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JP2015151337A - 医薬用組成物の製造方法、医薬用組成物、及び口腔内崩壊錠 - Google Patents

医薬用組成物の製造方法、医薬用組成物、及び口腔内崩壊錠 Download PDF

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JP2015151337A
JP2015151337A JP2014023801A JP2014023801A JP2015151337A JP 2015151337 A JP2015151337 A JP 2015151337A JP 2014023801 A JP2014023801 A JP 2014023801A JP 2014023801 A JP2014023801 A JP 2014023801A JP 2015151337 A JP2015151337 A JP 2015151337A
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drug
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佳紀 阪田
Yoshinori Sakata
佳紀 阪田
森 久容
Hisayasu Mori
久容 森
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Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
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Abstract

【課題】付着性及び凝集性の少なくとも一方を有する活性成分を含む医薬用組成物を、湿式造粒を用いて従来に比して高い製造効率で得られる製造方法、凝集が抑制された薬物粒子を含む医薬用組成物、及び該医薬用組成物を含む口腔内崩壊錠の提供。【解決手段】下記成分(a)〜(c)を含む薬物含有液を調製することと、得られた薬物含有液を造粒機を用いて核粒子上にコーティングして造粒することと、を含む医薬用組成物の製造方法。成分(a):付着性及び凝集性の少なくとも一方を有する活性成分成分(b):フマル酸ステアリルナトリウム及びステアリン酸マグネシウムからなる群より選択される少なくとも1つの化合物成分(c):水【選択図】なし

Description

本発明は、医薬用組成物の製造方法、医薬用組成物、及び口腔内崩壊錠に関する。
固形製剤の製造方法として、粉体のハンドリングを向上させるため、又は苦味マスキングなどの処理を行うために、粉体を顆粒にする造粒が一般的に行われている。造粒は、液体成分を用いない乾式造粒と、液体成分を用いる湿式造粒に大別される。湿式造粒を用いた製造方法の場合は、核となる粉体にスプレー液を噴霧しながら乾燥させることで、粒子同士の結合又はスプレー液中に含まれる成分による粒子のコーティングを行う。
湿式造粒を用いた製造方法としては、薬物の溶出性、製造適性などの観点から、種々の技術が提案されている。特許文献1には、水との接触により粒子表面に粘着性のゲル層を形成する生理活性物質粒子同士の凝集による溶出の遅延を改善する目的で、凝集抑止成分を含む水溶性高分子層により生理活性物質粒子を被覆する方法が開示されている。生理活性物質粒子を被覆する水溶性高分子溶液に含有させる成分として、糖、糖アルコール等の水溶性添加剤微粒子、タルク等の不溶性添加剤微粒子が開示されている。
特開2013−23463号公報
しかし、湿式造粒を用いた製造方法ではスプレー液に含まれる成分の付着性又は凝集性が強いと、粒子同士の凝集が発生し目的以上の粗大粒子ができてしまい、収率が低下するという問題がある。また、粒子同士の凝集を抑制するには、スプレー液の噴霧速度を遅くしなければならず、製造時間が延びる。そのため、付着性又は凝集性を有する成分が含まれるスプレー液を用いた造粒方法は製造効率が低いという問題もある。
造粒される粒子の凝集抑制のために、タルク、軽質無水ケイ酸等の滑沢剤をスプレー液に分散させる技術では、十分な凝集抑制効果は得られない。その他、湿式造粒中の凝集防止として、造粒機に給気される空気、窒素等の気体の温度を上昇させて、スプレー液により造粒機内に供給される水分量を減少させる方法を採ることも一般的であるが、造粒された粒子の凝集抑制は十分ではない。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、付着性及び凝集性の少なくとも一方を有する活性成分を含む医薬用組成物を、湿式造粒を用いて従来に比して高い製造効率で得られる製造方法を提供することを課題とする。
また、本発明は、凝集が抑制された薬物粒子を含む医薬用組成物、及び、医薬用組成物を含む口腔内崩壊錠を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための具体的な手段は、以下の通りである。
<1> 下記成分(a)〜(c)を含む薬物含有液を調製することと、得られた薬物含有液を、造粒機を用いて核粒子上にコーティングして造粒することと、を含む医薬用組成物の製造方法。
成分(a):付着性及び凝集性の少なくとも一方を有する活性成分
成分(b):フマル酸ステアリルナトリウム及びステアリン酸マグネシウムからなる群より選択される少なくとも1つの化合物
成分(c):水
<2> 成分(b)の含有量が、成分(a)1質量部に対して0.05質量部〜5質量部である<1>に記載の医薬用組成物の製造方法。
<3> 成分(b)がフマル酸ステアリルナトリウムである<1>又は<2>に記載の医薬用組成物の製造方法。
<4> 薬物含有液が、更に、成分(d):塩基性物質を含む<1>〜<3>のいずれか1つに記載の医薬用組成物の製造方法。
<5> 成分(d)が、成分(a)に対して、モル比率で0.1倍量〜5倍量含まれる<4>に記載の医薬用組成物の製造方法。
<6> 成分(a)がテルミサルタンである<1>〜<5>のいずれか1つに記載の医薬用組成物の製造方法。
<7> 薬物含有液が、更に、成分(e):ヒドロキシプロピルセルロースを含む<1>〜<6>のいずれか1つに記載の医薬用組成物の製造方法。
<8> 成分(e)含有量が、成分(a)1質量部に対して、0.01質量部〜0.5質量部である<7>に記載の医薬用組成物の製造方法。
<9> 更に、造粒機に供給される気体の給気温度における相対湿度を20%以下に制御することを含む<1>〜<8>のいずれか1つに記載の医薬用組成物の製造方法。
<10> 造粒が噴流流動層造粒法を用いた造粒である<1>〜<9>のいずれか1つに記載の医薬用組成物の製造方法。
<11> 核粒子上に原薬層がコーティングされた薬物粒子を含んでなり、原薬層が、成分(a):付着性及び凝集性の少なくとも一方を有する活性成分と、成分(b):フマル酸ステアリルナトリウム及びステアリン酸マグネシウムからなる群より選択される少なくとも1つの化合物と、を含む医薬用組成物。
<12> 原薬層が、更に、成分(d):塩基性物質を含む<11>に記載の医薬用組成物。
<13> 原薬層が、更に、成分(e):ヒドロキシプロピルセルロースを含む<11>又は<12>に記載の医薬用組成物。
<14> 成分(a)がテルミサルタンである<11>〜<13>のいずれか1つに記載の医薬用組成物。
<15> 薬物粒子を溶出制御層により被覆した細粒を含む<11>〜<14>のいずれか1つに記載の医薬用組成物。
<16> <11>〜<15>のいずれか1つに記載の医薬用組成物を含む口腔内崩壊錠。
本発明によれば、付着性及び凝集性の少なくとも一方を有する活性成分を含む医薬用組成物を、湿式造粒を用いて従来に比して高い製造効率で得られる製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、凝集が抑制された薬物粒子を含む医薬用組成物、及び、医薬用組成物を含む口腔内崩壊錠を提供することができる。
実施例3〜4で測定された溶出率を示すグラフである。 実施例3〜4、比較例6〜10で測定された溶出率を示すグラフである。 実施例6〜7で測定された溶出率を示すグラフである。
以下、本発明について詳細に説明する。
なお、本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本明細書において、組成物中の各成分の量は、組成物中の各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書において「平均粒子径」とは、体積平均粒子径(Mv)をいい、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(製品名:LS 13 320、ベックマンコールター社製)を用いて測定される値である。
本明細書におい「(メタ)アクリル酸共重」とは、アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも一方を共重合成分として含む共重合体を意味する。
[医薬用組成物の製造方法]
本発明の医薬用組成物の製造方法(以下、「本発明の製造方法」とも称する。)は、下記成分(a)〜(c)を含有する薬物含有液を調製すること(以下、「薬物含有液調製工程」とも称する。)と、得られた薬物含有液を、造粒機を用いて核粒子上にコーティングすること(以下、「コーティング工程」とも称する。)と、を含む。
