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JP2014177371A - 二酸化チタン、リチウムイオン二次電池、ハイブリッドキャパシタ及び二酸化チタンの製造方法 - Google Patents

二酸化チタン、リチウムイオン二次電池、ハイブリッドキャパシタ及び二酸化チタンの製造方法 Download PDF

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JP2014177371A JP2013051781A JP2013051781A JP2014177371A JP 2014177371 A JP2014177371 A JP 2014177371A JP 2013051781 A JP2013051781 A JP 2013051781A JP 2013051781 A JP2013051781 A JP 2013051781A JP 2014177371 A JP2014177371 A JP 2014177371A
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titanic acid
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secondary battery
lithium
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英行 野口
Yasuyuki Furuya
泰幸 古谷
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Saga University NUC
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Abstract

【課題】 この発明は、合成が容易で電池特性に優れた二酸化チタンを提供する。
【解決手段】 アルカリ金属を含有するチタン酸化物から生成される一次粒子の集合体としての微結晶集合体である二酸化チタンであって、一次粒子が、層状構造を有し、粒子径を1μm以下とする球状粒子であり、微結晶集合体が、配向性を有しないものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池及びハイブリッドキャパシタの電極活物質となる二酸化チタン及びその製造方法、並びに、二酸化チタンを電極活物質として用いたリチウムイオン二次電池及びハイブリッドキャパシタに関する。
近年多用されるリチウムイオン二次電池やハイブリッドキャパシタ等の蓄電デバイスにおいては、リチウムイオンの固相内での移動や正負イオンの吸着で充放電が行われる。これらの蓄電デバイスは、使用される携帯用機器の小型高性能化に伴って、高エネルギー密度化や高出力化が求められている。
現在、リチウムイオン二次電池用の正極活物質としては数多くのものが存在するが、最も一般的に知られているのは、作動電圧が4V(vs.Li/Li)付近のリチウムコバルト酸化物(LiCoO)や、リチウムニッケル酸化物(LiNiO)、又はスピネル構造を持つリチウムマンガン酸化物(LiMn)等を基本構成とするリチウム含有遷移金属酸化物である。これらは、充放電特性とエネルギー密度に優れることから正極活物質として広く採用されている。
また、負極活物質としては、ハードカーボン、ソフトカーボン、及び黒鉛等の炭素材料が広く用いられており、電解液にはLiPFを環状及び鎖状カーボネートに溶解したものが用いられている。
しかしながら、今後の中型・大型電池への展開、特に大きな需要が見込まれるハイブリッドカー(Hybrid Electric Vehicle;HEV)や電気自動車(Electric Vehicle;EV)への搭載を考えた場合に、現在の小型電池の仕様ではHEVやEV用途で要求される安全性及び長寿命を満足することができない。
このような状況下、チタン酸化物系活物質を電極活性物質として用いる検討がなされている。このチタン酸化物系活物質は、対極にリチウム金属を使用した場合に、約1〜2V程度の電圧となる。そのため、様々な結晶構造、或いは粒子形状を有するチタン酸化物系活物質が、電極活物質として検討されている。
中でも、ブロンズ型の結晶構造を有する二酸化チタン(ブロンズ型酸化チタン、以下、「TiO(B)」と称す)は、Li4+xTi12(0≦x≦3)で表されるスピネル型チタン酸リチウムよりも高容量とされ、リチウムイオン二次電池の電極活物質として着目されている。
