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JP2015175833A - 物理量センサー、高度計、電子機器および移動体 - Google Patents

物理量センサー、高度計、電子機器および移動体 Download PDF

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JP2015175833A
JP2015175833A JP2014054932A JP2014054932A JP2015175833A JP 2015175833 A JP2015175833 A JP 2015175833A JP 2014054932 A JP2014054932 A JP 2014054932A JP 2014054932 A JP2014054932 A JP 2014054932A JP 2015175833 A JP2015175833 A JP 2015175833A
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sensor
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有継 矢島
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Abstract

【課題】優れた検出精度を有する物理量センサー、この物理量センサーを備えた信頼性の高い高度計、電子機器および移動体を提供する。
【解決手段】物理量センサー1は、撓み変形可能なダイアフラム24と、ダイアフラム24の周囲に配置され、厚さがダイアフラム24から離間する方向に増加する周囲壁部26と、ダイアフラム24の撓み量を検出する撓み量センサー3と、周囲壁部26に配置されている温度センサー6とを有している。また、周囲壁部26は、その厚さがダイアフラム24から遠ざかる方向に漸増するテーパー状をなしている。
【選択図】図1

Description

本発明は、物理量センサー、高度計、電子機器および移動体に関するものである。
従来から、圧力センサーとして、受圧によって撓み変形するダイアフラムと、ダイアフラムに配置された4つのピエゾ抵抗素子を備える圧力検出用のブリッジ回路と、ダイアフラムの周囲に配置された4つのピエゾ抵抗素子を備える温度検知用のブリッジ回路と、を有する構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような圧力センサーによれば、圧力検出用のブリッジ回路からの出力を、温度検出用のブリッジ回路からの出力に応じて補正することができ、圧力の検出精度が向上する。
しかしながら、引用文献1の圧力センサーでは、圧力検出用のブリッジ回路が備えるピエゾ抵抗素子と、温度検知用のブリッジ回路が備えるピエゾ抵抗素子とを接近して配置することができない。加えて、温度検知用のブリッジ回路が備えるピエゾ抵抗素子は、ダイアフラムの周囲に位置しダイアフラムよりも厚さが非常に厚い部分に配置されているため、圧力検出用のブリッジ回路が備えるピエゾ抵抗素子と比較して、外部からの熱が伝わり難い。そのため、温度検知用のブリッジ回路では、圧力検出用のブリッジ回路が備えるピエゾ抵抗素子の温度を精度よく検知することができない。
したがって、特許文献1の圧力センサーでは、温度検出用のブリッジ回路からの出力に応じた圧力検出用のブリッジ回路からの出力の補正を高精度に行うことができず、優れた圧力検出精度を発揮することができないという問題がある。
特開2007−271379号公報
本発明の目的は、優れた検出精度を有する物理量センサー、この物理量センサーを備えた信頼性の高い高度計、電子機器および移動体を提供することにある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本適用例の物理量センサーは、撓み変形可能なダイアフラムと、
前記ダイアフラムの周囲に配置され、前記ダイアフラムから遠ざかる方向に厚さが増加する周囲壁部と、
前記ダイアフラムに配置され、前記ダイアフラムの撓み量を検出する撓み量検出素子と、
前記周囲壁部に配置されている温度検知素子と、
を有することを特徴とする。
これにより、ダイアフラムの変形によって発生する応力が温度検知素子へ伝わってしまうことを低減ししつつ、温度検知素子と撓み量検出素子の離間距離を短くすることができる。そのため、優れた検出精度を有する物理量センサーが得られる。
[適用例2]
本適用例の物理量センサーでは、前記周囲壁部の厚さは、前記ダイアフラムから遠ざかる方向に連続的に増加していることが好ましい。
これにより、ダイアフラムが撓み変形した際の応力集中を低減することができる。すなわち、応力を効果的に分散させることができる。
[適用例3]
本適用例の物理量センサーでは、前記温度検知素子は、前記ダイアフラムの周囲に沿って配置されていることが好ましい。
これにより、温度検知素子と撓み量検出素子との離間距離をより短くすることができる。また、物理量センサーの小型化を図ることができる。
[適用例4]
本適用例の物理量センサーでは、前記ダイアフラムは、平面視で矩形状をなし、
前記温度検知素子は、平面視で前記ダイアフラムの対角線の延長線上に配置されていることが好ましい。
このような場所は、他の部位と比較して剛性が高く撓み難い場所であるため、温度検知素子が変形し難く、温度検知素子による温度検知精度が向上する。
[適用例5]
本適用例の物理量センサーでは、前記温度検知素子は、前記ダイアフラムの周囲に沿って曲がっている部分を有していることが好ましい。
これにより、矩形をなすダイアフラムの周囲に沿って温度検知素子を配置することができるので、温度検知素子と撓み量検出素子との離間距離をより短くすることができる。また、物理量センサーの小型化を図ることができる。
[適用例6]
本適用例の物理量センサーでは、前記温度検知素子は、複数配置されていることが好ましい。
これより、温度検知精度が向上する。
[適用例7]
本適用例の物理量センサーでは、平面視で、前記ダイアフラム、前記温度検知素子、および圧力基準室が重なっていることが好ましい。
