JP2014139561A - 角速度センサの校正装置及びその校正方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】角速度センサの出力バラツキをなくすために、回転するターンテーブルを用いることなく、極めて簡易に角速度センサの出力を校正可能にすること。
【解決手段】角度設定回転駆動装置3は、角速度センサ2が搭載された検査台1を所定の角度だけ回転運動させる。出力積算部5は、角度設定回転駆動装置3による回転運動の間に角速度センサ2から出力される値の第1の積算値を出力する。感度補正部7は、出力積算部5による第1の積算値と基準値記憶部6に記憶された基準値とを比較し、この比較結果に基づいて角速度センサ2の感度補正を行う。角速度補正部8は、感度補正部7により補正された感度に基づいて角速度出力を補正して、補正された角速度を出力する。オフセット測定部4は、角速度センサ2のオフセットを測定する。
【選択図】図3
【解決手段】角度設定回転駆動装置3は、角速度センサ2が搭載された検査台1を所定の角度だけ回転運動させる。出力積算部5は、角度設定回転駆動装置3による回転運動の間に角速度センサ2から出力される値の第1の積算値を出力する。感度補正部7は、出力積算部5による第1の積算値と基準値記憶部6に記憶された基準値とを比較し、この比較結果に基づいて角速度センサ2の感度補正を行う。角速度補正部8は、感度補正部7により補正された感度に基づいて角速度出力を補正して、補正された角速度を出力する。オフセット測定部4は、角速度センサ2のオフセットを測定する。
【選択図】図3
Description
本発明は、角速度センサの校正装置及びその校正方法に関し、より詳細には、角速度センサの出力バラツキをなくすために、出荷前の角速度センサを正確な角速度で回転するターンテーブルを用いることなく、極めて簡易に角速度センサの出力を校正(感度補正)可能にする角速度センサの校正装置及びその校正方法に関する。
従来から、自動車産業や機械産業などでは、運動する物体の加速度や角速度を正確に検出できるセンサの需要が高まっている。一般に、三次元空間内において自由運動をする物体には、任意の向きの加速度及び任意の回転方向の角速度が作用する。このため、この物体の運動を正確に把握するためには、XYZ三次元座標系における各座標軸方向の加速度と各座標軸まわりの角速度とをそれぞれ独立して検出する必要がある。
図1は、従来のコリオリ力を利用した一次元角速度センサの基本原理を説明するための斜視図で、特許文献1に記載されている一軸の角速度センサによる角速度の検出原理を説明するための図である。
角柱状の振動子10に対してX,Y,Z軸を定義したXYZ三次元座標系において、振動子10がZ軸を回転軸として角速度ωで回転運動を行っている場合、この振動子10をX軸方向に往復運動させるような振動Uを与えると、Y軸方向にコリオリ力Fが発生する。つまり、振動子10をX軸に沿って振動させた状態で、この振動子10を、Z軸を中心軸として回転させると、Y軸方向にコリオリ力Fが生じることになる。この現象は、フーコーの振り子として古くから知られている力学現象であり、発生するコリオリ力Fは、F=2m・v・ωで表される。ここで、mは振動子10の質量、vは振動子10の振動についての瞬時の速度、ωは振動子10の瞬時の角速度を示している。
角柱状の振動子10に対してX,Y,Z軸を定義したXYZ三次元座標系において、振動子10がZ軸を回転軸として角速度ωで回転運動を行っている場合、この振動子10をX軸方向に往復運動させるような振動Uを与えると、Y軸方向にコリオリ力Fが発生する。つまり、振動子10をX軸に沿って振動させた状態で、この振動子10を、Z軸を中心軸として回転させると、Y軸方向にコリオリ力Fが生じることになる。この現象は、フーコーの振り子として古くから知られている力学現象であり、発生するコリオリ力Fは、F=2m・v・ωで表される。ここで、mは振動子10の質量、vは振動子10の振動についての瞬時の速度、ωは振動子10の瞬時の角速度を示している。
この一軸の角速度センサは、上述した現象を利用して角速度ωを検出するものである。つまり、角柱状の振動子10の第1の面には第1の圧電素子11が、この第1の面と直交する第2の面には第2の圧電素子12がそれぞれ取り付けられる。圧電素子11,12としては、ピエゾエレクトリックセラミックからなる板状の素子が用いられている。そして、振動子10に対して振動Uを与えるために圧電素子11が利用され、発生したコリオリ力Fを検出するために圧電素子12が利用される。つまり、圧電素子11に交流電圧を与えると、この圧電素子11は伸縮運動を繰り返してX軸方向に振動する。この振動Uが振動子10に伝達され、振動子10がX軸方向に振動することになる。このように、振動子10に振動Uを与えた状態で、振動子10自身がZ軸を中心軸として角速度ωで回転すると、上述した現象により、Y軸方向にコリオリ力Fが発生する。このコリオリ力Fは、圧電素子12の厚み方向に作用するため、圧電素子12の両面にはコリオリ力Fに比例した電圧Vが発生する。そこで、この電圧Vを測定することにより、角速度ωを検出することが可能になる。
この種の角速度センサは、出荷前に特定の温度に維持しながら回転させて、その信号特性を角速度検査装置により検査されている。例えば、特許文献2に記載のものは、角速度センサ検査用テーブル装置に関するもので、角速度センサの信号は、周囲の温度によって変動する場合があり、車載品や高精度品については、出荷前にその温度特性を全品検査する必要があるところから、従来、角速度センサの温度特性を検査する場合、恒温槽内に回転プレートを設置して、この回転プレート上に角速度センサを搭載し、この恒温槽内を特定の温度に維持しながら、角速度センサを回転させて信号特性を検査している。
つまり、正確な角速度で回転するターンテーブル上に角速度センサを搭載し、このターンテーブルを一定角速度で回転させて角速度センサからの出力を測定して校正していた。
しかしながら、この従来の検査装置では、安定した一定角速度が得られるまでに時間を要するため、角速度センサの検査サイクルタイム(例えば、1個あたり5秒〜15秒)を実現するためには、試験基板を大型化し、膨大な数の角速度センサを予めセットして同時に検査する必要があった。この結果、試験基板の設計・製作に多大な費用がかかり、また、膨大な数のソケットにおける角速度センサとのコンタクト性能を常に最適に維持・管理しなければならないという問題があった。また、検査装置の全体も大型化し、恒温槽への試験基板の出し入れ作業に時間を要するという問題があった。
