以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態によるスロットマシン10を詳細に説明する。スロットマシン10は、所定数の遊技媒体(具体的にはメダル)が投入された状態で遊技が実施可能となり、複数種類の図柄が付されたリール40L、40C、40Rの回転が停止した時に表示された図柄の組合せによって結果が定まる単位遊技を繰り返し実行する遊技機である。本実施形態によるスロットマシン10は、所定の条件が満たされたときにリール40L、40C、40Rの回転を擬似停止制御する演出状態である擬似遊技演出を実行することを1つの特徴としている。
[スロットマシンの前面外観構成]
はじめに、本発明の実施形態によるスロットマシン10の機構について説明する。図1は、スロットマシン10の前面外観を示す正面図である。
スロットマシン10は、略矩形状の箱体である筐体を備え、前扉20が筐体の開口を開閉可能とするように設けられる。通常は、図1に示されるように、前扉20が開口を閉塞する位置で筐体にロックされている。
前扉20は、機種ごとに意匠が施されたパネル部材により構成される。前扉20のパネル部材は、リール40L、40C、40Rに付された図柄の表示等を行う遊技領域である中段位置の中央パネル部30と、中央パネル部30の下方において主にリール40L、40C、40Rの回転および停止等の遊技操作を行うためのスイッチ等が配置される操作パネル部50と、中央パネル部30の上方において主に遊技演出のためのランプやスピーカ等が配置される上部パネル部60と、操作パネル部50の下方においてスロットマシン10の遊技において登場するキャラクタなどが描かれる下部パネル部70と、により概ね構成される。なお、前扉20は、それぞれユニット化された中央パネル部30、操作パネル部50、上部パネル部60および下部パネル部70等により組み立てられる。また、これらパネル部が一体として構成される1つのパネル部材により前扉20を製造してもよい。
中央パネル部30には、硬質アクリル等の樹脂板からなる中パネル31が設けられる。その中パネル31の略中央には、3列の縦長矩形の透明部からなる表示窓32が形成される。スロットマシン10は、この表示窓32を通して、筐体内部のリール40L、40C、40Rのそれぞれ横3列×縦3コマの合計9コマの図柄が視認可能とされている。
表示窓32には、リール40L、40C、40Rを横切る合計5本のラインが設定される。これら5本のラインは、水平方向の3本のライン(水平中段のラインL1、水平上段のラインL2A、水平下段のラインL2B)と、斜め方向の2本のライン(斜め右下がりのラインL3A、斜め右上がりのラインL3B)とからなる。本実施形態のスロットマシン10では、賭けたメダルの枚数(以下「ベット数」という。)に関わらず、水平中段のラインL1のみが入賞判定の基準となるライン(以下「有効ライン」という。)として設定される。なお、当該遊技に賭けられるベット数に応じて複数の有効ラインが選択されてもよい。また、有効ライン5本または4本に予め定めておき、ベット数に応じて役の当選確率を異なるようにしてもよい。
中央パネル部30の中パネル31には、上述した表示窓32の他に、遊技に関する各種情報を遊技者へ知らせるための各種ランプおよび表示器等が設けられている。
たとえば、表示窓32に隣接して3つの操作指示ランプ33l、33c、33rが設けられる。これら操作指示ランプ33l、33c、33rは、それぞれストップボタン56L、56C、56Rおよびリール40L、40C、40Rに対応し、たとえば、アシストタイム(AT)の遊技において操作指示ランプ33l、33c、33rが点灯することで、停止操作をアシストする遊技者への報知に用いられる。
また、中パネル31の下部には、ベット数表示ランプ34a、34b、34c、クレジット数表示器35および獲得枚数表示器36が設けられる。
ベット数表示ランプ34a、34b、34cは、当該遊技に賭けられたメダルの枚数を表示するランプである。すなわち、1枚のメダルが賭けられるとベット数表示ランプ34aのみが点灯し、2枚のメダルが賭けられるとベット数表示ランプ34aおよび34bが点灯し、3枚のメダルが賭けられると全てのベット数表示ランプ34a、34bおよび34cが点灯する。
クレジット数表示器35は、2桁の7セグメント数値表示器からなり、スロットマシン10にクレジット(「内部貯留」ともいう。)されているメダルの枚数を表示する。なお、遊技者はスロットマシン10にクレジットされたメダルを自由に使用することができ、そのクレジット数が後述するメイン制御基板100のRAM103で管理される。
獲得枚数表示器36は、2桁の7セグメント数値表示器からなり、当該遊技において入賞系の役が成立することにより遊技者に払い出されるメダルの枚数を表示する。なお、入賞によりメダルを払い出す態様としては、スロットマシン10の内部にクレジットする場合と、後述するメダル払出口71からメダルを排出する場合とがある。
中央パネル部30の下方に設けられる操作パネル部50は、その上面が若干遊技者側に傾斜する卓状面50aを有しており、その卓状面50aの右部に遊技者がスロットマシン10へメダルを投入するためのメダル投入口51が設けられる。このメダル投入口51の内部には、投入されたメダルを検出し、かつ、正規または非正規のメダルを振り分けるメダルセレクタ28が設けられる。スロットマシン10のメイン制御基板100は、このメダルセレクタ28が出力するメダル検知信号の回数を計測することで、投入されたメダルの枚数を認識する。
操作パネル部50の卓状面50aの左部には、遊技者がクレジットからメダルを賭ける指示をするためのベットボタン52およびマックスベットボタン54が設けられる。ベットボタン52が操作されると、スロットマシン10にクレジットされているメダルのうち2枚が遊技に賭けられる。マックスベットボタン54が操作されると、クレジットされているメダルのうち3枚が遊技に賭けられる。ベットボタン52またはマックスベットボタン54の操作によりメダルが賭けられると、その賭けられたメダルの枚数がクレジット数から減算され、これに伴ってクレジット数表示器35の表示値も減算される。
なお、スロットマシン10にメダルが未だ賭けられていない状態で遊技者がメダル投入口51からメダルを投入すると、そのメダルが投入されるごとにベット数表示ランプ34a、34b、34cが順次点灯し、それぞれの枚数に応じたメダルがスロットマシン10に賭けられる。そして、投入されたメダルの枚数が規定数最多の3枚になると、それ以降メダルが投入されるごとにクレジット数が加算され、これに伴ってクレジット数表示器35の表示値も加算される。
操作パネル部50の正面左部には、傾倒操作が可能な操作ノブを有するスタートレバー55が設けられる。遊技者がスロットマシン10にメダルを賭けた後、スタートレバー55を操作すると、全てのリール40L、40C、40Rが一斉に回転を開始する。これにより、円筒状のリール40L、40C、40Rの各外周面に印刷された図柄が、表示窓32を通して上から下へとスクロールして表示される。
操作パネル部50の正面の中央部には、遊技者の押圧操作によってリール40L、40C、40Rの回転を停止させる操作(これを「停止操作」という。)をするための停止操作手段56である、3つのストップボタン56L、56C、56Rが設けられる。左端のストップボタン56Lは左端のリール(左リール)40Lに対応し、中央のストップボタン56Cは中央のリール(中リール)40Cに対応し、右端のストップボタン56Rは右端のリール(右リール)40Rに対応している。
すなわち、スロットマシン10は、スタートレバー55の傾倒操作により回転したリール40L、40C、40Rに対し、ストップボタン56Lが操作されるとリール40Lが停止し、ストップボタン56Cが操作されるとリール40Cが停止し、ストップボタン56Rが操作されるとリール40Rが停止するように構成されている。
なお、単位遊技間において、スタートレバー55の傾倒操作を契機にリール40L、40C、40Rを回転開始させる時間間隔が、最短でもたとえば4.1秒以上確保するように待機処理が行われる。さらに本実施形態のスロットマシン10では、後述する擬似遊技演出が実行されている場合でも、通常の遊技中と同様の待機処理が行われる(図22のステップS215)。また、リール40L、40C、40Rの回転開始から定速回転(たとえば80回転/分)に達するまでの加速時には、ストップボタン56L、56C、56Rによるリール40L、40C、40Rへの停止操作は受け付けられず無効とされる。
中央パネル部30の上方に位置する上部パネル部60には、その中央部にたとえばカラー液晶ディスプレイからなる画像表示装置61が設けられる。画像表示装置61は、たとえば遊技の進行に応じて展開するアニメーションを演出画像として表示する。なお、スロットマシンに設けられる表示装置としては、画像表示装置61でなくても、たとえばドットマトリクス式の表示装置であってもよい。また、遊技履歴や内部抽選結果の情報を文字や記号等で直接的に表示するものでもよく、そのような情報をコード化して表示するものでもよい。すなわち、表示装置として、用途や目的に適合したあらゆる方式の表示手段を用いることができる。
また、上部パネル部60には、上部ランプ62およびコーナーランプ63L、63Rが設けられる。上部ランプ62およびコーナーランプ63L、63Rは、たとえばリール40L、40C、40Rが停止していずれかの役が成立した場合において、その役に応じたパターンで点灯および点滅することで、役の成立を視覚的に演出する。
また、上部パネル部60には、ステレオのスピーカ64L、64Rが設けられる。たとえば画像表示装置61が表示する動画の演出画像に伴って、演出効果音がスピーカ64L、64Rを介して出力される。
中央パネル部30の下方に位置する下部パネル部70には、メダル払出口71と受け皿72とが設けられる。メダル払出口71は、スロットマシン10の筐体内部に収容されるメダル払出装置83が放出するメダルを受け皿72に払い出す開口として形成される。
また、下部パネル部70の下方部左右にはスピーカ73L、73Rが設けられる。たとえば、遊技において何らかの役が成立したとき、上部ランプ62およびコーナーランプ63L、63R等の演出ランプの点灯や点滅に連動した効果音がスピーカ73L、73Rを介して出力される。
[スロットマシンの内部構造]
図2は、前扉20を開いた状態でスロットマシン10の内部構造を示す図である。図2に示されるように、スロットマシン10は、矩形箱状の筐体80を備え、遊技中には前扉20によって筐体80が閉塞され施錠される。
筐体80内の水平フレームには、3つのリール40L、40C、40Rを回転可能に支持するリール装置40が、前扉20の中央パネル部30に対向するように位置決めされて設けられる。リール装置40において、各リール40L、40C、40Rは、それらの回転軸が一つの水平直線に一致して設けられる。また、各リール40L、40C、40Rは、リール装置40のフレームに固定されるステッピングモータ41L、41C、41Rによって、それぞれ独立して回転駆動される。
図3は、リール装置40を構成する1つのリールユニット45を示す分解斜視図である。リール装置40は、図3に示されるリールユニット45は、各リール40L、40C、40Rについて同一の構成であり、ここでは左リール40Lについてのリールユニットを代表して説明する。
円筒状のリール40Lを形成する骨格体は、比較的軽量のプラスチックによって一体的に形成される。この骨格体は、ステッピングモータ41Lの駆動軸が挿入される軸穴を有するボス部401と、ボス部401を中心に放射状に延びる複数本のアーム部402と、アーム部402の先端部分に接続されボス部401を中心とする同心円状の第一リング部403と、第一リング部403と同一径でこれと所定の間隔をおいて平行に位置する第二リング部404と、第一リング部403および第二リング部404を複数カ所で連結する連結部405とを有している。また、1つのアーム部402には、リール40Lの内側に向けて延びる舌片状の遮光片406が形成される。この円筒状の骨格体の第一リング部403、第二リング部404およびこれらを連結する連結部405とからなる外周領域には、たとえば図4に示されるような複数の図柄が印刷された帯状のリールテープ42Lが全周にわたり巻かれて装着される。
また、リールユニット45は、略板状の基枠体451を有し、この基枠体451の一面側にステッピングモータ41Lの基端部が図示しないボルト等により固定される。基枠体451の前方部にはバックランプユニット452が設けられ、停止表示される図柄の位置に対応して上下方向に3個の発光素子(バックランプ)452a、452b、452cが実装される。ステッピングモータ41Lの斜め下方には、このバックランプユニット452とともに、リール40Lの回転基準位置を検出するためのフォトセンサ43Lが設けられる。フォトセンサ43Lは、その発光部と受光部との間を遮光片406が通過することにより光が遮断され、それを検知して回転基準位置検出信号を出力する(遮光検知方式)。なお、フォトセンサ43Lは、反射した光を受光することで遮光片406を検知する方式(反射検知方式)でもよい。
ステッピングモータ41Lの駆動軸41Laに対して骨格体のボス部401の軸穴が嵌合して固定され、これにより、リール40Lがステッピングモータ41Lによって回転駆動可能に取り付けられる。詳細は後述するが、本実施形態では、リール40L、40C、40Rの回転駆動源として、1回転が504ステップのステッピングモータ41L、41C、41Rが使用される。なお、本実施形態のスロットマシン10では、リール40L、40C、40Rの1つ当りに付される図柄数が全部で20コマである。ステッピングモータが1回転するときのステップ数が504ステップであり、リールの外周を上述の1ステップの最小可動単位で刻むとするならば20コマのうちの16コマのそれぞれの図柄に25ステップずつ割り当てられ、残りの4コマのそれぞれの図柄に26ステップずつが割り当てられる。
