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JP2015068303A - 回転式圧縮機 - Google Patents

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JP2015068303A
JP2015068303A JP2013204990A JP2013204990A JP2015068303A JP 2015068303 A JP2015068303 A JP 2015068303A JP 2013204990 A JP2013204990 A JP 2013204990A JP 2013204990 A JP2013204990 A JP 2013204990A JP 2015068303 A JP2015068303 A JP 2015068303A
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孝志 清水
Takashi Shimizu
孝志 清水
和貴 堀
Kazuki Hori
和貴 堀
孝一 田中
Koichi Tanaka
孝一 田中
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Daikin Industries Ltd
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Abstract

【課題】冷媒ガスの圧力損失を抑制して、吐出ポート内の圧力の脈動を抑制する。
【解決手段】ケーシング(10)内に設けられた圧縮機構(20)と、圧縮機構(20)に設けられた吐出ポート(21b)と、吐出ポート(21b)内に潤滑油を供給するポート給油機構(40)とを備え、圧縮機構(20)は、円環状のシリンダ本体(22)と、その内周面に対向する外周面を有するピストン(26a)と、シリンダ室(25)を区画するブレード(26b)とを備え、端板(23)に設けられた吐出ポート(21b)は、開口形状が周方向に延びる長円状であり、シリンダ本体(22)の内周面の吐出ポート(21b)に重なる部分(22b)では、シリンダ本体(22)の内径の1/2の曲率半径を有する円弧が軸方向に連続している。
【選択図】図5

Description

本発明は、回転式圧縮機に関し、特に、シリンダ室で冷媒ガスを圧縮する圧縮機構の吐出ポート内に潤滑油を供給するポート給油機構を備えた回転式圧縮機に関する。
回転式圧縮機では、シリンダ室で冷媒ガスを圧縮する圧縮機構の吐出ポート内に残留する高圧ガスの再膨張により発生する振動や騒音の低減が要望されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
例えば、特許文献1には、圧縮機構の吐出ポート内に潤滑油を供給する油供給経路が設けられた高圧ドーム式の回転式圧縮機が開示されている。
特開2011−21608号公報 実開平2−50087号公報
ところで、特許文献1に開示された回転式圧縮機では、吐出ポート内に潤滑油を供給する油供給経路が設けられているので、吐出ポート内に残留する高圧の冷媒ガスの再膨張により発生する振動や騒音を低減することができるものの、冷媒ガスの圧力損失を抑制するために、上記特許文献2に開示されているように、圧縮機構を構成する円環状のシリンダ本体の内周側に吐出ポートとシリンダ室とを連通する切り欠き溝を設けることが考えられる。そうなると、圧縮機構を構成するピストンが吐出ポートを通過する際に、切り欠き溝を介して潤滑油が漏れ易いので、吐出ポート内の圧力の脈動が大きくなることにより、上記振動や騒音の低減効果が損なわれてしまう。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、冷媒ガスの圧力損失を抑制して、吐出ポート内の圧力の脈動を抑制することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、シリンダ本体(22)の端面開口部を閉塞する端板(23)にシリンダ本体(22)の周方向に延びる長円状の開口形状の吐出ポート(21b)を設け、シリンダ本体(22)の内周面の吐出ポート(21b)に重なる部分(22b)では、シリンダ本体(22)の内径の1/2の曲率半径を有する円弧が軸方向に連続するようにしたものである。
具体的に第1の発明は、ケーシング(10)と、上記ケーシング(10)内に設けられ、シリンダ室(25)で冷媒ガスを圧縮する圧縮機構(20)と、上記圧縮機構(20)に設けられ、吐出過程中に開放される一方で該吐出過程の終了時から次の圧縮過程の間に閉鎖される吐出弁(28a)が装着された吐出ポート(21b)と、上記ケーシング(10)の底部に貯留する潤滑油を上記吐出ポート(21b)内に供給するポート給油機構(40)とを備え、上記吐出ポート(21b)から上記吐出過程中に吐出された高圧の冷媒ガスが上記ケーシング(10)内の空間を介して該ケーシング(10)の外部に吐出される高圧ドーム式の回転式圧縮機であって、上記圧縮機構(20)は、円環状のシリンダ本体(22)と、該シリンダ本体(22)の内周面に対向する外周面を有するピストン(26a)と、該シリンダ本体(22)及びピストン(26a)の間の上記シリンダ室(25)を吸入室(25a)及び圧縮室(25b)に区画するブレード(26b)とを備え、上記吐出ポート(21b)は、上記シリンダ本体(22)の端面開口部を閉塞する端板(23)に設けられ、開口形状が該シリンダ本体(22)の周方向に延びる長円状であり、上記シリンダ本体(22)の内周面における上記吐出ポート(21b)に重なる部分(22b)では、上記シリンダ本体(22)の内径の1/2の曲率半径を有する円弧が軸方向に連続していることを特徴とするものである。