これにより、撓み量検出素子と温度検知素子とを圧力基準室に配置することができるので、撓み量検出素子を温度検知素子とほぼ同じ環境に置くことができる。そのため、温度検知素子による温度検知精度が向上する。
[適用例8]
本適用例の物理量センサーでは、平面視で、前記ダイアフラムと圧力基準室とが重なっていて、前記温度検知素子と前記圧力基準室とはずれていることが好ましい。
これにより、温度検知素子をより剛性の高い位置に設けることができるので、温度検知素子が変形し難く、温度検知素子による温度検知精度が向上する。
[適用例9]
本適用例の物理量センサーでは、前記撓み量検出素子は、ピエゾ抵抗素子であることが好ましい。
これにより、撓み量検出素子の構成が簡単となる。
[適用例10]
本適用例の物理量センサーでは、前記温度検知素子は、ピエゾ抵抗素子であることが好ましい。
これにより、温度検知素子の構成が簡単となる。
[適用例11]
本適用例の物理量センサーでは、圧力を検出する圧力センサーであることが好ましい。
これにより、ダイアフラムが受けた圧力を検出することができる。
[適用例12]
本適用例の高度計は、上記適用例の物理量センサーを備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い高度計が得られる。
[適用例13]
本適用例の電子機器は、上記適用例の物理量センサーを備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子機器が得られる。
[適用例14]
本適用例の移動体は、上記適用例の物理量センサーを備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い移動体が得られる。
本発明の物理量センサーの第1実施形態を示す断面図である。 図1に示す物理量センサーが有する撓み量センサーおよび温度センサーを示す平面図である。 図2に示す撓み量センサーを含んだ回路を説明する図である。 図1に示す物理量センサーの製造方法を説明する断面図である。 図1に示す物理量センサーの製造方法を説明する断面図である。 図1に示す物理量センサーの製造方法を説明する断面図である。 図1に示す物理量センサーの製造方法を説明する断面図である。 図1に示す物理量センサーの製造方法を説明する断面図である。 図1に示す物理量センサーの製造方法を説明する断面図である。 図1に示す物理量センサーの製造方法を説明する断面図である。 図1に示す物理量センサーの製造方法を説明する断面図である。 本発明の物理量センサーの第2実施形態を示す平面図である。 図12に示す温度センサーを含んだ回路を説明する図である。 本発明の物理量センサーの第3実施形態を示す断面図である。 本発明の物理量センサーの第4実施形態を示す断面図である。 本発明の高度計の一例を示す斜視図である。 本発明の電子機器の一例を示す正面図である。 本発明の移動体の一例を示す斜視図である。
以下、本発明の物理量センサー、高度計、電子機器および移動体を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
1.物理量センサー
<第1実施形態>
図1は、本発明の物理量センサーの第1実施形態を示す断面図である。図2は、図1に示す物理量センサーが有する撓み量センサーおよび温度センサーを示す平面図である。図3は、図2に示す撓み量センサーを含んだ回路を説明する図である。図4ないし図11は、それぞれ、図1に示す物理量センサーの製造方法を説明する断面図である。なお、以下の説明では、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
物理量センサー1は、圧力を検出することのできる圧力センサーである。物理量センサー1を圧力センサーとすることで、例えば、高度を計測する用途として種々の電子機器に搭載することができる。
図1に示すように、物理量センサー1は、基板2と、撓み量センサー(圧力検出センサー)3と、温度センサー6と、素子周囲構造体4と、空洞部7と、半導体回路9と、を有している。以下、これら各部について順に説明する。
≪基板≫
基板2は、板状をなし、SOI基板(第1のSi層211、SiO層212、第2のSi層213がこの順で積層している基板)で構成された半導体基板21上に、シリコン酸化膜(SiO膜)で構成された第1絶縁膜22と、シリコン窒化膜(SiN膜)で構成された第2絶縁膜23と、をこの順に積層することで構成されている。ただし、半導体基板21としては、SOI基板に限定されず、例えば、シリコン基板を用いることができる。また、第1絶縁膜22および第2絶縁膜23の材料としては、製造時に半導体基板21を保護することと、半導体基板21、撓み量センサー3および温度センサー6の間を絶縁することができれば、特に限定されない。また、基板2の平面視形状は、特に限定されず、例えば、略正方形または略長方形等の矩形や、円形とすることができ、本実施形態では、略正方形となっている。
また、半導体基板21には、周囲の部分よりも薄肉であり、受圧によって撓み変形するダイアフラム24が設けられている。このダイアフラム24は、半導体基板21の下面(第2のSi層213)に有底の凹部25を設けることで形成され、その下面(凹部25の底面)が受圧面24aとなっている。このようなダイアフラム24の平面視形状は、特に限定されず、例えば略正方形または略長方形等の矩形や、円形とすることができるが、本実施形態では略正方形となっている。また、ダイアフラム24の幅は、特に限定されないが、例えば、400μm以上600μm以下の範囲内とすることができる。また、ダイアフラム24の厚さは、特に限定されないが、例えば、10μm以上50μm以下の範囲内であるのが好ましく、15μm以上25μm以下の範囲内であるのがより好ましい。これにより、ダイアフラム24を十分に柔らかくすることでき、十分に撓み変形することができる。
また、半導体基板21は、ダイアフラム24の周囲に沿って配置されており、その厚さがダイアフラム24から遠ざかる方向に沿って増加している枠状の周囲壁部26と、周囲壁部26の周囲に沿って配置されており、その厚さがダイアフラム24よりも厚い枠状の厚肉部27とを有している。
