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JP2014114322A - 速崩性錠剤製造のための医薬製剤 - Google Patents

速崩性錠剤製造のための医薬製剤 Download PDF

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JP2014114322A JP2014031168A JP2014031168A JP2014114322A JP 2014114322 A JP2014114322 A JP 2014114322A JP 2014031168 A JP2014031168 A JP 2014031168A JP 2014031168 A JP2014031168 A JP 2014031168A JP 2014114322 A JP2014114322 A JP 2014114322A
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Abstract

【課題】口内で速やかに崩壊し、口内に心地よい感覚を残し、機械的に非常に安定であり、高い含量均一性が得られる錠剤を提供する。
【解決手段】以下のA)及びB)を含む凝集体の形態である医薬製剤:A)合計すると100重量%となる以下の成分a)〜e)からなる添加剤;a)60〜97重量%の糖又は糖アルコール、b)1〜25重量%の崩壊剤、c)1〜15重量%の水不溶性皮膜形成性ポリマー、d)0〜15重量%の水溶性ポリマー、及びe)0〜15重量%の製薬上慣用される別の添加剤、並びにB)少なくとも1種の活性成分。
【選択図】なし

Description

本発明は、糖又は糖アルコール、崩壊剤及び水不溶性ポリマー、さらに少なくとも1種の活性成分を含む、速崩性錠剤製造のための、凝集体の形態である医薬製剤に関する。
口内で速やかに崩壊及び/又は速やかに溶解する錠剤は、医薬の経口投与において重要性を増しつつある。かかる錠剤は、短時間、好ましくは30秒以内に口腔内で崩壊し、心地よい味でなければならず、またザラザラした感覚を後に残してはならない。さらにそれらは、湿式造粒を凌ぐ顕著な利点を有する直接打錠で容易に製造できるべきであり、また包装工程、輸送及び包装からの取り出しの際にも損傷を受けることなく耐えるために、高い機械的強度を有するべきである。
現在までに記載された製品及び方法は、これらの要件を満たさないか、あるいは非常に不十分なものでしかない。
速崩性錠剤はしばしば、糖もしくは糖アルコール、発泡系、微結晶セルロース及びその他の水不溶性充填剤、リン酸水素カルシウム、セルロース誘導体、コーンスターチ又はポリペプチドからなる。また、水溶性ポリマー、慣用の崩壊剤(架橋型PVP、架橋型カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩及びカルシウム塩、カルボキシメチルスターチのナトリウム塩、低置換度のヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC)並びに実質的に無機の水不溶性成分(シリカ、ケイ酸塩、無機色素)を使用する。さらに、この錠剤は界面活性剤を含んでいてもよい。
国際公開第2003/051338号パンフレット(特許文献1)には、マンニトール及びソルビトールを含む直接打錠可能で容易に圧縮可能な添加物製剤について記載されている。初めにマンニトール及びソルビトールを水に溶解させ、続いて噴霧乾燥(慣用の噴霧乾燥及びSBD法)することにより添加剤のプレミックスを調製する。マンニトールは、この合わせて処理した混合物に加えてもよい。崩壊剤、グライダント(glidant)、色素及び活性成分をさらに含む錠剤は、口腔内で60秒以内に崩壊するとされている。
米国特許出願公開第2002/0071864号明細書(特許文献2)には、口腔内で60秒以内に崩壊し、また噴霧乾燥したマンニトール及び粗粒子の架橋型ポリビニルピロリドンの物理的混合物から主に製剤化される錠剤、並びに活性成分の限られた選択について記載されている。これらの錠剤は、約40 Nの硬度であり、口内に不快でザラザラした感覚を生ずる。