成分(a):付着性及び凝集性の少なくとも一方を有する活性成分
成分(b):フマル酸ステアリルナトリウム及びステアリン酸マグネシウムからなる群より選択される少なくとも1つの化合物
成分(c):水
本発明の製造方法は、必要に応じて更に他の工程を含んでもよい。
(薬物含有液調製工程)
薬物含有液調製工程は、成分(a):付着性及び凝集性の少なくとも一方を有する活性成分(以下、「特定活性成分(a)」とも称する。)、成分(b):フマル酸ステアリルナトリウム及びステアリン酸マグネシウムからなる群より選択される少なくとも1つの化合物(以下、「特定化合物(b)」とも称する。)、及び成分(c):水を含む薬物含有液を調製する工程である。薬物含有液調製工程により、水を含む溶媒中に、特定活性成分(a)が溶解又は懸濁され、特定化合物(b)が懸濁されてなる薬物含有液が調製される。薬物含有液は、必要に応じて、特定活性成分(a)、特定化合物(b)、水以外の他の成分を含んでもよい。
本発明の製造方法は、付着性及び凝集性の少なくとも一方を有する活性成分(特定活性成分(a))とフマル酸ステアリルナトリウム及びステアリン酸マグネシウムからなる群より選択される少なくとも1つの化合物(特定化合物(b))とを組み合わせて含む薬物含有液を用いることで、薬物含有液調製工程後に行われるコーティング工程において、薬物含有液を核粒子上にコーティングして造粒する際に、特定活性成分(a)に起因する造粒物の流動性低下が抑制される。このため、本発明の製造方法によれば、付着性及び凝集性の少なくとも一方を有する活性成分を用いながらも医薬用組成物の製造効率が従来に比して格段に向上しうる。特定活性成分(a)と特定化合物(b)とを組み合わせて薬物含有液に含有させることで造粒物の流動性低下が抑制されることは、本発明の製造方法に特有の顕著な効果である。
薬物含有液調製工程において薬物含有液を調製する方法は、特に制限されない。
例えば、水を撹拌しながら、特定活性成分(a)、特定化合物(b)、及び所望により用いられる任意成分を徐々に添加する方法等が挙げられる。
薬物含有液を調製する際の温度等の条件については特に制限されず、適宜設定することができる。例えば、温度を25℃〜80℃等の条件に設定した水に、特定活性成分(a)、特定化合物(b)等の成分を加えればよい。
薬物含有液の調製においては、本発明の効果を損ねない範囲において、水と混和するアルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン、アセトニトリル等の薬理学的に許容し得る溶媒とを併用した混合溶媒を用いてもよい。溶媒として水のみを用いるか、水を含む混合溶媒を用いるかについては、特定活性成分(a)の種類により適宜選択される。
薬物含有液の粘度、温度等は、薬物含有液に含有させる各成分の量及び種類に応じて適宜設定することができる。例えば、100mPa・s以下の粘度、35℃以下の温度の薬物含有液を調製することが好ましく、75mPa・s以下の粘度、35℃以下の温度の薬物含有液を調製することがより好ましく、75mPa・s以下の粘度、30℃以下の温度の薬物含有液を調製することが更に好ましい。
<成分(a):付着性及び凝集性の少なくとも一方を有する活性成分>
薬物含有液は、付着性及び凝集性の少なくとも一方を有する活性成分(特定活性成分(a))を含む。
特定活性成分(a)としては、例えば、抗血小板薬、抗潰瘍剤、抗精神病薬、気管支喘息治療薬、アレルギー性鼻炎治療薬、降圧薬、高コレステロール血症薬、抗うつ薬、抗ヒスタミン剤、抗菌剤、骨粗しょう症薬、糖尿病薬、利尿薬、抗リウマチ薬等の薬物として用いられる各種の活性成分のうち、付着性及び凝集性の少なくとも一方を有する活性成分が挙げられる。
これらの中でも、特定活性成分(a)としては、降圧薬として用いられるテルミサルタン、抗血小板薬として用いられるクロピドグレル硫酸塩、プランルカストが好ましく、テルミサルタンがより好ましい。
特定活性成分(a)が水等の溶媒に溶けず薬物含有液中に懸濁する場合、特定活性成分(a)の平均粒子径は、核粒子の平均粒子径に比べて十分に小さいことが好ましい。この場合、特定活性成分(a)の平均粒子径は、核粒子の平均粒子径の3分の1以下であることが好ましく、5分の1以下であることがより好ましく、10分の1以下であることが更に好ましい。
特定活性成分(a)の平均粒子径が大きい場合には、特定活性成分(a)を粉砕することで十分に小さい平均粒子径とし得る。特定活性成分(a)を粉砕する方法は、特に制限されない。特定活性成分(a)の粉砕に適用しうる粉砕機としては、微粉砕ピンミル(製品名:コロプレックス、槙野産業(株)製)等が挙げられる。
薬物含有液に含まれる特定活性成分(a)は、1種のみであってもよいし、2種以上を併用してもよい。
薬物含有液における特定活性成分(a)の含有量としては、特定活性成分(a)の種類等を考慮して、適宜設定することができるが、薬物含有液の全量に対して、0.1質量%〜50質量%であることが好ましく、1質量%〜25質量%であることがより好ましく、5質量%〜20質量%であることが更に好ましい。
<成分(b):フマル酸ステアリルナトリウム及びステアリン酸マグネシウムからなる群より選択される少なくとも1つの化合物>
薬物含有液は、成分(b):フマル酸ステアリルナトリウム及びステアリン酸マグネシウムからなる群より選択される少なくとも1つの化合物(特定化合物(b))を含む。
特定化合物(b)としては、フマル酸ステアリルナトリウム及びステアリン酸マグネシウムとして公知の化合物を用いることができる。
薬物含有液は、特定化合物(b)として、フマル酸ステアリルナトリウム及びステアリン酸マグネシウムのいずれか1つを含むものであってもよいし、フマル酸ステアリルナトリウム及びステアリン酸マグネシウムの双方を含んでもよい。造粒における造粒物の流動性低下を抑制する観点からは、薬物含有液はフマル酸ステアリルナトリウムを含むことがより好ましい。
特定化合物(b)は、水等の本発明に適用される溶媒に不溶性の化合物であり、薬物含有液中に懸濁することから、特定化合物(b)の平均粒子径は、核粒子の平均粒子径に比べて十分に小さいことが好ましい。この場合、特定化合物(b)の平均粒子径は、核粒子の平均粒子径の3分の1以下であることが好ましく、5分の1以下であることがより好ましく、10分の1以下であることが更に好ましい。
特定化合物(b)の平均粒子径が大きい場合には、特定化合物(b)を粉砕することで十分に小さい平均粒子径とし得る。特定化合物(b)を粉砕する方法は、特に制限されない。特定化合物(b)の粉砕に適用しうる粉砕機としては、微粉砕ピンミル(製品名:コロプレックス、槙野産業(株)製)等が挙げられる。
薬物含有液における特定化合物(b)の含有量は、特定活性成分(a)1質量部に対して、0.05質量部〜5質量部であることが好ましく、0.1質量部〜3質量部であることがより好ましく、0.2質量部〜1質量部であることが更に好ましい
特定化合物(b)の含有量が、上記範囲にあることで、造粒における造粒物の流動性低下をより抑制することができる。
<成分(c):水>
薬物含有液は、成分(c):水を含む。水としては、精製水等の製薬上許容される水であればよい。
薬物含有液調製工程で使用する水の量としては、薬物含有液が含有する特定活性成分(a)を溶解又は懸濁し得る量であればよく、薬物含有液が含有する種類及び量に応じて適宜設定することができる。例えば、特定活性成分(a)としてテルミサルタンを使用する場合、テルミサルタン1gに対して、3mL〜100mLの水を使用すればよく、4mL〜75mLの水を使用することが好ましく、5mL〜50mLの水を使用することがより好ましい。
<成分(d):塩基性物質>
薬物含有液は、更に、成分(d):塩基性物質を含むことが好ましい。
塩基性物質の含有は、本発明の製造方法において造粒される造粒物の吸湿性、特定活性成分(a)の安定性、溶解性、非晶質化等に寄与する。
塩基性物質としては、薬理学的に許容し得る塩基性物質であれば、特に限定されず、公知のものを用いることができる。例えば、塩基性物質としては、無機又は有機の塩基性物質、塩基性アミノ酸等が挙げられる。
無機の塩基性物質としては、例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム等の金属酸化物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の金属炭酸水素塩、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸三カルシウム、リン酸三マグネシウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ポリリン酸ナトリウム、ポリリン酸カリウム等の金属リン酸塩、リン酸一水素ナトリウム、リン酸一水素カリウム等の金属リン酸水素塩、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ケイ酸マグネシウムナトリウム、タルク等の金属ケイ酸塩、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等の複合ケイ酸−アルミニウム化合物、合成ヒドロタルサイト等の複合アルミニウム−マグネシウム化合物、水酸化アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、リン酸一水素アンモニウム等の無機アンモニウム塩などが挙げられる。
