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JP2015183319A - シート製造装置及びシート製造方法 - Google Patents

シート製造装置及びシート製造方法 Download PDF

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JP2015183319A JP2014061555A JP2014061555A JP2015183319A JP 2015183319 A JP2015183319 A JP 2015183319A JP 2014061555 A JP2014061555 A JP 2014061555A JP 2014061555 A JP2014061555 A JP 2014061555A JP 2015183319 A JP2015183319 A JP 2015183319A
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関 俊一
Shunichi Seki
関  俊一
嘉明 村山
Yoshiaki Murayama
嘉明 村山
克仁 五味
Katsuto Gomi
克仁 五味
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Abstract

【課題】複数回リサイクルした際に、原料とは機能が異なるシートを製造することができるシート製造装置及びシート製造方法を提供する。【解決手段】本発明に係るシート製造装置120は、少なくとも繊維を含む原料1を解繊する解繊部20と、解繊部20で解繊された解繊物に、添加物を添加する添加部32と、複数の繊維同士を添加物を介して結着してシートSを形成するシート形成部40と、を有する。シート製造装置120は、原料1がリサイクルされた回数がより多い場合の方がリサイクルされた回数がより少ない場合に比べて密度のより小さいシートSを製造することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、シート製造装置及びシート製造方法に関する。
従来、シート製造装置においては、繊維を含む原料を水に投入し、主に機械的作用により離解して、抄き直す、いわゆる湿式方式が多く採用されている。このような湿式方式のシート製造装置によって製造されるシートは、例えば木材等に由来するセルロース繊維が互いに絡み合い、水素結合などの結着力によって部分的に結着される構造を有する。
また、古紙や、古紙などの解離する際に生じるパルパーかす、スクリーンかす、クリーナかすなどの製紙廃棄物を原料(パルプ原料)とする繊維板の製造方法として、例えば、特許文献1には、古紙などの紙類および製紙廃棄物の少なくとも一方を主成分とし、かつ、プラスチックを乾式基準で2〜20重量%、紙又は木質材を乾式で繊維状にした乾式解繊材(繊維材)を乾式基準で10〜30重量%の割合で含有するように調合された調合原料を加熱・加圧して所定の形状に成形する方法が提案されている。
この方法によれば、調合原料中のプラスチックの含有率が所定範囲を越えるような割合で繊維板原料がプラスチックを含有している場合には、繊維板原料中のプラスチックの一部を除去して調合原料中のプラスチックの含有率が所定範囲内になるようにし、また、調合原料中のプラスチックの含有率が所定範囲を下回るような割合で繊維板原料がプラスチックを含有している場合には、調合原料中のプラスチックの含有率所定が範囲内になるように別途プラスチックを添加することが開示されている。
特開10−121400号公報
しかしながら、古紙を複数回リサイクルして所望のシートを製造することは、これまで提案されていない。
そして、リサイクルの回数に応じて機能が異なるシートを製造することについても、これまで提案されていない。
本発明の幾つかの態様に係る目的の1つは、複数回リサイクルした際に、原料とは機能が異なるシートを製造することができるシート製造装置及びシート製造方法を提供することにある。
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
(1)本発明に係るシート製造装置の一態様は、
少なくとも繊維を含む原料を解繊する解繊部と、
前記解繊部で解繊された解繊物に、添加物を添加する添加部と、
複数の前記繊維同士を前記添加物を介して結着してシートを形成するシート形成部と、
を有するシート製造装置であって、
原料が過去においてリサイクルされた回数がより多い場合の方がリサイクルされた回数がより少ない場合に比べて密度のより小さいシートを製造することを特徴とする。
このようなシート製造装置によれば、複数回リサイクルする際に、原料とは機能が異なるシートを製造することができる。原料を複数回リサイクルする場合、解繊物における繊維の劣化は避けられない。しかしながら、このように複数回リサイクルして繊維が劣化したとしても、このようなシート製造装置によれば、原料としたシートとは機能が異なる密度の小さいシートにさらにリサイクルできる。
(2)本発明に係るシート製造装置において、
前記リサイクルされた回数がより多い場合には前記添加物として芯鞘構造の樹脂を添加してもよい。
このようなシート製造装置によれば、リサイクルされた回数がより多く、解繊物において繊維長が短い繊維が多くなったとしても、添加物を芯鞘構造の樹脂にすることで短い繊維同士を結着することができる。また、芯鞘構造の樹脂によれば、芯部が繊維の役割をするので、短い繊維を補うことができる。
(3)本発明に係るシート製造装置において、
前記シートを成形する際に加圧する加圧部をさらに有し、
前記リサイクルされた回数がより少ない場合における加圧力は、前記リサイクルされた回数が多い場合における加圧力よりも大きくしてもよい。
このようなシート製造装置によれば、リサイクル回数が多い場合の方が加圧力が小さいため、密度が小さいシートを製造することができる。
(4)本発明に係るシート製造装置において、
シートを製造する際に前記原料をリサイクルした回数を示すマーキングを行うマーキング部と、
前記マーキングを読取り前記リサイクルした回数を取得する取得部と、
取得した前記リサイクルした回数に応じて密度の大きいシートを製造するか密度の小さいシートを製造するかを制御する制御部と、
をさらに有してもよい。
このようなシート製造装置によれば、マーキングを利用することでリサイクルした回数を把握することができる。また、このようなシート製造装置によれば、その取得したリサイクルした回数に応じて密度の異なるシートを製造することを制御することができる。
(5)本発明に係るシート製造方法の一態様は、
少なくとも繊維を含む原料を解繊し、
解繊された解繊物に、添加物を添加し、
複数の前記繊維同士を前記添加物を介して結着してシートを製造する方法であって、
原料がリサイクルされた回数がより多い場合の方がリサイクルされた回数がより少ない場合に比べて密度のより小さいシートを製造することを特徴とする。
このようなシート製造方法によれば、複数回リサイクルする際に、原料とは機能が異なるシートを製造することができる。シートを複数回リサイクルする場合、解繊物における繊維の劣化は避けられない。しかしながら、このように複数回リサイクルして繊維が劣化したとしても、このようなシート製造方法によれば、原料としたシートとは機能が異なる
密度の小さいシートにさらにリサイクルできる。
本実施形態に係るシート製造装置を模式的に示す図。 本実施形態に係るシート製造装置を示す機能ブロック図。 各実施例における添加物等および再生物を示した表。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
本実施形態に係るシート製造装置は、少なくとも繊維を含む原料を解繊する解繊部と、前記解繊部で解繊された解繊物に、添加物を添加する添加部と、複数の前記繊維同士を前記添加物を介して結着してシートを形成するシート形成部と、を有するシート製造装置であって、原料がリサイクルされた回数がより多い場合の方がリサイクルされた回数がより少ない場合に比べて密度のより小さいシートを製造することを特徴とする。
なお、本明細書では、シート製造装置において、製造されるシートの材料(原料1、解繊物、ウェブW、シートS等)の流れ(概念的な流れを含む)に対して、「上流」、「下流」等の表現を用いる。また、「上流側(下流側)」という表現は、構成の位置を相対的に特定する場合に用い、例えば、「AがBの上流側(下流側)にある」などという場合には、Aの位置がBの位置に対して、シートSの材料の流通方向に照らして上流(下流)にあることを指す。
また、本明細書において、乾式とは、液体中ではなく大気中(空気中)でという意味である。乾式の範疇には、乾燥状態、及び不純物として存在する液体(水等)又は意図的に添加される液体(水等)、水蒸気、ミスト等が存在する状態、が含まれる。また、乾式の態様と、抄紙等で行われる湿式の態様とでは、装置全体あるいは製造される紙の量に対する水の使用量が全く異なることに注意する。すなわち、乾式の態様において、系内に水が存在する場合の水の量は、湿式に比較して桁違いに少ない。
1.シート製造装置
本実施形態に係るシート製造装置120は、少なくとも繊維を含む原料1を解繊する解繊部20と、解繊部20で解繊された解繊物に、添加物を添加する添加部32と、複数の繊維同士を添加物を介して結着してシートSを形成するシート形成部40と、を備える。シート製造装置120は、シートを原料1として別のシートSにリサイクルされた回数がより多い場合の方がリサイクルされた回数がより少ない場合に比べて密度のより小さいシートを製造する。図1は、本実施形態に係るシート製造装置120を概略的に示す模式図である。以下、本実施形態のシート製造装置120について、解繊部20及び添加部32を中心として説明する。
1.1.解繊部
解繊部20は、少なくとも繊維を含む原料1を解繊する。解繊部20は、原料1を解繊することにより、繊維状に解きほぐされた解繊物を生成する。また解繊部20は、原料1が印刷された古紙等である場合には、原料1に付着した樹脂粒やインク、トナー、にじみ防止剤等の物質を、繊維から分離させる機能をも有する。
ここで、「解繊する」とは、複数の繊維が結着されてなる原料1を、繊維1本1本に解
