JP5664225B2 - 不快味マスキング粒子及びこれを含有する経口製剤 - Google Patents
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Description
請求項1:
(A)不快味を有する薬物を含有する核粒子、該核粒子を被覆する第一コーティング層、及び該第一コーティング層を被覆する第二コーティング層を有する不快味マスキング粒子であって、
上記第一コーティング層が、(B)水難溶性高分子化合物及び(C)合成ヒドロタルサイトを含み、
上記第二コーティング層が、(B)水難溶性高分子化合物及び(D)崩壊剤を含み、
(B)成分が、エチルセルロース、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、酢酸フタル酸セルロース及びアクリル酸エチル・メタクリル酸メチル共重合体から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする不快味マスキング粒子。
請求項2:
(D)崩壊剤が、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びポリビニルピロリドンから選ばれる1種又は2種以上である請求項1記載の不快味マスキング粒子。
請求項3:
(A)核粒子が、アセトアミノフェン、カフェイン又はイブプロフェンである請求項1又は2記載の不快味マスキング粒子。
請求項4:
第一コーティング層において、(A)成分100質量部に対する(B)及び(C)成分の総量の割合が、5質量部以上である請求項1乃至3のいずれか1項記載の不快味マスキング粒子。
請求項5:
第一コーティング層において、(C)/{(B)+(C)}で表される、(B)及び(C)成分の総量に対する(C)成分の割合が、質量比で0.11〜0.8である請求項1乃至4のいずれか1項記載の不快味マスキング粒子。
請求項6:
第二コーティング層において、(A)成分100質量部に対する(B)及び(D)成分の総量の割合が、5質量部以上である請求項1乃至5のいずれか1項記載の不快味マスキング粒子。
請求項7:
第二コーティング層において、(D)/{(B)+(D)}で表される、(B)及び(D)成分の総量に対する(D)成分の割合が、質量比で0.11〜0.8である請求項1乃至6のいずれか1項記載の不快味マスキング粒子。
請求項8:
第一コーティング剤中の(B)水難溶性高分子化合物の含有量が、該第一コーティング剤の総固形分に対して11〜80質量%である請求項1乃至7のいずれか1項記載の不快味マスキング粒子。
請求項9:
第二コーティング剤中の(B)水難溶性高分子化合物の含有量が、該第二コーティング剤の総固形分に対して30〜90質量%である請求項1乃至8のいずれか1項記載の不快味マスキング粒子。
請求項10:
マスキング速放性粒子である請求項1乃至9のいずれか1項記載の不快味マスキング粒子。
請求項11:
請求項1乃至10のいずれか1項記載の不快味マスキング粒子を含有することを特徴とする経口製剤。
請求項12:
錠剤又は顆粒剤である請求項11記載の経口製剤。
(A)不快味を有する薬物を含有する核粒子
不快味を有する薬物としては、アセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェン、エテンザミド、フェナセチン、メフェナム酸、アンチピリン、フェニルブタゾン、スルピリン、ジクロフェナトリウム、ケトプロフェン、ナプロキセン、ロキソプロフェンナトリウム、エトドラク、エピリゾール、塩酸チアラミド、インドメタシン、ペンタゾシン、塩化アセチルコリン、酒石酸アリメマジン、塩酸シプロヘプタジン、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、リン酸コデイン、リン酸ジヒドロコデイン、臭化水素酸デキストロメトルファン、クエン酸ペントキシベリン、テオフィリン、アミノフィリン、塩酸エフェドリン、塩酸エピネフリン、硫酸サルブタモール、塩酸トリメトキノール、塩酸プロカテロール、塩酸メチルエフェドリン、塩酸フェニルプロパノールアミン、グアイフェネシン、トラネキサム酸、無水カフェイン、カフェイン、サリチル酸コリン、サリチル酸ナトリウム等が挙げられ、核粒子としては、1種単独で又は2種以上を組み合わせて、原薬のまま、或いは適当な結合剤や賦形剤を組み合わせて用いて造粒した粒子を使用してもよい。これらの中でもアセトアミノフェン、カフェイン及びイブプロフェンが好ましい。
本発明の第一コーティング層を形成する第一コーティング剤は、下記(B)及び(C)成分を必須成分として含有する第一コーティング組成物からなる。
