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JP2015053605A - センサネットワークシステム - Google Patents

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JP2015053605A JP2013185355A JP2013185355A JP2015053605A JP 2015053605 A JP2015053605 A JP 2015053605A JP 2013185355 A JP2013185355 A JP 2013185355A JP 2013185355 A JP2013185355 A JP 2013185355A JP 2015053605 A JP2015053605 A JP 2015053605A
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和之 北瀬
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Abstract

【課題】センサネットワークシステムにおいて、無線端末の消費電力を低減しながら、無線端末からの情報が管理端末まで送信されないという事態が発生することを抑制する技術を提供する。【解決手段】センサネットワークシステム10は、通信機20と、通信機20と通信可能であると共に相互に通信可能な複数の無線端末30と、少なくとも1つの無線端末30と通信可能とされるコンセントレータ40と、コンセントレータ40と通信可能とされ、対象物の情報を管理する管理端末50と、を有している。複数の無線端末30のそれぞれは、情報の送受信を可能とする起動状態と、情報の送受信を休止する休止状態とを所定の周期で繰り返す間欠動作を行う。間欠動作の周期は、全ての無線端末30において互いに同期されている。通信機20からの対象物に関する情報は少なくともコンセントレータ40を介して管理端末50に送信される。【選択図】図1

Description

本明細書が開示する技術は、センサネットワークシステムに関する。詳しくは、特定の地域(例えば、市町村等の地方自治体等)に存在又は通過する対象物(例えば、住民、ペット、自転車、バス等)に対して構築されるセンサネットワークシステムに関する。
センサネットワークシステムは、例えば、対象物の位置を把握するシステムとして利用される。例えば、特許文献1には、バスから送信される情報を最寄の無線端末によって受信し、受信した情報を他の無線端末に順次送信するセンサネットワークシステムが開示されている。すなわち、最寄の無線端末で受信された情報は、その隣の無線端末に無線送信され、その無線端末で受信された情報は、さらに隣の無線端末に無線送信される。このように、近距離の無線通信によって情報をリレー式に伝達するセンサネットワークシステムが提案されている。
特開平8−315293号公報
センサネットワークシステムでは、無線端末の省電力化が望まれている。例えば、電源が取れない場所に無線端末を設置する場合、バッテリから無線端末に電力を供給しなければならない。このとき、無線端末の消費電力が大きいと、バッテリの交換頻度が多くなり利便性が低下する。一方、電源に接続して無線端末を使用する場合であっても、無線端末の消費電力が大きいと電源が大型化し、スペース上の制約を受ける場合がある。また、出力が大きい電源にしか無線端末を接続できなくなるため、設置場所に制約を受けるといったことも考えられる。
本明細書では、センサネットワークシステムにおいて、無線端末の消費電力を低減しながら、無線端末からの情報が管理端末まで送信されないという事態が発生することを抑制する技術を提供する。
本明細書が開示するセンサネットワークシステムは、特定の地域に存在又は通過する対象物に対して構築される。このセンサネットワークシステムは、対象物のそれぞれが携帯もしくは装備する通信機と、特定の地域内に間隔を空けて設置され、通信機と通信可能であると共に相互に通信可能な複数の無線端末と、少なくとも1つの無線端末と通信可能とされるコンセントレータと、コンセントレータと通信可能とされ、対象物の情報を管理する管理端末と、を有している。通信機は、当該通信機を携帯もしくは装備する対象物に関する情報を記憶する情報記憶部と、当該通信機の通信範囲内に位置する無線端末に、情報記憶部に記憶されている対象物に関する情報を無線端末に送信する送信部と、を有している。複数の無線端末のそれぞれは、通信機から送信される対象物に関する情報を受信する第1情報受信部と、第1情報受信部で対象物に関する情報を受信したときに、その対象物に関する情報を送信する送信先として予め指定された無線端末又はコンセントレータを記憶する第1送信先記憶部と、第1送信先記憶部に記憶された無線端末又はコンセントレータに、第1情報受信部で受信した対象物に関する情報を送信する第1情報送信部と、を有している。コンセントレータは、送信される対象物に関する情報を受信する第2情報受信部と、第2情報受信部で対象物に関する情報を受信したときに、その対象物に関する情報を管理端末に送信する第2情報送信部と、を有している。複数の無線端末のそれぞれは、情報の送受信を可能とする起動状態と、情報の送受信を休止する休止状態とを所定の周期で繰り返す間欠動作を行う。間欠動作の周期は、全ての無線端末において互いに同期されている。通信機からの対象物に関する情報は少なくともコンセントレータを介して管理端末に送信される。
このセンサネットワークシステムでは、無線端末は情報の送受信を可能とする起動状態と、情報の送受信を休止する休止状態とを所定の周期で繰り返す間欠動作を行う。このため、無線端末が常時起動状態である場合と比較して、無線端末の消費電力を低減することができる。また、この間欠動作の周期は、全ての無線端末において互いに同期されている。即ち、全ての無線端末は同じタイミングで起動し、同じタイミングで起動を終了する。このため、無線端末は、当該無線端末の起動時間中に受信した対象物に関する情報を、同じく起動状態である当該無線端末の指定送信先の無線端末に送信することができる。従って、無線端末の消費電力を低減しながら、無線端末からの情報が管理端末まで送信されないという事態が発生することを抑制することができる。
センサネットワークシステムの構成を示す図。 通信機の構成を示すブロック図。 無線端末の構成を示すブロック図。 コンセントレータの構成を示すブロック図。 無線端末の間欠動作を示す図。 図5の二点鎖線で示される起動状態の部分拡大図。 無線端末の間欠動作中に起動状態を延長した様子を示す図。 無線端末の間欠動作中に所定の周期の上限まで起動状態を延長した様子を示す図。 無線端末で実行される位置情報送受信処理及び特定情報送受信処理の流れを示すフローチャート(その1)。 無線端末で実行される位置情報送受信処理及び特定情報送受信処理の流れを示すフローチャート(その2)。 無線端末で実行される時刻補正処理の流れを示すフローチャート(その1)。 無線端末で実行される時刻補正処理の流れを示すフローチャート(その2)。
最初に、以下に説明する実施例の特徴を列記する。なお、ここに列記する特徴は、何れも独立して有効なものである。
