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JP2015163499A - 車両用空調装置 - Google Patents

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JP2015163499A
JP2015163499A JP2014113930A JP2014113930A JP2015163499A JP 2015163499 A JP2015163499 A JP 2015163499A JP 2014113930 A JP2014113930 A JP 2014113930A JP 2014113930 A JP2014113930 A JP 2014113930A JP 2015163499 A JP2015163499 A JP 2015163499A
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加藤 吉毅
Yoshitake Kato
吉毅 加藤
桑山 和利
Kazutoshi Kuwayama
和利 桑山
牧原 正径
Masamichi Makihara
正径 牧原
憲彦 榎本
Norihiko Enomoto
憲彦 榎本
賢吾 杉村
Kengo Sugimura
賢吾 杉村
梯 伸治
Shinji Kakehashi
伸治 梯
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Denso Corp
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Abstract

【課題】車室内への送風空気を加熱する熱交換器に導入される送風空気が低温であっても十分な性能を発揮できる車両用空調装置を提供する。
【解決手段】車室内への送風空気を発生させる送風機25と、冷媒を吸入して吐出する圧縮機21と、圧縮機21から吐出された冷媒と熱媒体とを熱交換させて熱媒体を加熱する熱媒体加熱用熱交換器15と、熱媒体加熱用熱交換器15で加熱された熱媒体と送風空気とを熱交換させて送風空気を加熱する空気加熱用熱交換器16と、熱媒体の温度Tw2が所定温度α未満であると判断される場合、熱媒体の温度Tw2が所定温度α以上であると判断される場合と比較して、熱媒体加熱用熱交換器15を流れる送風空気の流量を減少させる空気流量制御手段40eとを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両に用いられる空調装置に関する。
従来、特許文献1には、圧縮機から吐出された高温高圧の気相冷媒を、室内熱交換器で車室内への送風空気と熱交換させて車室内への送風空気を加熱する車両用空調装置が記載されている。
この従来技術では、室内熱交換器から流出した冷媒が吸熱することなく圧縮機に戻される、いわゆるホットガスサイクルを構成している。
特許第3968841号公報
ホットガスサイクルは、サイクル高圧が高いほど良い性能が得られる。すなわち、サイクル高圧が高いと吸入密度が高くなって冷媒流量が増加し、ひいてはエンタルピ差が大きくなる。
しかるに、上記従来技術によると、冬期には室内熱交換器に導入される送風空気が低温になるので、低温の送風空気が室内熱交換器で冷媒と熱交換することとなる。そのため、サイクル高圧の上昇が抑制され、十分な性能を得ることができなくなる。
この問題は、ホットガスサイクルのみならず、室内熱交換器から流出した冷媒が吸熱した後に圧縮機に戻される、いわゆるヒートポンプサイクルにおいても同様に発生する。
本発明は上記点に鑑みて、車室内への送風空気を加熱する熱交換器に導入される送風空気が低温であっても十分な性能を発揮できる車両用空調装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、
車室内への送風空気を発生させる送風機(25)と、
冷媒を吸入して吐出する圧縮機(21)と、
圧縮機(21)から吐出された冷媒と熱媒体とを熱交換させて熱媒体を加熱する熱媒体加熱用熱交換器(15)と、
熱媒体加熱用熱交換器(15)で加熱された熱媒体と送風空気とを熱交換させて送風空気を加熱する空気加熱用熱交換器(16)と、
熱媒体の温度(Tw2)が所定値(α)未満であると判断される場合、熱媒体の温度(Tw2)が所定値(α)以上であると判断される場合と比較して、空気加熱用熱交換器(16)を流れる送風空気の流量を減少させる空気流量制御手段(40e)とを備えることを特徴とする。
これによると、熱媒体の温度(Tw2)が所定値(α)未満であると判断される場合、空気加熱用熱交換器(16)を流れる送風空気の風量を減少させるので、空気加熱用熱交換器(16)における熱媒体と送風空気との熱交換が抑制され、熱媒体の温度(Tw2)が上昇する。
そのため、熱媒体加熱用熱交換器(15)における冷媒圧力を上昇させることができるので、空気加熱用熱交換器(16)に導入される送風空気が低温であっても、送風空気の温度の影響を小さくして十分な性能を発揮させることができる。
上記目的を達成するため、請求項2に記載の発明では、
冷媒を吸入して吐出する圧縮機(21)と、
圧縮機(21)から吐出された冷媒と熱媒体とを熱交換させて熱媒体を加熱する熱媒体加熱用熱交換器(15)と、
熱媒体加熱用熱交換器(15)で加熱された熱媒体と車室内へ流れる空気とを熱交換させて空気を加熱する空気加熱用熱交換器(16)と、
空気加熱用熱交換器(16)を流れる空気の流量を制御する空気流量制御手段(25、35、40e、40h)とを備え、
熱媒体の温度(Tw2)が所定値(α)未満であると判断される場合、熱媒体の温度(Tw2)が所定値(α)以上であると判断される場合と比較して、空気加熱用熱交換器(16)を流れる空気の流量を空気流量制御手段(25、35、40e、40h)で減少させることによって、冷媒の熱を利用して熱媒体の蓄熱量を増加させることを特徴とする。
これによると、熱媒体の温度(Tw2)が所定値(α)未満であると判断される場合、空気加熱用熱交換器(16)における熱媒体と空気との熱交換を抑制することによって、圧縮機(21)から吐出された冷媒の熱を利用して熱媒体の蓄熱量を増加させるので、圧縮機(21)から吐出された冷媒の温度を過度に上昇させることなく熱媒体の温度(Tw2)を上昇させて熱媒体加熱用熱交換器(15)における冷媒圧力を上昇させることができる。
したがって、圧縮機(21)から吐出された冷媒の温度が過度に上昇して圧縮機(21)の効率が低下することを抑制できるので、冷凍サイクル(20)の効率を向上でき、ひいては十分な性能を発揮できる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
第1実施形態における車両用空調装置の全体構成図である。 第1実施形態における車両用空調装置の制御装置が実行する制御処理を示すフローチャートである。 第1実施形態における車両用空調装置をホットガスサイクルにした場合のモリエル線図を示している。 第1実施形態における車両用空調装置の冷却水温度と加熱能力との関係を示すグラフである。 第2実施形態における車両用空調装置の全体構成図である。 第2実施形態における補助ヒータ等の構成図である。 第2実施形態における車両用空調装置の電気制御部を示すブロック図である。 第2実施形態における車両用空調装置の制御装置が実行する制御処理を示すフローチャートである。 第2実施形態における車両用空調装置の通常暖房モードの作動を示す全体構成図である。 第2実施形態における車両用空調装置の制御装置がウォームアップ暖房モード時に実行する制御処理を示すフローチャートである。 第2実施形態における車両用空調装置のヒータコアバイパスウォームアップ暖房モードの作動を示す全体構成図である。 第2実施形態における車両用空調装置の廃熱利用ウォームアップ暖房モードの作動を示す全体構成図である。 第2実施形態における車両用空調装置の制御処理において、補助ヒータ通過風量の算出に用いられる制御特性図である。 第2実施形態における車両用空調装置の制御装置において、ブロワレベルの算出に用いられる制御特性図である。 第3実施形態における車両用空調装置の全体構成図である。 第4実施形態における冷却水加熱用熱交換器の模式図である。 第5実施形態における車両用空調装置の制御装置が実行する制御処理を示すフローチャートである。 第6実施形態における車両用空調装置の制御装置が実行する制御処理を示すフローチャートである。 第7実施形態における車両用空調装置の制御装置が実行する制御処理を示すフローチャートである。
以下、実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
以下、第1実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。図1に示す車両用熱管理装置10は、車両が備える各種機器や車室内を適切な温度に調整するために用いられる。本実施形態では、車両用熱管理装置10を、エンジン(内燃機関)および走行用電動モータから車両走行用の駆動力を得るハイブリッド自動車に適用している。
本実施形態のハイブリッド自動車は、車両停車時に外部電源(商用電源)から供給された電力を、車両に搭載された電池(車載バッテリ)に充電可能なプラグインハイブリッド自動車として構成されている。電池としては、例えばリチウムイオン電池を用いることができる。
エンジンから出力される駆動力は、車両走行用として用いられるのみならず、発電機を作動させるためにも用いられる。そして、発電機にて発電された電力および外部電源から供給された電力を電池に蓄わえることができ、電池に蓄えられた電力は、走行用電動モータのみならず、車両用熱管理装置10を構成する電動式構成機器をはじめとする各種車載機器に供給される。
車両用熱管理装置10は、第1ポンプ11、第2ポンプ12、室外熱交換器13、冷却水冷却用熱交換器14、冷却水加熱用熱交換器15およびヒータコア16を備えている。
第1ポンプ11および第2ポンプ12は、冷却水(熱媒体)を吸入して吐出する電動ポンプである。冷却水は、熱媒体としての流体である。本実施形態では、冷却水として、少なくともエチレングリコール、ジメチルポリシロキサンもしくはナノ流体を含む液体、または不凍液体が用いられている。
室外熱交換器13、冷却水冷却用熱交換器14、冷却水加熱用熱交換器15およびヒータコア16は、冷却水が流通する冷却水流通機器(熱媒体流通機器)である。
室外熱交換器13は、冷却水と外気(車室外空気)とを熱交換する冷却水外気熱交換器(熱媒体外気熱交換器)である。室外熱交換器13は、車両の最前部に配置されている。室外熱交換器13には、室外送風機17によって外気が送風される。車両の走行時には室外熱交換器13に走行風を当てることができるようになっている。
室外送風機17は、室外熱交換器13へ向けて外気を送風する送風手段である。室外送風機17は、ファンを電動モータにて駆動する電動送風機である。
室外熱交換器13を流通する冷却水の温度が外気の温度よりも低い場合、室外熱交換器13は、外気の熱を冷却水に吸熱させる吸熱器として機能する。室外熱交換器13を流通する冷却水の温度が外気の温度よりも高い場合、室外熱交換器13は、冷却水の熱を外気に放熱させる放熱器として機能する。