しかしながら、この従来の検査装置では、安定した一定角速度が得られるまでに時間を要するため、角速度センサの検査サイクルタイム(例えば、1個あたり5秒〜15秒)を実現するためには、試験基板を大型化し、膨大な数の角速度センサを予めセットして同時に検査する必要があった。この結果、試験基板の設計・製作に多大な費用がかかり、また、膨大な数のソケットにおける角速度センサとのコンタクト性能を常に最適に維持・管理しなければならないという問題があった。また、検査装置の全体も大型化し、恒温槽への試験基板の出し入れ作業に時間を要するという問題があった。
また、角速度センサの信号処理に関しては、例えば、特許文献3には、ジャイロセンサが出力する角速度信号の誤差(センサ取り付けピッチ角、車両ピッチ角、センサの感度誤差などに起因する角速度誤差)を補正する角速度補正装置及びその補正方法が開示されている。
ところで、角速度センサには通常、製造ばらつきに起因する出力バラツキがあるため、出荷前に角速度センサを校正している。例えば、角速度センサを1秒間にN°の速さで回転させる場面を考える。角速度センサを1秒間にN°の速さで回転させる時の角速度センサの理想的な出力がαであるとすると、角速度センサに製造バラツキがあるので、ある角速度センサは、例えば、0.8αの出力をし、ある角速度センサは、例えば、1.2αの出力をしてしまう。
このような角速度センサの出力バラツキをなくすために、出荷前の角速度センサを校正する。具体的には、0.8αの出力をだしてしまう角速度センサについては、出力を5/4倍に校正(感度補正)し、1.2αの出力をだしてしまう角速度センサについては、出力を4/5倍にするように校正(感度補正)をしている。このような校正は、極めて手間がかかるものである。
また、正確な角速度で回転するターンテーブルを用意することは極めて難しく、しかも、ターンテーブルの角速度が一定になるまでの期間が無駄になる。つまり、従来のものでは、角速度センサが設定角速度の遷移部分の期間に出力した信号は破棄されてしまうという問題がある。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、角速度センサの出力バラツキをなくすために、出荷前の角速度センサを正確な角速度で回転するターンテーブルを用いることなく、極めて簡易に角速度センサの出力を校正(感度補正)可能にする角速度センサの校正装置及びその校正方法を提供することにある。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、角速度センサの出力バラツキをなくすために、出荷前の角速度センサを正確な角速度で回転するターンテーブルを用いることなく、極めて簡易に角速度センサの出力を校正(感度補正)可能にする角速度センサの校正装置及びその校正方法を提供することにある。
本発明は、このような目的を達成するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、角速度センサを搭載する検査台と、前記検査台を所定の角度だけ回転運動させる駆動装置と、前記回転運動の間に前記角速度センサから出力される値の第1の積算値を出力する積算部と、前記第1の積算値と記憶部に記憶された基準値とを比較し、該比較結果に基づいて前記角速度センサの感度補正を行う感度補正部と、を備えた角速度センサの校正装置である。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記駆動装置は、前記検査台を所定の方向に第1の角度だけ回転させ、前記所定の方向と逆の方向に第2の角度だけ回転させ、前記積算部は、前記検査台が前記第1の角度だけ回転する間に前記角速度センサから出力される値の第2の積算値と、前記検査台が前記第2の角度だけ回転する間に前記角速度センサから出力される値の第3の積算値との差分に基づく値を前記第1の積算値として出力する。
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記検査台を前記第1の角度だけ回転させる時間と前記検査台を前記第2の角度だけ回転させる時間とが略等しい。
また、請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の発明において、前記基準値が、前記第1の角度と前記第2の角度との差分に相当する値である。
また、請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の発明において、前記基準値が、前記第1の角度と前記第2の角度との差分に相当する値である。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記角速度センサのオフセットを測定するオフセット測定部を備えている。
また、請求項6に記載の発明は、請求項1又は5に記載の発明において、前記基準値が、前記所定の角度に相当する値である。
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記検査台が、折り畳み回転駆動する。
また、請求項6に記載の発明は、請求項1又は5に記載の発明において、前記基準値が、前記所定の角度に相当する値である。
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記検査台が、折り畳み回転駆動する。
また、請求項8に記載の発明は、検査台に角速度センサを搭載する搭載ステップと、前記検査台を所定の角度だけ回転運動させる回転ステップと、前記回転運動の間に前記角速度センサから出力される値の第1の積算値を出力する出力ステップと、前記第1の積算値と基準値とを比較し、該比較結果に基づいて前記角速度センサの感度補正を行う補正ステップと、を有する角速度センサの校正方法である。
また、請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、前記回転ステップは、前記検査台を所定の方向に第1の角度だけ回転させ、前記所定の方向と逆の方向に第2の角度だけ回転させるステップであり、前記出力ステップは、前記検査台が前記第1の角度だけ回転する間に前記角速度センサから出力される値の第2の積算値と、前記検査台が前記第2の角度だけ回転する間に前記角速度センサから出力される値の第3の積算値との差分に基づく値を前記第1の積算値として出力するステップである。