有機の塩基性物質としては、有機酸の金属塩、有機アミン類等が挙げられる。
有機酸の金属塩としては、例えば、クエン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、リンゴ酸等の有機酸のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等が挙げられる。
有機アミン類としては、例えば、メグルミン、モノエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、POEアルキルアミン等が挙げられる。
塩基性アミノ酸としては、例えば、リジン、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン、ヒスチジン、プロリン、オキシプロリン、オルニチン、ヒドロキシリジン、これらの誘導体等が挙げられる。
これらの中でも、特定活性成分(a)がテルミサルタンである場合には、塩基性物質としては、テルミサルタンの溶解性の観点から、メグルミン、アルギニン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及びリジンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。特に、テルミサルタンの非晶質化効果が優れるという観点から、塩基性物質としては、メグルミンが好ましい。
薬物含有液が塩基性物質を含有する場合、塩基性物質を1種含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。塩基性物質の含有量は、特に限定されず、特定活性成分(a)の種類及び含有量に応じて、適宜、設定することができる。
特に、特定活性成分(a)がテルミサルタンであり、塩基性物質がメグルミンである場合には、テルミサルタンの溶解性の観点から、細粒中におけるメグルミンの含有量は、テルミサルタンの全質量に対して、モル比率で0.1倍量〜5倍量含まれることが好ましく、0.5倍量〜3倍量であることがより好ましく、1倍量〜2倍量であることが更に好ましい。
<成分(e):ヒドロキシプロピルセルロース>
薬物含有液は、更に、成分(e):ヒドロキシプロピルセルロースを含むことが好ましい。薬物含有液がヒドロキシプロピルセルロースを含むことで、特定活性成分(a)の溶出性がより向上する。特に、特定活性成分(a)がテルミサルタンである場合、ヒドロキシプロピルセルロースの含有は、テルミサルタンの溶出性をより向上させるため好ましい。
ヒドロキシプロピルセルロースとしては、ヒドロキシプロピルセルロースとして公知のものを用いることができる。ヒドロキシプロピルセルロースとしては、市販品を用いてもよい。市販品の例としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(商品名:タイプSSL、日本曹達(株)製)等が挙げられる。
薬物含有液がヒドロキシプロピルセルロースを含む場合、ヒドロキシプロピルセルロースの含有量としては、特定活性成分(a)の全質量に対して、1質量%〜50質量%が好ましく、5質量%〜35質量%がより好ましく、10質量%〜20質量%が更に好ましい。
<他の成分>
薬物含有液は、上述した、必須成分(特定活性成分(a)、特定化合物(b)、水)及び任意成分(塩基性物質及びヒドロキシプロピルセルロース)の他にも、本発明の効果を損ねない範囲において、必要に応じて他の成分を含有していてもよい。
薬物含有液に含有し得る他の成分としては、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、流動化剤等が挙げられる。
賦形剤として機能し得る成分としては、具体的には、糖、糖アルコール、結晶セルロース、デンプンが挙げられる。糖としては、乳糖、白糖、マルトース、トレハロース、デキストリン等が挙げられる。糖アルコールとしては、マンニトール、エリスリトール、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、ソルビトール、キシリトール等が挙げられる。デンプンとしては、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コメデンプン、コムギデンプン等が挙げられる。
崩壊剤として機能し得る成分としては、崩壊剤として公知の化合物を使用することができる。例えば、トウモロコシデンプンやバレイショデンプン等のデンプン、部分アルファー化デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、デンプングリコール酸ナトリウム等が挙げられる。
結合剤としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシビニルポリマー、カルメロースナトリウム、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、ゼラチン、アルファー化デンプン、プルラン等が挙げられる。
滑沢剤や流動化剤として機能し得る成分としては、タルク、軽質無水ケイ酸、モノステアリン酸グリセリン等が挙げられる。
<コーティング工程>
コーティング工程は、薬物含有液調製行程にて得られた薬物含有液を、造粒機を用いて核粒子上にコーティングする工程である。コーティング工程により、核粒子上に薬物含有液により形成された原薬層を有する薬物粒子が造粒される。
コーティング工程は、薬物含有液を核粒子上に付与する工程と、薬物含有液に含まれる水等の溶媒を蒸発させ、核粒子上から溶媒を除去する工程とを含む。溶媒の除去は、薬物含有液の核粒子上への付与と同時に行なってもよく、薬物含有液の核粒子上への付与に引き続いて連続的又は断続的に行ってもよい。
薬物含有液を核粒子上にコーティングする方法は、特に制限されない。コーティング対象となる核粒子の量や核粒子の物理的強度等に応じて適宜設定できる。
薬物含有液を核粒子上にコーティングし造粒物を造粒する方法としては、流動層造粒法、スプレードライ法、撹拌造粒法等が挙げられる。中でも、核粒子を空気で流動させることで核粒子へ各方向から均一にコーティングを行うのに適した方法であるため、また、溶媒の除去を、薬物含有液を核粒子上に付与する工程と同時に行うことができる方法であるため、薬物含有液を核粒子上にコーティングする方法としては、流動層造粒法が好ましい。流動層造粒法としては、流動層造粒法、転動流動層造粒法、噴流流動層造粒法、ワースター流動層造粒法、機械撹拌複合型流動層造粒法等が挙げられ、剪断力が掛かるため、薬物含有液の付着又は凝集を抑制できるという観点から、噴流流動層造粒法がより好ましい。
また、コーティング工程は、薬物含有液を噴霧して核粒子上にコーティングする工程、薬物含有液を滴下して核粒子上にコーティングする工程、核粒子を薬物含有液に浸漬してコーティングする工程から選ばれる工程の少なくとも1種を含んでいることが好ましい。
薬物含有液の核粒子上へのコーティングには、流動層造粒方法に使用しうる造粒機を用いることが好ましく、流動層造粒機、転動流動層造粒機、噴流流動層造粒機、機械撹拌複合型流動層造粒機等の造粒機を用いることがより好ましく、噴流流動層造粒機を用いることがより好ましい。
流動層造粒方法に使用しうる造粒機としては、例えば、流動層造粒機(製品名:FD−MP−01、パウレック(株)製)、フローコーター(製品名:FL−1、フロイント産業(株)製)等が上げられる。
薬物含有液に含まれる水等の溶媒を蒸発させ、核粒子上から溶媒を除去する方法としては、上記のように流動層造粒機を使用する以外に、乾燥のみを独立に行う方法を用いることもできる。例えば、真空乾燥機を用いる方法、熱風乾燥機を用いる方法等が挙げられる。
コーティング工程における好適な態様の一つは、造粒機に供給される気体の給気温度における相対湿度を20%以下に制御することを含む。造粒機に供給される気体の給気温度における相対湿度を20%以下にすることで、造粒される薬物粒子の流動性低下がより効果的に抑制される。
ここで、造粒機に供給される気体の給気温度における相対湿度は、一般的な湿度計により測定することができる。
造粒機に供給される気体の湿度は、造粒機に供給前の気体を、乾燥手段を用いて加温し、乾燥させることにより調整することができる。乾燥手段としては、公知の乾燥機を適用でき、例えば、乾式除湿機(商品名:ハニードライ、(ダイキン(株))等が挙げられる。
造粒機に供給される気体の給気温度としては、例えば、25℃〜100℃が好ましく、30℃〜80℃がより好ましく、30℃〜60℃が更に好ましい。
コーティング工程を経て得られた薬物粒子中に残留する水等の溶媒の量は、特に制限されない。例えば、薬物粒子の全質量に対して、5質量%以下であることが好ましく、4質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることが更に好ましい。
