JP2014133533A - 操舵制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】端当て反力電流演算部58は、転舵角の上限しきい値θMAXを記憶したしきい値記憶部58Aと、実転舵角θtと上限しきい値θMAXとの差分Δθを演算する減算器58Bと、第1端当て反力設定部58Cと、微分器58Dと、切り戻し判定部58Eと、乗算器58Fと、微分器58Gと、乗算器58Hと、リミッタ58Iと、加算器58Jとを備え、第1端当て反力設定部58Cは、差分Δθが大きくなるに従って徐々に大きくなる第1端当て反力T1を設定するマップであって、差分Δθの増加に対する第1端当て反力T1の増加の割合が、差分Δθが大きい領域ではそれが小さい領域よりも大きくなっているマップを参照して第1端当て反力T1を設定する。そして、加算器58Jは、第1端当て反力T1に基づき最終的な端当て反力T4を演算する。
【選択図】図5
Description
このような構成であれば、操舵角が増加するに従って当接抗力が比例的に増加することになるため、運転者に的確な端当て感を与えることができるようにも思えるが、本発明者の実験によると、比例的に増加させる構成は決して最適なものではないことが判った。
本発明は、このような従来技術の不十分な点に着目してなされたものであって、その課題は、運転者により自然な端当て感を与えることができる操舵制御装置を提供することにある。
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態(以下、本実施形態と記載する)について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態の操舵制御装置を備えた車両の概略構成を示す図である。
本実施形態の操舵制御装置1を備えた車両は、SBWシステムを適用した車両である。
ここで、SBWシステムでは、車両の運転者が操舵操作するステアリングホイールの操作に応じて転舵モータを駆動制御し、転舵輪を転舵する制御を行うことにより、車両の進行方向を変化させる。転舵モータの駆動制御は、ステアリングホイールと転舵輪との間に介装するバックアップクラッチを、通常状態である開放状態に切り換えて、ステアリングホイールと転舵輪との間のトルク伝達経路を機械的に分離した状態で行う。
図1中に示すように、本実施形態の操舵制御装置1は、転舵モータ2と、反力モータ4と、バックアップクラッチ6を備える。これに加え、操舵制御装置1は、エンジン指令検出部8と、操舵トルク検出部10と、車速検出部12と、操舵角検出部14と、転舵角検出部16と、転舵モータ制御部18と、反力モータ制御部20を備える。
ラックギア24は、転舵モータ出力軸22の回転に応じて車幅方向へ変位するラック軸26を有する。ラック軸26の両端は、それぞれ、転舵輪Wに連結する。
反力モータ4は、ステアリングホイール28とバックアップクラッチ6との間に配置する。
ここで、反力モータ4がステアリングホイール28へ出力する操舵反力は、バックアップクラッチ6を開放状態に切り換えて、ステアリングホイール28と転舵輪Wとの間のトルク伝達経路を機械的に分離させている状態で、ステアリングシャフト30へ出力可能な反力である。
また、操舵反力の演算は、転舵輪Wに作用しているタイヤ軸力やステアリングホイール28の操舵状態に応じて行なう。これにより、ステアリングホイール28を操舵する運転者へ、適切な操舵反力を伝達する。
バックアップクラッチ6は、運転者が操作するステアリングホイール28と転舵輪Wとの間に介装し、転舵モータ制御部18が出力するクラッチ指令電流に応じて、開放状態または締結状態に切り換わる。なお、バックアップクラッチ6は、通常状態では開放状態である。
したがって、ステアリングシャフト30は、トルク伝達経路の一部を形成する。
車速検出部12は、公知の車速センサであり、車両の車速を検出する。そして、検出した車速を含む情報信号を、転舵モータ制御部18及び反力モータ制御部20へ出力する。
