特許文献1の開閉ドアによれば、スライドドアを揺動ドアの側へスライドさせて開放位置へ開放することができ、さらに、より広い開口幅が必要である場合には、スライドドアおよび揺動ドアを揺動して全開放することができる。特許文献2、および特許文献3の開閉ドアにおいても同様に、スライドドアを半開放位置まで開放でき、さらにスライドドアおよび揺動ドアを全開放位置まで開放できる。
しかし、特許文献1〜3の複動式の開閉ドアでは、スライドドアと揺動ドアとの2個のドアパネルで開閉ドアを構成するので、スライドドアを開放位置まで開放した状態における開口幅(有効開口幅)が、開口枠の全開放幅の半分未満の値にしかならない。例えば、開口枠の全開放幅が1300mmである場合の有効開口幅は580mm弱しかなく、そのため、車椅子で出入りする場合はもちろん、介助者が車椅子から降りたユーザーを支えた状態で出入りするような場合であっても、スライドドアと揺動ドアを揺動して全開放位置まで開放操作する必要がある。加えて、特許文献1の開閉ドアにおいては、ランナーを作動姿勢と待機姿勢とに切換えるための構造が必要となるので、開閉ドアの移行構造が複雑になりその分だけ全体コストが嵩む。
元来、この種の開閉ドアは、スライドドアを開放したときの有効開口幅が不足するのを、各ドアを全開放位置まで揺動開放して必要な開口幅を確保するものであるから、その機能に問題はない。しかし、上記のように、日常的に車椅子を使用するユーザーにとっては使い勝手に不満があり、開閉ドアを備えた出入り口をより簡便に出入りできることが望まれている。
半開放状態にしたときの出入り可能な開口幅を大きくするために、開口枠の内法左右幅を拡大することはできる。しかし、その場合には、開閉ドアの全体が大形化し、コストが嵩むのを避けられない。また、住宅に設けられる開閉ドアの開口枠の開口幅は、廊下の幅や出入りする区画の開口幅などの建物躯体の構造によって決まっているため、開口枠の開口幅をむやみに大きくすることはできず、比較的小さな開口幅の開口枠において、開閉ドアの使い勝手を向上することが強く求められている。とくに、既存の開口部を利用して開閉ドアを設置する場合には、殆どの場合、開口枠の開口幅を拡大することができないため、使い勝手を向上することがさらに困難となる。
本発明の目的は、比較的小さな開口幅の開口部であっても、スライドドアを開放した状態における有効開口幅を大きくして、車椅子の使用者および介助者にとってドアの開閉操作や、開口部の出入りを簡便に行える、使い勝手に優れた複動式の開閉ドアを提供することにある。
本発明の目的は、開閉ドアの移行構造を簡素化して全体コストを削減でき、さらに、構造の簡素化に伴って動作の信頼性を向上できる複動式の開閉ドアを提供することにある。
本発明は、スライドドアと揺動ドア4を備えており、開放位置まで開放したスライドドアを揺動ドア4に同行して全開位置へ揺動開放できる複動式の開閉ドアを適用対象とする。図1に示すように、スライドドアは、第1ドア2と、第1ドア2で開閉操作される第2ドア3とで構成する。第1ドア2と第2ドア3を開放して揺動ドア4の後面に格納した状態における開口枠1の有効開口幅B2が、開口枠1の全開口幅B1の半分の値を越えることを特徴とする。
第1ドア2と第2ドア3との間に、第2ドア3を第1ドア2に連動して開閉移動させる開放リレー構造と、第2ドア3を第1ドア2に連動して閉じ移動させる閉じリレー構造とを設ける。開放リレー構造は、第1ドア2の開放動作を同ドア2の開放ストロークの中途部以降において第2ドア3に伝えるように構成する。閉じリレー構造は、第1ドア2の閉じ動作を同ドア2の閉じストロークの中途部以降において第2ドア3に伝えるように構成する。
開放リレー構造は、第1ドア2の閉じ端側に設けた開放リレー体47と、第2ドア3の閉じ端側に設けられて、開放リレー体47と接当して第1ドア2の開放動作を受け継ぐ開放受動体48とで構成する。第1ドア2の開放ストロークの終段において、開放リレー体47が開放受動体48に接当して、第2ドア3を第1ドア2に同行して開放操作できる。閉じリレー構造は、第1ドア2の開放端側に設けた閉じリレー体49と、第2ドア3の閉じ端側に設けられて、閉じリレー体49と接当して第1ドア2の閉じ動作を受け継ぐ閉じ受動体50とで構成する。第1ドア2の閉じストロークの終段において、閉じリレー体49が閉じ受動体50に接当して、第2ドア3を第1ドア2に同行して閉じ操作できる。
揺動ドア4と第2ドア3との対向面に、第2ドア3の閉じ端側への移動限界を規定するストッパー53を設ける。ストッパー53は、第2ドア3の開放端寄りに設けた第1接当体54と、揺動ドア4の自由端寄りに設けられて第1接当体54を受止める第2接当体55とで構成する。
図6に示すように第1ドア2に、開口枠1に設けた第1ガイドレール11で移行案内される吊車型の第1ランナー16と、第2ドア3に設けた第1ガイド枠13で移行案内される左右一対の第1ローラー17との3個の移行体を設ける。第2ドア3に、開口枠1に設けた第2ガイドレール12で移行案内される吊車型の第2ランナー19と、揺動ドア4に設けた第2ガイド枠14で移行案内される左右一対の第2ローラー20との3個の移行体を設ける。第1ドア2は、3個の移行体のうちの2個が、第1ガイドレール11と第1ガイド枠13、あるいは第1ガイド枠13に案内支持されて開閉移動できる。第2ドア3は、3個の移行体のうちの2個が、第2ガイドレール12と第2ガイド枠14、あるいは第2ガイド枠14に案内支持されて開閉移動できる。
揺動ドア4と開口枠1との間に、閉じ状態の揺動ドア4を開放揺動不能にロック保持する揺動ロック機構を設ける。揺動ドア4の揺動基端と第1ドア2との間に、開放状態の第1ドア2を閉じ移動不能にロック保持するスライドロック機構を設ける。揺動ロック機構は、第1ドア2と第2ドア3とが開放位置まで開放された状態において、第2ドア3に設けた解除具37で自動的にロック解除操作される。スライドロック機構は、揺動ドア4が揺動開放されるのに連動して自動的にロック状態に切換わって、第1ドア2に設けた被ロック体80をロック保持できる。
開放位置まで開放された第1ドア2の捕捉体78を捕捉して、第1ドア2を開放位置に仮保持するキャッチ構造を設ける。図12に示すように、キャッチ構造は、捕捉体78を係合捕捉するラッチ体91と、ラッチ体91を係合捕捉姿勢に付勢するラッチばね92とを含む。ラッチ体91およびラッチばね92は、スライドロック機構に組込んである。
図10および図11に示すように、揺動ロック機構は、揺動ドア4の側に設けられて開口枠1に設けた固定係合体63に対して係脱する揺動阻止体61と、揺動阻止体61を固定係合体63へ向かって係合付勢する付勢ばね62と、これら両者61・62を収容するケース60と、ケース60の後方へ突出する状態で揺動阻止体61に設けた受動片64とを含む。第2ドア3に受動片64を介して揺動阻止体61をロック解除操作する解除具37を設ける。第1ドア2および第2ドア3が開放位置へ移動操作された状態においては、受動片64を解除具37で自動的にロック解除操作できる。
図18に示すように、揺動阻止体61の上部に、固定係合体63の係合溝63aと係脱する係合ローラー100を設ける。受動片64を解除具37でロック解除操作した状態において、係合ローラー100の過半上部が係合溝63a内に位置している。
図12に示すようにスライドロック機構は、揺動ドア4に装着したハウジング70でロック姿勢とロック解除姿勢とに変位可能に支持されるロック体71と、ハウジング70で出退自在に支持されて、揺動ドア4の開閉状態を検知する検知体72と、検知体72をハウジング70の外へ向かって移動付勢する検知ばね73と、検知体72とロック体71との間に設けられて、検知体72の出退動作をロック体71の姿勢変更動作に変換するカム構造とを含む。揺動ドア4が閉じ位置にある状態では、検知体72が開口枠1の縦枠1bで検知ばね73の付勢力に抗して退入操作されて、ロック体71がカム構造でロック解除姿勢に切換えられる。また、揺動ドア4が開放揺動された状態においては、図13(c)に示すように、検知体72が検知ばね73で進出操作されて、ロック体71がカム構造でロック姿勢に切換えられ捕捉体78を係合捕捉する。
揺動ドア4の上下寸法が、第1ドア2および第2ドア3の上下寸法より大きく設定されて、揺動ドア4の上部が第1ドア2および第2ドア3の上端より上方に位置させてある。図9に示すように、開口枠1に揺動ドア4の上部を収容するドア凹部7と、第1、第2のガイドレール11・12から離脱した第1ランナー16および第2ランナー19の揺動移動を許すランナー凹部8とを形成する。第1ドア2および第2ドア3を開放位置まで開放した状態において、ランナー凹部8と、第1、第2の各ドア2・3の上方に突出する第1ランナー16および第2ランナー19とを、揺動ドア4の上部で覆うようにする。
図5に示すように第1ランナー16は、第1ドア2に固定した第1フレーム15の第1ブラケット25で回転自在に支持する。第1ガイド枠13は、第2ドア3に固定した第1枠ブラケット23で支持する。開放リレー体47は、第1ブラケット25の傾斜壁を利用して形成する。開放受動体48は、開放リレー体47の移行軌跡と交差する第1枠ブラケット23の閉じ端側の端面で形成する。
揺動ドア4と開口枠1との間に、閉じ状態の揺動ドア4を開放揺動不能にロック保持する揺動ロック機構を設ける。図19に示すように、揺動ロック機構は、揺動ドア4と開口枠1とのいずれか一方に固定した磁石96と、他方に固定した磁性金属板97とで構成する。
複動式の開閉ドアの開閉構造は、開口枠1に、第1ドア2の第1移行体105を移行案内する第1ガイドレール107と、第2ドア3の第2移行体106を移行案内する第2ガイドレール108とを固定した状態で構成する。また、揺動ドア4に、第1ドア2の第1移行体105を移行案内する第3ガイドレール111と、第2ドア3の第2移行体106を移行案内する第4ガイドレール112とを設けた状態で構成する。揺動ドア4を閉じた状態における第1ガイドレール107と第3ガイドレール111は同じ高さで左右に隣接して、第1ドア2の第1移行体105を開閉移動可能に案内する。揺動ドア4を閉じた状態における第2ガイドレール108と第4ガイドレール112は同じ高さで左右に隣接して、第2ドア3の第2移行体106を開閉移動可能に案内する。
第1ドア2と第2ドア3と揺動ドア4との間に、第2ドア3を第1ドア2に連動して開閉移動させる開閉連動構造を設ける。図29に示すように開閉連動構造は、第2ドア3に設けた一対のプーリー132と、両プーリー132に巻掛けられる伝動体134と、伝動体134の直線移行部分に連結される前後一対の連結具135・136とを含む。一方の連結具135は第1ドア2に、他方の連結具136は揺動ドア4にそれぞれ固定して、第2ドア3を第1ドア2の開閉動作に連動して同時に開閉操作できるようにする。
第2ドア3の下部に下向きに開口する装着溝141を形成する。一対のプーリー132と伝動体134を装着溝141に組付けて、伝動体134の一対の直線移行部分を装着溝141の上下に位置させる。両連結具135・136は、装着溝141の内部において伝動体134に連結する。
一対のプーリー132のそれぞれを、第2ドア3に固定したプーリーホルダー130で回転自在に軸支する。一対のプーリーホルダー130は、ガイド枠体131の左右両端に連結されて、両プーリーホルダー130とガイド枠体131の3者が一体化されてユニット部品化してある。ガイド枠体131でスライド自在に案内支持した前後一対のスライダー139・140に各連結具135・136を固定する。ユニット部品化された開閉連動構造を装着溝141に組付ける。
各連結具135・136は、第1ドア2および揺動ドア4に設けた下装着軸165に連結する。第1ドア2および揺動ドア4の下端隅部に下ホルダー163を埋設固定する。下装着軸165を備えた下ランナー台164を下ホルダー163に対して着脱可能に装着する。各連結具135・136に連結された状態の下ランナー台164を下ホルダー163に装着して、各連結具135・136を第1ドア2および揺動ドア4に連結する。
揺動ドア4を閉じた状態において、第1ガイドレール107と第3ガイドレール111、および第2ガイドレール108と第4ガイドレール112とは、それぞれ左右に隣接している。各ガイドレール107・108・111・112の隣接端に、隣接するレール間における第1、第2の両移行体105・106の移乗を補助する移乗ガイド体185を設ける。移乗ガイド体185に、各移行体105・106を移乗対象のガイドレール107・108・111・112のレール中心へ向かって案内するガイド壁189を、レール内面へ向かって傾斜する状態で設ける。
