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JP2015066584A - プレス成形方法及びプレス成形金型 - Google Patents

プレス成形方法及びプレス成形金型 Download PDF

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JP2015066584A JP2013203925A JP2013203925A JP2015066584A JP 2015066584 A JP2015066584 A JP 2015066584A JP 2013203925 A JP2013203925 A JP 2013203925A JP 2013203925 A JP2013203925 A JP 2013203925A JP 2015066584 A JP2015066584 A JP 2015066584A
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浩一 佐々木
Koichi Sasaki
浩一 佐々木
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Abstract

【課題】1回のプレス工程で効率よく、しかもしわの発生を十分に抑制しながら絞り深さの異なる部位を有する製品形状のプレス成形を行うことができるプレス成形方法およびプレス成形金型を提供する。【解決手段】上下一対のブランクホルダー6,7によって金属製ワークW周辺部を保持し、上下一対の金型2,5により金属製ワークに絞り深さの異なる部位を有する製品形状を成形するプレス成形方法であって、ダイフェースを製品形状の絞り深さの浅い部位に合わせて設定すると共に、可動型3及び固定型4により上型を構成し、プレス装置1の下降動作に伴い可動型及び固定型が同一の下降動作を行って、金属製ワークを下型との間で絞り深さの浅い部位の成形である第1のドロー成形を行った後、更にプレス装置が下降動作を行うと可動型が固定型に対し相対変位し固定型が下方へ突出することで更に絞り深さの深い部位の成形である第2のドロー成形を行う工程を設けた。【選択図】図1

Description

本発明は、自動車のドアパネル等のプレス成形方法およびプレス成形金型の技術に関する。
従来、ワークをプレス成形して自動車のドアパネル等を加工する工程では、ワークの周縁部を予めブランクホルダーで保持した後、プレス成形金型によってドロー成形をはじめとするプレス成形を行っている。図8(b)に示すようなドアインナーパネル11、すなわちドアアウターパネルとヘミング加工により接合する周辺部11aと、ドア室内側の壁面を構成する中央部11bと、窓ガラスを支持するサッシュ部11cとで構成される部品においては、前記プレス成形金型により所定寸法のパネル材をドロー成形して中央部分を張り出させることにより通常成形が行われている。このようなプレス成形金型を有するプレス成形装置で、ドアインナーパネルのような、TL方向から見てBL方向に大きく湾曲した端面を持つパネルにプレス成形しようとする場合、通常図8(a)に示すように、TL方向視で湾曲した外形線に沿うようダイフェースD1を設定している。(ここでTL方向とは車両の前後方向、BL方向とは車両の幅方向、WL方向とは車両の高さ方向を言う。)
このようなダイフェースD1を有するプレス成形装置では、サッシュ付近の材料の絞り高さHの分だけ材料が余分に必要となり、使用する材料のサイズが大きくなるため、歩留まりが低下して製造コストが増大するという問題があった。
この課題を改善するべく、サッシュ付近の絞り高さHを低減するようダイフェースD2を設定すると、ダイフェースの形状がBL方向にさらに大きく湾曲し、湾曲面内側に向かって成形すると全体として材料が収縮する方向に変形が行われるため、均一に材料を引き伸ばすよう金型の設計を行うことが困難となり、局部的に材料に発生するしわの対策が課題となる。
そこで、図9(a)に示すように、サッシュ付近の絞り高さHを低減した上で、ダイフェースD3をTL方向視で最も大きく湾曲した外形線と交差するよう、湾曲を小さく設定する方法が知られている。従来のダイフェースD1に比べるとサッシュ付近に発生する余分な材料の発生を大幅に低減することができ、かつ、D2に比べると、ダイフェースD3は緩やかな形状となり、成形品に発生するしわの問題も大幅に低減することができる。
