JP2015202469A - 多孔性金属錯体組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れたガス吸着性能、ガス吸蔵性能及びガス分離性能を有する組成物を提供すること。
【解決手段】多孔性金属錯体と、密度が1g/cm3以下の熱可塑性樹脂とを含む組成物によって上記課題を解決する。当該組成物は、ガスの吸着・吸蔵・分離能に優れる。
【選択図】なし
【解決手段】多孔性金属錯体と、密度が1g/cm3以下の熱可塑性樹脂とを含む組成物によって上記課題を解決する。当該組成物は、ガスの吸着・吸蔵・分離能に優れる。
【選択図】なし
Description
本発明は、多孔性金属錯体組成物に関する。さらに詳しくは、吸着に伴い構造変化が可能な多孔性金属錯体と、密度が1g/cm3以下の熱可塑性樹脂とを含む組成物に関する。本発明の組成物は、二酸化炭素、水素、一酸化炭素、酸素、窒素、炭素数1〜4の炭化水素、希ガス、硫化水素、アンモニア、水蒸気または有機蒸気などを吸着するための吸着材、吸蔵するための吸蔵材及び分離するための分離材として好ましい。
これまで、脱臭、排ガス処理などの分野で種々の吸着材が開発されている。活性炭はその代表例であり、活性炭の優れた吸着性能を利用して、空気浄化、脱硫、脱硝、有害物質除去など各種工業において広く使用されている。近年は半導体製造プロセスなどへ窒素の需要が増大しており、かかる窒素を製造する方法として、分子ふるい炭を使用して圧力スイング吸着法や温度スイング吸着法により空気から窒素を製造する方法が使用されている。また、分子ふるい炭は、メタノール分解ガスからの水素精製など各種ガス分離精製にも応用されている。
圧力スイング吸着法や温度スイング吸着法により混合ガスを分離する際には、一般に、分離吸着材として分子ふるい炭やゼオライトなどを使用し、その平衡吸着量または吸着速度の差により分離を行っている。しかしながら、平衡吸着量の差によって混合ガスを分離する場合、これまでの吸着材では除去したいガスのみを選択的に吸着することができないため分離係数が小さくなり、装置の大型化は不可避であった。また、吸着速度の差によって混合ガスを分離する場合、ガスの種類によっては除去したいガスのみを吸着できるが、吸着と脱着を交互に行う必要があり、この場合も装置は依然として大型にならざるを得なかった。
一方、より優れた吸着性能を与える吸着材として、多孔性金属錯体が開発されている。多孔性金属錯体は、(1)広い表面積と高い空隙率、(2)高い設計性、(3)外部刺激による動的構造変化、といった特徴を有しており、既存の吸着材にはない吸着特性が期待される。
中でも外部刺激により動的構造変化を生じる多孔性金属錯体をガス吸着材として使用した場合、ある一定の圧力まではガスを吸着しないが、ある一定圧を超えるとガス吸着が始まるという特異な現象が観測されている。また、ガスの種類によって吸着開始圧が異なる現象が観測されている。
この現象を、例えば圧力スイング吸着方式のガス分離装置における吸着材に応用した場合、非常に効率良いガス分離が可能となる。また、圧力のスイング幅を狭くすることができ、省エネルギーにも寄与する。さらに、ガス分離装置の小型化にも寄与し得るため、高純度ガスを製品として販売する際のコスト競争力を高めることができることは勿論、自社工場内部で高純度ガスを用いる場合であっても、高純度ガスを必要とする設備に要するコストを削減できるため、結局最終製品の製造コストを削減する効果を有する。
多孔性金属錯体を吸着材として使用するに際しては、粉末状のままではなく成形してから用いることが好ましい。例えば、多孔性金属錯体を成形する方法として、打錠成形によるペレット化が知られている(特許文献1、特許文献2参照)。しかしながら、バインダーに用いる樹脂がペレットの強度に与える影響については何ら記載されていない。
したがって、本発明の目的は、吸着に伴い構造変化が可能な多孔性金属錯体を構成成分として含む圧壊強度の大きい吸着材、吸蔵材、または分離材を提供することである。
本発明者らは鋭意検討し、吸着に伴い構造変化が可能な多孔性金属錯体と、密度が1g/cm3以下の熱可塑性樹脂とを含む組成物により、上記目的を達成できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明によれば、以下のものが提供される。
(1)吸着に伴い構造変化が可能な多孔性金属錯体(A)と、密度が1g/cm3以下の熱可塑性樹脂(B)とを含む組成物。
(2)該熱可塑性樹脂(B)がα−オレフィンの重合体である(1)に記載の組成物。
(3)多孔性金属錯体(A)と熱可塑性樹脂(B)との質量比が1:99〜99:1の範囲内である(1)または(2)に記載の組成物。
(4)該組成物が、ペレット、フィルム、シート、プレート、パイプ、チューブ、棒状体、粒状体、異形成形体、繊維、中空糸、織布、編布及び不織布から選ばれるいずれかの形状である(1)〜(3)のいずれか一項に記載の組成物。
(5)(1)〜(4)のいずれか一項に記載の組成物からなる吸着材。
(6)該吸着材が、二酸化炭素、水素、一酸化炭素、酸素、窒素、炭素数1〜4の炭化水素、希ガス、硫化水素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、シロキサン、水蒸気または有機蒸気を吸着するための吸着材である(5)に記載の吸着材。
(7)(1)〜(4)のいずれか一項に記載の組成物からなる吸蔵材。
(8)該吸蔵材が、二酸化炭素、水素、一酸化炭素、酸素、窒素、炭素数1〜4の炭化水素、希ガス、硫化水素、アンモニア、水蒸気または有機蒸気を吸蔵するための吸蔵材である(7)に記載の吸蔵材。
(9)(1)〜(4)のいずれか一項に記載の組成物からなる分離材。
(10)該分離材が、二酸化炭素、水素、一酸化炭素、酸素、窒素、炭素数1〜4の炭化水素、希ガス、硫化水素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、シロキサン、水蒸気または有機蒸気を分離するための分離材である(9)に記載の分離材。
(11)分離材と混合ガスとを0.01〜10MPaの圧力範囲で接触させる工程を含むことを特徴とする(9)に記載の分離材を用いる分離方法。
(12)該分離方法が圧力スイング吸着法または温度スイング吸着法である(11)に記載の分離方法。
(13)密度が1g/cm3以下の熱可塑性樹脂(B)のビカット軟化点以上に加熱した状態で成形することを特長とする、吸着に伴い構造変化が可能な多孔性金属錯体(A)と密度が1g/cm3以下の熱可塑性樹脂(B)とを含む成形体の製造方法。
(1)吸着に伴い構造変化が可能な多孔性金属錯体(A)と、密度が1g/cm3以下の熱可塑性樹脂(B)とを含む組成物。
(2)該熱可塑性樹脂(B)がα−オレフィンの重合体である(1)に記載の組成物。
(3)多孔性金属錯体(A)と熱可塑性樹脂(B)との質量比が1:99〜99:1の範囲内である(1)または(2)に記載の組成物。
(4)該組成物が、ペレット、フィルム、シート、プレート、パイプ、チューブ、棒状体、粒状体、異形成形体、繊維、中空糸、織布、編布及び不織布から選ばれるいずれかの形状である(1)〜(3)のいずれか一項に記載の組成物。
(5)(1)〜(4)のいずれか一項に記載の組成物からなる吸着材。
(6)該吸着材が、二酸化炭素、水素、一酸化炭素、酸素、窒素、炭素数1〜4の炭化水素、希ガス、硫化水素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、シロキサン、水蒸気または有機蒸気を吸着するための吸着材である(5)に記載の吸着材。
(7)(1)〜(4)のいずれか一項に記載の組成物からなる吸蔵材。
(8)該吸蔵材が、二酸化炭素、水素、一酸化炭素、酸素、窒素、炭素数1〜4の炭化水素、希ガス、硫化水素、アンモニア、水蒸気または有機蒸気を吸蔵するための吸蔵材である(7)に記載の吸蔵材。
(9)(1)〜(4)のいずれか一項に記載の組成物からなる分離材。
(10)該分離材が、二酸化炭素、水素、一酸化炭素、酸素、窒素、炭素数1〜4の炭化水素、希ガス、硫化水素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、シロキサン、水蒸気または有機蒸気を分離するための分離材である(9)に記載の分離材。
