典型的なスパークプラグ技術は1950年代にまで遡るが、近年、スパークプラグにさらに高い電気容量を提供するか、現存のスパークプラグと並列にコンデンサを取り付ける多様な試みが為されている。これらの設計はスパークの放電強度を増強するが、知られている設計は非効率であるか、構造が複雑であって高価格である。本発明は、コンデンサがセミサーフェスギャップを有したスパークプラグに組み入れられている単純で信頼性が高い方法および装置を提供する。
米国特許第3683232号、米国特許第1148106号、および米国特許第4751430号はスパーク強度を増強するためにコンデンサを活用することを説明している。放電の強度を決定するコンデンサの電気容量には一切言及しない。さらに、もしコンデンサが十分に大きな容量を備えているなら、点火用変圧器の出力部とスパークギャップの間の電圧降下はギャップイオン化およびスパーク発生を妨害し得る。
アームストロングの米国特許第3599030号はコンデンサ放電点火システムを採用するエンジンで運用されるサーフェスギャップスパークプラグを説明する。アームストロングは、高圧急速立上げ放電システムと共にサーフェスギャップデザインを利用することで実質的に全てのプラグ保守問題が回避できることを教示する。しかしアームストロング(特許)はセミサーフェスプラグの利用あるいはどのようにコンデンサをプラグに組み入れるかを教示せず、ましてや自動的に起動されるコンデンサは全く教示していない。電気抵抗はエアギャップを通過する場合よりも表面では小さいという理由と、アームストロングがサーフェスギャッププラグをただ教示するだけであるため、アーク(電弧)が発生される前にアームストロングが創出できる最大電圧は、アームストロングがスパークギャップの全部または少なくとも一部をエアギャップから形成した場合に可能であったであろう電圧よりも大幅に低い。さらにアームストロングが使用する絶縁体の表面はヒートシンクとして作用し、アーク端子から熱を引き離すので、アームストロングは、その外部電極での炭素蓄積に対処しなければならないことになる。さらにアームストロングのスパークギャップ全体は絶縁体の表面から形成されており、破壊電圧はエアギャップが使用されたとした場合よりも大幅に低いので、アームストロングのプラグのスパークのピーク電圧およびピーク電流のもまた低くなる。低い電圧と電流のため、アームストロングが関与するローレンツ力は、絶縁体の表面からスパークを発生させ、スパークプラグから放出し、空気/燃料混合物内に送り込むには十分ではない。
米国特許第4549114号は、補助ギャップをスパークプラグの本体に取り込むことによって主要スパークギャップのエネルギーを増強できると主張する。燃料送りとスパークタイミングを制御するために電子処理を活用する内燃機関スパーク点火式エンジンにおいて燃料の点火のために単体スパークプラグで2つのスパークギャップを使用すると、それら2つのスパークギャップにより発生するEMI/RFIが中央処理装置を不調にすることがあるため、エンジンの運用に対して致命的になることがある。
米国特許第5272415号では、コンデンサは非抵抗型スパークプラグに取り付けられていることが開示されている。静電容量は説明されておらず、どこにも非抵抗型スパークプラグによって発生する電磁気干渉および周波数干渉の記載はない。このことは、もしEMI/RFIに対する適切な遮断処置が施されていなければ中央処理装置が機能を停止したり、中央処理装置に永久的な損傷が引き起こされる可能性があることを意味する。
米国特許第5514314号は、スパークプラグの正電極と負電極の領域に磁界を印加することで火花のサイズを増大させることを開示する。この発明はまたモノリシックな電極、集積コイルおよびコンデンサを作り出すと主張するが、種々な電気部品を提供するモノリシックな導電通路の抵抗値は開示しない。電気部品の導電通路は適正な機能を提供する1.5から1.9Ω/mの抵抗値用に設計されている。サーメットインクに備わるセラミック材料の移動による導電通路の劣化は電気装置の効率と運用性を低下させる。加えて、モノリシックな部品の反対荷電された導電通路を分離する絶縁媒体の電圧ホールドオフにも一切言及がない。もしアルミナ86%等の標準セラミック材料がスパークプラグ絶縁体に使用されるなら、誘電強度または電圧ホールドオフは200V/ミルである。内燃スパーク点火式エンジンのスパークプラグの標準運用電圧幅は5KVから20KVであり、最新モデルの自動車用点火機能ではピークが40KVである。これではモノリシックな電極、集積コイルおよびコンデンサをこのレベルの電圧に対して絶縁できないであろう。
