JP2015159069A - 電池電極用スラリー組成物、およびそれを用いた電極ならびに電池 - Google Patents
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Abstract
Description
リチウムイオン二次電池はエネルギー密度が高く、高電圧であるため、携帯電話やノートパソコン、カムコーダーなどの電子機器に用いられている。最近では環境保護への意識の高まりや関連法の整備により、電気自動車やハイブリッド電気自動車などの車載用途や家庭用電力貯蔵用の蓄電池としての応用も進んできている。
[1]
(I)水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマー(A)から誘導される構成単位と、
(II)多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)から誘導される構成単位、
を含む重合体を含有するバインダーと、
(III)アンモニウム塩を有するセルロース系化合物と
を含有することを特徴する電池電極用スラリー組成物。
[2]
水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマー(A)の分子量が150〜1000のアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートである[1]記載の電池電極用スラリー組成物。
[3]
多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)が3〜5官能の(メタ)アクリレートである[1]または[2]に記載の電池電極用スラリー組成物。
[4]
アンモニウム塩を有するセルロース系化合物がカルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩である[1]〜[3]のいずれかに記載の電池電極用スラリー組成物。
[5]
電池が二次電池である[1]〜[4]のいずれかに記載の電池電極用スラリー組成物。
[6]
[1]〜[5]のいずれかに記載の電池電極用スラリー組成物と活物質とを含有することを特徴とする電池用電極。
[7]
[6]記載の電極を有することを特徴とする電池。
本発明の電池電極用スラリー組成物は、屈曲性に優れる電極を提供する。
本発明の電池電極用スラリー組成物は、電解液への溶解が抑制されており、実質的に電解液に溶解しない。この非溶解性は、架橋剤成分に多官能(メタ)アクリレートモノマーから誘導される構成単位を用いることにより高度に架橋した構造であるためと考えられる。
本発明は、高容量を有し、電池寿命が長い電池、特に二次電池を提供することができる。二次電池は充放電サイクル特性に優れている。
本発明の二次電池は、高電圧で使用でき、かつ優れた耐熱性を有する。
電池電極用スラリー組成物は、水系(媒体が水)であるので、環境への負荷が少なく、有機溶媒の回収装置を必要としない。
(I)水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマー(A)から誘導される構成単位と、
(II)多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)から誘導される構成単位、
を含む重合体を含有するバインダーと、
(III)アンモニウム塩を有するセルロース系化合物と
を含有することを特徴する電池電極用スラリー組成物である。
水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマー(A)としては、分子量が150〜1000のアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートが好ましい。具体例としてはジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、およびポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、およびポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは1種又は2種以上併用できる。これらの中でも、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートが好ましい。
有機酸ビニルエステルモノマー(C)の具体例としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、トリメチル酢酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニルなどが挙げられる。好ましくは、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルである。これらは1種又は2種以上併用できる。
水酸基を有するモノマー(A)100重量部に対して、
(B)0.5〜100重量部、好ましくは1〜90重量部、更に好ましくは2〜80重量部、
(C)0〜500重量部、好ましくは1〜400重量部、更に好ましくは2〜300重量部、および
(D)0〜100重量部、好ましくは1〜80重量部、更に好ましくは2〜60重量部、
であってよい。
本発明の電池電極用スラリー組成物を使用したリチウムイオン二次電池用電極の調整方法としては特に限定されず、正極活物質あるいは負極活物質、バインダー、増粘剤、導電助剤、水等を通常の攪拌機、分散機、混練機、遊星型ボールミル、ホモジナイザーなど用いて分散させればよい。分散の効率を上げるために材料に影響を与えない範囲で加温してもよい。