薬物含有液を核粒子上に付与する量は、核粒子が薬物含有液によりコーティング(被覆)された形態になる量であれば特に制限されない。例えば、核粒子の全質量に対して、質量基準で、0.01倍量〜100倍量、0.05倍量〜50倍量、又は0.1倍量〜20倍量の薬物が含まれる量の薬物含有液を核粒子に付与すればよい。
核粒子が薬物含有液によりコーティングされた形態とは、薬物含有液が核粒子の表面の少なくとも一部に存在している状態であればよい。薬物含有液が核粒子の表面の1/4以上をコーティングしていることが好ましく、1/2以上をコーティングしていることがより好ましい。また、薬物含有液が核粒子の表面の全体をコーティングしていることが最も好ましい。更に、コーティングにより薬物含有液は核粒子中に浸潤してもよく、それにより核粒子内部にまで薬物が存在する形態となっていてもよい。
薬物含有液を核粒子上にコーティングする際の、速度、時間、液温度及び乾燥条件等は、薬物含有液中の特定活性成分(a)の含有量、薬物含有液の粘度等に応じて適宜設定することができる。薬物含有液の核粒子上へのコーティングとして、薬物含有液を噴霧して核粒子上にコーティングすることが挙げられる。
核粒子は、例えば、後述する医薬組成物、又は医薬組成物を含有する口腔内崩壊錠の作製において、薬物粒子又は後述する細粒を作製する際の基材となりうる粒子である。例えば、薬物粒子は、核粒子上に薬物含有液をコーティングすることで作製可能である。薬物含有液による核粒子のコーティングを容易にするために、表面が平滑な核粒子を用いたり、薬物粒子の粒度分布を均一化するために、粒度分布を均一化した核粒子を用いたりすることが好ましい。
核粒子を構成する成分は、薬理学的に許容される成分であれば特に制限されない。例えば、マンニトール、乳糖、結晶セルロース、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、無水リン酸水素カルシウム、ケイ酸カルシウム等の賦形剤、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム等の安定化剤であるアルカリ性成分、薬物等が挙げられる。
また、核粒子は、マンニトール、乳糖、結晶セルロース、ケイ酸カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム及び薬物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
核粒子は、原末そのものを用いてもよいし、造粒物を用いてもよいし、市販の核粒子を用いてもよい。後述する細粒を作製するにあたっては、溶出制御層等で均一に被覆するため、核粒子は均一な平均粒子径を持つことが好ましく、また、球状の粒子であることが好ましい。
市販の核粒子としては、例えば、フローライト(エーザイフード・ケミカル(株)製)、ノンパレル(フロイント産業(株)製)、セルフィア(旭化成ケミカルズ(株)製)等が挙げられる。これらの中でも、市販の核粒子としては、ノンパレル(フロイント産業(株)製)、及びセルフィア(旭化成ケミカルズ(株)製)からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
核粒子の平均粒子径は、薬物及び溶出制御層等の被覆を含めても十分に嚥下しやすい大きさであることが好ましいため、1μm〜350μmであることが好ましく、5μm〜250μmであることがより好ましく、10μm〜200μmであることが更に好ましい。
コーティング工程に使用し得る核粒子の量は、医薬用組成物に含有される特定活性成分(a)の全質量に応じて適宜設定すればよい。
例えば、医薬用組成物全質量に対して20mg〜80mgのテルミサルタンを含有する場合には、テルミサルタンの全質量に対し、0.05倍量〜100倍量の核粒子を用いることが好ましく、0.1倍量〜20倍量の核粒子を用いることがより好ましく、又は0.5倍量〜5倍量の核粒子を用いることが更に好ましい。
薬物含有液調製工程及びコーティング工程により、本発明にかかる医薬用組成物を得ることができる。また、薬物含有液調製工程及びコーティング工程により、薬物粒子を含む医薬用組成物を得ることができる。
更に本発明の医薬用組成物の製造方法は、薬物含有液調製工程及びコーティング工程の他に、医薬用組成物の剤形により、必要に応じて、細粒調製工程、混合工程、打錠工程、乾燥工程等を含んでいてもよい。
(細粒調製工程)
細粒調製工程としては、例えば、薬物含有液調製工程及びコーティング工程により得られた薬物粒子を後述する中間層、溶出制御層等の被覆層により被覆して細粒を調製する工程が挙げられる。
細粒調製工程において調製される細粒は、薬物粒子を被覆し、後述の溶出制御層と薬物粒子との接触を防止する中間層を有していてもよい。
細粒は、中間層を有する場合、中間層を1層有していてもよいし、2層以上有していてもよい。
中間層は、薬物粒子の表面の少なくとも一部に存在している状態であればよく、好ましくは、中間層が、薬物粒子の表面の1/4以上を被覆しており、薬物粒子の表面の1/2以上を被覆していることがより好ましく、薬物粒子の表面の全体を被覆していることが最も好ましい。
中間層を形成する成分としては、特に限定されず、薬理学上許容される公知の成分を使用することができる。中間層を形成する成分としては、例えば、水溶性ポリマー、水不溶性ポリマー、アルカリ性ポリマー等が挙げられる。中間層を形成する他の成分としては、例えば、上述の賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動化剤等が挙げられる。
中間層の形成に際しては、薬物粒子の全質量に対して、質量基準で0.01倍量〜50倍量、好ましくは0.1倍量〜5倍量、より好ましくは0.5倍量〜1倍量の中間層を形成する成分を、薬理学的に許容される溶媒に溶解又は懸濁し、得られた中間層用コーティング液を、薬物粒子に付与すればよい。
薬物粒子を2層以上の中間層で被覆する場合には、組成等を変えた複数の中間層用コーティング液を調製し、中間層用コーティング液ごとに複数回に分けて、薬物粒子に付与すればよい。
細粒調製工程において調製される細粒は、薬物粒子を被覆し、製剤に時限放出性又は徐放性を付与する溶出制御層を有していてもよい。
溶出制御層としては、具体的には、接触する液体のpHに応じて溶解性が変化することにより目的とする部位で薬物を放出する胃溶性膜や腸溶性膜、ある一定時間で水に溶解するがその間薬物の放出を妨げる水溶性膜、水への溶解度が低い又は水不溶性であるために薬物を膜間から徐々にしか放出しない水不溶性膜、これらの機能を組み合わせた膜等が挙げられる。溶出制御層は、1つ以上の層から形成されていればよく、2層以上の多層で形成されていてもよい。
溶出制御層を形成する成分としては、特に限定されず、口腔内崩壊錠において公知の成分を使用することができる。
例えば、胃溶性膜としては、酸性水溶液中では溶解し、塩基性水溶液中では溶解しない成分で形成されていれば、特に限定されず、例えば、胃溶性ポリビニル誘導体、胃溶性アクリル酸共重合体等を用いた膜が挙げられる。
胃溶性ポリビニル誘導体としては、例えば、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート等が挙げられ、胃溶性アクリル酸共重合体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル/(メタ)アクリル酸ブチル/(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、メタクリル酸メチル/メタクリル酸ジエチルアミノエチル共重合体等が挙げられる。
胃溶性ポリビニル誘導体及び胃溶性アクリル酸共重合体としては、市販品を用いることもできる。胃溶性ポリビニル誘導体の市販品としては、例えば、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート(商品名:AEA、三菱化学フード(株)製)等が挙げられる。胃溶性アクリル酸共重合体の市販品としては、例えば、メタクリル酸メチル/メタクリル酸ブチル/メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体(商品名:オイドラギットE100、オイドラギットEPO、エボニック社)、メタクリル酸メチル/メタクリル酸ジエチルアミノエチル共重合体(商品名:Kollicoat Smartseal 30D、BASF社製)等が挙げられる。
胃溶性膜は、その目的に応じて、いずれかの成分を1種単独で使用してもよく、性質が同様の2種以上又は性質の異なる2種以上の成分を組み合わせて使用してもよい。また、2種以上の成分を組み合わせて用いる場合には、例えば、多層構造の形になるように使用することもできる。
胃溶性膜の含有量は、細粒の全質量に対して、例えば、1質量%〜100質量%、好ましくは3質量%〜50質量%、より好ましくは5質量%〜25質量%にすることができる。
腸溶性膜としては、塩基性水溶液中では溶解し、酸性水溶液中では溶解しない成分で形成されていれば、特に限定されないが、水系腸溶性高分子を含む腸溶性膜が好ましい。塩基性水溶液中では溶解し、酸性水溶液中では溶解しない成分としては、例えば、腸溶性セルロース誘導体、腸溶性アクリル酸共重合体等を用いた膜が挙げられる。
腸溶性セルロース誘導体としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース等が挙げられる。
