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JP2015184289A - 鍵盤楽器 - Google Patents

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JP2015184289A JP2014057564A JP2014057564A JP2015184289A JP 2015184289 A JP2015184289 A JP 2015184289A JP 2014057564 A JP2014057564 A JP 2014057564A JP 2014057564 A JP2014057564 A JP 2014057564A JP 2015184289 A JP2015184289 A JP 2015184289A
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Abstract

【課題】カバーの開閉を簡易に行うことができるとともに、楽器全体の小型化を図ることのできる鍵盤楽器を提供する。【解決手段】閉状態において鍵盤3の上方を覆い、開状態において鍵盤3の上方を開放する鍵カバーユニット4を、閉状態において鍵盤3の後部上方を覆う後カバー部材41と、楽器本体2の前面に沿って上下方向にスライド移動可能に構成され、閉状態において鍵盤の前面側を覆い、開状態において楽器本体2の下面側に当該下面とほぼ平行となるように配置可能となる第1の前カバー部材42と、第1の前カバー部材52に前カバー連結軸を介して連設され、閉状態において後端側が後カバー部材41の前端側に当接するとともに鍵盤3の前部上方を覆い、開状態において第1の前カバー部材42が楽器本体2の下面とほぼ平行となる位置に配置されたときに鍵盤3の前面側に配置可能となる第2の前カバー部材43とを備えて構成した。【選択図】図6

Description

本発明は、鍵盤楽器に関するものである。
従来、鍵盤楽器において鍵盤を覆う鍵カバー(鍵盤蓋)を楽器の内部に収納する構成が知られている。しかし、このような構成の場合、鍵カバーを収納する空間を確保するために、鍵盤楽器全体が大きくなってしまう。
鍵カバーを柔軟な素材で形成したり、細かく折り畳むことによって鍵カバーを収納する空間を小さくすることも考えられるが、鍵盤楽器の大きさに影響を与えることに変わりはない。
また、鍵盤楽器の内部には、スピーカが設けられているところ、鍵カバーを収納する位置によってはスピーカからの発音や共鳴の邪魔になり、楽音の出力に影響を及ぼすおそれもある。
そこで、鍵カバーを鍵盤楽器の内部に収納せずに、鍵盤楽器外側の下部に収納する構成も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
具体的には、楽器本体内に配置された鍵盤部の前端側を覆う前蓋と鍵盤部の上部側を覆う後蓋とを屈曲連結部で屈曲自在に連結した鍵カバー(鍵盤蓋)を、蓋開閉機構である回動支持部によって、鍵盤部の下側に位置する楽器本体の下部側に移動可能に収納する。
このような構成を採用すれば、鍵盤楽器内部に鍵カバーの収納場所を確保する必要がなく、その分、鍵盤楽器全体の小型化を図ることができる。
特開2010−072264号公報
しかしながら、特許文献1に記載の構成のように、屈曲連結部で前蓋と後蓋とが連結された鍵カバー全体を鍵盤楽器の下部に移動させて収納する場合、鍵カバーを移動させるためには鍵カバー全体を大きく回動させる必要がある。
このため、鍵カバーを開閉するためにある程度広いスペースが必要となる。また、鍵カバーを開閉するための動きが大きくなるため、例えば子供等が鍵盤楽器を使用する場合に、スムーズな開閉が難しいという問題がある。
さらに、鍵カバーが閉じている状態において、鍵盤部の前端部を覆う前側被覆部と鍵カバーの一部とが重なり合うため、その分鍵盤楽器の奥行きが大きくなるとともに、カバー(鍵盤蓋)とは別に前側被覆部を設けなければならない分部品点数も増加する。
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、鍵カバーの開閉を簡易に行うことができるとともに、楽器全体の小型化を図ることのできる鍵盤楽器を提供することを目的とするものである。