上記第1の発明では、圧縮機構(20)が動作することにより、低圧の冷媒ガスが圧縮されて高圧の冷媒ガスになる。そして、高圧の冷媒ガスは、吐出過程中に圧縮機構(20)の吐出ポート(21b)からケーシング(10)内に吐出され、ケーシング(10)内の空間に充満した後に、ケーシング(10)から外部に流出される。なお、圧縮、凝縮、膨張及び蒸発を順に繰り返す冷凍サイクルでは、圧縮機構(20)を備えた回転式圧縮機が蒸発器から供給される低圧の冷媒ガスを圧縮して高圧の冷媒ガスとして凝縮器に供給するように構成されている。また、圧縮機構(20)を備えた回転式圧縮機では、圧縮機構(20)を構成するピストン(26a)がシリンダ室(25)内で旋回運動することにより、シリンダ室(25)内でブレード(26b)を介して区画される吸入室(25a)及び圧縮室(25b)の各容積が拡大する動作と縮小する動作とを繰り返し、吸入室(25a)の容積が拡大するときに冷媒ガスが吸入され、圧縮室(25b)の容積が縮小する際に冷媒ガスが圧縮されて吐出される。ここで、圧縮機構(20)の動作中に、ポート給油機構(40)によって、吐出ポート(21b)に潤滑油が供給され、圧縮機構(20)の吐出過程が終了する際に吐出ポート(21b)が吐出弁(28a)で閉鎖されるので、吐出過程終了時から吐出ポート(21b)内の潤滑油が緩やかに抜けていくことになる。さらに、シリンダ本体(22)の内周面における吐出ポート(21b)に重なる部分(22b)では、シリンダ本体(22)の内径の1/2の曲率半径を有する円弧が軸方向に連続しており、すなわち、シリンダ本体(22)の内周面に吐出ポート(21b)に連通する切り欠き溝などが形成されていないので、ピストン(26a)が吐出ポート(21b)を通過する際に吐出ポート(21b)から潤滑油が抜け難くなる。そのため、吐出過程が終了した際には、吐出ポート(21b)内に残った潤滑油が緩やかに吸入室(25a)に逆流することにより、冷媒ガスの逆流通路面積が絞られるので、吐出ポート(21b)に残留した冷媒ガスの再膨張(吸入室(25a)への冷媒ガスの逆流)も緩やかになって、吐出ポート(21b)内の圧力の脈動が抑制される。また、シリンダ本体(22)の端面開口部を閉塞する端板(23)に設けられた吐出ポート(21b)は、その開口形状がシリンダ本体(22)の周方向に延びる長円状であり、シリンダ本体(22)に重なっている部分が少なくなり、ポート開口面積の大部分がシリンダ室(25)に開口しているので、吐出ポート(21b)から高圧の冷媒ガスを吐出する際の圧力損失が抑制される。これにより、吐出ポート(21b)の開口形状及び位置により冷媒ガスの圧力損失が抑制され、シリンダ本体(22)の内周面の吐出ポート(21b)に重なる部分(22b)の表面形状により吐出ポート(21b)内の圧力の脈動が抑制されるので、冷媒ガスの圧力損失を抑制して、吐出ポート(21b)内の圧力の脈動を抑制することができる。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記ピストン(26a)及びブレード(26b)は、一体に形成され、上記ピストン(26a)の外周面は、上記ブレード(26b)の上記圧縮室(25b)側の付け根の部分に平坦に設けられた第1平面部(26f)と、上記ブレード(26b)の上記吸入室(25a)側の付け根の部分に平坦に設けられた第2平面部(26g)と、上記第1平面部(26f)及び第2平面部(26g)の間に設けられた曲面部(26c)とを有し、上記吐出ポート(21b)は、上記ピストン(26a)の曲面部(26c)から第1平面部(26f)に切り替わるヌスミ開始点よりも前で上記圧縮室(25b)に連通する位置に設けられていることを特徴とするものである。
上記第2の発明では、吐出ポート(21b)がピストン(26a)の曲面部(26c)から第1平面部(26f)に切り替わるヌスミ開始点よりも前で圧縮室(25b)に連通する位置に設けられているので、ピストン(26a)の端面が吐出ポート(21b)を通過する際に、シリンダ本体(22)の内周面とピストン(26a)の第1平面部(26f)との間のヌスミに溜まった冷媒ガスは、シリンダ本体(22)の内周面とピストン(26a)の曲面部(26c)との間の潤滑油を介して互いに接する微小な隙間を通らずに、一旦、吐出ポート(21b)を経由して、その微小な隙間近傍の吐出ポート(21b)から露出して軸方向に延びる隙間を介して吸入室(25a)に逆流することにより、冷媒ガスの再膨張も緩やかになって、吐出ポート(21b)内の圧力の脈動を抑制することができる。
本発明によれば、シリンダ本体(22)の端面開口部を閉塞する端板(23)にシリンダ本体(22)の周方向に延びる長円状の開口形状の吐出ポート(21b)が設けられ、シリンダ本体(22)の内周面の吐出ポート(21b)に重なる部分(22b)では、シリンダ本体(22)の内径の1/2の曲率半径を有する円弧が軸方向に連続しているので、冷媒ガスの圧力損失を抑制して、吐出ポート(21b)内の圧力の脈動を抑制することができる。
