JP2016084284A - 化合物、発光材料および有機発光素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】発光材料として有用な化合物の提供。【解決手段】(D)n−Aで表される化合物;Dは式(2)で表される基、Aは式(3)の構造を含むn価の基、nは1〜8のいずれかの整数を表す。[Z1はO、S、C=O、または単結合、R1〜R8は水素原子または置換基、YはO、SまたはN−Ar3、Ar3はアリール基を表す。]【選択図】なし
Description
本発明は、発光材料として有用な化合物とそれを用いた有機発光素子に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)などの有機発光素子の発光効率を高める研究が盛んに行われている。特に、有機エレクトロルミネッセンス素子を構成する電子輸送材料、正孔輸送材料、発光材料などを新たに開発して組み合わせることにより、発光効率を高める工夫が種々なされてきている。その中には、オキサジアゾール環やトリアゾール環を含む化合物を利用した有機エレクトロルミネッセンス素子に関する研究も見受けられ、これまでにも幾つかの提案がなされてきている。
例えば、特許文献1には、下記の一般式で表されるオキサジアゾール環を含む化合物が、電子輸送性が高くて発光素子の特性を向上させ得ることが記載されている。下記の一般式において、Ar1は炭素数1〜4のアルキル基、または環を形成する炭素数6〜10のアリール基で置換されていてもよい、炭素数6〜10のアリール基であり、Ar2は環を形成する炭素数6〜10のアリール基、または炭素数4〜9のヘテロアリール基であり、R1およびR2は水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基であると規定されている。しかしながら、下記の一般式においてAr2が結合する環がアントラセン環以外の構造を有する化合物は記載されていない。
特許文献2には、下記の一般式で表されるトリアゾール環を含む化合物が、キャリア輸送性が高くて発光素子の発光効率を向上させ得ることが記載されている。下記の一般式において、Ar1およびAr2はアリール基またはヘテロアリール基であり、Ar3はアリーレン基またはヘテロアリーレン基であり、R11およびR12は水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはアリール基であると規定されている。しかしながら、下記の一般式においてAr3に結合する環がカルバゾール環以外である化合物は記載されていない。また、Ar3に結合するカルバゾール環にさらにジアリールアミノ基が置換した化合物についても記載されていない。
このようにオキサジアゾール環やトリアゾール環を含む化合物については、これまでにも検討がなされており、有機エレクトロルミネッセンス素子への応用に関する幾つかの提案もなされている。しかしながら、[1]オキサジアゾール環またはトリアゾール環と、[2]フェノキサジン環、フェノチアジン環などを含む後掲の一般式(2)で表される構造をともに分子中に含む化合物については、具体的な検討がなされていない。また、このような2種類の環を分子内にともに有する化合物はほとんど知られていない。このため、これらの環をともに有する化合物がどのような性質を示すのかを正確に予測することは極めて困難である。特に、発光材料としての有用性については、引用文献1〜3において発光材料としての用途が記載されていないことからも明らかなように、予測の根拠となりうる文献を見出すことすら困難である。
本発明者らはこれらの従来技術の課題を考慮して、オキサジアゾール環などとフェノキサジン環などをともに分子中に含む化合物を合成して、発光材料としての有用性を評価することを目的として検討を進めた。また、発光材料として有用な化合物の一般式を導きだし、発光効率が高い有機発光素子の構成を一般化することも目的として鋭意検討を進めた。
本発明者らはこれらの従来技術の課題を考慮して、オキサジアゾール環などとフェノキサジン環などをともに分子中に含む化合物を合成して、発光材料としての有用性を評価することを目的として検討を進めた。また、発光材料として有用な化合物の一般式を導きだし、発光効率が高い有機発光素子の構成を一般化することも目的として鋭意検討を進めた。
上記の目的を達成するために鋭意検討を進めた結果、本発明者らは、[1]オキサジアゾール環、チオジアゾール環またはトリアゾール環と、[2]フェノキサジン環、フェノチアジン環などを含む後掲の一般式(2)で表される構造をともに含む化合物を合成することに成功するとともに、これらの化合物が発光材料として有用であることを初めて明らかにした。また、そのような化合物の中に、遅延蛍光材料として有用なものがあることを見出し、発光効率が高い有機発光素子を安価に提供しうることを明らかにした。本発明者らは、これらの知見に基づいて、上記の課題を解決する手段として、以下の本発明を提供するに至った。
[1] 下記一般式(1)で表される化合物。
一般式(1)
(D)n−A
[一般式(1)において、Dは下記一般式(2)で表される基であり、Aは下記一般式(3)で表される構造を含むn価の基を表す。nは1〜8のいずれかの整数を表す。]
[一般式(2)において、Z1はO、S、C=O、C(R21)(R22)、Si(R23)(R24)または単結合を表し、R21〜R24は各々独立に炭素数1〜8のアルキル基を表す。R1〜R8は各々独立に水素原子または置換基を表す。R1とR2、R2とR3、R3とR4、R5とR6、R6とR7、R7とR8は、それぞれ互いに結合して環状構造を形成していてもよい。ただし、Z1が単結合であるとき、R1〜R8の少なくとも1つは置換もしくは無置換のジアリールアミノ基を表す。]
[一般式(3)において、YはO、SまたはN−Ar3を表し、Ar3は置換もしくは無置換のアリール基を表す。]
一般式(1)
(D)n−A
[一般式(1)において、Dは下記一般式(2)で表される基であり、Aは下記一般式(3)で表される構造を含むn価の基を表す。nは1〜8のいずれかの整数を表す。]
[2] 一般式(1)のAが下記一般式(4)で表される構造を有することを特徴とする[1]に記載の化合物。
[一般式(4)において、YはO、SまたはN−Ar3を表し、Ar1およびAr2は各々独立に置換もしくは無置換の芳香族基を表す。]
[3] 一般式(1)のnが1〜4のいずれかの整数であることを特徴とする[1]または[2]に記載の化合物。
[3] 一般式(1)のnが1〜4のいずれかの整数であることを特徴とする[1]または[2]に記載の化合物。
[4] 一般式(5)で表されることを特徴とする[1]に記載の化合物。
[一般式(5)において、Z1およびZ2は各々独立にO、S、C=O、C(R21)(R22)、Si(R23)(R24)または単結合を表し、R21〜R24は各々独立に炭素数1〜8のアルキル基を表す。Ar1およびAr2は各々独立に置換もしくは無置換の芳香族基を表す。YはO、SまたはN−Ar3を表し、Ar3は置換もしくは無置換のアリール基を表す。R1〜R8およびR11〜R18は各々独立に水素原子または置換基を表す。R1とR2、R2とR3、R3とR4、R5とR6、R6とR7、R7とR8、R11とR12、R12とR13、R13とR14、R15とR16、R16とR17、R17とR18は、それぞれ互いに結合して環状構造を形成していてもよい。ただし、Z1が単結合であるとき、R1〜R8の少なくとも1つは置換もしくは無置換のジアリールアミノ基を表し、Z2が単結合であるとき、R11〜R18の少なくとも1つは置換もしくは無置換のジアリールアミノ基を表す。n1およびn2は、各々独立に0〜8のいずれかの整数を表し、n1とn2の和は1〜8である。]
[5] 一般式(5)のZ1およびZ2が各々独立にO、Sまたは単結合であることを特徴とする[4]に記載の化合物。
[6] 一般式(5)のYがOまたはN−Ar3であることを特徴とする[4]または[5]に記載の化合物。
[5] 一般式(5)のZ1およびZ2が各々独立にO、Sまたは単結合であることを特徴とする[4]に記載の化合物。
[6] 一般式(5)のYがOまたはN−Ar3であることを特徴とする[4]または[5]に記載の化合物。
[7] 一般式(6)で表されることを特徴とする[1]に記載の化合物。
[一般式(6)において、Z1はO、S、C=O、C(R21)(R22)、Si(R23)(R24)または単結合を表し、R21〜R24は各々独立に炭素数1〜8のアルキル基を表す。Ar1'は置換もしくは無置換のアリーレン基を表す。Ar2'は置換もしくは無置換のアリール基を表す。YはO、SまたはN−Ar3を表し、Ar3は置換もしくは無置換のアリール基を表す。R1〜R8は各々独立に水素原子または置換基を表す。R1とR2、R2とR3、R3とR4、R5とR6、R6とR7、R7とR8は、それぞれ互いに結合して環状構造を形成していてもよい。ただし、Z1が単結合であるとき、R1〜R8の少なくとも1つは置換もしくは無置換のジアリールアミノ基を表す。]
[8] 下記一般式(7)で表されることを特徴とする[1]に記載の化合物。
[一般式(7)において、Z1およびZ2は各々独立にO、S、C=O、C(R21)(R22)、Si(R23)(R24)または単結合を表し、R21〜R24は各々独立に炭素数1〜8のアルキル基を表す。Ar1"およびAr2"は各々独立に置換もしくは無置換のアリーレン基を表す。YはO、SまたはN−Ar3を表し、Ar3は置換もしくは無置換のアリール基を表す。R1〜R8およびR11〜R18は各々独立に水素原子または置換基を表す。R1とR2、R2とR3、R3とR4、R5とR6、R6とR7、R7とR8、R11とR12、R12とR13、R13とR14、R15とR16、R16とR17、R17とR18は、それぞれ互いに結合して環状構造を形成していてもよい。ただし、Z1が単結合であるとき、R1〜R8の少なくとも1つは置換もしくは無置換のジアリールアミノ基を表し、Z2が単結合であるとき、R11〜R18の少なくとも1つは置換もしくは無置換のジアリールアミノ基を表す。]
[9] 一般式(7)のZ1とZ2が同一であり、Ar1"とAr2"が同一であり、R1とR11が同一であり、R2とR12が同一であり、R3とR13が同一であり、R4とR14が同一であり、R5とR15が同一であり、R6とR16が同一であり、R7とR17が同一であり、R8とR18が同一であることを特徴とする[8]に記載の化合物。