また、操舵角検出部14は、ステアリングホイール28の現在の回転角度(操舵操作量)である現在操舵角を検出する。そして、操舵角検出部14は、検出したステアリングホイール28の現在操舵角を含む情報信号を、転舵モータ制御部18及び反力モータ制御部20へ出力する。なお、以降の説明では、現在操舵角を、「現在操舵角θs」と記載する場合がある。
また、転舵角検出部16は、転舵モータ2の回転角度(転舵角度)を検出する。そして、転舵角検出部16は、検出した転舵角度(以降の説明では、「転舵モータ回転角」と記載する場合がある)を含む情報信号を、転舵モータ制御部18へ出力する。なお、以降の説明では、転舵モータ回転角を、「実転舵角θt」と記載する場合がある。
また、転舵モータ制御部18は、通信ライン38を介して入力を受けた情報信号や、操舵角検出部14から入力を受けた情報信号に基づき、転舵モータ2を駆動制御する。なお、転舵モータ制御部18の詳細な構成については、後述する。
また、反力モータ制御部20は、通信ライン38を介して入力を受けた情報信号や、操舵角検出部14から入力を受けた情報信号に基づき、反力モータ4を駆動制御する。なお、反力モータ制御部20の詳細な構成については、後述する。
以下、図1を参照しつつ、図2及び図3を用いて、転舵モータ制御部18の詳細な構成を、図2中に示す他の構成との関連を含めて説明する。
図2は、転舵モータ制御部18の詳細な構成を説明するブロック図である。
図2中に示すように、転舵モータ制御部18は、クラッチ制御部40と、EPS制御部42と、SBW転舵指令角演算部44を備える。これに加え、転舵モータ制御部18は、ゲイン付加部46と、転舵位置サーボ制御部48と、転舵指令電流切替部50と、転舵指令電流サーボ制御部52を備える。
また、クラッチ制御部40は、生成したクラッチ制御フラグを含む情報信号を、クラッチ指令電流として、バックアップクラッチ6へ出力する。これに加え、クラッチ制御部40は、生成した転舵制御切替フラグを含む情報信号を、転舵指令電流切替部50へ出力する。
ここで、クラッチ制御フラグは、バックアップクラッチ6へ出力するクラッチ指令電流を切り替えるための指令値であり、開放指令と締結指令がある。
また、転舵制御切替フラグは、転舵モータ2へ出力する転舵指令電流を切り替えるための指令値であり、EPS状態とSBW状態がある。
図3は、クラッチ制御部40が、クラッチ制御フラグ及び転舵制御切替フラグを生成する処理を示すフローチャートである。
図3中に示すフローチャートは、車両のエンジンが停止している状態から開始(図中に示す「START」)する。
まず、ステップS10において、エンジン指令検出部8が出力した情報信号を参照して、停止しているエンジンが駆動しているか否かを検出し、エンジンが始動しているか否かを判定(図中に示す「IGN ON?」)する。
一方、ステップS10において、エンジンが始動していない(図中に示す「N」)と判定すると、クラッチ制御部40は、ステップS10の処理を繰り返す。
ステップS20では、転舵制御切替フラグを、EPS状態として生成(図中に示す「転舵制御切替フラグ=EPS状態」)する。ステップS20において、転舵制御切替フラグをEPS状態として生成すると、クラッチ制御部40が行なう処理は、ステップS30へ移行する。
クラッチ開放開始トルクTs1は、ステアリングホイール28を操舵している運転者が、バックアップクラッチ6の開放時に、ステアリングホイール28を把持している手を介して、ステアリングホイール28から受ける衝撃が小さい値である。
一方、ステップS30において、トルクセンサ値Vtsの絶対値がクラッチ開放開始トルクTs1を超えている(図中に示す「N」)と判定すると、クラッチ制御部40は、ステップS30の処理を繰り返す。
ステップS50では、操舵トルク検出部10が出力した情報信号を参照する。そして、運転者がステアリングシャフト30に加えているトルクセンサ値Vtsの絶対値が、予め設定したクラッチ開放推定トルクTs2以下であるか否かを判定(図中に示す「|操舵トルク|≦Ts2?」)する。
