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JP2014234406A - ポリウレタンフォーム - Google Patents

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JP2014234406A JP2013115158A JP2013115158A JP2014234406A JP 2014234406 A JP2014234406 A JP 2014234406A JP 2013115158 A JP2013115158 A JP 2013115158A JP 2013115158 A JP2013115158 A JP 2013115158A JP 2014234406 A JP2014234406 A JP 2014234406A
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Abstract

【課題】ブロック内部にスコーチが発生することなく製造可能なポリウレタンフォームであって、低密度でありながら、高い硬度を有し、形状追従性(耐折り曲げ性)、形状記憶性に優れたポリウレタンフォームを提供する。【解決手段】ポリオール化合物は(i)数平均分子量が1000〜3000、水酸基価が37〜112mgKOH/gのポリテトラメチレンエーテルグリコール及び/またはその誘導体、(ii)数平均分子量が300〜1000、水酸基価が156〜560mgKOH/gのポリエーテルポリオール、(iii)数平均分子量が500〜1300、水酸基価が100〜200mgKOH/gのフタル酸を開始剤とするポリエステルポリオール、(iv)多価アルコール、の少なくとも4種を含み、平均水酸基価が190〜300mgKOH/gに調製され、かつ、イソシアネート成分はNCO含量が28〜33%のクルードMDIであることを特徴とする。【選択図】 なし

Description

本発明は、スラブストック成形においてブロック内部にスコーチを発生させることなく製造が可能なポリウレタンフォームに関し、特に、低密度でありながら、十分な硬度、耐折り曲げ性(形状追従性)、形状記憶性とを併せもつ半硬質のポリウレタンフォームに関する。
高硬度でありながら、ある程度の柔軟性を持つという“硬質ポリウレタンフォーム”と“軟質ポリウレタンフォーム”の中間的な特徴を有するものは「半硬質ポリウレタンフォーム」とも呼ばれ、高い硬度が要求されつつ、熱成形(プレス成形)が必須とされる自動車天井用基材などの部材として好適に使用されている。
これまで、様々な半硬質のポリウレタンフォームが開発されているが、例えば、特許文献1に記載のポリウレタンフォームでは、密度が高すぎ、軽量化という点においてもあまり好ましくなかった。
ポリウレタンフォームの低密度化としては、発泡剤である水の添加量を増やす方法があるが、水はイソシアネート化合物と反応するため、反応による発熱量が大きくなり、得られるフォームにスコーチ(焦げ)が発生しやすい。
この現象は、大型のブロック状のポリウレタンフォームを生産するスラブストック成形の場合、特に顕著であり、最悪の場合、火災の危険性すらある。
このように、低密度のポリウレタンフォームを成形するには、フォーム中のスコーチ発生の抑制が課題となるため、特許文献2では、過剰の水を添加することで、フォーム形成時に生じる内部の発熱を過剰な水の気化による除熱により低減させることを提案している。
しかし、特許文献2では、水を大量に添加することで、低密度化を実現したものにすぎず、柔軟性(伸び)に劣るので、自動車の天井などの屈曲面に追従しなければならない用途に使用する場合、その屈曲部にて割れが生じる問題があった。自動車天井用基材は、半硬質ポリウレタンフォームに表皮材を接着したものをプレス成形にて任意の形状とするのが一般的である。
一方、本発明者は、先に、スコーチを発生させることなく、低密度と高硬度を併せもつポリウレタンフォームを提案している(特許文献3)。
