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JP2015056209A - 電気コネクタ用端子及び電気コネクタ - Google Patents

電気コネクタ用端子及び電気コネクタ Download PDF

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JP2015056209A
JP2015056209A JP2013187023A JP2013187023A JP2015056209A JP 2015056209 A JP2015056209 A JP 2015056209A JP 2013187023 A JP2013187023 A JP 2013187023A JP 2013187023 A JP2013187023 A JP 2013187023A JP 2015056209 A JP2015056209 A JP 2015056209A
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善久 山田
Yoshihisa Yamada
善久 山田
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Abstract

【課題】本発明の一つの目的は、特殊な工具を使用することなく、ケーブルの芯線と容易に結線できる電気コネクタ用端子及び電気コネクタを提供することにある。【解決手段】基体部と、基体部の一端からケーブル延伸側に対面して延び、少なくとも一方が内側に変位可能な一対の挟持片と楔片とを備え、一対の挟持片の各々は内側に屈曲した先端部を有し、一対の挟持片の各々は、先端部に、孔を持ち、一対の挟持片の少なくとも一方が、内側に変位した状態において、孔が重なり、重なった孔にケーブルの芯線を挿通した状態において、楔片は、一対の挟持片の間に圧入可能である電気コネクタ用端子を提供する。また、当該電気コネクタ用端子を含む電気コネクタを提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、電気コネクタ用端子及び電気コネクタに関する。特に、特殊な工具を用いることなく、ケーブルに結線可能な電気コネクタ用端子及び当該端子を含む電気コネクタに関する。
電気コネクタ用端子をケーブルに取り付けるためには、ケーブルの端部の外皮を剥いで、芯線を露出させ、芯線を端子内に挿入し、圧着工具などの特殊な工具を用いて、端子をケーブルに固定すると共に、芯線と端子を電気的に接続させることが通常である。端子の構造によっては、一般に用いられるペンチ等ではなく、端子の形状に合わせて作られた特殊な治具を必要とする。
しかし、端子をケーブルに取り付ける際に圧着工具を用いることは、ケーブルの芯線を端子の所定の位置に配置し、さらに、圧着工具を手に取って、取り付け作業を行うことになるため、作業効率が低くなる。また、大人数で多数の圧着作業を行う際には人数分の圧着工具を準備する必要があるが、多数の圧着工具を準備することは、費用がかかってしまい、好ましいことではない。さらに、屋外で端子をコネクタに取り付ける場合には、圧着工具を持ち運ぶ手間もかかってしまう。そのため、圧着工具を用いることなく、芯線と接続可能な端子が考えられている。例えば、特許文献1は、クランプバネを用いてケーブルの芯線(リード線)を端子に押圧して、接続する発明を開示している。特許文献1の発明では、補強部材によって、バネによる押圧力を強めて、芯線が端子から抜けてしまわないようにしている。
特開2006−344392号公報
しかしながら、特許文献1に記載のように、バネの力により、芯線を押圧して、固定するためには、バネの力を強くする必要があり、高い剛性を持つ高価な材料を必要とする。また、特許文献1では、補強部材を用いるため、構造が複雑になり、材料を多く用いることから、製造コストが上昇すると共に、コネクタのサイズが大きくなってしまう。
そこで、本発明の一つの目的は、剛性の高い材料を利用することなく製造可能であると共に、特殊な工具を使用しないでも、ケーブルの芯線と容易に結線できる電気コネクタ用端子及び当該電気コネクタ用端子を含む電気コネクタを提供する。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を案単に説明すれば、次の通りである。
