<第1実施形態>
以下、眼科撮影装置の第1実施形態についての概要を図面に基づいて説明する。第1実施形態の眼科撮影装置(図1参照)1は、例えば、正面撮影光学系(例えば、撮影光学系30)と、OCT光学系(例えば、OCT光学系200)と、制御部(例えば、制御部70)と、を主に備える(図2参照)。正面撮影光学系は、例えば、第1フォーカス用光学部材(例えば、フォーカシングレンズ32)と、受光素子(例えば、撮像素子35、観察用撮像素子38)を備える。第1フォーカス用光学部材は、例えば、第1駆動部(例えば、駆動部49)によって光軸方向に移動される。受光素子は、例えば、第1フォーカス用光学部材を介して眼底からの反射光を受光する。正面撮影光学系は、例えば、受光素子からの出力信号に基づいて被検眼眼底の正面画像を取得する。
OCT光学系は、例えば、第2フォーカス用光学部材(例えば、フォーカシングレンズ124)と、測定光路と、参照光路と、検出器(例えば、検出器120)を備える。第2フォーカス用光学部材は、例えば、第2駆動部(例えば、駆動部124a)によって光軸方向に移動される。測定光路は、第2フォーカス用光学部材を備え被検眼眼底に測定光を導く。参照光路は、例えば、参照光を生成する。検出器は、測定光路を介して被検眼に導かれた測定光と参照光路からの参照との干渉信号を含む検出信号を検出する。OCT光学系は、検出器からの出力信号に基づいて被検眼眼底の断層画像を取得する。
制御部は、例えば、第1オートフォーカス制御と、第2オートフォーカス制御とを実行可能である。第1オートフォーカス制御において、制御部は、例えば、第1の合焦位置情報を受光素子から出力される受光信号に基づいて取得する。第1の合焦位置情報は、例えば、正面撮像光学系の眼底に対する合焦位置情報である。そして、制御部は、第1の合焦位置情報から求められた第1フォーカス用光学部材及び第2フォーカス用光学部材を合焦位置に移動させる。なお、制御部は、第1フォーカス用光学部材の合焦位置及び第2フォーカス用光学部材の合焦位置をそれぞれ第1の合焦位置情報から求めてもよい。
第2オートフォーカス制御において、制御部は、例えば、第2の合焦位置情報を検出器からの出力信号に基づいて取得する。第2の合焦位置情報は、例えば、OCT光学系の眼底に対する合焦位置である。そして、制御部は、第2フォーカス用光学部材を合焦位置に移動させる。
なお、制御部は、判定部(例えば、制御部70と兼用でもよい)を備える。判定部は、例えば、第1オートフォーカス制御の成否を判定する。制御部は、例えば、先に第1オートフォーカス制御を実行するとともに、判定部の検定結果に応じて第2オートフォーカス制御を実行してもよい。
このように、正面撮影光学系を利用することでOCT光学系の合焦調整をスムーズに行うことができる上、フォーカスが失敗した場合にはOCT光学系の出力信号を用いることで確実なフォーカス調整が行える。
なお、判定部によって第1オートフォーカス制御が成功と判定された場合、第2オートフォーカス制御を実行せず、第1オートフォーカスが失敗と判定された場合、第2オートフォーカス制御を実行してもよい。
なお、第2オートフォーカス制御において、制御部は、第2フォーカス用光学部材を複数の位置に移動させ、各位置での受光信号に基づいて第2の合焦位置情報を取得してもよい。
なお、正面撮像光学系は、例えば、IR撮像系(赤外撮像光学系)、SLO撮像系(走査型レーザ検眼鏡など)であってもよい。
なお、正面撮像光学系には、被検眼眼底にフォーカス指標を投影するための指標投影光学系が設けられてもよい。この場合、制御部は、第1オートフォーカス制御において、受光素子によって受光されたフォーカス指標に基づいて第1の合焦位置情報を取得してもよい。
なお、制御部は、例えば、正面撮像光学系によって撮影された正面画像に基づいて、第1の合焦位置情報を取得してもよい。この場合、正面撮像光学系に対する被検眼の合焦状態を検出するための評価値を正面画像に基づいて算出し、その評価値から第1フォーカス用光学部材及び第2フォーカス用光学部材の合焦位置を求めてもよい。なお、評価値とは、ヒストグラム、ピーク位置、輝度分布等の少なくともいずれかであってもよい(例えば、特開2009−291252号公報参照)。
なお、制御部は、検出器から出力される受光信号を評価する場合、例えば、断層画像または干渉信号等の少なくともいずれかに基づいて、第2の合焦位置情報を取得してもよい。この場合、OCT光学系に対する被検眼の合焦状態を検出するための評価値を断層画像または干渉信号の少なくともいずれかに基づいて算出し、その評価値から第2フォーカス用光学部材の合焦位置を求めてもよい。なお、評価値とは、ヒストグラム、ピーク位置、輝度分布等の少なくともいずれかであってもよい(例えば、特開2009−291252号公報、特開2012−213489号公報参照)。
なお、制御部は、判定部の判定結果に応じて、例えば、第2オートフォーカス制御を実行するか否かを制御してもよい。さらに、制御部は、判定部によって第1オートフォーカス制御が成功したと判定された場合には微調整のみを行い、失敗したと判定された場合にはOCT信号を用いた粗調整から行ってもよい。
なお、制御部は、判定部の判定結果において、成功と判定された場合、第2オートフォーカス制御を実行せず、失敗と判定された場合、第2オートフォーカス制御を実行してもよい。これによって、成功と判定された場合は、第2オートフォーカス制御をスキップできるので時間を短縮できる。一方、失敗と判定された場合は、第2オートフォーカス制御を実行できるので確実なフォーカスを行うことができる。
なお、正面撮像光学系には、被検眼眼底にフォーカス指標を投影するための指標投影光学系(例えば、フォーカス指標投影光学系40)が設けられてもよい。この場合、制御部は、第1オートフォーカス制御において、受光素子によって受光されたフォーカス指標に基づいて第1の合焦位置情報を取得してもよい。これによって、フォーカス指標によるフォーカス検出によって第1オートフォーカス制御を短時間で行うことができる。
なお、判定部は、フォーカス指標の位置が検出できた場合、第1オートフォーカス制御が成功と判定してもよい。さらに、判定部は、フォーカス指標の位置が検出できなかった場合、第1オートフォーカス制御が失敗であると判定してもよい。
なお、制御部は、第2オートフォーカス制御において、さらに、第1フォーカス用光学部材を合焦位置に移動させてもよい。これによって、正面撮影光学系からの信号を用いて正面撮影光学系のフォーカスを調整すると共に、フォーカス失敗の場合は、OCT光学系の検出器からの干渉信号を用いて正面撮影光学系のフォーカスを行うことができる。
さらに、眼科撮影装置は、例えば、指示受付部(例えば、操作部74)を備えてもよい。指示受付部は、例えば、第1フォーカス用光学部材を光軸方向に移動させるための検者からの指示を受け付ける。この場合、制御部は、指示受付手部からの指示信号に基づいて第1駆動部を第2駆動部とは独立して駆動させてもよい。これによって、第1のオートフォーカス制御が失敗した場合、第1フォーカス用光学部材の位置を独立してマニュアル調整できるので、確実なフォーカス調整が行える。
