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JP2015007769A - 分光顕微鏡装置 - Google Patents

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JP2015007769A JP2014110602A JP2014110602A JP2015007769A JP 2015007769 A JP2015007769 A JP 2015007769A JP 2014110602 A JP2014110602 A JP 2014110602A JP 2014110602 A JP2014110602 A JP 2014110602A JP 2015007769 A JP2015007769 A JP 2015007769A
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Abstract

【課題】 所望の観察領域を探すときなど、観察領域を移動しながら観察する際に、領域移動に追従性よく迅速に解析結果を表示することが可能となる分光顕微鏡装置を提供する。
【解決手段】 出力波長が制御可能な光源と、光源から出力された光が照射される観察領域を有する顕微鏡部と、観察領域からの光を分光データとして検出する信号検出部と、を備える分光検出手段と、
観察領域を移動させる移動手段と、
を有する分光顕微鏡装置であって、
分光検出手段と移動手段とを連動可能に制御する制御部を備え、
移動手段により観察領域を移動させて計測する該観察領域の移動時と、観察領域を固定して計測する該観察領域の移動停止時とで、異なる計測条件に切り替えられるように制御されるように構成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、測定対象物の分光スペクトル画像を計測する分光顕微鏡装置に関するものである。
近年、非線形光学現象を利用した分光顕微鏡が開発されており、生体内の物質分布を観察する手段としての応用が期待されている。これらの顕微鏡には、和収差発生、多光子吸収など様々な非線形光学現象が利用される。
また、分子の振動情報を取得する非線形ラマン分光顕微鏡が開発されている。
非線形ラマン散乱では、二波長のレーザー光を合焦して、レーザー光の周波数差が試料の分子振動の周波数と一致するとき、集光点において特異的に散乱が生じる現象を利用する。
これらの顕微鏡は、いずれもレーザー光等の極めて強い光を試料上に集光し、試料上の計測点を移動させながら散乱光を検出する、走査型光学顕微鏡である。
また、光の波長を変化させることにより分光スペクトルの空間分布を得る、分光顕微鏡とすることができる。
非線形ラマン分光顕微鏡として、コヒーレント反ストークスラマン散乱顕微鏡が知られているが、他の例として、非特許文献1には、高速に波長掃引しながら、ラマン散乱スペクトルの空間分布を高速に取得できる誘導ラマン分光顕微鏡が開示されている。
これら技術によれば、自発ラマン散乱技術を用いる場合に比べて格段に強い信号が得られるので、高速分光画像取得に有効である。
更に、非特許文献1では、ラマン散乱スペクトルに対して主成分分析等の多変量解析を行い、構成成分を区別する手法が示されている。これらの技術を用いれば、例えば無染色の生体組織に対して、構成する物質或いは細胞組織毎の情報を分離して表示することが可能である。
特開2011−196853号公報
Nature Photonics 6,845−851,2012
上記した従来の分光顕微鏡装置においては、つぎのような課題を有している。すなわち、精密なスペクトル分布を取得するためには、空間上の多数の計測点について、計測波数を多数変えてデータを取得する必要があり、計測に多大な時間を要していた。
また、取得したデータに対して更に主成分分析等の多変量解析を行う場合、計測波数が多いと、計測に加えて解析にも多くの時間が必要となっていた。
そのため、所望の観察領域を探すときなど、観察領域を移動しながら観察する際に、領域移動に追従性よく迅速に解析結果を表示することが困難であるという課題があった。
本発明は、上記課題に鑑み、所望の観察領域を探すときなど、観察領域を移動しながら観察する際に、領域移動に追従性よく迅速に解析結果を表示することが可能となる分光顕微鏡装置の提供を目的とする。
本発明の分光顕微鏡装置は、出力波長が制御可能な光源と、前記光源から出力された光が照射される観察領域を有する顕微鏡部と、前記観察領域からの光を分光データとして検出する信号検出部と、を備える分光検出手段と、
前記観察領域を移動させる移動手段と、
を有する分光顕微鏡装置であって、
前記分光検出手段と前記移動手段とを連動可能に制御する制御部を備え、
前記移動手段により前記観察領域を移動させて計測する該観察領域の移動時と、前記観察領域を固定して計測する該観察領域の移動停止時とで、異なる計測条件に切り替えられるように制御されることを特徴とする。
本発明によれば、観察領域を移動しながら観察するときに、領域移動に追従性よく迅速に解析結果を表示することが可能となる分光顕微鏡装置を実現することができる。
本発明の第1の実施形態における分光顕微鏡装置の構成例を説明する模式図。 本発明の第1の実施形態における観察領域の移動時と停止時における計測条件の切り替えの関係を表す模式図。 本発明の第1の実施形態における計測条件を、計測波数の数で切り替え可能とした構成例を説明する図であり、(a)は観察領域の移動時、(b)は観察領域の停止時における計測条件の切り替えの関係を表す模式図。 本発明の第2の実施形態における誘導ラマン分光顕微鏡の構成例について説明する図であり、(a)は本発明の第2の実施形態に係る機能の概要を示すための模式図、(b)は顕微鏡部をより詳細に示す模式図。 本発明の第4の実施形態におけるCH伸縮、あるいは指紋領域等に、波数領域を変える構成例について説明する模式図。 本発明の第5の実施形態における観察領域を二次元平面(XY方向)で移動させる構成例について説明する模式図。 本発明の第9の実施形態のおける観察領域の移動及びプレビュー表示と固定観察領域の指定における計測測条件切り替えの関係を表わす模式図。