[10] 一般式(7)のZ1とZ2が各々独立にOまたはSであることを特徴とする[8]または[9]に記載の化合物。
[9] 一般式(7)のZ1とZ2が同一であり、Ar1"とAr2"が同一であり、R1とR11が同一であり、R2とR12が同一であり、R3とR13が同一であり、R4とR14が同一であり、R5とR15が同一であり、R6とR16が同一であり、R7とR17が同一であり、R8とR18が同一であることを特徴とする[8]に記載の化合物。
[10] 一般式(7)のZ1とZ2が各々独立にOまたはSであることを特徴とする[8]または[9]に記載の化合物。
[11] [1]〜[10]のいずれか一項に記載の化合物からなる発光材料。
[12] [1]〜[10]のいずれか一項に記載の化合物からなる遅延蛍光体。
[13] [1]〜[10]のいずれか一項に記載の化合物を発光材料として含む発光層を基板上に有することを特徴とする有機発光素子。
[14] 遅延蛍光を放射することを特徴とする[13]に記載の有機発光素子。
[15] 有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする[13]または[14]に記載の有機発光素子。
[12] [1]〜[10]のいずれか一項に記載の化合物からなる遅延蛍光体。
[13] [1]〜[10]のいずれか一項に記載の化合物を発光材料として含む発光層を基板上に有することを特徴とする有機発光素子。
[14] 遅延蛍光を放射することを特徴とする[13]に記載の有機発光素子。
[15] 有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする[13]または[14]に記載の有機発光素子。
本発明の化合物は、発光材料として有用である。また、本発明の化合物の中には遅延蛍光を放射するものが含まれている。本発明の化合物を発光材料として用いた有機発光素子は、高い発光効率を実現しうる。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
一般式(2)において、Z1はO、S、C=O、C(R21)(R22)、Si(R23)(R24)または単結合を表す。R21〜R24は各々独立に炭素数1〜8のアルキル基を表す。ここでいうアルキル基は、直鎖状、分枝状のいずれであってもよく、より好ましくは炭素数1〜6であり、具体例としてメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基を挙げることができる。C(R21)(R22)の具体例として、C(CH3)(CH3)やC(C2H5)(C2H5)を挙げることができ、Si(R23)(R24)の具体例としてSi(CH3)(CH3)やSi(C2H5)(C2H5)を挙げることができる。
一般式(2)のZ1が単結合であるとき、一般式(2)はカルバゾール骨格を有する基となる。このとき、R1〜R8の少なくとも1つは置換もしくは無置換のジアリールアミノ基を表す。置換もしくは無置換のジアリールアミノ基はR1〜R8のいずれであってもよいが、R3かR6の少なくとも一方が置換もしくは無置換のジアリールアミノ基であることが好ましい。R1〜R8が表す置換もしくは無置換のジアリールアミノ基を構成する2つのアリール基は、互いに同一であっても異なっていてもよい。アリール基の炭素数は6〜14であることが好ましく、6〜10であることがより好ましい。具体例として、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基を挙げることができる。アリール基に置換可能な置換基の説明と好ましい範囲については、後述のR1〜R8がとりうる置換基の説明と好ましい範囲を参照することができる。置換もしくは無置換のジアリールアミノ基の好ましい具体例として、ジフェニルアミノ基、ビス(4−メチルフェニル)アミノ基、ビス(3−メチルフェニル)アミノ基、ビス(3,5−ジメチルフェニル)アミノ基、ビス(4−メチルフェニル)アミノ基を挙げることができる。なお、ジアリールアミノ基の2つのアリール基は互いに結合してアミノ基の窒素原子とともに環状構造を形成していてもよい。例えば、9−カルバゾリル基を挙げることができる。
一般式(2)のR1〜R8は各々独立に水素原子または置換基を表す。R1〜R8はすべてが水素原子であってもよい。また、2個以上が置換基である場合、それらの置換基は同じであっても異なっていてもよい。置換基としては、例えばヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数1〜20のアルキル置換アミノ基、炭素数12〜40のアリール置換アミノ基、炭素数2〜20のアシル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、炭素数12〜40の置換もしくは無置換のカルバゾリル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜10のアルキルスルホニル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、アミド基、炭素数2〜10のアルキルアミド基、炭素数3〜20のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のトリアルキルシリルアルキル基、炭素数5〜20のトリアルキルシリルアルケニル基、炭素数5〜20のトリアルキルシリルアルキニル基およびニトロ基等が挙げられる。これらの具体例のうち、さらに置換基により置換可能なものは置換されていてもよい。より好ましい置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数3〜40の置換もしくは無置換のヘテロアリール基、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のジアルキルアミノ基、炭素数12〜40の置換もしくは無置換のジアリールアミノ基、炭素数12〜40の置換もしくは無置換のカルバゾリル基である。さらに好ましい置換基は、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルコキシ基、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のジアルキルアミノ基、炭素数12〜40の置換もしくは無置換のジアリールアミノ基、炭素数6〜15の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数3〜12の置換もしくは無置換のヘテロアリール基である。
アルキル基は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよく、より好ましくは炭素数1〜6であり、具体例としてメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基を挙げることができる。アリール基は、単環でも縮合環でもよく、具体例としてフェニル基、ナフチル基を挙げることができる。アルコキシ基は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよく、より好ましくは炭素数1〜6であり、具体例としてメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、イソプロピポキシ基を挙げることができる。ジアルキルアミノ基の2つのアルキル基は、互いに同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。ジアルキルアミノ基の2つのアルキル基は、各々独立に直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよく、より好ましくは炭素数1〜6であり、具体例としてメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基を挙げることができる。ジアルキルアミノ基の2つのアルキル基は互いに結合してアミノ基の窒素原子とともに環状構造を形成していてもよい。置換基として採用しうるアリール基は、単環でも縮合環でもよく、具体例としてフェニル基、ナフチル基を挙げることができる。ヘテロアリール基も、単環でも縮合環でもよく、具体例としてピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、トリアジル基、トリアゾリル基、ベンゾトリアゾリル基を挙げることができる。これらのヘテロアリール基は、ヘテロ原子を介して結合する基であっても、ヘテロアリール環を構成する炭素原子を介して結合する基であってもよい。ジアリールアミノ基の2つのアリール基は、単環でも縮合環でもよく、具体例としてフェニル基、ナフチル基を挙げることができる。ジアリールアミノ基の2つのアリール基は互いに結合してアミノ基の窒素原子とともに環状構造を形成していてもよい。例えば、9−カルバゾリル基を挙げることができる。
一般式(2)におけるR1とR2、R2とR3、R3とR4、R5とR6、R6とR7、R7とR8は、それぞれ互いに結合して環状構造を形成していてもよい。環状構造は芳香環であっても脂肪環であってもよく、またヘテロ原子を含むものであってもよく、さらに環状構造は2環以上の縮合環であってもよい。ここでいうヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群より選択されるものであることが好ましい。形成される環状構造の例として、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、イミダゾリン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、シクロヘキサジエン環、シクロヘキセン環、シクロペンタエン環、シクロヘプタトリエン環、シクロヘプタジエン環、シクロヘプタエン環などを挙げることができる。
一般式(3)において、YはO、SまたはN−Ar3を表し、Ar3は置換もしくは無置換のアリール基を表す。Ar3が表すアリール基を構成する芳香環は、単環であっても縮合環であってもよく、具体例としてベンゼン環、ナフタレン環を挙げることができる。アリール基の炭素数は6〜40であることが好ましく、6〜20であることがより好ましい。Ar3が表すアリール基に置換しうる置換基の説明と好ましい範囲については、上記のR1〜R8がとりうる置換基の説明と好ましい範囲を参照することができる。