米国特許第6,696,085号明細書(特許文献3)によると、タイプCのメタクリル酸共重合体は、崩壊剤として使用することができる。タイプCのメタクリル酸共重合体は、胃液に対して抵抗性があり、また酸性pH域で不溶性だが、口腔内のpH7のpH域では水溶性となるポリマーである。低硬度(20N未満)に加えて、この錠剤は高い摩損度(7%超)を有し、また粗粒子の崩壊剤を約15重量%という高い割合で有している。従って、これらは低い機械的強度を有しており、また粗粒子の崩壊剤を高い割合で有していることから、口内に不快でザラザラした感覚を生ずる。
欧州特許出願公開第0839526号明細書(特許文献4)には、活性成分、エリトリトール、結晶セルロース及び崩壊剤からなる医薬剤形について記載されている。さらに、マンニトールを配合し、また架橋型ポリビニルピロリドンを崩壊剤として使用することにより、物理的混合物を形成する。この錠剤は口腔内で60秒以内に分解するとされている。
特願2004-265216号(特許文献5)には、口内で60秒以内に崩壊し、また活性成分、水溶性ポリビニルアルコール/ポリエチレングリコール共重合体、糖/糖アルコール(マンニトール)及び崩壊剤からなる錠剤について記載されている。
国際公開第2003/051338号パンフレット 米国特許出願公開第2002/0071864号明細書 米国特許第6,696,085号明細書 欧州特許出願公開第0839526号明細書 特願2004-265216号
本発明の目的は、口内で速やかに崩壊し、口内に心地よい感覚を残し、機械的に非常に安定であり、高い含量均一性が得られる錠剤を提供することであった。
その結果、口内で速やかに崩壊する錠剤の製造のための医薬調製物が見いだされ、この錠剤は、以下を含む凝集体からなる:
A) 合計すると100重量%となる以下の成分a)〜e)からなる添加剤成分;
a) 60〜97重量%の少なくとも1種の糖もしくは糖アルコール又はそれらの混合物、
b) 1〜25重量%の崩壊剤、
c) 1〜15重量%の水不溶性ポリマー、
d) 0〜15重量%の水溶性ポリマー、及び
e) 0〜15重量%の製薬上慣用される別の添加剤、並びに
B) 少なくとも1種の活性成分。
また、かかる凝集体の製造方法が見出された。
さらに、口内で速やかに崩壊し、かかる調製物を含む錠剤が見いだされた。この錠剤は、口内又は水性媒質中で60秒以内、好ましくは30秒以内、特に好ましくは20秒以内に崩壊する。「この錠剤は、37℃でpH7.2のリン酸緩衝液中で崩壊時間が60秒未満である。崩壊時間は、米国薬局方又は欧州薬局方による崩壊試験装置中で測定する。」
添加剤成分A)は、以下の特定の組成を有する:
この医薬調製物は、成分a)として、60〜97重量%、好ましくは70〜95重量%、特に好ましくは75〜93重量%の糖、糖アルコール又はそれらの混合物を含む。好適な糖又は糖アルコールは、トレハロース、マンニトール、エリトリトール、イソマルト、マルチトール、ラクチトール、キシリトール及びソルビトールである。この糖又は糖アルコール成分は、5〜100μmの平均粒度で微細に分割されているのが好ましい。所望により、粉砕することで粒度を調整することができる。好ましい粒度は、30〜50μmである。しかし、30μmより小さい粒度の使用も望ましい。同様に、粒度が異なる画分の混合物、例えば30μm未満の平均粒度を有する30〜70重量%の粒度画分と、30〜50μmの平均粒度を有する30〜70重量%の粒度画分との混合物を含む糖又は糖アルコールを使用するのも望ましい。好ましくは、マンニトール、エリトリトール又はそれらの混合物を使用する。
1〜25重量%、好ましくは2〜15重量%、特に好ましくは3〜10重量%の量の崩壊剤は、成分b)として使用する。この崩壊剤は、好ましくは、架橋型ポリビニルピロリドン、クロスカルメロース、カルボキシメチルスターチナトリウム及びL-ヒドロキシプロピルセルロースからなる群より選択される。本発明においてクロスカルメロースは、架橋型カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩及び/又はカルシウム塩を意味する。好ましくは、L-ヒドロキシプロピルセルロースは、5〜16%のヒドロキシプロポキシ基を有する。
架橋型ポリビニルピロリドンは、特に好ましい。かかる架橋型ポリビニルピロリドンは水不溶性であるが、皮膜形成性ではない。この架橋型ポリビニルピロリドンは、2〜60μm、好ましくは50μm未満、特に好ましくは30μm未満の平均粒度を有してもよい。6.5g/g超の水和容量を有する架橋型ポリビニルピロリドンは、特に非常に好ましい。ここで、水和容量は、以下の方法によって測定する:2gのポリマーを遠心管に秤量して入れ、40 mlの水で15分間膨潤させる。その後、遠心分離を2000 rpmで15分間行い、上清液をできる限り完全に除く。