いくつかの従来型セミサーフェスギャッププラグが知られてはいるが、そのようなプラグは、比較的に一定であるエンジン速度が維持される内燃機関では非常に限定された利用性を有するだけである。これはセミサーフェスギャッププラグが、機動的なエンジン速度が関与するエンジンで発生する故障に非常に弱いためである。大抵のエンジン、特に自動車エンジンは、幅広いエンジン速度にわたって型通りに運用されるので、知られたセミサーフェスギャッププラグは望ましい結果を提供できず、そのようなエンジンに採用することができなかった。パルス式セミサーフェスギャッププラグの1つの利点は、従来プラグよりも高いピーク電圧が達成可能であり、さらに大きな点火エネルギーを空気/燃料混合物に与えることができ、エンジン性能を高めることができることである。従って機動的な速度のエンジンで使用が可能なセミサーフェスギャッププラグの需要が存在する。
コンデンサは並列に回路に接続されているため、利用時には点火パルスはスパークギャップとコンデンサとに同時的に適用される。スパークギャップの抵抗に打ち克つためにコイルは誘導的に電圧を上昇させるため、コンデンサの抵抗がスパークギャップの抵抗よりも小さいとエネルギーはコンデンサに蓄積される。イオン化によってスパークギャップの抵抗が克服されると、スパークギャップとコンデンサとの間に抵抗の逆転現象が発生し、コンデンサは蓄積されたエネルギーをスパークプラグで非常に急速に(典型的には約1ナノ秒から10ナノ秒)放電し、電流をピークにしてスパークの強度をピークにする。
好適には、コンデンサはスパークギャップを破壊するのに必要とされる電圧レベルにまで荷電される。エンジン負荷が増加すると真空は減少し、スパークギャップの空気圧は増加する。圧力が増加するとスパークを破壊するのに必要とされる電圧は増加し、コンデンサにさらに高い電圧を印加させる。結果としての放電は高くなった強度値にまで頂点化される。好適にはコンデンサはコイルの電圧の上昇と同時に荷電されるので、タイミングに関する遅延は存在しない。結果としてプラグのセミサーフェスギャップで発生する強度が高められたスパークがスパークギャップにて絶縁体の表面から軸方向に放出され、スパークプラグの先端が到達するよりもさらに深くエンジンのシリンダー内に進入する。
本発明の目的、利点および新規な特徴、並びにその利用性は、添付図面を利用して以下で詳細に説明されており、本発明はその詳細な説明から当業技術者に明確に理解可能であり、あるいは本発明の実施によって学習されるであろう。本発明の目的および利点は「請求の範囲」に記載されている特徴およびそれらの組み合わせによって実現および達成されるであろう。
本発明の目的、利点および新規な特徴、並びにその利用性は、添付図面を利用して以下で詳細に説明されており、本発明はその詳細な説明から当業技術者に明確に理解可能であり、あるいは本発明の実施によって学習されるであろう。本発明の目的および利点は「請求の範囲」に記載されている特徴およびそれらの組み合わせによって実現および達成されるであろう。
本発明の1実施態様は、中央電極、その端子の端部で中央電極を少なくとも実質的に同心円状に包囲する固形絶縁体、その端子の端部で固形絶縁体を少なくとも実質的に同心円状に包囲するエアギャップ、エアギャップを少なくとも実質的に同心円状に包囲する外部電極を有したスパークプラグに関する。スパークギャップは中央電極と外部電極との間で形成され、エアギャップと絶縁体の表面を含む。スパークプラグはさらに、スパークプラグ内に形成されたコンデンサを含む。1実施態様では外部電極は、その端子の端部に配置できる1以上の隆起部を有することができる。オプションでは4以上の隆起部が存在でき、また別なオプションでは6以上の隆起部が存在できる。
1実施態様では、コンデンサの外部プレートは外部電極に電気的に接続されており、固形絶縁体はコンデンサの誘電体を形成する。オプションではコンデンサは2枚のプレートを含み、それらプレートの少なくとも一方は導電性インクで形成される。中央電極は電気的にコンデンサのプレートに接続できる。
1実施態様では、外部電極は中央電極の主軸に軸方向で整合した通路を横断する部分を一切有していない。オプションではスパークプラグはコンデンサのプレートに通信可能に連結された電気抵抗体も有することができる。コンデンサの荷電中に電流に抵抗するが、コンデンサからスパークギャップへの電流には抵抗しないよう抵抗体を電気的に接続することができる。