しかしながら、このようなダイフェースD3を設定すると、図9(a)にクロスハッチで示したダイフェースD3の反対側に位置する張り出し部分は通常の金型構成では成形することができず、予めダイフェースD3に沿った主要成形部分を成形した後、別の工程で主要成形部分と反対側に位置するクロスハッチ部の成形部分の成形を行う必要があり、工程数が増加して、プレス装置・金型を余分に必要とするという問題があった。また、成形のプロセスが複雑になり、成形する時間が長くなるため、生産性の向上に繋がらず、成形品の量産に適さない。
本発明は上記従来技術に伴う課題を解決するためになされたものであり、1回のプレス工程で効率よく、しかもしわの発生を十分に抑制しながら絞り深さの異なる部位を有する製品形状のプレス成形を行うことができるプレス成形方法およびプレス成形金型を提供することを目的とする。
請求項1の発明では、上下一対のブランクホルダー6,7によって金属製ワークW周辺部を保持し、上下一対の金型2,5により当該金属製ワークWに絞り深さの異なる部位を有する製品形状を成形するプレス成形方法であって、ダイフェースD3を当該製品形状の絞り深さの浅い部位に合わせて設定すると共に、可動型3及び固定型4により上型2を構成し、プレス装置の下降動作に伴い可動型3及び固定型4が同一の下降動作を行って、金属製ワークWを下型5との間で絞り深さの浅い部位の成形である第1のドロー成形を行った後、更にプレス装置が下降動作を行うと可動型3が固定型4に対し相対変位し固定型4が下方へ突出することで更に絞り深さの深い部位の成形である第2のドロー成形を行うことを特徴とする。
請求項2の発明では、前記絞り深さの異なる部位を有する形状は、ドアインナーパネル11のようなTL方向から見て大きく湾曲した端面を持つパネルであって、少なくともTL方向視で最も大きく湾曲した外形線に対し、ダイフェースD3が当該湾曲した外形線と交差するよう設定し、主要成形部分を前記第1のドロー成形により成形し、ダイフェースD3に対し主要成形部分と反対側に位置する成形部分は、前記第2のドロー成形により成形するようにしたことを特徴とする。
請求項3の発明では、金属製ワークW周辺部を保持する上下一対のブランクホルダー6,7を有し、上下一対の金型2,5により当該金属製ワークWに絞り深さの異なる部位を有する製品形状を成形するプレス成形金型であって、ダイフェースD3を当該製品形状の絞り深さの浅い部位に合わせて設定すると共に、弾性部材8によって上型2に対しプレス軸方向に上下動可能に構成した可動型3と、固定型4とにより上型2を構成し、プレス装置の下降動作に伴い前記可動型3及び固定型4が同一の下降動作を行って金属製ワークWを下型5との間で絞り深さの浅い部位の成形である第1のドロー成形を行った後、更にプレス装置が下降動作を行うと前記弾性部材8が収縮し固定型4が可動型3に対し下方へ突出し絞り深さの深い部位の成形である第2のドロー成形が行われるよう前記弾性部材8が調整されていることを特徴とする。
請求項4の発明では、前記絞り深さの異なる部位を有する形状は、ドアインナーパネル11のようなTL方向から見て大きく湾曲した端面を持つパネルであって、少なくともTL方向視で最も大きく湾曲した外形線に対し、ダイフェースD3が当該湾曲した外形線と交差するよう設定し、主要成形部分を前記第1のドロー成形により成形し、ダイフェースD3に対し主要成形部分と反対側に位置する成形部分は、前記第2のドロー成形により成形するようにしたことを特徴とする。
まず請求項1の発明の効果について述べる。局部的に深い絞り形状を有する製品をドロー成形する場合、深い絞り形状の端部に合わせたダイフェースを設定すると、浅い絞り形状の部位に製品形状に寄与しない余分な材料が多く発生し、材料歩留まりの悪化の要因となる。請求項1の発明によれば、ダイフェースは製品形状の大部分を構成する浅い絞り形状の部位に設定し、可動型3により主たる製品形状をドロー成形した後、固定型4により深い絞り形状の部位をドロー成形することで工程を2工程に分けることなく、単一の型で材料歩留まりの良い加工を行うことができる。
