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JP2014125399A - タッチパネル形成用強化ガラス基板の製造方法 - Google Patents

タッチパネル形成用強化ガラス基板の製造方法 Download PDF

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JP2014125399A JP2012284652A JP2012284652A JP2014125399A JP 2014125399 A JP2014125399 A JP 2014125399A JP 2012284652 A JP2012284652 A JP 2012284652A JP 2012284652 A JP2012284652 A JP 2012284652A JP 2014125399 A JP2014125399 A JP 2014125399A
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秀晴 鳥井
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Abstract

【課題】生産性に優れるカバーガラス一体型タッチパネル用強化ガラス基板の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の態様1に係る強化ガラスパネルの製造方法は、1枚に複数のカバーガラス一体型タッチパネルを形成可能なタッチパネル形成用強化ガラス基板の製造方法である。短辺の長さが1000mm以上の矩形状のガラス基板100を化学強化するステップと、化学強化されたガラス基板100を切断し、複数の強化ガラス基板10へ分割するステップと、複数の強化ガラス基板10の端面11を面取加工するステップと、を備える。
【選択図】図4

Description

本発明はタッチパネル用強化ガラス基板の製造方法に関し、特にカバーガラス一体型タッチパネル形成用強化ガラス基板の製造方法に関する。
スマートフォンやタブレット端末などの携帯機器では、ディスプレイのカバーガラス基板に指先で触れて操作するタッチパネルが広く普及している。図11は、従来のタッチパネルの断面図である。図11に示すように、従来のタッチパネルは、カバーガラス基板1とセンサガラス基板(センサが形成されたガラス基板)4とが、光学透明接着剤(OCA:Optical Clear Adhesive)3により貼り合わされた構成を有している。
化学強化ガラスからなるカバーガラス基板1の周縁部上には、遮光膜2が形成されている。一方、センサガラス基板4上には、透明導電膜5a、5b、金属配線6、有機絶縁層7、保護層8すなわちセンサが形成されている。そして、カバーガラス基板1の遮光膜形成面とセンサガラス基板4のセンサ形成面とが対向して、光学透明接着剤3により貼り合わされている。
これに対し、カバーガラス基板にセンサを形成し、カバーガラス基板とセンサガラス基板とを一体化したタッチパネル(いわゆるカバーガラス一体型タッチパネル)が注目されている。図12は、カバーガラス一体型タッチパネルの断面図である。図12に示したカバーガラス一体型タッチパネルでは、図11に示したタッチパネルにおける光学透明接着剤3及びセンサガラス基板4が不要となるため、薄型化、軽量化が可能となる。
強化ガラスは非強化ガラスに比べ切断が難しい。そのため、図11に示すような従来のタッチセンサに用いるカバーガラス基板1の製造工程では、製品形状まで切断した後、化学強化を行っていた。一方、図12に示すようなカバーガラス一体型タッチパネルに用いるカバーガラス基板1の製造工程では、生産効率向上の観点から、中型ガラス基板あるいは短辺が1000mm以上の大型ガラス基板のまま化学強化する。この化学強化された中型ないし大型ガラス基板上に、遮光膜2、透明導電膜5a、5b、金属配線6、有機絶縁層7、保護層8を形成した後、製品形状まで切断する。
ところで、特許文献1には、製品形状まで切断してからガラス基板を化学強化し、当該ガラス基板を搬送基板に配置し、センサ形成を一括して行うカバーガラス一体型タッチパネルの製造方法が開示されている。
しかしながら、製品形状まで切断してからガラス基板を化学強化するよりも、大型ガラス基板のまま化学強化する方が、生産性に優れている。
特開2011−197708号公報
