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JP2015185229A - リチウムイオン二次電池の電極 - Google Patents

リチウムイオン二次電池の電極 Download PDF

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Abstract

【課題】導電性を向上させることができ、充放電を繰り返しても放電容量を維持することができるリチウムイオン二次電池の電極を提供する。【解決手段】カーボンナノチューブで形成された導電パス1と活物質粒子2とを備えるリチウムイオン二次電池の電極であって、少なくとも1つの前記活物質粒子2は、2つの前記導電パス1の一端が結合されており、2つの前記導電パス1の他端は、異なる他の活物質粒子2に結合されていることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池の電極に関する。
従来のリチウムイオン二次電池の電極においては、粒子状のアセチレンブラックやケッチェンブラックに代表されるカーボンブラックが凝集体として、電極中の活物質粒子と接触している。この接触により、カーボンブラックを介して電極中の活物質粒子同士が繋がり、導電パスを形成していた(例えば、特許文献1参照)。
また、従来のリチウムイオン二次電池の電極において、電極を構成するバインダーとしては、有機溶媒系のポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びポリイミド、並びに水系のスチレンブタジエンラバー(SBR)及びカルボキシメチルセルロース(CMC)などが使用されている。
特開2013−77479号公報(第4頁[0016]参照)
しかしながら上記特許文献1の場合、カーボンブラックと活物質粒子とが点接触しているため接触箇所が少なく、良好な導電パスを形成できない場合があるという懸念があった。特にカーボンブラックと粒子状のSBRバインダーとを組み合わせた場合、活物質粒子とカーボンブラックとの接触部分にバインダーが入り込んでしまうために、活物質粒子間の抵抗が増加するという不具合が生じた。
またカーボンブラックと活物質間にバインダーが入らない場合は、カーボンブラックと活物質粒子が点接触しているだけで強固に接合されていないため、活物質が電池の充放電に合わせて膨張収縮すると、カーボンブラックと活物質の接触箇所が減ってしまう。そうすると、カーボンブラックと活物質が接触していない箇所では、導電性が無いため反応しなくなり、放電容量が低下してしまう。
そこで本発明は、導電性を向上させることができ、充放電を繰り返しても放電容量を維持することができるリチウムイオン二次電池の電極を提供することを目的とする。
本発明の第1の観点は、カーボンナノチューブで形成された導電パスと活物質粒子とを備えるリチウムイオン二次電池の電極であって、少なくとも1つの前記活物質粒子は、2つの前記導電パスの一端が結合されており、2つの前記導電パスの他端は、異なる他の活物質粒子に結合されていることを特徴とする。
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって。前記導電パスは、厚さが20nm以上であり、長さが2〜5μmであることを特徴とする。
本発明の第3の観点は、第1又は第2の観点に基づく発明であって、前記電極の断面において、前記活物質粒子の表面の10%以上がカーボンナノチューブで被覆されていることを特徴とする。
本発明によれば、活物質粒子同士が導電パスによって互いに接続されているので、導電性を向上することができる。また、充放電を繰り返しても容量を維持できる。
実施例1に係る合材電極の断面におけるSEM写真である。 実施例2に係る合材電極の断面におけるSEM写真である。 比較例1に係る合材電極の断面におけるSEM写真である。 比較例2に係る合材電極の断面におけるSEM写真である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
1.実施形態
(構成)
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の電極は、集電体と合材電極を備える。集電体のうちの正極集電体にはアルミニウム箔などが用いられ、負極集電体には銅箔などが用いられる。
