JP2015125855A - 電気コネクタ - Google Patents
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Abstract
【課題】ラッチ部材の破損を防止可能な構造を有する電気コネクタを提供する。【解決手段】電気コネクタ1は、コネクタ本体部10と、ラッチ部材14とを備え、コネクタ本体部10は、相手側コネクタに挿入されるコネクタ部16と、コネクタ部16に対してY方向に配置されるコネクタケース12と、を備え、ラッチ部材14は、コネクタ部16に固定される固定部60と、コネクタケース12において摺動可能に設けられるスライド部62と、固定部60とスライド部62とを連結するアーム部64と、相手側コネクタと係合するためにアーム部64に設けられるラッチ部66と、を備え、コネクタケース12は、スライド部62をY方向に摺動可能に設けるための突起部46を備え、ラッチ部66と相手側コネクタとの係合を解除するときにアーム部64が押圧されると、スライド部62がY方向に摺動する。【選択図】図1
Description
本発明は、電気コネクタに関する。
通信ケーブルに取り付けられる電気コネクタとして、例えば以下の特許文献1に記載のコネクタが知られている。
特許文献1には、「コネクタから外方に突出する掛止めアームを有するコネクタにして、該掛止めアームに形成された内方に突出する自由端部分を備え、該自由端部が、該コネクタの上面に向けて内方に突出して、該上面の上方で、上面に十分に近接する位置に達し、掛止めアームがその他の物品ともつれたり、引っ掛かったりすることが少ないようにする」との記載がある。
電気コネクタのラッチ部材は、アームの一端が自由端とされていると、どうしてもアームが他の物品等に引っ掛かることがある。また、ラッチ部材は、リセプタクルコネクタ(モジュラージャック)への抜き差しの際にアームが押圧されると、アームに負荷が加わることで破損することもある。したがって、電気コネクタのラッチ部材では、アームの破損を防止できる構造の要請が高まっている。
本発明の一側面は、コネクタ本体部と、コネクタ本体部に取り付けられるラッチ部材とを備える電気コネクタに関する。コネクタ本体部は、相手側コネクタに挿入される前方部と、前方部に対して第1方向に配置される後方部と、を備える。ラッチ部材は、第1方向に沿って延在する長尺状を成し、前方部に固定される固定端と、後方部において摺動可能に設けられる摺動端と、固定端と摺動端とを連結するアームと、相手側コネクタと係合するためにアームに設けられるラッチ部と、を備える。後方部は、摺動端を第1方向に沿って摺動可能に設けるための突起部を備える。ラッチ部と相手側コネクタとの係合を解除するときにアームが押圧されると、摺動端が第1方向に沿って摺動する。
本発明によれば、アームの一端である固定端が固定されているとともに、アームの他端である摺動端が突起部によって第1方向に沿って摺動可能とされている。したがって、アームの両端が自由端とされてないので、アームが他の物品等に引っ掛かることによる破損を防止できる。また、アームが押圧されたときに摺動端が第1方向に沿って摺動するので、アームに加わる負荷を低減できる。したがって、ラッチ部材の破損を防止できる。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。
図1は、一実施形態に係る電気コネクタを示す斜視図である。図2は、図1の電気コネクタを下部側から示す斜視図である。図3は、コネクタ本体部を示す斜視図である。図4は、図1の電気コネクタの分解斜視図である。図5は、コネクタ部とコネクタケースとを示す斜視図である。図6は、ラッチ部材を示す斜視図である。図7は、コネクタ部とラッチ部材の固定部とを拡大して示す斜視図である。図8は、コネクタケースとラッチ部材のスライド部とを拡大して示す斜視図である。図9の(a)はコネクタケースとラッチ部材のスライド部とを拡大して示す平面図、図9の(b)はコネクタケースとラッチ部材のスライド部とを拡大して示す側面図である。
以下の説明では、図1及び図2に示されるように、電気コネクタ1の幅方向はX方向(第2方向)、電気コネクタ1の長さ方向(電気コネクタ1が挿入される方向)はY方向(第1方向)、電気コネクタ1の高さ方向はZ方向(第3方向)と規定される。X方向、Y方向、及び、Z方向は、例えば互いに直交する。また、本実施形態では、電気コネクタ1が相手側コネクタであるリセプタクルコネクタ(モジュラージャック)のプラグ挿入口(図示しない)に挿入される側は「前」、ケーブル3が挿入される側は「後」とされる。
