JP2015070237A - フレキシブル銅張積層板及びフレキシブル回路基板 - Google Patents
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Abstract
【課題】狭い筐体内でも配線回路の断線や割れを防止し得る、優れた耐折り曲げ性を有するフレキシブル銅張積層板及びフレキシブル回路基板を提供する。
【解決手段】
フレキシブル銅張積層板は、ポリイミド絶縁層(A)と銅箔(B)とを備え、a)厚みが15〜38μmの範囲内;b)ポリイミド絶縁層(A)の厚みが5〜30μmの範囲内であり、引張弾性率が4〜10GPaの範囲内;c)銅箔(B)の厚みが5〜20μm範囲内であり、引張弾性率が10〜35GPaの範囲内;d)ポリイミド絶縁層(A)と銅箔(B)との厚みの比[(B)/(A)]が、0.48〜1.5の範囲内である。また、銅箔(B)を配線回路加工したフレキシブル回路基板を、ギャップ0.3mmでの折り曲げ試験に供した場合において、1回目の折り曲げによって生じる折曲角度θ1と、5回目の折り曲げによって生じる折曲角度θ5との変化量(θ1−θ5)が8°未満である。
【選択図】なし
【解決手段】
フレキシブル銅張積層板は、ポリイミド絶縁層(A)と銅箔(B)とを備え、a)厚みが15〜38μmの範囲内;b)ポリイミド絶縁層(A)の厚みが5〜30μmの範囲内であり、引張弾性率が4〜10GPaの範囲内;c)銅箔(B)の厚みが5〜20μm範囲内であり、引張弾性率が10〜35GPaの範囲内;d)ポリイミド絶縁層(A)と銅箔(B)との厚みの比[(B)/(A)]が、0.48〜1.5の範囲内である。また、銅箔(B)を配線回路加工したフレキシブル回路基板を、ギャップ0.3mmでの折り曲げ試験に供した場合において、1回目の折り曲げによって生じる折曲角度θ1と、5回目の折り曲げによって生じる折曲角度θ5との変化量(θ1−θ5)が8°未満である。
【選択図】なし
Description
本発明は、フレキシブル銅張積層板に関し、詳しくは、電子機器の筐体内に折り畳んで収納され、使用されるフレキシブル回路基板(FPC)に用いられるフレキシブル銅張積層板に関する。
近年、携帯電話、ノート型パソコン、デジタルカメラ、ゲーム機などに代表される電子機器は、小型化、薄型化、軽量化が急速に進み、これらに使用される材料に対して、小スペースにおいても部品を収納できる高密度で高性能な材料が望まれるようになっている。フレキシブル回路基板においても、スマートフォン等の高性能小型電子機器の普及に伴い、部品収納の高密度化が進展したため、今まで以上に、より狭い筐体内にフレキシブル回路基板を収納する必要が出てきている。そのためフレキシブル回路基板の材料であるフレキシブル銅張積層板においても材料面からの耐折り曲げ性の向上が求められている。以下、本明細書では、FPCの上面側が略180℃反転して下面側になるように折り曲げることを「はぜ折り」と呼ぶことがある。
このような用途への適用を意図したものとして、特許文献1では、フレキシブル銅張積層板に使用するポリイミドベースフィルムやカバーフィルムの弾性率を制御することによって、フレキシブル回路基板トータルのスティフネス性を低減させることにより、耐折り曲げ性を向上させるという技術が提案されている。しかしながら、ポリイミドやカバーフィルムの特性の制御のみでは、電子機器内に折り畳んで収納するという厳しい屈曲モードに対しては不十分であり、十分な耐折り曲げ性に優れたフレキシブル回路基板に使用し得るフレキシブル銅張積層板を提供することができない。
また、特許文献2では、電子機器内への高密度化の観点から、銅箔側からのアプローチとして、銅箔の結晶粒径サイズに着目して、耐スプリングバック性を抑えた熱処理用銅箔が提案されている。本技術は、銅箔中に種々の適切な添加剤を入れた圧延銅箔を用いて、結晶粒の肥大化に充分な熱量を加えることにより結晶粒径を大きく成長させ、その結果、銅箔の耐スプリングバック性を改良しようという技術である。
しかしながら、スマートフォンに代表される小型電子機器に対しては、更なる高密度化が要請されている。そのため、前記従来技術だけでは、更なる高密度化の要請に応えることが難しい。
本発明は、前記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、狭い筐体内でも配線回路の断線や割れを防止し得る、優れた耐折り曲げ性を有するフレキシブル銅張積層板及びフレキシブル回路基板を提供することである。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、銅箔及びポリイミドフィルムが積層した銅張積層板のはぜ折り過程の弾塑性変形の特性に着目することで、前記課題を解決し得る銅張積層板を提供し得ることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明のフレキシブル銅張積層板は、ポリイミド絶縁層(A)と、該ポリイミド絶縁層(A)の少なくとも一方の面に設けられた銅箔(B)とを備えている。このフレキシブル銅張積層板は、以下のa〜dの構成:
a)当該フレキシブル銅張積層板の厚みが15〜38μmの範囲内であること;
b)前記ポリイミド絶縁層(A)の厚みが5〜30μmの範囲内であり、かつ、引張弾性率が4〜10GPaの範囲内であること;
c)前記銅箔(B)の厚みが5〜20μm範囲内であり、かつ、引張弾性率が10〜35GPaの範囲内であること;
d)前記ポリイミド絶縁層(A)と前記銅箔(B)との厚みの比[銅箔(B)の厚み/ポリイミド絶縁層(A)の厚み]が、0.48〜1.5の範囲内であること;
を具備するものである。そして、本発明のフレキシブル銅張積層板は、当該フレキシブル銅張積層板の銅箔(B)を配線回路加工して銅配線を形成することによって作成したフレキシブル回路基板を、ギャップ0.3mmでの折り曲げ試験に供した場合において、1回目の折り曲げによって生じる折曲角度(θ1)と、5回目の折り曲げによって生じる折曲角度(θ5)との変化量(θ1−θ5)が8°未満であることを特徴とする。
a)当該フレキシブル銅張積層板の厚みが15〜38μmの範囲内であること;
b)前記ポリイミド絶縁層(A)の厚みが5〜30μmの範囲内であり、かつ、引張弾性率が4〜10GPaの範囲内であること;
c)前記銅箔(B)の厚みが5〜20μm範囲内であり、かつ、引張弾性率が10〜35GPaの範囲内であること;
d)前記ポリイミド絶縁層(A)と前記銅箔(B)との厚みの比[銅箔(B)の厚み/ポリイミド絶縁層(A)の厚み]が、0.48〜1.5の範囲内であること;
を具備するものである。そして、本発明のフレキシブル銅張積層板は、当該フレキシブル銅張積層板の銅箔(B)を配線回路加工して銅配線を形成することによって作成したフレキシブル回路基板を、ギャップ0.3mmでの折り曲げ試験に供した場合において、1回目の折り曲げによって生じる折曲角度(θ1)と、5回目の折り曲げによって生じる折曲角度(θ5)との変化量(θ1−θ5)が8°未満であることを特徴とする。
本発明のフレキシブル銅張積層板は、更に、当該フレキシブル銅張積層板の銅箔(B)を配線回路加工して銅配線を形成することによって作成したフレキシブル回路基板を、ギャップ0.3mmでの折り曲げ試験に供した場合において、3回目の折り曲げによって生じる折曲角度(θ3)と、5回目の折り曲げによって生じる折曲角度(θ5)との変化量(θ3−θ5)が1°以下であってもよい。
本発明のフレキシブル回路基板は、上記いずれかのフレキシブル銅張積層板の銅箔を配線回路加工してなるものである。
本発明のフレキシブル銅張積層板は、配線基板に要求される高い耐折り曲げ性を発現し得ることから、電子機器内に折り曲げた状態での接続信頼性に優れたフレキシブル回路基板用材料を提供することができる。従って、本発明のフレキシブル銅張積層板は、特に、スマートフォン等の小型液晶周りの折り曲げ部分等の耐折り曲げ性が要求される電子部品に好適に用いられる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