きほぐすことをいう。解繊部20を通過したものを「解繊物」という。「解繊物」には、解きほぐされた繊維の他に、繊維を解きほぐす際に繊維から分離した樹脂(複数の繊維同士を結着させるための樹脂)粒や、インク、トナーなどの色剤、にじみ防止材等の添加剤を含んでいる場合もある。解きほぐされた解繊物の形状は、ひも(string)状や平ひも(ribbon)状である。解きほぐされた解繊物は、他の解きほぐされた繊維と絡み合っていない状態(独立した状態)で存在してもよいし、他の解きほぐされた解繊物と絡み合って塊状となった状態(いわゆる「ダマ」を形成している状態)で存在してもよい。
解繊部20は、後述する混合部30よりも上流側に設けられる。解繊部20と混合部30との間に他の構成が設けられてもよい。また、解繊部20よりも上流側にも他の構成が設けられてもよい。
解繊部20は、原料1を解繊処理する機能を有する限り任意である。解繊部20は、大気中(空気中)において乾式で解繊を行う。図示の例では、導入口21から導入された原料1が、解繊部20によって解繊され、解繊物(繊維)となり、排出口22から排出される。
解繊部20の構成は特に限定されないが、例えば、回転部(回転子)とこれを覆う固定部とを含み、回転部と固定部との間に隙間(ギャップ)が形成されたものを挙げることができる。解繊部20がこのように構成される場合には、回転部が回転した状態で原料1がギャップに導入されることにより、解繊処理が行われる。また、この場合には、回転部の回転数、形状、固定部の形状等は、製造されるシートSの性質や全体の装置構成等の要請に合わせて適宜に設計されることができる。また、この場合、回転部の回転速度(1分あたりの回転数(rpm))は、解繊処理のスループット、原料の滞留時間、解繊の程度、ギャップの大きさ、回転部、固定部、その他の各部材の形状や大きさ等の条件を考慮して、適宜に設定することができる。
なお、解繊部20は、原料1を吸引し、及び/又は、解繊物を排出するような気流を発生させる機能を有することがより好ましい。この場合、解繊部20は、自ら発生する気流によって、導入口21から、原料1を気流と共に吸引し、解繊処理して、排出口22へと搬送することができる。排出口22から排出された解繊物は、図1に示す例では、管82に移送される。なお、気流発生機構を有していない解繊部20を用いる場合には、原料1を導入口21に導く気流や、排出口22から解繊物を吸出す気流を発生する機構を外付けで設けても差支えない。
本実施の態様においては、排出口22から排出された解繊物は、切替弁25によって、管82を通って分級部63、選別部35を介して混合部30へ供給される第1の経路と、管85を通って混合部30へ直接供給される第2の経路と、に切り替えることができる。本実施の態様においては、特に、第2の経路を用いてシートSを製造することができる。
切替弁25によって第2の経路を選択する場合としては、(1)解繊部20から混合部30へ直接解繊物を送るため、シートSの機能として繊維の長さを均一のものにそろえる要求が低いシートSを製造する場合や、(2)解繊することにより発生する樹脂粒やインク粒などがシートSに混ざっても機能に影響しないようなシートSを製造する場合などがある。これらの場合としては、原料1から原料1と異なる機能を有するシートSを製造する場合があり、例えば、原料1が紙であり、シートSが紙よりも密度がより小さい不織布のような液体吸収材や吸音材などである場合などがある。
なお、第1の経路を選択する場合は、分級部63及び選別部35によって解繊物を目的
とするシートSの用途や機能などに合わせて所定のサイズ以下のものだけをシート形成部40へ導入する場合である。また、ここでは切替弁25を用いて第2の経路を選択した例について説明するが、原料1を原料1と異なる機能を有するシートSを製造する場合であっても、切替弁25を用いず、常に第1の経路を通過してもよい。
1.1.1.原料
本明細書において、原料1とは、シート製造装置120の原材料を含む物品のことを指し、例えば、パルプシート、紙、古紙、ティッシュペーパー、キッチンペーパー、クリーナー、フィルター、液体吸収材、吸音体、緩衝材、マット、段ボールなどの、繊維が絡み合い又は結着されたものを指す。また、原料1には、レーヨン、リヨセル、キュプラ、ビニロン、アクリル、ナイロン、アラミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリイミド、炭素、ガラス、金属からなる繊維等(有機繊維、無機繊維、有機無機複合繊維)が含まれていてもよい。ここでは、原料1として複数回リサイクルしたものを用いることができ、特に古紙を有効に利用することができる。
原料1は、履歴を有してもよい。原料1の履歴は、原料1の性状に関する情報であり、具体的には、原料1における添加物の含有量、原料1における添加物の種類、原料1における繊維長、原料1における繊維の材質などを挙げることができる。このような原料1の性状に関する情報を簡易的に得るための情報としては、シートを原料1として別のシートSにリサイクルされた回数(以下、単に「リサイクルされた回数」という。)に相当する情報、シートSの種類(紙、パルプシート、古紙等)に相当する情報、リサイクルに用いたシート製造装置に関する情報などを挙げることができる。これらの情報は、シートSに付与されたマーキングによって把握される。シート製造装置120は、シート形成部40又はシート形成部40よりも下流側に、シートSにマーキングを付与するマーキング部100を有する。また、シート製造装置120は、原料1に付与されたマーキングを読み取ることで、原料1の履歴を取得する取得部8を有する。マーキング部100や取得部8については、後述する。
リサイクルされた回数は、シート製造装置120において原料1をシートSにリサイクルした回数である。以下、単に「リサイクル回数」で示す場合もある。湿式方式で製造された紙は、シート製造装置120でリサイクルされたものではないため、リサイクル回数は0回となる。そして、湿式方式で製造された紙を原料1として、シートSに製造したときにリサイクル回数は1回となる。また、リサイクル回数が1回のシートSを原料1として、シート製造装置120においてシートSに製造したときにリサイクル回数は2回となる。シート製造装置120で製造されたシートでなくても、シート製造装置120がリサイクル回数を把握できれば、リサイクル回数に含まれる。シート製造装置120がリサイクル回数として把握できるか否かは、取得部8で原料の履歴を取得できるか否かによる。例えば、古紙を原料として湿式方式でリサイクルして製造された紙が原料1であっても、マーキングがなかったり、シート製造装置120で把握できなければ、原料1の性状を把握できないので、リサイクル回数を1回とはみなさない。そのような場合は、リサイクル回数を0回として把握し、リサイクル回数としてリサイクルした回数に相当する情報に含まれる。また、未だシート製造装置120でリサイクルしていない原料1はリサイクルされた回数が0回である。
シートSに付与するマーキングは、シートSの種類などを示す文字や、リサイクル回数や種類そのものだけでなく、リサイクル回数や種類がわかるものであれば他の形態を有する印、記号などのマークであってもよい。例えば、マーキングが「○」であれば、密度を小さくするとしてもよい。なお、リサイクルした回数に相当する情報は、リサイクル回数だけでなく、次に条件を変更して製造するか否かを示す情報でもよい。
シート製造装置120は、このような原料1の履歴によって、原料1に対して添加部32で投入する添加物等の量や種類等を異ならせることができる。
1.1.2.解繊物
本実施形態のシート製造装置120において、製造されるシートの材料の一部として使用される解繊物は、特に限定されず、シートを形成しうる限り広範な解繊物を用いることができる。解繊物は、上述の原料1を解繊処理して得られる繊維を含み、係る繊維として、天然繊維(動物繊維、植物繊維)、化学繊維(有機繊維、無機繊維、有機無機複合繊維)などが挙げられる。解繊物に含まれる繊維としては、更に詳しくは、綿、大麻、ケナフ、亜麻、ラミー、黄麻、マニラ麻、サイザル麻、針葉樹、広葉樹等からなるセルロース繊維や絹、羊毛などの動物繊維が挙げられ、これらを単独で用いてもよいし、適宜混合して用いてもよいし、精製などを行った再生繊維として用いてもよい。解繊物は、製造されるシートSの材料となるが、これらの繊維の少なくとも1種を含んでいればよい。また、解繊物(繊維)は、乾燥されていてもよいし、水、有機溶剤等の液体が含有又は含浸されていてもよい。さらに解繊物(繊維)は、各種の表面処理が施されていてもよい。
解繊物は、原料1の履歴に応じて種々の性状を有している。解繊物の性状としては例えば、(1)原料1が未だリサイクルされていない紙の場合、解繊物には添加物として樹脂が含まれておらず、(2)原料1が1回以上リサイクルを行ったシートSの場合、解繊物には添加物として樹脂が付着し、(3)原料1が2回以上のリサイクルを行ったシートSの場合、未使用紙に比べて解繊物に含まれる繊維の長さが短いものが含まれるなどがある。
本実施形態で使用される解繊物は、原料1のリサイクルされた回数がより多い場合の方が、リサイクルされた回数がより少ない場合に比べて、解繊物に多くの添加物が付着している。また、このようにリサイクルされた回数がより多い場合には、解繊物の繊維は短い繊維がより多くなる。
本実施形態で使用される解繊物に含まれる繊維は、独立した1本の繊維としたときに、その平均的な直径(断面が円でない場合には長手方向に垂直な方向の長さのうち、最大のもの、又は、断面の面積と等しい面積を有する円を仮定したときの当該円の直径(円相当径))が、平均で、1μm以上1000μm以下、好ましくは、2μm以上500μm以下、より好ましくは3μm以上200μm以下である。
本実施形態で使用される解繊物に含まれる繊維の長さは、特に限定されないが、独立した1本の繊維として、その繊維の長手方向に沿った長さ(解きほぐされた解繊物(繊維)の長手方向の長さ、以下、「繊維長」ともいう)は、例えば、1μm以上10mm以下、好ましくは1μm以上5mm以下、さらに好ましくは、3μm以上2mm以下である。繊維の長さが短い場合は、シートの強度が不足する場合があるが、上記範囲であれば十分な強度のシートを得ることができる。繊維の長手方向に沿った長さとは、独立した1本の繊維の両端を必要に応じて破断しないように引張り、その状態でほぼ直線状の状態に置いたときの両端間の距離(繊維の長さ)であってもよい。また、繊維の平均の長さは、長さ−長さ加重平均繊維長として、20μm以上3600μm以下、好ましくは200μm以上2700μm以下、より好ましくは300μm以上2300μm以下である。さらに、繊維の長さは、ばらつき(分布)を有してもよい。