一般式(1)において、nは1〜8のいずれかの整数を表す。nは1〜6であることがより好ましく、1〜4であることがさらに好ましい。nが2以上であるとき、一般式(1)のAには複数のDが結合していることになる。複数のDは互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。同一である場合は合成が容易であるという利点がある。
nが1であるときは、アクセプターとして作用する一般式(3)の構造を含むAとドナーとして作用するDが1つずつ互いに結合している。これに対して、nが2以上であるときは、アクセプターとして作用する一般式(3)の構造を含むAに対して、ドナーとして作用するDが2つ以上結合している。Dが2つ以上結合しているとドナーとしての機能が打ち消しあって、分子が発光材料として有効に機能しない危険性が生じることが一般に懸念される。しかしながら、本発明にしたがってAとDをそれぞれ選りすぐって互いに組み合わせることにより、発光効率が高くて優れた効果を有する発光材料を提供できることが判明した。これは、HOMOとLUMOの広がりを分子レベルで制御して、発光材料として好ましい条件を満たすようにしたためであると考えられる。
一般式(1)のAは、下記一般式(4)で表される構造を有するものであることが好ましい。
一般式(4)において、YはO、SまたはN−Ar3を表す。Yの説明と好ましい範囲については、一般式(3)の説明と好ましい範囲を参照することができる。
一般式(4)において、Ar1およびAr2は各々独立に置換もしくは無置換の芳香族基を表す。ここでいう芳香族基は、芳香環の環骨格を構成する原子によって直接オキサジアゾール環、チオジアゾール環またはトリアゾール環と結合する基を意味する。芳香環は単環であっても、縮合環であってもよい。また、芳香環を構成する環骨格原子は炭素原子のみからなるものであってもよいし、炭素原子とヘテロ原子が混在しているものであってもよい。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子を好ましく例示することができる。Ar1およびAr2の芳香環の環骨格構成原子数は5〜20であることが好ましく、5〜12であることがより好ましい。芳香環として、例えばベンゼン環やナフタレン環を挙げることができる。Ar1およびAr2が表す芳香族基は、D以外の基で置換されていてもよい。そのような置換基の説明と好ましい範囲については、上記のR1〜R8がとりうる置換基の説明と好ましい範囲を参照することができる。Ar1とAr2は同一であっても、異なっていてもよいが、同一であれば合成が容易であるという利点がある。
一般式(4)において、Ar1およびAr2は各々独立に置換もしくは無置換の芳香族基を表す。ここでいう芳香族基は、芳香環の環骨格を構成する原子によって直接オキサジアゾール環、チオジアゾール環またはトリアゾール環と結合する基を意味する。芳香環は単環であっても、縮合環であってもよい。また、芳香環を構成する環骨格原子は炭素原子のみからなるものであってもよいし、炭素原子とヘテロ原子が混在しているものであってもよい。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子を好ましく例示することができる。Ar1およびAr2の芳香環の環骨格構成原子数は5〜20であることが好ましく、5〜12であることがより好ましい。芳香環として、例えばベンゼン環やナフタレン環を挙げることができる。Ar1およびAr2が表す芳香族基は、D以外の基で置換されていてもよい。そのような置換基の説明と好ましい範囲については、上記のR1〜R8がとりうる置換基の説明と好ましい範囲を参照することができる。Ar1とAr2は同一であっても、異なっていてもよいが、同一であれば合成が容易であるという利点がある。
Dが結合する位置は特に制限されない。例えば、Ar1の芳香族基とAr2の芳香族基の両方にそれぞれDが結合していてもよいし、いずれか一方のみに結合していてもよい。また、Ar1の芳香族基に結合しているDの数と、Ar2の芳香族基に結合しているDの数は、同一であっても異なっていてもよい。同一であれば合成が容易であるという利点がある。好ましい態様として、Ar1の芳香族基にのみ1つのDが結合している態様、Ar1とAr2の芳香族基に1つずつDが結合している態様、Ar1とAr2の芳香族基に2つずつDが結合している態様、Ar1とAr2の芳香族基に3つずつDが結合している態様を挙げることができる。
一般式(5)において、Z1およびZ2は各々独立にO、S、C=O、C(R21)(R22)、Si(R23)(R24)または単結合を表し、R21〜R24は各々独立に炭素数1〜8のアルキル基を表す。Ar1およびAr2は各々独立に置換もしくは無置換の芳香族基を表す。YはO、SまたはN−Ar3を表し、Ar3は置換もしくは無置換のアリール基を表す。R1〜R8およびR11〜R18は各々独立に水素原子または置換基を表す。R1とR2、R2とR3、R3とR4、R5とR6、R6とR7、R7とR8、R11とR12、R12とR13、R13とR14、R15とR16、R16とR17、R17とR18は、それぞれ互いに結合して環状構造を形成していてもよい。ただし、Z1が単結合であるとき、R1〜R8の少なくとも1つは置換もしくは無置換のジアリールアミノ基を表し、Z2が単結合であるとき、R11〜R18の少なくとも1つは置換もしくは無置換のジアリールアミノ基を表す。一般式(5)におけるZ1、Z2、Ar1、Ar2、Y、R1〜R8およびR11〜R18の説明と好ましい範囲については、一般式(2)〜(4)のZ1、Ar1、Ar2、YおよびR1〜R8の説明と好ましい範囲を参照することができる。
一般式(5)におけるn1およびn2は、各々独立に0〜8のいずれかの整数を表す。ただし、n1とn2の和は1〜8である。n1が2〜8のいずれかの整数であるとき、n1個の環状構造は同一であっても異なっていてもよく、また、n2が2〜8のいずれかの整数であるとき、n2個の環状構造は同一であっても異なっていてもよい。
一般式(5)における好ましい態様として、Z1およびZ2が各々独立にO、Sまたは単結合である場合、YがOまたはN−Ar3である場合、Ar1およびAr2が表す芳香族基の芳香環がベンゼン環である場合を挙げることができる。また、n1とn2が同一である場合や、n1が1であってn2が0である場合も挙げることができる。
一般式(6)において、Z1はO、S、C=O、C(R21)(R22)、Si(R23)(R24)または単結合を表し、R21〜R24は各々独立に炭素数1〜8のアルキル基を表す。Ar1'は置換もしくは無置換のアリーレン基を表す。Ar2'は置換もしくは無置換のアリール基を表す。YはO、SまたはN−Ar3を表し、Ar3は置換もしくは無置換のアリール基を表す。R1〜R8は各々独立に水素原子または置換基を表す。R1とR2、R2とR3、R3とR4、R5とR6、R6とR7、R7とR8は、それぞれ互いに結合して環状構造を形成していてもよい。ただし、Z1が単結合であるとき、R1〜R8の少なくとも1つは置換もしくは無置換のジアリールアミノ基を表す。一般式(6)におけるZ1、Y、R1〜R8の説明と好ましい範囲については、一般式(2)および一般式(3)の対応する基の説明と好ましい範囲を参照することができる。
一般式(6)のAr1'が表すアリーレン基は、芳香環の骨格を構成する炭素数が6〜14であることが好ましく、炭素数6〜10であることがより好ましい。例えば、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、2,6−ナフチレン基、2,7−ナフチレン基を挙げることができ、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基が好ましい。一般式(6)のAr2'が表すアリール基は、芳香環の骨格を構成する炭素数が6〜14であることが好ましく、炭素数6〜10であることがより好ましい。例えば、フェニル基、ナフチル基を挙げることができる。Ar1'が表すアリーレン基とAr2'が表すアリール基は、置換基で置換されていてもよい。置換基の説明と好ましい範囲については、上記のR1〜R8がとりうる置換基の説明と好ましい範囲を参照することができる。
一般式(7)において、Z1およびZ2は各々独立にO、S、C=O、C(R21)(R22)、Si(R23)(R24)または単結合を表し、R21〜R24は各々独立に炭素数1〜8のアルキル基を表す。Ar1"およびAr2"は各々独立に置換もしくは無置換のアリーレン基を表す。YはO、SまたはN−Ar3を表し、Ar3は置換もしくは無置換のアリール基を表す。R1〜R8およびR11〜R18は各々独立に水素原子または置換基を表す。R1とR2、R2とR3、R3とR4、R5とR6、R6とR7、R7とR8、R11とR12、R12とR13、R13とR14、R15とR16、R16とR17、R17とR18は、それぞれ互いに結合して環状構造を形成していてもよい。
ただし、Z1が単結合であるとき、R1〜R8の少なくとも1つは置換もしくは無置換のジアリールアミノ基を表し、Z2が単結合であるとき、R11〜R18の少なくとも1つは置換もしくは無置換のジアリールアミノ基を表す。
ただし、Z1が単結合であるとき、R1〜R8の少なくとも1つは置換もしくは無置換のジアリールアミノ基を表し、Z2が単結合であるとき、R11〜R18の少なくとも1つは置換もしくは無置換のジアリールアミノ基を表す。
一般式(7)におけるZ1、Z2、Y、R1〜R8およびR11〜R18の説明と好ましい範囲については、一般式(2)〜(4)におけるZ1、Ar1、Ar2、YおよびR1〜R8の説明と好ましい範囲を参照することができる。また、一般式(7)におけるAr1"およびAr2"の説明と好ましい範囲については、一般式(6)におけるAr1'の説明と好ましい範囲を参照することができる。
一般式(7)において、Z1とZ2が同一であり、Ar1"とAr2"が同一であり、R1とR11が同一であり、R2とR12が同一であり、R3とR13が同一であり、R4とR14が同一であり、R5とR15が同一であり、R6とR16が同一であり、R7とR17が同一であり、R8とR18が同一である化合物は、合成が容易である等の利点がある。