<フレキシブル銅張積層板>
本実施の形態のフレキシブル銅張積層板は、ポリイミド絶縁層(A)と銅箔(B)とから構成される。銅箔(B)はポリイミド絶縁層(A)の片面又は両面に設けられている。このフレキシブル銅張積層板は、銅箔(B)をエッチングするなどして配線回路加工して銅配線を形成し、フレキシブル回路基板として使用される。なお、本実施の形態のフレキシブル銅張積層板において、ポリイミド絶縁層の両面に銅箔が設けられている場合は、配線回路加工して銅配線を形成し、当該銅配線が折り曲げ部位に該当する銅箔を銅箔(B)と定義する。従って、ポリイミド絶縁層の両面に銅箔が設けられている場合であっても、配線回路加工して銅配線を形成し、当該銅配線が折り曲げ部位に該当しない銅箔は、銅箔(B)ではないものとする。
<フレキシブル銅張積層板>
本実施の形態のフレキシブル銅張積層板は、ポリイミド絶縁層(A)と銅箔(B)とから構成される。銅箔(B)はポリイミド絶縁層(A)の片面又は両面に設けられている。このフレキシブル銅張積層板は、銅箔(B)をエッチングするなどして配線回路加工して銅配線を形成し、フレキシブル回路基板として使用される。なお、本実施の形態のフレキシブル銅張積層板において、ポリイミド絶縁層の両面に銅箔が設けられている場合は、配線回路加工して銅配線を形成し、当該銅配線が折り曲げ部位に該当する銅箔を銅箔(B)と定義する。従って、ポリイミド絶縁層の両面に銅箔が設けられている場合であっても、配線回路加工して銅配線を形成し、当該銅配線が折り曲げ部位に該当しない銅箔は、銅箔(B)ではないものとする。
本実施の形態のフレキシブル銅張積層板は、その厚み[つまり、ポリイミド絶縁層(A)と銅箔(B)との合計の厚み]が15〜38μmの範囲内、好ましくは15〜35μmの範囲内がよい。フレキシブル銅張積層板の厚みが15μmに満たないと、フレキシブル銅張積層板の銅箔を配線回路加工してなるフレキシブルプリント配線板の剛性が低下し、折り曲げによる弾塑性変形が生じやすい傾向になる。一方、フレキシブル銅張積層板の厚みが38μmを超えるとFPCを折り曲げた際に銅配線により曲げ応力が加わることとなり、その耐折り曲げ性を著しく低下させてしまう。
<ポリイミド絶縁層>
本実施の形態のフレキシブル銅張積層板においては、ポリイミド絶縁層(A)の厚みは、5〜30μmの範囲内とする必要があるが、銅箔(B)の厚みや剛性などによって、所定の範囲内の厚さに設定することができる。例えば、銅箔(B)が圧延銅箔である場合、ポリイミド絶縁層(A)の厚みが10〜25μmの範囲内にあることが好ましく、10〜20μmの範囲内にあることがより好ましく、10〜15μmの範囲内にあることが特に好ましい。また、例えば、銅箔(B)が電解銅箔である場合、ポリイミド絶縁層(A)の厚みは5〜30μmの範囲内にあることが好ましく、8〜15μmの範囲内にあることがより好ましく、9〜12μmの範囲内にあることが特に好ましい。ポリイミド絶縁層(A)の厚みが上記下限値に満たないと、電気絶縁性が担保出来ないことや、ハンドリング性の低下により製造工程にて取扱いが困難になるなどの問題が生じる、一方、ポリイミド絶縁層(A)の厚みが上記上限値を超えるとFPCを折り曲げた際に銅配線により曲げ応力が加わることとなり、その耐折り曲げ性を著しく低下させてしまう。
本実施の形態のフレキシブル銅張積層板においては、ポリイミド絶縁層(A)の厚みは、5〜30μmの範囲内とする必要があるが、銅箔(B)の厚みや剛性などによって、所定の範囲内の厚さに設定することができる。例えば、銅箔(B)が圧延銅箔である場合、ポリイミド絶縁層(A)の厚みが10〜25μmの範囲内にあることが好ましく、10〜20μmの範囲内にあることがより好ましく、10〜15μmの範囲内にあることが特に好ましい。また、例えば、銅箔(B)が電解銅箔である場合、ポリイミド絶縁層(A)の厚みは5〜30μmの範囲内にあることが好ましく、8〜15μmの範囲内にあることがより好ましく、9〜12μmの範囲内にあることが特に好ましい。ポリイミド絶縁層(A)の厚みが上記下限値に満たないと、電気絶縁性が担保出来ないことや、ハンドリング性の低下により製造工程にて取扱いが困難になるなどの問題が生じる、一方、ポリイミド絶縁層(A)の厚みが上記上限値を超えるとFPCを折り曲げた際に銅配線により曲げ応力が加わることとなり、その耐折り曲げ性を著しく低下させてしまう。
また、ポリイミド絶縁層(A)の引張弾性率は4〜10GPaの範囲内であることが必要であり、好ましくは6〜10GPaの範囲内であるのがよい。ポリイミド絶縁層(A)の引張弾性率が4GPaに満たないとポリイミド自体の強度が低下することによって、フレキシブル銅張積層板を回路基板へ加工する際にフィルムの裂けなどのハンドリング上の問題が生じることがある。反対に、ポリイミド絶縁層(A)の引張弾性率が10GPaを超えるとフレキシブル銅張積層板の折り曲げに対する剛性が上昇する結果、フレキシブル銅張積層板を折り曲げた際に銅配線に加わる曲げ応力が上昇し、耐折り曲げ耐性が低下してしまう。
ポリイミド絶縁層(A)は、市販のポリイミドフィルムをそのまま使用することも可能であるが、絶縁層の厚さや物性のコントロールのしやすさから、ポリアミド酸溶液を銅箔上に直接塗布した後、熱処理により乾燥、硬化する所謂キャスト(塗布)法によるものが好ましい。また、ポリイミド絶縁層(A)は、単層のみから形成されるものでもよいが、ポリイミド絶縁層(A)と銅箔(B)との接着性等を考慮すると複数層からなるものが好ましい。ポリイミド絶縁層(A)を複数層とする場合、異なる構成成分からなるポリアミド酸溶液の上に他のポリアミド酸溶液を順次塗布して形成することができる。ポリイミド絶縁層(A)が複数層からなる場合、同一の構成のポリイミド前駆体樹脂を2回以上使用してもよい。
ポリイミド絶縁層(A)について、より詳しく説明する。上述の通り、ポリイミド絶縁層(A)は複数層とすることが好ましいが、その具体例としては、ポリイミド絶縁層(A)を、熱膨張係数30×10−6/K未満の低熱膨張性のポリイミド層(i)と、熱膨張係数30×10−6/K以上の高熱膨張性のポリイミド層(ii)と、を含む積層構造とすることが好ましい。より好ましくは、ポリイミド絶縁層(A)は、低熱膨張性のポリイミド層(i)の少なくとも一方、好ましくはその両側に、高熱膨張性のポリイミド層(ii)を有する積層構造とし、高熱膨張性のポリイミド層(ii)が直接銅箔(B)と接するようにすることがよい。ここで、「低熱膨張性のポリイミド層(i)」とは、熱膨張係数30×10−6/K未満、好ましくは1×10−6〜25×10−6/Kの範囲内、特に好ましくは3×10−6〜20×10−6/Kの範囲内のポリイミド層をいう。また、「高熱膨張性のポリイミド層(ii)」とは、熱膨張係数30×10−6/K以上のポリイミド層を言い、好ましくは30×10−6〜80×10−6/Kの範囲内、特に好ましくは30×10−6〜70×10−6/Kの範囲内のポリイミド層をいう。このようなポリイミド層は、使用する原料の組合せ、厚み、乾燥・硬化条件を適宜変更することで所望の熱膨張係数を有するポリイミド層とすることができる。
上記ポリイミド絶縁層(A)を与えるポリアミド酸溶液は、公知のジアミンと酸無水物とを溶媒の存在下で重合して製造することができる。この際、重合される樹脂粘度は、例えば、500cps以上35,000cps以下の範囲内とすることが好ましい。