(特徴1)本明細書に開示するセンサネットワークシステムでは、管理端末又はコンセントレータが、通信機が記憶する対象物に関する情報を受信したときに、その情報が通信機から管理端末又はコンセントレータまで送信されたルートを所定の期間記憶するルート記憶部を有していてもよい。管理端末又はコンセントレータは、ルート記憶部に記憶されたルートを用いて、通信機あるいは無線端末に所定の情報を送信してもよい。このような構成によると、管理端末は、記憶されたルートを用いて、通信機(すなわち、当該通信機を携帯する対象物(住民等))又は無線端末に安定して情報を送信することができる。
(特徴2)本明細書に開示するセンサネットワークシステムでは、無線端末が、1つの周期の起動時間中に第1情報受信部で受信した対象物に関する情報を、当該周期の起動時間の範囲内でランダムに遅延させて、第1情報送信部から指定された無線端末又はコンセントレータに送信してもよい。センサネットワークシステムでは、特定の地域内に複数の対象物が存在し、これら複数の対象物(即ち、複数の通信機)から当該対象物に関する情報が送信されることがある。このような場合、無線端末及びコンセントレータは、複数の無線端末の指定送信先となる場合がある。この場合、無線端末及びコンセントレータには、複数の無線端末から対象物に関する情報が送信される。特徴2によると、送信元である複数の無線端末は、受信した対象物に関する情報をそれぞれランダムに遅延させて指定送信先の無線端末又はコンセントレータに送信する。このため、複数の無線端末からそれぞれ送信される対象物に関する情報が、指定送信先の無線端末又はコンセントレータに同じタイミングで到達する(コリジョンする)確率が低減する。従って、無線端末及びコンセントレータは対象物に関する情報を安定して受信することができる。
(特徴3)本明細書に開示するセンサネットワークシステムでは、管理端末又はコンセントレータは、1つの無線端末から受信した対象物に関する情報が、別の無線端末から既に受信した対象物に関する情報と同一である場合は、受信した2つの対象物に関する情報のいずれか一方を破棄してもよい。この構成によると、管理端末に同一の対象物に関する同一の情報が重複して記憶されることが抑制される。このため、管理端末は対象物に関する情報を適切に管理することができる。
(特徴4)本明細書に開示するセンサネットワークシステムでは、無線端末は、1つの周期において、予め設定された起動時間中に対象物に関する情報を指定された無線端末又はコンセントレータに送信できない場合は、設定された起動時間を越えて間欠動作の周期の範囲内で起動時間を延長してもよい。この構成によると、無線端末は指定送信先の無線端末又はコンセントレータにより高確率で対象物に関する情報を送信できる。このため、通信機からの対象物に関する情報は、コンセントレータを介して管理端末までより高確率で送信されることができる。
図1に示すセンサネットワークシステム10は、特定の地域(例えば、地方自治体等)に存在又は通過する対象物Aの位置を把握するセンサネットワークシステムである。センサネットワークシステム10は、対象物Aに携帯もしくは装備される通信機20と、特定地域内に設置される複数の無線端末30と、通信機20及び無線端末30と通信可能とされたコンセントレータ40と、コンセントレータ40と通信可能とされた管理端末50を有している。
対象物Aは、例えば、特定地域に在住又は勤務する人や、特定地域内を移動又は通過する物(例えば、自動車、バス、自転車、ペット)等である。これら対象物Aの範囲は、目的に応じて任意に設定することができる。図2に示すように、対象物Aが携帯又は装備する通信機20は、送受信器24と、メモリ26と、タイマ27と、表示器28と、これらを制御する制御器22を備えている。なお、通信機20には、例えば、液晶表示器を備えた通信機等を用いることができる。
送受信器24は、近距離無線通信規格(例えば、IEEE802.15.4等)に従って、無線端末30又はコンセントレータ40との間で信号(データ)の送受信を行う。具体的には、通信機20がコンセントレータ40又は無線端末30の通信範囲内に位置している場合、送受信器24は、コンセントレータ40又は無線端末30から送信される信号(データ)を受信する。送受信器24は、上記の信号を受信すると、コンセントレータ40又は無線端末30に対して受信を通知する信号(受信信号)を送信する。また、通信機20が無線端末30の通信範囲内に位置している場合、送受信器24は、無線端末30から、通信機20を携帯もしくは装備する対象物Aの識別情報(ID情報等)(以下では、「位置情報」とも称する)を要求する信号を受信する。送受信器24は、上記の信号を受信すると、無線端末30に対して通信機20を携帯もしくは装備する対象物Aの識別情報(ID情報等)を送信する。送受信器24が上記の通信規格に従って通信を行うことで、低い消費電力で通信が可能とされている。また、送受信器24は信号(データ)の送受信が可能な状態(起動状態)と不可能な状態(休止状態)とを所定の周期で繰り返す(間欠動作)。起動状態と休止状態の切り替えは、タイマ27(後述)に基づいて行われる。メモリ26は、通信機20を携帯もしくは装備する対象物Aの識別情報(ID情報)や、通信機20の動作を制御するプログラム等を記憶する。タイマ27は、時間の経過を計測し、予め設定された時間が経過するごとに制御器22(後述)に通知する。表示器28は、送受信器24で受信したデータ(例えば、コンセントレータ40又は無線端末30から送信されたデータ等)を表示する。制御器22は、送受信器24とメモリ26とタイマ27と表示器28に接続されている。制御器22は、メモリ26に格納されているプログラムに従って、送受信器24、タイマ27、表示器28の動作を制御する。
ここで、間欠動作についてより詳細に説明する。通信機20には、予め起動時間と周期時間が設定されている。本実施例では、起動時間は5秒間に設定されており、周期時間は10分間に設定されている。タイマ27は時間をカウントし、制御器22に対し、周期時間の開始(即ち、起動時間の開始)と起動時間の終了を交互に通知する。制御器22は、タイマ27から周期時間の開始が通知されると送受信器24を起動状態に切り替え、起動時間の終了が通知されると送受信器24を休止状態に切り替える。これにより、送受信器24は5秒間の起動状態と9分55秒間の休止状態とを10分周期で繰り返す。送受信器24がこのような間欠動作を行うことで、通信機20の消費電力を効果的に抑制できる。なお、起動時間及び休止時間(即ち、周期時間)は、通信機20を携帯若しくは装備する対象物Aによって異なる時間を設定してもよい。例えば、対象物Aが自転車である場合は、対象物Aが人である場合と比較して、周期を長く設定し、周期に占める起動時間の割合を少なくしてもよい。
通信機20は、図示しない二次電池を備えており、この二次電池から供給される電力によって送受信器24、メモリ26、タイマ27、表示器28及び制御器22が動作する。通信機20の二次電池は、帰宅している間に充電される。なお、通信機20は、一次電池で動作するようにしてもよい。上述したように、通信機20は、消費電力が極めて低く抑えられているため、一次電池の交換頻度を低くすることができる。
無線端末30は、特定地域内に設置されており、他の無線端末30とは所定の間隔が設けられている。複数の無線端末30が特定地域内に間隔を空けて配置されているため、対象物Aが特定地域内のどの位置にいても、その対象物Aが携帯又は装備する通信機20は、いずれかの無線端末30との間で信号の送受信を行うことができる。また、各無線端末30の通信圏(通信範囲)内には、隣接する複数の無線端末30が配置されている。したがって、各無線端末30は、隣接する複数の無線端末30と信号の送受信を行うことができる。