本発明の1実施態様は、スパークプラグ内に形成されたコンデンサ、およびスパークプラグの端子の端部に形成されたスパークギャップを有したスパークプラグにも関する。スパークギャップはエアギャップと固形絶縁体の表面とを含む。スパークプラグの外部導電体の端子の端部はスパークプラグの内部導電体の方向である内側に向かう放射状には突起しない。1実施態様では、誘電体、絶縁体および固形絶縁体は全て接続されており、全ては単体の材料から形成されている。
本発明の1実施態様は、スパークプラグ内にコンデンサを形成し、スパークプラグの運用中に形成されるスパークが内部導電体と外部導電体との間で放射状に放出され、固形絶縁体の表面を移動し、エアギャップを移動するようにセミサーフェススパークギャップを形成し、スパークプラグの運用中に形成されるスパークを、スパークを形成する電子流に作用する作用力の影響のため、スパークプラグの端部から軸方向に離れるように放出することを含んだ燃料点火方法にも関する。1実施態様では、この作用力はローレンツ力を含むことができる。
1実施態様では、スパークの放出は、内部導電体と外部導電体との間で最も近い距離の少なくとも1/2の長さを有する距離だけスパークプラグの端部から離れるように軸方向にスパークが放出されることを含むことができる。さらに好適には、スパークの放出は、内部導電体と外部導電体との間で最も近い距離の長さに少なくとも等しい長さの距離だけスパークプラグの端部から離れるように軸方向にスパークが放出されることを含むことができる。
本願に含まれ、本願の一部を構成する添付図面は本発明の1以上の実施例を図示しており、それらの説明と共に本発明の原理の説明に寄与する。これら図面は本発明の1以上の好適実施例を説明する目的のみに提供されており、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
本発明の1実施例は、好適にはエアギャップとサーフェスギャップから形成されるスパークプラグを有した改良型スパークプラグであって、スパークプラグの内部に形成されたコンデンサを有しているスパークプラグに関する。
本明細書を通じて、用語“抵抗体”とは、少なくとも10Ω/cmの抵抗を有した任意の材料を含むものを意味する。
図1から図4Bに図示されているように、プラグ10は、好適には内部導電体14と負電極15との間に存在する開状エア部分12と絶縁体30の端面で形成されたサーフェススパークプラグ11を含んでいる。1実施例では、開状エア部分12は好適には、スパークギャップ11での絶縁体30と負電極15との間に配置された凹状領域で形成されている。オプションとして負電極15は単に外部導電体16の端部であるか、あるいは電極15は外部導電体16に電気的に接続されている別材料で形成できる。例えば、負電極15は、腐食を減少させるように貴金属合金で形成でき、外部導電体16に溶接または他の方法によって取り付けることができ、あるいは外部導電体16の上に形成できる。外部導電体16は好適には、接地されたエンジンブロック内に螺合された螺溝部分18を介してエンジン回路と接触する。1実施例では内部導電体14は好適には、抵抗体接続材料22と22’、抵抗体24、導電体26および接続柱体28を含む。この実施例では、コンデンサは絶縁体30、導電性コーティング32および抵抗体24の一部で形成されている。この実施例では、抵抗性がコンデンサの性能を決定するので、抵抗体24で内部プレートの一部を形成することにより、及び/又は抵抗体の抵抗値を調節することにより、コンデンサの性能はオプション的に調節できる。オプションでは、接続材料22および22’は、好適には導電性フリット材料で形成でき、特に好適には銅材料を含む。別実施例では、図7Aで明示するように抵抗体はコンデンサのプレートの形成には一切関与しない。その代わりに、導電性コーティング32と33は、図4Aと図4Bで明示するように、好適にはコンデンサの導電プレートとして使用される。別実施例では、コンデンサの内部プレートは、導電性コーティング33の全部あるいは一部の代わりに、最も近い絶縁体30である導電性フリット122のそれら部分とガス密閉インサート130で形成できる。さらに別な実施例では、最も近い絶縁体30である外部導電体16の代わりに導電性コーティング32の全体または一部が省略できる。図4Aと図4Bでは、絶縁体30の表面はダブルハッチングされており、導電性コーティング32と33の好適な適用領域を示している。導電性コーティング32への接続は、好適には導電シール34を介して外部導電体16に対して実行される。導電シール34は導電性コーティング32で形成されるコンデンサプレートと外部導電体16との間の電気接続を提供するばかりではなく、エンジン活用時に、加熱された気体を絶縁体30と外部導電体16との間で通過させない。導電シール34は種々な材料から形成でき、非常に望ましい結果を提供するであろうが、導電シール34は最も好適には銅材料を含む。