すなわち、本発明による電気コネクタ用端子は、基体部と、前記基体部の一端からケーブル延伸側に対面して延び、少なくとも一方が内側に変位可能な一対の挟持片と、楔片とを備え、前記一対の挟持片の各々は、内側に屈曲した先端部を有し、前記一対の挟持片の各々は、前記先端部に、孔を持ち、前記一対の挟持片の少なくとも一方が、内側に変位した状態において、前記孔は、重なり、重なった前記孔にケーブルの芯線を挿通した状態において、前記楔片は、前記一対の挟持片の間に圧入可能である電気コネクタ用端子である。
上述の電気コネクタ用端子において、前記一対の挟持片の少なくとも一方が、内側に変位した状態において、前記一対の挟持片の少なくとも一方は、外側方向に復元力を持つことが好ましい。また、前記楔片は、前記基体部の前記一端において、前記一対の挟持片の延出位置に対して垂直の位置からケーブル延伸方向に伸び、前記楔片は、内側に屈曲し、前記一対の挟持片の間に圧入可能な圧入部を有してもよく、前記楔片は、背面にリブを有するようにしてもよい。前記一対の挟持片の各々は、前記楔片との干渉部分に、内側に突出する凸部を有すると好ましい。さらに、前記楔片は、前記一対の挟持片側の側面にロック用突起を有し、前記ロック用突起は、前記凸部と係合するようにすると、より好ましい。
本願発明はまた、電気コネクタであって、上述の電気コネクタ用端子のいずれかと、前記電気コネクタ用端子を収納する端子挿着孔を持つハウジングとを有する電気コネクタを提供する。前記電気コネクタにおいて、前記端子挿着孔は、内壁によって、前記楔片を内側に押圧するものが好ましい。
さらに、本願発明は、前記電気コネクタにおいて、前記ハウジングに嵌合するコードカンと、前記コードカン内に位置する押し込み部材とをさらに有し、前記押し込み部材は、ケーブルを保持する貫通穴を有し、前記押し込み部材は、前記貫通穴の周囲に前記ハウジング側に向けて突出する突出部を有し、前記突出部は、先端に押圧面を有し、前記押圧面は、前記ハウジングと前記コードカンを嵌合させる際に、ケーブルの芯線が前記復元力によって挟持された状態の前記電気コネクタ用端子の前記先端部のケーブル延出側にある当接面を押圧するものを提供する。
本願において開示される発明により、特殊な工具を用いることなく、ケーブルの芯線と容易に結線できると共に、剛性の高い材料を用いることなく製造可能な端子及び電気コネクタを提供する。
本発明の一実施の形態による電気コネクタ用端子1の斜視図である。 本発明の一実施の形態による電気コネクタ用端子1の上面図である。 本発明の一実施の形態による電気コネクタ用端子1の側面図である。 挟持片を内側に変位させた状態の電気コネクタ用端子1を斜視図である。 孔の形状の例を示す図である。 ケーブルを仮保持した状態の電気コネクタ用端子1を示す斜視図である。 ケーブルを仮保持した状態の電気コネクタ用端子1を示す上面図である。 図7に示されるA−A断面の断面図である。 ケーブルを完全に結線した状態の電気コネクタ用端子1を示す斜視図である。 ケーブルを完全に結線した状態の電気コネクタ用端子1を示す上面図である。 本発明の一実施形態による電気コネクタのコードカンをハウジングに嵌合させる前の状態を示す断面図である。 本発明の一実施形態による電気コネクタのコードカンをハウジングに嵌合させた状態を示す断面図である。 図11の領域Bに示される部分を拡大した拡大図である。 本発明の一実施形態による電気コネクタ用端子40の上面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
図1は、本発明の一実施形態による電気コネクタ用端子1を示す斜視図である。図2は、当該端子1の上面図であり、図3は、側面図である。また、図4は、挟持片4a、4bを内側に変位させた状態の端子を示す斜視図である。
端子1は、長手方向16に延びる基体部2と、基体部2の相手端子側端部に位置し、相手端子と接触して、電気的に接続する接触部3とを有する。本実施形態においては、基体部2は、長手方向16に対して垂直な断面がコの字形状であるが、別の形状であってもよく、例えば、円筒形状や、断面が矩形の形状であってもよい。ただし、材料を減らし、製造費用を抑制する観点から、コの字形状の断面を持つことが好ましい。また、本実施形態においては、接触部は、雌型であるが、雄型であってもよいし、相手端子と接続可能な別の形状であってもよい。また、端子1は、平板状(板状)の導電性金属(リン青銅、銅合金、ステンレス等)を、金型で打ち抜き、その後に折り曲げ加工をすることによって成形される。