図3に示すように、無線端末30は、送受信器34と、メモリ36と、タイマ37と、これらを制御する制御器32を備えている。送受信器34は、近距離無線通信規格(例えば、IEEE802.15.4等)に従って、通信機20や他の無線端末30やコンセントレータ40との間で信号(データ)の送受信を行う(厳密には、コンセントレータ40との間で信号(データ)の送受信を行う無線端末30は、コンセントレータ40の通信範囲内に位置する無線端末30に限られる)。
具体的には、無線端末30と通信機20との間では、送受信器34は、無線端末30の通信範囲内に位置する通信機20(通信範囲内に位置する対象物Aの通信機20)に各種信号を送信する。通信機20で受信される信号が位置情報要求信号である場合、送受信器34は、通信機20から送信される位置情報を受信する。一方、通信機20で受信される信号が位置情報要求信号以外の信号である場合、送受信器34は、通信機20から送信される受信を通知する信号(受信応答)を受信する。送受信器34が受信応答を受信することで、送受信器34の送信処理が完了する。
また、無線端末30と他の無線端末30との間では、送受信器34は、他の無線端末30に各種信号を送信する。送受信器34から送信される信号が他の無線端末30で受信されると、送受信器34は、他の無線端末30から送信される、受信を通知する信号(ACK応答)又は所定の指示の完了を通知する信号(完了応答)を受信する。送受信器34がACK応答又は完了応答を受信することで、送受信器34の送信処理が完了する。送受信器34が他の無線端末30から送信される完了応答を受信すると、送受信器34は他の無線端末30に対して完了応答の受信を通知する信号(ACK信号)を送信する。また、送受信器34が他の無線端末30から送信される各種信号を受信すると、送受信器34は、他の無線端末30に対して受信を通知する信号(ACK信号)又は所定の指示の完了を通知する信号(完了信号)を送信する。送受信器34が他の無線端末30に完了信号を送信し、その完了信号が他の無線端末30で受信されると、送受信器34は、他の無線端末30から完了信号の受信を通知する信号(ACK応答)を受信する。送受信器34がACK応答を受信することで、送受信器34の完了信号の送信処理が完了する。
また、無線端末30とコンセントレータ40との間では、送受信器34は、他の無線端末30との間で送受信される信号と同一の信号を送受信する。このため、詳細な説明は省略する。なお、送受信器34は、上記の通信規格に従って通信を行うため、低い消費電力で通信が可能となっている。また、送受信器34は信号(データ)の送受信が可能な状態(起動状態)と不可能な状態(休止状態)とを所定の周期で繰り返す(間欠動作)。起動状態と休止状態の切り替えは、タイマ37(後述)に基づいて行われる。
メモリ36は、当該無線端末30を特定するための識別情報(ID情報)や、無線端末30の動作を制御するプログラム等を記憶する。また、メモリ36は内部時計(図示省略)を有している(後述)。タイマ37は、時間の経過を計測し、予め設定された時間が経過するごとに制御器22(後述)に通知する。制御器32は、送受信器34とメモリ36とタイマ37に接続されている。制御器32は、メモリ36に格納されているプログラムに従って、送受信器34とメモリ36内の内部時計とタイマ37の動作を制御する。
ここで、間欠動作について図5を参照して説明する。送受信器34の間欠動作は、起動時間及び休止時間が異なる以外は送受信器24の間欠動作と同一であるため、詳細な説明は省略する。本実施例では、無線端末30に0.15秒間の起動時間(図5の時間T2に相当)と5秒間の周期時間が設定されている。制御器32がタイマ37をスタートさせると、タイマ37は時間の計測を開始する。これにより、送受信器34は0.15秒間の起動状態と4.85秒間の休止状態とを5秒周期(図5の時間T1に相当)で繰り返す。送受信器34がこのような間欠動作を行うことで、無線端末30の消費電力がより効果的に抑制される。図5に示すように、起動時間は休止時間に比べて極めて短い。ただし、起動時間の長さは、通信機20や他の無線端末30やコンセントレータ40との間で信号の送受信を行うのに十分な長さに設定されている。また、上述したように、メモリ36は内部時計を有している。タイマ37は、この内部時計の時刻に基づいて、起動時間及び周期時間の計測を開始、終了する。内部時計の時刻は、特定地域内に設置されている全ての無線端末30において互いに同期されている。このため、全ての無線端末30において起動状態と休止状態とが同じタイミングで切り替わるようになっている。
また、無線端末30のメモリ36には、通信機20からの信号及び/又は他の無線端末30からの信号をコンセントレータ40に向かって送信する際の送信先となる無線端末30又はコンセントレータ40が指定送信先として記憶されている。各無線端末30は、通信機20からの信号及び/又は他の無線端末30からの信号を受信すると、メモリ36に記憶されている指定送信先の無線端末30又はコンセントレータ40に対して送信処理を実行する。
本実施例では、無線端末30はバッテリを装備し、このバッテリからの電力によって動作する。上述したように、無線端末30は間欠動作を行い、起動時間は休止時間に比べて極めて短い。また、通信機20や他の無線端末30やコンセントレータ40との通信は、消費電力の低い近距離無線通信規格によって行う。このため、バッテリの消費電力が極めて低く抑えられ、バッテリの交換頻度を大幅に下げることができる。
図4に示すように、コンセントレータ40は、送受信器44と、メモリ46と、これらを制御する制御器42を備えている。送受信器44は、近距離無線通信規格(例えば、IEEE802.15.4等)に従って、通信機20や他の無線端末30との間で信号(データ)の送受信を行う。また、コンセントレータ40は、管理端末50(後述)とケーブルによって通信可能に接続されており、管理端末50との間で信号の送受信を行う。具体的には、送受信器44は通信機20又は無線端末30から送信される通信機20の位置情報又は受信信号を受信し、管理端末50にその位置情報又は受信信号を送信する。また、送受信器44は、管理端末50から各種信号を受信する。管理端末50から受信した各種信号が無線端末30に向けての指示信号である場合、送受信器44は、無線端末30にその指示信号を送信する。指示信号を受信した無線端末30は、所定の指示を完了した後、送受信器44に完了を通知する完了信号を送信する。完了応答を受信した送受信器44は、その完了応答を完了信号として管理端末50に送信する。上記の各種信号が通信機20又は無線端末30に向けての指示信号以外の信号である場合、送受信器44は通信機20又は無線端末30にその信号を送信する。コンセントレータ40と通信機20間、及びコンセントレータ40と無線端末30間におけるその他の信号の送受信は、それぞれ無線端末30と通信機20間、及び無線端末30と他の無線端末30間における信号の送受信と同一であるため、その説明は省略する。
メモリ46は、コンセントレータ40の動作を制御するプログラム等を記憶する。制御器42は、送受信器44とメモリ46に接続されている。制御器42は、メモリ46に格納されているプログラムに従って、送受信器44とメモリ46の内部時計(後述)の動作を制御する。
