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JP2015174995A - 粘着剤組成物、防食端子及び端子付き被覆電線 - Google Patents

粘着剤組成物、防食端子及び端子付き被覆電線 Download PDF

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JP2015174995A
JP2015174995A JP2014055107A JP2014055107A JP2015174995A JP 2015174995 A JP2015174995 A JP 2015174995A JP 2014055107 A JP2014055107 A JP 2014055107A JP 2014055107 A JP2014055107 A JP 2014055107A JP 2015174995 A JP2015174995 A JP 2015174995A
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伊藤 健二
Kenji Ito
健二 伊藤
宏伸 良知
Hironobu Yositomo
宏伸 良知
直之 鴛海
Naoyuki Oshiumi
直之 鴛海
小林 宏平
Kohei Kobayashi
宏平 小林
中村 哲也
Tetsuya Nakamura
哲也 中村
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AutoNetworks Technologies Ltd
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

【課題】端子金具が被覆電線に固定されている固定部において、端子金具と被覆電線との間に経時的に隙間が発生するのを防止して、電線導体と端子金具の電気接触部の腐食を抑制可能である、粘着剤組成物、防食端子、端子付き被覆電線及びワイヤーハーネスを提供する。
【解決手段】アクリル樹脂系粘着剤と無機フィラーを含有し、無機フィラーの吸油量が40ml/100g以上で、組成物全体の1〜10質量%の範囲で含有し、油面接着性を有する防食端子用粘着剤組成物とした。端子金具のインシュレーションバレルに、上記粘着剤組成物を用いて粘着層11を設けて防食端子10とした。更に防食端子に被覆電線を圧着することで、粘着層11がインシュレーションバレルと被覆電線の間の隙間を埋めるシール剤として形成された端子付き被覆電線を得た。
【選択図】図4

Description

本発明は、防食端子に用いられる防食端子用粘着剤組成物、該組成物を用いた防食端子、端子付き被覆電線、及びワイヤーハーネスに関するものである。
従来、自動車等の車両に配索される電線として、タフピッチ銅等からなる導体の外周に絶縁体を被覆してなる被覆電線が広く用いられている。端子付き被覆電線は、被覆電線の端末の絶縁体を皮剥ぎして露出させた導体に、端子金具が接続されている。被覆電線の端末に電気接続された端子金具は、コネクタに挿入係止される。
このような端子付き被覆電線が複数本束ねられ、ワイヤーハーネスが形成される。自動車等の車両では、通常、ワイヤーハーネスの形態で配索がなされる。エンジンルームや一部の室内環境等に、上記ワイヤーハーネスが配索される場合、熱および水の影響を受けて、電線導体と端子金具とが接触する電気接続部に錆が発生しやすくなる。そのため、このような環境下にワイヤーハーネスを配索する場合には、上記電気接続部における腐食を防止する必要がある。
上記電気接続部における腐食を防止するため、電線導体に接続された端子金具が挿入係止されているコネクタ内にグリースを注入する技術が公知である(例えば、特許文献1参照)。
特開平5−159846号公報
近年、自動車等の車両を軽量化して燃費効率を向上させるため、ワイヤーハーネスを構成する電線材料についても軽量化が求められている。そのため、電線導体にアルミニウムを用いることが検討されている。
