、電子輸送層用塗布液を下記のように調製し、スピンコーターにて、1500rpm、30秒の条件で塗布した。さらに120℃で30分加熱し電子輸送層を設けた。別途用意した基板にて、同条件で塗布を行い測定したところ、層厚は30nmであった。
(電子輸送層用塗布液)
2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール 100g
ET−A 0.75g
次いで、電子輸送層まで設けた基板を、大気曝露せずに、蒸着機に移動し、4×10−4Paまで減圧した。なお、フッ化セシウム及びアルミニウムをそれぞれタングステン製抵抗加熱ボートに入れ、蒸着機に取り付けておいた。
先ず、フッ化セシウムの入った抵抗加熱ボートに通電し加熱し、基板上にフッ化セシウムからなる電子注入層を3nm設けた。続いて、アルミニウムの入った抵抗加熱ボートに通電加熱し、蒸着速度1〜2nm/秒でアルミニウムからなる層厚100nmの陰極を設けた。
陰極まで設けた基板を、大気曝露させることなく、窒素雰囲気下、JIS B9920に準拠し測定した清浄度がクラス100で、露点温度が−80℃以下、酸素濃度0.8ppmのグローブボックスへ移動し、捕水剤である酸化バリウムを添付したガラス製の封止缶にて封止を行い、電極取り出し配線を設置して、有機EL素子2−1を作製した。
Figure 2016092280
Figure 2016092280
Figure 2016092280
(有機EL素子2−2〜2−109の作製)
ホスト化合物とTADF性化合物を表4〜表6に示すように変えた以外は、有機EL素子2−1と同様の方法で有機EL素子2−2から2−109を作製した。
〈有機EL素子の評価〉
得られた有機EL素子について下記の評価を行った。
《発光寿命》
2.5mA/cmの一定電流で駆動したときに、輝度が発光開始直後の輝度(初期輝度)の半分に低下するのに要した時間を測定し、これを半減寿命時間(τ0.5)として寿命の指標とした。なお、測定には分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルタ製)を用いた。
また、表4〜表6の発光寿命の測定結果は、有機EL素子2−1の測定値を100としたときの相対値で表した。
(結果)
表4〜表6に示した結果より、本発明に係る有機EL素子では、比較例の有機EL素子に比べて、発光寿命が優れることが認められた。
[実施例3]
(有機EL素子3−1の作製)
陽極として100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上にITO(インジウムスズ酸化物)を100nm成膜した基板(NHテクノグラス社製NA45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
この透明支持基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、Bayer社製、Baytron P Al 4083)を純水で70%に希釈した溶液を用いて3000rpm、30秒の条件下、スピンコート法により薄膜を形成した後、200℃にて1時間乾燥し、層厚20nmの正孔注入層を設けた。この透明支持基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、真空蒸着装置内の蒸着用るつぼの各々に、各層の構成材料を、各々素子作製に最適の量を充填した。蒸着用るつぼは、モリブデン製又はタングステン製の抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
真空度1×10−4Paまで減圧した後、α−NPD(4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル)を蒸着速度0.1nm/秒で前記正孔注入層上に蒸着し、層厚40nmの正孔輸送層を形成した。次にホスト化合物としてmCP、ドーパントとしてTTPA、併用化合物としてD−5の化合物を用い、それぞれの比率が75%、10%、15%の体積%となるように蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、層厚30nmの発光層を形成した。その後、TPBi(1,3,5−トリス(N−フェニルベンゾイミダゾール−2−イル)ベンゼン)を蒸着速度0.1nm/秒で蒸着し、層厚30nmの電子輸送層を形成した。
さらに、フッ化ナトリウムを膜厚1nmで形成した後に、アルミニウム100nmを蒸着して陰極を形成した。
上記素子の非発光面側を、純度99.999%以上の高純度窒素ガスの雰囲気下で、缶状ガラスケースで覆い、電極取り出し配線を設置して、有機EL素子3−1を作製した。
(有機EL素子3−2の作製)
ホスト化合物としてH−115、ドーパントとしてTTPA、併用化合物としてD−5の化合物を用い、それぞれの比率が75%、10%、15%の体積%となるように発光層を形成した以外は有機EL素子3−1の作製と同様にして、有機EL素子3−2を作製した。
(評価)
有機EL素子3−1と3−2について、下記の評価を行った。
《発光寿命》
2.5mA/cmの一定電流で駆動したときに、輝度が発光開始直後の輝度(初期輝度)の半分に低下するのに要した時間を測定し、これを半減寿命時間(τ0.5)として寿命の指標とした。なお、測定には分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルタ製)を用いた。
また、表7の発光寿命の測定結果は、有機EL素子3−1の測定値を100としたときの相対値で表した。
Figure 2016092280
(結果)
表7に示した結果より、本発明に係る有機EL素子では、比較例の有機EL素子に比べて、発光寿命が優れることが認められた。