発明者は、カバーガラス一体型タッチパネル形成用強化ガラス基板の製造方法に関し、以下の課題を見出した。
上述の化学強化された中型ないし大型ガラス基板には、多様なサイズが要求されている。そのため、サイズ毎に化学強化の設備が必要になり、生産性に劣るという問題があった。
本発明は、上記を鑑みなされたものであって、生産性に優れるカバーガラス一体型タッチパネル形成用強化ガラス基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の態様1に係るタッチパネル形成用強化ガラス基板の製造方法は、1枚に複数のカバーガラス一体型タッチパネルを形成可能なタッチパネル形成用強化ガラス基板の製造方法であって、
短辺の長さが1000mm以上の矩形状のガラス基板を化学強化するステップと、
化学強化された前記ガラス基板を複数の強化ガラス基板へ分割するステップと、
前記複数の強化ガラス基板の端面を面取加工するステップと、を備えるものである。これにより、歩留まりが高く、生産性に優れるカバーガラス一体型タッチパネル形成用強化ガラス基板の製造方法を提供することができる。
本発明の態様2に係るタッチパネル形成用強化ガラス基板の製造方法は、上記発明の態様1において、化学強化するステップの後、分割するステップの前に、化学強化された前記ガラス基板の端面傷を検査するステップをさらに備えるものである。これにより、さらに歩留まりが高く、生産性に優れるカバーガラス一体型タッチパネル形成用強化ガラス基板の製造方法を提供することができる。
本発明の態様3に係るタッチパネル形成用強化ガラス基板の製造方法は、上記発明の態様2において、前記端面傷が検出された場合、分割するステップにおいて、前記端面傷を除去するものである。これにより、歩留まりが高く、生産性に優れるカバーガラス一体型タッチパネル形成用強化ガラス基板の製造方法を提供することができる。
本発明の態様4に係るタッチパネル形成用強化ガラス基板の製造方法は、上記発明の態様1〜3のいずれか1つにおいて、面取加工するステップ後の前記強化ガラス基板の端面の平均表面粗さRaを1μm以下とするものである。これにより、さらに歩留まりが高く、生産性に優れるカバーガラス一体型タッチパネル形成用強化ガラス基板の製造方法を提供することができる。
本発明の態様5に係るタッチパネル形成用強化ガラス基板の製造方法は、上記発明の態様1〜4のいずれか1つにおいて、面取加工するステップにおいて、研削により面取加工するものである。面取加工としては研削が好適である。
本発明の態様6に係るタッチパネル形成用強化ガラス基板の製造方法は、上記発明の態様1〜5のいずれか1つにおいて、化学強化するステップにおいて、前記ガラス基板に、残留圧縮応力を有する表面層及び裏面層と、当該表面層及び裏面層の間に50MPa以下の内部残留引張応力CTを有する中間層と、を形成するものである。
本発明の態様7に係るタッチパネル形成用強化ガラス基板の製造方法は、上記発明の態様1〜6のいずれか1つにおいて、面取加工するステップ後の前記強化ガラス基板の端面についての累積破壊確率0.1%での破壊応力を70MPa以上とするものである。
本発明の態様8に係るタッチパネル形成用強化ガラス基板の製造方法は、上記発明の態様1〜7のいずれか1つにおいて、前記強化ガラス基板の厚さtを0.3〜1.1mmとするものである。
本発明によれば、生産性に優れるカバーガラス一体型タッチパネル形成用強化ガラス基板の製造方法を提供することができる。
本発明の第1の実施の形態に係るカバーガラス一体型タッチパネルの断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係るカバーガラス基板1に用いる強化ガラス基板10の断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係るカバーガラス基板1に用いる強化ガラス基板10の残留応力の分布を示す模式図である。 本発明の第1の実施の形態に係るカバーガラス一体型タッチパネル形成用強化ガラス基板の製造方法を説明するためのフローチャートである。 G6サイズ(長辺1850mm×短辺1500mm)の大型ガラス基板100からG2サイズ(長辺470mm×短辺370mm)の中型ガラス基板(強化ガラス基板)10を切り出す切り出し方を示した図である。 強化ガラス基板10の端面を面取加工するための回転砥石を示す側面図である。 