JP2015189859A - インクジェット用エマルジョンインク及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】普通紙に記録した場合において、十分な画像の光学濃度を得ることができ、高速定着性及び耐擦過性に優れると共に、用紙変形を低減できるインクジェット用エマルジョンインクを提供する。
【解決手段】本発明に係るインクジェット用エマルジョンインクは、油相及び水相からなる油中水滴(W/O)型のエマルジョンインクであって、前記水相は、水、着色剤、水溶性有機溶剤及び樹脂を含有し、前記着色剤が、ポリマーを含む変性顔料であることを特徴とする。
【選択図】なし
【解決手段】本発明に係るインクジェット用エマルジョンインクは、油相及び水相からなる油中水滴(W/O)型のエマルジョンインクであって、前記水相は、水、着色剤、水溶性有機溶剤及び樹脂を含有し、前記着色剤が、ポリマーを含む変性顔料であることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、インクジェット用エマルジョンインク及びこれを用いたインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録方法は、微細なノズルヘッドからインクの小滴を吐出して飛翔させ、紙等の記録媒体に付着させて印刷を行う方法である。この方法は、比較的安価な装置で高解像度かつ高品位な画像を、高速で印刷可能であるという特徴を有する。
インクジェット記録方法で用いられるインク(以下、「インクジェット用インク」ともいう。)としては、一般に着色剤として顔料や染料を用いた水性インクが利用されている。このような水性インクで普通紙に印刷した場合、普通紙の吸水性が高いために印刷濃度は高くなり、印刷物を裏側から見たときの裏抜けは小さくなる。その反面、普通紙は製紙される時に圧力が掛かった状態で乾燥しているために、水が付着すると普通紙繊維間の水素結合が切られてカールが発生しやすい。
かかる問題を解決する観点から、インクとして油中水滴(W/O)型のエマルジョンインクを用いる技術が検討されている。連続相を油相とする油中水滴(W/O)型のエマルジョンインクを用いることにより、普通紙におけるカールを低減することができる。
例えば特許文献1には、乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルを用いた油中水滴(W/O)型エマルジョンインクが開示されている。また、特許文献2には、55質量%以上90質量%以下の油相と、45質量%以下10質量%以上の水相と、を含み、前記水相中に水、水系溶剤、着色剤及び樹脂を含有するインクジェット用W/O型エマルジョンインクが開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載の油中水滴(W/O)型エマルジョンインクは、油相のみに色材が存在するため、着色剤の浸透による裏抜けや発色性の低下、さらには滲みの発生等の問題が懸念される。一方、特許文献2に記載のインクジェット用W/O型エマルジョンインクは、普通紙に記録した場合において、画像の光学濃度が不十分な場合があり、色材である顔料の定着性が悪く、耐擦過性が十分ではない場合があった。
そこで、本発明に係る幾つかの態様は、上記課題の少なくとも一部を解決することで、普通紙に記録した場合において、十分な画像の光学濃度を得ることができ、高速定着性及び耐擦過性に優れると共に、用紙変形を低減できるインクジェット用エマルジョンインクを提供するものである。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係るインクジェット用エマルジョンインクの一態様は、
油相及び水相からなる油中水滴(W/O)型のエマルジョンインクであって、
前記水相は、水及び着色剤を含有し、
前記着色剤がポリマーを含む変性顔料であることを特徴とする。
本発明に係るインクジェット用エマルジョンインクの一態様は、
油相及び水相からなる油中水滴(W/O)型のエマルジョンインクであって、
前記水相は、水及び着色剤を含有し、
前記着色剤がポリマーを含む変性顔料であることを特徴とする。
適用例1のインクジェット用エマルジョンインクによれば、普通紙に記録した場合において、水相中にポリマーを含む変性顔料を含有させることにより、十分な画像の光学濃度を得ることができ、かつ、高速定着性に優れたものとなる。また、油中水滴(W/O)型のエマルジョンの形態とすることで、用紙変形を効果的に低減することができるので、高速印刷が可能となる。
[適用例2]
適用例1のインクジェット用エマルジョンインクにおいて、
前記変性顔料が、その表面に結合した安定基と、その表面に付加したポリマーと、を含むことができる。
適用例1のインクジェット用エマルジョンインクにおいて、
前記変性顔料が、その表面に結合した安定基と、その表面に付加したポリマーと、を含むことができる。
適用例2のインクジェット用エマルジョンインクによれば、変性顔料が表面処理による安定基及びポリマー吸着のハイブリッド構造を有することで、変性顔料は水相中で自己分散することができ、しかも変性顔料を含有する水相の粘度を低粘度化することができる。これにより、十分な画像の光学濃度を得ることができ、かつ、高速定着性にも優れたものとなる。
[適用例3]
適用例2のインクジェット用エマルジョンインクにおいて、
前記安定基が、スルホニル基及びカルボキシル基よりなる群から選択される少なくとも1種の官能基を含むことができる。
適用例2のインクジェット用エマルジョンインクにおいて、
前記安定基が、スルホニル基及びカルボキシル基よりなる群から選択される少なくとも1種の官能基を含むことができる。
適用例3のインクジェット用エマルジョンインクによれば、安定基がスルホニル基を有することで発色性がより良好となり、安定基がカルボキシル基を有することで自己分散性がより良好となり、水相の粘度を低粘度化することができる。