しかし、この先提案のポリウレタンフォームでは、実際に、自動車天井などの屈曲面に貼り付けプレス成形する際に、フォーム厚みや屈曲面の形状によっては、割れが生じてしまうという改良すべき点があった。このように、従来の半硬質ポリウレタンフォームでは、低密度化および高硬度化することに伴い、形状追従性に劣る傾向がある。
特許第3367091号 特許第4079254号 特開2012−46589号
本発明は、ブロック内部にスコーチが発生することなく製造可能なポリウレタンフォームであって、低密度でありながら、高い硬度を有し、形状追従性(耐折り曲げ性)及び形状記憶性に優れた半硬質のポリウレタンフォームを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、
ポリオール化合物として、ポリテトラメチレンエーテルグリコールやその誘導体、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、多価アルコールの少なくとも4種を含み、かつ平均水酸基価を特定の値に調製したものを使用することで、
低密度かつ高硬度でありながら、板状に加工した際に室温(25℃程度)下での折り曲げ可能角度が90°以上であり、また室温下で180°折り曲げても割れ(ヒビや亀裂)が入りにくく、しかも、その伸び特性(伸び及び耐折り曲げ性)が温度上昇に伴い向上するうえ、再度室温下に戻した時に高温下で折り曲げた形状を保持できるという形状記憶性を持つ、半硬質のポリウレタンフォームが得られることを見出した。
すなわち、本発明のポリウレタンフォームは、ポリオール化合物、発泡剤、整泡剤、及び触媒を含有するポリオール成分と、イソシアネート成分とを反応させて得られるポリウレタンフォームであって、
前記ポリオール化合物は、(i)数平均分子量が1000〜3000、水酸基価が37〜112mgKOH/gのポリテトラメチレンエーテルグリコール及び/またはその誘導体、(ii)数平均分子量が300〜1000、水酸基価が156〜560mgKOH/gのポリエーテルポリオール、(iii)数平均分子量が500〜1300、水酸基価が100〜200mgKOH/gのフタル酸を開始剤とするポリエステルポリオール、(iv)多価アルコール、の少なくとも4種を含み、平均水酸基価が190〜300mgKOH/gに調製され、かつ、
前記イソシアネート成分は、NCO含量が28〜33%のクルードMDI
であることを特徴とする。
このとき、前記ポリオール化合物100重量部に対し、前記(i)ポリテトラメチレンエーテルグリコール及び/またはその誘導体が10〜20重量部、前記(ii)ポリエーテルポリオールが40〜50重量部、前記(iii)ポリエステルポリオールが25〜35重量部、前記(iv)多価アルコールが5〜15重量部であることが好ましい。
本発明のポリウレタンフォームは、スラブストック成形においてもブロック内部にスコーチを発生させることなく製造可能であり、低密度でありながら、硬度が高く、柔軟性や形状追従性(耐折り曲げ性)に優れたものなので、自動車等の天井、ドアトリム、インストルメントパネル等の内装用基材として、またその形状記憶性から熱成形を必要とする用途に好ましく使用できる。
特に、本発明のポリウレタンフォームは、従来存在しなかった密度が25〜35kg/m3、かつC硬度(アスカーゴム硬度計C型で測定した硬度)が30以上であるにも拘わらず、室温下において180°折り曲げてもフォームに割れが生じないという優れた耐折り曲げ性を示す。
また、本発明のポリウレタンフォームは、温度上昇に伴い伸び特性(伸び及び耐折曲げ性)が向上し、高温下では非常に優れた形状追従性を持つ。さらに、高温下で折り曲げることで表現した形状を、室温下に戻したときに保持できるという優れた形状記憶性をも有するものである。
なお、本発明のポリウレタンフォームは、モールド成形による製造でも、現場施工スプレー成形法であっても、低密度で、かつ硬度や耐折り曲げ性などの諸特性において優れたものが得られることはもちろんである。
本発明のポリウレタンフォームは、ポリオール化合物、発泡剤、整泡剤、及び触媒を含有するポリオール成分と、イソシアネート成分とを反応させて得られ、
ポリオール化合物は、(i)ポリテトラメチレンエーテルグリコール及び/またはその誘導体、(ii)ポリエーテルポリオール、(iii)ポリエステルポリオール、(iv)多価アルコールの少なくとも4種を含み、平均水酸基価が190〜300mgKOH/gに調製されたものを用いる。
