JP2015071198A - 板状物の研削方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】内部応力による破損の可能性を低く抑えることができる板状物の研削方法を提供する。
【解決手段】板状物11の研削方法を、板状物に超音波Uを伝播させて板状物の内部応力を検出する応力検出ステップと、応力検出ステップで検出された板状物の内部応力に応じて研削条件を設定する研削条件設定ステップと、該研削条件設定ステップで設定された研削条件を用いて板状物を研削手段で研削する研削ステップと、を備える構成とした。
【選択図】図1
【解決手段】板状物11の研削方法を、板状物に超音波Uを伝播させて板状物の内部応力を検出する応力検出ステップと、応力検出ステップで検出された板状物の内部応力に応じて研削条件を設定する研削条件設定ステップと、該研削条件設定ステップで設定された研削条件を用いて板状物を研削手段で研削する研削ステップと、を備える構成とした。
【選択図】図1
Description
本発明は、半導体ウェーハや光デバイスウェーハに代表される板状物の研削方法に関する。
近年、小型軽量なデバイスを実現するために、半導体ウェーハや光デバイスウェーハ等の板状物を薄く研削することが求められている。研削装置の保持テーブルに板状物を保持させて、回転する研削ホイールを板状物の被加工面に押し付けることで、板状物を研削できる(例えば、特許文献1参照)。
ところで、表面にデバイスが形成された半導体ウェーハや、エピタキシャル膜が形成された光デバイスウェーハ、デバイスをモールド材で封止したWL−CSP(Wafer Level−Chip Size Package)ウェーハ等の内部には、積層構造に起因する大きな応力(内部応力)が発生している。
そのため、これらの板状物を薄く研削すると、内部応力で板状物が反り、場合によっては板状物が破損してしまう。通常、これらの板状物には多数のデバイスが形成されているので、1枚の板状物が破損すると多くのデバイスに不良を生じ、損失は極めて大きくなる。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、内部応力による破損の可能性を低く抑えることができる板状物の研削方法を提供することである。
本発明によれば、板状物の研削方法であって、板状物に超音波を伝播させて板状物の内部応力を検出する応力検出ステップと、該応力検出ステップで検出された板状物の内部応力に応じて研削条件を設定する研削条件設定ステップと、該研削条件設定ステップで設定された該研削条件を用いて板状物を研削手段で研削する研削ステップと、を備えたことを特徴とする板状物の研削方法が提供される。
また、本発明において、該応力検出ステップで検出された板状物の内部応力が所定の値を超えた場合に研削を実施しないと判断する判断ステップを更に備えることが好ましい。
本発明の板状物の研削方法は、板状物に超音波を伝播させて内部応力を検出すると共に、検出された内部応力に対応する研削条件で板状物を研削するので、内部応力による板状物の破損の可能性を低く抑えることができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る板状物の研削方法は、応力検出ステップ(図1参照)、研削条件設定ステップ、研削ステップ(図2参照)を含む。
応力検出ステップでは、板状物に超音波を伝播させる複屈折音弾性法(音弾性法)を利用して応力(内部応力)を検出する。研削条件設定ステップでは、検出された応力に応じて板状物が破損し難い研削条件を設定する。研削ステップでは、設定された研削条件で板状物を研削する。以下、本実施の形態に係る板状物の研削方法について詳述する。
本実施の形態の板状物の研削方法では、まず、板状物の応力を検出する応力検出ステップを実施する。図1は、本実施の形態に係る応力検出ステップを模式的に示す図である。図1に示すように、応力検出ステップは、応力検出装置2を用いて実施される。
応力検出装置2は、伝播方向に対して垂直な方向に振動する超音波Uを発振すると共に、その反射波Rを検出可能な圧電素子4を備えている。圧電素子4は、板状物11の厚さ方向に超音波Uを伝播させることができるように、被加工物11の表面に配置される。
板状物11は、サファイアウェーハ13の表面側に、光デバイスを構成するエピタキシャル膜15が設けられた光デバイスウェーハである。ただし、板状物11の構成はこれに限定されない。例えば、表面にデバイスが形成された半導体ウェーハや、デバイスをモールド材で封止したWL−CSP(Wafer Level−Chip Size Package)ウェーハ等を板状物11としても良い。
圧電素子4には、音速測定装置6が接続されている。この音速測定装置6は、例えば、シング・アラウンド方式で音速を測定する装置であり、超音波Uの発振から反射波Rの検出までに要する時間(伝播時間)を積算して、超音波U(及び反射波R)の伝播速度(音速)を算出する。
音速測定装置6には、演算装置8が接続されている。演算装置8は、例えば、下記式(1)に基づいて、板状物11の応力に相当する音響異方性aを算出する。なお、下記式(1)において、v1は、伝播方向に対して垂直な第1方向に振動する超音波U(又は反射波R)の伝播速度を示し、v2は、伝播方向及び第1方向に対して垂直な第2方向に振動する超音波U(又は反射波R)の伝播速度を示す。