合材電極は、導電パスと、前記導電パスで互いに接続された活物質粒子とを含む。導電パスは、線状の部材からなり、導電助剤としてのカーボンナノチューブを主成分にバインダーなどの添加材が加わって形成されている。導電パスは一端が一つの活物質粒子に結合しており、他端が他の活物質粒子に結合している。導電パスは厚さが20nm以上であり、長さが2〜5μmであるのが好ましい。導電パスは、厚さ及び長さ上記範囲内であることにより、より確実に活物質粒子同士を接続することができる。
カーボンナノチューブは、化学気相成長法、アーク放電法、レーザー蒸発法などの方法で合成することができる。本実施形態においては、直径が1〜900nmのカーボンナノチューブを用いることができる。
本実施形態において、カーボンナノチューブの直径は5〜50nmが好ましい。また、カーボンナノチューブの繊維長は0.1〜10μmが好ましい。
また、カーボンナノチューブのうちのベーパーグローンカーボンファイバー(VGCF)は、直径が100〜200nm、繊維長が0.1〜10μmであることが好ましい。
カーボンナノチューブの繊維長が長く、かつ直径が大きいほど、良好な導電パスが形成される。しかし、カーボンナノチューブの繊維長が長くなりすぎると、後述するスラリー中で絡まり、凝集しやすくなる。カーボンナノチューブの直径が大きくなりすぎると、曲がり難くなり、活物質粒子との接点が少なくなってしまうおそれがある。
カーボンナノチューブの直径は合成時の触媒粉径を変化させることにより、調整可能である。カーボンナノチューブの繊維長は合成時間を長くすると長くなる。カーボンナノチューブの比表面積は合成後の硝酸・硫酸による処理時間により調整可能である。カーボンナノチューブは、例えば特開2006−152490号公報に記載されている方法により合成することができる。
合材電極に含まれる活物質粒子の少なくとも一部は、一つの活物質粒子に対し、2つの導電パスの一端が結合している。そして当該2つの導電パスの他端はそれぞれ異なる2つの活物質粒子に結合している。このようにして合材電極全体として導電パスで繋がった活物質粒子のネットワークが形成される。
活物質粒子は正極活物質又は負極活物質で形成される。活物質粒子は、表面の10%以上がカーボンナノチューブで被覆されているのが好ましい。これにより、カーボンナノチューブで形成された導電パスが、活物質粒子と、容易に接合することができる。
活物質粒子は、表面の全体がカーボンナノチューブで覆われるのがより好ましい。これにより、電極全体の抵抗を低くすることができ、被覆された部分が均一に反応するので電極の構造を保つこともできる。
正極活物質としては、LiCoO、LiMn、LiNiO、LiNi1/3Mn1/3Co1/3及びLiFePOなどのリチウム含有遷移金属酸化物などが挙げられる。これらは、2種以上を組み合わせて用いてもよい。正極に用いられる活物質粒子の平均粒径は0.5〜10μmであることが好ましい。
負極活物質としては、シリコン(Si)、酸化シリコン(SiO)、スズ(Sn)、スズ−コバルト化合物(Sn−Co)、酸化第二スズ(SnO)、天然黒鉛、人造黒鉛及びチタン酸リチウム(LiTi12)などが挙げられる。これらは、2種以上を組み合わせて用いてもよい。負極に用いられる活物質粒子の平均粒径は1〜20μmであることが好ましく、5〜10μmであることがさらに好ましい。
本実施形態に係る電極は、バインダーを含んでいてもよい。バインダーとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)及びカルボキシメチルセルロース(CMC)などが挙げられる。カルボキシメチルセルロース(CMC)は増粘剤であるが、バインダーとしても機能する。このうち、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)及びカルボキシメチルセルロース(CMC)が好ましい。
(製造方法)
以下、本実施形態に係る電極の製造方法について説明する。本実施形態に係る電極は、集電体上に塗工された、活物質粒子、バインダー及びカーボンナノチューブを含むスラリーに、所定の熱量を加えて乾燥することにより製造することができる。
正極を作製する場合は正極活物質と正極集電体を用い、負極を作製する場合は負極活物質と負極集電体を用いる。