このポリオール化合物の平均水酸基価が低すぎると、得られるフォームの硬度が不十分になる虞があり、高すぎると、ブロック内部にスコーチが発生したり、JIS K6400−5に準拠して測定される伸びが12%未満になったり、十分な耐折り曲げ性が得られにくく、好ましくは、210〜280mgKOH/gである。平均水酸基価は、各ポリオールの水酸基価や配合率を適宜選定することによって、調製することができる。
ポリオール化合物100重量部中における、前記4種の配合は、(i)ポリテトラメチレンエーテルグリコール及び/またはその誘導体が10〜20重量部、(ii)ポリエーテルポリオールが40〜50重量部、(iii)ポリエステルポリオールが25〜35重量部、(iv)多価アルコールが5〜15重量部とすることが好ましい。
ポリオール化合物の(i)ポリテトラメチレンエーテルグリコール及び/またはその誘導体としては、数平均分子量が1000〜3000、水酸基価が37〜112mgKOH/gのものを用いる。
数平均分子量が1000未満のポリテトラメチレンエーテルグリコール及び/またはその誘導体では、常温下においてフォームが収縮しやすくなるため、寸法安定性を欠くことになり、3000を超えるポリテトラメチレンエーテルグリコール及び/またはその誘導体では、所望の硬度を発現できなくなる。
水酸基価が37mgKOH/g未満では、得られるフォームの硬度が低くなり、112mgKOH/gを超えると、常温下においてフォームが収縮しやすくなるため、寸法安定性を欠くことになる。
このように(i)数平均分子量が1000〜3000、水酸基価が37〜112mgKOH/gのポリテトラメチレンエーテルグリコール及び/またはその誘導体を配合することで、柔軟性が向上し、形状追従性(耐折り曲げ性)や形状記憶性に優れた半硬質ポリウレタンフォームが得られる。
(i)ポリテトラメチレンエーテルグリコール及び/またはその誘導体の配合割合については、ポリオール化合物100重量部中、10〜20重量部配合されることが好ましい。10重量部未満では、所望の伸びや形状追従性(耐折り曲げ性)が得られにくく、20重量部を超えると、硬度が不十分になりやすい。
(i)の具体例としては、三菱化学社製 商品名“PTMG1000”、“PTMG1500”、“PTMG2000”、“PTMG3000”;保土ヶ谷化学工業社製 商品名“PTG-L1000”、“PTG-L2000”、“PTG-L3000”等が挙げられ、中でも、テトラヒドロフランとネオペンチルグリコールの共重合体が好適であり、これらから1種を選択してもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリオール化合物の(ii)ポリエーテルポリオールとしては、数平均分子量が300〜1000、水酸基価が156〜560mgKOH/gのものを用いる。その平均官能基数は2〜4の範囲であればよく、好ましい平均官能基数は3である。
数平均分子量が300未満のポリエーテルポリオールでは、常温下においてフォームが収縮したり、セル荒れを抑制できなかったりするため、寸法安定性を欠くことになり、1000を超えるものでは、所望の硬度を発現できなくなるので、好ましくは400〜800である。
水酸基価が156mgKOH/g未満では、所望の硬度を発現できなくなり、560mgKOH/gを超えると、常温下においてフォームが収縮しやすくなる。
このように(ii)数平均分子量が300〜1000、水酸基価が156〜560mgKOH/gのポリエーテルポリオールを配合することで、硬度や剛性の向上が可能となる。
(ii)ポリエーテルポリオールの配合割合については、ポリオール化合物100重量部中、40〜50重量部配合されることが好ましい。40重量部未満では、所望の硬度や剛性が得られにくく、50重量部を超えると、フォームが収縮する虞がある。