図4には、左リール40L、中リール40Cおよび右リール40Rに付される図柄の配列例が示される。左リール40L、中リール40Cおよび右リール40Rに付される図柄には、リールが回転する方向に沿って1ずつ増加する「0」〜「19」の図柄位置番号が割り当てられている。また、図柄の種類ごとに種別コードが割り当てられている。そして、各リール40L、40C、40Rについて図柄位置番号と種別コードとが対応付けられた図柄配列テーブルが後述するメイン制御基板100のROM102に記憶されている。
図4に例示されるように、リールに付される図柄としては、「ベル」、「スイカ」、数字の「7」および「チェリー」などをモチーフとしたものが一般的に用いられる。しかし、これらの図柄のモチーフは伝統的に慣用されているものに過ぎず、スロットマシンの機種、テーマ、キャラクタ等に合わせて適宜選択することができる。
再び図2を参照し、筐体80内の底部には、スロットマシン10に搭載される種々の機器・装置に電源を供給する電源ユニット82と、複数枚のメダルを貯留可能なホッパーを備えるメダル払出装置83とが収容される。また、筐体80の背板上部に、メイン制御基板100が筐体80から脱着不能に固定される。メイン制御手段としてのメイン制御基板100は、スロットマシン10における主に遊技の進行を制御する。
前扉20の背面側には、その上段部にスピーカ21L、21Rを備える上パネルユニット22が設けられる。上パネルユニット22は、スピーカ21L、21Rの他に前面側の上述した画像表示装置61、上部ランプ62およびコーナーランプ63L、63R等を含めてユニット化されて構成される。また、上パネルユニット22の背面側には、サブ制御基板200が固定される。サブ制御手段としてのサブ制御基板200は、メイン制御基板100から送信されてくるコマンドに基づいて主に遊技の演出を制御する。
前扉20の背面側の中段部には、メダル投入口51から投入されたメダルの振り分けおよび検出を行うセレクタ28が設けられる。セレクタ28の下方には、セレクタ28によって正規のものと判断されたメダルをメダル払出装置83のホッパーに導くシュート部24と、非正規のメダルまたは異物と判断されたものを前面のメダル払出口71に導くメダル返却路25とが設けられる。また、前扉20の背面側の下段部には、上述したスピーカ26L、26Rがそれぞれ設けられる。
[スロットマシンのシステム構成]
次に、スロットマシン10の全体のシステム構成を説明する。図5は、スロットマシン10を制御するハードウェアシステム構成を示すブロック図である。メイン制御基板100は、主として遊技の進行を制御する制御回路基板であり、CPU(中央処理装置)101と、ROM(読み取り専用の不揮発メモリ)102と、RAM(読み書き可能な作業用メモリ)103とを備えている。メイン制御基板100のCPU101がROM102に記憶されるプログラムに従って演算処理を実行することで、スロットマシン10における遊技進行および全体的なシステム制御が実行される。
メイン制御基板100の信号入力ポートには、図1に示したスタートレバー55、ストップボタン56L、56C、56R、ベットボタン52およびマックスベットボタン54などの遊技操作のためのスイッチ類が接続される。そして、これらスイッチ類からの回転開始信号や停止操作信号などの接点信号が所定周期の割込処理でメイン制御基板100に入力され、遊技者が行った操作がCPU101に認識される。また、メイン制御基板100には、メダルセレクタ28が接続される。メダルセレクタ28は、メダル投入口51から投入されたメダルが正規であると判別したことを示すメダル検知信号をメイン制御基板100に対し出力する。
また、メイン制御基板100には、ベット数表示ランプ34a、34b、34c、クレジット数表示器35および獲得枚数表示器36等の表示器類が接続される。メイン制御基板100のCPU101は、ベットボタン52またはマックスベットボタン54等により賭けられたメダルのベット数に応じて、ベット数表示ランプ34a、34b、34cを点灯させる。また、CPU101は、RAM103に記憶されるクレジット数および払い出されたメダルの枚数などの情報を随時、数字のセグメントコードに変換して、クレジット数表示器35および獲得枚数表示器36に表示する。
メイン制御基板100には、また、リール40L、40C、40Rに連結するステッピングモータ41L、41C、41Rを回転駆動させるモータ駆動回路500が接続される。モータ駆動回路500は、メイン制御基板100に備えられる後述するリール制御手段113から送信される励磁データ信号に基づいて、リール40L、40C、40Rの回転を加速および定速制御するための駆動パルス信号、および、リール40L、40C、40Rの回転を停止するための励磁停止信号をステッピングモータ41L、41C、41Rに対し出力する。また、リール40L、40C、40Rの回転基準位置を示す信号(回転基準位置検出信号)がメイン制御基板100に入力されるように、フォトセンサ43L、43C、43Rがメイン制御基板100に接続される。
また、メイン制御基板100には、払出制御基板300を介してメダル払出装置83が接続される。メダル払出装置83は、メダルを貯留可能なホッパー部と、ホッパー部に貯留したメダルを放出する払出機構部とを有している。メイン制御基板100は、入賞等によりメダルを遊技者に払い出すときに払出制御基板300に対し払出指令信号を出力し、払出制御基板300がメダル払出装置83を作動させてメダルを1枚ずつカウントしながら放出させる。なお、メダル払出装置83から放出されたメダルは、メダル払出口71から受け皿72へと排出される。
メイン制御基板100に備えられる役抽選手段108は、たとえば0〜65535の範囲で乱数を発生させ、取得したその乱数に基づいて役のテーブル抽選を行う。また、メイン制御基板100には、後述する擬似遊技決定手段109が備えられる。擬似遊技決定手段109は、役抽選手段108とは異なる独立した決定手段であるが、役抽選手段108の役抽選結果に基づいて、擬似遊技演出の実行に関する内容を決定してもよい。役抽選手段108および擬似遊技決定手段109は、ハードウェア乱数発生器を用いて乱数を取得することができ、またCPU101の演算処理による、いわゆるソフトウェア乱数処理により乱数を取得して抽選処理を行ってもよい。
また、メイン制御基板100は外部出力タイマ手段151を備える。さらにメイン制御基板100には信号出力手段150が接続されている。信号出力手段150は、メイン制御基板100で生成される外部信号を出力可能な状態にセットする手段である。外部信号とは、たとえば8ビットまたは16ビットなどの所定ビット長のデータで構成されるデータ信号であり、外部信号の各ビットに予め割り当てられたスロットマシン10の内部状態が、各ビットデータが示すH(高電圧)またはL(低電圧)の状態で示される。たとえばBB役の内部当選中に小役が当選した遊技では、条件装置フラグにセットされる成立可能な役はBB役または小役である。この場合、信号出力手段150は、当選中の小役およびBB役の順に条件装置フラグの情報を外部信号として出力可能な状態にセットする。また、信号出力手段150は、外部信号の各ビットのデータが出力可能な状態にセットされる、パラレル出力ポートであってもよい。
信号出力手段150は、当該信号出力手段150に適合する所定の外部接続通信手段(図示略)が接続されることで、当該外部通信接続手段を介して外部信号が出力されるようになっている。原則的には信号出力手段150を介していかなる通信手段も接続されることはないので、スロットマシン10の内部状態を示す情報が外部に出力されることはない。しかし、第三者試験機関によるスロットマシンの型式試験の際やホールコンピュータでの各遊技機の動作状態を把握する際には、所定の外部通信接続手段を信号出力手段150に接続して、例外的にこれらの機器へスロットマシンの内部状態を示す信号が出力可能とされている。
なお、本実施形態による信号出力手段150は、後述する擬似遊技演出が実行されない通常の単位遊技においては外部信号を出力可能な状態にセットするが、擬似遊技演出が実行される条件では外部信号を出力可能な状態にセットしないように構成されている。
また、信号出力手段150は、メイン制御基板100に備えられる外部出力タイマ手段151に接続している。外部出力タイマ手段151は、その時間計測動作中に信号出力手段150に対し外部信号を出力可能な状態にセットすることを許容する出力可能化手段である。すなわち、メイン制御基板100のCPU101が外部信号を生成し外部出力タイマ手段151をオンすると、外部出力タイマ手段151が所定時間の計測動作を開始し、その間、信号出力手段150による外部信号の出力が可能化される。ここで「出力が可能化される」とは、上述した所定の外部接続通信手段が信号出力手段150に接続された場合においてのみ実際に外部信号が出力される状態となることをいう。
次に、サブ制御基板200は、CPU201と、ROM202と、RAM203とを備えた制御回路基板である。CPU201は、メイン制御基板100から送信されてくるコマンドや遊技進行に関する情報を受信し、これら各種コマンド等に応じてROM202に記憶されるプログラムに従って演算処理を実行することにより、スロットマシン10の主に遊技の演出に関する制御を行う。
サブ制御基板200は、上述した画像表示装置61に接続した状態でその裏面側に設けられる。サブ制御基板200には、また、上部ランプ62、コーナーランプ63L、63R等のランプ類、および、スピーカ64L、64R、73L、73Rなどが前扉20に配線されたワイヤーハーネスを介して接続される。
サブ制御基板200は、画像データメモリから随時選択される画像データを読み取り、同期信号、輝度信号および色信号を複合した映像信号を生成して、この映像信号に基づく動画像を画像表示装置61に表示させる制御を行う。
また、サブ制御基板200は、上部ランプ62、コーナーランプ63L、63Rなどのランプ類の点灯および点滅の駆動を行うとともに、音声データメモリからアナウンスや楽音等の音声データを読み取って音信号に変換・増幅し、その生成した音信号に基づいてスピーカ64L、64R、73L、73Rを鳴動させる。
サブ制御基板200に備えられる演出抽選手段208は、取得した乱数が演出抽選テーブルにおいて属する数値範囲に応じて、メイン制御基板100から送信されてくる役抽選結果などの情報に対応する遊技演出の演出パターンを選択する。サブ制御基板200で行われるこのような抽選を「演出抽選」という。なお、演出抽選手段208は、遊技の演出パターンを選択するだけでなく、特定の遊技演出をするかしないかの抽選や、メイン制御基板100の役抽選手段108による抽選結果に応じて決定される停止操作順(押し順)の結果を遊技者に報知するかしないかの抽選(AT抽選)なども行う。
また、サブ制御基板200の演出抽選手段208は、ハードウェア乱数発生器を用いて乱数を取得することができ、またCPU201の演算処理による、いわゆるソフトウェア乱数処理により乱数を取得して抽選処理を行ってもよい。
[スロットマシンの遊技に供される役]
次に、スロットマシン10の遊技に供される役を説明する。ここで、図6〜8は、役と各役に対応する図柄の組合せを例示する図である。このうち、図6には遊技者に有利な特別遊技状態に移行させる特別役(ボーナス役)について示され、図7にはメダルを投入しなくても次の遊技を行えるようにする再遊技役(リプレイ役)について示され、図8には入賞により遊技者にメダルの払い出しがある小役について示される。
図6には、特別役であるBB(ビッグボーナス)特別遊技(以下、「BB遊技」という。)の状態に移行させる「BB役」と、RB(レギュラーボーナス)特別遊技(以下、「RB遊技」という。)の状態に移行させる「RB役」とが示される。BB遊技の状態は、一般遊技よりも小役が当選する確率が高い状態の高確率遊技が複数回継続し、所定の最大払出枚数(たとえば419枚)のメダルの払い出しで終了する遊技状態をいう。RB遊技の状態は、同じく小役が当選する確率が高い状態の高確率遊技が継続し、所定遊技回数(たとえば12遊技)消化するか、または、所定回数(たとえば8回)の小役の入賞により終了する遊技状態をいう。
これら特別役(BB役、RB役)は、役抽選手段108による当選状態を次の遊技に持ち越すことができる役物系の役である。つまり、特別役が当該遊技で成立しなくても、次以降の遊技で役が成立すれば、対応する特別遊技状態に移行することができる。また、特別役の当選状態が持ち越された一般遊技(BB役またはRB役の内部当選フラグがオンの状態)で役抽選が行われ、その結果、特別役の当選とともに小役や再遊技役などの入賞系の役が重複して当選するような場合も通常あり得る。そのような役物系と入賞系の役の内部当選フラグがオンの状態では、たとえば再遊技役に係る図柄を優先的に引き込み制御するなど、成立する役に優先順位が設けられてもよい。
図7には、複数種類の再遊技役(再遊技A〜L)が示される。このうち、再遊技Aは、3個のリプレイ図柄が中段の有効ライン(ラインL1)に揃うことで成立する「通常リプレイ」である。各リール40L、40C、40Rのリプレイ図柄は、リールテープ上に最大の滑りコマ数である5コマ間隔以内で配列されているので、リプレイ図柄を全て引き込み制御して再遊技Aを確実に成立させることが可能な図柄配列となっている。
