以下の詳細な説明は、本発明が実施される特定の詳細および実施形態を図示により示す添付図面に言及する。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施できる程度に詳細に記載されている。他の実施形態も可能であり、本発明の主題から逸脱することなく、構造的、論理的、および電気的な変更が可能である。各種の実施形態は必ずしも相互に排他的でなく、いくつかの実施形態を1つ以上の他の実施形態と組み合わせて新たな実施形態を形成し得る。
上記方法または装置のうちのいずれかに関連して記述された実施形態は、他の方法または装置にも類似的に有効である。同様に、ある方法に関連して記述された実施形態は、ある装置にも類似的に有効であり、その逆も同様である。
ある実施形態に関連して記述された特徴は、他の実施形態における同一または同様の特徴に対応して適用可能である。ある実施形態に関連して記述された特徴は、他の実施形態において明示的に記述されていなくても、他の実施形態に対応して適応可能である。さらに、ある実施形態の特徴に関連して記述された追加および/または組合せおよび/または代替案は、他の実施形態の同一または同様の特徴に対応して適用可能である。
種々の実施形態の文脈において、1つの特徴または素子に関して使用される冠詞「a」、「an」、および「the」は、複数の特徴または素子の1つ以上への言及を含む。
種々の実施形態の文脈において、「少なくとも実質的に」という表現は、「厳密に」と、妥当な変動幅とを含む。
種々の実施形態の文脈において、数値に付された「約」または「略」という用語は、厳密な数値と、妥当な誤差範囲とを含む。
ここで、用語「および/または」、関連する列挙項目の1つ以上のあらゆる組み合わせを含む。
ここで、「AまたはBのうちの少なくとも1つ」という形式の表現は、A、またはB、またはAとBの両方、を含む。同様に、「AまたはBまたはCのうち少なくとも1つ」という形式の表現、またはさらなる列挙項目を含む、は関連する列挙項目の1つ以上のあらゆる組み合わせを含む。
種々の実施形態は、光学顕微鏡法、例えば、光学切片の取得が可能な超高速光学顕微鏡法または光学切片の取得が可能なレーザ走査型顕微鏡法に関する。
種々の実施形態は、二次元または三次元の光学的に区分された画像を超高速で取得するための光学顕微鏡を提供してもよい。この光学顕微鏡は、照明スキャナとしての一次元走査装置を用いて又は介してサンプルを照射することにより、サンプル上に走査照射パターンを形成してもよい。サンプルからの放射は、上記照明スキャナによりデスキャンされ、照射パターンに適合する検出開口を通過してもよい。他の一次元走査装置を検出スキャナとして使用してもよく、この他の一次元走査装置は、検出開口を通過した放出光子を、撮像されているサンプルに対応する画像形成のための二次元イメージセンサに向けてもよい。
種々の実施形態は、超高速画像取得(毎秒1,000フレーム以上)、良好なコントラストおよびバックグラウンド除去、および優れた感度を特徴とし、性能面では既存の技術には匹敵するものがない、光学顕微鏡法の設計を提供してもよい。
従来のラインスキャン型共焦点顕微鏡法(例えば、図1)では、信号対雑音比や信号対バックグラウンド比は生体内の厚い生体組織を撮像するのには不十分であった。これに対して、種々の実施形態は、二次元イメージセンサを用いることにより改善された信号対雑音比と、焦点変調を含むことにより改善された信号対バックグラウンド比とを有する高速光学顕微鏡法を提供してもよい。
種々の実施形態の光学顕微鏡は、生細胞の撮像、小動物の撮像、臨床診断、サンプルの工業検査等、様々な用途に用いられるが、これら用途に限定されるものではない
図2Aは、種々の実施形態に係る光学顕微鏡200の概略構成図を示す。光学顕微鏡200は、撮像すべきサンプル上に照射パターンを向けるための走査装置202を備える。走査装置202は、サンプルの複数の区画を順次1つずつ覆うように照射パターンをシフトさせるために移動可能である。走査装置202は、サンプルの各区画に対して、当該区画を照射するために照射パターンを向け、照射パターンにより照射されたサンプルの当該区画からの戻り光を受光する。また、光学顕微鏡200は、サンプルの各区画に対応する、サンプル上の焦点面内で、照射パターンの光強度分布を時間の関数として変調する変調装置203と、各区画からの戻り光を検出器に光学的に結合させる検出装置204を備える。検出装置204は、それぞれの戻り光を、検出器のそれぞれの部分に順次光学的に結合させ、これにより検出器上にサンプルの画像を形成する。検出器の各部分は、サンプルの各区画に対応する。206として示す線は、走査装置202、変調装置203、および検出装置204の関係を示し、光学的結合および/または機械的結合を含んでもよい。
言い換えれば、光学顕微鏡200は、照射パターン(例えば、光照射パターン)または光信号をサンプルの第1区画に向けて、照射パターンにより照射されたサンプルの第1区画からの第1の戻り光を受光する走査装置202を備えてもよい。サンプルの区画に対応する、サンプル上の焦点面内または上に形成された照射パターンの光強度分布を、例えば変調装置203を介して、時間の関数(例えば、時間の周期的関数)として、変調してもよい。これは、照射パターンをサンプルの区画上の焦点領域付近で強度変調するということを意味してもよい。光学顕微鏡200は、サンプルの第1区画の画像を検出器の第1部分上に生成するように、第1の戻り光を受光する検出装置204をさらに備えてもよい。