腸溶性アクリル酸共重合体としては、例えば、メタクリル酸共重合体が挙げられ、具体的には、メタクリル酸/メタクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸/アクリル酸エチル共重合体、アクリル酸メチル/メタクリル酸メチル/メタクリル酸共重合体等が挙げられる。
これらの中でも、腸溶性膜としては、高濃度でも低粘度で微粒子コーティングが容易であるという観点から、メタクリル酸共重合体が好ましい。
腸溶性セルロース誘導体及び腸溶性アクリル酸共重合体としては、市販品を用いることができる。腸溶性セルロース誘導体の市販品としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(商品名:HPMCAS、信越化学工業(株)製)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(商品名:HPMCP、信越化学工業(株)製)、カルボキシメチルエチルセルロース(商品名:CMEC、フロイント産業(株)製)等が挙げられる。腸溶性アクリル酸共重合体の市販品としては、メタクリル酸/メタクリル酸メチル共重合体(商品名:オイドラギットL100、オイドラギットS、エボニック社)、メタクリル酸/アクリル酸エチル共重合体(商品名:オイドラギットL100−55、オイドラギットL30D55、エボニック社)、アクリル酸メチル/メタクリル酸メチル/メタクリル酸コポリマー(商品名:オイドラギットFS30D、エボニック社)等が挙げられる。
水系腸溶性高分子とは、水溶液又は水分散液として噴霧可能な腸溶性高分子を指す。上記の腸溶性高分子のうち、水系腸溶性高分子としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、メタクリル酸/アクリル酸エチル共重合体、アクリル酸メチル/メタクリル酸メチル/メタクリル酸コポリマーが挙げられる。
腸溶性膜は、その目的に応じて、いずれかの成分を1種単独で使用してもよく、性質が同様の2種以上又は性質の異なる2種以上の成分を組み合わせて使用してもよい。また、2種以上の成分を組み合わせて用いる場合には、例えば、多層構造の形になるように使用することもできる。
腸溶性膜の含有量は、細粒の全質量に対して、例えば、1質量%〜100質量%、好ましくは3質量%〜50質量%、より好ましくは5質量%〜25質量%にすることができる。
水溶性膜としては、膜を20℃の水に浸漬した後、一定時間経過後に水に溶解する水溶性高分子で形成された膜であれば、特に限定されない。ここで、一定時間とは、水溶性膜に求められる溶解時間に応じて適宜設定することができるが、例えば、0時間〜48時間、0時間〜24時間、0時間〜12時間等が挙げられる。
水溶性高分子としては、具体的には、水溶性セルロース誘導体、水溶性ビニルポリマー誘導体、水溶性アクリル酸共重合体、多価アルコールポリマー、又はこれらの共重合体が挙げられる。好ましくは、水溶性セルロース誘導体及び水溶性ビニルポリマー誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられ、より好ましくは水溶性セルロース誘導体が挙げられる。
より具体的には、水溶性セルロース誘導体としては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。水溶性ビニルポリマー誘導体としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。水溶性アクリル酸共重合体としては、アクリル酸ポリマー、アクリル酸エステルポリマー、メタクリル酸エステルポリマー等が挙げられる。多価アルコールポリマーとしては、マクロゴール、ポリグリセリン等が挙げられる。これらのポリマーの共重合体としては、ポリビニルアルコール/アクリル酸/メタクリル酸メチル共重合体、ポリエチレングリコールポリビニルアルコールグラフト共重合体、ビニルピロリドン/ビニルアルコール共重合体等が挙げられる。
水溶性高分子としては、中でも、微粒子コーティングに適した粘度や結着性の観点から、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。水溶性高分子は、市販品を用いてもよい。市販品の例としては、ヒドロキシプロピルセルロース(商品名:タイプSSL、日本曹達(株)製)等が挙げられる。
共重合体ポリマーとしては、例えば、ポリビニルアルコール/アクリル酸/メタクリル酸メチル共重合体、ポリエチレングリコール/ポリビニルアルコールグラフト共重合体、ビニルピロリドン/ビニルアルコール共重合体等が挙げられる。市販品の例としては、ポリビニルアルコール/アクリル酸/メタクリル酸メチル共重合体(商品名:POVACOAT、大同化成製工業(株)製)、ポリエチレングリコール/ポリビニルアルコールグラフト共重合体(商品名:Kollicoat IR、BASF社製)、ビニルピロリドン/ビニルアルコール共重合体(商品名:Kollicoat VA64、BASF社製)等が挙げられる。
水不溶性膜としては、例えば、水不溶性セルロースエーテル、水不溶性アクリル酸共重合体等を用いた膜が挙げられる。水不溶性セルロースエーテルとしては、エチルセルロース等が挙げられる。水不溶性アクリル酸共重合体としては、アクリル酸エチル/メタクリル酸メチル/メタクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル共重合体、アクリル酸エチル/メタクリル酸メチル共重合体分散液等が挙げられる。
水不溶性膜としては、市販品を用いることもできる。水不溶性セルロースエーテルの市販品としては、エチルセルロース水分散液(商品名:Aquacoat ECD、FMC社製)等が挙げられる。水不溶性アクリル酸共重合体の市販品としては、アクリル酸エチル/メタクリル酸メチル/メタクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル共重合体(商品名:オイドラギットRS、エボニック社)、アクリル酸エチル/メタクリル酸メチル共重合体分散液(商品名:オイドラギットNE30D、エボニック社)、アクリル酸エチル/メタクリル酸メチル/メタクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル共重合体分散液(商品名:オイドラギットRL30D、エボニック社)等が挙げられる。
水不溶性膜は、その目的に応じて、いずれかの成分を1種単独で使用してもよく、性質が同様の2種以上又は性質の異なる2種以上の成分を組み合わせて使用してもよい。また、2種以上の成分を組み合わせて用いる場合には、例えば、多層構造の形になるように使用することもできる。
水不溶性膜の含有量は、細粒の全質量に対して、例えば、5質量%〜70質量%、好ましくは10質量%〜60質量%、より好ましくは15質量%〜50質量%にすることができる。
溶出制御層を形成する成分としては、所望のpHにおける溶出性と苦味マスキングを両立させる観点から、メタクリル酸メチル/メタクリル酸ブチル/メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体(商品名:オイドラギットEPO、エボニック社)、アクリル酸エチル/メタクリル酸メチル/メタクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル共重合体分散液(商品名:オイドラギットRL30D、エボニック社)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート等を用いてもよい。
溶出制御層は、その目的に応じて、上記の膜成分から性質の異なる2種以上の成分を組み合わせて使用してもよい。また、2種以上の成分を組み合わせて用いる場合には、例えば、多層構造の形になるように使用することもできる。
2層以上の溶出制御膜を設ける場合には、組成等を変えた複数の溶出制御層用コーティング液を、溶出制御層用コーティング液ごとに複数回に分けて、薬物粒子又は中間層で被覆された薬物粒子に噴霧すればよい。
溶出制御層は、上記の高分子の他に、本発明の効果を損なわない範囲において、他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、賦形剤、結合剤、滑沢剤、流動化剤、可塑剤等を含んでいてもよい。
賦形剤、結合剤、滑沢剤、流動化剤の具体例としては、上述の各成分と同様の成分が挙げられる。
可塑剤としては、例えば、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル等が挙げられる。
溶出制御層は、薬物粒子の表面の少なくとも一部に存在している状態であればく、好ましくは、溶出制御層が、薬物粒子の表面の1/4以上を被覆しており、薬物粒子の表面の1/2以上を被覆していることがより好ましく、薬物粒子の表面の全体を被覆していることが最も好ましい。
溶出制御層の形成に際しては、薬物粒子の全質量に対して、質量基準で0.01倍量〜10倍量、好ましくは0.05倍量〜5倍量、より好ましくは0.1倍量〜2倍量の溶出制御層を形成する成分を、薬理学的に許容される溶媒に溶解又は懸濁し、得られた溶出制御層用コーティング液を、薬物粒子又は中間層で被覆された薬物粒子に付与すればよい。