図1及び図2に示される電気コネクタ1は、例えばISO/IEC8877で標準化されているRJ(Registered Jack)−45コネクタであり、リセプタクルコネクタのプラグ挿入口に挿入されるプラグコネクタとして構成されている。電気コネクタ1は、ケーブル3(図11参照)の末端に取り付けられる。ケーブル3は、通信ケーブルであり、例えば4本の芯線5(図11参照)と、この芯線5全体の外周を覆うシールド(図示しない)と、を有するLAN(Local Area Network)ケーブルである。
電気コネクタ1は、コネクタ本体部10と、ラッチ部材14と、を備えている。電気コネクタ1では、コネクタ本体部10にラッチ部材14が取り付けられている。
コネクタ本体部10は、コネクタ部(前方部)16と、コネクタケース(後方部)12と、を備えている。コネクタ本体部10は、コネクタ部16の一部がコネクタケース12に収容されて構成されている。コネクタ部16は、接続対象のリセプタクルコネクタのプラグ挿入口に差し込まれる部分である。コネクタ部16は、組立体(ハウジング)17と、シールド部材18と、を備えている。
組立体17は、ハウジング20と、ケーブルカバー22と、接触部材(接触部)24と、を備えている。ハウジング20は、工業用プラスチック材料、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT:polybutylene terephthalate)、ポリアミド(PA:polyamide)などの絶縁性を有する材料から形成されている。ハウジング20は、収容部26と、接触部材保持部28と、突出部29と、を有している。収容部26は、ケーブルカバー22を収容して保持する部分である。収容部26は、ハウジング20の後部に設けられている。収容部26は、後方に開放されている。収容部26には、ケーブルカバー22を係止する係止部26aが設けられている。ハウジング20(コネクタ部16)の前端部20aは、リセプタクルコネクタに挿入される電気コネクタ1の挿入端である。
接触部材保持部28は、接触部材24を保持して固定する部分である。接触部材保持部28は、各接触部材24が配置される複数(ここでは4つ)の溝部28aを有している。溝部28aは、収容部26からハウジング20の前端部20aにわたって設けられている。溝部28aは、接触部材24の形状に対応した形状を有している。突出部29は、ラッチ部材14の固定部60(後述)が当接する部分であり、固定部60の前方への移動を規制する。突出部29は、ハウジング20の前端部20aに設けられ、上方に突出している。
ケーブルカバー22は、例えばポリブチレンテレフタレート、ポリアミドなどの材料から形成されている。ケーブルカバー22は、ケーブル3の芯線5を収容する。ケーブルカバー22は、ケーブル3の芯線5を挿通する複数(ここでは4つ)の挿通口23を有している。挿通口23は、ケーブルカバー22において後端部に配置され、後方側に開口している。ケーブルカバー22には、ハウジング20の収容部26に収容されたときに、接触部材24の接触子30(後述)に対応する位置に接触子30が挿通される開口部(図示しない)が設けられている。
ケーブルカバー22の側壁部には、係止爪22aが設けられている。係止爪22aは、ハウジング20の収容部26に設けられた係止部26aと係合する。これにより、ケーブルカバー22は、ハウジング20に固定される。
接触部材24は、ケーブル3の芯線5の数に応じて複数(ここでは4つ)設けられている。各接触部材24は、例えば金属等の導電部材から形成されている。各接触部材24は、接触子30と、接触端子32と、を備えている。接触子30と接触端子32とは、一体に設けられている。接触子30は、千鳥状に収容部26に配置されている(図11参照)。接触子30は、スリット30aが形成された二又形状とされている。接触子30のスリット30aに芯線5が挿入(圧入)されることにより、芯線5が接触子30に電気的に接続される。すなわち、芯線5の被覆カバーに接触子30が切り込み、接触子30が芯線5の導線の導体まで到達して電気的に接続される。
接触端子32は、相手側コネクタであるリセプタクルコネクタの各接触子と電気的な接続を行い、リセプタクルコネクタの接触子と一対一で導通する部分である。接触端子32は、略U字状を呈している。接触端子32は、ハウジング20の溝部28aに配置され、ハウジング20の前端側(電気コネクタ1の前端部20a)に露出する。