[適用例4]
適用例1ないし適用例3のいずれか一例のインクジェット用エマルジョンインクにおいて、前記ポリマーが、アミン含有ポリマーであることができる。
適用例1ないし適用例3のいずれか一例のインクジェット用エマルジョンインクにおいて、前記ポリマーが、アミン含有ポリマーであることができる。
適用例4のインクジェット用エマルジョンインクによれば、普通紙に記録した場合において、十分な画像の光学濃度を得ることができ、かつ、高速定着性に優れたものとなる。
[適用例5]
適用例1ないし適用例4のいずれか一例のインクジェット用エマルジョンインクにおいて、前記エマルジョンインク中の、前記油相の含有割合が55質量%以上90質量%以下であり、前記水相の含有割合が45質量%以下10質量%以上であることができる。
適用例1ないし適用例4のいずれか一例のインクジェット用エマルジョンインクにおいて、前記エマルジョンインク中の、前記油相の含有割合が55質量%以上90質量%以下であり、前記水相の含有割合が45質量%以下10質量%以上であることができる。
適用例5のインクジェット用エマルジョンインクによれば、着色剤の浸透による裏抜けの発生を低減でき、十分な画像の光学濃度を得ることができる。
[適用例6]
適用例1ないし適用例5のいずれか一例のインクジェット用エマルジョンインクにおいて、前記油相が、油溶性染料をさらに含有することができる。
適用例1ないし適用例5のいずれか一例のインクジェット用エマルジョンインクにおいて、前記油相が、油溶性染料をさらに含有することができる。
[適用例7]
適用例1ないし適用例5のいずれか一例のインクジェット用エマルジョンインクにおいて、前記油相が、顔料をさらに含有することができる。
適用例1ないし適用例5のいずれか一例のインクジェット用エマルジョンインクにおいて、前記油相が、顔料をさらに含有することができる。
適用例6や適用例7のインクジェット用エマルジョンインクによれば、さらに良好な画像の光学濃度が得られる。
[適用例8]
適用例1ないし適用例7のいずれか一例のインクジェット用エマルジョンインクにおいて、前記油相が界面活性剤をさらに含有することができる。
適用例1ないし適用例7のいずれか一例のインクジェット用エマルジョンインクにおいて、前記油相が界面活性剤をさらに含有することができる。
適用例8のインクジェット用エマルジョンインクによれば、連続相である油相の表面張力を調整することができるので、インクの吐出性が良好となると共に、普通紙におけるインク滴の広がりが好ましくなり、滲みの少ない画像を記録することができる。
[適用例9]
本発明に係るインクジェット記録方法の一態様は、
適用例1ないし適用例8のいずれか一例のインクジェット用エマルジョンインクの液滴を記録ヘッドから吐出して記録媒体に付着させる工程を含むことを特徴とする。
本発明に係るインクジェット記録方法の一態様は、
適用例1ないし適用例8のいずれか一例のインクジェット用エマルジョンインクの液滴を記録ヘッドから吐出して記録媒体に付着させる工程を含むことを特徴とする。
適用例9のインクジェット記録方法によれば、上記のインクジェット用エマルジョンインクを使用することで、十分な光学濃度の画像を得ることができ、かつ、高速定着性に優れたインクジェット記録を実現できる。また、適用例9のインクジェット記録方法によれば、用紙変形を効果的に低減することができるので、高速印刷が可能となる。
以下に本発明の好適な実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態は、本発明の一例を説明するものである。また、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。
以下、インクジェット用エマルジョンインク(以下、単に「エマルジョンインク」ともいう。)及びこれを用いたインクジェット記録方法について詳細に説明する。
1.インクジェット用エマルジョンインク
本実施の形態に係るエマルジョンインクは、油相及び水相からなる油中水滴(W/O)型のエマルジョンインクであって、前記水相は、水及び着色剤を含有し、前記着色剤がポリマーを含む変性顔料であることを特徴とする。本実施の形態に係るエマルジョンインクは、分散媒が油相、分散質が水相の、油中水滴(W/O)型エマルジョンである。本実施の形態に係るエマルジョンインクは、油相及び水相を混合し、該油相中に該水相を微細な粒子として分散させることによって得られる。以下、油中水滴(W/O)型エマルジョンを構成する水相及び油相について詳細に説明する。
本実施の形態に係るエマルジョンインクは、油相及び水相からなる油中水滴(W/O)型のエマルジョンインクであって、前記水相は、水及び着色剤を含有し、前記着色剤がポリマーを含む変性顔料であることを特徴とする。本実施の形態に係るエマルジョンインクは、分散媒が油相、分散質が水相の、油中水滴(W/O)型エマルジョンである。本実施の形態に係るエマルジョンインクは、油相及び水相を混合し、該油相中に該水相を微細な粒子として分散させることによって得られる。以下、油中水滴(W/O)型エマルジョンを構成する水相及び油相について詳細に説明する。
1.1.水相
水相は、水及び着色剤を含有するが、必要に応じてその他の成分を含有してもよい。
水相は、水及び着色剤を含有するが、必要に応じてその他の成分を含有してもよい。
1.1.1.水
水相に用いられる水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。本実施の形態に係るエマルジョンインク中の水の含有量は、インク全質量に対して、好ましくは10〜35質量%、より好ましくは15〜30質量%である。
水相に用いられる水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。本実施の形態に係るエマルジョンインク中の水の含有量は、インク全質量に対して、好ましくは10〜35質量%、より好ましくは15〜30質量%である。
