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JP2014136037A - アップリケ用刺繍機 - Google Patents

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JP2014136037A JP2013005946A JP2013005946A JP2014136037A JP 2014136037 A JP2014136037 A JP 2014136037A JP 2013005946 A JP2013005946 A JP 2013005946A JP 2013005946 A JP2013005946 A JP 2013005946A JP 2014136037 A JP2014136037 A JP 2014136037A
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Takeo Matsumoto
武男 松本
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Nippon Denpa Co Ltd
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Abstract

【課題】 プロジェクタを用いることによりアップリケ片を刺繍対象物に対し効率的に貼付けることができ、アップリケ刺繍の作業性を向上できるようにする。
【解決手段】 基台1上でヘッド部5に対して左,右方向に離間し刺繍対象の生地16とは上,下方向で対向した位置には、アップリケ片30の形状に対応した画像31を生地16の上に投影するプロジェクタ25を設ける。プロジェクタ25により生地16の上に投影された画像31の位置にはアップリケ片30を重合せるように貼付ける。この状態で、操作制御装置20により画像31の位置データに基づいてヘッド部5および枠移動機構17を駆動制御し、アップリケ片30を刺繍対象の生地16に刺繍縫いする構成としている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば刺繍対象の布等にアップリケ片を刺繍データに従って縫付けるのに好適に用いられるアップリケ用刺繍機に関する。
一般に、刺繍用ミシンとして知られている刺繍機は、刺繍柄の一部をなすアップリケを刺繍対象物(刺繍布)に縫付けるようにしたアップリケ刺繍にも用いられる。アップリケ刺繍には、例えば布または皮革等の素材から予め決められた形状に切取られたアップリケ片が用いられ、アップリケ片の裏面側には糊等の接着剤が塗布される。そして、アップリケ片は刺繍布の上に手作業で貼付けられ、この状態で前記アップリケ刺繍を行うことにより刺繍布の予め決められた位置に縫付けられる(例えば、特許文献1参照)。
一方、アップリケではなく刺繍柄(刺繍による縫い模様)を布等の生地に形成するため、プロジェクタを用いて前記刺繍柄に対応した画像を生地の上に投影することにより、該生地に形成する刺繍柄の縫い始め位置、さらには縫い上がり位置を前記画像が投影された生地(刺繍布)上で確認できるようにした刺繍用ミシンは知られている(例えば、特許文献2参照)。しかし、特許文献2による刺繍用ミシンは、アップリケ刺繍を行う構成としたものではない。
特開平8−141239号公報 特開平3−234283号公報
ところで、上述した特許文献1による従来技術では、裏面側に糊等の接着剤が付けられたアップリケ片を刺繍布の予め決められた位置に手作業で貼付けた後に、このアップリケ片の輪郭形状を倣うように枠移動機構で刺繍枠(刺繍布)を枠移動させつつ、ヘッド部でミシン針を刺繍布に向けて運針させることにより、前記アップリケ片を刺繍布に対して縫付けるようにしている。
しかし、アップリケ片の貼付け(糊付け)作業は手作業で行われるため、刺繍布上でのアップリケ片の貼付け位置が本来の貼付け位置からずれることがあり、このままの状態でアップリケ刺繍を行うと、アップリケ片を縫止めする縫い目の位置がアップリケ片の外縁部(輪郭形状)から位置ずれし、刺繍品質が低下する原因になってしまう。
このため、従来技術では、アップリケ片の貼付け位置を作業者が容易に確認できるように、アップリケ片の輪郭を形取った粗い縫い目の下縫いを刺繍布に予め施しておき、この下縫いの縫い目に沿って作業者がアップリケ片を貼付けるようにしている。しかし、アップリケ片の輪郭に沿った粗い縫い目の下縫いを施す作業は、余分な手間がかかって作業時間と工数が増えるために、アップリケ刺繍を行う上での作業性が低下するという問題がある。
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、プロジェクタ等の投影装置を用いることにより、アップリケ片を刺繍対象物に対して効率的に縫付けることができ、作業性を向上できるようにしたアップリケ用刺繍機を提供することにある。
上述した課題を解決するため、本発明は、刺繍用の基台と、該基台上に搭載され主軸の回転に従って複数のミシン針および複数の天秤を選択的に駆動するヘッド部と、該ヘッド部の下側に位置して前記基台上に設けられた刺繍用枠を枠移動する枠移動機構と、前記刺繍用枠に展張状態で保持された刺繍対象物の予め決められた位置にアップリケ片を貼付けた状態で刺繍縫いを行うため、刺繍データに基づいて前記ヘッド部および枠移動機構を駆動制御する制御装置とを備えてなるアップリケ用刺繍機に適用される。
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記基台上で前記ヘッド部に対して左,右方向に離間し前記刺繍対象物とは上,下方向で対向した位置には、前記アップリケ片の形状に対応した画像を前記刺繍対象物に投影する投影装置を設け、前記制御装置は、前記投影装置により前記刺繍対象物上に投影された前記画像の位置に前記アップリケ片を貼付けた状態で、前記画像の位置データに基づいて前記ヘッド部および枠移動機構を駆動制御し前記アップリケ片を前記刺繍対象物に刺繍縫いする構成としたことにある。