コンデンサの外部プレートは好適には、その上に配置される導電性コーティング32によって形成される。オプションではコーティング32は導電性インクを含むことができ、コーティング32はオプションで、噴霧、パッドプリンティング、ローリング、ディッピング、ブラッシングまたは別な方法によって絶縁体30の外側部分に被覆できる。1実施例では絶縁体30の外径の一部は、柱体28が存在する絶縁体30の端部から、例えば約12.5mmのごとき所定の距離を除いて、さらに燃焼チャンバ内で露出されている絶縁体のその部分を除いて被覆されている。オプションでは導電性コーティング32は銀または銀/プラチナ合金を含んでいる。
1実施例では、導電性コーティング32が絶縁体30に適用されると、それは信頼性が高くて制御可能な熱を伝達できる赤外線、天然ガス、プロパン、電気または他の熱源によって約750℃から約900℃の温度に曝露される。絶縁体30は好適には、導電性コーティング32及び/又は33の組成に応じて約10分間から約60分間以上の時間をかけて熱に曝露される。これで溶剤およびキャリア剤は揮発し、好適には分子的に金属を絶縁体30の表面に接着させる。コーティング32及び/又は33が絶縁体30に接着されると、プレートの抵抗性は純粋金属の抵抗性と同じになるか、実施的に同じになる。
絶縁体30は好適には、電気抵抗性で、プラグ10に望む結果を達成する能力を提供し、内燃点火の電圧に対して絶縁させるのに十分な誘電強度を備える好適な構造品質を提供するアルミナ、その他のセラミック誘導体、または他の材料で構成される。1実施例においてはコンデンサの外部プレートは絶縁体30の外面に接着されており、内部プレートは絶縁体30の内面の少なくとも一部に接着された導電プレートで形成されている。静電容量は絶縁体30のこれら対面する表面の表面積を含む計算式を使用し、誘電率と厚みを考慮に入れて計算される。コンデンサの静電容量値は、プレートの形状および絶縁体30の厚みと誘電率に応じて約10ピコファラッドから100ピコファラッドまでの幅がある。
図2Aと図2Bとの比較により明示されるように、好適には導電体26はその端子の端部に開口部36を含む。オプションで開口部36は、柱体28の端部の端部分がそこに押し込み固定されるか、別形態で電気的および物理的に接続される滑らか及び/又は摩擦誘導面を含むことができる。オプションで開口部36は、柱体28を導電体26の開口部36内に螺合させるように柱体40にも螺溝40が提供できるよう、そこに形成された螺溝38を有することができる。さらに別実施例では開口部36は導電体26内に短距離だけ延入することができ、柱体28の一部をそこと係合させ、あるいは開口部36は必要以上にさらに延出して柱体28の一部を収容することができる。1実施例では1以上の追加の開口部42が、導電体26の一部を通って、少なくとも実質的に放射状に配置でき、最も好適には開口部36と開口部42との間で連動可能な接続を提供する構造で、それら開口部が互いに交差するような形態に配置できる。
1実施例では、導電体26は好適には、接続材料22’及び/又は抵抗体24を導電体26にロックさせる凹状領域37または他の摩擦創出形状を含む。1実施例では、コンデンサの内部プレートの約75%未満、好適には約50%未満、さらに好適には約25%未満が金属物質から製造される。本発明の1実施例では、コンデンサの内部プレートは約10%未満の金属物質で形成される。1実施例では、コンデンサの内部プレートの少なくとも約10%、好適には少なくとも約50%、さらに好適には少なくとも約75%が抵抗材料で形成される。1実施例では、コンデンサの内部プレートの少なくとも約90%が抵抗材料で形成される。