細粒の平均粒子径は、1mm以下であることが好ましく、750μm以下であることがより好ましく、500μm以下であることが更に好ましい。
また、細粒の平均粒子径は、50μm以上であることが好ましく、150μm以上であることがより好ましく、300μm以上であることが更に好ましい。
(混合工程)
混合工程は、細粒と賦形剤とを混合して混合末を調製する工程である。また、混合工程においては、細粒と、賦形剤と、賦形剤以外の薬理学的に許容し得るその他の製剤用添加物(崩壊剤、滑沢剤、滑沢剤、結合剤、苦味抑制剤等)とを混合することもできる。
細粒と賦形剤とを混合する方法は、細粒と賦形剤とを混合することができれば、その混合方法は特に制限されない。混合方法としては、例えば、V型混合器(筒井理化学器械(株)製)、流動層造粒機(パウレック(株)製)等の公知の混合器を用いて、混合することが挙げられる。
混合に要する時間等の混合条件は、調製された細粒及び賦形剤の種類により適宜調製することができる。
混合工程において用いる賦形剤としては、賦形剤として機能し得る成分であれば、公知のものを使用することができる。例えば、糖、糖アルコール、結晶セルロース、無水リン酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等が挙げられる。
糖としては、例えば、乳糖、白糖、マルトース、トレハロース、デキストリン等が挙げられる。
糖アルコールとしては、例えば、D−マンニトール、エリスリトール、イソマルト、ラクチロール、マルチトール、ソルビトール、キシリトール等が挙げられる。これらの糖アルコールの中でも、口腔内崩壊錠の溶解性の点から、D−マンニトール及びエリスリトールからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、D−マンニトールがより好ましい。
結晶セルロースは、市販品を用いることもできる。市販品としては、セオラス(旭化成ケミカルズ(株)製)、Pharmacel(DFE Pharma社製)等を使用することができる。
賦形剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
賦形剤の含有量は、特定活性成分(a)の含有量、細粒の平均粒子径等を考慮して、適宜決定することができる。
崩壊剤としては、崩壊剤として機能し得る成分であれば、公知のものを使用することができる。例えば、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン等のデンプン、部分アルファー化デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルスターチ等が挙げられる。
これら崩壊剤の中でも、崩壊性の点から、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、クロスポビドンがより好ましい。
崩壊剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
崩壊剤の含有量は、特定活性成分(a)の含有量、細粒の平均粒子径等を考慮して、適宜決定することができる。
滑沢剤としては、滑沢剤として機能し得る成分であれば、公知のものを使用することができる。例えば、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等が挙げられる。フマル酸ステアリルナトリウムは、例えば、JRS PHARMA社等から、市販品として入手することができる。
滑沢剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
滑沢剤の含有量は、特定活性成分(a)の含有量、細粒の平均粒子径等を考慮して、適宜決定することができる。
結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシビニルポリマー、カルメロースナトリウム、アルファー化デンプン、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム末、ゼラチン、プルラン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
結合剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
結合剤の含有量は、特定活性成分(a)の含有量、細粒の平均粒子径等を考慮して、適宜決定することができる。
苦味抑制剤として、ケイ酸カルシウム及び炭酸カルシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種のカルシウム塩(以下、「ケイ酸カルシウム等」ともいう。)を含有していてもよい。
例えば、口腔内崩壊錠が苦味を呈する有効成分(例えば、テルミサルタン等)とケイ酸カルシウム等とを含んでいると、口腔内崩壊錠の溶解又は崩壊から一定時間経過後に生じ得る有効成分の苦味が軽減される。口腔内崩壊錠が、苦味を呈する有効成分とケイ酸カルシウム等とを含有する場合、ケイ酸カルシウム等は細粒外に含まれていることが好ましい。ケイ酸カルシウム等が細粒外に含まれていると、苦味を呈する有効成分が細粒から放出される前に、ケイ酸カルシウム等が口腔に作用するため、ケイ酸カルシウム等の利用効率が高く、少ない添加量で苦味を抑制することができる。
ケイ酸カルシウムとしては、市販品を用いることができる。ケイ酸カルシウムの市販品としては、フローライトRE(エーザイフード・ケミカル(株)製)、けい酸カルシウム(和光純薬工業(株)製)等が挙げられる。
炭酸カルシウムとしては、市販品を用いることができる。炭酸カルシウムの市販品としては、炭酸カルシウム(和光純薬工業(株)製)、炭酸カルシウム(沈降性)(和光純薬工業(株)製)等が挙げられる。
苦味抑制剤の含有量は、特定活性成分(a)の含有量、細粒の平均粒子径等を考慮して、適宜決定することができる。
製剤用添加物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。
製剤用添加物の含有量は、特定活性成分(a)の含有量、細粒の平均粒子径等を考慮して、適宜決定することができる。
(打錠工程)
打錠工程は、混合末を打錠して打錠物を調製する工程である。
打錠工程において、混合末を打錠する方法としては、この目的で一般に適用されている方法をそのまま適用すればよく、特に制限されない。
打錠する際の温度としては、特に制限されず、適宜決定することができ、例えば20℃〜40℃のような通常の温度条件を適用することができる。
打錠工程に適用しうる打錠機としては、例えば、ロータリー打錠機(製品名:HT−P18A、畑鉄工所(株)製)、高速回転式錠剤機(製品名:AQUARIUS G、菊水製作所(株)製)が挙げられる。
(乾燥工程)
乾燥工程は、打錠物を乾燥する工程である。
一般的に水分は錠剤中の活性成分の保存安定性を低下させることが多いが、乾燥工程を行うことにより、錠剤中の活性成分の保存安定性を向上させることができる。
乾燥工程において、打錠物を乾燥する方法としては、この目的で一般に適用されている方法をそのまま適用すればよく、特に制限されない。例えば、真空乾燥、流動層乾燥等が挙げられる。
本発明の製造方法により得られる医薬用組成物は、更に、甘味剤、矯味剤、流動化剤、香料、着色料等の医薬品の製造に一般的に用いられる製剤用添加物として公知の成分を含んでいてもよい。
また、本発明の製造方法により得られる医薬用組成物としては、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、ドライシロップ剤などが挙げられるが、中でも錠剤が好ましく、特に口腔内崩壊錠が好ましい。
≪医薬用組成物≫
本発明の医薬用組成物は、核粒子上に原薬層がコーティングされた薬物粒子を含んでなり、原薬層が、成分(a):付着性及び凝集性の少なくとも一方を有する活性成分(特定活性成分(a))と、成分(b):フマル酸ステアリルナトリウム及びステアリン酸マグネシウムからなる群より選択される少なくとも1つの化合物(特定化合物(b))と、を含む組成物である。 本発明の医薬用組成物は、上述した本発明の製造方法により好適に製造される。
本発明の医薬用組成物において、原薬層に含まれる特定活性成分(a)及び特定化合物(b)の具体例及びその好ましい態様については、医薬用組成物の製造方法の項で説明した事項をそのまま適用する。
本発明の医薬用組成物における薬物粒子は、原薬層に、成分(d):塩基性物質を含むことが好ましい。塩基性物質の具体例等の塩基性物質に関する事項は、医薬用組成物の製造方法の項で説明した事項をそのまま適用する。
本発明の医薬用組成物における薬物粒子は、原薬層に、成分(e):ヒドロキシプロピルセルロースを含むことが好ましい。ヒドロキシプロピルセルロースに関する事項については、医薬用組成物の製造方法の項で説明した事項をそのまま適用する。
本発明の医薬用組成物は、薬物粒子を中間層、溶出制御層等の被覆層により被覆して細粒であってもよい。本発明の医薬用組成物の好適な態様の一つは、溶出制御層により被覆した細粒を含む態様である。細粒、及び溶出制御層に関する事項は、医薬用組成物の製造方法の項で説明した事項をそのまま適用する。