実施形態1に係る回転式圧縮機の縦断面図である。 実施形態1に係る回転式圧縮機の要部縦断面図である。 実施形態1に係る回転式圧縮機を構成する圧縮機構の内部構造を示す平面図である。 実施形態1に係る圧縮機構を構成する揺動ピストンの平面図である。 実施形態1に係る圧縮機構の内部構造を示す要部平面図である。 実施形態1に係る圧縮機構の内部構造の変形例1を示す要部平面図である。 実施形態1に係る圧縮機構の内部構造の変形例2を示す要部平面図である。 実施形態1に係る圧縮機構の内部動作を示す第1の要部平面図である。 図8中のIX−IX線に沿った要部断面図である。 実施形態1に係る圧縮機構の内部動作を示す第2の要部平面図である。 図10中のXI−XI線に沿った要部断面図である。 実施例及び比較例に係る回転式圧縮機における駆動軸の回転角に対する吐出ポート内の圧力の変化を示すグラフである。 比較例に係る圧縮機構の内部動作を示す第1の要部平面図である。 図13中のXIV−XIV線に沿った要部断面図である。 比較例に係る圧縮機構の内部動作を示す第2の要部平面図である。 図15中のXVI−XVI線に沿った要部断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の各実施形態に限定されるものではない。
《発明の実施形態1》
図1〜図12は、本発明に係る回転式圧縮機の実施形態1を示している。ここで、図1は、本実施形態の回転式圧縮機(1)の縦断面図である。また、図2は、回転式圧縮機(1)の要部縦断面図である。また、図3は、回転式圧縮機(1)を構成するスイング型圧縮機構(20)の内部構造を示す平面図である。また、図4は、スイング型圧縮機構(20)を構成する揺動ピストン(26)の平面図である。また、図5は、スイング型圧縮機構(20)の内部構造を示す要部平面図である。また、図6及び図7は、スイング型圧縮機構(20)の内部構造の変形例1及び2をそれぞれ示す要部平面図である。
回転式圧縮機(1)は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルにおいて冷媒を圧縮する圧縮行程を行うように構成されている。ここで、回転式圧縮機(1)は、図1及び図2に示すように、縦長に形成されたケーシング(10)と、ケーシング(10)内の下方の位置に圧縮機構として設けられたスイング型圧縮機構(20)と、ケーシング(10)内の上方の位置にスイング型圧縮機構(20)を駆動するための駆動機構として設けられた電動機(30)と、ケーシング(10)の底部に貯留する潤滑油をスイング型圧縮機構(20)の後述する吐出ポート(21b)内に供給するポート給油機構(40)を備えている。
ケーシング(10)は、図1に示すように、縦長の略円筒状に形成された胴部(11)と、胴部(11)の上端の開口部を閉塞するように胴部(11)に固定された上部鏡板(12)と、胴部(11)の下端の開口部を閉塞するように胴部(11)に固定された下部鏡板(13)とを備えている。ここで、ケーシング(10)の下端部には、図1に示すように、潤滑油(冷凍機油)を貯留するための油溜まり(14)が形成されている。なお、油溜まり(14)の油面(15)は、図1に示すように、スイング型圧縮機構(20)の下部が潤滑油に浸かる程度の高さに設定されている。また、ケーシング(10)の胴部(11)には、図1及び図2に示すように、その下部側の位置にスイング型圧縮機構(20)と対応する位置に吸入管(16)が設けられている。さらに、ケーシング(10)の上部鏡板(12)には、図1に示すように、そのほぼ中心位置にケーシング(10)の軸方向の中心線に沿うように吐出管(17)が設けられている。これにより、回転式圧縮機(1)は、スイング型圧縮機構(20)から吐出された高圧の冷媒ガスをケーシング(10)内の空間を介してケーシング(10)外に吐出する高圧ドーム式になっている。
電動機(30)は、図1に示すように、略円筒状のステータ(31)と、ステータ(31)内に回転可能に設けられたロータ(32)とを備えている。
ステータ(31)は、図1に示すように、電磁鋼板を積層して略円筒状に形成されたステータコア(31a)と、ステータコア(31a)に巻き付けられたコイル(31b)とを備えている。ここで、ステータ(31)は、図1に示すように、ステータコア(31a)の外周面がケーシング(10)の胴部(11)における圧縮機構(20)の上方位置に溶接や焼き嵌めによって固定されている。
ロータ(32)は、図1に示すように、電磁鋼板を積層して略円筒状に形成されたロータコア(32a)と、ロータコア(32a)に装着された永久磁石(32b)とを備えている。ここで、ロータ(32)は、その外周面とステータ(31)の内周面との間に均一で微細なラジアルギャップ(図1ではギャップを誇張して表している)が形成されるように、ステータ(31)の内周側に配置されている。また、ロータ(32)には、図1に示すように、その内周面に駆動軸(33)が固定されている。
駆動軸(33)は、図1〜図3に示すように、ロータコア(32a)に固定された主軸部(33a)と、主軸部(33a)の下方寄りに固定された偏心部(33b)とを備え、クランク軸になっている。ここで、偏心部(33b)は、主軸部(33a)よりも大径に形成され、その中心が主軸部(33a)の中心から偏心している。