水和容量=(最終重量−風袋重量)/初期重量。
この製剤では、架橋型ポリビニルピロリドンが有する高い水和容量によって、非常に速やかに崩壊し、また口内が特に柔らかい感覚となる。
1〜15重量%、好ましくは1〜10重量%の量の水不溶性ポリマーが、成分c)として使用される。これらはポリマーである。好ましいポリマーは、1〜14のpH域で不溶性のポリマー、即ちあらゆるpHでpHに関係なく水不溶性であるポリマーである。しかし、6〜14のpH域において、いかなるpHでも水不溶性であるポリマーもまた好適である。
このポリマーは、皮膜形成性ポリマーであるべきである。本明細書において皮膜形成性とは、そのポリマーが水性分散液中で-20〜+150℃、好ましくは0〜100℃の最低皮膜形成性温度を有することを意味する。
好適なポリマーは、ポリ酢酸ビニル、エチルセルロース、メタクリル酸メチル/アクリル酸エチル共重合体、アクリル酸エチル/メタクリル酸メチル/メタクリル酸トリメチルアンモニウムエチル三元共重合体である。メタクリル酸ブチル/メタクリル酸メチル/メタクリル酸ジメチルアミノエチル三元共重合体である。
アクリレート/メタクリレート共重合体については、欧州薬局方にはPolyacrylate Dispersion 30%として、米国薬局方にはAmmonio Methacrylate Copolymerとして、また日本薬局方にはAminoalkyl Methacrylate Copolymer Eとしてより詳細に記載されている。ポリ酢酸ビニルは、成分c)として使用するのが好ましい。これは、10〜45重量%の固体成分を有する水性分散液として使用してもよい。また、好ましいポリ酢酸ビニルは、100,000〜1,000,000ダルトン、特に好ましくは200,000〜800,000ダルトンの分子量を有するものである。
さらにこの製剤は、0〜15重量%の量の水溶性ポリマーを成分d)として含んでもよい。好適な水溶性ポリマーは、例えばポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール/ポリエチレングリコールグラフト共重合体、ポリエチレングリコール、エチレングリコール/プロピレングリコールブロック共重合体、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カラギーナン、ペクチン、キサンタン及びアルギン酸塩である。
所望により、この製剤から得られた錠剤の香味及び外観は、例えば酸性化剤、緩衝物質、甘味剤、香味剤、香味増強剤及び着色剤等の製薬上慣用の添加剤(成分e))を、0〜15重量%の量で加えることによりさらに改良することができる。次の物質は本発明で特に好適である:クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸、リン酸二水素ナトリウム、チクロ、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、メントール、ペパーミント香味剤、果実香味剤、バニラ香味剤、グルタミン酸塩、リボフラビン、ベータカロチン、水溶性着色剤及び微細に分割されたレーキ顔料。
高分子量の多糖類等の増粘剤を加え、柔らかさ及びボリューム感を増すことにより、口内での感覚をさらに改良することができる。
また、界面活性剤も成分e)として加えてもよい。好適な界面活性剤は、例えばラウリル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチル、アルコキシ化されたソルビタンエステル、例えばポリソルベート80、ヒマシ油又は水素化ヒマシ油のポリアルコキシ化された誘導体、例えばCremophor(登録商標)RH40、アルコキシ化された脂肪酸、アルコキシ化されたヒドロキシル脂肪酸、アルコキシ化された脂肪アルコール、脂肪酸のアルカリ金属塩及びレシチンである。
また、微細に分割された色素は、崩壊をさらに改良するために加えてもよいが、それは、その色素が内部界面を増大させ、その結果水がより速やかに錠剤内に浸透することができるからである。酸化鉄、二酸化チタン、コロイド状もしくは沈降シリカ、炭酸カルシウム又はリン酸カルシウム等のこれらの色素は、当然非常に微細に分割しなければならないが、それは、もしそうしなければザラザラした風味が再び生じてしまうからである。
