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JP2014201854A - 地厚ストレッチ生地 - Google Patents

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Abstract

【課題】生地厚さに十分なボリュウムを生じさせて保温性を出しながら、柔軟なストレッチ性(伸び性)をも豊富にさせて動きやすい衣類を製作する際などに、好適に使用することができる生地を提供する。また、ストレッチ性を豊富にさせることによってもスナッキング等の不都合及びラン発生による生地ほつれの拡大は生じない編組織を提供する。
【解決手段】編成時に糸を走らせる方向をコース方向とおいてこのコース方向に複数の給糸口を設けて編み降ろした生地であって、タック編したタックコース3と、弾性糸10と非弾性糸11とのプレーティング編により少なくとも一方をダブルニットにしたプレーティングコース5とを含み且つシングルニットのみのコースを不存在にしてリピート編組織を構成させてある。
【選択図】図1

Description

本発明は、生地厚さに十分なボリュウムを生じさせて保温性を出しながら、柔軟なストレッチ性(伸び性)をも豊富にさせて動きやすい衣類を製作する場合などに、好適に使用することのできる地厚ストレッチ生地に関する。
シリンダ及びダイヤルを備えたダブルの丸編機を用いて編成した丸編地(筒状生地)として、軽く且つボリュウムを有する編地が知られている(例えば、特許文献1等参照)。この公知の編地は、糸を走らせる方向(シリンダーやダイヤルの周方向)をコース方向とおいてこのコース方向に複数の給糸口を設けて編み降ろす際に、シリンダー針によるシングルニット(例えば、平編)のみのコースと、ダイヤル針によるシングルニットのみのコースと、ダイヤル針側をタックとしシリンダ針側をニットとしつつ更にプレーティング編をしたコースとを組み合わせて編組織を構成させるようになっている。
一方、他の筒状生地として、保温性を高めるために起毛させた編地が知られている(例えば、特許文献2等参照)。この公知の起毛編地についても、コース方向に複数の給糸口を設けて編み降ろす際に、シリンダー針によるシングルニットのみのコースと、ダイヤル針によるシングルニットのみのコースと、ダイヤル針側をタックとしシリンダ側をニットとしたコースとを組み合わせて編組織を構成させるようになっている。そして、ダイヤル針側をタックとしシリンダ針側をニットとしたコースのうち、シリンダ針側のニードルループを起毛させている。
特開昭62−141161号公報 特開2000−256945号公報
特許文献1,2により開示された公知の編地は、いずれも、ストレッチ性を重視したものではないためにダブルニット(例えば、リブ編)に編成したコースを有しておらず、ストレッチ性は十分とは言えないものとなっていた。そのため、これらの編地を用いたところで、生地厚さのボリュウム感とストレッチ性とを両立させた衣類を製作することはできなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、生地厚さに十分なボリュウムを生じさせて保温性を出しながら、柔軟なストレッチ性(伸び性)をも豊富にさせて動きやすい衣類を製作する際などに、好適に使用することのできる地厚ストレッチ生地を提供することを目的とする。
また本発明は、ストレッチ性を豊富にさせることによってもスナッキング等の不都合及びラン発生による生地ほつれの拡大は生じない編組織を有した地厚ストレッチ生地を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
即ち、本発明に係る地厚ストレッチ生地は、編成時に糸を走らせる方向をコース方向とおいてこのコース方向に複数の給糸口を設けて編み降ろした生地であって、タック編したタックコースと、弾性糸と非弾性糸とのプレーティング編により少なくとも一方をダブルニットにしたプレーティングコースとを含み且つシングルニットのみのコースを不存在にしてリピート編組織を構成させてあることを特徴とする。
前記プレーティングコースの次コースには、前記タックコースが隣接配置されているものとするのが好適である。