(ii)の具体例としては、三井化学社製 商品名“アクトコールT-300”、“アクトコールT-400”、“アクトコールT-700”、“アクトコールT-1000”等が挙げられ、これらから1種を選択してもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリオール化合物の(iii)フタル酸(テレフタル酸を含む)を開始剤とするポリエステルポリオールとしては、数平均分子量が500〜1300、水酸基価が100〜200mgKOH/gのものを用いる。
数平均分子量が500未満のポリエステルポリオールでは、常温下においてフォームが収縮しやすくなるため、寸法安定性を欠くことになり、1300を超えるものでは、所望の硬度を発現できなくなるので、好ましくは560〜1120である。
水酸基価が100mgKOH/g未満では、所望の硬度を発現できなくなり、200mgKOH/gを超えると、フォームの脆性が強くなり、形状追従性がなくなる。
このように(iii)数平均分子量が500〜1300、水酸基価が100〜200mgKOH/gのフタル酸を開始剤とするポリエステルポリオールを配合することで、セルの微細化が実現し、硬度や伸びの向上が可能となる。ちなみに、フタル酸以外のカルボン酸(例えば、アジピン酸、コハク酸など)を開始剤とするポリエステルポリオールでは、所望の硬度を発現できないことや、セル荒れを抑制できないといった問題がある。
(iii)ポリエステルポリオールの配合割合については、ポリオール化合物100重量部中、25〜35重量部配合されることが好ましい。25重量部未満では、フォームのセル荒れや収縮が起こる虞があり、35重量部を超えると、混合後のポリオール化合物全体の粘度が上昇し、撹拌不良が発生するので、良好なポリウレタンフォームが得られにくい。
(iii)の具体例としては、川崎化成工業社製 商品名“マキシモール RLK-035”、“マキシモール RLK-085”等が挙げられ、中でも、テレフタル酸を開始剤としたポリエステルポリオールが好適であり、これらから1種を選択してもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリオール化合物の(iv)多価アルコールとしては、2価以上のアルコールであれば特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられ、これらから1種を選択してもよく、2種以上を併用してもよい。その官能基数は、2〜4の範囲であることが好ましく、その分子量は、50〜200程度が好ましい。
このような(iv)多価アルコールは、架橋剤として作用し、本発明におけるポリウレタンフォームの高い硬度を実現する。
(iv)多価アルコールの配合割合については、ポリオール化合物100重量部中、5〜15重量部配合されることが好ましい。5重量部未満では、架橋剤としての作用が不十分となり、セルが荒れてしまったり、十分な硬さや強度が得られず、15重量部を超えると、フォームが収縮しやすくなり、寸法安定性に乏しくなる。
なお、本願発明におけるポリオール化合物として、前記(i)〜(iv)以外にも、本願発明の効果を損なわない範囲で、通常ウレタンフォームの製造に用いられているポリオール及び架橋剤を添加することができる。
ポリオール成分中、発泡剤としては、水、メチレンクロライド、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、炭酸ガスなどのうちの少なくとも1種が用いられ、特に、反応による発熱を緩和させるために、水とメチレンクロライドとの併用が望ましい。本願における「水」は、例えば、イオン交換水、水道水、蒸留水などを用いればよい。
発泡剤として、水を用いた場合には、ポリオール化合物100重量部に対し、2.5〜4.5重量部とすることが好ましい。4.5重量部を超えると、イソシアネート成分との反応による発熱量が大きくなり、スラブストックフォーム内部にスコーチが発生する。2.5重量部未満だと、得られるフォームが高密度(35kg/m3を超える)となり、コスト面や軽量化といった点から好ましくない。
また、水以外の発泡剤については、気化熱によりスラブストックフォーム内に蓄積する反応熱を緩和させる効果があり、その効果は添加量が多いほど期待できるが、添加量としては、ポリオール化合物100重量部に対し、5〜15重量部が好ましい。15重量部を超えると、得られるウレタンフォームが軟化したり、セルが荒くなるといった不具合が生じる。5重量部未満だと、気化熱冷却効果が低くなり、スラブストックフォーム内部にスコーチが発生しやすい。
