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JP2015223609A - 摩擦攪拌接合方法 - Google Patents

摩擦攪拌接合方法 Download PDF

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JP2015223609A JP2014109899A JP2014109899A JP2015223609A JP 2015223609 A JP2015223609 A JP 2015223609A JP 2014109899 A JP2014109899 A JP 2014109899A JP 2014109899 A JP2014109899 A JP 2014109899A JP 2015223609 A JP2015223609 A JP 2015223609A
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Abstract

【課題】金属部材同士の内隅から突合せ部を摩擦攪拌接合する場合に、内隅の金属不足を解消することを課題とする。【解決手段】攪拌ピンF2を備えた接合用回転ツールFを用いて二つの金属部材1,2を接合する摩擦攪拌接合方法であって、一方の金属部材1の側面1aに他方の金属部材2の端面2cを突き合わせて突合せ部J1を形成することにより正面視T字状の被接合金属部材を形成する突合せ工程と、被接合金属部材の少なくとも一方の内隅に肉盛溶接を施して溶接金属U1で内隅を覆う肉盛溶接工程と、回転した攪拌ピンF2を内隅に挿入し、攪拌ピンF2のみを溶接金属U1及び被接合金属部材に接触させた状態で突合せ部J1の摩擦攪拌を行う接合工程と、を含むことを特徴とする。【選択図】図2

Description

本発明は、金属部材同士を摩擦攪拌で接合する摩擦攪拌接合方法に関する。
金属部材同士を接合する方法として、摩擦攪拌接合(FSW=Friction Stir Welding)が知られている。摩擦攪拌接合とは、回転ツールを回転させつつ金属部材同士の突合せ部に沿って移動させ、回転ツールと金属部材との摩擦熱により突合せ部の金属を塑性流動させることで、金属部材同士を固相接合させるものである。
例えば、特許文献1には、垂直に突き合わされた金属部材同士の内隅に回転ツールの攪拌ピンのみを挿入して突合せ部の摩擦攪拌接合を行う技術が開示されている。従来の摩擦攪拌接合方法の回転ツールは、ショルダ部を備えておらず回転ツールの攪拌ピンのみを内隅に挿入するため、突合せ部の深い位置まで摩擦攪拌を行うことができる。
特開2013−049072号公報
しかし、従来の摩擦攪拌接合方法であると、塑性流動化した金属をショルダ部で押さえないため、塑性流動化した金属が内隅の外部に溢れ出やすくなる。これにより、内隅が金属不足になるという問題がある。
そこで、本発明は、金属部材同士の内隅から突合せ部を摩擦攪拌接合する場合に、内隅の金属不足を解消することができる摩擦攪拌接合方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明は、攪拌ピンを備えた回転ツールを用いて二つの金属部材を接合する摩擦攪拌接合方法であって、一方の金属部材の側面に他方の金属部材の端面を突き合わせて突合せ部を形成することにより正面視T字状の被接合金属部材を形成する突合せ工程と、前記被接合金属部材の少なくとも一方の内隅に肉盛溶接を施して溶接金属で前記内隅を覆う肉盛溶接工程と、回転した攪拌ピンを前記内隅に挿入し、前記攪拌ピンのみを前記溶接金属及び前記被接合金属部材に接触させた状態で前記突合せ部の摩擦攪拌を行う接合工程と、を含むことを特徴とする。
かかる摩擦攪拌接合方法によれば、金属部材を突き合わせて形成された内隅に予め肉盛溶接を施した後に摩擦攪拌を行うことで内隅の金属不足を解消することができる。
また、前記肉盛溶接工程では、前記被接合金属部材の二つの内隅に肉盛溶接を施して溶接金属で各内隅を覆い、前記接合工程では、前記被接合金属部材の二つの内隅の一方に摩擦攪拌を行う第一接合工程と他方に摩擦攪拌を行う第二接合工程とを行い、前記第二接合工程では、前記第一接合工程で形成された塑性化領域に前記攪拌ピンを入り込ませつつ摩擦攪拌を行うことが好ましい。