端子金具は、電気特性に優れた銅又は銅合金等の銅系金属が一般に用いられる。アルミ電線−銅端子金具の組み合わせ等で使用され、電線導体と端子金具の材質が異なると、その電気接続部で異種金属接触による腐食が発生する。この種の腐食は、電線導体と端子金具の材質が同じである場合よりも起こりやすい。そのため、電気接続部を確実に防食することが可能な防食剤が必要となる。
ところが上記従来のグリースを用いた端子付き被覆電線は、グリースをコネクタ内に密に注入しないと、水の浸入を十分に防止して防食効果を高めることができないという問題があった。防食効果を高めようとしてグリースの充填量を多くすると、本来、防食する必要のない部分にまで、グリースが塗布されてしまうことになる。更に過度の充填は、コネクタや電線のべたつきを招き、取扱い性を低下させる。それ故、このような問題のあるグリースの代替品として、高い防食性を発揮可能な防食剤が求められている。
そこで、樹脂組成物等の防食剤を端子に塗布し、硬化させる方法が用いられる。しかしながらワイヤーハーネスが自動車等に利用される場合、使用温度範囲が大きい。特にワイヤーハーネスが高温下で連続使用されると、インシュレーションバレル部と電線被覆の間に隙間が発生するという問題があった。これは次のような理由によるものである。
端子付き被覆電線は、端子金具のインシュレーションバレルを被覆電線の被覆材の周囲に圧着して加締めることで、被覆電線の端部に端子金具が固定されている。被覆電線の被覆材は、高温で加熱されると、応力緩和や端子との線膨張率差、可塑剤の揮発等のため、経時的に被覆が痩せて細くなる。これに対し端子金具のインシュレーションバレルの形状は、高温で加熱された後でも経時的に形状が変化することがない。そのため被覆材と端子金具との間に隙間ができる。
このように端子付き被覆電線には、電線導体と端子金具の接触部が防食剤で被覆されていても、被覆材と端子金具の間に隙間が形成されると、その隙間から水分が侵入し、電線導体と端子金具の接触部を腐食させる原因になるという問題があった。
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決しようとするものであり、端子金具が被覆電線に固定されている固定部において、端子金具と被覆電線との間に経時的に隙間が発生するのを防止して、電線導体と端子金具の電気接触部の腐食を抑制可能である、粘着剤組成物、防食端子、端子付き被覆電線及びワイヤーハーネスを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の防食端子用粘着剤組成物は、
端子付き電線の端子と電線の間のシールに用いられる粘着剤組成物であって、 アクリル樹脂系粘着剤と無機フィラーを含有し、
前記無機フィラーは、吸油量が40ml/100g以上であり、組成物全体の1〜10質量%の範囲で含有し、油面接着性を有することをを要旨とするものである。
本発明の粘着剤用組成物において、前記アクリル樹脂系粘着剤が、紫外線硬化型アクリル樹脂を主成分とすることが好ましい。
本発明の防食端子は、端子接続部と電線接続部を有し、前記電線接続部が電線を圧着するためのインシュレーションバレルを有し、前記インシュレーションバレルに、上記粘着剤組成物を用いた粘着層が設けられていることを要旨とするものである。
本発明の端子付き被覆電線は、
被覆電線の電線導体が端子金具に接続され、前記端子金具が前記被覆電線に固定されている電線固定部を備え、前記電線導体と前記端子金具との接触部が防食剤により被覆されている端子付き被覆電線であって、
前記電線固定部に前記端子金具及び前記被覆電線の間の隙間を埋めるシール剤が塗布されており、前記シール剤に上記の粘着剤組成物を用いたこと要旨とするものである。
本発明の端子付き被覆電線において、前記端子金具のインシュレーションバレルと前記被覆電線の被覆材との間に、前記シール剤が塗布されていることが好ましい。
本発明の端子付き被覆電線において、前記被覆電線の導体がアルミニウム系金属であり、前記端子金具が銅系金属であり、上記接触部が異種金属接続部であることが好ましい。
本発明のワイヤーハーネスは、上記の端子付き被覆電線を有することを要旨とするものである。