つぎに、本発明の分光顕微鏡装置におけるいくつかの実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態の構成によって何ら限定されるものではない。
(第1の実施形態)
第1の実施の形態として、本発明を適用した分光顕微鏡装置の構成例を、図1を用いて説明する。
本実施形態の分光顕微鏡装置は、図1に示すように、分光検出手段1、移動制御部(移動手段)2、制御PC6、出力表示部7、観察領域指示機構8を備える。分光検出手段1は、光源3と、顕微鏡部4、信号検出部5から構成される。
光源3は、レーザー光源等であって、これらの光源には波長可変或いは波長選択が可能に構成された光源〔出力波長が制御可能な光源〕、等が含まれる。
また、光源の種類は限定されず、ミリ波領域からX線領域の光源から選択することができる。
制御PC6は、計測波数情報と、試料上の計測位置情報を出力する。
光源は予め選択された波長の光を出力する。
また、顕微鏡部4に接続された移動制御部2は、制御PC6からの計測位置情報を受けて、顕微鏡部4内に設置された試料位置を移動させる。
光源3から顕微鏡部4内に導入された光は、試料上を走査して照射される。試料から出射した光は、信号検出部5で検出される。
制御PC6は、位置情報、波長情報、及び信号検出部5からの信号を統合したデータを生成し、記憶する。
更に、光源の波長を変化させて計測すれば、分光スペクトルの空間分布を取得することもできる。
制御PC6には、スペクトルデータ(分光データ)を解析し、解析結果を出力表示部7に出力する信号解析手段が構成されている。
この時、表示される解析結果は、ある波数についての信号強度分布を空間的にマッピングした分光画像である。或いは、例えば測定試料を構成する成分毎に色分け表示しても良い。
スペクトルの解析手法としては、一般的なピーク検出等を用いることができるが、これに限定されるものではない。また、計測・解析の高速化を図るために、データ解析を含めて、処理の一部をFPGA(Field Programmable Gate Array)、或いは、ASIC( Application Specific Integrated Circuit )等により、制御PC6上で行われるようにしても良い。
ここで、光源の数、光源の波長、検出光の波長を適宜選択すれば、多光子吸収信号、和周波発生信号、差周波発生信号、誘導ラマン散乱信号、コヒーレント反ストークスラマン散乱信号、など非線形光学現象による信号を選択して検出することが可能である。
一つの光源を用いる場合として、二光子吸収や二次高調波発生、などが挙げられる。
また、波長の異なる2つの光源を用いる場合として、和周波発生、差周波発生、二波長型の多光子吸収、誘導ラマン散乱、コヒーレント反ストークスラマン散乱、などが挙げられる。
なお、分光スペクトルは、しばしば波数に対する信号値で表わされる。
波数の定義は計測法によって多少異なるが、光源が一つである分光法では計測波長の逆数であり、非線形ラマン散乱分光等、二種類の光源を用いる場合は、計測波数は2つの光源の波長の逆数の差、或いは和であらわされる。
後者の場合、1つの波数に対して、2つの光源の波長の組み合わせは複数取り得るが、計測波数を変化させる場合、光源の波長を適宜変化或いは選択することになる。但し、一方の光源の波長を固定したときは、波数の変化は、もう一方の光源の波長の変化のみに対応する。
上記した分光顕微鏡を操作する際、作業者は観察領域指示機構8を作動させて、移動制御部2を駆動して、試料上の観察領域を移動させる。
ここで、観察領域とは、光が照射される領域であって、試料表面に概ね水平方向に指定された領域を指す。
観察領域指示機構8としては、マウス、キーボード等の入力デバイスを流用することができるが、ジョイスティックやトラックボール等を備えた専用デバイスであっても良い。
観察領域では、光を試料表面上でスキャンさせるなどして、二次元的に分光信号を取得する。
観察領域の移動は、ステージ移動、光走査領域の移動、或いはこれらを組合せた方式を適宜用いることが出来るが、移動手段は特に限定されるものではない。
全観察領域は、主に観察領域を移動させるために用いる機構の可働範囲で規定される。
本実施形態における分光顕微鏡装置は、制御PC6によって前記分光検出手段と前記移動手段とが連動可能に制御されるように構成されている。
すなわち、観察領域の移動時と停止時で、前記移動制御部2と連動して、分光計測の計測条件を切り替えることが可能に構成されている。
図2は、観察領域の移動時と停止時における計測条件の切り替えの関係を表す模式図である。
すなわち、観察領域の移動時の領域1では計測条件1で計測を行い、観察領域の固定時の領域2では、計測条件2に切り替える。
また、本実施形態の分光顕微鏡装置は、観察領域の移動と固定の状態を検知し、計測条件が自動的に切り替えられるように構成してもよい。
切り替える計測条件を、計測波数の選択数を切り替え可能とした構成例を、図3を用いて説明する。
図3は、ある計測点において計測される分光スペクトルの模式図である。ここで、κ(n)はn番目に設定される計測波数値を示す。
[1]観察領域の移動時:波数の選択数は少ない値に設定される(図3(a))。但し、計測データに対して下記で示す多変量解析を行う場合は、少なくとも2波数とする。