続いて、走査装置202は、その光強度分布が変調された照射パターンをサンプルの第2区画上に向け、第2区画を照射して、照射パターンにより照射されたサンプルの第2区画からの第2の戻り光を受光するように、移動してもよい。検出装置204は、検出器の第2部分上にサンプルの第2区画の画像を生成するように第2の戻り光を受光してもよい。これは、サンプルの連続する区画に対して繰り返されてもよい。サンプルを区画毎に、例えば、第1区画の次は第2区画というように撮像することにより、光学顕微鏡200は、一度に一区画を撮像するというサンプルの光学的区分けを可能にする。種々の実施形態において、光学顕微鏡200は、光学的区分け機能を有する超高速光学顕微鏡でもよい。
種々の実施形態において、走査装置202は、サンプルの視野全体を順次覆うように照射パターンをシフトさせてもよい。
種々の実施形態において、変調装置203は、サンプルの焦点面外の励起光強度が少なくとも実質的に一定であることを確保しつつ、焦点面内における照射パターンの入射光強度分布を、時間の周期的関数として選択的に変調してもよい。
種々の実施形態において、それぞれの戻り光を受光する検出器の部分の並び順は、照射パターンにより照射されているサンプルの区画の並び順に対応してもよい。
種々の実施形態において、検出器の各部分の相対的な位置は、サンプルの各区画の相対的な位置に対応してもよい。
種々の実施形態の文脈において、サンプルの一区画上に向けられる照射パターンおよび対応する戻り光は、少なくとも実質的に同一の光学路または光路をたどる。
種々の実施形態の文脈において、1つの戻り光は、サンプルの1つの区画から、照射パターン、例えば、その光強度分布がサンプルの当該区画に対応するサンプル上の1つの焦点面内または上で変調された照射パターン、によるサンプルの当該区画の照射に応じて、誘導されてもよい。
種々の実施形態の文脈において、それぞれの戻り光のいずれか1つ又は各々は、サンプルにより反射された照射パターン光または励起光の一部を含んでもよい。種々の実施形態の文脈において、それぞれの戻り光のいずれか1つ又は各々は、サンプルから出射された蛍光または蛍光性の光を含んでもよい。
種々の実施形態の文脈において、走査装置202は、サンプルの区画を順次1つずつ覆うように照射パターンをシフトさせるための、可動式ミラー、または反射器、または導光器であってもよい。
種々の実施形態の文脈において、走査装置202は、光学顕微鏡200の照射光路内に又は沿って設けられてもよい。走査装置202は、光学顕微鏡200の検出光路の一部分の中に設けられてもよい。検出装置204は、光学顕微鏡200の検出光路内に又は沿って設けられてもよい。
種々の実施形態の文脈において、検出装置204は、走査装置202の動作または走査動作に同期してもよい。限定されない例として、走査装置202の動作は、検出装置204により供給されるトリガー信号(例えば、フレームトリガー)に同期してもよい。
種々の実施形態において、照射パターンは、スポット、画素、またはラインのうちの少なくとも1つを1つ以上含んでもよい。例えば、照射パターンは、サンプルの視野内の複数の回折限界スポットまたは画素の1つ以上を含んでもよい。限定されない例として、照射パターンが1つのラインを含む場合は、走査装置202はサンプルのライン走査を行ってもよい。つまり、サンプルは、ライン単位で一度に1ラインずつ走査されてもよい。種々の実施形態において、走査装置202は、例えば、光を一次元状(例えば、ライン状)に配向する一次元走査装置であってもよい。
種々の実施形態において、検出装置204は、検出器を備えてもよい。この検出器は移動可能であってもよい。これは、検出器が、検出器のそれぞれの部分がそれぞれの戻り光を受光するように移動されるということを意味してもよい。
種々の実施形態において、走査装置202の動作または走査動作は、上記検出器に同期してもよい。種々の実施形態において、検出器の移動は、走査装置202の動作に同期してもよい。これは、検出器が走査装置202の動作に同期して移動されるということを意味してもよい。限定されない例として、検出器の動作および走査装置202の動作は、検出器から供給されるトリガー信号(例えば、フレームトリガー)に同期してもよい。
種々の実施形態の文脈において、上記検出器は、一次元(1D)検出器であるライン検出器またはセンサとは対照的に、二次元(2D)検出器であってもよい。
種々の実施形態の文脈において、上記検出器は、イメージセンサであってもよい。
種々の実施形態の文脈において、上記検出器は、カメラであっても又はカメラを含んでもよく、このカメラは、その個々の部分でそれぞれの戻り光を受光して、サンプルの二次元(2D)画像を生成可能でもよい。限定されない例として、上記カメラは、電荷結合素子(CCD)カメラ、または相補型金属酸化膜半導体(CMOS)カメラであってもよい。
種々の実施形態において、検出装置204は、それぞれの戻り光を受光するための他の走査装置を備えてもよい。この他の走査装置は、それぞれの戻り光を検出器のそれぞれの部分に向けてサンプルの画像を生成するように移動可能でもよい。それぞれの戻り光は、この他の走査装置により、検出器のそれぞれの部分に1つずつ向けられてもよい。
種々の実施形態において、上記他の走査装置の動作または走査動作は、走査装置202の動作または走査動作に同期してもよい。これは、走査装置202と他の走査装置が同期して移動するということを意味してもよい。
種々の実施形態において、走査装置202および上記他の走査装置のそれぞれの動作は、検出装置204または上記検出器に同期してもよい。限定されない例として、走査装置202および他の走査装置のそれぞれの動作または走査動作は、検出装置204または検出器より供給されるトリガー信号(例えば、フレームトリガー)に同期してもよい。
種々の実施形態の文脈において、上記他の走査装置は、それぞれの戻り光を検出器のそれぞれの部分に向けるための可動式ミラー、または反射器、または導光器であってもよい。
種々の実施形態において、上記他の走査装置は、それぞれの戻り光を検出器のそれぞれの部分に1ラインずつ向けるように構成されてもよい。種々の実施形態において、上記他の走査装置は、例えば、光を一次元状(例えば、ライン状)に配向する一次元走査装置であってもよい。