本明細書では、繊維というときには、繊維1本のことを指す場合と、複数の繊維の集合体(例えば綿のような状態)のことを指す場合とがあり、また、解繊物というときには、複数の繊維が含まれる材料のことを指し、繊維の集合という意味及びシートの原料となる材料(粉体状又は綿状の物体)という意味を含むものとする。
1.2.混合部
本実施形態のシート製造装置120に備えられる添加部32は、混合部30に設けられているため、まず、混合部30について説明する。なお、添加部32は、混合部30から独立していてもよく、混合部30の上流に配置されていてもよい。混合部30は、解繊物と、添加物と、を大気中で混合する(混ぜ合せる)機能を有する。
本明細書において「解繊物と添加物とを混合する」とは、一定容積の空間(系)内で、解繊物に含まれる繊維と繊維との間に添加物を位置させることを意味する。
混合部30は、解繊物(繊維)と添加物とを混ぜ合せることができれば、その構成、構造及び機構等は特に限定されない。また、混合部30における混ぜ合せの処理の態様は、回分処理(バッチ処理)であっても、逐次処理、連続処理のいずれであってもよい。また、混合部30は、手動で動作されても自動で動作されてもよい。さらに、混合部30は、少なくとも解繊物及び添加物を混ぜ合せるが、その他の成分を混ぜ合せることのできる態様であってもよい。
混合部30は、上述の解繊部20よりも下流側に設けられる。また、混合部30は、後述するシート形成部40よりも上流側に設けられる。解繊部20と混合部30との間には、分級部63や選別部35などの構成が含まれていてもよい。
混合部30における混ぜ合せの処理としては、機械的な混合、流体力学的な混合を例示することができる。機械的な混合としては、繊維(解繊物)及び添加物を、例えば、ヘンシェルミキサー等に導入して撹拌する方法や、袋に繊維(解繊物)及び添加物を封入して該袋を振とうする方法などが挙げられる。また、流体力学的な混ぜ合せの処理としては、大気等の気流中に繊維(解繊物)及び添加物を導入して気流中で相互に拡散させる方法を用いることができる。係る大気等の気流中に繊維(解繊物)及び添加物を導入する方法では、解繊物の繊維が気流によって流動(移送)されている管等に添加物を投入してもよいし、添加物の粒子が気流によって流動(移送)されている管等に繊維(解繊物)を投入してもよい。なお、係る方法の場合には、管等の中の気流は、乱流であるほうが混ぜ合せの効率がよくなることがあるためより好ましい。
図1に示すように、混合部30として、解繊物の移送のために管86を採用する場合には、大気等の気流により解繊物を流動させた状態で添加物を添加部32によって導入する方法を採ることができる。混合部30に管86を採用する場合における気流の発生手段としては、図示せぬブロワーなどが挙げられ、上記の機能が得られる限り、適宜の気流発生手段を使用することができる。
本実施形態のシート製造装置120では、混合部30は、乾式の態様である。ここで、混合における「乾式」とは、液体中ではなく大気中(空気中)で混合させる状態をいう。混合部30において、混合の作用を阻害しない程度に液体を意図的に添加する場合には、後の工程において、係る液体を加熱等により除去するためのエネルギーや時間が大きくなりすぎない程度に添加することが好ましい。
混合部30の処理能力は、解繊物及び添加物を混ぜ合せることができる限り、特に限定されず、シート製造装置120の製造能力(スループット)に応じて適宜設計、調節することができる。混合部30の処理能力の調節は、バッチ処理の態様であれば、その処理容器の大きさや仕込み量などを変化させて行うことができ、また、混合部30として上述したような管86、添加部32を採用する場合には、管86内の解繊物及び添加物を移送するための気体の流量や、材料の導入量、移送量等を変化させることにより行うことができ
る。なお、混合部30として、図示のような管86及び添加部32を採用する場合においても、解繊物及び添加物を十分に混ぜ合せることができる。
1.2.1添加部
混合部30は、解繊部20で解繊された解繊物に、繊維同士を結着する添加物及び添加物以外の成分(以下、「添加物等」という。)を添加する添加部32を有する。添加部32は、解繊部20へ供給された原料1の履歴によって、原料1に対して添加物等の量や種類等が異なるように投入してもよい。添加部32は、添加物等を解繊物の流通経路に導入するフィーダーを含んで構成されてもよい。
混合部30に管86を採用する場合における添加物等(複合体である場合も含む。)の導入は、弁の開閉操作や作業者の手で行うこともできるが、添加部32として、図1に示すようなスクリューフィーダーや図示せぬディスクフィーダーなどを用いて行うことができる。これらのフィーダーを用いると、気流の流れ方向における添加物の添加量の変動を小さくすることができるためより好ましい。また、添加物等を気流によって移送して、当該気流に解繊物を導入する場合でも同様である。図示の例では、添加物等は、添加部32の複数のスクリューフィーダー(第1、第2の添加物等投入部32a,32b)から管86に設けられた供給口31を通じて管86に供給される。したがって、図示の例では、混合部30は、管86の一部、添加部32及び供給口31によって構成されている。
ここで、添加部32から供給できる添加物以外の成分は、例えば、シートSに要求される性能を解繊物に付与することができる材料としてもよい。添加物以外の成分としては、例えば、繊維、凝集抑制剤、着色材、難燃剤、有機溶剤、界面活性剤、防黴剤・防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤などを挙げることができる。
複数のスクリューフィーダーを用いることで、原料1の履歴に合わせて、又はシートSの要求性能を満たすために、添加物及び他の成分の添加量が異なるように混合部30へ供給することができる。
以下、添加物等について、第1の添加物等投入部32aから添加物を管86に投入し、第2の添加物等投入部32bから難燃剤を投入する例について説明する。
1.2.1.1.添加物
添加部32から供給される添加物は、解繊物に含まれる複数の繊維同士を結着する。添加物としては、樹脂、澱粉(特に湿式の場合)、水溶性結着材を用いることができる。また、添加物は、結着する成分の成分を含有していてもよい。
添加物は、添加部32から解繊物に対して適量ずつ供給することができる。原料1に対して添加部32で投入する添加物の量は、原料1の履歴によって異ならせる。例えば、シートSを2回リサイクルする場合、解繊物に含まれる添加物の量がリサイクルする度に異なるが、原料1の履歴によって添加物の量を異ならせることによって、製造されたシートSにおける添加物を所望の量にすることができる。
添加物は、リサイクルされた回数がより多い原料1の場合の方が、リサイクルされた回数がより少ない原料1の場合に比べて、投入する添加物の量を少なくすることができる。このようにすることで、リサイクルされた回数が多い原料1として用いても、添加物が過多となることを抑制することができる。
また、既にリサイクルしたシートSであるからといって、一律に添加物の量を減らすだけでは、複数回リサイクルしたシートSでは添加物の量が少なくなってしまうことも考え
られるため、リサイクルされた回数に応じて添加物の添加量を変えてもよい。
1.2.1.1.1.樹脂
繊維同士を結着する添加物は、樹脂を含んでいてもよい。樹脂の種類としては、天然樹脂、合成樹脂のいずれでもよい。本実施形態のシート製造装置120においては、樹脂は、常温で固体である方が好ましく、製造されるシートSの安定した性能を得るためには融点などが所定範囲に調整された合成樹脂であることが好ましく、加熱部50における熱によって繊維を結着するために用いる場合には熱可塑性樹脂がより好ましい。
樹脂は、複数の繊維を結着させるための樹脂を含む。添加物が管86に供給された時点では、解繊物に含まれる複数の繊維は、解繊が不十分である場合を除き、意図的には互いに結着されていない。添加物に含まれる樹脂は、後述する加熱部50を通過する際に溶融又は軟化して、その後硬化することにより複数の繊維を結着させることとなる。
また、原料1がリサイクルしたシートSである場合、複数の繊維を結着させるための樹脂が解繊物の中に残って繊維に一部が付着している。そのような場合には、シートS中における樹脂が所望の量であるシートSを製造できるように、繊維に付着している樹脂に加えて、添加部32から適切な量の樹脂を添加することができる。
したがって、シートS中における樹脂の量は、原料1の履歴及び製造されるシートSの種類に応じて、適切に設定される。シートS中における樹脂の割合は、例えば、5質量%以上70質量%以下であり、混合部30において良好な混合物を得る観点及び混合物をウェブ状に成形した場合の重力による添加物の落下を受けにくくする観点からは、5質量%以上50質量%以下が好ましい。図示の例では、供給された添加物は、混合部30を構成する管86内で解繊物と混合される。
天然樹脂としては、ロジン、ダンマル、マスチック、コーパル、琥珀、シェラック、麒麟血、サンダラック、コロホニウムなどが挙げられ、これらを単独又は適宜混合したものが挙げられ、また、これらは適宜化学的に変性されていてもよい。
また、合成樹脂のうち熱可塑性樹脂としては、AS樹脂、ABS樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトンなどが挙げられる。
これらの樹脂は、単独又は適宜混合して用いてもよい。また、共重合体化や変性を行ってもよく、このような樹脂の系統としては、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系共重合樹脂、オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、N−ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂等が挙げられる。