1.1.2.着色剤
水相に添加される着色剤は、ポリマーを含む変性顔料である。水相中にポリマーを含む変性顔料を含有させることにより、普通紙の記録において、十分な画像の光学濃度を得ることができ、かつ、高速定着性及び耐擦過性に優れたものとなる。
水相に添加される着色剤は、ポリマーを含む変性顔料である。水相中にポリマーを含む変性顔料を含有させることにより、普通紙の記録において、十分な画像の光学濃度を得ることができ、かつ、高速定着性及び耐擦過性に優れたものとなる。
この変性顔料は、その表面に結合された安定基と、その表面に付加したポリマーと、を含むことが好ましい。変性顔料が表面処理による安定基及びポリマー吸着のハイブリッド構造を有することで、変性顔料は水相中で自己分散することができ、しかも変性顔料を含有する水相の粘度を低粘度化することができる。また、普通紙の記録において、十分な画像の光学濃度を得ることができ、ポリマーの効果により高速定着性及び耐擦過性にも優れたものとなる。
前記安定基としては、特に限定されないが、1,3,5−トリアジン等のトリアジニル基やアミン、イミン、ピリジン、チオール等の求核基が挙げられる。この安定基は、さらにスルホニル基及びカルボキシル基よりなる群から選択される少なくとも1種の官能基を含むことが好ましい。安定基がスルホニル基を有することで発色性がより良好となり、安定基がカルボキシル基を有することで自己分散性がより良好となり、水相の粘度を低粘度化することができる。
前記ポリマーとしては、特に限定されないが、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換の芳香族基、アミンを含有するポリマー等が挙げられる。これらの中でも、アミンを含有するポリマーであることが好ましい。アミンを有するポリマーの具体例としては、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミン、直鎖状ポリエトキシポリマーアミン、直鎖状プロポキシポリマーアミン等が挙げられる。
前記ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは300〜20000、より好ましくは300〜8000、特に好ましくは300〜3000である。
前記ポリマーは、さらにイオン性末端基を有することで、顔料に様々な機能を付与することができる。このようなイオン性末端基としては、スルホニル基、カルボキシル基、フェノール基、ホスホリル基、アンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリブチルアンモニウム等が挙げられるが、スルホニル基及びカルボキシル基よりなる群から選択される少なくとも1種の官能基であることが好ましい。ポリマーの末端がスルホニル基を有することで発色性がより良好となり、ポリマーの末端がカルボキシル基を有することで自己分散性がより良好となり、水相の粘度を低粘度化することができる。
表面変性させることができる顔料種としては、特に限定されないが、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、チオインジゴ顔料、トリフェニルメタンレーキ顔料、及びオキサジンレーキ顔料等が挙げられる。顔料種の具体例としては、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,10,12,13,14,16,17,65,74,83,97,120,138,150,151,155;C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,21,22,23,31,32,37,38,41,48,49,50,51,52,57,58,60,64,83,88,89,90,112,114,122,123,166,188,202,254;C.I.ピグメントバイオレット19,23;C.I.ピグメントブルー1,2,15,15:3,15:4,16,25,60,75;C.I.ピグメントグリーン7,36;C.I.ピグメントブラック1,7等が挙げられる。
本実施の形態に係るエマルジョンインク中の着色剤の含有量は、インク全質量に対して、好ましくは0.5〜25質量%、より好ましくは2〜15質量%である。
1.1.3.水溶性有機溶剤
水相は、水溶性有機溶剤を含有してもよい。水相が水溶性有機溶剤を含有することにより、インクの記録媒体への浸透性や滲みを適度に制御したり、インクの粘度を低下させたり、インクの乾燥性を付与したりすることができる。水相に添加し得る水溶性有機溶剤としては、極性溶剤及び浸透性溶剤が挙げられる。
水相は、水溶性有機溶剤を含有してもよい。水相が水溶性有機溶剤を含有することにより、インクの記録媒体への浸透性や滲みを適度に制御したり、インクの粘度を低下させたり、インクの乾燥性を付与したりすることができる。水相に添加し得る水溶性有機溶剤としては、極性溶剤及び浸透性溶剤が挙げられる。
極性溶剤としては、特に限定されないが、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、ε−カプロラクタム、ジメチルスルホキシド、スルホラン、モルホリン、N−エチルモルホリン、及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンが挙げられる。極性溶剤を添加することにより、水相中における着色剤の分散性が向上するという効果が得られる。