メモリ46には、通信機20及び/又は他の無線端末30からの信号を送信する送信先として管理端末50が記憶されている。コンセントレータ40は、通信機20及び/又は他の無線端末30からの信号を受信すると、メモリ46に記憶されている指定送信先の管理端末50に対して送信処理を実行する。なお、無線端末30と異なり、管理端末50は1台のみ設置される。このため、通信機20及び/又は他の無線端末30からの信号を受信すると、コンセントレータ40は、その信号を自動的に管理端末50に送信するようにしてもよい。この場合、メモリ46に管理端末50を送信先として記憶する必要はない。
また、メモリ46は内部時計(図示省略)を有している。内部時計の時刻は、管理端末50から送信される指示信号(時刻補正指示)によって定期的に補正される。無線端末30が有する内部時計の時刻は、コンセントレータ40の内部時計の時刻に同期される(後述)。
また、メモリ46は、送受信器44が通信機20の位置情報を受信したときに、その位置情報が通信機20からコンセントレータ40まで送信されたルートを所定の期間記憶するルート記憶部47を有する。具体的には、位置情報が無線端末30を介してコンセントレータ40に送信される場合、通信機20からコンセントレータ40までの送信ルート上にある無線端末30は、自身の識別情報を位置情報に関連付けて次の無線端末30又はコンセントレータ40に送信する。このため、コンセントレータ40で受信される位置情報には、送信ルート上の無線端末30の識別情報が順番に関連付けられている。ルート記憶部47は、無線端末30の識別情報が順番に関連付けられた通信機20の位置情報(以下では「ルート情報」とも称する)を記憶する。そして、通信機20や、上記の送信ルート上の無線端末30に信号を送信する際は、ルート記憶部47に記憶されているルート情報を用いて信号を送信する。ルート情報はコンセントレータ40の電源をオフにしても消去されることはない。すなわち、ルート記憶部47は、電源遮断時においても記憶内容を保持可能なメモリ(例えば、EEPROM等)が用いられている。ルート記憶部47は、送受信器44が通信機20から最新の位置情報を受信すると、通信機20からコンセントレータ40までのルート情報を更新する。一方、位置情報が通信機20から直接コンセントレータ40に送信される場合は、ルート記憶部47には通信機20の識別情報が記憶される。このため、通信機20を携帯又は装備する対象物Aが特定地域内に存在する限り、その対象物Aの通信機20に信号を送信することができる。
また、本実施例では、通信機20又は無線端末30からコンセントレータ40に送信された信号が、他の無線端末30から既に送信された信号と同一である場合は、制御器42は、後で受信した信号を破棄する。このため、管理端末50には同一の情報を含む信号が重複して送信されることはない。
なお、コンセントレータ40は、固定電源に接続可能な場所(例えば、市役所等)に設置される。コンセントレータ40は固定電源から電力供給されており、常時起動状態にある。このため、コンセントレータ40は間欠動作を行わない。
管理端末50は、センサネットワークシステム10の全体を管理するための装置である。管理端末50としては、例えば、通信機能を備えたコンピュータを用いることができる。管理端末50は、特定地域内に適宜設定された場所(例えば、市役所等)に設置することができる。管理端末50は、コンセントレータ40と通信可能となっている。管理端末50は、コンセントレータ40とケーブルによって通信可能に接続されている。管理端末50は、コンセントレータ40からの信号を受信することで、対象物Aの位置を把握することができ、また、対象物Aに対して情報を発信することができる。この他にも、管理端末50は、コンセントレータ40を介して無線端末30に対して指示を出し、無線端末30が指示通りの処理を完了したか否かを確認することができる。管理端末50をインターネットに接続し、インターネット上に種々の情報を公開することもできる。
次に、通信機20の位置情報を無線端末30を経由してコンセントレータ40に送信する際の無線端末30の動作について図6を参照して説明する。図6に示すように、無線端末30は、無線端末30が起動状態である時刻t=t1のときに通信機20又は他の無線端末30から通信機20の位置情報を受信する。そして、無線端末30は、起動時間T2の範囲内で時間△tだけ経過した時刻t=t2のときに指定送信先の無線端末30又はコンセントレータ40に通信機20の位置情報を送信する(即ち、△t=t2−t1)。△tは、制御器32によってランダムに設定される値であり、通信機20の位置情報の受信時刻t1及び送信時刻t2が1つの周期の起動時間T2内に属するように設定される。
続いて、図5、7、8を参照して起動時間の延長について説明する。上述したように、無線端末30が他の無線端末30又はコンセントレータ40に信号を送信すると、無線端末30は、送信先からACK応答を受信する。また、無線端末30が通信機20に位置情報要求以外の信号を送信すると、無線端末30は、通信機20から受信応答を受信する。このように、無線端末30がACK応答又は受信応答を受信することで、送信先への信号の送信が完了したと判断する。この送受信処理は、通常、無線端末30の1周期内の起動時間T2の間に行われ、起動時間T2の経過後、無線端末30は休止状態に移行する。しかしながら、何らかの通信不良に起因して起動時間T2の間に無線端末30が送信先からACK応答又は受信応答を受信できない場合、無線端末30は、予め設定された起動時間T2を越えて周期時間T1の範囲内で起動時間を延長する。そして、図7に示すように、時刻t=t3のときに無線端末30が送信先からACK応答又は受信応答を受信すると、無線端末30は、休止状態に移行し、起動時間の開始から周期時間T1が経過するまで休止状態を継続する。周期時間T1が経過すると、無線端末30は再び起動状態に切り替わり、上記の送受信処理を繰り返す。一方、図8に示すように、起動時間の開始から周期時間T1が経過しても送信先からACK応答又は受信応答を受信できない場合は、無線端末30は送信先への信号の送信が失敗したと判断し、送信処理を終了する。この場合、無線端末30は休止状態に移行することなく次の周期の起動時間が開始される。これは、次のように説明することもできる。即ち、起動時間を延長する場合は、制御器32は、タイマ37から起動時間の終了が通知されても送受信器34の起動状態を継続する。そして、送受信器34がACK応答又は受信応答を受信すると、制御器32は送受信器34を休止状態に切り替える。送受信器34がACK応答又は受信応答を受信しないまま次の周期時間の開始がタイマ37から通知された場合は、制御器32は予め設定された起動時間がタイマ37から通知されるまで、送受信器34を起動状態に維持する。即ち、起動時間の延長はその周期限り有効であり、次の周期に持ち越されることはない。
次に、図9〜11を参照して無線端末30の処理について説明すると共にセンサネットワークシステム10の動作について説明する。