次に請求項2の発明の効果について述べる。請求項2の発明によればドアサッシュの端面に近い位置にダイフェースを設定しつつ、主要成形部分とダイフェースの反対側に位置する成形部分は、同じ工程内の前記第2のドロー成形により成形することができるので、
ュ付近の絞り高さHを減らして材料の歩留まりを大きく向上させ、ダイフェースの形状を緩やかに設定して成形品のしわ発生防止を可能にした上で、絞り深さの異なる部位が存在する場合であっても、1回のプレス工程で成形を完了でき、工程削減により生産性を大きく向上することができる。
次に請求項3の発明の効果について述べる。局部的に深い絞り形状を有する製品をドロー成形する場合、深い絞り形状の端部に合わせたダイフェースを設定し金型を製作すると、浅い絞り形状の部位に製品形状に寄与しない余分な材料が多く発生し、材料歩留まりの悪化の要因となる。請求項3の発明の構成によれば、ダイフェースは製品形状の大部分を構成する浅い絞り形状の部位に設定し、弾性部材8で支持した可動型3と固定型4とで上型2を構成することにより、絞り深さの浅い部位の成形である第1のドロー成形を行った後、絞り深さの深い部位の成形である第2のドロー成形が行われるようになるので、工程を2工程に分けることなく、単一の型で材料歩留まりの良い加工を行うことができる。
次に請求項4の発明の効果について述べる。請求項4の発明によればドアサッシュの端面に近い位置にダイフェースを設定しつつ金型を構成し、主要成形部分を第1のドロー成形により成形し、ダイフェースの反対側に位置する成形部分は、同じ工程内の第2のドロー成形により成形することができるので、サッシュ付近の絞り高さHを減らして材料の歩留まりを大きく向上させ、ダイフェースの形状を緩やかに設定して成形品のしわ発生防止を可能にした上で、1回のプレス工程で成形を完了でき、工程削減により生産性を大きく向上することができる。
本発明の実施形態に係るプレス成形金型が用いられたプレス成形装置のワーク投入後の成形準備状態を図示したものである。 本発明の実施形態に係るプレス成形装置において、ワークを保持した状態を図示したものである。 本発明の実施形態に係るプレス成形装置において、第1のドロー成形を完了した状態を図示したものである。 本発明の実施形態に係るプレス成形装置において、第2のドロー成形途中の状態を図示したものである。 本発明の実施形態に係るプレス成形装置において、第2のドロー成形を完了した状態を図示したものである。 本発明の実施形態に係るプレス成形装置において、プレス終了後、上型が上昇した状態を図示したものである。 本発明の実施形態に係るプレス成形装置において、プレス終了後、上型及び下型ブランクホルダーが上昇した状態を図示したものである。 (a)はTL方向から見たインナーパネルと従来のダイフェースを、(b)はインナーパネルの平面図を図示したものである。 (a)はTL方向から見たインナーパネルと本発明の実施形態に係るダイフェースを、(b)はインナーパネルの平面図を図示したものである。
1 プレス成形装置
2 上型
3 可動型
4 固定型
5 下型
5a 第1成形面
5b 第2成形面
5c 第3成形面
6 上型ブランクホルダー
7 下型ブランクホルダー
8 弾性部材
9 弾性部材
10 弾性部材
11 インナーパネル
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の実施の形態の説明は、本質的な例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を限定することを意図するものではない。
(成形品)
図1は本発明の実施形態に係るプレス成形金型が用いられたプレス成形装置1を示す。プレス成形品は、ここでは、自動車の側部を構成するインナーパネルをブランク材からプレス成形する場合について説明する。このインナーパネルは湾曲した形状のドアアウターパネルに沿うように、図8(a)に示すようなTL方向から見てBL方向に大きく湾曲した端面を持ち、深い絞り形状を有するパネルである。
(ダイフェースの設定)
