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JP2015178439A - コンクリートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、ブリーディングが少なく、流動性に優れ、コンクリートの大量製造が可能で生産性が高いコンクリートの製造方法を提供する。【解決手段】本発明は、セメント100質量部に対し、ジエチレングリコールを0.01質量部以上添加してコンクリートを混練する、コンクリートの製造方法であり、好ましくは、さらに、セメント100質量部に対し、減水剤を0.4〜2.5質量部添加してコンクリートを混練するコンクリートの製造方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、ブリーディングが少ないコンクリートの製造方法に関する。
コンクリートは、主に、水、セメント、および骨材等からなり、これらの構成材料の密度は、それぞれ1g/cm、3.2g/cm、および2.5g/cm程度と相違する。したがって、混練してから硬化するまでの間のコンクリートの混練物は、セメントと骨材が沈降する一方で水が上昇する材料分離が起き易く、この材料分離の現象をブリーディングという。
このブリーディングが過大になると、セメントペーストと骨材や鉄筋との界面に空隙が生じて界面の付着力が低下するため、コンクリートの強度低下、沈下ひび割れ、および仕上げ時期の遅延が生じ易い。そこで、JASS 5「水密コンクリート」では、ブリーディングの上限は0.3cm/cmと規定されている。
特に、鋼管内にコンクリートを打設してなるコンクリート充填鋼管構造(以下「CFT造」という。)は、ブリーディングが多いと打継部分に欠陥が生じ構造体としての一体性が損なわれるため、ブリーディングの上限は0.1cm/cmとさらに厳しく規定されている。そして、CFT造に用いられるコンクリートは、一般に、中庸熱ポルトランドセメントや低熱ポルトランドセメント等の低熱セメントを含む高強度・高流動コンクリートであるが、低熱セメントを含むコンクリートは、ブリーディングが多くなる傾向にあることが知られている。
従来、ブリーディングを低減する手段として、コンクリートに添加する特定の混和剤や、コンクリートの前記構成材料を特定の順序で混練する方法等が提案されている。
例えば、特許文献1では、前記混和剤として、菌体番号Alcaligenes ATTC 31961の菌種が産出する微生物醗酵多糖類からなるコンクリートの分離防止用混和剤が提案されている。しかし、該混和剤はコンクリートの粘性を高めてブリーディングを抑制するが、一方でコンクリートの流動性が低下してポンプ圧送性が悪くなり、充填不良による強度低下やコンクリート面の肌荒れが発生し易い。このような問題は流動性が重要な高流動コンクリートにおいて顕著である。また、該混和剤は特定の菌種が産出する天然物であるため、コンクリートの大量製造において量的な制約とコストの増加を招き易い。
また、特許文献2では、混練水を第1の混練水(以下「一次水」という。)と第2の混練水(以下「二次水」という。)に分割し、一次水をセメントに加えて混練しセメントペーストを調整した後、該ペーストに二次水を加えて再度混練し第2のセメントペーストを調整し、さらに第2のセメントペーストに骨材を加えて混練するコンクリート作製方法が提案されている。しかし、該方法は混練作業を3回に分けて行うため生産性が低いといえる。
特開平5−306153号公報 特開2010−222171号公報
したがって、本発明は、コンクリートのブリーディングが少なく、流動性に優れ、コンクリートの大量製造が可能で生産性が高いコンクリートの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、前記目的にかなうコンクリートの製造方法を検討した結果、ジエチレングリコールがコンクリートのブリーディングを低下させる効果を有することを発見した。すなわち、従来、セメント製造分野において、ジエチレングリコールはセメントの粉砕助剤として知られていたが、コンクリートにおけるブリーディングの低減効果は知られていなかった。
そして、本発明者は、この発見に基づいてジエチレングリコールの添加量を特定し、該特定量のジエチレングリコールを添加して混練するコンクリートの製造方法は、前記目的にかなうことを見い出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は下記の構成を有するコンクリートの製造方法である。
[1]セメント100質量部に対し、ジエチレングリコールを0.01質量部以上添加してコンクリートを混練する、コンクリートの製造方法。
[2]さらに、セメント100質量部に対し、減水剤を0.4〜2.5質量部添加してコンクリートを混練する、前記[1]に記載のコンクリートの製造方法。
[3]前記セメントが、ボーグ式で算出したビーライトの含有率が30〜65質量%であるポルトランドセメントである、前記[1]または[2]に記載のコンクリートの製造方法。
[4]前記ポルトランドセメント中の石膏の、下記(1)式で表わされる半水化率が80質量%以上である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のコンクリートの製造方法。
石膏の半水化率(質量%)=100×半水石膏の質量(SO換算)/(半水石膏の質量(SO換算)+二水石膏の質量(SO換算)) ・・・(1)
[5]前記コンクリートがコンクリート充填鋼管構造に用いるコンクリートである、前記[1]〜[4]のいずれかに記載のコンクリートの製造方法。