また、請求項2の発明が採用する構成の特徴は、前記基台上で前記ヘッド部に対して左,右方向に離間し前記刺繍対象物とは上,下方向で対向した位置には、前記アップリケ片の形状に対応した画像を前記刺繍対象物に投影する投影装置を設け、前記制御装置は、前記刺繍対象物上に前記アップリケ片を貼付けた状態で前記投影装置により前記刺繍対象物上に投影された前記画像と前記アップリケ片との間に位置ずれが発生したときに、前記アップリケ片の貼付け位置に合わせて前記投影装置による前記画像を移動させて位置補正を行う画像位置補正手段と、該画像位置補正手段により補正された前記画像の位置データに基づいて前記ヘッド部および枠移動機構を駆動制御し、前記アップリケ片を前記刺繍対象物に刺繍縫いするアップリケ刺繍制御手段とを有する構成としている。
また、請求項3の発明によると、前記投影装置は、前記基台の上方で前記刺繍対象物の表面に対して平行な方向と垂直な方向とに移動可能に設ける構成としている。
請求項1の発明によれば、投影装置を用いてアップリケ片の形状に対応した画像を刺繍対象物(例えば、布等の生地)に投影しつつ、アップリケ片を当該画像が投影された生地の位置に貼付けるようにしているので、アップリケ片と画像の位置とを容易に一致させることができる。このため、アップリケ片を刺繍対象の生地に縫付けるときには、前記画像の位置データに基づいてヘッド部および枠移動機構を駆動制御することにより、アップリケ片の輪郭形状を倣うように刺繍縫いを行うことができ、アップリケ刺繍の品質を高めることができる。従って、従来技術のようにアップリケ刺繍に先立って刺繍対象の生地に下縫い等を行う必要がなくなり、作業性を向上することができる。
請求項2の発明は、先にアップリケ片を刺繍対象の生地に貼付ける。この状態で投影装置により前記生地の上にアップリケ片の形状に対応する画像を投影し、この画像とアップリケ片との間に位置ずれが発生しているときには、制御装置に設けた画像位置補正手段によって、前記投影装置による画像をアップリケ片の貼付け位置に合わせて移動させる。そして、両者の位置が一致した状態でアップリケ片を刺繍対象の生地に縫付けるときには、前記画像位置補正手段により補正された画像の位置データに基づいてヘッド部および枠移動機構を駆動制御することにより、アップリケ片の輪郭形状を倣うように刺繍縫いを実行することができ、アップリケ刺繍の品質を高めることができる。
請求項3の発明によると、投影装置を基台の上方で刺繍対象の生地表面と平行な方向と垂直な方向とに移動させることができる。これにより、刺繍用枠の大きさを変更したときにも投影装置による投射画像の位置を刺繍対象の生地の上で容易に調整することができる。また、投影装置を使用しない場合には、刺繍用枠(即ち、生地)の上方位置から投影装置を退避させることができ、刺繍作業を行う上で生地の上方位置に広いスペースを確保することができる。
本発明の第1の実施の形態によるプロジェクタが設けられたアップリケ用刺繍機を示す正面図である。 図1中の操作制御装置を拡大して示す正面図である。 図1中の基台、ヘッド部、移動枠、操作制御装置およびプロジェクタを上方からみた部分平面図である。 図3中のプロジェクタを移動枠の上方から退避させた状態を示す部分平面図である。 プロジェクタの移動機構を図1中の矢示V−V方向から拡大してみた一部破断の側面図である。 第1の実施の形態によるアップリケ刺繍の処理工程を示す流れ図である。 移動枠にセットされた生地の上に画像を投影した状態を示すアップリケ刺繍の工程説明図である。 投影画像の上にアップリケ片を貼付けた状態を示す図7に続く工程説明図である。 アップリケ片の輪郭形状に沿って刺繍縫いを行った状態を示す図8に続く工程説明図である。 第2の実施の形態によるアップリケ刺繍の処理工程を示す流れ図である。 第2の実施の形態によるアップリケ刺繍の各処理工程を(a)〜(d)として示す工程説明図である。 第3の実施の形態による傾き補正処理を示す工程説明図である。 図12に続く傾き補正処理を示す工程説明図である。 生地に貼付けられたアップリケ片の傾きを求める処理を示す説明図である。 アップリケ片の傾き角度を求めるための座標表示を示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態によるアップリケ用刺繍機を、単頭式刺繍機に適用した場合を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
ここで、図1ないし図9は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1は単頭式刺繍機の本体部分を構成する刺繍用の基台で、該基台1は、図1に示すように左,右に離間した側枠2,3により支持され、前,後方向と左,右方向とに水平に延びて配置されている。側枠2,3間には、基台1の上方に位置して左,右方向に延びるヘッド支持体4が固定して設けられている。
5はヘッド支持体4の前部側に設けられた刺繍機のヘッド部で、該ヘッド部5は、基台1上に1個設けられ、単頭式のミシンヘッドを構成している。ヘッド部5は、ヘッド本体6(図3,4参照)と、該ヘッド本体6の前面側に設けられ、ヘッド本体6に対して左,右(図1中の矢示A,B方向)に移動可能となった可動支持体としての針棒ケース7と、該針棒ケース7上に設けられ、色替え機構(図示せず)により針棒ケース7と一緒に左,右方向に移動される後述の糸調子台10とを含んで構成されている。
また、ヘッド部5のヘッド本体6には、図1に示す主軸モータ8により主軸を介して駆動される天秤駆動部および針棒駆動部(いずれも図示せず)等が設けられ、これらの駆動部により後述の天秤12と針棒13とがそれぞれ上,下に駆動されるものである。主軸モータ8は、例えば図1に示すヘッド支持体4の背面側等に設けられている。さらに、ヘッド本体6には前記色替え機構が設けられ、この色替え機構は、針棒ケース7と糸調子台10とを一体に左,右(図1中の矢示A,B方向)へと移動させることにより、後述の如く色替え作業を行うものである。
9は基台1の上方に位置してヘッド支持体4の上側に配設された上糸収納部としての糸立て台である。この糸立て台9には複数の上糸ボビン(いずれも図示せず)が設けられ、これらの上糸ボビンには、例えば赤、青、黄、茶褐色、黒色等の複数色の上糸が巻回されている。刺繍作業時には、これらの上糸ボビンから前記色替え機構により選択された上糸が、後述の天秤12等を用いて引出され、刺繍対象物としての刺繍布(後述の生地16)に対する多数色の刺繍が後述するミシン針14の運針動作に伴って行われる。
10は糸立て台9と天秤12との間に位置してヘッド部5に設けられた糸道形成台としての糸調子台で、該糸調子台10には、複数(例えば、9個)の糸調子11が設けられている。これらの糸調子11は、糸立て台9の各上糸ボビンから後述の各天秤12に向けて導かれる各上糸の張力を個別に調整するものである。