周囲壁部26の下面(すなわち、凹部25の内周面)261は、ダイアフラム24の厚さ方向に対して傾斜している傾斜面となっており、そのため、周囲壁部26は、ダイアフラム24側から厚肉部27側に向けて(すなわち、ダイアフラム24から遠ざかる方向に)厚さが漸増(連続的に増加)するテーパー状となっている。このように、周囲壁部26をテーパー状とすることで、周囲壁部26への応力集中を低減でき、周囲壁部26のより撓み難くすることができる。また、例えば、凹部25をウェットエッチングで形成すると、自然に凹部25の内周面が傾斜面となるため、周囲壁部26を簡単に形成することができるという利点もある。
このような半導体基板21上およびその上方には半導体回路(回路)9が作り込まれている。この半導体回路9には、必要に応じて形成されたMOSトランジスタ91等の能動素子、キャパシタ、インダクタ、抵抗、ダイオードおよび配線等の回路要素が含まれている。このように、基板2に半導体回路9を作り込むことで、半導体回路9を基板2と別体として設ける場合と比較して、物理量センサー1の小型化を図ることができる。なお、図1では、説明の便宜上、MOSトランジスタ91のみを図示している。
≪撓み量センサー≫
撓み量センサー3は、図2に示すように、ダイアフラム24に配置されている4つのピエゾ抵抗素子(撓み量検出素子)31、32、33、34を有している。このうち、ピエゾ抵抗素子31、32は、平面視で四角形をなすダイアフラム24の互いに対向する1対の辺241、242に対応して配置され、ピエゾ抵抗素子33、34は、平面視で四角形をなすダイアフラム24の他の互いに対向する1対の辺243、244に対応して配置されている。
ピエゾ抵抗素子31は、ダイアフラム24の外縁部(辺241近傍)に配置されたピエゾ抵抗部311を有している。ピエゾ抵抗部311は、辺241に平行な方向に沿って延びている長手形状をなしている。また、このピエゾ抵抗部311の両端部にはそれぞれ配線313が接続されている。
同様に、ピエゾ抵抗素子32は、ダイアフラム24の外縁部(辺242近傍)に配置されたピエゾ抵抗部321を有している。ピエゾ抵抗部321は、辺242に平行な方向に沿って延びている長手形状をなしている。また、このピエゾ抵抗部321の両端部にはそれぞれ配線323が接続されている。
一方、ピエゾ抵抗素子33は、ダイアフラム24の外縁部(辺243近傍)に配置された1対のピエゾ抵抗部331と、1対のピエゾ抵抗部331同士を接続している接続部332とを有している。1対のピエゾ抵抗部331は、互いに平行であり、かつ、辺243に対して垂直な方向(ピエゾ抵抗部311、321と同じ方向)に沿って延びている長手形状をなしている。このような1対のピエゾ抵抗部331の一端部同士は、接続部332を介して接続されており、1対のピエゾ抵抗部331の他端部にはそれぞれ配線333が接続されている。
同様に、ピエゾ抵抗素子34は、ダイアフラム24の外縁部(辺244近傍)に配置された1対のピエゾ抵抗部341と、1対のピエゾ抵抗部341同士を接続している接続部342とを有している。1対のピエゾ抵抗部341は、互いに平行であり、かつ、辺244に対して垂直な方向(ピエゾ抵抗部311、321と同じ方向)に沿って延びている長手形状をなしている。このような1対のピエゾ抵抗部341の一端部同士は、接続部342を介して接続されており、1対のピエゾ抵抗部341の他端部にはそれぞれ配線343が接続されている。
以上のようなピエゾ抵抗部311、321、331、341は、それぞれ、例えば、半導体基板21の第1のSi層211にリン、ボロン等の不純物をドープ(拡散または注入)することで構成されている。また、配線313、323、333、343および接続部332、342は、それぞれ、例えば、第1のSi層211に、ピエゾ抵抗部311、321、331、341よりも高濃度でリン、ボロン等の不純物をドープ(拡散または注入)することで構成されている。
ただし、ピエゾ抵抗部311、321、331、341は、この他、例えば、ダイアフラム24上に多結晶シリコン膜をスパッタリング法、CVD法等により形成し、その多結晶シリコン膜をエッチングによりパターンニングし、そこにリン、ボロン等の不純物をドープ(拡散または注入)することで構成されていてもよい。配線313、323、333、343および接続部332、342についても同様である。
また、ピエゾ抵抗素子31、32、33、34は、自然状態における抵抗値が互いに等しくなるように構成されている。そして、これらのピエゾ抵抗素子31、32、33、34は、配線313、323、333、343等を介して、互いに電気的に接続され、図3に示すように、ブリッジ回路30(ホイートストンブリッジ回路)を構成している。このブリッジ回路30には、駆動電圧AVDCを供給する駆動回路(図示せず)が接続されている。そして、ブリッジ回路30は、ピエゾ抵抗素子31、32、33、34の抵抗値に応じた信号(電圧)を出力する。
このような撓み量センサー3は、極めて薄いダイアフラム24を用いても、共振子のような振動素子をセンサー素子として用いた場合のようにダイアフラム24への振動漏れによってQ値が低下するという問題がない。また、第1のSi層211にリン、ボロン等の不純物をドープしてピエゾ抵抗素子31、32、33、34を構成するとで、例えば、ピエゾ抵抗素子31、32、33、34をダイアフラム24の上面に重ねて設ける場合に比較して、物理量センサー1の低背化(薄型化)を図ることができる。
≪温度センサー≫
温度センサー6は、図2に示すように、ピエゾ抵抗素子(温度検知素子)61を有している。ピエゾ抵抗素子61は、ピエゾ抵抗部611を有し、ピエゾ抵抗部611の両端部にはそれぞれ配線613が接続されている。ピエゾ抵抗部611は、周囲壁部26に配置されている。また、ピエゾ抵抗部611は、ダイアフラム24の周囲に沿って配置されている。これにより、ピエゾ抵抗部611の外側への過度な広がりを防止でき、その分、物理量センサー1の小型化を図ることができる。