(11)分離材と混合ガスとを0.01〜10MPaの圧力範囲で接触させる工程を含むことを特徴とする(9)に記載の分離材を用いる分離方法。
(12)該分離方法が圧力スイング吸着法または温度スイング吸着法である(11)に記載の分離方法。
(13)密度が1g/cm3以下の熱可塑性樹脂(B)のビカット軟化点以上に加熱した状態で成形することを特長とする、吸着に伴い構造変化が可能な多孔性金属錯体(A)と密度が1g/cm3以下の熱可塑性樹脂(B)とを含む成形体の製造方法。
本発明により、吸着に伴い構造変化が可能な多孔性金属錯体(A)と、密度が1g/cm3以下の熱可塑性樹脂(B)とを含む組成物を提供することができる。
本発明の組成物は、各種ガスの吸着性能に優れているので、二酸化炭素、水素、一酸化炭素、酸素、窒素、炭素数1〜4の炭化水素、希ガス、硫化水素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、シロキサン、水蒸気または有機蒸気などを吸着するための吸着材として使用することができる。
また、本発明の組成物は、各種ガスの吸蔵性能に優れているので、二酸化炭素、水素、一酸化炭素、酸素、窒素、炭素数1〜4の炭化水素、希ガス、硫化水素、アンモニア、水蒸気または有機蒸気などを吸蔵するための吸蔵材としても使用することができる。
さらに、本発明の組成物は、各種ガスの分離性能に優れているので、二酸化炭素、水素、一酸化炭素、酸素、窒素、炭素数1〜4の炭化水素、希ガス、硫化水素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、シロキサン、水蒸気または有機蒸気などを分離するための分離材としても使用することができる。
本発明の組成物は、吸着に伴い構造変化が可能な多孔性金属錯体(A)と、密度が1g/cm3以下の熱可塑性樹脂(B)とを含む。
本発明に用いられる多孔性金属錯体(A)は、周期表の1〜13族に属する金属のイオンから選択される少なくとも1種の金属イオンとアニオン性配位子とを含む。
多孔性金属錯体(A)に含まれる金属イオンは、周期表の1〜13族に属する金属のイオンから選択される少なくとも1種の金属イオンである。周期表1族に属する金属のイオンとは、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン及びフランシウムイオンである。周期表2族に属する金属のイオンとはベリリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン及びラジウムイオンである。周期表3族に属する金属のイオンとは、スカンジウムイオン、イットリウムイオン、ランタノイドのイオン及びアクチノイドのイオンである。周期表4族に属する金属のイオンとは、チタンイオン、ジルコニウムイオン、ハフニウムイオン及びラザホージウムイオンである。周期表5族に属する金属のイオンとは、バナジウムイオン、ニオブイオン、タンタルイオン及びドブニウムイオンである。周期表6族に属する金属のイオンとは、クロムイオン、モリブデンイオン、タングステンイオン及びシーボーギウムイオンである。周期表7族に属する金属のイオンとは、マンガンイオン、テクネチウムイオン、レニウムイオン及びボーリウムイオンである。周期表8族に属する金属のイオンとは、鉄イオン、ルテニウムイオン、オスミウムイオン及びハッシウムイオンである。周期表9族に属する金属のイオンとは、コバルトイオン、ロジウムイオン、イリジウムイオン及びマイトネリウムイオンである。周期表10族に属する金属のイオンとは、ニッケルイオン、パラジウムイオン、白金イオン及びダームスタチウムイオンである。周期表11族に属する金属のイオンとは、銅イオン、銀イオン、金イオン及びレントゲニウムイオンである。周期表12族に属する金属のイオンとは、亜鉛イオン、カドミウムイオン、水銀イオン及びウンウンビウムイオンである。周期表13族に属する金属のイオンとは、ホウ素イオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン、インジウムイオン、タリウムイオン及びウンウントリウムイオンである。
多孔性金属錯体(A)に用いられる周期表の1〜13族に属する金属のイオンとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、スカンジウムイオン、ランタノイドイオン(ランタンイオン、テルビウムイオン、ルテチウムイオンなど)、アクチノイドイオン(アクチニウムイオン、ローレンシウムイオンなど)、ジルコニウムイオン、バナジウムイオン、クロムイオン、モリブデンイオン、マンガンイオン、鉄イオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、銅イオン、亜鉛イオン、カドミウムイオン及びアルミニウムイオンなどを使用することができ、中でもマンガンイオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、銅イオン及び亜鉛イオンが好ましく、銅イオンがより好ましい。
多孔性金属錯体(A)に用いられる金属イオンは、単一の金属イオンでも、2種類以上の金属イオンを含んでいてもよい。また、本発明に用いる多孔性金属錯体(A)は、単一の金属イオンからなる金属錯体を2種以上混合して使用することもできる。
多孔性金属錯体(A)の製造においては、上記金属イオンを含有する金属塩を使用することができる。金属塩としては、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、スカンジウム塩、ランタノイド塩(ランタン塩、テルビウム塩、ルテチウム塩など)、アクチノイド塩(アクチニウム塩、ローレンシウム塩など)、ジルコニウム塩、バナジウム塩、クロム塩、モリブデン塩、マンガン塩、鉄塩、コバルト塩、ニッケル塩、銅塩、亜鉛塩、カドミウム塩及びアルミニウム塩などを使用することができ、中でもマンガン塩、コバルト塩、ニッケル塩、銅塩及び亜鉛塩が好ましく、銅塩がより好ましい。
金属塩は、単一の金属塩を用いても、2種以上の金属塩を混合して用いてもよい。また、これらの金属塩としては、酢酸塩、ギ酸塩などの有機酸塩、硫酸塩、硝酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、炭酸塩などの無機酸塩を使用することができる。
多孔性金属錯体(A)に用いられるアニオン性配位子としては、例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンなどのハロゲン化物イオン;テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロケイ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロヒ酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオンなどの無機酸イオン;トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオンなどのスルホン酸イオン;ギ酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、プロピオン酸イオン、酪酸イオン、イソ酪酸イオン、吉草酸イオン、カプロン酸イオン、エナント酸イオン、シクロヘキサンカルボン酸イオン、カプリル酸イオン、オクチル酸イオン、ペラルゴン酸イオン、カプリン酸イオン、ラウリン酸イオン、ミリスチン酸イオン、ペンタデシル酸イオン、パルミチン酸イオン、マルガリン酸イオン、ステアリン酸イオン、ツベルクロステアリン酸イオン、アラキジン酸イオン、ベヘン酸イオン、リグノセリン酸イオン、α−リノレン酸イオン、エイコサペンタエン酸イオン、ドコサヘキサエン酸イオン、リノール酸イオン、オレイン酸イオンなどの脂肪族モノカルボン酸イオン;安息香酸イオン、2,5−ジヒドロキシ安息香酸イオン、3,7−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸イオン、2,6−ジヒドロキシ−1−ナフトエ酸イオン、4,4’−ジヒドロキシ−3−ビフェニルカルボン酸イオンなどの芳香族モノカルボン酸イオン;ニコチン酸イオン、イソニコチン酸イオンなどの複素芳香族モノカルボン酸イオン;1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートイオン、フマレートイオンなどの脂肪族ジカルボン酸イオン;1,3−ベンゼンジカルボキシレートイオン、1,4−ベンゼンジカルボキシレートイオン、1,4−ナフタレンジカルボキシレートイオン、2,6−ナフタレンジカルボキシレートイオン、2,7−ナフタレンジカルボキシレートイオン、4,4’−ビフェニルジカルボキシレートイオンなどの芳香族ジカルボン酸イオン;2,5−チオフェンジカルボキシレート、2,2’−ジチオフェンジカルボキシレートイオン、2,3−ピラジンジカルボキシレートイオン、2,5−ピリジンジカルボキシレートイオン、3,5−ピリジンジカルボキシレートイオンなどの複素芳香族ジカルボン酸イオン;1,3,5−ベンゼントリカルボキシレートイオン、1,3,4−ベンゼントリカルボキシレートイオン、ビフェニル−3,4’,5−トリカルボキシレートイオンなどの芳香族トリカルボン酸イオン;1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボキシレートイオン、[1,1’:4’,1’’]ターフェニル−3,3’’,5,5’’−テトラカルボキシレートイオン、5,5’−(9,10−アントラセンジイル)ジイソフタレートイオンなどの芳香族テトラカルボン酸イオン;イミダゾレートイオン、2−メチルイミダゾレートイオン、ベンゾイミダゾレートイオンなどの複素環化合物のイオンなどを使用することができる。ここで、アニオン性配位子とは金属イオンに対して配位する部位がアニオン性を有する配位子を意味する。
上記の中でも、アニオン性配位子としては、カルボキシレート基を有するものが好ましい。すなわち、脂肪族モノカルボン酸イオン、芳香族モノカルボン酸イオン、複素芳香族モノカルボン酸イオン、脂肪族ジカルボン酸イオン、芳香族ジカルボン酸イオン、複素芳香族ジカルボン酸イオン、芳香族トリカルボン酸イオン及び芳香族テトラカルボン酸イオンから選ばれるいずれかであることが好ましい。
上記のアニオン性配位子がカルボキシレート基、スルホネート基などを有する場合、該アニオン性配位子はカルボキシル基、スルホ基などのアニオンになり得る置換基以外にイオン化しない置換基をさらに有していてもよい。具体的には、2−ニトロ−1,4−ベンゼンジカルボキシレートイオン、2−フルオロ−1,4−ベンゼンジカルボキシレートイオン、2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−ベンゼンジカルボキシレートイオン、2,4,6−トリフルオロ−1,3,5−ベンゼントリカルボキシレートイオンなどの置換基を有する多価カルボキシレートイオンであってもよい。
多孔性金属錯体(A)に用いられるアニオン性配位子は、単一のアニオン性配位子でも、2種以上のアニオン性配位子を含んでいてもよい。また、多孔性金属錯体(A)は、単一のアニオン性配位子からなる金属錯体を2種以上混合して使用することもできる。
多孔性金属錯体(A)の製造においては、上記アニオン性配位子を含有する塩を使用することができる。塩としては、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などを使用することができる。塩は、単一の塩を使用することが好ましいが、2種以上の塩を混合して用いてもよい。
また、多孔性金属錯体(A)に用いられるアニオン性配位子は、金属イオン源として使用される金属塩のカウンターアニオンをそのまま使用してもよい。
さらに、多孔性金属錯体(A)の製造においては、上記アニオン性配位子を含有する共役酸またはその酸無水物を使用することができる。酸は、単一の酸を使用することが好ましいが、2種以上の酸を混合して用いてもよい。
本発明に用いられる多孔性金属錯体(A)は多孔質体であり、その細孔中にガスなどの低分子を吸着し、また脱着することができるため、各種ガスの吸着材、吸蔵材及び分離材として用いることができる。
本発明に用いられる多孔性金属錯体(A)は、上記の金属イオンに多座配位可能な中性有機配位子を含んでいてもよい。
多座配位可能な中性有機配位子としては、特に限定されるものではないが、二座有機配位子、三座有機配位子、四座有機配位子などを使用することができる。ここで、多座配位可能な中性有機配位子とは非共有電子対で金属イオンに対して配位する部位を少なくとも2箇所以上有する中性配位子を意味する。二座有機配位子は、非共有電子対で金属イオンに対して配位する部位を2箇所有する中性有機配位子;三座有機配位子は、非共有電子対で金属イオンに対して配位する部位を3箇所有する中性有機配位子;四座有機配位子は、非共有電子対で金属イオンに対して配位する部位を4箇所有する中性有機配位子である。
二座配位可能な中性有機配位子(二座配位子)としては、例えば、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ピラジン、4,4’−ビピリジル、1,2−ビス(4−ピリジル)エチン、1,4−ビス(4−ピリジル)ブタジイン、1,4−ビス(4−ピリジル)ベンゼン、3,6−ジ(4−ピリジル)−1,2,4,5−テトラジン、2,2’−ビ−1,6−ナフチリジン、フェナジン、ジアザピレン、2,6−ジ(4−ピリジル)−ベンゾ[1,2−c:4,5−c’]ジピロール−1,3,5,7(2H,6H)−テトロン、N,N’−ジ(4−ピリジル)−1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボキシジイミド、トランス−1,2−ビス(4−ピリジル)エテン、4,4’−アゾピリジン、1,2−ビス(4−ピリジル)エタン、4,4’−ジピリジルスルフィド、1,3−ビス(4−ピリジル)プロパン、1,2−ビス(4−ピリジル)−グリコール、N−(4−ピリジル)イソニコチンアミド、1,2−ビス(1−イミダゾリル)エタン、1,2−ビス(1,2,4−トリアゾリル)エタン、1,2−ビス(1,2,3,4−テトラゾリル)エタン、1,3−ビス(1−イミダゾリル)プロパン、1,3−ビス(1,2,4−トリアゾリル)プロパン、1,3−ビス(1,2,3,4−テトラゾリル)プロパン、1,4−ビス(4−ピリジル)ブタン、1,4−ビス(1−イミダゾリル)ブタン、1,4−ビス(1,2,4−トリアゾリル)ブタン、1,4−ビス(1,2,3,4−テトラゾリル)ブタン、1,4−ビス(ベンゾイミダゾール−1−イルメチル)−2,4,5,6−テトラメチルベンゼン、1,4−ビス(4−ピリジルメチル)−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、1,3−ビス(イミダゾール−1−イルメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3−ビス(4−ピリジルメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼンなどが挙げられる。三座配位可能な中性有機配位子(三座配位子)としては、例えば、1,3,5−トリス(2−ピリジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(3−ピリジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(4−ピリジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(1−イミダゾリル)ベンゼン、2,4,6−トリス(2−ピリジル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(3−ピリジル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリ(4−ピリジル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(1−イミダゾリル)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。四座配位可能な中性有機配位子(四座配位子)としては、例えば、1,2,4,5−テトラキス(2−ピリジル)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(3−ピリジル)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(4−ピリジル)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(1−イミダゾリル)ベンゼン、テトラキス(3−ピリジルオキシメチレン)メタン及びテトラキス(4−ピリジルオキシメチレン)メタン、テトラキス(1−イミダゾリルメチル)メタンなどが挙げられる。これらの中でも二座配位可能な有機配位子であることが好ましい。