本発明のコンクリートの製造方法は、ジエチレングリコールをコンクリートに少量添加して混練するという簡単な操作で、ブリーディングが少ないコンクリートを製造でき、また、コンクリートの大量製造が可能で生産性が高い。
本発明は、前記のとおり、所定量のジエチレングリコールを添加してコンクリートを混練するコンクリートの製造方法である。以下、本発明について、ジエチレングリコール、減水剤、セメント、細骨材、粗骨材、水、コンクリートの混練方法、およびコンクリートの種類等に分けて説明する。
1.ジエチレングリコール
本発明においてジエチレングリコールの添加量は、セメント100質量部に対し0.01質量部以上であり、好ましくは0.02〜0.04質量部である。該添加量が0.01質量部未満では、ブリーディングの低減効果が低く、0.04質量部を超えるとブリーディングの低減効果が頭打ちとなる傾向があるうえ、コスト増となる。なお、該添加量は、コンクリートがCFT造に用いられる場合は、好ましくは、セメント100質量部に対し0.03〜0.04質量部である。
前記ジエチレングリコールは試薬や工業製品のほか、ジエチレングリコールを含む不凍液、ブレーキ液、潤滑剤、およびインキ等の廃液からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。そして、ジエチレングリコールは、好ましくはコンクリートの混練水に予め溶解して用いる。
2.減水剤
本発明において減水剤の添加量は、好ましくは、セメント100質量部に対し0.4〜2.5質量部である。該添加量が0.4質量部未満ではコンクリートの流動性が低く、2.5質量部を超えると流動性の向上効果が頭打ちになる傾向にあるうえ、コスト増となる。なお、該添加量は、より好ましくは、セメント100質量部に対し0.5〜2.0質量部であり、特に好ましくは、セメント100質量部に対し0.6〜1.5質量部である。なお、該添加量は減水剤の製品の質量を表わす。
前記減水剤は、高性能AE減水剤、高性能減水剤、AE減水剤等からなる群より選ばれる1種以上の減水剤が挙げられる。また、前記減水剤の種類(化合物)は、ポリカルボン酸、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、リグニンスルホン酸、およびこれらの塩からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。そして、減水剤は、前記ジエチレングリコールと同様に、好ましくはコンクリートの混練水に予め溶解して用いる。
3.セメント
前記セメントは、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、石炭灰含有セメント、シリカセメント、白色セメント、およびエコセメント等から選ばれる1種以上が挙げられる。これらの中でも、前記セメントは、好ましくは、ボーグ式で算出したビーライトの含有率が30〜65質量%であるポルトランドセメントであり、より好ましくは、中庸熱ポルトランドセメントおよび低熱ポルトランドセメントからなる群より選ばれる1種以上である。ビーライトの含有率が30〜65質量%であるポルトランドセメントを用いたコンクリートは、ブリーディングが発生し易いため、本発明の製造方法の対象として好適である。
なお、ビーライト(CS)の含有率を算出するためのボーグ式を、下記(2)式に示す。
S(質量%)=2.87×SiO(質量%)−0.754×CS(質量%) ・・・(2)
ただし、式中の化学式は、調合原料中またはセメント中における、化学式が表す化合物の含有率(質量%)を表す。
ここで、ブリーディングが発生し易いセメントとは、例えば、JIS R 5201「セメントの物理試験方法」に準じて作製したセメントペーストを用いて、土木学会基準「プレパックドコンクリートの注入モルタルのブリーディング率および膨張率試験方法」に準拠して測定したブリーディング率が、4.0%以上になるセメントをいう。また、ブリーディング率とは、ブリーディングにより生じた浮水量/全水量の質量の比を百分率で表した値をいう。
また、前記セメントは、好ましくは、半水化率が80質量%以上の石膏を含むセメントである。半水化率が80質量%以上のセメントはブリーディングが多い傾向がある。なお、石膏の半水化率は前記(1)式を用いて算出する。
また、前記セメント中の石膏は、無水石膏をSO換算で、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下含んでもよい。
4.細骨材
前記細骨材は、川砂、山砂、陸砂、海砂、砕砂、硅砂、スラグ細骨材、および軽量細骨材等から選ばれる1種以上が挙げられる。また、細骨材は天然骨材のほか再生骨材を用いることができる。
5.粗骨材
前記粗骨材は、川砂利、山砂利、砕石、スラグ粗骨材、および軽量粗骨材等から選ばれる1種以上が挙げられる。また、前記粗骨材は天然骨材のほか、人工骨材や再生骨材を用いることができる。
6.水
前記水は、コンクリートの強度や流動性等の物性に悪影響を与えないものであれば用いることができ、例えば、上水道水、工業用水、および生コンクリートの上澄水等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
7.コンクリートの混練方法
該混練方法として、以下の方法等が挙げられる。
(i)ミキサに細骨材と水を投入して混練した後、セメントを投入して再度混練し、さらに粗骨材を投入して混練する方法。