本発明は、防食端子用粘着剤組成物として、アクリル樹脂系粘着剤と無機フィラーを含有し、前記無機フィラーは、吸油量が40ml/100g以上であり、組成物全体の1〜10質量%の範囲で含有し、油面接着性を有する防食性に優れたものであるから、端子金具が被覆電線に固定されている固定部において、端子金具と被覆電線との間に経時的に隙間が発生するのを防止して、電線導体と端子金具の電気接触部の腐食を抑制可能である。
本発明の防食端子は、端子接続部と電線接続部を有し、前記電線接続部が電線を圧着するためのインシュレーションバレル部を有し、前記インシュレーションバレル部に、上記の粘着剤組成物を用いた粘着層があらかじめ設けられていることにより、被覆電線とインシュレーションバレルの間に後からシール剤を塗布する必要がなく、防食端子を電線の端末に加締めて固定することで、確実に端子と被覆電線との間の隙間をシールすることが可能である。
本発明のワイヤーハーネスは、上記の端子付き被覆電線を用いたものであるから、端子金具の被覆電線に対する電線固定部の隙間からの水の浸入を防止して、長期に亘り防食性能を維持することが可能である。
図1は本発明の端子付き被覆電線の一実施例を示す外観斜視図である。 図2は図1のA−A線断面図である。 図3は図1のB−B線断面図である。 図4は本発明の防食端子の一例を示す外観斜視図であり、(a)は粘着剤組成物を塗布した状態を示し、(b)はバレル部を曲げ加工した状態を示す。
以下、図面を用いて本発明の実施例を詳細に説明する。図1は本発明の端子付き被覆電線の一実施例を示す外観斜視図である。本実施例の端子付き被覆電線1は、図1に示すように、被覆電線2の端部の電線導体3が、端子金具5の端部に圧着されて、電線導体3と端子金具5の接触部6が電気的に接続されている。端子金具5はSnめっき銅等の銅系金属を用いて形成されたものである。
被覆電線2は、アルミニウム合金製の電線導体3が、ポリ塩化ビニル樹脂等の絶縁体からなる被覆材4により被覆されている。
端子金具5は、相手側メス端子に接続されるオス端子としてのタブ状の端子接続部51と、該端子接続部51の基端より延設形成され被覆電線2を圧着するためのバレル部54とを有する。バレル部54は、端子接続部51側に設けられたワイヤバレル52と、電線導体2側に設けられたインシュレーションバレル53の二つの圧着部から構成されている。
図2は図1のA−A線断面図である。図1及び図2に示すように、被覆電線2の端部の電線導体3には、端子金具5のワイヤバレル52が加締められて圧着している。ワイヤバレル52の圧着部は、電線導体3との接触部6として形成されている。この圧着部が接触部6となって、電線導体3と端子金具5は電気的に接続されている。上記接触部6は、防食剤7により被覆されている。尚、図1は防食剤7の塗膜を透視した状態で示している。
接触部6は、電線導体3のアルミニウム合金等のアルミニウム系金属と、ワイヤバレル52の銅合金等の銅系金属との異種金属が接触した状態であり、異種金属接続部として構成されている。
図3は図1のB‐B線断面図である。図1及び図3に示すように、端子金具5のインシュレーションバレル53は、被覆電線2の被覆材4に加締められて圧着している。このインシュレーションバレル53の圧着部は、端子金具5を被覆電線2の端末に、固定、保持するための電線固定部として形成されている。
電線固定部には、端子金具5と被覆電線2との間の隙間を埋めるために用いられるシール剤8が塗布されている。シール剤8は、アクリル系粘着剤と無機フィラーを含有する粘着剤組成物から形成されている。粘着剤組成物の無機フィラーは、吸油量が40ml/g以上であり、組成物全体の1〜10質量%の範囲で含有している。粘着剤組成物のアクリル系粘着剤は、紫外線硬化型アクリル樹脂を主成分とするものである。シール剤8は、粘着剤組成物が塗布された後、紫外線の照射により、架橋して硬化している。
粘着剤組成物のアクリル系粘着剤は、少なくとも組成物全体の50質量%以上含有している。粘着剤組成物には、油面接着性等を阻害しない範囲でアクリル系粘着剤、無機フィラー以外の樹脂、添加剤等が添加されていても良い。アクリル樹脂以外の樹脂としては、ロジン誘導体、ポリテルペン樹脂等が挙げられる。また上記添加剤としては、プロセスオイル、蜜蝋等が挙げられる。