冷却水冷却用熱交換器14は、冷凍サイクル20の低圧側冷媒と冷却水とを熱交換させることによって冷却水を冷却する低圧側熱交換器(熱媒体冷却用熱交換器)である。冷却水冷却用熱交換器14では冷却水を外気の温度よりも低温まで冷却することができる。
冷却水加熱用熱交換器15は、冷凍サイクル20の高圧側冷媒と冷却水とを熱交換させることによって冷却水を加熱する高圧側熱交換器(熱媒体加熱用熱交換器)である。
冷凍サイクル20は、圧縮機21、冷却水加熱用熱交換器15、膨張弁22および冷却水冷却用熱交換器14を備える蒸気圧縮式冷凍機である。本実施形態の冷凍サイクル20では、冷媒としてフロン系冷媒を用いており、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない亜臨界冷凍サイクルを構成している。
圧縮機21は、電池から供給される電力によって駆動される電動圧縮機、またはベルトによって駆動される可変容量圧縮機であり、冷凍サイクル20の冷媒を吸入して圧縮して吐出する。冷却水加熱用熱交換器15は、圧縮機21から吐出された高圧側冷媒と冷却水とを熱交換させることによって高圧側冷媒を凝縮させる凝縮器である。
膨張弁22は、冷却水加熱用熱交換器15から流出した液相冷媒を減圧膨張させる減圧手段である。冷却水冷却用熱交換器14は、膨張弁22で減圧膨張された低圧冷媒と冷却水とを熱交換させることによって低圧冷媒を蒸発させる蒸発器である。冷却水冷却用熱交換器14で蒸発した気相冷媒は圧縮機21に吸入されて圧縮される。
ヒータコア16は、冷却水と車室内への送風空気とを熱交換させて車室内への送風空気を加熱する空気加熱用熱交換器(熱媒体空気熱交換器)である。ヒータコア16では、冷却水が顕熱変化にて送風空気に放熱する。すなわち、ヒータコア16では、冷却水が送風空気に放熱しても冷却水が液相のままで相変化しない。ヒータコア16には、室内送風機25によって内気、外気、または内気と外気との混合空気が送風される。
室内送風機25は、車室内へ向けて送風される送風空気を発生する送風手段である。室内送風機25は、遠心多翼ファン(シロッコファン)を電動モータ(ブロワモータ)にて駆動する電動送風機である。
第1ポンプ11、冷却水冷却用熱交換器14および室外熱交換器13は、第1冷却水回路C1(第1熱媒体回路)に配置されている。第1冷却水回路C1は、冷却水(第1熱媒体)が第1ポンプ11→冷却水冷却用熱交換器14→室外熱交換器13→第1ポンプ11の順に循環するように構成されている。
第2ポンプ12、冷却水加熱用熱交換器15およびヒータコア16は、第2冷却水回路C2(第2熱媒体回路)に配置されている。第2冷却水回路C2は、冷却水(第2熱媒体)が第2ポンプ12→ヒータコア16→冷却水加熱用熱交換器15→第2ポンプ12の順に循環するように構成されている。
第2冷却水回路C2には、バイパス流路26および流量調整弁27が設けられている。バイパス流路26は、冷却水がヒータコア16をバイパスして流れる流路である。流量調整弁27は、バイパス流路26を流れる冷却水の流量を調整する電磁弁である。
ヒータコア16および室内送風機25は、車両用空調装置の室内空調ユニット30のケーシング31に収容されている。室内空調ユニット30は、車室内最前部の計器盤(インストルメントパネル)の内側に配置されている。ケーシング31は、室内空調ユニット30の外殻を形成している。
ケーシング31は、車室内に送風される車室内送風空気の空気通路を形成しており、ある程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂(例えば、ポリプロピレン)にて成形されている。
ケーシング31内の車室内送風空気流れ最上流側には、内気導入口および外気導入口が形成されている。内気導入口は、ケーシング31内に内気を導入させる内気導入手段である。外気導入口は、ケーシング31内に外気を導入させる外気導入手段である。
ケーシング31の空気流れ最下流部には、車室内へ空調風を吹き出すための開口部が形成されている。開口部の空気流れ下流側は、空気通路を形成するダクトを介して、車室内に設けられた吹出口(図示せず)に接続されている。
制御装置40は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成され、そのROM内に記憶された空調制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された第1ポンプ11、第2ポンプ12、圧縮機21、室外送風機17、室内送風機25、流量調整弁27等の作動を制御する制御手段である。
制御装置40は、その出力側に接続された各種制御対象機器を制御する制御手段が一体に構成されたものであるが、それぞれの制御対象機器の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)が、それぞれの制御対象機器の作動を制御する制御手段を構成している。
制御装置40のうち第1ポンプ11の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)は、第1冷却水流量制御手段40a(第1熱媒体流量制御手段)を構成している。第1冷却水流量制御手段40aは、制御装置40に対して別体で構成されていてもよい。
制御装置40のうち第2ポンプ12の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)は、第2冷却水流量制御手段40b(第2熱媒体流量制御手段)を構成している。第2冷却水流量制御手段40bは、制御装置40に対して別体で構成されていてもよい。
制御装置40のうち圧縮機21の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)は、冷媒流量制御手段40cを構成している。冷媒流量制御手段40cは、制御装置40に対して別体で構成されていてもよい。
制御装置40のうち室外送風機17の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)は、空気流量制御手段40dを構成している。空気流量制御手段40dは、制御装置40に対して別体で構成されていてもよい。
制御装置40のうち室内送風機25の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)は、送風機制御手段40eを構成している。送風機制御手段40eは、ヒータコア16を流れる送風空気の流量を制御する空気流量制御手段である。空気流量制御手段40eは、制御装置40に対して別体で構成されていてもよい。
制御装置40のうち流量調整弁27の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)は、流量調整弁制御手段40fを構成している。流量調整弁制御手段40fは、バイパス流路26および流量調整弁27とともに、ヒータコア16を流れる冷却水の流量を制御する冷却水流量制御手段(熱媒体流量制御手段)を構成している。流量調整弁制御手段40fは、制御装置40に対して別体で構成されていてもよい。
制御装置40の入力側には、内気センサ41、外気センサ42、日射センサ43、冷却水温度センサ46等のセンサ群の検出信号が入力される。
内気センサ41は、内気温(車室内温度)を検出する検出手段(内気温度検出手段)である。外気センサ42は、外気温(車室外温度)を検出する検出手段(外気温度検出手段)である。日射センサ43は、車室内の日射量を検出する検出手段(日射量検出手段)である。
冷却水温度センサ46は、第2冷却水回路C2の冷却水温度を検出する検出手段(熱媒体温度検出手段)である。冷却水温度センサ46は、第2冷却水回路C2の任意の場所に設置すればよい。
なお、内気温、外気温、日射量、第2冷却水回路C2の冷却水温度を、種々の物理量の検出値に基づいて推定するようにしてもよい。
制御装置40の入力側には、空調操作パネル50の操作部材からの種々な空調操作信号が入力される。空調操作パネル50は、車室内の計器盤付近に配置されている。空調操作パネル50には、車室内の設定温度を設定する温度設定スイッチ、圧縮機21の作動・停止を切り替えるエアコンスイッチ、室内送風機25の風量を切り替える風量切替スイッチ等が設けられている。
次に、上記構成における作動を説明する。制御装置40が第1ポンプ11、第2ポンプ12および圧縮機21を作動させると、冷凍サイクル20に冷媒が循環し、第1冷却水回路C1に冷却水が循環し、第2冷却水回路C2に冷却水が循環する。
冷却水冷却用熱交換器14では、冷凍サイクル20の冷媒が第1冷却水回路C1の冷却水から吸熱するので、第1冷却水回路C1の冷却水が冷却される。冷却水冷却用熱交換器14で吸熱した冷媒は、冷却水加熱用熱交換器15で第2冷却水回路C2の冷却水へ放熱する。これにより、第2冷却水回路C2の冷却水が加熱される。冷却水加熱用熱交換器15で加熱された第2冷却水回路C2の冷却水は、ヒータコア16で車室内への送風空気に放熱する。これにより、車室内への送風空気が加熱される。
冷却水冷却用熱交換器14で冷却された第1冷却水回路C1の冷却水は、室外熱交換器13で外気から吸熱する。
室外熱交換器13で吸熱した外気の熱は、冷凍サイクル20の冷媒を介して冷却水冷却用熱交換器14で第2冷却水回路C2の冷却水に放熱されるので、外気から吸熱するヒートポンプ運転を実現できる。
ヒートポンプ運転時の作動に対して第1ポンプ11および室外送風機17の少なくとも一方を停止させた場合、外気から吸熱しないホットガスサイクルにすることができる。
制御装置40は、図2のフローチャートに示す制御処理を実行する。ステップS100では、第2冷却水回路C2の冷却水の温度Tw2が所定値αを下回っているか否かを判定する。所定値αは、予め制御装置40に記憶されている固定値である。制御装置40は、所定値αを少なくとも外気温度に基づいて算出してもよい。換言すれば、制御装置40は、所定値αを算出する算出手段を構成していてもよい。
例えば、所定値αを、目標吹出温度TAOと同じ値にしてもよい。目標吹出温度TAOは、以下の数式により算出される。
TAO=Kset×Tset−Kr×Tr−Kam×Tam−Ks×Ts+C
Tsetは車室内温度設定スイッチによって設定された車室内設定温度、Trは内気センサ41によって検出された車室内温度(内気温)、Tamは外気センサ42によって検出された外気温、Tsは日射センサ43によって検出された日射量である。Kset、Kr、Kam、Ksは制御ゲインであり、Cは補正用の定数である。
目標吹出温度TAOは、車室内を所望の温度に保つために車両用空調装置が生じさせる必要のある熱量に相当するもので、車両用空調装置に要求される空調熱負荷(冷房負荷および暖房負荷)として捉えることができる。すなわち、車両用空調装置に要求される冷房負荷が高い場合、目標吹出温度TAOは低温域になり、車両用空調装置に要求される暖房負荷が高い場合、目標吹出温度TAOは高温域になる。
ステップS100において第2冷却水回路C2の冷却水の温度Tw2が所定値αを下回っていると判定した場合、ステップS110へ進み、室内送風機25を停止させる。これにより、ヒータコア16で冷却水と車室内への送風空気とが熱交換されないので、第2冷却水回路C2の冷却水の温度Tw2が上昇する。
ステップS100において第2冷却水回路C2の冷却水の温度Tw2が所定値αを下回っていないと判定した場合、ステップS120へ進み、室内送風機25を作動させる。これにより、ヒータコア16で冷却水と車室内への送風空気とが熱交換されるので、車室内への送風空気が加熱されて暖房が行われる。
図3は、第1ポンプ11および室外送風機17の少なくとも一方を停止させてホットガスサイクルにした場合のモリエル線図を示している。図3は、第2冷却水回路C2の冷却水の温度Tw2が高いほど、サイクル高圧が上昇することを示している。
ホットガスサイクルは、サイクル高圧が高いほど良い性能が得られる。すなわち、サイクル高圧が高いと吸入密度が高くなって冷媒流量が増加し、ひいてはエンタルピ差が大きくなる。そのため、図4に示すように、第2冷却水回路C2の冷却水の温度Tw2が高いほど、高い加熱能力が得られる。
第1ポンプ11および室外送風機17を作動させてヒートポンプサイクルにした場合も、ホットガスサイクルにした場合と同様に、第2冷却水回路C2の冷却水の温度Tw2が高いほど、高い加熱能力が得られる。
制御装置40は、第2冷却水回路C2の冷却水の温度Tw2が所定温度αに近づくように、ヒータコア16を流れる送風空気の風量を制御するようにしてもよい。例えば、第2冷却水回路C2の冷却水の温度Tw2が所定温度αよりも低い場合、ヒータコア16を流れる送風空気の風量を減少させ、第2冷却水回路C2の冷却水の温度Tw2が所定温度αよりも高い場合、ヒータコア16を流れる送風空気の風量を増加させるようにすればよい。
ヒータコア16を流れる送風空気の風量の増減は、室内送風機25の送風能力(回転数)を制御することによって行うことができる。ヒータコア16を流れる送風空気の風量の増減は、エアミックスドア(図示せず)の開度を制御することによっても行うことができる。
エアミックスドアは、ヒータコア16を流れる送風空気の風量と、ヒータコア16を迂回して流れる送風空気の風量との風量割合を調整する風量割合調整手段である。エアミックスドアは、ヒータコア16を流れる送風空気の風量を制御する空気流量制御手段である。
制御装置40は、第2冷却水回路C2の冷却水の温度Tw2が所定温度αに近づくように、ヒータコア16を流れる冷却水の流量を制御するようにしてもよい。例えば、第2冷却水回路C2の冷却水の温度Tw2が所定温度αよりも低い場合、ヒータコア16を流れる冷却水の流量を減少させ、第2冷却水回路C2の冷却水の温度Tw2が所定温度αよりも高い場合、ヒータコア16を流れる冷却水の流量を増加させるようにすればよい。
ヒータコア16を流れる冷却水の流量の増減は、流量制御弁27の開度を制御を制御することによって行うことができる。ヒータコア16を流れる冷却水の流量の増減は、第2ポンプ12の冷却水吐出能力(回転数)を制御することによっても行うことができる。
本実施形態では、制御装置40は、第2冷却水回路C2の冷却水の温度Tw2が所定温度α未満であると判断される場合、第2冷却水回路C2の冷却水の温度Tw2が所定温度α以上であると判断される場合と比較して、ヒータコア16を流れる送風空気の流量を減少させる。
これによると、第2冷却水回路C2の冷却水の温度Tw2が所定温度α未満であると判断される場合、ヒータコア16を流れる送風空気の風量を減少させるので、ヒータコア16における冷却水と送風空気との熱交換が抑制され、冷却水の温度Tw2が上昇する。そのため、冷却水加熱用熱交換器15における冷媒圧力を上昇させることができるので、送風空気の温度の影響を小さくして十分な性能を発揮させることができる。
また、ヒータコア16における冷却水と送風空気との熱交換が抑制されるので、圧縮機21から吐出された冷媒の熱を利用して第2冷却水回路C2の冷却水の蓄熱量を増加させることができる。
そのため、圧縮機21から吐出された冷媒の温度を過度に上昇させることなく冷却水の温度Tw2を上昇させて冷却水加熱用熱交換器15における冷媒圧力を上昇させることができる。
したがって、圧縮機21から吐出された冷媒の温度が過度に上昇して圧縮機21の効率が低下することを抑制できるので、冷凍サイクル20の効率を向上できる。その結果、十分な性能を発揮できるので、暖房効率を向上できる。
具体的には、制御装置40は、冷却水の温度Tw2が所定温度α未満であると判断される場合、送風機25を停止させ、冷却水の温度Tw2が所定温度α以上であると判断される場合、送風機25を作動させる。
制御装置40は、冷却水の温度Tw2が所定温度α未満であると判断される場合、送風機25の送風能力(回転数)を減少させ、冷却水の温度Tw2が所定温度α以上であると判断される場合、送風機25の送風能力(回転数)を増加させるようにしてもよい。
これにより、冷却水加熱用熱交換器15における冷媒圧力を確実に上昇させることができるので、十分な性能を確実に発揮させることができる。
特に、冷媒が外部から吸熱することなく循環するホットガスサイクルにしている場合、性能を顕著に向上できる。
本実施形態において、制御装置40は、第2冷却水回路C2の冷却水の温度Tw2が所定温度αに近づくように、ヒータコア16を流れる送風空気の流量を制御してもよい。これにより、高い性能を安定して発揮できる。
本実施形態において、制御装置40は、第2冷却水回路C2の冷却水の温度Tw2が所定温度αに近づくように、ヒータコア16を流れる冷却水の流量を制御してもよい。これにより、高い性能を安定して発揮できる。特に、冷却水は、空気よりも温度変動が少ないため、第2冷却水回路C2の冷却水の温度Tw2を良好に制御できる。
例えば、ヒータコア16を流れる冷却水の流量の制御を流量制御弁27によって行えば、第2冷却水回路C2の全体の冷却水流量を変化させることなくヒータコア16を流れる冷却水の流量を制御できる。
本実施形態において、制御装置40は、第2冷却水回路C2の冷却水の温度Tw2が所定温度αに近づくように、圧縮機21から吐出される冷媒の流量を制御してもよい。これにより、高い性能を安定して発揮できる。
具体的には、圧縮機21の回転数(冷媒吐出能力)を制御することによって、圧縮機21から吐出される冷媒の流量を制御できる。
本実施形態において、制御装置40は、所定温度αを、少なくとも外気温度に基づいて算出してもよい。これにより、外気温度等の環境条件の変化に応じて十分な性能を発揮させることが可能になる。
(第2実施形態)
図5に示すように、本実施形態の熱管理システム10は、クーラコア51、インバータ52、電池温調用熱交換器53、冷却水冷却水熱交換器54、第1切替弁55および第2切替弁56を備えている。
クーラコア51は、冷却水が流通する冷却水流通機器(熱媒体流通機器)である。クーラコア51は、冷却水と車室内への送風空気とを熱交換させて車室内への送風空気を冷却する空気冷却用熱交換器(熱媒体空気熱交換器)である。
クーラコア51では、冷却水が顕熱変化にて送風空気から吸熱する。すなわち、クーラコア51では、冷却水が送風空気から吸熱しても冷却水が液相のままで相変化しない。クーラコア51には、室内送風機25によって内気、外気、または内気と外気との混合空気が送風される。
インバータ52、電池温調用熱交換器53および冷却水冷却水熱交換器54は、冷却水が流通する流路を有し、冷却水との間で熱授受が行われる熱授受機器(温度調整対象機器)である
インバータ52は、電池から供給された直流電力を交流電圧に変換して走行用電動モータに出力する電力変換装置である。インバータ52は、作動に伴って発熱する発熱機器である。
電池温調用熱交換器53は、電池と冷却水とを熱交換する熱交換器である。電池温調用熱交換器53は、電池に接触配置されていて、電池との間で熱伝導が行われる熱交換器である。電池温調用熱交換器53は、電池への送風経路に配置されていて、送風空気と冷却水とを熱交換する熱交換器(空気熱媒体熱交換器)であってもよい。
冷却水冷却水熱交換器54は、車両用熱管理システム10の冷却水(第1ポンプ11または第2ポンプ12によって循環される冷却水)と、エンジン冷却回路70の冷却水(エンジン用熱媒体)とを熱交換する熱交換器(熱媒体熱媒体熱交換器)である。
第1ポンプ11は、第1ポンプ用流路61に配置されている。第1ポンプ用流路61において第1ポンプ11の吐出側には、冷却水冷却用熱交換器14が配置されている。
第2ポンプ12は、第2ポンプ用流路62に配置されている。第2ポンプ用流路62において第2ポンプ12の吐出側には、冷却水加熱用熱交換器15が配置されている。
室外熱交換器13は、室外熱交換器用流路63に配置されている。クーラコア51は、クーラコア用流路64に配置されている。ヒータコア16は、ヒータコア用流路65に配置されている。
インバータ52は、インバータ用流路66に配置されている。電池温調用熱交換器53は、電池温調用流路67に配置されている。冷却水冷却水熱交換器54は、冷却水冷却水熱交換器用流路68に配置されている。
第1ポンプ用流路61、第2ポンプ用流路62、室外熱交換器用流路63、クーラコア用流路64、ヒータコア用流路65、インバータ用流路66、電池温調用流路67および冷却水冷却水熱交換器用流路68は、第1切替弁55および第2切替弁56に接続されている。第1切替弁55および第2切替弁56は、冷却水の流れを切り替える切替手段である。
第1切替弁55は、冷却水の入口として第1入口55aおよび第2入口55bを有し、冷却水の出口として第1出口55c、第2出口55d、第3出口55e、第4出口55f、第5出口55g、第6出口55h、第7出口55iを有している。
第2切替弁56は、冷却水の出口として第1出口56aおよび第2出口56bを有し、冷却水の入口として第1入口56c、第2入口56d、第3入口56e、第4入口56f、第5入口56g、第6入口56h、第7入口56iを有している。
第1切替弁55の第1入口55aには、第1ポンプ用流路61の一端が接続されている。換言すれば、第1切替弁55の第1入口55aには、冷却水冷却用熱交換器14の冷却水出口側が接続されている。
第1切替弁55の第2入口55bには、第2ポンプ用流路62の一端が接続されている。換言すれば、第1切替弁55の第2入口55bには、冷却水加熱用熱交換器15の冷却水出口側が接続されている。
第1切替弁55の第1出口55cには、室外熱交換器用流路63の一端が接続されている。換言すれば、第1切替弁55の第1出口55cには室外熱交換器13の冷却水入口側が接続されている。
第1切替弁55の第2出口55dには、クーラコア用流路64の一端が接続されている。換言すれば、第1切替弁55の第2出口55dにはクーラコア51の冷却水入口側が接続されている。
第1切替弁55の第3出口55eには、ヒータコア用流路65の一端が接続されている。換言すれば、第1切替弁55の第3出口55eにはヒータコア16の冷却水入口側が接続されている。
第1切替弁55の第4出口55fには、インバータ用流路66の一端が接続されている。換言すれば、第1切替弁55の第4出口55fにはインバータ52の冷却水入口側が接続されている。
第1切替弁55の第5出口55gには、電池温調用流路67の一端が接続されている。換言すれば、第1切替弁55の第5出口55gには電池温調用熱交換器53の冷却水入口側が接続されている。
第1切替弁55の第6出口55hには、冷却水冷却水熱交換器用流路68の一端が接続されている。換言すれば、第1切替弁55の第6出口55hには冷却水冷却水熱交換器54の冷却水入口側が接続されている。
第1切替弁55の第7出口55iには、バイパス流路26の一端が接続されている。
第2切替弁56の第1出口56aには、第1ポンプ用流路61の他端が接続されている。換言すれば、第2切替弁56の第1出口56aには、第1ポンプ11の冷却水吸入側が接続されている。