第1ガイドレール107および第2ガイドレール108を一体に備えた固定レールユニット103と、第3ガイドレール111と第4ガイドレール112を一体に備えた可動レールユニット104とを共通のレール素材で形成する。可動レールユニット104は、揺動ドア4に固定した複数個の支持金具113で支持する。揺動ドア4を閉じた状態において、揺動ドア4の揺動先端寄りで可動レールユニット104を支持するドア支持体194を開口枠1に設ける。
揺動ドア4と開口枠1との間に、閉じ状態の揺動ドア4を開放揺動不能にロック保持する揺動ロック機構を設ける。揺動ドア4の揺動基端と第1ドア2との間に、開放状態の第1ドア2を閉じ移動不能にロック保持するスライドロック機構を設ける。揺動ロック機構は、揺動ドア4の側に設けられて開口枠1に設けた固定係合体63に対して係脱する揺動阻止体61と、揺動阻止体61を固定係合体63へ向かって係合付勢する付勢ばね62と、これら両者61・62を収容するケース60と、ケース60の後方へ突出する状態で揺動阻止体61に設けた受動片64とを含む。第2ドア3に、受動片64を介して揺動阻止体61をロック解除操作する解除具37を設ける。第1ドア2および第2ドア3が開放位置へ移動操作された状態において、受動片64を解除具37でロック解除操作して、揺動ドア4の揺動阻止状態を解除する。
スライドロック機構は、第3ガイドレール111と第4ガイドレール112との間に固定したハウジング70と、ハウジング70でロック姿勢とロック解除姿勢とに変位可能に支持されるロック体71と、ハウジング70で出退自在に支持されて、揺動ドア4の開閉状態を検知する検知体72を備えている。さらに、スライドロック機構は、検知体72をハウジング70の外へ向かって移動付勢する検知ばね73と、検知体72とロック体71との間に設けられて、検知体72の出退動作をロック体71の姿勢変更動作に変換するカム構造とを含む。揺動ドア4が閉じ位置にある状態では、検知体72が開口枠1の縦枠1bで検知ばね73の付勢力に抗して退入操作されて、ロック体71がカム構造でロック解除姿勢に切換えられる。また、揺動ドア4が開放揺動された状態においては、検知体72が検知ばね73で進出操作されて、ロック体71がカム構造でロック姿勢に切換えられて、第1ドア2に設けたロック体80がロック体71で係合捕捉される。
第1移行体105、および第2移行体106のそれぞれを、左右に長い移行フレーム115と、移行フレーム115で回転自在に支持した複数の開閉ランナー116とでユニット部品化する。第1ドア2および第2ドア3のそれぞれに、左右一対の上ホルダー123を埋設固定する。上装着軸125を備えた上ランナー台124を上ホルダー123に対して着脱可能に装着する。左右一対の上ランナー台124のいずれか一方を上ホルダー123に装着した状態で、移行フレーム115の一端に設けた係合溝118を上装着軸125に係合連結し、残る上ランナー台124を上ホルダー123に装着して、移行フレーム115の他端に設けた係合溝118に上装着軸125を係合連結して、第1、第2の両移行体105・106を第1ドア2および第2ドア3に固定する。
本発明においては、第1ドア2、第2ドア3、および揺動ドア4の三者で複動式の開閉ドアを構成して、第1ドア2および第2ドア3を開放位置まで開放した状態における出入り可能な有効開口幅B2が、開口枠1の全開口幅B1の半分の値を越えるようにした。このように、3枚構造の複動式の開閉ドアによれば、1個のスライドドアと揺動ドアとで構成した従来の2枚構造の複動式の開閉ドアに比べて、出入り可能な有効開口幅B2を充分に大きくできる。従って、本発明に係る3枚構造の複動式の開閉ドアによれば、揺動ドア4を開放操作するまでもなく、開口部における出入りを容易に行える。また、車椅子に着座した状態で揺動ドア4を開放揺動する場合には、2枚構造の複動式の開閉ドアに比べて、揺動半径が小さな各ドア2・3・4を開放操作できるので、ドアの開閉操作をより簡便に行って車椅子での出入りを楽に行うことができる。
第1ドア2と第2ドア3との間に開放リレー構造と閉じリレー構造とを設け、各リレー構造を、第1ドア2の開閉ストロークの中途部以降に第2ドア3を同行移動するように構成すると、第1ドア2と第2ドア3を個別に開閉する必要がなく、複動式の開閉ドアを簡便に開閉できる。また、両ドア2・3を開放するときの動作リレーのタイミングを一定にして開閉動作を円滑化できる。さらに、第1ドア2の開閉ストロークの中途部以降に第2ドア3を同行移動させるので、第1ドア2の開閉速度がある程度加速された状態で、第2ドア3を第1ドア2に同行して開閉操作できるので、車椅子に座った状態のままでも、第1ドア2と第2ドア3を容易に開閉できる。
とくに、第1ドア2および第2ドア3の閉じ端側のそれぞれに、開放リレー体47と開放受動体48とを設ける開放リレー構造によれば、第1ドア2の開放ストロークの終段において、第2ドア3を第1ドア2に同行して開放操作できる。従って、充分に加速された状態の第1ドア2で第2ドア3を軽快に開放操作することができ、両ドア2・3の開放操作をさらに簡便に行うことができる。また、第1ドア2の開放端側に設けた閉じリレー体49と、第2ドア3の閉じ端側に設けた閉じ受動体50とで構成した閉じリレー構造によれば、第1ドア2の閉じストロークの終段において、第2ドア3を第1ドア2に同行して閉じ操作できる。従って、充分に加速された状態の第1ドア2で第2ドア3を軽快に閉じ操作することができ、両ドア2・3の閉じ操作をさらに簡便に行うことができる。
第2ドア3の開放端寄りに設けた第1接当体54と、揺動ドア4の自由端寄りに設けた第2接当体55とでストッパー53を構成すると、第1ドア2に同行して閉じ操作される第2ドア3が、オーバーランするのをストッパー53で規制して、第2ドア3を所定の閉じ位置に位置させることができる。また、閉じストロークの終端寄りにおいて第2ドア3の閉じ移動を規制して、各ドア2・3・4が適量ずつ前後に重なる適正な閉じ位置に第2ドア3を停止保持して、開閉ドアの外観を常に一定の状態に保持できる。さらに、各ドア2・3・4が閉じ位置にある状態で、第2ドア3が意図的に閉じ操作される場合に、第2ドア3が揺動ドア4から離脱するのを確実に防止して、第2ドア3を適正な閉じ状態に維持できる。
第1ドア2は、第1ランナー16と第1ローラー17が、第1ガイドレール11と第1ガイド枠13で支持された状態、あるいは、2個の第1ローラー17が第1ガイド枠13で支持された状態で開閉移動できるようにした。また、第2ドア3は、第2ランナー19と第2ローラー20が、第2ガイドレール12と第2ガイド枠14で支持された状態、あるいは、2個の第1ローラー20が第2ガイド枠14で支持された状態で開閉移動できるようにした。つまり、各ドア2・3に設けた3個の移行体のうちの2個が、常に各ガイドレール11・12および/または各ガイド枠13・14に案内支持されて開閉移動できるようにした。このように、常に2個の移行体を各ガイドレール11・12と各ガイド枠13・14で移行案内すると、各ドア2・3を安定した支持状態の基に開閉操作でき、従って、従来の複動式の開閉ドアに比べて、第1ドア2および第2ドア3の開閉を円滑に、しかも軽快に行える。さらに、各ドア2・3に3個の移行体を設けるだけであり、ランナーを作動姿勢と待機姿勢とに切換えるための構造を設ける必要もないので、移行構造を簡素化して開閉ドアの全体コストを削減できる。移行構造の簡素化に伴って動作の信頼性を向上できる。
第2ドア3が開放移動する過程で、同ドア3に設けた解除具37で揺動ロック機構を、自動的にロック解除できるようにすると、ユーザー自身が揺動ロック機構を切換える手間を省くことができる。同様に、揺動ドア4が揺動開放されるのに連動して、スライドロック機構が自動的にロック状態に切換わるようにすると、ユーザー自身がスライドロック機構を切換える手間を省くことができる。従って、第1ドア2および第2ドア3をスライド開閉したのち揺動ドア4を揺動開閉する際の、一連の操作を簡素化してユーザーの操作負担を軽減し、より簡便に複動式の開閉ドアを開閉できる。
捕捉体78を捕捉するキャッチ構造を備えた複動式の開閉ドアによれば、開放位置まで開放操作された第1ドア2をキャッチ構造で仮保持して、第1ドア2が閉じ位置側へ移動するのを規制できる。つまり、キャッチ構造は、スライドロック機構がロック状態に切換わっているか否かとは無関係に、開放操作された第1ドア2を閉じ移動不能に保持するので、揺動ドア4を開放操作するとき、第1ドア2および第2ドア3が揺動ドア4の後面の格納位置から抜出るのを確実に防止して、複動式の開閉ドアの安全性を向上できる。また、ラッチ体91およびラッチばね92をスライドロック機構に組込むことにより、キャッチ構造を簡素化してそのコストを削減できる。これは、キャッチ構造専用のケースあるいはハウジング等を用意する必要がなく、しかも、キャッチ構造とスライドロック機構が、第1ドア2に設けた捕捉体78を共通の捕捉対象として部品点数を削減できるからである。
揺動阻止体61および付勢ばね62と、固定係合体63などで揺動ロック機構を構成し、第2ドア3の側に揺動阻止体61をロック解除操作する解除具37を設けると、第2ドア3を開放位置まで移動させるだけで、揺動阻止体61を自動的にロック解除操作できる。従って、第1ドア2および第2ドア3を開放操作し、さらに両ドア2・3を揺動ドア4と共に揺動開放するときのユーザーの操作負担を軽減でき、とくに車椅子のユーザーが開口部を出入りするときの一連の操作を簡略化して、複動式の開閉ドアの使い勝手を向上できる。
揺動阻止体61の上部に係合ローラー100を設けた揺動ロック機構によれば、受動片64を解除具37でロック解除操作した状態において、係合ローラー100の過半上部が係合溝63a内に位置している。つまり、第1ドア2および第2ドア3を開放位置へ移動したとしても、揺動ロック機構が完全にロック解除状態に切換わることはなく、ユーザーが明確な意図のもとに揺動ドア4を揺動開放して初めて、各ドア2・3・4を開放揺動できるようにしてある。従って、第1ドア2および第2ドア3を開放位置へ移動操作するのと同時に揺動ドア4が開放揺動されて、車椅子ユーザーの体勢のバランスが崩れ、転倒するなどの事故を防止でき、複動式の開閉ドアの安全性を向上できる。
被ロック体80を係合捕捉するロック体71と、検知体72および検知ばね73と、カム構造などで構成したスライドロック機構によれば、揺動ドア4の開閉状態に応じて、ロック体71を自動的にロック姿勢とロック解除姿勢とに切換えることができる。詳しくは、第1ドア2および第2ドア3を開放操作したのち、揺動ドア4を揺動開放するのに連動して、スライドロック機構を自動的にロック姿勢に切換えて、被ロック体80をロック体71で捕捉し、第1ドア2および第2ドア3を閉じ移動不能にロック保持できる。従って、第1ドア2と第2ドア3を開放操作し、さらに揺動ドア4を揺動開放するときのユーザーの操作負担を軽減でき、とくに車椅子のユーザーが開口部を出入りするときの一連の操作を簡略化して、開閉ドアの使い勝手をさらに向上できる。
開口枠1に揺動ドア4の上部を収容するドア凹部7と、ランナー凹部8とを設け、第1、第2の両ドア2・3を開放した状態において、ドア凹部7およびランナー凹部8の外面を揺動ドア4の上部で覆うようにすると、開閉ドアの外観をすっきりとした印象にすることができる。第1、第2の両ドア2・3を開放位置まで開放した状態では、第1、第2のガイドレール11・12から離脱した第1ランナー16および第2ランナー19がランナー凹部8内に露出するため、見かけの印象が煩雑になるおそれがある。しかし、ランナー凹部8の全体を揺動ドア4で覆い隠すと、外観上の見かけの印象をすっきりとしたものにできる。また、第1、第2の両ドア2・3を閉じた状態において、揺動ドア4の上部がドア凹部7に収容されてランナー凹部8を覆い隠すので、3枚構造の複動式の開閉ドアの外観の印象を向上できる。
第1ブラケット25の傾斜壁を利用して開放リレー体47を形成し、第1枠ブラケット23の閉じ端側の端面を利用して開放受動体48を形成すると、開放リレー体47および開放受動体48を専用部品として設ける場合に比べて連動構造を簡素化して、そのコストを節約できる。また、剛性に優れた第1ブラケット25および第1枠ブラケット23を利用して、開放リレー体47および開放受動体48を形成するので、第1ドア2が乱暴に開放操作される場合にも、開放リレー体47および開放受動体48が破損しあるいは変形するおそれがなく、長期にわたって連動機能を維持できる。
揺動ロック機構を、揺動ドア4と開口枠1とのいずれか一方に固定した磁石96と、他方に固定した磁性金属板97とで構成すると、機械的に構成した揺動ロック機構に比べて、揺動ロック機構の全体構造を簡素化し部品点数を削減して製造コストを削減できる。また、磁石96と磁性金属板97の磁気吸着作用で揺動ドア4を閉じ位置に保持するので、ユーザーが明確な意図のもとに揺動ドア4を揺動開放しない限りは、揺動ドア4を閉じ位置に保持し続けることができる。従って、第1ドア2および第2ドア3を開放位置へ移動操作するのと同時に揺動ドア4が開放揺動されて、車椅子ユーザーの体勢のバランスが崩れ、転倒するなどの事故を防止でき、複動式の開閉ドアの安全性を向上できる。