粘着剤組成物の無機フィラーは、吸油量が40ml/g未満では、十分な油面接着性が得られない虞がある。好ましい無機フィラーの吸油量は、100ml/g以上である。また吸油量の上限は、表面積大で増粘効果が大きくなることから、500ml/g以下であるのが好ましい。無機フィラーは、吸油量が小さくても、添加量を増やすことで、油面接着性を向上させることができる。しかし、アクリル系粘着剤として、紫外線硬化型アクリル樹脂を用いた場合には、添加量が多くなると紫外線による硬化性が低下することから、無機フィラーの添加量を硬化性に影響を与えない範囲とするために、吸油量を所定量以上に特定している。
無機フィラーとしては、上記吸油量を有するものであれば特に限定されない。具体的な無機フィラーとしては、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン、タルク等が挙げられる。無機フィラーの粒径は、特に限定されないが、0.1〜20μmの範囲内であるのが、分散性、平滑性等の点から好ましい。また無機フィラーの比表面積は、特に限定されないが、1〜800m/gであるのが、分散性の点から好ましい。
粘着剤組成物における無機フィラーの含有量が1質量%未満では、油面接着性が不十分となり、10質量%を超えると材料の補強効果が大きくなりすぎて、凝集破壊し難くなるので、粘着層がSnめっき銅板等の表面と界面剥離してしまう。また無機フィラーの含有量が多くなると、粘着剤組成物自体の紫外線等による硬化性が低下して、通常の硬化が不十分となる恐れがある。粘着剤組成物における無機フィラーの含有量は、使用する無機フィラーの給油量、樹脂の硬化性等に応じて、上記範囲内で適宜、選択することができる。
粘着剤組成物に用いられる紫外線硬化型アクリル樹脂は、(メタ)アクリレート成分を含む紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物(紫外線硬化型樹脂)を用いることができる。紫外線硬化性樹脂組成物は、例えば、(メタ)アクリレートモノマー等の(メタ)アクリレート成分、接着付与剤、架橋剤、光開始剤等の成分から構成することができる。(メタ)アクリレート成分を含む紫外線硬化性樹脂の組成物は、塗布後、紫外線等の光照射により短時間で硬化させることが可能であり、作業性が優れている。
上記(メタ)アクリレート化合物としては、分子中に1つ以上の(メタ)アクリレート基を有する化合物であれば特に制限されることなく、従来から公知のものを用いることができる。(メタ)アクリレート化合物は、(メタ)アクリレートオリゴマー、(メタ)クリレートモノマー等が挙げられる。本発明において、「(メタ)アクリレート」の記載は、メタクリレート及びアクリレートの意味である。
上記アクリル樹脂系粘着剤のアクリル樹脂は、紫外線硬化型(UV反応型)アクリル樹脂以外に、溶剤型アクリル樹脂等を用いてもよい。溶剤型アクリル樹脂は、アクリル酸エステルの重合体を粘着主成分とする粘着剤であり、溶液重合等で得られるものである。
溶剤型アクリル樹脂の成分としては、アクリル酸エステル共重合物、アクリル酸エステルモノマー等から構成することが好ましい。溶剤型アクリル樹脂の硬化剤としては、例えばイソシアネート、エポキシ、ウレタン、金属アルコキシド等が用いられる。
図1に示す端子付き被覆電線においてシール剤8を塗布する場所は、インシュレーションバレル53と被覆材4の間の部分である。シール剤8は、インシュレーションバレル53側、被覆材4の周囲、上記インシュレーションバレル53側と被覆材4の周囲の両方、のいずれに塗布してもよい。
シール剤8はインシュレーションバレル53と被覆材4の間に充填されていて、被覆材の周囲の全周にわたり連続的に覆われていればよい。具体的には、シール剤8は、インシュレーションバレル53の線方向前後方向の端部から内側に入り込んで塗布されていてもよい。またシール剤8は、インシュレーションバレル53の被覆電線2の線方向前後に、インシュレーションバレル53からはみ出すように被覆材4の表面に塗布されていてもよい。