第2切替弁56の第2出口56bには、第2ポンプ用流路62の他端が接続されている。換言すれば、第2切替弁56の第2出口56bには、第2ポンプ12の冷却水吸入側が接続されている。
第2切替弁56の第1入口56cには、室外熱交換器用流路63の他端が接続されている。換言すれば、第2切替弁56の第1入口56cには室外熱交換器13の冷却水出口側が接続されている。
第2切替弁56の第2入口55dには、クーラコア用流路64の他端が接続されている。換言すれば、第2切替弁56の第2入口55dにはクーラコア51の冷却水出口側が接続されている。
第2切替弁56の第3入口55eには、ヒータコア用流路65の他端が接続されている。換言すれば、第2切替弁56の第3入口55eにはヒータコア16の冷却水出口側が接続されている。
第2切替弁56の第4入口55fには、インバータ用流路66の他端が接続されている。換言すれば、第2切替弁56の第4入口55fにはインバータ52の冷却水出口側が接続されている。
第2切替弁56の第5入口55gには、電池温調用流路67の他端が接続されている。換言すれば、第2切替弁56の第5入口55gには電池温調用熱交換器53の冷却水出口側が接続されている。
第2切替弁56の第6入口55hには、冷却水冷却水熱交換器用流路68の他端が接続されている。換言すれば、第2切替弁56の第6入口55hには冷却水冷却水熱交換器54の冷却水出口側が接続されている。
第2切替弁56の第7入口55iには、バイパス流路26の他端が接続されている。
第1切替弁55および第2切替弁56は、各入口と各出口との連通状態を任意または選択的に切り替え可能な構造になっている。
具体的には、第1切替弁55は、室外熱交換器13、クーラコア51、ヒータコア16、インバータ52、電池温調用熱交換器53、冷却水冷却水熱交換器54およびバイパス流路26のそれぞれについて、第1ポンプ11から吐出された冷却水が流入する状態と、第2ポンプ12から吐出された冷却水が流入する状態と、第1ポンプ11から吐出された冷却水および第2ポンプ12から吐出された冷却水が流入しない状態とを切り替える。
第2切替弁56は、室外熱交換器13、クーラコア51、ヒータコア16、インバータ52、電池温調用熱交換器53、冷却水冷却水熱交換器54およびバイパス流路26のそれぞれについて、第1ポンプ11へ冷却水が流出する状態と、第2ポンプ12へ冷却水が流出する状態と、第1ポンプ11および第2ポンプ12へ冷却水が流出しない状態とを切り替える。
第1切替弁55および第2切替弁56は、弁開度を調整可能になっている。これにより、室外熱交換器13、クーラコア51、ヒータコア16、インバータ52、電池温調用熱交換器53、冷却水冷却水熱交換器54およびバイパス流路26を流れる冷却水の流量を調整できる。
したがって、第1切替弁55および第2切替弁56は、各冷却水流通機器13、16、51、52、53、54およびバイパス流路26を流れる冷却水の流量を調整する流量調整弁である。
第1切替弁55および第2切替弁56は、第1ポンプ11から吐出された冷却水と、第2ポンプ12から吐出された冷却水とを任意の流量割合で混合して、室外熱交換器13、クーラコア51、ヒータコア16、インバータ52、電池温調用熱交換器53、冷却水冷却水熱交換器54およびバイパス流路26に流入させることが可能になっている。
クーラコア51およびヒータコア16は、車両用空調装置の室内空調ユニット30のケーシング31に収容されている。
ケーシング31内の空気流れ最上流側には、内外気切替箱32が配置されている。内外気切替箱32は、内気(車室内空気)と外気(車室外空気)とを切替導入する内外気導入手段である。
内外気切替箱32には、ケーシング31内に内気を導入させる内気吸込口32a、および外気を導入させる外気吸込口32bが形成されている。内外気切替箱32の内部には、内外気切替ドア33が配置されている。
内外気切替ドア33は、ケーシング31内に導入される内気と外気との風量割合を変化させる風量割合変更手段である。具体的には、内外気切替ドア33は、内気吸込口32aおよび外気吸込口32bの開口面積を連続的に調整して、内気の風量と外気の風量との風量割合を変化させる。内外気切替ドア33は、電動アクチュエータ(図示せず)によって駆動される。
内外気切替箱32の空気流れ下流側には、室内送風機25(ブロワ)が配置されている。室内送風機25は、内外気切替箱32を介して吸入した空気(内気および外気)を車室内へ向けて送風する送風手段である。
ケーシング31内において室内送風機25の空気流れ下流側には、クーラコア51およびヒータコア16が配置されている。
ケーシング31の内部においてクーラコア51の空気流れ下流側部位には、ヒータコアバイパス通路31aが形成されている。ヒータコアバイパス通路31aは、クーラコア51を通過した空気を、ヒータコア16を通過させずに流す空気通路である。
ケーシング31の内部においてクーラコア51とヒータコア16との間には、エアミックスドア35が配置されている。
エアミックスドア35は、ヒータコア16へ流入させる空気と、ヒータコアバイパス通路31aへ流入させる空気との風量割合を連続的に変化させる風量割合調整手段である。エアミックスドア35は、回動可能な板状ドアや、スライド可能なドア等であり、電動アクチュエータ(図示せず)によって駆動される。
ヒータコア16を通過する空気とヒータコアバイパス通路31aを通過する空気との風量割合によって、車室内へ吹き出される吹出空気の温度が変化する。したがって、エアミックスドア35は、車室内へ吹き出される吹出空気の温度を調整する温度調整手段である。
ケーシング31の空気流れ最下流部には、空調対象空間である車室内へ送風空気を吹き出す吹出口31bが配置されている。この吹出口31bとしては、具体的には、デフロスタ吹出口、フェイス吹出口およびフット吹出口が設けられている。
デフロスタ吹出口は、車両前面窓ガラスの内側の面に向けて空調風を吹き出す。フェイス吹出口は、乗員の上半身に向けて空調風を吹き出す。フット吹出口は、乗員の足元に向けて空調風を吹き出す。
吹出口31bの空気流れ上流側には、吹出口モードドア(図示せず)が配置されている。吹出口モードドアは、吹出口モードを切り替える吹出口モード切替手段である。吹出口モードドアは、電動アクチュエータ(図示せず)によって駆動される。
吹出口モードドアによって切り替えられる吹出口モードとしては、例えば、フェイスモード、バイレベルモード、フットモードおよびフットデフロスタモードがある。
フェイスモードは、フェイス吹出口を全開してフェイス吹出口から車室内乗員の上半身に向けて空気を吹き出す吹出口モードである。バイレベルモードは、フェイス吹出口とフット吹出口の両方を開口して車室内乗員の上半身と足元に向けて空気を吹き出す吹出口モードである。
フットモードは、フット吹出口を全開するとともにデフロスタ吹出口を小開度だけ開口して、フット吹出口から主に空気を吹き出す吹出口モードである。フットデフロスタモードは、フット吹出口およびデフロスタ吹出口を同程度開口して、フット吹出口およびデフロスタ吹出口の双方から空気を吹き出す吹出口モードである。
エンジン冷却回路70は、エンジン71を冷却するための冷却水循環回路である。エンジン冷却回路70は、エンジン冷却水(第2熱媒体)が循環する循環流路72を有している。循環流路72には、エンジン71、第3ポンプ73、エンジン用ラジエータ74および冷却水冷却水熱交換器54が配置されている。
第3ポンプ73は、エンジン冷却水を吸入して吐出する電動ポンプである。第3ポンプ73は、エンジン71から出力される動力によって駆動される機械式ポンプであってもよい。
エンジン用ラジエータ74は、エンジン冷却水と外気とを熱交換することによって冷却水の熱を外気に放熱させる放熱用の熱交換器(空気熱媒体熱交換器)である。
循環流路72には、ラジエータバイパス流路75が接続されている。ラジエータバイパス流路75は、エンジン冷却水がエンジン用ラジエータ74をバイパスして流れる流路である。
ラジエータバイパス流路75と循環流路72との接続部にはサーモスタット76が配置されている。サーモスタット76は、温度によって体積変化するサーモワックス(感温部材)によって弁体を変位させて冷却水流路を開閉する機械的機構で構成される冷却水温度応動弁である。
具体的には、サーモスタット76は、エンジン冷却水の温度が所定温度を上回っている場合(例えば80℃以上)、ラジエータバイパス流路75を閉じ、冷却水の温度が所定温度を下回っている場合(例えば80℃未満)、ラジエータバイパス流路75を開ける。
循環流路72には、エンジン補機用流路77が接続されている。エンジン補機用流路77は、エンジン冷却水が冷却水冷却水熱交換器54と並列に流れる流路である。エンジン補機用流路77にはエンジン補機78が配置されている。冷却水冷却水熱交換器54は、冷却エンジン補機用流路77に配置されて、エンジン補機78と直列に冷却水が流れるようになってもよい。
エンジン補機78は、オイル熱交換器、EGRクーラ、スロットルクーラ(ウォーマ)、ターボクーラ、エンジン補助モータ等である。オイル熱交換器は、エンジンオイルまたはトランスミッションオイルとエンジン冷却水とを熱交換してオイルの温度を調整する熱交換器である。
EGRクーラは、エンジンの排気ガスの一部を吸気側に還流させてスロットルバルブで発生するポンピングロスを低減させるEGR(排気ガス再循環)装置を構成する熱交換器であって、還流ガスとエンジン冷却水とを熱交換させて還流ガスの温度を調整する熱交換器である。
スロットルクーラ(ウォーマ)は、スロットルバルブを冷却(加熱)するためにスロットル内部に設けたウォータジャケットである。
ターボクーラはターボチャージャで発生する熱とエンジン冷却水とを熱交換させてターボチャージャを冷却するための冷却器である。
エンジン補助モータは、エンジン停止中でもエンジンベルトを回せるようにするための大型モータであり、エンジンベルトで駆動される圧縮機やウォータポンプなどをエンジン71の駆動力が無い状態でも作動させたり、エンジン71の始動時に利用される。
エンジン用ラジエータ74にはエンジン用リザーブタンク79が接続されている。エンジン用リザーブタンク79は、エンジン冷却水を貯留する大気開放式の容器(熱媒体貯留手段)である。したがって、エンジン用リザーブタンク79に蓄えているエンジン冷却水の液面における圧力は大気圧になる。
エンジン用リザーブタンク79は、エンジン用リザーブタンク79に蓄えているエンジン冷却水の液面における圧力が所定圧力(大気圧とは異なる圧力)になるように構成されていてもよい。
エンジン用リザーブタンク79に余剰冷却水を貯留しておくことによって、各流路を循環するエンジン冷却水の液量の低下を抑制することができる。エンジン用リザーブタンク79は、エンジン冷却水に混入した気泡を気液分離する機能を有している。
室外熱交換器用流路63にはリザーブタンク80が接続されている。リザーブタンク80の構造および機能はエンジン用リザーブタンク79と同様である。
室内空調ユニット30のケーシング31の内部においてヒータコア16の空気流れ下流側部位には、補助ヒータ81が配置されている。補助ヒータ81は、送風空気を加熱する空気加熱手段である。補助ヒータ81は、PTC素子(正特性サーミスタ)を有し、このPTC素子に電力が供給されることによって発熱して空気を加熱するPTCヒータ(電気ヒータ)である。補助ヒータ81は、ニクロム線などの電熱線を有し、電熱線に電力が供給されることによって空気を加熱する方式の電熱ヒータでもよい。