原則的に全ての活性成分を、活性成分B)として用いることができる。好ましくは、下記の活性成分を用い、特に好ましくは、記載されている用量で用いる。
ゾルミトリプタン2.5mg、リザトリプタン5mg、塩酸ジフェンヒドラミン(テイストマスク(taste-masked))20mg、ブロムフェニラミン5mg、クロルフェニラミン5mg、プソイドエフェドリン(テイストマスク)30mg、
パラセタモル(テイストマスク)250mg、イブプロフェン(テイストマスク)200mg、
アセチルサリチル酸250mg(テイストマスク)、硫酸ヒヨスチアミン0.125mg、ミルタザピン15mg、
塩酸セレギリン1.25mg、オンダンセトロン4mg、オランザピン5mg、クロナゼパム1mg、塩酸セチリジン10mg、デスロラタジン5mg、マレイン酸エナラプリル5mg、マレイン酸ドンペリドン10mg、スコポラミン0.25mg、
オキサゼパム15mg、ロラゼパム2.5mg、クロザピン25mg、メシル酸ジヒドロエルゴタミン5mg、
ニセルゴリン5mg、フロログルシノール80mg、メトピマジン7.5mg、トリアゾラム0.5mg、プロチゾラム0.5mg、
トラマドル50mg、酒石酸ゾルピデム5mg、シサプリド5mg、リスペリドン2mg、アジスロマイシン100mg(テイストマスク)、ロキシスロマイシン50mg(テイストマスク)、
クラリスロマイシン125mg(テイストマスク)、エリスロマイシンエストレート250mg(テイストマスク)、アポモルフィン20mg、フェンタニル0.6mg。
活性成分の混合物もまた、用いることができる。特に好適な混合物は:パラセタモル又はイブプロフェン又はアセチルサリチル酸とプソイドエフェドリン、パラセタモル又はイブプロフェン又はアセチルサリチル酸とジフェンヒドラミン又はクロルフェニラミン又はブロムフェニラミン又はロラタジンである。
本明細書で記載される用量は、医薬品当たりの各活性成分の絶対量を表す。この出来上がった医薬剤形における添加剤成分及び活性成分の濃度は、その医薬剤形の大きさによって変わる。錠剤の場合、通常の錠剤の重さは、50〜1000mg、好ましくは80〜600mgである。
活性成分は、慣用のテイストマスクコーティングを施すこともできる。そのようなコーティングをするのに好適なポリマーは:アミノアルキルメタクリレート共重合体E(Eudragit E又はEPO)、種々の製剤におけるポリビニルアルコール(Opadry AMB、Kollicoat Protect)、水不溶性ポリマー、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ(メタ)アクリレート(Eudragit NE 30 D、NM 30D、RL、RS、RD、Kollicoat EMM 30 D)、エチルセルロースと水溶性又は水膨潤性の低分子量又は高分子量の物質(ポビドン、コポビドン、HPMC、HPC、ポリエチレングリコール、ポロクサマー、ポリエチレングリコール−ポリビニルアルコールグラフト共重合体、糖、糖アルコール、有機塩又は無機塩)との組み合わせ、水溶性皮膜形成体(ポリエチレングリコール−ポリビニルアルコールグラフト共重合体、HPMC、ポリビニルアルコール)と脂肪、ろう、脂肪酸及び脂肪アルコールとの組み合わせである。
本発明の製剤は、混合機、流動床装置又は噴霧塔内での凝集化によって製造することができる。初めに、固体の出発材料及び造粒液を互いに混合し、その後湿気を含んだ混合材料を乾燥する。本発明において、用いられる造粒液は成分c)、即ち水不溶性ポリマーの水性分散液である。
本発明の一実施形態では初めに、糖又は糖アルコール、崩壊剤、また所望により、成分d)及びe)と共に、1種以上の活性成分を流動床に導入する。
流動床内での凝集の間、水不溶性ポリマー(成分c))の水性分散液を、糖又は糖アルコール、崩壊剤、活性成分、また適切ならば、さらに成分d)及びe)との流動化混合物上に噴霧すると、微細な粒子が凝集する。入口空気の温度は30〜100℃であり、排気の温度は20〜70℃である。
この凝集化では特に、別の成分e)として以下の添加剤を配合することができる:着色剤、甘味剤、香味剤、別の崩壊剤、炭酸塩、重炭酸塩、酸性化剤又は別の添加剤。無機色素、有機レーキ顔料又は水溶性着色剤を用いることができる場合の着色剤の使用によって、例えば、均一に着色された速崩性錠剤が得られる。好適な着色剤は、例えば、リボフラビン、ベータカロチン、アントシアン、カルミン、インジゴカルミン、オレンジイエローS、キノリンイエロー、インジゴチンレーク、ブリリアントブルー、サンセットイエローである。これらの別の物質は、流動床中に固形で初めに投入することできるか、あるいは成分c)の分散液中に溶解もしくは分散させることができる。この分散液がかかる物質と適合しないならば、その物質は、成分c)の分散液で凝集化する前もしくは後に、溶液又は懸濁液として噴霧することができる。