スイング型圧縮機構(20)は、図1〜図4に示すように、シリンダ室(25)が内部に設けられたシリンダ(21)と、シリンダ室(25)内に旋回運動可能に設けられた揺動ピストン(26)とを備えている。
シリンダ(21)は、図2に示すように、ケーシング(10)の胴部(11)に固定された略円環状のシリンダ本体(22)と、シリンダ本体(22)の上側の端面開口部を閉塞する端板として設けられたフロントヘッド(23)と、シリンダ本体(22)の下側の端面開口部を閉塞するように設けられたリアヘッド(24)とを備えている。ここで、シリンダ本体(22)、フロントヘッド(23)及びリアヘッド(24)の間に区画されたシリンダ室(25)内には、図1〜図3に示すように、駆動軸(33)の偏心部(33b)が配置されている。
シリンダ本体(22)には、図3及び図5に示すように、揺動ピストン(26)の後述するブレード(26b)を揺動可能に保持する一対の揺動ブッシュ(27)が設けられている。ここで、各揺動ブッシュ(27)は、断面が略半円形でシリンダ本体(22)と同程度の厚さに形成されている。また、一対の揺動ブッシュ(27)は、図3及び図5に示すように、シリンダ本体(22)の内周側に形成されたブッシュ保持凹部(22a)に平坦面同士が対向する状態で保持されている。そして、各揺動ブッシュ(27)の平坦面には、図3及び図5に示すように、揺動ピストン(26)のブレード(26b)を摺動自在に保持するためのブレード溝(27a)が形成されている。なお、シリンダ本体(22)には、ブッシュ保持凹部(22a)の径方向の外側に背圧室が形成されている。
フロントヘッド(23)は、シリンダ本体(22)の上側の端面にボルトなどの締結部材により固定されている。また、フロントヘッド(23)には、図1及び図2に示すように、駆動軸(33)の主軸部(33a)を回転可能に支持する軸受け部(23a)が設けられている。
リアヘッド(24)は、シリンダ本体(22)の下側の端面にボルトなどの締結部材により固定されている。また、リアヘッド(24)には、図1及び図2に示すように、駆動軸(33)の主軸部(33a)を回転可能に支持する軸受け部(24a)が設けられている。
揺動ピストン(26)は、図3及び図4に示すように、略円環状に設けられた揺動ピストン本体(26a)と、揺動ピストン本体(26a)の外周面から直立するように設けられ、揺動ピストン本体(26a)に一体に形成されたブレード(26b)とを備えている。
揺動ピストン本体(26a)は、図3及び図4に示すように、駆動軸(33)の偏心部(33b)の外周面に摺動可能に装着され、その外周面がブレード(26b)の圧縮室(25b)側の付け根の部分に平坦に設けられた第1平面部(26f)と、ブレード(26b)の吸入室(25a)側の付け根の部分に平坦に設けられた第2平面部(26g)と、第1平面部(26f)及び第2平面部(26g)の間に設けられた曲面部(26c)とにより構成されている。ここで、揺動ピストン本体(26a)の外周面における第1平面部(26f)及び第2平面部(26g)は、一体に形成されるブレード(26b)の側面の加工精度を向上させるためのヌスミになっている。そして、揺動ピストン本体(26a)の外周面には、図4に示すように、曲面部(26c)から第1平面部(26f)に切り替わるヌスミ開始点(S)が規定されている。また、揺動ピストン本体(26a)は、駆動軸(33)が回転するときに、その曲面部(26c)がシリンダ室(25)の内周面に潤滑油の膜を介して実質的に接するように構成されている。
ブレード(26b)は、図3に示すように、シリンダ本体(22)の内周側に設けられた一対の揺動ブッシュ(27)の間を摺動することにより、シリンダ室(25)を吸入室(25a)及び圧縮室(25b)に区画するように構成されている。
上記の構成により、スイング型圧縮機構(20)は、偏心部(33b)を有する駆動軸(33)が回転することにより、揺動ブッシュ(27)及びブレード(26b)が揺動すると共に、揺動ブッシュ(27)のブレード溝(27a)内をブレード(26b)が進退して、シリンダ室(25)の中で揺動ピストン本体(26a)がシリンダ室(25)の内周面に沿って旋回運動するように構成されている。
シリンダ本体(22)には、図2に示すように、吸入管(16)を接続するための吸入ポート(21a)が設けられている。
フロントヘッド(23)には、図1〜図3及び図5に示すように、シリンダ室(25)に開口する吐出ポート(21b)が設けられている。ここで、吐出ポート(21b)の開口形状は、図3及び図5に示すように、シリンダ本体(22)の周方向に延びる長円状になっている。なお、本実施形態では、シリンダ本体(22)にほぼ重ならないように設けられた吐出ポート(21b)を例示したが、例えば、吐出ポート(21b)を外側に少し移動させて、図6に示すようなシリンダ本体(22)に少し重なる吐出ポート(21c)、又は吐出ポート(21b)を周方向に対して少し傾斜させて、図7に示すようなシリンダ本体(22)に少し重なる吐出ポート(21d)などであってもよい。