図6に示すように、補助ヒータ81には、電池82から電力が供給される。電池82および補助ヒータ81で構成される電流回路には、リレー83およびヒューズ84が配置されている。
リレー83は、補助ヒータ81への通電をオン・オフする通電制御手段である。リレー83が補助ヒータ81への通電をオン・オフすることによって、補助ヒータ81の発熱量が制御される。リレー83の作動(発熱量)は、制御装置40によって制御される。ヒューズ84は、電流回路に過電流が流れた場合に通電を遮断する通電遮断手段である。
次に、熱管理システム10の電気制御部を図7に基づいて説明する。制御装置40のうち第1切替弁55および第2切替弁56の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)は、切替弁制御手段40g(流量調整弁制御手段)を構成している。切替弁制御手段40gを制御装置40に対して別体で構成してもよい。
切替弁制御手段40gは、第1切替弁55および第2切替弁56とともに、各冷却水流通機器13、16、51、52、53、54およびバイパス流路26を流れる冷却水の流量を制御する冷却水流量制御手段(熱媒体流量制御手段)を構成している。
制御装置40のうち、ケーシング31の内部に配置された各種ドア(内外気切替ドア33、エアミックスドア35、吹出口モードドア等)の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)は、空調切替制御手段40hを構成している。空調切替制御手段40hを制御装置40に対して別体で構成してもよい。
エアミックスドア35および空調切替制御手段40hは、クーラコア51で冷却された送風空気のうちヒータコア16を流れる送風空気とヒータコア16を迂回して流れる送風空気との風量割合を調整する風量割合調整手段である。
内外気切替ドア33および空調切替制御手段40hは、車室内へ吹き出される送風空気のうち内気と外気との割合を調整する内外気割合調整手段である。
制御装置40のうち補助ヒータ81(具体的には補助ヒータ用リレー83)の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)は、補助ヒータ制御手段40i(電気ヒータ制御手段)を構成している。補助ヒータ制御手段40iは、補助ヒータ81による空気の加熱を制御する空気加熱制御手段である。
制御装置40のうちインバータ52の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)は、インバータ制御手段40jを構成している。
制御装置40の入力側には、内気温度センサ41、内気湿度センサ85、外気温度センサ42、日射センサ43、第1水温センサ86、第2水温センサ46、ラジエータ水温センサ87、クーラコア温度センサ88、ヒータコア温度センサ89、エンジン水温センサ90、インバータ温度センサ91、電池温度センサ92、冷媒温度センサ93、94および冷媒圧力センサ95、96等のセンサ群の検出信号が入力される。
内気温度センサ41は、内気の温度(車室内温度)を検出する検出手段(内気温度検出手段)である。内気湿度センサ85は、内気の湿度を検出する検出手段(内気湿度検出手段)である。
外気温度センサ42は、外気の温度(車室外温度)を検出する検出手段(外気温度検出手段)である。日射センサ43は、車室内の日射量を検出する検出手段(日射量検出手段)である。
第1水温センサ86は、第1ポンプ用流路61を流れる冷却水の温度(例えば第1ポンプ11に吸入される冷却水の温度)を検出する検出手段(第1熱媒体温度検出手段)である。
第2水温センサ46は、第2ポンプ用流路62を流れる冷却水の温度(例えば第2ポンプ12に吸入される冷却水の温度)を検出する検出手段(第2熱媒体温度検出手段)である。
ラジエータ水温センサ87は、ラジエータ用流路63を流れる冷却水の温度(例えばラジエータ13から流出した冷却水の温度)を検出する検出手段(機器側熱媒体温度検出手段)である。
クーラコア温度センサ88は、クーラコア51の表面温度を検出する検出手段(クーラコア温度検出手段)である。クーラコア温度センサ88は、例えば、クーラコア51の熱交換フィンの温度を検出するフィンサーミスタや、クーラコア51を流れる冷却水の温度を検出する水温センサ等である。
ヒータコア温度センサ89は、ヒータコア16の表面温度を検出する検出手段(ヒータコア温度検出手段)である。ヒータコア温度センサ89は、例えば、ヒータコア16の熱交換フィンの温度を検出するフィンサーミスタや、ヒータコア16を流れる冷却水の温度を検出する水温センサ等である。
エンジン水温センサ90は、エンジン冷却回路70を循環する冷却水の温度(例えばエンジン71の内部を流れる冷却水の温度)を検出する検出手段(エンジン熱媒体温度検出手段)である。
インバータ温度センサ91は、インバータ用流路66を流れる冷却水の温度(例えばインバータ52から流出した冷却水の温度)を検出する検出手段(機器側熱媒体温度検出手段)である。
電池温度センサ92は、電池熱交換用流路67を流れる冷却水の温度(例えば電池温調用熱交換器53に流入する冷却水の温度)を検出する検出手段(機器側熱媒体温度検出手段)である。
冷媒温度センサ93、94は、圧縮機21から吐出された冷媒の温度を検出する吐出側冷媒温度センサ93、および圧縮機21に吸入される冷媒の温度を検出する吸入側冷媒温度センサ94である。
冷媒圧力センサ95、96は、圧縮機21から吐出された冷媒の圧力を検出する吐出側冷媒圧力センサ95、および圧縮機21に吸入される冷媒の圧力を検出する吸入側冷媒温度センサ96である。
次に、上記構成における作動を説明する。制御装置40が第1ポンプ11、第2ポンプ12、圧縮機21、第1切替弁55および第2切替弁56等の作動を制御することによって、種々の作動モードに切り替えられる。
例えば、第1ポンプ11によって吸入されて吐出された冷却水が、冷却水冷却用熱交換器14と、ラジエータ13、クーラコア51、ヒータコア16、インバータ52、電池温調用熱交換器53および冷却水冷却水熱交換器54のうち少なくとも1つの機器との間で循環する低温側冷却水回路(低温側熱媒体回路)が形成され、第2ポンプ12によって吸入されて吐出された冷却水が、冷却水加熱用熱交換器15と、ラジエータ13、クーラコア51、ヒータコア16、インバータ52、電池温調用熱交換器53および冷却水冷却水熱交換器54のうち少なくとも1つの機器との間で循環する高温側冷却水回路(高温側熱媒体回路)が形成される。
ラジエータ13、クーラコア51、ヒータコア16、インバータ52、電池温調用熱交換器53および冷却水冷却水熱交換器54のそれぞれについて、低温側冷却水回路に接続される場合と、高温側冷却水回路に接続される場合とを状況に応じて切り替えることによって、ラジエータ13、クーラコア51、ヒータコア16、インバータ52、電池温調用熱交換器53および冷却水冷却水熱交換器54を状況に応じて適切な温度に調整できる。
ラジエータ13が低温側冷却水回路に接続された場合、冷凍サイクル31のヒートポンプ運転を行うことができる。すなわち、低温側冷却水回路では、冷却水冷却用熱交換器14で冷却された冷却水がラジエータ13を流れるので、ラジエータ13で冷却水が外気から吸熱する。
そして、ラジエータ13にて外気から吸熱した冷却水は、冷却水冷却用熱交換器14で冷凍サイクル31の冷媒と熱交換して放熱する。したがって、冷却水冷却用熱交換器14では、冷凍サイクル31の冷媒が冷却水を介して外気から吸熱する。
冷却水冷却用熱交換器14にて外気から吸熱した冷媒は、冷却水加熱用熱交換器15にて高温側冷却水回路の冷却水と熱交換して放熱する。したがって、外気の熱を汲み上げるヒートポンプ運転を実現できる。
ラジエータ13が高温側冷却水回路に接続された場合、冷却水加熱用熱交換器15で加熱された冷却水がラジエータ13を流れるので、ラジエータ13で冷却水の熱を外気に放熱できる。
クーラコア51が低温側冷却水回路に接続された場合、冷却水冷却用熱交換器14で冷却された冷却水がクーラコア51を流れるので、クーラコア51で車室内への送風空気を冷却できる。すなわち車室内を冷房できる。
ヒータコア16が高温側冷却水回路に接続された場合、冷却水加熱用熱交換器15で加熱された冷却水がヒータコア16を流れるので、ヒータコア16で車室内への送風空気を加熱できる。すなわち車室内を暖房できる。
インバータ52が低温側冷却水回路に接続された場合、冷却水冷却用熱交換器14で冷却された冷却水がインバータ52を流れるのでインバータ52を冷却できる。換言すれば、インバータ52の廃熱を汲み上げるヒートポンプ運転を実現できる。
インバータ52が高温側冷却水回路に接続された場合、冷却水加熱用熱交換器15で加熱された冷却水がインバータ52を流れるのでインバータ52を加熱(暖機)できる。
電池温調用熱交換器53が低温側冷却水回路に接続された場合、冷却水冷却用熱交換器14で冷却された冷却水が電池温調用熱交換器53を流れるので電池を冷却できる。換言すれば、電池の廃熱を汲み上げるヒートポンプ運転を実現できる。
電池温調用熱交換器53が高温側冷却水回路に接続された場合、冷却水加熱用熱交換器15で加熱された冷却水が電池温調用熱交換器53を流れるので電池を加熱(暖機)できる。
冷却水冷却水熱交換器54が低温側冷却水回路に接続された場合、冷却水冷却用熱交換器14で冷却された冷却水が冷却水冷却水熱交換器54を流れるのでエンジン冷却水を冷却できる。換言すれば、冷却水冷却水熱交換器54で低温側冷却水回路の冷却水がエンジン冷却水から吸熱できるので、エンジン71の廃熱を汲み上げるヒートポンプ運転を実現できる。
冷却水冷却水熱交換器54が高温側冷却水回路に接続された場合、冷却水加熱用熱交換器15で加熱された冷却水が冷却水冷却水熱交換器54を流れるのでエンジン冷却水を加熱できる。したがって、エンジン71を加熱(暖機)できる。
空調モードが暖房モードに設定された場合、制御装置40は、図8のフローチャートに示す制御処理を実行する。暖房モードは、ヒータコア16で送風空気を加熱して車室内へ吹き出す空調モードである。例えば、暖房モードは、内気の温度が目標吹出空気温度TAOよりも低い場合に設定される。
ステップS100では、第2冷却水回路の冷却水温度Tw2(第2ポンプ用流路62を流れる冷却水の温度)が所定値α未満であるか否かを判定する。所定値αは、定常運転時における第2冷却水回路の冷却水温度よりも低い温度値である。
第2冷却水回路の冷却水温度Tw2が所定値α未満である場合とは、第2冷却水回路の冷却水が冷えていて、第2冷却水回路の冷却水の温度を早期に上昇させる必要がある場合のことである。
第2冷却水回路の冷却水温度Tw2が所定値α未満でないと判定した場合、ステップS110へ進み、図9に示す通常暖房モードを実施する。通常暖房モードでは、ラジエータ13が低温側冷却水回路C1に接続され、ヒータコア16が高温側冷却水回路C2に接続される。
これにより、冷却水加熱用熱交換器15で加熱された冷却水がヒータコア16を流れるので、ヒータコア16で車室内への送風空気を加熱できる。すなわち車室内を暖房できる。
一方、第2冷却水回路の冷却水温度Tw2が所定値α未満であると判定した場合、ステップS120へ進み、図10に示すウォームアップ暖房モードの制御処理を実施する。
