JP2014192043A - リチウムイオン電池の製造装置および製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】リチウムイオン電池の製造装置のフットプリントの低減化を図る。
【解決手段】正極用の電極層が形成された正極シートと負極用の電極層が形成された負極シートとがセパレータ層を介して交互に積層された積層体を備えるリチウムイオン電池の製造装置であり、電極箔1を搬送する搬送機構を有している。さらに、電極材料を電極箔1上に塗布する塗工部2と、電極材料に固化液8bを供給する固化室8と、乾燥を行う乾燥室6とを有し、搬送機構により、固化室8の電極箔1cは、乾燥室6の電極箔1dよりも下方側で、電極箔1dと鈍角を形成するように配置される。
【選択図】図1
【解決手段】正極用の電極層が形成された正極シートと負極用の電極層が形成された負極シートとがセパレータ層を介して交互に積層された積層体を備えるリチウムイオン電池の製造装置であり、電極箔1を搬送する搬送機構を有している。さらに、電極材料を電極箔1上に塗布する塗工部2と、電極材料に固化液8bを供給する固化室8と、乾燥を行う乾燥室6とを有し、搬送機構により、固化室8の電極箔1cは、乾燥室6の電極箔1dよりも下方側で、電極箔1dと鈍角を形成するように配置される。
【選択図】図1
Description
本発明は、リチウムイオン電池の製造装置および製造方法に関するものである。
リチウムイオン電池は、正極シートと負極シートがセパレータを介して交互に積層された積層体が電解液とともに外装体内に封入された二次電池である。外装体には、円筒型もしくは角型の缶やAl(アルミニウム)などを基体としたラミネートフィルムなどが用いられる。リチウムイオン電池の製造方法や外観は、外装体の構造や種類によって大きく異なるが、いずれの外装体が用いられる場合であっても、電池を動作させるための基本的な構成要素は共通である。
すなわち、正極シートは、電極箔の片面または両面に電極材料(正極活物質)からなる電極層が設けられた基本構造を有し、負極シートは、電極箔の片面または両面に電極材料(負極活物質)からなる電極層が設けられた基本構造を有する。正極シート上の電極層と負極シート上の電極層との間には、両電極層が短絡することを防ぐためにセパレータ層が設けられる。リチウムイオン電池は、正極シート、セパレータ、負極シートからなる積層体を形成し、その積層体を、リチウムイオンを含む電解液とともに外装体内に封入して製造される。
このようなリチウムイオン電池の製造方法に関しては、その一例が特許文献1(特開2006−73234号公報)に記載されている。特許文献1における電極製造工程の概要について、正極を例に説明すると以下のようになる。
まず、正極活物質の粉末原料、導電材粉末、バインダー溶液および有機溶剤などを混練してスラリー状のペースト(電極材)を生成し、このペーストをダイコーターなどの塗工手段を用いて集電用アルミ電極箔上に薄く、均一に塗布する。その後、塗布したペーストを乾燥させて電極膜(上記電極層に相当)を形成する。次に、電極膜を所定の厚さに調整するためのカレンダー処理(ロールで潰して延伸させる処理)または電極膜を所定の形状に加工するためのスリット加工などを経て、リチウムイオン電池用の電極を形成する。
上記したように、リチウムイオン電池の製造工程では、ペースト状の電極材料の製造、電極箔への電極材料の塗布および乾燥を含む一連の工程を経て、またはこれらの工程を組み合わせて電極層が形成された電極シートを形成する必要がある。
上記一連の工程のうち、乾燥工程においては、電極材料を高温で乾燥させるが、その際、電極材料を短時間で高温で乾燥させると、電極材料に含まれる活物質を結合させるバインダーが電極材料の表面に偏析する。その結果、電極材料と電極箔の密着性が悪くなるという現象が起こる。
したがって、バインダーが偏析しないように、電極材料の温度を徐々に上げて電極箔に塗布された電極材料を乾燥させる方法を採用することが考えられる。しかしながら、この場合、乾燥工程で使用される乾燥炉(乾燥部)の長さが長くなり、リチウムイオン電池の製造装置が大型化する。
そこで、本願発明者は、図7に示すような第1比較例のリチウムイオン電池の製造装置について検討した。
図7は、第1比較例としてのリチウムイオン電池の製造装置を構成する電極製造装置の構造を模式的に示した概略図である。図7に示す製造装置では、リチウムイオン電池の正極または負極を構成する電極層を形成するために用いる電極材料を、塗工部20に設置されたダイコーター(塗工手段)30を用いて、集電用電極箔ロール40から供給される電極箔1の表面に薄く均一に塗布する。
続いて、電極箔1の裏面に接しながら電極箔1を一定速度で搬送するローラー搬送系50を用いて、電極材料が塗布された電極箔1を固化室80に搬送する。固化室80では、電極箔1上に塗布された電極材料に対して、ノズル80aから固化液を供給し、電極材料に含まれる溶剤の濃度を低下させてバインダーを析出させる。
続いて、ローラー搬送系50によって電極箔1を乾燥室60に搬送する。その後、乾燥室60内で電極材料中の溶剤成分を加熱蒸発させることにより電極材料を乾燥させ、電極層を形成する。乾燥工程を経た電極箔1を巻き取った電極箔ロール70は、次工程に供給される。
つまり、図7に示す製造装置では、乾燥室60の前段に、電極箔1上に塗布された電極材料に含まれるバインダーを析出させる固化室(固化部)80が設けられており、これにより、乾燥室(乾燥炉、乾燥部)60の長さを短くした構造となっている。
ところが、図7に示す製造装置では、乾燥室60の前段に設けられた固化室80で、固化液を電極箔1上の電極材料に噴霧または液浸などで供給する必要があるが、廃液を回収するためには、大型化を図った固化液回収用のパン(容器)80bの設置が必要になる。もしくは広範囲に亘って固化液回収用のパン80bの設置が必要になる。
すなわち、電極箔1は水平方向に移動するため、ノズル80aから供給された固化液の廃液も水平方向に移動し易く、したがって、大型化または広範囲に対応した固化液(廃液)回収用のパン80bを設置しなければならない。一方、噴霧によって固化液を散布する方法を採用した場合には、固化液の装置(固化室80)内での拡散を防止するための大型チャンバーが必要となる。
その結果、リチウムイオン電池の製造装置のフットプリント(設置面積)が大型化し、上記製造装置のコストの増加を招き、これにより、供給する材料の量も増加するため、製造コストの増加を招くという課題を見出した。
なお、固化液の浸透性を高めるために、大量の固化液が必要となるが、噴霧を採用した場合、大量の固化液を噴霧することになり、固化液の均一性を保つことが困難なことも見出した。
また、固化液は、粘度が低い。したがって、生産中に高速で移動する電極箔1上に塗布された電極材料の上に固化液を均一に保持することは困難であり、その結果、固化液の浸透分布にムラが発生し、リチウムイオン電池の品質を低下させることを見出した。
本発明の目的は、フットプリントの低減化および製造コストの低減化を図ることができるリチウムイオン電池の製造装置、およびリチウムイオン電池の製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、固化液の塗布の均一性および浸透性を向上してリチウムイオン電池の品質を向上させることができるリチウムイオン電池の製造装置、およびリチウムイオン電池の製造方法を提供することにある。