ポリオール成分中、整泡剤としては、オルガノシリコーン系界面活性剤として一般に市販されているものを用いればよい。
具体的には、東レ・ダウコーニング社製 商品名“SZ-1919”、“SH-190”、“SH-192”、“SH-193”、“SH-194”、“SF-2904”、“SRX-298”;エボニック社製 商品名“B4900”、“B8002”、“B8110”、“B8123”、“B8228”、“B8232”、“BF2370”、“BF2470”;モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 商品名“L-568”、“L-580”、“L-590”、“L-598”、“L-626”、“L-635”、“L-638”、“L-650”、“SC-155”;信越シリコーン社製 商品名“F-114”、“F-121”、“F-258”などが挙げられ、これらから1種を選択してもよく、2種以上を併用してもよい。
このような整泡剤は、ポリオール化合物100重量部に対し、1〜5重量部が好ましい。1重量部未満だと、十分な整泡効果が得られず、フォームにセル荒れが発生しやすい。5重量部を超えると、フォームが収縮しやすくなり、寸法安定性に乏しくなる。
ポリオール成分中、触媒は、ポリオール化合物と後述するイソシアネート成分とのウレタン化反応を促進するためのものである。触媒は、ポリオール化合物100重量部に対し、0.1〜3重量部程度であればよい。
触媒は、ウレタンフォームの発泡において公知のものを使用すればよく、特に限定されないが、第三級アミン系触媒が好適である。第三級アミン系触媒としては、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロパノールアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテルなどが挙げられ、これらから1種を選択してもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、本発明では、触媒として、上記第三級アミン系触媒のみを用いてもよいし、用途に応じて、第三級アミン系以外の触媒を併用してもよい。
イソシアネート成分としては、NCO含量が28〜33%であるクルードジフェニルメタンジイソシアネート(クルードMDI)を用いることで、ブロック内部にスコーチを発生させることなく、高硬度のスラブストックフォームを製造することが可能になる。このとき、分子量やNCO含量の異なった2種以上のMDIを混合させ、前記NCO含量の範囲に調整したものを使用しても良い。
NCO含量が28%未満のクルードMDIでは、所望の硬度が得られず、33%を超えるクルードMDIでは、ポリオール化合物との反応による発熱量が大きくなり、ウレタンフォーム中にスコーチを発生させやすい。ちなみに、ピュアMDIを用いる際には、前記NCO含量の範囲内となるようクルードMDIと混合させて使用すれば、ピュアMDI単体を用いた場合の架橋密度が高くなり、硬く、折り曲げられなくなる、といった不具合が解消できる。
また、TDI(トリレンジイソシアネート)だと、そのNCO含量は、48.3%と非常に高く、反応性が高すぎて、スコーチの発生が抑制できないことに加え、セル荒れが生じたり、硬度が低下するといった不具合も発生する。
イソシアネートインデックスは、低すぎると、所望の硬度を発現できなくなり、高すぎると、ポリオール化合物との反応による発熱量が大きくなりウレタンフォーム中にスコーチを発生させやすいので、100〜150の範囲内とすることが好ましく、より好ましくは110〜140である。
このように、本発明は、無数に存在するポリオールの中から、前記したような、特定のポリテトラメチレンエーテルグリコール及び/またはその誘導体、特定のポリエーテルポリオール、特定のポリエステルポリオール、及び多価アルコールの少なくとも4種を選定し、かつ、混合後の平均水酸基価を190〜300mgKOH/gに調製したポリオール化合物を用いることで、低密度かつ高硬度でありながら、室温下において180°折り曲げてもフォームに割れ(ヒビや亀裂)が入りにくい、形状追従性に非常に優れた半硬質のポリウレタンフォームを得るものである。