Claims (11)

  1. 最低励起一重項エネルギーと最低励起三重項エネルギーとのエネルギー差の絶対値(ΔEst)が、0.5eV以下である発光性化合物と、下記一般式(I)で表される構造を有する化合物を含有することを特徴とする発光性薄膜。
    Figure 2016092280
    [式中、X101は、NR101、酸素原子、硫黄原子、CR102103又はSiR102103を表す。y〜yは、各々、CR104又は窒素原子を表す。R101〜R104は、各々、水素原子又は置換基を表し、互いに結合して環を形成してもよい。Ar101及びAr102は、各々、芳香族環を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。n101及びn102は、各々、0〜4の整数を表す。]。
  2. 前記発光性化合物がTADF性化合物であり、かつ前記一般式(I)で表される構造を有する化合物がホスト化合物であることを特徴とする請求項1に記載の発光性薄膜。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の発光性薄膜を、発光層として、陽極と陰極の間に有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記発光層の少なくとも一層が、前記TADF性化合物と前記ホスト化合物と、蛍光発光性化合物及び燐光発光性化合物のうち少なくとも1種類の発光性化合物とを含有することを特徴とする請求項3に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 前記ホスト化合物が、下記一般式(II)で表される構造を有することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 2016092280
    [式中、X101、Ar101、Ar102、及びn102は、それぞれ、前記一般式(I)におけるX101、Ar101、Ar102、及びn102と同義である。]。
  6. 前記ホスト化合物が、下記一般式(III)で表される構造を有することを特徴とする請求項3から請求項5までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 2016092280
    [式中、X101、Ar102及びn102は、それぞれ、前記一般式(I)におけるX101、Ar101、Ar102、及びn102と同義である。]。
  7. 前記一般式(III)におけるAr102が、置換又は無置換のカルバゾール環であることを特徴とする請求項6に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  8. 前記TADF性化合物が、下記一般式(1)、(3)、又は(5)のいずれかで表される構造を有することを特徴とする請求項3から請求項7までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 2016092280
    [一般式(1)において、Ar1〜Arは、各々独立に、置換又は無置換のアリール基を表し、少なくとも1つは下記一般式(2)で表される構造を有する基で置換されたアリール基を表す。]
    Figure 2016092280
    [一般式(2)において、R〜Rは、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。Zは、O、S、O=C、Ar−N、又は化学結合を表す。Arは、置換又は無置換のアリール基を表す。R〜Rのうち隣り合う基同士は、互いに結合を形成、又は、連結基を介して環を形成してもよい。]
    Figure 2016092280
    [一般式(3)において、R〜Rの少なくとも1つは、シアノ基を表し、R〜Rの少なくとも1つは下記一般式(4)で表される構造を有する基を表し、残りのR〜Rは水素原子又は置換基を表す。]
    Figure 2016092280
    [一般式(4)において、R21〜R28は、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。ただし、下記要件<A>か<B>の少なくとも一方を満たす。
    <A>R25及びR26は、単結合を形成する。
    <B>R27及びR28は、置換又は無置換のベンゼン環を形成するのに必要な原子団を表す。]
    Figure 2016092280
    [一般式(5)において、R及びRは、各々独立に、下記一般式(6)で表される構造を有する基である。]
    Figure 2016092280
    [一般式(6)において、R〜Rは、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。Zは、O、S、O=C、Ar−N、又は結合を表す。Arは、置換又は無置換のアリール基を表す。R〜Rのうち隣り合う基同士は、互いに結合を形成、又は、連結基を介して環を形成してもよい。]
  9. 請求項3から請求項8までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を具備することを特徴とする表示装置。
  10. 請求項3から請求項8までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を具備することを特徴とする照明装置。
  11. 請求項10に記載の照明装置及び、表示手段として、液晶素子を具備することを特徴とする表示装置。
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