浸透性溶剤としては、特に限定されないが、1,2−オクタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、及び4−メチル−1,2−ペンタンジオール等の1,2−アルカンジオール;アセチレングリコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、及びジプロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、及びジプロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、及びポリエチレングリコールジメチルエーテル等のアルキレングリコールジアルキルエーテル;エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエーテルアセテート、ジプロピレンモノエチルエーテルアセテート等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート;グリセリン、ジグリセリンが挙げられる。
これらの水溶性有機溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施の形態に係るエマルジョンインク中の水溶性有機溶剤の含有量は、インク全質量に対して、好ましくは5〜35質量%である。
1.1.4.その他の成分
水相には、必要に応じて、金属塩、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、凍結防止剤等を添加してもよい。特に水相に金属塩を添加すると、エマルジョンインクの粘度を上昇させることなく、エマルジョンインクの安定性を向上させることができる。このような金属塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等が挙げられる。
水相には、必要に応じて、金属塩、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、凍結防止剤等を添加してもよい。特に水相に金属塩を添加すると、エマルジョンインクの粘度を上昇させることなく、エマルジョンインクの安定性を向上させることができる。このような金属塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等が挙げられる。
1.2.油相
油相は、非水系溶剤及び乳化剤を含有するが、必要に応じて油溶性染料、顔料、顔料分散剤、界面活性剤、油溶性樹脂、ゲル化剤、酸化防止剤、その他の成分を含有してもよい。
油相は、非水系溶剤及び乳化剤を含有するが、必要に応じて油溶性染料、顔料、顔料分散剤、界面活性剤、油溶性樹脂、ゲル化剤、酸化防止剤、その他の成分を含有してもよい。
1.2.1.非水系溶剤
油相に用いられる非水系溶剤としては、特に限定されないが、例えば、鉱物油、石油系溶剤、合成油、植物油、植物油変性エステル等が挙げられ、従来公知のものが使用できる。これらの非水系溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を混合して使用する場合には、混合液は単一の連続する相を形成する必要がある。
油相に用いられる非水系溶剤としては、特に限定されないが、例えば、鉱物油、石油系溶剤、合成油、植物油、植物油変性エステル等が挙げられ、従来公知のものが使用できる。これらの非水系溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を混合して使用する場合には、混合液は単一の連続する相を形成する必要がある。
鉱物油としては、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、スピンドル油、マシン油、潤滑油等が挙げられる。石油系溶剤としては、脂肪族炭化水素系溶剤、脂環式炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤等が挙げられる。具体的には、イソミリスチルアルコール、イソパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール等のアルコール系溶剤やイソノナン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、オレイン酸、イソステアリン酸等の高級脂肪酸が挙げられる。
合成油としては、例えば、ポリブテン、ポリ−α−オレフィン、アルキル芳香族、ポリグリコール、ペンタフェニルエーテル、アルキルジフェニルエーテル、ジエステル、ポリオールエステル等が挙げられる。植物油としては、例えば、亜麻仁油、桐油、芥子油、紫蘇油、胡桃油、荏油、紅花油、向日葵油、コーン油、綿実油、胡麻油、オリーブ油、扁桃油、落花生油、椰子油、椿油、菜種油等が挙げられる。植物油変性エステルとしては、ラウリル酸メチル、ラウリル酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソステアリル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、リノール酸メチル、リノール酸イソブチル、リノール酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、大豆油メチル、大豆油イソブチル、トール油メチル、トール油イソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、モノカプリン酸プロピレングリコール、トリ2エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリ2エチルヘキサン酸グリセリル等が挙げられる。
本実施の形態に係るエマルジョンインク中の非水系溶剤の含有量は、インク全質量に対して、好ましくは45〜90質量%、より好ましくは50〜85質量%である。
1.2.2.乳化剤
乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等の従来公知のものを使用することができる。これらの中でも、W/O型のエマルションを安定させる観点から、HLB値1〜5の非イオン性界面活性剤が好適に用いられる。
乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等の従来公知のものを使用することができる。これらの中でも、W/O型のエマルションを安定させる観点から、HLB値1〜5の非イオン性界面活性剤が好適に用いられる。
ここで、HLB値とは、デービスらが提唱した化合物の親水性を評価する値であり、たとえば文献「J.T.Davies and E.K.Rideal,“Interface Phenomena”2nd ed.Academic Press,New York 1963」中で定義されているデービス法により求められる数値で、下記式(1)によって算出される値をいう。
HLB値=7+Σ[1]+Σ[2] ・・・・・(1)
(但し、[1]は親水基の基数を表し、[2]は疎水基の基数を表す。)
HLB値=7+Σ[1]+Σ[2] ・・・・・(1)
(但し、[1]は親水基の基数を表し、[2]は疎水基の基数を表す。)
このような非イオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンモノステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;グリセリルモノステアレート、デカグリセリルトリオレエート、ヘキサグリセリンポリリシノレート等の(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン植物油脂肪酸エステル等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖エルカ酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル;ポリエチレングリコール脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルアミン・脂肪酸アミド;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;高級アルコール等が挙げられる。これらの非イオン性界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施の形態に係るエマルジョンインク中の乳化剤の含有割合は、非水系溶剤100質量部に対して、好ましくは5〜20質量部、より好ましくは5〜15質量部である。
1.2.3.その他の添加剤
油相には、油溶性染料や顔料などの着色剤をさらに添加してもよい。油相にも着色剤を添加することで、さらに良好な画像の光学濃度が得られる。油相に顔料を添加する場合には、公知の顔料分散剤(例えば、界面活性剤や樹脂)によって顔料を分散させた顔料分散液を調製し、この顔料分散液を油相に添加するとよい。
油相には、油溶性染料や顔料などの着色剤をさらに添加してもよい。油相にも着色剤を添加することで、さらに良好な画像の光学濃度が得られる。油相に顔料を添加する場合には、公知の顔料分散剤(例えば、界面活性剤や樹脂)によって顔料を分散させた顔料分散液を調製し、この顔料分散液を油相に添加するとよい。
油相には、上記乳化剤以外の界面活性剤をさらに添加してもよい。界面活性剤を添加することにより、連続相である油相の表面張力を調整することができるので、普通紙におけるインク滴の広がりが好ましくなり、滲みの少ない画像を記録することができる。
このような界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等の従来公知のものを使用することができる。これらの中でも、油相に溶解させる必要があるため、HLB値が5〜10の非イオン性界面活性剤であることが好ましい。
1.3.エマルジョンインクの製造
本実施の形態に係るエマルジョンインクは、例えば以下のようにして製造することができる。
本実施の形態に係るエマルジョンインクは、例えば以下のようにして製造することができる。
まず、油相を調製する。容器に、非水系溶剤及び乳化剤、必要に応じてその他の添加剤を投入し、十分に撹拌することによって乳化剤を非水系溶剤に完全に溶解させる。乳化剤が非水系溶剤に完全に溶解したものを油相として使用する。乳化剤の溶解が困難な場合には、曇点以下の温度で加温しながら撹拌することにより、乳化剤を非水系溶剤に溶解させてもよい。
次いで、水相を調製する。まず、ポリマーを含む変性顔料を水中に分散させた顔料分散液を準備する。この顔料分散液に、水及びその他の添加剤を添加して、十分に撹拌することにより水相を調製する。
次いで、上記で得られた油相を高速ホモジナイザー、ディスパースミキサー、ホモミキサー、超音波ホモジナイザー等の乳化機に投入し、そこに上記で得られた水相を徐々に滴下しながら、3000〜20000rpm程度で撹拌することによって、本実施の形態に係るエマルジョンインクを製造することができる。なお、撹拌する際、真空ポンプを攪拌機に接続して真空状態を保ちながら撹拌すると、気泡の混入を抑制できるので好ましい。また、油相と水相を攪拌機に一括投入して撹拌してもよい。
このとき、エマルジョンインク中の、油相の含有割合が55質量%以上90質量%以下、水相の含有割合が45質量%以下10質量%以上となるようにすることが好ましい。両者の含有割合が前記範囲内にあると、油中水滴(W/O)型のエマルジョンインクが得られやすい。エマルジョンインク中の水相の含有割合が10質量%未満であると、画像の光学濃度が低下することがあり、また着色剤の浸透による裏抜けが発生しやすくなる。一方、エマルジョンインク中の水相の含有割合が45質量%以上であると、転相して水中油滴(O/W)型のエマルジョンインクが製造される場合がある。
1.4.エマルジョンインクの物性