なお、眼科撮影装置は、例えば、光路長調整用光学部材(例えば、参照ミラー131)を備えてもよい。光路長調整用光学部材は、例えば、測定光と参照光との光路長差を調整するために測定光路又は参照光路に配置される。さらに、光路長調整用光学部材は、例えば、第3駆動部(例えば、駆動部150)によって移動される。この場合、制御部は、第1オートフォーカス制御または第2オートフォーカス制御によって第2フォーカス用光学部材を移動させる前において、被検眼眼底の断層画像が取得される光路長調整用光学部材の位置を、検出器からの出力信号に基づいて探索してもよい。
なお、制御部は、例えば、第2オートフォーカス制御によって第2フォーカス用光学部材が合焦位置に移動された後、光路長調整用光学部材の位置を、検出器からの出力信号に基づいて再調整してもよい。
なお、制御部は、第1の合焦位置情報と第2の合焦位置情報とをそれぞれ独立して表示部に表示してもよい。
<第2実施形態>
以下、眼科撮影装置の第2実施形態についての概要を説明する。第2実施形態の眼科撮影装置(図1参照)1は、例えば、正面撮影光学系(例えば、撮影光学系30)と、OCT光学系(例えば、OCT光学系200)と、制御部(例えば、制御部70)を主に備える。正面撮影光学系およびOCT光学系は、第1実施形態と同様の構成が利用できる。制御部は、例えば、第1実施形態で説明した第1オートフォーカス制御と第2オートフォーカス制御とを独立して実行できる。これによって、正面撮影光学系のオートフォーカスとOCT光学系のオートフォーカスが独立して実行されるので、各光学系の最適化をスムーズに行うことができる。
なお、独立制御として、制御部は、第2フォーカス用光学部材の位置制御において、粗調整(第1光路長調整)も含めて、正面撮像光学系の受光素子からの出力信号によらない制御であってもよい。
なお、第2オートフォーカス制御は、検出器からの出力信号に基づいて第2フォーカス用光学部材の粗調整及び微調整を行ってもよい。
なお、制御部は、第1オートフォーカス制御と第2オートフォーカス制御とを並行して実行してもよい。これによって、各光学部材をスムーズに合焦位置に移動させることができる。
なお、制御部は、第2オートフォーカス制御において、検出器からの出力信号に基づいて第2フォーカス用光学部材の粗調整及び微調整を行ってもよい。
なお、正面撮像光学系には、被検眼眼底にフォーカス指標を投影するための指標投影光学系が設けられてもよい。この場合、制御部は、第1オートフォーカス制御において、受光素子によって受光されたフォーカス指標に基づいて第1の合焦位置情報を取得してもよい。
なお、眼科撮影装置は、指示受付部(例えば、操作部74)を備えてもよい。指示受付部は、例えば、第1フォーカス用光学部材及び第2フォーカス用光学部材を光軸方向に移動させるための検者からの指示を受け付ける。この場合、制御部は、指示受付部からの指示信号に基づいて第1駆動部(例えば、駆動部49)及び第2駆動部(例えば、駆動部124a)を連動して駆動させてもよい。これによって、第1オートフォーカス制御及び第2オートフォーカス制御によって各光学部材が合焦位置への移動がされた後、手動調整においては、各光学部材が連動して移動されることによってフォーカスの微調整をスムーズに行うことができる。
なお、制御部は、指示受付部からの指示信号に基づいて第1駆動部及び前記第2駆動部を独立して駆動させてもよい。
なお、制御部は、連動制御と、独立制御を切り換えてもよい。連動制御は、例えば、指示受付部からの指示信号に基づいて第1駆動部及び第2駆動部を連動して駆動させる制御である。独立制御は、例えば、指示受付部からの指示信号に基づいて第1駆動部及び第2駆動部を独立して駆動させる制御である。連動制御と独立制御を切り換えることによって、手動による独立制御と手動による連動制御とを場合に応じて使い分けることができる。
なお、制御部は、判定部(例えば、制御部70と兼用されてもよい)を備えてもよい。判定部は、第1オートフォーカス制御の成否を判定してもよい。この場合、制御部は、第1オートフォーカス制御が失敗と判定された場合、第2の合焦位置情報に基づいて第1フォーカス用光学部材を合焦位置に移動させてもよい。これによって、第1オートフォーカス制御が失敗であっても、OCT信号を用いることで確実なフォーカス調整ができる。
なお、判定部は、第2オートフォーカス制御の成否を判定してもよい。この場合、第2オートフォーカス制御が失敗と判定された場合、第1の合焦位置情報に基づいて第2フォーカス用光学部材を合焦位置に移動させてもよい。これによって、第2オートフォーカス制御が失敗であっても、正面撮影光学系の出力信号を用いることで確実なフォーカス調整が行える。
<実施例>
以下、本発明に係る実施例を図面に基づいて説明する。図1〜図10は本実施例に係る眼科撮影装置の構成について説明する図である。なお、本実施例においては、被検者眼(眼E)の軸方向をZ方向、水平方向をX方向、鉛直方向をY方向として説明する。眼底の表面方向をXY方向として考えてもよい。
本実施例の眼科撮影装置1は、図1に示すように、例えば、基台4と、撮影部3と、顔支持ユニット5と、操作部74と、を主に備える。撮影部3は、後述する光学系を収納してもよい。撮影部3は、被検眼Eに対して3次元方向(XYZ)に移動可能に設けられてもよい。顔支持ユニット5は、被検者の顔を支持するために基台4に固設されてもよい。
撮影部3は、XYZ駆動部6により、眼Eに対して左右方向、上下方向(Y方向)及び前後方向に相対的に移動されてもよい。
ジョイスティック74aは、眼Eに対して撮影部3を移動させるために検者によって操作される操作部材として用いられる。もちろん、ジョイスティック74aに限定されず、他の操作部材(例えば、タッチパネル、トラックボール等)であってもよい。
例えば、操作部は、検者からの操作信号を一旦、制御部70に送信する。この場合、制御部70は、後述するパーソナル・コンピュータ90に操作信号を送ってもよい。例えば、パーソナル・コンピュータ90は、操作信号に応じた制御信号を制御部70に送る。そして、例えば、制御部70は、制御信号を受け取ると、制御信号に基づいて各種制御を行ってもよい。
例えば、ジョイスティック74aの操作によって、移動台2が被検眼に対して移動される。また、回転ノブ74bを回転操作することにより、XYZ駆動部6が駆動し撮影部3がY方向に移動される。
なお、撮影部3には、例えば、表示部75が設けられても良い(例えば、検者側)。表示部75は、例えば、眼底観察像、眼底撮影像、及び前眼部観察像等を表示してもよい。なお、表示部75は、操作部74と兼用されるタッチパネルを備えてもよい。
なお、本実施例の装置本体部1は、パーソナル・コンピュータ(以下、PC)90と接続されている。PC90には、例えば、表示部95、操作部(キーボード、マウス等)96、制御部70等が接続されてもよい。