例えば、ナノワイヤやナノチューブ等のナノスケールの形状を有するTiO(B)活物質は、300mAh/gを越える初期放電容量を有する電極材料として、注目されている(例えば、非特許文献1参照)。
しかしながら、これらのナノワイヤやナノチューブ等のTiO(B)では、初期の挿入反応により挿入されたリチウムイオンの一部が脱離されないために、放出されないリチウムイオンの存在によって不可逆容量が大きくなる。その結果、ナノワイヤやナノチューブ等のTiO(B)の初期充放電効率(=充電容量(リチウム脱離量)÷放電容量(リチウム挿入量))が73%程度となり、高容量系のリチウムイオン二次電池における電極材料としての適用には課題があった。
また、これらの前駆体となるアルカリ含有チタン酸の合成には、大量生産に不向きな水熱合成法が用いられている。また、これらのナノワイヤやナノチューブ等のTiO(B)では、得られる粒子の形状も異方的であり、体積当たりのエネルギー密度を高く保つのに欠かせない高密度電極の作成が困難となる。
これに対し、大量生産に適した固相法により前駆体を得る方法としては、高温焼成により前駆体となるNaTiやKTiを経由する方法が開示されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
特開2011−241100号公報 特開2008−34368号公報 特開2008−117625号公報
A. R. Armstrong, G. Armstrong, J. Canales, R. Garcia, P. G. Bruce, Advanced Materials, 17, 862-865 (2005)
しかしながら、これらの特許文献1、特許文献2及び特許文献3によれば、純粋な前駆体の合成には、高温焼成を2回繰り返す必要があり、プロトン交換反応も12時間毎に塩酸溶液を交換し、5日間処理を続ける必要があるという煩雑なものである。
また、特許文献1に開示されるTiO(B)は、初期放電容量が200mAh/gと高い値を示すものの、高電流密度での容量低下が著しく大きいことが明らかとなった。また、特許文献2に開示されるTiO(B)では、十分な初期放電容量及び初期充放電効率が得られないことが明らかとなった。また、特許文献3に開示されるTiO(B)は、電気化学特性は大きく改善できるものの、合成上の困難さは未解決である。
本発明は、上述のような課題を解消するためになされたもので、合成が容易で電池特性に優れた二酸化チタン、二酸化チタンを負極活物質として用いたリチウムイオン二次電池及びハイブリッドキャパシタ、並びに、二酸化チタンの製造方法を提供することを目的とする。
この発明に係る二酸化チタンにおいては、アルカリ金属を含有するチタン酸化物から生成される一次粒子の集合体としての微結晶集合体である二酸化チタンであって、一次粒子が、層状構造を有し、粒子径を1μm以下とする球状粒子であり、微結晶集合体が、配向性を有しないものである。
開示の二酸化チタンは、リチウムイオン二次電池の電極材料として用いたときに、優れた初期放電容量及び初期充放電効率を示すリチウムイオン二次電池を提供することができると共に、ハイブリッドキャパシタの負極としても使用できるという効果を奏する。
(a)は700℃の焼成で得られた前駆体(KLi0.6Ti9.3)のSEM像であり、(b)は800℃の焼成で得られた前駆体(KLi0.6Ti9.3)のSEM像であり、(c)は900℃の焼成で得られた前駆体(KLi0.6Ti9.3)のSEM像であり、(d)は1000℃の焼成で得られた前駆体(KLi0.6Ti9.3)のSEM像である。 3N硝酸プロトン交換反応後の350℃熱処理試料のX線回折(XRD)図である。 (a)は焼成温度を700℃とする前駆体から合成した二酸化チタン試料を活物質とし、負極に金属リチウムを用いたリチウム電池のdQ/dV曲線を示すグラフであり、(b)は実施例1並びに実施例2の放電レート特性及びサイクル特性を示す特性図である。
(本発明の第1の実施形態)
本実施形態に係る二酸化チタン(TiO)は、アルカリ金属を含有するチタン酸化物から生成される一次粒子の集合体としての微結晶集合体であり、配向性を有しないものである。
また、二酸化チタンの一次粒子は、層状構造を有し、粒子径を1μm以下とする球状粒子である。
また、本実施形態に係るチタン酸化物は、アルカリ金属として、リチウム(Li)とカリウム(K)、ルビジウム(Rb)若しくはセシウム(Cs)との2種、又はセシウム(Cs)の1種を含有し、所定の組成により、層状構造を有する二酸化チタンの前駆体となる。