以上のようなポリウレタンフォームの原料には、ポリオール化合物、発泡剤、整泡剤、触媒を含有するポリオール成分、イソシアネート成分の他に、必要に応じて、相溶化剤、難燃剤、減粘剤、充填剤、着色剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤など、ポリウレタンフォームの製造に際して一般的に使用される添加剤を使用してもよい。
本発明のポリウレタンフォームを製造する場合には、上記したようなポリオール化合物、発泡剤、整泡剤、及び触媒を含有するポリオール成分と、イソシアネート成分とを直接反応させるワンショット法、あるいは該ポリオール成分と該イソシアネート成分とを事前に反応させて末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを得、それにポリオール成分を反応させるプレポリマー法のいずれも採用できる。
なお、本発明のポリウレタンフォームでは、フォーム形成時の発熱温度を、おおよそ170℃以下とすることができる。
従来は、低密度かつ高硬度のポリウレタンフォームを製造するには、発泡剤である水の量を増やし、ポリオールの水酸基価を高く設定する必要があったため、スラブストック方式で製造する際には、発熱温度が高くなり、その結果、ブロック内部に蓄熱によるスコーチが発生しやすく、火災の危険性も懸念されることから製造に困難を極めたが、上記のように、本発明では、発熱温度が約170℃以下と低いため、火災の危険性を低減でき、連続スラブ発泡などのスラブストック方式による製造も安全に行うことができ、ブロック内部におけるスコーチなどの発生も効果的に防止できる。
本発明のポリウレタンフォームは、JIS K7222に準拠して測定される密度が25〜35kg/m3、C硬度が30〜40であることが好ましい。C硬度が30未満の場合、剛性や硬度が重要視される自動車天井用基材などの用途への使用が難しく、40を超える場合には、耐折り曲げ性や形状追従性に劣る。
また、本発明のポリウレタンフォームでは、板状に加工した際に室温下での折り曲げ可能角度が90°以上であり、また室温下で180°折り曲げても割れ(ヒビや亀裂)が入りにくい。従来の半硬質ウレタンフォームの場合、同様の試験を行うと、60°程度しか折り曲げられなかったり120°程度で割れが入ることから、本発明のポリウレタンフォームが耐折り曲げ性において非常に優れていることがわかる。
さらに、本発明のポリウレタンフォームでは、JIS K6400−5に準拠して測定される伸びが温度と相関関係にあり、温度上昇に伴い伸びが向上し、高温下では非常に形状追従性に富む性質を持つ。また、室温まで戻した際に、高温下で折り曲げることで表現した形状を保持できる特性(形状記憶性)がある。
実施例1〜13、比較例1〜10
≪使用原料≫
○ポリオール化合物
(1)ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)またはその誘導体
・数平均分子量1800、水酸基価62mgKOH/gのPTMG(三菱化学(株)製 商品名“PTMG2000”)
・数平均分子量2000、水酸基価56mgKOH/gのPTMG誘導体(保土ヶ谷化学工業(株)製 商品名“PTG-L2000”)
・数平均分子量3000、水酸基価37mgKOH/gのPTMG(三菱化学(株)製 商品名“PTMG3000”)
・数平均分子量850、水酸基価132mgKOH/gのPTMG(三菱化学(株)製 商品名“PTMG850”)

(2)ポリエーテルポリオール
・数平均分子量700、平均官能基数3、水酸基価240mgKOH/gのポリエーテルポリオール(三井化学(株)製 商品名“アクトコールT-700”)
・数平均分子量400、平均官能基数3、水酸基価400mgKOH/gのポリエーテルポリオール(三井化学(株)製 商品名“アクトコールT-400”)