前記課題を解決するために、本発明に係る鍵盤楽器は、
演奏操作される鍵盤と、
前記鍵盤を収容する楽器本体と、
前記鍵盤の上方を覆う鍵カバーユニットと、
を備え、
前記鍵カバーユニットは、前記楽器本体の前面側を下方向にスライドさせた後、前記楽器本体の下面側に配置することが可能となる第1の前カバー部材を有していることを特徴としている。
本発明によれば、鍵カバーの開閉を簡易に行うことができるとともに、楽器全体の小型化を図ることができるという効果を奏する。
本実施形態の鍵盤楽器の閉状態における上面図である。 本実施形態の鍵盤楽器の閉状態における要部断面図である。 (a)は、図1におけるa部分の拡大図であり、(b)は、図2におけるb部分の拡大図であり、(c)は、図2におけるc部分の拡大図である。 図1の後カバー部材と第2の前カバー部材とを回動させた状態を示す鍵盤楽器の要部断面図である。 図4の第1の前カバー部材及び第2の前カバー部材を下方にスライド移動させた状態を示す鍵盤楽器の要部断面図である。 図5の第1の前カバー部材を楽器本体の下側に回動させた状態を示す鍵盤楽器の要部断面図である。 (a)は、図4におけるa部分の拡大図であり、(b)は、図6におけるb部分の拡大図である。 本実施形態における鍵盤楽器の開状態の上面図である。
図1から図8を参照しつつ、本発明に係る鍵盤楽器の一実施形態について説明する。本実施形態では、鍵盤楽器が電子ピアノやキーボード等の電子楽器である場合を例として説明する。
なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
図1は、本実施形態の鍵盤楽器の閉状態における上面図であり、図2は、本実施形態の鍵盤楽器の閉状態における要部断面図である。
図3(a)は、図1におけるa部分の拡大図であり、図3(b)は、図1におけるb部分の拡大図であり、図3(c)は、図2におけるc部分の拡大図である。
また、図4から図6は、本実施形態の鍵盤楽器の鍵カバーユニットを開状態とする様子を示す要部断面図である。
また、図7(a)は、図4におけるa部分の拡大図であり、図7(b)は、図6におけるb部分の拡大図である。
図1等に示すように、本実施形態の鍵盤楽器1は、楽器本体2と、鍵盤3と、鍵カバーユニット4とを備えている。
図2に示すように、楽器本体2は、鍵盤3等を収容する空間である収容部21を有し、この収容部21の底面を構成する底面板22と、この底面板22の後端部(鍵盤楽器1における後ろ側の端部、図2等において右側端部)から立設された背面板23と、これら底面板22及び背面板23の左右両端部にそれぞれ取り付けられた一対の側板24と、を有している。
一対の側板24は、楽器本体2の側面を構成し、収容部21の左右の側部を画している。なお、図1等では一方側の側板24のみを図示している。
また、背面板23の上端部には、楽器本体2の後部上面を構成する天面板25の後端部が取り付けられている。天面板25は、一対の側板24の上に架け渡されるとともに、鍵盤楽器1における前方に向かって張り出しており、楽器本体2の後部上方を覆うように配置されている。
また、楽器本体2は、鍵盤楽器1における発音動作等を制御するための図示しない基板や、スピーカ等を備えている。
本実施形態において、基板や、スピーカ等は、例えば底面板22の下面(図2において下側の面)であって鍵盤楽器1の後部側に設けられた電子部品収容部222内に収納されている。
さらに、図示は省略するが、楽器本体2には、鍵盤楽器1の音量や音色等の各種機能を選択指定する複数のスイッチ等を有する図示しない操作スイッチ部が設けられている。操作スイッチ部は、例えば天面板25の上面や側板24等に配置されている。
なお、基板、スピーカ、操作スイッチ部等が設けられる位置等はここに例示したものに限定されない。
楽器本体2の収容部21内には、鍵盤3が収容されている。また、楽器本体2内には、鍵盤3を支持する鍵盤シャーシ5が設けられている。