噴霧塔内での製造では、いわゆるFSD法又はSBD法(FSD:流動噴霧乾燥(fluidized spray drying);SBD:噴霧床乾燥(spray bed drying))を使用するのが好ましい。この場合、初めに糖又は糖アルコールの水溶液を噴霧乾燥し、崩壊剤の添加及び水不溶性ポリマーの水性分散液の噴霧注入を、噴霧乾燥機の下部又は連結された流動床内で行なうと、粒子が凝集する。特定の別の実施形態では、糖又は糖アルコールの水溶液にこの崩壊剤を分散させ、上記の通りこの工程を行なう。微細粒子はさらに、糖又は糖アルコール溶液の噴霧ノズルの前方で再度吹き付けることができ、さらに凝集させることができる。糖又は糖アルコールの結晶形から出発する手順もまた、噴霧塔内でのFSD又はSBDで可能である。結晶性の糖又は糖アルコールは、噴霧塔の頂部で、又は微細材料の循環流の中に加える。水不溶性ポリマーの水性分散液を噴霧することによって、噴霧塔内でこの結晶固体を凝集させる。
多段階の噴霧工程を行なうことが、この凝集工程に有利であることが分かるであろう。最初に、噴霧速度を低速に維持することで、初めに投入した生成物が過剰に湿潤すること、またその結果生じるそれらの接着を回避する。この工程の持続時間を長くすると共に、噴霧速度を高めることができ、それにより凝集傾向を増大させることができる。また、この工程中に入口空気の流速及び/又は温度を適切な方法で適応させることもできる。特に乾燥段階の間は、入口空気の流速を低下させ、その結果高い機械的負荷により凝集体が摩耗するのを回避することが有利となる。
結合剤溶液又は分散液の噴霧滴の微細度(噴霧ガス圧を介して調整可能)、ノズルの幾何的形状及びノズルから生成物床までの距離は、凝集体粒度についての別の適応パラメーターとしてみなすことができる。噴霧がより微細にかつより均一になるほど、結果として生じる凝集体はより微細にかつより均一となる。ノズルを生成物床から離すほど、凝集挙動はより乏しくなる。
また、混合しながら連続的に凝集化することにより、混合機中で凝集化することもできる。混合しながらの凝集というそのような連続的な形態は、いわゆる「シュギ式造粒(Schugi granulation)」である。この方法では、連続作動式の垂直配置された高速混合機中で、固体の出発材料及び水不溶性ポリマーを含む造粒液を互いに完全に混合する(M. Bohnet, “Mechanische Verfahrenstechnik”, Wiley VCH Verlag, Weinheim、2004, 198頁以下も参照のこと)。
特定の実施形態では、水不溶性ポリマーの水性分散液中に崩壊剤を懸濁させる。
こうして得られた凝集体は、100〜600μm、好ましくは120〜500μm、特に好ましくは140〜400μmの平均粒度を有する。水不溶性の皮膜形成性ポリマーは、微細な糖又は糖アルコール結晶、活性成分粒子及び崩壊剤、また適切ならば、別の添加剤をより大きな粒子に凝集させるための凝集剤となる。
本発明の別の実施形態では、初めに添加剤成分A)を凝集化し、続いて別の造粒工程において1種以上の活性成分と共に凝集化することができる。
この実施形態の別の形態では、この凝集化させた添加剤成分及び活性成分を初めに流動床に導入し、結合剤溶液を用いて造粒する。この結合剤溶液は、結合剤としてこの場合、成分d)の群から選択される水溶性ポリマーを含む。好ましくは、水溶液である。結合剤濃度は、1〜40重量%となりうる。
好ましい結合剤は、12〜120のFikentscher K値、特にK30を有する水溶性ポリビニルピロリドン、30〜70重量%、好ましくは40〜60重量%のN-ビニルピロリドンと30〜70重量%、好ましくは40〜60重量%の酢酸ビニルからなるビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、また、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール及びポリビニルアルコールのグラフト共重合体、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、並びにゼラチンである。