本発明の医薬用組成物は、更に、崩壊剤、滑沢剤、賦形剤、結合剤、甘味剤、矯味剤、流動化剤、香料、着色料等の医薬品の製造に一般的に用いられる製剤用添加物として公知の成分を含んでいてもよい。
また、本発明の医薬用組成物としては、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、ドライシロップ剤などが挙げられるが、中でも錠剤が好ましく、特に口腔内崩壊錠が好ましい。
医薬用組成物が口腔内崩壊錠である場合には、口腔内崩壊錠は、崩壊剤、滑沢剤、賦形剤、結合剤等の製剤用添加物を含有していることが好ましい。各成分の具体例については、医薬用組成物の製造方法の項で説明した事項をそのまま適用する。
崩壊剤として機能し得る成分の中でも、医薬用組成物が口腔内崩壊錠である場合には、崩壊性の点から、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含有していることが好ましい。
崩壊剤として機能し得る成分の含有量は、適宜設定することができるが、医薬用組成物の全質量に対し、0.01倍量〜10倍量であることが好ましく、0.1倍量〜5倍量であることがより好ましく、0.5倍量〜3倍量であることが更に好ましい。
賦形剤として機能し得る成分の中でも、医薬用組成物が口腔内崩壊錠である場合には、口腔内崩壊錠の溶解性の点から、マンニトール、エリスリトール、結晶セルロースを含有していることが好ましい。
賦形剤として機能し得る成分の含有量は、適宜設定することができるが、医薬用組成物の全質量に対し、10倍量〜99倍量であることが好ましく、20倍量〜95倍量であることがより好ましく、50倍量〜90倍量であることが更に好ましい。
製剤用添加物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。
製剤用添加物の含有量は、特定活性成分(a)の含有量、口腔内崩壊錠の平均粒子径等を考慮して、適宜決定することができる。
医薬用組成物が口腔内崩壊錠である場合には、例えば、口腔内崩壊錠1錠に対して、0.1mg〜250mgの特定活性成分(a)を含有することが好ましい。
医薬用組成物が口腔内崩壊錠である場合には、例えば、口腔内崩壊錠の大きさ及び形状は医薬上許容されるものであれば特に限定されない。円形錠の場合は、直径7mm〜12mm、厚さ3.0mm〜7.0mm、好ましくは直径8mm〜11mm、厚さ3.5mm〜6.5mm等が挙げられ、変形錠の場合は、短径:4mm〜8mm、長径8mm〜18mm、好ましくは短径:4mm〜6.5mm、長径:8mm〜15mm等が挙げられ、厚さ3.0mm〜7.0mm、好ましくは3.5mm〜6.5mm等が挙げられる。
口腔内崩壊錠の崩壊時間は60秒未満であることが好ましく、崩壊時間は30秒未満であることがより好ましい。
口腔内崩壊錠を製造する方法は、特に制限されず、公知の方法を用いることができる。例えば、細粒と、崩壊剤、滑沢剤、賦形剤、結合剤等の製剤用添加物とを、混合して、混合物を得て、得られた混合物を打錠機で打錠することにより口腔内崩壊錠を得ることができる。
細粒と、製剤用添加物とを混合する方法は特に制限されない。例えば、V型混合器(筒井理化学器械(株)製)、流動層造粒機(パウレック(株)製)等の公知の混合器を用いて混合することができる。
また、得られた混合物を打錠する方法も特に制限されない。例えば、ロータリー打錠機(製品名HT−P18A、(株)畑鉄工所製)等の公知の打錠機を用いて打錠することができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1、比較例1〜4]
(薬物粒子の造粒)
核粒子として、ノンパレル(登録商標)−108(D−マンニトール、150μm〜250μmの球状顆粒、フロイント産業(株)製)30gを噴流流動層造粒機(商品名:FD−mini、パウレック(株)製)(以下、「流動層造粒機(1)」と称する。)に仕込み、給気温度80℃、排気温度約30℃〜40℃に調整し、予め調製した表1に示す組成の原薬層用スプレー液(薬物含有液)を流動層造粒機(1)内に噴霧した。
(製造効率の評価)
原薬層用スプレー液の噴霧速度を、テルミサルタンの噴霧量として0.04g/minから上げて行き、流動層造粒機(1)内の造粒物の流動状態の確認、及び流動層造粒機(1)により造粒可能な噴霧速度を測定し、製造効率の評価とした。
結果を表1に示す。なお、表1中の「−」は該当成分が原薬層用スプレー液に未配合であることを示す。
表1に示される結果から、付着性及び凝集性を有する活性成分(特定活性成分(a))であるテルミサルタン及びステアリン酸マグネシウム(特定化合物(b))を含有する原薬層用スプレー液を用いた実施例1は、造粒可能な噴霧速度及び造粒物の流動状態の双方に優れており、原薬層用スプレー液においてテルミサルタンとステアリン酸マグネシウムとを組み合わせて含有させることで、製造効率が効果的に改善することが確認された。一方、比較例1〜4では、いずれも、造粒可能な噴霧速度が低く、かつ一定時間経過後に造粒物の流動が停止してしまい、効率的な造粒が為しえないことが確認された。
[実施例2、比較例5]
(薬物粒子の造粒)
核粒子として、セルフィア(登録商標)−CP−102(結晶セルロース、100μm〜212μmの球状顆粒、旭化成ケミカルズ(株)製))12gを噴流流動層造粒機(商品名:微少量流動層造粒機、ダルトン(株)製)(以下、「流動層造粒機(2)」と称する。)に仕込み、給気温度80℃〜95℃、排気温度約30℃〜40℃に調整し、予め調製した表2に示す組成の原薬層用スプレー液(薬物含有液)を流動層造粒機(2)内に噴霧した。
(製造効率の評価)
原薬層用スプレー液の噴霧速度を、テルミサルタンの噴霧量として0.04g/minで実施し、流動層造粒機(2)内の造粒物の流動状態の確認を行い、製造効率の評価とした。
結果を表2に示す。なお、表2中の「−」は該当成分が原薬層用スプレー液に未配合であることを示す。
表2に示される結果から、テミサルタンとステアリン酸マグネシウムとを含有する原薬層用スプレー液を用いた実施例2は、テミサルタンと滑沢剤として汎用されるタルクとを含有する原薬層用スプレー液を用いた比較例6よりも、同じ噴霧速度の造粒において造粒物の良好な流動状態が得られており、ステアリン酸マグネシウムはテミサルタンとの組み合わせにおいて汎用の滑沢剤であるタルクよりも効果的に製造効率を改善することが確認された。
(実施例3、4及び比較例6、7)
(薬物粒子の造粒)
核粒子として、ノンパレル(登録商標)−108(D−マンニトール、150μm〜250μmの球状顆粒)500gを噴流流動層造粒機(商品名:FD−MP−01、パウレック(株)製)(以下、「流動層造粒機(3)」と称する。)に仕込み、給気温度60℃〜80℃、排気温度約30℃〜50℃に調整し、予め調製した表3に示す組成の原薬層用スプレー液を流動層造粒機(3)内に噴霧した。原薬層用スプレー液の噴霧は、マンニトールの球状顆粒に対して等量のテルミサルタンがコーティングされるまで実施した。原薬層スプレー液を規定量噴霧した後、給気温度を維持したまま15分間乾燥を行い、核粒子の表面がD−マンニトールでコーティングされた実施例3、4、及び比較例7の造粒物(薬物粒子)を得た。なお、比較例6については、26分間噴霧後に流動停止してしまい、造粒が完了しなかった。
(凝集物の生成率)
実施例3、4、及び比較例7において得られた乾燥後の造粒物(薬物粒子)中における凝集物の生成率(%)を算出し、評価した。
凝集物の生成率(%)は、出来上がった乾燥後の造粒物の全量について測定した重量Aと、乾燥後の造粒物の全量を40号の丸篩(425μm)で篩過し、篩上に残った造粒物について測定した重量Bを用い、重量Aに対する重量Bの重量百分率(重量B/重量A×100)を算出した。
結果を表3に示す。なお、表3中の「−」は該当成分が原薬層用スプレー液に未配合であることを示す。
表3の結果から、原薬層用スプレー液に、テルミサルタンとステアリン酸マグネシウム又はフマル酸ステアリルナトリウムを含有する実施例3及び4は、造粒可能な噴霧速度が高く、425μm以上の凝集物の生成が抑制されており、原薬層用スプレー液がテルミサルタンとステアリン酸マグネシウム又はフマル酸ステアリルナトリウムとを組み合わせて含有することで、造粒物の流動性が向上し、製造効率が効果的に改善することが確認された。また、フマル酸ステリルナトリウムを用いた実施例4では、ステアリン酸マグネシウムを用いた実施例3よりも更に凝集物の生成が抑制されることが確認された。
(溶出率の測定)
実施例3及び4で得られた乾燥後の造粒物について、それぞれテルミサルタンが40mg含まれるように計量し、評価用サンプルとした。評価用サンプルを用いて、日本薬局方に示される溶出試験法第2法(パドル法)に準拠して、pH3.5溶出試験液における溶出率(%)の測定を行った。溶出率の測定結果を図1に示す。
図1に示されるように、実施例3で得た造粒物を用いた評価用サンプルよりも、実施例4で得た造粒物を用いた評価用サンプルの方が溶出率がより優れていた。この結果より、は、溶出率の観点から、フマル酸ステアリルナトリウムがより好ましいことが確認された。
[実施例5]
(薬物粒子の造粒)