一方、ステップS50において、トルクセンサ値Vtsの絶対値がクラッチ開放推定トルクTs2を超えている(図中に示す「N」)と判定すると、クラッチ制御部40が行なう処理は、ステップS70へ移行する。
ステップS70では、クラッチ制御部40が有するタイマを起動せず(図中に示す「タイマ=0」)に、クラッチ制御部40が行なう処理を、ステップS80へ移行させる。
ここで、SBW切替判定時間Tmは、バックアップクラッチ6の状態を締結状態から開放状態へ移行する処理を開始してから、バックアップクラッチ6が開放状態へ完全に移行したと推定されるまでの経過時間である。また、SBW切替判定時間Tmは、例えば、操舵制御装置1を備えた車両の構成(例えば、ステアリングホイール28及びステアリングシャフト30の剛性)に応じて設定する。
ステップS80において、判定用経過時間がSBW切替判定時間Tm以上である(図中に示す「Y」)と判定すると、クラッチ制御部40が行なう処理は、ステップS90へ移行する。
ステップS90では、転舵制御切替フラグを、SBW状態として生成(図中に示す「転舵制御切替フラグ=SBW状態」)する。ステップS90において、転舵制御切替フラグをSBW状態として生成すると、クラッチ制御部40が行なう処理は終了(図中に示す「END」)する。
また、クラッチ制御部40は、バックアップクラッチ6の締結状態から開放状態への切り換え開始後に、判定用経過時間がSBW切替判定時間Tm以上であると、バックアップクラッチ6の締結状態から開放状態への移行が終了したと判定する。
また、EPS制御部42は、演算した失陥時EPSアシスト電流を含む情報信号を、ゲイン付加部46及び転舵指令電流切替部50へ出力する。
ここで、転舵モータ2が転舵輪Wへ出力する転舵補助トルクは、バックアップクラッチ6を締結状態に切り換えて、ステアリングホイール28と転舵輪Wとの間のトルク伝達経路を機械的に連結させている状態で、転舵輪Wへ出力可能なトルクである。
また、SBW転舵指令角演算部44は、演算した転舵指令角を含む情報信号を、転舵位置サーボ制御部48へ出力する。
ゲイン付加部46は、EPS制御部42が出力した情報信号の入力を受ける。そして、EPS制御部42が出力した情報信号が含む失陥時EPSアシスト電流に対し、予め設定した始動時アシスト用ゲインを乗算して、始動時EPSアシスト電流を演算する。
ここで、始動時EPSアシスト電流とは、エンジンの始動時に、転舵モータ2から転舵輪Wへ転舵補助トルクを出力するための転舵モータ指令電流に応じた指令値である。
また、始動時アシスト用ゲインは、転舵モータ2の性能(出力等)に応じて、始動時EPSアシスト電流が失陥時EPSアシスト電流よりも大きい値となるように設定し、ゲイン付加部46に記憶させておく。
転舵位置サーボ制御部48は、SBW転舵指令角演算部44が出力した情報信号の入力を受ける。そして、SBW転舵指令角演算部44が出力した情報信号が含む転舵指令角に基づき、SBW転舵指令電流を演算する。
また、転舵位置サーボ制御部48は、演算したSBW転舵指令電流を含む情報信号を、転舵指令電流切替部50と、転舵指令電流サーボ制御部52へ出力する。
また、転舵位置サーボ制御部48は、転舵角検出部16が出力した情報信号の入力と、転舵指令電流サーボ制御部52が出力した情報信号の入力を受ける。これに加え、転舵位置サーボ制御部48は、転舵モータ2へ最終的に出力された転舵モータ指令電流を検出する。そして、転舵角検出部16及び転舵指令電流サーボ制御部52が出力した情報信号と、転舵モータ2へ最終的に出力された転舵モータ指令電流を、SBW転舵指令電流の演算に用いる。これにより、転舵位置サーボ制御部48は、SBW転舵指令電流の演算に関するフィードバック制御を行なう。
また、転舵指令電流切替部50は、クラッチ制御部40が出力した情報信号が含む転舵制御切替フラグに基づき、転舵指令電流を切り替える。そして、切り替えた電流を含む情報信号を、転舵指令電流サーボ制御部52へ出力する。
また、転舵制御切替フラグがEPS状態であり、SBWシステムに異常が発生していない場合に、転舵指令電流を、始動時EPSアシスト電流に切り替える。