本発明の前記の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される実施の形態のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
一実施の形態であるリチウムイオン電池の製造装置は、正極シートと負極シートとがセパレータ層を介して交互に積層された積層体を備えるリチウムイオン電池の製造装置であり、電極箔を搬送する搬送機構と、電極材料を電極箔の上に塗布する塗布部と、電極箔の上に塗布された電極材料の表面に固化液を供給する固化部と、電極材料を乾燥させて電極層を形成する乾燥部と、を有している。さらに、搬送機構により、固化部における電極箔は、乾燥部における電極箔の位置よりも下方側で、かつ乾燥部の電極箔と鈍角を形成するように配置されるものである。
また、一実施の形態であるリチウムイオン電池の製造方法は、正極シートと負極シートとがセパレータ層を介して交互に積層された積層体を備えるリチウムイオン電池の製造方法であり、電極材料を電極箔の上に塗布する塗布工程と、電極箔の上に塗布された電極材料の表面に固化液を供給する固化工程と、固化液が供給された電極材料を乾燥させて電極層を形成する乾燥工程と、を有している。さらに、固化工程において、電極箔が、乾燥工程における電極箔の位置よりも下方側で、かつ乾燥工程における電極箔と鈍角を形成するように配置された状態で固化液を供給するものである。
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
本発明によれば、フットプリントの低減化および製造コストの低減化を図ることができるリチウムイオン電池の製造装置を提供することができる。
また、本発明によれば、フットプリントの低減化および製造コストの低減化を図ることができるリチウムイオン電池の製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、固化液の塗布の均一性および浸透性を向上してリチウムイオン電池の品質を向上させることができるリチウムイオン電池の製造装置を提供することができる。
また、本発明によれば、固化液の塗布の均一性および浸透性を向上してリチウムイオン電池の品質を向上させることができるリチウムイオン電池の製造方法を提供することができる。
以下の実施の形態では特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
さらに、以下の実施の形態では便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明などの関係にある。
また、以下の実施の形態において、要素の数など(個数、数値、量、範囲などを含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではない。さらに、特定の数以上でも以下でも良いものとする。
また、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
また、以下の実施の形態において、構成要素等について、「Aからなる」、「Aよりなる」、「Aを有する」、「Aを含む」と言うときは、特にその要素のみである旨明示した場合等を除き、それ以外の要素を排除するものでないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲等についても同様である。
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
(実施の形態)
本実施の形態に係る製造方法または製造装置によって製造されるリチウムイオン電池は、正極シートと負極シートとがセパレータ層を介して交互に積層された積層体が電解液とともに外装体(例えば、円筒型の容器)内に封入された二次電池である。なお、正極シートには、正極用の電極層が形成され、一方、負極シートには、負極用の電極層が形成されている。
本実施の形態に係る製造方法または製造装置によって製造されるリチウムイオン電池は、正極シートと負極シートとがセパレータ層を介して交互に積層された積層体が電解液とともに外装体(例えば、円筒型の容器)内に封入された二次電池である。なお、正極シートには、正極用の電極層が形成され、一方、負極シートには、負極用の電極層が形成されている。
以下の説明では、正極シートおよび負極シートを総括して「電極シート」と呼ぶ。また、電極層を形成するために電極箔の表面に塗布されるペースト状の材料を「電極材料」と呼び、セパレータ層を形成するために基材または電極層の上に塗布されるペースト状の材料を「セパレータ材料」と呼ぶ。さらに、電極材料とセパレータ材料を総括して「ペースト」と呼ぶ。本願でいう電極材料およびセパレータ材料は、バインダー溶液および有機溶剤などの液体を含み、流動性を有する液状の物質である。また、以下の説明で「電極箔の表面」という場合は、電極箔の表側の面および裏側の面を含めた全面ではなく、表側の面のみを指すものとする。
なお、リチウムイオン電池の正極または負極を構成する電極層を形成するために用いる電極材料は、例えば、活物質粉末、導電材粉末、およびこれらの粉末を結着するためのバインダー材等を、有機溶剤に分散させた高粘度スラリー状の液体である。上記有機溶剤は、例えば、N−メチルピロリドン(NMP)などである。
次に、本実施の形態におけるリチウムイオン電池の製造装置およびリチウムイオン電池の製造方法について、図1を参照しながら説明する。図1は本発明の実施の形態におけるリチウムイオン電池の製造装置を構成する片面塗布型の電極製造装置の構造の一例を示す概略図である。
まず、図1に示す片面塗布型の上記電極製造装置について説明する。
上記電極製造装置は、電極箔(集電箔ともいう)1を搬送する複数のローラー(搬送機構)5と、電極材料を電極箔1の上に塗布する塗工部(塗布部)2と、上記電極材料を乾燥させて上記電極層を形成する乾燥室(乾燥部)6とを有している。さらに、塗工部2と乾燥室6の間に、電極箔1の上に塗布された上記電極材料の表面に固化液8bを供給する固化室(固化部)8を有している。
すなわち、本実施の形態の上記電極製造装置は、電極箔1の搬送方向Sの乾燥室6の前段(上流側)に固化室8が設けられたものであり、これにより、乾燥室6の長さを比較的短くしている。これは、固化室8では、電極箔1の上に塗布された上記電極材料の表面に固化液8bを供給して上記電極材料の固化処理を行うことで、乾燥時間を短縮することが可能になり、その結果、乾燥室6の長さを比較的短くすることができるものである。
なお、上記電極材料は、水と相溶な溶剤および水に難溶なバインダーを含むものである。そこで、固化室8では、固化液8bを上記電極材料の表面に塗布することで、上記電極材料に含まれる溶剤の濃度を低下させて上記バインダーを析出させており、これにより、乾燥時間を短縮することが可能になる。
したがって、巻き出し機である集電用電極箔ロール4から送り出された電極箔1は、塗工部2で上記電極材料が塗布され、その後、固化室8で上記電極材料の表面に固化液8bが供給される。さらに、乾燥室6に搬送されて乾燥が行われ、これにより、電極箔1上に上記電極層が形成され、その後、巻き取り機である電極箔ロール7に巻き取られる。そして、電極箔ロール7に巻き取られた電極箔1は、次工程に搬送される。
また、電極箔1の搬送は、電極箔1の搬送系として設けられ、かつ電極箔1の片側の面を支持する複数のローラー5によって行われ、それぞれのローラー5の回転によって所定の方向に送られる。
なお、塗工部2では、ダイコーター(電極コーターともいう)3から上記電極材料が吐出され、これにより、電極箔1上に上記電極材料が塗布される。