また、請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の発明において、前記検査台を前記第1の角度だけ回転させる時間と前記検査台を前記第2の角度だけ回転させる時間とが略等しい。
また、請求項11に記載の発明は、請求項9又は10に記載の発明において、前記基準値が、前記第1の角度と前記第2の角度との差分に相当する値である。
また、請求項11に記載の発明は、請求項9又は10に記載の発明において、前記基準値が、前記第1の角度と前記第2の角度との差分に相当する値である。
また、請求項12に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、前記基準値が、前記所定の角度に相当する値である。
また、請求項13に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、前記基準値が、基準となる角速度センサを前記検査台で前記所定の角度だけ回転運動させた時の、前記所定の角度だけ回転する間に前記基準となる角速度センサが出力した出力値の積算値に基づく値である。
また、請求項13に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、前記基準値が、基準となる角速度センサを前記検査台で前記所定の角度だけ回転運動させた時の、前記所定の角度だけ回転する間に前記基準となる角速度センサが出力した出力値の積算値に基づく値である。
また、請求項14に記載の発明は、請求項12又は13に記載の発明において、前記角速度センサのオフセットを測定する測定ステップを有し、前記出力ステップは、前記所定の角度だけ回転する間に前記角速度センサから出力される値の積算値と、前記所定の角度だけ回転する間に出力される前記角速度センサのオフセットの積算値との差分に基づく値を前記第1の積算値として出力するステップである。
また、請求項15に記載の発明は、請求項12又は13記載の発明において、前記角速度センサのオフセットを測定する測定ステップと、前記角速度センサの出力から前記角速度センサのオフセットを取り除くように前記角速度センサの出力補正をする出力補正ステップとを有し、前記出力ステップは、所定の角度だけ回転する間に出力補正をされた前記角速度センサから出力される値の積算値に基づく値を前記第1の積算値として出力するステップである。
また、請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の発明において、前記回転ステップは、前記検査台を所定の方向に第1の角度だけ回転させ、前記所定の方向と逆の方向に第2の角度だけ回転させるステップであり、前記出力ステップは、前記検査台を前記第1の角度だけ回転させる間に前記角速度センサから出力される値を積算する第1の積算ステップと、前記角速度センサの出力を反転させる反転ステップと、前記検査台を前記第2の角度だけ回転させる間に前記出力が反転された前記角速度センサから出力される値を積算する第2の積算ステップと、を有し、前記出力ステップは、前記第1の積算ステップによって得られる積算値と前記第2の積算ステップによって得られる積算値との和に基づく値を前記第1の積算値として出力するステップである。
また、請求項17に記載の発明は、請求項16に記載の発明において、前記検査台を前記第1の角度だけ回転させる時間と前記検査台を前記第2の角度だけ回転させる時間とが略等しい。
また、請求項18に記載の発明は、請求項16又は17に記載の発明において、前記基準値は、前記第1の角度と前記第2の角度の和の角度に相当する値である。
また、請求項18に記載の発明は、請求項16又は17に記載の発明において、前記基準値は、前記第1の角度と前記第2の角度の和の角度に相当する値である。
また、請求項19に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、前記回転ステップが、前記検査台を前記所定の角度だけ回転させる時間をT1、前記検査台を前記所定の角度だけ回転させる間の、前記検査台が略一定の角速度で回転している時間をT2としたときに、T2/T1が0.7以下となるように前記検査台を前記所定の角度だけ回転させるステップである。
本発明によれば、角速度センサの出力バラツキをなくすために、出荷前の角速度センサを正確な角速度で回転するターンテーブルを用いることなく、極めて簡易に角速度センサの出力を校正(感度補正)可能にする角速度センサの校正装置及びその校正方法を実現することができる。
また、設定角速度の遷移部分の期間の出力も使用することができるので、S/N比が向上する。さらに、角速度センサが出力する信号の積分、つまり、角度を用いて校正するため、(角速度測定ではなく)角度測定に使用する角速度センサを高精度で校正することが可能となる。
また、設定角速度の遷移部分の期間の出力も使用することができるので、S/N比が向上する。さらに、角速度センサが出力する信号の積分、つまり、角度を用いて校正するため、(角速度測定ではなく)角度測定に使用する角速度センサを高精度で校正することが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の各実施例について説明する。
まず、本発明の各実施例の説明に先立って、出荷前の角速度センサの校正(感度補正)を回転する従来のターンテーブルを用いた角速度設定回転駆動方式によらずに行う校正方法、つまり、角度設定回転駆動方式を用いた校正方法について以下に説明する。なお、角速度設定回転駆動とは、回転軸に対して設定された一定角速度での円運動をする回転駆動方式で、角度設定回転駆動方式とは、回転軸に対して設定された角度分だけ円運動をする回転駆動方式を意味している。
まず、本発明の各実施例の説明に先立って、出荷前の角速度センサの校正(感度補正)を回転する従来のターンテーブルを用いた角速度設定回転駆動方式によらずに行う校正方法、つまり、角度設定回転駆動方式を用いた校正方法について以下に説明する。なお、角速度設定回転駆動とは、回転軸に対して設定された一定角速度での円運動をする回転駆動方式で、角度設定回転駆動方式とは、回転軸に対して設定された角度分だけ円運動をする回転駆動方式を意味している。
図2(a),(b)は、角度設定回転駆動方式による角速度センサの検査方法を説明するための図で、図2(a)は検査方法を示す図で、図2(b)は検査結果の波形図を示している。図2(a)に示すように、平板の検査台1に搭載された角速度センサ2を、回転軸1aを中心にして設定角度分だけ回転させる。つまり、検査台1の回転軸をA方向(0度から180度)に回転し、その後にB方向(180度から0度)に戻し回転する。このように回転された角速度センサによる出力は、図2(b)に示すように、上向きの矩形波と下向きの矩形波が生じる。