シリコーン系消泡剤としてはジメチルシリコーン系、メチルフェニルシリコーン系、メチルビニルシリコーン系消泡剤があり、好ましくはジメチルシリコーン系である。また、消泡剤を界面活性剤と共に水中に分散してなるエマルジョン型消泡剤として用いることができる。これらの消泡剤は、それぞれ単独で、または2種以上を混合して使用できる。
電池用の電極の作製方法は特に限定されず一般的な方法が用いられる。電池電極用スラリー組成物(塗工液)をドクターブレード法やシルクスクリーン法などにより集電体(金属電極基板)表面上に適切な厚さに均一に塗布することより行われる。
本発明の電極を用いたリチウムイオン二次電池の製造方法は特に限定されず、正極、負極、セパレータ、電解液、集電体で構成され、公知の方法にて製造される。例えば、コイン型のリチウムイオン電池場合、正極、セパレータ、負極を外装缶に挿入する。これに電解液を入れ含浸する。その後、封口体とタブ溶接などで接合して、封口体を封入し、かしめることで蓄電池が得られる。電池の形状は限定されないが、例としてはコイン型、円筒型、シート型などがあげられ、2個以上の電池を積層した構造でもよい。
作製した電極の評価としては剥離試験を行った。評価結果を表1にまとめて示した。
剥離試験(結着試験)
剥離試験はミネベアのTG−200Nを使用し、90°剥離試験にて行った。具体的にはプレス後の電極を幅2.5cm×長さ6.5cmに切り、電極スラリー塗工面が上になるように両面テープで基板に接着した後、テープ(セロテープ:ニチバン製)を貼り付け、90°剥離試験でのピール強度を測定した。剥離速度は50mm/minで行った。試験は3回実施し、その平均値を求めた。
作製した電池の評価としては充放電装置を用いて充放電サイクル特性試験を行い、容量維持率を求めた。評価結果を表1にまとめて示した。
容量維持率
正極活物質としてマンガン酸リチウムを使用した場合、電気化学特性は(株)東洋システム製の充放電装置を用い、4.3Vを上限、3.0Vを下限とし、初回8時間で所定の充電および放電が行える試験条件(C/8)、4回目以降1Cにて一定電流通電により正極の充放電サイクル特性を評価した。試験温度は25℃環境とした。可逆容量は4サイクル目の容量の値を、容量維持率は充放電を100サイクル行った後の容量と4サイクル目の容量の比で評価した。
[バインダーの実施合成例1]
攪拌機付き反応容器に、メタアクリル酸メチル40.9重量部、ポリプロピレングリコールモノアクリレート(日油製:ブレンマーAP−400)40.9重量部、アクリル酸1.2重量部、メタアクリル酸3.4重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学製:A−TMPT)13.6重量部、乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウム1重量部、イオン交換水500重量部および重合開始剤として過硫酸カリウム1重量部を入れ、ホモジナイザーを用いて十分乳化させた後、窒素雰囲気下で60℃に加温し5時間重合し、その後冷却した。冷却後、24%水酸化ナトリウム水溶液を用いて、重合液をpH8.1に調整し、バインダーA(重合転化率99%以上)(固形分濃度17wt%)を得た。得られた重合体の平均粒子径は0.097μmであった。
攪拌機付き反応容器に、ポリエチレングリコールモノアクリレート(日油製:ブレンマーAE−400)30重量部、酢酸ビニル55重量部、アクリル酸2重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学製:A−TMPT)13重量部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1重量部、イオン交換水500重量部および重合開始剤として過硫酸カリウム1重量部を入れ、ホモジナイザーを用いて十分乳化させた後、窒素雰囲気下で60℃に加温し5時間重合し、その後冷却した。冷却後、24%水酸化ナトリウム水溶液を用いて、重合液のpHを8.2に調整し、バインダーB(重合転化率99%以上)(固形分濃度16wt%)を得た。得られた重合体の平均粒子径は0.233μmであった。
攪拌機付き反応容器に、メタアクリル酸メチル90重量部、アクリル酸1.3重量部、メタアクリル酸3.7重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学製:A−TMPT)5重量部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1重量部、イオン交換水500重量部および重合開始剤として過硫酸カリウム1重量部を入れ、ホモジナイザーを用いて十分乳化させた後、窒素雰囲気下で60℃に加温し5時間重合し、その後冷却した。冷却後、24%水酸化ナトリウム水溶液を用いて、重合液のpHを8.1に調整し、バインダーC(重合転化率99%以上)(固形分濃度16wt%)を得た。得られた重合体の平均粒子径は0.101μmであった。
攪拌機付き反応容器に、メタアクリル酸メチル42重量部、ポリプロピレングリコールモノアクリレート(日油製:ブレンマーAP−400)50重量部、アクリル酸2重量部、メタアクリル酸6重量部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1重量部、イオン交換水500重量部および重合開始剤として過硫酸カリウム1重量部を入れ、ホモジナイザーを用いて十分乳化させた後、窒素雰囲気下で60℃に加温した。重合体は微粒子にならずに、撹拌を停止すると1時間程度で沈降した。撹拌しながら冷却後水酸化ナトリウム水溶液を用いて、重合液のpHを8.1に調整し、バインダーD(重合転化率99%以上)(固形分濃度15wt%)を得た。