鍵盤3は、鍵盤シャーシ5上に配列された多数の鍵(白鍵及び黒鍵)31からなる。各鍵31の後端部は鍵盤シャーシ5の後端部に設けられた鍵支持部51に回動軸52を介して回動可能に取り付けられている。各鍵31は、図示しない付勢部材により上方向に付勢されており、鍵31を押し下げる押鍵操作が行われることによって、その前端側が回動軸52の軸中心を回動中心として下方向に回動するとともに、押鍵操作が止むと、付勢部材の付勢力により押し上げられて上方向に回動し、もとの位置に復帰するように構成されている。
鍵カバーユニット4は、閉状態において鍵盤3の上方を覆い(図1及び図2参照)、開状態において鍵盤3の上方を開放する(図6及び図8参照)ものである。
本実施形態において、鍵カバーユニット4は、後カバー部材41、第1の前カバー部材及び第2の前カバー部材の3つの構成部により構成されている。
後カバー部材41は、閉状態において鍵盤3の後部上方を覆うものである。後カバー部材41は、楽器本体2の後部上方を覆う天面板25の前端部にヒンジ軸251を介して回動可能に取り付けられている。
本実施形態では、楽器本体2の天面板25の左右両端部であって、鍵盤楽器1における前側端部には、後カバー部材41を支持するヒンジ軸251の軸受となる後カバー支持部252が設けられている。ヒンジ軸251は、後カバー部材41の後端部に、後カバー部材41の長手方向に沿って挿入されるとともに、後カバー部材41の左右両端部から先端部分が突出している。
このヒンジ軸251の先端部分が、後カバー支持部252に係止されることにより、後カバー部材41は、ヒンジ軸251の軸中心を回動中心として回動可能となっている。
なお、ヒンジ軸251は、後カバー部材41に挿通されているものに限定されない。例えば、ヒンジ軸は、後カバー部材41の後端側の両側部に一体的に突出形成された突起であってもよい。このようにヒンジ軸を後カバー部材41と一体的に形成することで、部品点数を少なくすることができる。
本実施形態では、後カバー部材41は、閉状態においては、図2等に示すように、後カバー部材41の後端部が天面板25の上面の前側端部の上に載置されるとともに、後カバー部材41の前端部が第2の前カバー部材43の後端部に当接している。これにより、後カバー部材41は、前端側が天面板25よりも下に下がらないように保持されており、底面板22とほぼ平行となる状態に保たれている。
また、図4から図6に示すように、本実施形態では、後カバー部材41は、開状態においてヒンジ軸251の軸中心を回動中心として後方(図4等において右側)に回動するとともに天面板25に対して所定の角度をもつ位置で起立状態を保持可能に構成されている。
すなわち、本実施形態の後カバー支持部252には、図示しないストッパ機構が設けられており、このストッパ機構により、後カバー部材41を所定の角度の位置で保持するようになっている。なお、後カバー部材41を所定の角度の位置で保持するストッパ機構の構成は特に限定されず、公知の構成を適用することができる。
ここで「所定の角度の位置」とは、譜面や各種の携帯端末装置、タブレット端末装置等を立て掛けるのに適した角度である。後カバー部材41を所定の角度の位置で保持可能とすることにより、鍵カバーユニット4が開状態となった際に、後カバー部材41に譜面立てとしての機能を持たせることが可能となる。
なお、上記「所定の角度の位置」は、図示例に限定されず、適宜設定が可能である。
また、「所定の角度の位置」は、1つに限定されず、複数段階に任意に角度を調整できるように構成されていてもよい。
例えば、図4から図6では、後カバー部材41が天面板25に対して45度程度の角度に維持されている状態を例示しているが、この他に、70度程度の角度をもつ位置等でも起立状態を保持できるように、段階的又は無段階的に角度調整ができるようにしてもよい。このように構成することで、後カバー部材41の角度をユーザにとって譜面等を見やすい角度に調整することが可能となる。
また、例えば、後カバー部材41は、天面板25とほぼ平行に重なり合う位置まで回動可能としてもよい。このように後カバー部材41を天面板25とほぼ平行に重なり合う位置まで回動可能に構成することで、後カバー部材41を譜面立てとして使用しないときには邪魔にならない状態に折り畳んでおくことができる。