再遊技B〜Fは、リプレイ図柄を左右に含む図柄組合せが対応付けられた「チャンスリプレイ」である。これらの図柄組合せのいずれかが有効ラインに揃うと、たとえば遊技者に若干有利なRT2の状態に遊技が移行する。左右のリール40L、40Rのリプレイ図柄は、上述したように引き込み制御可能な図柄である。また、中リール40Cのベル、赤セブン、青セブン、黒バー、白バーの各図柄もそのいずれかが5コマ間隔以内で配列されているので、そのうち1つの図柄を停止図柄として引き込み制御することで、再遊技B〜Fのいずれかを成立させることが可能な図柄配列となっている。
再遊技Gは、所定のタイミングでの目押し(停止操作)を必要とする「赤セブン(赤7)揃い」の図柄組合せが対応付けられた再遊技役である。本実施形態では、後述するように再遊技役の確率が高くメダルが減らない有利な遊技ができるRT3の状態への移行契機となる役でもある。
再遊技H〜Kは、「赤セブン揃い」に一部が共通する図柄組合せが対応付けられた再遊技役である。すなわち、右または中のリール40R、40Cに対し赤セブン図柄の目押しが成功すると、「赤セブン揃い(再遊技G)」成立への期待を高めることができる。また、再遊技H〜Kの図柄組合せは、リプレイ図柄を含んでいないが、これらの図柄が水平中段のラインL1に揃うと、同時に水平下段のラインL2Bに3個のリプレイ図柄が揃って表示される図柄配列となっている。このため、有効ラインにリプレイ図柄が揃わなくても、遊技者には再遊技役の成立を視覚的に認識させることができる。
再遊技Lは、赤セブン、リプレイ、赤セブンの図柄組合せが対応付けられた再遊技役である。たとえば、逆挟み押しにより、左および右のリール40L、40Rに対する赤セブン図柄表示の目押しが成功すると、「赤セブン揃い」のリーチとなる。この赤セブンの図柄で挟むリーチの図柄が有効ラインに表示されて成立し得る再遊技役としては、再遊技Gまたは再遊技Lのいずれかである。この時点で遊技者に中リール40Cの赤セブンの図柄を狙わせることで、「赤セブン揃い」の再遊技G役の成立の期待を高めることができる。
図8には、複数種類の小役(ベルA〜WおよびチェリーA〜C)についての図柄組合せが示される。ベルの小役(ベル役)は、ストップボタン56L、56C、56Rの停止操作の順序(「停止操作順」または単に「押し順」ともいう。)が正解のときにベル図柄が有効ラインに揃うベルAと、押し順が不正解のときに図柄がバラけて表示されるベルB〜Wとを有している。なお、このような押し順の正解/不正解の対応付けは、役抽選手段108による抽選結果に応じてなされる。また、通常、押し順が正解のときのベルAのほうが、押し順不正解のときのベルB〜Wよりも、メダルの払い出し枚数が多く設定される。ベル図柄が揃うベルA以外のこれらベルB〜W役に対応する図柄組合せを「バラケベル」、「ベルこぼし目」または単に「こぼし目」という。
なお、後述するように、本実施形態では、押し順が不正解のときに図柄がバラけて表示されるベルB〜Wは、一般遊技におけるRT状態の移行契機の役でもある。また、特定の図柄組合せが対応付けられるベルR〜Wは、役抽選手段108による役抽選結果「6」〜「11」のいずれか1つの結果と一対一に対応している(図13参照)。つまり、逆にいえば、ベルR〜Wに係る特定の図柄組合せが有効ラインに表示されたときには、内部抽選結果がその特定の図柄組合せに対応するもの(図13で参照される役抽選結果「6」〜「11」のいずれか)であることが遊技者に告知される。
チェリーA、B、Cは、同時当選してメダルが払い出される役であり、左リール40Lのみ特定の図柄表示で入賞し(チェリーA、B)、または、左リール40Lおよび中リール40Cの特定の図柄表示で入賞する(チェリーC)。
[スロットマシンに備えられる遊技状態]
図9には、本実施形態によるスロットマシン10のメイン制御基板100が制御する、遊技状態の移行フローが例示される。なお、図9のRT状態移行フローはあくまでも例示であり、各遊技状態の抽選確率を変更したり、RT状態数を増減させたり、遊技状態間の移行条件の追加変更などを適宜行ってもよい。
スロットマシン10の単位遊技における遊技状態は、上述したように大まかには「一般遊技状態」、およびRB役やBB役などが成立した「特別遊技状態」に分類される。そして、再遊技役の当選確率の相違ということでみた場合、一般遊技状態においては、少なくともさらに5つのRT状態(非RTおよびRT1〜4)が存在する。すなわち、一般遊技は、再遊技役の当選確率が比較的低い「非RT」および「RT1」の状態、再遊技役の当選確率が比較的高い「RT3」の状態、非RT1からRT3に移行する途中の「RT2」の状態、または、特別役が内部当選した「RT4」の状態のいずれかのRT状態に属している。
図9を参照しながら、本実施形態のスロットマシン10に備えられる、一般遊技におけるRT状態に関して説明する。
まず、BB遊技またはRB遊技などの特別遊技状態が終了した直後の一般遊技は、再遊技役の内部当選確率がたとえば1/7.3のRT1の状態となる。ここで、このRT1の状態の一般遊技が行われる中で、たとえばベルAとベルB〜Wのいずれかを含むベル役が同時当選した場合には、その抽選結果に応じてストップボタン56L、56C、56Rの正解および不正解の押し順が対応付けられる。上述したように、対応付された正解の押し順でストップボタン56L、56C、56Rが操作されたときには、ベル図柄が有効ラインに揃ってベルAの役が入賞する可能性が高い。その一方で、停止操作された押し順が不正解の場合には、「バラケベル」のベルこぼし目の図柄が有効ラインに表示され、対応するベルB〜Wのいずれかの役が成立する。
RT1の状態で、このような押し順不正解によるベル役こぼし目が有効ラインに表示されると、遊技が非RTの状態に移行する。RT1から非RTの状態に移行する際のリプレイ当選確率に変更はないが、図9に示されるようにRT1よりも非RTの方が、遊技者に有利なRT3の状態に近づいた状態にある。
非RTの状態の一般遊技が行われる中で、たとえば再遊技役の再遊技A〜Fが同時当選し、そのうち再遊技B〜F(チャンスリプレイ)に係る図柄が有効ラインに表示されたときに、遊技が非RTからRT2の状態に移行する。なお、遊技者による押し順に応じて、チャンスリプレイに係る図柄または通常リプレイに係る図柄を有効ラインに表示するようにしてもよい。また、図9に示されるように、RT2の状態は、たとえば「赤セブン揃い」の再遊技Gが成立することにより遊技者に有利なRT3の状態に移行できるチャンス状態でもある。
しかしその一方で、RT2の状態でベル役が同時当選し、押し順不正解の停止操作によりベル役こぼし目の図柄が有効ラインに表示された場合には、遊技がRT2から非RTの状態へ転落してしまう。
RT2の状態が維持され、「赤セブン揃い」の再遊技Gの役が成立すると、遊技者に有利なRT3の状態に遊技が移行する。このような有利な遊技状態に移行するときは、赤セブンの図柄が振動を伴いながら有効ライン上に停止するような、いわゆるバウンドストップのリール動作演出を行ってもよい。また、ストップボタン56L、56C、56Rを右から左に向けて操作するたとえば「逆押し」がされ、かつ、その目押しが成功した時にそのリールをバウンドストップさせる演出を行ってもよい。さらには、「赤セブン揃い(再遊技G)」の内部当選に外れた遊技、つまり、RT3には移行できない役抽選結果(たとえば再遊技H〜Kの当選)であっても、遊技者が逆押しに挑戦して赤セブンの図柄が表示される度にリールを振動停止させる、いわゆるガセのリール動作演出を行って期待を高めるようにしてもよい。また、たとえば、再遊技Lが内部当選時に、遊技者が右リール40R、左リール40Lの順で停止操作(逆挟み押し)をして「赤セブン揃い」のリーチに近づく度に、このようなガセのリール動作演出を行ってもよい。
図9に示されるRT状態の移行制御は、上述したようにメイン制御基板100により実行される。これと並行して、進行中の遊技におけるATなどの制御がサブ制御基板200によりなされる。AT遊技では、役抽選手段108による抽選結果に応じて対応付けされたたとえば正解の押し順が、操作指示ランプ33l、33c、33rの点灯や画像表示装置61が表示する画像により遊技者に報知される。なお、ATでは必ずしも正解の押し順のみが報知されるのではなく、たとえばRT1から非RTへの移行条件であるベル役の不正解の押し順を報知することで、最終的にはRT3への状態移行をナビするような、結果的に遊技者に有利となる押し順の報知をしてもよい。
ATによる押し順の報知は、たとえば特別遊技であるBB遊技の終了後、所定回数の遊技において実行される。また、たとえばサブ制御基板200の演出抽選手段208による抽選によりATを実行し、または、所定の開始条件の成立によりATを実行してもよい。実行されたATは、所定回数の遊技の間継続する(たとえば1セットが30遊技)。AT状態中に別のATが当選すれば、引続きもう1セット(たとえば30遊技)のAT状態が継続する。そのようなAT実行の抽選結果(ATの実行権利)をストックしておくこともできる。
このように、基本的には演出抽選手段208による抽選でATの1つの実行権利が獲得されることにより、1セット(たとえば30遊技)のATが実行される。AT状態中やAT終了時にも演出抽選手段208によるATをもう1セット行うか否かのAT抽選を行ってもよい。なお、この1セットのAT状態が終了後にさらに1セットのAT状態が継続する確率を「AT継続率」という。
スロットマシン10は、上述した遊技状態以外に、リール40L、40C、40Rを使った擬似遊技演出や遊技の進行を一時的に中断するフリーズ演出など特殊な演出状態も有している。
[スロットマシンの制御手段]
次に、本実施形態によるスロットマシン10に備えられる制御手段およびその動作を説明する。スロットマシン10における全体の制御は、上述したメイン制御基板100とサブ制御基板200とに備えられる各制御手段の連携によりなされる。図10には、スロットマシン10に備えられる主たる制御手段がブロックで示される。図10に示される各制御手段は、メイン制御基板100のCPU101およびサブ制御基板200のCPU201が演算処理を行うことにより実現されるが、これらの一部をハードウェアで構成することもできる。以下、フローチャート等を参照しながら各制御手段を説明する。
(遊技制御手段)
はじめに、メイン制御基板100に備えられる遊技制御手段110は、サブルーチンを呼び出すことで生成される、賭枚数設定手段111、リール制御手段113、入賞判定手段120、メダル払出制御手段121、更新処理手段122およびコマンド送信手段などの各制御手段を統括して、スロットマシン10で行われる単位遊技の進行を制御する。
図11は、スロットマシン10で行われる単位遊技に対応させたフローチャートであり、遊技制御手段110が実行するメインの遊技制御処理の流れを示している。
(賭枚数設定手段)
遊技開始の待機状態では、賭枚数設定手段111が起動する(ステップS10)。ここで、遊技開始の待機状態とは、リール40L、40C、40Rが停止して入賞判定がされた後であって、次のベット操作待ちの状態をいう。図12には、賭枚数設定手段111による賭枚数設定処理の詳細なフローチャートが示される。
図12を参照して賭枚数設定手段111の動作を説明する。賭枚数設定手段111は、当該遊技において再遊技役に係る成立役フラグがオンされているか否か判断する(ステップS101)。再遊技役に係る成立役フラグは、前回の遊技で再遊技役が成立したときにオンにセットされる(図18のステップS126)。再遊技役に係る成立役フラグがオンに設定されている場合(ステップS101:YES)、この成立役フラグをオフにクリアして(ステップS102)、以降の遊技制御処理に進む。すなわち、再遊技役が成立すると、遊技者はメダルの投入(ベット操作)を行うことなく次の遊技を行うことができる。
賭枚数設定手段111は、当該遊技において再遊技役に係る成立役フラグが設定されていない状態で(ステップS101:NO)、ベットボタン52の操作を検知すると(ステップS103:YES)、クレジットが残されている場合に(ステップS104:YES)、クレジット数変数から「1」を減算する(ステップS105)。そして、RAM103のベット数変数に「1」を加算する(ステップS107)。
また、遊技開始の待機状態で、メダルセレクタ28が正規のメダルの投入を検知したときには(ステップS106:YES)、賭枚数設定手段111は、その投入されたメダルを検知するごとにベット数変数を加算する(ステップS107)。そして、メダルの賭け枚数が、遊技者が望む規定数(最大で「3」)になるまで(ステップS108:YES)、ベット数変数を加算する(ステップS107)。
また、賭枚数設定手段111は、マックスベットボタン54の操作を検知すると(ステップS103:YES)、クレジットがある場合に(ステップS104:YES)、クレジット数変数から「3」を減算し(ステップS105)、ベット数変数を「3」に設定する(ステップS107)。
このような処理により、規定数1〜3枚のメダルが当該遊技に賭けられる。
再び図11を参照し、メダルの賭け枚数が規定数に達した状態で遊技者によりスタートレバー55が傾倒操作され、遊技制御手段110が回転開始信号を検知すると(ステップS11:YES)、役抽選手段108が起動する(ステップS12)。
(役抽選手段)
役抽選手段108は、ハードウェア乱数発生器等から取得した乱数に基づく役のテーブル抽選処理を行う。
本実施形態のスロットマシン10では、ステップS12の役抽選手段108の抽選処理により、たとえば図13に示されるいずれかの役抽選結果が得られる。ここで、「役抽選結果番号」とは、役抽選手段108による役抽選結果を示す番号をいう。なお、図13には、一般遊技状態での役の内部当選(役抽選結果「1」〜「13」)および外れ(役抽選結果「0」)を含む役抽選結果が例示される。各役抽選結果「0」〜「13」には、乱数0〜65535を区画する合計14の数値範囲が順次割り当てられ(図示略)、その割り当てられる各数値範囲の幅が当選確率に対応している。このような役抽選結果と乱数との対応付けが、役抽選テーブルとしてメイン制御基板100のROM102に記憶される。なお、役の当選確率は各遊技状態で異なるため、ROM102においては複数の役抽選テーブルが遊技状態ごとに管理される。