そこで、本実施の形態の上記電極製造装置の特徴は、固化室8における電極箔1cを、乾燥室6における電極箔1dの位置よりも下方側で、かつ乾燥室6の電極箔1dと鈍角(θ1)を形成するように配置する搬送系(搬送機構)を備えることである。
すなわち、搬送機構であるローラー5の配置により、固化室8における電極箔1cの位置が、乾燥室6における電極箔1dの位置よりも下方側の位置となり、その際、固化室8の電極箔1cが、乾燥室6の電極箔1dと鈍角(θ1)を形成するように配置される。
ここで、搬送系を形成する搬送機構は、電極箔1を送り出す集電用電極箔ロール4と、電極層が形成された電極箔1を巻き取る電極箔ロール7と、複数のローラー5とからなる。そして、本実施の形態では、固化室8に設けられたローラー5bを、乾燥室6に設けられたローラー5cよりも、側面視で斜め下方側に配置することで、固化室8における電極箔1cと乾燥室6における電極箔1dとが鈍角を形成するような搬送系を作り出している。
換言すると、固化室8では、乾燥室6に配置された電極箔1dに対して水平に引き出した仮想線Pと、固化室8に配置された電極箔1cとは鋭角(θ2)を形成するような配置関係となっている。すなわち、水平方向に延びた仮想線Pと電極箔1cとが鋭角(θ2)を形成するような配置関係になっている。
さらに換言すると、固化室8に配置された電極箔1cは、水平ではない角度(水平方向に対して鋭角もしくは鈍角)に配置されている。
以上のようにローラー5の配置により、固化室8における電極箔1cの位置が乾燥室6における電極箔1dの位置よりも下方側で、かつ乾燥室6の電極箔1dと鈍角を形成するような位置となり、その結果、電極箔1の搬送系の搬送方向Sを複数にすることができる。すなわち、固化室8から乾燥室6に及ぶ電極箔1の搬送系の搬送方向Sを、水平方向(S2)と水平方向以外の方向(本実施の形態では斜め上方向(S1))とで複数(2つの)の方向にすることができる。
これにより、図7に示す第1比較例の製造装置のように、固化室80から乾燥室60に及ぶ電極箔1の搬送系が水平方向1つの場合に比べて、本実施の形態の図1に示す上記電極製造装置では、上方から投影した搬送系の長さを短くすることができる。つまり、固化室8から乾燥室6に及ぶ電極箔1の、上方から投影した搬送系の長さを短くすることができ、その結果、上記電極製造装置のフットプリント(設置面積)の低減化を図ることができる。
また、本実施の形態の上記電極製造装置では、塗工部2から固化室8に搬送される電極箔1bが、搬送機構により、固化室8に配置される電極箔1cと鋭角(θ3)を形成するように配置されている。
すなわち、塗工部2に設けられるローラー5aの配置を、塗工部2から固化室8に搬送される電極箔1bと、固化室8に配置される電極箔1cとが、側面視で鋭角(θ3)を形成するような配置としている。
さらに、塗工部2から固化室8に搬送される電極箔1bが、搬送機構により、集電用電極箔ロール4から送り出される電極箔1aと鋭角(θ4)を形成するように配置されている。つまり、集電用電極箔ロール4の配置を、塗工部2から固化室8に搬送される電極箔1bと、集電用電極箔ロール4から送り出された電極箔1aとが、側面視で鋭角(θ4)を形成するような配置としている。
これにより、集電用電極箔ロール4は、固化室8と乾燥室6の両方の近傍に配置されることになり、上記電極製造装置を、水平方向に対しても、かつ高さ方向に対しても小型化することが可能になる。
また、本実施の形態の上記電極製造装置では、固化室8に、固化液8bを吐出するスリットノズル8aが設けられており、このスリットノズル8aから電極箔1上に塗布された電極材料に対して固化液8bを供給する。
このようにスリットノズル8aから固化液8bを吐出することで、固化液8bを層流化した状態で上記電極材料に塗布することができる。
また、固化室8に配置された電極箔1c(1b)の最下部の下方に、廃液(固化液8b)8cを回収するパン(第2容器)8dが設けられている。
その際、本実施の形態の上記電極製造装置では、固化室8において、電極箔1cが水平方向に対して斜めに配置されるため、塗布された固化液8bが後段の乾燥室6に運ばれたり、もしくは拡散することを阻止することができる。
すなわち、電極箔1上に供給された固化液8bは、斜めに配置された電極箔1cの下方に向かって流れて直下に流れ落ちるため、パン8dは、大型のものである必要がなく、電極箔1と同程度の幅を有していれば、奥行きは薄くてもよい。
つまり、電極箔1上に供給された固化液8bは、電極箔1cに沿って直下に流れ落ちるため、大型のパン8dを設置することなく、小型のパン8dを設置することができ、これにより、上記電極製造装置を小型化することが可能になる。
次に、本実施の形態におけるリチウムイオン電池の製造方法を、図1を用いて説明する。まず、リチウムイオン電池の正極または負極を構成する電極層の形成材料である電極材料を用意する。かかる電極材料は高粘度スラリー状の液体であり、図1に示される塗工部2に設置された塗布機構(本実施の形態ではダイコーター3)によって、集電用電極箔ロール4から供給される電極箔1(1a)の表面上に薄く、かつ均一に塗布される。すなわち、塗工部2において塗布工程が行われる。
本実施の形態において用いられる電極材料は、少なくとも、正または負極活物質粉末を含み、場合によっては導電材粉末の固形成分を含む。また、電極材料は、乾燥後において粉末成分間もしくは粉末成分と電極箔間を結着するためのバインダーであって、水に難溶なバインダーと、固化材とを含む。さらに、電極材料は、上記成分をスラリー状の高粘度液体ペーストとして調整するための溶剤であって、水と相溶な溶剤をさらに含む。
つまり、電極材料は、正または負極活物質粉末、水に難溶なバインダー、固化材および水と相溶な溶剤を含み、場合によっては導電材粉末の固形成分を含んでいる。ただし、バインダーと固化材とが兼用であることがより好ましい。具体的には、電極材料は、正または負極活物質粉末、固化材として使用可能なバインダーおよび溶剤を少なくとも含んでいることが好ましい。
次に、電極材料が塗布された電極箔1の裏面に接しながら、電極箔1を一定速度で搬送する搬送機構(本実施の形態ではローラー5による搬送系)を用いて、電極箔1(1b)を固化室8に搬入する。
固化室8では固化工程が行われる。具体的には、電極箔1上に塗布された電極材料の表面に固化液8bを接触させる(供給する)ことによって、電極材料を固化させる。なお、固化液8bは、純水もしくはエタノール等である。
ここで、本実施の形態の電極製造装置(リチウムイオン電池の製造装置)では、固化室8に設けられたローラー5bを、乾燥室6に設けられたローラー5cよりも、側面視で斜め下方側に配置している。これにより、固化室8に配置される電極箔1cと、乾燥室6に配置される電極箔1dとが鈍角(θ1)を形成するような電極箔1の搬送系を作り出している。
なお、固化室8において、乾燥室6に配置された電極箔1dに対して水平に引き出した仮想線Pと、固化室8に配置された電極箔1cとは鋭角(θ2)を形成するような配置関係となっている。
以上のようにローラー5の配置により、固化室8における電極箔1cの位置が乾燥室6における電極箔1dの位置よりも下方側で、かつ乾燥室6の電極箔1dと鈍角を形成するような位置となり、その結果、電極箔1の搬送系の搬送方向Sを複数にすることができる。すなわち、電極箔1の搬送系の搬送方向Sを、水平方向(S2)と水平方向以外の方向(本実施の形態では斜め上方向(S1))とで複数の方向にすることができる。