左右に隣接する第1、第3の各ガイドレール107・111に沿って第1移行体105を開閉移動させ、さらに、左右に隣接する第2、第4の各ガイドレール108・112に沿って第2移行体106を開閉移動させる開閉構造によれば、レール構造および両移行体105・106の構成部品点数を削減して、開閉構造を著しく簡素化できる。また、開閉構造を簡素化することで複動式の開閉ドアの製造コストを削減でき、さらに、施工に要する手間を軽減できる。
第1ドア2と第2ドア3と揺動ドア4との間に、一対のプーリー132と、伝動体134と、前後一対の連結具135・136を含む開閉連動構造を設けると、第2ドア3を第1ドア2の開閉動作に連動して同時に開閉操作できる。従って、第1ドア2と第2ドア3を個別に開閉する必要がなく、両ドア2・3の開閉操作を簡便に行うことができる。また、第1ドア2の開閉動作をリレー構造を介して順に伝える場合には、リレー構造部分で衝突音や衝撃が発生するのを避けられないが、こうした衝突音や衝撃の発生を一掃して、第1ドア2と第2ドア3を静粛に開閉できる。さらに、第1ドア2と第2ドア3と揺動ドア4とが、開閉連動構造を介して互いになかば拘束する状態で接続されるので、開閉連動構造が振止め構造として機能して、スライド開閉時に第1、第2の両ドア2・3の下部が前後方向に揺れ動くのを規制できる。全閉状態において第2ドア3が閉じ端側へ移動しようとするのを開閉連動構造で規制することができる。
プーリー132と伝動体134を、第2ドア3の下部に設けた装着溝141に組付けるようにすると、開閉連動構造を第2ドア3の下面と床面との間に配置する場合に比べて、第2ドア3の下面と床面との間の隙間を小さくできる。また、伝動体134の直線移行部分を装着溝141の上下に位置させると、第2ドア3の厚みの範囲内に開閉連動構造の全てを収容できるので、複動式の開閉ドアの外観を簡素ですっきりとしたものにできる。さらに、装着溝141内に開閉連動構造を収容することにより、同構造が第2ドア3の外に露出するのを避けて、例えば、ワイヤー134とプーリー132の間に異物が巻込まれて開閉連動機能が損なわれるような故障を確実に防止できる。
プーリー132をプーリーホルダー130で回転自在に軸支し、一対のプーリーホルダー130をガイド枠体131の両端に連結して、これら3者をユニット部品化すると、開閉連動構造の装着溝141への組付け作業を、より少ない手間で簡便に行うことができる。また、ガイド枠体131で案内支持した一対のスライダー139・140に各連結具135・136を固定することにより、第1、第2の両ドア2・3をスライド開閉するときに連結具135が上下に揺れ動くのをガイド枠体131で規制できるので、連結具135の往復スライド動作を円滑に行うことができる。
各連結具135・136を、下ランナー台164の下装着軸165に連結し、第1ドア2および揺動ドア4に埋設固定した下ホルダー163に対して下ランナー台164を装着すると、開閉連動構造と各ドア2・4との連結作業を、ワンタッチで簡便に行なえる。また、作業者の熟練の度合とは無関係に、下ランナー台164を下ホルダー163に装着するだけで、開閉連動構造と各ドア2・4を適正に連結できるので、施工に要する手間を軽減し施工コストを削減できる。
各ガイドレール107・108・111・112の隣接端に移乗ガイド体185を設けると、隣接するレール間における第1、第2の両移行体105・106の移乗を移乗ガイド体185で補助して、両移行体105・106のレール間の移乗をさらに円滑に行うことができる。従って、第1ドア2と第2ドア3の開閉を軽快にしかも円滑に行うことができる。
第1、第2の両ガイドレール107・108を備えた固定レールユニット103と、第3、第4の両ガイドレール111・112を備えた可動レールユニット104とを共通のレール素材で形成すると、各レールユニット103・104を低コストで形成することができる。また、各レールユニット103・104を共通のレール素材で形成することにより、移乗相手となる各ガイドレールの構造を同じにして、隣接するレール間の移乗を的確に行うことができる。揺動ドア4を閉じた状態において、開口枠1に設けたドア支持体194で、揺動ドア4の可動レールユニット104の揺動先端寄りを支持すると、ヒンジ5に作用する傾動モーメントを軽減して、揺動ドア4の揺動先端が床面側へ傾動するのを確実に防止できる。ヒンジ5に作用する傾動モーメントを軽減できるので、ヒンジ5が早期に損耗することもない。
揺動阻止体61および付勢ばね62と、固定係合体63などで揺動ロック機構を構成し、第2ドア3の側に揺動阻止体61をロック解除操作する解除具37を設けると、第2ドア3を開放位置まで移動させるだけで、揺動阻止体61を自動的にロック解除操作できる。従って、第1ドア2および第2ドア3を開放操作し、さらに両ドア2・3を揺動ドア4と共に揺動開放するときのユーザーの操作負担を軽減でき、とくに車椅子のユーザーが開口部を出入りするときの一連の操作を簡略化して、複動式の開閉ドアの使い勝手を向上できる。
被ロック体80を係合捕捉するロック体71と、検知体72および検知ばね73と、カム構造などで構成したスライドロック機構によれば、揺動ドア4の開閉状態に応じて、ロック体71を自動的にロック姿勢とロック解除姿勢とに切換えることができる。詳しくは、第1ドア2および第2ドア3を開放操作したのち、揺動ドア4を揺動開放するのに連動して、スライドロック機構を自動的にロック姿勢に切換えて、被ロック体80をロック体71で捕捉し、第1ドア2および第2ドア3を閉じ移動不能にロック保持できる。従って、第1ドア2と第2ドア3を開放操作し、さらに揺動ドア4を揺動開放するときのユーザーの操作負担を軽減でき、とくに車椅子のユーザーが開口部を出入りするときの一連の操作を簡略化して、開閉ドアの使い勝手をさらに向上できる。
第1、第2の各移行体105・106を、移行フレーム115と複数の開閉ランナー116でユニット部品化し、これらの移行体105・106を上ランナー台124に設けた上装着軸125で固定すると、各移行体105・106の取付作業をワンタッチで簡便に行なえる。また、作業者の熟練の度合とは無関係に、上ランナー台124を上ホルダー123に装着するだけで、各移行体105・106を各ドア2・3を適正に取付ることができるので、施工に要する手間を軽減し施工コストを削減できる。
(実施例1) 図1ないし図17は、本発明に係る複動式の開閉ドアの実施例1を示している。本発明における前後、左右、上下とは、図1および図2に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。
図2において、複動式の開閉ドアは、開口部の左右両側および上部に沿って配置した門形の開口枠1と、開口部を開閉する第1ドア2、第2ドア3、揺動ドア4と、これらのドア2〜4の支持構造などで構成してある。各ドア2〜4のドアパネル2a・3a・4aは、それぞれ木質のパネルで形成するが、必要に応じて木材、プラスチック材、金属材を併用した複合パネルで形成することができる。開口枠1は、閉じ端側の縦枠1aと、開放端側の縦枠1bと、両縦枠1a・1bの上部どうしを繋ぐ上枠1cなどで構成してある。
第1ドア2および第2ドア3は、それぞれスライド開閉されるスライドドアであって、図2および図3に示す閉じ位置と、図1に示す開放位置との間を開閉できる。揺動ドア4は、開放端側の縦枠1bに装着した上下一対のヒンジ5で揺動開閉可能に支持されており、その全体が開口枠1内に収まる閉じ位置(図1の実線の位置)と、第1ドア2および第2ドア3と共に外開き揺動して、開口枠1の全体を開放する全開放位置(図1の想像線の位置)との間を揺動できる。
第1ドア2および第2ドア3を開放位置まで開放操作した状態では、各ドア2・3が揺動ドア4の後面側で前後に重なる。閉じ位置における第1ドア2と第2ドア3、および第2ドア3と揺動ドア4とは、図2に示すように、それぞれ所定の寸法分だけ前後に重なっている。第2ドア3の左右幅は、揺動ドア4の左右幅とほぼ同じであり、第1ドア2の左右幅は、揺動ドア4の左右幅より大きく設定してある。
第1ドア2の閉じ端側の前後には、第1ドア2を開閉操作するためのハンドル6が設けてある。第1ドア2および第2ドア3を開放位置まで開放した状態においては、第2ドア3の前面が揺動ドア4で覆われ、第1ドア2の閉じ端側の一部が、揺動ドア4の自由端側の側面より側方に露出している。この露出部分にハンドル6を設けることにより、第2ドア3および揺動ドア4に邪魔されることもなく、第1ドア2を開放位置から閉じ操作することができる。
揺動ドア4の上下寸法は、第1ドア2および第2ドア3の上下寸法より大きく設定してあり、揺動ドア4の上部が第1ドア2および第2ドア3の上端より上方に位置するように支持してある。図2に示すように、閉じ状態の揺動ドア4を開口枠1内に収容するために、開口枠1の上枠1cの前部に、揺動ドア4の上部を収容するドア凹部7が凹み形成してある。さらに、ドア凹部7より後側に連続して、後述する第1ランナー16および第2ランナー19の開閉移動を許すランナー凹部8が形成してある(図9参照)。先に述べたように第1ドア2および第2ドア3を開放位置まで開放した状態では、第2ドア3の前面を揺動ドア4で完全に覆い隠すことができ、同時にランナー凹部8と、第1、第2の各ドア2・3の上方に突出する第1ランナー16および第2ランナー19を揺動ドア4で覆い隠すことができる。従って、第1、第2の各ドア2・3を開放した状態における開閉ドアの外観をすっきりとした印象にすることができる。
第1ドア2および第2ドア3をスライド開閉するために、図4および図5に示すように、上枠1cの下部に第1ガイドレール11と第2ガイドレール12を埋設し、第2ドア3に第1ドア2を支持する第1ガイド枠13を設け、揺動ドア4に第2ドア3を支持する第2ガイド枠14を設けている。また、第1ドア2の上端面に第1フレーム15を埋設して、同フレーム15に第1ガイドレール11で移行案内される吊車型の第1ランナー(移行体)16と、第1ガイド枠13で移行案内される第1ローラー(移行体)17を設けている。同様に、第2ドア3の上端面に第2フレーム18を埋設して、同フレーム18に第2ガイドレール12で移行案内される吊車型の第2ランナー(移行体)19と、第2ガイド枠14で移行案内される第2ローラー(移行体)20を設けている。さらに、第1ドア2と第2ドア3を各ドア2・3の下部に設けた振止め構造で支持している。
図5に示すように、第1ガイドレール11と第2ガイドレール12は、いずれも下向きに開口する断面がC字状のアルミニウム条材からなり、内面の下端にレール壁11a・12aが前後に対向する状態で形成してある。第1ガイドレール11は、第1ドア2の左右幅より長く設定されて、閉じ端から上枠1cの左右中途部に至る間に配置してある。また、第2ガイドレール12は、第2ドア3の左右幅より僅かに短く設定されて、上枠1cの左右中央部に限って配置してある。第1ガイド枠13と第2ガイド枠14は、それぞれ前向きに開口する断面がコ字状のアルミニウム条材からなり、第1ガイド枠13は第2フレーム18に設けた第1枠ブラケット23で第2ドア3と平行に支持され、第2ガイド枠14は揺動ドア4に固定した第2枠ブラケット24で揺動ドア4と平行に支持されている。
図5に示すように、第1フレーム15は、断面がL字状のプレス成形品からなり、その閉じ端側の上方に第1ランナー16が第1ブラケット25を介して支持され、第1フレーム15の開放端と第1ランナー16との間の左右に2個の第1ローラー17が軸支してある。第1ランナー16は、プラスチック製のランナーボディ26と、ランナーボディ26の前後に配置した一対のランナーローラー27と、同ローラー27を回転自在に軸支するランナー軸28とで構成してある。ランナーボディ26の下部前後には、第1ランナー16が第1ガイドレール11のレール壁11aから浮き離れるのを防ぐ規制片29が張出してある。
第1ブラケット25はランナーボディ26を支持する垂直の装着壁と、装着壁の下側に連続する傾斜壁とを備えており、傾斜壁の部分が第2ドア3を開放操作する開放リレー体47として機能する。その詳細は後述する。左右一対の第1ローラー17は、第1フレーム15の後壁に固定したローラー軸30で回転自在に軸支してあり、その一方は第1フレーム15の開放端側の隅部に、他方は第1ランナー16の近傍に配置してある。このように、第1ドア2の移行構造は、第1ランナー16および2個の第1ローラー17を第1フレーム15に組付けてユニット部品化されており、従って、第1フレーム15をドアパネル2aに装着するだけで、移行構造を第1ドア2と一体化できる。