図3は、本発明に係る角速度センサの校正装置を説明するための構成図である。図中符号3は角度設定回転駆動装置、4はオフセット測定部、5は出力積算部(積分処理部)、6は基準値記憶部、7は感度補正部、8は角速度補正部を示している。
本発明の角速度センサの校正装置は、検査台1の回転運動による角速度出力の感度補正を行う角速度センサの校正装置である。検査台1に角速度センサ2が搭載される。また、角度設定回転駆動装置3は、検査台1を所定の角度だけ回転運動させるものである。また、出力積算部(積分処理部)5は、角度設定回転駆動装置3による回転運動の間に角速度センサ2から出力される値の第1の積算値を出力するものである。
本発明の角速度センサの校正装置は、検査台1の回転運動による角速度出力の感度補正を行う角速度センサの校正装置である。検査台1に角速度センサ2が搭載される。また、角度設定回転駆動装置3は、検査台1を所定の角度だけ回転運動させるものである。また、出力積算部(積分処理部)5は、角度設定回転駆動装置3による回転運動の間に角速度センサ2から出力される値の第1の積算値を出力するものである。
また、感度補正部7は、出力積算部5による第1の積算値と基準値記憶部6に記憶された基準値とを比較し、この比較結果に基づいて角速度センサ2の出力の感度補正を行うものである。また、角速度補正部8は、感度補正部7により補正された感度に基づいて角速度出力を補正して、補正された角速度を出力するものである。また、オフセット測定部4が、角速度センサ2のオフセットを測定するものである。
また、駆動装置3は、検査台1を所定の方向に第1の角度だけ回転させ、所定の方向と逆の方向に第2の角度だけ回転させ、積算部5は、検査台1が第1の角度だけ回転する間に角速度センサから出力される値の第2の積算値と、検査台1が第2の角度だけ回転する間に角速度センサ2から出力される値の第3の積算値との差分に基づく値を第1の積算値として出力するものである。
また、検査台1を第1の角度だけ回転させる時間と検査台1を第2の角度だけ回転させる時間とが略等しい。また、基準値が、第1の角度と第2の角度との差分に相当する値である。
なお、検査台1を上述のように正負に回転させる構成は必須ではないが、検査台1を正負に回転させる構成にすれば、角速度センサ2が出力する信号を伝送するケーブルを検査台1が備える構成である場合、ケーブルが検査台1に絡まないようにすることができる。
なお、検査台1を上述のように正負に回転させる構成は必須ではないが、検査台1を正負に回転させる構成にすれば、角速度センサ2が出力する信号を伝送するケーブルを検査台1が備える構成である場合、ケーブルが検査台1に絡まないようにすることができる。
また、基準値は、所定の角度に相当する値である。また、検査台1は、回転駆動するものである。さらに、検査台1は、折り畳み回転駆動するものであってもよい。この折り畳み回転駆動により、0度→180度→90度のようにして、必ずしも回転後に原位置に戻す必要ななく、角速度センサの搭載されている検査台の部分をまず180度回転した後に、90度に戻し回転して出力を得ることもできる。
このような構成により、角速度センサの出力バラツキをなくすために、出荷前の角速度センサを正確な角速度で回転するターンテーブルを用いることなく、極めて簡易に角速度センサの出力を校正(感度補正)可能にする角速度センサの校正装置を実現することができる。
図4は、本発明に係る角速度センサの校正方法を説明するための図で、図2に示した角度設定回転駆動方式による角速度センサの検査方法により発生した矩形波を積分処理により本発明の校正方法に用いる台形波にしたものである。
図4は、本発明に係る角速度センサの校正方法を説明するための図で、図2に示した角度設定回転駆動方式による角速度センサの検査方法により発生した矩形波を積分処理により本発明の校正方法に用いる台形波にしたものである。
上段が図2に示した上下運動回転駆動方式による角速度センサの検査方法により発生した矩形波で、下段がその矩形波を積分処理により本発明の校正方法に用いる台形波である。上段に示すように、Vを角速度センサの出力、Sを感度、Ωdcを角速度定数とすると、V=S・Ωdcの関係がある。したがって、S=V/Ωdcとなる。これに対して、本発明は、∫Vdt=∫S・Ωdtの関係から、
S=∫Vdt/∫Ωdt=∫Vdt/θ0≒ΣVΔt/θ0 ・・・(1)
となる。なお、θ0は角度変化(angle variation)を示している。
S=∫Vdt/∫Ωdt=∫Vdt/θ0≒ΣVΔt/θ0 ・・・(1)
となる。なお、θ0は角度変化(angle variation)を示している。
図5(a),(b)は、低速度回転と高速度回転における感度誤差を説明するための図で、図5(a)が低速度回転の場合、図5(b)が高速度回転の場合を示している。図5(a)に示す低速度回転の場合には、S(感度)は14.184(LSB/dps)で、感度誤差は1.3%である。これに対して、図5(b)に示す高速度回転の場合には、S(感度)は14.170(LSB/dps)で、感度誤差は1.4%で、予想検査時間は7.2secである。従来が12secであったから検査時間が短縮されていることが分かる。
図6(a),(b)は、図5(b)に示した高速度回転における感度誤差を説明するための図で、図6(a)は図4に示した図で、図6(b)は感度誤差を伴う角速度出力を示している。
図4に示したように、図6(a)の上段が図2に示した角速度設定回転駆動方式による角速度センサの検査方法により発生した矩形波で、下段がその矩形波を積分処理により本発明の校正方法に用いる台形波である。この場合の角速度出力は、図6(a)の上段に示すように角速度が急速に増加し短時間で回転を行う場合、角速度センサの応答速度が有限であるため、図6(b)上段に示すように鈍った矩形波となる。この鈍った矩形波を積分すると図6(b)下段に示すように、本来の積分値に比較して小さな積分値しか得られず、この結果感度誤差が生じる。
図4に示したように、図6(a)の上段が図2に示した角速度設定回転駆動方式による角速度センサの検査方法により発生した矩形波で、下段がその矩形波を積分処理により本発明の校正方法に用いる台形波である。この場合の角速度出力は、図6(a)の上段に示すように角速度が急速に増加し短時間で回転を行う場合、角速度センサの応答速度が有限であるため、図6(b)上段に示すように鈍った矩形波となる。この鈍った矩形波を積分すると図6(b)下段に示すように、本来の積分値に比較して小さな積分値しか得られず、この結果感度誤差が生じる。