以下において、一般式(1)で表される化合物の具体例を例示する。ただし、本発明において用いることができる一般式(1)で表される化合物はこれらの具体例によって限定的に解釈されるべきものではない。
一般式(1)で表される化合物の分子量は、例えば一般式(1)で表される化合物を含む有機層を蒸着法により製膜して利用することを意図する場合には、1500以下であることが好ましく、1200以下であることがより好ましく、1000以下であることがさらに好ましく、800以下であることがさらにより好ましい。分子量の下限値は、一般式(1)で表される最小化合物の分子量である。
本発明を応用して、分子内に一般式(1)で表される構造を複数個含む化合物を、発光材料として用いることも考えられる。
例えば、一般式(1)で表される構造中にあらかじめ重合性基を存在させておいて、その重合性基を重合させることによって得られる重合体を、発光材料として用いることが考えられる。具体的には、一般式(1)のAかDのいずれかに重合性官能基を含むモノマーを用意して、これを単独で重合させるか、他のモノマーとともに共重合させることにより、繰り返し単位を有する重合体を得て、その重合体を発光材料として用いることが考えられる。あるいは、一般式(1)で表される構造を有する化合物どうしをカップリングさせることにより、二量体や三量体を得て、それらを発光材料として用いることも考えられる。
例えば、一般式(1)で表される構造中にあらかじめ重合性基を存在させておいて、その重合性基を重合させることによって得られる重合体を、発光材料として用いることが考えられる。具体的には、一般式(1)のAかDのいずれかに重合性官能基を含むモノマーを用意して、これを単独で重合させるか、他のモノマーとともに共重合させることにより、繰り返し単位を有する重合体を得て、その重合体を発光材料として用いることが考えられる。あるいは、一般式(1)で表される構造を有する化合物どうしをカップリングさせることにより、二量体や三量体を得て、それらを発光材料として用いることも考えられる。
一般式(8)および(9)において、Qは一般式(1)で表される構造を含む基を表し、L1およびL2は連結基を表す。連結基の炭素数は、好ましくは0〜20であり、より好ましくは1〜15であり、さらに好ましくは2〜10である。連結基は−X11−L11−で表される構造を有するものであることが好ましい。ここで、X11は酸素原子または硫黄原子を表し、酸素原子であることが好ましい。L11は連結基を表し、置換もしくは無置換のアルキレン基、または置換もしくは無置換のアリーレン基であることが好ましく、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルキレン基、または置換もしくは無置換のフェニレン基であることがより好ましい。
一般式(8)および(9)において、R101、R102、R103およびR104は、各々独立に置換基を表す。好ましくは、炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルコキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは炭素数1〜3の無置換のアルキル基、炭素数1〜3の無置換のアルコキシ基、フッ素原子、塩素原子であり、さらに好ましくは炭素数1〜3の無置換のアルキル基、炭素数1〜3の無置換のアルコキシ基である。
L1およびL2で表される連結基は、Qを構成する一般式(1)の構造のAかD、一般式(2)の構造のR1〜R8、R21〜R24のいずれか、一般式(4)のAr1、Ar2、Ar3のいずれか、一般式(5)のR1〜R8、R11〜R18、R21〜R24、Ar1、Ar2、Ar3のいずれか、一般式(6)のR1〜R8、R21〜R24、Ar1'、Ar2' 、Ar3のいずれか、一般式(7)のR1〜R8、R11〜R18、R21〜R24、Ar1"、Ar2" 、Ar3のいずれかに結合することができる。1つのQに対して連結基が2つ以上連結して架橋構造や網目構造を形成していてもよい。
一般式(8)および(9)において、R101、R102、R103およびR104は、各々独立に置換基を表す。好ましくは、炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルコキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは炭素数1〜3の無置換のアルキル基、炭素数1〜3の無置換のアルコキシ基、フッ素原子、塩素原子であり、さらに好ましくは炭素数1〜3の無置換のアルキル基、炭素数1〜3の無置換のアルコキシ基である。
L1およびL2で表される連結基は、Qを構成する一般式(1)の構造のAかD、一般式(2)の構造のR1〜R8、R21〜R24のいずれか、一般式(4)のAr1、Ar2、Ar3のいずれか、一般式(5)のR1〜R8、R11〜R18、R21〜R24、Ar1、Ar2、Ar3のいずれか、一般式(6)のR1〜R8、R21〜R24、Ar1'、Ar2' 、Ar3のいずれか、一般式(7)のR1〜R8、R11〜R18、R21〜R24、Ar1"、Ar2" 、Ar3のいずれかに結合することができる。1つのQに対して連結基が2つ以上連結して架橋構造や網目構造を形成していてもよい。
これらの式(10)〜(13)を含む繰り返し単位を有する重合体は、一般式(1)の構造のAかDのいずれかにヒドロキシ基を導入しておき、それをリンカーとして下記化合物を反応させて重合性基を導入し、その重合性基を重合させることにより合成することができる。
分子内に一般式(1)で表される構造を含む重合体は、一般式(1)で表される構造を有する繰り返し単位のみからなる重合体であってもよいし、それ以外の構造を有する繰り返し単位を含む重合体であってもよい。また、重合体の中に含まれる一般式(1)で表される構造を有する繰り返し単位は、単一種であってもよいし、2種以上であってもよい。一般式(1)で表される構造を有さない繰り返し単位としては、通常の共重合に用いられるモノマーから誘導されるものを挙げることができる。例えば、エチレン、スチレンなどのエチレン性不飽和結合を有するモノマーから誘導される繰り返し単位を挙げることができる。
[一般式(1)で表される化合物の合成方法]
一般式(1)で表される化合物は、既知の反応を組み合わせることによって合成することができる。例えば、以下のスキームにしたがって合成することが可能である。
上式におけるD、Aおよびnの説明については、一般式(1)における対応する記載を参照することができる。上式におけるXはハロゲン原子を表し、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができ、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましい。
一般式(1)で表される化合物のうち、例えば一般式(5)で表される化合物は以下のスキームにより合成することが可能である。
上式におけるZ1、Z2、Ar1、Ar2、Y、R1〜R8、R11〜R18、n1およびn2の説明については、一般式(5)における対応する記載を参照することができる。上式におけるXはハロゲン原子を表す。
上記の2つのスキームにおける反応は、公知のカップリング反応を応用したものであり、公知の反応条件を適宜選択して用いることができる。上記の反応の詳細については、後述の合成例を参考にすることができる。また、一般式(1)で表される化合物は、その他の公知の合成反応を組み合わせることによっても合成することができる。
一般式(1)で表される化合物は、既知の反応を組み合わせることによって合成することができる。例えば、以下のスキームにしたがって合成することが可能である。
一般式(1)で表される化合物のうち、例えば一般式(5)で表される化合物は以下のスキームにより合成することが可能である。
上記の2つのスキームにおける反応は、公知のカップリング反応を応用したものであり、公知の反応条件を適宜選択して用いることができる。上記の反応の詳細については、後述の合成例を参考にすることができる。また、一般式(1)で表される化合物は、その他の公知の合成反応を組み合わせることによっても合成することができる。
[有機発光素子]
本発明の一般式(1)で表される化合物は、有機発光素子の発光材料として有用である。このため、本発明の一般式(1)で表される化合物は、有機発光素子の発光層に発光材料として効果的に用いることができる。一般式(1)で表される化合物の中には、遅延蛍光を放射する遅延蛍光材料(遅延蛍光体)が含まれている。そのような化合物を発光材料として用いた有機発光素子は、遅延蛍光を放射し、発光効率が高いという特徴を有する。その原理を、有機エレクトロルミネッセンス素子を例にとって説明すると以下のようになる。
本発明の一般式(1)で表される化合物は、有機発光素子の発光材料として有用である。このため、本発明の一般式(1)で表される化合物は、有機発光素子の発光層に発光材料として効果的に用いることができる。一般式(1)で表される化合物の中には、遅延蛍光を放射する遅延蛍光材料(遅延蛍光体)が含まれている。そのような化合物を発光材料として用いた有機発光素子は、遅延蛍光を放射し、発光効率が高いという特徴を有する。その原理を、有機エレクトロルミネッセンス素子を例にとって説明すると以下のようになる。
有機エレクトロルミネッセンス素子においては、正負の両電極より発光材料にキャリアを注入し、励起状態の発光材料を生成し、発光させる。通常、キャリア注入型の有機エレクトロルミネッセンス素子の場合、生成した励起子のうち、励起一重項状態に励起されるのは25%であり、残り75%は励起三重項状態に励起される。従って、励起三重項状態からの発光であるリン光を利用するほうが、エネルギーの利用効率が高い。しかしながら、励起三重項状態は寿命が長いため、励起状態の飽和や励起三重項状態の励起子との相互作用によるエネルギーの失活が起こり、一般にリン光の量子収率が高くないことが多い。一方、遅延蛍光材料は、系間交差等により励起三重項状態へとエネルギーが遷移した後、三重項−三重項消滅あるいは熱エネルギーの吸収により、励起一重項状態に逆系間交差され蛍光を放射する。有機エレクトロルミネッセンス素子においては、なかでも熱エネルギーの吸収による熱活性化型の遅延蛍光材料が特に有用であると考えられる。有機エレクトロルミネッセンス素子に遅延蛍光材料を利用した場合、励起一重項状態の励起子は通常通り蛍光を放射する。一方、励起三重項状態の励起子は、デバイスが発する熱を吸収して励起一重項へ系間交差され蛍光を放射する。このとき、励起一重項からの発光であるため蛍光と同波長での発光でありながら、励起三重項状態から励起一重項状態への逆系間交差により、生じる光の寿命(発光寿命)は通常の蛍光やりん光よりも長くなるため、これらよりも遅延した蛍光として観察される。これを遅延蛍光として定義できる。このような熱活性化型の励起子移動機構を用いれば、キャリア注入後に熱エネルギーの吸収を経ることにより、通常は25%しか生成しなかった励起一重項状態の化合物の比率を25%以上に引き上げることが可能となる。100℃未満の低い温度でも強い蛍光および遅延蛍光を発する化合物を用いれば、デバイスの熱で充分に励起三重項状態から励起一重項状態への系間交差が生じて遅延蛍光を放射するため、発光効率を飛躍的に向上させることができる。