第1の前カバー部材42は、閉状態において鍵盤3の前端側(前面側)を覆う前側被覆部として機能するものである。
すなわち、図2に示すように、鍵カバーユニット4が閉じている閉状態においては、第1の前カバー部材42は、鍵盤3の前端側(前面側)に配置される。
第1の前カバー部材42の上端部は、押鍵していない状態における鍵31の上端部とほぼ同じ高さとなっており、第1の前カバー部材42によって鍵盤3の前端側のほぼ全体が覆われるようになっている。
また、第1の前カバー部材42は、開状態において楽器本体2の下面側に当該下面とほぼ平行となるように配置可能となるものである。
本実施形態における底面板22の下面(図2等において下側の面)には、磁石221が設けられており、第1の前カバー部材42の先端側(図2に示す閉状態において下側であり、図6に示す開状態において鍵盤楽器1の奥側)であって、楽器本体2に対向する面には、鉄片422が設けられている。
鉄片422は、第1の前カバー部材42が底面板22の下面に配置された際(すなわち、鍵カバーユニット4が開状態となった際。図6参照)に、底面板22の磁石221に対応する位置に配置されており、鍵カバーユニット4が開状態となった際には、鉄片422が磁石221に吸着し、第1の前カバー部材42が底面板22の下面に配置された状態を維持することができるようになっている。
なお、鉄片422及び磁石221は、互いに対応する位置に設けられていればよく、その配置等は図示例に限定されない。
第2の前カバー部材43は、閉状態において後端側が後カバー部材41の前端側に当接するとともに鍵盤3の前部上方を覆うように配置されるものである。
本実施形態では、図1及び図3(a)に示すように、第2の前カバー部材43の後端部には左右両側部に突出形成された係止突起431が設けられている。また、側板24の上端であって、閉状態において第2の前カバー部材43の係止突起431が配置される位置に対応する箇所には、係止突起431が係止される係止凹部245が形成されている。
閉状態において係止突起431は係止凹部245に係止され、この状態において、第2の前カバー部材43の後端側が後カバー部材41の前端側に当接する。これにより、鍵盤3の上方が第2の前カバー部材43及び後カバー部材41によって覆われた状態となるとともに、後カバー部材41の前端側が第2の前カバー部材43の後端側に突き当てられて支持され、後カバー部材41の前端側の位置(高さ)が保持される。
また、図3(c)等に示すように、第2の前カバー部材43は、ヒンジ軸である前カバー連結軸421を介して第1の前カバー部材42に連設されている。
前カバー連結軸421は、第1の前カバー部材42と第2の前カバー部材43との連結部分に設けられており、第1の前カバー部材42及び第2の前カバー部材43は、前カバー連結軸421の軸中心を回動中心として相対的に回動可能となっている。
前カバー連結軸421の両端部は、第1の前カバー部材42及び第2の前カバー部材43の両端部よりも外側に突出している。
図2及び図3(c)に示すように、本実施形態では、各側板24の内側の面であって、鍵盤楽器1の前端側(前面側)には、案内溝241が上下方向(鉛直方向)に沿って形成されており、前カバー連結軸421の両端部は、各側板24の案内溝241にそれぞれ係止されている。
本実施形態の案内溝241は、第2の前カバー部材43に設けられている係止突起431の径よりも幅の広い幅広部242と、この幅広部242の下方に連続し係止突起431の径よりも幅が狭く前カバー連結軸421の径よりも幅が広い幅狭部243とから構成されており、図1及び図3(a)に示すように、各側板24の上端面に開口している。
案内溝241は、各側板24の下端面まで貫通して設けられていてもよいし、楽器本体2の底面板22の裏面側の位置とほぼ同じ位置(高さ)まで形成されたものでもよい。
第1の前カバー部材42は、前カバー連結軸421が側板24の案内溝241に沿って案内されることにより、楽器本体2の前面に沿って上下方向(図2等において上下方向)にスライド移動可能に構成されている。