第2ドア3に設けた第2フレーム18は、上向きに開口する断面コ字状のプレス成形品からなり、その閉じ端側の上方に第2ランナー19が第2ブラケット32を介して支持され、第2フレーム18の開放端と第2ランナー19との間の左右に2個の第2ローラー20が軸支してある。第2ランナー19の構造は、第1ランナー16の構造と基本的に同じであり、ランナーボディ33と、一対のランナーローラー34と、ランナー軸35と、一対の規制片36などで構成してある。このように、第2ドア3の移行構造は、第2ランナー19および2個の第2ローラー20を第2フレーム18に組付けてユニット部品化されており、従って、第2フレーム18をドアパネル3aに装着するだけで、移行構造を第2ドア3と一体化できる。
第2ランナー19が第1ランナー16と異なるのは、ランナーボディ33の前側に設けた規制片36の前方への張出し寸法を大きく設定して、前側の規制片36を揺動ロック構造をロック解除操作する解除具37として利用する点にある。また、図6に示すように、第2フレーム18の後壁に連続して、第1枠ブラケット23を後向きに張出し形成し、これで第1ガイド枠13を支持する点が第1フレーム15と異なる。第1枠ブラケット23の閉じ端側の端面は、先の開放リレー体47で同行操作される開放受動体48として機能するが、これらはまとめて後述する。左右一対の第2ローラー20は、第2フレーム18の後壁に固定したローラー軸38で回転自在に軸支してあり、その一方は第2フレーム18の開放端側の隅部に、他方は第2ランナー19の近傍に配置してある。図4に示すように、第1ガイド枠13は、第1フレーム15内に入り込んで、第1ドア2の第1ローラー17を支持し移行案内する。
第2枠ブラケット24は、逆L字状のプレス成形品からなり、その縦壁が揺動ドア4の後面に固定され、その上壁の突端上面に第2ガイド枠14が固定してある。図5に示すように、第2ガイド枠14は、第2フレーム18内に入り込んで、第2ドア3の第2ローラー20を支持し移行案内する。
第1ドア2および第2ドア3が前後に揺れ動くのを規制するために、各ドア2・3・4の下部に振止め構造を設けている。詳しくは、図4に示すように、第1ドア2および第2ドア3の下端に振止めレール41・42を埋設し、第2ドア3の閉じ端側の下端に固定した振止めローラー43を、第1ドア2の振止めレール41の内部に下面側から嵌込んでいる。また、揺動ドア4の閉じ端側の下端に固定した振止めローラー44を、第2ドア3の振止めレール42の内部に下面側から嵌込んでいる。各振止めローラー43・44は、ローラーアームに固定した縦軸を中心にして回転自在に支持してある。
第1ドア2の開閉動作に連動して第2ドア3を開閉操作するために、両ドア2・3の間に連動構造を設けている。連動構造は、第2ドア3を第1ドア2に連動して開放操作する開放リレー構造と、第2ドア3を第1ドア2に連動して閉じ移動させる閉じリレー構造とからなる。
開放リレー構造は、第1ドア2の閉じ端側に設けた開放リレー体47と、第2ドア3の閉じ端側に設けられて、前記開放リレー体47と接当して第1ドア2の開放動作を受け継ぐ開放受動体48とで構成する。この実施例では、第1ブラケット25の傾斜壁を利用して開放リレー体47とし、第1枠ブラケット23の閉じ端側の端面を利用して開放受動体48とした。図5に示すように、開放リレー体47と開放受動体48とは、側面から見るときの移動軌跡が重なっている。そのため、開放リレー体47が第2ドア3の後面と正対する位置付近まで第1ドア2を開放操作すると、開放リレー体47が開放受動体48に接当して、以後は第2ドア3を開放位置まで同行しながら開放操作できる。つまり、第1ドア2の開放ストロークの終段において、第1ドア2が第2ドア3の後面に重なるまでに、開放リレー体47が開放受動体48に接当して、第2ドア3を第1ドア2に同行して開放操作できる。
閉じリレー構造は、第1ドア2の開放端側の第2ドア3との対向面に固定した閉じリレー体49と、第2ドア3の閉じ端側の第1ドア2との対向面に固定されて、閉じリレー体49と接当して第1ドア2の閉じ動作を受け継ぐ閉じ受動体50とで構成する。図5に示すように、閉じリレー体49は第2ドア3側へ向かって突出する状態で第1ドア2の前面に固定してあり、閉じ受動体50は第1ドア2側へ向かって突出する状態で第2ドア3の後面に固定されて、それぞれの移動軌跡が重なるように配置してある。そのため、図17に示すように、開放位置にあった第1ドア2を、その大半の部分が第2ドア3の後面から離れる位置まで閉じ操作すると、閉じリレー体49が閉じ受動体50に接当して、以後は第2ドア3を閉じ位置まで同行しながら閉じ操作できる。つまり、第1ドア2の閉じストロークの終段において、第1ドア2と第2ドア3の重なり量が最小になった時点で、閉じリレー体49が閉じ受動体50に接当して、第2ドア3を第1ドア2に同行して閉じ操作できる。閉じリレー体49および閉じ受動体50はプラスチック成形品からなり、各戸パネル2a・3aにビスで止めつけてある。
閉じ操作された第2ドア3を適正な閉じ位置に位置保持するために、第2ドア3と揺動ドア4の対向面に、第2ドア3の閉じ端側への移動限界を規定するストッパー53を設けている。ストッパー53は、第2ドア3の開放端寄りに設けた第1接当体54と、揺動ドア4の自由端寄りに設けられて第1接当体54を受止める第2接当体55とで構成する。図5に示すように、第2接当体55は、第1接当体54の移動軌跡と重なるように配置してある。そのため、第1接当体54が第2接当体55で受止められた後は、第2ドア3が閉じ端側へ移動することはなく、また、閉じリレー構造によって開放端側へ移動することが規制されるので、第2ドア3を適正な閉じ位置に位置保持できる。
第1ドア2を開閉するときの、各ランナー16・19が各ガイドレール11・12から離脱するタイミング、および、各ローラー17・20が各ガイド枠13・14へ乗り移るタイミングは以下の通りである。基本的には、各ドア2・3に設けた各ランナー16・19および2個ずつ設けたローラー17・20の3個を一組とする移行体のうち、常に2個の移行体が各ガイドレール11・12と各ガイド枠13・14で支持され、あるいは、2個の移行体が各ガイド枠13・14で支持されるようにしている。
閉じ位置にある第1ドア2は、図7に示すように、その第1ランナー16が第1ガイドレール11で支持され、さらに開放端側の第1ローラー17が、第2ドア3に設けた第1ガイド枠13で支持されている。この状態から、第1ドア2を開放操作すると、開放リレー体47が開放受動体48に接当するのに先行して、第1ランナー16の近傍の第1ローラー17が第1ガイド枠13に乗りあがり、その直後に第1ランナー16が第1ガイドレール11から離脱し、開放リレー体47が開放受動体48に接当する。このように、開放リレー体47と開放受動体48は、第1ドア2の開放ストロークの終段において接当する。この状態の第1ドア2の重量は、図15(a)に示すように第2ドア3で支持されている。
上記の状態の第2ドア3は、図8に示すように、第2ランナー19が第2ガイドレール12で案内され、さらに、開放端側の第2ローラー20が、揺動ドア4に設けた第2ガイド枠14で支持されている。この状態から、第1ドア2をさらに開放操作すると、第2ドア3が開放位置側へ向かって移動し、図15(b)に示すように第2ドア3が開放端に達するのに先行して、第2ランナー19の近傍の第2ローラー20が第2ガイド枠14に乗りあがり、その直後に第2ランナー19が第2ガイドレール12から離脱する。さらに、第1ドア2を開放操作すると、図15(c)に示すように第1ドア2と第2ドア3が開放位置まで移動する。この状態の第1ドア2と第2ドア3の重量は、図9に示すように全て揺動ドア4が支持しており、この状態でのみ3個のドア2・3・4を揺動開放することができる。
第1ドア2と第2ドア3のスライド開閉を円滑に行うために、揺動ドア4の自由端と開口枠1の上枠1cとの間に、揺動ドア4を揺動不能にロック保持する揺動ロック機構を設けている。また、揺動ドア4の揺動基端と第1ドア2との間に、第1ドア2の開放動作を規制するスライドロック機構を設けて、3個のドア2・3・4が揺動開放されるとき、第1ドア2と第2ドア3が閉じ位置側へ滑り出るのを規制している。さらに、開放位置まで開放された第1ドア2を係合捕捉して、第1ドア2を開放位置に仮保持するキャッチ構造をスライドロック機構に設けている。
図10および図11において、揺動ロック機構は、揺動ドア4の自由端の後面に埋設されるケース60と、同ケース60で上下スライド自在に支持される平板状の揺動阻止体61と、揺動阻止体61を上向きに押上げ付勢する左右一対の付勢ばね62と、揺動阻止体61に対応して上枠1cに埋設される固定係合体63などで構成する。揺動阻止体61の後面には、ケース60の後方へ突出する三角形状の受動片64が一体に設けてあり、この受動片64を第2ランナー19に設けた解除具37で、付勢ばね62の付勢力に抗しながら押し下げ操作することにより、揺動阻止体61をロック解除姿勢に切換えることができる。
揺動阻止体61は、その板面に設けた上下方向のスライド溝65をケース60に固定したガイドピン66で案内し、さらに受動片64をケース60に開口したガイド窓67でスライド案内することにより、上下スライドのみ可能に支持されている。受動片64には斜面カム64aが、また、解除具37には、斜面カム64aと同じ傾斜角度の操作面37aが形成してある。固定係合体63には、揺動阻止体61の出入りを許す係合溝63aが上下貫通状に形成してある。
揺動ドア4が閉じ位置にあるとき、揺動阻止体61は、図10に示すように付勢ばね62で押上げ操作されて、その上端が固定係合体63の係合溝63aに係合している。そのため、3個のドア2・3・4のいずれかに、外開き揺動する向きの外力が作用したとしても、揺動ドア4が開放揺動することはなく、閉じ姿勢を保持することができる。従って、第1ドア2および第2ドア3を円滑にスライド開閉することができる。また、第1ドア2および第2ドア3を開放位置まで開放操作した状態では、図9に示すように、解除具37の操作面37aが、受動片64の斜面カム64aに乗りあがって、受動片64を付勢ばね62の付勢力に抗しながら押し下げ操作する。その結果、揺動阻止体61と固定係合体63の係合溝63aとの係合状態が解除されて、揺動ドア4の拘束状態を解除することができる。このように、揺動ロック機構は、第1ドア2と第2ドア3とが開放位置まで開放された状態において、第2ドア3に設けた解除具37で自動的にロック解除操作される。
図12ないし図14において、スライドロック機構は、揺動ドア4にブラケット69を介して固定されるハウジング70と、ハウジング70内に収容されるロック体71と、揺動ドア4の開閉状態を検知する検知体72および検知ばね73と、検知体72の出退動作をロック体71の姿勢変更動作に変換するカム構造などで構成する。
ハウジング70は、側面視がT字状のプラスチック成形品からなり、その内部に下向きに開口する操作区画74と、縦枠1bへ向かって横向きに開口するばね区画75とが形成され、その下面に係合凹部76が部分円弧状に凹み形成してある。スライドロック機構は、第1ドア2の開放端に設けた捕捉体78のロック軸(被ロック体)80を捕捉対象にして、第1ドア2の閉じ移動を阻止する。図6に示すように、捕捉体78は、第1フレーム15の開放端に固定されて上向きに開口する断面コ字状の捕捉枠79と、同枠79の前後壁に固定したロック軸80を備えている。ロック軸80は、第1フレーム15の底壁より下方に位置する状態で第1フレーム15に固定してある。
ロック体71は、前後壁と一方の側端壁とを一体に備えたプレス金具からなり、その前後壁の下端隅部に、先の係合凹部76と共同してロック軸80を係合捕捉するロック切欠77が四分円状に形成してある。また、ロック体71の前後壁には、後述するカム構造のカム溝86が逆へ字状に形成してある(図12参照)。ロック体71は、操作区画74に収容されて下方のロック姿勢と、上方のロック解除姿勢との間を上下スライドできる。
検知体72は、断面が四角形状の軸部82の上下にばね受片83を突設した、正面視が十文字状の金具からなり、軸部82の退入端側に逃げ溝84が形成してある。検知体72は、ばね区画75の前後壁と左右壁とで左右スライド自在に支持されて、その進出端85がハウジング70から進出する向きに検知ばね73で付勢してある。揺動ドア4が閉じ姿勢になっている場合の検知体72は、図12に示すように、その進出端85が開放端側の縦枠1bで受止められて、検知体72の全体が検知ばね73の付勢力に抗してハウジング70の内部に退入している。また、図14(c)に示すように、揺動ドア4が開放姿勢になると、検知体72が検知ばね73でハウジング70の外へ向かって進出される。