化学強化工程において端面傷が発生した大型ガラス基板の模式的平面図である。 センサ形成工程において端面傷を起点とする熱割れが発生した大型ガラス基板の模式的平面図である。 本発明の第2の実施の形態に係るカバーガラス一体型タッチパネル形成用強化ガラス基板の製造方法を説明するためのフローチャートである。 G6サイズ(長辺1850mm×短辺1500mm)の大型ガラス基板100からG2サイズ(長辺470mm×短辺370mm)の中型ガラス基板(強化ガラス基板)10を切り出す切り出し方を示した図である。 縦置き4点曲げ試験装置の模式図である。 従来のタッチパネルの断面図である。 カバーガラス一体型タッチパネルの断面図である。
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
(実施の形態1)
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係るカバーガラス一体型タッチパネルについて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係るカバーガラス一体型タッチパネルの断面図である。図1は図12の上下を反転させたものである。図1のカバーガラス一体型タッチパネルは、静電容量方式のタッチパネルである。
図1に示すように、化学強化ガラスからなるカバーガラス基板1の周縁部上には、ブラックマトリクス膜などの遮光膜2が形成されている。1対の金属配線6が、カバーガラス基板1の外側(図1におけるカバーガラス基板1の下面側)から視認されないように、遮光膜2上の両側に形成されている。なお、遮光膜2の色は特に限定されず、例えば白色であってもよい。
カバーガラス基板1の中央部には、透明導電膜5a、5bが形成さている。透明導電膜5aは図1のx軸方向に延設されており、透明導電膜5bは図1のy軸方向に延設されている。すなわち、透明導電膜5a、5bは互いに直交するように延設されている。つまり、平面的には透明導電膜5a、5bは格子状に形成されている(不図示)。なお、図1には、透明導電膜5bが2本しか示されていないが、実際には透明導電膜5a、5bはいずれも多数設けられている。ここで、図1に示すように、透明導電膜5aは両側の金属配線6の間を跨ぐように形成されている。
図1に示すように、有機絶縁層7は、透明導電膜5a、5bを互いに絶縁するため、透明導電膜5a、5bの間に形成されている。
保護層8は、遮光膜2、透明導電膜5a、5b、金属配線6、有機絶縁層7を覆うように、カバーガラス基板1の略全面に形成されている。
次に、図2、3を参照して、カバーガラス基板1に用いる強化ガラス基板10の構造について説明する。図2は、本発明の第1の実施の形態に係るカバーガラス基板1に用いる強化ガラス基板10の断面図である。図2において、矢印の方向は、残留応力の作用方向を示し、矢印の大きさは、応力の大きさを示す。図2に示すように、強化ガラス基板10は、表面層13及び裏面層15と、表面層13と裏面層15との間に設けられた中間層17とを有する。表面層13及び裏面層15には、下記の化学強化法により圧縮応力が残留している。また、その反作用として、中間層17には引張応力が残留している。
強化ガラス基板10は、化学強化法により作製される。強化用のガラスの種類としては、アルカリアルミノシリケートガラスやソーダライムガラスが用いられる。化学強化法は、ガラスの表面及び裏面をイオン交換し、ガラスに含まれる小さなイオン半径のイオン(例えば、Liイオン、Naイオン)を、大きなイオン半径のイオン(例えば、Kイオン)に置換することで、圧縮応力が残留する表面層及び裏面層を形成する。
図3は、本発明の第1の実施の形態に係るカバーガラス基板1に用いる強化ガラス基板10の残留応力の分布を示す模式図である。
図3に示すように、表面層13及び裏面層15に残留する圧縮応力(>0)は、強化ガラス基板10の表面12及び裏面14から内部に向けて徐々に小さくなる傾向がある。また、中間層17に残留する引張応力(>0)は、ガラスの内部から表面12及び裏面14に向けて徐々に小さくなる傾向がある。
図3において、CSは表面層13や裏面層15における最大残留圧縮応力(表面圧縮応力)(>0)、CTは中間層17における内部残留引張応力(中間層17の残留引張応力の平均値)(>0)、DOLは表面層13及び裏面層15の厚さ、tは強化ガラス基板10の厚さ、をそれぞれ示している。従って、中間層17の厚さは、t−2×DOLとなる。