また、固化液8bの電極材料への塗布は、スリットノズル8aから固化液8bを吐出させて行う。
つまり、本固化工程では、固化室8の電極箔1(1c)が、乾燥室6における電極箔1(1d)の位置よりも下方側で、かつ乾燥室6の電極箔1(1d)と鈍角(θ1)を形成するように配置された状態で、スリットノズル8aから固化液8bを電極箔1に供給する。
具体的には、電極箔1上に塗布された電極材料に対して、スリットノズル8aからこの電極材料の表面に固化液8bを供給し、電極材料に固化液8bを接触させることによって電極材料を固化させる。この時、固化液8bは、例えば純水もしくはエタノールである。すなわち、電極箔1上に塗布された電極材料に、純水等の固化液8bを接触させることによって、電極材料に含まれる溶剤に溶解しながら電極材料内に浸透する。そして、電極材料内における水の濃度が増加するとバインダー(固化材)の溶解度が不足し、バインダー(固化材)が析出する。
この時、電極材料に含まれる活物質粒子間が結着され、電極材料全体が固化する。このような固化の過程は乾燥などに要する時間よりも遥かに短い時間で生じるため、電極材料の内部は流動性が低くなり、電極材料に含まれる各種成分の分布等はほぼ瞬間的に固定される。
上記のように、本実施の形態では、電極材料の乾燥に先立って電極材料を固化させるので、電極箔1の搬送に接触式搬送系を使用することができる。換言すれば、複雑かつ高価な非接触式搬送系を用いる必要はない。そこで、本実施の形態では、ローラー5による搬送系を使用した安価な乾燥室6が採用されている。この利点は、電極箔1の両面に塗布された電極材料を一括して乾燥する場合に、特に高い効果を発揮する。もっとも、エアー浮上式搬送系などの非接触式搬送系の使用を排除するものではない。
また、固化液8bをスリットノズル8aから吐出することで、電極箔1の幅方向に対して固化液8bを層流化した状態で固化液8bを電極材料に塗布することができる。
また、固化室8において、電極箔1c(1b)の最下部の直下に、廃液(固化液8b)8cを回収するパン8dが設けられており、これにより、供給された固化液8bのうち、斜めに配置された電極箔1cの下方に流れ落ちる廃液8cを、パン8dによって回収する。
次に、図1に示されるローラー5(5c)の搬送系によって電極箔1が乾燥室6に搬入され、乾燥工程が行われる。具体的には、熱風乾燥などの周知の手法で電極材料中の液体成分を加熱蒸発させて電極材料を乾燥させ、これにより、電極層を形成する。
その後、乾燥工程を経た電極箔1が巻き取られた電極箔ロール7は、次工程に供給される。ただし、電極箔1の裏面にも電極層を形成する場合には、上記のような工程を電極箔1の裏面に対しても行い、両面に電極層が形成された電極シートを製造してから、次の工程に進む。
なお、図1に示される乾燥室6は、その室内における搬送路は比較的短い。すなわち、乾燥室6の前段に固化室8が設けられたことで、乾燥室6の長さを短くすることができ、例えば、本実施の形態おける乾燥室6の長さは、10m程度である。
また、上記のように、正極用の電極箔(例えばAl(アルミニウム))の表面に正極用の電極層(例えばアセチレンブラックなどの導電材層)を形成することで正極シートを形成する。さらに、上述した工程により、負極用の電極箔(例えばCu(銅))の表面に負極用の電極層(例えばアセチレンブラックなどの導電材層)を形成することで負極シートを形成する。
その後、セパレータ層を介して正極シートと負極シートを重ね合わせて積層体を形成する。セパレータ層は、公知のフィルム状セパレータを用いて形成することもできるが、後述する方法によって正極シートまたは負極シートの電極層の上にセパレータ層を一体的に形成することもできる。
次に、本実施の形態のリチウムイオン電池の製造方法によって製造されるリチウムイオン電池の一例を図2に示す。図示されているリチウムイオン電池では、正極シート10、負極シート11およびセパレータ層としてのセパレータ12からなる積層体が円筒型の容器13内に組み込まれている。より具体的には、上記積層体が所定の長さに切断され、巻回されて、容器13内に組み込まれている。
したがって、容器13内では、正極用の電極層が形成された正極シート10、セパレータ層としてのセパレータ12、負極用の電極層が形成された負極シート11が繰り返し交互に積層されている。換言すれば、隣り合う正極シート10と負極シート11との間にセパレータ層が介在している。
容器13内には、上記積層体とともに電解液が充填されている。容器13の一端は正極端子15により封止され、他端は負極端子16により封止されている。正極シート10は、金属膜からなる正極リード14を介してガス排出構造を有する正極端子15に電気的に接続されており、負極シート11は、金属膜からなる負極リード(図示せず)を介して負極端子16に電気的に接続されている。
以下では、本実施の形態におけるリチウムイオン電池を構成する各材料、およびリチウムイオン電池を製造する際に用いる各材料について詳しく説明する。
本実施の形態で用いるリチウムイオン電池の正極活物質には、コバルト酸リチウムまたはマンガン(Mn)を含有するスピネル構造のリチウム含有複合酸化物を用いることができる。また、正極活物質には、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)を含む複合酸化物、またはオリビン型リン酸鉄に代表されるオリビン型化合物などを使用するがことができる。ただし、正極活物質に用いる材料は、これらに限定されるわけではない。
マンガン(Mn)を含有するスピネル構造のリチウム含有複合酸化物は熱的安定性に優れているため、これを含む電極シートを形成することで、安全性の高い電池を構成することができる。また正極活物質には、マンガン(Mn)を含有するスピネル構造のリチウム含有複合酸化物のみを用いてもよいが、他の正極活物質を併用してもよい。このような他の正極活物質としては、例えば、Li1+x MO2 (−0.1<x<0.1、M:Co、Ni、Mn、Al、Mg、Zr、Tiなど)で表わされるオリビン型化合物などが挙げられる。
また、層状構造のリチウム含有遷移金属酸化物の具体例としては、LiCoO2 またはLiNi1-x Cox-y Aly O2 (0.1≦x≦0.3、0.01≦y≦0.2)などを用いることができる。また、層状構造のリチウム含有遷移金属酸化物には、少なくともCo、NiおよびMnを含む酸化物(LiMn1/3 Ni1/3 Co1/3 O2 、LiMn5/12Ni5/12Co1/6 O2 、LiNi3/5 Mn1/5 Co1/5 O2 など)などを用いることができる。
本実施の形態で用いる負極活物質は、例えば、天然黒鉛(鱗片状黒鉛)、人造黒鉛または膨張黒鉛などの黒鉛材料を用いることができる。また、負極活物質には、ピッチを焼成して得られるコークスなどの易黒鉛化性炭素質材料を用いることもできる。また、負極活物質には、フルフリルアルコール樹脂(PFA)、ポリパラフェニレン(PPP)またはフェノール樹脂などを低温焼成して得られる非晶質炭素などの難黒鉛化性炭素質材料を用いてもよい。また、炭素材料の他に、リチウム(Li)またはリチウム含有化合物なども負極活物質として用いることができる。
リチウム含有化合物としては、Li−Alなどのリチウム合金、Si(ケイ素)、または、Sn(錫)などとリチウム(Li)との合金化が可能な元素を含む合金が挙げられる。さらにSn酸化物またはSi酸化物などの酸化物系材料も用いることも可能である。