図7は、本発明に係る角速度センサの校正方法の実施例1を説明するためのフローチャートを示す図である。本実施例1の角速度センサの校正方法は、検査台の回転運動による角速度出力の感度補正を行う角速度センサの校正方法である。
本実施例1においては、まず、検査台1に角速度センサを搭載する(ステップS1)。次に、検査台1を所定の角度だけ回転運動させる(ステップS2)。次に、回転運動の間に角速度センサ2から出力される値の第1の積算値を出力する(ステップS3)。次に、第1の積算値と基準値とを比較し、この比較結果に基づいて角速度センサ2の感度補正を行う(ステップS4)。
本実施例1においては、まず、検査台1に角速度センサを搭載する(ステップS1)。次に、検査台1を所定の角度だけ回転運動させる(ステップS2)。次に、回転運動の間に角速度センサ2から出力される値の第1の積算値を出力する(ステップS3)。次に、第1の積算値と基準値とを比較し、この比較結果に基づいて角速度センサ2の感度補正を行う(ステップS4)。
また、回転ステップは、検査台1を所定の方向に第1の角度だけ回転させ、所定の方向と逆の方向に第2の角度だけ回転させるステップであり、出力ステップは、検査台1が第1の角度だけ回転する間に角速度センサ2から出力される値の第2の積算値と、検査台1が第2の角度だけ回転する間に角速度センサ2から出力される値の第3の積算値との差分に基づく値を第1の積算値として出力するステップである。
また、検査台1を第1の角度だけ回転させる時間と検査台1を第2の角度だけ回転させる時間とが略等しい。また、基準値が、第1の角度と第2の角度との差分に相当する値である。
検査台1を上述のように正負に回転させる構成は必須ではないが、検査台1を正負に回転させる構成にすれば、角速度センサ2が出力する信号を伝送するケーブルを検査台1が備える構成である場合、ケーブルが検査台1に絡まないようにすることができる。
検査台1を上述のように正負に回転させる構成は必須ではないが、検査台1を正負に回転させる構成にすれば、角速度センサ2が出力する信号を伝送するケーブルを検査台1が備える構成である場合、ケーブルが検査台1に絡まないようにすることができる。
なお、基準値とは、例えば、検査台1を回転運動させる角度で、所定の角度に相当する値である。つまり、検査台1を回転運動させる角度を180°に設定し、この所定の角度だけ回転する間に角速度センサ2から出力される値を積算した値が角度で175°に相当する値であるとすると、この場合には、角速度センサ2の出力を(180°/175°)倍する校正することになる。
また、基準値は、基準となる角速度センサ2を検査台1で所定の角度だけ回転運動させた時の、所定の角度だけ回転する間に基準となる角速度センサ2が出力した出力値の積算値に基づく値である。これは、基準となる角速度センサ2を検査台で所定の角度だけ回転させた時の、所定の角度だけ回転する間に基準となる角速度センサ2が出力した出力値の積算値を用いる方法である。
つまり、検査台を回転させる角度(所定の角度)を180°に設定し、基準となる角速度センサ(レファレンスとなる角速度センサ)を検査台に載せて回転させ、所定の角度だけ回転する間に基準となる角速度センサが出力した出力値の積算値が178°に相当する値であり、レファレンスとなる角速度センサとは他の角速度センサを検査台に載せて回転させ、所定の角度だけ回転する間に他の角速度センサが出力した出力値の積算値が170°に相当する値であるとすると、この場合には、他の角速度センサの出力を(178°/170°)倍する校正する。
このような角速度センサの校正方法によれば、以下のような効果が得られる。
(1)積分処理を行っているので、高SNで校正時間を短縮できる。(2)設定角速度の遷移部分も信号として使用可能であるあり、一定角速度を必要としない。(3)角速度の設定よりも角度設定の方が容易である。(4)角度精度が得られる。
つまり、角速度センサの出力バラツキをなくすために、出荷前の角速度センサを正確な角速度で回転するターンテーブルを用いることなく、極めて簡易に角速度センサの出力を校正(感度補正)可能にする角速度センサの校正方法を実現することができる。
(1)積分処理を行っているので、高SNで校正時間を短縮できる。(2)設定角速度の遷移部分も信号として使用可能であるあり、一定角速度を必要としない。(3)角速度の設定よりも角度設定の方が容易である。(4)角度精度が得られる。
つまり、角速度センサの出力バラツキをなくすために、出荷前の角速度センサを正確な角速度で回転するターンテーブルを用いることなく、極めて簡易に角速度センサの出力を校正(感度補正)可能にする角速度センサの校正方法を実現することができる。
図8(a),(b)は、本発明の角速度センサの校正方法による効果を説明するための図で、図8(a)は、図2に示した角度設定回転駆動方式による角速度センサの検査方法により発生した矩形波で、一定角速度の区間が長い場合を示している。図8(b)は、一定角速度区間が全くない場合を示している。本発明においては、図8(b)で示すような角速波形を用いても精度良く感度の校正を行うことができる。
上述した式(1)を用いているので、もしも、内部クロックの周期Δtが一定方向にずれた状態で(例えば、90%)感度Sを求めた場合、角速度の感度としては誤差が生じる。しかし、実際のアプリケーションにおいて多く使用され重要とされるのは、角速度センサ出力を積分して得られる角度である。出荷前校正時に用いたのと同じΔtを用いて角速度センサ出力を積分して角度を求めれば、Δtに起因する誤差はキャンセルされ角度に誤差は生じない。また、角速度ではなく、角度を設定して校正を行っているため、角度に対する校正精度が高い。
しかしながら、オフセットの問題がある。積分処理を実行する際にはこのオフセットを除去する必要がある。つまり、上述したステップ4において、出力積算値とオフセット値の差分を基準値と比較する必要がある。
検査台を正の角度である+α°だけ回転させたとき、角速度センサの出力の積算値は+α°になるはずである。しかしながら、角速度センサのオフセットが生じていると角速度センサが出力した出力値の積算値は+α°にならない。具体的には、角速度センサの信号成分をa、角速度センサのオフセットの値をb、検査台を正の角度である+α°だけ回転させるまでにかかった時間をTとすると、角速度センサが出力した出力値の積算値はα+b×Tになってしまう。そのため、このオフセットの値を考慮しないと正しい校正ができない。