なお、設定した観察条件での測定が完了するまでの間は、観察領域の移動は停止する。
すなわち、ステップ的な移動動作を繰り返す。また、解析結果を、成分分布として、色分けなどして識別表示しても良い。
[2]観察領域の固定時(あるいは移動停止時):波数の選択数を移動時の設定数よりも大きい値に設定する(図3(b))。
計測波数を多く設定することで、より詳細なスペクトルが得られる。このとき、計測・解析時間はかかるものの、観察領域は固定されているので、移動に対する追従性が問題になることは無い。
観察領域の移動時、或いは固定時について、計測する波数の選択数、及び波数値は、予め設定しておく。
このとき、計測可能な全波数範囲を指定しておき、その範囲内で設定された計測波数の選択数によって等間隔で割り振るようにしても良い。
あるいは、特定の波数を定めて、不等間隔に波数を設定しても良い。この場合、既知の物質のスペクトル情報を用いて波数を選択しても良い。
或いは、観察領域の移動時の計測結果あるいは解析結果に基いて、観察領域の固定時についての計測波数の選択数、及び波数値を決定しても良い。
計測波数の数が少ないとスペクトル分解能が低下するので、物質の同定能は低下するものの、異種の物質を区別することは依然として可能である。
従って、観察領域を移動しながら詳細観察領域を探す場合などの目的には十分な情報が得られる。
特に、2波数、或いは数個の波数での計測であれば、計測・解析共に短時間で済むので移動に追従してほぼリアルタイム表示が可能である。
従って、詳細観察を行うべき領域を探索するための表示遅延のないプレビュー画像として利用することができる。
一方、計測波数を増やした場合は、計測波数の数に応じて計測・解析時間が増大するため、移動に対する結果表示の追従性は低下するものの、より詳細な識別表示が可能である。波数の選択数は、計測・解析時間を考慮して、作業者が適宜設定すればよい。
観察領域の固定時では、例えば、観察領域を移動した後に、移動を停止して測定する場面が考えられる。
このとき、計測波数の選択数が多ければ、計測・解析に時間を要するものの、領域が固定されているため、観察領域に対する追従性が問題になることは無い。
信号の弱い場合は、S/Nを向上させるために、同じ計測波数に対して複数回の計測を行い、出力信号を積算することが有効である。
そこで、計測波数の選択数を固定し、積算回数を変化させても良い。また、波数の選択数と、積算回数をそれぞれ変化させるようにしても良い。
観察領域の移動時及び固定時における積算数は予め設定しておいても良く、観察領域の移動時の計測結果あるいは解析結果に基いて観察領域の固定時の積算数を決定するようにしても良い。
領域移動時のプレビュー画面では、移動に対する追従性が求められるため、積算回数は多くできないが、領域固定時には、追従性は問題とならないので、物質の同定精度の向上を優先させるために積算回数を多く設定することができる。
以上、本実施形態によると、観察領域を移動させながら、領域の移動への追従性良く迅速に計測結果を画像表示することができるので、所望の詳細観察するための領域を探索することが容易になる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態として、本発明を適用して誘導ラマン分光顕微鏡を構成した構成例について、図4を用いて説明する。
図4(a)は本実施形態に係る機能の概要を示すための模式図である。また、図4(b)は顕微鏡部をより詳細に示す模式図である。
なお、本発明の分光顕微鏡は、上記誘導ラマン分光顕微鏡が構成できるだけでなく、光学フィルターを入射光が除外できるものに変更すれば、コヒーレント反ストークスラマン分光顕微鏡も容易に構成することができる。更に、光学フィルターを適宜に選択すれば、多光子吸収分光顕微鏡や、和周波発生分光顕微鏡など様々なタイプの顕微鏡とすることも可能である。
光源3は、第一の光源31と第二の光源32の二種類の光源からなり、信号検出部5は、光検出器51、検波器52から構成される。
第一の光源31、及び第二の光源32は、それぞれ出力波長の異なるレーザー光源であり、出力された光はパルス列を形成している。
これらの光パルス列は、パルス幅が典型的にはピコ秒からフェムト秒オーダーの超短パルスである。第二の光源の光強度は一定であるのに対して、第一の光源の光強度は周波数fで変調されている。制御PC6は、計測波数を変化させるため、第一の光源31、及び第二の光源32の出力波長を制御する。
上記第一の光源31としては、例えば、中心波長1000nm程度のファイバーレーザーなどの広帯域光源を用いる。第二の光源32としては、例えば、光強度の安定性に優れた、中心波長800nm程度のチタンサファイアレーザー等の固定光源を用いる。光源3は出力周波数の可変機構を内蔵する。
或いは、複数の中心波長の異なる光源を切り替えて用いれば、容易に計測波数域の拡大が行える。
顕微鏡部4の詳細を、図4(b)の模式図を用いて説明する。
光照射用の第一の対物レンズ42と、集光用の第二の対物レンズ43が対向して設置される。これらの対物レンズには近赤外光透過仕様のものを用いる。
これら対向する対物レンズの間に試料台41が設置される。試料は、プレパラート等に載置され、試料台41に固定される。試料台41は移動ステージ21に固定される。
移動ステージ21は、試料台41を対物レンズ42、43の間で光軸方向に移動させるZ移動機能と、Z方向と垂直な方向、即ち試料表面の面内方向に試料を移動させるXY移動機能を有し、観察領域の移動に用いる。
これらの2つの光源からの光は同軸上に合波されて顕微鏡本体の光学系に導入される。