ポリイミドの原料として用いられるジアミンとしては、例えば、4,6-ジメチル-m-フェニレンジアミン、2,5-ジメチル-p-フェニレンジアミン、2,4-ジアミノメシチレン、4,4'-メチレンジ-o-トルイジン、4,4'-メチレンジ-2,6-キシリジン、4,4'-メチレン-2,6-ジエチルアニリン、2,4-トルエンジアミン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、4,4'-ジアミノジフェニルプロパン、3,3'-ジアミノジフェニルプロパン、4,4'-ジアミノジフェニルエタン、3,3'-ジアミノジフェニルエタン、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、3,3'-ジアミノジフェニルメタン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4'-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3'-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン、3,3'-ジアミノジフェニルスルホン、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、3,3-ジアミノジフェニルエーテル、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、ベンジジン、3,3'-ジアミノビフェニル、3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル、3,3'-ジメトキシベンジジン、4,4'-ジアミノ-p-テルフェニル、3,3'-ジアミノ-p-テルフェニル、ビス(p-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(p-β-アミノ-t-ブチルフェニル)エーテル、ビス(p-β-メチル-δ-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(2-メチル-4-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(1,1-ジメチル-5-アミノペンチル)ベンゼン、1,5-ジアミノナフタレン、2,6-ジアミノナフタレン、2,4-ビス(β-アミノ-t-ブチル)トルエン、2,4-ジアミノトルエン、m-キシレン-2,5-ジアミン、p-キシレン-2,5-ジアミン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、2,6-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノ-1,3,4-オキサジアゾール、ピペラジン、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル、3,7-ジアミノジベンゾフラン、1,5-ジアミノフルオレン、ジベンゾ-p-ジオキシン-2,7-ジアミン、4,4'-ジアミノベンジルなどが挙げられる。
また、ポリイミドの原料として用いられる酸無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレン-1,2,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン-1,2,4,5-テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン-1,2,6,7-テトラカルボン酸二無水物、4,8-ジメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロナフタレン-1,2,5,6-テトラカルボン酸二無水物、4,8-ジメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロナフタレン-2,3,6,7-テトラカルボン酸二無水物、2,6-ジクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,7-ジクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-テトラクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-テトラクロロナフタレン-2,3,6,7-テトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3'',4,4''-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2'',3,3''-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3'',4''-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)-プロパン二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-プロパン二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3.4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ペリレン-2,3,8,9-テトラカルボン酸二無水物、ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸二無水物、ペリレン-4,5,10,11-テトラカルボン酸二無水物、ペリレン-5,6,11,12-テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン-1,2,7,8-テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン-1,2,6,7-テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン-1,2,9,10-テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ピラジン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、チオフェン-,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、4,4'-オキシジフタル酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。
上記ジアミン及び酸無水物は、それぞれ1種のみを使用してもよく2種以上を併用することもできる。また、重合に使用される溶媒は、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリジノン、2-ブタノン、ジグライム、キシレン等が挙げられ、1種又は2種以上併用して使用することもできる。
本実施の形態において、熱膨張係数30×10−6/K未満の低熱膨張性のポリイミド層(i)とするには、原料の酸無水物成分としてピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を、ジアミン成分としては、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル、2-メトキシ-4,4’-ジアミノベンズアニリドを用いることがよく、特に好ましくは、ピロメリット酸二無水物及び2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニルを原料各成分の主成分とするものがよい。
また、熱膨張係数30×10−6/K以上の高熱膨張性のポリイミド層(ii)とするには、原料の酸無水物成分としてピロメリット酸二無水物、3,3',4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物を、ジアミン成分としては、2,2’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼンを用いることがよく、特に好ましくはピロメリット酸二無水物及び2,2’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパンを原料各成分の主成分とするものがよい。なお、このようにして得られる高熱膨張性のポリイミド層(ii)の好ましいガラス転移温度は、300〜400℃の範囲内である。