特に、本実施形態では、ピエゾ抵抗部611は、平面視で、ダイアフラムの角部245近傍(すなわち、ダイアフラム24の対角線の延長線L上)に配置され、角部245に繋がる辺241、243(ダイアフラム24の周囲)に沿って、途中でほぼ直角に曲がって延在している。すなわち、ピエゾ抵抗部611は、辺241に沿って延在する第1の部分と、第1の部分の一端から延出し、辺243に沿って延在する第2の部分とを有していると言える。このように、ピエゾ抵抗部611を角部245近傍に屈曲させて配置することで、撓み量センサー3の配置スペースを犠牲にすることなく(若しくは小さく抑えつつ)、ピエゾ抵抗部611をより長く配置することができる。すなわち、撓み量センサー3を配置した後の残りのスペースを有効活用して温度センサー6を配置することができる。そのため、撓み量センサー3の検出感度を損なうことなく、より精度の高い温度センサー6とすることができる。
このようなピエゾ抵抗素子61は、温度によって抵抗値が変化する性質を有しているため、ピエゾ抵抗素子61の抵抗値変化に基づいて、その近傍に位置する撓み量センサー3の温度を検知することができる。
特に、物理量センサー1ではピエゾ抵抗素子61を周囲壁部26に設けているため、次のような効果を発揮することができる。
第1に、周囲壁部26は、ダイアフラム24よりも厚肉であり、ダイアフラム24よりも撓み難い。このように、ピエゾ抵抗素子61をダイアフラム24も撓み難い周囲壁部26に配置することで、ピエゾ抵抗素子61の撓みに起因する抵抗値変化を低減することができ、温度センサー6によって撓み量センサー3の温度を精度よく検知することができる。また、周囲壁部26は、ダイアフラム24の周囲に配置されているため、ピエゾ抵抗素子61を撓み量センサー3の近傍に配置することができる。この点からも、温度センサー6によって撓み量センサー3の温度を精度よく検知することができる。
第2に、周囲壁部26は、テーパー状とすること(言い換えると厚肉部27よりも薄肉化すること)で熱容量が低減されているため、周囲壁部26の熱容量をダイアフラム24の熱容量に近づけることができる。そのため、例えば、基板2の下面側からの熱によって、ピエゾ抵抗素子31、32、33、34およびピエゾ抵抗素子61が昇温した場合、ピエゾ抵抗素子61の温度変化と、ピエゾ抵抗素子31、32、33、34の温度変化との差を小さくすることができる。したがって、この点からも、温度センサー6によって撓み量センサー3の温度を精度よく検知することができる。
このようなピエゾ抵抗部611は、例えば、第1のSi層211にリン、ボロン等の不純物をドープ(拡散または注入)することで構成されている。また、配線613は、例えば、第1のSi層211に、ピエゾ抵抗部611よりも高濃度でリン、ボロン等の不純物をドープ(拡散または注入)することで構成されている。第1のSi層211にリン、ボロン等の不純物をドープしてピエゾ抵抗素子61を構成するとで、温度センサー6を簡単に設けることができるとともに、例えば、熱伝対などの別部材をダイアフラム24の上面に重ねて設ける場合に比較して、物理量センサー1の低背化(薄型化)を図ることができる。
ただし、ピエゾ抵抗部611、621、631、641は、この他、例えば、周囲壁部26上に多結晶シリコン膜をスパッタリング法、CVD法等により形成し、その多結晶シリコン膜をエッチングによりパターンニングし、そこにリン、ボロン等の不純物をドープ(拡散または注入)することで構成されていてもよい。配線313、323、333、343および接続部332、342についても同様である。
≪素子周囲構造体4≫
素子周囲構造体4は、空洞部7を画成するように形成されている。この素子周囲構造体4は、基板2上に撓み量センサー3および温度センサー6を取り囲むように形成された環状の壁部51と、壁部51の内壁に囲まれている空洞部7の開口を塞ぐ被覆部52とを有している。
このような素子周囲構造体4は、層間絶縁膜41と、層間絶縁膜41上に形成された配線層42と、配線層42および層間絶縁膜41上に形成された層間絶縁膜43と、層間絶縁膜43上に形成された配線層44と、配線層44および層間絶縁膜43上に形成された表面保護膜45と、封止層46とを有している。配線層44は、空洞部7の内外を連通する複数の細孔442を備えた被覆層441を有しており、被覆層441上に配置されている封止層46が細孔442を封止している。このような素子周囲構造体4では、層間絶縁膜41、配線層42、層間絶縁膜43、配線層44(ただし被覆層441を除く部分)および表面保護膜45で前述した壁部51が構成され、被覆層441および封止層46で前述した被覆部52が構成されている。
なお、配線層42、44は、空洞部7を囲むように形成されている配線層42a、44aと、半導体回路9の配線を構成する配線層42b、44bと、を含んでいる。したがって、半導体回路9は、配線層42b、44bによって物理量センサー1の上面に引き出されている。また、配線層42aと第2絶縁膜23との間には、例えば、多結晶シリコン膜からなる膜49が設けられている。
層間絶縁膜41、43としては、特に限定されないが、例えば、シリコン酸化膜(SiO膜)等の絶縁膜を用いることができる。また、配線層42、44としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウム膜等の金属膜を用いることができる。また、封止層46としては、特に限定されないが、Al、Cu、W、Ti、TiN等の金属膜を用いることができる。また、表面保護膜45としは、特に限定されないが、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、ポリイミド膜、エポキシ樹脂膜など、素子を水分、ゴミ、傷などから保護するための耐性を有するものを用いることができる。
≪空洞部≫
基板2と素子周囲構造体4とで画成された空洞部7は、密閉された空間であり、物理量センサー1が検出する圧力の基準値となる圧力基準室として機能する。空洞部7は、ダイアフラム24と重なるように配置されており、ダイアフラム24が空洞部7を画成する壁部の一部を構成している。空洞部7内の状態は、特に限定されないが、真空状態(例えば10Pa以下)であることが好ましい。これにより、物理量センサー1を、真空状態を基準として圧力を検出する「絶対圧センサー」として用いることができる。そのため、物理量センサー1の利便性が向上する。ただし、空洞部7内の状態は、真空状態でなくてもよく、例えば、大気圧状態であってもよいし、大気圧よりも気圧が低い減圧状態であってもよいし、大気圧よりも気圧が高い加圧状態であってもよい。また、空洞部7内には窒素ガス、希ガス等の不活性ガスが封入されていてもよい。