多座配位可能な中性有機配位子は置換基を有していてもよい。具体的には、2−メチルピラジン、2,5−ジメチルピラジン、2,2’−ジメチル−4,4’−ビピリジンなどの置換基を有する多座配位可能な中性有機配位子が挙げられる。
多孔性金属錯体(A)に用いられる多座配位可能な中性有機配位子は、単一種類でも、2種以上でもよい。また、金属錯体(A)は、単一の多座配位可能な中性有機配位子からなる金属錯体を2種以上混合して使用することもできる。
多孔性金属錯体(A)は、さらに本発明の効果を損なわない範囲で、単座有機配位子を含んでいてもよい。単座有機配位子とは、非共有電子対で金属イオンに対して配位する部位を1箇所持つ中性配位子を意味する。単座有機配位子としては、例えば、置換または無置換の、フラン、チオフェン、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、トリフェニルホスフィン、トリフェニルホスファイト、メチルイソシアニドなどを使用することができ、中でもピリジンが好ましい。単座有機配位子は炭素数1〜23の炭化水素基を置換基として有してもよい。
多孔性金属錯体(A)が単座有機配位子を含む場合、その割合は本発明の効果を損なわない限り特に限定されるものではないが、多座配位可能な有機配位子と単座有機配位子との組成比は、モル比で1:20〜5,000:1の範囲内であることが好ましく、20:1〜5,000:1の範囲内であることがより好ましく、100:1〜2,500:1の範囲内であることが特に好ましい。当該組成比は、多孔性金属錯体(A)を分解して均一な溶液とした後に、例えば、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、NMRなどを用いて分析することで決定することができるが、これらに限定されるものではない。
本発明に用いられる多孔性金属錯体(A)は、周期表の1〜13族に属する金属のイオンから選択される少なくとも1種の金属イオンを含む金属塩と、アニオン性配位子と、必要に応じて該金属イオンに多座配位可能な中性有機配位子とを、気相、液相または固相のいずれかで反応させることで製造することができる。中でも、常圧下、溶媒中で数時間から数日間反応させ、析出させて製造することが好ましい。このとき、超音波またはマイクロウェーブ照射下で反応を行ってもよい。例えば、金属塩の水溶液または有機溶媒溶液と、アニオン性配位子及び多座配位可能な中性有機配位子を含有する有機溶媒溶液とを、常圧下で混合して反応させることにより本発明に用いられる多孔性金属錯体(A)を得ることができる(例えば、特開2010−70545公報参照)。
多孔性金属錯体(A)を製造するときの金属塩とアニオン性配位子との混合比率は、金属塩:アニオン性配位子=1:10〜10:1のモル比の範囲内が好ましく、1:5〜5:1のモル比の範囲内がより好ましい。これ以外の範囲で反応を行っても目的とする金属錯体は得られるが、収率が低下し、副反応も増えるために好ましくない。
多孔性金属錯体(A)が多座配位可能な中性有機配位子を含有する場合には、金属錯体(A)を製造するときのその混合比率は、アニオン性配位子:多座配位可能な中性有機配位子=1:5〜8:1のモル比の範囲内が好ましく、1:3〜6:1のモル比の範囲内がより好ましい。また、金属塩:多座配位可能な中性有機配位子=3:1〜1:3のモル比の範囲内が好ましく、2:1〜1:2のモル比の範囲内がより好ましい。
本発明に用いられる多孔性金属錯体(A)は、用いるアニオン性配位子の種類、また多座配位可能な中性有機配位子を有する場合にはその種類により、一次元、二次元、或いは三次元の集積構造をとる。
多孔性金属錯体(A)の集積構造は、例えば、単結晶X線構造解析、粉末X線結晶構造解析、単結晶中性子構造解析、粉末中性子結晶構造解析などにより確認できるが、これらに限定されるものではない。
吸着に伴い体積が変化する多孔性金属錯体(A)の一例として、ジャングルジム骨格が二重に相互貫入した三次元構造を有する多孔性金属錯体(A−1)が例示される。具体例として、金属イオンとして亜鉛イオンを、アニオン性配位子として1,4−ベンゼンジカルボキシレート(テレフタル酸イオン)を、多座配位可能な中性有機配位子として4,4’−ビピリジルを有する多孔性金属錯体について詳しく述べる。この多孔性金属錯体は、1,4−ベンゼンジカルボキシレートのカルボキシレートイオンと亜鉛イオンとからなるパドルホイール骨格中の亜鉛イオンのアキシャル位に4,4’−ビピリジルが配位して形成される、ジャングルジム骨格が二重に相互貫入した三次元構造(A−1)を有する。ジャングルジム骨格の模式図を図1に、ジャングルジム骨格が二重に相互貫入した三次元構造の模式図を図2に示す。
上記「ジャングルジム骨格」とは、1,4−ベンゼンジカルボキシレートなどのアニオン性配位子と金属イオンとからなるパドルホイール骨格中の金属イオンのアキシャル位に4,4’−ビピリジルなどの多座配位可能な中性有機配位子が配位し、アニオン性配位子と金属イオンとからなる二次元格子状シート間を連結することで形成されるジャングルジム様の三次元構造を意味する。「ジャングルジム骨格が多重に相互貫入した構造」とは、複数のジャングルジム骨格が互いの細孔を埋める形で貫入し合った三次元集積構造である。
本明細書において「吸着に伴い体積が変化する多孔性金属錯体」とは、多孔性金属錯体の細孔内に物質(例えば、ガス。)が吸着される化学的刺激により骨格中の細孔の構造や大きさが変化する多孔性金属錯体を意味する。該金属錯体は、化学的刺激に加えて、温度、圧力、電場などの物理的刺激によっても体積変化しうる。
多孔性金属錯体(A)の細孔の構造や大きさの変化は、吸着される物質の種類、吸着圧力、吸着温度に依存する。すなわち、細孔表面と物質の相互作用の差に加え(相互作用の強さは物質のLennard−Jonesポテンシャルの大きさに比例)、吸着する物質により構造変化の程度が異なる。一例として、多孔性金属錯体(A)がジャングルジム骨格が二重に相互貫入した三次元構造を有する場合の吸脱着に伴う構造変化の模式図を図3に示す。
ガス吸着に伴い体積変化が可能である多孔性金属錯体(A)の他の例としては、例えば、金属イオンとして銅イオンを、アニオン性配位子としてテトラフルオロホウ酸イオンを、多座配位可能な中性有機配位子として1,2−ビス(4−ピリジル)エタンを用いた場合に得られる、一次元鎖骨格が集積した三次元構造を有する多孔性金属錯体(A−2);例えば、金属イオンとして銅イオンを、アニオン性配位子としてテトラフルオロホウ酸イオンを、多座配位可能な中性有機配位子として4,4’−ビピリジルを用いた場合に得られる、二次元格子状骨格が積層した三次元構造を有する多孔性金属錯体(A−3);例えば、金属イオンとして銅イオンを、アニオン性配位子として2,5−ジヒドロキシ安息香酸イオンを、多座配位可能な中性有機配位子として4,4’−ビピリジルを用いた場合に得られる、二次元シート骨格が相互嵌合した三次元構造を有する多孔性金属錯体(A−4)などを挙げることができる。
本発明に用いられる多孔性金属錯体(A)が吸着に伴い体積変化が可能であることは、例えば、単結晶X線構造解析結果の比較、粉末X線回折パターンの変化、吸収波長の変化、磁化率の変化などにより確認できるが、これらに限定されるものではない。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂(B)は、密度が1g/cm3以下である。本発明の好ましい態様において、密度は0.90〜1g/cm3の範囲内であり、0.90〜0.950g/cm3の範囲内であることがより好ましい。