また、ポリイミド絶縁層(A)を低熱膨張性のポリイミド層(i)と高熱膨張性のポリイミド層(ii)との積層構造とした場合、好ましくは、低熱膨張性のポリイミド層(i)と高熱膨張性のポリイミド層(ii)との厚み比(低熱膨張性のポリイミド層(i)/高熱膨張性のポリイミド層(ii))が2〜15の範囲内であるのがよい。この比の値が、2に満たないとポリイミド絶縁層(A)全体に対する低熱膨張性のポリイミド層(i)が薄くなるため、ポリイミドフィルムの寸法特性の制御が困難となり、銅箔(B)をエッチングした際の寸法変化率が大きくなり、15を超えると高熱膨張性のポリイミド層(ii)が薄くなるため、ポリイミド絶縁層(A)と銅箔(B)との接着信頼性が低下する。
<銅箔>
本実施の形態のフレキシブル銅張積層板において、銅箔(B)の厚みは5〜20μmの範囲内であり、好ましくは8〜15μmの範囲内がよい。銅箔(B)の厚みが5μmに満たないと、フレキシブル銅張積層板の製造時、例えば、銅箔(B)上にポリイミド絶縁層(A)を形成する工程において銅箔(B)自体の剛性が低下し、その結果、フレキシブル銅張積層板上にシワ等が発生する問題が生じる。また、20μmを超えると、フレキシブル銅張積層板(又はFPC)を折り曲げた際の銅箔(又は銅配線)に加わる曲げ応力が大きくなることにより耐折り曲げ性が低下することとなる。銅箔の種類によっては、所定の熱処理によってアニールされて、銅箔の柔軟性が向上する傾向にある。このような銅箔としては、圧延銅箔が挙げられる。このような観点から、銅箔(B)が圧延銅箔である場合には、銅箔(B)の厚みは8〜20μmの範囲内であることが好ましく、10〜15μmの範囲内であることがより好ましい。
本実施の形態のフレキシブル銅張積層板において、銅箔(B)の厚みは5〜20μmの範囲内であり、好ましくは8〜15μmの範囲内がよい。銅箔(B)の厚みが5μmに満たないと、フレキシブル銅張積層板の製造時、例えば、銅箔(B)上にポリイミド絶縁層(A)を形成する工程において銅箔(B)自体の剛性が低下し、その結果、フレキシブル銅張積層板上にシワ等が発生する問題が生じる。また、20μmを超えると、フレキシブル銅張積層板(又はFPC)を折り曲げた際の銅箔(又は銅配線)に加わる曲げ応力が大きくなることにより耐折り曲げ性が低下することとなる。銅箔の種類によっては、所定の熱処理によってアニールされて、銅箔の柔軟性が向上する傾向にある。このような銅箔としては、圧延銅箔が挙げられる。このような観点から、銅箔(B)が圧延銅箔である場合には、銅箔(B)の厚みは8〜20μmの範囲内であることが好ましく、10〜15μmの範囲内であることがより好ましい。
また、銅箔(B)の引張弾性率は、10〜35GPaの範囲内であるが、例えば、銅箔(B)が圧延銅箔である場合には、10〜20GPaの範囲内であることが好ましく、銅箔(B)が電解銅箔である場合には、25〜35GPaの範囲内がより好ましい。銅箔(B)の引張弾性率が上記下限値に満たないと、フレキシブル銅張積層板の製造時、例えば、銅箔(B)上にポリイミド絶縁層(A)を形成する工程において、加熱によって銅箔(B)自体の剛性が低下してしまう。その結果、フレキシブル銅張積層板上にシワ等が発生するという問題が生じる。一方、引張弾性率が上記上限値を超えるとFPCを折り曲げた際に銅配線により大きな曲げ応力が加わることとなり、その耐折り曲げ性が著しく低下する。
銅箔(B)の表面は、粗化処理されていてもよく、銅箔(B)の剛性との関係を考慮すれば、銅箔(B)が圧延銅箔である場合、好ましくは、ポリイミド絶縁層(A)と接する銅箔(B)の表面の表面粗さ(十点平均粗さ;Rz)は0.5〜1.5μmの範囲内であるのがよい。銅箔(B)が電解銅箔である場合、好ましくは、ポリイミド絶縁層(A)と接する銅箔(B)の表面の表面粗さ(Rz)は0.7〜2.2μmの範囲内、より好ましくは0.8〜1.6μmの範囲内がよい。表面粗さ(Rz)の値が、上記下限値に満たないとポリイミド絶縁層(A)との接着信頼性の担保が困難となり、上記上限値を超えるとフレキシブル銅張積層板(又はFPC)を繰り返し折り曲げた際に、その粗化表面の凹凸がクラック発生の起点となりやすく、その結果、フレキシブル銅張積層板(又はFPC)の耐折り曲げ性を低下させることとなる。なお、表面粗さRzはJIS B0601の規定に準じて測定される値である。
本実施の形態のフレキシブル銅張積層板に使用する銅箔(B)は、上記特性を充足するものであれば特に限定されるものではなく、市販されている銅箔を用いることができる。その具体例としては、圧延銅箔としてはJX日鉱日石金属株式会社製のHA箔や、TP箔が挙げられ、電解銅箔としては、古河電気工業株式会社製WS箔、日本電解株式会社製HL箔、三井金属鉱業株式会社製HTE箔などが挙げられる。また、これらの市販品を含めて、それ以外のものを使用した場合であっても、前述した銅箔(B)上へのポリイミド絶縁層(A)を形成する際の熱処理条件やポリイミド絶縁層(A)を形成した後の銅箔(B)のアニール処理などにより、銅箔(B)の引張弾性率は変化し得るので、本発明では結果として得られたフレキシブル銅張積層板がこれら所定の範囲になればよい。
<ポリイミド絶縁層(A)と銅箔(B)との厚みの比>
本実施の形態では、ポリイミド絶縁層(A)と銅箔(B)との厚みの比[銅箔(B)の厚み/ポリイミド絶縁層(A)の厚み]が0.48〜1.5の範囲内にあることが好ましい。この厚み比が0.48未満、あるいは1.5より大きくなると、折り曲げ時に塑性変形した部分が伸ばされる際の最大引張りひずみが大きくなることにより、耐折り曲げ性が低下することとなる。
本実施の形態では、ポリイミド絶縁層(A)と銅箔(B)との厚みの比[銅箔(B)の厚み/ポリイミド絶縁層(A)の厚み]が0.48〜1.5の範囲内にあることが好ましい。この厚み比が0.48未満、あるいは1.5より大きくなると、折り曲げ時に塑性変形した部分が伸ばされる際の最大引張りひずみが大きくなることにより、耐折り曲げ性が低下することとなる。
<折曲角度の変化量>
また、本実施の形態のフレキシブル銅張積層板は、銅箔(B)を配線回路加工して銅配線を形成することによって作成したフレキシブル回路基板を、ギャップ0.3mmでの折り曲げ試験に供した場合において、1回目の折り曲げによって生じる折曲角度(θ1)と、5回目の折り曲げによって生じる折曲角度(θ5)との変化量(θ1−θ5)が8°未満である。ここで、変化量(θ1−θ5)は負の値であってもよい。この変化量(θ1−θ5)は、FPCの弾塑性変形の度合いを示す指標であり、上記構成a〜dによって制御されるものである。
また、本実施の形態のフレキシブル銅張積層板は、銅箔(B)を配線回路加工して銅配線を形成することによって作成したフレキシブル回路基板を、ギャップ0.3mmでの折り曲げ試験に供した場合において、1回目の折り曲げによって生じる折曲角度(θ1)と、5回目の折り曲げによって生じる折曲角度(θ5)との変化量(θ1−θ5)が8°未満である。ここで、変化量(θ1−θ5)は負の値であってもよい。この変化量(θ1−θ5)は、FPCの弾塑性変形の度合いを示す指標であり、上記構成a〜dによって制御されるものである。
また、本実施の形態のフレキシブル銅張積層板の銅箔(B)を配線回路加工して銅配線を形成することによって作成したフレキシブル回路基板を、ギャップ0.3mmでの折り曲げ試験に供した場合において、3回目の折り曲げによって生じる折曲角度(θ3)と、5回目の折り曲げによって生じる折曲角度(θ5)との変化量(θ3−θ5)が1°以下であることが好ましい。ここで、変化量(θ3−θ5)は負の値であってもよい。この変化量(θ3−θ5)も、FPCの弾塑性変形の度合いを示す指標であり、上記構成a〜dによって制御されるものである。
上記折曲角度(θ1,θ3,θ5)を測定するための「ギャップ0.3mmでの折り曲げ試験」は、後述する方法及び条件によって行われる。
<作用>