・数平均分子量2000、平均官能基数2、水酸基価56mgKOH/gのポリエーテルポリオール(三井化学株)製 商品名“アクトコールD-2000”)
・数平均分子量200、平均官能基数2、水酸基価560mgKOH/gのポリエーテルポリオール(ライオン(株)製 商品名“PEG#200”)

(3)ポリエステルポリオール
・数平均分子量750、水酸基価150mgKOH/gのフタル酸を開始剤とするポリエステルポリオール(川崎化成工業(株)製 商品名“マキシモールRLK-035”)
・数平均分子量560、水酸基価200mgKOH/gのフタル酸を開始剤とするポリエステルポリオール(川崎化成工業(株)製 商品名“マキシモールRLK-085”)
・数平均分子量450、水酸基価250mgKOH/gのフタル酸を開始剤とするポリエステルポリオール(川崎化成工業(株)製 商品名“マキシモールRLK-065”)
・数平均分子量1000、水酸基価115mgKOH/gのアジピン酸を開始剤とするポリエステルポリオール(日立化成ポリマー(株)製 商品名“テスラック2464”)

(4)多価アルコール
・数平均分子量92、平均官能基数3、水酸基価1827mgKOH/gのジプロピレングリコール
・数平均分子量134、平均官能基数2、水酸基価836mgKOH/gのグリセリン
○発泡剤
・水(イオン交換水)
・メチレンクロライド
○整泡剤
・オルガノシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製 商品名“SH-193”)
○触媒
・触媒A:第三級アミン系触媒;トリエチレンジアミンが33%のジプロピレングリコール溶液(花王(株)製 商品名“カオーライザーNo.31”)
・触媒B:第三級アミン系触媒;ビスジメチルアミノエチルエーテル(東ソー(株)製 商品名“TOYOCAT-ET”)
○イソシアネート化合物
・NCO含量が31.5%のクルードMDI(三井化学(株)製 商品名“COSMONATE M-200”)
・NCO含量が24.8%のクルードMDI(三井化学(株)製 商品名“COSMONATE MC-82”)
・NCO含量が48.3%のTDI(三井化学(株)製 商品名“COSMONATE T-80”)
表1,2に示した実施例および比較例のポリウレタンフォームの原料を混合、撹拌し、ベルトコンベア上に吐出した。該ベルトコンベアを移動する間に、原料が常温・大気圧下で自然発泡し、反応することでフォームを連続的に製造した。
その後、乾燥炉内で硬化(キュア)し、長尺ブロック状(幅:約1000mm、高さ:約50mm)のポリウレタンフォームを得た。
得られた各ポリウレタンフォームについて、フォーム性状、スコーチの有無、密度(kg/m3)、C硬度、伸び(%)、耐折り曲げ性、形状記憶性を評価した。結果を併せて表1,2に示す。
「フォーム性状」と「スコーチの有無」に関しては、得られたブロック状のウレタンフォームを所定長さに切り出し、フォーム裁断面を目視により評価した。
・フォーム性状は、正常なフォームが形成され、セルの大きさが均一で整っているものを「良好」、セルの大きさが不均一でまばらなものを「セル荒れ」とし、切り出した直後に比べ時間経過とともに、若干フォームの収縮が見られたが使用に問題がないものを「微収縮」とし、切り出した直後に比べ時間経過とともに、著しく収縮したものを「収縮」とした。
・スコーチの有無は、スコーチが無かったものを「○」、スコーチが発生したものを「×」とした。
「密度」、「C硬度」、「伸び」、「耐折り曲げ性」、「形状記憶性」に関しては、縦300mm×横300mm×厚さ8mmの大きさとなるように裁断したウレタンフォームのサンプルについてそれぞれ、下記方法に従って測定した。
・密度(kg/m3)は、JIS K7222に基づいて測定を行った。
・C硬度は、アスカーゴム硬度計C型で測定した。
・伸び(%)は、JIS K6400−5に基づいて、25℃、50℃、80℃下において測定を行った。
・耐折り曲げ性は、各サンプルを室温下で180°折り曲げた際の挙動を観察した。
180°折り曲げても割れ(ヒビや亀裂)が一切入らないものを「○」、わずかにヒビが入ったものの割れる(二分割する)ことはなく、使用には問題のないものを「△」、折り曲げ途中(60〜120℃程度)で割れた(二分割した)ものを「×」とした。