12はヘッド部5の針棒ケース7から前面側に突出して設けられた複数の天秤で、これらの天秤12は、図1に示す如く左,右方向に間隔をもって針棒ケース7内に横並びの並列状態で(例えば、合計9個)配設されている。そして、各天秤12は、天秤支持軸(図示せず)により回動可能に支持され、前記ヘッド本体6に設けられた天秤駆動部(図示せず)により主軸モータ8の回転に従って上,下に揺動するように駆動される。
前述した色替え機構により針棒ケース7を左,右に移動して色替え作業を行うときには、例えば合計9本の天秤12のうちいずれか1本の天秤12が前記色替え機構で選択され、選択された天秤12のみが上,下に揺動される。また、選択されていない残余の天秤12は、天秤保持機構(図示せず)により予め決められた待機位置に保持され、その後に前記色替え機構で選択されるまでは、この待機位置に停止し続けるものである。
13は天秤12の下側に位置して針棒ケース7内に設けられた複数(例えば、9個)の針棒で、該各針棒13の下端側には、それぞれミシン針14が着脱可能に装着されている。そして、これらの針棒13およびミシン針14は、ヘッド本体6に設けられた針棒駆動部(図示せず)により主軸モータ8の回転に従って上,下に駆動される。
また、これらの針棒13、ミシン針14についても、天秤12と同様に前記色替え機構により選択され、選択された針棒13のみがミシン針14と共に上,下に往復動される。そして、前記色替え機構で選択されていない残余の針棒13は、ミシン針14と一緒に図1に示す如く上死点位置に留まり、前記色替え機構で選択されるまでは上死点位置に保持されるものである。
15はヘッド部5の下側に位置して刺繍機の基台1上に配設された刺繍用枠としての移動枠である。この移動枠15は、図3、図4に示すように長方形状の枠体として形成され、ヘッド部5の下側で刺繍対象の生地16を展張状態で保持するものである。そして、移動枠15は、枠移動モータ等からなる枠移動機構17により生地16と一緒に基台1上を水平方向、即ち左,右方向(例えば、X軸方向)と前,後方向(例えば、Y軸方向)とに枠移動される。
この場合、枠移動機構17のモータは、基台1の下面側または背面側に設けられ、前述した主軸モータ8等と共に刺繍機の駆動源を構成するものである。そして、枠移動機構17により移動枠15が枠移動されるときには、これにほぼ連動してヘッド部5側のミシン針14が上,下に運針されることによって、刺繍対象の生地16には刺繍データに対応した刺繍柄が形成(実現)されるものである。
18は刺繍機の制御装置で、該制御装置18は、基台1上にブラケット19等を介して設けられた操作制御装置20と、パワートランジスタ等からなる駆動制御装置(図示せず)とを含んで構成されている。制御装置18は、刺繍データに従って主軸モータ8(即ち、前記主軸)の回転を制御しつつ、前記色替え機構および枠移動機構17等を駆動制御するものである。
制御装置18は、複数の制御回路を用いて構成され、これらの制御回路のうち制御電流値が小さい制御回路は、操作制御装置20内に設けられている。一方、前記駆動制御装置は、制御装置18のうち電流値の高い(または、高電圧を制御する)モータドライバ、ソレノイドドライバ等の制御回路を含んで構成され、例えば基台1の下側等に大きな取付スペースをもって設けられるものである。
ここで、操作制御装置20は、図1、図3、図4に示すように、例えば一方の側枠3側でヘッド支持体4にブラケット19を介して取付けられ操作制御装置20の外殻をなすユニットケース21と、該ユニットケース21の前面側に設けられオペレータによって手動操作される複数の操作スイッチまたはキースイッチからなる操作部22と、該操作部22の上側に位置してユニットケース21の前面側に配置された四角形の液晶ディスプレイからなるカラー表示器23と、電源スイッチ24とを含んで構成されている。
また、操作制御装置20のユニットケース21内には、刺繍機(即ち、主軸モータ8、前記色替え機構、枠移動機構17および後述のプロジェクタ移動機構26等の各種アクチュエータ)の駆動制御に必要な各種の演算制御処理等を行う演算処理部(図示せず)が設けられている。この演算処理部は、操作部22のキースイッチ(即ち、各キー22A〜22D等)を操作したときの指示信号を操作情報としてCPU(図示せず)に入力する機能と、カラー表示器23の画面上に表示する画像、表示内容等を前記CPUからの信号に従って制御する機能と、前記CPUから主軸モータ8及び枠移動機構17等のモータドライバ、前記色替え機構等のソレノイドドライバおよびプロジェクタ移動機構26の各アクチュエータ(いずれも図示せず)に向けて出力する信号の制御等を行う機能等とを有している。
ここで、操作制御装置20の操作部22には、図2に示す如く、数値入力が可能なテンキー22Aと、該テンキー22Aの左側に配置された4つのキーからなるジョグキー22Bと、該ジョグキー22Bの中央側に配置されたオリジンキー22Cと、ジョグキー22Bおよびテンキー22Aの上側に配置され「A」〜「G」と表記された合計7個のソフトキー22D等とが設けられている。
操作部22のジョグキー22Bは、刺繍データ(プログラム)の選択やパラメータの設定(選択)等を行う機能を有している。また、刺繍機の移動枠15を操作制御装置20からの制御信号で枠移動させるときには、オペレータがジョグキー22Bのうち左,右いずれかのキーを手動で押圧操作(ワンショット)することにより、移動枠15を基台1上でX軸方向に予め決められた移動量(例えば、0.1mm)分だけ枠移動することができる。一方、ジョグキー22Bのうち上,下いずれかのキーを手動で押圧操作したときには、移動枠15を基台1上でY軸方向に予め決められた移動量分だけ枠移動することができる。さらに、移動枠15の移動量を大きくしたいときには、前記ジョグキー22Bを長く押圧操作することにより、その操作時間に応じた移動量分だけ移動枠15は枠移動を続けるものである。
操作部22のオリジンキー22Cは、移動枠15を原点に移動させるキーである。また、移動枠15が原点にいるときに、オリジンキー22Cが押圧操作されると、準備状態の場合に移動枠15は原点に移動する前の位置に移動され、運転状態の場合には最後の刺繍位置に移動される。
操作部22のソフトキー22Dは、カラー表示器23の画面上に表示されるメニューに対応して刺繍データの読込み、書込み、データの入,出力および拡大、縮小等を行うと共に、さらに機械条件の設定、柄変更、柄選択、柄の追加、柄の組合せ、色替え変更等を行う所謂対話キーを構成している。