シール剤8は、電線固定部における、インシュレーションバレル53等の端子金具5及び被覆材4等の被覆電線2の間に充填されていることにより、例えば被覆電線の被覆材4が熱老化等により経時的に肉痩せした場合であっても、シール剤8が架橋アクリル系粘着剤から形成されていることにより、インシュレーションバレル53と被覆材4の間に形成される隙間を埋めるようにシール剤8が変形して追随し、隙間の発生を防止することが可能である。そのため、シール剤8を用いなかった場合と比較して、インシュレーションバレル53と被覆材4の間に生じた隙間から水が浸入して、電線導体と端子金具の接触部6に水が到達してしまい、接触部6を腐食させることを良好に防止することができる。
粘着剤は、被覆電線に用いられる被覆材と端子金具の金属との間の接着力が、0.2MPa以上であることが好ましい。この場合、上記接着力は、実施例の欄に記載した油面接着力試験方法を用いて測定される値である。
粘着剤の塗布量は、特に限定されない。粘着剤の塗布量は、1.0mg/cm〜100mg/cmの範囲内であることが、均一塗布が容易で、塗布範囲を規定し易い等の理由から好ましい
図4は本発明の防食端子の一例を示す外観斜視図である。同図(a)は粘着剤組成物を塗布した状態を示し、同図(b)はバレル部を曲げ加工した状態を示している。端子付き電線の端子金具としては、図4(a)、(b)に示すように、インシュレーションバレル53に上記粘着剤組成物を用いて構成した粘着層11が設けられている防食端子10を用いることができる。防食端子10は、図1に示す端子金具と同様に、ワイヤバレル52とインシュレーションバレル53を有するバレル部54と端子接続部51とから構成されている。
防食端子10は、Snめっき銅板等を図4(a)に示す端子展開形状に打ち抜いて切断した後、インシュレーションバレル53の部分の片面側に上記粘着剤組成物を塗布し、紫外線等を照射して架橋させて粘着層11を形成する。この際、Snめっき銅版等には表面に油等が付着していいても、粘着剤組成物は油面接着性を有するため、特に前処理等を施さなくても、粘着層11を形成することが可能である。粘着層11を形成後、図4(b)に示すように、プレス加工機等でバレル部54を所定の形状に折り曲げ加工することで、防食端子10が得られる。
防食端子10において、粘着層11はシール剤8の位置に対応する位置に形成することができる。すなわち粘着層11は、インシュレーションバレル53の被覆電線と接する側となる位置に、一方の端部から他方の端部まで、連続する層として形成されている。このように予め防食端子10に粘着層11が形成されていると、シール剤を形成するために被覆電線の表面に粘着剤組成物を塗布する工程等が不要となって、端子付き被覆電線の製造が容易である。
粘着剤組成物の塗布方法は特に限定されず、各種の塗布方法を用いることができる。具体的な塗布方法としては、端子への滴下、電線のディッピング等の塗布方法が挙げられる。
端子付き電線1の被覆電線2は、自動車用ワイヤーハーネスに用いられる絶縁電線を用いることができる。被覆電線2の電線導体3は、複数の素線3aが撚り合わされてなる撚線から構成されている。撚線は、1種の金属素線より構成されていても良いし、2種以上の金属素線より構成されていても良い。また、撚線は、金属素線以外に、有機繊維よりなる素線等を含んでいても良い。なお、1種の金属素線より構成されるとは、撚線を構成する全ての金属素線が同じ金属材料よりなることをいい、2種以上の金属素線より構成されるとは、撚線中に互いに異なる金属材料よりなる金属素線を含んでいることをいう。撚線中には、被覆電線を補強するための補強線(テンションメンバ)等が含まれていても良い。
上記電線導体3を構成する金属素線の材料としては、アルミニウム合金以外に、銅、銅合金、アルミニウムもしくはこれらの材料に各種めっきが施された材料等を例示することができる。また、補強線としての金属素線の材料としては、銅合金、チタン、タングステン、ステンレス等を例示することができる。また、補強線としての有機繊維としては、ケブラー等を挙げることができる。電線導体3に用いられる金属素線としては、電線の軽量化等の点からアルミニウム又はアルミニウム合金を用いるのが好ましい。