本実施の形態で用いる導電材は、正極合剤層に含有させる電子伝導助剤として用いるもので、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、グラファイト、カーボンファイバー、またはカーボンナノチューブなどの炭素材料が好ましい。上記の炭素材料の中でも、添加量と導電性の効果、および正極合剤層含有組成物(後述する)の製造性の点から、アセチレンブラックを用いることが特に好ましい。かかる導電材は負極合剤層の材料として用いることも可能であり、好ましい場合もある。なお、ここでいう正極または負極の合剤層とは、上記した電極材料、またはこれを固化、乾燥させた電極層のことである。
本実施の形態では、固化材を兼ねるバインダー成分を含むバインダーを用いることもできる。具体的には、バインダーは、上記の活物質および電子伝導助剤を結着するためのバインダー成分を含有していることが好ましい。バインダーとしては、例えば、ポリビニリデンフルオライド系ポリマー(主成分モノマーであるビニリデンフルオライドを80質量%以上含有する含フッ素モノマー群の重合体)、またはゴム系ポリマーなどが好適に用いられる。上記ポリマーは、2種以上を併用してもよい。また、本実施の形態で用いられるバインダーは、溶媒に溶解した溶液の形態で供されるものが好ましい。
上記ポリビニリデンフルオライド系ポリマーを合成するための含フッ素モノマー群としては、ビニリデンフルオライド、またはビニリデンフルオライドと他のモノマーとの混合物で、ビニリデンフルオライドを80質量%以上含有するモノマー混合物等が挙げられる。他のモノマーとしては、例えば、ビニルフルオライド、トリフルオロエチレン、トリフルオロクロロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、およびフルオロアルキルビニルエーテルなどが挙げられる。
上記のゴム系ポリマーとしては、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、エチレンプロピレンジエンゴム、およびフッ素ゴムなどが挙げられる。
正極および負極の各合剤層中におけるバインダーの含有量は、乾燥後の電極材料を基準として0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上であって、10質量%以下、さらに、5質量%以下であることがより望ましい。バインダーの含有量が少な過ぎると、固化工程における固化が不十分となるばかりでなく、乾燥後の合剤層の機械的強度が不足し、合剤層が電極箔から剥離する虞がある。また、バインダーの含有量が多過ぎると、合剤層中の導電材の量が減少して、電池容量が低くなる虞がある。
本実施の形態において用いられる固化材には、上記バインダーと同じもの、または上記バインダーとして用いることができる複数の材料の混合物が用いられる。バインダーとしての性能を持たず、固化材としての性能のみを有する成分をバインダーに加えて使用することも可能である。
また、電極箔1に電極材料を塗布する塗布機構(塗工手段)には、例えば、押出しコーター、リバースローラー、ドクターブレード、アプリケーターなどを用いることもできる。
また、電極箔1はシート状の箔に限定されない。電極箔1の材料には、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ステンレス鋼、もしくはチタン(Ti)などの純金属または合金性導電材料を用いることができる。また、電極箔1の形状は網状や板状であってもよい。また、電極箔1は、パンチドメタルやフォームメタルであってもよい。電極箔1の厚みとしては、例えば、5〜30μm、より好ましくは8〜16μmが選択される。また、電極箔1の一方の面に形成される電極層の厚みは、乾燥後の厚みで、例えば、10〜300μm、より好ましくは30〜150μmを選択できる。
また、本実施の形態において用いられる溶剤は、水に溶解する性質を有する。このような溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド、プロピレンカーボネート、ジメチルホルムアミド、もしくはγ−ブチロラクトンなどに代表される非プロトン性極性溶剤、またはこれらの混合液を選択できる。
次に、図1に示す乾燥室6で行われる乾燥工程について説明する。
上記乾燥工程には、温風乾燥を用いることが考えられるが、これに限定されるものではない。乾燥手段としては、赤外線、遠赤外線その他の電磁波を照射する加熱方式であってもよい。また、高周波電場による誘電加熱方式、または磁束の変化を利用する誘導加熱方式を用いることも可能である。さらにはヒーターを組み込んだ加熱ロールまたはホットプレートなどを利用する接触加熱方式を用いてもよく、上記した乾燥手段のいくつかを組み合わせた加熱方式も用いることもできる。
以下、本実施の形態のリチウムイオン電池の製造方法を構成する各工程についてより具体的に説明する。
正極活物質には、リチウム遷移金属複合酸化物としてのニッケルコバルトマンガン酸リチウムを選択することができる。上記リチウム遷移金属複合酸化物と、導電材の黒鉛粉末と、導電材のアセチレンブラックと、固化材を兼ねるバインダーとしてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、重量比で85:8:2:5となる割合で混合する。さらに溶剤であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を逐次添加する。
次に、これらの混合成分を、プラネタリーミキサーで混練して正極用の電極材料を調整する。この電極材料はスラリー状の液体であり、電極材料中には固化材としてのバインダー成分がNMP中に溶解している。回転粘度計で測定した電極材料の粘度は約10Pa・Sとなる。
このようにして混練した電極材料を厚さ20μmのアルミニウム箔(正極集電体、電極箔1)上に厚さ100μmとなるようアプリケーターで塗布する。以上の工程が、電極箔1の表面に、水と相溶な溶剤および水に難溶なバインダーを含む電極材料を塗布する塗布工程である。
次に、電極材料が塗布されたアルミニウム箔を、図1に示す固化室8を通過させることで、上記電極材料を固化させる。固化現象は、水により電極材料中の溶剤であるNMPの濃度を低下させることで、電極材料中のバインダーが不溶化して析出し、正極剤粒子間を結着する現象である。このようにして固化した電極材料は流動性および粘着性がなくなり、アルミニウム箔に保持されているため、電極材料の表面にローラーを接触させるローラー搬送にも十分に耐えることができる。
以上の工程が、電極材料を固化させる固化工程である。
次に、固化工程により固化された電極材料を、温風乾燥炉内で120℃の温度で10分間乾燥させ、電極材料中の水および微量に残留したNMPを蒸発除去することで、アルミニウム箔(電極箔1)上に正極用の電極層が形成された正極シートを形成する。以上の工程が、電極材料を乾燥させる乾燥工程である。
ここで、本実施の形態に対する第2比較例として、乾燥工程の前に固化工程を行わない場合のリチウムイオン電池の製造方法を以下に説明する。第2比較例のリチウムイオン電池の製造方法では、本実施の形態と同じ成分の電極材料をアルミニウム箔上に塗布し、塗布された電極材料を温風乾燥炉内で120℃の温度で10分間乾燥させて、電極材料中のNMPを蒸発除去する。これにより、アルミニウム箔上に正極用の電極層が形成された正極シートを形成する。このように、第2比較例では、本実施の形態の固化工程を省略した製造方法で、本実施の形態と同じ組成のリチウムイオン電池用電極を製造する。