ウォームアップ暖房モードの制御処理のステップS121では、インバータ52の発熱量Qeが所定量以上であるか否かを判定する。所定量は、例えば、冷却水加熱用熱交換器15での放熱量(冷却水加熱量)である。
インバータ52の発熱量が所定量以上でないと判定した場合、ステップS122へ進み、図11に示すヒータコアバイパスウォームアップ暖房モードの冷却水回路に切り替える。
ヒータコアバイパスウォームアップ暖房モードでは、ラジエータ13が低温側冷却水回路C1に接続され、高温側冷却水回路C2の冷却水がヒータコア16を流れずにバイパス流路26を流れて循環する。
これにより、冷却水加熱用熱交換器15で加熱された冷却水がヒータコア16で送風空気に放熱されないので、第2冷却水回路C2の冷却水温度Tw2を速やかに上昇させることができる。
一方、インバータ52の発熱量が所定量以上であると判定した場合、ステップS123へ進み、図12に示す廃熱利用ウォームアップ暖房モードの冷却水回路に切り替える。
廃熱利用ウォームアップ暖房モードでは、ラジエータ13が低温側冷却水回路C1に接続され、高温側冷却水回路C2にヒータコア16が接続されずインバータ52が接続される。
これにより、冷却水加熱用熱交換器15で加熱された冷却水がヒータコア16で送風空気に放熱されないので、第2冷却水回路C2の冷却水温度Tw2を速やかに上昇させることができる。さらに、インバータ52の廃熱で高温側冷却水回路C2の冷却水が加熱されるので、インバータ52の廃熱を利用して第2冷却水回路C2の冷却水温度Tw2を速やかに上昇させることができる。
廃熱利用ウォームアップ暖房モードでは、制御装置40がインバータ52の作動効率を意図的に低下させることによって、インバータ52の発熱量(廃熱量)を増やすようにしてもよい。
ステップS120に続くステップS130では、TAV=TAOとなるような補助ヒータ吹出目標温度TAO_AHを算出する。TAVは、室内空調ユニット30から吹き出される空気の温度である。補助ヒータ吹出目標温度TAO_AHは、以下の数式を用いて算出される。
TAO=A/100×TAO_AH+B/100×T_in
Aは、室内送風機25から送風された空気のうち、補助ヒータ81を通過する空気の風量割合を百分率(%)で表したものである。Bは、室内送風機25から送風された空気のうち、補助ヒータ81をバイパスして流れる空気の風量割合を百分率(%)で表したものである。T_inは、補助ヒータ81に流入する空気の温度である。
ステップS130で用いられる各温度TAV、TAO、TAO_AH、T_inは、絶対温度(K)で表されたものである。
続くステップS140では、TAV_AH=TAO_AHとなる補助ヒータ通過風量Lを、予め制御装置40に記憶された制御マップを参照して算出する。補助ヒータ通過風量Lは、補助ヒータ81を通過する空気の風量である。TAV_AHは、補助ヒータ81から吹き出される空気の温度(補助ヒータ後吹出空気温度)である。
図13は、ステップS140で用いられる制御マップの例を示している。制御マップは、補助ヒータ通過風量Lと補助ヒータ後吹出空気温度TAV_AHとの関係を補助ヒータ流入空気温度T_in毎に表したものである。
図13は、補助ヒータ流入空気温度T_inが0℃の場合と10℃の場合の制御マップの例を示しているが、実際には補助ヒータ流入空気温度T_inが0℃と10℃以外の場合についても制御マップが複数作成されている。
図13は、補助ヒータ81の加熱能力が1kWである場合の制御マップの例を示しているが、補助ヒータ81の加熱能力毎に制御マップが複数作成されている。
続くステップS150では、ステップS140で算出した補助ヒータ通過風量Lが所定風量(例えば150m3/h)以上であるか否かを判定する。
ステップS140で算出した補助ヒータ通過風量Lが所定風量以上であると判定した場合、ステップS160へ進み、ステップS140で算出した補助ヒータ通過風量Lが得られる室内送風機25の駆動レベルを、予め制御装置40に記憶された制御マップを参照して決定し、決定した駆動レベルで室内送風機25を駆動する。
図14は、ステップS160で用いられる制御マップの例を示している。制御マップは、室内空調ユニット30の風路状態(空調ユニット作動モード)と、室内送風機25の駆動レベル(ブロワ駆動レベル)と、補助ヒータ通過風量Lとの関係を表したものである。

図14の制御マップにおいて、縦軸は、室内空調ユニット30の風路状態(空調ユニット作動モード)であり、横軸は、室内送風機25の駆動レベル(ブロワ駆動レベル)であり、制御マップ内の数値は、補助ヒータ通過風量Lである。
図14の制御マップにおいて、室内空調ユニット30の風路状態は、吸込口モード(内外気切替ドア33の切替状態)、エアミックスドア35の作動状態、および吹出口モード(吹出口モードドアの切替状態)に応じて区分されている。
室内送風機25の駆動レベルは、室内送風機25の電動モータに印加される電圧に対応する値である。制御装置40は、ステップS160で決定されたブロワ駆動レベルに基づいて、実際に室内送風機25の電動モータに印加される電圧を決定する。
続くステップS170では、補助ヒータ81の通電をオンする。これにより、補助ヒータ81で加熱された送風空気が車室内に吹き出されて車室内が暖房される。このとき、ステップS160で決定した駆動レベルで室内送風機25を駆動するので、補助ヒータ81を通過する風量は、ステップS140で算出した補助ヒータ通過風量Lとなる。そのため、車室内に吹き出される吹出空気は、目標吹出温度TAOに近い温度となる。
一方、ステップS150において、ステップS140で算出した補助ヒータ通過風量Lが所定風量以上でないと判定した場合、ステップS180へ進む。所定風量は、室内送風機25の最低送風量以下の風量であり、予め制御装置40に記憶されている。
ステップS180では、室内送風機25を所定駆動力(最低駆動力)で駆動して、ステップS170へ進む。
これにより、補助ヒータ81で加熱された送風空気が車室内に吹き出されて車室内が暖房される。このとき、補助ヒータ81を通過する空気の風量は最低風量になるので、車室内に吹き出される吹出空気の温度が極力高くなって、目標吹出温度TAOに極力近い温度となる。
本実施形態では、第2冷却水回路C2の冷却水の温度Tw2が所定値α未満であると判断される場合、制御装置40は、冷却水の温度Tw2が所定値α以上であると判断される場合と比較して、ヒータコア16を流れる冷却水の流量を減少し、かつバイパス流路26を流れる冷却水の流量が増加するように第1切替弁55および第2切替弁56の作動を制御する。
これによると、第2冷却水回路C2の冷却水の温度Tw2が低い場合、冷却水加熱用熱交換器15を流れる冷却水の流量を確保しつつ、ヒータコア16における冷却水から送風空気への放熱量を低減できるので、第2冷却水回路C2の冷却水の温度Tw2を冷却水加熱用熱交換器15によって早期に上昇させることができる。
さらに、第2冷却水回路C2の冷却水の温度Tw2が所定値α未満であると判断される場合、制御装置40は、送風空気が加熱されるように補助ヒータ81の作動を制御するとともに、冷却水の温度Tw2が所定値α以上であると判断される場合と比較して、補助ヒータ81流れる送風空気の流量を減少させる。
これにより、補助ヒータ81から吹き出される送風空気の温度を高めることができるので、第2冷却水回路C2の冷却水の温度Tw2を早期に上昇させるためにヒータコア16における送風空気への放熱量を低減させても、車室内に吹き出される送風空気の温度が低下することを抑制できる。そのため、乗員の暖房感を極力確保することができる。
(第3実施形態)
上記第2実施形態では、室内空調ユニット30のケーシング31の内部に補助ヒータ81が配置されているが、本実施形態では、図15に示すように、補助ヒータ81の代わりに補助ヒータコア100が配置されている。
補助ヒータコア100は、車室内への送風空気と、エンジン冷却回路70のエンジン冷却水(第2熱媒体)とを熱交換して送風空気を加熱する空気加熱用熱交換器(第2空気加熱用熱交換器)である。すなわち、補助ヒータコア100は、エンジン71(熱媒体加熱手段)で加熱されたエンジン冷却水を利用して、車室内への送風空気を加熱する空気加熱手段である。
補助ヒータコア100は、エンジン冷却回路70において循環流路72に配置されている。ラジエータバイパス流路75と循環流路72との接続部には三方弁101が配置されている。
三方弁101は、エンジン冷却水が補助ヒータコア100を流れる状態と流れない状態とを切り替える冷却水流れ切替手段(冷却水流れ切替手段)である。三方弁101の作動は、制御装置40によって制御される。
三方弁101によって、エンジン冷却水が補助ヒータコア100を流れる状態に切り替えられた場合、補助ヒータコア100で送風空気が加熱される。三方弁101によって、エンジン冷却水が補助ヒータコア100を流れない状態に切り替えられた場合、補助ヒータコア100で送風空気が加熱されない。
したがって、制御装置40のうち、三方弁101の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)は、空気加熱制御手段を構成している。空気加熱制御手段は、制御装置40に対して別体で構成されていてもよい。
空調モードが暖房モードに設定された場合、制御装置40は、図8のフローチャートと同様の制御処理を実行する。
具体的には、図8のフローチャートのステップS140〜S160において、補助ヒータ通過風量Lの代わりに補助ヒータコア100を通過する空気の風量を用い、ステップS170において、補助ヒータ81の通電をオンする代わりに、エンジン冷却水が補助ヒータコア100を流れるように三方弁101の作動を制御する。
ステップS140では、補助ヒータ81の加熱能力毎に作成された制御マップ(図13)の代わりに、エンジン71の加熱能力毎に作成された制御マップを用いる。エンジン71の加熱能力は、エンジン冷却回路70を循環する冷却水の温度から推定することができる。
本実施形態においても、上記第2実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
(第4実施形態)
図16に示すように、冷却水加熱用熱交換器15は、冷媒の流れ方向R1と冷却水の流れ方向W1とが対向する構造になっている。これにより、冷却水加熱用熱交換器15の内部には、冷媒の流れ方向R1に沿って、気相域A1、気液二相域A2、過冷却域A3が形成される。
図16では、気相域A1、気液二相域A2、過冷却域A3を模式的に示している。気相域A1は図16の破線ハッチング領域であり、気液二相域A2は図16の一点鎖線ハッチング領域であり、過冷却域A3は図16の実線ハッチング領域である。
気相域A1では、冷媒が気相状態になっている。気液二相域A2では、冷媒が気相二相状態になっている。過冷却域A3では、冷媒が過冷却状態になっている。
本実施形態によると、冷却水加熱用熱交換器15において冷媒の流れ方向R1と冷却水の流れ方向W1とが対向するので、冷却水加熱用熱交換器15に流入した冷却水の全部が過冷却域A3、気液二相域A2、気相域A1の順に流れる。
そのため、冷媒の流れ方向R1と冷却水の流れ方向W1とが直交している場合、すなわち冷却水加熱用熱交換器15に流入した冷却水の一部のみが気相域A1を流れる場合と比較して、気相域A1の気相冷媒を冷却水で効果的に冷却できる。