本実施形態では、平面視で、温度センサー6が有するピエゾ抵抗素子61が、空洞部7の内側に位置している。すなわち、ダイアフラム24、ピエゾ抵抗素子61および空洞部7が重なって位置している。これにより、撓み量センサー3が有するピエゾ抵抗素子31、32、33、34と温度センサー6が有するピエゾ抵抗素子61とが、それぞれ、平面視で、空洞部7の内側に位置することとなるため、ピエゾ抵抗素子31、32、33、34とピエゾ抵抗素子61との熱的な環境(より具体的には、例えば、物理量センサー1の上面側から伝わる熱の量)をほぼ同じにすることができる。そのため、温度センサー6によって撓み量センサー3の温度を精度よく検知することができる。
以上、物理量センサー1の構成について簡単に説明した。
このような物理量センサー1は、ダイアフラム24の受圧面24aが受ける圧力に応じてダイアフラム24が撓み変形し、これにより、ピエゾ抵抗素子31、32、33、34が歪み、その撓み量に応じてピエゾ抵抗素子31、32、33、34の抵抗値が変化する。それに伴って、ブリッジ回路30の出力が変化する。ここで、ピエゾ抵抗素子31、32、33、34は、自身の撓みのほかにも、自身の温度(環境温度)によっても抵抗値が変化する性質(抵抗値の温度依存性)を有している。そのため、ブリッジ回路30の出力の変化は、ピエゾ抵抗素子31、32、33、34の撓みとピエゾ抵抗素子31、32、33、34の温度とに起因したものとなり、このような出力(信号)からは、受圧面24aで受けた圧力(絶対圧)の大きさを精度よく求めることができない。そこで、物理量センサー1では、温度センサー6で撓み量センサー3の温度を検知し、検知した温度に基づいて、ブリッジ回路30から得られる信号を補正(ピエゾ抵抗素子31、32、33、34の温度に起因する変化分を除去)し、補正後の信号に基づいて、受圧面24aで受けた圧力(絶対圧)の大きさを求める。これにより、受圧面24aで受けた圧力を精度よく求めることができる。
以上のような物理量センサー1では、空洞部7および半導体回路9が半導体基板21の同じ面側に設けられているため、空洞部7を形成している素子周囲構造体4が半導体基板21の半導体回路9とは反対側から張り出すことがなく、低背化を図ることができる。その上で、素子周囲構造体4は、層間絶縁膜41、43および配線層42、44のうちの少なくとも一方と同一の成膜により形成されている。これにより、CMOSプロセス(特に、層間絶縁膜41、43や配線層42、44を形成する工程)を利用して、素子周囲構造体4を半導体回路9と一括して形成することができる。そのため、物理量センサー1の製造工程が簡略化され、その結果、物理量センサー1の低コスト化を図ることができる。また、本実施形態のように空洞部7を封止する場合であっても、成膜法を用いて空洞部7を封止することができ、従来のような基板を貼り合わせてキャビティを封止する必要がなく、この点でも、物理量センサー1の製造工程が簡略化され、その結果、物理量センサー1の低コスト化を図ることができる。
また、前述したように撓み量センサー3がピエゾ抵抗素子31、32、33、34を含み、温度センサー6がピエゾ抵抗素子61を含み、かつ、撓み量センサー3、温度センサー6および半導体回路9が半導体基板21の同じ面側にあるため、CMOSプロセスを利用して、撓み量センサー3および温度センサー6を半導体回路9と一括して形成することができる。そのため、この点でも、物理量センサー1の製造工程をより簡略化することができる。
また、撓み量センサー3および温度センサー6がダイアフラム24の素子周囲構造体4側に配置されているため、撓み量センサー3および温度センサー6を空洞部7内に収納することができ、そのため、撓み量センサー3および温度センサー6の劣化を防止したり、撓み量センサー3および温度センサー6の特性低下を低減したりすることができる。
次に、物理量センサー1の製造方法を簡単に説明する。
図4ないし図11は、それぞれ、図1に示す物理量センサー1の製造工程を示す図である。以下、これらの図に基づいて説明する。
[撓み量センサー・温度センサー形成工程]
まず、図4に示すように、SOI基板(第1のSi層211、SiO層212、第2のSi層213がこの順で積層している基板)からなる半導体基板21を用意し、表面を熱酸化して第1絶縁膜(シリコン酸化膜)22を形成する。次に、図5に示すように、図示しないマスクを介して第1のSi層211にリン、ボロン等の不純物をドープ(イオン注入)することで撓み量センサー3(ピエゾ抵抗素子31〜34)および温度センサー6(ピエゾ抵抗素子61)や、MOSトランジスタ91のソース電極およびドレイン電極を形成する。このイオン注入では、ピエゾ抵抗部311、321、331、341、611への不純物のドープ量が接続部332、342および配線313、323、333、343、613よりも多くなるようにイオン注入条件等を調整する。
次に、図6に示すように、第1絶縁膜22上に第2絶縁膜(シリコン窒化膜)23をスパッタリング法、CVD法等により形成する。第2絶縁膜23は、後に行われる空洞部形成工程において実施されるエッチングに対する耐性を有しており、いわゆるエッチングストップ層として機能する。次に、図7に示すように、基板2の上面に、多結晶シリコン膜(またはアモルファスシリコン膜)をスパッタリング法、CVD法等により形成し、その多結晶シリコン膜をエッチングによりパターンニングすることで、MOSトランジスタ91のゲート電極911および膜49を形成する。
[層間絶縁膜・配線層形成工程]
図8に示すように、基板2の上面に、層間絶縁膜41、43および配線層42、44を形成する。これにより、撓み量センサー3、温度センサー6およびMOSトランジスタ91等が層間絶縁膜41、43および配線層42、44で覆われた状態となる。層間絶縁膜41、43の形成は、シリコン酸化膜をスパッタリング法、CVD法等により形成し、そのシリコン酸化膜をエッチングによりパターンニングすることにより行う。層間絶縁膜41、43のそれぞれの厚さは、特に限定されないが、例えば、1500nm以上5000nm以下程度とされる。また、配線層42、44の形成は、層間絶縁膜41、43上に、例えばアルミニウムよりなる層をスパッタリング法、CVD法等により形成した後、パターニング処理することにより行う。ここで、配線層42、44のそれぞれの厚さは、特に限定されないが、例えば、300nm以上900nm以下程度とされる。