なお、本実施の形態の製造方法と上述の第2比較例の製造方法で得られた電極層の種々の特性を比較したものを図3に示す。上記したように、固化工程を含む本実施の形態の製造方法では、乾燥工程を行う前に電極材料が固化している。一方、第2比較例の製造方法における乾燥工程では、液体の電極材料を温風乾燥炉で乾燥させる。したがって、本実施の形態の製造方法では、乾燥工程においてローラーなどを電極材料の表面に接触させて搬送することが可能となるのに対し、第2比較例の製造方法では、そのような搬送方法を用いることは原理的に不可能である。
また、本実施の形態の製造方法と第2比較例の製造方法との違いは、電極層の組成分布などに顕著に現れる。乾燥後の電極材料(電極層)に対しては、分析手法として走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)およびエネルギー分散X線分析装置(EDX:Energy Dispersive X-ray spectroscopy)を利用する。これにより、電極層の断面の厚さ方向の組成分布を測定することが可能である。かかる手法で測定した、電極層の厚み方向におけるバインダー成分の濃度が、電極層の表面と底面(アルミニウム箔に接する面)とでその比が2倍以上となる場合を「分布大」、2倍より小さな場合を「分布小」と定義する。分布の比較では、本実施の形態の製造方法によって作られた電極層は分布小であり、第2比較例の製造方法によって作られた電極層は分布大となり、顕著な違いが認められる。
また、バインダー成分の分布については次のような違いが認められる。電極材料の乾燥時に電極材料が液状である図3の第2比較例の製造方法では、電極材料内におけるバインダー等の成分の物質移動、すなわち対流または拡散が生じるために大きな濃度分布が発生していると推定される。これに対し、本実施の形態の製造方法では、固化工程で電極材料が固化されるのと同時に電極材料の成分も固定化されるので、乾燥時における成分移動が抑制され、濃度分布が小さくなる。
さらに、電極層の観察から得られる層内の固体粒子である正極活物質および導電材の分布についても、図3の第2比較例の製造方法で作られた電極層内では分布大となっているのに対し、本実施の形態の製造方法によって作られた電極層内では分布小となっている。これにより、均一な電極層が得られると認められる。
本実施の形態のリチウムイオン電池の製造装置および製造方法によれば、搬送系を構成する複数のローラー5の配置により、固化室8における電極箔1cは、乾燥室6における電極箔1dの位置よりも下方側に配置される。さらに、固化室8における電極箔1cは、乾燥室6の電極箔1dと鈍角(θ1)を形成するように配置される。
その結果、電極箔1の搬送系を下方向に向けて水平方向から逸らす(変える)ことができる。
すなわち、固化室8から乾燥室6に及ぶ電極箔1の搬送系において、この搬送系の搬送方向Sを複数にすることができる。本実施の形態では、水平方向(S2)と水平方向以外の方向(斜め上方向(S1))とにすることができる。
これにより、図7の第1比較例の製造装置のように、固化室80から乾燥室60に及ぶ電極箔1の搬送方向が水平方向1つの場合に比べて、本実施の形態のリチウムイオン電池の製造装置では、上方から投影した搬送系(搬送機構)の長さを短くすることができる。言い換えると、電極箔1の搬送系に必要とされる平面視での面積を低減することができる。つまり、リチウムイオン電池の製造装置を構成する電極製造装置のフットプリント(設置面積)の低減化を図ることができる。
その結果、リチウムイオン電池の製造装置のフットプリントの低減化を図ることができ、リチウムイオン電池の製造装置の小型化を図ることができる。
また、リチウムイオン電池の製造装置の小型化を図れるため、その製造装置の製造コストの低減化を図ることができる。
また、本実施の形態のリチウムイオン電池の製造装置(電極製造装置)では、塗工部2のローラー5aの配置を、塗工部2から固化室8に搬送される電極箔1bと、固化室8に配置される電極箔1cとが、側面視で鋭角(θ3)を形成するような配置としている。
さらに、集電用電極箔ロール4の配置を、塗工部2から固化室8に搬送される電極箔1bと、集電用電極箔ロール4から送り出された電極箔1aとが、側面視で鋭角(θ4)を形成するような配置としている。
これにより、集電用電極箔ロール4は、固化室8と乾燥室6の両方の極めて近傍に配置されることになり、リチウムイオン電池の製造装置を、水平方向に対しても、かつ高さ方向に対しても小型化することができる。
また、固化室8に配置された電極箔1c(1b)の最下部の下方に、廃液8cを回収する小型のパン8dが設けられている。これは、固化室8においては、電極箔1cが水平方向に対して斜めに配置されるため、塗布された固化液8bが後段の乾燥室6に運ばれたり、もしくは拡散することを阻止できる。すなわち、電極材料上に塗布された固化液8bは、斜めに配置された電極箔1cの直下に流れ落ち、飛散することがないため、拡散防止用等の大型のパン8dを設置することなく、小型のパン8dを設置することで廃液8cの回収を行うことができる。
その結果、リチウムイオン電池の製造装置(電極製造装置)を小型化することが可能になる。
また、本実施の形態のリチウムイオン電池の製造装置では、固化室8に、固化液8bを吐出するスリットノズル8aが設けられており、このスリットノズル8aから電極箔1上に塗布された電極材料に対して固化液8bを供給する。スリットノズル8aから固化液8bを吐出することで、固化液8bが電極材料内に浸透し、バインダーが析出される。
この時、固化液8bをスリットノズル8aから吐出することで、固化液8bを層流化した状態で均一に射出させて電極材料に塗布することができる。
これにより、電極材料上に固化液8bが均一に保持されるため、固化液8bの均一性が高められ、その結果、析出するバインダーの均一性も高めることができる。さらに、乾燥室6で乾燥処理を行った際の乾燥ムラを低減することができる。
また、スリットノズル8aを用いることにより、固化液8bを層流化した状態で均一に射出することができるため、廃液8cの回収の制御も容易に行うことができる。
さらに、スリットノズル8aを用いることにより、固化液8bは層流化した状態で流れるため、余剰となった固化液8bを回収する際に固化液8bは飛散しない。したがって、廃液8cを回収するパン8dは、廃液8cの飛散を考慮することなく最小限の領域で回収することができ、装置構成を複雑化せずに済む。その結果、リチウムイオン電池の製造装置のメンテナンス性を向上することができる。
また、スリットノズル8aを用いることにより、固化液8bを塗布する際の固化液8bの飛散を防ぐことができるため、固化液が飛散して機構部に付着することを防ぐための固化室チャンバーの設置を必要とすることがない。
その結果、上述と同様に装置構成を複雑化せずに済む。
また、スリットノズル8aを用いることにより、固化液8bの塗布量を一定化することができる。本実施の形態の電極箔1のように、塗布が行われる被対象物が所定の幅を有する部材である場合、例えば先端が円形で、点形状で塗布を行うノズル等に比較して、スリットノズル8aは幅方向に対して一定の量で塗布を行うことができる。その結果、塗布の均一性を向上させることができる。
さらに、固化液8bの塗布の均一性を向上できるため、固化液8bの浸透性も向上させることができる。
その結果、図2に示すリチウムイオン電池の品質を向上させることができる。
また、本実施の形態の製造方法によれば、乾燥工程前に固化工程を導入することにより、電極材料の組成および層厚を安定して維持することができる。