<光学系>
図2に示すように、本実施例の光学系は、照明光学系10、撮影光学系(正面撮影光学系)30、干渉光学系(以下、OCT光学系ともいう)200を主に備える。撮影光学系30は、眼底を可視光によって撮影(例えば、無散瞳状態)することによって赤外眼底画像、カラー眼底画像等を得るための眼底カメラ光学系として用いられる。OCT光学系200は、被検眼眼底の断層画像を光干渉の技術を用いて非侵襲で得る。さらに、光学系は、フォーカス指標投影光学系40、アライメント指標投影光学系50、前眼部観察光学系60を備えてもよい。
<照明光学系>
照明光学系10は、例えば、観察照明光学系と撮影照明光学系を有する。撮影照明光学系は、光源14、コンデンサレンズ15、リングスリット17、リレーレンズ18、ミラー19、黒点板20、リレーレンズ21、孔あきミラー22、対物レンズ25を主に備える。撮影光源14は、フラッシュランプ等であってもよい。黒点板20は、中心部に黒点を有する。
また、観察照明光学系は、光源11、赤外フィルタ12、コンデンサレンズ13、ダイクロイックミラー16、リングスリット17から対物レンズ25までの光学系を主に備える。光源11は、例えば、ハロゲンランプ等であってもよい。赤外フィルタ12は、例えば、波長750nm以上の近赤外光を透過する。ダイクロックミラー16は、例えば、コンデンサレンズ13とリングスリット17との間に配置される。また、ダイクロイックミラー16は、例えば、光源11からの光を反射し撮影光源14からの光を透過する特性を持つ。
<撮影光学系>
撮影光学系(正面撮影光学系)30は、例えば、対物レンズ25、撮影絞り31、フォーカシングレンズ32、結像レンズ33、撮像素子35が主に配置されている。撮影絞り31は、孔あきミラー22の開口近傍に位置する。フォーカシングレンズ32は、光軸方向に移動可能である。撮像素子35は、例えば、可視域に感度を有する撮影に利用可能である。撮影絞り31は、例えば、対物レンズ25に関して被検眼Eの瞳孔と略共役な位置に配置されている。フォーカシングレンズ32は、例えば、モータを備える移動機構49により光軸方向に移動される。
また、結像レンズ33と撮像素子35の間には、赤外光及び可視光の一部を反射し、可視光の大部分を透過する特性を有するダイクロイックミラー37が配置される。ダイクロイックミラー37の反射方向には、赤外域に感度を有する観察用撮像素子38が配置されている。なお、ダイクロイックミラー37の代わりに、跳ね上げミラーが用いられても良い。跳ね上げミラーは、例えば、眼底観察時に光路に挿入され、眼底撮影時に光路から退避される。
なお、対物レンズ25と孔あきミラー22の間には、例えば、光路分岐部材としての挿脱可能なダイクロイックミラー(波長選択性ミラー)24が斜設されている。ダイクロイックミラー24は、例えば、OCT測定光の波長光、及びアライメント指標投影光学系50及び前眼部照明光源58の波長光(中心波長940nm)を反射する。
また、ダイクロイックミラー24は、例えば、眼底観察用照明の波長光の光源波長(中心波長880nm)を含む波長900nm以下を透過する特性を有する。撮影光学系30によって撮影を行うときには、ダイクロイックミラー24は挿脱機構66により連動して跳ね上げられ、光路外に退避する。挿脱機構66は、ソレノイドとカム等により構成することができる。
また、ダイクロイックミラー24の撮像素子35側には、挿脱機構66の駆動により光路補正ガラス28が跳ね上げ可能に配置されている。光路挿入時には、光路補正ガラス28は、ダイクロイックミラー24によってシフトされた光軸L1の位置を補正する役割を持つ。
観察用の光源11を発した光束は、赤外フィルタ12により赤外光束とされ、コンデンサレンズ13、ダイクロイックミラー16により反射されてリングスリット17を照明する。そして、リングスリット17を透過した光は、リレーレンズ18、ミラー19、黒点板20、リレーレンズ21を経て孔あきミラー22に達する。孔あきミラー22で反射された光は、補正ガラス28、ダイクロイックミラー24を透過し、対物レンズ25により被検眼Eの瞳孔付近で一旦収束した後、拡散して被検眼眼底部を照明する。
眼底からの反射光は、対物レンズ25、ダイクロイックミラー24、補正ガラス28、孔あきミラー22の開口部、撮影絞り31、フォーカシングレンズ32、結像レンズ33、ダイクロイックミラー37、を介して撮像素子38に結像する。なお、撮像素子38の出力は制御部70に入力され、制御部70は、撮像素子38によって撮像される被検眼の眼底観察画像を表示部75に表示する(図3参照)。
また、撮影光源14から発した光束は、コンデンサレンズ15を介して、ダイクロイックミラー16を透過する。その後、眼底観察用の照明光と同様の光路を経て、眼底は可視光により照明される。そして、眼底からの反射光は対物レンズ25、孔あきミラー22の開口部、撮影絞り31、フォーカシングレンズ32、結像レンズ33を経て、撮像素子35に結像する。
<フォーカス指標投影光学系>
フォーカス指標投影光学系40は、赤外光源41、スリット指標板42、2つの偏角プリズム43、投影レンズ47、照明光学系10の光路に斜設されたスポットミラー44を主に備える。2つの偏角プリズム43は、スリット視標板42に取り付けられる。スポットミラー44は、照明光学系10の光路に斜設される。また、スポットミラー44はレバー45の先端に固着されている。スポットミラー44は、通常は光軸に斜設されるが、撮影前の所定のタイミングで、ロータリソレノイド46の軸の回転により、光路外に退避させられる。
なお、スポットミラー44は被検眼Eの眼底と共役な位置に配置される。光源41、スリット指標板42、偏角プリズム43、投影レンズ47、スポットミラー44及びレバー45は、フォーカシングレンズ32と連動して移動機構49により光軸方向に移動される。また、フォーカス指標投影光学系40のスリット指標板42の光束は、偏角プリズム43及び投影レンズ47を介してスポットミラー44により反射された後、リレーレンズ21、孔あきミラー22、ダイクロイックミラー24、対物レンズ25を経て被検眼Eの眼底に投影される。眼底へのフォーカスが合っていないとき、フォーカス指標像(以下、指標像と略す場合がある)S1・S2は、ずれ方向及びずれ量に応じて分離された状態で眼底上に投影される(図3(a)参照)。一方、フォーカスが合っているときには、指標像S1・S2は、合致した状態で眼底上に投影される(図3(b)参照)。そして、指標像S1・S2は、撮像素子38によって眼底像と共に撮像される。
<アライメント指標投影光学系>
アライメント指標投影光学系50は、被検眼Eに対して、アライメント用指標光束を投影する。アライメント指標投影光学系50には、図2における左下の点線内の図に示すように、撮影光軸L1を中心として同心円上に45度間隔で赤外光源が複数個配置されている。本実施例における眼科撮影装置は、第1視標投影光学系(0度、及び180)と、第2視標投影光学系と、を主に備える。