添加物は、繊維状であってもよく、粉末状であってもよい。添加物が繊維状である場合、添加物の繊維長は、解繊物の繊維長以下であることが好ましいが、解繊物と混合できる範囲で、解繊物の繊維長よりも長くてもよい。具体的には、添加物の繊維長は、5mm以下である。添加物の繊維長が5mmより大きいと、添加部32において安定的に供給することや、解繊物と均一性よく混合することが困難となる場合がある。添加物が粉末状である場合、添加物の粒径(直径)は、1μm以上100μm以下、より好ましくは2μm以上80μm以下である。添加物の粒径が1μmより小さいと、解繊物中の繊維同士を結着させる結着力が低下する場合がある。添加物の粒径が80μmより大きいと、解繊物と均
一性よく混合することが困難な場合があり、また解繊物への付着力が低下して解繊物から離脱してしまい、製造されるシートにムラ等を生じる場合がある。
リサイクルされた回数がより多い場合には、添加物は、芯鞘構造を有する樹脂であってもよい。リサイクルされた回数がより多い場合には、解繊物の繊維長は短くなる傾向にあり、芯鞘構造の樹脂を添加することで、短い繊維同士をより確実に結着することができる。芯鞘構造の樹脂は、長い芯部が解繊物の多数の繊維と接触し、結着するので、シートS中における構造材としても有効である。また、芯鞘構造の樹脂によれば、芯部が繊維の役割をするので、短い繊維を補うことができる。
芯鞘構造の樹脂は、樹脂で形成された細長い芯部の外面を別の樹脂で形成された鞘部が覆う繊維状の形態を有する。芯部の樹脂の融点は、鞘部の樹脂の融点よりも高く、後述するシート形成部40で加熱されると、鞘部だけが溶融し、解繊物の繊維同士を結着する。そして、芯部は繊維の形態をとどめたままシートS中に存在し、シートSにおける短い繊維を補う役割を果たすことができる。芯/鞘の樹脂の組み合わせとしては、ポリプロピレン/ポリエチレン、ポリエステル/ポリエチレン、高融点ポリプロピレン/低融点ポリプロピレン、ポリエステル/ポリプロピレン、ポリアミド/ポリエチレンなどがある。
なお、芯鞘構造の樹脂を用いずに短い繊維を補うためには、例えば、添加部32から繊維長が十分に長い別の解繊物を投入してもよい。
1.2.1.2.難燃剤
第2の添加物等投入部32bから難燃剤を投入してもよい。難燃剤は、繊維等が燃えにくくするためのものである。
難燃剤としては、公知の難燃性物質であれば使用可能である。難燃剤としては、ハロゲン系、リン系、窒素系など各種用いることができる。
リン系としては、燐酸エステル、燐酸メラミンなどが挙げられる。燐酸エステルとしては、ホスフェート類、ホスホネート類、ホスフィネート類のトリメチルホスフェート、トリエチルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、トリオクチルホスフェート、トリオクチルフォスフィート、トリブトキシエチルフォスフェート、オクチルジフェニルフォスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、トリキシレニルフォスフェート、トリス・イソプロピルフェニルフォスフェート、ジエチル−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノメチルホスホネート、ビス(1,3−フェニレンジフェニル)ホスフェート、芳香族縮合燐酸エステルの1,3−〔ビス(2,6−ジメチルフェノキシ)ホスフェニルオキシ〕ベンゼン、1,4−〔ビス(2,6−ジメチルフェノキシ)ホスフェニルオキシ〕ベンゼンなどが挙げられる。
リン系の無機系燐化合物としては、赤燐系化合物、ポリリン酸アンモニウム塩などが挙げられる。赤燐系化合物としては、赤燐に樹脂をコートしたもの、アルミニウムとの複合化合物などが挙げられる。
窒素系としては、トリアジン基を有する化合物及び/又はその誘導体が挙げられ、メラミン、メラミンシアヌレート、燐酸メラメン、ポリリン酸メラミン、スルファミン酸グアニジンなどが具体例として挙げられる。
また、ホスファゼン、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、ピロアンチモン酸ソーダ、二酸化錫、メタ硼酸亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウ
ム、酸化ジルコニウム、酸化モリブデン、赤燐系化合物、ポリリン酸アンモニウム塩、メラミンシアヌレート、四フッ化エチレンなどが挙げられる。
尚、難燃剤の配合は、使用環境温度が高温になるような用途、例えば、インクジェットプリンタに用いる液体吸収体や吸音体には有効であるが、それ以外の場合には配合しなくてもよい。
1.2.1.3.凝集抑制剤
添加物は、解繊物を結着させる樹脂の他、解繊物中の繊維同士の凝集や添加物中の樹脂同士の凝集を抑制するための凝集抑制剤を含んでもよい。また、添加物に凝集抑制剤を含ませる場合には、樹脂と凝集抑制剤とは一体化させることが好ましい。すなわち、添加物に凝集抑制剤を含ませる場合には、添加物は、樹脂と凝集抑制剤とを一体に有する複合体であることが好ましい。
凝集抑制剤の材質の具体例としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、炭酸カルシウムを挙げることができる。なお、例示した凝集抑制剤の材質の一部(例えば酸化チタンなど)は、着色材の材質と同じとなるが、凝集抑制剤の粒子径は着色材の粒子径よりも小さい点で相違する。そのため、凝集抑制剤は、製造されるシートの色調に対して大きく影響せず、着色材とは区別可能である。ただし、シートの色調を調節する際には、凝集抑制剤の粒子径が小さくても、光の散乱等の若干の効果が生じる場合があるため、そのような効果を考慮することがより好ましい。
1.2.1.4.着色材
添加物は、解繊物の繊維を結着させる樹脂の他、着色材を含んでもよい。また、添加物に着色材を含ませる場合には、樹脂と着色材とは一体化されることが好ましい。すなわち、添加物は、樹脂と着色材とを一体に有する複合体であることが好ましい。また、複合体が上述の凝集抑制剤を含む場合においても、樹脂と着色材と凝集抑制剤とを一体に有する複合体とすることができる。すなわち、添加物は、樹脂と凝集抑制剤と着色材とを一体に有する複合体を含んでもよい。
着色材は、本実施形態のシート製造装置120によって製造されるシートの色を所定のものとする機能を有する。着色材としては、染料又は顔料を用いることができ、複合体において樹脂と一体とした場合に、より良好な隠ぺい力や発色性が得られる観点からは顔料を用いることが好ましい。
顔料としては、その色、種類ともに、特に限定されず、一般的なインクに使用される各種の色(白、青、赤、黄、シアン、マゼンダ、イエロー、黒、特色(パール、金属光沢)等)の顔料を使用することができる。顔料は無機顔料でもよいし、有機顔料でもよい。顔料としては、特開2012−87309号公報や特開2004−250559号公報に記載された周知の顔料を用いることができる。また、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等の白色顔料等を用いてもよい。これら顔料は、単独で用いてもよいし、適宜混合して用いてもよい。なお、白色の顔料を使用する場合には、前記例示したもののうち、酸化チタンを主成分とする粒子(顔料粒子)を含む粉体からなる顔料を使用することが、酸化チタンの屈折率の高さから、少ない配合量で、製造されるシートにおける白色度を高めることが容易な点でより好ましい。
1.2.1.5.水溶性結着剤
湿式法の場合には、添加物として水溶性結着剤を用いることができる。水溶性結着剤と
しては、ポリアクリルアミド、ポリアミドエピクロロヒドリン、ポリビニルアルコール、デンプン、アルキルケテンダイマー等を挙げることができる。なお、水溶性結着剤は、紙力増強剤と呼ばれることもある。
1.2.1.6.繊維
添加部32から供給される添加物以外の成分は、繊維を含んでいてもよい。繊維の種類としては、「1.1.1.原料」において前述した繊維の中から所望のシートSを得るために必要な繊維を適宜選択することができる。繊維は、原料1に含まれる繊維と同じ種類の繊維であってもよく、又異なる種類の繊維であってもよい。また、繊維は、原料1に含まれる繊維よりも繊維の強度が高いもの、または長さが長いものでもよい。もしくは、リサイクル回数が0回の原料1を解繊して得られた繊維でもよい。このような繊維を選択することで、シートSの強度を補強することができる。
1.3.シート形成部
シート形成部40は、複数の繊維同士を添加物を介して結着してシートSを形成する。
混合部30において解繊物に添加物を混合した混合物は、シート形成部40において、繊維同士が添加物を介して結着してシートSを形成する。
なお、本明細書では、シートSという場合には、複数の繊維が二次元又は三次元的に互いに樹脂を介して結着、もしくは、水素結合により結着している構造をいう。
本明細書におけるシートSは、シート状のものに限定されず、フィルム状、ボード状、ウェブ状、又は凹凸を有する形状であってもよい。また本明細書におけるシートSは、紙と不織布に分類できる。紙は、例えば、パルプや古紙を原料1としシート状に成形した態様などを含み、筆記や印刷を目的とした記録紙や、壁紙、包装紙、色紙、画用紙、ケント紙などを含む。不織布は、紙より厚いものや低強度のものであり、一般的な不織布、繊維ボード、ティッシュペーパー、キッチンペーパー、クリーナー、フィルター、液体吸収材、吸音体、緩衝材、マットなどを含む。
シートSは、リサイクルされた回数がより多い場合の方がリサイクルされた回数がより少ない場合に比べて密度がより小さい。したがって、複数回リサイクルした古紙を原料1とした場合には、シート形成部40で得られるシートSはそれよりも密度が小さい不織布や液体吸収材などである。
シート形成部40は、例えば、堆積部75、加圧部60、加熱部50、切断部90を有することができる。これらについては、後述する。
1.4.作用効果
本実施形態のシート製造装置120によれば、複数回リサイクルする際に、原料1とは機能が異なるシートSを製造することができる。
リサイクルされた回数が多くなると、原料1を構成する繊維が劣化して短くなり、原料1として用いたシートSと同じ機能を有するものに再生することが徐々に困難になる。例えば、繊維が短くなっても繊維同士を結着する添加物の量を増やすことでシートSとしての強度は保てるものの、添加物が過多になると、紙としての質感が得られにくくなる。