種々の実施形態において、光学顕微鏡200は、スキャナまたはダブルスキャナ‐ライン走査型顕微鏡、例えば、スキャナまたはダブルスキャナ‐ライン走査型共焦点顕微鏡であってもよい。種々の実施形態において、変調装置203を照射パターンの光強度分布を変調するように構成することで、光学顕微鏡200をスキャナまたはダブルスキャナ‐ライン走査型焦点変調顕微鏡(FMM)としてもよい。
種々の実施形態において、検出装置204は、それぞれの戻り光を検出器のそれぞれの部分に集束させる検出器レンズをさらに備えてもよい。
種々の実施形態において、光学顕微鏡200は、走査装置202と検出装置204との間に配置された、少なくとも、照射パターンにより照射されないサンプルの部分から発生する光を遮るための検出開口をさらに備えてもよい。これは、それぞれの戻り光に存在するサンプルからの焦点がずれた光を、検出装置204に到達する前に遮光または除去するということを意味してもよい。種々の実施形態において、この検出開口は、スリットであっても、スリットを含んでもよい。
種々の実施形態において、光学顕微鏡200は、それぞれの戻り光をフィルタリングするためのフィルタ(例えば、エミッションフィルタ)をさらに備えてもよい。このフィルタは、サンプルから反射された任意の入射光を除去してもよい。
種々の実施形態において、光学顕微鏡200は、照射パターンを、サンプルの区画に対応するサンプル上の焦点面上に向ける又は集束させるための集束光学系(または集束アセンブリ)をさらに備えてもよい。これは、この集束光学系は照射パターンをサンプルの選択された焦点面に集束させるということを意味してもよい。集束光学系は、集束レンズ、コリメートレンズ、または対物レンズのうちの少なくとも1つを含んでもよい。
種々の実施形態において、光学顕微鏡200は、光を受光し、その光を入射光点の配列(例えば、点配列)に整形して照射パターンを形成する整形光学系をさらに含んでもよい。種々の実施形態において、この入射光点の配列は、一列の配列でもよい。種々の実施形態において、上記整形光学系は、マイクロレンズアレイまたは複数の回折デバイスを含んでもよい。種々の実施形態において、入射光点の配列を用いることにより、検出開口は、入射光点の配列に対応する複数の開口部を有してもよい。
種々の実施形態において、光学顕微鏡200は、光を受光し、その光をライン状(またはライン形)に整形して照射パターンを形成する整形光学系をさらに含んでもよい。種々の実施形態において、この整形光学系は、ライン形成レンズ、例えばシリンドリカルレンズ、を含んでもよい。
種々の実施形態において、光学顕微鏡200は、上記整形光学系と走査装置202との間に配置された入射開口をさらに備えてもよい。この入射開口はスリットであっても、スリットを含んでもよい。
種々の実施形態において、光学顕微鏡200は、上記入射開口と走査装置202との間に配置された、照射パターンをコリメートされた(平行な)形状にするためのレンズをさらに備えてもよい。
種々の実施形態において、光学顕微鏡200は、走査装置202と検出装置204との間に配置された、それぞれの戻り光を検出装置204の方へ向けるための導光器をさらに備えてもよい。この導光器は、ビームスプリッタまたはダイクロイックミラーでもよい。
種々の実施形態の文脈において、ビームスプリッタとは、光束を2つに、つまり、反射光と透過光とに分割する光学装置を意味してもよい。ビームスプリッタは、反射光に対する透過光の任意の分割比を有し、例えば、約30:70から約70:30までの間、例えば、約30:70、約40:60、約50:50、約60:40、または約70:30、の反射光:透過光比を有してもよい。
種々の実施形態の文脈において、ダイクロイックミラーは、小さい範囲の色(つまり、波長)の光を選択的に透過し、その他の色を反射してもよい。
種々の実施形態において、変調装置203は、時間的位相変調器、および当該時間的位相変調器に光学的に結合された空間的位相変調器を備えてもよい。時間的位相変調器は、光を受光し、その光を2つの直交偏光成分に分解した後、2つの直交偏光成分(例えば、ΕXおよびΕY)間に位相差を導入する。空間的位相変調器は、2つの直交偏光成分を空間的に分離した後、2つの直交偏光成分を1つの偏光状態または方向に変換する。これは、空間的位相変調器が受光した2つの直交偏光成分は、それらの間に位相差を有するということを意味してもよい。
種々の実施形態において、上記位相差を、例えば時間の関数として、2つの直交偏光成分の間に定期的に導入してもよい。種々の実施形態において、時間的位相変調器は、2つの直交偏光成分のうちの1つの上に可変位相シフト(例えば、0からπ)を導入するように構成されてもよい。種々の実施形態において、上記可変位相シフトは、2つの直交偏光成分のうちの1つのみに導入されてもよい。
種々の実施形態において、上記空間的位相変調器は、2つの直交偏光成分を1つの偏光状態に変換してもよい。
種々の実施形態の文脈において、上記時間的位相変調器は、光を2つの直交偏光成分に分解するように構成された2分の1波長板と、2つの直交偏光成分の間に位相差を導入するように構成された電気光学変調器とを備えてもよい。
種々の実施形態の文脈において、2分の1波長板は、直線偏光光の偏光状態または方向を変更またはシフトさせる光学装置である。
種々の実施形態の文脈において、電気光学変調器(EOM)は、光線を変調するために電気光学効果を発揮する信号制御素子を使用する光学装置であって、この素子は、電気光学効果による電界に応じてその光学的性質が変化するものである。
種々の実施形態の文脈において、上記空間的位相変調器は、2つの直交偏光成分を空間的に分離するように構成された空間偏光子と、2つの直交偏光成分を1つの偏光状態に変換するように構成された偏光分析器とを備えてもよい。