特に、本実施形態に係るチタン酸化物は、KLiTi2−(x+y)/4(但し、3<(x/y)<3.6)、RbLiTi2−(x+y)/4(但し、3<(x/y)<3.5)、CsLiTi2−(x+y)/4(但し、3<(x/y)<3.5)、又は、CsTi2−x/4(但し、0.7<x<0.9)である。
また、本実施形態に係る二酸化チタンの製造方法は、アルカリ金属を含有するチタン酸化物を500℃〜800℃で焼成する焼成工程と、焼成されたチタン酸化物を酸性水溶液に含浸してチタン酸を生成するチタン酸生成工程と、生成したチタン酸を焼成して二酸化チタンを生成する二酸化チタン生成工程と、を少なくとも含む。
なお、本願発明者は、層状構造を有するレピドクロサイト(lepidocrocite)構造を持つ前駆体(チタン酸化物)の利用が、合成が容易で電池特性に優れた二酸化チタンの生成に有効であることを、以下のように見出した。
層状構造を有するレピドクロサイト構造を持つ前駆体は、広範な温度範囲(500℃〜1000℃)で合成することができる。
特に、800℃以下の低温焼成で得られる前駆体は、図1(a)及び図1(b)に示すように、一次粒子の粒子径(一次粒子サイズ)が1μm以下(700℃:約0.5μm、800℃:約1μm)の微結晶集合体となるが、900℃以上の高温焼成で合成した前駆体は、図1(c)及び図1(d)に示すように、一次粒子の粒子径が数十ミクロン(900℃:5μm〜10μm、1000℃:30μm〜80μm)の結晶を与える。
また、一次粒子の結晶は、前駆体の焼成温度が高くなるにつれて大きくなり、平板状結晶に成長する(700℃:球状粒子、800℃:やや平板状粒子、900℃:平板状粒子、1000℃:平板状粒子)。また、高温焼成で合成した前駆体は、X線回折(X‐ray diffraction:XRD)により評価すると、CuKα線を用いて測定した2θの値である12°及び28°における(0k0)面の回折線の強度比が変化する。なお、(130)面の回折線の強度に対する(020)面の回折線の強度の比((020)/(130)強度比)は、焼成温度700℃で0.85であり、焼成温度800℃で0.84であり、焼成温度900℃で1.74であり、焼成温度1000℃で2.39であり、900℃以上の高温焼成で粒子が平板状に成長して配向するため、(020)面の回折線の強度が増大している。
また、高温焼成で合成した前駆体は、プロトン交換反応を適用することにより、(020)面に沿って劈開し易く、b軸方向の厚みが著しく減少する。ここで生成するチタン酸は、加熱処理により、ブロンズ相の二酸化チタンに250℃以上の熱処理で転移する。
なお、リチウムイオン二次電池の性能は、固体内でのリチウムイオン(Li)の拡散が重要な因子となる。固体内でのリチウムイオンの拡散速度が遅い場合に、リチウムイオン二次電池の高い性能を維持するには、二酸化チタンの微粒子化により、拡散距離を小さくする必要がある。また、リチウムイオンは、リチウムイオン二次電池の電池材料として使用する場合に、ブロンズ相のc軸方向のトンネル内を拡散する。この方向は、チタン酸のc軸方向、即ち、劈開面と平行方向であり、劈開により結晶を小さくしても拡散方向の長さが小さくなることはない。このため、高温焼成で合成した前駆体では、劈開を進行させて微粒子化を図っても、電池特性の向上にはつながらない。
なお、二酸化チタンの合成に用いる前駆体には、界面がステップ状で粒子が層状構造のNaTi、KTi及びCsTi11などが知られているが、これらを単一相で合成するには、高温焼成が不可欠である。
この結果、合成試料は、結晶形を反映したロッド状の形態をもつ1μm以上の一次粒子を形成する。そして、イオン交換プロセスでは、形状が維持され、その後の熱処理では、リチウムイオンの拡散距離の長い二酸化チタンが生成され、電池特性が劣ることになる。
この観点から考えると、レピドクロサイト相は、チタン酸化物を500℃〜800℃の低温で焼成して合成することにより、微結晶集合体となり、二酸化チタンの前駆体として最適である。
また、レピドクロサイト相のプロトン交換反応は複雑である。例えば、900℃で合成したK0.86Ti1.72Li0.26を、3mol/L塩酸(3N HCl)で温度を変えてプロトン交換すると、反応は全て24時間以内に終了する。しかしながら、プロトン交換温度が80℃以上である場合には、ルチル相とアナターゼ相とが副生し、プロトン交換温度が高くなる程、これらの相の生成が優先的になる。このため、プロトン交換温度は、70℃以下で行う必要がある。また、低角側に現れるチタン酸の回折ピークの位置も温度に依存し、室温近傍で最も低角側に出現する。この場合に、多くの(0k0)面の回折線が強く表れることに特色がある。