シールド部材18は、例えば、ばね特性を有する金属材料から形成されている。シールド部材18は、組立体17を部分的に囲っている。シールド部材18は、リセプタクルコネクタとケーブル3のシールドとを電気的に導通させるとともに、静電遮蔽の機能を有する。シールド部材18は、基部18aと、基部18aの両端部から起立する一対の側壁部18b,18cと、から構成されており、Y方向と交差する断面が略U字形状を呈している。シールド部材18は、固定部34と、突出部36a,36bと、加締め部38と、を備えている。
固定部34は、ラッチ部材14の固定部60(後述)を固定するための部分である。固定部34は、シールド部材18の前端側に配置されている。固定部34は、2つの固定片34a,34bと、突出片34cと、を有している。2つの固定片34a,34bは、固定部60のX方向及びZ方向に沿った移動を規制するための部材である。固定片34a,34bは、X方向に所定の間隔を空けて配置されている。固定片34a,34bは、シールド部材18の基部18aと一体に設けられている。固定片34a,34bは、X方向と交差する断面が略U字形状を呈しており、後方側(コネクタケース12側)に開放されるように折り返されている。
突出片34cは、固定部60の後方への移動を規制するための部材である。突出片34cは、2つの固定片34a,34bの間に配置されている。突出片34cは、基部18aの面18Sから斜め上方に前側に向かって突出している。2つの固定片34a,34bと突出片34cとの協働でラッチ部材14の固定部60を固定する。
突出部36a,36bは、各側壁部18b,18cにそれぞれ配置されている。突出部36a,36bは、シールド部材18の後方側に設けられている。突出部36a,36bは、略矩形形状を呈する板状部材である。突出部36a,36bは、後端部が側壁部18b,18cに連結されており、先端部に向かうにつれて側壁部18b,18cの外表面から外側に離れるようにX方向に突出している。突出部36a,36bは、弾性を有している。これにより、突出部36a,36bは、側壁部18b,18c側に押圧されると弾性変形して先端部が外表面に近づく方向に可動し、押圧が解除されると元の位置に戻る。
加締め部38a,38bは、ケーブル3を加締めて固定し、コネクタ本体部10にケーブル3を保持固定する部分である。加締め部38a,38bは、各側壁部18b,18cから後方に伸び、互いに対向している。加締め部38a,38bは、ケーブル3のシールドと電気的に接続される。これにより、シールド部材18は、ケーブル3のシールドと電気的に接続される。
コネクタケース12は、工業用プラスチック材料、例えばポリブチレンテレフタレート、ポリアミドなどの絶縁材料から形成されている。コネクタケース12は、コネクタ部16のシールド部材18において帯電が生じている場合に、シールド部材18に触れずに操作できるように設けられている。コネクタケース12は、コネクタ部16に対してY方向に配置されている。
コネクタケース12は、中空の略直方体形状を呈している。コネクタケース12は、コネクタ部16を収容する収容空間Sを画成している。コネクタケース12は、開口部40と、ケーブル挿通部(開口部)42と、係合部(開口部)44と、突起部46と、を備えている。コネクタケース12の後端部12aは、電気コネクタ1の後端である。コネクタ部16の前端部(挿入端)20aと、コネクタケース12の後端部12aとは、Y方向、すなわちコネクタ本体部10の長さ方向において対向する。
開口部40は、コネクタ部16を挿通する部分である。開口部40は、コネクタケース12の前端部に設けられている。開口部40は、例えばコネクタ部16の外形に対応した形状であり、例えば略矩形形状を呈している。
ケーブル挿通部42は、ケーブル3を挿通する部分である。ケーブル挿通部42は、コネクタケース12の後端部12aに設けられている。ケーブル挿通部42は、例えば略円形形状を呈している。
係合部44は、コネクタ本体部10のシールド部材18に設けられた突出部36a,36bと係合する部分である。係合部44は、コネクタケース12の側壁部12c,12dのそれぞれに設けられている。係合部44は、コネクタケース12の前端側に配置されており、側壁部12c,12dを貫通する開口である。係合部44は、コネクタ部16がコネクタケース12に挿入されると、突出部36a,36bの先端部と当接して係合する。電気コネクタ1では、係合部44及び突出部36a,36bにより、コネクタ部16とコネクタケース12とが着脱可能に取り付けられている。すなわち、コネクタ部16は、突出部36a,36bを押圧することによりコネクタケース12から取り外せる。