被覆電線2に用いられる被覆材4の材料としては、特に限定されず、例えば、ゴム、ポリオレフィン、塩化ビニル樹脂(PVC)、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、二種以上を混合して用いても良い。被覆材4の材料中には、適宜、各種添加剤が添加されていても良い。添加剤としては、難燃剤、充填剤、着色剤等を挙げることができる。
端子金具5に用いられる金属板は、例えば、銅板以外に、黄銅、銅合金等の各種銅合金の金属板を用いることができる。まためっきは、スズ以外に、ニッケル、金、銀等の各種金属めっきを用いることができる。
防食剤7は、防食塗膜を形成可能な材料であればよく特に限定されず、この種の端子金具の防食剤に用いられる材料を用いることができる。好ましい防食剤7としては、(メタ)アクリレート成分を含む紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物(紫外線硬化型樹脂)が挙げられる。
電線導体3と端子金具5の接触部6の防食剤7は、厚みが0.01〜3mmの範囲となるように塗布するのが好ましい。防食剤7の厚みが厚くなりすぎると、端子金具5を相手側端子のコネクタへ挿入し難くなる恐れがある。また防食剤7の厚みが薄くなりすぎると防食性能が不十分となる恐れがある。
図1及び図2に示す端子付き被覆電線1は、防食剤7が被覆している部分は、一点鎖線で示した範囲である。図2に示すように防食剤7は端子金具5と被覆電線2の外側周囲の形状に沿って、所定の厚さで被覆している。底面は防食剤7に覆われず、端子金具5の金属が外部に露出した状態になっている。
防食剤7は、少なくとも電線導体2の露出部分を完全に被覆している。防食剤7は、被覆電線4の端部側は、電線導体2の先端から端子金具5の端子接続部51側に少しはみ出すように被覆している。また端子金具5の端部側は、絶縁体4側に少しはみ出すように被覆している。
端子付き被覆電線1は、防食剤7により被覆する部分が上記の形態に限定されず、少なくとも電線導体3が外部に露出しないように被覆されていればよい。また図1に示すように、防食剤7がバレル部54から外方にはみ出すように、被覆しても良いし、特に図示しないが端子金具5の底面を防食剤7で被覆してもよい。また端子金具5の側面が、防食剤7で被覆されていても、被覆されていなくても、いずれでもよい。
以下、端子付き被覆電線の製造方法について説明する。端子付き被覆電線1を製造するには、端子金具5と被覆電線4を準備する。端子金具5は、図4に示す防食端子10を用いることができる。一方、被覆電線2は、端末の絶縁体4を皮剥ぎして電線導体2を所定の長さだけ露出させる。
次いで被覆電線2の端末に、端子金具5を加締めてバレル部54を圧着し、電線導体3と端子金具5を接続する。圧着は、端子金具のワイヤバレル52に電線導体3を圧着し、インシュレーションバレル53に絶縁体4を圧着する。インシュレーションバレル53には、粘着層11が設けられているので、圧着後には粘着層11がインシュレーションバレル53と被覆材4の間の隙間を埋めるシール剤8となる。
次いで、電線導体3と端子金具5との接触部6の所定の範囲に防食剤7の組成物を塗布し、所定の条件で防食剤7を硬化せしめることで、端子付き被覆電線1が得られる。
また防食端子を用いる代わりに、粘着層が形成されていない端子金具を用いることができる。この場合、粘着剤組成物はインシュレーションバレル53側、被覆材4側の、いずれか一方、或いは両方に塗布し、硬化させる。シール剤8の塗布方法は特に限定されず、各種の塗布手段を用いることができ、例えば、端子への滴下、電線のディッピング等の塗布方法が挙げられる。好ましい塗布方法は、塗布量、位置精度等の点から、端子への滴下である。
防食剤7の組成物を接触部6に塗布する方法は特に限定されず、例えば、滴下法、塗布法、押し出し法等の公知の手段を用いることができる。また防食剤7の組成物を塗布する際、防食剤7の組成物を加熱、冷却等により温度調節してもよい。防食剤の組成物の硬化には、例えば紫外線照射装置や加熱装置等の硬化装置を用いることができる。