乳化後の油相中の水滴の平均粒子径は80〜500nmであることが好ましい。80nmより小さくなると、画像の光学濃度が低下することがある。一方、500nmより大きくなると、エマルジョンインクの粘度が上昇することで、インクジェットでの吐出性が損なわれることがある。なお、油相中の水滴の平均粒子径は、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布計を用いて測定することができる。
乳化後の油相中の水滴の平均粒子径は80〜500nmであることが好ましい。80nmより小さくなると、画像の光学濃度が低下することがある。一方、500nmより大きくなると、エマルジョンインクの粘度が上昇することで、インクジェットでの吐出性が損なわれることがある。なお、油相中の水滴の平均粒子径は、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布計を用いて測定することができる。
本実施の形態に係るエマルジョンインクの20℃における粘度は、好ましくは1〜100mP・s、より好ましくは2〜40mPa・s、特に好ましくは3〜20mPa・sの範囲である。エマルジョンインクの粘度は、油相の構成成分の種類及び量、水相の量を調節することによって調整できる。一般的には、水相の量及び/又は乳化剤の量が少ないほど、エマルジョンインクの粘度は低下するが、エマルジョンインクの保存安定性が低下する傾向がある。
本実施の形態に係るエマルジョンインクの20℃における表面張力は、25〜35mN/m以下であることが好ましい。エマルジョンインクの表面張力を前記範囲内とすることで、記録ヘッドからのインクの吐出性が良好となると共に、記録媒体におけるインク滴の広がりが好ましくなり、画像の光学濃度が向上する。
2.インクジェット記録方法
本実施の形態に係るインクジェット記録方法は、上述のインクジェット用エマルジョンインクの液滴を記録ヘッドから吐出して記録媒体に付着させる工程を含むことを特徴とする。かかるインクジェット記録方法によれば、上述のインクジェット用エマルジョンインクを使用することで、十分な光学濃度の画像を得ることができ、かつ、高速定着性に優れたインクジェット記録を実現できる。また、用紙変形を効果的に低減することができるので、高速印刷が可能となる。
本実施の形態に係るインクジェット記録方法は、上述のインクジェット用エマルジョンインクの液滴を記録ヘッドから吐出して記録媒体に付着させる工程を含むことを特徴とする。かかるインクジェット記録方法によれば、上述のインクジェット用エマルジョンインクを使用することで、十分な光学濃度の画像を得ることができ、かつ、高速定着性に優れたインクジェット記録を実現できる。また、用紙変形を効果的に低減することができるので、高速印刷が可能となる。
インクジェット記録方式としては、前述したインクを微細なノズルより液滴として吐出して該液滴を記録媒体に付着させる方式であれば、いかなる方法も使用することができる。インクジェット記録方式として、たとえば以下の4つの方式が挙げられる。
第1の方式は、静電吸引方式と呼ばれるもので、ノズルとノズルの前方に置いた加速電極の間に強電界を印加し、ノズルからインクを液滴状で連続的に噴射させ、インク滴が偏向電極間を飛翔する間に印刷情報信号を偏向電極に与えて記録する方式、あるいはインク滴を偏向することなく印刷情報信号に対応して噴射させる方式である。
第2の方式は、小型ポンプでインク液に圧力を加え、ノズルを水晶振動子等で機械的に振動させることにより、強制的にインク滴を噴射させる方式である。噴射したインク滴は噴射と同時に帯電させ、インク滴が偏向電極間を飛翔する間に印刷情報信号を偏向電極に与えて記録する。
第3の方式は、圧電素子を用いる方式であり、インク液に圧電素子で圧力と印刷情報信号を同時に加え、インク滴を噴射・記録させる方式である。
第4の方式は、熱エネルギーの作用によりインク液を急激に体積膨張させる方式であり、インク液を印刷情報信号にしたがって微小電極で加熱発泡させ、インク滴を噴射・記録させる方式である。
印刷の対象となる記録媒体については、所望に応じてどのようなものを用いてもよいが、油中水滴(W/O)型エマルジョンインクを用いることで、普通紙の用紙変形を低減し、高速印刷が可能になることから、普通紙が好適である。
3.実施例
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例、比較例中の「部」および「%」は、特に断らない限り質量基準である。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例、比較例中の「部」および「%」は、特に断らない限り質量基準である。
3.1.顔料分散液
<ポリマーを含む変性顔料>
ポリマーを含む変性顔料として、市販されているSENSIENT Technologies Corp.製の顔料分散液を使用した。なお、上記の市販品のほか、特表2012−500866号公報の段落[0055]〜[0067]に記載されている特性を有する変性顔料を使用することができる。
<ポリマーを含む変性顔料>
ポリマーを含む変性顔料として、市販されているSENSIENT Technologies Corp.製の顔料分散液を使用した。なお、上記の市販品のほか、特表2012−500866号公報の段落[0055]〜[0067]に記載されている特性を有する変性顔料を使用することができる。
<自己分散顔料>
比較例で用いた自己分散顔料として、市販されているキャボット社製の顔料分散液を使用した。これらの自己分散顔料には、ポリマーが含まれていない。表1中の自己分散顔料は、それぞれ以下の通りである。
・CAB−O−JET400:C.I.ピグメントブラック7の表面に安定基を介して親水基を結合させたもの。顔料濃度15質量%。
・CAB−O−JET450C:C.I.ピグメントブルー15:4の表面に安定基を介して親水基を結合させたもの。顔料濃度15質量%。
・CAB−O−JET465M:C.I.ピグメントレッド122の表面に安定基を介して親水基を結合させたもの。顔料濃度15質量%。