本実施の形態では、上記構成a〜cを満たすことを前提として、構成dのポリイミド絶縁層(A)と銅箔(B)との厚みの比[銅箔(B)の厚み/ポリイミド絶縁層(A)の厚み]を0.48〜1.5の範囲内に制御したうえで、フレキシブル銅張積層板から作製したフレキシブル回路基板の折曲角度の変化量(θ1−θ5)を8°未満とし、好ましくは、折曲角度の変化量(θ3−θ5)も1°以下とすることがよい。折曲角度の変化量は、銅配線に生じる長手方向の屈曲平均ひずみ、屈曲部における屈曲中心から銅配線の中立面までの距離、ギャップ間隔と銅配線の中立面位置から算出される有効曲率半径などによって求めるができる。このような範囲内に制御することで、折り曲げた際の歪みを1箇所に集中させず、2箇所以上に分散させやすくすることが可能となる。その結果、フレキシブル回路基板の耐折り曲げ性を向上させ、銅配線の破断や導通不良などを低減してフレキシブル回路基板の信頼性を高めることができる。このような優れた効果が得られる理由として、以下のように考えれば合理的な説明が可能になる。すなわち、上記構成a〜dを満たすことによって、フレキシブル回路基板を1回目に折り曲げた際の塑性変形量(折曲角度θ1として発現される)を比較的大きくすることが可能になり、いわゆる「折り癖」が適度についた状態を作り出すことができる。このような適度な折り癖を有する状態では、2回目以降に折り曲げた際に、折り曲げ部位に加わる応力が大幅に緩和されるため、折り曲げ部位におけるひずみの増大が抑制され、フレキシブル回路基板の耐折り曲げ性が大幅に向上するものと推測される。
本実施の形態では、上記構成a〜cを満たすことを前提として、構成dのポリイミド絶縁層(A)と銅箔(B)との厚みの比[銅箔(B)の厚み/ポリイミド絶縁層(A)の厚み]を0.48〜1.5の範囲内に制御したうえで、フレキシブル銅張積層板から作製したフレキシブル回路基板の折曲角度の変化量(θ1−θ5)を8°未満とし、好ましくは、折曲角度の変化量(θ3−θ5)も1°以下とすることがよい。折曲角度の変化量は、銅配線に生じる長手方向の屈曲平均ひずみ、屈曲部における屈曲中心から銅配線の中立面までの距離、ギャップ間隔と銅配線の中立面位置から算出される有効曲率半径などによって求めるができる。このような範囲内に制御することで、折り曲げた際の歪みを1箇所に集中させず、2箇所以上に分散させやすくすることが可能となる。その結果、フレキシブル回路基板の耐折り曲げ性を向上させ、銅配線の破断や導通不良などを低減してフレキシブル回路基板の信頼性を高めることができる。このような優れた効果が得られる理由として、以下のように考えれば合理的な説明が可能になる。すなわち、上記構成a〜dを満たすことによって、フレキシブル回路基板を1回目に折り曲げた際の塑性変形量(折曲角度θ1として発現される)を比較的大きくすることが可能になり、いわゆる「折り癖」が適度についた状態を作り出すことができる。このような適度な折り癖を有する状態では、2回目以降に折り曲げた際に、折り曲げ部位に加わる応力が大幅に緩和されるため、折り曲げ部位におけるひずみの増大が抑制され、フレキシブル回路基板の耐折り曲げ性が大幅に向上するものと推測される。
<フレキシブル銅張積層板の製造>
本実施の形態のフレキシブル銅張積層板は、例えば、銅箔(B)の表面にポリイミド前駆体樹脂溶液(ポリアミド酸溶液ともいう。)を塗工し、次いで、乾燥、硬化させる熱処理工程を経て製造することができる。熱処理工程における熱処理は、塗工されたポリアミド酸溶液を160℃未満の温度でポリアミド酸中の溶媒を乾燥除去した後、更に、150℃から400℃の温度範囲で段階的に昇温し、硬化させることで行なわれる。このようにして得られた片面フレキシブル銅張積層板を両面銅張積層板とするには、前記片面フレキシブル銅張積層板と、これとは別に準備した銅箔(B)とを300〜400℃にて熱圧着する方法が挙げられる。
本実施の形態のフレキシブル銅張積層板は、例えば、銅箔(B)の表面にポリイミド前駆体樹脂溶液(ポリアミド酸溶液ともいう。)を塗工し、次いで、乾燥、硬化させる熱処理工程を経て製造することができる。熱処理工程における熱処理は、塗工されたポリアミド酸溶液を160℃未満の温度でポリアミド酸中の溶媒を乾燥除去した後、更に、150℃から400℃の温度範囲で段階的に昇温し、硬化させることで行なわれる。このようにして得られた片面フレキシブル銅張積層板を両面銅張積層板とするには、前記片面フレキシブル銅張積層板と、これとは別に準備した銅箔(B)とを300〜400℃にて熱圧着する方法が挙げられる。
<FPC>
本実施の形態のフレキシブル銅張積層板は、主にFPC材料として有用である。すなわち、本実施の形態のフレキシブル銅張積層板の金属箔を常法によってパターン状に加工して配線層を形成することによって、本発明の一実施の形態であるFPCを製造できる。
本実施の形態のフレキシブル銅張積層板は、主にFPC材料として有用である。すなわち、本実施の形態のフレキシブル銅張積層板の金属箔を常法によってパターン状に加工して配線層を形成することによって、本発明の一実施の形態であるFPCを製造できる。
以下、実施例に基づき本発明をより詳細に説明する。なお、下記の実施例における各特性評価は、以下の方法により行った。
[引張弾性率の測定]
引張弾性率の測定にあたり銅箔に関しては、真空オーブンを用いてフレキシブル銅張積層板の処理工程と同等の熱処理を与えた銅箔を用いた。また、ポリイミド層に関しては、フレキシブル銅張積層板をエッチングして銅箔を完全に除去したポリイミドフィルムを用いた。このようにして得られた材料を、株式会社東洋精機製作所製ストログラフR−1を用いて、温度23℃、相対湿度50%の環境下で引張弾性率の値を測定した。
引張弾性率の測定にあたり銅箔に関しては、真空オーブンを用いてフレキシブル銅張積層板の処理工程と同等の熱処理を与えた銅箔を用いた。また、ポリイミド層に関しては、フレキシブル銅張積層板をエッチングして銅箔を完全に除去したポリイミドフィルムを用いた。このようにして得られた材料を、株式会社東洋精機製作所製ストログラフR−1を用いて、温度23℃、相対湿度50%の環境下で引張弾性率の値を測定した。
[熱膨張係数(CTE)の測定]
セイコーインスツルメンツ製のサーモメカニカルアナライザーを使用し、250℃まで昇温し、更にその温度で10分保持した後、5℃/分の速度で冷却し、240℃から100℃までの平均熱膨張係数(線熱膨張係数)を求めた。
セイコーインスツルメンツ製のサーモメカニカルアナライザーを使用し、250℃まで昇温し、更にその温度で10分保持した後、5℃/分の速度で冷却し、240℃から100℃までの平均熱膨張係数(線熱膨張係数)を求めた。
[表面粗さ(Rz)の測定]
接触式表面粗さ測定機((株)小坂研究所製SE1700)を用いて、銅箔のポリイミド絶縁層との接触面側の表面粗さを測定した。
接触式表面粗さ測定機((株)小坂研究所製SE1700)を用いて、銅箔のポリイミド絶縁層との接触面側の表面粗さを測定した。
[はぜ折りの測定(折り曲げ試験)]
銅張積層板の銅箔をエッチング加工し、その長手方向に沿ってライン幅100μm、スペース幅100μmにて長さが40mmの10列の銅配線51を形成した試験片(試験回路基板片)40を作製した(図1)。試験片40における銅配線51のみを表した図1に示したように、その試験片40における10列の銅配線51は、U字部52を介して全て連続して繋がっており、その両端には抵抗値測定用の電極部分(図示外)を設けている。
銅張積層板の銅箔をエッチング加工し、その長手方向に沿ってライン幅100μm、スペース幅100μmにて長さが40mmの10列の銅配線51を形成した試験片(試験回路基板片)40を作製した(図1)。試験片40における銅配線51のみを表した図1に示したように、その試験片40における10列の銅配線51は、U字部52を介して全て連続して繋がっており、その両端には抵抗値測定用の電極部分(図示外)を設けている。