突起部46は、ラッチ部材14のスライド部62(後述)をY方向に沿って摺動可能に設けるための部分である。突起部46は、スライド部62の開口部72(後述)と係合する。突起部46のY方向と交差する断面は、例えば略T字形状を呈している。突起部46は、支柱部47と、規制部48と、を備えている。支柱部47は、コネクタケース12の頂面12eからZ方向に沿って上方に延びる部分である。支柱部47は、例えば円柱形状を呈している。ラッチ部材14がコネクタ本体部10に取り付けられた状態では、支柱部47はスライド部62の開口部72を貫通して延びている。
規制部48は、スライド部62がコネクタケース12の頂面12eの法線方向(Z方向)にコネクタケース12から離れるのを妨げるための部分である。規制部48は、コネクタケース12の頂面12eから離れており支柱部47と交差して延びている。規制部48は、例えばX方向に延びている。規制部48は、コネクタケース12の頂面12eと略平行に配置されている。規制部48は、一対の延出部48a,48bを有している。一対の延出部48aは、支柱部47からX方向に沿って互いに反対方向に延びる部分である。
突起部46は、Y方向に沿って設けられたスライド溝50を備えている。スライド溝50は、一対のスライド溝50a,50bを有している。スライド溝50aは、頂面12eと支柱部47と延出部48aとによって規定される。スライド溝50bは、頂面12eと支柱部47と延出部48bとによって規定される。
ラッチ部材14は、長尺状を成しており、固定部(固定端)60と、スライド部(摺動端)62と、アーム部(アーム)64と、ラッチ部66と、備えている。ラッチ部材14は、コネクタ本体部10(コネクタ部16及びコネクタケース12)に取り付けられた状態でY方向に沿って延在しており、固定部60、ラッチ部66、アーム部64、及びスライド部62が前側からこの順で設けられている。
固定部60は、コネクタ部16に固定される部分である。固定部60は、例えば固定部34によってコネクタ部16のシールド部材18に固定される。固定部60は、固定部34に着脱可能とされている。固定部60は、当接部60aと、延伸部60bと、延伸部60cと、突出部60dと、を備えている。当接部60aは、ハウジング20の突出部29に当接するとともに、固定部34の固定片34a及び固定片34bに挟持される部分である。当接部60aは、アーム部64に連接して前方に設けられ、後方側に開放されるようにアーム部64の下側に折り返されている。当接部60aのX方向と交差する断面は、例えばU字形状を呈している。
延伸部60bは、固定部34の固定片34aに挿入されて挟持される部分である。延伸部60cは、固定部34の固定片34bに挿入されて挟持される部分である。延伸部60b及び延伸部60cは、X方向に沿って互いに反対方向に当接部60aから突出して設けられている。延伸部60bは、アーム部64の第1側部(一端部)64aよりもX方向において外側に延在し、その先端において上方に向かって湾曲している。延伸部60cは、アーム部64の第2側部(他端部)64bよりもX方向において外側に延在し、その先端において上方に向かって湾曲している。延伸部60b及び延伸部60cのY方向と交差する断面は、例えばL字形状を呈している。
突出部60dは、固定部34の突出片34cに係止される部分である。突出部60dは、当接部60aに連接して後方に設けられ、その先端において上方に向かって湾曲している。突出部60dのX方向と交差する断面は、例えばL字形状を呈している。
スライド部62は、コネクタケース12において摺動可能に設けられる部分である。スライド部62は、コネクタケース12の突起部46に着脱可能に設けられている。スライド部62は、基部70と、基部70に設けられた開口部72と、を備えている。基部70は、コネクタケース12の頂面12eに載置される部分である。基部70は、例えば略矩形状の板状部材である。開口部72は、Z方向に基部70を貫通する開口であり、Y方向に延びる矩形状を呈している。開口部72は、前端縁72a、後端縁72b、側端縁72c及び側端縁72dによって規定される。開口部72は突起部46と係合する。
開口部72には突起部46の支柱部47が貫通している。開口部72の側端縁72cがスライド溝50aに位置し、開口部72の側端縁72dがスライド溝50bに位置するように、基部70はコネクタケース12の頂面12eと突起部46の規制部48との間に配置されている。つまり、スライド部62は、コネクタケース12と規制部48との間に設けられ、スライド溝50a及びスライド溝50bに沿ってY方向に摺動する。