本実施形態のように、密度が小さいシートSを製造することで、原料1を構成する繊維が短くなっても、さらに再生することができる。
1.5.その他の構成
図1及び図2を用いて、シート製造装置120のその他の構成について説明する。図2は、本実施形態に係るシート製造装置120を示す機能ブロック図である。
本実施形態のシート製造装置120は、上述の解繊部20、混合部30、シート形成部40の他に、取得部8、供給部9、粗砕部10、分級部63、選別部35、マーキング部100、制御部110等の各種の構成を含むことができる。また、混合部30は、上述した添加部32の他に、ほぐし部70を含むことができる。さらに、シート形成部40は、堆積部75、加圧部60、加熱部50、切断部90等の各種の構成を含むことができる。これら各構成について、以下説明する。なお、取得部8、供給部9、粗砕部10、解繊部20、分級部63、選別部35、混合部30、ほぐし部70、シート形成部40、堆積部75、加圧部60、加熱部50、切断部90、マーキング部100等の構成は、必要に応じて複数設けられてもよい。
1.5.1.取得部
本実施形態のシート製造装置120は、取得部8を含んでいてもよい。取得部8は、原料1の履歴を取得する。取得部8は、原料1から読み取ることができる各種の履歴を取得する。履歴については、「1.1.1.原料」において説明している各種の情報があるが、取得部8は、これらの各種の情報を読み取るための手段を有する。例えば、取得部8は、後述するマーキング部100においてシートSに付与されたマーキングを読み取ることで原料1の履歴を取得してもよい。取得部8は、例えば光学式のセンサーで、マーキングに対して発光し、反射光を受光することでマーキングを読み取る。
図1に示すシート製造装置120では、解繊部20の上流側であって、シート製造装置120に原料1を供給する位置に配置されている。取得部8で取得した原料1の履歴は、制御部110に出力される。
1.5.2.供給部
本実施形態のシート製造装置120は、供給部9を含んでいてもよい。図1に示すシート製造装置120では、解繊部20の上流側に配置され、下流側へ原料1を供給する。供給部9は、原料1を粗砕部10へ供給してもよい。
供給部9は、原料1を粗砕部10へ連続的に投入するための自動投入装置であってもよい。
供給部9は、取得部8で取得した原料1の履歴に基づいて、制御部110の指令により、原料1を同程度の履歴を有する複数種類に選別し、種類ごとに保管し、種類ごとに粗砕部10へ供給してもよい。供給部9から連続して複数枚の原料1を供給する場合には、同程度の履歴を有する原料1を下流へ連続して供給することで、同じ量で同じ種類の添加物等を供給することができ、同程度の性能のシートSを連続して製造することができる。また、供給部9から一枚ずつ原料1を供給する場合には、その原料1ごとに添加物等の量及び種類を異ならせることができ、所望のシートSを製造することができる。
1.5.3.粗砕部
本実施形態のシート製造装置120は、粗砕部10を含んでいてもよい。図1に示すシート製造装置120では、解繊部20の上流側に粗砕部10が配置されている。粗砕部10は、パルプシートや投入されたシート(例えばA4サイズの古紙)などの原料1を、空気中で裁断して被解繊物にする。被解繊物の形状や大きさは、特に限定されないが、例えば、数cm角まで裁断する。図示の例では、粗砕部10は、粗砕刃11を有し、粗砕刃11によって、投入された原料1を裁断することができる。
粗砕部10の具体的な例としては、シュレッダーが挙げられる。図示の例では、粗砕部10によって裁断された被解繊物は、ホッパー15で受けてから管81を介して、解繊部20へ搬送される。管81は、解繊部20の導入口21と連通している。
1.5.4.分級部
図1に示すシート製造装置120では、混合部30の上流側であって、解繊部20の下流側に分級部63が配置されている。切替弁25によって第1の経路を選択した場合には、解繊物は分級部63に導入される。切替弁25の切り替えは、取得部8で取得した原料1の履歴に従った制御部110の指令によって行うことができる。原料1よりも低密度のシートSを形成する場合であって、切替弁25によって第2の経路を選択した場合には、解繊物は分級部63及び選別部35を通過しない。分級部63は、解繊物から、原料1に含まれる比較的小さいものや密度の低い添加物、樹脂粒、インク粒などを分離して除去する。これにより解繊物の中で比較的大きいもの又は密度の高いものである繊維の占める割合を高めることができる。
分級部63としては、気流式分級機を用いることが好ましい。気流式分級機は、旋回気流を発生させ、遠心力と分級されるもののサイズと密度により受ける遠心力の差によって分離するものであり、気流の速度および遠心力の調整によって、分級点を調整することができる。具体的には、分級部63としては、サイクロン、エルボージェット、エディクラシファイヤーなどを用いる。特にサイクロンは、構造が簡便であるため、分級部63として好適に用いることができる。以下では、分級部63として、サイクロンを用いた場合について説明する。
分級部63は、導入口64と、導入口64が接続された円筒部65と、円筒部65の下方に位置し円筒部65と連続している逆円錐部66と、逆円錐部66の下部中央に設けられている下部排出口67と、円筒部65上部中央に設けられている上部排出口68と、を有している。
分級部63において、導入口64から導入された解繊物をのせた気流は、円筒部65で円周運動に変わる。これにより、導入された解繊物には、遠心力がかかって、解繊物のうちで樹脂粒やインク粒よりも大きく密度の高い繊維と、解繊物のうちで繊維よりも小さく密度の低い樹脂粒やインク粒などと、に分離することができる。繊維が多い成分は、下部排出口67から排出され、管83を通って選別部35に導入される。一方樹脂粒やインク粒は、上部排出口68から管84を通って分級部63の外部に排出される。図示の例では管84は、受け部69に接続されており、微細な粉体は受け部69に回収される。
なお、分級部63により繊維と微粉とに分離すると記載したが、完全に分離できるものではない。例えば繊維のうち比較的小さいものや密度の低いものは微粉とともに外部に排出される場合がある。また微粉のうち比較的密度の高いものや繊維に絡まってしまったものは繊維とともに選別部35へ導入される場合もある。
また、原料が古紙でなくパルプシートのような場合は樹脂粒やインク粒などの微細な粉体が含まれていないため、シート製造装置120には分級部63が無くてもよい。逆に、原料が古紙である場合には、製造されるシートSの色調を良好なものとするために、シート製造装置120は、分級部63を含んで構成することが好ましい。また、紙の方が不織布よりも白色度が良好なことが求められる場合が多いため、紙の製造の際には分級部63を有したほうがよく、不織布を製造する際には分級部63は無くてもよい場合がある。
1.5.5.選別部
本実施形態のシート製造装置120は、選別部35を有してもよい。選別部35は、解繊部20において解繊処理された解繊物を、繊維の長さによって選別することができる。なお、上述の分級部63では、微細な樹脂粉等が取除かれると述べたが、選別部35はそのような機能を有してもよい。したがって、選別部35は、解繊部20の下流で、ほぐし部70よりも上流に設けられる。
選別部35としては、篩(ふるい)を用いることができる。ここで、選別部35は、網(フィルター、スクリーン)を有し、網を通過可能な大きさのものと、通過できない大きさのものとを選別する。選別部35は、導入口36と、排出口37と、を有している。選別部35は、後述するほぐし部70と同様に構成することができるが、ほぐし部70のように導入された材料の全てを通過させるのではなく、一部の成分を除去する機能を有する。選別部35の例としては、モーターによって回転することができる円筒の篩である。選別部35の網は、金網、切れ目が入った金属板を引き延ばしたエキスパンドメタル、金属板にプレス機等で穴を形成したパンチングメタルを用いることができる。
選別部35を設けることにより、解繊物又は混合物に含まれる、網の目開きの大きさより小さい繊維又は粒子と、網の目開きの大きさより大きい繊維や未解繊片やダマとを分けることができる。そして、選別された物質は、製造されるシートSに応じて選択して用いることがでる。選別部35の篩を通過した解繊物は、ホッパー38で受けてから混合部30の管86を介して、ほぐし部70の導入口71に搬送される。また、選別部35によって取除かれた物質は、排出口37から粗砕部10に戻してもよい。
1.5.6.ほぐし部
シート製造装置120は、ほぐし部70を有してもよい。図1に示すシート製造装置120では、添加部32の下流にほぐし部70及び堆積部75が配置されている。図2では、ほぐし部70は、添加部32と共に混合部30に含まれる。
ほぐし部70は、混合部30の管86を通過した混合物を導入口71から導入し、空気中で分散させながら降らせる。またこの例では、シート製造装置120は、堆積部75を有しており、堆積部75にて、ほぐし部70から降ってきた混合物を空気中で堆積してウェブWの形状に成形する態様となっている。
ほぐし部70は、絡み合った解繊物(繊維)をほぐす。さらに、ほぐし部70は、添加部32から供給される添加物の樹脂が繊維状である場合、絡み合った樹脂をほぐす。また、ほぐし部70は、後述する堆積部75に、混合物を均一に堆積させる作用を有する。つまり、「ほぐす」という言葉は、絡み合ったものをバラバラにする作用や均一に堆積させる作用を含むものである。なお、ほぐし部70は、絡み合ったものが無ければ均一に堆積させる効果を奏する。
ほぐし部70としては、篩(ふるい)を用いる。ほぐし部70の例としては、モーターによって回転することができる回転式の篩である。ここでほぐし部70の「篩」は、特定の対象物を選別する機能を有していなくてもよい。すなわち、ほぐし部70として用いられる「篩」とは、網(フィルター、スクリーン)を備えたもの、という意味であり、ほぐし部70は、ほぐし部70に導入された解繊物および添加物の全てを降らしてもよい。
1.5.7.堆積部
シート製造装置120は、堆積部75を有してもよい。ほぐし部70を通過した解繊物および添加物は、堆積部75に堆積される。図1に示すように、堆積部75は、メッシュベルト76、張架ローラー77、サクション機構78を有する。堆積部75は、図示せぬテンションローラー等を含んで構成されてもよい。