シリンダ本体(22)の内周面には、吐出ポート(21b)に対応する部分に吐出ポート(21b)に連通する切り欠き溝などが形成されていなく、シリンダ本体(22)の内周面における吐出ポート(21b)に重なる部分(22b)では、シリンダ本体(22)の内径の1/2の曲率半径を有する円弧が軸方向に連続している。なお、本実施形態では、吐出ポート(21b)の開口形状として、レーストラック状の角丸長方形、すなわち、長円状を例示したが、例えば、楕円形などであってもよい。また、吐出ポート(21b)は、図5に示すように、揺動ピストン本体(26a)の外周面のヌスミ開始点(S)よりも前で圧縮室(25b)に連通する位置に設けられている。これにより、揺動ピストン本体(26a)の端面が吐出ポート(21b)を通過する際に、シリンダ本体(22)の内周面と揺動ピストン本体(26a)の第1平面部(26f)との間のヌスミに溜まった冷媒ガスは、シリンダ本体(22)の内周面と揺動ピストン本体(26a)の曲面部(26c)との間の潤滑油を介して互いに接する微小な隙間(後述するB部における隙間)を通らずに、一旦、吐出ポート(21b)を経由して、B部における微小な隙間近傍の吐出ポート(21b)から露出して軸方向に延びる隙間(後述するC部における隙間)を介して吸入室(25a)に逆流することにより、冷媒ガスの再膨張も緩やかになって、吐出ポート(21b)内の圧力の脈動が抑制される。
以下に、揺動ピストン本体(26a)が吐出ポート(21b)を通過する際の吐出ポート(21b)内の潤滑油の状態について、図8〜図11、図13〜図16を参照しながら詳細に説明する。ここで、図8は、スイング型圧縮機構(20)の内部動作を示す第1の要部平面図である。また、図9は、図8中のIX−IX線に沿った要部断面図である。また、図10は、スイング型圧縮機構(20)の内部動作を示す第2の要部平面図である。また、図11は、図10中のXI−XI線に沿った要部断面図である。また、図13は、比較例のスイング型圧縮機構(120)の内部動作を示す第1の要部平面図である。また、図14は、図13中のXIV−XIV線に沿った要部断面図である。また、図15は、比較例のスイング型圧縮機構(120)の内部動作を示す第2の要部平面図である。また、図16は、図15中のXVI−XVI線に沿った要部断面図である。なお、比較例のスイング型圧縮機構(120)では、図13〜図16に示すように、吐出ポート(121b)が平面視で真円状に形成されていると共に、図8に示すように、シリンダ本体(122)の内周面に吐出ポート(121b)に連通する切り欠き溝(122c)が設けられている。なお、比較例のスイング型圧縮機構(120)では、図13〜図16に示すように、スイング型圧縮機構(20)の各構成部材に対応する各構成部材を百番台で示し、その詳細な説明を省略する。
本実施形態のスイング型圧縮機構(20)において、駆動軸(33)を回転させて、回転角度が335°になったときには、図8及び図9に示すように、駆動軸(33)の主軸部(33a)の中心(Ca)と偏心部(33b)の中心(Cb)とを結んだ直線と、シリンダ本体(22)の内周面とが交わる位置に、シリンダ本体(22)の内周面と揺動ピストン本体(26a)の曲面部(26c)とが潤滑油を介して互いに接するCP(コンタクトポイント)隙間(G)が形成される。このとき、吐出ポート(21b)の内部には、後述するポート給油機構(40)により供給された潤滑油が溜まっている。その後、回転角度が352°になったときには、図10及び図11に示すように、シリンダ本体(22)の内周面と揺動ピストン本体(26a)の曲面部(26c)との間のB部(本実施形態ではヌスミ開始点(S)と一致)における隙間が狭いので、ヌスミ部(N)に溜まった潤滑油は、周方向に容易に抜けないで、吐出ポート(21b)の方に一旦上がって、シリンダ本体(22)の内周面と揺動ピストン本体(26a)の曲面部(26c)との間のC部における隙間の方に下がって吸入室(25a)に抜けることになる。
これに対して、比較例のスイング型圧縮機構(120)において、駆動軸(133)を回転させて、回転角度が335°になったときには、図13及び図14に示すように、駆動軸(133)の主軸部の中心(Ca)と偏心部(133b)の中心(Cb)とを結んだ直線と、シリンダ本体(122)の内周面とが交わる位置に、シリンダ本体(122)の内周面と揺動ピストン本体(126a)の曲面部(126c)とが潤滑油を介して互いに接するCP隙間(G)が形成される。このとき、吐出ポート(121b)の内部には、ポート給油機構(140)により供給された潤滑油が溜まっている。その後、回転角度が352°になったときには、図15及び図16に示すように、吐出ポート(121b)の内部に溜まった潤滑油は、シリンダ本体(122)に設けられた切り欠き溝(122c)を経由して周方向に容易に抜けてしまう。
図1及び図2に示すように、吐出ポート(21b)の上面には、リード弁である吐出弁(28a)が設けられ、吐出弁(28a)の上方には、吐出弁(28a)のリフト量を規制するための弁押さえ(28b)が設けられている。また、フロントヘッド(23)の上縁には、吐出ポート(21b)を覆う吐出マフラーとして吐出カバー(29)が装着されている。ここで、吐出カバー(29)には、図2に示すように、その内周側端部と軸受け部(23a)との間に吐出用空隙(29a)が形成されている。