図13の実施形態によれば、スタートレバー55の操作を契機に取得された乱数が、役抽選結果「1」の数値範囲に属する場合には、BB役が内部当選となる。乱数が役抽選結果「2」の数値範囲に属する場合にはRB役が内部当選となる。同様に乱数が役抽選結果「3」の数値範囲に属する場合には再遊技Aの内部当選となり、役抽選結果「4」の数値範囲に属する場合には再遊技Aおよび再遊技G〜Lが同時に当選状態となる。以下、ベル役等の小役についても同様に、取得された乱数に応じた役抽選結果により内部当選が決定される。
また、役が複数同時当選する場合や役が同時当選しその役抽選結果に応じて停止操作順(押し順)が対応付けされる場合もある。たとえばリプレイ役については、図13に示されるように役抽選結果「4」の場合に、通常リプレイの「再遊技A」と「順押し」とが対応付けされ、「再遊技G〜L」と「逆押しその他の操作順(つまり順押し以外)」とが対応付けされる。なお、役抽選結果「5」の場合のように、同時当選した複数のチャンスリプレイに押し順の対応付けがされない役抽選結果が存在してもよい。
ベル役については、本実施形態ではベルAが最も払い出し枚数が多いことから、ベルAに対応付けされる停止操作順を「押し順正解」とし、図柄がバラけて表示されるベルB〜Wに対応付けされる停止操作順を「押し順不正解」としている。たとえば、役抽選結果「6」の場合には、左中右の順方向の押し順がベルAが入賞し得る正解押し順として設定されている。すなわち、役抽選結果「6」の内部当選時に左中右で停止操作すれば、ベル図柄揃いのベルAが入賞する可能性が非常に高く、それ以外の操作順ではベルB〜Rのいずれかの図柄組合せ(ベル役こぼし目)が有効ラインに表示される。
なお、役抽選手段108による役抽選の結果は、役抽選結果コマンドとしてサブ制御基板200に送信される。
(擬似遊技決定手段)
次に擬似遊技決定手段109を説明する。擬似遊技決定手段109は、役の抽選を行う上述した役抽選手段108とは異なる別の決定手段である。擬似遊技決定手段109は、図11に示した役抽選処理が行われた後のステップS13において起動される。なお、スタートレバー55によるリールの回転開始操作直後、つまり役抽選処理に先立って擬似遊技決定処理を行ってもよい。
擬似遊技決定手段109は、たとえば「0」、「1」、「2」、「3」、「4」および「5」のいずれかの擬似遊技番号を決定する。決定された擬似遊技番号は、RAM103の擬似遊技番号フラグに記憶される。ここで、図14には、擬似遊技番号とそれに対応付けられる図柄の組合せの例が示される。図14に示されるように、各擬似遊技番号「1」〜「5」には1つの図柄の組合せか、または複数の図柄の組合せが対応付けられている。これらの対応付けのデータがメイン制御基板100のROM102に予め記憶されている。
ここで、図14に示される例では、擬似遊技番号「0」には図柄の組合せが対応付けされていない。すなわち、本実施形態では、擬似遊技決定手段109が擬似遊技番号「0」を決定した場合には、当該単位遊技において後述する擬似遊技演出を行わないようにし、擬似遊技番号「1」〜「5」のいずれかを決定した場合に擬似遊技演出を行うようにしている。
なお、図14において対応付けられる図柄の組合せは、擬似遊技演出において擬似停止表示するために選択される図柄の組合せでもある。ここで「擬似停止表示」とは、リールを揺れ変動させて停止したように見せる図柄の表示態様であり、そのような擬似停止表示が実行される遊技演出を「擬似遊技演出」という。また、擬似遊技演出において擬似停止表示するために選択される図柄を「擬似停止図柄」という。
図14によれば、擬似遊技番号「1」の擬似停止図柄は、単位遊技で用いられるBB役の図柄と同じである。また、擬似遊技番号「2」の擬似停止図柄は小役(ベルA)のベル図柄と同じであり、擬似遊技番号「3」の擬似停止図柄は再遊技役(再遊技A)のリプレイ図柄と同じである。ただし、単位遊技で用いられる役の図柄の組合せと擬似停止図柄の組合せとを完全に一致させる必要はない。また、擬似遊技番号が「4」に係る図柄組合せは、再遊技H〜Kの下段リプレイ揃いの図柄組合せと一致している(図7参照)。また、擬似遊技番号「5」が決定された場合のように、1つの擬似遊技番号に黒バー・黒バー・黒バーとリプレイ・リプレイ・リプレイなどの複数種類の図柄の組合せが対応してもよい。
詳細は後述するが、擬似遊技決定手段109により決定された擬似遊技番号「1」〜「5」に基づいて、図14に示される「仮役抽選結果番号」と称される番号が決定される(図22のステップS212)。なお、役抽選手段108と擬似遊技決定手段109とは、互いに異なる独立した決定手段であるが、役抽選手段108が当選した役に応じた図柄が擬似停止図柄として選択されてもよく、役抽選に外れた単位遊技においていずれかの役に係る図柄の組合せが擬似停止図柄の組合せとして選択されてもよく、単位遊技において用いられる役には対応しない図柄の組合せが擬似停止図柄の組合せとして選択されてもよい。
また、擬似遊技決定手段109は、特定の役抽選結果となった場合に擬似遊技演出を行う実行に関する内容を決定してもよい。具体的にたとえば、役抽選番号が「12」のベルA〜Wが内部当選した場合など、特定の役抽選結果であることを条件に擬似遊技決定手段109が擬似遊技演出をするかしないかを決定する抽選や、擬似遊技演出の実行回数を決定する抽選を行ってもよい。さらに役抽選結果に応じて異なる割合で擬似遊技演出の実行に関する内容を決定してもよい。具体的にたとえば、役抽選番号が「12」のベルA〜Wが内部当選した場合には、擬似遊技演出を実行する確率を1/2とし、役抽選番号が「13」のチェリーA〜Cが内部当選した場合には、擬似遊技演出を実行する確率を1/10とするように定めてもよい。
図11に示される遊技制御処理のステップS14において、メイン制御基板100のCPU101は、擬似遊技決定手段109により決定された擬似遊技番号を判定する。本実施形態では、決定された擬似遊技番号が「0」の場合には擬似遊技演出を行わず、擬似遊技番号が「1」〜「5」のいずれかの場合には、後述する擬似遊技演出手段130による擬似遊技演出処理に移行する(ステップS25)。
擬似遊技番号フラグに記憶された擬似遊技番号が「0」のときには、上述のステップS12で決定される役抽選手段108による役抽選結果の番号「0」〜「13」のいずれかがRAM103の役抽選番号フラグに設定(役抽選結果の番号がセット)される(ステップS15)。
そして、役抽選手段108による役抽選の結果、いずれかの役が内部当選した場合にはその役抽選結果を示す役抽選結果番号に対応する当選役フラグまたは条件装置フラグが設定される(ステップS16)。ここで、条件装置フラグは、持ち越し可能な役を含め当該遊技で成立可能な役の種類を示すフラグである。条件装置フラグが持ち越し不可能な役の当選を示すフラグ(当選役フラグ)を兼ねてもよい。
すなわち、ステップS16では、役抽選番号フラグに設定された役抽選結果の番号が「3」〜「5」の場合には再遊技役に内部当選したと判定され、当選した当該再遊技役に係る当選役フラグがオンに設定される。同様に、役抽選結果の番号が「6」〜「13」の場合には、ベル役やチェリー役などの小役の内部当選と判定され、当選した当該小役に係る当選役フラグがオンに設定される。
また、役抽選番号フラグに設定された役抽選結果の番号が「1」または「2」の場合には、BB役またはRB役の当選状態が持ち越し可能な特別役に当選したと判定される。このときには、当選した当該特別役に係る条件装置フラグが成立するまでオンに設定される。
当選役フラグまたは条件装置フラグは、役抽選結果「1」〜「13」に応じて内部当選中の役の種類を記憶するフラグであり、役抽選手段108による当選によりオンに設定され、当該役の成立(入賞)によりオフにクリアされる(図18のステップS133)。他の単位遊技に当選状態を持ち越しできない小役や再遊技役などの入賞系の役の場合には、当該役の入賞時の他に入賞が成立しなかった単位遊技の終了時にも当選役フラグがオフにクリアされる(図18のステップS134)。
次にCPU101は、役抽選手段108による役抽選結果に基づいて、図柄制御番号を図柄制御フラグに設定する(ステップS17)。図柄制御番号は、通常リール停止制御に用いられる滑りコマ数テーブルを作成するために設定される。図柄制御番号は、たとえば図15Aおよび図15Bのような対応表を参照して、役抽選結果に基づく図柄の組合せに応じて決定される。
なお、図15Aの図柄制御番号「6」は、図7に示した下段リプレイ揃いの再遊技H〜Kの図柄組合せが対応するが、図15Aにおいてはその図柄表記が簡略化されている。図15Aの図柄制御番号「7」は、ベル役の代表図柄としてベル・ベル・ベルのみ示しているが、実際には役抽選結果番号「6」〜「12」までのそれぞれのベル役に対応する図柄制御番号が対応している(図15Aでは図示略)。図13に示した一部の例で説明すると、役抽選結果番号「6」であれば、ベルA、B〜Q、Rの図柄組合せが対応し、役抽選結果番号「7」であれば、ベルA、B〜Q、Sの図柄組合せが対応している。
また、図柄制御番号「8」は、図8に示したチェリーA〜Bの図柄組合せが対応するが、同じく図柄表記が省略されている。
また、図柄制御番号は、役抽選結果から必ずしも一義的に決定されなくてもよい。たとえば、図15Bに示されるように、BB役が内部当選中の通常遊技において、再遊技Aに内部当選したした場合には、白バー・白バー・白バーとリプレイ・リプレイ・リプレイがともに停止可能な図柄組合せとして設定される図柄制御番号「11」が決定される。
(ウエイト手段)
次に、ウエイト手段124は、所定のウエイト時間である、たとえば4.1秒の経過を監視する(ステップS18)。すなわち、ステップS18では、直近の単位遊技または擬似遊技演出においてリール40L、40C、40Rの回転開始と同時またはその直前に開始されたタイマ計測(ウエイト手段124のこのタイマ計測開始を「再セット」という。)が、所定のウエイト時間を経過したか否かが監視される。ウエイト手段124は、通常の単位遊技か擬似遊技演出が実行されているか否かに関わらず、前回のリール40L、40C、40Rの回転開始からたとえば4.1秒が経過するまでは、処理の進行を停止し待機する。そして、4.1秒の待機処理が終了すると(ステップS18:YES)、たとえば4.1秒のウエイト時間が再セットされる(ステップS19)。なお、ステップS18の判断時点で所定のウエイト時間が既に超過していれば、待機処理が行われないことはいうまでもない。その後、サブ制御基板200へ回転開始コマンドが送信される。
次に、メイン制御基板100のCPU101は、役抽選手段108による役抽選結果の情報を示す外部信号を生成し、外部出力タイマ手段151をオンする(ステップS20)。これにより、外部出力タイマ手段151が所定時間の計測動作を開始し、その間、信号出力手段150による外部信号の出力可能な状態がセットされる。なお、擬似遊技演出が実行中は外部出力タイマ手段151がオンされず(図22のステップS217)、出力可能な状態とはならない。
上述したように、仮に信号出力手段150が出力可能な状態にセットされたとしても、通常時はスロットマシン10の内部状態を示す外部信号が外部に出力されることはない。外部出力タイマ手段151がオンする間、信号出力手段150が出力可能な状態のときに、所定の外部通信接続手段(図示略)が接続されることで外部信号が外部に出力されることとなる。
(リール制御手段)
次に、リール制御手段113は、スタートレバー55からの回転開始信号およびストップボタン56L、56C、56Rからの停止操作信号に応じてリール40L、40C、40Rの回転および停止の制御をする(ステップS21)。本実施形態のスロットマシン10においてリール制御手段113は、通常リール停止制御手段114と、擬似リール停止制御手段115とを有している。通常リール停止制御手段114は、単位遊技において役抽選結果に基づく図柄の組合せが停止表示され得る通常リール停止制御を行うのに対し、擬似リール停止制御手段115は、擬似遊技演出において選択された図柄の組合せが擬似停止表示され得る擬似リール停止制御を行う。通常リール停止制御手段114および擬似リール停止制御手段115の詳細は後述する。
図11に示した遊技制御処理のステップS21において、リール制御手段113は、図16のフローチャートに示されるようなリール制御処理を行う。
単位遊技にメダルが賭けられた状態でスタートレバー55が操作され(図11のステップS11:YES)、ウエイト手段124が所定ウエイト時間の経過を確認すると(図11のステップS18:YES)、リール制御手段113は、図柄制御フラグに設定されている図柄制御番号に基づいて滑りコマ数テーブルを作成する(S111)。ここで、「滑りコマ数テーブル」とは、各リール40L、40C、40Rごとに作成される制御データテーブルであり、作成された滑りコマ数テーブルがRAM103のワーキング領域に記憶される。滑りコマ数テーブルには、少なくともリールの回転位置と滑りコマ数とが対応付けられている。ここで、滑りコマ数テーブルにおける「リールの回転位置」とは、たとえば図4に示される図柄位置でよい。「滑りコマ数」とは、停止操作からリールが実際に停止するまでのリールの回転量を図柄のコマ数で示した数をいう。滑りコマ数は、スロットマシン10において許容される最大の滑りコマ数(これを「規定制御コマ数」という。)である、たとえば5コマ以下のコマ数で設定される。
なお、リールの回転加速中、つまりリールの停止受付けが可能となる前に滑りコマ数テーブルを作成してもよい。