端子1は、基体部2の接触部3と逆側の端部2aからケーブル延出側に延びる一対の挟持片4a、4bを有する。この挟持片4a、4bは、板状であり、対面している。挟持片4a、4bの中間部6a、6bには、内側方向17に向けて突出する凸部11a、11bが設けられている。この凸部11a、11bは、後に説明される圧入部13を凸部11a、11b間に圧入できるように、互いに対向する位置にある。また、挟持片4a、4bは、長手方向16に対して概ね垂直となるように内側に折り曲げられて形成された先端部7a、7bを含む。すなわち、挟持片4aの先端部7aは、挟持片4bに向けて折り曲げられて形成されており、挟持片4bの先端部7bは、挟持片4aに向けて折り曲げられて形成されている。先端部7a、7bは、ケーブルの芯線を通すために設けられた楕円形の孔8a、8bを有する。挟持片4a、4bと基体部2との接続部分で、挟持片4a、4bは外側に折り曲げられることにより、挟持片4a、4bの基体部2側に位置する根元部5a、5bは、基体部2から中間部6a、6bにかけて外側に広がって延びている。このため、挟持片4a、4bに内側方向17の力を加えることにより、挟持片4a、4bを内側に変位させることが可能である。すなわち、挟持片4a、4b間の間隔(距離)を調整することが可能である。図4に示されるように、挟持片4a、4bを内側に変位させた状態において、二つの先端部7a、7bが重なるように、先端部7a、7bは長手方向に関して異なる位置で折り曲げられて形成されている。言い換えると、先端部7a、7bが、長手方向について同位置にあると、挟持片4a、4bの先端同士が干渉して、挟持片4a、4bを内側に変位させることができなくなるため、先端部7a、7bは長手方向に関して異なる位置にある。また、後述のように、孔8a、8bを利用して、ケーブル芯線を挟持するため、先端部7a、7b間の長手方向16に関する距離を小さくする必要がある。例えば、先端部7a、7b間の長手方向16に関する距離が、ケーブル芯線の半径以下であることが好ましく、先端部7a、7b同士が近接する程度がより好ましい。
図3に示されるように、根元部5a、5bは、弾性を持ち易くするため、中間部6a、6b及び先端部7a、7bよりも幅が狭くなっている。本実施形態においては、一対の挟持片4a、4bのいずれも変位可能であるが、本発明においては、一方のみが、内側に変位可能な構成であってもよい。一方のみが、内側に変位可能な構成の場合には、変位しない挟持片は、基体部との接続部分において折り曲げられることなく、長手方向16に沿ってケーブル延出側に延びる構成を持つようにしてもよい。すなわち、他方の挟持片に対して一方の挟持片が相対的に変位することにより、挟持片間の間隔(距離)を調整することができればよい。
図4に示されるように、孔8a、8bは、挟持片4a、4bを内側に変位させた状態において、長手方向16のケーブル延出側からみて、少なくとも一部が重なる位置に設けられ、孔8aと孔8bとは、連通する。孔8a、8bは、変位方向に長軸を持ち、変位方向に対して垂直の方向に短軸を持つ楕円形状である。孔8a、8bの短軸、長軸のいずれも、ケーブルの芯線を通すため、芯線の直径よりも大きいことが好ましい。また、孔8a、8bの少なくとも短軸は、外皮を含めたケーブルの全体が孔8a、8bを通らないように、ケーブル全体の直径よりも小さい。孔8a、8bが、変位方向に長軸を持つ理由は、重なった孔8a、8bにケーブルの芯線を通すことが可能な挟持片4a、4bの変位量に、余裕を持たせて、重なった孔8a、8bに芯線を通す作業を容易にするためである。なお、本実施形態においては、孔8a、8bの形状は、楕円形状であるが、芯線が重なった孔に挿通可能であり、かつ、ケーブル全体が重なった孔を通らないのであれば、他の形状であってもよい。例えば、孔は、図5aに示されるような菱型形状や、図5bに示されるような六角形の形状であってもよい。さらに、二つの孔は、同一の形状でなくてもよく、例えば、一方を楕円形状とし、他方を菱型形状にすることもできる。