(B)水難性高分子化合物は、コーティング剤の被膜基剤となる成分である。本発明においては、エチルセルロース、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE(メタクリル酸メチル・メタクリル酸ブチル・メタクリル酸ジメチルアミノエチルコポリマー)、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS(アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル・メタクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチルコポリマー)、酢酸フタル酸セルロース、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル共重合体等の医薬品添加物規格等の公定書収載品を使用できる。これらは、水10000mLに溶解する量が1g又は1mL未満である胃溶性水難溶性高分子化合物である。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができるが、これらの中でも使用性、臭いの点から、特にエチルセルロースが好まく、市販のエチルセルロース水分散液(医薬品添加物規格、FMC社製、アクアコートECD−30)等を用いることができる。
(C)成分はコーティング剤の溶解性をコントロールする成分である。例として、pH感応、温度感応、物質特異的感応等が挙げられ、溶解性を支配する因子はいずれのものでもよい。特にpH感応の場合の例を挙げると、以下のとおりである。即ち、コーティング剤の溶解性をコントロールする成分であり、温度37℃において、pH1.2で水易溶性であり、pH6.8で水難溶性である成分が挙げられる。これを被膜成分である(B)成分と併用してコーティング剤中に配合することにより、服用後、口腔内(pH6.8程度)ではコーティング剤が溶解せずにマスキング効果が高く、胃内(pH1.2程度)ではコーティング剤中の(C)成分が溶解し、被膜が壊れるため、核粒子である薬物を素早く放出させ、溶出性・速効性に優れた粒子とすることができる。なお、本発明において、「pH1.2で水易溶性であり、pH6.8で水難溶性である成分」の「水易溶性」とは、溶質1gを溶かすのに必要な溶媒量が30mL未満の場合をいい、「水難溶性」とは、溶質1gを溶かすのに必要な溶媒量が100mL以上の場合をいう。
本発明の第一コーティング剤には可塑剤が含まれることが好ましい。可塑剤はコーティング組成物を含む溶液に適度な展延性を与え、成膜しやすくする機能を有すると推測される。可塑剤としては、トリアセチン、クエン酸トリエチル等の医薬品添加物規格((株)薬事日報社)等の公定書に記載されているものが挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。成膜性を考慮するとトリアセチン、クエン酸トリエチルが好ましく、味の点からトリアセチンがさらに好ましい。可塑剤の含有量は第一コーティング剤の総固形分に対して7〜50質量%が好ましく、8〜47質量%がより好ましい。また、可塑剤:(B)成分の総固形分(質量比)=1:1〜1:8が好ましく、1:3〜1:5がより好ましい。
本発明の第二コーティング層を形成する第二コーティング剤は、下記(B)及び(D)成分を必須成分として含有する第二コーティング組成物からなる。
(B)水難溶性高分子化合物
第二コーティング剤で用いられる(B)成分は、第一コーティング剤について説明したものと同様なものが挙げられる。第二コーティング剤中の(B)成分の含有量は、第二コーティング剤の総固形分に対して30〜90質量%が好ましく、より好ましくは35〜60質量%である。第二コーティング剤中の(B)成分の量が少なすぎると成膜性に劣る場合があり、多すぎると胃内溶出性、速放性が低下する場合がある。
(D)成分はコーティング剤の物理的強度を上げる成分であり、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。これらは市販品を用いることができ、例えば、クロスポビドンとしては、コリドン(Kollidon)シリーズ(商品名:Kollidon CL、Kollidon CL−F、Kollidon CL−SF、Kollidon CL−M,BASF社製)が挙げられ、また、ヒドロキシプロピルセルロース(商品名:HPC−L,日本曹達(株)製)等も使用できる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