かかる摩擦攪拌接合方法によれば、肉盛溶接工程で金属部材同士の接合強度を高めることができるため、接合工程を安定して行うことができる。また、二つの内隅に摩擦攪拌を行うことで接合部の気密性及び水密性を高めることができるとともに、接合強度を高めることができる。さらに、一方の塑性化領域に攪拌ピンを入り込ませた状態で他方の接合工程を行うことで気密性及び水密性をより高めることができる。
また、本発明は、攪拌ピンを備えた回転ツールを用いて二つの金属部材を接合する摩擦攪拌接合方法であって、一方の金属部材の側面に他方の金属部材の端面を突き合わせて突合せ部を形成することにより正面視T字状の被接合金属部材を形成する突合せ工程と、前記被接合金属部材の少なくとも一方の内隅に補助部材を配置して前記補助部材で前記内隅を覆う補助部材配置工程と、回転した攪拌ピンを前記内隅に挿入し、前記攪拌ピンのみを前記補助部材及び前記被接合金属部材に接触させた状態で前記突合せ部の摩擦攪拌を行う接合工程と、を含むことを特徴とする。
かかる摩擦攪拌接合方法によれば、金属部材を突き合わせて形成された内隅に予め補助部材を配置した後に摩擦攪拌を行うことで内隅の金属不足を解消することができる。
また、前記補助部材配置工程では、前記被接合金属部材の二つの内隅に前記補助部材をそれぞれ配置して前記補助部材で各内隅を覆い、前記接合工程では、前記被接合金属部材の二つの内隅の一方に摩擦攪拌を行う第一接合工程と他方に摩擦攪拌を行う第二接合工程とを行い、前記第二接合工程では、前記第一接合工程で形成された塑性化領域に前記攪拌ピンを入り込ませつつ摩擦攪拌を行うことが好ましい。
かかる摩擦攪拌接合方法によれば、二つの内隅に摩擦攪拌を行うことで接合部の気密性及び水密性を高めることができるとともに、接合強度を高めることができる。また、一方の塑性化領域に攪拌ピンを入り込ませた状態で他方の接合工程を行うことで気密性及び水密性をより高めることができる。
また、前記突合せ工程後に、二つのツール挿入面を備えたタブ材を前記被接合金属部材の正面に当接するタブ材配置工程を含み、前記タブ材配置工程では、一方の前記補助部材の露出面と、前記タブ材の一方の前記ツール挿入面とを面一にするとともに、他方の前記補助部材の露出面と、前記タブ材の他方の前記ツール挿入面とを面一にすることが好ましい。
かかる摩擦攪拌接合方法によれば、接合工程の回転ツールの挿入位置をタブ材に設定することができる。また、各補助部材の露出面と、タブ材の二つのツール挿入面とをそれぞれ面一にすることで摩擦攪拌をスムーズに行うことができる。また、一のタブ材に二つの接合工程の挿入位置を設定することができるため、作業効率を高めることができる。
本発明に係る摩擦攪拌接合方法によれば、金属部材同士の内隅から突合せ部を摩擦攪拌接合する場合に、内隅の金属不足を解消することができる。
本実施形態の接合用回転ツールを示した側面図である。 (a)は第一実施形態に係る突合せ工程及び肉盛溶接工程を示す断面図であり、(b)は第一接合工程を示す断面図である。 第一実施形態に係る第二接合工程を示す断面図である。 (a)は第二実施形態に係る突合せ工程及び補助部材配置工程を示す断面図である。 第二実施形態に係るタブ材配置工程を示す斜視図である。 第二実施形態に係る第一接合工程を示す斜視図である。 第二実施形態に係る第一接合工程を示す断面図である。 第二実施形態に係る第二接合工程を示す断面図である。
[第一実施形態]
本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まずは、本実施形態で用いる接合用回転ツールについて説明する。
図1に示すように、接合用回転ツールFは、連結部F1と、攪拌ピンF2とで構成されている。接合用回転ツールFは、特許請求の範囲の「回転ツール」に相当する。接合用回転ツールFは、例えば工具鋼で形成されている。連結部F1は、摩擦攪拌装置の回転軸(図示省略)に連結される部位である。連結部F1は円柱状を呈し、ボルトが締結されるネジ孔B,Bが形成されている。