第一の光源31、及び第二の光源32からの光は、ミラー45及びハーフミラー44等によって同一光軸上で合波されて、光スキャナー22に導かれる。光スキャナー22は、PCで制御され、光の軌道をXY走査させるために用い、例えば、ガルバノスキャナー、ポリゴンミラー、光MEMSミラー等を用いることができるが、特にこれらに限定されものではない。
光スキャナー22を出た光は、第一の対物レンズ42によって試料上に集光される。制御PC6は、位置指定情報を移動制御部2に出力し、移動制御部2は移動ステージ21、及び光スキャナー22を制御して、試料上の任意の位置にレーザー光を照射させる。
観察領域の移動は、ステージ移動、レーザーの走査領域の移動、或いはこれらを組合せた方式を適宜用いることが出来るが、移動手段は特に限定されるものではない。
移動用のステージとしては、ネジ送り式やラック&ピニオン式のものを用いても良いが、精密移動制御を行う上ではステッピングモータ、超音波モータ、ピエゾ素子等のアクチュエータを備えたものが好ましく用いられる。
また、レーザーの照射位置の移動のみによって観察領域内での走査と観察領域の移動の両方を行ってもよい。例えば、光スキャナーの駆動信号として、領域内観察用の変位量の小さい走査用信号と、領域移動のための信号とを重畳した信号を入力する。或いは、光スキャナーと対物レンズの間に挿入したミラーの角度を変化させることで、レーザー照射位置を移動させて、観察領域の移動を行っても良い。
更に、1mm程度或いはそれ以上の広いレーザー走査範囲に対応する近赤外透過仕様の対物レンズを含めた広画角の光学系を用いれば、より広い領域の移動をレーザー走査のみで行うことが可能である。
焦点部において、誘導ラマン散乱現象を生じ、散乱の程度に応じてレーザー光が強度変調を受ける。
なお、誘導ラマン散乱現象は、二つの光源からの光の周波数の差が、試料内の分子振動の周波数と一致するときに発生する。
試料を透過したレーザー光は、光学フィルター46によって一方の波長のレーザー光のみ分離され、フォトダイオード等で構成される光検出器51で検出され、光強度が電圧に変換されて出力される。
光検出器51からの信号は、検波器52に送られ、第一の光源31の変調信号(周波数f)を参照信号として同期検波することによって、変調成分がラマン信号(非線形ラマン散乱信号)として出力される。
出力されたラマン信号は、制御PC6の入力ポートに入力される。制御PC6は、位置情報、光波長情報、及び、信号検出部からの入力信号を統合したデータを生成し、記憶する。位置、及び、波数をスキャンさせてラマン信号を得ることによって、ラマンスペクトルの空間分布を取得する。
光スキャナー22に、高速に光走査ができるレゾナントガルバノスキャナー(共振周波数が8kHz程度)を用いれば、画像1フレーム当りの走査線数を500ライン程度としたとき、約30フレーム/秒のビデオレート計測が可能である。
本実施形態における誘導ラマン分光顕微鏡装置は、観察領域の移動時と停止時で、前記移動制御部2と連動して、分光計測の計測条件を切り替える機能を有する。この機能に関しては、第1の実施の形態と同様の動作を行うものであり、説明は省略する。
以上、本実施形態によると、誘導ラマン分光顕微鏡等をはじめとする、二つの光源を用いる非線形光学現象を利用した分光顕微鏡においても、観察領域を移動させながら、領域の移動への追従性良く迅速に計測結果を画像表示することができるようになる。従って、所望の詳細観察するための領域を探索することが容易になる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態として、スペクトル解析に多変量解析を用いた場合の構成例について説明する。
上記実施形態において得られた多次元の成分から成る分光スペクトルデータの解析には、主成分分析、独立成分分析、重回帰分析、或いは、判別分析などの多変量解析などを用いることができる。
多変量解析を用いれば、スペクトルが複数の信号源に由来する複雑な多重スペクトルであっても、信号源を分離して抽出することが可能である。
主成分分析は、多変量のデータから新たな分類指標を得る手法であり、独立成分分析は、信号を独立にするような変換を求めることによって、観測信号のみを用いて独立な信号源を復元する手法である。また、重回帰分析は、スペクトル成分と信号源との関係を求め、信号源を推定する手法であり、判別分析は、スペクトルデータ等の対象の特性から、その対象がどの群に属するかを判別する手法である。
主成分分析を例にとると、データの次元nと同じ数だけ直交基底ベクトルを求め、それらを分散の大きなものから順に第一主成分から第n主成分を定義する。解析対象の特性をよく表すものとして、上位の主成分が用いられることが多い。
主成分分析等では、得られた信号の次元と同数の基底ベクトルを求める必要があり、信号データの次元、即ち測定した波数の数の増大に伴って演算量が著しく増大するという問題がある。そのため、解析時間の短縮に関しても、測定波数の数を減らすことが有効である。
そこで、本実施形態においては、観察領域の移動時には、計測波数の数を極力少なく設定することで、計測と解析にかかる時間を短縮し、領域移動についての追従性よく解析結果を表示できるようにする。
一方、観察領域の固定時には、計測波数の選択数を多く設定して詳細な分光計測及び解析が行えるようにする。
例えば、非特許文献1の手法を用いれば、約30フレーム/秒のビデオレート計測が可能であり、波数を1フレーム毎に変化させることも可能である。
当該手法を用いた時には、数波数程度であれば主成分分析等の多変量解析に要する時間も少なくて済むため、移動に追従してほぼリアルタイムに表示することができる。