第二の別の実施形態では、初めに凝集化した添加剤成分を流動床に導入し、活性成分を上記の結合剤溶液に配合する。
水溶性結合剤(成分d))が好ましくは0.2〜10重量%の量で、前もって凝集化した添加剤成分中に既に存在する別の実施形態において、用いられる造粒液は、ポリマー結合剤を含まない水である。成分e)の群からの他の添加剤は、この場合、造粒のために用いられるその水に添加することができる。さらに、該糖又は糖アルコールの1種をその水に添加することが望ましいこともある。
添加剤成分を初めに凝集化する実施形態のこれら別の実施形態の全てで用いられる装置及び加工パラメーターは、添加剤成分及び活性成分を同時に凝集させる上記の場合と同じである。
有利には、使用前にグラス一杯の水で崩壊する錠剤の製造のために、本発明の製剤を用いることができる。そのままの状態で飲まれる錠剤の製造も、当然可能である。
これらの錠剤の製造のためには、特別な利点をもつ直接打錠及びローラー成形(roll compacting)といった慣用の加工法を使用することができる。本発明の製剤の特別な性質のおかげで一般的に、活性物質、本発明の製剤及び滑沢剤のみで足りる。従って、この錠剤製剤は、非常に簡素でかつ非常に再現性があり、またその加工法は検証が容易となる。
驚くべきことに、水不溶性の皮膜形成性ポリマーは錠剤の崩壊を大幅に加速することが見出された。かかるポリマーは一般的に、数時間以内には崩壊しない徐放性の医薬剤形の製造に使用するので、このことはいっそう驚きである。水不溶性ポリマーとしてポリ酢酸ビニルを使用する際の崩壊時間は、水溶性ポリマーの場合よりも顕著に短くなる。
さらに、本発明の製剤は、極めて良好な流動性および圧縮性を有しており、それにより機械的に非常に安定な錠剤となる。本発明の医薬製剤を用いて製造した錠剤の硬度は、40Nを超える。この硬度はしばしば、圧縮が難しい活性成分の使用によってさえも60Nを超える。摩損度は0.2%未満である。従って、通常行なわれる錠剤の取り扱いでは、損傷は生じない。
微細な架橋型ポリビニルピロリドンのおかげで、錠剤を湿性条件下で保存する際に、その表面は実質的に変化しない。粗い架橋型ポリビニルピロリドンとは対照的に、粒子が非常に膨潤するため突起の形成は起こらない。従って、本発明の製剤は保存中に非常に安定であり、かつその魅力のある外観を保持する。
活性成分の粒子は、造粒を通して添加剤粒子に強固に結合し、もはや分離することができなくなる。錠剤、特に少ない活性成分をもつ錠剤の含量均一性は、そのことによって顕著に改善する。この錠剤特性の再現性は、顕著に改善する。この方法において、添加剤と比較して大きく異なる物理化学的特性をもつ活性成分を加工することができる。このことは粒子が強い摩損度を有するため予想されていたことだが、驚くべきことに、活性成分と共に造粒することによって溶解速度の遅延が生じなくなる。
医薬調製物は、他の医薬剤形中でも用いることができ、別の医薬剤形は例えば、小袋又は計量装置付属の顆粒容器である。
製造は、初めにより低い噴霧速度を選択し、続いて噴霧速度を増加させる、二段階の凝集工程によって行なった。以下の製造条件を二段階の凝集工程で用いた:
バッチサイズ:0.6kg
水性結合剤溶液/分散液の濃度:20重量%
入口空気温度:50℃
排気温度:30℃
最初の噴霧速度(10分):15g/min
調整後の噴霧速度:20g/min
使用した崩壊剤は:BASF社製のKollidon CL-SF:17μmの平均粒度をもつ架橋型ポリビニルピロリドン(クロスポビドン)であった。
使用したポリ酢酸ビニルは:BASF社のKollicoat SR 30 D:2.7重量%のポリビニルピロリドン及び0.3重量%のドデシル硫酸ナトリウムで安定化されている、市販の水性ポリ酢酸ビニル分散液であった。
BASF社製のKollicoat(登録商標)IR:75重量%のポリビニルアルコール及び25重量%のポリエチレングリコールからなる市販のグラフトポリマー、平均分子量45,000 D。
BASF社製のKollidon(登録商標)VA64:コポビドン、60重量%のNVP及び40重量%のVAcからなるコポリマー。
表1:凝集体A〜Eの組成(重量%)
Figure 2014114322