密度はJIS K7112:1999に準じて測定することで求めることができる。
熱可塑性樹脂(B)は、α−オレフィンの重合体であることが好ましい。
α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘプテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどを使用することができ、中でもエチレン、プロピレンが好ましい。
α−オレフィンは、単独のα−オレフィンでも、2種以上のα−オレフィンを含んでいてもよい。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂(B)としては、密度が1g/cm3以下であれば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどを挙げることができ、中でも低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましく、直鎖状低密度ポリエチレンがより好ましい。
多孔性金属錯体(A)と熱可塑性樹脂(B)の混合比率は、多孔性金属錯体(A)と熱可塑性樹脂(B)との質量比が1:99〜99:1の範囲内であることが好ましく、10:90〜90:10の範囲内であることがより好ましい。この範囲外ではガスの吸着性能が低下する場合、及び/または、組成物として形態を維持できなくなる場合がある。一実施形態として、組成物をペレットに成形する場合、A:Bは80:20〜99:1であり得る。
本発明の組成物に占める多孔性金属錯体(A)及び熱可塑性樹脂(B)の合計割合は、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが特に好ましい。
本発明の組成物からなる成形体中の多孔性金属錯体(A)の結晶粒子間は熱可塑性樹脂(B)で結着されており、密度が1g/cm3以下であることで成形体の単位体積中に占める熱可塑性樹脂(B)が多くなるので、得られる成形体は高い圧壊強度を有する。
圧壊強度はJIS Z8841に準じて測定することで求めることができる。この場合、
本発明の好ましい態様においては、得られる成形体の圧壊強度は200N以上であることが好ましく、200〜400Nの範囲内であることがより好ましく、300〜360Nの範囲内であることが特に好ましい。
本発明の好ましい態様においては、得られる成形体の圧壊強度は200N以上であることが好ましく、200〜400Nの範囲内であることがより好ましく、300〜360Nの範囲内であることが特に好ましい。
前記の圧壊強度メカニズムは推定ではあるが、例え前記メカニズムに従っていない場合でも、本発明で規定する要件を満足するのであれば、本発明の技術的範囲に包含される。
多孔性金属錯体(A)と熱可塑性樹脂(B)とを混合する方法は特に限定されないが、混合の具体的な方法としては、工程の簡便さおよびコストの観点から溶融混練法が好ましい。このとき、高い混練度を達成することのできる装置を使用し、各成分を細かく均一に分散させることが、ガス吸着性能、ガス吸蔵性能及びガス分離性能を良好にすると共に、組成物中のゲルやブツの発生や混入を防止できる点で好ましい。
高い混練度を達成し得る装置としては、例えば、連続式インテンシブミキサー、ニーディングタイプ二軸押出機、ミキシングロール、コニーダーなどの連続型混練機;高速ミキサー、バンバリーミキサー、インテンシブミキサー、加圧ニーダーなどのバッチ型混練機;石臼のような摩砕機構を有する回転円板を使用した装置;単軸押出機に混練部(ダルメージ、CTMなど)を設けた装置;リボンブレンダー、ブラベンダーミキサーなどの簡易型の混練機などを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
混練温度は、通常300〜600Kの範囲である。多孔性金属錯体(A)及び熱可塑性樹脂(B)の酸化劣化防止のためには、ホッパー口を窒素シールし、低温で押出すことが好ましい。混練時間は、多孔性金属錯体(A)及び熱可塑性樹脂(B)の酸化劣化防止および生産効率の観点から、通常10〜1,800秒であり、中でも15〜1,000秒が好ましい。
本発明の組成物の使用形態は特に限定されず、多孔性金属錯体(A)と熱可塑性樹脂(B)とを含む組成物を用いて製造できる成形体であればいずれでもよい。使用態様としては、例えば、ペレット、フィルム、シート、プレート、パイプ、チューブ、棒状体、粒状体、粉末、各種異形成形体、繊維、中空糸、織布、編布、不織布などを挙げることができる。また、本発明の効果を損なわない範囲であれば、必要に応じて、天然もしくは合成繊維、或いはガラスなどの無機繊維を含有させて複合化してもよい。
多孔性金属錯体(A)と熱可塑性樹脂(B)とを含む成形体の製造方法は特に限定されないが、熱可塑性樹脂(B)のビカット軟化点以上に加熱した状態で成形することが好ましい。
ビカット軟化点は、JIS K7206:1999に準じて測定することで求めることができる。
本発明の組成物を含むペレットの作製方法としては、特に限定はなく、従来から知られているペレット化方法のいずれもが採用できる。よりペレットの高密度化が行えるとの観点から、圧縮成形法が好ましい。通常、圧縮成形の際には、多孔性金属錯体(A)と熱可塑性樹脂(B)の組成物を予め調製し、これを市販の錠剤成型機を用いて加圧下で一定形状に固形化する。このとき、必要に応じて調製物に黒鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの滑剤を添加してもよい。
本発明の組成物をペレットとして用いる場合は、直径が0.5mm〜5.0mmの範囲内であり、かつ長さが1.0mm〜10.0mmの範囲内であることが好ましい。
本発明の組成物を含むフィルムの作製方法としては、特に限定はなく、多孔性金属錯体(A)と熱可塑性樹脂(B)とを適当な溶媒に分散または溶解させて液状の組成物を調製し、当該液状の組成物を、剥離性の基材または支持体上に塗工した後、乾燥して溶媒を除去する方法などを採用することができる。多孔性金属錯体(A)と熱可塑性樹脂(B)とを分散または溶解させる溶媒としては、例えば、トルエン、テトラヒドロフランなどを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
本発明の組成物を離型性の基材または支持体へ塗工する方法は、特に限定はなく、従来から知られている液状の塗工材料を用いる塗工方法のいずれもが採用でき、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、カーテンコーティング法、スリットダイコーター法、グラビアコーター法、スリットリバースコーター法、マイクログラビア法、コンマコーター法などを使用することができる。
本発明の組成物を含むシートの作製方法としては、特に限定はなく、従来から知られているシート化方法のいずれもが採用できる。よりシートの高密度化が行えるとの観点から、湿式抄紙法が好ましい。湿式抄紙法は、水に原材料を分散させて、網で濾過し、乾燥する製造方法である。
異形成形体の例として、ハニカム形状を挙げることができる。本発明の組成物を含むシートをハニカム形状とする方法としては、従来から知られている加工方法のいずれもが採用できる。なお、本発明においてハニカム形状とは、断面が六画形状のものの他、四角、正弦波形、ロール形のものなど中空多角柱、円柱などの中空柱体が連続したものをいう。例えば、正弦波形のハニカム形状とするには、まず当該シートを賦形ロールに通して波形に賦形し、波形の当該シートの片面または両面に平らなシートを接合する。これを積層化して正弦波形のハニカム形状のフィルターとする。ここで、波形の頂点に接着剤を付けて固定するのが普通であるが、波形の本発明の組成物などを含む当該シートを積層するとその間にある平らなシートは必然的に固定されるので、必ずしも接着剤を付ける必要はない。なお、接着剤を付ける場合はシートの吸着能を損なわないものを使用する必要がある。接着剤としては、例えば、コーンスターチ、酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂などを使用することができる。ガス吸着性能を高めるためには、波形の当該シートの接着ピッチを小さくし、山高さを低くするとよい。ピッチは0.5〜8mmが好ましく、山高さは0.4〜5mmが好ましい。