第1視標投影光学系は、赤外光源51とコリメーティングレンズ52を持つ。第2視標投影光学系は、第1指標投影光学系とは異なる位置に配置され、6つの赤外光源53を持つ。赤外光源51は、撮影光軸L1を通る垂直平面を挟んで左右対称に配置される。
この場合、第1指標投影光学系は被検眼Eの角膜に無限遠の指標を左右方向から投影する。第2指標投影光学系は被検眼Eの角膜に有限遠の指標を上下方向もしくは斜め方向から投影する構成となっている。なお、図2の本図には、便宜上、第1指標投影光学系(0度、及び180度)と、第2指標投影光学系の一部のみ(45度、135度)が図示されている。
<前眼部観察光学系>
被検眼Eの前眼部を撮像する前眼部観察(撮影)光学系60は、ダイクロイックミラー24の反射側に、ダイクロイックミラー61、絞り63、リレーレンズ64、二次元撮像素子(受光素子:以下、撮像素子65と省略する場合あり)65を主に備える。撮像素子65は、赤外域の感度を持つ。また、撮像素子65はアライメント指標検出用の撮像手段を兼ね、赤外光を発する前眼部照明光源58により照明された前眼部とアライメント指標が撮像される。前眼部照明光源58により照明された前眼部は、対物レンズ25、ダイクロイックミラー24及びダイクロイックミラー61からリレーレンズ64の光学系を介して撮像素子65により受光される。また、アライメント指標投影光学系50が持つ光源から発せられたアライメント光束は被検眼角膜に投影される。その角膜反射像は対物レンズ25〜リレーレンズ64を介して撮像素子65に受光(投影)される。
二次元撮像素子65の出力は制御部70に入力され、図4に示すように表示部75には、二次元撮像素子65によって撮像された前眼部像が表示される。なお、前眼部観察光学系60は、被検眼に対する装置本体のアライメント状態を検出するための検出光学系を兼用する。
<OCT光学系>
図2に戻る。OCT光学系200は、いわゆる眼科用光干渉断層計(OCT:Optical coherence tomography)の装置構成を持ち、眼Eの断層像を撮像する。OCT光学系200は、測定光源102から出射された光をカップラー(光分割器)104によって測定光と参照光に分割する。そして、OCT光学系200は、測定光を眼Eの眼底Efに導き,また、参照光を参照光学系110に導く。測定光は、コリメータレンズ123、フォーカスレンズ124を介し、走査部108に達し、例えば、2つのガルバノミラーの駆動によって反射方向が変えられる。そして、走査部108で反射された測定光は、リレーレンズ109を介して、ダイクロイックミラー24で反射された後、対物レンズ25を介して、被検眼眼底に集光される。その後、眼底Efによって反射された測定光と,参照光との合成による干渉光を検出器(受光素子)120に受光させる。
検出器120は、測定光と参照光との干渉状態を検出する。フーリエドメインOCTの場合では、干渉光のスペクトル強度が検出器120によって検出され、スペクトル強度データに対するフーリエ変換によって所定範囲における深さプロファイル(Aスキャン信号)が取得される。例えば、Spectral-domain OCT(SD−OCT)、Swept-source OCT(SS−OCT)が挙げられる。Spectral-domain OCT(SD−OCT)の場合、例えば、光源102として広帯域光源が用いられ、検出器120として分光器(スペクトロメータ)が用いられる。Swept-source OCTの場合、例えば、光源102として波長可変光源が用いられ、検出器120として単一のフォトダイオードが用いられる(平衡検出を行ってもよい)。また、Time-domain OCT(TD−OCT)であってもよい。
走査部108は、測定光源から発せられた光を被検眼眼底上で走査させる。例えば、走査部108は、眼底上で二次元的(XY方向(横断方向))に測定光を走査させる。走査部108は、瞳孔と略共役な位置に配置される。走査部108は、例えば、2つのガルバノミラーであり、その反射角度が駆動部151によって任意に調整される。
これによって、光源102から出射された光束はその反射(進行)方向が変化され、眼底上で任意の方向に走査される。これによって、眼底Ef上における撮像位置が変更される。走査部108としては、光を偏向させる構成であればよい。例えば、反射ミラー(ガルバノミラー、ポリゴンミラー、レゾナントスキャナ)の他、光の進行(偏向)方向を変化させる音響光学素子(AOM)等が用いられる。
参照光学系110は、眼底Efでの測定光の反射によって取得される反射光と合成される参照光を生成する。参照光学系110は、マイケルソンタイプであってもよいし、マッハツェンダタイプであっても良い。
参照光学系110は、参照光路中の光学部材を移動させることによって、測定光と参照光との光路長差を変更してもよい。例えば、参照ミラーが光軸方向に移動される。光路長差を変更するための構成は、測定光学系の測定光路中に配置されてもよい。
より詳細には、参照光学系110は、例えば、コリメータレンズ129、参照ミラー131、参照ミラー駆動部150を主に備える。参照ミラー駆動部150は、参照光路中に配置され、参照光の光路長を変化させるべく、光軸方向に移動可能な構成になっている。光を参照ミラー131によって反射することにより再度カップラー104に戻し、検出器120に導く。他の例としては、参照光学系110は、透過光学系(例えば、光ファイバー)によって形成され、カップラー104からの光を戻さず透過させることにより検出器120へと導く。
<制御部>
続いて、本実施例の制御系について説明する。本実施例の制御部70には、前眼部観察用の撮像素子65と、赤外眼底観察用の撮像素子38と、表示部75と、操作部74と、各光源と、各種駆動部と、撮像素子35と、PC90とが接続される。なお、煩雑化を避けるため、図2において、撮像素子65、各光源、各種駆動部と、制御部70との接続を示す線は省略する。
制御部70は、撮像素子65によって撮像された前眼部観察画像と、撮像素子38によって撮像された赤外眼底観察画像を本体の表示部75に表示する。
PC90は、プロセッサとしてのCPU、記憶手段としてのメモリ(不揮発性メモリ)等を備える。PC90は、操作部(例えば、マウス、キーボード等)96、表示部95等と接続される。PC90は、眼科撮影装置1を制御するための制御信号を制御部70に送信してもよい。PC90のメモリは、電源の供給が遮断されても記憶内容を保持できる非一過性の記憶媒体である。例えば、ハードディスクドライブ、フラッシュROM、PC90に着脱可能に装着されるUSBメモリ、外部サーバー等がメモリとして使用されうる。メモリには、眼科撮影装置1による正面画像および断層画像の撮影を制御するための撮影制御プログラムが記憶されている。