まず、図9,10を参照して無線端末30の位置情報送受信処理及び特定情報送受信処理について説明する。図9に示すように、無線端末30は、内部時計に基づいてタイマ37をスタートする(S10)。タイマ37のスタートと同時に、無線端末30が起動状態となる。内部時計は全ての無線端末30で同期されているため、全ての無線端末30は一斉に起動状態となる。次に、無線端末30は、通信機20の位置情報(通信機20を携帯又は装備する対象物Aの識別情報(ID情報等))を要求する位置情報要求信号をブロードキャスト送信する(S12)。そして、無線端末30は通信機20から位置情報を受信したか否かを判断する(S14)。無線端末30は位置情報要求信号をブロードキャスト送信するため、無線端末30の通信範囲内に対象物Aが存在していると、その対象物Aが携帯又は装備する通信機20からの識別情報が無線端末30で受信される。
通信機20からの信号を受信している場合(S14でYES)は、無線端末30は、対象物Aの識別情報と、当該無線端末30の識別情報と、その信号を受信した時刻t4を関連付けてメモリ36に記憶する(S16)。これによって、通信機20を携帯又は装備する対象物Aの時刻t4における位置(当該無線端末30の通信範囲内)がメモリ36に記憶される。一方、通信機20からの信号を受信していない場合(S14でNO)は、ステップS18に進む。
ステップS16が終了するか、或いはステップS14でNOの場合は、無線端末30は、他の無線端末30から通信機20の位置情報を受信したか否かを判断する(S18)。後述するように、無線端末30は、位置情報を受信すると、その位置情報をメモリ36に記憶された指定送信先の無線端末に送信する。したがって、S18で無線端末30が他の無線端末30より位置情報を受信している場合、その無線端末30は、他の無線端末30のメモリ36に記憶されている指定送信先の無線端末である。通信機20からの信号を受信している場合(S18でYES)は、無線端末30は、対象物Aの識別情報と、当該無線端末30の識別情報と、その信号を受信した時刻t5を関連付けてメモリ36に記憶する(S20)。これによって、通信機20を携帯又は装備する対象物Aの時刻t5における位置(当該無線端末30の通信範囲内)がメモリ36に記憶される。ステップS20が終了すると、無線端末30は、送信元(即ち、S18の他の無線端末30)にACK信号を送信する(S22)。これにより、他の無線端末30は、無線端末30への位置情報の送信を完了する。なお、ステップS20とステップS22の処理は逆の順番でもよい。一方、他の無線端末30からの信号を受信していない場合(S18でNO)は、ステップS24に進む。
ステップS22が終了するか、或いはステップS18でNOの場合は、無線端末30は、コンセントレータ40又は他の無線端末30から特定情報を受信したか否かを判断する(S24)。図9の特定情報とは、管理端末50がコンセントレータ40に指示してコンセントレータ40から対象物A(詳細には、対象物Aが携帯又は装備する通信機20)に対して送信する情報である。特定情報として、例えばバスの位置情報や買い物情報等が挙げられる。コンセントレータ40は、メモリ46のルート記憶部47に記憶されている通信機20までのルート情報を合わせて送信する。特定情報を受信している場合(S24でYES)は、無線端末30は、ルート情報と特定情報をメモリ36に記憶する(S26)。ステップS26が終了すると、無線端末30は、送信元(即ち、S24のコンセントレータ40又は他の無線端末30)にACK信号を送信する(S28)。これにより、コンセントレータ40又は他の無線端末30は、当該無線端末30への特定情報の送信を完了する。なお、ステップS26とステップS28の処理は逆の順番でもよい。一方、特定情報を受信していない場合(S24でNO)は、無線端末30は、ステップS30に進む。
ステップS28が終了するか、或いはステップS24でNOの場合は、無線端末30は、メモリ36にS16の位置情報及び/又はS20の位置情報が記憶されているか否かを判断する(S30)。位置情報が記憶されている場合(S30でYES)は、無線端末30は、メモリ36に記憶されている指定送信先の無線端末30又はコンセントレータ40に位置情報を送信する。このとき、無線端末30は、送信するタイミングを起動時間の範囲内でランダムに遅延させて位置情報を送信する(S32(図6参照))。一方、位置情報が記憶されていない場合(S30でNO)は、無線端末30はステップS34に進む。
ステップS32が終了するか、或いはステップS30でNOの場合は、無線端末30は、メモリ36に特定情報が記憶されているか否かを判断する(S34)。特定情報が記憶されている場合(S34でYES)は、無線端末30は、ルート情報により指定された無線端末30又は通信機20に特定情報を送信する(S35)。一方、特定情報が記憶されていない場合(S34でNO)は、無線端末30は、ステップS36に進む。
ステップS35が終了するか、或いはステップS34でNOの場合は、無線端末30は、ステップS32の送信先及び/又はステップS35の送信先からACK応答又は受信応答を受信したか否かを判断する(S36)。なお、ステップS32の送信先からはACK応答を受信し、また、ステップS35の送信先からは、送信先が無線端末30の場合はACK応答を受信し、送信先が通信機20の場合は受信応答を受信することに留意されたい。ルート情報を利用することで、特定情報が直接又は無線端末30を経由して通信機20に送信される。すると、対象物Aが携帯又は備える通信機20に特定情報が表示される。特定情報は、通信機20の表示器28に表示される。その結果、対象物Aは、特定情報の内容を確認することができる。送信先からACK応答を受信した場合(S36でYES)、無線端末30は、メモリ36にステップS32の送信及び/又はステップS35の送信が完了した旨を記憶する(S38)。一方、送信先からACK応答を受信していない場合(S36でNO)は、無線端末30は、ステップS40に進む。
ステップS38が終了するか、或いはステップS36でNOの場合は、無線端末30は、第1設定時間が経過したか否かを判断する(S40)。ここで、第1設定時間とは、無線端末30に予め設定された起動時間のことであり、本実施例では0.15秒間である。、第1設定時間が経過していない場合(S40でNO)は、無線端末30はステップS14に戻って上記の処理を繰り返す。一方、予め設定された第1設定時間が経過した場合(S40でYES)は、無線端末30は、メモリ36に送信完了が記憶されているか否かを判断する(S42)。送信が完了していない場合(S42でNO)は、無線端末30は、起動状態を第2設定時間まで延長する(S44)。ここで、第2設定時間とは、周期時間のことであり、本実施例では5秒間である。一方、送信が完了している場合(S42でYES)は、ステップS50に進む。
ステップS44が終了すると、無線端末30は、再度ステップS36と同一の処理を実行する。即ち、ステップS32の送信先及び/又はステップS35の送信先からACK応答又は受信応答を受信したか否かを判断する(S46)。送信先からACK応答を受信していない場合(S46でNO)は、無線端末30は、第2設定時間が経過したか否かを判断する(S48)。一方、送信先からACK応答又は受信応答を受信した場合(S46でYES)は、無線端末30は、ステップS50に進む。周期時間が経過していない場合(S48でNO)、無線端末30は、ステップS46に戻って再度送信先からACK応答又は受信応答を受信したか否かを判断する。ステップS42又はステップS46でYESの場合は、無線端末30は、休止状態に移行し(S50)、周期時間内における位置情報送受信処理及び特定情報送受信処理を終了する。一方、第2設定時間(周期時間)が経過した場合(S48でYES)は、無線端末30は送信先への送信が失敗したと判断する。このとき、無線端末30は、休止状態に移行することなく、位置情報送受信処理及び特定情報送受信処理を終了する。