上記成形品であるインナーパネルに、図8(a)に示すように、深い絞り形状の端部にダイフェースD1を設定すると、サッシュ部の絞り高さHによって、浅い絞り形状の部位に無駄な材料が多く発生してしまう。サッシュ部の絞り高さHを低減するようダイフェースD2を設定すると、ダイフェースD2が大きく湾曲するため局部的にしわが発生してしまう。そのため、図9(a)に示すように、このようなインナーパネルを成形するダイフェースD3を、製品形状の大部分を構成する主要成形部分である浅い絞り形状の部位に設定し、インナーパネルのTL方向視でサッシュ部の形状に沿わせ、最も大きく湾曲した外形線に対し、当該湾曲した外形線と交差するよう緩やかな形状になるよう設定している。
ダイフェースD3に沿った主要成形部分の成形は第1のドロー成形で、主要成形部分と反対側に位置するクロスハッチ部の成形は第2のドロー成形で成形する。
(プレス成形装置)
本発明の実施形態のプレス成形金型について、図1を用いて説明する。図1に示すように、プレス成形装置1は、ワークWを所定形状にプレス成形するための装置であり、上型2と、上型2に対向する位置に設けた下型5と、ワークW周辺部を把持するブランクホルダー6、7が設けられている。また、上型2は、弾性部材8によって上型2に対しプレス軸方向に上下動可能に設けられた可動型3と、上型2に設けられた固定型4とにより構成される。そして前記上型2と下型5は各々プレス成形装置1の図示しないスライドとボルスターに固定支持されている。
(可動型)
上型2は図1に示すように、プレス成形装置1上部に設けられ、下型5及び下型ブランクホルダー7に載置されたワークWに対向するとともに、図示しない駆動装置によってスライドが上下作動することによって、スライドに固定された上型2も上下方向に作動する。上型2を上下方向に移動することで、上型2と下型5の離間距離を調整できる構成となっている。この上型2は、中央部に可動型3を保持する保持部3aが設けられ、この保持部3aを中心とした外側には固定型4が設けられている。可動型3は保持部3aに各々1または複数の弾性部材8を介して保持され、弾性部材8は、例えばガススプリング又はプレス機械に付いているクッション機構のクッションピンからなり、可動型3を下方向に向かって付勢している。
可動型3は、上型2に保持されているため、上型2と共にプレス軸方向に沿って移動するが、弾性部材8の作動によって上型2とは独立して上下動することも可能である。可動型3は中央部に製品形状の大部分を構成する浅い絞り形状の部位を成形する浅絞り成形部3bと、端部には中央部よりも下方向に向かって突出した凸形状部3cを有している。
(固定型)
固定型4は、上型中央部の可動型保持部3aを中心とした外側に設けられ、上型2から下方向に向かって突出した凸形状部を有しており、可動型3を取り囲むように形成される。
(下型)
下型5は、プレス成形装置1の下部に設けられ、上型2に対向して配置される。下型5には、可動型3に対向する第1成形面5aおよび第2成形面5bと、固定型4の凸形状に対応した形状で、下方に向かって凹状の断面形状からなる第3成形面5cを有する。第1成形面5aは略中央部に形成され、第1成形面5aを中心とした外側に第2成形面5bが、下型5端部のブランクホルダー側に第3成形面5cが形成されている。
(ブランクホルダー)
ブランクホルダーは、図1に示すように、上型2及び下型5の両外側に配されており、略4角形を有するドアパネル、ルーフパネルなどの成形型の場合は各辺に対応し、周囲を4分割して、各々1または複数の弾性部材9、10を介してそれぞれ上型2と下型5に保持される上型ブランクホルダー6と下型ブランクホルダー7から構成されている。弾性部材9、10は例えばガススプリング又はプレス機械に付いているクッション機構のクッションピンからなり、弾性部材9を介して上型2には上型ブランクホルダー6が連結され、上型ブランクホルダー6を下方向に向かって付勢している。下型5には弾性部材10を介して下型ブランクホルダー7が連結され、下型ブランクホルダー7を上方向に向かって付勢している。
上型ブランクホルダー6と下型ブランクホルダー7は、各々成形面側のみ解放した上型2及び下型5に構成されたブランクホルダーケースに配置され上下方向のみ移動可能に構成されている。
各ブランクホルダー6,7の把持面は、略水平かつ平面状に形成され、一方のブランクホルダーの把持面には、ブランクホルダーの長手方向に延びたビード部を形成し、対応する他方のブランクホルダーの対応した位置には前記ビード形状に対応する形状の溝部が形成されている。この構成により一対のブランクホルダー6、7はワークWに対し所定の把持力を発生する。
(弾性部材の付勢力)