検査台を正の角度である+α°だけ回転させたとき、角速度センサの出力の積算値は+α°になるはずである。しかしながら、角速度センサのオフセットが生じていると角速度センサが出力した出力値の積算値は+α°にならない。具体的には、角速度センサの信号成分をa、角速度センサのオフセットの値をb、検査台を正の角度である+α°だけ回転させるまでにかかった時間をTとすると、角速度センサが出力した出力値の積算値はα+b×Tになってしまう。そのため、このオフセットの値を考慮しないと正しい校正ができない。
図9は、オフセットの除去の必要性を説明するための図である。上段に示した矩形波にはオフセットが含まれている。これを積分処理すると多段のような波形になる。つまり、歪んだ傾いた台形波になってしまう。
図10は、図9に示したオフセットの問題を解決するための実施例2(第1の方法)を説明するための図である。事前にオフセットを測っておいて、図10の左側に示すようなオフセットを含む矩形波からこのオフセットを除去すると、図10の右側上段に示すようなオフセットを含まない矩形波になる。この矩形波を積分処理すると、図10の右側下段に示すような台形波が得られる。本実施例2は、角速度センサのオフセット成分を事前に測定しておく校正方法である。
図10は、図9に示したオフセットの問題を解決するための実施例2(第1の方法)を説明するための図である。事前にオフセットを測っておいて、図10の左側に示すようなオフセットを含む矩形波からこのオフセットを除去すると、図10の右側上段に示すようなオフセットを含まない矩形波になる。この矩形波を積分処理すると、図10の右側下段に示すような台形波が得られる。本実施例2は、角速度センサのオフセット成分を事前に測定しておく校正方法である。
図11は、本発明に係る角速度センサの校正方法の実施例2を説明するためのフローチャートを示す図である。
本実施例2においては、まず、検査台1に角速度センサを搭載する(ステップS11)。次に、角速度センサ2のオフセットを測定する(ステップS12)。次に、検査台1を所定の角度だけ回転運動させる(ステップS13)。次に、所定の角度だけ回転する間に角速度センサ2から出力される値の積算値と、所定の角度だけ回転する間に出力される角速度センサ2のオフセットの積算値との差分に基づく値を第1の積算値として出力する(ステップS14)。次に、第1の積算値と基準値とを比較し、この比較結果に基づいて角速度センサの感度補正を行う(ステップS15)。
本実施例2においては、まず、検査台1に角速度センサを搭載する(ステップS11)。次に、角速度センサ2のオフセットを測定する(ステップS12)。次に、検査台1を所定の角度だけ回転運動させる(ステップS13)。次に、所定の角度だけ回転する間に角速度センサ2から出力される値の積算値と、所定の角度だけ回転する間に出力される角速度センサ2のオフセットの積算値との差分に基づく値を第1の積算値として出力する(ステップS14)。次に、第1の積算値と基準値とを比較し、この比較結果に基づいて角速度センサの感度補正を行う(ステップS15)。
角速度センサ2の信号成分をa、角速度センサ2のオフセット成分をb、所定の角度だけ回転する時間をTとすると、オフセット成分を持つ角速度センサ2の出力はa+b、オフセット成分を持つ角速度センサ2から出力される値を積算した値は∫0 T(a+b)dt、求めたい値は∫0 T(a)dtとなる。
つまり、事前に角速度センサ2のオフセット成分bを測定しておき、オフセット成分を持つ角速度センサ2の出力a+bから事前に測定したオフセット成分bを引いて、その差分(つまりa)を時間Tで積分するという方法で正しい角速度センサ2の出力積算値(∫0 T(a)dt)を演算する。
つまり、事前に角速度センサ2のオフセット成分bを測定しておき、オフセット成分を持つ角速度センサ2の出力a+bから事前に測定したオフセット成分bを引いて、その差分(つまりa)を時間Tで積分するという方法で正しい角速度センサ2の出力積算値(∫0 T(a)dt)を演算する。
図12は、本発明に係る角速度センサの校正方法の実施例2の変形例を説明するためのフローチャートを示す図である。本実施例2の変形例も、角速度センサのオフセット成分を事前に測定しておく校正方法である。
本実施例2の変形例においては、まず、検査台1に角速度センサを搭載する(ステップS21)。次に、角速度センサ2のオフセットを測定する(ステップS22)。次に、検査台1を所定の角度だけ回転運動させる(ステップS23)。次に、角速度センサ2の出力から角速度センサ2のオフセットを取り除くように角速度センサ2の出力補正をする(ステップS24)。次に、回転運動の間に出力補正をされた角速度センサ2から出力される値の積分値に基づく値を角速度センサ2の第1の積算値として出力する(ステップS25)。次に、第1の積算値と基準値とを比較し、この比較結果に基づいて角速度センサ2の感度補正を行う(ステップS26)。
本実施例2の変形例においては、まず、検査台1に角速度センサを搭載する(ステップS21)。次に、角速度センサ2のオフセットを測定する(ステップS22)。次に、検査台1を所定の角度だけ回転運動させる(ステップS23)。次に、角速度センサ2の出力から角速度センサ2のオフセットを取り除くように角速度センサ2の出力補正をする(ステップS24)。次に、回転運動の間に出力補正をされた角速度センサ2から出力される値の積分値に基づく値を角速度センサ2の第1の積算値として出力する(ステップS25)。次に、第1の積算値と基準値とを比較し、この比較結果に基づいて角速度センサ2の感度補正を行う(ステップS26)。
このように事前に角速度センサ2のオフセット成分bを測定しておき、オフセット成分を持つ角速度センサ2から出力される値を積算した値(∫0 T(a+b)dt)からオフセット成分の積算値(∫0 T(b)dt)を引くことで正しい角速度センサ2の出力積算値(∫0 T(a)dt)を演算する。
図13は、図9に示したオフセットの問題を解決するための実施例3(第2の方法)を説明するための図である。図10に示した実施例2が事前にオフセットを測っておくのに対して、本実施例3においては、角速度センサのオフセット成分を事前に計測しておかなくても正確な角速度センサの出力積算値を演算することを可能にしている。
図13の上段に示すように、オフセットを含む矩形波からこのオフセットを除去すると、オフセットを含まない矩形波になる。この矩形波を図13の下段に示すような積分処理すると、図13の下段に示すような波形が得られる。