上記のような検知体72の出退動作を利用してロック体71を切換えるために、検知体72とロック体71との間にカム構造を設けている。カム構造は、ロック体71の前後壁に設けた逆へ字状のカム溝86と、検知体72の退入端部に固定した操作ピン87と、ハウジング70の前後壁に形成した水平のガイド溝88とで構成する。操作ピン87はガイド溝88に沿って左右スライドでき、その間にカム溝86を操作してロック体71を上下に変位操作する。
検知体72が検知ばね73に抗してハウジング70の内部に退入操作された状態では、操作ピン87がカム溝86の水平溝86aの溝端に位置するので、ロック体71は上方のロック解除姿勢に切換わる(図12参照)。また、検知体72が検知ばね73でハウジング70の外へ進出された状態では、図14(c)に示すように操作ピン87はカム溝86の傾斜溝86bの溝上端に位置するので、ロック体71はハウジング70の下面へ下降してロック姿勢に切換わり、そのロック切欠77が係合凹部76と協同して、捕捉体78のロック軸80を係合捕捉する。従って、ロック体71がロック姿勢に切換えられた後は、第1ドア2が閉じ位置側へ移行することはなく、第1ドア2および第2ドア3を揺動ドア4に同行して揺動開放できる。このように、スライドロック機構は、揺動ドア4が開放されるのに連動して自動的にロック解除状態に切換わって、第1ドア2に設けた捕捉体78をロック保持できる。
上記のスライドロック機構におけるロック体71は、揺動ドア4が僅かに開いてからでないとロック姿勢に切換わらない。そのため、揺動ドア4を勢いよく揺動開放するとき、ロック体71がロック軸80を捕捉するのに先行して、第1、第2の各ドア2・3が運動慣性力で滑り出すおそれがある。こうした不具合を解消するために、スライドロック機構の内部にキャッチ構造を設けている。
キャッチ構造は、先に説明したロック軸80を捕捉対象とするラッチ体91と、ラッチ体91を係合捕捉姿勢に付勢するラッチばね92とで構成する。ラッチ体91は逆5角形状の板状のプラスチック成形品からなり、その下面にロック軸80のくぐり抜けを容易化するガイド面93と、ハウジング70の係合凹部76と協同してロック軸80を捕捉する斜めのキャッチ面94を備えている。ラッチ体91およびラッチばね92は、ロック体71と共に操作区画74に収容されており、ラッチ体91は検知体72の軸部82に設けた逃げ溝84内を単独で上下スライドする。
ラッチ体91の板面には、逆台形状の逃げ穴95が前後貫通状に形成してあり、検知体72に固定した操作ピン87は逃げ穴95を前後に横断している。従って、図12に示すように、検知体72がハウジング70の内部に退入操作された状態では、ラッチ体91はラッチばね92に抗して上下動して、開放位置まで開放された第1ドア2のロック軸80を捕捉して、同ドア2を開放位置に仮保持できる。しかし揺動ドア4が開放されて、検知体72がハウジング70の外へ進出操作された状態では、図14(c)に示すように、逃げ穴95の上隅部分が操作ピン87で受止められるので、ラッチ体91はロック軸80を捕捉した姿勢に維持され、ラッチ体91が上方移動して捕捉解除姿勢に切換わることはない。
開放位置まで開放操作された第1ドア2は、その上端に設けた左右の第1ローラー17を介して第1ガイド枠13で支持されている。そのため、第1ドア2が片方の第1ローラー17を中心にして上下にがたつくことがある。このような第1ドア2のがたつきを防ぐために、図6および図7に示すように、第1ドア2の開放端側の小口面の下部に磁石57を固定し、揺動ドア4の吊元側の小口面の下部に磁性金属板58を固定して、両者57・58の磁気吸着作用で第1ドア2を固定保持できるようにしている。磁石57と磁性金属板58はキャッチ機構の機能を補強することにも役立っており、場合によっては、機械的に構成したキャッチ機構の換わりに使用することができる。
次に、複動式の開閉ドアを開閉するときの各部材の動作を説明する。図3に示すように、第1ドア2と第2ドア3と揺動ドア4の三者が閉じ状態にあるとき、第1ドア2は第1ランナー16と第1ローラー17を介して第1ガイドレール11と第1ガイド枠13で吊持されている。この状態で、ハンドル6を握って第1ドア2を開放操作すると、図15(a)に示すように第1ドア2のみがスライド開放されて、第1ドア2の開放端が第2ドア3の開放端に達した時点で、開放リレー体47が開放受動体48に接当する。その間に、第1ローラー17は第2ドア3に設けた第1ガイド枠13に案内されながら開放方向へ移動し、第1ランナー16の近傍の第1ローラー17が第1ガイド枠13で支持される。以後は図15(b)に示すように、第2ドア3は第1ドア2に同行して開放方向へ移動する。
上記の状態から第1ドア2をさらに開放操作すると、第1ドア2と第2ドア3が開放位置に達する直前に、図16に示すように第1ランナー16が第1ガイドレール11から離脱し、さらに第2ランナー19が第2ガイドレール12から離脱する。この状態の、第1ランナー16および第2ランナー19は、ランナー凹部8内に位置しており、第1ドア2に設けた捕捉体78のロック軸80はラッチ体91で係合捕捉されている。また、揺動ロック構造の揺動阻止体61は、解除具37で押下げ操作されてロック解除姿勢に切換えられている。この状態で、揺動ドア4を開放操作することにより、開口枠1の全体を揺動開放することができ、この状態では検知体72がハウジング70から外側方へ進出操作されて、先に説明したようにスライドロック機構がロック状態に切換えられる。
揺動開放した揺動ドア4を、図17(a)に示すように閉じ位置まで戻すと、検知体72が再び開放端側の縦枠1bに受止められてハウジング70の内部に退入操作されるので、スライドロック機構はロック解除姿勢に切換えられる。この状態で、ハンドル6を握って第1ドア2を閉じ操作すると、まず、ラッチ体91がロック軸80でラッチばね92の付勢力に抗して押上げ操作され、ラッチ体91による捕捉係合状態が解除されて、第1ドア2のみが閉じ方向へ移動する。そして、第1ドア2の大半の部分が第2ドア3の後面から抜け出した時点で、閉じリレー体49が第2ドア3の閉じ受動体50に接当する。その間に、第1ランナー16は第1ガイドレール11に乗り移り、さらに第1ランナー16の近傍の第1ローラー17が、第2ドア3の第1ガイド枠13から離脱する。この状態を図17(b)に示しており、以後、第2ドア3は第1ドア2に同行して閉じ方向へ移動できる。
第2ドア3が第1ドア2に同行して閉じ移動して間もなく、解除具37が受動片64の斜面カム64aから分離するので、揺動阻止体61が付勢ばね62で押上げ操作されて固定係合体63と係合し、揺動ドア4の揺動を規制する。引続き第1ドア2を閉じ操作することにより、図17(c)に示すように開口枠1が囲む開口部の全体を、第1ドア2と、第2ドア3と、揺動ドア4で塞いで閉止することができる。この状態の第2ドア3の第1接当体54は、揺動ドア4に設けた第2接当体55で受止められるので、第2ドア3が必要以上に閉じ側へ移動するのを規制できる。
以上のように、第1ドア2と第2ドア3と揺動ドア4で構成した3枚構造の開閉ドアによれば、図1に示すように、第1ドア2と第2ドア3を開放位置まで開放した状態における有効開口幅B2は、開口枠1の全開口幅B1の半分の値を越えている。具体的には、全開口幅B1を100とするときの有効開口幅B2は54である。従来の2枚構造の開閉ドアと比較すると、開口枠1の全開口幅B1が1300mmである場合には、有効開口幅は702mmとなり、揺動ドア4を揺動開放するまでもなく簡便に出入りできる。また、車椅子に着座した状態で揺動ドア4を開放揺動する場合には、従来の開閉ドアに比べて揺動半径が小さな各ドア2〜4に接近した状態で揺動ドア4を開放操作できるので、ドアの開閉操作をより簡便にしかも楽に行うことができる。
上記の実施例では、第1ドア2の開放ストロークの終段において、開放リレー体47を開放受動体48に接当させたが、その必要はなく、開放リレー構造は、第1ドア2の開放動作を、同ドア2の開放ストロークの中途部以降において第2ドア3に伝えるように構成することができる。その場合でも、第1ドア2の開放速度がある程度加速された状態で、第2ドア3を第1ドア2に同行して開放操作できる。同様の理由から、閉じリレー構造は、第1ドア2の閉じ動作を、同ドア2の閉じストロークの中途部以降において第2ドア3に伝えるように構成することができる。開放リレー体47と開放受動体48は、閉じリレー体49および閉じ受動体50と同様に、専用の部品として構成することができる。
上記以外に、第1ドア2に設けられる被ロック体80は、実施例で説明した構造である必要はなく、要はロック体71で係合捕捉できる構造であればよい。ロック体71は、スライド変位してロック姿勢とロック解除姿勢とに切換わる構造である必要はなく、垂直、水平、あるいは斜めに揺動変位してロック姿勢とロック解除姿勢とに切換わる構造であってもよい。同様に検知体72は、揺動変位して退入姿勢と進出姿勢に切換わる構造であってもよい。閉じ端側の縦枠1aと第1ドア2の接当面に錠を設けて、第1ドア2を開放操作不能に錠止することができる。その場合の錠としては、鎌錠、シリンダー錠、あるいは掛け金などを適用することができる。
(実施例2) 図18は揺動ロック機構を変更した、複動式の開閉ドアの実施例2を示す。そこでは、揺動阻止体61の上部に、固定係合体63の係合溝63aと係脱する係合ローラー100を設ける点が先の実施例と異なる。詳しくは、揺動阻止体61の上部にローラーブラケット98を固定し、同ブラケットの左右壁を橋絡するローラー軸99で係合ローラー100を回転自在に支持した。また、固定係合体63に係合ローラー100が出入りできる係合溝63aを設け、係合溝63aの下端前部に、係合ローラー100を付勢ばね62の付勢力に抗して押下げ操作する係脱案内面101を逆ハ字状に形成している。他は先の実施例と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。
図18に係る揺動ロック機構は、第2ドア3が開放位置へ移動操作された状態において、上記の実施例と同様に、揺動阻止体61の受動片64が第2ランナー19に設けた解除具37で付勢ばね62に抗して押下げ操作される。しかし、図18(a)に実線で示すように、このロック解除状態でも係合ローラー100の過半上部は係合溝63a内に位置している。そのため、揺動ドア4を開放操作するためには、第1ドア2のハンドル6を外方向へ強く引寄せ操作して、係合ローラー100が係脱案内面101で押下げ操作されながら、係脱案内面101の下面をくぐり抜けるように操作する必要がある。
換言すると、第1ドア2および第2ドア3を開放位置へ移動しただけでは、揺動ロック機構を完全にロック解除状態に切換えることはできず、ユーザーの明確な意図があってはじめて、揺動ドア4を揺動開放できるようにしている。従って、第1ドア2および第2ドア3を開放位置へ移動操作するのと同時に揺動ドア4が開放揺動し、車椅子ユーザーの体勢のバランスが崩れ転倒するなどの事故を防止でき、開閉ドアの安全性を向上できる。なお、揺動ドア4を閉じ操作するときは、受動片64が第2ランナー19の解除具37で受止められているので、ドア開放時とは逆に、ハンドル6を内向きに強く押込み操作して、係合ローラー100が係脱案内面101の下面をくぐり抜けるように操作する。
(実施例3) 図19は揺動ロック機構を変更した、複動式の開閉ドアの実施例3を示す。そこでは、開口枠1のドア凹部7のランナー凹部8との隣接部分に吸着凹部9を凹み形成し、そこにマグネットシート(磁石)96を固定した。また、吸着凹部9と対向する揺動ドア4のパネル面にハット形の鉄板(磁性金属板)97をビスで締結して、揺動ドア4を閉じ操作した状態において、鉄板97がマグネットシート96に吸着固定されるようにした。磁石96としては、マグネットシート以外に、市販のマグネットキャッチや磁石を使用してもよい。他は先の実施例と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。
上記のように、揺動ロック機構をマグネットシート96と鉄板97で構成すると、機械的に構成した揺動ロック機構に比べて、全体構造を簡素化し部品点数を削減して製造コストを削減できる。また、マグネットシート96と鉄板97の磁気吸着作用で揺動ドア4を閉じ位置に保持するので、ユーザーが明確な意図のもとに揺動ドア4を揺動開放しない限りは、揺動ドア4を閉じ位置に保持し続けることができる。従って、図18で説明した揺動ロック機構と同様に、第1ドア2および第2ドア3を開放位置へ移動操作するのと同時に揺動ドア4が開放揺動されて、車椅子ユーザーの体勢のバランスが崩れ、転倒するなどの事故を防止して、複動式の開閉ドアの安全性を向上できる。