攪拌ピンF2は、連結部F1から垂下しており、連結部F1と同軸になっている。攪拌ピンF2は連結部F1から離間するにつれて先細りになっている。攪拌ピンF2の外周面には螺旋溝F3が刻設されている。本実施形態では、接合用回転ツールFを右回転させるため、螺旋溝F3は、基端から先端に向かうにつれて左回りに形成されている。言い換えると、螺旋溝F3は、螺旋溝F3を基端から先端に向けてなぞると上から見て左回りに形成されている。
なお、接合用回転ツールFを左回転させる場合は、螺旋溝F3を基端から先端に向かうにつれて右回りに形成することが好ましい。言い換えると、この場合の螺旋溝F3は、螺旋溝F3を基端から先端に向けてなぞると上から見て右回りに形成されている。螺旋溝F3をこのように設定することで、摩擦攪拌の際に塑性流動化した金属が螺旋溝F3によって攪拌ピンF2の先端側に導かれる。これにより、被接合金属部材(金属部材1,2)の外部に溢れ出る金属の量を少なくすることができる。
接合用回転ツールFを用いて摩擦攪拌接合をする際には、被接合金属部材に回転した攪拌ピンF2のみを挿入し、被接合金属部材と連結部F1とは離間させつつ移動させる。言い換えると、攪拌ピンF2の基端部は露出させた状態で摩擦攪拌接合を行う。
具体的な図示は省略するが、後記する接合工程を行う場合は、例えば、先端にスピンドルユニット等の回転駆動手段を備えたロボットアームに接合用回転ツールFを取り付けて摩擦攪拌を行うことができる。このような摩擦攪拌装置によれば、接合用回転ツールFの挿入位置及び挿入角度等を容易に変更することができる。
次に、本発明の第一実施形態に係る摩擦攪拌接合方法について説明する。本実施形態に係る摩擦攪拌接合方法では、突合せ工程と、肉盛溶接工程と、接合工程と、を行う。
図2に示すように、本実施形態では、金属部材1,2を突き合わせて形成された突合せ部J1を摩擦攪拌によって接合する。金属部材1,2は、金属製であって、直方体(板状)を呈する。金属部材1,2は同等の材料で形成されている。金属部材1,2の材料は、摩擦攪拌可能な金属であれば特に制限されないが、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、チタン、チタン合金、 マグネシウム、マグネシウム合金等から適宜選択すればよい。
突合せ工程は、金属部材1,2を突き合わせて突合せ部J1を形成する工程である。図2の(a)に示すように、突合せ工程では、金属部材1の側面1aの中央に、金属部材2の端面2cを突き合わせて突合せ部J1を形成する。突合せ工程によって、金属部材1,2からなる被接合金属部材が形成される。被接合金属部材は、正面視T字状を呈する。金属部材2の両側には第一内隅S1及び第二内隅S2が形成される。第一内隅S1は、金属部材1の側面1aと金属部材2の側面2aとで構成される隅部である。第二内隅S2は、金属部材1の側面1aと金属部材2の側面2bとで構成される隅部である。
肉盛溶接工程は、突合せ部J1に対して肉盛溶接を行う工程である。図2の(a)に示すように、肉盛溶接工程では、第一内隅S1及び第二内隅S2の延長方向に亘ってTIG溶接又はMIG溶接等の肉盛溶接を行う。肉盛溶接を行うことで、第一内隅S1及び第二内隅S2が溶接金属U1,U2でそれぞれ覆われる。溶接金属U1,U2の肉盛量は、接合工程を行った後に、塑性化領域W1,W2(接合部)の表面に凹溝が形成されたり、当該表面から溶接金属U1,U2が突出したりしない程度に設定することが好ましい。
接合工程は、接合用回転ツールFを用いて突合せ部J1に対して摩擦攪拌を行う工程である。図2の(b)及び図3に示すように、接合工程は、本実施形態では、第一内隅S1に摩擦攪拌を行う第一接合工程と、第二内隅S2に摩擦攪拌を行う第二接合工程とを行う。
第一接合工程は、第一内隅S1に右回転させた接合用回転ツールFを挿入し、溶接金属U1をなぞるようにして摩擦攪拌を行う。図2の(b)に示すように、第一接合工程では、攪拌ピンF2のみを金属部材1,2及び溶接金属U1に接触させた状態で摩擦攪拌を行う。つまり、攪拌ピンF2の基端側を露出させた状態で摩擦攪拌を行う。接合用回転ツールFの移動軌跡には塑性化領域W1が形成される。攪拌ピンF2の挿入角度は適宜設定すればよいが、本実施形態では鉛直面に対して接合用回転ツールFの回転中心軸を45°傾けている。