以下、本発明のワイヤーハーネスについて説明する。本発明のワイヤーハーネスは、上記端子付き被覆電線1を含む複数本の被覆電線を束ねて結束したものである。ワイヤーハーネスにおいては、被覆電線のうちの一部が本発明の端子付き被覆電線1であっても良いし、全てが本発明の端子付き被覆電線1であっても良い。
ワイヤーハーネスにおいて、複数本の被覆電線は、テープ巻きにより結束されていても良いし、或いは、丸チューブ、コルゲートチューブ、プロテクタ等の外装部品により外装されることで結束されていても、いずれでも良い。
本発明のワイヤーハーネスは、自動車等の車両に配索されるものとして好適であり、特に、被水領域のエンジンルームや車内に配索されるものとして好適である。ワイヤーハーネスがこのような場所に配索された場合、熱および水の影響を受けて、電線導体3と端子金具5との電気接続部に腐食が発生し易くなる。本発明のワイヤーハーネスは、端子付き被覆電線1における電線導体3と端子金具5の接触部6が防食剤7に覆われているので、腐食の発生を効果的に抑えることができる。更に電線固定部に端子金具及び被覆電線の間の隙間を埋めるシール剤が塗布されており、被覆電線とインシュレーションバレル等の端子金具との間に隙間から水が浸入するのを防止することができる。
実施例1〜9、比較例1〜7
下記のアクリル粘着剤と表1に示す無機フィラーを組み合わせて、表2及び表3に示す配合割合の粘着剤組成物を調製した。粘着剤組成物を用いてUV硬化性と油面接着性を試験した。試験結果を表2及び表3に示す。試験方法は下記の通りである。
〔UV硬化型アクリル粘着剤〕
・アクリル粘着剤(UV反応型):日本合成化学社製、製品名「紫光UV‐3520TL」
〔無機フィラー〕
下記の表1に示す(A)〜(F)の無機フィラーを用いた。表1の吸油量はJIS K5101により測定した値である。
Figure 2015174995
〔UV硬化性試験〕
直径10mmの貫通孔のある25mm×25mm×厚さ1mmのアルミニウム板を、Snめっき銅板(25mm×80mm)の上にマスキングとして載置し、前記貫通孔に1mmの厚さに粘着剤組成物を塗布し、下記の条件で紫外線を照射して硬化性を確認した。試験の結果、Snめっき面まで硬化していれば、良好(○)とし、Snめっき面まで硬化していなければ、不良(×)と判断した。
〔油面接着試験〕
端子金具に用いられるSnめっき銅板と、被覆電線の被覆材に用いる軟質塩化ビニル樹脂のシートを試験片として、油面接着力試験を行った。試験片の寸法は、25mm×80mm×厚さ2mmとした。先ず試験片のSnめっき銅板の表面に直径20mmの円形の領域が形成されるように周囲をマスキングし、表面に油を1.0mg/cm塗布後、前記領域内に粘着剤を所定量(60mg)塗布して硬化させて粘着剤層を形成した。他方、軟質ポリ塩化ビニルシートを、上記Snめっき銅板の表面の粘着剤の上に重ね、プレス機で圧力50MPa、30秒間プレスして、試験片を作製した。その後、試験片を常温で2日間放置した後に、引張試験を行いせん断接着強さを測定し、破壊面を観察した。引張試験の引っ張り速度は100mm/minで行った。試験の結果、両試験片に粘着剤が付着していた場合を良好(○)とし、Snめっき面で界面剥離して粘着剤の付着がない場合を不良(×)とした。
・硬化条件:1J/cm(ランプ:高圧水銀灯、光量:100mW/cm、365nm)
・軟質ポリ塩化ビニルシートの調製
ポリ塩化ビニル(重合度1300)100質量部に対して、可塑剤としてジイソノニルフタレート40質量部、充填剤として重質炭酸カルシウム20質量部、安定剤としてカルシウム亜鉛系安定剤5質量部をオープンロールにより180℃で混合し、ペレタイザーにてペレット状に成形することにより、ポリ塩化ビニル組成物を調製した。次いで、射出成型機で上記組成物を成形し、25mm×80mm×2mmに切断し試験片とした。