(実施例4) 図20ないし図36は複動式の開閉ドアの実施例4を示す。実施例4における前後、左右、上下とは、図20および図21に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。
図21において、複動式の開閉ドアは、開口部の左右両側および上部に沿って配置した門形の開口枠1と、開口部を開閉する第1ドア2、第2ドア3、揺動ドア4と、これらのドア2〜4の支持構造などで構成してある。各ドア2〜4のドアパネル2a・3a・4aは、それぞれ木質のパネルで形成するが、必要に応じて木材、プラスチック材、金属材を併用した複合パネルで形成することができる。開口枠1は、閉じ端側の縦枠1aと、開放端側の縦枠1bと、両縦枠1a・1bの上部どうしを繋ぐ上枠1cなどで構成してある。
第1ドア2および第2ドア3は、それぞれスライド開閉されるスライドドアであって、図21および図22に示す閉じ位置と、図20に示す開放位置との間を開閉できる。揺動ドア4は、開放端側の縦枠1bに装着した上下一対のヒンジ5で揺動開閉可能に支持されており、その全体が開口枠1内に収まる閉じ位置(図20の実線の位置)と、第1ドア2および第2ドア3と共に外開き揺動して、開口枠1の全体を開放する全開放位置(図20の想像線の位置)との間を揺動できる。
第1ドア2および第2ドア3を開放位置まで開放操作した状態では、各ドア2・3が揺動ドア4の後面側で前後に重なる。閉じ位置における第1ドア2と第2ドア3、および第2ドア3と揺動ドア4とは、図21に示すように、それぞれ所定の寸法(100mm)分だけ前後に重なっている。第2ドア3の左右幅(413mm)は、揺動ドア4の左右幅と同じに設定してあり、第1ドア2の左右幅(513mm)は、揺動ドア4の左右幅より大きく設定してある。閉じ端側の縦枠1aには、閉じ状態の第1ドア2の閉じ端を受入れるドア凹部121が凹み形成してある。なお、開口枠1の全開口幅B1は1135mmである。
第1ドア2の閉じ端側の前後には、第1ドア2を開閉操作するためのハンドル6が設けてある。第1ドア2および第2ドア3を開放位置まで開放した状態においては、第2ドア3の前面が揺動ドア4で覆われ、第1ドア2の閉じ端側の一部が、揺動ドア4の自由端側の側面より側方に露出している。この露出部分にハンドル6を設けることにより、第2ドア3および揺動ドア4に邪魔されることもなく、第1ドア2を開放位置から閉じ操作することができる。
揺動ドア4の上下寸法は、第1ドア2および第2ドア3の上下寸法より大きく設定してあり、揺動ドア4の上部が第1ドア2および第2ドア3の上端より上方に位置するように支持してある。図21に示すように、閉じ状態の揺動ドア4を開口枠1内に収容するために、開口枠1の上枠1cの前部に、揺動ドア4の上部と、後述する可動レールユニット104を収容するドア凹部7が凹み形成してある(図21参照)。先に述べたように第1ドア2および第2ドア3を開放位置まで開放した状態では、第2ドア3の前面を揺動ドア4で完全に覆い隠して、開閉ドアの外観をすっきりとした印象にすることができる。
第1ドア2および第2ドア3をスライド開閉するために、上枠1cの下部に固定レールユニット103を埋設する状態で固定し(図23参照)、揺動ドア4の上部後面に可動レールユニット104を設けている(図24参照)。また、第1ドア2の上端面に第1ランナー体(第1移行体)105を設け、第2ドア3の上端面に第2ランナー体(第2移行体)106を設けている。可動レールユニット104は、揺動ドア4の上部に固定した片持ち状の3個の支持金具113で固定支持してある。揺動ドア4の吊元側を支持する支持金具113は、揺動ドア4の側端面に固定される側壁が一体に形成してある(図27参照)。
図23において固定レールユニット103は、第1ランナー体105を移行案内する第1ガイドレール107と、第2ランナー体106を移行案内する第2ガイドレール108を一体に備えたアルミニウム製の押し出し成形品からなり、両ガイドレール107・108の間に補機溝109が設けてある。固定レールユニット103の前後面の上には、横臥V字状の減肉溝110が形成してある。図24に示すように、可動レールユニット104は、固定レールユニット103と同じ構造のレール素材を所定長さに切断して形成してあり、その後側が第1ランナー体105を移行案内する第3ガイドレール111となり、前側が第2ランナー体106を移行案内する第4ガイドレール112となる。第1ガイドレール107と第2ガイドレール108は、いずれも下向きに開口する状態で断面C字状に形成してあり、内面の下端にレール壁が前後に対向する状態で形成してある。第3ガイドレール111と第4ガイドレール112にも、同様のレール壁が前後に対向する状態で形成してある。
図25に示すように、第1ランナー体105は、左右に長い移行フレーム115と、同フレーム115で回転自在に支持した4個の開閉ランナー116とでユニット部品化してある。移行フレーム115は断面がコ字状のプラスチック成形品からなり、その左右両端の前後面の下部に座部117が張り出してある。4個の座部117のうち、開放端側の前面に形成された座部117の前端は、第1ドア2の前面より前方へ張出してあり、この張り出し部分がロック片(被ロック体)80として機能する。ロック片80は、第1ドア2が全開放された状態において、後述するスライドロック機構のロック体71でロック保持される。移行フレーム115の左右両端には、後述する上装着軸125を係合するための係合溝118が形成してある。
開閉ランナー116は、それぞれ移行フレーム115の上部に配置した前後一対のローラー119を、移行フレーム115を前後に貫通するローラー軸で回転自在に支持して構成してある。4個の開閉ランナー116のうち3個の開閉ランナー116は、移行フレーム115の両端と、左右中央に配置され、残る1個の開閉ランナー116が、矢印で示す閉じ端側に配置した開閉ランナー116と左右中央に配置した開閉ランナー116との間の中央位置に配置してある。このように、移行フレーム115の閉じ端側の半分の位置に3個の開閉ランナー116を配置するのは、第1ランナー体105が第1ガイドレール107と第3ガイドレール111との間を移行する際に、常に2個以上の開閉ランナー116が各レール107・111のいずれかで支持されるようにして、隣接するガイドレール107・111の間における第1ランナー体105の移乗を円滑に行うためである。
第2ランナー体106は、基本的に第1ランナー体105と同じ構造であるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。ただし、4個の座部117のうち、閉じ端側の前面に形成された座部117の前端が第2ドア3の前面より前方へ張出してあり、この張り出し部分が揺動ロック機構の受動片64を切換え操作する解除片(解除具)37として機能する。第2ランナー体106においても、第1ランナー体105と同様に、移行フレーム115の閉じ端側の半分の位置に3個の開閉ランナー116が配置してある。これにより、第2ランナー体106が第2ガイドレール108と第4ガイドレール112との間を移行する際に、常に2個以上の開閉ランナー116を各レール108・112のいずれかで支持して、隣接するガイドレール108・112の間における第2ランナー体106の移乗を円滑に行うことができる。
第1ランナー体105を第1ドア2に固定するために、図26および図27に示すように、第1ドア2の上面の開放端と閉じ端寄りに、左右一対の上ホルダー123を埋設固定し、同ホルダー123に対して上ランナー台124を着脱可能に装着している。上ホルダー123および上ランナー台124はいずれも市販品からなり、上ランナー台124を側外方から上ホルダー123に差込み装着することにより両者が一体化されて、上ランナー台124を第1ドア2に固定することができる。上ランナー台124には、第1ドア2の上面上方に突出する上装着軸125が設けてあり、上ランナー台124の内部に設けた高さ調整ねじ126を調整操作することにより、上装着軸125の上下位置を調整して、第1ドア2の高さを調整することができる。閉じ端側に形成された上ホルダー123用の埋設穴の大半は、遮蔽カバー127で覆い隠してある。上ランナー台124には解除レバー128が設けてあり、このレバー128を上ホルダー123から離れる向きへ傾動操作することによりロック状態を解除して、上ランナー台124を上ホルダー123から取り外すことができる。
同様に、図28に示すように、第2ドア3の上面の開放端と閉じ端に、左右一対の上ホルダー123を埋設固定し、同ホルダー123に対して上ランナー台124を着脱可能に装着している。これらの上ホルダー123および上ランナー台124は、第1ドア2に装着した上ホルダー123および上ランナー台124と同じ市販品であるので、その説明を省略する。
第1ランナー体105を第1ドア2に固定する場合には、左右の上ホルダー123を第1ドア2に固定したのち、いずれか一方の上ホルダー123に上ランナー台124を装着する。この状態で、移行フレーム115に設けた係合溝118を上装着軸125に係合して、係合溝118の内奥端を上装着軸125に密着させ、他方の上ランナー台124を上ホルダー123に装着して、その上装着軸125を移行フレーム115の他方の係合溝118に係合する。このように、第1ランナー体105を第1ドア2に固定した状態では、第1ランナー体105が左右一対の上装着軸125で挟み保持されるので、第1ランナー体105を左右移動不能に固定保持できる。さらに、係合溝118の上端面が、上装着軸125の上端に設けたフランジ部で受止められるので、第1ランナー体105が第1ドア2から分離することはない。同様にして、第2ランナー体106を第2ドア3に固定することができる。
第1ドア2の開閉動作に連動して第2ドア3を開閉操作するために、第1ドア2と第2ドア3と揺動ドア4との間に開閉連動構造を設けている。図29に示すように、開閉連動構造は、第2ドア3の下隅部に設けた左右一対のプーリーホルダー130と、両プーリーホルダー130を連結する摺動ガイド枠(ガイド枠体)131とを備えている。各プーリーホルダー130には、プーリー132が収容されてプーリー軸133で回転自在に支持されており、両プーリー132にはワイヤー(伝動体)134が巻掛けられていている。
ワイヤー134の直線移行部分には、それぞれ連結具135・136の一端が固定されており、各連結具135・136の他端側が、第1ドア2と揺動ドア4に連結してある。図30に示すように、摺動ガイド枠131は、断面がC字状のレール枠137・138を背中合わせ状に固定して構成してあり、各レール枠137・138でスライダー139・140をスライド案内している。第2ドア3の下面には、開閉連動構造を組付けるための装着溝141が下向きに開口する状態で形成してある。装着溝141の左右端には、装着溝141より溝深さが大きな、プーリーホルダー130用のホルダー溝142が形成してある。
プーリーホルダー130は、長方形状のケース体からなり、その上部にビス143を差込むためのビス穴が横向きに形成され、ビス孔の下方にプーリー132を収容するトンネル断面形状のプーリー凹部145が凹み形成してある。左右のプーリーホルダー130は同一部品からなり、両ホルダー130の対向縁に、摺動ガイド枠131を連結するための締結座146が設けてある。両締結座146に摺動ガイド枠131の両端をあてがってボルト147で締結することにより、プーリーホルダー130と摺動ガイド枠131を一体化してユニット部品化できる。
ユニット部品化された開閉連動構造は、装着溝141に下方から組付けられて、ビス143で左右のプーリーホルダー130を固定することにより第2ドア3に固定される。この状態の両プーリー132の回転平面は垂直になっており、ワイヤー134の一対の直線移行部分は装着溝141の上下に位置している。このように、両プーリー132の回転平面が垂直になる状態で、開閉連動構造を第2ドア3の下部内面に配置すると、開閉連動構造を第2ドア3の下面と床面との間に配置する場合に比べて、第2ドア3の下面と床面との間の隙間を小さくできる。また、開閉連動構造が第2ドア3の外に露出するのを避けて、複動式の開閉ドアの外観を簡素ですっきりとしたものにでき、さらに、ワイヤー134とプーリー132の間に異物が巻込まれて開閉連動機能が損なわれるのを防止できる。
図30に示すように、第1ドア2用の連結具135は、水平のアーム部150と垂直の連結壁151とを一体に備えたプレス金具からなり、連結壁151の下端側にワイヤー134を接続するための接続ピース152が固定してある。接続ピース152は、プラスチック成形品からなり、その下面側に2個の係合凹部153が下向きに開口する状態で形成してある。ワイヤー134の下側の直線移行部分に固定した短軸状のエンド金具154を、先の係合凹部153に係合することにより、下側の直線移行部分に同行して連結具135を移動させることができる。また、連結壁151には後側のスライダー139が固定してあり、従って、連結具135がワイヤー134に同行して移動する場合には、スライダー139が連結具135に同行して往復スライドする。このように、連結具135をスライダー139を介して摺動ガイド枠131で案内支持すると、連結具135の往復スライド動作を円滑に行うことができる。