本発明の一般式(1)で表される化合物を発光層の発光材料として用いることにより、有機フォトルミネッセンス素子(有機PL素子)や有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)などの優れた有機発光素子を提供することができる。有機フォトルミネッセンス素子は、基板上に少なくとも発光層を形成した構造を有する。また、有機エレクトロルミネッセンス素子は、少なくとも陽極、陰極、および陽極と陰極の間に有機層を形成した構造を有する。有機層は、少なくとも発光層を含むものであり、発光層のみからなるものであってもよいし、発光層の他に1層以上の有機層を有するものであってもよい。そのような他の有機層として、正孔輸送層、正孔注入層、電子阻止層、正孔阻止層、電子注入層、電子輸送層、励起子阻止層などを挙げることができる。正孔輸送層は正孔注入機能を有した正孔注入輸送層でもよく、電子輸送層は電子注入機能を有した電子注入輸送層でもよい。具体的な有機エレクトロルミネッセンス素子の構造例を図1に示す。図1において、1は基板、2は陽極、3は正孔注入層、4は正孔輸送層、5は発光層、6は電子輸送層、7は陰極を表わす。
以下において、有機エレクトロルミネッセンス素子の各部材および各層について説明する。なお、基板と発光層の説明は有機フォトルミネッセンス素子の基板と発光層にも該当する。
以下において、有機エレクトロルミネッセンス素子の各部材および各層について説明する。なお、基板と発光層の説明は有機フォトルミネッセンス素子の基板と発光層にも該当する。
(基板)
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、基板に支持されていることが好ましい。この基板については、特に制限はなく、従来から有機エレクトロルミネッセンス素子に慣用されているものであればよく、例えば、ガラス、透明プラスチック、石英、シリコンなどからなるものを用いることができる。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、基板に支持されていることが好ましい。この基板については、特に制限はなく、従来から有機エレクトロルミネッセンス素子に慣用されているものであればよく、例えば、ガラス、透明プラスチック、石英、シリコンなどからなるものを用いることができる。
(陽極)
有機エレクトロルミネッセンス素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極材料とするものが好ましく用いられる。このような電極材料の具体例としてはAu等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In2O3−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極はこれらの電極材料を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極材料の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な材料を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。さらに膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
有機エレクトロルミネッセンス素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極材料とするものが好ましく用いられる。このような電極材料の具体例としてはAu等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In2O3−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極はこれらの電極材料を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極材料の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な材料を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。さらに膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
(陰極)
一方、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極材料とするものが用いられる。このような電極材料の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性および酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極材料を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光した光を透過させるため、有機エレクトロルミネッセンス素子の陽極または陰極のいずれか一方が、透明または半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
また、陽極の説明で挙げた導電性透明材料を陰極に用いることで、透明または半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
一方、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極材料とするものが用いられる。このような電極材料の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性および酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極材料を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光した光を透過させるため、有機エレクトロルミネッセンス素子の陽極または陰極のいずれか一方が、透明または半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
また、陽極の説明で挙げた導電性透明材料を陰極に用いることで、透明または半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
(発光層)
発光層は、陽極および陰極のそれぞれから注入された正孔および電子が再結合することにより励起子が生成した後、発光する層であり、発光材料を単独で発光層に使用しても良いが、好ましくは発光材料とホスト材料を含む。発光材料としては、一般式(1)で表される本発明の化合物群から選ばれる1種または2種以上を用いることができる。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子および有機フォトルミネッセンス素子が高い発光効率を発現するためには、発光材料に生成した一重項励起子および三重項励起子を、発光材料中に閉じ込めることが重要である。従って、発光層中に発光材料に加えてホスト材料を用いることが好ましい。ホスト材料としては、励起一重項エネルギー、励起三重項エネルギーの少なくとも何れか一方が本発明の発光材料よりも高い値を有する有機化合物を用いることができる。その結果、本発明の発光材料に生成した一重項励起子および三重項励起子を、本発明の発光材料の分子中に閉じ込めることが可能となり、その発光効率を十分に引き出すことが可能となる。本発明の有機発光素子または有機エレクトロルミネッセンス素子において、発光は発光層に含まれる本発明の発光材料から生じる。この発光は蛍光発光および遅延蛍光発光の両方を含む。但し、発光の一部或いは部分的にホスト材料からの発光があってもかまわない。
ホスト材料を用いる場合、発光材料である本発明の化合物が発光層中に含有される量は0.1重量%以上であることが好ましく、1重量%以上であることがより好ましく、また、50重量%以下であることが好ましく、20重量%以下であることがより好ましく、10重量%以下であることがさらに好ましい。
発光層におけるホスト材料としては、正孔輸送能、電子輸送能を有し、かつ発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高いガラス転移温度を有する有機化合物であることが好ましい。
発光層は、陽極および陰極のそれぞれから注入された正孔および電子が再結合することにより励起子が生成した後、発光する層であり、発光材料を単独で発光層に使用しても良いが、好ましくは発光材料とホスト材料を含む。発光材料としては、一般式(1)で表される本発明の化合物群から選ばれる1種または2種以上を用いることができる。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子および有機フォトルミネッセンス素子が高い発光効率を発現するためには、発光材料に生成した一重項励起子および三重項励起子を、発光材料中に閉じ込めることが重要である。従って、発光層中に発光材料に加えてホスト材料を用いることが好ましい。ホスト材料としては、励起一重項エネルギー、励起三重項エネルギーの少なくとも何れか一方が本発明の発光材料よりも高い値を有する有機化合物を用いることができる。その結果、本発明の発光材料に生成した一重項励起子および三重項励起子を、本発明の発光材料の分子中に閉じ込めることが可能となり、その発光効率を十分に引き出すことが可能となる。本発明の有機発光素子または有機エレクトロルミネッセンス素子において、発光は発光層に含まれる本発明の発光材料から生じる。この発光は蛍光発光および遅延蛍光発光の両方を含む。但し、発光の一部或いは部分的にホスト材料からの発光があってもかまわない。