堆積部75は、ほぐし部70から降ってくる混合物を空気中で堆積させたウェブWを形成するものである(ほぐし部70と合わせてウェブ形成工程に相当)。堆積部75は、ほぐし部70によって空気中に均一に分散された混合物を、メッシュベルト76上に堆積する機構を有している。なお、ほぐし部70から降下する混合物の水分量を調整するように堆積部75の下流側に調湿部を有してもよい。
ほぐし部70の下方には、張架ローラー77(本実施形態では、4つの張架ローラー77)によって張架されるメッシュが形成されているエンドレスのメッシュベルト76が配されている。そして、張架ローラー77のうちの少なくとも1つが自転することで、このメッシュベルト76が一方向に移動するようになっている。
また、ほぐし部70の鉛直下方には、メッシュベルト76を介して、鉛直下方に向けた気流を発生させる吸引部としてのサクション機構78が設けられている。サクション機構78によって、ほぐし部70によって空気中に分散された混合物をメッシュベルト76上に吸引することができる。これにより、空気中に分散させた混合物を吸引することができ、ほぐし部70からの排出速度を大きくすることができる。その結果、シート製造装置120の生産性を高くすることができる。また、サクション機構78によって、混合物の落下経路にダウンフローを形成することができ、落下中に解繊物や添加物が絡み合うことを防ぐことができる。
そして、メッシュベルト76を移動させながら、ほぐし部70から混合物を降らせることにより、混合物を均一に堆積させた長尺状のウェブWを形成することができる。ここで「均一に堆積」とは、堆積された堆積物が略同じ厚み、略同じ密度で堆積されている状態を言う。ただし、堆積物全てがシートとして製造される訳ではないため、シートになる部分が均一であればよい。「不均一に堆積」は均一に堆積していない状態をいう。
メッシュベルト76は、金属製、樹脂製、布製、あるいは不織布等であることができ、混合物が堆積でき、気流を通過させることができれば、どのようなものでもあってもよい。メッシュベルト76の穴径(直径)は、例えば、60μm以上250μm以下である。メッシュベルト76の穴径が60μmより小さいと、サクション機構78によって安定した気流を形成することが困難な場合がある。メッシュベルト76の穴径が250μmより大きいと、メッシュの間に例えば混合物の繊維が入り込んで、製造されるシートの表面の凹凸が大きくなる場合がある。またサクション機構78はメッシュベルト76の下に所望のサイズの窓を開けた密閉箱を形成し、窓以外から空気を吸引し箱内を外気より負圧にすることで構成できる。
以上のように、ほぐし部70及び堆積部75(ウェブ形成工程)を経ることにより、空気を多く含み柔らかくふくらんだ状態のウェブWが形成される。次いで、図1に示すように、メッシュベルト76上に形成されたウェブWは、メッシュベルト76の回転移動により搬送される。そして、メッシュベルト76上に形成されたウェブWは、この例では、加圧部60、加熱部50、切断部90、マーキング部100へと搬送される。
1.5.8.加圧部
本実施形態のシート製造装置120は、加圧部60を有してもよい。図1に示すシート製造装置120では、混合部30の下流側であって、加熱部50の上流側に加圧部60が配置されている。加圧部60は、ほぐし部70、堆積部75を経て、シート状に形成され、ウェブWを加熱せずに加圧するものである。従って、加圧部60は、ヒーター等の加熱手段を有していない。すなわち、加圧部60は、いわゆるカレンダー処理を行う構成である。
加圧部60では、ウェブWを加圧(圧縮)することにより、ウェブW中の繊維同士の間隔(距離)が縮められ、ウェブWの密度を高める。加圧部60は、図1に示すように、ローラーによりウェブWを挟み込んで加圧するように構成されており、一対の加圧ローラー61を有している。一対の加圧ローラー61は、それぞれの中心軸は平行である。なお、本実施形態のシート製造装置120の加圧部60は、ウェブWの搬送方向において上流側に配置された第1加圧部60aとその下流側に配置された第2加圧部60bとを備え、第1加圧部60a及び第2加圧部60bがそれぞれ一対の加圧ローラー61を備えている。また、第1加圧部60aと第2加圧部60bとの間には、ウェブWの搬送を補助するガイドGが配置されている。
加圧部60では、加熱されず加圧のみ行われるので、添加物中の樹脂は溶融しない。また、加圧部60では、加熱されず加圧のみ行われるので、上流側に調湿部を有していても、ここでは混合物中の水分はほとんど除去されない。
本実施形態のシート製造装置120では、加圧部60(第1加圧部60a,第2加圧部60b)と加熱部50(第1加熱部50a,第2加熱部50b)とが備えられている。なお、この例では加熱部50は、ウェブWに対して加圧を行うが、加圧部60の加圧力は、加熱部50による加圧力より大きくなるように設定されることが好ましい。例えば、加圧部60の加圧力は、1〜3000kgf、加熱部50の加圧力は、1〜200kgfに設定することが好ましい。このように、加熱部50よりも加圧部60の加圧力の方を大きくすることにより、加圧部60によってウェブWに含まれる繊維間の距離を十分短くでき、その状態で加熱加圧することにより薄くて高密度で高強度のシートを形成することができる。シートSの密度を小さくする場合には、加圧部60の加圧力を原料1として用いたシートSを製造したときの加圧力よりも小さい加圧力に設定することができる。
また、本実施形態のシート製造装置120では、図1に示すように、加熱ローラー51の径より加圧ローラー61の径の方が大きくなるように設定されている。加圧ローラー61は径が大きいので、未だ圧縮されていない状態のウェブWを噛み込ませて効率よく搬送することが可能となる。一方、加圧ローラー61を通過したウェブWは圧縮された状態にあり、搬送しやすいため、加圧ローラー61よりも下流側に配置された加熱ローラー51の径は小さくてよい。なお、加熱ローラー51及び加圧ローラー61の径は、製造されるウェブWの厚みや性質等に応じて適宜設定される。
なお図示した加圧部60は、一対の加圧ローラー61が2組ある例であるが、加圧部60を採用し、加圧部60に加圧ローラー61を採用する場合には、加圧ローラー61の数や配置は限定されず、上記作用を達成できる範囲で任意に構成することができる。
さらに、加圧部60の加圧ローラー61と加熱部50の加熱ローラー51との間においてウェブWが接触可能な部材は、ウェブWを下方から支えることが可能なウェブ受け部材としてのガイドGのみである。従って、加圧ローラー61と加熱ローラー51との距離を短くすることができる。また、加圧されたウェブWが速やかに加熱加圧されるため、ウェブWのスプリングバックが抑制され高強度のシートを形成することができる。
加圧部60(加圧ローラー61)と加熱部50(加熱ローラー51)を上述のような構成で備えることで、不織布のような厚くて低密度のものから薄くて高密度で高強度のシートまで製造することができる。
1.5.9.加熱部
本実施形態のシート製造装置120は、加熱部50を備える。加熱部50は、上述の加
圧部60よりも下流側に設けられる。
加熱部50は、上述の混合部30において混ぜ合された混合物を加熱し、複数の繊維を互いに添加物を介して結着させる。また、混合物に水分を添加している場合は、繊維間に水素結合が形成された状態を形成してもよい。調湿された混合物は、例えば、ウェブ状に成形されたものであってもよい。また、加熱部50が、混合物を所定の形状に成形する機能を有してもよい。
本明細書において、「複数の繊維同士を添加物を介して結着する」とは、解繊物中の繊維と添加物とが離れにくい状態や、繊維と繊維との間に添加物の樹脂が配置され、繊維と繊維とが添加物を介して離れ難くなっている状態をいう。また、結着とは、接着を含む概念であって2種以上の物体が接触して離れにくくなった状態を含む。また、繊維と繊維とが複合体を介して結着した際に、繊維と繊維とが平行に又は交差してもよいし、1本の繊維に複数の繊維が結着してもよい。また、「繊維が水素結合される」とは、複数の繊維が互いに水素結合によって、部分的又は全面的に結合(結着)されることを指す。
添加物の構成成分の1つである樹脂が、熱可塑性樹脂である場合には、そのガラス転移温度(軟化点)又は融点付近以上の温度に加熱すると、樹脂が軟化したり溶けたりし、その後、温度が低下した際に固化する。樹脂が軟化して繊維に絡み合うように接触し、樹脂が固化することで繊維と添加物とを互いに結着することができる。また、固化する際に他の繊維が結着することで、繊維と繊維を結着する。なお、樹脂のガラス転移温度、融点、軟化点等は、繊維の分解温度、炭化温度よりも低いことが好ましく、そのような関係となるように両者の種類を組み合わせて選択することが好ましい。
一方、加熱部50は、堆積部75の下流で調湿した場合、混合物に含まれる水分の一部又は全部を蒸発させる。これにより、繊維間に介在した水分子が減少する(除去される)ことによって、繊維同士の水素結合を形成することができる。したがって、加熱部50は、水の沸点以上の温度に設定されることが好ましいが、水素結合させることができれば、水の沸点以下の温度に加熱するものであってもよい。
また、加熱部50においては、混合物に熱を与えることの他に圧力を加えてもよく、その場合には、加熱部50は、目的とするシートSの形態に応じて、混合物を所定の形状に成形する機能を有することになる。加えられる圧力の大きさは、成形されるシートSの種類により適宜調節されるが、3kPa以上1MPa以下とすることができる。加えられる圧力が小さければ、空隙率の大きいシートが得られ、大きければ空隙率の小さい(密度の高い)シートが得られることになる。
加熱部50の具体的な構成としては、加熱ローラー(ヒーターローラー)、熱プレス成形機、ホットプレート、温風ブロワー、赤外線加熱器、フラッシュ定着器などが挙げられる。図1に示す本実施形態のシート製造装置120では、加熱部50は、加熱ローラー51によって構成されている。図示の例では、加熱部50は、加圧部60(後述)によって加圧されたウェブWを加熱するものである。また、加熱部50は、ウェブWを加圧する機能を担ってもよい。そして、ウェブWを加熱することにより、ウェブWに含まれる繊維同士を添加物及び水素結合を介して結着させることができる。