また、強化ガラス基板の内部残留引張応力CT(MPa)は、通常、表面圧縮応力CS(MPa)及び表面層13及び裏面層15の厚さDOL(μm)を測定し、その測定値と、強化ガラス基板の厚さt(μm)とから以下の式1を用いて算出することができる。
CT=(CS×DOL)/(t−2×DOL) ・・・式1
最大残留圧縮応力CSや内部残留引張応力CT、表面層13及び裏面層15の厚さDOLは、強化処理条件により調節可能である。化学強化法の場合、ガラスを処理液(例えば、KNO溶融塩)に浸漬してイオン交換するため、処理液の濃度や温度、浸漬時間などにより調節することができる。
強化ガラス基板10の厚さt(mm)は、0.3〜1.1mmであることが好ましい。化学強化ガラスの場合、厚さt(mm)が1.1mmを超えると、基板の質量が大きくなり、カバーガラス一体型による軽量化の利点が減殺されてしまう。一方、厚さt(mm)が0.3mm未満になると、ガラスに化学強化処理を施すことが難しくなる。強化ガラス基板10の厚さt(mm)は、0.4〜0.7mmがさらに好ましい。
ところで、本実施の形態に係るカバーガラス一体型タッチパネル形成用の強化ガラス基板10は、短辺が1000mm以上の大型ガラス基板を化学強化し、これを切断して複数枚に分割することにより得られる。つまり、強化ガラス基板10の端面では、内部残留引張応力CTを有する中間層17が露出している。そのため、内部残留引張応力CTが大きくなり過ぎると、強化ガラス基板10の端面からクラックが伸展し易くなり、センサ形成工程でのハンドリングが難しくなる。また、内部残留引張応力CTが大きいほど、切断自体も困難になる。従って、内部残留引張応力CTは、50MPa以下であることが好ましくい。また、内部残留引張応力CTは、35MPa以下であることがより好ましくは、30MPa以下であることがさらに好ましい。
次に、図4を参照して、本実施の形態に係るカバーガラス一体型タッチパネル形成用強化ガラス基板の製造方法について説明する。図4は、本実施の形態に係るカバーガラス一体型タッチパネル形成用強化ガラス基板の製造方法について説明するためのフローチャートである。図4には、実線で示されたカバーガラス一体型タッチパネル形成用強化ガラス基板の製造フロー(ステップS1〜S3)に加え、破線で示されたその後のフロー(ステップS4〜S8)についても併せて記載されている。また、図4には、製造フローとともに各工程におけるガラス基板サイズも併せて示されている。
まず、図4に示すように、端面が面取加工された短辺が1000mm以上の大型ガラス基板を化学強化する(ステップS1)。大型ガラス基板としては、いわゆるG6サイズ(長辺1850mm×短辺1500mm)と呼ばれる矩形状のものを用いることができる。本発明は、短辺が1000mm以上の大型ガラス基板に好適であるため、大型ガラス基板としては、G5サイズ(長辺1200mm×短辺1000mm)のものを用いてもよい。もちろん、短辺が1000mm以上の大型ガラス基板であれば、G5、G6以外のサイズであってもよい。
次に、化学強化された大型ガラス基板を切断し、複数の中型ガラス基板へ分割する(ステップS2)。中型ガラス基板としては、いわゆるG1サイズ(長辺400mm×短辺300mm)、G2サイズ(長辺470mm×短辺370mm)、G3サイズ(長辺650mm×短辺550mm)、G4サイズ(長辺880mm×短辺680mm)を挙げることができる。これらのサイズは、センサ形成工程における装置上の制約によるものである。中型ガラス基板は、長辺が1000mm未満の矩形状のガラス基板であって、カバーガラス一体型タッチパネルを複数形成可能であれば、上記サイズ以外であってもよい。なお、ステップS2の前に化学強化された大型ガラス基板の端面を検査してもよい。
ここで、図5を参照して、ステップS2の具体例について説明する。図5は、G6サイズ(長辺1850mm×短辺1500mm)の大型ガラス基板100からG2サイズ(長辺470mm×短辺370mm)の中型ガラス基板(強化ガラス基板)10を切り出す切り出し方を示した図である。図5では、切断線が破線で示されている。図5に示すように、G6サイズ(長辺1850mm×短辺1500mm)の大型ガラス基板100からG2サイズ(長辺470mm×短辺370mm)の強化ガラス基板10を3×4=12枚切り出すことができる。なお、図5においてハッチングされた領域は、除去される領域である。図5の例では、長辺の両端において幅220mmの領域及び短辺の両端において幅10mmの領域が除去される。