また、乾燥工程に先立って固化工程を行う本実施の形態の製造方法では、電極材料の組成や膜厚等の変動が起こる可能性を排除した後に乾燥工程を行うため、短時間での急速乾燥が可能となる。したがって、本実施の形態の製造装置を用いてリチウムイオン電池を製造することにより、電極層の品質を安定させ、かつ、乾燥設備を小型化でき、リチウムイオン電池の製造コストを低減することができる。
また、乾燥工程前または乾燥工程中において、電極材料を保持した電極箔の搬送に、塗布膜と接触する接触式のローラー搬送系を使用することが可能となり、製造方法の選択の自由度や製造装置の構成の選択の自由度が向上するという効果を得ることもできる。
また、本実施の形態では、固化工程によって電極材料の流動性を失わせてから乾燥工程を行うので、乾燥工程において電極材料の表面にバインダーが偏析することがない。これにより、電極層と電極箔との結合性が低下することを防ぐことができる。
なお、本実施の形態の製造方法における固化工程は、正極シートのみでなく、負極シートの製造に用いることもでき、セパレータ層としてのセパレータ12(図2参照)の形成にも用いることができる。
セパレータの製造方法は、正極シートおよび負極シートを形成する工程と実質的に同一の工程を有する。具体的には、基材(箔)上にペースト状のセパレータ材料を塗布した後、固化および乾燥させることで、セパレータを形成することができる。
具体的なセパレータ製造工程では、例えば、図1に示される製造装置と同様の製造装置に、集電用電極箔ロール4に替えて基材ロールをセットする。その後、電極層の形成工程と同様に、搬送機構によって搬送される基材の表面に、塗工部においてペースト状のセパレータ材料を塗布する。
次いで、セパレータ材料が塗布された基材を固化室に搬入し、セパレータ材料に含まれるバインダーを析出させてセパレータ材料を固化させる。その後、固化されたセパレータ材料を保持している基材を乾燥室に搬入し、セパレータ材料を乾燥させる。以上の工程により、基材上にセパレータ層が形成されたセパレータを製造することができる。
セパレータ層の形成材料であるセパレータ材料には、シリカ(酸化シリコン)、アルミナ(酸化アルミニウム)またはポリエチレン等と、上述したバインダーと、溶剤(例えばN−メチル−2−ピロリドン(NMP))とを混ぜた混合ペーストを用いることができる。
上記のようにして製造されたセパレータ(セパレータ層)は、例えば多孔性ポリプロピレン膜などからなり、完成したリチウムイオン電池内において、正極シートと負極シートとの間に介在し、隣り合う電極の両極活物質同士の接触を防止することができる。さらに、セパレータ層内の空孔内に電解液を保持し、電極間のイオン伝導の通路を形成する。
本実施の形態のように、乾燥工程前にセパレータ材料を固化させることで、セパレータ材料の組成の安定化、乾燥装置の簡略化、スループットの向上などが実現され、製造コストを低減しつつ、セパレータの品質を維持することができる。
(第1変形例)
図4は本発明の実施の形態における第1変形例のリチウムイオン電池の製造装置を構成する電極製造装置の構造を示す概略図である。
図4は本発明の実施の形態における第1変形例のリチウムイオン電池の製造装置を構成する電極製造装置の構造を示す概略図である。
本第1変形例は、上記電極製造装置において、固化室8に配置された電極箔1c(電極箔1bでもよい)の最下部、あるいは最下部の周囲にエアー8eを吹き付けるエアーノズル8fが、固化室8内に設けられているものである。
これにより、固化工程において、固化室8に配置される電極箔1c(電極箔1bでもよい)の最下部またはその周囲にエアー8eを吹き付けることで、電極箔1cの最下部やその周囲において電極箔1cや電極箔1bに付着している固化液8bを除去できる。
その結果、電極箔1の搬送方向Sにおける固化室8の前段に設けられた塗工部2まで固化液8bが運ばれてしまうことを防止できる。
(第2変形例)
図5は本発明の実施の形態における第2変形例のリチウムイオン電池の製造装置を構成する電極製造装置の構造を示す概略図である。
図5は本発明の実施の形態における第2変形例のリチウムイオン電池の製造装置を構成する電極製造装置の構造を示す概略図である。
本第2変形例は、上記電極製造装置において、スリットノズル8aと連結(連通)され、かつ固化液8bが収容されたタンク(第1容器)9が設けられているものであり、固化液8bは、タンク9からスリットノズル8aに供給される。さらに、スリットノズル8aとタンク9との間、すなわちスリットノズル8aとタンク9を繋ぐ配管等に、スリットノズル8aから吐出される固化液8bの吐出量を調整するポンプ17が設けられている。
なお、固化液8bの塗布量(吐出量)については、電極箔1の搬送速度による。つまり、搬送速度が速い場合は、多くの塗布量が必要となり、搬送速度が遅い場合には少ない塗布量でバインダーが析出する。したがって、電極塗工液(電極材料)の粘度や膜厚等により搬送速度が可変することに対応する必要がある。すなわち、固化液8bの塗布量を容易に調節できることが好ましい。
そこで、スリットノズル8aとタンク9を繋ぐ配管等にポンプ17が設けられていることにより、スリットノズル8aから吐出される固化液8bの塗布量(吐出量)を、ポンプ17によって容易に調整することができる。
その結果、電極塗工液(電極材料)の粘度や膜厚等によって電極箔1の搬送速度を可変する必要が生じた場合においても、ポンプ17によって、スリットノズル8aから吐出する固化液8bの塗布量(吐出量)を調整することができる。すなわち、電極箔1の搬送速度の変化に容易に対応することができる。
(第3変形例)
図6は本発明の実施の形態における第3変形例のリチウムイオン電池の製造装置を構成する電極製造装置の構造を示す概略図である。
図6は本発明の実施の形態における第3変形例のリチウムイオン電池の製造装置を構成する電極製造装置の構造を示す概略図である。
本第3変形例は、上記電極製造装置に設けられたスリットノズル8aが、一対のダイである上流側ダイ8aaと下流側ダイ8abのそれぞれのブロック材からなるものである。さらに、このスリットノズル8aは、一対の上流側ダイ8aaと下流側ダイ8abの先端部のギャップ(隙間量)18を調整することで、スリットノズル8aから吐出される固化液8bの塗布量(吐出量)を調整可能なノズルである。
つまり、固化液8bの塗布量(吐出量)の可変方法として、図5に示すタンク9からの固化液8bの供給量が一定の場合であっても、スリットノズル8aの先端部のギャップ18を調整することで、吐出される固化液8bの塗布量(吐出量)を調整することができる。
なお、上流側ダイ8aaと下流側ダイ8abとからなるスリットノズル8aの先端部のギャップ18の大きさは、例えば上流側ダイ8aaと下流側ダイ8abとに挟ませて配置したシム(板材)8gの厚さを変えることで調整することができる。
以上、本発明者らによってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
例えば、複数のローラー5を有する搬送機構におけるローラー5の設置箇所と設置数は、図1に示す構造に限定されるものではない。すなわち、固化室8の電極箔1cが、乾燥室6の電極箔1dの位置よりも下方側に配置され、かつ乾燥室6の電極箔1dと鈍角を形成するように配置されていればよく、ローラー5の設置箇所や設置数は、種々変更可能である。
1,1a,1b,1c,1d 電極箔
2 塗工部(塗布部)
3 ダイコーター
4 集電用電極箔ロール
5 ローラー(搬送機構)
5a,5b,5c ローラー
6 乾燥室(乾燥部)
7 電極箔ロール