上記の説明から明らかなように、位置情報送受信処理では、無線端末30は、当該無線端末30からの位置情報要求信号に応じて通信機20からの信号(位置情報)を受信する。すると、当該無線端末30は、その通信機20の位置情報を、当該無線端末30に記憶されている指定送信先の無線端末30又はコンセントレータ40に送信する。また、各無線端末30は、他の無線端末30から位置情報を受信すると、その位置情報を指定送信先の無線端末30又はコンセントレータ40に送信する。これによって、特定地域内に存在する各対象物Aの位置情報がコンセントレータ40に送信される。コンセントレータ40に送信された位置情報は、管理端末50の記憶部に保存される。このため、管理端末50は、特定地域内に存在する各対象物Aの位置を把握することができる。
上述したことから明らかなように、センサネットワークシステム10では、特定地域内に存在する対象物A(例えば、居住者、勤務者、自動車、バス、自転車、ペット等)の位置を把握することができる。このため、例えば、認知症患者に通信機20を携帯させることで、その居場所を容易に特定することができ、認知症患者に適切なサポートを行うことができる。また、高齢者に通信機20を携帯させることで、その移動情報から元気か否かを容易に判断することができ、高齢者に適切なみまもり支援を行うことができる。さらに、子供に通信機20を携帯させることで、その居場所を容易に特定することができ、迷子支援を適切に行うことができる。また、自転車に通信機20を装備することで、自転車の交通量の把握ができ、さらに、盗難被害にあっても、盗まれた自転車を容易に探し出すことができる。また、バスに通信機20を装備することで、リアルタイムでバスの位置を把握することができ、バス停等にバスの接近情報を表示することができる。また、管理端末50から指定された対象物Aの通信機20に特定情報を送信できるため、例えば、スーパー等の小売店の近傍のバス停で降車した人の通信機20に、そのスーパーの買い物情報を送信する等のサービスを行うことができる。
無線端末30はメモリ36内に内部時計を有している。内部時計に基づいて、無線端末30は間欠動作を行う。内部時計の時計データは、定期的に補正される。具体的には、コンセントレータ40はメモリ46に内部時計を有しており、管理端末50からの指示を受けて定期的に内部時計の時計データを調整している。特定の地域内に設置されている全ての無線端末30は、自身の時計データを、コンセントレータ40の時計データに一致させることで内部時計の時刻補正を行う。これにより、全ての無線端末30の内部時計の時刻が同期される。このため、全ての無線端末30は、間欠動作を同じタイミングで行う。以下では、図11、12を参照して無線端末30の時刻補正処理について説明する。
図11に示すように、無線端末30は、内部時計に基づいてタイマ37をスタートする(S58)。タイマ37のスタートと同時に、無線端末30が起動状態となる。次に、無線端末30は、コンセントレータ40又は他の無線端末30から時刻補正指示信号を受信したか否かを判断する(S60)。コンセントレータ40又は他の無線端末30は、その通信範囲内に位置する不特定の無線端末30に対して、時刻補正指示信号をブロードキャスト送信する。このため、無線端末30がコンセントレータ40又は他の無線端末30の通信範囲内に設置されている場合は、その無線端末30は時刻補正指示信号を受信し、コンセントレータ40又は他の無線端末30の通信範囲内に設置されていない場合は無線端末30は時刻補正指示信号を受信しない。無線端末30が時刻補正指示信号を受信しない場合(S60でNO)は、無線端末30は、予め定められた起動時間(第1設定時間)が経過したか否かを判断する(S62)。予め定められた起動時間が経過していない場合(S62でNO)は、無線端末30はステップS60に戻り、ステップS60からの処理を繰返す。一方、予め定められた起動時間が経過した場合(S62でYES)は、無線端末30は休止状態に移行する(S92)。
無線端末30が時刻補正指示信号を受信すると(S60でYES)、無線端末30はメモリ36が有する内部時計の時刻を補正する(S64)。具体的には、時刻補正指示信号には、コンセントレータ40の時計データが含まれている。無線端末30は、自身の内部時計の時計データをコンセントレータ40の時計データと一致させる。これにより、無線端末30の内部時計がコンセントレータ40の内部時計に同期される。
ステップS64が終了すると、無線端末30は、メモリ36に記憶されている指定送信先のコンセントレータ40又は無線端末30に対して、時刻補正処理の完了を示す時刻補正完了信号を送信する(S66)。即ち、ブロードキャスト送信により時刻補正指示信号を受信した無線端末30は、指定送信先のコンセントレータ40又は無線端末30に完了信号を送信する。このため、完了信号は、必ずしも時刻補正指示信号を送信した無線端末30に送信されるわけではない。
ステップS66が終了すると、無線端末30は、時刻補正指示信号内の時計データを調整した時刻補正指示信号を、無線端末30の通信範囲内に位置する不特定の無線端末30にブロードキャスト送信する(S68)。ここで、時刻補正指示信号内の時計データの調整について具体的に説明する。無線端末30から送信先の不特定の無線端末30まで信号を送信するには、所定の時間(以下では「遅延時間」と称する)を要する。この遅延時間は、無線端末30から送信先の不特定の無線端末30までの距離に応じて変化する。本実施例では、この遅延時間を、無線端末30から送信先の不特定の無線端末30までの無線端末30の数(以下、「ホップ数」とも称する)により一律に規定している。無線端末30は、時刻補正指示信号内の時計データを、遅延時間だけ遅らせる。こうすることで、無線端末30から時刻補正指示信号を受信した時点での時刻補正指示信号内の時計データは、コンセントレータ40の内部時計の時計データと一致する。これにより、時刻補正指示信号を受信した不特定の無線端末30は、受信した時刻補正指示信号に基づいて内部時計を補正すれば(S64の処理)、自身の内部時計の時計データをコンセントレータ40の内部時計の時計データに正確に同期させることができる。
ステップS68が終了すると、無線端末30は、S68の送信を受信したであろう無線端末30のうち特定の無線端末30から時刻補正完了応答を受信したか否かを判断する(S70)。即ち、当該無線端末30が時刻補正指示信号を受信した無線端末30の指定送信先となっている場合は、時刻補正指示信号を受信した無線端末30は時刻補正完了応答を当該無線端末30に送信する。一方、当該無線端末30が指定送信先になっていない場合は、時刻補正指示信号を受信した無線端末30は当該無線端末30に時刻補正完了信号を送信しない。時刻補正完了応答を受信しない場合(S70でNO)は、無線端末30は、予め設定された起動時間(第1設定時間)が経過したか否かを判断する(S72)。予め設定された起動時間が経過していない場合(S72でNO)は、無線端末30はステップS70に戻って処理を繰返す。予め設定された起動時間が経過した場合(S72でYES)は、無線端末30は休止状態に移行する(S92)。即ち、時刻補正指示信号を送信した無線端末30は、予め設定された起動時間が経過するまでは時刻補正完了応答を受信したか否かの判断を継続し、時刻補正完了応答を受信しないまま予め設定された起動時間が経過すると、送信先から完了応答を受信したか否かに関わらず休止状態に移行する。時刻補正完了応答を受信した場合(S70でYES)は、送信元にACK信号を送信する(S74)。これにより、送信元の無線端末30は完了応答が送信できたと判断する。