カラー表示器23は、例えば5〜10インチ以上のカラー液晶モニタを用いて構成され、その画面上に刺繍データに基づいた刺繍柄のカラー画像等を表示する。また、カラー表示器23は、刺繍機の制御に必要な情報、刺繍機の運転状態、操作部22側での操作内容等を画面上に画像表示する機能を有している。
操作制御装置20のユニットケース21内には、例えばROM,RAM,不揮発性のフラッシュメモリ等を用いて構成された記憶部(図示せず)が設けられ、この記憶部内には、刺繍機(即ち、主軸モータ8、前記色替え機構、枠移動機構17等の各種アクチュエータ)を駆動制御するために必要な制御データが更新可能に記憶されている。また、前記記憶部内には、図6に示すアップリケ刺繍の処理工程を実行するための制御処理用プログラム等が格納されている。さらに、操作制御装置20は、オペレータが操作部22をキー操作することにより後述のプロジェクタ移動機構26を作動させ、プロジェクタ25をX軸、Y軸およびZ軸方向へと任意に移動させる機能も有している。
この場合、操作制御装置20の記憶部内には、刺繍対象の生地16の上に貼付けるアップリケ片(例えば、図8に示す文字「H」を形取ったアップリケ片30等)の形状に対応した画像データが更新可能に予め格納されている。そして、操作制御装置20は、この画像データに基づいた映像信号を後述のプロジェクタ25に出力し、プロジェクタ25から生地16に向けて投射する画像の位置、サイズ等を管理する。即ち、操作制御装置20は、移動枠15の位置データを含んだ機械情報に基づいてプロジェクタ25から生地16上に投影する画像を管理する機能を有している。
また、操作制御装置20は、後述するプロジェクタ移動機構26のアーム29に取付けられている定位置センサ(図示せず)と刺繍機の動作モード等の情報に基づいて、プロジェクタ25の電源のON/OFFを管理し、プロジェクタ25の寿命向上、省電力化を図る機能を有している。操作制御装置20の前記演算処理部は、プロジェクタ25から移動枠15内の生地16に対して投影される画像のサイズ、縮尺を計算し、生地16の上には常に原寸、実物大の画像を投影できるように管理するものである。
25は刺繍対象の生地16に画像を投影する投影装置としてのプロジェクタを示し、該プロジェクタ25は、ヘッド支持体4にプロジェクタ移動機構26を介して搭載され、基台1の上方位置に配置されている。プロジェクタ移動機構26は、ヘッド支持体4の上面側に複数のガイドレール27を介して左,右方向(X軸方向)に移動可能に設けられヘッド支持体4の上方へと延びたタワー状の取付台28と、該取付台28の側面から移動枠15(即ち、生地16)の上方へと前,後方向(Y軸方向)に延び、取付台28内のアクチュエータ(図示せず)により上,下方向に移動される可動式のアーム29とを含んで構成されている。
プロジェクタ25は、アーム29の長さ方向(即ち、前,後方向であるY軸方向)に移動可能に取付けられ、プロジェクタ25の照射部25Aは、移動枠15に展張状態で保持された生地16の表面に対して垂直な方向(即ち、上,下方向であるZ軸方向)に配向されている。そして、プロジェクタ移動機構26は、操作制御装置20からの駆動信号に従って取付台28を各ガイドレール27に沿ってX軸方向に移動させると共に、アーム29を取付台28の上,下方向(Z軸方向)へと移動させる。
プロジェクタ移動機構26のアーム29には、プロジェクタ25をY軸方向(アーム29の長さ方向)に移動させるリニアアクチュエータ(図示せず)が設けられ、アーム29の先端側には定位置センサ(図示せず)が設けられている。この定位置センサは、プロジェクタ25が図5中に実線で示す進出位置までアーム29の先端側へとY軸方向に移動されたときにこれを検出し、この進出位置でプロジェクタ25への給電(即ち、生地16に対する画像の投影)を可能とする。
一方、図5中に二点鎖線で示す後退位置までプロジェクタ25がアーム29に沿ってY軸方向に移動したときには、前記定位置センサがこれを検出することによりプロジェクタ25への給電が解除され、プロジェクタ25は作動停止状態となる。即ち、プロジェクタ25を使用しない場合には、移動枠15(即ち、生地16)の上方位置からプロジェクタ25を図4に示すように退避させることにより、アップリケ刺繍以外の刺繍作業を行う上で生地16の上方位置に広いスペースを確保できるようにしている。
ここで、図3に示すようにプロジェクタ25をアーム29の先端側へと進出位置まで移動して給電可能状態としたときに、プロジェクタ25の照射部25Aからは、アップリケ片(例えば、図8に示す文字「H」を形取ったアップリケ片30)の形状に対応した画像31を生地16の表面上に投影することができる。この投影画像(例えば、図7中に点線で示す文字「H」の画像31)は、操作制御装置20の前記演算処理部で縮尺等を計算することにより、アップリケ片と同じ大きさ(原寸・実物大)の画像として生地16の上に投影される。
また、操作制御装置20の演算処理部は、プロジェクタ25による投影画像が基台1の前側から見て左上側の角隅(例えば、図3中に点線で示す画像の投影範囲Sの角隅S1)を基準点として移動枠15の内側部位に投射されるように、プロジェクタ25による画像の投影範囲Sを演算処理している。このため、移動枠15を大きさが異なる他の移動枠(図示せず)に変更するときには、プロジェクタ移動機構26を用いてX軸、Y軸およびZ軸方向にプロジェクタ25を移動させる。これにより、プロジェクタ25による投影画像は、前記基準点に対して予め決められた位置となるように刺繍対象の生地16の上で調整されるものである。
第1の実施の形態によるアップリケ用刺繍機は、上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
まず、刺繍機の糸立て台9には、複数個の上糸ボビン(それぞれ所望色の上糸が巻回された上糸ボビン)をそれぞれ設置する。そして、これらの上糸ボビンから個別に引き出される各上糸を、糸道形成台となる糸調子台10の前面側へと導きつつ、各糸調子11間で挟持させて各上糸の張力を調整できるようにする。次に、各糸調子11の下流側では、各上糸を夫々の天秤12の糸挿通孔(図示せず)に挿通しつつ、各ミシン針14へと導くようにする。
次に、この状態で主軸モータ8により主軸(図示せず)を回転駆動し、ヘッド部5の前記天秤駆動部と針棒駆動部とを作動させると、前記色替え機構により選択された針棒13を針棒駆動部によってミシン針14と共に上,下に駆動でき、該ミシン針14を移動枠15側の生地16に対して運針することができる。また、前記色替え機構により選択された天秤12についても、前記天秤駆動部により主軸モータ8の回転に従って上,下に駆動される。
そして、前記色替え機構で選択された所望色の上糸は、天秤12の上,下動により糸立て台9上の各上糸ボビンのうちいずれか1つのボビンから糸調子11等を介してミシン針14側に供給される。この間、下糸側の回転釜(図示せず)は、上糸と下糸とを絡めるように回転され、回転釜の回転に伴って下糸の繰出しを行う。これにより、上糸はミシン針14の運針動作に伴って移動枠15側の生地16に縫付けられ、ミシン針14が生地16に縫い目を形成する毎に、この上糸がミシン針14側へと給糸され、刺繍データに基づいた刺繍柄が形成される。
次に、アップリケ刺繍を行う場合の処理工程について図6ないし図9を参照して説明する。まず、図6に示すステップ1では、移動枠15に刺繍対象の生地16を展張状態でセットする。そして、移動枠15に生地16をセットした後には、枠移動機構17により移動枠15(生地16)を予め決められたプロジェクタ25の下方位置へとX軸、Y軸方向に移動させる。
次のステップ2では、図7〜図9に示すように、文字「H」を形取ったアップリケ片30を用いてアップリケ刺繍を行うために、プロジェクタ移動機構26を用いてプロジェクタ25をX軸、Y軸およびZ軸方向に移動させることにより、アップリケ片30の形状に対応した原寸大の画像31を生地16の表面上に投影する(図7参照)。
この場合、プロジェクタ25による画像の投影範囲Sは、例えば図7中に点線で示す四角形の範囲となり、このうち左上側の角隅S1が投影範囲Sの基準点となっている。このため、アップリケ片30に対応した原寸大の画像31は、移動枠15内の生地16上で角隅S1を基準点として予め決められた位置に投影されるものである。
次のステップ3では、アップリケ片30の裏面側に予め接着剤等からなる糊を塗布した状態で、図8に示すように生地16の上に投影された画像31の位置にアップリケ片30を重合せるように貼付ける。この場合、アップリケ片30は、画像31と完全に一致した位置に貼付けられるが、図8中では説明の都合上、画像31をアップリケ片30よりも僅かに小さく描いている。そして、アップリケ片30を生地16に貼付けた後には、枠移動機構17により移動枠15(生地16)をヘッド部5の下方位置へとX軸、Y軸方向に移動させる。
次のステップ4では、操作制御装置20の記憶部内に更新可能に格納された画像31の位置データに基づいて、図9に示すようにアップリケ片30の輪郭形状に沿ったジグザグ模様の縫い目32による刺繍縫いを行う。即ち、アップリケ片30の輪郭形状を倣うように枠移動機構17で移動枠15(生地16)を枠移動させつつ、ヘッド部5でミシン針14を刺繍対象の生地16に向けて運針させることにより、アップリケ片30の輪郭に沿ったジグザグ模様の縫い目32を形成してアップリケ片30を生地16に対して縫付ける。
次のステップ5では、生地16の上に縫付けられたアップリケ片30にアイロンかけを行い、アップリケ片30を生地16に対して熱圧着する。これにより、アップリケ片30を用いたアップリケ刺繍を完了する。その後、生地16に対してアップリケ刺繍以外の刺繍作業を必要に応じて行うようにする。
かくして、第1の実施の形態によれば、基台1上でヘッド部5に対して左,右方向に離間し刺繍対象の生地16とは上,下方向で対向した位置(例えば、ヘッド支持体4の上面側)に、アップリケ片30の形状に対応した画像31を生地16の上に投影するプロジェクタ25を設けている。そして、プロジェクタ25により生地16の上に投影された画像31の位置にアップリケ片30を重合せるように貼付けた状態で、操作制御装置20は画像31の位置データに基づいてヘッド部5および枠移動機構17を駆動制御し、アップリケ片30を刺繍対象の生地16に刺繍縫いする構成としている。
このように構成することにより、生地16に対するアップリケ片30の貼付け位置を、画像31の投影位置から正確に知ることができ、アップリケ片30の貼付け作業を容易に行うことができる。しかも、アップリケ片30を刺繍対象の生地16に縫付けるときには、画像31の位置データに基づいてヘッド部5および枠移動機構17を駆動制御することにより、アップリケ片30の輪郭形状を倣うようにジグザグ模様の刺繍縫いを行うことができ、アップリケ刺繍の品質を高めることができる。
従って、第1の実施の形態によれば、従来技術のようにアップリケ刺繍に先立って刺繍対象の生地16に下縫い等を行う必要がなくなり、アップリケ刺繍の作業性を向上することができる。また、プロジェクタ移動機構26によりプロジェクタ25を基台1の上方で刺繍対象の生地16の表面と平行な方向と垂直な方向(即ち、X軸、Y軸およびZ軸の3軸方向)に移動させることができる。
これにより、移動枠15の大きさを変更したときにも、プロジェクタ25による投射画像の位置を刺繍対象の生地16の上方で容易に調整することができる。また、プロジェクタ25を使用しない場合には、移動枠15(即ち、生地16)の上方位置からプロジェクタ25を退避させることができ、アップリケ刺繍以外の刺繍作業を行うときには、生地16の上方位置に広いスペースを確保することができる。
次に、図10および図11は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。然るに、第2の実施の形態の特徴は、プロジェクタ25により刺繍対象の生地16の上に投影された画像41とアップリケ片40との間に位置ずれが発生したときに、アップリケ片40の貼付け位置に合わせてプロジェクタ25による画像41を移動させて位置補正を行う構成としたことにある。
ここで、第2の実施の形態で採用したアップリケ片40は、第1の実施の形態で述べたアップリケ片30と同様に構成されている。そして、アップリケ片40の形状(例えば、図11中に示す文字「H」の形状)に対応した画像41は、操作制御装置20の前記演算処理部で縮尺等を計算することにより、プロジェクタ25の照射部25Aから生地16の表面上にアップリケ片40と同じ大きさ(原寸・実物大)の画像として投影される。