ここで、スライド溝50aにおける頂面12eと延出部48aとの間の寸法H1、及び、スライド溝50bにおける頂面12eと延出部48bとの間の寸法H2は、スライド部62の基部70の厚さTsと略同等、もしくは、スライド部62の基部70の厚さTsよりもわずかに大きい。スライド部62の開口部72の幅(側端縁72cと側端縁72dとの間の寸法)Wsは、支柱部47のX方向に沿った長さ(直径)D1と略同等、もしくは、支柱部47のX方向に沿った長さD1よりもわずかに大きく、突起部46(規制部48)のX方向に沿った長さW1よりも小さい。スライド部62の開口部72の長さ(前端縁72aと後端縁72bとの間の寸法)Lsは、突起部46のY方向に沿った長さL1よりも大きい。
このような構成により、ラッチ部材14のスライド部62は、スライド溝50a及びスライド溝50bにおいて、Y方向と交差するX方向、並びに、X方向及びY方向と交差するZ方向への移動が規制されている。言い換えれば、突起部46は、ラッチ部材14のスライド部62のX方向及びZ方向への移動を規制(制限)する。また、スライド部62がY方向に沿って前方にスライドすると、開口部72の後端縁72bが突起部46の支柱部47に当接する。すなわち、スライド部62は、スライド溝50a及びスライド溝50bにおいて固定部60に近づく方向(前端側)への移動が支柱部47及び後端縁72bにより規制される。一方、スライド部62がY方向に沿って後方にスライドすると、開口部72の前端縁72aが突起部46の支柱部47に当接する。すなわち、スライド部62は、スライド溝50a及びスライド溝50bにおいて固定部60から遠ざかる方向(後端側)への移動が支柱部47及び前端縁72aにより規制される。
また、スライド部62の開口部72の幅Wsは、突起部46のY方向に沿った長さL1よりも大きい。スライド部62の開口部72の長さLsは、突起部46のX方向に沿った長さW1よりも大きい。このような構成により、突起部46はスライド部62の開口部72に挿通可能となり、スライド部62はコネクタケース12の突起部46に着脱可能となる。
アーム部64は、固定部60とスライド部62とを連結する部分である。アーム部64は、可撓性及び弾性を有する長尺状の部材である。アーム部64は、固定部60とスライド部62とを略同じ高さ位置で保持する。アーム部64は、X方向から見て、Z方向に凸に湾曲している。アーム部64には、ラッチ部材14が操作される際に押下される押圧部65が設けられている。
ラッチ部66は、リセプタクルコネクタと係合するためにアーム部64に設けられる部分である。ラッチ部66は、固定部60の近傍に設けられている。ラッチ部66は、X方向に沿って延在している。ラッチ部66のY方向と交差する断面は、略U字形状を呈している。ラッチ部66は、第1部分66aと、第2部分66bと、を有している。第1部分66aは、アーム部64の第1側部64aよりもX方向において外側に延在し、その先端において下方に向かって湾曲している。第2部分66bは、アーム部64の第2側部64bよりもX方向において外側に延在し、その先端において下方に向かって湾曲している。
続いて、電気コネクタ1のラッチ部材14の動作が説明される。電気コネクタ1を相手側コネクタであるリセプタクルコネクタから取り外すときには、ラッチ部材14のアーム部64に設けられた押圧部65をコネクタケース12側に向けて押圧する。押圧部65の押下動作に連動して、アーム部64に連結されたスライド部62は、スライド溝50a及びスライド溝50bに沿って後方側(固定部60から離れる方向)にスライドする。これにより、ラッチ部66がコネクタ部16側に下り、リセプタクルコネクタとラッチ部66との係合が解除される。
つまり、ラッチ部66とリセプタクルコネクタとの係合を解除するときにアーム部64の押圧部65が押圧されると、スライド部62が突起部46に関連する方向に摺動する。言い換えると、ラッチ部66とリセプタクルコネクタとの係合を解除するときにアーム部64の押圧部65が押圧されると、スライド部62がスライド溝50a及びスライド溝50bに沿ってY方向に摺動する。
ラッチ部66とリセプタクルコネクタとの係合が解除された後、ラッチ部材14の押圧を解除すると、ラッチ部材14(アーム部64)の弾性力により、スライド部62が前方側(固定部60に近づく方向)に摺動し、初期位置(図9の(a)に示す位置)に戻る。