図13の上段に示すように、オフセットを含む矩形波からこのオフセットを除去すると、オフセットを含まない矩形波になる。この矩形波を図13の下段に示すような積分処理すると、図13の下段に示すような波形が得られる。
検査台を所定の角度だけ回転運動させるステップが、検査台を正の角度である第1の角度+α°だけ回転させ、その後、負の角度である第2の角度−β°だけ回転させるステップで、回転運動の間に角速度センサの出力積算値を演算するステップが、第1の角度+α°だけ回転する間に角速度センサから出力される値を積算した値の絶対値と、第2の角度−β°だけ回転する間に角速度センサから出力される値を積算した値の絶対値との和に基づく値を角速度センサの出力積算値として積分処理して演算する。つまり、回転運動の間に角速度センサから出力される値の第1の積算値を出力するステップは、検査台が第1の角度+α°だけ回転する間に角速度センサから出力される値の第2の積算値と、検査台が第2の角度−β°だけ回転する間に角速度センサから出力される値の第3の積算値との差分に基づく値を第1の積算値として出力するステップである。
また、検査台を第1の角度+α°だけ回転させる時間と検査台を第2の角度−β°だけ回転させる時間とが略等しい。また、基準値は、第1の角度と第2の角度の和α°+β°の角度に相当する値である。
つまり、検査台を正の角度である+α°だけ回転させるのにかかる時間をT、検査台を負の角度である−β°だけ回転させるのにかかる時間をTとした時に、回転台を正の角度である+α°だけ回転させる間にオフセット成分を持つ角速度センサから出力される値を積算した値は、α+(b×T)になる。検査台を負の角度である−β°だけ回転させる間にオフセット成分を持つ角速度センサから出力される値を積算した値は、−β+(b×T)になる。
つまり、検査台を正の角度である+α°だけ回転させるのにかかる時間をT、検査台を負の角度である−β°だけ回転させるのにかかる時間をTとした時に、回転台を正の角度である+α°だけ回転させる間にオフセット成分を持つ角速度センサから出力される値を積算した値は、α+(b×T)になる。検査台を負の角度である−β°だけ回転させる間にオフセット成分を持つ角速度センサから出力される値を積算した値は、−β+(b×T)になる。
したがって、+α°角度だけ回転する間に角速度センサから出力される値を積算した値と、−β°角度だけ回転する間に角速度センサから出力される値を積算した値との差分は、(α+(b×T))−(−β+(b×T))=α+βになり、オフセット成分を消去することができる。なお。αとβは同じ値であっても良いし、違う値であってもよい。さらに、本例では、積算値の差分をとる構成であり、オフセットの積算値がキャンセルされるため、オフセットの測定が不要であるという効果を奏する。
図14は、図9に示したオフセットの問題を解決するための実施例4(第3の方法)を説明するための図である。上述した本実施例3と同様に、角速度センサのオフセット成分を事前に計測しておかなくても正確な角速度センサ出力積算値を演算することを可能にしている。上述した実施例3が、積算値の差分を用いているのに対して、本実施例4では、角速度センサから出力される値を反転している。
検査台を所定の角度だけ回転運動させるステップは、検査台を正の角度である第1の角度+α°だけ回転させ、その後、負の角度である第2の角度−β°だけ回転させるステップである。
さらに、回転運動の間に角速度センサの第1の積算値を出力するステップは、検査台を第1の角度+α°だけ回転させる間に角速度センサから出力される値を積算する第1の積算ステップと、角速度センサの出力を反転させるステップと、検査台を第2の角度−β°だけ回転させる間に出力が反転された角速度センサから出力される値を積算する第2の積算ステップと、オフセットを取り除くように角速度センサの出力補正をするステップで得られる積算値と角速度センサから出力される第2の積算ステップで得られる積算値との和に基づく値を角速度センサの第1の積算値として出力するステップとを有している。
さらに、回転運動の間に角速度センサの第1の積算値を出力するステップは、検査台を第1の角度+α°だけ回転させる間に角速度センサから出力される値を積算する第1の積算ステップと、角速度センサの出力を反転させるステップと、検査台を第2の角度−β°だけ回転させる間に出力が反転された角速度センサから出力される値を積算する第2の積算ステップと、オフセットを取り除くように角速度センサの出力補正をするステップで得られる積算値と角速度センサから出力される第2の積算ステップで得られる積算値との和に基づく値を角速度センサの第1の積算値として出力するステップとを有している。
また、検査台を第1の角度+α°だけ回転させる時間と検査台を第2の角度−β°だけ回転させる時間とが略等しい。また、基準値は、第1の角度と第2の角度の和α°+β°の角度に相当する値である。
また、検査台を所定の角度だけ回転運動させるステップは、検査台を所定の角度だけ回転させる時間をT1、検査台を所定の角度だけ回転させる間の、検査台が略一定で回転している時間をT2とした時に、T2/T1が0.7以下となるように検査台を所定の角度だけ回転させるステップであってもよい。このようにすることで、検査台の精密な制御が不要になり、角速度制御があまり精密ではない検査台を使用することができる。ここで、検査台が略一定の角速度で回転している時間とは、検査台を所定の角速度で回転するように検査台を設定した時の、その設定した角速度の±6%の角速度で回転している時間を指すものとする。つまり、検査台を毎秒M度で回転するように設定した時の、毎秒(0.94M)度〜毎秒(1.06M)度の角速度で回転している時間を指すものとする。T2/T1が小さいほど検査台の精密な制御が不要になり、角速度制御があまり精密ではない検査台を使用することができるため好ましい。T2/T1は0.6以下であることが好ましく、0.5以下であることがより好ましく、0.3以下であることが更に好ましく、0であることが特に好ましい。