計測波数を増やした場合は、移動に対する結果表示の追従性は低下するが、より詳細な色分け表示が可能である。少なくとも2つの波数で得た情報があれば多変量解析の実行は可能であり、波数の選択数は、計測・解析時間を考慮して、作業者が適宜設定すればよい。
一方、観察領域の固定時では、計測波数の選択数が多ければ、計測・解析に時間を要するものの、領域が固定されているため、観察領域に対する追従性が問題になることは無い。
本実施形態の分光顕微鏡装置によれば、計測波数の選択数が100程度であれば、数秒以内で計測・解析結果を表示することが可能である。
上記説明では、観察領域の移動時に計測波数を少なく設定する例を示したが、計測を行った波数のうち一部の波数のみ解析に利用すれば、解析にかかる時間を短縮することで更に処理時間を短縮することもできる。
このとき、解析に用いる波数の選択数及び波数値は、予め、等間隔で波数を選択しても良く、不等間隔に特定の波数を設定しても良い。後者の場合、既知の物質のスペクトル情報を用いて選択する波数を決めても良い。
以上、本実施形態によると、観察領域を移動するときに、構成成分の空間分布を色分け表示などにより画像表示が、領域移動に対して追従性良く迅速に行えるので、詳細観察するための所望の領域を探索することが容易になる。
(第4の実施形態)
第4の実施形態として、観察領域の移動時と固定時で、計測を行う波数を変える構成例について説明する。
本実施形態においては、観察領域の移動時と固定時で、計測する波数を変えるように設定する。
このとき、例えば、観察領域の移動時には、強い信号の得られる波数を適宜選択して領域を迅速に概観し、観察領域の固定時には、所望の特定の物質に由来する波数を選択するように設定する。
或いは、生体組織を対象にした観察であれば、観察領域の移動時には細胞輪郭を描出するのに適した波数を選択し、観察領域の固定時には細胞内部の構造を描出するのに適した波数を選択する、といった波数の切り替えを行うこともできる。
上記は、一例であって、設定波数は目的によって適宜選択される。
更に、CH伸縮振動領域、あるいは指紋領域等に、波数領域を変える構成例について、図5を用いて説明する。
本実施形態おいては、観察領域の移動時と固定時で、計測を行う波数を変化させるときに、波数を選択する波数領域を変化させる。具体的には、図5に示すように、生体組織に関するラマンスペクトルでは、主には指紋領域[650〜1500cm−1]付近、或いは、伸縮振動領域[1500〜4000cm−1]付近の波数領域が知られている。
指紋領域は、物質固有のスペクトルが仔細に現れる領域であり物質の同定に有用である。伸縮振動領域は、伸縮振動のみを反映したスペクトルであり比較的単純なプロファイルをしている。
特に生体組織では、脂質、タンパク質等が主要構成成分であるという背景のため、ラマンスペクトルは、[2800〜3000cm−1]付近にCH伸縮振動に由来する強いピークを形成する。
この波数領域における信号は、構造の微細な違いに由来する信号が重なっているため、スペクトルはブロードであり、物質同定に用いるのは不利であるが、細胞の形態や分布を概観する目的等には有用である。強い信号が得られるため、信号の積算は少なくて済む。
一方、指紋領域の信号は、物質同定に有利であって、特定の物質の分布を詳細に描出する目的等に有用である。ただし、生体組織においては信号強度が弱く、多くの信号積算が必要な場合がある。
波数領域設定例を、図5中、領域1〜3で示す。
領域1は、指紋領域の一部の領域を選択した例である。また、領域2は、CH伸縮領域を選択した例である。また、領域3は、OH伸縮振動領域を選択した例である。
本実施形態では、例えば、観察領域の移動時には、信号の強い領域2のから計測波数を選択し、観察領域の固定時には、物質同定に優れた領域1から計測波数を選択するように設定する。
このとき、観察領域の移動時に選択される波数は複数であってよく、積算を行っても良い。
但し、迅速な計測の観点から、選択波数は少なくし、信号が強いので積算数を少なくすることが好ましい。
観察領域の固定時には、同定精度向上の観点から、計測波数は多数選択し、信号が弱いので複数回の積算をすることが好ましい。
(第5の実施形態)
第5の実施形態として、観察条件を2次元平面(XY方向)で多段階で自動的に切り替える構成例について、図6を用いて説明する。
上記において説明した各実施形態の顕微鏡装置では、観察領域の移動時と固定時で計測条件を切り替えるように構成されていたが、本実施形態における顕微鏡装置は、前記移動制御部2からの移動の指示速度に応じて、多段階で自動的に計測条件を切り替えるように構成される。
移動速度に応じた計測条件の切り替えの様子を、図6に模式的に示す。
すなわち、移動速度に応じて、計測条件を下記のように条件1〜3の間で切り替える。
ここでは、3段階で示したが、より細かく多段階に、或いは、無段階に条件を設定しても良い。
切り替える計測条件として計測波数の選択数とした場合は、高速移動指示時は、計測波数の選択数を少なく設定し(計測条件1)、低速移動指示時は計測波数の選択数を増大させ(計測条件3)、停止時は計測波数の選択数を更に多く設定する(計測条件2)。
以下、誘導ラマン分光顕微鏡の場合の設定例を示す。
ここでは、XY平面上の観察領域の移動とする。なお、同様の考え方は適宜Z方向の移動にも適用できる。最大のフレームレートをm−F−Rate[flame/sec]とし、移動量(移動ステップ量、或いは、表示ずらし量をフレーム単位で示す)をD[frame]、移動制御デバイスで指示する移動速度を、S[frame/sec]とする。また、一波数当りの積算数をMとする。計測波数の数Nは、次のように決定される。
但し、小数点以下は切り捨てる。
「N=[m−F−Rate×D/S/M]」
但し、以下の条件に従う場合は、N=1に固定される。