可動型3を保持する弾性部材8と上型ブランクホルダー6を保持する弾性部材9の付勢力はそれぞれワークWのドロー成形圧力およびワークW把持のためのビード成形圧力よりも強く設定されており、可動型3と下型5がワークWを介して当接し、上型・下型ブランクホルダーがワークWを把持するまでは可動型3および上型ブランクホルダー6は上型2に対し初期の位置を保ちながら一体として下降する。一方可動型3を保持する弾性部材8と上型ブランクホルダー6を保持する弾性部材9の付勢力はプレス成形装置1の作動圧力よりは弱く設定してあるため、可動型3と下型5がワークWを介して当接した後さらに上型2が下降するとこれら弾性部材8、9が収縮作動し、可動型3と上型ブランクホルダー6が静止したまま上型2のみ下降する。
また下型ブランクホルダー7の弾性部材10の付勢力は、ワークW把持のためのビード成形圧力よりも強くかつ所定の把持力を発生するのに十分な圧力が設定されているが、上型ブランクホルダー6の弾性部材9の付勢力よりは弱く設定してあり、上下ブランクホルダー6,7でワークWを把持した後は、プレス成形装置1の下降作動に従って下型ブランクホルダー7の弾性部材10が収縮作動し、上下ブランクホルダー6,7が一体として下降するように設定されている。
上記構成のプレス成形装置1によるプレス成形方法を説明する。
先ず、図1に示すように、図示しない駆動部によって可動型3及び上型ブランクホルダー6と共に上型2がプレス成形装置1において上方へと退避した状態を初期位置とし、上下成形面が離間した状態で、ワークWを図示しないマテハンなどで下型5および下型ブランクホルダー7の上部に投入する。このとき、可動型3及び上型ブランクホルダー6は弾性部材8,9によって下方向に付勢され、可動型3の凸形状部3cの下端面は上型ブランクホルダー6の下端面とほぼ同じ位置に配置されており、固定型4の凸形状部の下端面は、可動型3の凸形状部3cの下端面及び上型ブランクホルダー6の下端面より高い位置に配置されている。また、下型ブランクホルダー7は弾性部材10によって上方向に付勢され、下型ブランクホルダー7の上端面は下型5の第1成形面5aより高い位置に配置されている。これによりブランクホルダーによるワークWの把持が完了した後、上型、下型による成形が行われるよう調整される。
次に、上型2を下降させると上型2に弾性部材8、9を介して保持される可動型3および上型ブランクホルダー6も下降する。これにより、図2に示すように、上下ブランクホルダー6,7にてワークWの周辺部を狭持し、可動型の凸形状部3cはワークWに当接する。このとき、上下ブランクホルダー6,7のビード部と溝部でワークWを成形・狭持することで、その後の加工時においてワークWが上型下降方向と直交する水平方向に移動する動きを規制し、成形面への材料の流入を制御することができる。
続いて上型2を下降させると、各部弾性部材の付勢力が前述のように設定してある効果により、図3に示すようにプレス装置の下降動作に伴い可動型3、固定型4および上下ブランクホルダー6,7が同一の下降動作を行い、ワークWは、ワークWに当接した可動型3の凸形状部3cの成形面に倣うように変形し、次に、可動型3の浅絞り成形部3bと下型第1成形面5a、可動型3の凸形状部3cと第2成形面5bとの間で成形を行い、この段階でダイフェースD3に沿った主要成形部分の成形である第1のドロー成形を完了する。この時点で可動型3と下型5がワークを介して当接し、下型ブランクホルダー7は下型当接部5dに当接する位置まで下降している。
また、この時点では固定型4及び下型5の第3成形面5cはワークWに当接しておらず、固定型4によるワークWの最終形状への成形が完了していない状態にある。
更に、上型2が下降すると、図4に示すように、可動型3を保持する弾性部材8と上型ブランクホルダー6を保持する弾性部材9が収縮を始め、固定型4と下型5の第3成形面5cとの間でワークWが固定型4の成形面に沿って下方へ向かって突出する形状に第2のドロー成形を行う。第2のドロー成形が行われている際、上型2は図示しない駆動部の駆動作用下で連続的に下降を続けており、可動型3がワークWに当接して下型5との間で成形が行われた後、可動型3の下方向への移動は下型5により、また上型ブランクホルダー6の下方向への移動は下型ブランクホルダー7によって規制されている。よって、可動型3及び上型ブランクホルダー6は弾性部材8,9の付勢力がプレス成形装置1の作動圧力に負けるため収縮作動を開始し、可動型3は保持部3a内に、上型ブランクホルダー6はブランクホルダーケースに収容されるように上型2に対して除々に上昇する。更に、上型2が下降すると、図5に示すように、深い絞り形状部を成形する第2のドロー成形を行い、主要成形部分と反対側に位置する図9(a)に示すクロスハッチ部の成形が完了し、所定の形状を有するプレス成形品となる。