端子1は、基体部2の挟持片側の端部2aにおいて、一対の挟持片4a、4b間の上方側の辺からケーブル延出側に向かって延びる楔片12をさらに有する。すなわち、基体部2の挟持片4a、4b側の端部2aにおいては、基体部2の断面が、コの字形状ではなく、一辺追加されて矩形の筒状の断面を持つところ、楔片12は、追加された一辺から延出する。端子1が展開された状態(金属板から端子1が打ち出された状態)において、挟持片4a、4b間に楔片12が位置すると、楔片12の設計自由度が制約されてしまう。そのため、端子1を展開した状態において、挟持片4a、4bの外側に位置するように、追加された一辺から楔片12が延出する。楔片12は、板状であり、基体部側では細く、挟持片4a、4bの根元部5a、5bの外側への広がりに合わせて所定の位置までは、先端側ほど幅広くなっている。また、楔片12は、先端部分に、内側に折り曲げて形成された圧入部13を有する。圧入部13の折り曲がり位置は、挟持片4a、4bの間に圧入部13が圧入可能なように、挟持片4a、4bの折り曲がり位置よりも基体部側にある。また、後述の通り、ケーブルの芯線が仮保持された後に、圧入部13が、挟持片4a、4b間に圧入される。そのため、ケーブルの芯線が仮保持される前の状態において、圧入部13が、挟持片4a、4b間に位置しないように、楔片12は、基体部2との接続部分12aで折り曲げられ、外側(上側)に広がるようにして延びている。
既に説明に用いた図4並びに、図6及び図7を用いて、端子1によるケーブル100の仮保持について説明する。図6は、重なった孔8a、8bにケーブル100の芯線104を挿入し、ケーブル100を仮保持した状態の端子1を示す斜視図である。また、図7は、ケーブル100を仮保持した状態の端子1の上面図である。図8は、ケーブル100を仮保持している状態の端子1を示す図7のA−A断面の断面図である。なお、図8では、ケーブル100の芯線104が便宜的に省略されている。
端子1に、ケーブル100を仮保持させるためには、まず、内側方向17の力を挟持片4a、4bに加えて、図4に示すような挟持片4a、4bを内側に変位させた状態にし、挟持片4a、4bの先端部7a、7bに作られた孔8a、8bが、ケーブル延出側から見て、少なくとも一部が重なるようにする。重なった孔8a、8bに、ケーブル100の芯線104を挿入する。ケーブル100の位置決めのため、図6及び図7に示すように、ケーブルの外皮108の端子側の切断面が、先端部7aの外側の面である当接面10に当接するまでケーブル100を端子1側に移動させて、芯線104を重なった孔8a、8bに挿入する。後に楔片12の圧入部13が、挟持片4a、4b間に圧入されるので、芯線104が、楔片12の圧入部13と干渉することを避ける必要がある。そのため、外皮108の切断面が、挟持片4aの先端部7aの当接面10に当接した状態で、芯線104の先端106が、圧入部13の位置よりもケーブル延伸側に位置するように、予め芯線104の露出部分の長さを決めておくことが望ましい。また、本実施形態においては、ケーブルの芯線104は単線であるが、本発明においては、これに限られるものではなく、例えば、芯線104は、撚り線であってもよい。
芯線104を重なった孔8a、8bに挿入したら、内側方向17に加えられていた力を抜く。挟持片4a、4bは、根元部5a、5bにおいて弾性を持ち、内側に変位した状態において、外側方向18に復元力を持つため、二つの孔8a、8bの内面の外側方向18に向いた一部分9a、9bが、ケーブル100の芯線104に接触して、挟持する。挟持片4a、4bは、弾性による復元力を持つが、この復元力は、ケーブル100を完全に結線するまでの間、一時的に保持すること(仮保持)ができる程度の力であれば十分である。例えば、復元力は、ケーブル100自身の重さで抜けない程度の力であればよく、ケーブル100をケーブル延伸方向に所定の力で引っ張ることによって抜ける程度であってもよい。従って、挟持片4a、4bに高い剛性を持つ部材を用いる必要はなく、比較的安価な一般的な材料を用いて、端子1を製造することができる。また、孔8a、8bの内面の少なくとも一部分9a、9bが、芯線104に接触することによって、芯線104と端子1とが電気的に接続する。