種々の実施形態において、上記空間偏光子は、2つの直交偏光成分のうちの一方を選択的に遮断するための第1の領域または帯域と、2つの直交偏光成分のうちの他方を選択的に遮断するための第2の領域または帯域とを備えてもよい。種々の実施形態において、第1の領域および第2の領域は、横並びに隣接して配置してもよい。種々の実施形態において、第1の領域は、第2の領域の周囲に配置されてもよい。種々の実施形態において、上記空間偏光子は、二分割され、空間偏光子のそれぞれ半分を第1の領域および第2の領域と定義してもよい。
種々の実施形態において、検出装置204は、照射パターンにより照射されたサンプルのそれぞれの区画に対応した、サンプルの光学的区分画像を生成するように構成されたプロセッサを含んでもよく、このプロセッサは、それぞれの光学的区分画像を生成するために、検出器により生成された画像(または生画像)を復調するように構成されてもよい。種々の実施形態において、上記プロセッサは、それぞれの戻り光の各々からのAC成分(例えば、変調成分)の振幅を検索するように構成されてもよい。種々の実施形態において、上記プロセッサは、検出器により取り込まれた生画像を復調することによりサンプルの光学的区分画像を生成するための画像処理アルゴリズムを備えてもよい。
種々の実施形態において、光学顕微鏡200は、照射パターンのための光を供給するように構成された光源アセンブリをさらに備えてもよい。種々の実施形態において、この光源からの光は、例えば調整されることなく、照射パターンとして直接供給されてもよい。
種々の実施形態において、上記光源は、照射パターンを線状または線形に供給するように構成されてもよい。上記光源は、照射パターンを線状に供給するスリット状光源であってもよい。
種々の実施形態の文脈において、上記光源は、1つ以上のレーザを備えてもよい。したがって、種々の実施形態において、光学顕微鏡200は、光学的区分け機能を有するレーザ走査顕微鏡であってもよい。
種々の実施形態の文脈において、入射光として用いられる光は、約400nmから約700nmの範囲の波長、例えば、約400nmから約500nmの波長、約480nmから約700nmの波長、または約480nmから約550nmの波長、を有してもよい。
種々の実施形態において、検出装置204は、サンプルのそれぞれの区画における1つの画素を、検出器のそれぞれの部分における複数の画素に光学的に結合させるよう構成されてもよい。種々の実施形態において、検出装置204は、サンプルの視野における各画素からの戻り光を、検出器における多くの画素に順次結合させるよう構成されてもよく、照射パターンにおける入射光強度は、数サイクル毎に変化させてもよい。
種々の実施形態において、照射パターンにより覆われる画素の数は、少なくとも実質的に、撮像すべきサンプルの視野における画素の合計数の平方根に対応(または近似)してもよい。
種々の実施形態の文脈において、走査装置202と上記他の走査装置のうちの少なくとも1つは共振型スキャナであってもよい。
種々の実施形態の文脈において、走査装置202と上記他の走査装置のうちの少なくとも1つは共振型ガルバノメータであってもよい。この共振型ガルバノメータは、光を反射するミラーまたは他の反射器を備えてもよい。
種々の実施形態の文脈において、走査装置202と上記他の走査装置のうちの少なくとも1つは音響光学変調器(AOD)であってもよい。しかしながら、広いスペクトルを有する蛍光の走査にAODを用いることには課題があるかもしれない。
種々の実施形態の文脈において、走査装置202と上記他の走査装置のうちの少なくとも1つは、走査を実行するために、サンプルの区画を順次1つずつ覆うように照射パターンをシフトさせるために、数Hz程度から数千Hz程度の範囲の動作周波数を有してもよい。限定されない例として、この動作周波数は、約1Hzから約10kHzの間、例えば、約1Hzから約5kHzの間、約1Hzから約1kHzの間、約1kHzから約10kHzの間、約5kHzから約10kHzの間、又は約2kHzから約5kHzの間、であってもよい。
図2Bは、種々の実施形態に係る、光学顕微鏡制御方法のフローチャート220を示す。
222において、照射パターンを撮像すべきサンプルに向ける。
224において、サンプルの区画を順次1つずつ覆うように照射パターンをシフトさせる。ここで、サンプルの各区画に対して、当該区画を照射するために照射パターンを向けて、照射パターンにより照射されたサンプルの当該区画からの戻り光を受光する。
226において、サンプルの上記区画に対応する、サンプル上の焦点面内における照射パターンの光強度分布を、時間の関数(例えば、時間の周期的関数)として変調する。
228において、それぞれの戻り光を、検出器のそれぞれの部分に順次光学的に結合して、検出器上にサンプルの画像を生成する。ここで、検出器の各部分はサンプルの各区画に対応する。
種々の実施形態において、照射パターンは、スポット、画素、またはラインのうちの少なくとも1つを1つ以上含んでもよい。限定されない例として、種々の実施形態では、222において、サンプルの連続するラインを1つずつ撮像してもよい。
種々の実施形態において、それぞれの戻り光を検出するために検出器を備えてもよい。この検出器は、それぞれの戻り光を検出するために移動されてもよい。種々の実施形態において、検出器は、サンプルの二次元画像を生成するために、そのそれぞれの部分でそれぞれの戻り光を受光可能なカメラであってもよい。
種々の実施形態では、222において、照射パターンは走査装置を用いてシフトされてもよく、走査装置の動作は上記検出器に同期してもよい。この走査装置は、区画を照射するために区画へ照射パターンを向け、照射パターンにより照射されたサンプルの区画からの戻り光を受光するために用いられてもよい。走査装置は移動可能であってもよい。