また、図10に示すアップリケ刺繍の処理工程を実行するための制御処理用プログラム等は、操作制御装置20の前記記憶部内に格納されている。操作制御装置20は、プロジェクタ25により刺繍対象の生地16の上に投影された画像41とアップリケ片40との間に位置ずれが発生したときに、アップリケ片40の貼付け位置に合わせてプロジェクタ25による画像41を移動させて位置補正を行う画像位置補正手段(図10中のステップ16参照)と、該画像位置補正手段により補正された画像41の位置データに基づいてヘッド部5および枠移動機構17を駆動制御し、アップリケ片40を刺繍対象の生地16に刺繍縫いするアップリケ刺繍制御手段(図10中のステップ17参照)とを有している。
次に、第2の実施の形態におけるアップリケ刺繍の各処理工程について、図10、図11(a)〜(d)を参照して説明する。まず、図10に示すステップ11では、裏面側に予め接着剤等からなる糊を塗布されたアップリケ片40を刺繍対象の生地16に貼付ける。次のステップ12では、生地16の上に縫付けられたアップリケ片40にアイロンかけを行い、アップリケ片40を生地16に対して熱圧着する。
次のステップ13では、移動枠15に刺繍対象の生地16を展張状態でセットする。即ち、第2の実施の形態では、刺繍機の基台1とは別の離れた位置でアップリケ片40を刺繍対象の生地16に先に貼付けると共に熱圧着しておき、その後にアップリケ片40が圧着された生地16を移動枠15にセットする構成としており、この点で第1の実施の形態とは異なっている。
次のステップ14では、図11(a)〜(d)に示すように、文字「H」を形取ったアップリケ片40を用いてアップリケ刺繍を行うために、プロジェクタ移動機構26を用いてプロジェクタ25をX軸、Y軸およびZ軸方向に移動させると共に、枠移動機構17により移動枠15(生地16)を予め決められたプロジェクタ25の下方位置へとX軸、Y軸方向に移動させる。これにより、プロジェクタ25を作動させて、図11(a)に示す如く、アップリケ片40の形状に対応した原寸大の画像41を生地16の表面上に投影する。
次のステップ15では、プロジェクタ25により生地16の上に投影された画像41とアップリケ片40との間に位置ずれがあるか否かを、オペレータが目視により判定する。なお、プロジェクタ25の近傍にCCDカメラ等の撮像装置(図示せず)を設け、画像処理技術を用いて前記位置ずれの判定処理を自動的に行うこともできる。
ステップ15で「NO」と判定したときには、後述のステップ17に移る。しかし、実際にはアップリケ片40と画像41との間に位置ずれが発生している場合が多く、この場合には、ステップ15で「YES」と判定されるから、次のステップ16に移って位置ずれの補正処理を行うようにする。この補正処理は、生地16の表面に沿った位置補正と傾き補正との両方を行う。
この位置補正は、操作制御装置20の操作部22のうち、例えばジョグキー22Bをオペレータが押圧操作することにより枠移動機構17を作動させ、プロジェクタ25の下方で移動枠15(生地16)をX軸方向及び/又はY軸方向に移動させる。また、傾き補正は、プロジェクタ25により生地16の上に投影された画像41を、図11(a)〜(c)のように生地16の上で回転させる。これにより、図11(c)に示す如く、生地16の上に投影された画像41がアップリケ片40の位置にぴったりと重なり合うように画像41の位置補正を行う。
傾き補正を行うための操作は、操作制御装置20操作部22のうちソフトキー22Dに予め割り当てられている。このソフトキー22Dは、所謂対話キーを構成するもので、カラー表示器23の画面上に表示されるメニューに従って操作される。オペレータは、予め割り当てられたソフトキー22Dを押圧操作することにより、画像41を生地16上でワンショット毎に、例えば1度ずつ回転させることができる。
そして、図11(c)に示す如く、生地16の上に投影された画像41がアップリケ片40の位置にぴったりと重なり合った段階で、ステップ16による位置ずれの補正処理を完了し、次のステップ17に移る。このステップ17では、操作制御装置20の記憶部内に更新可能に格納された画像41の位置データに基づいて、図11(d)に示すようにアップリケ片40の輪郭形状に沿ったジグザグ模様の縫い目42による刺繍縫いを行う。
即ち、操作制御装置20の記憶部内には、ステップ16による位置ずれの補正処理に従って、位置補正と傾き補正とによる補正演算が行われた画像41の位置データが逐次更新された状態で格納されている。このため、ステップ17の処理では、補正演算された画像41の位置データに基づいて、アップリケ片40の輪郭形状を倣うように枠移動機構17で移動枠15(生地16)を枠移動させつつ、ヘッド部5でミシン針14を刺繍対象の生地16に向けて運針させることにより、アップリケ片40の輪郭に沿ったジグザグ模様の縫い目42を形成してアップリケ片30を生地16に対して縫付ける。
かくして、このように構成される第2の実施の形態でも、プロジェクタ25により刺繍対象の生地16の上に投影された画像41をアップリケ片40の位置に重ね合わせた状態で、アップリケ片40の刺繍縫いを行うことができ、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、第2の実施の形態では、生地16を移動枠15にセットする前に、これに先立ってアップリケ片40を刺繍対象の生地16に貼付けると共に熱圧着作業を行うことができ、アップリケ片40の貼付け、熱圧着作業を、刺繍機の基台1等から離れた別の場所で広い作業スペースをもって効率的に行うことができる。
そして、生地16を移動枠15にセットした後に、プロジェクタ25から生地16に投影された画像41がアップリケ片40の位置にぴったりと重なり合うように両者の位置が一致した状態で、アップリケ片40を刺繍対象の生地16に縫付けるときには、前述の如く補正演算された画像41の位置データに基づいてヘッド部5および枠移動機構17を駆動制御することにより、アップリケ片40の輪郭形状を倣うように刺繍縫いを実行することができ、アップリケ刺繍の品質を高めることができる。
次に、図12ないし図15は本発明の第3の実施の形態を示し、本実施の形態では、前記第2の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。然るに、第3の実施の形態の特徴は、プロジェクタ25により刺繍対象の生地16の上にカーソル51を投影してアップリケ片40の傾き補正を行う構成としたことにある。
ここで、第3の実施の形態で採用する傾き補正は、前述した第2の実施の形態における図10に示す位置ずれ補正処理の傾き補正に替えて行うものであり、生地16の表面に沿ったX軸方向及び/又はY軸方向の位置補正については、前記第2の実施の形態でも述べた通りに行うものである。