リール制御手段113は、全てのリール40L、40C、40Rを一斉に回転させる駆動パルス信号を出力し、そのパルス幅を段階的に短くする加速制御を行う(ステップS112)。各リール40L、40C、40Rの回転数が所定のたとえば80回転/分となったとき(ステップS113:YES)、駆動パルス信号の周期を一定にしてリールを定速制御する(ステップS114)。
リール制御手段113は、リール40L、40C、40Rが定速回転制御に至ると、ストップボタン56L、56C、56Rによる停止操作の受け付けを許可する(ステップS115)。そして、回転中のリールについて、ストップボタンが操作されたことによる停止操作信号を受け付けたとき(ステップS116:YES)、その停止操作のタイミングに応じ、滑りコマ数テーブルを参照して当該リールの停止図柄を決定する(ステップS117)。
ここで、リール制御手段113に含まれる通常リール停止制御手段114による停止図柄の決定と滑りコマ数テーブルを用いた引き込み制御の例を、図17を参照して説明する。
通常リール停止制御手段114は、役抽選手段108による役抽選結果に応じて、リール40L、40C、40Rごとに図17に示されるような滑りコマ数テーブルを作成する。図17の例は、役抽選結果の番号が「6」でありベルA〜Fが同時当選した場合である(図13参照)。役抽選結果「6」では、押し順正解(ベル・ベル・ベル)と不正解に分けて対応付けがされ、押し順が正解のときには、図15Aの対応表で参照される図柄制御番号「7」(ベル・ベル・ベル)に対応する滑りコマ数テーブルが作成される。押し順が不正解の場合には、ベルAを表示しない出目(ベルこぼし目)となるように、いわゆる蹴飛ばし制御が実行される。
図17の例では、押し順正解の場合の滑りコマ数テーブルには、各図柄位置番号と、当該図柄位置番号を起点として図柄が移動する方向(図柄位置番号が増える方向)において、ベル図柄までのコマ数がセットされる。押し順不正解の場合の滑りコマ数テーブルには、各図柄位置番号と、当該図柄位置番号を起点として、同時当選した他のベルB〜Qに係る赤セブン、青セブン、黒バー、白バーの図柄までのコマ数がセットされる。滑りコマ数テーブルは役抽選手段108による役抽選の結果に基づいて作成されるが、これらの滑りコマ数のデータを予めROM102に記憶してもよい。
そして、通常リール停止制御手段114は、役抽選結果「6」のときに設定される正解の押し順(左中右の順押し)で停止操作を受け付け、その時に中段のラインL1を通過中の図柄がたとえば図柄位置番号「16」のチェリー図柄の場合には、押し順正解時の滑りコマ数テーブルで参照される3コマ先の図柄(図柄位置番号「19」のベル図柄)を停止図柄として決定する(図17(a)参照)。
その一方で、通常リール停止制御手段114は、役抽選結果「6」のときに設定される不正解の押し順で停止操作を受け付け、その時に中段のラインL1を通過中の図柄がたとえば同じ図柄位置番号「16」のチェリー図柄の場合には、押し順不正解時の滑りコマ数テーブルで参照される2コマ先の図柄(図柄位置番号「18」の白バー図柄)を停止図柄として決定する(図17(b)参照)。
図16のフローチャートに戻り、ストップボタン56L、56C、56Rからの停止操作信号が受け付けられ(ステップS116:YES)、停止図柄が決定されると(ステップS117)、通常リール停止制御手段114は、決定された停止図柄と有効ラインとがちょうど一致する位置にリールを停止制御する(ステップS118)。なお、単位遊技中に実行される通常のリール停止制御と、擬似遊技演出中に実行される擬似的なリール停止制御の詳細については、それらの違いを含めて後述する。
リール制御手段113は、全てのリール40L、40C、40Rが停止するまで、ステップS116〜S118までの通常リール停止制御を繰り返し実行する(ステップS119)。なお、1つのリールの停止を受付けたときに、その停止する図柄および役抽選結果に応じて他の残りのリールの滑りコマ数テーブルを新たに作成するか、またはリール回転開始の際に作成した滑りコマ数テーブルを更新してもよい。
(入賞判定手段)
次に、図11に示した遊技制御処理のステップS22で起動される入賞判定手段120を説明する。入賞判定手段120は、全てのリール40L、40C、40Rが停止したときに有効ラインに表示される図柄の組合せに基づいて入賞の判定を行う。ここで、図18は、入賞判定手段120による入賞判定処理を示すフローチャートである。
入賞判定手段120は、始めにRAM103で管理される全ての役についての成立役フラグをクリアしてイニシャライズする(ステップS121)。続いて入賞判定手段120は、各リール40L、40C、40RについてRAM103のリール制御フラグを参照して、有効ライン(ラインL1など)に表示された停止図柄を認識する(ステップS122)。なお、入賞判定手段120は、リールの回転基準位置から送出した駆動パルス信号のステップ数に基づいて有効ライン上の図柄を認識してもよい。
また、入賞判定手段120は、ROM102の役図柄(図柄の組合せ)テーブル(たとえば図6、7および8)を参照して、有効ラインに停止した、リール40L、40C、40Rの図柄組合せがいずれかの役に対応する組合せと一致するか否か調べる。入賞判定手段120は、有効ライン上の図柄の表示態様がいずれかの役に対応する図柄の組合せと一致する場合、当該対応する役が成立(入賞)したと判定する。
入賞判定手段120は、たとえば小役が成立したと判定したとき(ステップS123:YES)、当該小役に係る成立役フラグをオンに設定する(ステップS124)。また、再遊技役が成立したと判定したとき(ステップS125:YES)、当該再遊技役に係る成立役フラグをオンに設定する(ステップS126)。
入賞判定手段120は、BB役の条件装置フラグがオンで図柄が揃いBB役が成立したと判定したときには(ステップS127:YES)、BB役に係る成立役フラグをオンに設定するとともに(ステップS128)、BB状態フラグをオンに設定する(ステップS129)。同様に、RB役が成立したと判定したときには(ステップS130:YES)、RB役に係る成立役フラグをオンに設定するとともに(ステップS131)、RB状態フラグをオンに設定する(ステップS132)。
入賞判定手段120は、小役または再遊技役が入賞したと判断すると入賞した当該役の当選役フラグをクリアし、特別役(BB役、RB役)が成立したと判断すると成立した当該特別役の条件装置フラグをクリアする(ステップS133)。その一方で、特別役以外の当選を持ち越しできない小役または再遊技役などが内部当選していた遊技で、これらの役が入賞しなかったときには、その当選役フラグをクリアする(ステップS134)。さらに、入賞判定手段120は、図9に示したRT状態の所定の移行条件を満たすと判断したときに(ステップS135:YES)、RAM103のRT状態フラグをその移行先の状態を示す値に更新する(ステップS136)。
なお、入賞判定手段120による入賞判定の結果の情報は、入賞判定結果コマンドとしてサブ制御基板200に送信される。
(メダル払出制御手段)
次に、図11に示したメインの遊技制御処理のステップS23において、入賞判定手段120がたとえば小役の入賞を判定したときにはメダル払出制御手段121が起動される。ここで、図19は、メダル払出制御手段121によるメダル払出制御処理を示すフローチャートである。
小役の入賞時に遊技者へ配当されるメダルの払い出し方法は、クレジットとして内部貯留する場合と、メダル払出口71からメダルを受け皿72に払い出す場合とがある。本実施形態によるスロットマシン10では、クレジットへの内部貯留が優先され、すなわち、通常は払い出される枚数のメダルがクレジットに加算されるが、加算されるクレジットが所定の上限(たとえば50枚)を超えるときには、その超える枚数分のメダルがメダル払出口71から放出される。
メダル払出制御手段121は、小役が入賞したとき、その入賞した小役に対応する配当数に図柄が揃った有効ラインの数を乗算したメダルの払出枚数をRAM103の払出数カウンタ(以下「PCNT」)に設定する(ステップS141)。ステップS142においてPCNTがゼロ以上、すなわち払い出しがある場合(ステップS142:YES)、クレジット数変数が50枚の上限(満杯)か否か判断する(ステップS143)。
クレジット数変数が満杯のとき(ステップS143:YES)、メダル払出制御手段121はメダル払出装置83を作動して、メダルを1枚放出させる(ステップS144)。そして、PCNTを「1」だけ減算し(ステップS146)、ステップS142の処理に戻る。クレジット数変数が満杯でないとき(ステップS143:NO)、メダル払出制御手段121は、クレジット数変数を「1」加算し(ステップS145)、PCNTを「1」だけ減算して(ステップS146)、ステップS142の処理に戻る。メダル払出制御手段121は、このようにメダルを1枚ずつ払い出すステップS142〜S146までの処理をPCNTがゼロになるまで繰り返す。
(更新処理手段)
次に、更新処理手段122を説明する。更新処理手段122は、図11に示した遊技制御処理におけるステップS24において、次の遊技への移行を含む更新処理を行う。ここで、図20は、更新処理手段122による処理を示すフローチャートである。
更新処理手段122は、BB遊技に係るBB状態フラグがオンのとき(ステップS151:YES)、当該遊技において入賞により払い出されたメダルの枚数を払出総数カウンタ(以下「DCNT」)に加算して積算する(ステップS152)。そして、DCNTが、BB遊技の終了条件である最大払出枚数に相当するたとえば419枚を超える場合に(ステップS153:YES)、BB遊技に係るBB状態フラグをオフにし(ステップS154)、DCNTをクリアする(ステップS155)。
更新処理手段122は、RB遊技に係るRB状態フラグがオンのときには(ステップS156:YES)、遊技回数カウンタ(以下「GCNT」)に「1」を加算する(ステップS157)。また、当該遊技において小役が成立しその成立役フラグがオンのときには(ステップS158:YES)、小役入賞回数カウンタ(以下「WCNT」)に「1」を加算する(ステップS159)。
更新処理手段122は、RB遊技の回数に相当するGCNTがたとえば12遊技を超える場合、または、小役の成立回数に相当するWCNTがたとえば8回を超える場合に(ステップS160:YES)、RB状態フラグをオフにし(ステップS161)、GCNTおよびWCNTをクリアする(ステップS162)。
更新処理手段122は、遊技状態に係るフラグを参照して上述した非RT、RT1〜RT4または一般遊技と特別遊技間で遊技状態が変更された場合には(ステップS163:YES)、その変更された遊技状態に応じた役抽選テーブルをROM102から読み出して、役抽選手段108に設定する(ステップS164)。
(演出制御手段)
次に、サブ制御基板200に備えられる各種制御手段を説明する。サブ制御基板200の演出制御手段210は、以下説明する各制御手段とともに、スロットマシン10の遊技の進行に付随して行われる演出を主に制御する。
演出制御手段210は、メイン制御基板100から送信されてくるコマンドの内容およびそのタイミングに応じて、上部ランプ62、コーナーランプ63L、63R等のランプ類を用いた光による演出、スピーカ64L、64R、73L、73Rを用いた音による演出、および、画像表示装置61を用いた画像や文字等による演出の制御を行う。
たとえば、演出制御手段210は、メイン制御基板100から回転開始コマンドを受信すると、所定のまたは随時選択される演出画像を画像表示装置61に表示して、リールの回転動作に遊技者の関心を惹き込むような演出をする。また、演出制御手段210は、メイン制御基板100が実行する役抽選の結果や現在の遊技の進行状態に応じて画像表示装置61などで演出する演出パターンを選択する。なお、次に説明する演出抽選手段208の抽選処理により演出画像や演出パターンを選択してもよい。
たとえば、演出制御手段210は、メイン制御基板100から赤セブン揃い(再遊技G)」の内部当選の役抽選結果コマンドを受けたとき、遊技者に赤セブン図柄を狙わせるような演出パターンや赤セブン図柄が揃う「逆押し」を促す演出パターンを選択して画像表示装置61等に表示してもよい。
(演出抽選手段)
サブ制御基板200に備えられる演出抽選手段208は、メイン制御基板100からのコマンドを受信するごとに、または、特定のたとえば回転開始コマンドや役抽選結果コマンドを受信した時などに起動される。演出抽選手段208は、所定のタイミングで乱数を取得し、ROM202に記憶された演出抽選テーブルを参照して、取得した乱数が属する数値範囲に対応する演出内容を選択する。
なお、演出抽選手段208は、演出パターンを選択する抽選(演出抽選)の他にも、メイン制御基板100から送信されてくる役抽選結果の報知をするかしないかの抽選(役報知抽選)や、停止操作順など遊技者に操作をアシストするAT演出をするか否かの抽選(AT抽選)などを行うものでもよい。
(AT制御手段)
サブ制御基板200に備えられるAT制御手段212は、ATに係る複数の演出パターンの中から、役抽選結果コマンドが示す役と停止操作順との関連付けに対応する演出パターンを選択する。これらのATの実行に関連する演出パターンやAT演出画像を演出抽選手段208による抽選で選択してもよい。
ATの実行条件が整ったとき、AT制御手段212は、ストップボタン56L、56C、56Rが停止操作されるごとにメイン制御基板100から送信される回転停止コマンドを受信して、次に停止させるべきリールを報知するATの演出画像を画像表示装置61に表示させる。