種々の実施形態において、それぞれの戻り光は上記検出器のそれぞれの部分に向けられて、サンプルの画像を生成してもよい。例えば、それぞれの戻り光を検出器のそれぞれの部分に向けてサンプルの画像を生成するために、他の走査装置を用いてもよい。この他の走査装置は、移動可能であってもよい。
種々の実施形態において、上記方法は、少なくとも、照射パターンにより照射されないサンプルの部分からの光を遮光することをさらに含んでもよい。
種々の実施形態において、例えば、サンプルから反射された任意の入射光を除去するために、それぞれの戻り光をフィルタリングしてもよい。
種々の実施形態において、照射パターンは、サンプルの区画を照射するために、区画に向けられて集束されてもよい。これは、例えば、集束レンズ、コリメートレンズ、または対物レンズのうちの少なくとも1つを含む集束光学系を用いることで達成してもよい。
種々の実施形態において、光を受光し入射光点の配列に整形して、照射パターンを形成してもよい。これは、例えば、マイクロレンズアレイまたは回折デバイスを含む整形光学系を用いることにより実現してもよい。
種々の実施形態において、光を受光しライン状に整形して、照射パターンを形成してもよい。これは、例えば、シリンドリカルレンズ等のライン形成レンズを含む整形光学系を用いることにより実現してもよい。
種々の実施形態において、導光器を用いて、それぞれの戻り光を検出装置に向けてもよい。この導光器は、ビームスプリッタまたはダイクロイックミラーでもよい。
種々の実施形態において、照射パターンの光強度分布を変調するために、光を受光し、この光を2つの直交偏光成分に分解した後、2つの直交偏光成分の間に位相差を導入してもよい。そして、2つの直交偏光成分を空間的に分離した後、2つの直交偏光成分を1つの偏光状態に変換してもよい。空間的に分離される2つの直交偏光成分は、それらの間に位相差を有してもよい。
種々の実施形態において、光を2つの直交偏光成分に分解し、その後2つの直交偏光成分の間に位相差を導入するに際し、2つの直交偏光成分への光の分解には2分の1波長板を用い、2つの直交偏光成分間への位相差の導入には電気光学変調器を用いてもよい。
種々の実施形態において、2つの直交偏光成分を空間的に分離し、その後2つの直交偏光成分を1つの偏光状態に変換するに際し、2つの直交偏光成分の空間的分離には空間偏光子を用い、2つの直交偏光成分の1つの偏光状態への変換には偏光分析器を用いてもよい。
種々の実施形態において、2つの直交偏光成分を空間的に分離するに際し、2つの直交偏光成分のうちの一方を空間偏光子の第1の領域にて選択的に遮断し、2つの直交偏光成分のうちの他方を空間偏光子の第2の領域にて選択的に遮断してもよい。
種々の実施形態において、検出器により生成された画像(例えば、生画像)を復調して、照射パターンにより照射されたサンプルのそれぞれの区画に対応する、サンプルの光学的区分画像を生成してもよい。種々の実施形態において、上記画像を復調するために、上記方法は、それぞれの戻り光の各々からのAC成分(例えば、変調成分)の振幅を検索することを含んでもよい。
種々の実施形態において、上記方法は、照射パターンのための光を供給することをさらに含んでもよい。種々の実施形態において、この光を供給するために、1つ以上のレーザを備えてもよい。
種々の実施形態において、228において、サンプルのそれぞれの区画における1つの画素を、検出器のそれぞれの部分における複数の画素と光学的に結合させてもよい。
種々の実施形態において、照射パターンにより覆われる画素の数は、少なくとも実質的に、撮像すべきサンプルの視野における画素の合計数の平方根に一致(または近似)してもよい。
上述の方法は、一連のステップまたは事象として例示し説明したが、このようなステップまたは事象のいかなる順序も限定的ではないことを理解されたい。例えば、いくつかのステップは異なる順序で、および/または、例示されたものとは別の他のステップまたは事象、および/または、本明細書に記載された他のステップまたは事象と同時に行われてもよい。また、例示されたすべてのステップが、本明細書に記載された1つ以上の局面または実施形態を実施するために必要というわけではない。また、本明細書に記載された1つ以上のステップを、1つ以上の別々の行為および/または段階において行ってもよい。
種々の実施形態は、改善された撮像速度(毎秒1000フレーム以上)、優れた画質、および格別な感度を兼ね備えた光学顕微鏡を提供してもよい。
図3は、種々の実施形態に係る光学顕微鏡300の概略図を示し、二次元(2D)イメージセンサを有するダブルスキャナ‐ライン走査型共焦点顕微鏡を示す。光学顕微鏡300は、超高速ライン走査型顕微鏡であってもよい。
光学顕微鏡300は、サンプル320を撮像するために、例えばレーザ302である光源または光源アセンブリを備えてもよく、レーザ302は、励起ビームとして作用する光信号または光(例えば、波長λ=488nm)303を出射する。光303は、シリンドリカルレンズ(CL)304を通過し、シリンドリカルレンズ304は、光303を一次元に集光し、光303を1つのラインに集束して、照射パターン350である入射光を形成する。照射パターン350は、スリット306である開口を通過する。言い換えれば、シリンドリカルレンズ(CL)304を透過した後、光303は、ライン形状を有する照射パターン350に形成され、これによりサンプル320を撮像するための照射ラインパターンを提供する。入射光350として提供された照射ラインパターン350は、破線矢印360で示すように、照射光路内に又は沿って設けられた、一連のレンズを含む光学系を介して、サンプル320へと送られる。