化学強化された大型ガラス基板の切断方法としては、例えばカッタホイールにより大型ガラス基板上にスクライブ線を導入して折り割りする方法や、大型ガラス基板にレーザ光を照射することより切断する方法などを用いることができる。
次に、強化ガラス基板10の端面を面取加工する(ステップS3)。この面取加工では、強化ガラス基板10の端面全体を研削することが好ましい。図6は、強化ガラス基板10の端面を面取加工するための回転砥石を示す側面図である。図6に示す回転砥石20は、円盤形状の本体部の側面に断面半楕円状(半円状)の溝21が形成されている。
高速回転している回転砥石20の溝21に強化ガラス基板10の端面11を略垂直に押し当てることにより、強化ガラス基板10の端面11が回転砥石20の溝21に沿って面取加工されるとともに研削される。上述の通り、強化ガラス基板10の端面11では、内部残留引張応力CTを有する中間層17が露出しているため、面取加工後の表面粗さは小さいほど好ましい。具体的には、面取加工後の端面11の平均表面粗さRaが1μm以下であることが好ましい。以上により、タッチパネル形成用の強化ガラス基板10を得ることができる。
なお、面取加工(ステップS3)の後に、必要に応じて強化ガラス基板10の端面11に対するエッチングやブラシ研磨等の端面処理をさらに追加してもよい。
以下に、製造された強化ガラス基板10へセンサを形成するセンサ形成工程について説明する。
まず、強化ガラス基板上にブラックマトリクス膜などの遮光膜を印刷形成する(ステップS4)。
次に、スパッタリング法により、強化ガラス基板上に透明導電膜(例えばITO膜)からなる配線を形成する(ステップS5)。続けて、スパッタリング法により、強化ガラス基板上に金属配線を形成する(ステップS6)。以上により、強化ガラス基板上にタッチセンサが形成される。
その後、タッチセンサが形成された強化ガラス基板を、製品形状まで切断し(ステップS7)、各製品形状のガラス基板の端面を面取加工する(ステップS8)。
以上により、カバーガラス一体型タッチパネルが得られる。
従来方法では、センサ形成用の強化ガラス基板のサイズ毎に化学強化の設備が必要であったため、生産性が低かった。これに対し、本実施の形態に係るカバーガラス一体型タッチパネル形成用強化ガラス基板の製造方法では、センサ形成用の強化ガラス基板のサイズによらず、一種類の化学強化設備で対応できるため生産性が高い。
(実施の形態2)
図7Aに示すように、短辺が1000mm以上の大型ガラス基板では、周の長さが長くなり、さらに化学強化工程でのハンドリングが困難であるため、大型ガラス基板と治具とが接触することにより端面に傷(欠点とも呼ばれる)が発生しやすい。以下、この端面に発生した傷を「端面傷」と呼ぶ。図7Aは、化学強化工程において端面傷が発生した大型ガラス基板の模式的平面図である。
図7Bに示すように、センサ形成工程(例えば透明導電膜5a、5bや金属配線6を形成するためのスパッタリング工程)において、端面傷を有する大型ガラス基板が加熱されると、この端面傷が起点となり、広範囲に及ぶ熱割れが発生する恐れがある。図7Bは、センサ形成工程において端面傷を起点とする熱割れが発生した大型ガラス基板の模式的平面図である。
そのため、化学強化工程において端面傷が発生した大型ガラス基板は、次工程に進めず、廃棄処分となっていた。つまり、カバーガラス一体型タッチパネルを形成するための強化ガラス基板は、歩留まりが低く、生産性に劣るという問題があった。
次に、図8を参照して、実施の形態2に係るカバーガラス一体型タッチパネル形成用強化ガラス基板の製造方法について説明する。図8は、本実施の形態に係るカバーガラス一体型タッチパネル形成用強化ガラス基板の製造方法について説明するためのフローチャートである。図8には、実線で示されたカバーガラス一体型タッチパネル形成用強化ガラス基板の製造フロー(ステップS1〜S3、S11、S12)に加え、破線で示されたその後のフロー(ステップS4〜S8)についても併せて記載されている。また、図8には、製造フローとともに各工程におけるガラス基板サイズも併せて示されている。
まず、図8に示すように、端面が面取加工された短辺が1000mm以上の大型ガラス基板を化学強化する(ステップS1)。ステップS1は図4と同様であるため、詳細な説明は省略する。