また、転舵制御切替フラグがSBW状態である場合は、転舵指令電流を、SBW転舵指令電流に切り替える。
また、転舵指令電流サーボ制御部52は、転舵位置サーボ制御部48との間で情報信号の入出力を行なう。転舵指令電流サーボ制御部52から転舵位置サーボ制御部48へ出力する情報信号には、転舵モータ2に供給する電圧を含む。
以下、図1から図3を参照しつつ、図4及び図5を用いて、反力モータ制御部20の構成を、図4中に示す他の構成との関連を含めて説明する。
図4は、反力モータ制御部20の詳細な構成を説明するブロック図である。
図4中に示すように、反力モータ制御部20は、SBW反力指令電流演算部54と、反力指令電流サーボ制御部56と、端当て反力電流演算部58と、指令電流選択部60と、を備える。
また、SBW反力指令電流演算部54は、演算した反力指令電流を含む情報信号を、指令電流選択部60へ出力する。
また、反力指令電流は、例えば、実転舵角θtに、予め設定した反力モータ用ゲインを乗算して演算する。ここで、反力モータ用ゲインは、反力モータゲイン用マップを用いて、予め設定する。なお、反力モータゲイン用マップは、車速及びステアリングホイール28の操舵角に依存するマップであり、予め形成して、SBW反力指令電流演算部54に格納する。
一方、端当て反力電流演算部58は、操舵角検出部14が出力した情報信号と、転舵角検出部16が出力した情報信号の入力を受ける。そして、操舵角検出部14が出力した情報信号が含む現在操舵角θsと、転舵角検出部16が出力した情報信号が含む実転舵角θtとに基づき、端当て反力指令電流を演算する。
図5に示すように、端当て反力電流演算部58は、転舵角の上限しきい値θMAXを記憶したしきい値記憶部58Aと、実転舵角θtと上限しきい値θMAXとの差分Δθ(=θt−θMAX)を演算する減算器58Bと、を備える。
しきい値記憶部58Aに記憶された上限しきい値θMAXは、転舵輪WFL、WFRの機構的に可能な最大の転舵角よりも、若干小さい値に設定される。
さらに、端当て反力電流演算部58は、第1端当て反力設定部58Cと、微分器58Dと、切り戻し判定部58Eと、乗算器58Fと、微分器58Gと、乗算器58Hと、リミッタ58Iと、加算器58Jと、を備える。
微分器58Dは、現在操舵角θsを微分して操舵角速度dθs/dtを演算する。
切り戻し判定部58Eは、差分Δθ及び操舵角速度dθs/dtに基づいて切り増し切り戻しの判定をして、切り増しの場合には第1ゲインK1をゼロに設定し、切り戻しの場合には第1ゲインK1を所定値Kに設定する。ただし、差分Δθがゼロであるときには、切り戻しではないと判断して、第1ゲインK1はゼロに設定する。
微分器58Gは、差分Δθを微分して差分変化率dΔθ/dtを演算する。
乗算器58Hは、差分変化率dΔθ/dtに第2ゲインK2を乗算して第3端当て反力T3を演算する。第2ゲインK2は、例えば、切り戻し判定部58Eで設定される所定値Kと同じ値とすることができる。
そして、加算器58Jは、第1端当て反力T1、第2端当て反力T2及び第3端当て反力T3を合計して、最終的な端当て反力T4を演算する。
このため、操舵系の機械的な構成で決まる転舵角の上限しきい値θMAXは一定であっても、その上限しきい値θMAXに対応する現在操舵角θsの値(以下、最大値θsMAXとも称する。)は、車速Vに応じて変化することになる。
そして、反力指令電流サーボ制御部56は、指令電流選択部60が出力した情報信号が含む反力指令電流に応じた反力モータ指令電流が反力モータ4へ入力されるように、反力モータ4に供給する電圧を変化させる。
また、反力指令電流サーボ制御部56は、反力モータ4へ最終的に出力された反力モータ指令電流を検出する。そして、反力モータ4へ最終的に出力された反力モータ指令電流を、反力モータ4に供給する電圧の制御に用いる。これにより、反力指令電流サーボ制御部56反力モータ4に供給する電圧に関するフィードバック制御を行なう。
次に、図1から図6を参照しつつ、図7を用いて、本実施形態の操舵制御装置1を用いて行なう動作の一例を説明する。