前記プレーティングコースのニードルループに対して前記タックコースのタックが引き上げられて3重ループが形成されているものとするのがよい。
前記プレーティングコースは、前記非弾性糸をダブルニットし前記弾性糸をシングルニットにしたコースとするのがよい。
前記タックコースの次コースには長糸長の給糸を行ってダブルニットにしたダブルニットコースが隣接配置され、このダブルニットコースの次コースには前記プレーティングコースが隣接配置されて、これら3コースでリピートされたものとするのがよい。
本発明に係る地厚ストレッチ生地は、生地厚さに十分なボリュウムを生じさせて保温性を出しながら、柔軟なストレッチ性(伸び性)をも豊富にさせて動きやすい衣類を製作する際などに、好適に使用することができる。またこの地厚ストレッチ生地は、ストレッチ性が豊富でありながらもスナッキング等の不都合及びラン発生による生地ほつれの拡大は生じない編組織を有したものとなっている。
本発明に係る地厚ストレッチ生地の第1実施形態を示した組織図である。 本発明に係る地厚ストレッチ生地の第1実施形態を示した編目図である。 本発明に係る地厚ストレッチ生地の第2実施形態を示した組織図である。 本発明に係る地厚ストレッチ生地の第3実施形態を示した組織図である。 比較例生地を示した組織図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1及び図2は、本発明に係る地厚ストレッチ生地1の第1実施形態を示している。この第1実施形態の地厚ストレッチ生地1は、タック編したタックコース3と、プレーティング編したプレーティングコース5とを有した編組織となっており、且つ、シングルニット(例えば、平編)のみで編成されるコースは存在しない構成としてある。
なお、本第1実施形態では、タックコース3とプレーティングコース5との間にダブルニット(例えば、リブ編)によるダブルニットコース4を加えた3口リピートとして構成されたものとしてある。すなわち、この地厚ストレッチ生地1では、タックコース3の次コースにはダブルニットコース4が隣接配置され、このダブルニットコース4の次コースにはプレーティングコース5が隣接配置されており、このプレーティングコース5の次コースには改めてタックコース3が隣接配置されるといったことを繰り返した編組織となっている。そして、プレーティングコース5のニードルループに対し、タックコース3のタックが引き上げられて3重ループ7が形成されるようになっている(図2参照)。
このような編組織を有した地厚ストレッチ生地1は、例えばシリンダとダイヤルとを備えるダブルの丸編機等により編成することができる。以下では、このダブルの丸編機(図示略)を用いて編成する場合を例示し、編成時において糸を走らせる方向(シリンダーやダイヤルの周方向)をコース方向とおいて、このコース方向に複数の給糸口を設けて筒状に編み降ろすものとして説明する。本第1実施形態では3口リピートとしているので、1番給糸口〜3番給糸口(図1の上から下への順番で示す)を用いるものとしてある。
タックコース3は、主として生地厚さにボリュウムを持たせるためのコースである。このタックコース3は、例えばアクリルレーヨンなどの短繊維などにより編成することができる。
ダブルニットコース4は、主として生地のストレッチ性(伸び性)を豊富にさせるためのコースである。また、このダブルニットコース4は、生地表と生地裏との繋ぎ作用を奏する。このダブルニットコース4は、編成法や使用する糸種を適宜選択することで、生地表の外観や柄、風合い(肌触り)、場合によっては保温性の高低などを種々に変化させることができる。例えば、このダブルニットコース4をオールニットのリブ編とする(編針をミスにしない)場合にはゆったり感を強調させるような外観や風合いを持たせることができる。
このダブルニットコース4は、例えばナイロンとポリエステルとより成る長繊維複合糸により編成することができる。
これらタックコース3やダブルニットコース4において、シリンダ針側で編成したルー
プに起毛処理を施して毛羽立たせることで、このシリンダ針側による編成面を衣類の肌側面として形成させる。なお、衣類にゆったり感を持たせるには、これらタックコース3やダブルニットコース4を編成する際に、標準的なダブルニット編成時よりも更に長糸長にする設定とし、形成されるループの拡大化を図るようにするとよい。