本実施の形態に係る応力検出ステップでは、上述した応力検出装置2を用い、複屈折音弾性法で板状物11の応力を検出する。ここで、複屈折音弾性法とは、互いに直交する方向に偏向する2つの弾性振動波(音波)の速度差が主応力差に比例する現象を利用した応力検出方法である。
複屈折音弾性法では、上記式(1)に示すように、対象内部の応力を、無次元化された音響異方性(音響複屈折)aとして数値化する。よって、応力検出ステップにおいては、まず、板状物11の厚さ方向と垂直な第1方向に偏向する超音波Uを圧電素子4で発振させて、その反射波Rを検出し、音速測定装置6で伝播速度v1を算出する。
また、板状物11の厚さ方向及び第1方向と垂直な第2方向に偏向する超音波Uを圧電素子4で発振させて、その反射波Rを検出し、音速測定装置6で伝播速度v2を算出する。第2方向に偏向する超音波Uは、例えば、圧電素子4を、被加工物11の表面と平行な面内において90度回転させることにより発振される。伝播速度v1,v2を算出した後には、演算装置8で板状物11の音響異方性aを算出する。
上述のように、複屈折音弾性法では、残留応力等の応力に相当する音響異方性aを非破壊で測定できるので、本実施の形態に係る応力検出ステップに適している。また、この複屈折音弾性法によれば、不透明な板状物11の応力に相当する音響異方性aを検出することもできる。
なお、上述のようにして得られる音響異方性aは、応力に換算されても良い。例えば、応力と音響異方性aとの関係を示すテーブルを予め用意しておくことで、音響異方性aを応力に換算できる。このテーブルは、例えば、演算装置8内のメモリ(不図示)に格納しておけばよい。
応力検出ステップの後には、検出された応力に応じて板状物11の研削条件を設定する研削条件設定ステップを実施する。後の研削ステップにおいて板状物11を研削する研削装置10(図2参照)のメモリ(不図示)には、例えば、以下のテーブルが格納されている。
応力検出ステップで検出された板状物11の応力(又は音響異方性a)は、応力検出装置2から研削装置10に送られる。研削装置10のコントローラ(不図示)は、応力検出装置2から受け取った応力及び上記テーブルを参照して研削条件を設定(選定)する。
すなわち、研削装置10のコントローラは、板状物11の応力が100〜200(MPa)の場合に、研削送り速度(スピンドル16(図2参照)の下降速度)を2(μm/s)に設定し、板状物11の応力が200〜300(MPa)の場合に、研削送り速度を1(μm/s)に設定する。また、板状物11の応力が300〜400(MPa)の場合に、研削送り速度を0.5(μm/s)に設定し、板状物11の応力が400〜500(MPa)の場合に、研削送り速度を0.3(μm/s)に設定する。
さらに、研削装置10のコントローラは、板状物11の応力が500(MPa)を超える場合に、研削不可と判定し、板状物11の研削を回避する。このように、研削条件設定ステップにおいて、板状物11の応力が所定の値を超える場合に研削不可(研削を実施しない)と判断する判断ステップを備えることで、研削装置10内において板状物11が破損する可能性を低減できる。これにより、研削装置10のメンテナンスが容易になる。
なお、この研削条件設定ステップでは、板状物11の応力に応じて研削送り速度を設定しているが、研削条件設定ステップにおいて設定される研削条件は研削送り速度に限定されない。例えば、供給される水の量や、チャックテーブル12(図2参照)の回転数、スピンドル16の回転数等の研削条件を研削条件設定ステップにおいて設定しても良い。
研削条件設定ステップ(判断ステップを含む)の後には、設定された研削条件で板状物11を研削する研削ステップを実施する。図2は、研削ステップを模式的に示す斜視図である。
図2に示すように、研削装置10は、板状物11を吸引保持する保持テーブル12を備えている。保持テーブル12の下方には、回転機構(不図示)が設けられており、保持テーブル12は、この回転機構で鉛直軸の周りに回転する。また、保持テーブル12の下方には、移動機構(不図示)が設けられており、保持テーブル12は、この移動機構で水平方向に移動する。
保持テーブル12の表面は、板状物11を吸引保持する保持面となっている。この保持面には、保持テーブル12の内部に形成された流路(不図示)を通じて吸引源(不図示)の負圧が作用し、板状物11を吸引する吸引力が発生する。
保持テーブル12の上方には研削機構(研削手段)14が配置されている。研削機構14は、鉛直軸の周りに回転するスピンドル16を備えている。スピンドル16は、昇降機構(不図示)で昇降される。
スピンドル16の下端側には、円盤状のホイールマウント18が固定されており、このホイールマウント18には、研削ホイール20が装着されている。研削ホイール20は、アルミニウム、ステンレス等の金属材料で形成されたホイール基台20aを備えている。ホイール基台20aの円環状の下面には、全周にわたって複数の研削砥石20bが固定されている。
研削ステップでは、まず、板状物11の表面側(エピタキシャル膜側)に保護テープ21を貼着する。次に、この保護テープ21側を保持テーブル12の保持面に接触させて、吸引源の負圧を作用させる。これにより、板状物11は、保護テープ21を介して保持テーブル12に吸引保持される。この状態では、板状物11の裏面側が上方に露出されている。
次に、保持テーブル12とスピンドル16とを、それぞれ所定の回転方向に回転させつつ、スピンドル16を下降させ、図2に示すように、板状物11の裏面側に研削砥石20bを接触させる。