図7は、操舵制御装置1を用いて行なう動作の一例を示すタイムチャートである。
図7中に示すタイムチャートは、エンジンが停止しており、車両に乗車して運転席に座った運転者による、図示しないイグニッション(ignition)スイッチの操作を待機している状態(図中に示す「状態A」)から開始する。ここで、イグニッションスイッチは、例えば、車両の運転者が操作するボタン(イグニッションボタン)で形成する。
したがって、状態Aでは、[転舵指令電流]欄に示すように、転舵指令電流が「0」であり、また、[反力]欄に示すように、反力モータ4がステアリングシャフト30へ出力する操舵反力は「0」である。
また、[クラッチ制御フラグ]欄に示すように、クラッチ制御フラグは、「締結指令」である。さらに、[転舵制御切替フラグ]欄に示すように、転舵制御切替フラグは、「EPS状態」である。
また、状態Aでは、クラッチ制御フラグが「締結指令」であるため、バックアップクラッチ6が締結されており、ステアリングホイール28と転舵輪Wとの間のトルク伝達経路が機械的に結合している。
状態Aにおいて、運転者によりイグニッションスイッチが操作され(図中に示す「ON」)、エンジン指令検出部8が、エンジンの状態としてエンジン駆動を検出すると、操舵制御装置1を用いて行なう動作は、状態Aから状態Bへ移行する。
そして、始動時EPSアシスト電流を含む情報信号の入力を受けた転舵指令電流サーボ制御部52は、始動時EPSアシスト電流に応じた転舵モータ指令電流が転舵モータ2へ入力されるように、転舵モータ2に供給する電圧を変化させる。
ここで、本実施形態では、始動時EPSアシスト電流を、失陥時EPSアシスト電流よりも大きい値となるように設定している。このため、エンジンの始動時に転舵モータ2へ入力される転舵モータ指令電流を、SBWシステムに異常が発生した場合に転舵モータ2へ入力される転舵モータ指令電流よりも大きい値とすることが可能となる。
また、状態Bでは、状態Aと同様、クラッチ制御フラグを「締結指令」に維持するとともに、転舵制御切替フラグを「EPS状態」に維持する。
状態Cでは、クラッチ制御部40が、クラッチ制御フラグを「開放指令」として生成する。そして、クラッチ制御部40は、「開放指令」として生成した情報信号を、クラッチ指令電流としてバックアップクラッチ6へ出力する。クラッチ指令電流の入力を受けたバックアップクラッチ6は、締結状態から開放状態への移行を開始する。
また、状態Cでは、状態Bと同様、ステアリングホイール28の操舵角に応じた操舵反力を、反力モータ4がステアリングシャフト30へ出力する。
したがって、反力モータ制御部20は、バックアップクラッチ6を締結状態として転舵モータ2が転舵補助トルクを出力する状態から、締結状態のバックアップクラッチ6を開放状態に切り換えるまでの間に、操舵反力をステアリングシャフト30へ出力する。
これにより、本実施形態では、締結状態から開放状態に切り換えた際にバックアップクラッチ6からステアリングホイール28に伝達される衝撃が、反力モータ4がステアリングシャフト30へ出力している操舵反力よりも小さくなる。
測定した判定用経過時間がSBW切替判定時間Tm以上となると、クラッチ制御部40が、バックアップクラッチ6の締結状態から開放状態への移行が終了したと判定する。そして、操舵制御装置1を用いて行なう動作は、状態Cから状態Dへ移行する。
したがって、本実施形態では、判定用経過時間がSBW切替判定時間Tm未満の状態では、バックアップクラッチ6の締結状態から開放状態への移行が終了していないと判定し、転舵制御切替フラグを「EPS状態」に維持する。
そして、SBW転舵指令電流を含む情報信号の入力を受けた転舵指令電流サーボ制御部52は、SBW転舵指令電流に応じた転舵モータ指令電流が転舵モータ2へ入力されるように、転舵モータ2に供給する電圧を変化させる。
これにより、[転舵指令電流]欄に示すように、転舵モータ2へ入力される転舵モータ指令電流は、時間の経過につれて徐々に増加(図中に示す「フェードイン」)した後、ステアリングホイール28の操舵角に応じて変化する。