本発明の組成物は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、必要に応じて、酸化防止剤、凍結防止剤、pH調整剤、隠蔽剤、着色剤、油剤、難燃剤、近赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、色調補正剤、染料、酸化防止剤、その他の特殊機能剤を1種または2種以上含有することができる。
本発明の組成物は、各種ガスの吸着性能、吸蔵性能及び分離性能に優れている。従って、本発明の組成物は、各種ガスの吸着材、吸着材及び分離材として有用であり、これらも本発明の権利範囲に含まれる。
本発明の吸着材、吸蔵材及び分離材は、例えば、二酸化炭素、水素、一酸化炭素、酸素、窒素、炭素数1〜4の炭化水素(メタン、エタン、エチレン、アセチレン、プロパン、プロペン、メチルアセチレン、プロパジエン、ブタン、1−ブテン、イソブテン、1−ブチン、2−ブチン、1,3−ブタジエン、メチルアレンなど)、希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンなど)、硫化水素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、シロキサン(ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサンなど)、水蒸気または有機蒸気などのガスを吸着、吸蔵、分離するために好適に使用できる。本発明の分離材にあっては、特に、メタンと二酸化炭素、水素と二酸化炭素、窒素と二酸化炭素、エチレンと二酸化炭素、メタンとエタン、エチレンとエタン、窒素と酸素、酸素とアルゴン、窒素とメタン、空気とメタンなどを、圧力スイング吸着法や温度スイング吸着法により分離するのに適している。
有機蒸気とは、常温、常圧で液体状の有機物質の気化ガスを意味する。このような有機物質としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類;トリメチルアミンなどのアミン類;ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどのアルデヒド類;ペンタン、イソプレン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン、オクタン、1−オクテン、シクロオクタン、シクロオクテン、1,5−シクロオクタジエン、4−ビニル−1−シクロヘキセン、1,5,9−シクロドデカトリエンなどの炭素数5〜16の炭化水素;ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類;塩化メチル、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素などが挙げられる。
本発明の組成物(または本発明の吸着材)は、その吸着性能を活かしてキャニスタに用いることもできる。キャニスタとは、車輌内の燃料タンク内で蒸発した燃料が大気に拡散するのを防止するための装置として広く用いられているものである。このキャニスタは、表面に接触した燃料蒸気を吸着させるとともに、空気の流れにより燃料蒸気を離脱させる性質を有する吸着材を内部に包含しており、本発明の組成物からなる吸着材は、当該吸着材として好適に使用できる。本発明の組成物からなる吸着材を包含するキャニスタは、従来の活性炭などを吸着材として包含するキャニスタに比べ、優れた吸着性能を示し、燃料蒸気の吸着量を向上させることができる。従って、より吸着性能が大きなキャニスタを必要とするハイブリッド車向けのキャニスタとして特に有用である。
本発明の組成物(または本発明の吸蔵材)は、その吸蔵性能を活かしてガス貯蔵装置に用いることもできる。ガス貯蔵装置の例としては、気密保持可能でガスの出入口を備えた耐圧容器の内部にガス吸蔵空間を設け、該貯蔵空間に本発明の組成物からなる吸蔵材を内装したガス貯蔵装置がある。当該ガス貯蔵装置に所望のガスを圧入することにより、内装した吸蔵材に当該ガスを吸着させ貯蔵することができる。ガス貯蔵装置からガスを取り出すときは、圧力弁を開放し、耐圧容器内の内圧を低下させることでガスを脱着させることができる。ガス貯蔵空間に吸蔵材を内装するにあたっては、本発明の組成物を粉末状で内装してもよいが、取り扱い性などの観点から、本発明の組成物を成形加工したペレット状のものを用いてもよい。
このようなガス貯蔵装置は、燃料ガスを貯蔵空間に貯蔵することができ、ガス自動車などの燃料タンクとして好適に用いることができる。本発明の組成物からなる吸蔵材が内装されていることにより、該燃料タンクは吸蔵材を充填しない燃料タンクに比べ、見掛けの圧力に対してガスの圧縮率を高くできるため、タンクの肉厚を薄くすることができ、ガス貯蔵装置全体の軽量化が計れるためガス自動車などに有用である。この燃料タンクは、通常、常温状態にあり、特に冷却されたりすることはなく、気温が上昇する例えば夏場においては、比較的温度が高くなる。このような高温(298〜333K程度)の温度域下においても、本発明の吸蔵材はその吸蔵能を高く保持することができ、有用である。
本発明の組成物(または本発明の分離材)を用いたガスの分離方法は、混合ガスが組成物に吸着できる条件で混合ガスと本発明の組成物(または本発明の分離材)とを接触させる工程を含む。ガスが組成物に吸着できる条件である吸着圧力及び吸着温度は、吸着される物質の種類に応じて適宜設定することができる。例えば、吸着圧力は0.01〜10MPaが好ましく、0.1〜3.5MPaがより好ましい。また、吸着温度は195K〜343Kが好ましく、273〜313Kがより好ましい。
分離方法は、圧力スイング吸着法または温度スイング吸着法とすることができる。分離方法が圧力スイング吸着法である場合は、分離方法はさらに、圧力を、吸着圧力からガスを金属錯体から脱着させることができる圧力まで昇圧させる工程を含む。脱着圧力は、吸着される物質の種類に応じて適宜設定することができる。例えば、脱着圧力は0.005〜2MPaが好ましく、0.01〜0.1MPaがより好ましい。分離方法が温度スイング吸着法である場合は、分離方法はさらに、温度を、吸着温度からガスを金属錯体から脱着させることができる温度まで昇温させる工程を含む。脱着温度は、吸着される物質の種類に応じて適宜設定することができる。例えば、脱着温度は303〜473Kが好ましく、313〜373Kがより好ましい。
分離方法は、圧力スイング吸着法または温度スイング吸着法である場合、ガスと金属錯体とを接触させる工程と、ガスを金属錯体から脱着させることができる圧力または温度まで変化させる工程を、適宜繰り返すことができる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下の実施例および比較例における分析および評価は次のようにして行った。
(1)粉末X線回折パターンの測定
X線回折装置を用いて、回折角(2θ)=5〜50°の範囲を走査速度1°/分で走査し、対称反射法で測定した。分析条件の詳細を以下に示す。
<分析条件>
装置:株式会社リガク製SmartLab
X線源:CuKα(λ=1.5418Å) 45kV 200mA
ゴニオメーター:横型ゴニオメーター
検出器:D/teX Ultra
ステップ幅:0.02°
スリット:発散スリット=2/3°
受光スリット=0.3mm
散乱スリット=2/3°
X線回折装置を用いて、回折角(2θ)=5〜50°の範囲を走査速度1°/分で走査し、対称反射法で測定した。分析条件の詳細を以下に示す。
<分析条件>
装置:株式会社リガク製SmartLab
X線源:CuKα(λ=1.5418Å) 45kV 200mA
ゴニオメーター:横型ゴニオメーター
検出器:D/teX Ultra
ステップ幅:0.02°
スリット:発散スリット=2/3°
受光スリット=0.3mm
散乱スリット=2/3°
(2)金属錯体に含まれる酢酸の定量
金属錯体を重アンモニア水溶液に溶解させたサンプルについて1H−NMR測定を行い、得られたスペクトルの積分比から算出した。分析条件の詳細を以下に記す。
<分析条件>
装置:日本電子株式会社製JNM−LA500
共鳴周波数:500MHz
溶媒:25wt%重アンモニア水溶液