(ii)ミキサにセメントと水を投入して混練した後、細骨材を投入して再度混練し、さらに粗骨材を投入して混練する方法。
(iii)ミキサに細骨材とセメントを投入して空練りした後、水を投入して混練し、さらに粗骨材を投入して混練する方法。
(iv)ミキサに細骨材とセメントと水を投入して混練した後、さらに粗骨材を投入して混練する方法。
(v)ミキサに細骨材、セメント、粗骨材および水を投入して混練する方法。
これらの中でも、(iv)および(v)の方法は、混練回数が少ないから好ましい。
なお、用いるミキサは特に限定されず、強制練りミキサ、重力式ミキサ等が使用できる。
8.コンクリートの種類
本発明の製造方法が適用されるコンクリートは、例えば、普通コンクリート、水密コンクリート、暑中コンクリート、寒中コンクリート、マスコンクリート、流動化コンクリート、高流動コンクリート、高強度コンクリート、低発熱コンクリート、膨張コンクリート、プレストレストコンクリート、低収縮コンクリート、繊維補強コンクリート、軽量コンクリート、およびポリマーコンクリート等が挙げられる。これらの中でも、ブリーディングが厳しく規制されている水密コンクリート、特に、CFT造が好適である。
9.その他の混和剤等
前記コンクリートは、前記ジエチレングリコールや減水剤以外に、収縮低減剤、AE剤、水和熱抑制剤、白華防止剤、遅延剤、硬化促進剤等の混和剤や、高炉スラグ、フライアッシュ、石炭灰、シリカフューム、石灰石粉末、シリカ質粉末等の混和材を含んでもよい。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
1.使用材料
(1)ポルトランドセメント(C)
(i)中庸熱ポルトランドセメントクリンカー(太平洋セメント社製)100質量部に対し、二水石膏をSO換算で2質量部、およびジエチレングリコールを0.027質量部添加して、ボールミルで粉砕して作製したポルトランドセメント(MC、ただし、含まれる石膏の半水化率は90質量%であり、無水石膏は含まない。)。 (ii)低熱ポルトランドセメントクリンカー(太平洋セメント社製)100質量部に対し、二水石膏をSO換算で2質量部、およびジエチレングリコールを0.027質量部添加して、ボールミルで粉砕して作製したポルトランドセメント(LC、ただし、含まれる石膏の半水化率は90質量%であり、無水石膏は含まない。)。
(2)細骨材(S)
山砂(静岡県掛川市産)
(3)粗骨材
(i)砕石5号(G1、茨城県桜川市産)
(ii)砕石6号(G2、茨城県桜川市産)
(4)高性能AE減水剤(ポリカルボン酸塩)
(i)マイテイ3000s[登録商標](Mt、花王社製)
(ii)マスターグレニウムSP8SV[登録商標](SP、BASFジャパン社製)
(5)水
上水道水(千葉県佐倉市)
2.スランプフローおよびブリーディング量の測定とその結果
表1に示す配合のコンクリートを調製した後、該コンクリートのスランプフローおよびブリーディング量を、それぞれJIS A 1150「コンクリートのスランプフロー試験方法」およびJIS A 1123「コンクリートのブリーディング試験方法」に準拠して測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2015178439
表1に示すように、実施例1〜11のブリーディングの低減率は、石膏の半水化率が90質量%と高いにもかかわらず、また、減水剤の種類に依らず、64〜88と極めて高い。特に、ジエチレングリコールの添加量が、セメント100質量部に対し0.030〜0.040質量部であるコンクリート(実施例2、3、7、8、および11)のブリーディングの低減率は74〜88とより高く、また、そのブリーディング量は全て0.10cm/cm以下であることから、ブリーディング量の上限を0.1cm/cmと厳しく規定しているCFT造の用途に対しても、本発明のコンクリートの製造方法は適用可能である。
したがって、本発明のコンクリートの製造方法は、ジエチレングリコールをコンクリートに少量添加して混練するという簡単な操作で、ブリーディングが少ないコンクリートを製造でき、また、コンクリートの大量製造が可能で生産性が高い。
なお、実施例のコンクリートは、比較例のコンクリートと比べ減水剤の使用量が少ないにもかかわらず、スランプフロー(流動性)はほぼ同等であった。

Claims (5)

  1. セメント100質量部に対し、ジエチレングリコールを0.01質量部以上添加してコンクリートを混練する、コンクリートの製造方法。
  2. さらに、セメント100質量部に対し、減水剤を0.4〜2.5質量部添加してコンクリートを混練する、請求項1に記載のコンクリートの製造方法。
  3. 前記セメントが、ボーグ式で算出したビーライトの含有率が30〜65質量%であるポルトランドセメントである、請求項1または2に記載のコンクリートの製造方法。
  4. 前記ポルトランドセメント中の石膏の、下記(1)式で表わされる半水化率が80質量%以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンクリートの製造方法。
    石膏の半水化率(質量%)=100×半水石膏の質量(SO換算)/(半水石膏の質量(SO換算)+二水石膏の質量(SO換算)) ・・・(1)
  5. 前記コンクリートがコンクリート充填鋼管構造に用いるコンクリートである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンクリートの製造方法。
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