ホスト材料を用いる場合、発光材料である本発明の化合物が発光層中に含有される量は0.1重量%以上であることが好ましく、1重量%以上であることがより好ましく、また、50重量%以下であることが好ましく、20重量%以下であることがより好ましく、10重量%以下であることがさらに好ましい。
発光層におけるホスト材料としては、正孔輸送能、電子輸送能を有し、かつ発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高いガラス転移温度を有する有機化合物であることが好ましい。
(注入層)
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、正孔注入層と電子注入層があり、陽極と発光層または正孔輸送層の間、および陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。注入層は必要に応じて設けることができる。
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、正孔注入層と電子注入層があり、陽極と発光層または正孔輸送層の間、および陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。注入層は必要に応じて設けることができる。
(阻止層)
阻止層は、発光層中に存在する電荷(電子もしくは正孔)および/または励起子の発光層外への拡散を阻止することができる層である。電子阻止層は、発光層および正孔輸送層の間に配置されることができ、電子が正孔輸送層の方に向かって発光層を通過することを阻止する。同様に、正孔阻止層は発光層および電子輸送層の間に配置されることができ、正孔が電子輸送層の方に向かって発光層を通過することを阻止する。阻止層はまた、励起子が発光層の外側に拡散することを阻止するために用いることができる。すなわち電子阻止層、正孔阻止層はそれぞれ励起子阻止層としての機能も兼ね備えることができる。本明細書でいう電子阻止層または励起子阻止層は、一つの層で電子阻止層および励起子阻止層の機能を有する層を含む意味で使用される。
阻止層は、発光層中に存在する電荷(電子もしくは正孔)および/または励起子の発光層外への拡散を阻止することができる層である。電子阻止層は、発光層および正孔輸送層の間に配置されることができ、電子が正孔輸送層の方に向かって発光層を通過することを阻止する。同様に、正孔阻止層は発光層および電子輸送層の間に配置されることができ、正孔が電子輸送層の方に向かって発光層を通過することを阻止する。阻止層はまた、励起子が発光層の外側に拡散することを阻止するために用いることができる。すなわち電子阻止層、正孔阻止層はそれぞれ励起子阻止層としての機能も兼ね備えることができる。本明細書でいう電子阻止層または励起子阻止層は、一つの層で電子阻止層および励起子阻止層の機能を有する層を含む意味で使用される。
(正孔阻止層)
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有する。正孔阻止層は電子を輸送しつつ、正孔が電子輸送層へ到達することを阻止する役割があり、これにより発光層中での電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。正孔阻止層の材料としては、後述する電子輸送層の材料を必要に応じて用いることができる。
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有する。正孔阻止層は電子を輸送しつつ、正孔が電子輸送層へ到達することを阻止する役割があり、これにより発光層中での電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。正孔阻止層の材料としては、後述する電子輸送層の材料を必要に応じて用いることができる。
(電子阻止層)
電子阻止層とは、広い意味では正孔を輸送する機能を有する。電子阻止層は正孔を輸送しつつ、電子が正孔輸送層へ到達することを阻止する役割があり、これにより発光層中での電子と正孔が再結合する確率を向上させることができる。
電子阻止層とは、広い意味では正孔を輸送する機能を有する。電子阻止層は正孔を輸送しつつ、電子が正孔輸送層へ到達することを阻止する役割があり、これにより発光層中での電子と正孔が再結合する確率を向上させることができる。
(励起子阻止層)
励起子阻止層とは、発光層内で正孔と電子が再結合することにより生じた励起子が電荷輸送層に拡散することを阻止するための層であり、本層の挿入により励起子を効率的に発光層内に閉じ込めることが可能となり、素子の発光効率を向上させることができる。励起子阻止層は発光層に隣接して陽極側、陰極側のいずれにも挿入することができ、両方同時に挿入することも可能である。すなわち、励起子阻止層を陽極側に有する場合、正孔輸送層と発光層の間に、発光層に隣接して該層を挿入することができ、陰極側に挿入する場合、発光層と陰極との間に、発光層に隣接して該層を挿入することができる。また、陽極と、発光層の陽極側に隣接する励起子阻止層との間には、正孔注入層や電子阻止層などを有することができ、陰極と、発光層の陰極側に隣接する励起子阻止層との間には、電子注入層、電子輸送層、正孔阻止層などを有することができる。阻止層を配置する場合、阻止層として用いる材料の励起一重項エネルギーおよび励起三重項エネルギーの少なくともいずれか一方は、発光材料の励起一重項エネルギーおよび励起三重項エネルギーよりも高いことが好ましい。
励起子阻止層とは、発光層内で正孔と電子が再結合することにより生じた励起子が電荷輸送層に拡散することを阻止するための層であり、本層の挿入により励起子を効率的に発光層内に閉じ込めることが可能となり、素子の発光効率を向上させることができる。励起子阻止層は発光層に隣接して陽極側、陰極側のいずれにも挿入することができ、両方同時に挿入することも可能である。すなわち、励起子阻止層を陽極側に有する場合、正孔輸送層と発光層の間に、発光層に隣接して該層を挿入することができ、陰極側に挿入する場合、発光層と陰極との間に、発光層に隣接して該層を挿入することができる。また、陽極と、発光層の陽極側に隣接する励起子阻止層との間には、正孔注入層や電子阻止層などを有することができ、陰極と、発光層の陰極側に隣接する励起子阻止層との間には、電子注入層、電子輸送層、正孔阻止層などを有することができる。阻止層を配置する場合、阻止層として用いる材料の励起一重項エネルギーおよび励起三重項エネルギーの少なくともいずれか一方は、発光材料の励起一重項エネルギーおよび励起三重項エネルギーよりも高いことが好ましい。
(正孔輸送層)
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、正孔輸送層は単層または複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入または輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。使用できる公知の正孔輸送材料としては例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体およびピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物およびスチリルアミン化合物を用いることが好ましく、芳香族第3級アミン化合物を用いることがより好ましい。
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、正孔輸送層は単層または複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入または輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。使用できる公知の正孔輸送材料としては例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体およびピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物およびスチリルアミン化合物を用いることが好ましく、芳香族第3級アミン化合物を用いることがより好ましい。
(電子輸送層)
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、電子輸送層は単層または複数層設けることができる。
電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる場合もある)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよい。使用できる電子輸送層としては例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタンおよびアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、電子輸送層は単層または複数層設けることができる。
電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる場合もある)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよい。使用できる電子輸送層としては例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタンおよびアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