PC90(より詳しくは、PC90のプロセッサ(例えば、CPU)は、制御部70を介して、検出器120からの受光信号を取得してもよい。そして、PC90は、検出器120からの受光信号を演算処理することによって断層画像を生成してもよい。
例えば、フーリエドメインOCTの場合、PC90は、検出器120から出力される各波長での干渉信号を含むスペクトル信号を処理する。PC90は、スペクトル信号を処理して被検眼の内部情報(例えば、深さ方向に関する被検眼のデータ(深さ情報))を得る。より詳細には、スペクトル信号(スペクトルデータ)は、波数k(=2π/λ)に関して等間隔な関数I(k)に変換される。PC90は、波数k空間でのスペクトル信号をフーリエ変換することにより深さ(Z)領域における信号分布を得る。
<制御動作>
以上のような構成を備える装置において、その制御動作について説明する。ここで、制御部70は、OCT光学系200及び撮影光学系30を駆動制御してOCT画像及び赤外眼底像の各画像を1フレーム毎に取得する。制御部70は、モニタ75を表示制御し、モニタ75上のOCT画像及び赤外眼底像を随時更新する。なお、検者の設定によらない最初のOCT画像の取得位置として、例えば、赤外眼底像の中心位置を基準とした走査位置(例えば、X方向)が設定されている。
図5は、本装置における動作の流れを示すフローチャートである。検者は、図示無き固視標投影ユニットの固視標を注視するように被検者に指示した後、撮像素子65によって撮影される前眼部観察像をモニタ75で見ながら、被検眼の瞳孔中心に測定光軸がくるように、操作部74を用いて、アライメント操作を行う。このようにして被検眼Eに対するアライメントが完了されると、撮影光学系30による被検眼眼底の正面画像(赤外眼底像)が取得されるようになり、表示部75上に赤外眼底像が現れる。
次いで、撮影条件の最適化を行うことによって、OCT光学系200によって、検者が所望する眼底部位が高感度・高解像度で観察できるようにする。なお、本実施例において、OCT光学系200の最適化の制御は、光路長調整、フォーカス調整、偏光状態の調整(ポラライザ調整)、の制御である。
検者は、操作部74に配置された最適化開始スイッチ(Optimizeスイッチ)74cを押す。最適化開始スイッチ74cから操作信号が発せられると、制御部70は、最適化制御を開始するためのトリガ信号を発し、最適化を開始する。
最適化の完了後、検者により、図示無き撮影スイッチが押されると、眼底断層像が撮影され、メモリに記憶される。
<最適化制御>
図6は、本実施例に係る最適化制御の一例について説明する図である。概して、制御部70は、初期化の制御として、参照ミラー131とフォーカシングレンズ124の位置を初期位置に設定する。初期化完了後、制御部70は、設定した初期位置から参照ミラー131を一方向に所定ステップで移動させ、第1光路長調整を行う(第1自動光路長調整)。なお、既に眼底の断層画像が取得できている場合は、初期化、第1光路長調整等を行わなくてもよい。
また、第1光路長調整と並行するように、制御部70は、撮像素子38から出力される受光信号によって取得される赤外眼底像に基づいて被検眼に対する撮影光学系30のフォーカス調整(第1フォーカス調整)を行う。
制御部70は、赤外眼底像に基づく撮影光学系30のフォーカス調整が成功した場合、撮影光学系30のフォーカス情報に基づいてOCT光学系200のフォーカス調整(第2フォーカス調整)を行う。
一方、制御部70は、赤外眼底像に基づく撮影光学系30のフォーカス調整が失敗した場合、検出器120によって検出されたOCT信号に基づいて、被検眼に対するOCT光学系200のフォーカス調整(第3フォーカス調整)を行う。
なお、合焦位置とは、観察画像として許容できる断層画像のコントラストを取得できる位置であればよく、必ずしも、フォーカス状態の最適位置である必要はない。
そして、フォーカス調整完了後、制御部70は、再度、参照ミラー131を光軸方向に移動させ、光路長の再調整(光路長の微調整)をする第2光路長調整を行う。第2光路長調整完了後、制御部70は、参照光の偏光状態を調節するためのポラライザ133を駆動させ、測定光の偏光状態を調整する。
以下に、最適化制御の一例について詳細に説明する。
<評価値>
本実施例において、第1自動光路長調整、ポラライザ調整は、断層画像の信号強度を検出することによって行われる。以下の説明では、信号強度を示す指標として所定の評価値Bが用いられる。
評価値Bは、B=((画像の平均最大輝度値)−(画像の背景領域の平均輝度値))/(背景領域の輝度値の標準偏差)の式より求められる。制御部70は、検出器120からの出力信号に基づく断層画像の輝度分布データを取得する。例えば、図7は、参照ミラー131、フォーカシングレンズ124、ポラライザ133がある所定の位置に配置されている場合の表示部75の画面上に表示された画像を示す図である。
制御部70は、初めに、深さ方向(Aスキャン方向)に走査する複数の走査線を設定し、各走査線上における輝度分布データを求める。図7においては、画像を10分割し、10本の分割線を走査線としている。図8は、画像の深さ方向における輝度分布の変化を示す図である。
ここで、制御部70は、各走査線に対応する輝度分布から輝度値の最大値(以下、最大輝度値と省略する)を算出する。そして、制御部70は、眼底断層像における最大輝度値として、各走査線における最大輝度値の平均値を算出する。そして、制御部70は、眼底断層像における背景領域の平均輝度値として、各走査線における背景領域の輝度値の平均値を算出する。
このようにして、算出された評価値Bは、第1自動光路長調整、ポラライザ調整において利用される。なお、この場合、画像データG1内の断層画像にて、評価値Bを算出することが好ましい。
<初期化>
初めに、制御部70は、初期化の制御を行う。初期化の制御は、参照ミラー131とフォーカシングレンズ124の位置を初期位置(移動開始位置)に移動させる。
そして、初期化の制御が開始されると、制御部70は、例えば、図2に示す移動限界位置K1又は移動限界位置K2のどちらかの位置を参照ミラー131の初期位置として選択する。なお、初期位置の決定は、初期化の制御を開始する以前の参照ミラー131の位置から移動限界位置K1又は移動限界位置K2により近い側の位置が選択される。そして、制御部70は、移動限界位置K1又は移動限界位置K2の初期位置へ参照ミラー131を移動させる。もちろん、異なる基準に基づいて、初期位置に設定するための移動方向の決定を行ってもよい。なお、初期位置(移動開始位置)は、予め入力された眼軸長に基づいて設定されてもよい。
また、制御部70は、フォーカシングレンズ124を初期位置(本実施例においては、0Dに対応する位置)へ移動させる。
制御部70は、参照ミラー131及びフォーカシングレンズ124を初期位置へ移動させると、第1光路長調整及びフォーカス調整を開始する。以下に、各調整の制御動作について説明する。
<第1自動光路長調整(粗調整)>