続いて、電気コネクタ1の組立方法が説明される。図10〜図12は、電気コネクタの組立手順を示す図である。
図10の(a)に示されるように、コネクタケース12とラッチ部材14とを準備する。そして、スライド部62の開口部72の前端縁72aと後端縁72bとが対向する方向が突起部46の規制部48が延びる方向に合わさるように、ラッチ部材14の向きを調整する。次に、図10の(b)に示されるように、スライド部62の開口部72に突起部46を挿通させて、スライド部62の基部70をコネクタケース12の頂面12eに載置する。
次に、図10の(c)に示されるように、ラッチ部材14の固定部60がコネクタケース12の開口部40側(前方)に位置するように、突起部46の支柱部47を軸としてラッチ部材14を回転する。このとき、スライド部62の基部70が規制部48とコネクタケース12の頂面12eとの間に挟まれる。このようにして、コネクタケース12にラッチ部材14のスライド部62が取り付けられる。
次に、図11に示されるように、コネクタケース12のケーブル挿通部42にケーブル3の末端を挿通させる。続いて、ケーブル3の末端において、芯線5のそれぞれを、ケーブルカバー22の挿通口23のそれぞれに挿入する。
次に、図12の(a)に示されるように、ケーブルカバー22にケーブル3の芯線5を保持した状態で、ケーブルカバー22をハウジング20の収容部26に収容する。このとき、芯線5が接触部材24の接触子30に圧入され、芯線5の導線と接触子30とが電気的に接続される。続いて、シールド部材18の加締め部38a,38bを加締めてケーブル3をシールド部材(コネクタ本体部10)に固定する。
次に、図12の(b)に示されるように、コネクタケース12をケーブル3に沿ってコネクタ部16側に移動させ、コネクタ部16とコネクタケース12とを連結する。最後に、図1に示されるように、ラッチ部材14の固定部60をコネクタ部16(シールド部材18)の固定部34に固定する。以上により、電気コネクタ1がケーブル3の末端に取り付けられる。
以上説明されたように、電気コネクタ1では、ラッチ部材14の固定部60がコネクタ本体部10のコネクタ部16に固定されているとともに、スライド部62がコネクタ本体部10のコネクタケース12の突起部46によって規定されるスライド溝50a及びスライド溝50bに沿ってY方向に摺動する。これにより、電気コネクタ1では、ラッチ部材14のアーム部64の両端部がフリー(自由端)とされていないため、他の物品等との引っ掛かり等によるアーム部64の破損を防止できる。
また、電気コネクタ1では、アーム部64の押圧部65が押圧されたときにスライド部62がY方向に沿って摺動するので、アーム部64の両端部を固定する構成に比べて、アーム部64の負荷を軽減できる。したがって、電気コネクタ1では、アーム部64の破損が防止される。この構成は、特に、電気コネクタ1の小型化に有効である。
電気コネクタ1では、スライド部62にY方向に延びる矩形状の開口部72が設けられている。突起部46の支柱部47は、コネクタケース12の頂面12eから開口部72を貫通して延び、突起部46の規制部48はコネクタケース12の頂面12eから離れており支柱部47と交差してX方向に延びている。このため、コネクタケース12の頂面12e、支柱部47及び規制部48によって、Y方向に延びるスライド溝50a及びスライド溝50bが規定される。また、スライド部62の開口部72はY方向に延びている。これにより、スライド溝50a及びスライド溝50bに沿ってY方向にスライド部62が摺動することが可能となるとともに、開口部72の前端縁72a及び後端縁72bによってスライド部62のY方向での移動が制限される。したがって、電気コネクタ1では、アーム部64に過剰な負荷が加えられることを防止できる。その結果、電気コネクタ1では、アーム部64が破損することを防止できる。
電気コネクタ1では、スライド部62は、規制部48とコネクタケース12の頂面12eとの間に設けられている。また、規制部48は、スライド部62がコネクタケース12の頂面12eの法線方向にコネクタケース12から離れるのを妨げる。このため、スライド部62のZ方向への移動が規制される。これにより、電気コネクタ1では、スライド部62の移動の自由度をさらに低下させることができ、他の物品等との引っ掛かり等によるアーム部64の破損の可能性をさらに低減できる。