本発明の第二コーティング剤にも第一コーティング剤と同様に可塑剤が含まれることが好ましい。可塑剤としては、第一コーティング剤において説明したものと同じものを同じ割合で使用することができる。
また、第二コーティング剤にも、本発明の効果を妨げない範囲で、第一コーティング剤と同様な任意成分を含むことができる。
本発明の不快味マスキング粒子の製造方法は特に制限されず、(A)不快味を有する薬物を含有する核粒子を、(B)水難溶性高分子化合物及び(C)溶出調整剤を含む第一コーティング剤でコーティングし、更に(B)水難溶性高分子化合物及び(D)崩壊剤を含む第二コーティング剤でコーティングして得ることができる。
マルチプレックス MP−01 20kg (株)パウレック
マルチプレックス MP−25 20kg (株)パウレック
CFグラニュレーター CF−360 3kg フロイント産業(株)
フローコーター FLO−5 1.8kg フロイント産業(株)
GPCG GPCG−15 15kg (株)パウレック
スパイラーフロー SFC−5 3kg フロイント産業(株)
第一層目のコーティング後、得られた粒子に第二層目のコーティングを施し、本発明のマスキング粒子を得ることができる。
本発明のマスキング粒子は、経口製剤として用いることができ、製剤の種類としては、錠剤、顆粒剤等が挙げられる。これらの製剤の製造方法も特に制限されず、常法に従って通常の条件で製造することができる。
<核粒子>
核粒子には市販のアセトアミノフェン(タイコヘルスケアジャパン(株)、SPECIAL GRANULAR、平均粒子径295.0μm)を用いた。
まず、コーティング液の総固形分濃度を20質量%に調整する量の精製水に(B)成分としてエチルセルロース水分散液、トリアセチン及び(C)成分の溶出調整剤を、それぞれ表2,4,6,8,10に記載した割合で入れ、よく攪拌してコーティング液を得た。
次いで、流動層造粒機マルチプレックスMP−01((株)パウレック製)を用い、(A)成分として上記アセトアミノフェン粒子800gを入れ、これに給気温度65℃、排気温度25〜40℃になる風量にて、上記で調製したコーティング液を14g/minの速度で、表2,4,6,8,10に示す(B)+(C)の固形分総量となるよう噴霧した。これを給気温度80℃で30分間乾燥し、アセトアミノフェンマスキング粒子(1)を得た。得られた粒子の平均粒径は、核粒子として用いた粒子の平均粒径とほぼ同じか、大きくなってもわずかであった。マスキング粒子の構造は、(A)核粒子を(B)成分が均一に被覆し、この(B)成分中に(C)成分が均一に分散されたものであった。
次に、コーティング液の総固形分濃度を20質量%に調整する量の精製水に(B)成分としてエチルセルロース水分散液、トリアセチン及び(D)成分の崩壊剤を、それぞれ表2,4,6,8,10に記載した割合で入れ、よく攪拌してコーティング液を得た。
次いで、流動層造粒機マルチプレックスMP−01((株)パウレック製)を用い、<マスキング粒子(1)の製造>で作製したアセトアミノフェンマスキング粒子(1)800gを入れ、これに給気温度65℃、排気温度25〜40℃になる風量にて、上記で調製したコーティング液を17g/minの速度で、表2,4,6,8,10に示す(B)+(D)の固形分総量となるよう噴霧した。これを給気温度80℃で30分間乾燥し、アセトアミノフェンマスキング粒子(2)を得た。得られた粒子(2)の平均粒径は、<マスキング粒子(1)の製造>で作製したアセトアミノフェンマスキング粒子(1)の平均粒径とほぼ同じか、大きくなってもわずかであった。マスキング粒子(2)の構造は、アセトアミノフェンマスキング粒子(1)を(B)成分が均一に被覆し、この(B)成分中に(D)成分が均一に分散されたものであった。
<錠剤の製造>
マスキング粒子は、<マスキング粒子(2)の製造>で得られたアセトアミノフェンコーティング粒子(2)を用いた。
次に、以下の手順でマンニトール造粒品を調製した。D−マンニトール(ロケットジャパン(株)、PEARLITOL 50C)3600gをスパイラーフローSFC−5型(フロイント産業(株)製)に入れ、給気温度90℃、排気温度35〜45℃で、ヒドロキシプロピルセルロース6質量%水溶液(HPC−L、日本曹達(株)製)を2400g噴霧して造粒し、マンニトール造粒品を得た。
次いで、得られた粒子を用いて表3,5,7,9,11に示す組成の錠剤をクリーンプレス((株)菊水製作所製)で打錠(打錠圧1000kgf)し、質量453mg、12mmの円形錠を得た。
実施例1b〜35bの本発明の錠剤は壊れることなく打錠することができた。一方、比較例1b〜6bの錠剤は、打錠時に壊れてしまうものがあった。