第1自動光路長調整(自動粗光路長調整)について説明する。制御部70は、駆動機構150の駆動を制御して参照ミラー131を移動させると共に、参照ミラー131の各位置にて検出器120から出力される出力信号に基づいて、眼底断層像が取得される位置に参照ミラー131を移動させる。
具体的には、制御部70は、初期位置にて断層画像を取得した後、初期位置とは逆の移動限界位置に向けて参照ミラー131を移動させる。例えば、参照ミラー131の初期位置として限界位置K1が選択(設定)された場合、限界位置K2に向けて方向へ移動させる。
ここで、制御部70は、参照ミラー131を所定のステップ(例えば、撮影範囲として2mmステップ)で移動させ、各移動位置における断層画像を順次取得していき、眼底断層像が取得される位置を探索していく。
この場合、制御部70は、離散的に設定された参照ミラー131の移動位置において、参照ミラー131が停止される度に断層像を取得する。そして、制御部70は、各位置にて取得される断層画像を解析する。例えば、制御部70は、各位置にて取得される断層像の評価値Bを算出する。そして、制御部70は、参照ミラー131の位置と断層像の評価値Bとを対応付けてメモリに記憶する。
ここで、制御部70は、取得された参照ミラー131の位置ごとにおける評価値Bの算出結果から、評価値Bのピークを検出する。そして、制御部70は、ピークの検出位置に対応する参照ミラー131の位置をメモリに記憶させる。そして、制御部70は、評価値Bのピークに対応する位置へ参照ミラー131を移動させる。
以上のようにして光路長がラフに調整されると、モニタ72上のいずれかの位置に眼底断層像の少なくとも一部が表示された状態となる。
<第1のフォーカス制御>
制御部70は、第1自動光路長調整(自動粗光路長調整)と並行して、合焦位置の検出及び検出結果に基づくレンズ32の移動を行う。制御部70は、フォーカス調整の制御を開始するためのトリガ信号を発し、撮影光学系30のフォーカス調整を開始する。
図3は、撮像素子38で撮像される赤外眼底像の例であり、眼底像の中心にフォーカス視標投影光学系40によるフォーカス指標像S1、S2が投影されている。ここで、フォーカス指標像S1,S2は、フォーカスが合っていないときには分離され(図3(a)参照)、フォーカスが合っているときに一致して投影される(図3(b)参照)。制御部70は、指標像S1,S2を画像処理により検出し、その分離情報を得る。そして、制御部70は、指標像S1,S2の分離情報を基に移動機構49の駆動を制御し、眼底に対するピントが合うようにレンズ32を移動させる。
次に、制御部70は、撮像素子38からの出力信号による撮影光学系30の合焦位置情報に基づいて、OCT光学系200のフォーカシングレンズ124を移動させる。この場合、制御部70は、第1フォーカス制御においてフォーカシングレンズ32の合焦位置への移動が完了した後に、フォーカシングレンズ124の移動を開始してもよい。あるいは、制御部70は、フォーカシングレンズ32の合焦位置への移動が完了する前であって、撮影光学系30の合焦位置情報が検出されたタイミングをトリガとして、フォーカシングレンズ124の移動を開始してもよい。
より詳細には、制御部70は、撮影光学系30の合焦位置情報に基づいてOCT光学系200の合焦位置情報を取得し、フォーカシングレンズ124を合焦位置まで移動させる(OCT画像に対するオートフォーカス)。ここで、制御部70は、例えば、フォーカシングレンズ32の移動位置をOCT光学系200の合焦位置情報として取得し、その合焦位置情報に基づいて駆動機構124aを駆動制御してフォーカシングレンズ124を合焦位置まで移動させる。
例えば、撮影光学系30の合焦位置が−3Dに対応する位置であれば、OCT光学系200のフォーカス位置も同様に−3Dに対応する位置になるように制御する。この場合、OCT光学系200のフォーカス位置を撮影光学系30の合焦位置に対応するフォーカス位置に設定できるように、フォーカシングレンズ32の移動位置とフォーカシングレンズ124の移動位置との間でディオプター換算による対応づけがなされている。なお、制御部70は、フォーカス指標によるフォーカス検出結果(例えば、指標像S1、S2の分離量)を撮影光学系30の合焦位置情報として用い、OCT光学系200のフォーカスを調整してもよい。なお、例えば、撮像光学系30の合焦位置が−3Dに対応する位置であるとき、OCT光学系200の合焦位置は−3Dでなくてもよく、−3Dに補正値を加えた数値に対応する合焦位置であってもよい。
このようにしてOCT光学系200のフォーカシングレンズ124が、第1のフォーカス制御に基づくフォーカス位置に移動されると、ファイバー端部39bに入射される眼底反射光が増加し、より強度の大きい信号が検出される。
<第1フォーカス制御の成否判定>
第1フォーカス制御が終了すると、制御部70は、第1フォーカス制御が成功したか失敗したかどうか判定する。例えば、上記のような指標像S1・S2を用いてフォーカスを行った場合、被検者眼が小瞳孔である場合、眼底周辺位置の撮影(周辺撮影)を行う場合、虹彩等によって撮影光束の一部が遮光される(ケラレる)可能性があり得る。その結果として、眼底に投影される指標像S1・S2の一方が欠けてしまうことで、指標像S1・S2を用いた合焦操作ができなくなってしまう場合がある。また、上記のような指標像S1・S2を用いた場合だけでなく、他の合焦手法を用いた場合でも、被検眼の混濁等によって撮影光学系30の合焦情報が取得できない可能性が考えられる。
制御部70は、例えば、撮影光学系30の眼底に対する合焦情報が、撮像素子38からの撮像信号に基づいて取得できたか否かによって、成功・失敗を判定する。
より詳細には、例えば、制御部70は、画像処理(例えば、指標像S1・S2の輝点解析など)によって指標像S1・S2が検出されなかった場合、又は指標像S1・S2は検出されたが、指標S1・S2が合致状態に到達できなかった場合(例えば、強度近視、強度遠視の場合)、第1のフォーカス制御が失敗であると判定する。
制御部70は、受光信号から指標像S1・S2が検出されず、合焦操作を行うことができなかった場合、撮影光学系のフォーカスが合っていないと判定し、第2のフォーカス制御の処理に進む。
<第1フォーカス制御:失敗>
第1フォーカス制御が失敗と判定された場合、制御部70は、OCT光学系200によって取得される断層画像に基づいてOCT光学系200の合焦位置情報を取得し、フォーカシングレンズ124を合焦位置に移動させる(第2フォーカス制御)。
より具体的には、制御部70は、第1自動光路長調整を経て、受光素子83から出力される出力信号に基づいて、被検者眼眼底に対する合焦位置にフォーカシングレンズ124を移動させる。
例えば、制御部70は、駆動部124aの駆動を制御し、所定の初期位置から所定のステップでレンズ124を移動させる。そして、制御部70は、各移動位置における断層画像を順次取得していき、合焦位置(眼底断層像のフォーカスが合う位置)を探索していく。