試験片40を、二つ折りが可能な試料ステージ20及び21上に固定し、抵抗値測定用の配線を接続して、抵抗値のモニタリングを開始した(図2)。折り曲げ試験は、10列の銅配線51に対して、長手方向のちょうど中央部分にて、銅配線51が内側になって向き合うように折り曲げて行った。この際、ウレタン製のローラー22を用いて、折り曲げ箇所40CのギャップGが0.3mmとなるように制御しながら、折り曲げた線と並行にローラー22を移動させ、10列の銅配線51を全て折り曲げた後(図3及び図4)、折り曲げ部分を開いて試験片40を平らな状態に戻し(図5)、折り目がついている部分を再度ローラー22にて抑えたまま移動させ(図6)、この一連の工程をもってはぜ折り回数1回とカウントするようにした。このような手順で折り曲げ試験を繰り返し行う間、常時、銅配線51の抵抗値をモニタリングし、所定の抵抗(3000Ω)になった時点を銅配線51の破断と判断し、その時までに繰り返した折り曲げ回数をはぜ折り測定値とした。このはぜ折り測定値が50回以上である場合を「良好」、50回未満である場合を「不良」と評価した。
なお、折り曲げ試験において、最初から折り曲げられた状態の試験片40を用いる場合は、一旦展開して折り曲げを解消させた状態を折り曲げ回数ゼロとし、上記手順で折り曲げ回数をカウントする。
[折曲角度の測定]
上記折り曲げ試験にてはぜ折り回数1回後に試験片40を試料ステージ20及び21から取り外し、図7に示すように、固定されていない状態での試験片40の折り目が成す角度を計測し、これを折曲角度θ1とした。この試験片を再び試料ステージ20及び21に設置し折り曲げ試験を繰り返し、延べはぜ折り回数3回後の折曲角度を同様にして計測しこれを折曲角度θ3とした。更に同様の操作を繰り返し延べはぜ折り回数5回後の折曲角度θ5を計測した。折曲角度θ1、θ3、θ5は、いずれも折り曲げた部分を間に挟んで銅配線51と銅配線とがなす角度である。
上記折り曲げ試験にてはぜ折り回数1回後に試験片40を試料ステージ20及び21から取り外し、図7に示すように、固定されていない状態での試験片40の折り目が成す角度を計測し、これを折曲角度θ1とした。この試験片を再び試料ステージ20及び21に設置し折り曲げ試験を繰り返し、延べはぜ折り回数3回後の折曲角度を同様にして計測しこれを折曲角度θ3とした。更に同様の操作を繰り返し延べはぜ折り回数5回後の折曲角度θ5を計測した。折曲角度θ1、θ3、θ5は、いずれも折り曲げた部分を間に挟んで銅配線51と銅配線とがなす角度である。
実施例、比較例に記載のフレキシブル銅張積層板の製造方法について次に示す。
[ポリアミド酸溶液の合成]
(合成例1)
熱電対及び攪拌機を備えると共に窒素導入が可能な反応容器に、N,N−ジメチルアセトアミドを入れ、さらに、この反応容器に2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)を投入して容器中で撹拌しながら溶解させた。次に、ピロメリット酸二無水物(PMDA)をモノマーの投入総量が12wt%となるように投入した。その後、3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸aの樹脂溶液を得た。ポリアミド酸aから形成された厚み25μmのポリイミドフィルムの熱膨張係数(CTE)は、55×10−6/Kであった。
(合成例1)
熱電対及び攪拌機を備えると共に窒素導入が可能な反応容器に、N,N−ジメチルアセトアミドを入れ、さらに、この反応容器に2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)を投入して容器中で撹拌しながら溶解させた。次に、ピロメリット酸二無水物(PMDA)をモノマーの投入総量が12wt%となるように投入した。その後、3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸aの樹脂溶液を得た。ポリアミド酸aから形成された厚み25μmのポリイミドフィルムの熱膨張係数(CTE)は、55×10−6/Kであった。
(合成例2)
熱電対及び攪拌機を備えると共に窒素導入が可能な反応容器に、N,N−ジメチルアセトアミドを入れ、さらに、この反応容器に2,2'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル(m-TB)を投入して容器中で攪拌しながら溶解させた。次に、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)およびピロメリット酸二無水物(PMDA)をモノマーの投入総量が15wt%、各酸無水物のモル比率(BPDA:PMDA)が20:80となるように投入した。その後、3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸bの樹脂溶液を得た。ポリアミド酸bから形成された厚み25μmのポリイミドフィルムの熱膨張係数(CTE)は、22×10−6/Kであった。
熱電対及び攪拌機を備えると共に窒素導入が可能な反応容器に、N,N−ジメチルアセトアミドを入れ、さらに、この反応容器に2,2'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル(m-TB)を投入して容器中で攪拌しながら溶解させた。次に、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)およびピロメリット酸二無水物(PMDA)をモノマーの投入総量が15wt%、各酸無水物のモル比率(BPDA:PMDA)が20:80となるように投入した。その後、3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸bの樹脂溶液を得た。ポリアミド酸bから形成された厚み25μmのポリイミドフィルムの熱膨張係数(CTE)は、22×10−6/Kであった。
(合成例3)
熱電対及び攪拌機を備えると共に窒素導入が可能な反応容器に、N,N−ジメチルアセトアミドを入れ、さらに、この反応容器に2,2'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル(m-TB)および4,4'−ジアミノジフェニルエーテル(DAPE)を各ジアミンのモル比率(m-TB:DAPE)が60:40となるように投入して容器中で攪拌しながら溶解させた。次に、ピロメリット酸二無水物(PMDA)をモノマーの投入総量が16wt%となるように投入した。その後、3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸cの樹脂溶液を得た。ポリアミド酸cから形成された厚み25μmのポリイミドフィルムの熱膨張係数(CTE)は、22×10−6/Kであった。
熱電対及び攪拌機を備えると共に窒素導入が可能な反応容器に、N,N−ジメチルアセトアミドを入れ、さらに、この反応容器に2,2'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル(m-TB)および4,4'−ジアミノジフェニルエーテル(DAPE)を各ジアミンのモル比率(m-TB:DAPE)が60:40となるように投入して容器中で攪拌しながら溶解させた。次に、ピロメリット酸二無水物(PMDA)をモノマーの投入総量が16wt%となるように投入した。その後、3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸cの樹脂溶液を得た。ポリアミド酸cから形成された厚み25μmのポリイミドフィルムの熱膨張係数(CTE)は、22×10−6/Kであった。
(実施例1)