しかし、第3の実施の形態における傾き補正を行う場合には、移動枠15内にセットされた生地16の上に画像41(図11参照)に替えて、プロジェクタ25から所謂トンボマークと呼ばれる十字状のカーソル51を投影する。このカーソル51は、プロジェクタ25による画像の投影範囲S(例えば、図3参照)のうち予め決められた位置に投影され、操作制御装置20によりカーソル51の位置は決められた座標位置として認識されている。
そこで、生地16の上に貼付けられたアップリケ片40の傾き補正を行う場合に、図12に示す如く、文字「H」を形取ったアップリケ片40の第1の角部となる第1部位αにカーソル51が投影されるように、移動枠15を枠移動機構17により移動させる。即ち、オペレータは、操作制御装置20の操作部22のうち、ジョグキー22Bを押圧操作することにより枠移動機構17を作動させ、移動枠15(生地16)と一緒にアップリケ片40の第1部位αを、プロジェクタ25によるカーソル51の投影位置までX軸方向及び/又はY軸方向に移動させる。
そして、アップリケ片40の第1部位αをカーソル51の投影位置に一致させた状態で、このときの座標位置(即ち、第1部位αの座標位置)を、例えばα(X1,Y1)として操作制御装置20の記憶部に記憶させる。次に、図13に示す如く、アップリケ片40の第2の角部となる第2部位βにカーソル51が投影されるように、ジョグキー22Bを同様に押圧操作して移動枠15を枠移動機構17によりX軸方向及び/又はY軸方向に移動させる。そして、アップリケ片40の第2部位βをカーソル51の投影位置に一致させた状態で、このときの座標位置(即ち、第2部位βの座標位置)を、例えばβ(X2,Y2)として操作制御装置20の記憶部に記憶させる。
次に、第1部位αと第2部位βとの相対位置Pを、下記の数1,2式により演算し、図15に示す如く、X−Y座標上でP(X3,Y3)として求める。そして、X軸に対する相対位置Pの角度θを三角関数により算出する。次に、このようにして求めた角度θ分だけ、プロジェクタ25により生地16の上に投影された画像41を回転させることにより、第2の実施の形態で述べた図11(c)と同様に、生地16の上に投影された画像41がアップリケ片40の位置にぴったりと重なり合うように画像41の位置補正を行うことができる。
Figure 2014136037
Figure 2014136037
かくして、このように構成される第3の実施の形態でも、プロジェクタ25により刺繍対象の生地16の上に投影された画像41をアップリケ片40の位置に重合わせた状態で、アップリケ片40の刺繍縫いを行うことができ、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
特に、第3の実施の形態では、プロジェクタ25による画像とアップリケ片との位置ずれ補正処理(即ち、生地16の表面に沿った位置補正と傾き補正との両方)を、操作制御装置20の操作部22のうち、ジョグキー22Bを押圧操作するだけで行うことができる。このため、前記第2の実施の形態で述べたように、操作制御装置20操作部22のうちソフトキー22Dに傾き補正を行うための操作を割り当てる必要がなくなる。
なお、前記第2の実施の形態では、図10に示すプログラムのうち、ステップ16が本発明の構成要件である画像位置補正手段の具体例を示しており、ステップ17がアップリケ刺繍制御手段の具体例を示している。
また、前記第1の実施の形態では、文字「H」を形取ったアップリケ片30を用いる場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば文字「A」、「B」等のように種々の文字形状を形取ったアップリケ片、または星型模様、花模様を形取ったアップリケ片等のように、任意な形状のアップリケ片を用いたアップリケ刺繍にも適用できるものである。そして、この点は第2,第3の実施の形態についても同様である。
一方、前記第1の実施の形態では、プロジェクタ移動機構26の取付台28をガイドレール27に沿って左,右方向(X軸方向)に移動させる場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばプロジェクタ移動機構の取付台を移動させることなく、可動式のアーム29をX軸方向とZ軸方向に移動させる構成としてもよく、要は、プロジェクタ25等の投影装置をX軸、Y軸およびZ軸の3軸方向に移動できる構成であればよいものである。そして、この点は第2,第3の実施の形態についても同様である。
また、前記各実施の形態では、アップリケ用刺繍機として1個のヘッド部5を備えた単頭式刺繍機を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、複数のヘッド部を備えた多頭式刺繍機に適用してもよいものである。
また、本発明は、前記第1の実施の形態と第2の実施の形態とを適宜に組合わせることにより、下記の如く構成することも可能である。
即ち、前記制御装置は、前記投影装置により前記刺繍対象物上に投影された前記画像の位置に前記アップリケ片を貼付けた状態で両者の間に位置ずれが発生したときに、前記アップリケ片の貼付け位置に合わせて前記投影装置による前記画像を移動させて位置補正を行う画像位置補正手段と、該位置補正手段により補正された前記画像の位置データに基づいて前記ヘッド部および枠移動機構を駆動制御し、前記アップリケを前記刺繍対象物に刺繍縫いするアップリケ刺繍制御手段とを有する構成としてもよいものである。
1 基台
2,3 側枠
4 ヘッド支持体
5 ヘッド部
7 針棒ケース
8 主軸モータ
9 糸立て台(上糸収納部)
10 糸調子台
12 天秤
13 針棒
14 ミシン針
15 移動枠(刺繍用枠)
16 生地(刺繍対象物)
17 枠移動機構
18 制御装置
19 ブラケット
20 操作制御装置
21 ユニットケース
22 操作部
23 カラー表示器
24 電源スイッチ
25 プロジェクタ(投影装置)
26 プロジェクタ移動機構
30,40 アップリケ片
31,41 画像
32,42 ジグザグ模様の縫い目
51 カーソル