プレーティングコース5は、弾性糸10と非弾性糸11とのプレーティング編により少なくとも一方をダブルニット(リブ編)にしたものである。本第1実施形態では、非弾性糸11をダブルニットにしつつ、弾性糸10をシングルニット(平編)にしてある。本来、このプレーティングコース5に充てるコースは、弾性糸10を入れることによって生地の引き伸ばしに対する戻り性(収縮性)を発現させるためのものである。ここにおいて弾性糸10は、シングルニットで編成することが限定されるものではなく、ダブルニット等として編成することもできる。また、本第1実施形態ではダイヤル針によるシングルニットとしてあるが、シリンダ針によるシングルニットとしてもよい。
ただし、図5の参考例において3番給糸口で示しているように、弾性糸10をシングルニットのみで編成したシングルニットコース12とした場合、いわゆる糸渡り部13(コース方向で隣り合うループとループとの間を1本の弾性糸10が繋いでいる部分)が現れることになる。
このような糸渡り部13は、生地を引き伸ばした際などに、生地表面側のリブ間で直線状に露出されることになる。このようにして糸渡り部13が微小距離であるとしても露出状態になると、この露出部分が生地を取り扱う者の爪をはじめとして、洗濯時や使用時における他物との接触で引っ掛けられやすくなり、スナッキング(生地面から糸が引き出されてほつれること)や、甚だしい場合には糸切断に繋がる要因となり得る。一旦、このようなスナッキングや糸切断に至ると、そこを起点にランが発生し、外観上、極めて目立つ生地面の破れに派生するおそれもある。
そこで、本発明に係る地厚ストレッチ生地1では、図1に示したように、弾性糸10と非弾性糸11とを用いたプレーティング編を行うことにより、弾性糸10の糸渡り部13を非弾性糸11によるダブルニットで補強する編組織としてある。非弾性糸11をダブルニットに編成する場合、この非弾性糸11によって生地厚のボリュウムを持たせる作用や、度目が大きくなって編組織が密になりその結果、保温性を高める作用なども得られ、好適となる。また、このダブルニットにした部分が生地表と生地裏との繋ぎ作用を奏することは、ダブルニットコース4の場合と同様である。
このプレーティングコース5において、ダブルニットにする非弾性糸は例えばナイロンなどの長繊維により編成することができる。またシングルニットに用いる弾性糸にはSCY(シングルカバリングヤーン)やDCY(ダブルカバリングヤーン)などを採用することができる。
本第1実施形態の編組織を有する地厚ストレッチ生地1を用いて衣類を製作した結果、生地厚さに十分なボリュウムを生じさせて保温性を出しながら、柔軟なストレッチ性(伸び性)をも豊富にさせて動きやすい衣類を完成させることができた。
そのうえで、生地を引き伸ばすようにしても、リブ間に現れる弾性糸10の糸渡り部13は、ダブルニットされた非弾性糸11が添えられて補強された状態となっている。殊に、この糸渡り部13は、その両側に形成されている3重ループ7(図2参照)によって位置的な拘束を受けており、ルーズ性が制限されていると言うことができる。
このようなことから、地厚ストレッチ生地1を取り扱う者の爪、或いは洗濯時や使用時における他物との接触を原因として、弾性糸10の糸渡り部13がスナッキングや糸切断に至ることは殆どないものであった。また万が一、弾性糸10の糸渡り部13に対して引っ掛かりが生じたとしても、この糸渡り部13が補強され、位置的な拘束を受けていることによってスナッキングに至る危険性は可及的に抑制されるものである。
従って当然に、本発明に係る地厚ストレッチ生地1では、スナッキングや糸切断を原因とするランの発生も解消され、生地面の破れに派生することも殆どないものとなっている。
図3は、本発明に係る地厚ストレッチ生地1の第2実施形態を示している。この第2実
施形態の地厚ストレッチ生地1では、プレーティングコース5において、非弾性糸11だけでなく弾性糸10についてもダブルニットにしてある点で、第1実施形態と異ならせてある。その他の構成や作用効果は、第1実施形態と略同様である。