スピンドル16は、研削条件設定ステップで設定された所定の研削送り速度で下降する。これにより、板状物11を破損させることなく研削できる。板状物11が仕上げ厚さまで研削されると、研削ステップは終了する。なお、板状物11の厚さは、厚さ測定装置(不図示)でリアルタイムに測定される。
以上のように、本実施の形態に係る板状物の研削方法は、板状物11に超音波Uを伝播させて応力(内部応力)を検出すると共に、検出された応力に対応する研削条件で板状物11を研削するので、応力による板状物11の破損の可能性を低く抑えることができる。
なお、本発明は上記実施の形態の記載に限定されず、種々変更して実施可能である。例えば、上記実施の形態では、応力検出ステップにおいて板状物11に超音波Uを伝播させているが、板状物11に伝播させる音波(弾性振動波)の周波数(振動数)は特に限定されない。例えば、可聴域の音波を板状物11に伝播させても良い。
また、上記実施の形態では、1個の圧電素子4を90度回転させることで第1方向及び第2方向に偏向する超音波Uを発振しているが、第1方向に偏向する超音波を発振する圧電素子と第2方向に偏向する超音波を発振する圧電素子とを別に設けても良い。同様に、発振用の圧電素子と、検出用の圧電素子とを別に設けることもできる。
また、上記実施の形態では、研削条件設定ステップ(判断ステップを含む)において、あらかじめ用意されたテーブルから研削条件を選定しているが、研削条件は任意の方法で設定できる。例えば、検出された応力及びオペレータの経験に基づいて研削条件を設定しても良い。
また、応力検出ステップ及び研削条件設定ステップ(判断ステップを含む)は、複数回繰り返し実施されても良い。例えば、研削の進行に応じて応力が変化するような板状物11を研削する場合には、任意のタイミングで応力検出ステップを再び実施して、研削条件を設定し直すことができる。これにより、研削の進行に伴う応力の変化に対応できるので、板状物11の破損の可能性をさらに低く抑えることができる。もちろん、応力が変化しない板状物11の研削においては、応力検出ステップ及び研削条件設定ステップを1回実施するだけで構わない。
また、上記実施の形態では、応力検出装置2と研削装置10とを別に設けているが、応力検出装置2は研削装置10に組み込まれていても良い。その他、上記実施の形態に係る構成、方法などは、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
11 板状物
13 サファイアウェーハ
15 エピタキシャル膜
21 保護テープ
2 応力検出装置
4 圧電素子
6 音速測定装置
8 演算装置
10 研削装置
12 保持テーブル
14 研削機構(研削手段)
16 スピンドル
18 ホイールマウント
20 研削ホイール
20a ホイール基台
20b 研削砥石
U 超音波
R 反射波
13 サファイアウェーハ
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12 保持テーブル
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18 ホイールマウント
20 研削ホイール
20a ホイール基台
20b 研削砥石
U 超音波
R 反射波
Claims (2)
- 板状物の研削方法であって、
板状物に超音波を伝播させて板状物の内部応力を検出する応力検出ステップと、
該応力検出ステップで検出された板状物の内部応力に応じて研削条件を設定する研削条件設定ステップと、
該研削条件設定ステップで設定された該研削条件を用いて板状物を研削手段で研削する研削ステップと、を備えたことを特徴とする板状物の研削方法。 - 該応力検出ステップで検出された板状物の内部応力が所定の値を超えた場合に研削を実施しないと判断する判断ステップを更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の板状物の研削方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2013207468A JP2015071198A (ja) | 2013-10-02 | 2013-10-02 | 板状物の研削方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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Citations (3)
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JPS60257333A (ja) * | 1984-06-04 | 1985-12-19 | Toshiba Corp | 応力測定方法 |
JP2005106792A (ja) * | 2003-09-27 | 2005-04-21 | Katsuhiro Kawashima | 材料内部の音速分布測定法 |
JP2012125853A (ja) * | 2010-12-13 | 2012-07-05 | Toyota Motor Corp | 研削方法および研削装置 |
-
2013
- 2013-10-02 JP JP2013207468A patent/JP2015071198A/ja active Pending
Patent Citations (3)
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