「S≧m−F−Rate×D/M」
また、構成成分の色分け表示を行う場合はN≧2に設定される必要がある。但し、次の条件ではN=2に固定される。
「S≧m−F−Rate×D/M/2」
更に、計測波数の選択数をN_maxに制限した場合を説明する。
「N_max≦[m−F−Rate×D/S/M]」
の条件の範囲では、次の式に従って、自動的に移動量Dを変化させても良い。
「D=N_max×S×M/m−F−Rate」
なお、典型的には、m−R−Rate=1〜30、D=1/100〜10、S=0〜10、N_max=1〜100程度の値が設定される。
位置制御用手段がマウスであって、ドラッグ操作で移動が指示された場合、ドラッグする速度に概ね比例するように観察領域の移動速度を設定させるようにすることができる。
以上のように、移動指示速度に応じて、計測条件を自動的に変えることによって、観察領域の移動に対する追従性を損なうことなく、2次元領域でのスペクトル計測を行うことが可能となる。
(第6の実施形態)
第6の実施形態として、観察領域を1次元方向(ライン方向)あるいは3次元空間で移動させる構成例について説明する。
上記第5の実施形態では、観察領域を2次元平面(XY方向)で移動させる構成例について説明したが、観察領域の移動はZ方向にも拡張し、3次元空間にも適用することができる。
このとき、位置制御用デバイスは、観察領域をXY方向に移動させるだけではなく、Z方向の移動を指示する機能を備えればよい。或いは、観察領域を1次元、即ちライン状とした場合にも同様に適用できる。
以下に、観察領域を1次元方向とし、スペクトル情報を取得するために変化させる計測波数の数を、ライン移動の状態によって自動的に切り替える場合について説明する。
[1]観察ライン移動時:計測波数の数を少ない値に設定する。
但し、少なくとも2波数とする。なお、設定した観察条件での測定が完了するまでの間は、移動ステージの移動は停止する。すなわち、ライン毎にステップ的に移動動作を繰り返すことが好ましい。
[2]観察ライン固定時(あるいは移動停止時):計測波数の数を移動時の設定数よりも大きい値に設定する。このとき、計測波数を観察ライン移動時よりも多く設定することで、より詳細なスペクトルが得られる。
以上で説明したように、本発明は、1次元乃至3次元の観察領域のうちのいずれかの観察領域で適用可能である。
(第7の実施形態)
第7の実施形態として、生物などの動く測定対象の追跡を可能とする観察領域の指定方法の構成例について説明する。
モニター画面上には、初期の観察領域についての観察結果が表示されているものとする。観察領域は、例えば四角形で囲まれた領域である。観察領域表示の中央部には観察領域の位置情報を代表するものとしてカーソルが表示される。
作業者は、観察領域指示機構を操作して、カーソルの表示位置を動かす。カーソルを止めた位置が、新たに観察領域の中心位置に設定される。例えば、観察対象が移動したとき、移動後の観察対象が観察領域に含まれるようにカーソルを移動する。
観察領域の指定方法の他の一例を説明する。モニター画面上には、初期の観察領域についての観察結果が表示されているものとする。
作業者は、位置制御デバイスを操作して、カーソルの表示位置を動かす。カーソル位置は、予め設定した時間間隔(例えば0.2秒)で位置を確定して、位置設定する。
該設定位置情報は移動ステージに送られて、ステージ移動させて、新たな設定位置を中心とする観察領域においてスペクトル計測が行われる。
なお、観察領域内の一連のスペクトル計測、及び、データ解析が完了してから、次の観察領域に移動する必要があるため、位置を確定するための時間間隔は、これら計測・解析に必要な時間よりも長い時間に設定される。
以上の手段によれば、例えば、生物など動く対象を追跡しながら、刻々と計測することができる。制御PC6に、一般的な画像認識技術を実行可能な画像処理部を備えれば、細胞輪郭形状、細胞核形状などを認識して、これらの形状を基準点として自動的に観察対象を追跡する構成とすることも可能である。
(第8の実施形態)
第8の実施形態として、観察領域の移動時と固定時で、解析方法(解析条件)を切り替える構成例について説明する。
例えば、観察領域の移動時には、測定波数を複数とし、各波数における信号の強度を比較する、或いは、複数の計測波数間における信号の強度比を比較する等の単純な解析を行い、構成成分を簡便に分離する。
この方法を用いれば、多変量解析等を行う場合に比べて、解析時間が短いという利点があり、移動時に解析結果を迅速に表示するのには都合が良い。
一方、観察領域の固定時には、より精細なスペクトル解析を行うために、測定波数を移動時よりも多く設定し、多変量解析を適用する。多変量解析としては、主成分分析、独立成分分析、重回帰分析、因子分析、クラスター分析、或いは、判別分析など種々の解析法を選択することができる。
これらの解析結果を、構成成分の違いとして色分け表示する。多変量解析は、スペクトルの計測点が多いと解析に長時間を要する場合があるが、観察領域の固定時には追従性の点で問題にはならない。
また、観察領域の移動時と固定時で、多変量解析の手法を切り変える構成としても良い。例えば、観察領域の移動時には比較的計算の少ない主成分分析を行い、観察領域の固定時には時間を要する独立成分分析を行う構成とすることができる。
また、観察領域の移動時、或いは固定時において、複数の多変量解析手法を組み合わせて解析を行っても良い。特に、固定時には、例えば、主成分分析と独立成分分析を組合せた分析を行うことで、より物質の同定能を高めることが期待できる。
また、観察領域の移動時に取得したデータ、或いは、そのデータの解析結果を、観察領域の固定時の解析に利用しても良い。特に多変量解析等を行う場合には、固定時の解析に要する時間の短縮に有効である。