例えば、制御部70は、ある移動限界位置に向けて0.5Dずつレンズ124を移動させていき、合焦位置が見つかれなければ、反対方向にレンズ124を移動させる。なお、レンズ124の移動ステップは、これに限定されず、例えば、1Dでもよいし、2Dでもよく、任意に設定される構成でもよい。
合焦位置の探索は、離散的に設定されたフォーカシングレンズ124の移動位置でフォーカシングレンズ124が停止される度に、その位置にて取得される画像を解析する。例えば、制御部70は、各位置にて取得される断層像の評価値Bを算出する。そして、制御部70は、レンズ124の位置と断層像の評価値Bとを対応付けてメモリに記憶する。
ここで、制御部70は、取得されたフォーカシングレンズ124の位置ごとにおける評価値Bの算出結果から、評価値Bのピークを検出する。そして、制御部70は、ピークの検出位置に対応する位置へフォーカシングレンズ124を移動させる。以上のようにして、フォーカス調整が完了される。
次に、制御部70は、駆動機構124aを駆動制御して、前述のように取得されたOCT光学系200の合焦位置に対応する移動位置にフォーカシングレンズ124を移動させることによってOCT眼底像に対するフォーカス調整を終了する。
<第2自動光路長調整(微調整)>
制御部70は、フォーカシングレンズ124が合焦位置に移動されると、第2自動光路長調整を開始する。制御部70は、受光素子83から出力される出力信号に基づいて、第1自動光路長調整によって調整された位置から参照ミラー131の位置を再調整する。
具体的には、フォーカス調整が完了すると、制御部70は、フォーカス調整によって取得された断層画像に基づいて、第2自動光路長調整を行う。
ここで、制御部70は、フォーカス調整後に取得された眼底断層像が実像か虚像かを判定する。例えば、制御部70は、深さ方向での輝度分布におけるピークに対する半値幅が所定の許容幅より小さいとき、眼底像を実像と判定し、半値幅が所定の許容幅が大きいとき、眼底断層像を虚像と判定する。なお、断層像の実虚の判定については、実像と虚像との間の画質の差異が利用される手法であればよく、半値幅の他、例えば、断層像のコントラスト、断層像のエッジの立ち上がり度等が利用される。また、眼底断層像の形状が利用されてもよい。
制御部70は、取得される眼底断層像が虚像と判定された場合、実像が取得される方向(参照光が短くなる方向)に向けて参照ミラー131を移動させる。例えば、制御部70は、光路長一致位置(ゼロディレイ位置)から像検出位置までの偏位量をゼロにする参照ミラー131の移動量を算出し、さらに算出された移動量の2倍分参照ミラー131を移動させる。これにより、実像のみが取得された状態となる。この場合、参照ミラー131が一定量移動されたときの偏位量を予め求めておけばよい。これにより、制御部70は、光路長一致位置から像検出位置までの偏位量が所定の偏位量となるように参照ミラー131を移動させることが可能となり、眼底断層像を所定の表示位置に表示できる。
なお、参照ミラー131を移動させる手段はこれに限定されるものではない。例えば、虚像と判定された場合に、予め、実像が取得される方向(参照光が短くなる方向)に向けて参照ミラー131を移動させる所定のオフセット量を設定してもよい。そして、制御部70は、眼底断層像が虚像と判定された場合、参照ミラー131を所定のオフセット量分移動させてもよい。
また、取得される眼底断層像が実像と判定された場合、制御部70は、実像の位置を判定する。例えば、制御部70は、深さ方向における輝度分布のピークが検出された位置を像位置とみなし、予め設定された光路長調整位置と像位置との変位量を算出し、その変位量がなくなるように参照ミラー131を移動させる(特開2010−12111号公報参照)。
<ポラライザ調整>
制御部70は、第2自動光路長調整後に検出器120から出力される出力信号に基づき、ポラライザ133を駆動させ、偏光状態の調整を行う。
具体的には、制御部70は、ポラライザ133の位置を初期位置より、移動開始位置に移動させる。なお、ポラライザ133の初期位置は、第1移動限界位置から第2移動限界位置までの間の途中の位置に配置されている。なお、ポラライザ調整の際の、ポラライザ133の移動開始位置は、第1移動限界位置又は第2移動限界位置の位置となる。
制御部70は、ポラライザ133を途中位置から第1移動限界位置又は第2移動限界位置のどちらかの移動開始位置を選択し、移動させる。例えば、制御部70は、第1移動限界位置を移動開始位置として選択し、ポラライザ133を移動させる。そして、制御部70は、ポラライザ133を第1移動限界位置から第2移動限界位置方向へ移動させる。なお、移動開始位置が第2移動限界位置の場合には、第1移動限界位置方向へ移動させる。そして、各移動位置におけるモニタ75の画面上の画像を順次取得していき、干渉光が強く受光できる位置(測定光と参照光の偏光状態が合う位置)を探索していく。
偏光状態が合う位置の探索は、離散的に設定されたポラライザ133の移動位置でポラライザ133が停止される度に、その配置位置にて取得される画像を解析し、評価値Bの算出を行う。
制御部70は、移動開始位置とは、逆の移動限界位置まで、5°ずつポラライザ133を移動させていく。なお、本実施形態では、5°ずつポラライザ133を移動させる構成としたが、これに限定されない。例えば、10°でもよいし、20°でもよく、任意に設定できる構成でもよい。
ここで、制御部70は、取得されたポラライザ133の位置ごとにおける評価値Bの算出結果から、ピークとなる評価値B(ピーク値)を検出し、ピーク値が検出された位置に対応する位置へポラライザ133を移動させる。以上のようにして、ポラライザ調整が完了される。
以上のようにして、最適化の制御が完了されることによって、OCT眼底像のフォーカスをスムーズに行うことができる。このため、所望する眼底部位におけるOCT断層画像の撮影を容易に行うことができる。
本実施例において、指標像S1・S2の分離情報に基づくOCT光学系200のフォーカス調整(第2フォーカス調整)は、断層画像の評価に基づくOCT光学系200のフォーカス調整(第3フォーカス調整)に比べて処理が早い。従って、指標像S1・S2が検出できる場合は、指標像S1・S2の分離情報等を用いて撮影光学系30と、OCT光学系200のフォーカスを調整することが好ましい。
なお、疾病眼を撮影する場合などは、指標像S1・S2が検出されない可能性がある。このような場合、本実施例では、OCT光学系200によって撮影された断層画像の評価(例えば、評価値B)によってOCT光学系200のフォーカスを調整する。
したがって、本実施例は、通常時には指標像S1・S2を用いて早い処理でフォーカス調整を行うが、疾病等で指標像S1・S2が検出できないような場合は、断層画像の評価に基づくフォーカス調整に切り換える。これによって、例えば、被検眼が正常眼であるか疾病眼であるかによらず、適した方法でフォーカス調整を行うことができる。