レンズ(L1)308は、スリット306から出射される照射パターン350を受光するためにスリット306の後に配置され、レンズ(L1)308は照射パターン350をコリメートする。そして、照射パターン350はビームスプリッタ(BS)310を通過し、ビームスプリッタ310は、照射パターン350のうち一定量の光を照射光路360に沿って透過させる。限定されない例として、ビームスプリッタ(BS)310は、ビームスプリッタ(BS)310により反射される光とビームスプリッタ(BS)310を透過する光との比率として、50:50の比率を有してもよい。
照明スキャナとして作用する走査装置または一次元スキャナ(S1)312は、照射パターン350をサンプル320に向けるために、照射光路360に沿ってビームスプリッタ(BS)310の後に設けられてもよい。レンズ(L2)314およびレンズ(L3)316である一組のレンズは、走査装置(S1)312により向けられた照射パターン350を受光するために設けられてもよい。レンズ(L2)314は照射パターン350を集束し、その後レンズ(L3)316は照射パターン350をコリメートしてもよい。そして、照射パターン350は、照射パターン350をサンプル320上に集束するための対物レンズ318によって受光されてもよい。レンズ(L2)314、レンズ(L3)316、または対物レンズ318のうち少なくとも1つは、集束光学系または集束アセンブリの一部を形成してもよい。この集束光学系は、サンプルの一区画に対応する一焦点面上に照射パターン350を向けて、集束してもよい。
サンプル320から発生する戻り光は、照射パターン350と、少なくとも実質的に同じ光路をたどる。この戻り光は、対物レンズ318、レンズ(L3)316、レンズ(L2)314を通過し、走査装置(S1)312に受光されてもよい。言い換えれば、サンプル320からの発光を含んだ戻り光は、同じ照明スキャナ(S1)312によりデスキャンされてもよい。したがって、破線矢印362で示すように、走査装置(S1)312、レンズ(L2)314、レンズ(L3)316、および対物レンズ318は、1つの検出光路内に又は沿って配置されてもよい。
種々の実施形態において、走査装置(S1)312は、サンプル320の走査を実行するために、サンプルの複数の区画を順次1つずつ覆うように照射パターン350をシフトさせるために使用されてもよい。例えば、走査装置(S1)312は、矢印370で示すような走査動作をするように移動されてもよい。走査装置(S1)312は、サンプル320の1つの区画に向けて又は区画上に照射パターン350を導く使用されてもよく、サンプル320の当該区画を照射するように区画上に照射ラインパターンを与えて、その後サンプル320の当該区画から発生する戻り光を受光してもよい。次に、走査装置(S1)312は、照射パターン350をサンプル320の別の区画に向けて又は区画上に向け、当該別の区画を照射するように区画上に照射ラインパターンを与えて、その後当該別の区画から発生する戻り光を受光してもよい。この走査ステップは、走査装置(S1)312が、サンプル320を撮像するために、照射パターン350をサンプル320の連続する又は個々の区画に向けて又は区画上に導いて、その後サンプル320のそれぞれの区画から発生する戻り光を受光するように、繰り返してもよい。
限定されない例として、走査装置(S1)312は、両方向矢印380で示すように、照射パターン350を直交方向にシフトするために用いられてもよい。例えば、走査装置(S1)312は、実線350aで示すように、サンプル320の第1区画320aを照射するように第1区画320aに向けて又は第1区画320a上に照射パターンを導き、その後、サンプル320の第1区画320aから発生した戻り光352aを受光してもよい。照射パターン350aおよび戻り光352aは、少なくとも実質的に同じ光路をたどる。
そして、走査装置(S1)312は、照射パターンを、サンプル320の第2区画320bを照射するために、破線350bで示すように、サンプル320の第2区画320bに向けて又は第2区画320b上に導き、その後サンプル320の第2区画320bから発生する戻り光352bを受光するように、移動または傾斜されてもよい。照射パターン350bおよび戻り光352bは、少なくとも実質的に同じ光路をたどる。
各戻り光352a、352bは、走査装置(S1)312により、検出光路362内に又は沿って配置されるビームスプリッタ(BS)310に向けられてもよい。ビームスプリッタ(BS)310は、各戻り光352a、352bの一定量を、検出光路362に沿って、例えば二次元(2D)イメージセンサ332である検出器へ向けて透過させてもよい。イメージセンサ332は、電荷結合素子(CCD)カメラまたは相補型金属酸化膜半導体(CMOS)カメラでもよい。
任意の発光フィルタ(F1)322を、検出光路362内に又は沿って配置し、励起光、例えば、サンプル320により反射され、走査装置(S1)312およびビームスプリッタ(BS)310によりイメージセンサ332へ向けられた照射パターン350の一部を抑制してもよい。レンズ(L4)324を設けて、各戻り光352a、352bを集束させ、スリット326である検出開口を通過させるようにしてもよい。スリット326は、サンプル320から発生した各戻り光352a、352bの一部として存在する焦点からずれた光を遮光してもよい。焦点からずれた光は、照射パターン350により照射されないサンプルの部分から発生してもよい。
検出スキャナとして作用する他の走査装置または一次元スキャナ(S2)328を設けて、各戻り光352a、352bを受光し、各戻り光352a、352bの、イメージセンサ332の連続する又は各々の部分への走査を実行してサンプル320の画像を生成してもよい。例えば、走査装置(S2)328は、矢印372で示す走査動作内で移動してもよい。レンズ(例えば、検出器レンズ)またはレンズシステム(L5)330を設けて、サンプル320から発生した放出光子を含む各戻り光352a、352bをイメージセンサ332上に集束してもよい。334で示すラインは、放出光子の線形分布を示し、両方向矢印382で示すように、検出スキャナ(S2)328により直交方向に移動される。追加的に又は代替案として、イメージセンサ332を移動させてもよい。走査装置(S2)328およびイメージセンサ332は、検出装置の一部を構成してもよい。