次に、化学強化された大型ガラス基板の端面を検査し(ステップS11)、端面傷の有無を判定する(ステップS12)。化学強化された大型ガラス基板に端面傷がなければ(ステップS12NO)、G6サイズ(長辺1850mm×短辺1500mm)のままセンサ形成工程(ステップS4〜S6)へ進む。
一方、化学強化された大型ガラス基板に端面傷があれば(ステップS12YES)、当該大型ガラス基板を切断し、複数の中型ガラス基板へ分割する(ステップS2)。中型ガラス基板としては、いわゆるG1サイズ(長辺400mm×短辺300mm)、G2サイズ(長辺470mm×短辺370mm)、G3サイズ(長辺650mm×短辺550mm)、G4サイズ(長辺880mm×短辺680mm)を挙げることができる。これらのサイズは、センサ形成工程における装置上の制約によるものである。中型ガラス基板は、長辺が1000mm未満の矩形状のガラス基板であって、カバーガラス一体型タッチパネルを複数形成可能であれば、上記サイズ以外であってもよい。
ここで、図9を参照して、ステップS2の具体例について説明する。図9は、図5と同様に、G6サイズ(長辺1850mm×短辺1500mm)の大型ガラス基板100からG2サイズ(長辺470mm×短辺370mm)の中型ガラス基板(強化ガラス基板)10を切り出す切り出し方を示した図である。図9では、切断線が破線で示されている。図9に示すように、G6サイズ(長辺1850mm×短辺1500mm)の大型ガラス基板100からG2サイズ(長辺470mm×短辺370mm)の強化ガラス基板10を3×4=12枚切り出すことができる。
ここで、図9においてハッチングされた領域は、除去される領域である。図9の例では、長辺の両端において幅220mmの領域及び短辺の両端において幅10mmの領域が除去される。つまり、大型ガラス基板100の周縁部は端面傷とともに除去される。端面傷は端面の表面に発生する浅い傷であるため、周縁部を1mm以上除去すれば、端面傷が強化ガラス基板10の強度に悪影響を及ぼすことはない。すなわち、熱割れを効果的に抑制することができる。
次に、強化ガラス基板10の端面を面取加工する(ステップS3)。ステップS3以降は図4と同様であるため、詳細な説明は省略する。
従来は、化学強化された大型ガラス基板に端面傷があれば(図9のステップS12YES)、当該大型ガラス基板を廃棄処分としていた。そのため、歩留まりが低く、生産性に劣っていた。これに対し、本実施の形態に係るカバーガラス一体型タッチパネル形成用強化ガラス基板の製造方法では、大型ガラス基板から端面傷を除去し、その悪影響を排除した上で、複数の中型ガラス基板へ分割する。すなわち、廃棄処分とするのは大型ガラス基板の周縁部のみとなる。そのため、本実施の形態に係るカバーガラス一体型タッチパネル形成用強化ガラス基板の製造方法は、従来方法に比べ劇的に歩留まりが向上し、生産性も優れている。
<端面強度の調査結果>
上述の通り、大型ガラス基板100から切断された強化ガラス基板10の端面では、内部残留引張応力CTを有する中間層17が露出している。そのため、この強化ガラス基板10の端面の破壊応力を調査した。
端面の破壊応力は、縦置き4点曲げ試験装置(島津製作所社製オートグラフAG−X)を用いて測定した。図10は、縦置き4点曲げ試験装置の模式図である。図10に示すように、支持部間隔=60mm、荷重部間隔=20mm、クロスヘッド(荷重部)スピード=1mm/minとした。図10に示した試験片において破壊強度が測定される端面は、支持部に支持された下側の端面である。
また、三鷹光器社製非接触表面形状測定器PF60を用いて、実施例及び比較例について端面の平均表面粗さRaを測定した。スキャン速度=200μm/min、測定距離=4.8mmとした。フィルタにはガウシアンフィルタ(カットオフ0.8mm)を用いた。粗さ計算方法はJIS B0601に準拠した。
(実施例)
厚さt=0.56mmの大型ガラス基板から切断した強化ガラス基板について、端面の破壊応力を評価した。この端面は化学強化されておらず、内部残留引張応力CTを有する中間層が露出した端面である。実施例では、21枚の強化ガラス基板のそれぞれから幅W=70mm、長さL=5mmの試験片を切り出した。この21個のサンプルについて破壊応力を測定し、平均破壊応力σavgを求めた。また、21個のサンプルの破壊応力の測定結果について、JIS R1625に準拠したワイブルプロットを行い、累積破壊確率0.1%の破壊応力σB0.1を求めた。