また、締結状態のバックアップクラッチ6を開放状態に切り換える際に、ステアリングホイール28を把持している手を介して運転者が受ける衝撃を低減可能とした状態で、EPS状態からSBW状態へ移行することが可能となる。
また、状態Dでは、状態Cと同様、クラッチ制御フラグを「開放指令」に維持する。
すると、図5に示す端当て反力電流演算部58の減算器58Bからは、正値の差分Δθが出力されることとなる。このため、第1端当て反力設定部58Cからは、そのときの差分Δθの大きさに応じた第1端当て反力T1が出力されるとともに、乗算器58Hからは差分Δθの変化率に応じた大きさの第2端当て反力T2が出力されることになる。
従って、加算器58Jから出力される端当て反力T4は、第1端当て反力T1と第3端当て反力T3とを合計したものとなる。
このとき、第3端当て反力T3は操舵角速度に依存するため、操舵角速度が一定であれば操舵角が増大しても増加はしない。
この結果、運転者は、急激に増加する端当て反力を感ずることとなり、このため、端当て反力が発生し始めた直後よりも、さらにステアリングホイール28の切り増しをしたところで、運転者は操舵反力が急激に増加したという感触を得ることになり、自然な端当て感を感ずることになる。
これにより、SBW状態にあったとしても、運転者は、それ以上の操舵が車両として不可能な状況にあることをより確実に認識することができるようになる。
切り戻し操作に転じたとしても、直ぐには差分Δθはゼロにはならないため、第1端当て反力T1も直ぐにはゼロにはならない。従って、単に第1端当て反力T1や第3端当て反力T3に対応した端当て反力T4を発生し続けると、弾き返されるような感じを受ける可能性がある。
しかも、リミッタ58Iを設けているため、第2端当て反力T2の大きさが第1端当て反力T1によりも過大になって切り戻し操舵の妨げになるようなこともない。
ここで本実施の形態では、転舵モータ2及び転舵モータ制御部18が転舵アクチュエータに対応し、反力モータ4及び反力モータ制御部20が反力アクチュエータに対応し、転舵角検出部16が転舵状態検出部に対応し、微分器58Dが操舵角速度検出部に対応し、微分器58Gが差分変化速度演算部に対応する。
本実施形態では、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
(1)実転舵角θtが上限しきい値θMAXを越えた分である差分Δθを求め、その差分Δθが大きくなるに従って大きくなるように端当て反力を演算するとともに、差分Δθの増加に対する端当て反力の増加の割合は、その差分Δθが小さい領域よりも差分が大きい領域で大きくするようにしたため、端当て反力が発生し始めた直後よりも、さらにステアリングホイール28の切り増しをしたところで、運転者は操舵反力が急激に増加したという感触を得ることになる。これにより、運転者は、より自然な端当て感を感ずることができるようになる。
(3)そして、差分Δθと、操舵角速度dθs/dtと、差分変化速度dΔθ/dtとに基づいて端当て反力を演算する構成であるから、端当て反力電流演算部58の構成を特に複雑なものにする必要もない。
(5)さらに、端当て反力電流演算部58は、差分Δθの増加に対する増加の割合が、その差分Δθが大きくなるに従って段階的に大きくなる第1端当て反力T1を演算するようにしたため、マップや簡単な数式を用いて第1端当て反力T1を設定することができる。
(8)さらに、端当て反力電流演算部58は、バックアップクラッチ6が開放状態にあるときに、反力モータ4に操舵反力(端当て反力)を発生させるようにしたため、操舵反力を必要なときにだけ発生させることができる。
上記実施形態では、図5のマップに示したように、差分Δθに対する第1端当て反力T1の変化の傾きを3段階に変化するようにしているが、これに限定されるものではなく、例えば、図8(a)に示すように2段階としてもよいし、第8(b)に示すように3段階以上(この例は、4段階)としてもよい。さらには、マップを用いて段階的に変化させるのではなく、二次関数のような演算式を用いて連続的に傾きを増加させてもよい。