基準物質:3−(トリメチルシリル)プロパン酸ナトリウム−d4
温度:298K
積算回数:2,048回
金属錯体を重アンモニア水溶液に溶解させたサンプルについて1H−NMR測定を行い、得られたスペクトルの積分比から算出した。分析条件の詳細を以下に記す。
<分析条件>
装置:日本電子株式会社製JNM−LA500
共鳴周波数:500MHz
溶媒:25wt%重アンモニア水溶液
基準物質:3−(トリメチルシリル)プロパン酸ナトリウム−d4
温度:298K
積算回数:2,048回
(3)吸脱着等温線の測定
高圧ガス吸着量測定装置を用いて、容量法によりガス吸脱着量の測定を行い、吸脱着等温線を作成した(JIS Z8831−2に準拠)。このとき、測定に先立って試料を373K、0.5Paで5時間乾燥し、吸着水などを除去した。分析条件の詳細を以下に示す。
<分析条件>
装置:日本ベル株式会社製BELSORP−HP
平衡待ち時間:500秒
高圧ガス吸着量測定装置を用いて、容量法によりガス吸脱着量の測定を行い、吸脱着等温線を作成した(JIS Z8831−2に準拠)。このとき、測定に先立って試料を373K、0.5Paで5時間乾燥し、吸着水などを除去した。分析条件の詳細を以下に示す。
<分析条件>
装置:日本ベル株式会社製BELSORP−HP
平衡待ち時間:500秒
(4)圧壊強度の測定
円柱状ペレットを横向きに一軸加圧機に設置し、298Kで載荷速度9mm/分で一軸加圧した。応力緩和が起こった時点の加圧力(N)を測定し、この値を圧壊強度とした(JIS Z8841に準拠)。分析条件の詳細を以下に示す。
<分析条件>
装置:株式会社島津製作所製オートグラフAGS−10kNG
ロードセル 5BL−1kN
測定モード:圧縮・引張モード
円柱状ペレットを横向きに一軸加圧機に設置し、298Kで載荷速度9mm/分で一軸加圧した。応力緩和が起こった時点の加圧力(N)を測定し、この値を圧壊強度とした(JIS Z8841に準拠)。分析条件の詳細を以下に示す。
<分析条件>
装置:株式会社島津製作所製オートグラフAGS−10kNG
ロードセル 5BL−1kN
測定モード:圧縮・引張モード
<合成例1>
[第一工程]
窒素雰囲気下、酢酸銅一水和物21.8g(109mmol)、テレフタル酸18.2g(109mmol)及び酢酸19.7g(328mmol)をメタノール200mLに分散させ、懸濁状態で333Kで18時間攪拌した。析出した金属錯体の中間体を吸引濾過により回収した後、メタノールで3回洗浄し、中間体を単離した。
[第一工程]
窒素雰囲気下、酢酸銅一水和物21.8g(109mmol)、テレフタル酸18.2g(109mmol)及び酢酸19.7g(328mmol)をメタノール200mLに分散させ、懸濁状態で333Kで18時間攪拌した。析出した金属錯体の中間体を吸引濾過により回収した後、メタノールで3回洗浄し、中間体を単離した。
[第二工程]
窒素雰囲気下、単離した中間体をメタノール133mL中に分散させ、4,4’−ビピリジル8.54g(54.7mmol)を添加し、298Kで3時間攪拌した。このとき、反応溶液は懸濁したままであった。金属錯体を吸引濾過により回収した後、メタノールで3回洗浄した。得られた金属錯体の粉末X線回折パターンを図4に示す。別途合成した単結晶の構造解析結果から求めたシミュレーションパターンとの比較から、得られた金属錯体はジャングルジム骨格が二重に相互貫入した構造を有していることがわかった。単結晶構造解析結果を以下に示す。また、結晶構造を図5に示す。
窒素雰囲気下、単離した中間体をメタノール133mL中に分散させ、4,4’−ビピリジル8.54g(54.7mmol)を添加し、298Kで3時間攪拌した。このとき、反応溶液は懸濁したままであった。金属錯体を吸引濾過により回収した後、メタノールで3回洗浄した。得られた金属錯体の粉末X線回折パターンを図4に示す。別途合成した単結晶の構造解析結果から求めたシミュレーションパターンとの比較から、得られた金属錯体はジャングルジム骨格が二重に相互貫入した構造を有していることがわかった。単結晶構造解析結果を以下に示す。また、結晶構造を図5に示す。
Triclinic(P−1)
a=10.8195(18)Å
b=14.004(3)Å
c=21.682(4)Å
α=87.570(4)°
β=86.577(5)°
γ=88.083(5)°
V=3274.9(10)Å3
R=0.0458Rw=0.1187
a=10.8195(18)Å
b=14.004(3)Å
c=21.682(4)Å
α=87.570(4)°
β=86.577(5)°
γ=88.083(5)°
V=3274.9(10)Å3
R=0.0458Rw=0.1187
続いて、得られた金属錯体を373K、50Paで8時間乾燥し、目的の金属錯体26.3gを得た。得られた金属錯体の粉末X線回折パターンを図6に示す。別途合成した単結晶の構造解析結果から求めたシミュレーションパターンとの比較から、得られた金属錯体はジャングルジム骨格が二重に相互貫入した構造を有していることがわかった。単結晶構造解析結果を以下に示す。また、結晶構造を図7に示す。
Triclinic(P−1)
a=7.898(3)Å
b=8.930(3)Å
c=10.818(3)Å
α=67.509(12)°
β=80.401(14)°
γ=79.566(13)°
V=689.3(4)Å3
R=0.0330Rw=0.0905
a=7.898(3)Å
b=8.930(3)Å
c=10.818(3)Å
α=67.509(12)°
β=80.401(14)°
γ=79.566(13)°
V=689.3(4)Å3
R=0.0330Rw=0.0905
図4と、図6との比較から、メタノールの吸脱着前後で構造が異なるので、本錯体は吸脱着に伴い、構造が動的に変化することが分かる。このときの体積変化率は、真空乾燥前(メタノール吸着状態)の金属錯体の構造単位の体積が3274.9(10)Å3、真空乾燥後の金属錯体の構造単位の体積が689.3(4)Å3であることから、次式に従って27.1%と算出される。
体積変化率={3274.9/(689.3x4)−1}x100 =27.1%
体積変化率={3274.9/(689.3x4)−1}x100 =27.1%
得られた金属錯体10mgを25wt%重アンモニア水700mg(基準物質として3−(トリメチルシリル)プロパン酸ナトリウム−d4を0.4wt%含有)に溶解させ、1H−NMR測定を行った。得られたスペクトルを図8に示す。スペクトルを解析した結果、テレフタル酸の2位、3位、5位及び6位のプロトンに帰属される7.917ppm(s,4H)のピークの積分値が2.037であるのに対し、酢酸のメチル基のプロトンに帰属される1.928ppm(s,3H)のピークの積分値は0.030であったことから、金属錯体に含まれるテレフタル酸と酢酸のモル比は、テレフタル酸:酢酸=104:1であることが分かった。なお、図8において3.9ppm付近のブロードなシグナルは水によるものである。
単結晶X線構造解析と1H−NMR測定との結果から、得られた金属錯体の組成式は[Cu2(C8H4O4)2−x(C10H8N2)(CH3COO)x]n(x=0.019)であることがわかった。xの値は小さいため、理論収量は[Cu2(C8H4O4)2(C10H8N2)]n(銅:テレフタル酸:4,4’−ビピリジル=2:2:1)で表される化合物の分子量から算出した。その結果、得られた金属錯体の収率は81%であった。
<合成例2>
エチレンと1−ヘキセンの共重合体からなる直鎖状低密度ポリエチレンである株式会社プライムポリマー製<ウルトゼックス(登録商標)>(銘柄:1020L、密度0.909g/cm3)1.00gをトルエン56.3mLに加え、383Kで攪拌して溶解させた。得られた溶液に合成例1で得た金属錯体9.01gを加え、383Kで5分間攪拌した。続いて、減圧下でトルエンを留去した後、443K、50Paで15時間乾燥し、目的の金属錯体組成物9.43g(収率94%)を得た。
エチレンと1−ヘキセンの共重合体からなる直鎖状低密度ポリエチレンである株式会社プライムポリマー製<ウルトゼックス(登録商標)>(銘柄:1020L、密度0.909g/cm3)1.00gをトルエン56.3mLに加え、383Kで攪拌して溶解させた。得られた溶液に合成例1で得た金属錯体9.01gを加え、383Kで5分間攪拌した。続いて、減圧下でトルエンを留去した後、443K、50Paで15時間乾燥し、目的の金属錯体組成物9.43g(収率94%)を得た。