次に、本発明に係るスロットマシンの実施例を複数説明する。実施例によるスロットマシン10は、所定の条件が満たされたときに擬似遊技演出を実行する擬似遊技演出手段130を備える。そのために、スロットマシン10のリール制御手段113は、役抽選手段108の役抽選の結果に基づく図柄の組合せが停止表示され得る通常リール停止制御を実行する通常リール停止制御手段114の他に、擬似遊技演出において選択された図柄の組合せが擬似停止表示され得る擬似リール停止制御を実行する擬似リール停止制御手段115を有している。
(第1実施例)
通常リール停止制御手段114は、一般的なスロットマシンに備えられる通常のリール停止制御手段である。すなわち、通常リール停止制御手段114は、役抽選手段108による役抽選の結果に基づいて各リール40L、40C、40Rの回転位置と滑りコマ数とが対応付けられた滑りコマ数テーブルを作成し、停止操作の受付け時の当該リールの回転位置と作成した滑りコマ数テーブルに基づいて選択した図柄を停止表示するように当該リールを制御する。
上述したように、擬似遊技決定手段109が決定した擬似遊技番号が「0」のときには、擬似遊技演出が実行されず(図11のステップS14:「0」)、役抽選手段108による役抽選結果の番号が役抽選番号フラグに設定される(図11のステップS15)。そして、いずれかの役が内部当選した場合には、対応する当選役フラグまたは条件装置フラグが設定される(図11のステップS16)。
この役抽選結果に基づいて図柄制御番号が図柄制御フラグに設定される(図11のステップS17)。図柄制御番号は、通常リール停止制御に用いられる滑りコマ数テーブルを作成するための番号として用いられる。
通常リール停止制御手段114は、図柄制御フラグに設定されている図柄制御番号に基づいて、全てのリール40L、40C、40Rごとに滑りコマ数テーブルを作成する(図16のステップS111)。「滑りコマ数テーブル」とは、既に述べたように、リールの回転位置である図柄位置番号に規定制御コマ数(たとえば5コマ)以下の滑りコマ数を対応して割り当てた制御データテーブルである。ここで、図21には、役抽選の結果として図柄制御番号「7」(図15A参照)が選択された場合、ベル・ベル・ベルを停止図柄の組合せとして作成される滑りコマ数テーブルの実施例が示される。
通常リール停止制御手段114は、ストップボタン56L、56C、56Rへの停止操作の受付け時に、対応するリール40L、40C、40Rの回転位置と作成した滑りコマ数テーブルに基づいて選択した停止図柄を停止表示するように、当該リールのステッピングモータに励磁停止信号を出力する。
一方、図11の遊技制御処理のステップS13で起動される擬似遊技決定手段109は、擬似遊技演出をするかしないかの決定および/または擬似遊技演出の内容の決定をする手段である。既に説明したように、擬似遊技決定手段109は、擬似遊技番号「0」〜「5」を役抽選手段108による役抽選の結果に応じて、または役抽選手段108とは異なる抽選処理によって決定する。
「擬似遊技演出をするかしないかの決定」とは、擬似遊技決定手段109により決定された擬似遊技番号が「0」の場合(図11のステップS14:「0」)、擬似遊技演出が実行されず、擬似遊技番号が「1」〜「5」の場合(図11のステップS14:「1」〜「5」)、擬似遊技演出が実行されることを意味する。
「擬似遊技演出の内容の決定」とは、擬似遊技演出の実行条件、つまり決定された擬似遊技番号「1」〜「5」に応じて、擬似停止図柄の組合せや、停止操作の態様に応じた擬似停止制御の方法(後述する実施例2、3)などを決定することをいう。
一つの実施態様において、擬似遊技決定手段109は、役抽選手段108が当選した役に応じた図柄を擬似停止図柄として選択してもよい。たとえば、再遊技Aが内部当選した場合(図13に示される役抽選結果の番号「3」)、擬似遊技番号「3」を決定する(図14参照)。これにより、擬似停止図柄の組合せがリプレイ・リプレイ・リプレイとなり、単位遊技で用いられる再遊技役Aの図柄の組合せと同じになる(図7参照)。同様に、ベルAが内部当選した場合(図13に示される役抽選結果の番号「6」〜「12」)、擬似遊技番号「2」を決定する(図14参照)。これにより、擬似停止図柄の組合せがベル・ベル・ベルとなり、単位遊技で用いられる小役の図柄と同じとなる。
他の実施態様において、擬似遊技決定手段109は、役抽選手段108がいずれの役も当選しなかった場合に、たとえば擬似遊技番号「3」のリプレイ・リプレイ・リプレイや擬似遊技番号「2」のベル・ベル・ベルを擬似停止図柄の組合せとして選択してもよい。
さらに他の実施態様において、擬似遊技決定手段109は、単位遊技において用いられる役には対応しない図柄の組合せを擬似停止図柄の組合せとして選択してもよい。また、役抽選手段108による抽選結果に関わらず、独立した抽選処理により擬似遊技演出をするかしないかの決定をしてもよく、擬似遊技番号を決定してもよい。
ここで、図22は、本実施例による擬似遊技演出処理を示すフローチャートである。擬似遊技決定手段109により決定された擬似遊技番号が「1」〜「5」の場合に擬似遊技演出手段130が起動される(図11のステップS25)。擬似遊技演出手段130は、最初に、決定された擬似遊技番号「1」〜「5」を擬似遊技コマンドにセットする(ステップS211)。
擬似遊技演出手段130は、図14に例示されたように、擬似遊技番号「1」〜「5」に応じて仮役抽選結果番号を仮役抽選結果番号フラグに設定する(ステップS212)。たとえば、擬似遊技番号が「1」のときには、白バー・白バー・白バーの仮役抽選結果番号「1」が設定される。これは、BB役の役抽選結果番号「1」と同一である。同様に、擬似遊技番号が「2」のときには、ベル・ベル・ベルの仮役抽選結果番号「6」が設定される。また、擬似遊技番号が「4」のときには、下段リプレイ揃いの8通りの擬似停止図柄組合せに対応する仮役抽選結果番号「4」が設定される。擬似遊技番号が「3」のときには、リプレイ・リプレイ・リプレイの仮役抽選結果番号「3」が設定される。
擬似遊技演出手段130は、擬似遊技決定手段109による決定結果である仮役抽選結果番号に基づいて、対応する当選役フラグまたは条件装置フラグを仮設定する(ステップS213)。このとき、擬似遊技演出手段130は、通常のリール停止制御において役抽選結果番号に基づいて、対応する当選役フラグまたは条件装置フラグを設定する処理と同じ処理手段(サブルーチン)を代用することができる。
次に、擬似リール停止制御手段115は、仮役抽選結果番号フラグに設定された仮役抽選結果番号に基づいて、図柄制御番号を図柄制御フラグに設定する(ステップS214)。図14に示したように、仮役抽選結果番号には擬似停止させる図柄の組合せが対応しており、さらにその図柄組合せを擬似停止させるべき図柄制御番号が図15Aおよび図15Bに示される対応表を参照して設定される。
たとえば、擬似遊技決定手段109が擬似遊技番号「3」を決定し、仮役抽選結果番号が「3」の擬似停止図柄の組合せがリプレイ・リプレイ・リプレイの場合には、図柄制御番号「3」がセットされる。また、擬似遊技決定手段109が擬似遊技番号「2」を決定し、仮役抽選結果番号が「6」のベル・ベル・ベルが擬似停止図柄の組合せの場合には、図柄制御番号「7」がセットされる。
この図柄制御フラグは、単位遊技において通常リール停止制御手段114が使用する図柄制御フラグと同じRAM103の記憶領域を使用している。そして、擬似リール停止制御手段115が使用する図柄制御番号も、通常リール停止制御手段114と同様に滑りコマ数テーブルを作成するために設定される。
次に、擬似遊技演出においてウエイト手段124は、所定のウエイト時間である、たとえば4.1秒の経過を監視する(ステップS215)。ウエイト手段124は、通常の単位遊技か擬似遊技演出が実行されているか否かに関わらず、前回のリール40L、40C、40Rの回転開始か4.1秒が経過するまでは、処理の進行を停止し待機する。そして、ウエイト手段124は、4.1秒の待機処理が終了すると(ステップS215:YES)、4.1秒のウエイト時間を再セットする(ステップS216)。ステップS215の判断時点で4.1秒のウエイト時間が既に超過していれば、待機処理が行われないことはいうまでもない。
ここで、擬似遊技演出が実行された条件では、4.1秒のウエイト時間が再セット後、外部信号が出力可能な状態にセットされない(ステップS217)。すなわち、ステップS217では、外部出力タイマ手段151のオフ状態が継続され、これにより、擬似遊技演出に関して決定された情報が外部信号として出力されず、ステップS213で仮設定された役抽選結果の情報(当選役フラグまたは条件装置フラグの情報)も出力されない。
本実施形態によるスロットマシン10は、擬似リール制御処理が通常リール制御処理の一部を共通化して代用する構成を採用しているが、このように擬似遊技演出中に仮設定される役抽選結果等の遊技情報については外部出力を制限している。また、擬似遊技演出中に当該擬似遊技演出に関する情報が外部信号として外部に出力されることもない。これにより、外部信号の情報量および外部出力の頻度について既存の通信環境が維持されるので、ホールコンピュータまたは試験装置等との間の通信余裕を確保し、通信渋滞による干渉等の障害を事前に回避することができる。
次に、ステップS218において、擬似遊技演出手段130は、擬似リール制御処理を実行する。ここで、図23には、第1実施例による擬似リール制御処理の詳細を示すフローチャートが例示される。
図23を参照し、本実施例の擬似リール停止制御手段115は、図柄制御フラグに設定されている図柄制御番号に基づいて滑りコマ数テーブルを作成する(ステップS311)。擬似リール停止制御手段115が使用する滑りコマ数テーブルは、通常リール停止制御手段114が使用する滑りコマ数テーブルと同じRAM103の記憶領域を使用し、データの構成も共通している。つまり、滑りコマ数テーブルには、少なくともリールの回転位置である図柄位置番号と滑りコマ数とが対応付けられている。通常リール停止制御と共通の制御処理とすることで、RAM103のワーキング領域の節約と、CPU101の処理負担を低減することができる。
具体的には、図15Aに例示したように、たとえば図柄制御番号「3」が図柄制御フラグに設定されているときには、リプレイ・リプレイ・リプレイを擬似停止させる滑りコマ数テーブルが作成され、図柄制御番号「7」が設定されているときには、ベル・ベル・ベルを擬似停止させる滑りコマ数テーブルが作成される。なお、フローチャートには記載していないが、リール40L、40C、40Rの回転を開始し、それらの加速制御中に滑りコマ数テーブルを作成してもよい。
図23に戻り、擬似遊技演出においてリール制御手段113は、全てのリール40L、40C、40Rを一斉に回転させる駆動パルス信号を出力し、そのパルス幅を段階的に短くする加速制御を行う(ステップS312)。そして、各リール40L、40C、40Rの回転数が所定のたとえば80回転/分となったとき(ステップS313:YES)、駆動パルス信号の周期を一定にしてリールを定速制御する(ステップS314)。
リール制御手段113は、リール40L、40C、40Rが定速回転制御に至ると、ストップボタン56L、56C、56Rによる停止操作の受け付けを許可する(ステップS315)。そして、回転中のリールについて、ストップボタンが操作されたことによる停止操作信号を受け付けたとき(ステップS316:YES)、その停止操作のタイミングに応じ、作成した滑りコマ数テーブルを参照して当該リールの擬似停止図柄を決定する(ステップS317)。
たとえば、図柄制御番号「2」が設定され、ベル・ベル・ベルを擬似停止させる滑りコマ数テーブルが作成された例で説明する。ここで、ベル・ベル・ベル用の滑りコマ数テーブルの実施例が図21に示されている。
図21の例では、擬似リール停止制御手段115は、たとえば左のストップボタン56Lによる第1停止操作を受け付け、その時に中段のラインL1を通過中の図柄がたとえば図柄位置番号「7」の図柄の場合には、左リール40Lについての滑りコマ数テーブルで参照される4コマ先の図柄(図柄位置番号「11」のベル図柄)を左リール40Lの擬似停止図柄として決定する。
また、擬似リール停止制御手段115は、たとえば中央のストップボタン56Cによる第2停止操作を受け付け、その時に中段のラインL1を通過中の図柄がたとえば図柄位置番号「16」の図柄の場合には、中リール40Cについての滑りコマ数テーブルで参照される3コマ先の図柄(図柄位置番号「19」のベル図柄)を中リール40Cの擬似停止図柄として決定する。
また、擬似リール停止制御手段115は、たとえば右のストップボタン56Rによる第3停止操作を受け付け、その時に中段のラインL1を通過中の図柄がたとえば図柄位置番号「18」の図柄の場合には、右リール40Rについての滑りコマ数テーブルで参照される3コマ先の図柄(図柄位置番号「1」のベル図柄)を右リール40Rの擬似停止図柄として決定する。
これにより、擬似リール停止制御手段115は、擬似遊技決定手段109の結果に基づいて滑りコマ数テーブルを作成し、停止操作の受付け時の当該リールの回転位置と作成した滑りコマ数テーブルに基づいて選択した図柄を、揺れ変動を伴ってラインL1上に擬似停止表示するようにリールを制御する(ステップS318)。そして、擬似リール停止制御手段115は、全てのリール40L、40C、40Rが擬似停止するまで、ステップS316〜S318までの擬似リール停止制御を繰り返し実行する(ステップS319)。
なお、1つのリールの停止を受付けたときに、その揺れ変動を伴い擬似停止する図柄および擬似遊技決定手段109による決定結果(場合によっては第1停止操作されたリール)に応じて他の残りのリールの滑りコマ数テーブルを新たに作成するか、またはリール回転開始の際に作成した滑りコマ数テーブルを更新してもよい。