また、配線層42a、44aは、平面視で撓み量センサー3および温度センサー6を囲むように環状をなしている。また、配線層42b、44bは、半導体基板21上およびその上方に形成された配線(例えば、半導体回路9の一部を構成する配線)に電気的に接続される。
このような層間絶縁膜41、43と配線層42、44との積層構造は、通常のCMOSプロセスにより形成され、その積層数は、必要に応じて適宜に設定される。すなわち、必要に応じてさらに多くの配線層が層間絶縁膜を介して積層される場合もある。
[空洞部形成工程]
図9に示すように、スパッタリング法、CVD法等により表面保護膜45を形成した後、エッチングにより空洞部7を形成する。表面保護膜45は、一種類以上の材料を含む複数の膜層で構成され、被覆層441の細孔442を封止してしまわないように形成する。なお、表面保護膜45の構成材料としては、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、ポリイミド膜、エポキシ樹脂膜など、素子を水分、ゴミ、傷などから保護するための耐性を有するもので形成される。表面保護膜45の厚さは、特に限定されないが、例えば、500nm以上2000nm以下程度とされる。
また、空洞部7の形成は、被覆層441に形成された複数の細孔442を通じたエッチングにより、層間絶縁膜41、43の一部を除去することにより行う。ここで、かかるエッチングとしてウェットエッチングを用いる場合、複数の細孔442からフッ酸、緩衝フッ酸等のエッチング液を供給し、ドライエッチングを用いる場合、複数の細孔442からフッ化水素酸ガス等のエッチングガスを供給する。
[封止工程]
次に、図10に示すように、被覆層441上に、Al、Cu、W、Ti、TiN等の金属膜等からなる封止層46をスパッタリング法、CVD法等により形成し、各細孔442を封止する。これより、空洞部7が封止層46により封止され、また、被覆部52が形成される。封止層46の厚さは、特に限定されないが、例えば、1000nm以上5000nm以下程度とされる。
[ダイアフラム形成工程]
最後に、図11に示すように、半導体基板21の下面(第2のSi層213)の一部をウェットエッチングによって除去する。これにより、ダイアフラム24、周囲壁部26および厚肉部27が形成される。なお、ウェットエッチングの際、SiO層212がエッチングストップ層として機能する。そのため、ダイアフラム24の厚さを高精度に制御することができる。これにより、物理量センサー1を得る。
以上のような工程により、物理量センサー1を製造することができる。なお、半導体回路が有するMOSトランジスタ以外の能動素子、コンデンサ、インダクタ、抵抗、ダイオード、配線等の回路要素は、上述した適宜の工程中(例えば、振動素子形成工程、絶縁膜形成工程、被覆層形成工程、封止層形成工程)途中において作り込んでおくことができる。
<第2実施形態>
次に本発明の物理量センサーの第2実施形態について説明する。
図12は、本発明の物理量センサーの第2実施形態を示す平面図である。図13は、図12に示す温度センサーを含んだ回路を説明する図である。
以下、本発明の物理量センサーの第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
第2実施形態は、温度センサーの構成が異なること意外は、前述した第1実施形態と同様である。
図12に示すように、本実施形態の温度センサー6は、4つのピエゾ抵抗素子(温度検知素子)61、62、63、64を有している。また、これらピエゾ抵抗素子61は、ピエゾ抵抗部611、621、631、641を有し、ピエゾ抵抗部611、621、631、641の両端部にはそれぞれ配線613、623、633、643が接続されている。
ピエゾ抵抗部611、621、631、641は、平面視でダイアフラム24の外側に位置し、かつ、周囲壁部26に配置されている。また、ピエゾ抵抗部611、621、631、641は、平面視でダイアフラム24の周囲に沿って配置されている。具体的には、ピエゾ抵抗部611は、ダイアフラムの角部245近傍に配置され、角部245に繋がる辺241、243に沿って、途中でほぼ直角に屈曲して延在している。また、ピエゾ抵抗部621は、ダイアフラムの角部246近傍に配置され、角部246に繋がる辺242、244に沿って、途中でほぼ直角に屈曲して延在している。また、ピエゾ抵抗部631は、ダイアフラムの角部247近傍に配置され、角部247に繋がる辺242、243に沿って、途中でほぼ直角に屈曲して延在している。また、ピエゾ抵抗部641は、ダイアフラムの角部248近傍に配置され、角部248に繋がる辺241、244に沿って、途中でほぼ直角に屈曲して延在している。
このようなピエゾ抵抗部611、621、631、641は、それぞれ、例えば、第1のSi層211にリン、ボロン等の不純物をドープ(拡散または注入)することで構成されている。また、配線613、623、633、643は、それぞれ、例えば、第1のSi層211に、ピエゾ抵抗部611、621、631、641よりも高濃度でリン、ボロン等の不純物をドープ(拡散または注入)することで構成されている。
また、ピエゾ抵抗素子61、62、63、64は、自然状態における抵抗値が互いに等しくなるように構成されている。そして、これらのピエゾ抵抗素子61、62、63、64は、配線613、623、633、643等を介して、互いに電気的に接続され、図13に示すように、ブリッジ回路60(ホイートストンブリッジ回路)を構成している。このブリッジ回路60には、駆動電圧AVDCを供給する駆動回路(図示せず)が接続されている。そして、ブリッジ回路60は、ピエゾ抵抗素子61、62、63、64の抵抗値に応じた信号(電圧)を出力する。このような温度センサー6によれば、より精度よく温度を検知することができる。
このような第2実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
なお、温度センサー6が有するピエゾ抵抗素子の数は4つに限定されず、例えば、2つや3つであってもよい。また、温度センサー6は、ブリッジ回路60を構成していなくてもよい。