その結果、圧縮機21から吐出された冷媒の温度を低く抑えることができるので、圧縮機21の効率、冷凍サイクル20の効率、および暖房効率を向上できる。
(第5実施形態)
上記第1実施形態では、第2冷却水回路C2の冷却水の温度Tw2が所定温度α未満であると判断される場合、ヒータコア16を流れる送風空気の流量を減少させるが、本実施形態ではさらに、図17に示すように、第2冷却水回路C2の冷却水の温度Tw2が所定温度α未満であると判断される場合、冷却水加熱用熱交換器15を流れる冷却水の流量を減少させる。
具体的には、ステップS100において第2冷却水回路C2の冷却水の温度Tw2が所定値αを下回っていると判定した場合、ステップS115へ進み、第2ポンプ12の回転数を低回転にする。
これにより、第2ポンプ12から吐出される冷却水の流量が低流量になるので、冷却水加熱用熱交換器15を流れる冷却水の流量も低流量になる。その結果、冷却水加熱用熱交換器15における冷却水と冷媒との熱交換が抑制されるので、冷却水加熱用熱交換器15における冷媒圧力を速やかに上昇させることができる。
ステップS100において第2冷却水回路C2の冷却水の温度Tw2が所定値αを下回っていないと判定した場合、ステップS125へ進み、第2ポンプ12の回転数を高回転にする。
これにより、第2ポンプ12から吐出される冷却水の流量が高流量になるので、冷却水加熱用熱交換器15を流れる冷却水の流量も高流量になる。そのため、冷却水加熱用熱交換器15における冷却水と冷媒との熱交換が促進される。
本実施形態では、制御装置40は、冷却水の温度Tw2が所定値α未満であると判断される場合、冷却水の温度Tw2が所定値α以上であると判断される場合と比較して、冷却水加熱用熱交換器15を流れる冷却水の流量を減少させる。
これによると、冷却水の温度Tw2が所定値α未満であると判断される場合、第2ポンプ12から吐出される冷却水の流量を低流量にするので、冷却水加熱用熱交換器15における冷却水と冷媒との熱交換が抑制される。そのため、冷却水加熱用熱交換器15における冷媒圧力を速やかに上昇させることができるので、速やかに十分な性能を発揮させることができる。
(第6実施形態)
上記第1実施形態では、第2冷却水回路C2の冷却水の温度Tw2が所定温度α未満であると判断される場合、ヒータコア16を流れる送風空気の流量を減少させるが、本実施形態ではさらに、図18に示すように、第2冷却水回路C2の冷却水の温度Tw2が所定温度α未満であると判断される場合、ヒータコア16を流れる冷却水の流量を冷却水加熱用熱交換器15を流れる冷却水の流量よりも少なくさせる。
具体的には、ステップS100において第2冷却水回路C2の冷却水の温度Tw2が所定値αを下回っていると判定した場合、ステップS118へ進み、流量調整弁27でバイパス流路26を開く。
これにより、バイパス流路26に冷却水が流れるので、ヒータコア16を流れる冷却水の流量が冷却水加熱用熱交換器15を流れる冷却水の流量よりも少なくなる。そのため、ヒータコア16における冷却水と送風空気との熱交換が抑制されるので、圧縮機21から吐出された冷媒の熱を利用して第2冷却水回路C2の冷却水の蓄熱量を増加させることができる。
ステップS100において第2冷却水回路C2の冷却水の温度Tw2が所定値αを下回っていないと判定した場合、ステップS128へ進み、流量調整弁27でバイパス流路26を閉じる。
これにより、ヒータコア16における冷却水と送風空気との熱交換が促進されるので、車室内への送風空気が加熱されて暖房が行われる。
本実施形態では、制御装置40は、冷却水の温度Tw2が所定値α未満であると判断される場合、ヒータコア16を流れる冷却水の流量を、冷却水加熱用熱交換器15を流れる冷却水の流量よりも少なくさせる。
これにより、ヒータコア16における冷却水と送風空気との熱交換が抑制されるので、圧縮機21から吐出された冷媒の熱を利用して第2冷却水回路C2の冷却水の蓄熱量を増加させることができる。
(第7実施形態)
本実施形態では、図19に示すように、圧縮機21から吐出された冷媒の温度TR1が第2所定値β以上であると判断される場合、圧縮機21から吐出された冷媒の温度TR1が第2所定値β未満であると判断される場合と比較して、冷却水加熱用熱交換器15を流れる冷却水の流量を多くさせる。
具体的には、ステップS110、S120に続くステップS130では、圧縮機21から吐出された冷媒の温度TR1が第2所定値βを下回っているか否かを判定する。第2所定値βは、予め制御装置40に記憶されている固定値である。
圧縮機21から吐出された冷媒の温度TR1は、吐出側冷媒温度センサによって検出される。制御装置40は、圧縮機21から吐出された冷媒の温度TR1を、冷却水の温度Tw2や圧縮機21から吐出された冷媒の圧力等に基づいて算出してもよい。
ステップS130において圧縮機21から吐出された冷媒の温度TR1が第2所定値βを下回っていると判定した場合、ステップS140へ進み、第2ポンプ12の回転数を低回転にする。
これにより、第2ポンプ12から吐出される冷却水の流量が低流量になるので、冷却水加熱用熱交換器15を流れる冷却水の流量も低流量になる。その結果、冷却水加熱用熱交換器15における冷却水と冷媒との熱交換が抑制されるので、冷却水加熱用熱交換器15における冷媒圧力を速やかに上昇させることができる。
ステップS130において圧縮機21から吐出された冷媒の温度TR1が第2所定値βを下回っていないと判定した場合、ステップS150へ進み、第2ポンプ12の回転数を高回転にする。
これにより、第2ポンプ12から吐出される冷却水の流量が高流量になるので、冷却水加熱用熱交換器15を流れる冷却水の流量も高流量になる。そのため、冷却水加熱用熱交換器15において冷媒から冷却水に与えられる熱量が一定なら、冷却水加熱用熱交換器15における冷却水の温度上昇が抑制される。これは、次の関係式から明らかである。
(数1)
Q=Cp・Gw・(Tout−Tin)
この数式において、Qは、冷却水加熱用熱交換器15において冷媒から冷却水に与えられる熱量である。Cpは、冷却水の比熱である。Gwは、冷却水加熱用熱交換器15を流れる冷却水の流量である。Toutは、冷却水加熱用熱交換器15の冷却水出口における冷却水の温度である。Tinは、冷却水加熱用熱交換器15の冷却水入口における冷却水の温度である。
このように冷却水加熱用熱交換器15における冷却水の温度上昇が抑制されるので、圧縮機21から吐出された冷媒の温度TR1の上昇を抑制できる。
本実施形態では、制御装置40は、圧縮機21から吐出された冷媒の温度TR1が第2所定値β以上であると判断される場合、圧縮機21から吐出された冷媒の温度TR1が第2所定値β未満であると判断される場合と比較して、冷却水加熱用熱交換器15を流れる冷却水の流量を多くさせる。
これによると、冷却水加熱用熱交換器15における冷却水の温度が低下するので、圧縮機21から吐出された冷媒の温度TR1の上昇を抑制できる。そのため、圧縮機21から吐出された冷媒の温度が過度に上昇して圧縮機21の効率が低下することを抑制できるので、冷凍サイクル20の効率を向上でき、ひいては暖房効率を向上できる。
(他の実施形態)
上記実施形態を適宜組み合わせ可能である。上記実施形態を例えば以下のように種々変形可能である。
(1)上記実施形態において、ヒータコア16の代わりに、冷却水が顕熱変化にて吸熱する種々の冷却水流通機器(熱媒体流通機器)が設けられていてもよい。例えば、電池を冷却する電池冷却器が設けられていてもよい。
(2)上記実施形態において、冷却水加熱用熱交換器15の代わりに、冷凍サイクル20の高圧側冷媒と外気とを熱交換させることによって高圧側冷媒の熱を外気に放熱する冷媒用放熱器が設けられていてもよい。
(3)上記第1実施形態において、第1冷却水回路C1および第2冷却水回路C2に、冷却水によって温度調整(冷却・加熱)される種々の温度調整対象機器(冷却対象機器・加熱対象機器)が配置されていてもよい。
さらに、第1冷却水回路C1および第2冷却水回路C2が切替弁を介して接続され、切替弁が、第1冷却水回路C1および第2冷却水回路C2に配置された複数個の熱媒体流通機器のそれぞれに対して、第1ポンプ11によって吸入・吐出される冷却水が循環する場合と、第2ポンプ12によって吸入・吐出される冷却水が循環する場合とを切り替えるようにしてもよい。
(4)上記実施形態では、ヒータコア16を流れる熱媒体として冷却水を用いているが、油などの各種媒体を熱媒体として用いてもよい。熱媒体として、エチレングリコール系の不凍液、水、または一定の温度以上に維持された空気等を用いてもよい。
熱媒体として、ナノ流体を用いてもよい。ナノ流体とは、粒子径がナノメートルオーダーのナノ粒子が混入された流体のことである。ナノ粒子を熱媒体に混入させることで、エチレングリコールを用いた冷却水(いわゆる不凍液)のように凝固点を低下させる作用効果に加えて、次のような作用効果を得ることができる。
すなわち、特定の温度帯での熱伝導率を向上させる作用効果、熱媒体の熱容量を増加させる作用効果、金属配管の防食効果やゴム配管の劣化を防止する作用効果、および極低温での熱媒体の流動性を高める作用効果を得ることができる。
このような作用効果は、ナノ粒子の粒子構成、粒子形状、配合比率、付加物質によって様々に変化する。
これによると、熱伝導率を向上させることができるので、エチレングリコールを用いた冷却水と比較して少ない量の熱媒体であっても同等の冷却効率を得ることが可能になる。
また、熱媒体の熱容量を増加させることができるので、熱媒体自体の蓄冷熱量(顕熱による蓄冷熱)を増加させることができる。
蓄冷熱量を増加させることにより、圧縮機21を作動させない状態であっても、ある程度の時間は蓄冷熱を利用した機器の冷却、加熱の温調が実施できるため、車両用熱管理装置10の省動力化が可能になる。
ナノ粒子のアスペクト比は50以上であるのが好ましい。十分な熱伝導率を得ることができるからである。なお、アスペクト比は、ナノ粒子の縦×横の比率を表す形状指標である。
ナノ粒子としては、Au、Ag、CuおよびCのいずれかを含むものを用いることができる。具体的には、ナノ粒子の構成原子として、Auナノ粒子、Agナノワイヤー、CNT(カーボンナノチューブ)、グラフェン、グラファイトコアシェル型ナノ粒子(上記原子を囲むようにカーボンナノチューブ等の構造体があるような粒子体)、およびAuナノ粒子含有CNTなどを用いることができる。
(5)上記実施形態では、冷凍サイクル20の蒸発器14で低圧側冷媒と第1冷却水回路C1の冷却水とを熱交換させるようになっているが、冷凍サイクル20の蒸発器14で低圧側冷媒と外気とを熱交換させるようにしてもよい。
(6)上記実施形態の冷凍サイクル20では、冷媒としてフロン系冷媒を用いているが、冷媒の種類はこれに限定されるものではなく、二酸化炭素等の自然冷媒や炭化水素系冷媒等を用いてもよい。
また、上記実施形態の冷凍サイクル20は、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない亜臨界冷凍サイクルを構成しているが、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超える超臨界冷凍サイクルを構成していてもよい。
(7)上記実施形態では、車両用熱管理装置10をハイブリッド自動車に適用した例を示したが、エンジンを備えず走行用電動モータから車両走行用の駆動力を得る電気自動車等に車両用熱管理装置10を適用してもよい。