なお、苦味のマスキング性と速放性は溶出性により評価した。日本薬局方パドル法に準拠する溶出試験を行った。
苦味のマスキング性については、パネラー7人が錠剤1錠を口に含み、舌と上顎でシアーをかけて溶解した際に感じた苦味の強さを下記5段階で評価し平均値を算出した。評価点が3以上であれば許容できる。
◎:4点以上
○:3点以上4点未満
×:3点未満
速放性については胃内における胃液での溶出性の代替として、胃液のpHを想定した37℃、pH1.2の緩衝液を用いて評価した。その際、1サンプルに含まれるアセトアミノフェン含量を100質量%とした場合、それに対する溶出したアセトアミノフェンの割合を溶出率(質量%)として示した。
[評価基準(pH1.2)]
30分後のアセトアミノフェンの溶出が60質量%以上であれば効果があると判断した。60質量%以上であれば市販製品レベルの溶出性を確保できるためである。
◎:80質量%以上
○:60質量%以上80質量%未満
×:60質量%未満
アセトアミノフェン(タイコヘルスケアジャパン(株)、SPECIAL GRANULAR)
エチルセルロース水分散液(FMC社、アクアコートECD−30)
トリアセチン(大八化学工業(株)、トリアセチン)
合成ヒドロタルサイト(協和化学工業(株)、アルカマックVF)
D−マンニトール(ロケットジャパン(株)、PEARLITOL 50C)
コリドンCL−SF(クロスポビドン、BASF社製)
コリドンCL−M(クロスポビドン、BASF社製)
コーンスターチ(松谷化学工業(株)製)
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達(株)、HPC−L)
ステアリン酸マグネシウム(Mallinckrodt Inc)
Claims (12)
- (A)不快味を有する薬物を含有する核粒子、該核粒子を被覆する第一コーティング層、及び該第一コーティング層を被覆する第二コーティング層を有する不快味マスキング粒子であって、
上記第一コーティング層が、(B)水難溶性高分子化合物及び(C)合成ヒドロタルサイトを含み、
上記第二コーティング層が、(B)水難溶性高分子化合物及び(D)崩壊剤を含み、
(B)成分が、エチルセルロース、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、酢酸フタル酸セルロース及びアクリル酸エチル・メタクリル酸メチル共重合体から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする不快味マスキング粒子。 - (D)崩壊剤が、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びポリビニルピロリドンから選ばれる1種又は2種以上である請求項1記載の不快味マスキング粒子。
- (A)核粒子が、アセトアミノフェン、カフェイン又はイブプロフェンである請求項1又は2記載の不快味マスキング粒子。
- 第一コーティング層において、(A)成分100質量部に対する(B)及び(C)成分の総量の割合が、5質量部以上である請求項1乃至3のいずれか1項記載の不快味マスキング粒子。
- 第一コーティング層において、(C)/{(B)+(C)}で表される、(B)及び(C)成分の総量に対する(C)成分の割合が、質量比で0.11〜0.8である請求項1乃至4のいずれか1項記載の不快味マスキング粒子。
- 第二コーティング層において、(A)成分100質量部に対する(B)及び(D)成分の総量の割合が、5質量部以上である請求項1乃至5のいずれか1項記載の不快味マスキング粒子。
- 第二コーティング層において、(D)/{(B)+(D)}で表される、(B)及び(D)成分の総量に対する(D)成分の割合が、質量比で0.11〜0.8である請求項1乃至6のいずれか1項記載の不快味マスキング粒子。
- 第一コーティング剤中の(B)水難溶性高分子化合物の含有量が、該第一コーティング剤の総固形分に対して11〜80質量%である請求項1乃至7のいずれか1項記載の不快味マスキング粒子。
- 第二コーティング剤中の(B)水難溶性高分子化合物の含有量が、該第二コーティング剤の総固形分に対して30〜90質量%である請求項1乃至8のいずれか1項記載の不快味マスキング粒子。
- マスキング速放性粒子である請求項1乃至9のいずれか1項記載の不快味マスキング粒子。
- 請求項1乃至10のいずれか1項記載の不快味マスキング粒子を含有することを特徴とする経口製剤。
- 錠剤又は顆粒剤である請求項11記載の経口製剤。
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