図3で明示するように、開状エア部分12と絶縁体端部30を含んだスパークギャップ11は好適には、内部導電体14の端部周囲で同心円状に形成され、好適にはローレンツ力により長軸方向に延びるが、内部導電体14と負電極15との間でスパークが、好適には放射状に広がる。これは、スパークが内部導電体から軸方向にだけ延出する従来のスパークプラグのギャップとは異なるところである。オプションでは負電極15は外部導電体16の一部で形成できる(図2B参照)。しかしオプションでは負電極15は、タングステン、シュワルツコフ、(PM1000)、ニッケル、プラチナ、イリジウム、レニウム、それらの組み合わせ、およびそれらの合金等の外部導電体16とは異なる材料及び/又は別々に形成できる。負電極15が外部導電体16とは別の材料で形成されるなら、負電極15は特に好適には外部導電体16に電気的および物理的に接続され、オプションではレーザ溶接、摩擦溶接、およびプレスフィット、雄/雌螺子、それらの組み合わせ、等々の物理固定手段を介して接続される。望ましい結果は少なくとも実質的に同心円状負電極を提供することで得られるが、負電極15は異なる形状、例えば、冠状を有することもできる。オプションでは内部導電体14及び/又は絶縁体30は、軸方向に延出し、負電極15からさらに離れるように突出することができる。あるいは負電極15は内部導電体14及び/又は絶縁体30からさらに離れるように軸方向に延出することができる。オプションでは内部導電体14の端部を形成するように使用が可能な、高温金属及び/又は合金のごとき別体の材料が使用できる。オプションでは内部導電体14は、長さ方向とは異なる形状をその端部に有することができる。例えば内部導電体14は球状先端部及び/又はディスク状先端部を有することができる。1実施例では外部導電体16はスパークプラグの電極端方向にテーパできる。オプションでは1実施例において、外部導電体16はプラグ10の電極端で絶縁体30に当接でき、開状エア部分12は提供されない。よって開状エアギャップ12が好適に提供されるが、1実施例では開状エアギャップ12は提供されない。この実施例では絶縁体30の端部面または別な固形絶縁体面は、好適には内部導電体14と負電極15との間でギャップ全体を形成する。別実施例では絶縁体30は内部導電体14の先端までの全長は延出せず、従ってスパークプラグ11の全体は好適には開状エア部分12によって形成される。
図7Aは本発明の1実施例によるスパークプラグ10の別実施例の本体部分105を図示する断面図である。オプションでは図7Bから図7Dに図示されている端部形状は全て従来のJ形状電極(図7B)、冠形状セミサーフェスギャップ電極(図7C)または非冠状セミサーフェスギャップ電極(図7D)を有するプラグが本発明の1実施例によるスパークプラグ内に形成できるように本体部分105の端部に配置できる。さらに図7Eで明示するように、冠状セミサーフェスギャップ電極は少数の負電極のみを有するように提供できる。オプションでは1つのみの負電極が提供できる。あるいは、2つ、3つ、4つまたは5つのみの負電極が提供できる。1実施例では6以上の負電極が提供できる。1実施例では1以上の負電極は非均質形状を有することができ、それら1以上の負電極の端子の端部はそれら1以上の負電極の手前部分よりも大きい(図10参照)。図7Aで図示されているように、本体105は好適には前述のごとく絶縁体30を含み、前述のようにその外面の少なくとも一部に適用された導電性コーティング32(図4A参照)を有している。導電性コーティング32は好適にはコンデンサの負プレートを形成する。図4Bの断面図で明示するように、1実施例ではコンデンサの正プレート33は、負のプレートコーティング32が被膜されているので、絶縁体30と実質的に同じ長さに沿って絶縁体30の内面の少なくとも一部に適用された導電性コーティングにより形成される。よって絶縁体30は好適にはコンデンサの誘電体を形成する。1実施例ではコンデンサの内部(正)プレートと外部(負)プレートの両方を形成する導電性コーティングは好適には導電性インクで形成される。オプションでは抵抗性フリット132はコンデンサの内部プレートの一部の形成には一切利用されない。しかし、抵抗性フリット132の全部または一部はコンデンサの内部プレートの一部の形成に使用される。1実施例では第1導電フリット122および第2導電フリット133は好適には導電フリット材料で形成され、最も好適には銅材料、銀材料、アマルガムまたはそれらの組み合わせを含んでいる。