2 転舵モータ
4 反力モータ
6 バックアップクラッチ
12 車速検出部
14 操舵角検出部
16 転舵角検出部
18 転舵モータ制御部
20 反力モータ制御部
22 転舵モータ出力軸
28 ステアリングホイール
58 端当て反力電流演算部
58A しきい値記憶部
58B 減算器
58C 第1端当て反力設定部
58D 微分器
58E 切り戻し判定部
58F 乗算器
58G 微分器
58H 乗算器
58I リミッタ
58J 加算器
60 指令電流選択部
W 転舵輪(左前輪FL、右前輪WFR)
Claims (8)
- 転舵輪と機械的に分離したステアリングホイールと、
前記ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角検出部と、
前記操舵角検出部が検出した前記操舵角に基づいて、前記転舵輪を転舵する転舵アクチュエータと、
前記転舵輪の転舵状態を検出する転舵状態検出部と、
前記転舵状態検出部が検出した前記転舵状態に基づいて、前記ステアリングホイールに操舵反力を付与する反力アクチュエータと、
を備え、
前記反力アクチュエータは、前記転舵状態検出部が検出した前記転舵状態としての転舵角が予め設定した上限しきい値を越えた分である差分を求め、その差分が大きくなるに従って大きくなる前記操舵反力としての端当て反力を演算するとともに、前記差分の増加に対する前記端当て反力の増加の割合は、その差分が小さい領域よりも差分が大きい領域で大きくすることを特徴とする操舵制御装置。 - 前記反力アクチュエータは、前記転舵角が前記上限しきい値以下の領域では、前記差分をゼロとするとともに、前記転舵状態検出部が検出した前記転舵状態としての転舵角の大きさに基づいて前記操舵反力を演算する一方、前記転舵角が前記上限しきい値を越える領域では、前記差分に基づいて前記端当て反力を演算する請求項1記載の操舵制御装置。
- 前記ステアリングホイールの操舵角速度を検出する操舵角速度検出部と、
前記差分の変化速度である差分変化速度を演算する差分変化速度演算部と、
を備え、
前記反力アクチュエータは、前記差分と、前記操舵角速度と、前記差分変化速度とに基づいて前記端当て反力を演算する請求項1又は2に記載の操舵制御装置。 - 前記反力アクチュエータは、前記差分に基づいて演算される第1端当て反力と、前記操舵角速度に基づいて演算される第2端当て反力と、前記差分変化速度に基づいて算出される第3端当て反力とを合計して、最終的な前記端当て反力を演算するようになっており、前記第2端当て反力は、前記第1端当て反力及び第3端当て反力とは逆方向の反力であって、切り戻し時にのみ発生するようにした請求項3記載の操舵制御装置。
- 前記反力アクチュエータは、前記差分の増加に対する増加の割合が、その差分が大きくなるに従って段階的に大きくなる前記第1端当て反力を演算する請求項4に記載の操舵制御装置。
- 前記反力アクチュエータは、前記操舵角速度に第1ゲインを乗じた値と、前記第1端当て反力とのうち、絶対値の小さい方を前記第2端当て反力の値として決定するとともに、前記第1ゲインを、前記ステアリングホイールが切り増し方向に操舵されているときにはゼロに設定し、前記ステアリングホイールが切り戻し方向に操舵されているときにはゼロより大きい値に設定する請求項4又は5に記載の操舵制御装置。
- 前記反力アクチュエータは、前記差分変化速度に第2ゲインを乗じて前記第3端当て反力を演算する請求項4乃至6のいずれか1項に記載の操舵制御装置。
- 前記ステアリングホイールと前記転舵輪との間のトルク伝達経路を機械的に分離する開放状態と、前記トルク伝達経路を機械的に連結する締結状態と、を切り換え可能なバックアップクラッチを備え、
前記反力アクチュエータは、前記バックアップクラッチが前記開放状態にあるときに前記操舵反力を発生する請求項1乃至7のいずれか1項に記載の操舵制御装置。
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