駆動軸(33)の下端部には、図2に示すように、油溜まり(14)に浸かるように給油ポンプ(34)が設けられている。そして、駆動軸(33)には、図2に示すように、駆動軸(33)の中心に沿って給油ポンプ(34)から上方に伸びる給油通路(35)が形成されている。ここで、給油通路(35)は、図2に示すように、偏心部(33b)の上下両側の位置で駆動軸(33)の径方向に伸びる軸受け部給油路(36)を介して、軸受け部(23a、24a)と駆動軸(33)との間の摺動面に潤滑油を供給するようになっている。また、給油通路(35)は、図2に示すように、駆動軸(33)の下端から偏心部(33b)の少し上方までの領域に相対的に大径に形成された給油路(35a)と、給油路(35a)の上端から軸受け部(23a)の上端よりも少し上方の位置までの領域に相対的に小径に形成されたガス抜き通路(35b)とにより構成されている。なお、ガス抜き通路(35b)の上端には、図2に示すように、ガス抜き孔(35c)が形成され、ガス抜き孔(35c)は、駆動軸(33)を径方向に貫通している。また、駆動軸(33)の偏心部(33b)の外周面には、図2に示すように、軸方向に延びる軸方向スリット(41b)が形成されている。また、駆動軸(33)の偏心部(33b)の軸方向の両端部には、図2に示すように、軸方向スリット(41b)に連通する環状溝(42)が形成されている。また、駆動軸(33)には、図2に示すように、給油路(35a)と軸方向スリット(41b)とを連通する径方向給油孔(41a)が形成されている。そのため、給油ポンプ(34)で汲み上げられた給油通路(35)内の潤滑油は、径方向給油孔(41a)、軸方向スリット(41b)及び環状溝(42)を介して、駆動軸(33)の偏心部(33b)と揺動ピストン(26)との間の摺動面に供給される。
ポート給油機構(40)は、図2に示すように、油溜まり(14)の潤滑油をシリンダ室(25)を介して間接的に吐出ポート(21b)に供給する油供給用間接経路として構成されている。また、ポート給油機構(40)は、図2に示すように、シリンダ室(25)の内部に形成された油貯留凹部(46)を備えている。ここで、油貯留凹部(46)は、図2及び図3に示すように、リアヘッド(24)のシリンダ室(25)側の内面側に平面視で円形状の窪みにより形成されている。そして、油貯留凹部(46)は、図3に示すように、平面視で吐出ポート(21b)から離れ、揺動ピストン本体(26a)の端面で開閉される位置に形成されている。具体的には、油貯留凹部(46)は、吸入ポート(21a)が揺動ピストン本体(26a)で閉じられる圧縮過程開始時に揺動ピストン本体(26a)の端面から開放され、吐出過程が開始される直前に揺動ピストン本体(26a)の端面に覆われ、吐出過程中に偏心部(33b)と揺動ピストン本体(26a)との摺動面に連通する位置に形成されている。そのため、スイング型圧縮機構(20)の動作中には、上記のように、駆動軸(33)の偏心部(33b)と揺動ピストン本体(26a)との間の摺動面に潤滑油が供給され、その潤滑油は、一旦、油貯留凹部(46)内に溜められる。そして、油貯留凹部(46)内に潤滑油が入っている状態で揺動ピストン本体(26a)がシリンダ室(25)の内面に沿って旋回運動し、油貯留凹部(46)がシリンダ室(25)に開放されると、シリンダ室(25)の圧力が低いので、潤滑油が発泡した状態でシリンダ室(25)に入り、圧縮過程から吐出過程が進んで圧縮室(25b)の容積が小さくなることにより、吐出ポート(21b)内に潤滑油が供給される。
次に、上記構成の回転式圧縮機(1)の運転動作について説明する。
電動機(30)を起動するとロータ(32)が回転し、その回転が駆動軸(33)に伝達される。そして、駆動軸(33)が回転すると、シリンダ(21)内で揺動ピストン(26)がシリンダ室(25)の内周面に沿って旋回運動を行う。このことにより、シリンダ室(25)の吸入室(25a)及び圧縮室(25b)の各容積が拡大する動作と縮小する動作とを繰り返す。そして、吸入室(25a)の容積が拡大するときに吸入ポート(21a)から吸入室(25a)に冷媒ガスが吸入され、圧縮室(25b)の容積が縮小する際に冷媒ガスが圧縮されて吐出ポート(21b)からケーシング(10)内に吐出される。さらに、シリンダ室(25)から吐出された高圧の冷媒ガスは、ケーシング(10)内に充満し、その充満した高圧の冷媒ガスは、吐出管(17)から流出し、冷媒回路を循環する際に凝縮行程、膨張行程及び蒸発行程を経た後、再び回転式圧縮機(1)に吸入されて圧縮行程が行われる。以上のようにして、冷媒が冷媒回路を循環することにより、蒸気圧縮式冷凍サイクルが行われる。
ここで、スイング型圧縮機構(20)の動作中は、給油ポンプ(34)によって油溜まり(14)から汲み上げられた潤滑油が軸受け部(23a,24a)に供給されて、駆動軸(33)と軸受け部(23a)及び軸受け部(24a)との間の摺動抵抗を小さくすると共に、偏心部(33b)と揺動ピストン(26)との間にも供給されて、その間の摺動抵抗を小さくする。このとき、偏心部(33b)と揺動ピストン(26)との間に供給された潤滑油は、シリンダ室(25)内の油貯留凹部(46)を経由して吐出ポート(21b)にも供給される。
−実験例−