厚さ12μmで長尺状の圧延銅箔の片面(表面粗さRz=0.8μm)に合成例1で調製したポリアミド酸aの樹脂溶液を硬化後の厚みが2.2μmとなるように均一に塗布した後、130℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。次に、この塗布面側に合成例2で調製したポリアミド酸bの樹脂溶液を硬化後の厚みが7.6μmとなるように均一に塗布し、135℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、この塗布面側に第1層目で塗布したものと同じポリアミド酸aの樹脂溶液を硬化後の厚みが2.2μmとなるように均一に塗布し、130℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。この長尺状の積層体を130℃から開始して300℃まで段階的に温度が上がるように設定した連続硬化炉にて、合計6分程度の時間をかけて熱処理し、ポリイミド層の厚みが12μmの片面フレキシブル銅張積層板を得た。
厚さ12μmで長尺状の圧延銅箔の片面(表面粗さRz=0.8μm)に合成例1で調製したポリアミド酸aの樹脂溶液を硬化後の厚みが2.2μmとなるように均一に塗布した後、130℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。次に、この塗布面側に合成例2で調製したポリアミド酸bの樹脂溶液を硬化後の厚みが7.6μmとなるように均一に塗布し、135℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、この塗布面側に第1層目で塗布したものと同じポリアミド酸aの樹脂溶液を硬化後の厚みが2.2μmとなるように均一に塗布し、130℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。この長尺状の積層体を130℃から開始して300℃まで段階的に温度が上がるように設定した連続硬化炉にて、合計6分程度の時間をかけて熱処理し、ポリイミド層の厚みが12μmの片面フレキシブル銅張積層板を得た。
得られたフレキシブル銅張積層板を構成する銅箔の引張弾性率、ポリイミド層の引張弾性率等の物性値、フレキシブル銅張積層板の折曲角度および耐折り曲げ性の評価結果を表1に示す。なお、ポリイミド層の評価は製造された銅張積層板から銅箔をエッチング除去したものを用いた。
(実施例2)
銅箔として、表1に示した特性を有する厚さ12μmの市販の電解銅箔(塗布面の表面粗さRz=1.1μm)を用いた以外は実施例1と同様にして、片面フレキシブル銅張積層板を得た。得られた片面フレキシブル銅張積層板についての折曲角度および耐折り曲げ性の評価結果を表1に示す。
銅箔として、表1に示した特性を有する厚さ12μmの市販の電解銅箔(塗布面の表面粗さRz=1.1μm)を用いた以外は実施例1と同様にして、片面フレキシブル銅張積層板を得た。得られた片面フレキシブル銅張積層板についての折曲角度および耐折り曲げ性の評価結果を表1に示す。
(実施例3)
表1に示した特性を有し、厚さ12μmの電解銅箔(塗布面の表面粗さRz=1.1μm)を使用し、ポリイミド層の厚み構成を以下のように変更した以外は実施例1と同様にして、片面フレキシブル銅張積層板を得た。
表1に示した特性を有し、厚さ12μmの電解銅箔(塗布面の表面粗さRz=1.1μm)を使用し、ポリイミド層の厚み構成を以下のように変更した以外は実施例1と同様にして、片面フレキシブル銅張積層板を得た。
ここで、ポリイミド層の厚み構成は、銅箔上に合成例1で調製したポリアミド酸aの樹脂溶液を硬化後の厚みが2.0μm、その上に合成例2で調製したポリアミド酸bの樹脂溶液を硬化後の厚みが5.0μm、更にその上に合成例1で調製したポリアミド酸aの樹脂溶液を硬化後の厚みが2.0μmとなるようにした。得られた片面フレキシブル銅張積層板についての折曲角度および耐折り曲げ性の評価結果を表1に示す。
(実施例4)
銅箔として、表1に示した特性を有する厚さ9μmの市販の電解銅箔(塗布面の表面粗さRz=1.1μm)を用いた以外は実施例3と同様にして、片面フレキシブル銅張積層板を得た。得られた片面フレキシブル銅張積層板についての折曲角度および耐折り曲げ性の評価結果を表1に示す。
銅箔として、表1に示した特性を有する厚さ9μmの市販の電解銅箔(塗布面の表面粗さRz=1.1μm)を用いた以外は実施例3と同様にして、片面フレキシブル銅張積層板を得た。得られた片面フレキシブル銅張積層板についての折曲角度および耐折り曲げ性の評価結果を表1に示す。
(実施例5)
銅箔として、表1に示した特性を有する厚さ18μmの市販の圧延銅箔(塗布面の表面粗さRz=0.8μm)を用いた以外は実施例1と同様にして、片面フレキシブル銅張積層板を得た。得られた片面フレキシブル銅張積層板についての折曲角度および耐折り曲げ性の評価結果を表1に示す。
銅箔として、表1に示した特性を有する厚さ18μmの市販の圧延銅箔(塗布面の表面粗さRz=0.8μm)を用いた以外は実施例1と同様にして、片面フレキシブル銅張積層板を得た。得られた片面フレキシブル銅張積層板についての折曲角度および耐折り曲げ性の評価結果を表1に示す。
(実施例6)
表1に示した特性を有し、厚さ12μmで長尺状の市販の電解銅箔(塗布面の表面粗さRz=1.1μm)上に、合成例1で調製したポリアミド酸aの樹脂溶液を硬化後の厚みが2.5μmとなるように均一に塗布した後、130℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。次に、この塗布面側に合成例3で調製したポリアミド酸cの樹脂溶液を硬化後の厚みが20.0μmとなるように均一に塗布し、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、この塗布面側に第1層目で塗布したものと同じポリアミド酸aの樹脂溶液を硬化後の厚みが2.5μmとなるように均一に塗布し、130℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。この長尺状の積層体を130℃から開始して300℃まで段階的に温度が上がるように設定した連続硬化炉にて、合計6分程度の時間をかけて熱処理し、ポリイミド樹脂層厚み25μmの片面フレキシブル銅張積層板を得た。得られた片面フレキシブル銅張積層板についての折曲角度および耐折り曲げ性の評価結果を表1に示す。
表1に示した特性を有し、厚さ12μmで長尺状の市販の電解銅箔(塗布面の表面粗さRz=1.1μm)上に、合成例1で調製したポリアミド酸aの樹脂溶液を硬化後の厚みが2.5μmとなるように均一に塗布した後、130℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。次に、この塗布面側に合成例3で調製したポリアミド酸cの樹脂溶液を硬化後の厚みが20.0μmとなるように均一に塗布し、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、この塗布面側に第1層目で塗布したものと同じポリアミド酸aの樹脂溶液を硬化後の厚みが2.5μmとなるように均一に塗布し、130℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。この長尺状の積層体を130℃から開始して300℃まで段階的に温度が上がるように設定した連続硬化炉にて、合計6分程度の時間をかけて熱処理し、ポリイミド樹脂層厚み25μmの片面フレキシブル銅張積層板を得た。得られた片面フレキシブル銅張積層板についての折曲角度および耐折り曲げ性の評価結果を表1に示す。
(比較例1)
表1に示した特性を有し、厚さ12μmの電解銅箔(塗布面の表面粗さRz=1.1μm)を使用し、ポリイミド層の厚み構成を以下のように変更した以外は実施例1と同様にして、片面フレキシブル銅張積層板を得た。
表1に示した特性を有し、厚さ12μmの電解銅箔(塗布面の表面粗さRz=1.1μm)を使用し、ポリイミド層の厚み構成を以下のように変更した以外は実施例1と同様にして、片面フレキシブル銅張積層板を得た。
ここで、ポリイミド層の厚み構成は、銅箔上に合成例1で調製したポリアミド酸aの樹脂溶液を硬化後の厚みが2.0μm、その上に合成例2で調製したポリアミド酸bの樹脂溶液を硬化後の厚みが16.0μm、更にその上に合成例1で調製したポリアミド酸aの樹脂溶液を硬化後の厚みが2.0μmとなるようにした。得られた片面フレキシブル銅張積層板についての折曲角度および耐折り曲げ性の評価結果を表1に示す。