以上により、ワークWのプレス成形が完了する。
(製品取出し)
ワークWのプレス成形後、下死点を過ぎると上型2は上昇し図6に示すように先ず弾性部材8,9が初期位置まで伸張する。これは前述のように弾性部材9の付勢力が弾性部材10の付勢力よりも強く設定してあるためである。さらに上型2を上昇させると、弾性部材10が伸長を始め、付勢された下型ブランクホルダー7がプレス成形された製品を持ち上げながら初期位置まで上昇する。さらにプレス装置が上昇作動を続けると下型ブランクホルダー7が停止したまま、上型2と上型ブランクホルダー6が上昇を続け図7に示すように上型2、下型5が開放した状態となる。この状態で、図示しないマテハン等でプレス成形品の取り出しを行う。
以上が本発明にかかる加工装置の1サイクルの全作動であり、このサイクルを繰り返すことにより、1回のプレス工程でプレス成形品が連続的に自動生産される。

Claims (4)

  1. 上下一対のブランクホルダーによって金属製ワーク周辺部を保持し、上下一対の金型により当該金属製ワークに絞り深さの異なる部位を有する製品形状を成形するプレス成形方法であって、
    ダイフェースを当該製品形状の絞り深さの浅い部位に合わせて設定すると共に、
    可動型及び固定型により上型を構成し、
    プレス装置の下降動作に伴い可動型及び固定型が同一の下降動作を行って、金属製ワークを下型との間で絞り深さの浅い部位の成形である第1のドロー成形を行った後、
    更にプレス装置が下降動作を行うと可動型が固定型に対し相対変位し固定型が下方へ突出することで更に絞り深さの深い部位の成形である第2のドロー成形を行うこと、
    を特徴とするプレス成形方法。
  2. 前記絞り深さの異なる部位を有する形状は
    ドアインナーパネルのようなTL方向から見て大きく湾曲した端面を持つパネルであって、
    少なくともTL方向視で最も大きく湾曲した外形線に対し、ダイフェースが当該湾曲した外形線と交差するよう設定し、
    主要成形部分を前記第1のドロー成形により成形し、
    ダイフェースに対し主要成形部分と反対側に位置する成形部分は、前記第2のドロー成形により成形するようにしたことを特徴とする、
    請求項1に記載のプレス成形方法。
  3. 金属製ワーク周辺部を保持する上下一対のブランクホルダーを有し、上下一対の金型により当該金属製ワークに絞り深さの異なる部位を有する製品形状を成形するプレス成形金型であって、
    ダイフェースを当該製品形状の絞り深さの浅い部位に合わせて設定すると共に、
    弾性部材によって上型に対しプレス軸方向に上下動可能に構成した可動型と、固定型とにより上型を構成し、
    プレス装置の下降動作に伴い前記可動型及び固定型が同一の下降動作を行って金属製ワークを下型との間で絞り深さの浅い成形である第1のドロー成形を行った後、
    更にプレス装置が下降動作を行うと前記弾性部材が収縮し固定型が可動型に対し下方へ突出し、絞り深さの深い部位の成形である第2のドロー成形が行われるよう前記弾性部材が調整されていること、
    を特徴とするプレス成形金型。
  4. 前記絞り深さの異なる部位を有する形状は
    ドアインナーパネルのようなTL方向から見て大きく湾曲した端面を持つパネルであって、
    少なくともTL方向視で最も大きく湾曲した外形線に対し、ダイフェースが当該湾曲した外形線と交差するよう設定し、
    主要成形部分を前記第1のドロー成形により成形し、
    ダイフェースに対し主要成形部分と反対側に位置する成形部分は、前記第2のドロー成形により成形するようにしたことを特徴とする、
    請求項3に記載のプレス成形金型。
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