ガスシール(気密)インサート130はいくつかの導電材料から形成できる。1実施例ではガスシールインサート130は最も好適には鋼材から形成される。抵抗性フリット132は好適には第1導電フリット122と第2導電フリット133との間には挟まれている。よって、導電フリット122と133は好適には、導電体26、抵抗性フリット132、ガスシールインサート130および内部導電体14の間の電気的および機械的接続を確実にするよう作用する。この実施例では、コンデンサの内部プレートの全部または一部は非抵抗性材料で形成されている。従ってこの抵抗性材料は、コンデンサを荷電する電流に抵抗するような回路位置に抵抗を提供するが、スパークギャップ11を介したコンデンサの放電サイクル中には電流に抵抗しない。好適には本体部分105の残り部分はスパークプラグ10の前述した実施例と一致している。
図8Aと図8Bは従来のスパークプラグを使用した試験で得られた実際の測定値を示す。図8Cと図8Dは本発明の教示に従って構成されたスパークプラグで得られた実際の測定値を示す。図8Aから図8Dで示されるように、グラフのY軸はスパークギャップ破壊電圧を表し、X軸は時間を表す。図示するように、スパークギャップ破壊電圧に事実上相違は存在せず、全スパーク現象時間にも事実上相違は存在しない。よって本発明の教示により構成されたプラグのコンデンサは、図9で明示するように、放電電流のピーク時にスパークのストリーマ相に影響を及ぼすだけである。
本発明の1実施例は点火の低電圧側ではなく点火システムの高電圧側にコンデンサを提供する。低電圧側は約1000V未満の電圧であり、高電圧側は約10000V以上、好適には約25000V以上の電圧である。1実施例では本発明のスパークプラグはコンデンサを有した点火回路との関連では使用されない。1実施例では従来のエンジン回路に接続されると、プラグ10は少なくとも1MW、好適には少なくとも4MW、さらに好適には約5MWのピーク電力を有するスパークを提供する。本発明の1実施例は、少なくとも1000W、好適には少なくとも100000W、さらに好適には少なくとも1MW、さらに好適には約5MWのピーク電圧を有する電気スパークを、機動的な速度のエンジンのスパークプラグのセミサーフェスギャップ形状のスパークギャップに提供することを含む。1実施例では本発明のスパークプラグは補助的均質荷電コンプレッション点火システムで使用できる。1実施例では、本発明のスパークプラグは強制セミ均質荷電コンプレッション点火システムで使用できる。図5と図6のグラフは、高出力プラグが従来のスパークプラグよりも燃料を良好に点火して燃焼することを示す。それらは短い燃焼時間であり、非常に希薄な混合物に点火することができ、エンジン設計者に燃料混合物でのEGR(排気ガス再循環)割合を増加させ、排気ガスを減少させ、燃費を向上させる能力を付与する。システムの当量比は化学量的燃料−酸化剤比(いわゆる“希釈”)と比較した燃料と酸化剤の混合比として定義される。Φ(ファイ)=1.00であれば、混合物は化学量的であり、Φ=0.9の場合は希薄混合物である。
本発明の実施例は機動的エンジン速度を必要とする利用形態に採用されるべく、セミサーフェスギャッププラグの使用において向上された結果を提供することができる。これはプラグ10内に形成されたコンデンサによって提供される増強されたスパークが、大幅にパワーアップしているスパークを発生させるだけではなく、スパークをプラグ10から少々跳躍させ、プラグ10が置かれている燃焼チャンバ内にさらに少々突入させるからである。この増強されたスパーク強度と、スパークによって発生される高圧波と、少々突出するスパークの組み合わせは、さらに急速に発達する爆発を引き起こし、さらに速い燃焼時間を提供する。さらに速い燃焼時間は、従来のセミサーフェスギャップスパークプラグによる渦流よりも大幅に激しい渦流を提供する。この増強された渦流は2つのことを実行する。まず空気/燃料混合物でエンジンシリンダー内に突入しているスパークプラグの部分をさらに完全に包囲させ、増強された渦流でプラグのスパークギャップに堆積物および蓄積物を残らせない。