限定されない例として、走査装置(S2)328は、サンプル320の第1区画320aからの戻り光352aを、例えばライン334に対応するイメージセンサ332の第1の部分に向けてもよい。続いて、走査装置(S1)312がサンプル320の第2区画320bを照射して第2区画320bからの戻り光を受光した時、走査装置(S2)328は、受光した戻り光352bを方向382に沿ってサンプル320の第2区画320bに対応するイメージセンサ332の第2の部分に向けるように、移動してもよい。その結果、サンプル320のそれぞれの区画からのそれぞれの戻り光を、これら区画に対応するイメージセンサのそれぞれの部分に向けて、サンプル320の画像を生成してもよい。
なお、レンズL1 308、L2 314、L3 316、L4 324、およびL5 330のいずれか又は各々は、球面レンズまたは色消しレンズであってもよい。レンズL1 308、L2 314、L3 316、L4 324、およびL5 330のいずれか又は各々の焦点距離は、数センチメートル、例えば、約1cmから約10cmの間、例えば、約1cmから約5cmの間、約5cmから約10cmの間、または約3cmから約6cmの間、でよい。
種々の実施形態において、走査装置(S1)312および走査装置(S2)328のいずれか又は各々は、共振スキャナ、例えば、走査作用を有する光を反射するためのミラーまたは反射器を有する共振型ガルバノメータ、であってもよい。種々の実施形態において、走査装置(S1)312および走査装置(S2)328のいずれか又は各々による走査は、数Hz程度から数千Hz程度の範囲の周波数、例えば、約1Hzから約10kHzの間の周波数、で実行されてもよい。
種々の実施形態において、走査装置(S1)312、(S2)328は、イメージセンサ332のトリガー信号(例えば、フレームトリガー)に同期してもよい。種々の実施形態において、二次元画像の1フレームを、走査装置(S1)312および走査装置(S2)328の1/2走査期間(往復走査の場合)または1走査期間(片道走査の場合)において直接生成してもよい。種々の実施形態において、走査装置(S1)312を例に挙げると、走査装置(S1)312を前後に移動または回動させて、照射パターンまたは励起ビームをサンプル320横切るように走査させてもよい。片道走査においては、照射パターンまたは励起ビームが例えば左から右にシフトされた時、サンプル320からの信号または戻り光を集光してもよい。ただし、フライバック(右から左)中は集光しない。往復走査においては、信号または戻り光を両方向に沿って又は内で集光してもよい。
種々の実施形態において、イメージセンサ332は、毎秒5,000フレーム(1024×1024画素)を超える速度をサポートしてもよく、これは、走査装置(S1)312または走査装置(S2)328のうち少なくとも1つの速度に、少なくとも実質的に一致する。さらに、2Dイメージセンサ332は、その性能が自身の雑音レベルによる影響を受ける従来の1D同等物とは対照的に、超低雑音センサであってもよい。
なお、種々の実施形態において、ビームスプリッタ(BS)310は、蛍光撮像のためのダイクロイックミラー(DM)で置き換えてもよい。
図3に示す光学顕微鏡300の上記文脈における構成は、改善されたバックグラウンド除去のための焦点変調と容易に組み合わせることができ、その一例を図4に示す。
図4は、種々の実施形態に係る光学顕微鏡(例えば、焦点変調光学顕微鏡)400の概略図を示し、ダブルスキャナ‐ライン走査型焦点変調顕微鏡(FMM)を示す。焦点変調光学顕微鏡400は、図3に示す光学顕微鏡300と同一または同等の素子または構成要素を備えてもよい。したがって、同一の参照番号が付された素子については、図3に示す光学顕微鏡300の説明で述べられたものとし、その説明を省略する。
光学顕微鏡400において、空間的‐時間的位相変調器(または、変調装置)402を、励起光路(照射光路)360内に又は沿って設けてもよく、これにより励起光がサンプル320内または上における焦線付近で強度変調される。種々の実施形態において、空間的‐時間的位相変調器402は、サンプルの区画に対応する、サンプルの焦点面内における照射パターン350の光強度分布を、時間の周期的関数として変調してもよい。空間的‐時間的位相変調器402は、2分の1波長板(HWP)412および電気光学変調器(EOM)414を含む時間的位相変調器404を備えてもよい。電気光学変調器(EOM)414は、EOMドライバ416により駆動されてもよい。空間的‐時間的位相変調器402は、空間的変調器(SP)418および偏光分析器(PA)420を含む空間的位相変調器406をさらに備えてもよい。空間的変調器(SP)418および偏光分析器(PA)420は隣接して配置されてもよい。空間的‐時間的位相変調器402では、2つの直交偏光ビームが時間的位相変調器404によって別々に変調されてもよい。これら2つのビームは、空間的位相変調器406の開口形成光学系(例えば、空間的変調器(SP)418および偏光分析器(PA)420を含む又はこれらから成る光学系)に入射する前に空間的に重ねられてもよく、その後、励起ビームが所望の特性で時空間的に変調されてもよい。
空間的‐時間的位相変調器402の原理または動作の限定されない一例を、図5を参照して説明する。図5は、上述したような単一電気光学変調器(EOM)および偏光光学素子を含む、電気光学変調器(EOM)に基づく空間的‐時間的位相変調器を示す。明瞭さのために、図5には、シリンドリカルレンズ(CL)304、スリット306、およびレンズ(L1)308は示していない。