ステップS74が終了すると、無線端末30は、ステップS70で受信した時刻補正完了応答を、メモリ36に記憶されている指定送信先のコンセントレータ40又は無線端末30に送信する(S76)。ステップS76が終了すると、無線端末30は、ステップS66及びステップS76の送信先からACK応答を受信したか否かを判断する(S78)。即ち、無線端末30がステップS66及びステップS76の送信先に、自身の内部時計の補正の完了を示す完了応答と、他の無線端末30の内部時計の補正の完了を示す完了応答を送信できたか否かを判断する。無線端末30が送信先からACK応答を受信した場合(S78でYES)は、無線端末30は、メモリ36に、送信先に時刻補正完了信号を送信できた旨を記憶する(S80)。一方、無線端末30が送信先からACK応答を受信しない場合(S78でNO)は、無線端末30はステップS82に進む。
ステップS80が終了するか、ステップS78でNOの場合は、無線端末30は、予め設定された起動時間(第1設定時間)が経過したか否かを判断する(S82)。予め設定された起動時間が経過していない場合(S82でNO)は、無線端末30はステップS78に戻って再度ACK応答を受信したか否かを判断する。予め設定された起動時間が経過した場合(S82でYES)は、無線端末30は、メモリ36に送信完了が記憶されているか否かを判断する(S84)。送信が完了していない場合(S84でNO)は、無線端末30は、起動状態を周期時間(第2設定時間)まで延長する(S86)。一方、送信が完了している場合(S84でYES)は、休止状態に移行し、当該周期における時刻補正処理を終了する(S92)。
ステップS86が終了すると、無線端末30は、再度ステップS78と同一の処理を実行する。即ち、ステップS66の送信先及びステップS76の送信先からACK応答を受信したか否かを判断する(S88)。送信先からACK応答を受信していない場合(S88でNO)は、無線端末30は、第2設定時間が経過したか否かを判断する(S90)。一方、送信先からACK応答を受信した場合(S88でYES)は、無線端末30は、休止状態に移行し、当該周期における時刻補正処理を終了する(S92)。第2設定時間が経過していない場合(S90でNO)、無線端末30は、ステップS88に戻って再度送信先からACK応答を受信したか否かを判断する。一方、第2設定時間が経過した場合(S90でYES)は、無線端末30は送信先への送信が失敗したと判断する。このとき、無線端末30は、休止状態に移行することなく時刻補正処理を終了する。
センサネットワークシステム10では、無線端末30は間欠動作を行う。このため、無線端末30が常時起動状態である場合と比較して、無線端末30の消費電力を大幅に低減することができる。また、この間欠動作の周期は、上述した時刻補正処理によって全ての無線端末30において互いに同期されている。即ち、全ての無線端末30は同じタイミングで起動し、同じタイミングで起動を終了する。このため、無線端末30は、当該無線端末30の起動時間中に受信した位置情報、特定情報又はその他の情報を、同じく起動状態である当該無線端末30の指定送信先の無線端末30に確実に送信することができる。従って、無線端末30の消費電力を低減しながら、無線端末30からの情報が管理端末50まで送信されないという事態が発生することを抑制することができる。
また、センサネットワークシステム10では、無線端末30は間欠動作を行うが、無線端末30が位置情報及び/又は特定情報を他の無線端末30、コンセントレータ40又は通信機20に送信できない場合は、間欠動作の周期時間の範囲内で起動時間を延長する。周期時間は予め設定された起動時間に比べて極めて長い。このため、悪天候など、何らかの通信不良により予め設定された起動時間中に上記の送信先に送信できない場合であっても、起動時間を最大で周期時間まで延長することにより、送信できる可能性が大幅に上昇する。このため、間欠動作により無線端末30の消費電力を低減しながら、無線端末30が上記の送信先に位置情報及び/又は特定情報が送信できないという事態の発生を抑制することができる。
また、センサネットワークシステム10では、コンセントレータ40は、通信機20からの位置情報及びそれに関連付けられた無線端末30の識別情報等を、ルート情報としてルート記憶部47に記憶する。これにより、コンセントレータ40は無線端末30や通信機20に安定して情報を送信できる。なお、ルート情報を利用して送信する情報は、通信機20に送信する特定情報に限られない。例えば、特定の無線端末30宛に情報(指示など)を送信する際にもこのルート情報を利用することができる。また、特定の無線端末30は、コンセントレータ40から直接又は他の無線端末30を経由して指示を受信する場合は、まず送信元に受信を通知するACK信号を送信してもよい。その後の処理は時刻補正処理と同様である。即ち、特定の無線端末30が指示に基づいて所定の処理を完了すると、送信元に処理の完了を通知する完了信号を送信する(即ち、特定の無線端末30はACK信号と完了信号を送信する)。特定の無線端末30は、完了信号が送信されたコンセントレータ40又は他の無線端末30から、ACK応答を受信する。これにより、特定の無線端末30は完了信号の送信ができたと判断する。即ち、ルート情報を利用して特定の無線端末30に情報を送信する場合は、当該無線端末30が情報を受信した時点で送信元にACK信号を送信する処理を実行する点で、時刻補正処理における無線端末30の処理とは異なっている。これは、ルート情報を用いた情報の送信は、特定の無線端末30に向けて行われるものであるのに対し、時刻補正処理における情報の送信は、無線端末30の通信範囲内にある不特定の無線端末30に向けて行われるものであるという相違点に基づいている。
また、センサネットワークシステム10では、通信機20は、無線端末30からの位置情報要求信号を受信すると、通信範囲内にある不特定の無線端末30に対して位置情報を送信する。このため、通信機20の位置情報は、複数のルートでコンセントレータ40を介して管理端末50まで送信される場合がある。位置情報を送信する複数の無線端末30は、位置情報を送信するタイミングを、予め設定された起動時間の範囲内でそれぞれランダムに遅延させる。これにより、複数の無線端末30からそれぞれ送信される位置情報が、指定送信先の無線端末30又はコンセントレータ40に同じタイミングで到達する(コリジョンする)確率が低減する。このため、無線端末及びコンセントレータは対象物に関する情報を安定して受信することができる。また、コンセントレータ40は、1つの無線端末30から既に受信した位置情報と同一の位置情報を他の無線端末30から受信した場合は、後で受信した位置情報を破棄する。これにより、管理端末50に位置情報が重複して送信されることが抑制される。このため、管理端末50は位置情報を適切に管理することができる。