図22のフローチャートに戻り、擬似リール制御処理が終了した後、擬似遊技決定の更新処理が実行される(ステップS219)。擬似遊技決定の更新処理では、擬似遊技番号が更新される。ここで擬似遊技番号が「0」に更新されれば、図11に示したステップS15からの通常の遊技制御処理に移行する。擬似遊技番号が「1」〜「5」に更新されれば、図11に示したステップS25の擬似遊技演出処理が繰り返される。擬似遊技演出は予め定めた回数を実行するものでもよく、揺れ変動表示した擬似停止図柄(擬似停止出目)に応じて更新されてもよい。たとえば、擬似停止図柄がリプレイの場合、スタートレバー55のオンを契機に擬似遊技演出を再度実行してもよい。また、擬似遊技演出において停止操作された押し順に応じて擬似遊技番号を更新してもよい。
なお、1回の擬似遊技演出が終了後、ステップS219の擬似遊技決定の更新処理を行わずに、擬似遊技決定処理(図11のステップS13)に戻り再び擬似遊技番号を決定してもよい。
また、次に説明する第2〜第4実施例にも適用できることだが、擬似遊技演出で作成した滑りコマ数テーブルをリールの擬似停止ごとにクリアしてもよいし、役抽選結果と同じ図柄制御番号で擬似停止制御がされた場合(たとえばリプレイ・リプレイ・リプレイ)には、滑りコマ数テーブルをクリアせずに、そのままそのテーブルを通常の遊技の引き込み制御に使用してもよい。
また、揺れ変動表示した擬似停止図柄などの結果に基づいて、ATの抽選契機や、延長契機、遊技者に有利な特定遊技の開始契機としてもよい。
(第2実施例)
次に、第2実施例による擬似遊技演出手段130および擬似リール停止制御手段115を説明する。擬似遊技演出手段130は、第1実施例と同様に図22のステップS218で示した擬似リール制御処理を実行する。ここで、図24は、第2実施例による擬似リール制御処理の詳細を示すフローチャートである。
図24を参照し、第2実施例では、スタートレバー55が操作され(図11のステップS11:YES)、擬似遊技演出の実行が確定し(図11のステップS14:「1」〜「5」)、ウエイト手段124が4.1秒の所定ウエイト時間の経過を確認した後(図22のステップS215:YES)、擬似リール停止制御手段115は、図柄制御フラグに設定されている図柄制御番号に基づいて滑りコマ数テーブルを作成する(ステップS411)。
たとえば、擬似遊技決定手段109が決定した擬似遊技番号が「5」の遊技では、黒バー・黒バー・黒バーとリプレイ・リプレイ・リプレイとが擬似停止可能な図柄組合せとして選択され(図14参照)、これら両方の図柄組合せが擬似停止され得る滑りコマ数テーブルを作成するための図柄制御番号「10」が設定される(図15B参照)。擬似リール停止制御手段115が作成し使用する滑りコマ数テーブルは、通常リール停止制御手段114が使用する滑りコマ数テーブルと同じRAM103の記憶領域が使用される。通常リール停止制御と共通の制御処理とすることで、RAM103のワーキング領域の節約と、CPU101の処理負担を低減することができる。
そして、リール制御手段113は、全てのリール40L、40C、40Rを一斉に回転させる駆動パルス信号を出力し、そのパルス幅を段階的に短くする加速制御を行う。そして、各リール40L、40C、40Rの回転数が所定のたとえば80回転/分となったとき、駆動パルス信号の周期を一定にしてリールを定速制御する(ステップS412)。
なお、リール40L、40C、40Rの加速中、つまり停止操作の受付けが可能となる前に、擬似リール停止制御手段115が上述の滑りコマ数テーブルを作成してもよい。
リール制御手段113は、リール40L、40C、40Rが定速回転制御に至ると、ストップボタン56L、56C、56Rによる停止操作の受け付けを許可する。
擬似リール停止制御手段115は、受付けた停止操作が所定の停止操作順である場合には、当該受付けた停止操作の対象のリールについて作成した滑りコマ数テーブルを使用せずに、予め選択された特定の図柄を擬似停止表示するように当該リールを制御する。
具体的に、擬似リール停止制御手段115は第1停止操作がどのストップボタン56L、56C、56Rにされたか判定する(ステップS413)。たとえば、第1停止操作の対象が所定の右リール40Rの場合(ステップS413:YES)、擬似リール停止制御手段115は特定の図柄を対象とした擬似リール停止制御を実行する(ステップS414)。
「特定の図柄を対象とした擬似リール停止制御」とは、予め選択された、たとえば黒バーなどの特定の図柄を擬似停止表示するように当該リールを制御することである。
そして、擬似リール停止制御手段115は、たとえば右のストップボタン56Rへの第1停止操作を受け付けると、図21に例示した既に作成された滑りコマ数テーブルを使用せずに、黒バーなどの特定の図柄を擬似停止図柄として選択する。そして、ストップボタン56Rへの停止操作のタイミングによらずに、黒バー図柄を規定制御コマ数を超えて中段のラインL1に引き込み、揺れ変動させて擬似停止表示する。
このような、擬似停止図柄として選択される特定の図柄は、予め定めされるか、または擬似遊技決定手段109が決定した擬似遊技番号などに応じて定められてもよい。
停止操作が所定の停止操作順である場合(ステップS413:YES)、擬似リール停止制御手段115は、図示が略されているが第2停止時および第3停止時においても、既に作成された滑りコマ数テーブルを使用せずに、各停止操作ごとに黒バーなどの特定の図柄を擬似停止表示するように対応するリールを擬似リール停止制御する(ステップS414〜S415)。他方、擬似リール停止制御手段115は、停止操作が所定の停止操作順でない場合(ステップS413:NO)、停止操作のタイミングに応じ既に作成された滑りコマ数テーブルを使用して、各停止操作ごとに所定制御コマ数以内の図柄を擬似停止表示するように対応するリールを擬似リール停止制御する(ステップS416〜S417)。
第2実施例の他の態様において、擬似リール停止制御手段115は、所定の停止操作手段に対応するリールについてのみ擬似遊技決定手段109の結果に基づいて滑りコマ数テーブルを作成し、所定の停止操作手段への停止操作を受付けたとき当該リールの回転位置と作成した滑りコマ数テーブルに基づいて選択した図柄を擬似停止表示するように当該リールを制御してもよい。
具体的に「所定の停止操作手段」とは、たとえば左のストップボタン56Lおよび中央のストップボタン56Cであり、「所定の停止操作手段ではない停止操作手段」とは、たとえば右のストップボタン56Rである。この例の場合において、擬似リール停止制御手段115は、所定の停止操作手段である左および中央のストップボタン56L、56Cに対応する左リール40Lおよび中リール40Cについては、リールの停止受付けが可能となる前に滑りコマ数テーブルを作成するが(図24のステップS411)、所定の停止操作手段ではない右のストップボタン56Rに対応する右リール40Rについては滑りコマ数テーブルを作成しない。図25には、たとえば図柄制御番号「7」が設定された場合にステップS411で作成される、第1停止用の滑りコマ数テーブルが例示され、右リール40Rについての滑りコマ数テーブルが作成されていない。一度、所定の停止操作を受付けた以降は、当該擬似遊技演出においては滑りコマ数テーブルが作成されない。
また、所定の停止操作手段ではない、たとえば右のストップボタン56Rへの第1停止操作を受付けたとき、予め選択されたたとえば黒バーなどの特定の図柄を擬似停止表示するように当該リールを制御する構成でもよい。
この態様では、第1停止操作が所定の右リール40Rを対象とする右のストップボタン56Rにされると(ステップS413:YES)、擬似リール停止制御手段115は特定の黒バー図柄を対象とした擬似リール停止制御を実行するので(ステップS414)、右リール40Rについての滑りコマ数テーブルを使用しない。本実施例のように、所定の停止操作手段が対象としないリールについての滑りコマ数テーブルを作成しないことにより、CPU101が実行する処理プログラムを簡素化し、また処理負担を軽減して演算実行速度を速めることができる。
(第3実施例)
次に、第3実施例による擬似遊技演出手段130および擬似リール停止制御手段115を説明する。ここで、図26は、第3実施例による擬似リール制御処理の詳細を示すフローチャートである。
図26を参照し、第3実施例では、スタートレバー55が操作され(図11のステップS11:YES)、擬似遊技演出の実行が確定し(図11のステップS14:「1」〜「5」)、ウエイト手段124が4.1秒の所定ウエイト時間の経過を確認した後(図22のステップS215:YES)、擬似リール停止制御手段115は滑りコマ数テーブルを作成する(ステップS511)。本実施例においても滑りコマ数テーブルは、通常リール停止制御手段114が使用する滑りコマ数テーブルと同じ構成で同じRAM103の記憶領域に作成される。
擬似遊技演出においてリール制御手段113は、全てのリール40L、40C、40Rを一斉に回転させる駆動パルス信号を出力し、そのパルス幅を段階的に短くする加速制御を行う。そして、各リール40L、40C、40Rの回転数が所定のたとえば80回転/分となったとき、駆動パルス信号の周期を一定にしてリールを定速制御する(ステップS512)。
リール制御手段113は、リール40L、40C、40Rが定速回転制御に至ると、ストップボタン56L、56C、56Rによる停止操作の受け付けを許可する。
そして、擬似リール停止制御手段115は、ステップS511で作成した滑りコマ数テーブルを使用せずに、黒バー・黒バー・黒バーなどの特定の図柄の組合せを擬似停止図柄の組合せとして選択する。そして、ストップボタン56L、56C、56Rへの停止操作がされるに応じて、各リール40L、40C、40Rの黒バー図柄を中段のラインL1に擬似停止表示させ揺れ変動させる(ステップS513〜S514)。
第3実施例の他の態様として、所定の停止操作順のとき、黒バー・黒バー・黒バーなどの第1の特定図柄を滑りコマ数テーブルを用いずに擬似停止表示させ、所定の停止操作順ではないときに、リプレイ・リプレイ・リプレイなどの第2の特定図柄を滑りコマ数テーブルを用いずに擬似停止表示させてもよい。
第3実施例のさらに他の態様として、擬似リール停止手段115は、停止操作の際に回転中のいずれかのリールにおいて、黒バーなどの特定の図柄を擬似停止表示させてもよい。すなわち、いずれかのストップボタン56L、56C、56Rが停止操作されたとき、それには対応しないリールに対して特定の図柄を擬似停止表示させてもよい。
また、第3実施例のさらに他の態様として、擬似リール停止手段115は、停止操作が所定の順序でされたときには、当該停止操作の際に回転中のいずれかのリールにおいて、黒バーなどの特定の図柄を擬似停止表示させてもよい。すなわち、所定のたとえば右のストップボタン56Rが第1停止操作されたとき、それには対応しない左リール40Lに特定の黒バー図柄を擬似停止表示させてもよい。
また、たとえば遊技者が右中左の逆押しでストップボタン56R、56C、56Lを操作した場合でも、各停止操作に応じて左中右のリール40L、40C、40Cの順に擬似リール停止制御し、最終的に全てのリールで特定の黒バー・黒バー・黒バーの図柄組合せを擬似停止表示させてもよい。
(第4実施例)
次に、第4実施例として、擬似リール停止制御におけるステッピングモータへの制御を、通常リール停止制御と対比しながら詳細に説明する。
図27は、本実施例のスロットマシン10が採用する、1−2相励磁方式によるステッピングモータの回転制御の原理を説明するための図である。
リールの回転軸に直結されるステッピングモータは、4相(φ0〜φ3)のステッピングモータである。ステッピングモータが回転動作中、各相φ0〜φ3の励磁コイル411〜414には、π/2(単位:ラジアン)だけ順次位相がずれた駆動パルス信号(加速および定速回転をさせる励磁データ信号の一態様)が供給される。各駆動パルス信号は、1周期に対して3/4π相当のパルス幅を有している。このような1−2相励磁方式により、φ0、φ0・φ1、φ1、φ1・φ2、φ2、φ2・φ3、φ3、φ3・φ0の8つの各励磁相が順次、循環して励磁されることで、ステッピングモータおよびリールが一方向に回転する。
図28は、本実施例のステッピングモータ41の内部構造を模式的に示す図である。ステッピングモータ41の中心部には回転するロータ410を備え、そのロータ410の外周にたとえばS極の磁極子M、M、・・・が等間隔で配置される。ロータ410の外側を囲むステータには、ロータ410の回転磁極子M、M、・・・に若干離間して対向する固定励磁子E0、E1、E2、E3、・・・が配置される。
ステッピングモータ41のステータには、ロータ410を中心として45°ごとに角度を変えた位置に、φ0〜φ3の各相に対応する合計8個の励磁コイル411〜418が設けられる。そして、φ0相に係る励磁コイル411、415には、それぞれ所定個数の固定励磁子E0をN極に励磁するように磁気回路が構成されている。同様に、φ1相に係る励磁コイル412、416には、所定個数の固定励磁子E1をN極に励磁するように磁気回路が構成され、φ2相に係る励磁コイル413、417には、所定個数の固定励磁子E2をN極に励磁するように磁気回路が構成され、φ3相に係る励磁コイル414、418には、所定個数の固定励磁子E3をN極に励磁するように磁気回路が構成される。
固定励磁子E0〜E3のピッチは回転磁極子Mのそれと同じである。しかし、φ0相の固定励磁子E0を基準にしてみると、φ1相の固定励磁子E1は、その1/4ピッチに相当する位相分だけ固定励磁子E0に近い位置に配置される。また、φ2相の固定励磁子E1は、さらに1/2ピッチに相当する位相分だけ固定励磁子E0に近い位置に配置され、φ3相の固定励磁子E1は、さらに3/4ピッチに相当する位相分だけ固定励磁子E0に近い位置に配置される。