表2に示すように、実施例1〜3は、吸油量が150ml/100gのシリカを用いたものであり、含有量が1〜10質量%の範囲内であるため、UV硬化性、油面接着性が良好であった。実施例4、5は、吸油量が54ml/100gのタルクを用いたものであり、含有量が1〜10質量%の範囲内であるため、UV硬化性、油面接着性が良好であった。実施例6、7は、吸油量が41ml/100gの炭酸カルシウムを用いたものであり、含有量が1〜10質量%の範囲内であるため、UV硬化性、油面接着性が良好であった。実施例8、9は、吸油量が48ml/100gの酸化チタンを用いたものであり、含有量が1〜10質量%の範囲内であるため、UV硬化性、油面接着性が良好であった。
表3に示すように、比較例1は無機フィラーを含有せずアクリル粘着剤のみから構成したため、油面接着性が不良であった。比較例2は、3、5、7は、吸油量が40ml/100g以上の無機フィラーを、20質量%用いたものであるが、含有量が10質量%を超えているため、UV硬化性が不良であった。比較例4、6は無機フィラーの吸油量が40ml/100g未満であるため、含有量が10質量%では油面接着性が不良であった。
Figure 2015174995
Figure 2015174995
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
上記実施例の端子付き被覆電線1は、端子金具としてタブ状のオス端子を用いた例を示したが、これに限定されるものではない。例えば端子付き被覆電線は、端子金具としてメス端子を用いたものでもよい。また、端子金具として音叉端子等を用いても良い。
また、端子金具5のバレル部54を、インシュレーションバレルを有しないワイヤバレルのみから構成しても良い。この場合、ワイヤバレルは、電線導体と被覆材の両方に圧着し、シール剤8は被覆材とワイヤバレルの間に塗布されていればよい。
また、端子金具5のバレル部54はインシュレーションバレルのみから構成してもよい。その場合、電線導体と端子金具の接続方法としては、圧接抵抗溶接、超音波溶接、ハンダ付け等の方法を用いることができる。インシュレーションバレルは被覆電線の被覆材に圧着され、インシュレーションバレルと被覆材の間にはシール剤が塗布される。
1 端子付き被覆電線
2 被覆電線
3 電線導体
4 被覆材
5 端子金具
51 端子接続部
52 ワイヤバレル
53 インシュレーションバレル
54 バレル部
6 接触部
7 防食剤
8 シール剤
10 防食端子
11 粘着層

Claims (7)

  1. 端子付き電線の端子と電線の間のシールに用いられる粘着剤組成物であって、アクリル樹脂系粘着剤と無機フィラーを含有し、
    前記無機フィラーは、吸油量が40ml/100g以上であり、組成物全体の1〜10質量%の範囲で含有し、油面接着性を有することを特徴とする防食端子用粘着剤組成物。
  2. 前記アクリル樹脂系粘着剤が、紫外線硬化型アクリル樹脂を主成分とすることを特徴とする請求項1に記載の防食端子用粘着剤組成物。
  3. 端子接続部と電線接続部を有し、前記電線接続部が電線を圧着するためのインシュレーションバレルを有し、前記インシュレーションバレルに、請求項1又は2に記載の粘着剤組成物を用いた粘着層が設けられていることを特徴とする防食端子。
  4. 被覆電線の電線導体が端子金具に接続され、前記端子金具が前記被覆電線に固定されている電線固定部を備え、前記電線導体と前記端子金具との接触部が防食剤により被覆されている端子付き被覆電線であって、
    前記電線固定部に前記端子金具及び前記被覆電線の間の隙間を埋めるシール剤が塗布されており、前記シール剤に請求項1又は2に記載の粘着剤組成物を用いたことを特徴とする端子付き被覆電線。
  5. 前記端子金具のインシュレーションバレルと前記被覆電線の被覆材との間に、前記シール剤が塗布されていることを特徴とする請求項4に記載の端子付き被覆電線。
  6. 前記被覆電線の導体がアルミニウム系金属であり、前記端子金具が銅系金属であり、上記接触部が異種金属接続部であることを特徴とする請求項4又は5に記載の端子付き被覆電線。
  7. 請求項4〜6のいずれか1項に記載の端子付き被覆電線を有することを特徴とするワイヤーハーネス。
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