得られた金属錯体組成物453mgを、内径3.0mm、長さ15mmの臼に入れ、市橋精機株式会社製簡易錠剤成型機HANDTAB−100を用い、打錠圧610kgf/cm2、温度473Kで5分間圧縮し、直径3.0mm、長さ8.8mmの円柱状ペレット6個(455mg)を得た。
<合成例3>
エチレンと1−ヘキセンの共重合体からなる直鎖状低密度ポリエチレンである株式会社プライムポリマー製<ウルトゼックス(登録商標)>(銘柄:4020L、密度0.937g/cm3)1.01gをトルエン56.3mLに加え、383Kで攪拌して溶解させた。得られた溶液に合成例1で得た金属錯体9.00gを加え、383Kで5分間攪拌した。続いて、減圧下でトルエンを留去した後、443K、50Paで15時間乾燥し、目的の金属錯体組成物9.30g(収率93%)を得た。
エチレンと1−ヘキセンの共重合体からなる直鎖状低密度ポリエチレンである株式会社プライムポリマー製<ウルトゼックス(登録商標)>(銘柄:4020L、密度0.937g/cm3)1.01gをトルエン56.3mLに加え、383Kで攪拌して溶解させた。得られた溶液に合成例1で得た金属錯体9.00gを加え、383Kで5分間攪拌した。続いて、減圧下でトルエンを留去した後、443K、50Paで15時間乾燥し、目的の金属錯体組成物9.30g(収率93%)を得た。
得られた金属錯体組成物453mgを、内径3.0mm、長さ15mmの臼に入れ、市橋精機株式会社製簡易錠剤成型機HANDTAB−100を用い、打錠圧610kgf/cm2、温度473Kで5分間圧縮し、直径3.0mm、長さ8.7mmの円柱状ペレット6個(452mg)を得た。
<比較合成例1>
メタクリル酸メチルとアクリル酸n−ブチルとメタクリル酸メチルのトリブロック共重合体からなるアクリル系熱可塑性エラストマーである株式会社クラレ製<クラリティ(登録商標)>(銘柄:2140e、密度1.18g/cm3)2.80gをクロロホルム160mLに加え、298Kで攪拌して溶解させた。得られた溶液に合成例1で得た金属錯体25.2gを加え、298Kで5分間攪拌した。続いて、減圧下でクロロホルムを留去した後、373K、50Paで8時間乾燥し、目的の金属錯体組成物24.5g(収率85%)を得た。
メタクリル酸メチルとアクリル酸n−ブチルとメタクリル酸メチルのトリブロック共重合体からなるアクリル系熱可塑性エラストマーである株式会社クラレ製<クラリティ(登録商標)>(銘柄:2140e、密度1.18g/cm3)2.80gをクロロホルム160mLに加え、298Kで攪拌して溶解させた。得られた溶液に合成例1で得た金属錯体25.2gを加え、298Kで5分間攪拌した。続いて、減圧下でクロロホルムを留去した後、373K、50Paで8時間乾燥し、目的の金属錯体組成物24.5g(収率85%)を得た。
得られた金属錯体組成物452mgを、内径3.0mm、長さ15mmの臼に入れ、市橋精機株式会社製簡易錠剤成型機HANDTAB−100を用い、打錠圧610kgf/cm2、温度473Kで5分間圧縮し、直径3.0mm、長さ8.6mmの円柱状ペレット6個(445mg)を得た。
<実施例1>
合成例2で得たペレット形状に成形された組成物について、圧壊強度を測定した結果、308N(n=6平均値)であった。
合成例2で得たペレット形状に成形された組成物について、圧壊強度を測定した結果、308N(n=6平均値)であった。
<実施例2>
合成例3で得たペレット形状に成形された組成物について、圧壊強度を測定した結果、353N(n=6平均値)であった。
合成例3で得たペレット形状に成形された組成物について、圧壊強度を測定した結果、353N(n=6平均値)であった。
<比較例1>
比較合成例1で得たペレット形状に成形された組成物について、圧壊強度を測定した結果、199N(n=6平均値)であった。
比較合成例1で得たペレット形状に成形された組成物について、圧壊強度を測定した結果、199N(n=6平均値)であった。
実施例1及び実施例2と、比較例1との比較より、本発明の構成要件を満たす合成例1及び合成例2で得た組成物からなるペレットは、本発明の構成要件を満たさない比較合成例1で得た組成物からなるペレットよりも強度が強いことは明らかである。
<実施例3>
合成例2で得られたペレット形状に成形された組成物について、293Kにおける二酸化炭素の吸着量を容量法により測定し、吸脱着等温線を作成した。結果を図9に示す。
合成例2で得られたペレット形状に成形された組成物について、293Kにおける二酸化炭素の吸着量を容量法により測定し、吸脱着等温線を作成した。結果を図9に示す。
<実施例4>
合成例3で得られたペレット形状に成形された組成物について、293Kにおける二酸化炭素の吸着量を容量法により測定し、吸脱着等温線を作成した。結果を図10に示す。
合成例3で得られたペレット形状に成形された組成物について、293Kにおける二酸化炭素の吸着量を容量法により測定し、吸脱着等温線を作成した。結果を図10に示す。
図9及び図10より、本発明の構成要件を満たす組成物からなるペレットは、圧力の増加と共に二酸化炭素を吸着できることは明らかである。従って、本発明の組成物を含む成形体も二酸化炭素などの吸着材、吸蔵材及び分離材として使用できることは明らかである。
<参考例1>
合成例1で得た未成形の金属錯体について、293Kにおける二酸化炭素の吸着量を容量法により測定し、吸脱着等温線を作成した。吸脱着等温線を図11に示す。
合成例1で得た未成形の金属錯体について、293Kにおける二酸化炭素の吸着量を容量法により測定し、吸脱着等温線を作成した。吸脱着等温線を図11に示す。
Claims (13)
- 吸着に伴い構造変化が可能な多孔性金属錯体(A)と、密度が1g/cm3以下の熱可塑性樹脂(B)とを含む組成物。
- 該熱可塑性樹脂(B)がα−オレフィンの重合体である請求項1に記載の組成物。
- 多孔性金属錯体(A)と熱可塑性樹脂(B)との質量比が1:99〜99:1の範囲内である請求項1または2に記載の組成物。
- 該組成物が、ペレット、フィルム、シート、プレート、パイプ、チューブ、棒状体、粒状体、異形成形体、繊維、中空糸、織布、編布及び不織布から選ばれるいずれかの形状である請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物からなる吸着材。
- 該吸着材が、二酸化炭素、水素、一酸化炭素、酸素、窒素、炭素数1〜4の炭化水素、希ガス、硫化水素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、シロキサン、水蒸気または有機蒸気を吸着するための吸着材である請求項5に記載の吸着材。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物からなる吸蔵材。
- 該吸蔵材が、二酸化炭素、水素、一酸化炭素、酸素、窒素、炭素数1〜4の炭化水素、希ガス、硫化水素、アンモニア、水蒸気または有機蒸気を吸蔵するための吸蔵材である請求項7に記載の吸蔵材。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物からなる分離材。
- 該分離材が、二酸化炭素、水素、一酸化炭素、酸素、窒素、炭素数1〜4の炭化水素、希ガス、硫化水素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、シロキサン、水蒸気または有機蒸気を分離するための分離材である請求項9に記載の分離材。
- 分離材と混合ガスとを0.01〜10MPaの圧力範囲で接触させる工程を含むことを特徴とする請求項9に記載の分離材を用いる分離方法。
- 該分離方法が圧力スイング吸着法または温度スイング吸着法である請求項11に記載の分離方法。
- 密度が1g/cm3以下の熱可塑性樹脂(B)のビカット軟化点以上に加熱した状態で成形することを特長とする、吸着に伴い構造変化が可能な多孔性金属錯体(A)と密度が1g/cm3以下の熱可塑性樹脂(B)とを含む成形体の製造方法。
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