図8に示されるように、挟持片4a、4bがケーブル100を仮保持した状態において、圧入部13の幅13aは、凸部11a、11b間の距離4cよりも大きく、圧入部13を凸部11a、11b間に挿入しようとすると、圧入部13が凸部11a、11bに干渉する。凸部11a、11b間に圧入部13を挿入(圧入)するためには、挟持片4a、4bの変位方向に対して垂直で内側向き(圧入方向19)の力を楔片12に加えて、圧入部13を介して挟持片4a、4bを互いに外側方向18に離間させなければならない。このとき、重なった孔8a、8b内には、芯線104が挿通されているので、圧入部13の圧入による挟持片4a、4bを離間させる力は、芯線104を締め付ける力(締付力)となり、端子1とケーブル100とを完全に結線することになる。圧入作業は、作業者の手によって、直接楔片12の背面15を押圧して行ってもよいし、後述するように、端子1と共に用いられる電気コネクタのハウジングを利用して、背面15を押圧することによって行われてもよい。圧入部13の先端部分14では、先端ほど幅が細くなっている一方で、凸部11a、11bの側面11c、11dは、曲面になっている。そのため、先端部分14の挟持片4a、4b側の側面14a、14bと凸部11a、11bの側面11c、11dとの接触面を介して、楔片12に加えられた圧入方向19の力が、外側方向18の力に、すなわち挟持片4a、4bを離間させる力に効率的に分解される。また、圧入部13の先端部分14が、細くなっている点、及び、凸部11a、11bの側面11c、11dが、曲面になっている点は、圧入部13を挟持片4a、4b間の所定の位置に案内して、圧入を容易にすることにも役立つ。
凸部11a、11bを設けることは、楔片12の幅を小さくすることができるため、材料費用の抑制にもつながる。また、凸部11a、11bは、挟持片4a、4bの強度を上げる役割も果たし、楔片12から互いに離間する方向(外側方向18)の力を受けても挟持片4a、4bの変形や破損を防ぐことができる。本実施形態においては、楔片12は、上述する通りの構成であるが、本発明では、圧入部を挟持片間に圧入可能であれば、異なる構成であってもよい。例えば、楔片が、基体部と一体ではなく、別部品であってもよい。その場合には、楔片が、本実施形態における圧入部13に相当する部分のみで構成されてもよい。
図9及び図10は、楔片12を、一対の挟持片4a、4b間に圧入して、ケーブル100を完全に結線した状態の端子1を示す。図9は、斜視図であり、図10は、上面図である。
ケーブル100を仮保持した状態(図6から図8参照)で、挟持片4a、4bの変位方向に対して垂直の方向19から挟持片4a、4b間に楔片12を圧入し、図9に示されるようなケーブル100と端子1を完全に結線した状態にする。上述の通り、楔片12を挟持片4a、4b間に圧入することによって、挟持片4a、4b同士が、互いに離間する方向(外側方向18)に楔片12から力を受け、孔8a、8bが、芯線104と接触する内面の外側方向18を向いた一部分9a、9bを介して、仮保持状態時よりも強く、芯線104を挟持することができる。すなわち、楔片12を挟持片4a、4b間に圧入した状態において、重なった孔8a、8bは、力が加わらない状態にある芯線104の太さよりもわずかに小さい大きさになるように設計され、二つの孔8a、8bの内面の外側方向18に向いた一部分9a、9bが、芯線104を挟持し、芯線104の締付力が強化される。より詳細に説明すると、重なった孔8a、8bの挟持方向(変位方向)の距離が、芯線104の直径よりも小さいことにより、ケーブルの芯線104が挟持される。また逆に、重なった孔8a、8bが小さくなり過ぎて、芯線104を損傷や切断させてはならないため、芯線104が、弾性変化によって、内面9a、9bからの力に耐えられる程度に、重なった孔8a、8bの大きさを設計することが望ましい。端子1は、バネなどの金属の横方向にかかる弾性を利用するのではなく、楔片12を挟持片4a、4b間に圧入して、ケーブル100を固定する。そのため、端子1は、高い剛性を持つ部材を用いて製造する必要がなく、比較的安価な一般的な材料を用いて製造することが可能である。また、バネなどの空間を占める範囲が広い部品を利用して結線を行っていないので、端子1は、小型化が可能であり、少量の材料で作成することができる。