なお、本実施例において、撮影光学系30によって撮影された眼底正面画像の指標S1・S2の分離情報が取得できず、撮影光学系30のフォーカスが調整できなかった場合は、第3フォーカス調整の際に取得された合焦情報を用いて撮影光学系30のフォーカスを調整してもよい。例えば、OCT光学系200によって撮影された断層画像の評価(例えば、評価値B)に基づいて、撮影光学系30のフォーカスを調整してもよい。これによって、正面画像に基づく撮影光学系30のフォーカス調整が行えない場合でも、撮影光学系30のフォーカスを合わせることができる。もちろん、撮影光学系30の調整は検者が手動で行ってもよい。
なお、撮影光学系30の合焦状態を検出する方法は上記の方法に限らない。例えば、眼底像全体の輝度値の累計値を結像状態評価値として用い、輝度値の累計値がピークを示す位置を合焦位置として検出してもよいし、眼底像の画像データを微分処理させたときの輪郭画像に基づいて合焦状態を検出してもよい。微分処理前の赤外眼底画像に基づいて合焦状態を検出するようにしてもよい。この場合、制御部70は、ピークが検出されなかったとき、または評価値が低い(閾値以下など)ときに撮影光学系30のフォーカスが失敗したと判定してもよい。
なお、上記構成においては、フォーカス指標としてスプリット視標を用いたがこれに限定されず、眼底に投影された指標(例えば、リング指標、点指標)を用いて合焦状態が検出するための構造が、フォーカス検出に利用されうる。この場合、スプリット指標と同様に、制御部70は、指標の輝点解析などによって第1のオートフォーカス制御の成否を判定してもよい。
なお、以上の説明において、第1フォーカス調整と第1光路長調整を並行して行うとしたが、これに限らない。例えば、第1フォーカス調整が開始されてから数秒(例えば、0.5秒)経過したときに、第1フォーカス調整が完了していなければ、第1光路長調整を並行して行い、第1フォーカス調整が完了していれば、第1光路調整を開始してもよい。
なお、本実施例において、2回目の撮影、または測定モードを切り換えて再度撮影を行った場合、既に第1フォーカス調整が成功しているときは、制御部70は、初期化、第1フォーカス調整等を行わず、第2フォーカス調整を行ってもよい。また、既に第1フォーカス調整が行われたが失敗した場合は、制御部70は、第3フォーカス調整を実行するようにしてもよい。
<第2実施例>
以下、図面を用いて第2実施例について説明する。第2実施例の眼科撮影装置は、第1実施例とは異なる制御で光学系のフォーカス調整を行う。構成については、第1実施例と同様のため、説明は省略し、各構成については第1実施例と同一の番号を用いる。
<フォーカス制御>
第2実施例のフォーカス制御は、図9に示すように、例えば、撮影光学系30のフォーカスとOCT光学系200のフォーカスをそれぞれ単独で調整する。すなわち、撮影光学系30とOCT光学系200のフォーカスは、互いの合焦位置情報に依存しない。
例えば、制御部70は、撮影光学系30のフォーカスを調整する。制御部70は、前述のように、撮像素子38の信号に基づいて、指標像S1・S2が合致するように、第1フォーカス用光学部材32を駆動部49によって駆動させる。さらに、制御部70は、撮影光学系30のフォーカスとは独立して、OCT光学系のフォーカスを合わせる。例えば、制御部70は、前述のように、検出器120からの出力信号に基づいて、OCT光学系のフォーカスを合わせる。なお、フォーカスを合わせるための基準としては、例えば、断層画像又は干渉信号の評価値が用いられる。
撮影光学系30によって撮影される眼底正面像における合焦位置と、OCT光学系200によって取得される眼底断層像における合焦位置は必ずしも一致しない。このため、眼底正面像によって取得された合焦位置を用いて断層像に対するフォーカス調整を行った場合、フォーカス精度が十分でない可能性がある。
したがって、第2実施例のように撮影光学系30とOCT光学系200のそれぞれで取得された画像を用いて、互いに独立して調整することによって、眼底正面像および断層像の双方のフォーカス調整を適切に行うことができる。
なお、撮影光学系30のフォーカスとOCT光学系のフォーカスは、どちらを先に開始してもよいし、同時に開始してもよい。制御時間の短縮の観点では、撮影光学系のフォーカスとOCT光学系のフォーカスを並行して処理することが好ましい。
なお、制御部70は、それぞれ単独で調整された撮影光学系30のフォーカシングレンズ32とOCT光学系200のフォーカシングレンズ124の一方を移動させるとき、他方を連動させて移動させてもよい。例えば、撮影光学系30とOCT光学系300をそれぞれ単独で調整した後に、撮影光学系30のフォーカスを手動で調整する場合、フォーカシングレンズ32の移動に応じてフォーカシングレンズ124を連動させてもよい。このとき、フォーカシングレンズ32の移動位置とフォーカシングレンズ124の移動位置との間でディオプター換算による対応づけがなされているとよい。例えば、図10に示すように、OCT光学系200のフォーカシングレンズ124を−03Dだけ移動させる場合、撮影光学系30のフォーカシングレンズ32も−3Dだけ移動させるとよい。
したがって、手動でフォーカス調整を行う場合に、自動で合わせた位置関係を崩さずに調整できる。さらに、このような構成とすれば、眼底画像とOCT画像の両方のフォーカス状態の変化を観察しながら手動でフォーカス調整を行えるため、より調整が行い易い。
なお、撮影光学系を用いた正面画像撮影モードと、OCT光学系を用いた断層画像撮影モードがある場合、一方の撮影モードで用いる光学系の合焦情報を他方の撮影モードで用いる光学系のフォーカスに用いてもよい。例えば、検者は、正面画像撮影モードによって被検眼の正面画像を撮影する。このとき、制御部70は、第1フォーカス用光学部材を駆動させて指標像S1・S2を合致させる。制御部70は、このときの第1フォーカス用光学部材の位置に基づいて、予めOCT光学系200のフォーカスを調整してもよい。その後、検者によって断層画像撮影モードに設定されたとき、OCT光学系200は、撮影光学系30の合焦情報にこれによって、撮影モードの切り換えを行った際に、スムーズに撮影を行うことができる。
なお、上記実施例においては、装置1とは別に配置されたPC90によって、OCT画像を生成するものと説明したが、これに限らない。例えば、眼科撮影装置1は、検出器120からの検出信号からOCT画像を生成するための演算処理部(例えば、ボードPC)を備えてもよい。そして、演算処理部は、検出器120からの検出信号からOCT画像を生成し、制御部70は、生成したOCT画像を装置1に設けられた表示部75に表示してもよい。もちろん、制御部70は、演算処理部によって生成されたOCT画像を、ビューワとして接続されたコンピュータに送信し、コンピュータは、OCT画像を受信する。コンピュータは、受信したOCT画像を、コンピュータに設けられたモニタに表示させてもよい。