本実施形態では、図4及び図7(a)に示すように、第2の前カバー部材43を、第1の前カバー部材42とほぼ一直線とする位置まで鍵盤楽器1の前方向(図4等において左方向)に回動させると、前カバー連結軸421が側板24の案内溝241に沿ってスライド移動可能な状態となる。
また、前カバー連結軸421を介して第1の前カバー部材42に連結された第2の前カバー部材43も、前カバー連結軸421が側板24の案内溝241に沿って案内されることにより、楽器本体2の前面に沿ってスライド移動可能となっている。
そして、第2の前カバー部材43の係止突起431の径は、案内溝241の幅広部242の幅より小さく幅狭部243の幅よりも大きいため、係止突起431は案内溝241内の幅広部242内をスライド移動するが、幅狭部243の手前で係止される。
これにより、第1の前カバー部材42及び第2の前カバー部材43は、係止突起431が係止される位置よりも下には移動せず、第1の前カバー部材42及び第2の前カバー部材43の下方向への抜け落ちが防止される。
このように、係止突起431が幅狭部243の手前で係止される位置まで第1の前カバー部材42及び第2の前カバー部材43が案内溝241に沿って案内された状態において、第1の前カバー部材42は楽器本体2の前端側(前面側)からほぼ鉛直に垂下された状態(図5に示す状態)となる。
このとき、第1の前カバー部材42を、前カバー連結軸421の軸中心を回動中心として楽器本体2の後方側に回動させることで、第1の前カバー部材42は、図6及び図7(b)に示すように、楽器本体2の下面側に当該下面とほぼ平行となるように配置される。
また、第2の前カバー部材43は、開状態において第1の前カバー部材42が楽器本体2の下面とほぼ平行となる位置に配置されたときに鍵盤3の前端側(前面側)に配置可能となる
すなわち、係止突起431が幅狭部243の手前で係止された状態において、第2の前カバー部材43は、第1の前カバー部材42に代わって鍵盤3の前端側(前面側)に配置され、鍵盤3の前端側(前面側)を覆う前側被覆部として機能する。
なお、本実施形態において案内溝241の幅広部242の長さは、第2の前カバー部材43の長さ(第1の前カバー部材42と連結されている前端部から後カバー部材41が係止される後端部までの長さ)に応じて設定されている。
すなわち、鍵カバーユニット4が開状態となり、第2の前カバー部材43が前側被覆部を構成する状態となった際には、係止突起431が案内溝241の幅狭部243の手前で係止されることにより第2の前カバー部材43が所定位置に位置決めされる。
ここで、鍵盤3を押鍵する際には、前側被覆部を構成する第2の前カバー部材43が鍵盤3の前端部の上面よりも高い位置にあると、鍵31を一番下まで押し込んだとき等に第2の前カバー部材43の上端部と鍵31を押す指とが干渉して押鍵しにくくなる。
このため、図5等に示すように、第2の前カバー部材43は、その上端部が鍵盤3の前端部の上面の高さよりも多少低い位置(例えば、鍵31を一番下まで押し込んだ際の鍵31の前端部の上面の高さとほぼ同じとなる位置)で止まるように位置決めされることが好ましく、幅広部242の長さは、第2の前カバー部材43をこのような位置で係止できる長さに設定される。
次に、本実施形態における鍵盤楽器1の作用について説明する。
まず、鍵カバーユニット4の閉状態においては、図1及び図2に示すように、後カバー部材41によって鍵盤3の後部上方が覆われ、第1の前カバー部材42によって鍵盤3の前端側が覆われ、第2の前カバー部材43によって鍵盤3の前部上方が覆われた状態となっている。
この閉状態において、図1及び図3(a)に示すように、第2の前カバー部材43の係止突起431が楽器本体2の側板24の係止凹部245に係止され、第2の前カバー部材43及びこれに連設されている第1の前カバー部材42が位置決めされる。
また、図3(b)に示すように、第2の前カバー部材43の後端側は後カバー部材41の前端側に当接しており、これにより、後カバー部材41の前端部を支持し、後カバー部材41の位置が保持される。
鍵カバーユニット4を開状態とする際には、後カバー部材41をヒンジ軸251の軸中心を回動中心として後方に回動させる。