図示の例では、加熱部50は、ローラーによりウェブWを挟み込んで加熱及び加圧するように構成されており、一対の加熱ローラー51を有している。一対の加熱ローラー51は、それぞれの中心軸は平行である。また、加熱部50はローラー等によって構成できる他、平板状のプレス部によっても構成することができる。ここでは詳細な説明を省略するが、加熱部50として平板状のプレス部を用いる場合は、比較的厚いシート、例えば低密
度の不織布等に向いている。これは、加熱ローラーを用いるよりも平板状のプレス部の方がウェブWに対する接触時間を長く取れるので、厚みが大きくてウェブ全体に熱を伝わらせるのに時間がかかるようなシートに向いている。なお、平板状のプレス部の上流側に加圧部60はなくてもよい。この場合は、加圧部60により高密度に圧縮しないので、比較的低密度のシートに向いている。平板状のプレス部を用いるのは、紙よりも不織布の方が向いている。
加熱部50は、ウェブWの搬送方向において上流側に配置された第1加熱部50aとその下流側に配置された第2加熱部50bとを備えており、第1加熱部50a及び第2加熱部50bがそれぞれ一対の加熱ローラー51を備えている。また、第1加熱部50aと第2加熱部50bとの間には、ウェブWの搬送を補助するガイドGが配置されている。
また、芯金の中心部には、加熱手段として、例えばハロゲンヒーター等の図示しない加熱材が設けられている。加熱ローラー51及び加熱材は図示しない温度検知部によって各温度が取得され、取得された温度に基づいて加熱材のON−OFF制御や電力量制御などで制御される。これにより、加熱ローラー51の表面温度を所定の温度に維持することが可能となる。そして、加熱ローラー51間にウェブWを通過させることにより、搬送されるウェブWに対して加熱加圧することができる。なお、加熱手段として、ハロゲンヒーター等に限定されず、例えば、非接触ヒーターによる加熱手段や温風による加熱手段を用いてもよい。
なお図示した加熱部50は、一対の加熱ローラー51が2組ある例であるが、加熱ローラー51の数や配置は限定されず、上記作用を達成できる範囲で任意に構成することができる。低密度のシートSを形成する場合には、加熱時間を長くするため、一対の加熱ローラー51を3組とすることができる。また、各加熱部50の加熱ローラー51の構成(離型層・弾性層・芯金の厚みや材質、ローラーの外径)や加熱ローラー51を圧接する荷重は、各加熱部50によって異なっていてもよい。
上記したように、加熱部50(加熱工程)を経ることにより、添加物に含まれる樹脂が溶融し、解繊物中の繊維と絡みやすくなるとともに繊維間が結着される。また、水素結合によって繊維間が結合してもよい。解繊物及び添加物の混合物は、加熱部50を経ることによりシートSとなる。
1.5.10.切断部
本実施形態のシート製造装置120では、加熱部50よりも下流側に、ウェブW(加熱部50を経たウェブWはシートSとなっている。)の搬送方向と交差する方向にシートSを切断する切断部90としての第1切断部90a及び第2切断部90bが配置されている。切断部90は、必要に応じて設けることができる。
第1切断部90aは、カッターを備え、連続状のシートSを所定の長さに設定された切断位置に従って枚葉状に裁断する。また、第1切断部90aよりシートSの搬送方向の下流側には、シートSの搬送方向に沿ってシートSを切断する第2切断部90bが配置されている。第2切断部90bは、カッターを備え、シートSの搬送方向における所定の切断位置に従って裁断(切断)する。これにより、所望するサイズのシートSが形成される。そして、切断されたシートSは、マーキング部100で一枚ずつマーキングが行われた後に、スタッカー95等に積載される。
1.5.11.マーキング部
本実施形態のシート製造装置120では、シート形成部40よりも下流側にマーキング部100が配置されている。マーキング部100は、シートSに対して、シートSの履歴
を判別するためのマーキングを行うことができる。マーキング部100は、シートSを製造する際に、シートSを原料1にリサイクルした回数に相当する情報を有するマーキングを行ってもよい。マーキングは、リサイクルした回数と同じ数のマークであってもよい。
マーキング部100は、切断部90で切断されたシートSを一枚ずつマーキングすることができる。シートSにおけるマーキングが行われる位置は、取得部8で認識できる範囲で適宜選択することができる。
シートSにおけるマーキングの形態は、取得部8において検出可能なものであれば、適宜公知のマーキングの形態を採用することができる。取得部8が光学的な読み取り装置である場合には、マーキング部100は、(1)シートSに微細な穴を開ける、(2)人の目では読み取りできないようなインクで印刷する、(3)シートSに僅かな凹凸をつけるエンボス加工、(3)多数の情報を組み込むことができるバーコード印刷などの方法を採用することができる。
また、マーキングに含まれる原料1の履歴情報としては、上述のように、リサイクルの回数、添加物の配合量、追加の繊維の配合量などを含むことができる。
このようにしてマーキングを行ったシートSを原料1としてリサイクルする場合には、取得部8でマーキングを読取って履歴を取得し、制御部110がその取得した履歴に応じて添加部32における添加物の投入量を制御してもよい。このようにマーキングを利用することでリサイクルした回数などの原料1の履歴を把握することができる。
1.5.12.制御部
制御部110は、取得部8から出力された原料1の履歴情報に基づいて、シート製造装置120の各部の条件を変更する。具体的には、制御部110は、原料1の履歴情報でリサイクルされた回数が所定回数より多い場合には、切替弁25を第1の経路から第2の経路に切り替え、第1の添加物等投入部321から芯鞘構造の樹脂を適量投入し、第2の添加物等投入部32bから難燃剤を適量投入し、加圧部60の加圧力を小さくし、マーキング部100の条件を変更するように指令を出力することができる。なお、原料1の履歴情報に基づいて、制御部110はすぐに切替弁25を切り替えたり、添加物投入条件を変えたり、加圧部60の加圧力と小さくするのではない。履歴を取得した原料1が、変更するところまで処理、搬送される時間経過後に変更する。
また、制御部110は、取得部8から取得された原料1の履歴情報に基づいて、供給部9から供給する原料1の種類を選択してもよい。具体的には、供給部9に複数種類の原料1が保管されている場合に、同じまたは同程度の添加物の投入する量で製造できる範囲の原料1を選択し、粗砕部10へ供給することができる。
さらに、制御部110がマーキング部100の条件を変更する場合には、例えば、取得部8から取得された原料1の履歴情報がリサイクルの回数であれば、その回数に1を足した回数に相当するマーキングを行うようにマーキング部100に指令を出すことができる。
制御部110は、例えば、メイン制御ユニットやモーター駆動ユニット、操作パネル(操作部)、処理部などによって構成される。表示部は、ユーザーが選択した各条件(例えば加圧部60の圧力等)が表示される。操作部は、ユーザーの操作等をデータとして入力するためのものである。操作部は、例えば、キーボードやタッチパネル等のハードウェアによって実現される。処理部は、操作部からの操作データやプログラムなどに基づいて、各処理を行う。処理部は、例えば、各種プロセッサ(CPU、DSP等)、ASIC(ゲ
ートアレイ等)などのハードウェアや、アプリケーションプログラム、OS(例えば汎用OS等)により実現される。
1.5.13.その他
また、図示しないが、加熱部50の下流には、加熱部50によって加熱されたシートSを冷却する冷却部を設けてもよい。冷却部は、例えば冷却ローラー等によって構成することができる。冷却部を設けることにより、樹脂の冷却を迅速に行うことができ、シートSの構造を早期に固定することができる。これにより、例えば装置のスループットの向上や小型化に寄与することができる。
本実施形態のシート製造装置120は、上記例示した構成以外の構成を有することもでき、上記例示した構成を含めて目的に応じて複数の構成を適宜有することができる。各構成の数や順序は特に限定されず、目的に応じて適宜に設計することができる。
また、本実施形態のシート製造装置120は、乾式法によってシートSを製造する装置であるが、これに限らず、湿式法の製造装置に用いてもよい。
2.シート製造方法
本実施形態のシート製造方法は、少なくとも繊維を含む原料1を解繊し、解繊された解繊物に、添加物を添加し、複数の繊維同士を添加物を介して結着してシートSを製造する方法であって、原料がリサイクルされた回数がより多い場合の方がリサイクルされた回数がより少ない場合に比べて密度のより小さいシートを製造することを特徴とする。
本実施形態のシート製造方法は、上述のシート製造装置120を用いて行うことができる。原料、解繊、解繊物、繊維、混合、添加物、樹脂、繊維、シート形成等は、上述のシート製造装置の項で述べたと同様であるため、詳細な説明を省略する。
このようなシート製造方法によれば、複数回リサイクルする際に、原料とは機能が異なるシートを製造することができる。シートを複数回リサイクルする場合、解繊物における繊維の劣化は避けられない。しかしながら、このように複数回リサイクルして繊維が劣化したとしても、このようなシート製造方法によれば、原料としたシートとは機能が異なる密度の小さいシートにさらにリサイクルできる。
3.その他の事項
本明細書において、「均一」との文言は、均一な分散や混合という場合には、2種以上又は2相以上の成分を定義できる物体において、1つの成分の他の成分に対する相対的な存在位置が、系全体において一様、又は系の各部分において互いに同一若しくは実質的に等しいことを指す。また、着色の均一性や色調の均一性は、シートを平面視したときに色の濃淡がなく、一様な濃度であることを指す。しかし、一様と言っても、全ての樹脂の距離が同じではないし、濃度も完全に同じ濃度ではない場合を含むものとする。
本明細書において、「均一」「同じ」「等間隔」など、密度、距離、寸法などが等しいことを意味する言葉を用いている。これらは、等しいことが望ましいが、完全に等しくすることは難しいため、誤差やばらつきなどの累積で値が等しくならずにずれるのも含むものとする。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施