本第2実施形態では、弾性糸10をダブルニットにすることで、シングルニットに伴う糸渡り部(図1の符号13を参照)が全く生じない編組織となっており、糸のほつれや糸切断の発生防止効果も一層高くなっている。また、弾性糸10がダブルニットとされていることで、地厚感を一層高め、保温性なども一層高める利点が得られるものであった。
図4は、本発明に係る地厚ストレッチ生地1の第3実施形態を示している。この第3実施形態の地厚ストレッチ生地1では、タックコース3とダブルニットコース4とプレーティングコース5とによる3口リピートとして構成させている点は第1実施形態と同じであるが、それら各コースの相隣関係を異ならせたものとしてある。すなわち、この地厚ストレッチ生地1では、タックコース3の次コースにはプレーティングコース5が隣接配置され、このプレーティングコース5の次コースにはダブルニットコース4が隣接配置されており、このダブルニットコース4の次コースには改めてタックコース3が隣接配置されるといったことを繰り返した編組織となっている。
ところで、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
例えば、本発明に係る地厚ストレッチ生地1は、ダブルシリンダを備えた丸編機や2列針床の横編機によって編成することもできる。このことから明らかなように、本発明に係る地厚ストレッチ生地1は、筒状であること、又は筒状として編成された形体を経ることが条件付けられるものではなく、一枚ものの平生地として編成されたものでもよい。
ダブルニットコース4は、省略することもできる。
シングルニットのみで編成するコースを含まないことを条件として、3口を超えて給糸口を設けることも可能であり、4口以上のリピート組織とすることが可能である。
タックコース3、ダブルニットコース4、プレーティングコース5の各コースにおいて、それぞれ使用する糸種は特に限定されるものではなく、例えば、タックコース3に長繊維を採用したり、ダブルニットコース4に短繊維を採用したりしてもよい。また、プレーティングコース5においてダブルニットにする非弾性糸11に短繊維を採用することも可能である。当然に、短繊維や長繊維として具体的に何を選択するかについても、何ら限定されるものではない。また、プレーティングコース5においてシングルニットにする弾性糸10についても、SYCやDYCの他、ベア糸を採用することが可能である。
1 地厚ストレッチ生地
3 タックコース
4 ダブルニットコース
5 プレーティングコース
7 3重ループ
10 弾性糸
11 非弾性糸
12 シングルニットコース
13 糸渡り部

Claims (5)

  1. 編成時に糸を走らせる方向をコース方向とおいてこのコース方向に複数の給糸口を設けて編み降ろした生地であって、タック編したタックコースと、弾性糸と非弾性糸とのプレーティング編により少なくとも一方をダブルニットにしたプレーティングコースとを含み且つシングルニットのみのコースを不存在にしてリピート編組織を構成させてあることを特徴とする地厚ストレッチ生地。
  2. 前記プレーティングコースの次コースには、前記タックコースが隣接配置されていることを特徴とする請求項1記載の地厚ストレッチ生地。
  3. 前記プレーティングコースのニードルループに対して前記タックコースのタックが引き上げられて3重ループが形成されていることを特徴とする請求項2記載の地厚ストレッチ生地。
  4. 前記プレーティングコースは、前記非弾性糸をダブルニットし前記弾性糸をシングルニットにしたコースであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の地厚ストレッチ生地。
  5. 前記タックコースの次コースには長糸長の給糸を行ってダブルニットコースが隣接配置され、このダブルニットコースの次コースには前記プレーティングコースが隣接配置されて、これら3コースでリピートされていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の地厚ストレッチ生地。
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