有機エレクトロルミネッセンス素子を作製する際には、一般式(1)で表される化合物を発光層に用いるだけでなく、発光層以外の層にも用いてもよい。その際、発光層に用いる一般式(1)で表される化合物と、発光層以外の層に用いる一般式(1)で表される化合物は、同一であっても異なっていてもよい。例えば、上記の注入層、阻止層、正孔阻止層、電子阻止層、励起子阻止層、正孔輸送層、電子輸送層などにも一般式(1)で表される化合物を用いてもよい。これらの層の製膜方法は特に限定されず、ドライプロセス、ウェットプロセスのどちらで作製してもよい。
以下に、有機エレクトロルミネッセンス素子に用いることができる好ましい材料を具体的に例示する。ただし、本発明において用いることができる材料は、以下の例示化合物によって限定的に解釈されることはない。また、特定の機能を有する材料として例示した化合物であっても、その他の機能を有する材料として転用することも可能である。なお、以下の例示化合物の構造式におけるR、R’、R1〜R10は、各々独立に水素原子または置換基を表す。Xは環骨格を形成する炭素原子または複素原子を表し、nは3〜5の整数を表し、Yは置換基を表し、mは0以上の整数を表す。
まず、発光層のホスト材料としても用いることができる好ましい化合物を挙げる。
次に、正孔注入材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
次に、正孔輸送材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
次に、電子阻止材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
次に、正孔阻止材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
次に、電子輸送材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
次に、電子注入材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
さらに添加可能な材料として好ましい化合物例を挙げる。例えば、安定化材料として添加すること等が考えられる。
上述の方法により作製された有機エレクトロルミネッセンス素子は、得られた素子の陽極と陰極の間に電界を印加することにより発光する。このとき、励起一重項エネルギーによる発光であれば、そのエネルギーレベルに応じた波長の光が、蛍光発光および遅延蛍光発光として確認される。また、励起三重項エネルギーによる発光であれば、そのエネルギーレベルに応じた波長が、りん光として確認される。通常の蛍光は、遅延蛍光発光よりも蛍光寿命が短いため、発光寿命は蛍光と遅延蛍光で区別できる。
一方、りん光については、本発明の化合物のような通常の有機化合物では、励起三重項エネルギーは不安定で熱等に変換され、寿命が短く直ちに失活するため、室温では殆ど観測できない。通常の有機化合物の励起三重項エネルギーを測定するためには、極低温の条件での発光を観測することにより測定可能である。
一方、りん光については、本発明の化合物のような通常の有機化合物では、励起三重項エネルギーは不安定で熱等に変換され、寿命が短く直ちに失活するため、室温では殆ど観測できない。通常の有機化合物の励起三重項エネルギーを測定するためには、極低温の条件での発光を観測することにより測定可能である。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、単一の素子、アレイ状に配置された構造からなる素子、陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構造のいずれにおいても適用することができる。本発明によれば、発光層に一般式(1)で表される化合物を含有させることにより、発光効率が大きく改善された有機発光素子が得られる。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子などの有機発光素子は、さらに様々な用途へ応用することが可能である。例えば、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いて、有機エレクトロルミネッセンス表示装置を製造することが可能であり、詳細については、時任静士、安達千波矢、村田英幸共著「有機ELディスプレイ」(オーム社)を参照することができる。また、特に本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、需要が大きい有機エレクトロルミネッセンス照明やバックライトに応用することもできる。
以下に合成例および実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下に示す材料、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(合成例1)化合物1の合成
窒素置換したな二つ口フラスコに、4−ブロモベンゾイルクロリド(68.4mmol,15.0g)、ヒドラジンモノハイドレート(34.2mmol,1.10g)、クロロホルム240mlを加え、氷浴に浸け冷却(0−5℃)し30分間攪拌した。そこにトリエチルアミン(136.8mmol,13.8g)を滴下した後、30分間攪拌し、更に室温で12時間攪拌した。析出した白色固体を吸引濾過により収集し、水で洗浄した後に真空乾燥することにより目的物であるN,N’−ビス(4−ブロモベンゾイル)−ヒドラジンを得た(収量:9.34g,収率:68.6%)。
1H−NMR(CDCl3,300MHz,TMS,δ):5.99(d,4H),6.61(t,4H),6.68(m,8H),7.57(d,4H),8.39(d,4H)
MALDI−MS m/z:584
(合成例2)化合物2の合成
窒素置換したな二つ口フラスコに、N,N’−ビス(4−ブロモベンゾイル)−ヒドラジン(3.52mmol,1.40g)、塩化ホスホリル(308.0mmol,47.2g)を加え、12時間加熱・還流した。反応溶液を室温まで放冷した後、水150mlをゆっくり加えると白色固体が析出した。炭酸ナトリウムを加え中和し、吸引濾過により析出固体を収集した。水で洗浄した後、真空乾燥することにより目的物である2,5−ビス(4−ブロモフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールを得た(収量:1.14g,収率:85.2%)。
1H−NMR(CDCl3,300MHz,TMS,δ):5.99(d,4H),6.61(t,4H),6.68(m,8H),7.57(d,4H),8.39(d,4H)
MALDI−MS m/z:584
(合成例3)化合物3の合成
窒素置換したな二つ口フラスコに、N,N’−ビス(4−ブロモベンゾイル)−ヒドラジン(4.00mmol,1.59g)、五硫化二リン(16.0mmol,3.56g)、ピリジン100mlを加え、4日間加熱・還流した。室温まで放冷した後、溶媒を留去し、塩化メチレンを加え、氷浴で冷却すると白色固体が析出した。吸引濾過により析出固体を収集し、濾液を再度冷却し、再結晶化を繰り返した。得られた固体を真空乾燥することにより目的物である2,5−ビス(4−ブロモフェニル)−1,3,4−チアジアゾールを得た(収量:1.18g,収率:74.6%)。
1H−NMR(CDCl3,300MHz,TMS,δ):6.01(d,4H),6.61(t,4H),6.68(m,8H),7.53(d,4H),8.27(d,4H)
MALDI−MS m/z:601
(合成例4)化合物4の合成
窒素置換した二つ口フラスコに、2,5−ビス(4−ブロモフェニル)−1,3,4−チアジアゾール(1.26mmol,500mg)、3−ジフェニルアミノカルバゾール(2.77mmol,926.3mg)、炭酸カリウム(8.31mmol,1.15g)、トルエン20mlを加え、室温下10分間攪拌した。そこに酢酸パラジウム(II)(0.08mmol,19.0mg)、トリ−tert−ブチルホスフィン(0.31mmol,62.0mg)、トルエン20mlの混合溶液を加え、24時間加熱・還流した。室温まで放冷した後、クロロホルムと食塩水を加え、有機層を分液・抽出した。無水硫酸マグネシウムを加え脱水し、溶媒を留去した。クロロホルムを用い、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより目的物である化合物4(2,5−ビス(4−N−(3−ジフェニルアミノカルバゾイル)フェニル)−1,3,4−チアジアゾール)を単離・精製した(収量:654.8mg,収率:57.5%)。
1H−NMR(CDCl3,300MHz,TMS,δ):6.96(t,4H),7.12(d,8H),7.23(d,8H),7.27(m,4H),7.44(m,4H),7.51(d,2H),7.78(d,4H),7.94(s,2H),8.01(d,2H),8.29(d,4H)
MALDI−MS m/z:903
1H−NMR(CDCl3,300MHz,TMS,δ):6.96(t,4H),7.12(d,8H),7.23(d,8H),7.27(m,4H),7.44(m,4H),7.51(d,2H),7.78(d,4H),7.94(s,2H),8.01(d,2H),8.29(d,4H)
MALDI−MS m/z:903
(実施例1) 有機フォトルミネッセンス素子の作製と評価(溶液)
合成例1で合成した化合物1のトルエン溶液(濃度10-4mol/L)を調製して、窒素をバブリングしながら300Kで紫外光を照射したところ、図2に示すようにピーク波長が462nmの蛍光が観測された。また、窒素バブル後に小型蛍光寿命測定装置(浜松ホトニクス(株)製Quantaurus−tau)による測定を行って、図3に示す時間分解スペクトルを得た(τ1=3.26μs、τ2=31.00μs)。化合物1のトルエン溶液中でのフォトルミネッセンス量子効率を絶対PL量子収率測定装置(浜松ホトニクス(株)製Quantaurus−QY)により300Kで測定したところ、窒素バブル後で15.2%であった。
同様にして、化合物1のかわりに合成例2で合成した化合物2を用いてトルエン溶液の作製と評価を行った。図4に発光スペクトルを示し、図5に窒素バブル後の時間分解スペクトルを示す(τ1=0.02μs、τ2=13.3μs)。フォトルミネッセンス量子効率は、窒素バブル後で43.1%であった。