・CAB−O−JET470Y:C.I.ピグメントイエロー74の表面に安定基を介して親水基を結合させたもの。顔料濃度15質量%。
上記の安定基としては、例えばベンゼンスルホニル基が挙げられる。上記の親水基としてはスルホニル基やカルボキシル基などが挙げられる。
比較例で用いた自己分散顔料として、市販されているキャボット社製の顔料分散液を使用した。これらの自己分散顔料には、ポリマーが含まれていない。表1中の自己分散顔料は、それぞれ以下の通りである。
・CAB−O−JET400:C.I.ピグメントブラック7の表面に安定基を介して親水基を結合させたもの。顔料濃度15質量%。
・CAB−O−JET450C:C.I.ピグメントブルー15:4の表面に安定基を介して親水基を結合させたもの。顔料濃度15質量%。
・CAB−O−JET465M:C.I.ピグメントレッド122の表面に安定基を介して親水基を結合させたもの。顔料濃度15質量%。
・CAB−O−JET470Y:C.I.ピグメントイエロー74の表面に安定基を介して親水基を結合させたもの。顔料濃度15質量%。
上記の安定基としては、例えばベンゼンスルホニル基が挙げられる。上記の親水基としてはスルホニル基やカルボキシル基などが挙げられる。
3.2.エマルジョンインクの製造
表1に示す配合量の顔料分散液にさらにイオン交換水を添加して十分に撹拌することにより表1に示す水相を得た。次いで、表1に示す配合量の非水系溶剤及び乳化剤、必要に応じて油溶性染料、顔料を分散させた分散液を混合して十分に撹拌することにより、乳化剤を完全に溶解させた油相を得た。
表1に示す配合量の顔料分散液にさらにイオン交換水を添加して十分に撹拌することにより表1に示す水相を得た。次いで、表1に示す配合量の非水系溶剤及び乳化剤、必要に応じて油溶性染料、顔料を分散させた分散液を混合して十分に撹拌することにより、乳化剤を完全に溶解させた油相を得た。
この油相を高速乳化分散機(プライミクス株式会社製、型式「ホモミクサーMARKII」)に投入し、5000rpmで撹拌しながら上記の水相を徐々に滴下し、水相を滴下し終えた後、20000rpmで5分間撹拌することにより油中水滴(W/O)型エマルジョンインクを得た。
3.3.評価方法
3.3.1.印刷濃度の評価
上記で得られた各エマルジョンインクをインクカートリッジに充填し、インクジェットプリンターPX−G930(製品名、セイコーエプソン株式会社製)に装着した。その後、A4サイズのコピー用紙に対してベタパターン画像の記録を行った。記録条件は、印刷解像度720×720dpi、Duty100%とした。
3.3.1.印刷濃度の評価
上記で得られた各エマルジョンインクをインクカートリッジに充填し、インクジェットプリンターPX−G930(製品名、セイコーエプソン株式会社製)に装着した。その後、A4サイズのコピー用紙に対してベタパターン画像の記録を行った。記録条件は、印刷解像度720×720dpi、Duty100%とした。
ここで、Dutyとは、下記式により算出される値である。
Duty(%)=実吐出ドット数/(縦解像度×横解像度)×100
(式中、「実吐出ドット数」は単位面積当たりの実吐出ドット数であり、「縦解像度」及び「横解像度」はそれぞれ単位面積当たりの解像度である。)
Duty(%)=実吐出ドット数/(縦解像度×横解像度)×100
(式中、「実吐出ドット数」は単位面積当たりの実吐出ドット数であり、「縦解像度」及び「横解像度」はそれぞれ単位面積当たりの解像度である。)
その後、得られた印刷物の印刷濃度(OD値)を光学濃度計(GretagMacbeth社製、型式「RD920」)を用いて測定した。評価基準は、下記の通りである。評価結果を表1に示す。
◎:1.3≦OD値であった。
○:1.2≦OD値<1.3であった。
△:1.1≦OD値<1.2であった。
×:OD値<1.1であった。
◎:1.3≦OD値であった。
○:1.2≦OD値<1.3であった。
△:1.1≦OD値<1.2であった。
×:OD値<1.1であった。
3.3.2.印刷物のカールの評価
画像の記録後に記録媒体に生じたカールの度合いを、下記基準に従い目視で評価した。評価結果を表1に示す。
○:カールしていなかった。
△:カールが少しあった。
×:カールが顕著であった。
画像の記録後に記録媒体に生じたカールの度合いを、下記基準に従い目視で評価した。評価結果を表1に示す。
○:カールしていなかった。
△:カールが少しあった。
×:カールが顕著であった。
3.3.3.定着性の評価
記録から5秒後、記録した紙上に普通紙を載せ、さらにその上に100g/12.56cm2の重りを載せた。載せた普通紙の汚れ具合から、画像の定着性を下記基準で評価した。評価結果を表1に示す。
◎:白紙部に汚れがなかった。
○:白紙部にやや汚れがあった。
△:白紙部に汚れがあった。
×:白紙部に汚れが著しくあった。
記録から5秒後、記録した紙上に普通紙を載せ、さらにその上に100g/12.56cm2の重りを載せた。載せた普通紙の汚れ具合から、画像の定着性を下記基準で評価した。評価結果を表1に示す。
◎:白紙部に汚れがなかった。
○:白紙部にやや汚れがあった。
△:白紙部に汚れがあった。
×:白紙部に汚れが著しくあった。
3.3.4.印刷物の耐擦過性の評価
記録から1日後、記録した紙上にキムワイプ(登録商標)を載せ、さらにその上に500g/12.56cm2の重りを載せ、5回擦った時の白紙部の汚れや、画像の擦れ具合を以下の評価基準で評価した。評価結果を表1に示す。
◎:白紙部に汚れがなし、かつ画像の擦れがなかった。
○:白紙部にやや汚れがあり、画像に擦った形跡が見られた。
×:白紙部に汚れがあり、画像が擦り取られていた。
記録から1日後、記録した紙上にキムワイプ(登録商標)を載せ、さらにその上に500g/12.56cm2の重りを載せ、5回擦った時の白紙部の汚れや、画像の擦れ具合を以下の評価基準で評価した。評価結果を表1に示す。
◎:白紙部に汚れがなし、かつ画像の擦れがなかった。