また、観察領域の移動時に粗い計測波数で取得したデータを順次集積して多数の計測波数のデータとしてまとめて解析しても良い。更に、その集積データに対する解析結果を用いて、新たに移動時に取得した観察領域を解析すれば、解析にかかる時間の増大を抑制しつつ、試料を構成する成分の分離精度を高めることができる。
例えば主成分分析や独立成分分析を行う場合、新たな観察領域で取得したデータに対して、それ以前に取得された集積データの解析で得られた基底ベクトルを用いてスコア値を求めれば、解析にかかる時間を短縮することができる。その際、基底ベクトルの導出は、データの取得と平行して行うと効率的である。
なお、観察領域の移動時と固定時のそれぞれで採用し得る解析手法は、多数の選択肢が可能であり、適宜同種或いは異種の多変量解析手法から選択できる。そして、上記に限定されるものではない。
(第9の実施形態)
本実施形態として、狭領域を移動させながら観察して広域のプレビュー表示を行えるようにした構成について図7を用いて説明する。
対物レンズを固定した場合、観察可能な最大エリアは制限される。通常、信号を発生させるために、高い集光性を有する高NAの対物レンズを使用するが、高い空間分解能が得られる半面、計測領域は狭い。市販の倍率×60、NA1.2の水浸対物レンズを用いた場合の有効な計測エリアは約100μm□程度に制限される。数mm□に渡る広領域をプレビューするためには、多数の狭領域の結合画像を形成する必要がある。
そこで、観察者にとってストレスのないプレビュー表示と詳細観察を両立させるために以下の測定を行う機能を設ける。
(1)プレビュー計測時: 隣接或いは離散した狭領域を順次移動しながら観察し、多数の観察領域について、それらの試料上の位置に対応するように配置した、すなわち試料上の観察位置関係を保持するように並べた広領域の結合画像を形成する。当該狭領域は、二次元、或いは三次元領域であって、領域の移動はステージ駆動によって行う。
このとき、計測波数の数を少なく設定することで、広領域を短時間で計測を行うことができる。
観察エリアは、予め設定しても良いが、観察者がマウス等の操作でなぞった軌跡に沿って狭領域を次々に指定するようにしても良い。
観察結果の表示は、狭領域の観察毎に順次並べて画像表示しても良いが、広領域の観察が完了してから結合画像を一度に表示するようにしても良い。
解析については、狭領域毎に行って結果を画像表示しても良く、広域の測定を終えてから広域のデータをまとめて解析してから結果を画像表示しても良い。
解析には多変量解析等を用いて、大雑把に物質分布を区別して色分け等の表示をしても良い。
(2)本計測時: 広領域のプレビュー画像から一つの狭領域を観察位置として選択するか、或いは広い領域上のプレビュー画像上の固定領域を新たに設定して、これを観察位置として当該狭領域についてプレビュー計測時とは異なった計測条件において詳細計測を行う。
本計測時は、計測波数をプレビュー計測時よりも多く設定して、詳細なスペクトル分布計測を行う。
このとき、多変量解析等を用いて詳細なスペクトル解析を行えば、詳細に物質分布を区別して色分等の表示を行うことができる。
本実施形態によれば、所望の観察領域を探すときなど、迅速に広域をプレビュー表示することが可能となる分光顕微鏡装置を実現することができる。
(第10の実施形態)
本実施形態においては、観察領域の移動時と移動停止時において、計測条件として計測波数に加えて計測点数を切り替える機能を有する。一つの計測点に対して、複数の計測波数が設定されても良いし、一つの設定波数に対して複数の計測点が設定されても良い。
少数の計測点であれば顕著に計測時間を減らすことができ、移動に追従してほぼリアルタイム表示を可能とする効果が大きい。計測点数が少ないと空間分解能が低下するが、観察領域を移動しながら詳細観察領域を探す場合の予備的な計測の用途では、異種の物質の存在を粗く区別する程度の必要な情報が得られれば良い。
一方、計測点の数を多くすることで、計測・解析にかかる時間は増大するものの、より高い空間分解能で詳細なスペクトルが得られる。ただし、観察領域が固定されている場合は、移動に対する追従性は大きくは問題にならない。
以下の複数の動作モードが設定可能である。
(1)観察領域の移動時の計測波数の数が、観察領域の固定時よりも小さい。ただし、計測点の数は観察領域の移動時と固定時で同じ。
(2)観察領域の移動時の計測点の数が、観察領域の固定時よりも小さい。ただし、計測波数の数は観察領域の移動時と固定時で同じ。
(3)観察領域の移動時の計測点数及び計測波数の数が、共に観察領域の固定時よりも小さい。
いずれのモードにおいても、観察領域の移動時の測定と解析にかかる時間が小さくできるので、解析結果の表示を素早く行うことがでる。特にモード(3)は時間短縮の効果が大きく、深さ方向のある立体観察を行う場合には特に有効である。
上記例では、観察領域の移動時と固定時で切り替えられる計測条件として、計測波数の数および計測点数としたが、様々な組合せが可能である。即ち、計測波数、計測波数の数、計測点数、積算回数、等の計測条件のなかから、少なくとも二つ以上の組合せを選択することが可能である。
また、観察領域は、2次元平面(XY方向)に限らず、3次元空間にも適用することができる。このとき、位置制御用デバイスは、観察領域をXY方向に移動させるだけではなく、Z方向の移動を指示する機能を備えればよい。
以上、本実施形態のいずれの観察モードにおいても、観察領域を移動させながら、領域の移動への追従性良く迅速に計測結果を画像表示することができるので、所望の詳細観察するための領域を探索することが容易になる。
1 分光検出手段
2 移動制御部
3 光源
4 顕微鏡部
5 信号検出部