(8)上記第2実施形態では、発熱機器としてインバータ52を備えているが、インバータ52の他に種々の発熱機器を備えていてもよい。発熱機器の他の例としては、走行用電動モータや各種エンジン機器などが挙げられる。
各種エンジン機器としては、ターボチャージャ、インタークーラ、EGRクーラ、CVTクーラ(ウォーマ)、排気熱回収器などが挙げられる。
ターボチャージャは、エンジンの吸入空気(吸気)を過給する過給機である。インタークーラは、ターボチャージャで圧縮されて高温になった過給吸気と冷却水とを熱交換して過給吸気を冷却する吸気冷却器(吸気熱媒体熱交換器)である。
EGRクーラは、エンジンの吸気側に戻されるエンジン排気ガス(排気)と冷却水とを熱交換して排気を冷却する排気冷却水熱交換器(排気熱媒体熱交換器)である。
CVTクーラ(ウォーマ)は、CVT(無段変速機)を潤滑する潤滑油(CVTオイル)と冷却水とを熱交換してCVTオイルを冷却(加熱)する潤滑油冷却水熱交換器(潤滑油熱媒体熱交換器)である。
排気熱回収器は、排気と冷却水とを熱交換して冷却水に排気の熱を吸熱させる排気冷却水熱交換器(排気熱媒体熱交換器)である。
(9)上記第2実施形態のステップS121〜S123では、インバータ52の発熱量Qeが所定量以上でないと判定した場合、ヒータコアバイパスウォームアップ暖房モードを実施し、インバータ52の発熱量Qeが所定量以上であると判定した場合、廃熱利用ウォームアップ暖房モードを実施するが、以下の数式の条件を満たす場合、廃熱利用ウォームアップ暖房モードを実施し、以下の数式の条件を満たさない場合、ヒータコアバイパスウォームアップ暖房モードを実施するようにしてもよい。
(Hm/Qe)×ΔT≦tb
上記数式において、Hmは、インバータ52およびインバータ用流路66の熱容量と、それらの中に含まれる冷却水の熱容量との和である。ΔTは、第2冷却水回路の冷却水温度の目標温度から、現状の第2冷却水回路の冷却水温度Tw2を減じた温度差である。
上記数式において、tbは、ヒータコアバイパスウォームアップ暖房モードの冷却水回路構成において第2冷却水回路の冷却水温度が目標温度に到達するまでの時間である。tbは、各温度条件に対して予め測定した値であり、制御装置40に記憶されている。
これにより、インバータ52の発熱量Qeに応じて、廃熱利用ウォームアップ暖房モードおよびヒータコアバイパスウォームアップ暖房モードのうち、第2冷却水回路の冷却水温度Tw2が目標温度に到達するまでの時間が短くなる方のモードを選択できる。
(10)上記第3実施形態では、補助ヒータコア100はエンジン冷却回路70に配置されているが、補助ヒータコア100は、燃料電池を冷却するための冷却水循環回路に配置されていてもよい。これにより、燃料電池で加熱された冷却水(第2熱媒体)によって送風空気を加熱できる。
補助ヒータコア100は、インバータ52を冷却するための冷却水循環回路に配置されていてもよい。これにより、インバータ52で加熱された冷却水(第2熱媒体)によって送風空気を加熱できる。
補助ヒータコア100には、電気ヒータで加熱された冷却水(第2熱媒体)が循環するようになっていてもよい。これにより、電気ヒータで加熱された冷却水によって送風空気を加熱できる。
補助ヒータコア100には、燃焼式ヒータで加熱された冷却水(第2熱媒体)が循環するようになっていてもよい。燃焼式ヒータは、ガソリンなどの液体燃料を燃焼させて得られる熱を冷却水へと伝熱することによって冷却水を加熱する冷却水加熱手段である。これにより、燃焼式ヒータで加熱された冷却水によって送風空気を加熱できる。
15 冷却水加熱用熱交換器(熱媒体加熱用熱交換器)
16 ヒータコア(空気加熱用熱交換器)
21 圧縮機
25 室外送風機(送風機)
40 制御装置(算出手段)
40e 送風機制御手段(空気流量制御手段)

Claims (17)

  1. 車室内への送風空気を発生させる送風機(25)と、
    冷媒を吸入して吐出する圧縮機(21)と、
    前記圧縮機(21)から吐出された冷媒と熱媒体とを熱交換させて前記熱媒体を加熱する熱媒体加熱用熱交換器(15)と、
    前記熱媒体加熱用熱交換器(15)で加熱された前記熱媒体と前記送風空気とを熱交換させて前記送風空気を加熱する空気加熱用熱交換器(16)と、
    前記熱媒体の温度(Tw2)が所定値(α)未満であると判断される場合、前記熱媒体の温度(Tw2)が前記所定値(α)以上であると判断される場合と比較して、前記空気加熱用熱交換器(16)を流れる前記送風空気の流量を減少させる空気流量制御手段(40e)とを備えることを特徴とする車両用空調装置。
  2. 冷媒を吸入して吐出する圧縮機(21)と、
    前記圧縮機(21)から吐出された冷媒と熱媒体とを熱交換させて前記熱媒体を加熱する熱媒体加熱用熱交換器(15)と、
    前記熱媒体加熱用熱交換器(15)で加熱された前記熱媒体と車室内へ流れる空気とを熱交換させて前記空気を加熱する空気加熱用熱交換器(16)と、
    前記空気加熱用熱交換器(16)を流れる前記空気の流量を制御する空気流量制御手段(25、35、40e、40h)とを備え、
    前記熱媒体の温度(Tw2)が所定値(α)未満であると判断される場合、前記熱媒体の温度(Tw2)が前記所定値(α)以上であると判断される場合と比較して、前記空気加熱用熱交換器(16)を流れる前記空気の流量を前記空気流量制御手段(25、35、40e、40h)で減少させることによって、前記冷媒の熱を利用して前記熱媒体の蓄熱量を増加させることを特徴とする車両用空調装置。
  3. 前記空気流量制御手段(40e)は、前記熱媒体の温度(Tw2)が前記所定値(α)未満であると判断される場合、前記送風機(25)を停止させ、前記熱媒体の温度(Tw2)が前記所定値(α)以上であると判断される場合、前記送風機(25)を作動させる送風機制御手段であることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用空調装置。
  4. 前記熱媒体加熱用熱交換器(15)は、前記冷媒の流れ方向と前記熱媒体の流れ方向とが対向する構造になっていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  5. 前記熱媒体の温度(Tw2)が前記所定値(α)未満であると判断される場合、前記熱媒体の温度(Tw2)が前記所定値(α)以上であると判断される場合と比較して、前記熱媒体加熱用熱交換器(15)を流れる前記熱媒体の流量を減少させる熱媒体流量制御手段(11、12、26、27、40、55、56)とを備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  6. 前記熱媒体の温度(Tw2)が前記所定値(α)未満であると判断される場合、前記空気加熱用熱交換器(16)を流れる前記熱媒体の流量を、前記熱媒体加熱用熱交換器(15)を流れる前記熱媒体の流量よりも少なくさせる熱媒体流量制御手段(11、12、26、27、40、55、56)とを備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  7. 前記熱媒体流量制御手段(11、12、26、27、40、55、56)は、前記圧縮機(21)から吐出された前記冷媒の温度(TR1)が第2所定値(β)以上であると判断される場合、前記圧縮機(21)から吐出された前記冷媒の温度(TR1)が前記第2所定値(β)未満であると判断される場合と比較して、前記熱媒体加熱用熱交換器(15)を流れる前記熱媒体の流量を多くさせることを特徴とする請求項5に記載の車両用空調装置。
  8. 前記圧縮機(21)および前記熱媒体加熱用熱交換器(15)は、冷媒が外部から吸熱することなく循環するホットガスサイクルを構成していることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  9. 前記熱媒体は、エチレングリコール系の不凍液、水、または一定の温度以上に維持された空気であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  10. 前記空気流量制御手段(40e)は、前記熱媒体の温度(Tw2)が前記所定値(α)に近づくように、前記空気加熱用熱交換器(16)を流れる前記送風空気の流量を制御することを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  11. 前記熱媒体の温度(Tw2)が前記所定値(α)に近づくように、前記空気加熱用熱交換器(16)を流れる前記熱媒体の流量を制御する熱媒体流量制御手段(26、27、40f、40g、55、56)を備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  12. 前記熱媒体の温度(Tw2)が前記所定値(α)に近づくように、前記圧縮機(21)から吐出される前記冷媒の流量を制御する冷媒流量制御手段(40c)を備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  13. 前記熱媒体流量制御手段は、前記熱媒体が前記空気加熱用熱交換器(16)をバイパスして流れるバイパス流路(26)と、前記バイパス流路(26)を流れる前記熱媒体の流量を調整する流量調整弁(27、55、56)とを有していることを特徴とする請求項5ないし7、11に記載の車両用空調装置。
  14. 前記送風空気を加熱する空気加熱手段(81、100)と、
    前記空気加熱手段(81、100)の作動を制御する空気加熱制御手段(40i)と、
    前記流量調整弁(55、56)の作動を制御する流量調整弁制御手段(40g)とを備え、
    前記熱媒体の温度(Tw2)が所定値(α)未満であると判断される場合、
    前記流量調整弁制御手段(40g)は、前記熱媒体の温度(Tw2)が前記所定値(α)以上であると判断される場合と比較して、前記空気加熱用熱交換器(16)を流れる前記熱媒体の流量を減少し、かつ前記バイパス流路(26)を流れる前記熱媒体の流量が増加するように前記流量調整弁(55、56)の作動を制御し、
    前記空気加熱制御手段(40i)は、前記送風空気が加熱されるように前記空気加熱手段(81、100)の作動を制御し、
    前記空気流量制御手段(40e)は、前記熱媒体の温度(Tw2)が前記所定値(α)以上であると判断される場合と比較して、前記空気加熱手段(81、100)を流れる前記送風空気の流量を減少させることを特徴とする請求項13に記載の車両用空調装置。
  15. 前記空気加熱手段は、通電されると発熱する電気ヒータ(81)であることを特徴とする請求項14に記載の車両用空調装置。
  16. 第2熱媒体を加熱する熱媒体加熱手段(71)を備え、
    前記空気加熱手段は、前記熱媒体加熱手段(71)で加熱された前記第2熱媒体と前記送風空気とを熱交換させて前記送風空気を加熱する第2空気加熱用熱交換器(100)であることを特徴とする請求項14に記載の車両用空調装置。
  17. 前記所定値(α)を、少なくとも外気温度に基づいて算出する算出手段(40)を備えることを特徴とする請求項1ないし16のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
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