また、検査台を所定の角度だけ回転運動させるステップは、検査台を所定の角度だけ回転させる時間をT1、検査台を所定の角度だけ回転させる間の、検査台が略一定で回転している時間をT2とした時に、T2/T1が0.7以下となるように検査台を所定の角度だけ回転させるステップであってもよい。このようにすることで、検査台の精密な制御が不要になり、角速度制御があまり精密ではない検査台を使用することができる。ここで、検査台が略一定の角速度で回転している時間とは、検査台を所定の角速度で回転するように検査台を設定した時の、その設定した角速度の±6%の角速度で回転している時間を指すものとする。つまり、検査台を毎秒M度で回転するように設定した時の、毎秒(0.94M)度〜毎秒(1.06M)度の角速度で回転している時間を指すものとする。T2/T1が小さいほど検査台の精密な制御が不要になり、角速度制御があまり精密ではない検査台を使用することができるため好ましい。T2/T1は0.6以下であることが好ましく、0.5以下であることがより好ましく、0.3以下であることが更に好ましく、0であることが特に好ましい。
1 検査台
1a 回転軸
2 角速度センサ
3 上下回転運動駆動装置
4 オフセット測定部
5 出力積算部(積分処理部)
6 基準値記憶部
7 感度補正部
8 角速度補正部
1a 回転軸
2 角速度センサ
3 上下回転運動駆動装置
4 オフセット測定部
5 出力積算部(積分処理部)
6 基準値記憶部
7 感度補正部
8 角速度補正部
Claims (19)
- 角速度センサを搭載する検査台と、
前記検査台を所定の角度だけ回転運動させる駆動装置と、
前記回転運動の間に前記角速度センサから出力される値の第1の積算値を出力する積算部と、
前記第1の積算値と記憶部に記憶された基準値とを比較し、該比較結果に基づいて前記角速度センサの感度補正を行う感度補正部と、
を備えた角速度センサの校正装置。 - 前記駆動装置は、
前記検査台を所定の方向に第1の角度だけ回転させ、前記所定の方向と逆の方向に第2の角度だけ回転させ、
前記積算部は、
前記検査台が前記第1の角度だけ回転する間に前記角速度センサから出力される値の第2の積算値と、前記検査台が前記第2の角度だけ回転する間に前記角速度センサから出力される値の第3の積算値との差分に基づく値を前記第1の積算値として出力する請求項1に記載の角速度センサの校正装置。 - 前記検査台を前記第1の角度だけ回転させる時間と前記検査台を前記第2の角度だけ回転させる時間とが略等しい請求項2に記載の角速度センサの校正装置。
- 前記基準値が、前記第1の角度と前記第2の角度との差分に相当する値である請求項2又は3に記載の角速度センサの校正装置。
- 前記角速度センサのオフセットを測定するオフセット測定部を備えている請求項1に記載の角速度センサの校正装置。
- 前記基準値が、前記所定の角度に相当する値である請求項1又は5に記載の角速度センサの校正装置。
- 前記検査台が、折り畳み回転駆動する請求項6に記載の角速度センサの校正装置。
- 検査台に角速度センサを搭載する搭載ステップと、
前記検査台を所定の角度だけ回転運動させる回転ステップと、
前記回転運動の間に前記角速度センサから出力される値の第1の積算値を出力する出力ステップと、
前記第1の積算値と基準値とを比較し、該比較結果に基づいて前記角速度センサの感度補正を行う補正ステップと、
を有する角速度センサの校正方法。 - 前記回転ステップは、
前記検査台を所定の方向に第1の角度だけ回転させ、前記所定の方向と逆の方向に第2の角度だけ回転させるステップであり、
前記出力ステップは、
前記検査台が前記第1の角度だけ回転する間に前記角速度センサから出力される値の第2の積算値と、前記検査台が前記第2の角度だけ回転する間に前記角速度センサから出力される値の第3の積算値との差分に基づく値を前記第1の積算値として出力するステップである請求項8に記載の角速度センサの校正方法。 - 前記検査台を前記第1の角度だけ回転させる時間と前記検査台を前記第2の角度だけ回転させる時間とが略等しい請求項9に記載の角速度センサの校正方法。
- 前記基準値が、前記第1の角度と前記第2の角度との差分に相当する値である請求項9又は10に記載の角速度センサの校正方法。
- 前記基準値が、前記所定の角度に相当する値である請求項8に記載の角速度センサの校正方法。
- 前記基準値が、基準となる角速度センサを前記検査台で前記所定の角度だけ回転運動させた時の、前記所定の角度だけ回転する間に前記基準となる角速度センサが出力した出力値の積算値に基づく値である請求項8に記載の角速度センサの校正方法。
- 前記角速度センサのオフセットを測定する測定ステップを有し、
前記出力ステップは、
前記所定の角度だけ回転する間に前記角速度センサから出力される値の積算値と、前記所定の角度だけ回転する間に出力される前記角速度センサのオフセットの積算値との差分に基づく値を前記第1の積算値として出力するステップである請求項12又は13に記載の角速度センサの校正方法。 - 前記角速度センサのオフセットを測定する測定ステップと、前記角速度センサの出力から前記角速度センサのオフセットを取り除くように前記角速度センサの出力補正をする出力補正ステップとを有し、
前記出力ステップは、
所定の角度だけ回転する間に出力補正をされた前記角速度センサから出力される値の積算値に基づく値を前記第1の積算値として出力するステップである請求項12又は13に記載の角速度センサの校正方法。 - 前記回転ステップは、
前記検査台を所定の方向に第1の角度だけ回転させ、前記所定の方向と逆の方向に第2の角度だけ回転させるステップであり、
前記出力ステップは、
前記検査台を前記第1の角度だけ回転させる間に前記角速度センサから出力される値を積算する第1の積算ステップと、前記角速度センサの出力を反転させる反転ステップと、前記検査台を前記第2の角度だけ回転させる間に前記出力が反転された前記角速度センサから出力される値を積算する第2の積算ステップと、
を有し、
前記出力ステップは、
前記第1の積算ステップによって得られる積算値と前記第2の積算ステップによって得られる積算値との和に基づく値を前記第1の積算値として出力するステップである請求項15に記載の角速度センサの校正方法。 - 前記検査台を前記第1の角度だけ回転させる時間と前記検査台を前記第2の角度だけ回転させる時間とが略等しい請求項16に記載の角速度センサの校正方法。
- 前記基準値は、前記第1の角度と前記第2の角度の和の角度に相当する値である請求項16又は17に記載の角速度センサの校正方法。
- 前記回転ステップが、前記検査台を前記所定の角度だけ回転させる時間をT1、前記検査台を前記所定の角度だけ回転させる間の、前記検査台が略一定の角速度で回転している時間をT2としたときに、T2/T1が0.7以下となるように前記検査台を前記所定の角度だけ回転させるステップである請求項8に記載の角速度センサの校正方法。
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