<第3実施形態>
次に本発明の物理量センサーの第3実施形態について説明する。
図14は、本発明の物理量センサーの第3実施形態を示す断面図である。
以下、本発明の物理量センサーの第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
第3実施形態は、温度センサーの配置が異なること意外は、前述した第1実施形態と同様である。
図14に示すように、本実施形態の物理量センサー1では、温度センサー6が有するピエゾ抵抗素子61(ピエゾ抵抗部611)は、平面視で、空洞部7の外側に位置している。すなわち、平面視で、ダイアフラム24と空洞部7とが重なっており、ピエゾ抵抗素子61と空洞部7とがずれている。また、ピエゾ抵抗素子61は、素子周囲構造体4の壁部51と重なる位置に配置されている。言い換えると、壁部51の内周が、平面視で、ピエゾ抵抗素子61よりもダイアフラム側に位置しているとも言える。このような構成とすることで、壁部51によって周囲壁部26が補強されるため、周囲壁部26がより撓み難くなる。したがって、ピエゾ抵抗素子61の変形による抵抗値変化をより効果的に低減することができ、温度センサー6によって撓み量センサー3の温度を精度よく検知することができる。
このような第3実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
<第4実施形態>
次に本発明の物理量センサーの第4実施形態について説明する。
図15は、本発明の物理量センサーの第4実施形態を示す断面図である。
以下、本発明の物理量センサーの第4実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
第4実施形態は、周囲壁部の形状が異なること意外は、前述した第1実施形態と同様である。
図15に示すように、本実施形態の物理量センサー1では、周囲壁部26が、ダイアフラム24の外周に接続され、厚さが厚肉部27に向けて漸増する第1テーパー部261と、第1テーパー部261の外周に接続され、厚さがほぼ一定の厚さ一定部262と、厚さ一定部262の外周に接続され、厚さが厚肉部27に向けて漸増する第2テーパー部263と、を有している。そして、平面視で、厚さ一定部262と重なるようにして、温度センサー6のピエゾ抵抗素子61(ピエゾ抵抗部611)が位置している。ただし、ピエゾ抵抗素子61の位置としては、これに限定されず、例えば、第1テーパー部261と重なるように位置していてもよいし、第2テーパー部263と重なるように位置していてもよい。
このような第4実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
2.高度計
次に、本発明の物理量センサーを備える高度計の一例について説明する。図16は、本発明の高度計の一例を示す斜視図である。
高度計200は、腕時計のように、手首に装着することができる。また、高度計200の内部には、物理量センサー1が搭載されており、表示部201に現在地の海抜からの高度、または、現在地の気圧等を表示することができる。
なお、この表示部201には、現在時刻、使用者の心拍数、天候等、様々な情報を表示することができる。
3.電子機器
次に、本発明の物理量センサーを備える電子機器を適用したナビゲーションシステムについて説明する。図17は、本発明の電子機器の一例を示す正面図である。
ナビゲーションシステム300には、図示しない地図情報と、GPS(全地球測位システム:Global Positioning System)からの位置情報取得手段と、ジャイロセンサーおよび加速度センサーと車速データとによる自立航法手段と、物理量センサー1と、所定の位置情報または進路情報を表示する表示部301とを備えている。
このナビゲーションシステムによれば、取得した位置情報に加えて高度情報を取得することができる。高度情報を得ることにより、例えば、一般道路と位置情報上は略同一の位置を示す高架道路を走行する場合、高度情報を持たない場合には、一般道路を走行しているのか高架道路を走行しているのかナビゲーションシステムでは判断できず、優先情報として一般道路の情報を使用者に提供してしまっていた。そこで、本実施形態に係るナビゲーションシステム300では、高度情報を物理量センサー1によって取得することができ、一般道路から高架道路へ進入することによる高度変化を検出し、高架道路の走行状態におけるナビゲーション情報を使用者に提供することができる。
なお、表示部301は、例えば液晶パネルディスプレイや、有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイなど、小型かつ薄型化が可能な構成となっている。
なお、本発明の物理量センサーを備える電子機器は、上記のものに限定されず、例えば、パーソナルコンピューター、携帯電話、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレーター等に適用することができる。
4.移動体
次いで、本発明の物理量センサーを備える移動体について説明する。図18は、本発明の移動体の一例を示す斜視図である。
図18に示すように、移動体400は、車体401と、4つの車輪402とを有しており、車体401に設けられた図示しない動力源(エンジン)によって車輪402を回転させるように構成されている。このような移動体400には、ナビゲーションシステム300(物理量センサー1)が内蔵されている。
以上、本発明の物理量センサー、高度計、電子機器および移動体を図示の各実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や、工程が付加されていてもよい。
また、前述した実施形態では、撓み量センサーが有する撓み量検出素子としてピエゾ抵抗素子を用いた場合を例に説明したが、本発明は、これに限定されず、例えば、フラップ型の振動子、櫛歯電極等の他のMEMS振動子や、水晶振動子等の振動素子を用いることもできる。
また、前述した実施形態では、撓み量センサーが4つのピエゾ抵抗素子を有する場合について説明したが、本発明は、これに限定されず、ピエゾ抵抗素子の数は、1つ以上3つ以下、または、5つ以上であってもよい。
1……物理量センサー