締付力は、凸部11a、11bの突出量を調整することによって、調整することができる。凸部11a、11bの突出量により、凸部11a、11bと圧入部13との干渉量が、決まるため、干渉量を大きくすることで、締付力が大きくなるためである。例えば、端子1を打ち抜くための型を決定した後であっても、凸部11a、11bの突出量を調整して、ケーブルを保持するために最適な締付力を決めることができる。上述の通り、楔片12を挟持片4a、4b間に圧入した状態において、芯線104の先端106は、楔片12の圧入部13よりもケーブル延出側に位置するように、芯線104の露出部分の長さが調整されていることが、図10から理解できる。
図11及び図12は、本発明の一実施形態による電気コネクタ20のハウジング21に端子1を挿入する様子を示す断面図である。なお、図11及び図12は、ハウジング21、ハウジング21に嵌合するコードカン30及び押込部材31の断面を示すが、端子1及びケーブル100は、断面ではなく外観を示す。図11においては、コードカン30がハウジング21に嵌合する前の状態であり、端子1は、仮保持によりケーブル100に取り付けられている。また、図12は、ハウジング21とコードカン30とが嵌合した状態を示し、端子1は、ハウジング21に装着されている。図13は、図11のBの領域を拡大して示す拡大図である。
電気コネクタ20は、ハウジング21及びハウジング21と嵌合するコードカン30を有する。ハウジング21は、略円柱形状である。また、コードカン30は、略円筒形状である。ハウジング21とコードカン30の嵌合時において、ハウジング21の一部は、コードカン30の内部に位置する。また、ハウジング21及びコードカン30は、共に樹脂製である。電気コネクタ20は、複数のケーブルを保持することができ、図11及び図12においては、2本のケーブルのみが図示されるが、本発明においては、電気コネクタによって保持されるケーブルの本数には制限がない。また、複数のケーブル100は、取り扱いを容易にするために、チューブ112によって束ねられている。
コードカン30は、内部に、略円柱形状の押込部材31を有する。押込部材31の本体部32には、貫通穴33が設けてあり、端子1を取り付ける前の状態のケーブル100が、貫通穴33に挿入され、貫通穴33の内壁との摩擦力によって保持される。図11には、押込部材31によって保持された二つのケーブル100が示されている。ここでは、説明のため領域A内に示されるケーブル100の芯線104は、端子1と未接続状態として示している。領域B内に示されるケーブル100は、端子1と仮保持状態で接続している。貫通穴33の周辺には、本体部32からハウジング21側に突出する突出部34が設けられている。突出部34の先端にある押圧面35に端子1の当接面10が当接するように端子1が取り付けられることで、突出部34の突出の程度に応じて、端子1のケーブル延出方向についての位置を調整することができる。本実施形態においては、領域B内の押圧面35bの方が、領域A内の押圧面35aよりもハウジング21側にあるため、領域B内の貫通穴33に取り付けられたケーブル100の芯線104の方が、領域A内の貫通穴33に取り付けられたケーブル100の芯線104よりも先に、接続先の回路と電気的に接続することになる。従って、電気コネクタ20のように、各端子1のケーブル延出方向の位置を異なるようにして、コネクタに保持されるケーブルの接続順を決めることが可能である。例えば、先端が最もハウジング側に位置する端子をグラウンド線のために使い、2番目にハウジング側に位置する端子を電源のために使い、残りの端子を信号線のために用いることにより、電気コネクタによって接続する二つの回路を、グラウンド、電源、信号の順に電気的に接続することができる。上記の順番で、二つの回路が電気的に接続することによって、例えば、信号のみが接続する状態になる等の回路の電位が不安定になることによる回路の誤動作、電子部品の破損等の不具合を防ぐことができる。なお、本実施形態においては、コードカン30と押込部材31とは、別の部品になっているが、両者を一体化し、一つの部品として実施することも可能である。