次に、具体的に行った実験について説明する。ここで、図12は、実施例及び比較例の回転式圧縮機における駆動軸の回転角(A)に対する吐出ポート(21b、121b)内の圧力の変化を示すグラフである。なお、図12のグラフでは、太実線(a)が実施例における圧力の変化を示し、細実線(b)が比較例における圧力の変化を示している。上述したように、比較例の回転式圧縮機では、吐出ポート(121b)が平面視で真円状に形成されていると共に、シリンダ本体(122)の内周面に吐出ポート(121b)に連通する切り欠き溝(122c)が設けられているのに対し、本実施形態の実施例の回転式圧縮機(1)では、吐出ポート(21b)が平面視で長円状に形成されていると共に、シリンダ本体(22)の内周面に吐出ポート(21b)に連通する切り欠き溝が設けられていない。さらに、吐出ポート(121b)の開口面積(ポート面積)は、吐出ポート(21b)の開口面積(ポート面積)と実質的に同じになっている。
ここで、実施例(及び比較例)では、シリンダ室(25)内での冷媒ガスの圧縮は、駆動軸(33)の回転中に吸入ポート(21a)が閉じ切ったときに始まり、その角度は、揺動ピストン(26)が上死点にある位置を0°とすると、時計回り方向に約45°付近の位置になる。そして、図7に示すように、駆動軸(33)の回転が進むと、吐出ポート(21b)内の圧力は、駆動軸(33)の回転角度が90°付近になるまであまり変化せず、駆動軸(33)の回転角度が90°を過ぎた辺りから約225°付近まで、最初は緩やかに上昇した後に、急激に上昇する。なお、駆動軸(33)の回転角度が225°付近で吐出弁(28a)が開き始め、吐出弁(28a)が最大リフト量まで開くと、吐出ポート(21b)内の圧力は、図7に示すように、一旦下がった後に、ほぼ一定値に維持され、吐出弁(28a)がほぼ閉じる角度(330°付近)になると、急激に低下する。
また、実施例(及び比較例)では、ポート給油機構(40)によって、油溜まり(14)に貯留する潤滑油を吐出過程の終了から圧縮過程の開始の間にシリンダ室(25)内に供給すると共に、その供給された潤滑油を吐出ポート(21b)内に供給するようにしている。そして、吐出過程が終了する際に吐出ポート(21b)が吐出弁(28a)で閉鎖されるので、吐出過程終了時から吐出ポート(21b)内の潤滑油が緩やかに抜けていくことになる。そして、潤滑油は、緩やかに吸入室(25a)に逆流することにより、冷媒ガスの逆流通路面積が絞られるので、吐出ポート(21b)に残留した冷媒ガスの再膨張(吸入室(25a)への冷媒ガスの逆流)も緩やかになって、吐出ポート(21b)内の圧力の脈動が抑制される。
図12に示すように、シリンダ本体(22)の内周面に吐出ポート(21b)に連通する切り欠き溝(122c)が形成されていない実施例(太実線(a)参照)では、揺動ピストン本体(26a)が吐出ポート(21b)を通過する際に吐出ポート(21b)から潤滑油が抜け難くなるので、冷媒ガスの再膨張(吸入室(25a)への冷媒ガスの逆流)が緩やかになって、吐出ポート(21b)内の圧力の脈動が相対的に小さくなったのに対し、シリンダ本体(122)の内周面に吐出ポート(121b)に連通する切り欠き溝(122c)が形成された比較例(細実線(b)参照)では、揺動ピストン本体(126a)が吐出ポート(121b)を通過する際に吐出ポート(121b)から潤滑油が抜け易いので、吐出ポート(121b)内の圧力の脈動が相対的に大きくなったと推察される。
以上説明したように、本実施形態の回転式圧縮機(1)によれば、スイング型圧縮機構(20)が動作することにより、低圧の冷媒ガスが圧縮されて高圧の冷媒ガスになる。そして、高圧の冷媒ガスは、吐出過程中にスイング型圧縮機構(20)の吐出ポート(21b)からケーシング(10)内に吐出され、ケーシング(10)内の空間に充満した後に、ケーシング(10)から外部に流出される。また、スイング型圧縮機構(20)を備えた回転式圧縮機では、スイング型圧縮機構(20)を構成する揺動ピストン本体(26a)がシリンダ室(25)内で旋回運動することにより、シリンダ室(25)内でブレード(26b)を介して区画される吸入室(25a)及び圧縮室(25b)の各容積が拡大する動作と縮小する動作とを繰り返し、吸入室(25a)の容積が拡大するときに冷媒ガスが吸入され、圧縮室(25b)の容積が縮小する際に冷媒ガスが圧縮されて吐出される。ここで、スイング型圧縮機構(20)の動作中に、ポート給油機構(40)によって、吐出ポート(21b)に潤滑油が供給され、スイング型圧縮機構(20)の吐出過程が終了する際に吐出ポート(21b)が吐出弁(28a)で閉鎖されるので、吐出過程終了時から吐出ポート(21b)内の潤滑油が緩やかに抜けていくことになる。さらに、シリンダ本体(22)の内周面における吐出ポート(21b)に重なる部分(22b)では、シリンダ本体(22)の内径の1/2の曲率半径を有する円弧が軸方向に連続しており、すなわち、シリンダ本体(22)の内周面に吐出ポート(21b)に連通する切り欠き溝などが形成されていないので、揺動ピストン本体(26a)が吐出ポート(21b)を通過する際に吐出ポート(21b)から潤滑油が抜け難くなる。そのため、吐出過程が終了した際には、吐出ポート(21b)内に残った潤滑油が緩やかに吸入室(25a)に逆流することにより、冷媒ガスの逆流通路面積が絞られるので、吐出ポート(21b)に残留した冷媒ガスの再膨張(吸入室(25a)への冷媒ガスの逆流)も緩やかになって、吐出ポート(21b)内の圧力の脈動が抑制される。また、シリンダ本体(22)の端面開口部を閉塞するフロントヘッド(23)に設けられた吐出ポート(21b)は、その開口形状がシリンダ本体(22)の周方向に延びる長円状であり、シリンダ本体(22)に重なっている部分が少なくなり、ポート開口面積の大部分がシリンダ室(25)に開口しているので、吐出ポート(21b)から高圧の冷媒ガスを吐出する際の圧力損失が抑制される。これにより、吐出ポート(21b)の開口形状及び位置により冷媒ガスの圧力損失が抑制され、シリンダ本体(22)の内周面の吐出ポート(21b)に重なる部分(22b)の表面形状により吐出ポート(21b)内の圧力の脈動が抑制されるので、冷媒ガスの圧力損失を抑制して、吐出ポート(21b)内の圧力の脈動を抑制することができる。そして、吐出ポート(21b)内の圧力の脈動を抑制することができるので、吐出ポート(21b)内に残留する高圧の冷媒ガスの再膨張により発生する振動や騒音を低減することができる