電気コネクタ1では、開口部72の幅Wsは支柱部47のX方向に沿った長さD1と略同等、もしくは、支柱部47のX方向に沿った長さD1よりもわずかに大きい。このため、スライド部62のX方向への移動が規制される。これにより、電気コネクタ1では、スライド部62の移動の自由度をさらに低下させることができ、他の物品等との引っ掛かり等によるアーム部64の破損の可能性をさらに低減できる。
電気コネクタ1では、スライド部62の開口部72の幅Wsは、突起部46のY方向に沿った長さL1よりも大きく、突起部46のX方向に沿った長さW1よりも小さい。また、スライド部62の開口部72の長さLsは、突起部46のX方向に沿った長さW1よりも大きい。このような構成により、スライド部62の開口部72に突起部46を挿通し、支柱部47を軸としてラッチ部材14を回転することで、コネクタケース12にスライド部62を取り付けることができる。このため、コネクタケース12へのスライド部62の取り付けを簡易化することができる。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
上記実施形態では、電気コネクタ1に1本のケーブル3が取り付けられているが、電気コネクタ1には、一又は複数のケーブルが取り付けられてもよい。この場合、コネクタケース12のケーブル挿通部42をケーブルの本数に応じて形成すればよい。
上記実施形態では、コネクタ部16のシールド部材18に突出部36a,36bを設け、コネクタケース12に係合部(開口部)44を設けているが、シールド部材18に開口部を設けるとともにコネクタケース12に突起部を設ける構成であってもよい。
1…電気コネクタ、10…コネクタ本体部、12…コネクタケース(後方部)、12e…頂面、14…ラッチ部材、16…コネクタ部(前方部)、46…突起部、47…支柱部、48…規制部、50a,50b…スライド溝、60…固定部(固定端)、62…スライド部(摺動端)、64…アーム部(アーム)、66…ラッチ部、72…開口部。
Claims (10)
- コネクタ本体部と、前記コネクタ本体部に取り付けられるラッチ部材とを備える電気コネクタであって、
前記コネクタ本体部は、
相手側コネクタに挿入される前方部と、
前記前方部に対して第1方向に配置される後方部と、を備え、
前記ラッチ部材は、前記第1方向に沿って延在する長尺状を成し、
前記前方部に固定される固定端と、
前記後方部において摺動可能に設けられる摺動端と、
前記固定端と前記摺動端とを連結するアームと、
前記相手側コネクタと係合するために前記アームに設けられるラッチ部と、を備え、
前記後方部は、前記摺動端を前記第1方向に沿って摺動可能に設けるための突起部を備え、
前記ラッチ部と前記相手側コネクタとの係合を解除するときに前記アームが押圧されると、前記摺動端が前記第1方向に沿って摺動する、
電気コネクタ。 - 前記ラッチ部と前記相手側コネクタとの係合を解除するときに前記アームが押圧されると、前記摺動端が前記突起部に関連する前記第1方向に沿って摺動する、
請求項1に記載の電気コネクタ。 - 前記突起部は、前記第1方向に沿って設けられたスライド溝を備え、
前記ラッチ部と前記相手側コネクタとの係合を解除するときに前記アームが押圧されると、前記摺動端が前記スライド溝を前記第1方向に沿って摺動する、
請求項1に記載の電気コネクタ。 - 前記突起部は、前記第1方向と交差する第2方向、並びに、前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向への前記摺動端の移動を規制する、
請求項1に記載の電気コネクタ。 - 前記第1方向、第2方向、及び、前記第3方向は、互いに直交する、
請求項4に記載の電気コネクタ。 - 前記摺動端には、前記第1方向に延びる矩形状の開口部が設けられており、
前記突起部は、前記開口部と係合する、
請求項1に記載の電気コネクタ。 - 前記突起部は、前記後方部の頂面から前記開口部を貫通して延びる支柱部と、前記後方部の頂面から離れており前記支柱部と交差して延びる規制部と、を備える、
請求項6に記載の電気コネクタ。 - 前記摺動端は、前記規制部と前記後方部の頂面との間に設けられる、
請求項7に記載の電気コネクタ。 - 前記規制部は、前記後方部の頂面の法線方向に前記後方部から前記摺動端が離れるのを妨げる、
請求項7に記載の電気コネクタ。 - 前記開口部の長さは、前記規制部の長さよりも大きく、
前記開口部の幅は、前記規制部の長さよりも小さい、
請求項7に記載の電気コネクタ。
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