このようにして製造した凝集体を、ターブラーミキサー中で10分間、2.0重量%の滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム)と共に混合した。続いてこれらの混合物を、十分な機器を備えた偏心圧縮機(Korsch XP1)で、300mgの重量、10mmの直径及び40〜55Nの硬度をもつ錠剤に圧縮した。
この錠剤について、硬度(HT-TMB-Cl-12 F、Kraemer社製の錠剤試験機)、pH 7.2のリン酸緩衝液中の崩壊時間(ZT 74崩壊試験機、Erweka社)及びpH1.2の模擬胃液中の放出速度(放出装置、Erweka社)を調べた。
表2:製剤A〜Eの錠剤特性
Figure 2014114322
前もって凝集化させた添加剤成分と活性成分との造粒
速崩性添加剤を、マンニトール(90重量%)及び架橋型PVP(5重量%)とポリ酢酸ビニル(5重量%)との流動床凝集化により製造した。このようにして製造した生成物を、各場合で、前もって凝集化させた添加剤及び活性成分と共にさらなる造粒工程に供し、ここで、第一の試験では初めに、前もって凝集化させた添加剤及び活性成分を導入し、続いて結合剤溶液によって造粒し、また第二の別の試験では、前もって凝集化させた添加剤のみ初めに導入し、活性成分を結合剤溶液に配合した。
使用した造粒法は、流動床処理及び混合造粒の両方であった。原則的に、全ての造粒法を用いることができる。結合剤は乾燥して混合することもでき、続いて水を噴霧又は添加することができる。
特定の実施形態では、水の添加のみによって、活性成分と共に速崩性添加剤を造粒した。この場合、糖又は糖アルコールを水に添加することによって造粒効果を改善することができた。
別の実施形態1に対して記載されたのと同様な方法で、この造粒の際、着色剤、甘味剤、香味剤、別の崩壊剤、炭酸塩、重炭酸塩、酸性化剤又は別の添加剤を用いることもできる。
表3:加工パラメーター
Figure 2014114322
表4:凝集体F〜Jの組成(重量%)
Figure 2014114322
造粒後に、混合造粒から生じた顆粒を1mmの篩にかけ、室温で一晩トレイ上にて乾燥させた後、0.8mmの篩に通した。
こうして製造した凝集体を、2.0重量%の滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム)と共に混合し、例F及びJでは、追加の3%コリドンCL-SFも混合し、その後、回転式錠剤圧縮機(Korsch XL 100)で40〜50Nの硬度を有する錠剤に圧縮した。
この錠剤について、硬度(HT-TMB-Cl-12 F、Kraemer社製の錠剤試験機)、pH 7.2のリン酸緩衝液中の崩壊時間(ZT 74崩壊試験機、Erweka社)及びpH1.2の模擬した胃液中の放出速度(放出装置、Erweka社)を調べた。
表5:製剤F〜Jの錠剤特性
Figure 2014114322

Claims (22)

  1. 以下のA)及びB)を含む凝集体の形態である医薬製剤:
    A) 合計すると100重量%となる以下の成分a)〜e)からなる添加剤成分;
    a) 60〜97重量%の糖又は糖アルコール、
    b) 1〜25重量%の崩壊剤、
    c) 1〜15重量%の水不溶性皮膜形成性ポリマー、
    d) 0〜15重量%の水溶性ポリマー、及び
    e) 0〜15重量%の製薬上慣用される別の添加剤、並びに
    B) 少なくとも1種の活性成分。
  2. 以下のA)及びB)を含む請求項1に記載の医薬製剤:
    A) 合計すると100重量%となる以下の成分a)〜e)からなる添加剤成分;
    a) 60〜97重量%の糖又は糖アルコール、
    b) クロスポビドン、クロスカルメロース、カルボキシメチルスターチナトリウム及びL-ヒドロキシプロピルセルロースからなる群より選択される、1〜25重量%の崩壊剤、
    c) 1〜15重量%の水不溶性皮膜形成性ポリマー、
    d) 0〜15重量%の水溶性ポリマー、及び
    e) 0〜15重量%の製薬上慣用される別の添加剤、並びに
    B) 少なくとも1種の活性成分。
  3. 凝集体の平均粒度が100μm〜600μmである、請求項1又は2に記載の医薬製剤。
  4. 糖アルコールとしてマンニトールもしくはエリトリトール又はそれらの混合物を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬製剤。