合成例1で合成した化合物1のトルエン溶液(濃度10-4mol/L)を調製して、窒素をバブリングしながら300Kで紫外光を照射したところ、図2に示すようにピーク波長が462nmの蛍光が観測された。また、窒素バブル後に小型蛍光寿命測定装置(浜松ホトニクス(株)製Quantaurus−tau)による測定を行って、図3に示す時間分解スペクトルを得た(τ1=3.26μs、τ2=31.00μs)。化合物1のトルエン溶液中でのフォトルミネッセンス量子効率を絶対PL量子収率測定装置(浜松ホトニクス(株)製Quantaurus−QY)により300Kで測定したところ、窒素バブル後で15.2%であった。
同様にして、化合物1のかわりに合成例2で合成した化合物2を用いてトルエン溶液の作製と評価を行った。図4に発光スペクトルを示し、図5に窒素バブル後の時間分解スペクトルを示す(τ1=0.02μs、τ2=13.3μs)。フォトルミネッセンス量子効率は、窒素バブル後で43.1%であった。
(実施例2) 有機フォトルミネッセンス素子の作製と評価(薄膜)
シリコン基板上に真空蒸着法にて、真空度5.0×10-4Paの条件にて化合物1とDPEPOとを異なる蒸着源から蒸着し、化合物1の濃度が6.0重量%である薄膜を0.3nm/秒にて100nmの厚さで形成して有機フォトルミネッセンス素子とした。実施例1と同じ測定装置を用いて得た発光スペクトルを図6に示す。また、300Kで小型蛍光寿命測定装置(浜松ホトニクス(株)製Quantaurus−tau)による測定を行って、図7に示す時間分解スペクトルを得た。温度低下に伴って遅延蛍光成分が減少する熱活性型の遅延蛍光であることが確認された。フォトルミネッセンス量子効率は窒素流通下で300Kにて42.6%であった。
化合物1のかわりに化合物2を用いて有機フォトルミネッセンス素子を作製して、同様に評価を行った。図8に発光スペクトルを示し、図9に時間分解スペクトルを示す。温度低下に伴って遅延蛍光成分が減少する熱活性型の遅延蛍光であることが確認された。フォトルミネッセンス量子効率は窒素流通下で300Kにて83.8%であった。
シリコン基板上に真空蒸着法にて、真空度5.0×10-4Paの条件にて化合物1とDPEPOとを異なる蒸着源から蒸着し、化合物1の濃度が6.0重量%である薄膜を0.3nm/秒にて100nmの厚さで形成して有機フォトルミネッセンス素子とした。実施例1と同じ測定装置を用いて得た発光スペクトルを図6に示す。また、300Kで小型蛍光寿命測定装置(浜松ホトニクス(株)製Quantaurus−tau)による測定を行って、図7に示す時間分解スペクトルを得た。温度低下に伴って遅延蛍光成分が減少する熱活性型の遅延蛍光であることが確認された。フォトルミネッセンス量子効率は窒素流通下で300Kにて42.6%であった。
化合物1のかわりに化合物2を用いて有機フォトルミネッセンス素子を作製して、同様に評価を行った。図8に発光スペクトルを示し、図9に時間分解スペクトルを示す。温度低下に伴って遅延蛍光成分が減少する熱活性型の遅延蛍光であることが確認された。フォトルミネッセンス量子効率は窒素流通下で300Kにて83.8%であった。
(実施例3) 有機エレクトロルミネッセンス素子の作製と評価
膜厚100nmのインジウム・スズ酸化物(ITO)からなる陽極が形成されたガラス基板上に、各薄膜を真空蒸着法にて、真空度5.0×10-4Paで積層した。まず、ITO上にα−NPDを30nmの厚さに形成し、その上にmCPを10nmの厚さに形成した。次に、化合物1とDPEPOを異なる蒸着源から共蒸着し、15nmの厚さの層を形成して発光層とした。この時、化合物1の濃度は6.0重量%とした。次に、DPEPOを10nmの厚さに形成し、TPBiを40nmの厚さに形成し、さらにフッ化リチウム(LiF)を0.8nm真空蒸着し、次いでアルミニウム(Al)を100nmの厚さに蒸着することにより陰極を形成し、有機エレクトロルミネッセンス素子とした。
製造した有機エレクトロルミネッセンス素子を、半導体パラメータ・アナライザ(アジレント・テクノロジー社製:E5273A)、光パワーメータ測定装置(ニューポート社製:1930C)、および光学分光器(オーシャンオプティクス社製:USB2000)を用いて測定したところ、図10に示すように456nmの発光が認められた。電圧−電流密度特性を図11に示し、電流密度−外部量子効率特性を図12に示す。化合物1を発光材料として用いた有機エレクトロルミネッセンス素子は8.66%の高い外部量子効率を達成した。
化合物1のかわりに化合物2を用いて同様にして有機エレクトロミネッセンス素子を作製した。ただし、TPBiを65nmの厚さに形成した。作製した有機エレクトロミネッセンス素子の発光スペクトルを図13に示し、電圧−電流密度特性を図14に示し、電流密度−外部量子効率特性を図15に示す。化合物2を発光材料として用いた有機エレクトロルミネッセンス素子は14.87%の高い外部量子効率を達成した。
膜厚100nmのインジウム・スズ酸化物(ITO)からなる陽極が形成されたガラス基板上に、各薄膜を真空蒸着法にて、真空度5.0×10-4Paで積層した。まず、ITO上にα−NPDを30nmの厚さに形成し、その上にmCPを10nmの厚さに形成した。次に、化合物1とDPEPOを異なる蒸着源から共蒸着し、15nmの厚さの層を形成して発光層とした。この時、化合物1の濃度は6.0重量%とした。次に、DPEPOを10nmの厚さに形成し、TPBiを40nmの厚さに形成し、さらにフッ化リチウム(LiF)を0.8nm真空蒸着し、次いでアルミニウム(Al)を100nmの厚さに蒸着することにより陰極を形成し、有機エレクトロルミネッセンス素子とした。
製造した有機エレクトロルミネッセンス素子を、半導体パラメータ・アナライザ(アジレント・テクノロジー社製:E5273A)、光パワーメータ測定装置(ニューポート社製:1930C)、および光学分光器(オーシャンオプティクス社製:USB2000)を用いて測定したところ、図10に示すように456nmの発光が認められた。電圧−電流密度特性を図11に示し、電流密度−外部量子効率特性を図12に示す。化合物1を発光材料として用いた有機エレクトロルミネッセンス素子は8.66%の高い外部量子効率を達成した。
化合物1のかわりに化合物2を用いて同様にして有機エレクトロミネッセンス素子を作製した。ただし、TPBiを65nmの厚さに形成した。作製した有機エレクトロミネッセンス素子の発光スペクトルを図13に示し、電圧−電流密度特性を図14に示し、電流密度−外部量子効率特性を図15に示す。化合物2を発光材料として用いた有機エレクトロルミネッセンス素子は14.87%の高い外部量子効率を達成した。
本発明の化合物は発光材料として有用である。このため本発明の化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子などの有機発光素子用の発光材料として効果的に用いられる。本発明の化合物の中には、遅延蛍光が放射するものも含まれているため、発光効率が高い有機発光素子を提供することも可能である。このため、本発明は産業上の利用可能性が高い。
1 基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 電子輸送層
7 陰極
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 電子輸送層
7 陰極
Claims (15)
- 下記一般式(1)で表される化合物。
一般式(1)
(D)n−A
[一般式(1)において、Dは下記一般式(2)で表される基であり、Aは下記一般式(3)で表される構造を含むn価の基を表す。nは1〜8のいずれかの整数を表す。]
- 一般式(1)のnが1〜4のいずれかの整数であることを特徴とする請求項1または2に記載の化合物。
- 一般式(5)で表されることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
- 一般式(5)のZ1およびZ2が各々独立にO、Sまたは単結合であることを特徴とする請求項4に記載の化合物。
- 一般式(5)のYがOまたはN−Ar3であることを特徴とする請求項4または5に記載の化合物。
- 一般式(6)で表されることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
- 下記一般式(7)で表されることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
- 一般式(7)のZ1とZ2が同一であり、Ar1"とAr2"が同一であり、R1とR11が同一であり、R2とR12が同一であり、R3とR13が同一であり、R4とR14が同一であり、R5とR15が同一であり、R6とR16が同一であり、R7とR17が同一であり、R8とR18が同一であることを特徴とする請求項8に記載の化合物。
- 一般式(7)のZ1とZ2が各々独立にOまたはSであることを特徴とする請求項8または9に記載の化合物。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物からなる発光材料。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物からなる遅延蛍光体。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物を発光材料として含む発光層を基板上に有することを特徴とする有機発光素子。
- 遅延蛍光を放射することを特徴とする請求項13に記載の有機発光素子。
- 有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする請求項13または14に記載の有機発光素子。
Priority Applications (3)
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---|---|---|---|
JP2013024977A JP2016084284A (ja) | 2013-02-12 | 2013-02-12 | 化合物、発光材料および有機発光素子 |
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JP (1) | JP2016084284A (ja) |
-
2013
- 2013-02-12 JP JP2013024977A patent/JP2016084284A/ja active Pending
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