カーボンナノチューブは、これを溶媒に分散させたカーボンナノチューブ分散液として用いる。カーボンナノチューブ分散液は、カーボンナノチューブに、その固形質量の10〜30倍程度の溶媒を加え、例えば、スターラーにより3時間程度撹拌することにより調製される。このような調製により、溶媒中にカーボンナノチューブが均一に分散しているカーボンナノチューブ分散液が得られる。溶媒は、例えば、水、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などが挙げられる。
本実施形態においては、例えば、以下の方法によりスラリーを調製する。まず、活物質粒子、バインダー及びカーボンナノチューブ分散液を所定の質量比となるように秤量する。正極を作製する場合、正極スラリー中の正極活物質の含有割合は、通常80〜98質量%程度、好ましくは90〜95質量%である。負極を作製する場合、負極スラリー中の負極活物質の含有割合は、通常85〜99質量%程度、好ましくは93〜98質量%である。負極スラリー中のカーボンナノチューブの含有割合は、通常0.1〜5.0質量%程度、好ましくは0.5〜3.0質量%である。
導電助剤であるカーボンナノチューブを除いた場合の一般的な配合比として、活物質:CMC:SBR=98:1:1(質量比)が多く用いられ、増粘剤であるCMCは0.3〜5質量%、SBRは0.3〜5質量%の範囲で、用途により変化させることができる。
次に、カーボンナノチューブ分散液にバインダーと溶媒を添加し、固形のバインダーが完全に溶解するまで、自転公転のハイブリッドミキサーで撹拌混合する。ここで、カーボンナノチューブ分散液に添加する溶媒は、カーボンナノチューブ分散液の調製に用いた溶媒と同じであることが好ましい。その後、活物質粒子を添加してさらに撹拌混合を行うことで、均質なスラリーを調製する。
調製したスラリーを、作製する電極が正極であればアルミニウム箔に塗工し、負極であれば銅箔に塗工する。塗工方法としては、ドクターブレード法又はダイコート法などが挙げられる。
活物質、バインダー、カーボンナノチューブを含むスラリーを乾燥させる工程において、カーボンナノチューブが活物質粒子間に集まるように乾燥させる。例えば、加熱温度をより低い温度とし加熱時間を長くするなどして緩やかに乾燥させることにより、カーボンナノチューブが活物質粒子間に集まりやすくなる。溶媒蒸発時のスラリー中での対流を減少させて、比較的緩やかに乾燥させることができる観点から、本実施形態においては乾燥時に遠赤外線ヒーターを用いることが好ましい。
集電体に塗工したスラリーの乾燥条件を変化させることにより、活物質間に移動するカーボンナノチューブの量が変化する。
本実施形態においては、集電体に塗工された、溶媒、活物質、バインダー及びカーボンナノチューブを含むスラリーを、溶媒の沸点よりも10〜50℃低い温度で1〜10分間加熱し、次いで溶媒の沸点よりも10〜100℃高い温度で1〜20分間加熱して乾燥させる。
因みに、正極スラリーにおいて、バインダーがポリフッ化ビニリデン(PVDF)である場合、PVDFを溶解させる溶媒として、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)が使用される。活物質にLCO、導電助剤にカーボンナノチューブ、そして、バインダーとしてPVDFを含む正極スラリーは、通常、乾燥炉の設定温度を、NMPの沸点である202℃よりも高い250℃程度として乾燥させる。
これに対し本実施形態では、スラリーを緩やかに乾燥させるために、設定温度250℃の最終乾燥炉の前に、設定温度150℃の乾燥炉を設置する。この設定温度150℃の乾燥炉で多量のNMPを蒸発させて、緩やかに乾燥させることにより、スラリーが高粘度状態の時間を長くとることができる。
(負極の製造方法)
負極活物質として黒鉛、バインダーとしてCMC及びSBRを用いて負極スラリーを調製する場合について以下説明する。この場合、配合比を、黒鉛:SiO:CMC:SBR:カーボンナノチューブ=87:10:1:1:1(質量比)とする。
まず、1当量のCMCを十分に水に溶解させ、2質量%の水溶液とする。そこに、黒鉛を87当量とSiOを10当量投入し、自転公転ハイブリッドミキサー((株)シンキー製、モデル:ARE−310)で、回転数2000rpmで、5分間混合する。その後、カーボンナノチューブを1当量投入し、再度、同じミキサーで、5分間混合する。その後、SBR固形分が全電極固形比の1当量になるように、SBRのエマルジョンを投入し、再度、同じミキサーで、5分間混合する。全ての構成物質を入れた後の負極スラリーの水溶液の固形分比率は44%となる。即ち56%の水を含む負極スラリーが調製される。