このように、固定励磁子E0〜E3の位置が1/4ピッチずつ変位して配置されることにより、たとえばφ0相が励磁されたときは、回転磁極子MのS極と固定励磁子E0のN極とが引き付け合う位置にロータ410が回転し、次のステップでφ0相とφ1相とが励磁されたときは、回転磁極子MのS極と固定励磁子E0、E1の2つの相のN極とが釣り合って引き付け合う位置にロータ410が回転するというように、1ステップずつ、ステッピングモータ41のロータ410が一方向に回転制御される。このような1−2相励磁方式によれば、リールの回転トルクを十分確保しながら消費される電力を抑えることができる。
リール制御手段113は、また、リール40L、40C、40Rを駆動する各ステッピングモータ41L、41C、41Rの各励磁相を記憶する位相カウンタ116を含む。1−2相励磁方式では、4相のステッピングモータにおける励磁相がφ0、φ0・φ1、φ1、φ1・φ2、φ2、φ2・φ3、φ3、φ3・φ0の合計8つあり、各励磁相に対応する値(図31参照)が位相カウンタ116に記憶される。
図29は、リール制御手段113が出力する励磁データ信号の波形とリールの回転速度との関係を例示する図である。リール制御手段113が生成する励磁データ信号は、モータ駆動回路500により信号振幅が電流増幅された駆動パルス信号または励磁停止信号に変換され、対応する各ステッピングモータ41L、41C、41Rに出力される。ここで「駆動パルス信号」は、リール40L、40C、40Rを加速または定速回転させるための励磁データ信号の一態様をいう。「励磁停止信号」は、リール40L、40C、40Rを制動および停止するための励磁データ信号の他の態様である。
本実施例のスロットマシン10で用いる励磁停止信号は、さらに2種類あり、リール40L、40C、40Rを「通常停止」させるため、ステッピングモータ41L、41C、41Rの全相(つまりφ0〜φ3の全ての相、または全ての励磁相ということもできる。)を同時に励磁する全相励磁停止信号(第1の励磁相パターン)と、リール40L、40C、40Rを「擬似停止」させるため、ステッピングモータ41L、41C、41Rにおいて隣接する所定の2つの相(たとえばφ0とφ1)のみを同時に励磁する2相励磁停止信号(第2の励磁相パターン)とがある。
さらに、駆動パルス信号の別の態様として、擬似遊技演出中にリール40L、40C、40Rに「揺れ変動」を生じさせるために、上記所定の2つの相(たとえばφ0とφ1)からなる第2の励磁相パターンと、これとは異なる第3の励磁相パターン(たとえばφ0)との間で励磁を繰り返す駆動パルス信号がある。
上述した位相カウンタ116は、対応する各ステッピングモータ41L、41C、41Rにおける励磁相をそれぞれ記憶している。この位相カウンタ116に対して、リール制御手段113(通常リール停止制御手段114および擬似リール停止制御手段115)は、任意に励磁相を指定、更新または補正することで、ステッピングモータを励磁制御する。すなわち、位相カウンタ116は、リール制御手段113によって指定または更新等された励磁相の情報を励磁データ信号としてモータ駆動回路500に出力し、そしてモータ駆動回路500がこの励磁データ信号に基づいて、対応するステッピングモータ41L、41C、41Rに対し駆動パルス信号または励磁停止信号を出力する。これにより、リール制御手段113が各位相カウンタ116対し励磁相を指定、更新または補正するのに応じて、その指定等された励磁相で、対応するステッピングモータ41L、41C、41Rが励磁され駆動するように構成されている。
リール制御手段113は、所定周期の割込み処理ごとに各位相カウンタ116が記憶する励磁相を順次更新することで各リール40L、40C、40Rの回転位置制御を行う。すなわち、リール制御手段113は、リール40L、40C、40Rの回転開始時に、駆動パルス信号のパルス幅が次第にまたは段階的に短くなるように加速制御を行う。そして、各リール40L、40C、40Rの回転数が所定のたとえば80回転/分となったとき、駆動パルス信号のパルス周期を一定にしてリールを定速制御している。
このような構成により、通常リール停止制御手段114は、役抽選手段108による役抽選の結果に基づいて滑りコマ数テーブルを作成し、停止操作の受付け時の当該リールの回転位置と作成した滑りコマ数テーブルに基づいて選択した図柄を停止表示するように当該リールを停止制御する。
ここで、図30(a)には、通常リール停止制御でリールが通常停止するときの回転速度の変化、および、ステッピングモータへの励磁停止信号(第1の励磁相パターン)のタイムチャートが例示される。図30(b)には、擬似リール停止制御でリールが擬似停止するときの回転速度の変化、および、ステッピングモータへの励磁停止信号(第2および第3の励磁相パターン)のタイムチャートが例示される。
擬似遊技演出が実行されない単位遊技においては、停止操作がされたとき、通常リール停止制御手段114が、図30(a)に示されるようにステッピングモータの全ての励磁相(4相)からなる第1の励磁相パターンで当該ステッピングモータを励磁することにより当該リールを制動する。
他方、擬似遊技演出において停止操作がされたときには、擬似リール停止制御手段115が、図30(b)に示されるようにステッピングモータの隣接する所定の2つの相からなる、たとえばφ0とφ1相からなる第2の励磁相パターンを当該リールの位相カウンタ116に対し指定することにより当該リールを制動する。第1の励磁相パターンとは異なる第2の励磁相パターンを位相カウンタ116に指定すると、当該リールのステッピングモータに第2の励磁相パターンに対応するたとえばφ0とφ1相の励磁コイルが励磁される。
このように、通常の停止制御がステッピングモータに対する4相励磁であるのに対し、擬似遊技演出における擬似停止制御では位相カウンタを介した2相励磁である点でそれぞれ制御方式が異なっている。
ここで、図31は、位相カウンタ116の値と励磁相との対応を例示する図である。また、図32(a)は、通常リール停止制御時の位相カウンタ116の時間推移を例示し、図32(b)は、擬似リール停止制御時の位相カウンタ116の時間推移を例示している。
リール制御手段113は、所定周期の割込み処理ごとに位相カウンタ116の値が増える方向に順次更新することで、リールを一方向へと回転させる。図32(a)に例示される通常リール停止制御時には、停止操作後、位相カウンタ116の値をたとえば「2」(φ0・φ1)に保持して4相励磁の第1の励磁相パターンが出力される。これにより、リールが制動され、停止図柄の中心と中段のラインLとが概ね一致する位置でリールが停止する。
他方、図32(b)に例示される擬似リール停止制御時には、停止操作後、位相カウンタ116の値がたとえば「4」(φ1・φ2)の次の割込みで、位相カウンタ116の値が「2」(φ0・φ1)に指定される。擬似停止図柄の中心とラインLとの位置が一致する励磁相を第2の励磁相パターンとして指定することで、目的の図柄をラインL上で擬似停止表示させる。
ここで、通常リール停止制御手段114は、第1の励磁相パターンである全相の励磁を第1の励磁時間(たとえば200ミリ秒)だけ維持することによりリールが停止したとみなす(実際には第1の励磁時間よりも短い時間内にリールが停止している)。他方、記擬似遊技演出において擬似リール停止手段115は、第2の励磁相パターンである隣接する2相の励磁を第1の励磁時間よりも短い第2の励磁時間(たとえば30ミリ秒)だけ維持し、その位置でリールが制動状態にあるものとして管理する。
通常の遊技における第1の励磁時間の方が擬似遊技演出における第2の励磁時間よりも長い理由は、通常の遊技では入賞結果を表示する必要があり、リールの確実な停止を担保するためである。他方、擬似遊技演出では入賞結果を表示する必要がなく、図柄の揺れ変動によって通常の遊技とは異なることを早期に遊技者に報知するためである。
より具体的には、擬似遊技演出において擬似リール停止手段115は、ステッピングモータにおいて第2の励磁相パターンの励磁を第2の励磁時間だけ維持した後、第2の励磁相パターンと第3の励磁相パターンとの間で交互に励磁を繰り返す駆動パルス信号を所定周期で出力することで、当該リールを揺れ変動させる。
たとえば、第2の励磁相パターンがφ0・φ1の励磁相であり、第3の励磁相パターンがたとえばφ0の励磁相とすることができる。図32(b)の例では、第2の励磁相パターンがφ0・φ1であり、第3の励磁相パターンの励磁相がφ0である場合に、位相カウンタ116の値「2」と「1」とが周期的に交互に更新される様子が示されている。
なお、第2の励磁相パターンと第3の励磁相パターンとは、励磁相が異なっていればよく、一部に共通の相が存在していてもよい。具体的には、たとえば、所定の2相からなる第2の励磁相パターンがφ0・φ1である場合に、第3の励磁相パターンの励磁相がφ1であってもよい。この場合はφ1相が第2の励磁相パターンと第3の励磁相パターンとの間で共通している。また、第3の励磁相パターンを構成する相の数は任意であり、2つ以上の相を含むものでもよい。たとえば、第2の励磁相パターンがφ0・φ1である場合に、第3の励磁相パターンが、たとえばφ2・φ3であってもよく、φ3・φ0でもよく、φ2・φ3・φ0であってもよい。さらに位相カウンタ116の値が「2」(φ0・φ1)と「5」(φ2)のように離れたパターンであってもよい。
また、擬似遊技演出の揺れ変動において出力される所定周期の駆動パルス信号において、第2の励磁相パターンを励磁するパルス時間幅よりも、第3の励磁相パターンを励磁するパルス時間幅のほうが長く設定されていることが好ましい。
具体的には、たとえば第2の励磁相パターンを励磁するパルス時間幅が10ミリ秒であるのに対し、第3の励磁相パターンを励磁するパルス時間幅が390ミリ秒であるとすることができる。この場合、揺れ変動を生じさせる駆動パルス信号の所定周期は、400ミリ秒となる。
なお、リール制御手段113は、第1の励磁相パターンで通常停止させた後に当該リールの回転を開始するときには、図32(a)に例示されるように、回転開始の直前に当該リールについての位相カウンタ116に対し、一定のルールに基づいて補正処理を行う。
1−2相励磁方式で出力される駆動パルス信号は、上述したようにφ0、φ0・φ1、φ1、φ1・φ2、φ2、φ2・φ3、φ3およびφ3・φ0の8つのステップを経て励磁相が変化し、これを1サイクルとして繰り返される。リールが回転駆動される間、励磁相が1ステップ変化するごとに位相カウンタ116の値が更新される。
第1の励磁相パターンでリールを通常停止したときには、慣性力によりリールが停止するまでにステッピングモータ内部のロータが非制御の状態で数ステップ進む。このため、制動直前に保持された位相カウンタ116が示す励磁相(これを「直前相」という。)と、実際にリールが停止した後の位置での励磁相とは通常、誤差が生じている。そのため、位相カウンタ116の直前相の値をそのまま継続してステッピングモータの回転を開始させると、スムーズに回転が開始されなかったり、急加速や脱調などを引き起こすおそれがある。
このような回転開始時の不都合を回避するために、第1の励磁相パターンで通常停止した後のリールの回転開始時に位相カウンタ116の補正を行っている。図32(a)の例では、直前相の位相カウンタ116の値が「2」(φ0・φ1)であり、これを−1した「1」(φ0)を回転開始時の位相カウンタ116の値に補正している。これにより、ステッピングモータが励磁相φ0から円滑に回転開始することとなる。
他方、リール制御手段113は、第2の励磁相パターンで擬似停止させた、擬似遊技演出直後のリールの回転開始時には、当該リールについての位相カウンタ116に対し補正処理を行なわない。つまり、第2の励磁相パターンで擬似停止させた後では、図32(b)に例示されるように、既に位相カウンタ116が示す励磁相どおりにテッピングモータが励磁された状態にあるので、当該リールの回転開始時に位相カウンタ116の補正を敢えてする必要ないためである。
なお、第1〜第4実施例で参照されるフローチャートには図示していないが、第1〜第4実施例のいずれの場合においても、擬似遊技演出が終了後の通常の遊技でリール40L、40C、40Rを加速する前に、次のようなランダム加速制御が実行されることが好ましい。
一例としては、図33に示すように、擬似遊技演出の揺れ変動中にスタートレバー55への回転開始操作がされた後、各リール40L、40C、40Rにつきそれぞれランダムな時間t1、t2、t3揺れ変動を継続した後に、時間差を設けて各リールの回転を開始してもよい。つまり、ランダムな時間だけリールの回転開始が待機する。
また他の例としては、図34に示すように、擬似遊技演出の揺れ変動中にスタートレバー55への回転開始操作がされた後、ランダムな時間t11経過した後に左リール40Lの回転を開始し、左リールが定速になってからランダムな時間t12経過した後に中リール40Cの回転を開始し、中リールが定速になってからランダムな時間t13経過した後に右リール40Rの回転を開始するような制御でもよい。
さらに他の例としては、図35に示すように、擬似遊技演出の揺れ変動中にスタートレバー55への回転開始操作がされた後、リール40L、40C、40Rを同時に回転し、各リールにつきそれぞれの図柄を前回遊技の停止図柄(出目)に揃えてから再び一斉に回転を開始するような制御でもよい。
擬似遊技演出が終了後にこのようなランダム加速制御をすることで、擬似遊技演出の結果が次の遊技の目押しのアシストとならないようにすることができる。
上述の実施例では、擬似遊技決定手段109が決定する「0」〜「5」の擬似遊技番号のうち、擬似遊技演出が実行される擬似遊技番号を「1」〜「5」としたが、その一部の結果のときに擬似遊技演出の抽選をしてもよいし、他の図柄の組合せ結果を含め抽選を行ってもよい。また、説明した実施例はあくまで例示であり、発明の実施にあたり、たとえば図に例示された図柄組合せや対応する図柄制御番号の一部を採用しなくてもよいことは、いうまでもない。