最後に、上述した実施例と請求項との対応関係を説明しておく。通信機20のメモリ26が請求項でいう「情報記憶部」の一例であり、通信機20の送受信器24が請求項でいう「送信部」の一例であり、無線端末30の送受信器34が請求項でいう「第1情報受信部」と「第1情報送信部」の一例であり、無線端末30のメモリ36が請求項でいう「第1送信先記憶部」の一例であり、コンセントレータ40の送受信器44が請求項でいう「第2情報受信部」と「第2情報送信部」の一例であり、通信機20に送信される特定情報が請求項でいう「所定の情報」の一例である。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。
例えば、上述したセンサネットワークシステムに用いられる無線端末は、特定地域内に在住又は勤務する利用者に対して情報を掲示する情報掲示板としての機能を備えることができる。例えば、バス停に無線端末を設置することで、無線端末の表示器に、バス事業者や自治体からの情報、小売店の情報(スーパー等の買い物情報)等を表示することができる。これによって、バス待ちをしている利用者のイライラ感を緩和することができる。あるいは、車椅子利用者がバス停に設置された無線端末を操作することで(例えば、バス停に設けられた無線端末のタッチパネルを操作することで)、接近するバスに車椅子利用者がいることを報知することができる。これにより、接近するバスは、車椅子用のスペースを確保する等の対応を予め採ることができる。さらには、バス停等に設置した無線端末に、災害時の緊急情報を表示するようにしてもよい。特に、上述したセンサネットワークシステムは、各無線端末が省電力化され、電池によって駆動することが可能となっている。このため、災害によって電気通信回線が使えない場合にも、バス事業者や自治体等は無線端末を利用して災害情報を配信することができる。
また、管理端末50とコンセントレータ40は一体化された管理装置として構成してもよい。この場合の管理装置は、上述した実施例における管理端末50とは異なり、ACK信号を送信及びACK応答を受信する機能を有し、また、通信機20とも通信可能な機能を有し、さらに、ブロードキャスト送信する機能を備えることとなる。但し、これらの機能はあくまでも当該管理装置が備えるコンセントレータとしての機能であり、当該管理装置が備える管理端末としての機能は、本実施例の管理端末50と同様である。
また、上記の実施例では無線端末30はバッテリを装備していたが、これに限られない。例えば、無線端末30は、特定地域内に設けられる防犯灯や街路灯のような照明器具に設置されてもよい。無線端末30を防犯灯や街路灯に組み込むことで、特定地域内を簡易に漏れなく通信範囲内とすることができる。無線端末30を照明器具に設置する際は、例えば、照明器具に無線端末30を組み込み、照明器具と無線端末30とを一体化することができる。この場合、照明器具用の電源を利用して、無線端末30に電力を供給することができる。また、既存の照明器具に無線端末30を組み込むだけでよいため、無線端末30の設置工事及び電源工事を簡素化することができる。なお、無線端末30を照明器具に組み込む際は、照明器具の任意の部分に無線端末30を組み込むことができ、例えば、照明器具に用いられる電球に無線端末30を組み込んでもよい。この場合、既存の照明器具を利用し、電球を取り替えるだけで無線端末30を設置することができる。
また、通信機20も内部時計を備えており、内部時計に基づいてタイマを開始、終了させてもよい。また、上記の実施例では、コンセントレータ40がルート記憶部47を有していたが、管理端末50がルート記憶部47を有していてもよい。また、上記の実施例ではコンセントレータ40が、同一の位置情報を受信した場合に後で受信した位置情報を破棄する。しかしながら、この処理を行うのはコンセントレータ40に限られず、管理端末50が行ってもよい。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
10 センサネットワークシステム
20 通信機
30 無線端末
40 コンセントレータ
50 管理端末

Claims (5)

  1. 特定の地域に存在又は通過する対象物に対して構築されるセンサネットワークシステムであり、
    対象物のそれぞれが携帯もしくは装備する通信機と、
    特定の地域内に間隔を空けて設置され、通信機と通信可能であると共に相互に通信可能な複数の無線端末と、
    少なくとも1つの無線端末と通信可能とされるコンセントレータと、
    コンセントレータと通信可能とされ、対象物の情報を管理する管理端末と、
    を有しており、
    通信機は、
    当該通信機を携帯もしくは装備する対象物に関する情報を記憶する情報記憶部と、
    当該通信機の通信範囲内に位置する無線端末に、情報記憶部に記憶されている対象物に関する情報を送信する送信部と、
    を有しており、
    複数の無線端末のそれぞれは、
    通信機から送信される対象物に関する情報を受信する第1情報受信部と、
    第1情報受信部で対象物に関する情報を受信したときに、その対象物に関する情報を送信する送信先として予め指定された無線端末又はコンセントレータを記憶する第1送信先記憶部と、
    第1送信先記憶部に記憶された無線端末又はコンセントレータに、第1情報受信部で受信した対象物に関する情報を送信する第1情報送信部と、
    を有しており、
    コンセントレータは、
    送信される対象物に関する情報を受信する第2情報受信部と、
    第2情報受信部で対象物に関する情報を受信したときに、その対象物に関する情報を管理端末に送信する第2情報送信部と、
    を有しており、
    複数の無線端末のそれぞれは、情報の送受信を可能とする起動状態と、情報の送受信を休止する休止状態とを所定の周期で繰り返す間欠動作を行い、
    間欠動作の周期は、全ての無線端末において互いに同期されており、
    通信機からの対象物に関する情報が少なくともコンセントレータを介して管理端末に送信される、センサネットワークシステム。
  2. 管理端末又はコンセントレータは、通信機が記憶する対象物に関する情報を受信したときに、その情報が通信機から管理端末又はコンセントレータまで送信されたルートを所定の期間記憶するルート記憶部を有しており、
    管理端末又はコンセントレータは、ルート記憶部に記憶されたルートを用いて、通信機あるいは無線端末に所定の情報を送信する、請求項1に記載のセンサネットワークシステム。
  3. 無線端末は、1つの周期の起動時間中に第1情報受信部で受信した対象物に関する情報を、当該周期の起動時間の範囲内でランダムに遅延させて、第1情報送信部から指定された無線端末又はコンセントレータに送信する、請求項1または2に記載のセンサネットワークシステム。
  4. 管理端末又はコンセントレータは、1つの無線端末から受信した対象物に関する情報が、別の無線端末から既に受信した対象物に関する情報と同一である場合は、受信した2つの対象物に関する情報のいずれか一方を破棄する、請求項1〜3の何れか一項に記載のセンサネットワークシステム。
  5. 無線端末は、1つの周期において、予め設定された起動時間中に対象物に関する情報を指定された無線端末又はコンセントレータに送信できない場合は、設定された起動時間を越えて間欠動作の周期の範囲内で起動時間を延長する、請求項1〜4の何れか一項に記載のセンサネットワークシステム。
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