1実施例において、本発明のスパークプラグは機動的なエンジン速度条件で遭遇する非化学量的空気/燃料混合物に点火できる。軽負荷・低RPMから高負荷・高RPMの運用範囲、並びに全ての他の変更においては、従来のJギャップスパーククプラグを有するパルス式プラグは約5KVから約25KVの破壊電圧を招く。破壊電圧が高いほどコンデンサに蓄えられる放電エネルギーは高くなる。同一運用条件の下では、セミサーフェスギャップは破壊前に約20KVから約28KVを必要とする。よって全運用条件においては、セミサーフェスギャップは燃料供給にさらに多くのエネルギーを結合させることになろう。さらなる実施例では、プラグ10は従来のJギャッププラグよりも少なくシリンダー内に進入する。すなわちロータリエンジンや非常に高い圧縮が関与するレース用エンジンでは、プラグ10はシリンダー内に少な目に進入し、ピストンヘッドのクレアランス問題を回避する。1実施例では、本発明の1実施例によるスパークプラグはスパークギャップ破壊電圧を変更しない。1実施例では、本発明の1実施例によるスパークプラグは点火タイミングを変更及び/又は緩和しない。1実施例では、本発明の1実施例によるスパークプラグは、セミサーフェスギャップを有しておらず、コンデンサを含まない従来のスパークプラグよりも大きな電気負荷を点火システムに加えない。1実施例では、本発明の1実施例によるスパークプラグは、スパーク時のドウェル時間または全体時間を変更しない。よって、本発明の実施例によるスパークプラグは従来のプラグよりも向上した燃料効率とエンジン性能とを提供し、エンジンキャリブレーションを変更することなく取り付けられる。
1実施例では、セミサーフェスプラグと高電圧パルス放電の組み合わせによって特に望ましい結果が得られる。これは、ローレンツ力によって引き起こされる電気スパークに対する効果によるものである。電気アークを形成する電子に対して発揮されるローレンツ力の大きさは式F=q[E+(v*B)](Fはローレンツ力、qは粒子電荷、Eは電界強度、vは粒子速度、Bは磁界強度)で得られる。この式で明確に確認できるように、パルス放電で創出される高電界(E)と高磁界(B)は、電気アークをスパークギャップに形成する電子に対して発揮されるローレンツ力を大きく増加させる。創出される磁界は電流強度に依存するため、本発明の1実施例によるスパークプラグのスパークに発揮されるローレンツ力は、スパークプラグに合体されるスパークプラグの放電中に送電される高電流の影響によってさらに増強される。1実施例では、スパークはスパークプラグの端部からローレンツ力、1以上の他の作用力またはそれらの組み合わせによって軸方向に放出される。
図10はプラグ10からアーク150を形成する電子に発揮される強力なローレンツ力の効果を示す図である。明示されているように、強力なローレンツ力はアーク150をスパークプラグの先端から軸方向に放出させ、エンジンのシリンダーの空気/燃料混合物内に進入させる。スパークプラグの先端、よって空気/燃料混合物の空間的中心にさらに近いところからのスパーク放出は、空気/燃料点火反応波を確実に空気/燃料混合物全体でさらに急速に移動させる。加えて、これで大幅に大きくなった火炎核を創出し、大幅に加速された(0%から50%)燃焼混合物の質量分画燃焼を引き起こす。これにより、各点火サイクルでさらに完全な燃料燃焼だけでなく、高ピストン圧をさらに急速に展開させ、エンジントルクを増強し、エンジン馬力を増加させる。一方、サイドワイヤがJ形状である従来のスパークギャップは、サイドワイヤが燃焼チャンバ内にさらに深く進入することを必要とする。スパークプラグは典型的にはエンジンクーラントが通過するのと同じ位置にてエンジンに設置されるので、燃料混合物内に進入するスパークプラグはヒートシンクとして機能する。これでスパークプラグは空気/燃料混合物から急速に熱を引き出し、反応を妨害する。J形状のサイドワイヤは成長する火炎核を包囲し、さらに妨害する。従って、このような従来形状のスパークギャップは、リーンバーンを妨害し、エンジンパワーを低下させ、燃料効率を引き下げる。
本発明の1実施例は、コンデンサ放電スパークを形成するのにスパークプラグと分離されたコンデンサを必要としない。1実施例では、スパークプラグは少なくとも実質的に正電極周囲に同心円状に配置された固形絶縁体部分と、少なくとも実質的にその固形絶縁体部分の周囲に同心円状に配置されたエアギャップ部分とから形成される。1実施例では、中央電極はプラグを介して延出しない。この実施例では、中央電極は部分的にスパークプラグの電極端内に延入するだけである。
本発明は特に好適実施例に関連させて詳細に解説されたが、他の実施形態でも同じ結果をもたらすことができる。本発明の変形および修正は専門家には自明であり、そのような変形や修正は「発明の範囲」に含まれることが意図されている。