・形状記憶性は、上記耐折り曲げ性の評価が「○」または「△」だったものについてのみ、試験を行った;
各サンプルを100℃の雰囲気下にて2分間放置した後に、該雰囲気下で180°折り曲げた。この180°折り曲げた状態で押さえたまま室温(25℃)まで温度を低下させ、更に室温下で1分間静置後に押さえを解放し、解放後1分間静置した後の状態を観察した。
前記折り曲げた角度が150°以上180°以下の状態を保持したものは「◎」、120°以上150°未満の状態を保持したものは「○」、60°以上120°未満の状態を保持したものは「△」、60°未満まで戻ってしまったものは「×」とした。
表1から、本願発明における実施例1〜13のポリウレタンフォームは、所望の密度と硬度でありながら、スコーチを発生することなく、且つ良好な耐折曲げ性を示し、高温下で表現した(折り曲げた)形状を、室温に戻した後も維持できるという優れた形状記憶性をも有していることがわかった。
一方、表2に示すようにポリオール化合物の平均水酸基価が高すぎる比較例1〜3と、TDIを用いた比較例4は、スコーチを抑制できず、所望の硬度が得られなかった。
比較例5は、良好なフォームを得られたが、NCO含量が24.8%のクルードMDIを用いているためC硬度が低く、形状記憶性に劣るものであった。
分子量が1000未満で水酸基価が112mgKOH/gを超えるPTMGを用いた比較例6と、分子量が300未満で水酸基価が560mgKOH/gを超えるポリエーテルポリオールを用いた比較例7は、フォームが収縮してしまったので、スコーチや密度などの評価ができなかった。
ポリオール化合物の平均水酸基価が低すぎる比較例8は、分子量が1000を超え水酸基価が156mgKOH/g未満のポリエーテルポリオールを用いており、セル荒れを抑制できなかったり、C硬度が低いことに加え、耐折り曲げ性を発現しなかった。
ポリオール化合物の平均水酸基価が高すぎる比較例9は、分子量が500未満で水酸基価が200mgKOH/gを超えるポリエステルポリオールを用いており、スコーチを抑制できず、C硬度が高めで、耐折り曲げ性が発現しなかった。
比較例10は、アジピン酸を開始剤としたポリエステルポリオールを用いており、セル荒れを抑制できなかったり、C硬度は低いにも拘らず、伸びが悪く、耐折り曲げ性を発現しなかった。
本発明のポリウレタンフォームは、軽量(低密度)かつ高硬度であり、優れた形状追従性(耐折り曲げ性)と形状記憶性とを兼ね備えているため、例えば、近年、低コスト化及び軽量化が特に求められている自動車天井用基材などの成形品分野において、極めて有用である。

Claims (2)

  1. ポリオール化合物、発泡剤、整泡剤、及び触媒を含有するポリオール成分と、イソシアネート成分とを反応させて得られるポリウレタンフォームであって、
    前記ポリオール化合物は、(i)数平均分子量が1000〜3000、水酸基価が37〜112mgKOH/gのポリテトラメチレンエーテルグリコール及び/またはその誘導体、(ii)数平均分子量が300〜1000、水酸基価が156〜560mgKOH/gのポリエーテルポリオール、(iii)数平均分子量が500〜1300、水酸基価が100〜200mgKOH/gのフタル酸を開始剤とするポリエステルポリオール、(iv)多価アルコール、の少なくとも4種を含み、平均水酸基価が190〜300mgKOH/gに調製され、かつ、
    前記イソシアネート成分は、NCO含量が28〜33%のクルードMDI
    であることを特徴とするポリウレンタンフォーム。
  2. 前記ポリオール化合物100重量部に対し、前記(i)ポリテトラメチレンエーテルグリコール及び/またはその誘導体が10〜20重量部、前記(ii)ポリエーテルポリオールが40〜50重量部、前記(iii)ポリエステルポリオールが25〜35重量部、前記(iv)多価アルコールが5〜15重量部であることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタンフォーム。
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