揺動ドア4用の連結具136は、先の連結具135と同様に、水平のアーム部156と垂直の連結壁157とを一体に備えたプレス金具からなり、連結壁157の上端にワイヤー134を接続するための接続ピース158が固定してある。接続ピース158は先の接続ピース152と同じ部品からなり、係合凹部159が上向きに開口する状態で連結壁157に固定される。ワイヤー134の上側の直線移行部分に固定した短軸状のエンド金具160を先の係合凹部159に係合することにより、上側の直線移行部分に同行して連結具136を移動させることができる。このように、揺動ドア4用の連結具136は、上側の直線移行部分にエンド金具160を介して接続するので、垂直の連結壁157の上下長さが、第1ドア2用の連結具135の連結壁151の上下長さより大きく設定してある。連結壁157はスライダー140に固定されており、従って、連結具136がワイヤー134に同行して移動する場合には、スライダー140が連結具136に同行して往復スライドする。スライダー140の機能は、先に説明したスライダー139の機能と同じである。
連結具135を第1ドア2の下部に固定するために、図27に示すように第1ドア2の開放端側の下隅に下ホルダー163を埋設固定し、同ホルダー163に対して下ランナー台164を着脱可能に装着している。下ホルダー163および下ランナー台164は、先に説明した上ホルダー123および上ランナー台124と同じ市販品であり、下ランナー台164を側外方から下ホルダー163に差込み装着することにより両者が一体化されて、下ランナー台164を第1ドア2に固定することができる。下ランナー台164には、第1ドア2の下面下方に突出する下装着軸165、および解除レバー166などが設けてある。下ランナー台164は、その下装着軸165を予め連結具135のアーム部150に連結しておくことにより、第2ドア3の後側に組付けておく。
同様に、揺動ドア4の揺動先端側の下隅には、下ホルダー163を埋設固定し、同ホルダー163に対して下ランナー台164を着脱可能に装着している(図23参照)。これらの下ホルダー163および下ランナー台164は、第1ドア2に装着した下ホルダー163および下ランナー台164と同じ市販品であるので、その説明を省略する。下ランナー台164は、その下装着軸165を予め連結具136のアーム部156に連結しておくことにより、第2ドア3の前側に組付けておく。
各ドア2・3・4は次の手順で開口枠1に組付ける。まず、揺動ドア4をヒンジ5を介して開口枠1に組付ける。次に、第2ドア3を可動レール104の第4ガイドレール112に吊込み、連結具136の位置を調整して、揺動ドア4の下ホルダー163に差込み装着することにより、揺動ドア4と開閉連動構造とを連結具136を介して接続する。さらに、第1ドア2を可動レール104の第3ガイドレール111に吊込み、連結具135の位置を調整して、第1ドア2の下ホルダー163に差込み装着することにより、第1ドア2と開閉連動構造とを連結具135を介して接続する。
以上のように、第1ドア2と第2ドア3と揺動ドア4を開閉連動構造を介して互いになかば拘束する状態で接続すると、開閉連動構造が振止め構造として機能するので、スライド開閉時に、第1、第2の両ドア2・3の下部が前後方向に揺れ動くのを規制できる。従って、別途振止め構造を設ける必要もなく、第1ドア2と第2ドア3の開閉を常に安定した状態で行なうことができる。また、第1ドア2を開閉操作するのと同時に第2ドア3を連動して開閉できるので、第2ドア3の開閉動作が第1ドア2の開閉ストロークの終段において開始される場合に比べて、両ドア2・3のスライド開閉を円滑に行える。なお、第2ドア3の開閉移動量は第1ドア2の開閉移動量の半分となり、両ドア2・3は開閉ストロークの終端において、同時に全閉状態あるいは全開放状態に切換わる。さらに、第1ドア2と第2ドア3と揺動ドア4が、開閉連動構造を介して互いに接続してあるので、全閉状態において第2ドア3が閉じ端側へ移動するのを開閉連動構造で規制できるので、別途移動規制のための構造を設ける必要がなく、その分だけ複動式の開閉ドアの構造を簡素化してコストを削減できる。
第1ドア2と第2ドア3のスライド開閉を円滑に行うために、揺動ドア4の揺動先端(自由端)と開口枠1の上枠1cとの間に、揺動ドア4を揺動不能にロック保持する揺動ロック機構を設けている。また、可動レールユニット104の揺動基端寄りの補機溝109に、第1ドア2の開放動作を規制するスライドロック機構を設けて、3個のドア2・3・4が揺動開放されるとき、第1ドア2と第2ドア3が閉じ位置側へ滑り出るのを規制している。さらに、第3ガイドレール111にキャッチ構造を設けて、開放位置まで開放された第1ドア2を開放位置に保持できるようにしている。揺動ドア4を閉じた状態においては、第1ドア2と第2ドア3の合計重量を揺動ドア4で支持する必要があるが、揺動ドア4に作用する重量負担を軽減するために、ドア凹部7の内奥にドア支持体194を設けて、このドア支持体194で可動レールユニット104を支持できるようにしている。
図24および図31において、揺動ロック機構は、揺動ドア4の揺動先端(自由端)の後面に埋設されるケース60と、同ケース60で上下スライド自在に支持される平板状の揺動阻止体61と、揺動阻止体61を上向きに押上げ付勢する左右一対の付勢ばね62と、揺動阻止体61に対応して上枠1cに埋設される固定係合体63などで構成する。揺動阻止体61の後面には、ケース60の後方へ突出する三角形状の受動片64が一体に設けてあり、この受動片64を第2ランナー体106の座部117に設けた解除片37で、付勢ばね62の付勢力に抗しながら押し下げ操作することにより、揺動阻止体61をロック解除姿勢に切換えることができる。
揺動阻止体61は、その板面に設けた上下方向のスライド溝65をケース60に固定したガイドピン66で案内し、さらに受動片64をケース60に開口したガイド窓67でスライド案内することにより、上下スライドのみ可能に支持されている。受動片64には斜面カム64aが、また、解除具37には、斜面カム64aと同じ傾斜角度の操作面37aが形成してある。固定係合体63には、揺動阻止体61の出入りを許す係合溝63aが上下貫通状に形成してある。
揺動ドア4が閉じ位置にあるとき、揺動阻止体61は、図31に示すように付勢ばね62で押上げ操作されて、その上端が固定係合体63の係合溝63aに係合している。そのため、3個のドア2・3・4のいずれかに、外開き揺動する向きの外力が作用したとしても、揺動ドア4が開放揺動することはなく、閉じ姿勢を保持することができる。従って、第1ドア2および第2ドア3を円滑にスライド開閉することができる。また、第1ドア2および第2ドア3を開放位置まで開放操作した状態では、図24に示すように、解除具37が、受動片64の斜面カム64aに乗りあがって、受動片64を付勢ばね62の付勢力に抗しながら押し下げ操作する。その結果、揺動阻止体61と固定係合体63の係合溝63aとの係合状態が解除されて、揺動ドア4の拘束状態を解除することができる。このように、揺動ロック機構は、第1ドア2と第2ドア3とが開放位置まで開放された状態において、第2ドア3に設けた解除具37で自動的にロック解除操作される。
図32において、スライドロック機構は、補機溝109に差込み係合されてボルト169で固定されるハウジング70と、ハウジング70で支軸170を介して上下揺動自在に支持される左右横長のロック体71と、揺動ドア4の開閉状態を検知する検知体72および検知ばね73と、検知体72の出退動作をロック体71の姿勢変更動作に変換するカム構造などで構成する。
ハウジング70はプラスチック成形品からなり、その前面側にロック体71を収容する操作区画74と、検知体72の一部と検知ばね73を収容するばね区画75とが形成してある。ロック体71は支軸170側の上下幅が小さく、揺動先端に近付くに従って上下幅が大きな前後一対の板状のダイキャスト成形品からなり、その先端にロック片80の閉じ方向への移動を阻止するロック面171を備えている。ロック体71の前後の板壁には、後述するカム溝86が、支軸170の側へ向かって下り傾斜する状態で形成してある。
検知体72は、横臥L字状のスライド軸(軸部)82の上部にばね受片83を突設したプラスチック成形品からなり、軸部82の退入端側に操作腕175を備えている。ばね区画75の前後壁にはスライド溝176が形成してあり、軸部82の上部に固定した左右一対のスライドピン177をスライド溝176で案内することにより、検知体72の全体がハウジング70で左右スライド自在に支持されている。検知ばね73は圧縮ばねからなり、スライド軸82の進出端85がハウジング70から進出する向きに検知体72を移動付勢している。揺動ドア4が閉じ姿勢になっている場合の検知体72は、図32(a)に示すように、その進出端85が開放端側の縦枠1bで受止められて、スライド軸82が検知ばね73の付勢力に抗してハウジング70の側へ退入している。また、図32(b)に示すように、揺動ドア4が開放姿勢になると、スライド軸82が検知ばね73でハウジング70の外へ向かって進出される。このように、スライド軸82が進出操作された状態においても、操作腕175の端部はロック体71の前後の板壁の間に保持されている。
上記のような検知体72の出退動作を利用してロック体71を切換えるために、検知体72とロック体71との間にカム構造を設けている。カム構造は、ロック体71の前後壁に設けた斜めのカム溝86と、検知体72の操作腕175の端部に固定した操作ピン87とで構成する。操作ピン87は検知体72に同行して左右スライドでき、その間にカム溝86を操作してロック体71を上下に変位操作する。
検知体72が検知ばね73に抗してハウジング70の側へ退入操作された状態では、操作ピン87がカム溝86の下端に位置するので、ロック体71は上方のロック解除姿勢に切換わる(図32(a)参照)。また、検知体72が検知ばね73でハウジング70の外へ進出された状態では、図32(b)に示すように操作ピン87はカム溝86の上端に位置するので、ロック体71はハウジング70の下面へ下降してロック姿勢に切換わる。従って、ロック体71がロック姿勢に切換えられた後は、第1ドア2が閉じ位置側へ移行することはなく、第1ドア2および第2ドア3を揺動ドア4に同行して揺動開放できる。このように、スライドロック機構は、揺動ドア4が開放されるのに連動して自動的にロック解除状態に切換わって、第1ドア2に設けたロック片80をロック保持できる。
上記のスライドロック機構におけるロック体71は、揺動ドア4が僅かに開いてからでないとロック姿勢に切換わらない。そのため、揺動ドア4を勢いよく揺動開放するとき、ロック体71がロック片80を捕捉するのに先行して、第1、第2の各ドア2・3が運動慣性力で滑り出すおそれがある。こうした不具合を解消するために、第3ガイドレール111の開放端側にキャッチ構造を設けている。図27に示すように、キャッチ構造は、第3ガイドレール111の上壁の内面に固定されるベース180と、ベース180から片持状に連出される部分円弧状のキャッチ腕181とを一体に備えたプラスチック成形品からなる。第1ランナー体105の移行フレーム115の上面には、キャッチ腕181に対応してキャッチ凹部182が凹み形成してある。
第1ドア2および第2ドア3を開閉するとき、第1ランナー体105は第1ガイドレール107と第3ガイドレール111との間を移乗し、同様に第2ランナー体106は第2ガイドレール108と第4ガイドレール112との間を移乗する。こうしたレール間の移乗をさらに円滑に行うために、各ガイドレール107・108・111・112の隣接端、即ち、固定レールユニット103と可動レールユニット104の隣接端に、レール間の移乗を補助する移乗ガイド体185を設けている。
図33ないし図35に示すように、移乗ガイド体185は、各ガイドレール107・108・111・112のレール断面と相似状の誘導口186と、誘導口186の装着基端側に突設される3個の取付ピース187と、前後一対の締結ピース188とを一体に設けたプラスチック成形品からなる。誘導口186には、第1ランナー体105および第2ランナー体106を、移乗対象のガイドレール107・108・111・112のレール中心へ向かって案内するガイド壁189が、レール内面へ向かって傾斜する状態でC字状に設けてある。移乗ガイド体185は、3個の取付ピース187を各レールユニット103・104の前後に設けた補助溝190と前後中央の補機溝109に差込み装着し、さらに、2個の締結ピース188を各レールユニット103・104の上壁の補助溝191にあてがってビス192で締結固定してある。なお、図33ないし図35においては、移乗ガイド体185が可動レールユニット104に装着してある状態を示しているが、固定レールユニット103の側においても同様にして移乗ガイド体185が装着してある。