○:白紙部にやや汚れがあり、画像に擦った形跡が見られた。
×:白紙部に汚れがあり、画像が擦り取られていた。
3.4.評価結果
表1に、各エマルジョンインクの組成及び評価試験の結果を示す。表1中に示す各成分の略称や商品名は、以下の通りである。
表1に、各エマルジョンインクの組成及び評価試験の結果を示す。表1中に示す各成分の略称や商品名は、以下の通りである。
<油溶性染料>
・OIL BLACK HBB(商品名、オリエント化学工業株式会社製、黒系油溶性染料)
<顔料>
・MA100(商品名、三菱化学株式会社製、カーボンブラック)
<分散剤>
・Solsperse13940(商品名、Lubrizol社製、ポリエステルアミン系)
<非水系溶剤>
・炭化水素系溶剤(商品名「AF−4」、新日本石油株式会社製)
・エステル系溶剤(商品名「エキセパールM−OL」、花王株式会社製、オレイン酸メチル)
<乳化剤>
・ショ糖エルカ酸エステル(商品名「リョートーシュガーエステル ER−290」、三菱化学フーズ株式会社製、HLB値:約2)
・OIL BLACK HBB(商品名、オリエント化学工業株式会社製、黒系油溶性染料)
<顔料>
・MA100(商品名、三菱化学株式会社製、カーボンブラック)
<分散剤>
・Solsperse13940(商品名、Lubrizol社製、ポリエステルアミン系)
<非水系溶剤>
・炭化水素系溶剤(商品名「AF−4」、新日本石油株式会社製)
・エステル系溶剤(商品名「エキセパールM−OL」、花王株式会社製、オレイン酸メチル)
<乳化剤>
・ショ糖エルカ酸エステル(商品名「リョートーシュガーエステル ER−290」、三菱化学フーズ株式会社製、HLB値:約2)
表1の実施例1〜7の結果から明らかなように、水相にポリマーを含む変性顔料を含有する油中水滴(W/O)型のエマルジョンインクによれば、普通紙に記録した場合において、十分な画像の光学濃度を得ることができ、かつ、定着性や耐擦過性に優れた記録物が得られた。また、油中水滴(W/O)型のエマルジョンの形態とすることで、用紙変形を効果的に低減することができることが判った。ただし、実施例7では、エマルジョンインク中の油相の含有割合が91質量%であり、用紙変形については効果的に低減できるものの、印刷濃度、定着性及び耐擦過性については実施例1〜6よりも有意に劣ることが判った。
一方、表1の比較例1では、エマルジョンインク中の油相の含有割合が25質量%、水相の含有割合が75質量%であったため、エマルジョンインクを製造している途中で転相して、水中油滴(O/W)型のエマルジョンインクとなった。このエマルジョンインクは、粘度が高すぎるため、記録ヘッドから正常に吐出することができなかった。また、全ての評価項目で不良となった。
表1の比較例2〜5の結果から明らかなように、水相にポリマーを含まない変性顔料を含有する油中水滴(W/O)型のエマルジョンインクによれば、用紙変形については効果的に低減できるものの、印刷濃度、定着性及び耐擦過性については実施例1〜6よりも有意に劣ることが判った。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
Claims (9)
- 油相及び水相からなる油中水滴(W/O)型のエマルジョンインクであって、
前記水相は、水及び着色剤を含有し、
前記着色剤がポリマーを含む変性顔料であることを特徴とする、インクジェット用エマルジョンインク。 - 前記変性顔料が、その表面に結合した安定基と、その表面に付加したポリマーと、を含む、請求項1に記載のインクジェット用エマルジョンインク。
- 前記安定基が、スルホニル基及びカルボキシル基よりなる群から選択される少なくとも1種の官能基を含む、請求項1または請求項2に記載のインクジェット用エマルジョンインク。
- 前記ポリマーが、アミン含有ポリマーである、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のインクジェット用エマルジョンインク。
- 前記エマルジョンインク中の、前記油相の含有割合が55質量%以上90質量%以下であり、前記水相の含有割合が45質量%以下10質量%以上である、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のインクジェット用エマルジョンインク。
- 前記油相が、油溶性染料をさらに含有する、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のインクジェット用エマルジョンインク。
- 前記油相が、顔料をさらに含有する、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のインクジェット用エマルジョンインク。
- 前記油相が、界面活性剤をさらに含有する、請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載のインクジェット用エマルジョンインク。
- 請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載のインクジェット用エマルジョンインクの液滴を記録ヘッドから吐出して記録媒体に付着させる工程を含む、インクジェット記録方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2021024982A (ja) * | 2019-08-07 | 2021-02-22 | 花王株式会社 | 油中水型エマルションインク |
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-
2014
- 2014-03-28 JP JP2014068244A patent/JP2015189859A/ja active Pending
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