形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。例えば、上記実施形態ではウェブWを単層としたが、複層としてもよいし、別に作成された不織布や紙を積層してもよい。
4.実施例
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
以下の実施例1では、本発明に係るシート製造装置120を用いて、シートとしてインクジェットプリンタに用いる廃インク吸収材を製造した。図3は、実施例における添加物等および再生物を示した表である。
4.1.第1の原料の製造
まず、実施例で用いる第1の原料を製造した。ここでは、図1及び図3に示すように、最初の原料として湿式方式で製造された事務用コピー用紙の印刷古紙(印刷済みの古紙)を、供給部9からを供給した。印刷古紙は原料の履歴を有してないため、原料としてはリサイクルされた回数は0回となる。粗砕部10としてシュレッダーを用い、供給部9から供給された原料(印刷古紙)を6mm×14mm程度の細片に裁断した。
解繊部20として解繊機を用い、粗砕部10において裁断された原料を解繊した。解繊部20の回転速度(解繊部20の回転部の回転速度)を、5000rpmとした。
分級部63としてサイクロンを用い、解繊部20を通過した解繊物を分級した。
選別部35として回転式篩を用い、分級部63を通過した分級物を、繊維の長さによって選別した。選別部35の網としては、目開き970μmの網を用いた。
混合部30において、選別部35を通過した解繊物(繊維)100重量部に対して、添加部32の第1の添加物等投入部32aから供給された樹脂粉体15重量部と、を混合した。混合部30では、ターボファンブロアーを用い、解繊物と樹脂とを気中で混合した。第1の添加物等投入部32aとしてスクリューフィーダーを用いた。樹脂粉体は、ポリエステル樹脂に酸化チタンを一体化させた平均粒径D50=10μmのものを用いた。
ふるい部70として回転式篩を用い、混合部30において混合された混合物をほぐした。ふるい部70の網としては、目開き970μmの網を用いた。
堆積部75のサクション機構78を作動させ、メッシュベルト76を移動しながら、ふるい部70を通過した解繊物をメッシュベルト76上に堆積させた。その後、メッシュベルト76に堆積したウェブWを、加圧部60へ移送した。
ウェブWは、加圧部60では加圧ローラー61によって適度な加圧力で加圧され、加熱部50では2組の加熱ローラー51によって添加物の樹脂が溶融する温度以上に加熱された。
さらに、ウェブWは、切断部90においてA4版のサイズに裁断した。リサイクルした回数が1回に相当する情報をマーキング部100でマーキングを付与する。
以上の工程によって、第1の原料として、再生物である事務用コピー用紙(第1の原料)を製造した。
4.2.第2の原料の製造
図3に示すように、原料として上記4.1で製造した事務用コピー用紙(第1の原料)を用いて、同じく事務用コピー用紙(第2の原料)を製造した。この場合、原料はリサイクルされた回数は1回となる。そして、解繊物(繊維)100重量部に対して第1の添加物等投入部32aにおいて解繊物に添加した樹脂粉体の量を10重量部とし、リサイクルした回数が2回に相当する情報をマーキング部100でマーキングを付与した以外は、上記4.1の製造工程と同様にした。
分級部63で分級された解繊物の繊維には、上記4.1で添加した樹脂の一部が解繊部20及び分級部63で完全に取り除けず繊維に付着していたが、実施例1では樹脂粉体の量を上記4.1よりも5重量部少ない10重量部としたことによって、上記4.1で製造したものと同じ機能を有する事務用コピー用紙を製造することができた。
4.3.第3の原料の製造
図3に示すように、原料として上記4.2で製造した事務用コピー用紙(第2の原料)を用いて、同じく事務用コピー用紙(第3の原料)を製造した。この場合、原料はリサイクルされた回数は2回となる。そして、解繊物(繊維)95重量部に対して、第1の添加物等投入部32aにおいて解繊物に添加した樹脂粉体の量を10重量部とし、第2の添加物等投入部32bから繊維5重量部を投入し、リサイクルした回数が3回に相当する情報をマーキング部100でマーキングを付与した以外は、上記4.1の製造工程と同様にした。
第2の添加物等投入部32bから投入した繊維は、上記4.1において選別部35を通過した解繊物と同じ解繊物を用いた。解繊物(繊維)95重量部に対して繊維投入部32bから繊維5重量部を投入することで、合せて繊維100重量部としている。
4.4.実施例(廃インク吸収材の製造)
図3に示すように、原料として上記4.3で製造した事務用コピー用紙(第3の原料)を用いて、廃インク吸収材を製造した。
まず、最初の原料として3回リサイクルされた事務用コピー用紙(第3の原料)を、供給部9からを供給した。粗砕部10としてシュレッダーを用い、供給部9から供給された原料(印刷古紙)を6mm×14mm程度の細片に裁断した。
解繊部20として解繊機を用い、粗砕部10において裁断された原料を解繊した。解繊部20の回転速度(解繊部20の回転部の回転速度)を、5000rpmとした。
切替弁25を第2の経路に切り替えて、解繊物を、分級部63及び選別部35を通過せず、混合部30に導入した。
混合部30において、選別部35を通過した解繊物(繊維)100重量部に対し、添加部32の第1の添加物等投入部32aから供給された芯鞘構造の樹脂10重量部と、第2の添加物等投入部32bから難燃剤5重量部と、を混合した。混合部30では、ターボファンブロアーを用い、解繊物と樹脂及び難燃剤とを気中で混合した。芯鞘構造の樹脂は、芯部がポリエステル樹脂で鞘部がポリエチレンであり、1.7dtexの繊維状の樹脂(帝人社製テトロン。鞘部は100℃以上の温度で溶融する。)を用いた。難燃剤は、水酸化アルミニウム(日本軽金属社製のB53)を用いた。
ふるい部70として回転式篩を用い、混合部30において混合された混合物をほぐした
。ふるい部70の網としては、目開き3000μmの網を用いた。
堆積部75のサクション機構78を作動させ、メッシュベルト76を移動しながら、ふるい部70を通過した解繊物をメッシュベルト76上に堆積させた。その後、メッシュベルト76に堆積したウェブWを、加圧部60へ移送した。
ウェブWは、加圧部60では加圧ローラー61によって第1〜第3の原料の製造時よりも小さい加圧力で加圧され、加熱部50では220℃の3組の加熱ローラー51によって添加物の樹脂が溶融する温度以上に加熱された。廃インク吸収材はシートとしてはリサイクル回数が4回となる。しかし、廃インク吸収材は廃インクを大量に吸収しており、その後のリサイクルは困難なのと、マーキングをしても読み取れないため、マーキング部100でマーキングを付与しない。
さらに、ウェブWは、切断部90において裁断して廃インク吸収材を得た。
実施例によれば、装置の条件等と添加物等を変更するだけで、上記4.1〜4.3までの原料とした事務用コピー用紙よりも密度が小さい廃インク吸収材を製造することができた。
実施例の原料1の解繊物の繊維には、上記4.1〜4.3までの工程で添加した樹脂の一部が付着していたため、実施例では樹脂の量を少なくしても、十分な強度を有する廃インク吸収材を製造することができた。
1・・・原料、8・・・取得部、9・・・供給部、10・・・粗砕部、11・・・粗砕刃、15・・・ホッパー、20・・・解繊部、21・・・導入口、22・・・排出口、25・・・切替弁、30・・・混合部、31・・・供給口、32・・・添加部、32a・・・第1の添加物等投入部、32b・・・第2の添加物等投入部、35・・・選別部、36・・・導入口、37・・・排出口、38・・・ホッパー、40・・・シート形成部、50・・・加熱部、50a・・・第1加熱部、50b・・・第2加熱部、51・・・加熱ローラー、60・・・加圧部、60a・・・第1加圧部、60b・・・第2加圧部、61・・・加圧ローラー、63・・・分級部、64・・・導入口、65・・・円筒部、66・・・逆円錐部、67・・・下部排出口、68・・・上部排出口、69・・・受け部、70・・・ほぐし部、71・・・導入口、75・・・堆積部、76・・・メッシュベルト、77・・・張架ローラー、78・・・サクション機構、81,82,83,84,85,86・・・管、90・・・切断部、90a・・・第1切断部、90b・・・第2切断部、95・・・スタッカー、100・・・マーキング部、110・・・制御部、120・・・シート製造装置、G・・・ガイド、W・・・ウェブ、S・・・シート

Claims (5)

  1. 少なくとも繊維を含む原料を解繊する解繊部と、
    前記解繊部で解繊された解繊物に、添加物を添加する添加部と、
    複数の前記繊維同士を前記添加物を介して結着してシートを形成するシート形成部と、を有するシート製造装置であって、
    前記原料がリサイクルされた回数がより多い場合の方がリサイクルされた回数がより少ない場合に比べて密度のより小さいシートを製造することを特徴とする、シート製造装置。
  2. 前記リサイクルされた回数がより多い場合には前記添加物として芯鞘構造の樹脂を添加することを特徴とする、請求項1に記載のシート製造装置。
  3. 前記シートを成形する際に加圧する加圧部をさらに有し、
    前記リサイクルされた回数がより少ない場合における加圧力は、前記リサイクルされた回数が多い場合における加圧力よりも大きくすることを特徴とする、請求項1または2に記載のシート製造装置。
  4. シートを製造する際に前記原料をリサイクルした回数を示すマーキングを行うマーキング部と、
    前記マーキングを読取り前記リサイクルした回数を取得する取得部と、
    取得した前記リサイクルした回数に応じて密度の大きいシートを製造するか密度の小さいシートを製造するかを制御する制御部と、
    をさらに有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシート製造装置。
  5. 少なくとも繊維を含む原料を解繊し、
    解繊された解繊物に、添加物を添加し、
    複数の前記繊維同士を前記添加物を介して結着してシートを製造する方法であって、
    前記原料がリサイクルされた回数がより多い場合の方がリサイクルされた回数がより少ない場合に比べて密度のより小さいシートを製造することを特徴とする、シート製造方法。
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