第二接合工程では、第二内隅S2に右回転させた接合用回転ツールFを挿入し、溶接金属U2(図2の(a)参照)をなぞるようにして摩擦攪拌を行う。図3に示すように、第二接合工程では、攪拌ピンF2のみを金属部材1,2及び溶接金属U2に接触させた状態で摩擦攪拌を行う。つまり、攪拌ピンF2の基端側を露出させた状態で摩擦攪拌を行う。接合用回転ツールFの移動軌跡には塑性化領域W2が形成される。攪拌ピンF2の挿入角度は適宜設定すればよいが、本実施形態では鉛直面に対して接合用回転ツールFの回転中心軸を45°傾けている。
第二接合工程では、少なくとも塑性化領域W2が塑性化領域W1に接触する程度に攪拌ピンF2を挿入することが好ましいが、本実施形態では攪拌ピンF2の先端を塑性化領域W1に入り込ませるように設定している。
以上説明した摩擦攪拌接合方法によれば、第一内隅S1及び第二内隅S2に予め肉盛溶接を施して溶接金属U1,U2の上から突合せ部J1に対して摩擦攪拌を行うことで第一内隅S1及び第二内隅S2の金属不足を解消することができる。
また、本実施形態では、二つの内隅(第一内隅S1及び第二内隅S2)に肉盛溶接を行っているため、被接合金属部材の接合強度を高めることができる。これにより、接合工程を安定して行うことができる。
また、本実施形態では、二つの内隅(第一内隅S1及び第二内隅S2)に摩擦攪拌を行うことで接合部の気密性及び水密性を高めることができるとともに、接合強度を高めることができる。また、第一接合工程で形成された塑性化領域W1に接合欠陥が発生するおそれがあるが、本実施形態のように塑性化領域W1に攪拌ピンF2を入り込ませて摩擦攪拌を行うことで、当該接合欠陥を補修することができる。これにより、水密性及び気密性をより高めることができる。
なお、肉盛溶接工程では、本実施形態では第一内隅S1及び第二内隅S2の両方に肉盛溶接を行っているが、少なくともいずれかに行えばよい。また、この場合は、肉盛溶接を行った内隅に対して摩擦撹拌を行えばよい。
〔第二実施形態〕
次に、本発明の第二実施形態に係る摩擦攪拌接合方法について説明する。本実施形態に係る摩擦攪拌接合方法では、第一内隅S1及び第二内隅S2に第一補助部材10及び第二補助部材11をそれぞれ配置する点で第一実施形態と相違する。第二実施形態に係る摩擦攪拌接合方法では、第一実施形態と相違する部分を中心に説明する。
本実施形態に係る摩擦攪拌接合方法では、突合せ工程と、補助部材配置工程と、タブ材配置工程と、接合工程とを行う。図4に示すように、突合せ工程は、第一実施形態と同等の要領で行う。
補助部材配置工程は、突合せ部J1に第一補助部材10及び第二補助部材11を配置する工程である。第一補助部材10及び第二補助部材11は、金属で形成されており、三角柱になっている。第一補助部材10及び第二補助部材11は、同等の形状で形成されている。第一補助部材10及び第二補助部材11は、摩擦攪拌可能な金属であればよいが、本実施形態のように金属部材1,2と同等の材料で形成されていることが好ましい。
第一補助部材10及び第二補助部材11は、断面直角二等辺三角形を呈する。第一補助部材10及び第二補助部材11の長さは、突合せ部J1の長さと同等になっている。図4に示すように、補助部材配置工程では、第一補助部材10の底面10aを金属部材1の側面1aに面接触させ、第一補助部材10の立上り面10bを金属部材2の側面2aに面接触させる。これにより、第一内隅S1が第一補助部材10で覆われる。
また、補助部材配置工程では、第二補助部材11の底面11aを金属部材1の側面1aに面接触させ、第二補助部材11の立上り面11bを金属部材2の側面2bに面接触させる。これにより第二内隅S2が第二補助部材11で覆われる。
第一補助部材10及び第二補助部材11の大きさは、接合工程を行った後に、塑性化領域W1,W2(接合部)の表面に凹溝が形成されたり、当該表面に各補助部材が残存したりしない程度に設定することが好ましい。
タブ材配置工程は、被接合金属部材の正面にタブ材Tを配置する工程である。図5に示すように、タブ材Tは、金属部材1,2と同等の金属で形成されており、三角柱になっている。タブ材Tの断面は、直角二等辺三角形になっている。タブ材Tは、底面T1、傾斜面T2,T3を備えている。