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記基台上で前記ヘッド部に対して左,右方向に離間し前記刺繍対象物とは上,下方向で対向した位置には、前記アップリケ片の形状に対応した画像を前記刺繍対象物に投影する投影装置を設け、前記制御装置は、前記投影装置により前記刺繍対象物上に投影された前記画像の位置に前記アップリケ片を貼付けた状態で、前記画像の位置データを刺繍データとし、この刺繍データに基づいて前記ヘッド部および枠移動機構を駆動制御し前記アップリケ片を前記刺繍対象物に刺繍縫いする構成としたことにある。
また、請求項2の発明が採用する構成の特徴は、前記基台上で前記ヘッド部に対して左,右方向に離間し前記刺繍対象物とは上,下方向で対向した位置には、前記アップリケ片の形状に対応した画像を前記刺繍対象物に投影する投影装置を設け、前記制御装置は、前記刺繍対象物上に前記アップリケ片を貼付けた状態で前記投影装置により前記刺繍対象物上に投影された前記画像と前記アップリケ片との間に位置ずれが発生したときに、前記アップリケ片の貼付け位置に合わせて前記投影装置による前記画像を移動させて位置補正を行う画像位置補正手段と、該画像位置補正手段により補正された前記画像の位置データを刺繍データとし、この刺繍データに基づいて前記ヘッド部および枠移動機構を駆動制御し、前記アップリケ片を前記刺繍対象物に刺繍縫いするアップリケ刺繍制御手段とを有する構成としている。
請求項1の発明によれば、投影装置を用いてアップリケ片の形状に対応した画像を刺繍対象物(例えば、布等の生地)に投影しつつ、アップリケ片を当該画像が投影された生地の位置に貼付けるようにしているので、アップリケ片と画像の位置とを容易に一致させることができる。このため、アップリケ片を刺繍対象の生地に縫付けるときには、前記画像の位置データを刺繍データとし、この刺繍データに基づいてヘッド部および枠移動機構を駆動制御することにより、アップリケ片の輪郭形状を倣うように刺繍縫いを行うことができ、アップリケ刺繍の品質を高めることができる。従って、従来技術のようにアップリケ刺繍に先立って刺繍対象の生地に下縫い等を行う必要がなくなり、作業性を向上することができる。
請求項2の発明は、先にアップリケ片を刺繍対象の生地に貼付ける。この状態で投影装置により前記生地の上にアップリケ片の形状に対応する画像を投影し、この画像とアップリケ片との間に位置ずれが発生しているときには、制御装置に設けた画像位置補正手段によって、前記投影装置による画像をアップリケ片の貼付け位置に合わせて移動させる。そして、両者の位置が一致した状態でアップリケ片を刺繍対象の生地に縫付けるときには、前記画像位置補正手段により補正された画像の位置データを刺繍データとし、この刺繍データに基づいてヘッド部および枠移動機構を駆動制御することにより、アップリケ片の輪郭形状を倣うように刺繍縫いを実行することができ、アップリケ刺繍の品質を高めることができる。
次のステップ4では、操作制御装置20の記憶部内に更新可能に格納された画像31の位置データを刺繍データとし、この刺繍データに基づいて、図9に示すようにアップリケ片30の輪郭形状に沿ったジグザグ模様の縫い目32による刺繍縫いを行う。即ち、アップリケ片30の輪郭形状を倣うように枠移動機構17で移動枠15(生地16)を枠移動させつつ、ヘッド部5でミシン針14を刺繍対象の生地16に向けて運針させることにより、アップリケ片30の輪郭に沿ったジグザグ模様の縫い目32を形成してアップリケ片30を生地16に対して縫付ける。
そして、図11(c)に示す如く、生地16の上に投影された画像41がアップリケ片40の位置にぴったりと重なり合った段階で、ステップ16による位置ずれの補正処理を完了し、次のステップ17に移る。このステップ17では、操作制御装置20の記憶部内に更新可能に格納された画像41の位置データを刺繍データとし、この刺繍データに基づいて、図11(d)に示すようにアップリケ片40の輪郭形状に沿ったジグザグ模様の縫い目42による刺繍縫いを行う。

Claims (3)

  1. 刺繍用の基台と、該基台上に搭載され主軸の回転に従って複数のミシン針および複数の天秤を選択的に駆動するヘッド部と、該ヘッド部の下側に位置して前記基台上に設けられた刺繍用枠を枠移動する枠移動機構と、前記刺繍用枠に展張状態で保持された刺繍対象物の予め決められた位置にアップリケ片を貼付けた状態で刺繍縫いを行うため、刺繍データに基づいて前記ヘッド部および枠移動機構を駆動制御する制御装置とを備えてなるアップリケ用刺繍機において、
    前記基台上で前記ヘッド部に対して左,右方向に離間し前記刺繍対象物とは上,下方向で対向した位置には、前記アップリケ片の形状に対応した画像を前記刺繍対象物に投影する投影装置を設け、
    前記制御装置は、前記投影装置により前記刺繍対象物上に投影された前記画像の位置に前記アップリケ片を貼付けた状態で、前記画像の位置データに基づいて前記ヘッド部および枠移動機構を駆動制御し前記アップリケ片を前記刺繍対象物に刺繍縫いする構成としたことを特徴とするアップリケ用刺繍機。
  2. 刺繍用の基台と、該基台上に搭載され主軸の回転に従って複数のミシン針および複数の天秤を選択的に駆動するヘッド部と、該ヘッド部の下側に位置して前記基台上に設けられた刺繍用枠を枠移動する枠移動機構と、前記刺繍用枠に展張状態で保持された刺繍対象物の予め決められた位置にアップリケ片を貼付けた状態で刺繍縫いを行うため、刺繍データに基づいて前記ヘッド部および枠移動機構を駆動制御する制御装置とを備えてなるアップリケ用刺繍機において、
    前記基台上で前記ヘッド部に対して左,右方向に離間し前記刺繍対象物とは上,下方向で対向した位置には、前記アップリケ片の形状に対応した画像を前記刺繍対象物に投影する投影装置を設け、
    前記制御装置は、
    前記刺繍対象物上に前記アップリケ片を貼付けた状態で前記投影装置により前記刺繍対象物上に投影された前記画像と前記アップリケ片との間に位置ずれが発生したときに、前記アップリケ片の貼付け位置に合わせて前記投影装置による前記画像を移動させて位置補正を行う画像位置補正手段と、
    該画像位置補正手段により補正された前記画像の位置データに基づいて前記ヘッド部および枠移動機構を駆動制御し、前記アップリケ片を前記刺繍対象物に刺繍縫いするアップリケ刺繍制御手段とを有する構成としたことを特徴とするアップリケ用刺繍機。
  3. 前記投影装置は、前記基台の上方で前記刺繍対象物の表面に対して平行な方向と垂直な方向とに移動可能に設ける構成としてなる請求項1または2に記載のアップリケ用刺繍機。
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