この負極スラリーを、コンマロールコータを用いて集電体である銅箔上に塗工し、遠赤外線ヒーターにて100℃で乾燥させた後、遠赤外線ヒーターにて150℃で乾燥し、負極シートを作製する。この負極シートから、所定の大きさに切断し、負極を作製することができる。
活物質として、黒鉛、黒鉛+Snを用いる場合においても上記の方法で負極を作製することができる。
(正極の製造方法)
正極活物質としてLiCoO、バインダーとしてPVDFを用いて正極スラリーを調製する場合について以下説明する。この場合、配合比を、LiCoO:PVDF:カーボンナノチューブ=95:3:2(質量比)とする。
LiCoOの粉末、PVDF、カーボンナノチューブを秤量し、プラネタリーミキサーに投入し、溶媒であるN−メチルピロリドン(NMP)中に投入し、固練り状態で混合し、その後、さらにNMPを加えて、均一なスラリーになるまで攪拌する。全ての構成物質を入れた後の正極スラリーの溶液の固形分比率は75%となる。即ち25%のNMPを含む正極スラリーが調製される。
その後、上記正極スラリーをアルミニウム箔上へ塗布し、隙間50μmのアプリケータを用いて、厚さ一定の電極膜を形成する。その後、乾燥器にそのシートを移し、130℃で、溶媒であるNMPを乾燥させて、正極シートを作製する。その後、正極シートから、10cmの面積で切断し、空隙率が25%程度になるようにプレスにより電極を圧縮させて潰すことにより、正極を作製することができる。
LiCoO以外の活物質を用いる場合においても上記の方法で正極を作製することができる。
(作用及び効果)
本実施形態に係る電極では、集電体に塗工されたスラリーに対し緩やかに熱量を加えて加熱することにより、スラリーの乾燥時にカーボンナノチューブが活物質粒子間に集まりやすくなる。所定の加熱時間、保持することにより、カーボンナノチューブが活物質粒子の間に配置された状態で固化し、合材電極が形成される。
このように形成された合材電極の場合、少なくとも1つの前記活物質粒子は、2つの前記導電パスの一端が結合されており、2つの前記導電パスの他端は、異なる他の活物質粒子に結合されている。すなわち、一つの活物質粒子から2つの導電パスが伸び、当該導電パスが異なる他の活物質粒子にそれぞれ結合されている。このようにして合材電極全体として導電パスで繋がった活物質粒子のネットワークが形成される。したがって本実施形態に係る電極は、活物質粒子同士が導電パスによって互いに接続されているので、導電性を向上することができる。
本実施形態の場合、カーボンナノチューブによって導電パスが形成されると、導電パスの厚さは20nm以上となる。導電パスは活物質粒子間に形成されるのが望ましいが、充放電容量を持たない導電パスはできるだけ少量で、活物質粒子が密に積層されている方が好ましい。
活物質粒子の粒径が5〜10μmの場合、活物質粒子の間隔は5μm以下が好ましい。この場合、導電パスの長さは、活物質粒子の間隔と同様に、5μm以下となる。活物質粒子の間隔が5μm超となる電極中の空間は、活物質粒子で充填されることが好ましい。活物質粒子の間隔が5μm超の場合、この構造でも活物質粒子間に導電パスを形成することが可能だが、活物質粒子の間隔に比例して多くのカーボンナノチューブを消費するため、電極中の導電パスの本数や活物質の被覆率が減少し、電極の劣化を早める。
また活物質がSiOであるとき、充電時に体積が40%膨張し、放電時に収縮する。SiOの粒径が10μmの場合、半径方向で1.2μm膨張・収縮する。したがって導電パスは、長さが2μm以上であれば、活物質粒子が収縮したとしても粒子間を接続したままの状態を保つことができる。
本実施形態の場合、導電パスは、一定の長さを有することで、活物質が膨張、及び収縮しても活物質粒子間を接続した状態を保持することができる。前記活物質粒子の表面の10%以上がカーボンナノチューブで被覆されていることにより、カーボンナノチューブで形成された導電パスは、活物質粒子と、接合することができる。
因みに活物質粒子の導電性が低い場合、活物質粒子間に導電パスが形成されても電極の抵抗は高くなる。また活物質粒子の反応が不均一になり、膨張、及び収縮時の応力が偏ることで電極の微粉化が起きる。
これに対し本実施形態の場合、活物質粒子がカーボンナノチューブで被覆されていることにより、電極全体の抵抗を低くすることができ、被覆された部分が均一に反応するので電極の構造を保つこともできる。
2.実施例
(試料)