ケーブル100を押込部材31に保持させたら、端子1をケーブル100に仮保持状態で取り付ける。ハウジング21には、端子挿着孔22が、押込部材31の貫通孔33に対応する位置に設けられており、端子1の接触部3を端子挿着孔22に挿入する(図11のBに囲まれて示される状態)。そして、コードカン30の内側にある突起部36が、ハウジング21の外側に設けられた溝部23と嵌合するまで、コードカン30を嵌合方向に移動させる。突起部36と溝部23とが嵌合することによって、コードカン30が、ハウジング21に固定される。また、押込部材31は、コードカン30の内壁において隆起する隆起部37のハウジング21側の面によってハウジング21側に押し込まれるため、作業者は、直接押込部材31を押圧する必要はない。
ハウジング21とコードカン30との嵌合に合わせて、端子1は、端子挿着孔22に挿入される。詳細には、端子1の当接面10が、押圧面35によって押圧されて、端子1がハウジング21内に挿入される。ケーブル100を貫通穴33に保持させる際に、ケーブル100のケーブル延出方向の位置を調整して、外皮108の切断面と押圧面35を連続させて、連続面を形成させておくと、当該連続面によって、端子1の当接面10を押圧して、ハウジング21内に挿入させることができる。
端子挿入孔22の内径は、圧入部13が挟持片4a、4b間に圧入される前の状態の端子1の外形よりも小さい。そのため、端子1が、端子挿着孔22に装着される際に、楔片12の背面15が、端子挿着孔22の内壁により内側に押圧されて、楔片12の圧入部13が、挟持片4a、4b間に圧入される。従って、本実施形態においては、特殊な工具を使用することなく、ケーブルを端子に結線できるだけでなく、端子1をハウジング21に装着する作業、すなわち、コードカン30をハウジング21に嵌合させる作業を通じて、ケーブル100を端子1に結線することができ、作業が効率的になる。
図13に示されるように、端子挿着孔22の入り口には、テーパー24が設けられる。テーパー24は、端子1が端子挿着孔22に挿着される際に、背面15と接触し、楔片12を内側に変位させて、挟持片間4a、4bに押圧する。テーパー24により、背面15にかかる力を効率的に内側方向に分圧することができる。そのため、圧入部13を挟持片4a、4b間に圧入する力が大きくなると共に、ケーブル延出側への力、すなわち挿入方向と逆向きの力を小さくすることができ、端子1を小さい力で、端子挿着孔22に挿入することができるようになる。その結果、コードカン30をハウジング21に嵌合させる作業が容易になる。電気コネクタ20に保持されるケーブル100の本数が増えるに連れて、ハウジング21とコードカン30を嵌合させるために必要な力が大きくなるため、電気コネクタが多くのケーブル100を保持する場合には、端子挿着孔にテーパーを設けることが、特に有効になる。また、複数の端子1を有する電気コネクタ20では、押圧面35のケーブル延出方向についての位置が異なる場合に、圧入部13を挟持片4a、4b間に圧入するための力が同時に全ての端子1にかからなくなるため、コードカン30をハウジング21に嵌合させるために必要な力を低減させることが可能である。図12に示されるように、端子1が端子挿着孔22に挿着されると、背面15が端子挿着孔22の内面と接触することによって、楔片12の上方への移動が規制されるため、楔片12が、挟持片4a、4b間から外れなくなる。
図14には、本発明の別の実施形態である電気コネクタ用端子40を示す。端子40は、端子1と多くの部分が共通であり、共通部分については、説明を省略する。端子40の楔片52は、背面55に外側(紙面手前側)に向けて突出し、長手方向に延びるリブ57を有する。端子40をハウジングの端子挿着孔22に挿入する際に、リブ57により、端子40と端子挿着孔22の内壁との接触面積が小さくなることから、端子40が受ける摩擦力が減少し、小さい力で、端子40を端子挿着孔22に挿入することが可能になり、作業性を高めることができる。
また、楔片52の圧入部53は、挟持片44a、44b側の側面に、ロック用突起58a、58bを有する。ロック用突起58a、58bは、楔片52の圧入部53を挟持片44a、44b間に圧入した後の状態(完全に結線した状態)において、挟持片44a、44bに設けられた凸部51a、51bと係合する。すなわち、圧入部53の圧入後の状態で、ロック用突起58a、58bは、凸部51a、51bの下側(紙面奥側)に位置することになる。ロック用突起58a、58bが、凸部51a、51bと係合することにより、楔片52の上方への移動が規制され、挟持片44a、44b間から外れにくくなり、ケーブルの芯線が端子40から抜けることを防ぐことができる。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