タブ材配置工程では、タブ材Tの底面T1と金属部材1の側面1bとを面一にするとともに、タブ材Tの端面を被接合金属部材の正面(金属部材1の正面1d及び金属部材2の正面2d)に面接触させる。そして、タブ材Tと被接合金属部材とを溶接により仮接合する。タブ材配置工程によって、タブ材Tの傾斜面(ツール挿入面)T2と第一補助部材10の傾斜面(露出面)10cとは面一になる。また、タブ材Tの傾斜面(ツール挿入面)T3と第二補助部材11の傾斜面(露出面)11cとは面一になる。
接合工程は、接合用回転ツールFを用いて突合せ部J1に対して摩擦攪拌を行う工程である。図6及び図7に示すように、本実視形態では、第一内隅S1に摩擦攪拌を行う第一接合工程と、第二内隅S2に摩擦攪拌を行う第二接合工程とを行う。
第一接合工程は、まず、タブ材Tの傾斜面T2に設定した開始位置SPに右回転させた接合用回転ツールFを挿入する。本実視形態では、傾斜面T2に対して接合用回転ツールFの回転中心軸が垂直となるように挿入する。そして、被接合金属部材方向に向けて接合用回転ツールFを相対移動させる。
接合用回転ツールFが第一補助部材10に達したら、そのまま傾斜面10cをなぞるようにして突合せ部J1に対して摩擦攪拌を行う。つまり、被接合金属部材の正面(金属部材1の正面1d及び金属部材2の正面2d)側から奥行方向に接合用回転ツールFを相対移動させる。図7に示すように、第一接合工程では、攪拌ピンF2のみを金属部材1,2、第一補助部材10に接触させた状態で摩擦攪拌を行う。つまり、攪拌ピンF2の基端側を露出させた状態で摩擦攪拌を行う。接合用回転ツールFの移動軌跡には塑性化領域W1が形成される。攪拌ピンF2の挿入角度は適宜設定すればよいが、本実施形態では鉛直面に対して接合用回転ツールFの回転中心軸を45°傾けている。つまり、傾斜面10cに対して接合用回転ツールFの回転中心軸を垂直に設定した状態で摩擦攪拌を行う。
第二接合工程は、まず、タブ材Tの傾斜面T3に設定した開始位置に右回転させた接合用回転ツールFを挿入する。本実視形態では、傾斜面T3に対して接合用回転ツールFの回転中心軸が垂直となるように挿入する。そして、被接合金属部材方向に向けて接合用回転ツールFを相対移動させる。
接合用回転ツールFが第二補助部材11に達したら、そのまま傾斜面11cをなぞるようにして突合せ部J1に対して摩擦攪拌を行う。図8に示すように、第二接合工程では、攪拌ピンF2のみを金属部材1,2及び第二補助部材11に接触させた状態で摩擦攪拌を行う。つまり、攪拌ピンF2の基端側を露出させた状態で摩擦攪拌を行う。接合用回転ツールFの移動軌跡には塑性化領域W2が形成される。攪拌ピンF2の挿入角度は適宜設定すればよいが、本実施形態では鉛直面に対して接合用回転ツールFの回転中心軸を45°傾けている。つまり、傾斜面11cに対して接合用回転ツールFの回転中心軸を垂直に設定した状態で摩擦攪拌を行う。
第二接合工程では、少なくとも塑性化領域W2が塑性化領域W1に接触する程度に攪拌ピンF2を挿入することが好ましいが、本実施形態では攪拌ピンF2の先端を塑性化領域W1に入り込ませるように設定している。接合工程が終了したら、被接合金属部材からタブ材Tを切除する。
以上説明した摩擦攪拌接合方法によれば、第一内隅S1及び第二内隅S2に予め第一補助部材10及び第二補助部材11をそれぞれ配置して、第一補助部材10及び第二補助部材11の上から突合せ部J1に対して摩擦攪拌を行うことで第一内隅S1及び第二内隅S2の金属不足を解消することができる。
また、本実施形態では、二つの内隅(第一内隅S1及び第二内隅S2)に摩擦攪拌を行うことで接合部の気密性及び水密性を高めることができるとともに、接合強度を高めることができる。また、第一接合工程で形成された塑性化領域W1に接合欠陥が発生するおそれがあるが、本実施形態のように塑性化領域W1に攪拌ピンF2を入り込ませて摩擦攪拌を行うことで、当該接合欠陥を補修することができる。これにより、水密性及び気密性をより高めることができる。
また、タブ材Tを配置することで、接合工程の接合用回転ツールFの開始位置(挿入位置)をタブ材Tに設定することができる。また、一のタブ材Tに第一接合工程及び第二接合工程の開始位置(挿入位置)を設定することができるため、作業効率を高めることができる。また、タブ材Tの傾斜面(ツール挿入面)T2と第一補助部材10の傾斜面(露出面)10cとが面一に設定されるとともに、タブ材Tの傾斜面(ツール挿入面)T3と第二補助部材11の傾斜面(露出面)11cとが面一に設定されることで、接合工程をスムーズに行うことができる。