核粒子として、ノンパレル(登録商標)−108(D−マンニトール、150μm〜250μmの球状顆粒、フロイント産業(株)製)500gを流動層造粒機(3)に仕込み、給気温度30℃〜50℃、排気温度約20℃〜40℃に調整し、予め調製した表4に示す組成の原薬層用スプレー液を流動層造粒機(3)内に噴霧した。送液開始60分後より、乾燥機(商品名:ハニードライ、ダイキン(株)製)を稼働させて乾燥処理をした空気(25℃、1%RH)を流動層造粒機に供給し、乾燥機の稼動前後の送液速度を比較した。
原薬層スプレー液の噴霧は、マンニトールの球状顆粒1質量部に対して1.59質量部のテルミサルタンが核粒子表面にコーティングされるまで実施した。規定量噴霧した後、給気温度を維持したまま15分間乾燥を行った。
結果を表4に示す。
表4に示される結果から、乾燥空気を造粒機に供給することにより、送液速度を上げることができることが分かる。
[比較例8〜12]
テルミサルタン及びその他の添加剤を表5に示す量で計量し、精製水に加え60℃に加温しながら溶解するまで攪拌して、溶解液を得た。各溶解液を凍結乾燥し得られた固形分を乳鉢で粉砕した。
(溶出率の測定)
実施例4及び5で得られた造粒物及び比較例8〜12得られた粉砕物を、それぞれテルミサルタンが40mg含まれるよう計量し、日本薬局方に示される溶出試験法第2法(パドル法)に準拠して、pH6.8溶出試験液における溶出率(%)の測定を行った。
溶出率の測定結果を図2に示す。
図2の結果から、実施例で用いたヒドロキシプロプルセルロースは、比較例で用いた非イオン性の界面活性剤であるプルロニック又はポリエチレングリコールよりも、pH6.8における溶出を上げる効果が高いことが示された。
[実施例6]
核粒子として、ノンパレル(登録商標)−108(D−マンニトールの150μm〜250μmの球状顆粒、フロイント産業(株)製)500gを流動層造粒機(3)に仕込み、給気温度60℃〜70℃、排気温度約40℃〜50℃に調整し、乾燥機(商品名:ハニードライ、ダイキン(株)製)により乾燥処理をした空気を供給しながら、予め調製した表4に示す実施例5で用いた原薬層スプレー液と同じ組成の原薬層用スプレー液を流動層造粒機(3)内に噴霧した。原薬層スプレー液の噴霧は、マンニトールの球状顆粒1質量部に対して1.59質量部のテルミサルタンがコーティングされるまで実施した。原薬層スプレー液を規定量噴霧した後、給気温度を維持したまま15分間乾燥を行った。出来上がった造粒物を40号の丸篩(425μm)と60号の丸篩(250μm)で篩過することで、核粒子の表面が原薬層で被覆された薬物粒子を得た。
得られた薬物粒子500gを流動層造粒機(3)に仕込み、給気温度40℃〜50℃、排気温度約30℃〜40℃に調整し、予め調製した下記組成の溶出制御層1スプレー液を743.8gと、下記組成のマンニトール液を141.8gとを順に流動層造粒機内に噴霧した後、給気温度を80℃として30分間乾燥を行った。出来上がった造粒物を40号の丸篩(425μm)と60号の丸篩(250μm)で篩過することで、薬物粒子の表面が溶出制御層1でコーティングされた粒子(以下、溶出制御細粒A」という。)を得た。
[溶出制御層1スプレー液]
アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS
(商品名:オイドラギットRL30D、30%水分散、エボニック社) 152質量部
カルボキシメチルセルロースナトリウム 10質量部
軽質無水ケイ酸 10質量部
ポリソルベート80 10質量部
酸化チタン 19質量部
精製水 799質量部
[マンニトール液]
マンニトール 140質量部
精製水 860質量部
得られた溶出制御細粒A140質量部と、口腔内崩壊錠として適切な外層賦形剤(マンニトール/トウモロコシデンプンの造粒物255質量部、エチルセルロース21質量部、クロスポビドン8質量部)280質量部とを混合し、打錠末(混合末)を得た。
この打錠末(混合末)を打錠機(HT−AP18SS−U、畑鉄工所(株)製)を用いて、1錠あたりテルミサルタンが40mg含まれるよう、10.5mmφ、標準R面の杵を用い、打錠圧14kNで打錠して、口腔内崩壊錠を得た。
[実施例7]
実施例6で得られた溶出制御細粒A12gを流動層造粒機(2)に仕込み、給気温度30℃、排気温度約20℃に調整し、予め調製した下記組成の溶出制御層2スプレー液13.8gと、上記した組成のマンニトール液3.44gとを順に流動層造粒機内に噴霧した後、給気温度を80℃として30分間乾燥を行った。出来上がった造粒物を40号の丸篩(425μm)と60号の丸篩(250μm)で篩過することで、薬物粒子の表面が溶出制御層1及び溶出制御層2で被覆された粒子(以下、「溶出制御細粒B」という。)を得た。
[溶出制御層2スプレー液]
アミノアルキルメタクリレートコポリマーE
(商品名:オイドラギットEPO、エボニック社) 100質量部
ラウリル硫酸ナトリウム 10質量部
モノステアリン酸グリセリン 5質量部
ポリソルベート80 2質量部
ステアリン酸 15質量部
精製水 775質量部
(溶出率の測定)
実施例6で得られた口腔内崩壊錠、及び実施例7で得られた溶出制御細粒Bをテルミサルタンが40mg含まれるよう計量し、日本薬局方に示される溶出試験法第2法(パドル法)に準拠して、pH6.8溶出試験液における溶出率(%)の測定を行った。溶出率の測定結果を図3に示す。
図3に示されるように、実施例6で作製した口腔内崩壊錠、実施例7で作製した溶出制御細Bは、pH6.8の溶出が十分高く維持されていた。
(苦味マスキングの評価)
実施例6で得られた口腔内崩壊錠、及び実施例7で得られた溶出制御細粒Bをテルミサルタンが40mg含まれるよう計量し、被験者の口腔内に投入し、苦味がマスキングできている時間を計測した。
苦味マスキングは、口腔内崩壊錠及び溶出制御細粒Bの双方ともに、口腔内投入後30秒以上を持続した。これにより、実施例6で作製した口腔内崩壊錠、及び実施例7で作製した溶出制御細Bは、いずれも経口投与用の固形製剤として適切な苦味マスクキングが施されていることが確認できた。

Claims (16)

  1. 下記成分(a)〜(c)を含む薬物含有液を調製することと、
    得られた薬物含有液を、造粒機を用いて核粒子上にコーティングして造粒することと、
    を含む医薬用組成物の製造方法。
    成分(a):付着性及び凝集性の少なくとも一方を有する活性成分
    成分(b):フマル酸ステアリルナトリウム及びステアリン酸マグネシウムからなる群より選択される少なくとも1つの化合物
    成分(c):水
  2. 成分(b)の含有量が、成分(a)1質量部に対して0.05質量部〜5質量部である請求項1に記載の医薬用組成物の製造方法。
  3. 成分(b)がフマル酸ステアリルナトリウムである請求項1又は請求項2に記載の医薬用組成物の製造方法。
  4. 薬物含有液が、更に、成分(d):塩基性物質を含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の医薬用組成物の製造方法。
  5. 成分(d)が、成分(a)に対して、モル比率で0.1倍量〜5倍量含まれる請求項4に記載の医薬用組成物の製造方法。
  6. 成分(a)がテルミサルタンである請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の医薬用組成物の製造方法。
  7. 薬物含有液が、更に、成分(e):ヒドロキシプロピルセルロースを含む請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の医薬用組成物の製造方法。
  8. 成分(e)含有量が、成分(a)1質量部に対して、0.01質量部〜0.5質量部である請求項7に記載の医薬用組成物の製造方法。
  9. 更に、造粒機に供給される気体の給気温度における相対湿度を20%以下に制御することを含む請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の医薬用組成物の製造方法。
  10. 造粒が噴流流動層造粒法を用いた造粒である請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の医薬用組成物の製造方法。
  11. 核粒子上に原薬層がコーティングされた薬物粒子を含んでなり、原薬層が、成分(a):付着性及び凝集性の少なくとも一方を有する活性成分と、成分(b):フマル酸ステアリルナトリウム及びステアリン酸マグネシウムからなる群より選択される少なくとも1つの化合物と、を含む医薬用組成物。
  12. 原薬層が、更に、成分(d):塩基性物質を含む請求項11に記載の医薬用組成物。
  13. 原薬層が、更に、成分(e):ヒドロキシプロピルセルロースを含む請求項11又は請求項12に記載の医薬用組成物。
  14. 成分(a)がテルミサルタンである請求項11〜請求項13のいずれか1項に記載の医薬用組成物。
  15. 薬物粒子を溶出制御層により被覆した細粒を含む請求項11〜請求項14のいずれか1項に記載の医薬用組成物。
  16. 請求項11〜請求項15のいずれか1項に記載の医薬用組成物を含む口腔内崩壊錠。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019031461A (ja) * 2017-08-08 2019-02-28 ニプロ株式会社 口腔内崩壊錠の製造方法

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