例えば図4から図6に示すように、後カバー部材41を天面板25に対して45度程度の角度等、所定の角度をもつ位置まで回動させて、ストッパ機構により当該位置で起立状態を保持させる。これにより、後カバー部材41を譜面立て等として利用可能な状態となる。なお、譜面立てが不要な場合等には、後カバー部材41を天面板25と平行に重なり合う位置まで倒しておいてもよい。
次に、係止突起431を係止凹部245から外して第2の前カバー部材43を引き起こし、前カバー連結軸421の軸中心を回動中心として図2において二点鎖線で示す鍵盤楽器1の前方向(図2において左方向)に第2の前カバー部材43を回動させる。
図4に示すように、第2の前カバー部材43を、第1の前カバー部材42とほぼ一直線となる位置まで回動させたら、前カバー連結軸421及び係止突起431を案内溝241に係止させた状態で、第1の前カバー部材42及び第2の前カバー部材43を、楽器本体2の前面に沿って下方向(図4から図6において下方向)に移動させる。第1の前カバー部材42及び第2の前カバー部材43は、前カバー連結軸421及び係止突起431が、楽器本体2の側面(すなわち、側板24)に設けられている案内溝241に沿って案内されることによって、楽器本体2の前面に沿って円滑にスライド移動する。
図5及び図7(b)に示すように、係止突起431が案内溝241の幅狭部243の手前までくると、係止突起431は幅狭部243の手前で係止されてこれ以上下方向に移動できない状態となり、第1の前カバー部材42及び第2の前カバー部材43は、当該位置で位置決めされる。
この状態において、図5に示すように、第2の前カバー部材43は第1の前カバー部材42に代わって鍵盤3の前端側(前面側)に配置され、第1の前カバー部材42は楽器本体2の前端側(前面側)の下方に垂下した状態となる。
さらに、第1の前カバー部材42を、前カバー連結軸421の軸中心を回動中心として図5において二点鎖線の矢印で示す後方(図5において右方向)に回動させる。これにより、図6に示すように、第1の前カバー部材42が楽器本体2の下面側に当該下面とほぼ平行となるように配置される。このとき、第1の前カバー部材42に設けられた鉄片422が楽器本体2の底面板22に設けられた磁石221に吸着することで、第1の前カバー部材42が底面板22の下面(楽器本体2の下面)に固定される。
図8は、本実施形態における鍵盤楽器が開状態となった様子を示す上面図である。
本実施形態の鍵盤楽器1は、図6に示すように、後カバー部材41を天面板25に対して所定の角度をもつ位置で起立状態を保持させ、第2の前カバー部材43を鍵盤3の前端側(前面側)に配置させ、第1の前カバー部材42を楽器本体2の下面側に当該下面とほぼ平行となるように配置させることにより、図8に示すように、鍵カバーユニット4が開状態となり、鍵31を押鍵して演奏することが可能な状態となる。
また、開状態となった鍵カバーユニット4を再び閉状態とする際には、まず磁石221から鉄片422を引き離して第1の前カバー部材42を引き起こす(すなわち、図6における下方向に回動させる。)。そして、第1の前カバー部材42が楽器本体2の下方に垂下された状態となったら、第1の前カバー部材42が鍵盤3の前端部(前面側)を覆う位置まで第1の前カバー部材42及び第2の前カバー部材43を上方向にスライド移動させる。
次に、第2の前カバー部材43を、前カバー連結軸421の軸中心を回動中心として後方(図4において右方向)に回動させ、係止突起431を係止凹部245に係止させる。
さらに、後カバー部材41の先端部が第2の前カバー部材43の後端部に当接する位置まで、後カバー部材41をヒンジ軸251の軸中心を回動中心として前方(図4において左方向)に回動させる。これにより、鍵カバーユニット4が閉状態となる。
以上のように、本実施形態によれば、閉状態において鍵盤3の後部上方を覆う後カバー部材41と、楽器本体2の前面に沿って上下方向にスライド移動可能に構成され、閉状態において鍵盤3の前端側(前面側)を覆い、開状態において楽器本体2の下面側に当該下面とほぼ平行となるように配置可能となる第1の前カバー部材42と、第1の前カバー部材42に前カバー連結軸421を介して連設され、楽器本体2の前面に沿ってスライド移動可能に構成されており、閉状態において後端側が後カバー部材41の前端側に当接するとともに鍵盤3の前部上方を覆い、開状態において第1の前カバー部材42が楽器本体2の下面とほぼ平行となる位置に配置されたときに鍵盤3の前端側に配置可能となる第2の前カバー部材43とを鍵盤楽器1が備えている。