[電極の実施作製例1]
正極活物質としてマンガン酸リチウム95重量部に、導電助剤としてアセチレンブラック3重量部、バインダーの実施合成例1で得られたバインダーAの固形分として1重量部および増粘剤としてカルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩1重量部を加え、さらにスラリーの固形分濃度が55重量%となるように水を加えて遊星型ミルを用いて十分に混合して正極用スラリーを得た。
得られた正極スラリーを厚さ20μmのアルミ集電体上に100μmギャップのベーカー式アプリケーターを用いて塗布し、110℃真空状態で12時間以上乾繰後、ロールプレス機にてプレスを行い、厚さ30μmの正極を作製した。剥離強度の評価結果を表1の実施例1に示す。
バインダーの実施合成例2で得られたバインダーBを使用した以外は、電極の実施作製例1と同様にして正極を作製した。得られた正極の厚みは35μmであった。剥離強度の評価結果を表1の実施例2に示す。
増粘剤としてカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩を使用した以外は、電極の実施作製例1と同様にして正極を作製した。得られた正極の厚みは35μmであった。剥離強度の評価結果を表1の比較例1に示す。
増粘剤としてカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩を使用した以外は、電極の実施作製例2と同様にして正極を作製した。得られた正極の厚みは35.5μmであった。剥離強度の評価結果を表1の比較例2に示す。
バインダーの比較合成例1で得られたバインダーCを使用した以外は、電極の実施作製例1と同様にして正極を作製した。得られた正極の厚みは30μmであった。剥離強度の評価結果を表1の比較例3に示す。
バインダーの比較合成例2で得られたバインダーDを使用した以外は、電極の実施作製例1と同様にして正極を作製した。得られた正極の厚みは31μmであった。剥離強度の評価結果を表1の比較例4に示す。
[コイン電池の実施製造例1]
アルゴンガスで置換されたグローブボックス内において、電極の実施作製例1で得た正極、セパレータとして厚み18μmのポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン多孔質膜を2枚、更に対極として厚さ300μmの金属リチウム箔を貼り合わせた積層物に、電解液として1mol/Lの6フッ化リン酸リチウムのエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジエチルカーボネート(体積比3:5:2)を十分に含浸させてかしめ、試験用2032型コイン電池を製造した。100サイクル後の容量維持率の評価結果を表1の実施例1に示す。
電極の実施作製例2で得た正極を用いた以外は、電極の実施作製例1と同様にしてコイン電池を作製した。100サイクル後の容量維持率の評価結果を表1の実施例2に示す。
電極の比較作製例1で得た正極を用いた以外は、電極の実施作製例1と同様にしてコイン電池を作製した。100サイクル後の容量維持率の評価結果を表1の比較例1に示す。
電極の比較作製例2で得た正極を用いた以外は、電極の実施作製例1と同様にしてコイン電池を作製した。100サイクル後の容量維持率の評価結果を表1の比較例2に示す。
電極の比較作製例3で得た正極を用いた以外は、電極の実施作製例1と同様にしてコイン電池を作製した。100サイクル後の容量維持率の評価結果を表1の比較例3に示す。
電極の比較作製例4で得た正極を用いた以外は、電極の実施作製例1と同様にしてコイン電池を作製した。100サイクル後の容量維持率の評価結果を表1の比較例4に示す。
Claims (7)
- (I)水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマー(A)から誘導される構成単位と、
(II)多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)から誘導される構成単位、
を含む重合体を含有するバインダーと、
(III)アンモニウム塩を有するセルロース系化合物と
を含有することを特徴する電池電極用スラリー組成物。 - 水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマー(A)の分子量が150〜1000のアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートである請求項1記載の電池電極用スラリー組成物。
- 多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)が3〜5官能の(メタ)アクリレートである請求項1または2に記載の電池電極用スラリー組成物。
- アンモニウム塩を有するセルロース系化合物がカルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩である請求項1〜3のいずれかに記載の電池電極用スラリー組成物。
- 電池が二次電池である請求項1〜4のいずれかに記載の電池電極用スラリー組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の電池電極用スラリー組成物と活物質とを含有することを特徴とする電池用電極。
- 請求項6記載の電極を有することを特徴とする電池。
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