なお、本実施形態では、第一補助部材10及び第二補助部材11が三角柱であるため、攪拌ピンF2が挿入される面、つまり、内隅において露出する露出面は傾斜面10c,11cとなっているが、これに限定されるものではない。第一補助部材及び第二補助部材のうち攪拌ピンF2が挿入される面(露出面)は曲面であってもよい。この場合、当該曲面と面一になるようにタブ材Tのツール挿入面の形状も変更することが好ましい。これにより、接合工程をスムーズに行うことができる。
また、第一実施形態においてもタブ材Tを用いて接合工程を行ってもよい。この場合も、タブ材Tの各ツール挿入面と溶接金属U1,U2の露出面とがほぼ面一となるように設定することが好ましい。
1 金属部材
1a 側面
2 金属部材
2a 側面
2b 側面
2c 端面
10 第一補助部材(補助部材)
11 第二補助部材(補助部材)
F 接合用回転ツール(回転ツール)
F2 攪拌ピン
J1 突合せ部
S1 第一内隅(内隅)
S2 第二内隅(内隅)
T タブ材
U1 溶接金属
U2 溶接金属
W1 塑性化領域
W2 塑性化領域

Claims (5)

  1. 攪拌ピンを備えた回転ツールを用いて二つの金属部材を接合する摩擦攪拌接合方法であって、
    一方の金属部材の側面に他方の金属部材の端面を突き合わせて突合せ部を形成することにより正面視T字状の被接合金属部材を形成する突合せ工程と、
    前記被接合金属部材の少なくとも一方の内隅に肉盛溶接を施して溶接金属で前記内隅を覆う肉盛溶接工程と、
    回転した攪拌ピンを前記内隅に挿入し、前記攪拌ピンのみを前記溶接金属及び前記被接合金属部材に接触させた状態で前記突合せ部の摩擦攪拌を行う接合工程と、を含むことを特徴とする摩擦攪拌接合方法。
  2. 前記肉盛溶接工程では、前記被接合金属部材の二つの内隅に肉盛溶接を施して溶接金属で各内隅を覆い、
    前記接合工程では、前記被接合金属部材の二つの内隅の一方に摩擦攪拌を行う第一接合工程と他方に摩擦攪拌を行う第二接合工程とを行い、
    前記第二接合工程では、前記第一接合工程で形成された塑性化領域に前記攪拌ピンを入り込ませつつ摩擦攪拌を行うことを特徴とする請求項1に記載の摩擦攪拌接合方法。
  3. 攪拌ピンを備えた回転ツールを用いて二つの金属部材を接合する摩擦攪拌接合方法であって、
    一方の金属部材の側面に他方の金属部材の端面を突き合わせて突合せ部を形成することにより正面視T字状の被接合金属部材を形成する突合せ工程と、
    前記被接合金属部材の少なくとも一方の内隅に補助部材を配置して前記補助部材で前記内隅を覆う補助部材配置工程と、
    回転した攪拌ピンを前記内隅に挿入し、前記攪拌ピンのみを前記補助部材及び前記被接合金属部材に接触させた状態で前記突合せ部の摩擦攪拌を行う接合工程と、を含むことを特徴とする摩擦攪拌接合方法。
  4. 前記補助部材配置工程では、前記被接合金属部材の二つの内隅に前記補助部材をそれぞれ配置して前記補助部材で各内隅を覆い、
    前記接合工程では、前記被接合金属部材の二つの内隅の一方に摩擦攪拌を行う第一接合工程と他方に摩擦攪拌を行う第二接合工程とを行い、
    前記第二接合工程では、前記第一接合工程で形成された塑性化領域に前記攪拌ピンを入り込ませつつ摩擦攪拌を行うことを特徴とする請求項3に記載の摩擦攪拌接合方法。
  5. 前記突合せ工程後に、二つのツール挿入面を備えたタブ材を前記被接合金属部材の正面に当接するタブ材配置工程を含み、
    前記タブ材配置工程では、
    一方の前記補助部材の露出面と、前記タブ材の一方の前記ツール挿入面とを面一にするとともに、
    他方の前記補助部材の露出面と、前記タブ材の他方の前記ツール挿入面とを面一にすることを特徴とする請求項4に記載の摩擦攪拌接合方法。
JP2014109899A 2014-01-28 2014-05-28 摩擦攪拌接合方法 Active JP6052237B2 (ja)

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