このように、鍵カバーユニット4を開状態とした際に、後カバー部材41、第1の前カバー部材42及び第2の前カバー部材43を楽器本体2の内部に収納せず、楽器本体2の外側にとどまるようにしたため、鍵盤楽器1内に鍵カバーを収納するための空間を確保する必要がない。また、楽器本体2に組み込まれる各種の電子部品を、鍵カバーによる収容空間の制約を受けずに配置することができる。これにより、鍵盤楽器1全体を小型化することができる。
また、鍵カバーが鍵盤楽器1内に設けられているスピーカからの音声出力等を邪魔しないため、音質のよい鍵盤楽器1を実現することができる。
また、閉状態においては、第1の前カバー部材42が鍵盤3の前端側(前面側)を覆う前側被覆部として機能し、開状態においては、第2の前カバー部材43が鍵盤3の前端側に配置されて前側被覆部として機能する。このため、別途鍵盤3の前端側(前面側)に配置される部材を設ける必要がなく、部品点数の削減及び装置の小型化を実現することができる。
また、鍵カバーユニット4が3つの構成部に分割されており、これを開閉する際には、鍵カバーユニット4を構成する第1の前カバー部材42及び第2の前カバー部材43が楽器本体2の外形に沿って移動する。このため、鍵カバーユニット4を開閉するための動作も小さくて済み、子供等でも容易かつ安全に鍵カバーの開閉動作を行うことができる。
また、本実施形態では、第1の前カバー部材42及び第2の前カバー部材43を案内する案内溝241が、第2の前カバー部材43の後端側に設けられた係止突起431の径よりも幅の広い幅広部242と、この幅広部242の下方に連続し係止突起431の径よりも幅が狭くヒンジ軸である前カバー連結軸421の径よりも幅が広い幅狭部243とで構成されており、開状態において、係止突起431が案内溝241の幅狭部243の手前で係止されることにより、第2の前カバー部材43が所定位置に位置決めされる。これにより、第2の前カバー部材43及びこれに連設されている第1の前カバー部材42が下方向に抜け落ちることがない。また、特に位置合わせ等を行わなくても、係止突起431が係止される位置まで第1の前カバー部材42及び第2の前カバー部材43をスライド移動させれば第2の前カバー部材43が鍵盤3の前端側(前面側)に配置され、第2の前カバー部材43を前側被覆部として機能させることができる。
また、後カバー部材41は、開状態においてヒンジ軸251の軸中心を回動中心として後方に回動するとともに天面板に対して所定の角度をもつ位置で起立状態を保持可能に構成されている。これにより、後カバー部材41を譜面立てとして機能させることができ、別途譜面立てを設ける必要がなく、部品点数の削減及び装置の小型化・軽量化を実現することができる。
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
例えば、本実施形態では、第1の前カバー部材42に鉄片422を設け、楽器本体2の底面板22に磁石221を設ける構成としたが、第1の前カバー部材42に磁石を設け、楽器本体2の底面板22に鉄片を設けてもよい。
また、閉状態の時に第1の前カバー部材42を楽器本体2の底面板22に固定する構成は磁石を用いたものに限定されない。例えば、フック等により、第1の前カバー部材42を底面板22に係止させる構成としてもよい。
また、本実施形態では、閉状態において第2の前カバー部材43の後端側が後カバー部材41の前端側に当接することで後カバー部材41が支持される構成としたが、後カバー部材41を支持する構成はこれに限定されない。
例えば第2の前カバー部材43の後端部に後方側に張り出す係止部を設け、後カバー部材41の前端側がこの係止部の上に載置されることで支持されるようにしてもよい。第2の前カバー部材43の後端部に係止部を設けた場合には、後カバー部材41の重量が重いような場合でも、より確実に安定して後カバー部材41を支持することができる。