レーザ302からのレーザ出力または光303は、直線偏光にされてもよい。2分の1波長板(HWP)412は、光303の電界(Eフィールド)の偏光を回転させ、Y軸に対して略45°の角度を形成するために用いられてもよい。例えば、図5に示すように、光303のEフィールド500は、2分の1波長板(HWP)412を通過した後、Y軸510およびX軸512に対して少なくとも実質的に45°に配向されてもよい。その結果、Eフィールド500は、同じ電力を有する2つの直交偏光成分、ΕY502およびΕX504、に分解されてもよい。
EOM414は、偏光依存型装置であってもよい。EOM414は、ΕX504に対しては実質的に位相シフトを与えず、ΕY502に対して可変位相シフトを与えてもよい。EOMドライバ416によりEOM414に対して変調信号を供給し、ΕX504とΕY502の間に周期的位相遅延(例えば、0からτの間)を導入してもよい。その結果、ΕY502としての、変調されたEフィールドまたはビーム、およびΕX504としての、変調されていないEフィールドまたはビームを提供してもよい。
その後、空間偏光子418は、上記変調されたビームおよび変調されていないビームを空間的に分離するように、ΕX504またはΕY502を選択的に遮断してもよい。例えば、ΕX504またはΕY502のどちらかをそれぞれ選択的に遮断するために、空間偏光子418の異なる領域または帯域(ゾーン)を指定または限定してもよい。
空間偏光子418の限定されない一例は、図6に示すように、2ゾーン空間偏光子であってもよい。空間偏光子418は、2つの帯域または領域、すなわち第1領域(左領域)600および第2領域(右領域)610に分割されてもよい。
第1領域600を示すライン602および第2領域610を示すライン612は、通過可能な偏光光成分のそれぞれの偏光方向を表す。空間偏光子418は、それぞれの偏光方向が互いに直交するよう配向された2つの偏光光成分を、第1の偏光光成分が第1領域600を通過することを選択的に許可し、他の偏光光成分が第2領域610を通過することを選択的に許可することによって、空間的に分離してもよい。例えば、空間偏光子418は、ライン602をX軸512(図5)と一致させて、水平に偏光された光、ΕX504、を通過させる一方、ライン612をY軸510(図5)と一致させて、垂直に偏光された光、ΕY502、を通過させるように配置されてもよい。第1領域600と第2領域610とを分離するラインまたは境界線620を、照射スリット306と平行に又は一列に配置してもよい。
図5を参照して、偏光分析器(PA)420は、その偏光方向がX軸512に対して45度(45°)である線形偏光器であってもよい。偏光分析器(PA)420は、ΕX504およびΕY502がサンプル320上の対物レンズ(例えば、図4の318)の焦点に導かれた時に互いに干渉するように、ΕX504およびΕY502を同じ偏光状態または方向に変換するために用いられてもよい。その結果、焦線の強度が定期的に変調されてもよい。
焦点変調により、イメージセンサ(例えば、図4の332)からの未処理の2D画像が、走査方向(例えば、図4の382)に沿って空間的に変調されてもよい。未処理の2D画像は、例えばプロセッサによって復調されてもよく、これにより、照射パターン350により照射されたサンプルのそれぞれの区画に対応する、サンプルの光学的区分画像(例えば、FMM画像)を生成してもよい。例えば、未処理の2D画像は、焦線に沿って2つの画像に分離されてもよく、これら二つの画像は、それぞれ、最大励起パワー(例えば、ΕX504とΕY502とが少なくとも実質的に建設的に干渉する時)および最小励起パワー(例えば、ΕX504とΕY502とが少なくとも実質的に破壊的に干渉する時)に対応する。例えば散乱やクロストークによるバックグラウンドの大部分は、これら2つの画像間の差分画像から除去される。
種々の実施形態において、上記FMM画像は、検出された信号(例えば、戻り光)におけるAC成分の振幅を検索することにより形成されてもよい。これは、FMM画像が、AC成分である変調された戻り光の振幅(または強度)を検索することにより形成されることを意味してもよい。FMMラインを生成するために、照射パターンによる励起ラインをサンプルの区画内に形成してもよい。サンプルの区画に対応する照射ライン領域からの出射光または戻り光の少なくとも2つのラインを、一方は焦点強度が最大に達したときに、他方は焦点強度が最小に達したときに、集光してもよい。これら2つのライン間の差がFMMラインとなる。複数のFMMラインを、励起ラインが焦点面において走査されるときに連続して又は順次取得し、これらFMMラインを結合させてFMM画像を形成してもよい。
なお、光学顕微鏡300(図3)および400(図4)を、ラインを用いた照射パターンを用いて説明したが、他の照射パターン、例えば、点の配列(例えば、入射光点の配列)を照射ラインの代わりに用いてもよい。点の配列は、マイクロレンズアレイまたは回折素子を用いて生成してもよい。限定されない例として、シリンドリカルレンズ304(図3および4)をマイクロレンズアレイと置き換えてもよい。照射パターンとして点の配列を用いる実施形態では、検出スリット326(図3および図4)を、点配列の照射パターンと少なくとも実質的に一致する開口と置き換えてもよい。例えば、スリット326を、点配列に対応する複数の開口部を有する開口と置き換えてもよい。
本発明について、主に特定の実施形態を参照しながら記載および説明してきたが、本技術分野の当業者であれば、下記の請求項によって規定される本発明の本質および技術分野から逸脱することなく、設計および詳細について多数の変更が実施可能であることが理解できるであろう。したがって、本発明の範囲は添付の請求項によって決定され、文言上の意味の範囲内、または請求項に等価な事項の範囲内における変更は、すべてが包含されることを意図するものである。