  5. クロスカルメロースをナトリウム塩又はカルシウム塩として含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬製剤。
  6. 5〜16%のヒドロキシプロポキシ基を有するL-ヒドロキシプロピルセルロースを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の医薬製剤。
  7. 崩壊剤としてクロスポビドンを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の医薬製剤。
  8. 水不溶性皮膜形成性ポリマーとしてポリ酢酸ビニルを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の医薬製剤。
  9. 水不溶性皮膜形成性ポリマーであるポリ酢酸ビニルを水性分散液の形態で用いる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の医薬製剤。
  10. ポリビニルピロリドンを水溶性ポリマーとして用いる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の医薬製剤。
  11. 酸性化剤、甘味剤、香味剤、香味増強剤、着色剤、増粘剤、界面活性剤及び微細に分割した色素を製薬上慣用される別の物質として用いる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の医薬製剤。
  12. 以下のa)〜e)からなる添加剤成分A)を有する凝集体を含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の医薬製剤:
    a) 70〜95重量%の糖又は糖アルコール、
    b) 2〜15重量%の崩壊剤、
    c) 1〜10重量%の水不溶性皮膜形成性ポリマー、
    d) 0〜10重量%の水溶性ポリビニルピロリドン、及び
    e) 0〜15重量%の製薬上慣用される別の添加剤。
  13. 以下のa)〜e)からなる添加剤成分A)を有する凝集体を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の医薬製剤:
    a) 75〜95重量%のマンニトールもしくはエリトリトール又はそれらの混合物、
    b) 3〜10重量%の崩壊剤、
    c) 1〜10重量%のポリ酢酸ビニル、
    d) 0〜5重量%の水溶性ポリビニルピロリドン、及び
    e) 0〜15重量%の製薬上慣用される別の添加剤。
  14. 錠剤が60秒未満の崩壊時間を有する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の医薬製剤を用いて得られた錠剤。
  15. 錠剤が40Nより大きい硬度を有する、請求項14に記載の錠剤。
  16. 全錠剤重量に基づいて20〜99重量%である請求項1〜13のいずれか1項に記載の医薬製剤を含む、請求項14又は15に記載の錠剤。
  17. 別の添加剤を含む、請求項14〜16のいずれか1項に記載の錠剤。
  18. 水の存在下で以下のA)及びB)を凝集化することを含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の医薬製剤を製造するための方法:
    A) 合計すると100重量%となる以下の成分a)〜e)からなる添加剤成分:
    a) 60〜97重量%の糖又は糖アルコール、
    b) 1〜25重量%の崩壊剤、
    c) 1〜15重量%の水不溶性皮膜形成性ポリマー、
    d) 0〜15重量%の水溶性ポリマー、及び
    e) 0〜15重量%の製薬上慣用される別の添加剤、並びに
    B) 少なくとも1種の活性成分。
  19. 糖又は糖アルコールa)、崩壊剤b)及び活性成分B)を、水不溶性ポリマーc)の水性分散液と共に凝集化する、請求項18に記載の方法。
  20. 水不溶性ポリマーの水性分散液が懸濁した崩壊剤をさらに含む、請求項18又は19に記載の方法。
  21. 添加剤成分A)を第一工程で凝集化し、続いて得られた凝集体を第二工程で活性成分B)と共に凝集化する、請求項18に記載の方法。
  22. 凝集化が流動床造粒機、混合機又は噴霧塔で起こる、請求項18〜21のいずれか1項に記載の方法。
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