また、本実施形態では、幅広部242と幅狭部243とを有する案内溝241に係止突起431を係止させることにより、第1の前カバー部材42及び第2の前カバー部材43の抜け落ちを防止するとともに、所定の位置に位置決めできるように構成したが、第1の前カバー部材42及び第2の前カバー部材43の抜け落ちを防止し、位置決めする構成はここに例示したものに限定されない。
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
演奏操作される鍵盤と、
前記鍵盤を収容する楽器本体と、
前記鍵盤の上方を覆う鍵カバーユニットと、
を備え、
前記鍵カバーユニットは、前記楽器本体の前面側を下方向にスライドさせた後、前記楽器本体の下面側に配置することが可能となる第1の前カバー部材を有していることを特徴とする鍵盤楽器。
<請求項2>
前記鍵カバーユニットは、
前記第1の前カバー部材にヒンジ軸を介して連設され、前記楽器本体の前面に沿ってスライドさせた後、前記楽器本体の前面側に配置することが可能となる第2の前カバー部材を有していることを特徴とする請求項1に記載の鍵盤楽器。
<請求項3>
前記第2の前カバー部材における後端側の側部には、係止突起が設けられ、
前記楽器本体の側板内には、案内溝が上下方向に沿って形成され、
前記案内溝は、
前記係止突起の径よりも幅の広い幅広部と、
前記幅広部の下方に連続し前記係止突起の径よりも幅が狭くかつ前記ヒンジ軸の径よりも幅が広い幅狭部と、
を有していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鍵盤楽器。
<請求項4>
前記鍵カバーユニットは、
前記楽器本体の後部上方を覆う天面板の前端部にヒンジ軸を介して取り付けられ、前記ヒンジ軸の軸中心を回動中心として後方に回動するとともに起立状態を保持可能となる後カバー部材を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の鍵盤楽器。
1 鍵盤楽器
2 楽器本体
3 鍵盤
4 鍵カバーユニット
22 底面板
24 側板
41 後カバー部材
42 第1の前カバー部材
43 第2の前カバー部材
221 磁石
241 案内溝
242 幅広部
243 幅狭部
245 係止凹部
251 ヒンジ軸
421 前カバー連結軸
422 鉄片
431 係止突起

Claims (4)

  1. 演奏操作される鍵盤と、
    前記鍵盤を収容する楽器本体と、
    前記鍵盤の上方を覆う鍵カバーユニットと、
    を備え、
    前記鍵カバーユニットは、前記楽器本体の前面側を下方向にスライドさせた後、前記楽器本体の下面側に配置することが可能となる第1の前カバー部材を有していることを特徴とする鍵盤楽器。
  2. 前記鍵カバーユニットは、
    前記第1の前カバー部材にヒンジ軸を介して連設され、前記楽器本体の前面に沿ってスライドさせた後、前記楽器本体の前面側に配置することが可能となる第2の前カバー部材を有していることを特徴とする請求項1に記載の鍵盤楽器。
  3. 前記第2の前カバー部材における後端側の側部には、係止突起が設けられ、
    前記楽器本体の側板内には、案内溝が上下方向に沿って形成され、
    前記案内溝は、
    前記係止突起の径よりも幅の広い幅広部と、
    前記幅広部の下方に連続し前記係止突起の径よりも幅が狭くかつ前記ヒンジ軸の径よりも幅が広い幅狭部と、
    を有していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鍵盤楽器。
  4. 前記鍵カバーユニットは、
    前記楽器本体の後部上方を覆う天面板の前端部にヒンジ軸を介して取り付けられ、前記ヒンジ軸の軸中心を回動中心として後方に回動するとともに起立状態を保持可能となる後カバー部材を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の鍵盤楽器。
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