その結果、平均破壊応力σavg=116MPa、累積破壊確率0.1%の破壊応力σB0.1=83MPaであった。
他方、平均表面粗さRa=0.87μmであった。
(比較例)
切断していない厚さt=0.56mmの大型ガラス基板について、端面傷を有する端面の破壊応力を評価した。この端面は化学強化されている。比較例では、20枚の強化ガラス基板のそれぞれから幅W=70mm、長さL=2mmの試験片を切り出した。この20個のサンプルについて破壊応力を測定し、平均破壊応力σavgを求めた。また、20個のサンプルの破壊応力の測定結果について、JIS R1625に準拠したワイブルプロットを行い、累積破壊確率0.1%の破壊応力σB0.1を求めた。
その結果、平均破壊応力σavg=423MPa、累積破壊確率0.1%の破壊応力σB0.1=24MPaであった。
他方、平均表面粗さRa=1.12μmであった。
実施例に係る端面では、内部残留引張応力CTを有する中間層17が露出しているため、比較例に比べ平均破壊応力σavgは小さい値となった。しかしながら、累積破壊確率0.1%の破壊応力σB0.1は、比較例の3倍以上の値となった。端面傷の除去により、累積破壊確率0.1%の破壊応力σB0.1が向上したものと考えられる。
カバーガラス一体型タッチパネル形成用強化ガラス基板の端面についての累積破壊確率0.1%での破壊応力は、70MPa以上であることが好ましい。
また、実施例に係る強化ガラス基板については、センサ形成工程における熱割れも確認されなかった。
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
1 カバーガラス基板
2 遮光膜
5a、5b 透明導電膜
6 金属配線
7 有機絶縁層
8 保護層
10 強化ガラス基板
11 端面
12 表面
13 表面層
14 裏面
15 裏面層
17 中間層
20 回転砥石
21 溝
100 大型ガラス基板

Claims (8)

  1. 1枚に複数のカバーガラス一体型タッチパネルを形成可能なタッチパネル形成用強化ガラス基板の製造方法であって、
    短辺の長さが1000mm以上の矩形状のガラス基板を化学強化するステップと、
    化学強化された前記ガラス基板を複数の強化ガラス基板へ分割するステップと、
    前記複数の強化ガラス基板の端面を面取加工するステップと、を備えるタッチパネル形成用強化ガラス基板の製造方法。
  2. 化学強化するステップの後、分割するステップの前に、
    化学強化された前記ガラス基板の端面傷を検査するステップをさらに備える、
    請求項1に記載のタッチパネル形成用強化ガラス基板の製造方法。
  3. 前記端面傷が検出された場合、分割するステップにおいて、前記端面傷を除去する、
    請求項2に記載のタッチパネル形成用強化ガラス基板の製造方法。
  4. 面取加工するステップ後の前記強化ガラス基板の端面の平均表面粗さRaを1μm以下とする、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載のタッチパネル形成用強化ガラス基板の製造方法。
  5. 面取加工するステップにおいて、研削により面取加工する、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載のタッチパネル形成用強化ガラス基板の製造方法。
  6. 化学強化するステップにおいて、
    前記ガラス基板に、残留圧縮応力を有する表面層及び裏面層と、当該表面層及び裏面層の間に50MPa以下の内部残留引張応力CTを有する中間層と、を形成する、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載のタッチパネル形成用強化ガラス基板の製造方法。
  7. 面取加工するステップ後の前記強化ガラス基板の端面についての累積破壊確率0.1%での破壊応力を70MPa以上とする、
    請求項1〜6のいずれか一項に記載のタッチパネル形成用強化ガラス基板の製造方法。
  8. 前記強化ガラス基板の厚さtを0.3〜1.1mmとする、
    請求項1〜7のいずれか一項に記載のタッチパネル形成用強化ガラス基板の製造方法。
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