上記「負極の製造方法」に示した手順で作製した負極を実施例1とした。また、黒鉛:CMC:SBR:カーボンナノチューブ=97:1:1:1(質量比)とした以外は、上記実施例1と同様に作製した負極を実施例2とした。
比較として、カーボンナノチューブをアセチレンブラックに変更し、乾燥条件を70℃の遠赤外線ヒーターで乾燥させた後、120℃の遠赤外線ヒーターで乾燥させ、その後室温で真空乾燥とした以外は、実施例1と同様に作製した負極を比較例1とした。また、カーボンナノチューブを含めないこととし、乾燥条件を遠赤外線ヒーターにて100℃で乾燥させた後、遠赤外線ヒーターにて200℃で乾燥とした以外は、実施例2と同様に作製した負極を比較例2とした。
実施例1,2、比較例1,2の負極の断面の走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)写真を図1〜図4に示す。なお、通常の電極は、集電体上に合材電極を形成した後、厚さ方向に力を付加するプレス加工を行うが、本図は当該プレス加工をする前の状態で撮影した写真である。図1,2から、一つの活物質粒子2から2つの導電パス1,1が異なる方向へ伸びており、さらに当該導電パス1,1は他の異なる活物質粒子2に結合していることが確認できる。また活物質粒子2の周囲は、カーボンナノチューブで覆われていることが確認できた。
一方、図3に示すように比較例1は、導電パス10が2μm未満であるため、活物質粒子2同士が結合しているとは言えない。また図4に示すように比較例2は、カーボンナノチューブを含まないため、導電パスが形成されていない。
次に、上記負極を用いてラミネートセルを作製し、充放電サイクル試験を行った。正極は、上記「正極の製造方法」に示す手順で作製した電極を用いた。実施例1に係る負極及び正極は、それぞれ縦及び横の長さを25mm×35mmとした。微多孔のポリエチレン製のセパレータを挟んで、上記負極及び正極を配置し、アルミラミネートパックに挿入した。その後、電解質としてエチレンカーボネート(EC):ジエチルカーボネート(DEC)=1:1の溶媒中に1MのLiPFが含まれた電解液を注入し、真空パックをし、ラミネートセルを作製した。実施例2、及び比較例1,2に係る負極についても同様にラミネートセルを作成した。
充電は、0.2Cレート一定、電圧0.005V(Li/Li)の条件でCC−CV(定電流−定電圧)方式で行った。放電は、0.2Cレート一定、カットオフ電圧1.0V(Li/Li)でCC(定電流)方式で行った。充放電を1サイクル毎に放電容量を測定し、5サイクル繰り返した。このときの測定温度は25℃一定とした。その結果を表1に示す。各試料の測定で得られた放電容量の最大値で、各サイクル終了後の放電容量を割った値を放電容量維持率として算出した。
Figure 2015185229
本表から、実施例1及び実施例2に係る負極の場合、5サイクル後でも放電容量維持率は低下しないことが確認できた。このことから、充放電を繰り返しても、導電パスによって活物質粒子同士が接合されているといえる。一方、比較例1及び比較例2は、サイクル数の増加に伴い、放電容量維持率が低下することが確認できた。
3.変形例
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更することが可能である。例えば、上記実施形態では、集電体として金属箔を用いている場合について説明したが、本発明はこれに限らない。集電体は、例えばアルミニウムやアルミニウム合金、ステンレス、チタンの発泡材であってもよい。
1 導電パス
2 活物質粒子

Claims (3)

  1. カーボンナノチューブで形成された導電パスと活物質粒子とを備えるリチウムイオン二次電池の電極であって、
    少なくとも1つの前記活物質粒子は、2つの前記導電パスの一端が結合されており、
    2つの前記導電パスの他端は、異なる他の活物質粒子に結合されている
    ことを特徴とするリチウムイオン二次電池の電極。
  2. 前記導電パスは、厚さが20nm以上であり、長さが2〜5μmであることを特徴とする請求項1記載のリチウムイオン二次電池の電極。
  3. 前記電極の断面において、前記活物質粒子の表面の10%以上がカーボンナノチューブで被覆されていることを特徴とする請求項1又は2記載のリチウムイオン二次電池の電極。
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