8 固化室(固化部)
8a スリットノズル
8aa 上流側ダイ
8ab 下流側ダイ
8b 固化液
8c 廃液
8d パン(第2容器)
8e エアー
8f エアーノズル
8g シム
9 タンク(第1容器)
10 正極シート
11 負極シート
12 セパレータ
13 容器
14 正極リード
15 正極端子
16 負極端子
17 ポンプ
18 ギャップ
20 塗工部
30 ダイコーター
40 集電用電極箔ロール
50 ローラー搬送系
60 乾燥室
70 電極箔ロール
80 固化室
80a ノズル
80b パン
2 塗工部(塗布部)
3 ダイコーター
4 集電用電極箔ロール
5 ローラー(搬送機構)
5a,5b,5c ローラー
6 乾燥室(乾燥部)
7 電極箔ロール
8 固化室(固化部)
8a スリットノズル
8aa 上流側ダイ
8ab 下流側ダイ
8b 固化液
8c 廃液
8d パン(第2容器)
8e エアー
8f エアーノズル
8g シム
9 タンク(第1容器)
10 正極シート
11 負極シート
12 セパレータ
13 容器
14 正極リード
15 正極端子
16 負極端子
17 ポンプ
18 ギャップ
20 塗工部
30 ダイコーター
40 集電用電極箔ロール
50 ローラー搬送系
60 乾燥室
70 電極箔ロール
80 固化室
80a ノズル
80b パン
Claims (12)
- 正極用の電極層が形成された正極シートと、負極用の電極層が形成された負極シートとがセパレータ層を介して交互に積層された積層体を備えるリチウムイオン電池の製造装置であって、
電極箔を搬送する搬送機構と、
水と相溶な溶剤および水に難溶なバインダーを含む電極材料を前記電極箔の上に塗布する塗布部と、
前記電極箔の上に塗布された前記電極材料の表面に固化液を供給する固化部と、
前記電極材料を乾燥させて前記電極層を形成する乾燥部と、
を有し、
前記搬送機構により、前記固化部における前記電極箔は、前記乾燥部における前記電極箔の位置よりも下方側で、かつ前記乾燥部の前記電極箔と鈍角を形成するように配置される、リチウムイオン電池の製造装置。 - 請求項1に記載のリチウムイオン電池の製造装置において、
前記固化部に、前記固化液を吐出するスリットノズルが設けられている、リチウムイオン電池の製造装置。 - 請求項1または2に記載のリチウムイオン電池の製造装置において、
前記固化部に配置された前記電極箔の最下部にエアーを吹き付けるエアーノズルが、前記固化部に設けられている、リチウムイオン電池の製造装置。 - 請求項2または3に記載のリチウムイオン電池の製造装置において、
前記スリットノズルと連結され、かつ前記固化液が収容された第1容器が設けられ、前記スリットノズルと前記第1容器との間に、前記スリットノズルから吐出される前記固化液の吐出量を調整するポンプが設けられている、リチウムイオン電池の製造装置。 - 請求項2から4の何れかに記載のリチウムイオン電池の製造装置において、
前記スリットノズルは、一対のダイからなり、前記一対のダイの先端部の隙間量を調整することで、前記スリットノズルから吐出される前記固化液の吐出量を調整可能なノズルである、リチウムイオン電池の製造装置。 - 請求項1に記載のリチウムイオン電池の製造装置において、
前記搬送機構により、前記塗布部から前記固化部に搬送される前記電極箔が、前記固化部に配置される前記電極箔と鋭角を形成するように配置されている、リチウムイオン電池の製造装置。 - 請求項1に記載のリチウムイオン電池の製造装置において、
前記固化部に配置された前記電極箔の最下部の下方に、廃液を回収する第2容器が設けられている、リチウムイオン電池の製造装置。 - 正極用の電極層が形成された正極シートと、負極用の電極層が形成された負極シートとがセパレータ層を介して交互に積層された積層体を備えるリチウムイオン電池の製造方法であって、
水と相溶な溶剤および水に難溶なバインダーを含む電極材料を電極箔の上に塗布する塗布工程と、
前記電極箔の上に塗布された前記電極材料の表面に固化液を供給する固化工程と、
前記固化液が供給された前記電極材料を乾燥させて前記電極層を形成する乾燥工程と、
を有し、
前記固化工程において、前記電極箔が、前記乾燥工程で配置される前記電極箔の位置よりも下方側で、かつ前記乾燥工程における前記電極箔と鈍角を形成するように配置された状態で前記固化液を供給する、リチウムイオン電池の製造方法。 - 請求項8に記載のリチウムイオン電池の製造方法において、
前記固化工程で、スリットノズルから前記電極材料の表面に前記固化液を供給する、リチウムイオン電池の製造方法。 - 請求項8または9に記載のリチウムイオン電池の製造方法において、
前記固化工程で、固化部に配置される前記電極箔の最下部にエアーを吹き付ける、リチウムイオン電池の製造方法。 - 請求項9または10に記載のリチウムイオン電池の製造方法において、
前記スリットノズルと連結されたポンプによって前記スリットノズルから吐出される前記固化液の吐出量を調整する、リチウムイオン電池の製造方法。 - 請求項9から11の何れかに記載のリチウムイオン電池の製造方法において、
前記スリットノズルの先端部の隙間量を調整することで、前記スリットノズルから吐出される前記固化液の吐出量を調整する、リチウムイオン電池の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013067522A JP2014192043A (ja) | 2013-03-27 | 2013-03-27 | リチウムイオン電池の製造装置および製造方法 |
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JP2013067522A JP2014192043A (ja) | 2013-03-27 | 2013-03-27 | リチウムイオン電池の製造装置および製造方法 |
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JP2013067522A Pending JP2014192043A (ja) | 2013-03-27 | 2013-03-27 | リチウムイオン電池の製造装置および製造方法 |
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JP (1) | JP2014192043A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016115576A (ja) * | 2014-12-16 | 2016-06-23 | 株式会社日立ハイテクファインシステムズ | リチウムイオン電池の製造方法、リチウムイオン電池の製造装置およびリチウムイオン電池 |
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2013
- 2013-03-27 JP JP2013067522A patent/JP2014192043A/ja active Pending
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JP2016115576A (ja) * | 2014-12-16 | 2016-06-23 | 株式会社日立ハイテクファインシステムズ | リチウムイオン電池の製造方法、リチウムイオン電池の製造装置およびリチウムイオン電池 |
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