6 制御PC
7 出力表示部
8 観察領域指示機構

Claims (19)

  1. 出力波長が制御可能な光源と、前記光源から出力された光が照射される観察領域を有する顕微鏡部と、前記観察領域からの光を分光データとして検出する信号検出部と、を備える分光検出手段と、
    前記観察領域を移動させる移動手段と、
    を有する分光顕微鏡装置であって、
    前記分光検出手段と前記移動手段とを連動可能に制御する制御部を備え、
    前記移動手段により前記観察領域を移動させて計測する該観察領域の移動時と、前記観察領域を固定して計測する該観察領域の移動停止時とで、異なる計測条件に切り替えられるように制御されることを特徴とする分光顕微鏡装置。
  2. 前記制御部は、前記分光検出手段によって検出された分光データを解析し、該解析した結果を分光画像として出力する解析手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の分光顕微鏡装置。
  3. 前記制御部により出力される分光画像は、前記光源から出力された光の少なくとも2つの波数による分光データを解析して得られた分光画像であることを特徴とする請求項2に記載の分光顕微鏡装置。
  4. 前記制御部により出力される分光画像を表示する表示手段を有することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の分光顕微鏡装置。
  5. 前記分光検出手段は、非線形光学現象による信号を検出することが可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の分光顕微鏡装置。
  6. 前記光源は、2つの異なる波長を出力する2つの光源からなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の分光顕微鏡装置。
  7. 前記分光検出手段は、非線形ラマン散乱信号を検出することが可能に構成されていることを特徴とする請求項6に記載の分光顕微鏡装置。
  8. 前記異なる計測条件に切り替える際の計測条件が、波数の選択数であり、
    前記観察領域の移動停止時の前記波数の選択数は、前記観察領域の移動時よりも大きい値に設定されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の分光顕微鏡装置。
  9. 前記異なる計測条件に切り替える際の計測条件が、波数であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の分光顕微鏡装置。
  10. 前記異なる計測条件に切り替える際の計測条件が、波数を選択するための波数領域であり、
    前記観察領域の移動停止時には指紋領域における波数を選択するように設定され、前記観察領域の移動時は伸縮振動領域における波数を選択するように設定されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の分光顕微鏡装置。
  11. 前記異なる計測条件に切り替える際の計測条件が、同じ計測波数に対して複数回の計測を行って出力信号を積算したときの積算回数であり、
    前記観察領域の移動停止時における積算回数は、前記観察領域の移動時よりも多い積算回数に設定されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の分光顕微鏡装置。
  12. 前記異なる計測条件に切り替える際の計測条件が、計測波数の数、計測波数、積算回数、或いは計測点の数の中から選択される少なくとも二つ以上であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の分光顕微鏡装置。
  13. 前記制御部は、前記解析手段と前記移動手段と連動可能に制御する構成を備え、
    前記観察領域の移動停止時と前記観察領域の移動時とで、解析条件が切り替えられるように制御されることを特徴とする請求項2乃至12のいずれか1項に記載の分光顕微鏡装置。
  14. 前記解析条件の切り替えにおいて、少なくとも前記観察領域の移動停止時には多変量解析が行われることを特徴とする請求項13に記載の分光顕微鏡装置。
  15. 前記切り替えられる解析条件は同種或いは異種の多変量解析手法から選択され、観察領域の移動時の解析結果を観察領域の固定時の解析に利用することを特徴とする請求項13に記載の分光顕微鏡装置。
  16. 前記観察領域の移動時の計測結果に基いて前記観察領域の固定時の計測条件が設定されることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の分光顕微鏡装置。
  17. 前記観察領域の移動時は、狭領域を順次移動しながら計測を行い、それらの領域の観察結果を試料上の観察位置関係を保持するように並べた広領域の画像としてプレビュー表示し、そのプレビュー表示した領域の中から、前記観察位置を固定して計測する対象の領域を選択することを特徴とする請求項1乃至16のいずれか1項に記載の分光顕微鏡装置。
  18. 前記制御手段、或いは、前記解析手段は、FPGAまたはASICを用いた処理により行われるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至17のいずれか一項に記載の分光顕微鏡装置。
  19. 前記観察領域は、1次元乃至3次元の観察領域のうちのいずれかの観察領域であることを特徴とする請求項1乃至18のいずれか1項に記載の分光顕微鏡装置。
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