次に、複動式の開閉ドアを開閉するときの各部材の動作を説明する。図36(a)に示すように、第1ドア2と第2ドア3と揺動ドア4の三者が閉じ状態にあるとき、第1ドア2は第1ランナー体105を介して第1ガイドレール107で吊持されている。第2ドア3は第2ランナー体106を介して主に第2ガイドレール108で吊持され、開放端に位置する開閉ランナー116が第4ガイドレール112で吊持されている。この状態で、ハンドル6を握って第1ドア2を開放操作すると、図36(b)に示すように第1ドア2と第2ドア3とが同時にスライド開放される。このときの第2ドア3の開閉量は、先に説明したように第1ドア2の開閉量の半分になるが、各ドア2・3ごとの移動率は常に同じであるので、両ドア2・3は同時に開放端に達する。
第2ドア3が開放位置に達する直前には、第1ランナー体105が第1ガイドレール107から第3ガイドレール111へ完全に移乗し、さらに第2ランナー体106が第2ガイドレール108から第4ガイドレール112へ移乗する。この状態では、第1ランナー体105の移行フレーム115に設けたキャッチ凹部182がキャッチ腕181で係合捕捉されている。また、揺動ロック構造の揺動阻止体61は、第2ランナー体106の移行フレーム115に設けた解除具37で押下げ操作されてロック解除姿勢に切換えられている。図36(c)に示すように、揺動ロック構造がロック解除された状態で、揺動ドア4を開放操作することにより、開口枠1の全体を揺動開放することができ、この状態では検知体72がハウジング70から外側方へ進出操作されて、先に説明したようにスライドロック機構がロック状態に切換えられる。
揺動開放した揺動ドア4を、閉じ位置まで戻すと、検知体72が再び開放端側の縦枠1bに受止められてハウジング70の内部に退入操作されるので、スライドロック機構はロック解除姿勢に切換えられる。この状態で、ハンドル6を握って第1ドア2を閉じ操作すると、まず、キャッチ凹部182がキャッチ腕181を弾性変形させながら、キャッチ腕181から分離する。第2ドア3が第1ドア2に同行して閉じ移動して間もなく、解除具37が受動片64の斜面カム64aから分離するので、揺動阻止体61が付勢ばね62で押上げ操作されて固定係合体63と係合し、揺動ドア4の揺動を規制する。
引続き第1ドア2を閉じ操作することにより、図36(b)に示すように、第1ドア2と第2ドア3とが閉じ方向へ移動して、第1ランナー体105が第3ガイドレール111から第1ガイドレール107に移乗し、さらに第2ランナー体106が第4ガイドレール112から第2ガイドレール108へ移乗する。最終的には、図36(a)に示すように開口枠1が囲む開口部の全体を、第1ドア2と、第2ドア3と、揺動ドア4で塞いで閉止することができる。この状態の第2ドア3は、開閉連動構造を介して第1ドア2と揺動ドア4が繋がっているので、それ以上第2ドア3が閉じ側へ移動するのを規制できる。
以上のように、第1ドア2と第2ドア3と揺動ドア4で構成した3枚構造の開閉ドアによれば、図20に示すように、第1ドア2と第2ドア3を開放位置まで開放した状態における有効開口幅B2は、開口枠1の全開口幅B1の半分の値を越えている。具体的には、全開口幅B1を100とするときの有効開口幅B2は54である。従来の2枚構造の開閉ドアと比較すると、開口枠1の全開口幅B1が1135mmである場合には、有効開口幅は618.5mmとなり、揺動ドア4を揺動開放するまでもなく簡便に出入りできる。また、車椅子に着座した状態で揺動ドア4を開放揺動する場合には、従来の開閉ドアに比べて揺動半径が小さな各ドア2〜4に接近した状態で揺動ドア4を開放操作できるので、ドアの開閉操作をより簡便にしかも楽に行うことができる。
図24に示すように、ドア支持体194は、矩形ブロック状に形成してあり、その前面に第3ガイドレール111の減肉溝110と係合する支持突起195がリブ状に形成してある。支持突起195は、揺動ドア4が閉じ位置にあるとき減肉溝110と係合して、揺動ドア4の揺動先端が床面側へ傾ぐのを規制する。
(実施例5) 図37および図38は、第1ドア2に揺動ロック機構を設けた実施例5に係る複動式の開閉ドアを示す。先に説明した実施例4の複動式の開閉ドアでは、第1ドア2および第2ドア3を開放位置まで開放した状態において、第1ランナー体105が第3ガイドレール111へ完全に移乗し、さらに第2ランナー体106が第4ガイドレール112へ移乗している。しかし、図36(c)に示すように、第1ドア2の閉じ端側は第1ガイドレール107の下面側に位置している。このことを利用して、第1ドア2と第1ガイドレール107との間に第2の揺動ロック機構を設け、開放位置まで開放した第1ドア2および第2ドア3と揺動ドア4を、揺動開放不能にロック保持できるようにしている。この揺動ロック機構は、実施例4で説明した第1の揺動ロック機構と併用してもよく、あるいは単独で使用してもよい。
上記のように、第1ドア2と第1ガイドレール107との間に揺動ロック機構を設けると、各ドア2・3・4を揺動開放するとき、ロック解除されたロック機構は第2ガイドレール108の下面をくぐり抜ける必要がある。また、ロック機構が第2ガイドレール108の下面をくぐり抜けるまでの間、ロック機構をロック解除状態に保持し続ける必要がある。こうした煩わしさを避けるために、固定レールユニット103および可動レールユニット104のそれぞれを段違いレールとして構成している。
具体的には、固定レールユニット103を、実施例4と同様に第1ガイドレール107と第2ガイドレール108と補機溝109などで構成するが、第1ガイドレール107の高さを、第2ガイドレール108の高さより低く設定する点が、実施例4のレールユニットと異なる。可動レールユニット104も、第3ガイドレール111と第4ガイドレール112と補機溝109などで構成し、第3ガイドレール111の高さが、第4ガイドレール112の高さより低く設定してある。
揺動ロック機構は、第1ドア2の閉じ端寄りの上面に突出するロックボルト(揺動阻止体)197と、ロックボルト197を操作ロッド198を介してロック解除操作する、内外一対の解除ハンドル199と、ロックボルト197を押上げ付勢するロックばね(付勢ばね)200などで構成する。揺動ロック機構の全体は、第1ドア2のパネル内部に設けた組付穴201に収容してあり、ロックボルト197と操作ロッド198は連結ピン202で連結され、操作ロッド198と解除ハンドル199は連結ピン203で連結してある。ロックボルト197は、組付穴201の上端に固定したボルトガイド204で上下スライド自在に案内してある。符号205は、解除ハンドル199を上下スライド自在に案内するハンドルカバーであり、アルミダイキャスト成形品で形成してある。ロックボルト197の上端には、傾斜する係合案内面206と、第1ガイドレール107の一方のレール壁で受止められる平坦な係合部207とが設けてある。
第1ドア2および第2ドア3が閉じ位置にあるとき、ロックボルト197は第1ガイドレール107のレール開口に入込んでおり、両ドア2・3の開放移動に同行してレール開口に沿って開放方向へ移動する。また、両ドア2・3を開放位置まで開放した状態においても、図37および図38に示すように、ロックボルト197は第1ガイドレール107のレール開口に入込んでいる。そのため、第1ドア2および第2ドア3を全開放操作した状態において、第1ドア2に使用者がもたれかかかった場合でも、ロックボルト197をロック解除操作しない限りは、各ドア2・3・4を揺動開放することができない。従って、使用者の意図に反して体勢が崩れてしまった場合でも、使用者を第1ドア2で受止めて転倒を防止でき、安全性を向上できることになる。
各ドア2・3・4を揺動開放するときは、解除ハンドル199をロックばね200の付勢力に抗して押下げて、ロックボルト197を第1ガイドレール107のレール開口の下面側へ退避させてロック解除姿勢にする。この状態で各ドア2・3・4を揺動操作することにより、開口枠1の全体を揺動開放することができる。なお、先に説明したように、固定レールユニット103は段違いレールとして構成してあるので、ロックボルト197は、その上端が第1ガイドレール107のレール壁をくぐり抜けるまでの間、ロック解除姿勢に保持しておけばよく、以後は解除ハンドル199から手を放すことができる。また、開放操作された各ドア2・3・4を閉じ揺動する場合には、係合案内面206が第1ガイドレール107の下隅部分に接当し、ロックボルト197の全体がロックばね200に抗して押し下げ操作されるので、解除ハンドル199を操作する必要もなく、ロックボルト197を第1ガイドレール107のレール開口に自動的に係合することができる。
上記の揺動ロック機構は以下の形態で実施することができる。
第1ドア2と第1ガイドレール107との間に揺動ロック機構が設けられており、
揺動ロック機構は、第1ドア2の側に設けられて、第1ガイドレール107のレール壁に係脱するロックボルト197と、ロックボルト197を押上げ付勢するロックばね200と、ロックボルト197をロックばね200の付勢力に抗してロック解除操作する解除ハンドル199とを含み、
第1ドア2および第2ドア3が開放位置へ移動操作された状態において、第1ガイドレール107のレール壁に係合しているロックボルト197を、解除ハンドル199でロック解除操作して、揺動ドア4の揺動阻止状態を解除する複動式の開閉ドア。
固定レールユニット103に、第1ドア2を開閉案内する第1ガイドレール107と、第2ドア3を開閉案内する第2ガイドレール108とが設けられており、
第1ガイドレール107の下端面の高さが、第2ガイドレール108の下端面の高さより低く設定してある上記の複動式の開閉ドア。
上記以外に、第1ドア2に設けられる被ロック体80は、実施例で説明した構造である必要はなく、軸体や突起などロック体71で係合捕捉できる構造であればよい。ロック体71は、揺動変位してロック姿勢とロック解除姿勢とに切換わる構造である必要はなく、垂直、あるいは水平にスライド変位してロック姿勢とロック解除姿勢とに切換わる構造であってもよい。同様に検知体72は、揺動変位して退入姿勢と進出姿勢に切換わる構造であってもよい。閉じ端側の縦枠1aと第1ドア2の接当面に錠を設けて、第1ドア2を開放操作不能に錠止することができる。その場合の錠としては、鎌錠、シリンダー錠、あるいは掛け金などを適用することができる。
開閉ランナー116は、一対のローラー119で構成する必要はなく、少なくとも1個のローラー119を備えていればよい。第1〜第4の各ガイドレール107・108・111・112は、それぞれ独立したレールで形成することができる。第1ランナー体105および第2ランナー体106は、複数個の移行体で構成してあってもよい。第1ガイドレール107、第2ガイドレール108、第3ガイドレール111、第4ガイドレール112は、それぞれ独立したレール部品として構成してあってもよい。
図12に示すようにスライドロック機構は、揺動ドア4に装着したハウジング70でロック姿勢とロック解除姿勢とに変位可能に支持されるロック体71と、ハウジング70で出退自在に支持されて、揺動ドア4の開閉状態を検知する検知体72と、検知体72をハウジング70の外へ向かって移動付勢する検知ばね73と、検知体72とロック体71との間に設けられて、検知体72の出退動作をロック体71の姿勢変更動作に変換するカム構造とを含む。揺動ドア4が閉じ位置にある状態では、検知体72が開口枠1の縦枠1bで検知ばね73の付勢力に抗して退入操作されて、ロック体71がカム構造でロック解除姿勢に切換えられる。また、揺動ドア4が開放揺動された状態においては、図13(c)に示すように、検知体72が検知ばね73で進出操作されて、ロック体71がカム構造でロック姿勢に切換えられ第1ドア2の捕捉体78を係合捕捉する。
ハウジング70はプラスチック成形品からなり、その前面側にロック体71を収容する操作区画74と、検知体72の一部と検知ばね73を収容するばね区画75とが形成してある。ロック体71は支軸170側の上下幅が小さく、揺動先端に近付くに従って上下幅が大きな前後一対の板状のダイキャスト成形品からなり、その先端にロック片(被ロック体)80の閉じ方向への移動を阻止するロック面171を備えている。ロック体71の前後の板壁には、後述するカム溝86が、支軸170の側へ向かって下り傾斜する状態で形成してある。