(比較例2)
表1に示した特性を有し、厚さ12μmで長尺状の市販の電解銅箔(塗布面の表面粗さRz=1.1μm)上に、合成例1で調製したポリアミド酸aの樹脂溶液を硬化後の厚みが4.0μmとなるように均一に塗布した後、130℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。次に、この塗布面側に合成例3で調製したポリアミド酸cの樹脂溶液を硬化後の厚みが42.0μmとなるように均一に塗布し、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、この塗布面側に第1層目で塗布したものと同じポリアミド酸aの樹脂溶液を硬化後の厚みが4.0μmとなるように均一に塗布し、130℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。この長尺状の積層体を130℃から開始して300℃まで段階的に温度が上がるように設定した連続硬化炉にて、合計10分程度の時間をかけて熱処理し、ポリイミド樹脂層厚み50μmの片面フレキシブル銅張積層板を得た。得られた片面フレキシブル銅張積層板についての折曲角度および耐折り曲げ性の評価結果を表1に示す。
表1に示した特性を有し、厚さ12μmで長尺状の市販の電解銅箔(塗布面の表面粗さRz=1.1μm)上に、合成例1で調製したポリアミド酸aの樹脂溶液を硬化後の厚みが4.0μmとなるように均一に塗布した後、130℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。次に、この塗布面側に合成例3で調製したポリアミド酸cの樹脂溶液を硬化後の厚みが42.0μmとなるように均一に塗布し、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、この塗布面側に第1層目で塗布したものと同じポリアミド酸aの樹脂溶液を硬化後の厚みが4.0μmとなるように均一に塗布し、130℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。この長尺状の積層体を130℃から開始して300℃まで段階的に温度が上がるように設定した連続硬化炉にて、合計10分程度の時間をかけて熱処理し、ポリイミド樹脂層厚み50μmの片面フレキシブル銅張積層板を得た。得られた片面フレキシブル銅張積層板についての折曲角度および耐折り曲げ性の評価結果を表1に示す。
(比較例3)
銅箔として、表1に示した特性を有する厚さ18μmの市販の圧延銅箔(塗布面の表面粗さRz=1.1μm)を用いた以外は比較例2と同様にして、片面フレキシブル銅張積層板を得た。得られた片面フレキシブル銅張積層板についての折曲角度および耐折り曲げ性の評価結果を表1に示す。
銅箔として、表1に示した特性を有する厚さ18μmの市販の圧延銅箔(塗布面の表面粗さRz=1.1μm)を用いた以外は比較例2と同様にして、片面フレキシブル銅張積層板を得た。得られた片面フレキシブル銅張積層板についての折曲角度および耐折り曲げ性の評価結果を表1に示す。
以上の結果をまとめて、表1に示す。
表1から、実施例1〜6のフレキシブル銅張積層板は、いずれも上記a〜dの構成を具備することによって、折曲角度の変化量(θ1−θ5)が8°未満となっており、はぜ折り測定値が50回以上と良好な値を示し、耐折り曲げ性が満足できる結果であった。一方、ポリイミド層の厚みが30μmを超える比較例2及び3では、いずれも、はぜ折り回数が少なく、耐折り曲げ性が不良であった。比較例1では、上記a〜dの構成を具備するが、折曲角度の変化量(θ1−θ5)が10°であるので、はぜ折り回数が少なく、耐折り曲げ性が不良であった。
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはない。
20、21:試料ステージ
22:ローラー
40:試験片
40C:試験片の折り曲げ箇所
51:銅配線
52:銅配線のU字部
22:ローラー
40:試験片
40C:試験片の折り曲げ箇所
51:銅配線
52:銅配線のU字部
Claims (3)
- ポリイミド絶縁層(A)と、該ポリイミド絶縁層(A)の少なくとも一方の面に設けられた銅箔(B)とを備えたフレキシブル銅張積層板であって、以下のa〜dの構成:
a)当該フレキシブル銅張積層板の厚みが15〜38μmの範囲内であること;
b)前記ポリイミド絶縁層(A)の厚みが5〜30μmの範囲内であり、かつ、引張弾性率が4〜10GPaの範囲内であること;
c)前記銅箔(B)の厚みが5〜20μm範囲内であり、かつ、引張弾性率が10〜35GPaの範囲内であること;
d)前記ポリイミド絶縁層(A)と前記銅箔(B)との厚みの比[銅箔(B)の厚み/ポリイミド絶縁層(A)の厚み]が、0.48〜1.5の範囲内であること;
を具備するものであり、
当該フレキシブル銅張積層板の銅箔(B)を配線回路加工して銅配線を形成することによって作成したフレキシブル回路基板を、ギャップ0.3mmでの折り曲げ試験に供した場合において、1回目の折り曲げによって生じる折曲角度(θ1)と、5回目の折り曲げによって生じる折曲角度(θ5)との変化量(θ1−θ5)が8°未満であることを特徴とするフレキシブル銅張積層板。 - 更に、当該フレキシブル銅張積層板の銅箔(B)を配線回路加工して銅配線を形成することによって作成したフレキシブル回路基板を、ギャップ0.3mmでの折り曲げ試験に供した場合において、3回目の折り曲げによって生じる折曲角度(θ3)と、5回目の折り曲げによって生じる折曲角度(θ5)との変化量(θ3−θ5)が1°以下である請求項1に記載のフレキシブル銅張積層板。
- 請求項1又は2に記載のフレキシブル銅張積層板の銅箔を配線回路加工してなるフレキシブル回路基板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013205949A JP2015070237A (ja) | 2013-09-30 | 2013-09-30 | フレキシブル銅張積層板及びフレキシブル回路基板 |
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JP2013205949A JP2015070237A (ja) | 2013-09-30 | 2013-09-30 | フレキシブル銅張積層板及びフレキシブル回路基板 |
Publications (1)
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JP2015070237A true JP2015070237A (ja) | 2015-04-13 |
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ID=52836605
Family Applications (1)
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JP2013205949A Pending JP2015070237A (ja) | 2013-09-30 | 2013-09-30 | フレキシブル銅張積層板及びフレキシブル回路基板 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7336614B1 (ja) * | 2023-03-29 | 2023-08-31 | 住友化学株式会社 | 積層フィルム |
JP7357815B1 (ja) * | 2023-03-29 | 2023-10-06 | 住友化学株式会社 | 積層フィルム |
-
2013
- 2013-09-30 JP JP2013205949A patent/JP2015070237A/ja active Pending
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