2……基板
21……半導体基板
211……第1のSi層
212……SiO
213……第2のSi層
22……第1絶縁膜
23……第2絶縁膜
24……ダイアフラム
24a……受圧面
241、242、243、244……辺
245、246、247、248……角部
25……凹部
26……周囲壁部
261……第1テーパー部
262……厚さ一定部
263……第2テーパー部
27……厚肉部
3……撓み量センサー
30……ブリッジ回路
31、32、33、34……ピエゾ抵抗素子
311、321、331、341……ピエゾ抵抗部
313、323、333、343……配線
332、342……接続部
4……素子周囲構造体
41、43……層間絶縁膜
42、42a、42b、44、44a、44b……配線層
441……被覆層
442……細孔
45……表面保護膜
46……封止層
49……膜
51……壁部
52……被覆部
6……温度センサー
60……ブリッジ回路
61、62、63、64……ピエゾ抵抗素子
611、621、631、641……ピエゾ抵抗部
613、623、633、643……配線
7……空洞部
9……半導体回路
91……MOSトランジスタ
911……ゲート電極
200……高度計
201……表示部
300……ナビゲーションシステム
301……表示部
400……移動体
401……車体
402……車輪
L……延長線
このようなピエゾ抵抗部611は、例えば、第1のSi層211にリン、ボロン等の不純物をドープ(拡散または注入)することで構成されている。また、配線613は、例えば、第1のSi層211に、ピエゾ抵抗部611よりも高濃度でリン、ボロン等の不純物をドープ(拡散または注入)することで構成されている。第1のSi層211にリン、ボロン等の不純物をドープしてピエゾ抵抗素子61を構成するとで、温度センサー6を簡単に設けることができるとともに、例えば、熱電対などの別部材をダイアフラム24の上面に重ねて設ける場合に比較して、物理量センサー1の低背化(薄型化)を図ることができる。
ただし、ピエゾ抵抗部611は、この他、例えば、周囲壁部26上に多結晶シリコン膜をスパッタリング法、CVD法等により形成し、その多結晶シリコン膜をエッチングによりパターンニングし、そこにリン、ボロン等の不純物をドープ(拡散または注入)することで構成されていてもよい。配線313、323、333、343および接続部332、342についても同様である。
以上のような工程により、物理量センサー1を製造することができる。なお、半導体回路が有するMOSトランジスタ以外の能動素子、コンデンサ、インダクタ、抵抗、ダイオード、配線等の回路要素は、上述した適宜の工程中(例えば、撓み量センサー・温度センサー形成工程、層間絶縁膜・配線層形成工程、封止工程)途中において作り込んでおくことができる。
図12に示すように、本実施形態の温度センサー6は、4つのピエゾ抵抗素子(温度検知素子)61、62、63、64を有している。また、これらピエゾ抵抗素子61、62、63、64は、ピエゾ抵抗部611、621、631、641を有し、ピエゾ抵抗部611、621、631、641の両端部にはそれぞれ配線613、623、633、643が接続されている。
このナビゲーションシステムによれば、取得した位置情報に加えて高度情報を取得することができる。例えば、一般道路と位置情報上は略同一の位置を示す高架道路を走行する場合、高度情報を持たない場合には、一般道路を走行しているのか高架道路を走行しているのかナビゲーションシステムでは判断できず、優先情報として一般道路の情報を使用者に提供してしまっていた。そこで、本実施形態に係るナビゲーションシステム300では、高度情報を物理量センサー1によって取得することができ、一般道路から高架道路へ進入することによる高度変化を検出し、高架道路の走行状態におけるナビゲーション情報を使用者に提供することができる。

Claims (14)

  1. 撓み変形可能なダイアフラムと、
    前記ダイアフラムの周囲に配置され、前記ダイアフラムから遠ざかる方向に厚さが増加する周囲壁部と、
    前記ダイアフラムに配置され、前記ダイアフラムの撓み量を検出する撓み量検出素子と、
    前記周囲壁部に配置されている温度検知素子と、
    を有することを特徴とする物理量センサー。
  2. 前記周囲壁部の厚さは、前記ダイアフラムから遠ざかる方向に連続的に増加している請求項1に記載の物理量センサー。
  3. 前記温度検知素子は、前記ダイアフラムの周囲に沿って配置されている請求項1または2に記載の物理量センサー。
  4. 前記ダイアフラムは、平面視で矩形状をなし、
    前記温度検知素子は、平面視で前記ダイアフラムの対角線の延長線上に配置されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の物理量センサー。
  5. 前記温度検知素子は、前記ダイアフラムの周囲に沿って曲がっている部分を有している請求項4に記載の物理量センサー。
  6. 前記温度検知素子は、複数配置されている請求項1ないし5のいずれか1項に記載の物理量センサー。
  7. 平面視で、前記ダイアフラム、前記温度検知素子、および圧力基準室が重なっている請求項1ないし6のいずれか1項に記載の物理量センサー。
  8. 平面視で、前記ダイアフラムと圧力基準室とが重なっていて、前記温度検知素子と前記圧力基準室とはずれている請求項1ないし6のいずれか1項に記載の物理量センサー。
  9. 前記撓み量検出素子は、ピエゾ抵抗素子である請求項1ないし8のいずれか1項に記載の物理量センサー。
  10. 前記温度検知素子は、ピエゾ抵抗素子である請求項1ないし9のいずれか1項に記載の物理量センサー。
  11. 圧力を検出する圧力センサーである請求項1ないし10のいずれか1項に記載の物理量センサー。
  12. 請求項1ないし11のいずれか1項に記載の物理量センサーを備えることを特徴とする高度計。
  13. 請求項1ないし11のいずれか1項に記載の物理量センサーを備えることを特徴とする電子機器。
  14. 請求項1ないし11のいずれか1項に記載の物理量センサーを備えることを特徴とする移動体。
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