1 電気コネクタ用端子
2 基体部
2a 挟持片側の端部
3 接触部
4a、4b 挟持片
5a、5b 根元部
6a、6b 中間部
7a、7b 先端部
8a、8b 孔
9a、9b 孔の内面の外側方向を向いた一部分
10 当接面
11a、11b 凸部
11c、11d 凸部の側面
12 楔片
12a 接続部
13 圧入部
13a 圧入部の幅14 先端部分
14a、14b 先端部分の側面
15 背面
16 長手方向
17 内側方向
18 外側方向
19 圧入方向(挟持片の変位方向に対して垂直で内側方向)
20 電気コネクタ
21 ハウジング
22 端子挿着孔
23 溝部
24 テーパー
30 コードカン
31 押込部材
32 本体部
33 貫通穴
34 突出部
35 押圧面
36 突起部
37 隆起部
40 電気コネクタ用端子
44a、44b 挟持片
51a、51b 凸部
52 楔片
53 圧入部
55 背面
57 リブ
58a、58b ロック用突起
100 ケーブル
104 芯線
106 先端
108 外皮
112 チューブ

Claims (9)

  1. 基体部と、
    前記基体部の一端からケーブル延出側に対面して延び、少なくとも一方が内側に変位可能な一対の挟持片と、
    楔片と、
    を備え、
    前記一対の挟持片の各々は、内側に屈曲した先端部を有し、
    前記一対の挟持片の各々は、前記先端部に、孔を持ち、
    前記一対の挟持片の少なくとも一方が、内側に変位した状態において、前記孔は、少なくとも一部が重なり、
    重なった前記孔にケーブルの芯線を挿通した状態において、前記楔片は、前記一対の挟持片の間に圧入可能である、
    電気コネクタ用端子。
  2. 前記一対の挟持片の少なくとも一方が、内側に変位した状態において、前記一対の挟持片の少なくとも一方は、外側方向に復元力を持つ、
    ことを特徴とする請求項に記載の電気コネクタ用端子。
  3. 前記楔片は、前記基体部の前記一端において、前記一対の挟持片の延出位置に対して垂直の位置からケーブル延出側に伸び、
    前記楔片は、内側に屈曲し、前記一対の挟持片の間に圧入可能な圧入部を有する、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気コネクタ用端子。
  4. 前記楔片は、背面にリブを有する、
    ことを特徴とする請求項3に記載の電気コネクタ用端子。
  5. 前記一対の挟持片の各々は、前記楔片との干渉部分に、内側に突出する凸部を有する、
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電気コネクタ用端子。
  6. 前記楔片は、前記一対の挟持片側の側面にロック用突起を有し、
    前記ロック用突起は、前記凸部と係合する、
    ことを特徴とする請求項5に記載の電気コネクタ用端子。
  7. 電気コネクタであって、
    請求項1から6のいずれか1項に記載の電気コネクタ用端子と、
    前記電気コネクタ用端子を収納する端子挿着孔を持つハウジングと、
    を有する電気コネクタ。
  8. 前記端子挿着孔は、内壁によって、前記楔片を内側に押圧する、
    ことを特徴とする請求項7に記載の電気コネクタ。
  9. 前記ハウジングに嵌合するコードカンと、
    前記コードカン内に位置する押込部材とをさらに有し、
    前記押込部材は、ケーブルを保持する貫通穴を有し、
    前記押込部材は、前記貫通穴の周囲に前記ハウジング側に向けて突出する突出部を有し、
    前記突出部は、先端に押圧面を有し、
    前記押圧面は、前記ハウジングと前記コードカンを嵌合させる際に、重なった前記孔にケーブルの芯線を挿通した状態の前記電気コネクタ用端子の前記先端部のケーブル延出側にある当接面を押圧する、
    ことを特徴とする請求項7又は8に記載の電気コネクタ。
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