また、本実施形態の回転式圧縮機(1)によれば、吐出ポート(21b)が揺動ピストン本体(26a)の曲面部(26c)から第1平面部(26f)に切り替わるヌスミ開始点(S)よりも前で圧縮室(25b)に連通する位置に設けられているので、揺動ピストン本体(26a)の端面が吐出ポート(21b)を通過する際に、シリンダ本体(22)の内周面と揺動ピストン本体(26a)の平面部(26f)との間のヌスミに溜まった冷媒ガスは、シリンダ本体(22)の内周面と揺動ピストン本体(26a)の曲面部(26c)との間の潤滑油を介して互いに接する微小な隙間(B部における隙間)を通らずに、一旦、吐出ポート(21b)を経由して、その微小な隙間近傍の吐出ポート(21b)から露出して軸方向に延びる隙間(C部における隙間)を介して吸入室(25a)に逆流することにより、冷媒ガスの再膨張も緩やかになって、吐出ポート(21b)内の圧力の脈動を抑制することができる。
《その他の実施形態》
上記実施形態1では、揺動ピストン本体(26a)及びブレード(26b)が一体に形成されたスイング型の圧縮機構(20)を備えた回転式圧縮機(1)を例示したが、本発明は、例えば、円環状のピストン及び板状のブレードが別々に形成されたローリングピストン型の圧縮機構を備えた回転式圧縮機にも適用することができる。
なお、上記各実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物又はその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、冷媒ガスの圧力損失を抑制して、吐出ポート内の圧力の脈動を抑制することができるので、吐出ポート内に残留する高圧の冷媒ガスの再膨張により発生する振動や騒音の低減が要望される回転式圧縮機について有用である。
1 回転式圧縮機
10 ケーシング
20 スイング型圧縮機構
21b 吐出ポート
22 シリンダ本体
23 フロントヘッド(端板)
25 シリンダ室
25a 吸入室
25b 圧縮室
26a 揺動ピストン本体(ピストン)
26b ブレード
26c 曲面部
26f 第1平面部
26g 第2平面部
28a 吐出弁
40 ポート給油機構

Claims (2)

  1. ケーシング(10)と、
    上記ケーシング(10)内に設けられ、シリンダ室(25)で冷媒ガスを圧縮する圧縮機構(20)と、
    上記圧縮機構(20)に設けられ、吐出過程中に開放される一方で該吐出過程の終了時から次の圧縮過程の間に閉鎖される吐出弁(28a)が装着された吐出ポート(21b)と、
    上記ケーシング(10)の底部に貯留する潤滑油を上記吐出ポート(21b)内に供給するポート給油機構(40)とを備え、
    上記吐出ポート(21b)から上記吐出過程中に吐出された高圧の冷媒ガスが上記ケーシング(10)内の空間を介して該ケーシング(10)の外部に吐出される高圧ドーム式の回転式圧縮機であって、
    上記圧縮機構(20)は、円環状のシリンダ本体(22)と、該シリンダ本体(22)の内周面に対向する外周面を有するピストン(26a)と、該シリンダ本体(22)及びピストン(26a)の間の上記シリンダ室(25)を吸入室(25a)及び圧縮室(25b)に区画するブレード(26b)とを備え、
    上記吐出ポート(21b)は、上記シリンダ本体(22)の端面開口部を閉塞する端板(23)に設けられ、開口形状が該シリンダ本体(22)の周方向に延びる長円状であり、
    上記シリンダ本体(22)の内周面における上記吐出ポート(21b)に重なる部分(22b)では、上記シリンダ本体(22)の内径の1/2の曲率半径を有する円弧が軸方向に連続していることを特徴とする回転式圧縮機。
  2. 請求項1において、
    上記ピストン(26a)及びブレード(26b)は、一体に形成され、
    上記ピストン(26a)の外周面は、上記ブレード(26b)の上記圧縮室(25b)側の付け根の部分に平坦に設けられた第1平面部(26f)と、上記ブレード(26b)の上記吸入室(25a)側の付け根の部分に平坦に設けられた第2平面部(26g)と、上記第1平面部(26f)及び第2平面部(26g)の間に設けられた曲面部(26c)とを有し、
    上記吐出ポート(21b)は、上記ピストン(26a)の曲面部(26c)から第1平面部(26f)に切り替わるヌスミ開始点よりも前で上記圧縮室(25b)に連通する位置に設けられていることを特徴とする回転式圧縮機。
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