また、前駆体の粒子径は、チタン酸の収量に大きく依存する。例えば、プロトン交換反応に塩酸を用い、カリウムイオン(K)及びリチウムイオン(Li)のプロトンへのイオン交換を行うと、3mol/L(3N)以下の場合は重量ベースで70%以上のチタン酸が回収できる。酸濃度を上げて5mol/L塩酸(5N HCl)にすると、一次粒子径の小さい焼成温度600〜800℃で合成した前駆体では、チタン酸の収率が10%以下まで低下する。
なお、前駆体からのチタン酸の合成には、塩酸及び硝酸が使用できるのであるが、塩酸は、熱処理過程で完全に除去することが可能であり、最終的に合成するブロンズ相の1サイクル目の不可逆容量が小さくなり、不可逆容量を最小限に抑制することができるため、塩酸の方が電池材料を生成するうえで望ましい。
また、プロトン交換反応後の試料(中間体のチタン酸)は、前駆体の焼成温度が700℃の場合に層間距離dが9.22Åであり、前駆体の焼成温度が800℃の場合に層間距離dが9.22Åであり、前駆体の焼成温度が900℃の場合に層間距離dが8.20Åであり、前駆体の焼成温度が1000℃の場合に層間距離dが7.53Åであるため、高温で焼成した前駆体であるほど、層間距離が短くなる。
このため、高温焼成した前駆体に対するプロトン交換反応後の試料(中間体のチタン酸)は、前駆体の結晶性が良好な場合に、水分が共挿入しないものであり、プロトン交換反応による水分の除去量が少なく、重量損失が小さい。
また、チタン酸は、様々な前駆体から合成できるのであるが、各前駆体から合成したチタン酸におけるX線回折(XRD)図、赤外吸収スペクトル及びラマンスペクトルは類似し、その違いを明確にすることは困難である。しかしながら、チタン酸の熱処理プロセス中に、アナターゼ相への転移の中間過程に生じるブロンズ相の生成温度範囲は、前駆体の結晶性や組成に依存する。
例えば、900℃で合成したK−Li系レピドクロサイト相の場合、チタン酸に由来するX線回折(XRD)の回折線が消失する熱処理温度は前駆体の組成に拠らずに250℃程度であるが、アナターゼ相への転移は前駆体のK/Ti原子比が0.5の時に最も起き難く、450℃の熱処理でもアナターゼ相の存在は電気化学的な測定でも検出されない。即ち、再現性よくブロンズ相を合成するには、前駆体のK/Li原子比を0.5とする方が望ましい。
また、前駆体の焼成温度もアナターゼ相への転移温度に関係する。例えば、900℃で合成した前駆体から得られたチタン酸は、450℃の熱処理ではアナターゼ相への転移は認められなかったものの、1000℃で合成した前駆体から得られたチタン酸は、450℃の熱処理により、一部アナターゼ相へ転移することが確認できた。即ち、低温焼成の結晶性の劣る前駆体から得られたチタン酸ほどアナターゼ相に転移し難いことが明らかとなった。
なお、高温焼成の前駆体から得られた二酸化チタンと低温焼成の前駆体から得られた二酸化チタンとのX線回折(XRD)図における違いは、それほど大きくはない。しかしながら、図2に示すように、CuKα線を用いて測定した2θの値である15°付近や30°付近におけるピークの分裂及びピーク強度の増加が、前駆体の焼成温度が高くなるのに従い連続的に生じる。即ち、前駆体の焼成温度が二酸化チタンの結晶性に影響を及ぼしており、900℃以上の高温焼成の前駆体では高結晶性を有し、800℃以下の低温焼成の前駆体では低結晶性を有している。なお、図2に示すX線回折(XRD)図は、前駆体の焼成温度を700℃、800℃、900℃及び1000℃とした場合における、3mol/L硝酸(3N HNO)を用いてプロトン交換反応でチタン酸を得て、このチタン酸を350℃で熱処理した試料に対して、X線回折(XRD)を行った結果である。また、図2に示す二点鎖線で囲んだX線回折(XRD)図は、本実施形態に係る試料を対象として、X線回折(XRD)を行った結果である。
本実施形態に係る低温焼成の前駆体から合成した二酸化チタンの特色は、粒子形態以外として、ラマンスペクトル及び充放電挙動に現れる。
このうち、ラマンスペクトルの形状について、本実施形態に係る二酸化チタン(低結晶性TiO)のスペクトル形状は、従来の二酸化チタン(高結晶性TiO(B):前駆体の焼成温度900℃以上、Raman shift[cm-1]:295,360,430,470,550)のスペクトル形状よりも、むしろ、チタン酸のスペクトル形状に近い。即ち、本実施形態に係る二酸化チタン(低結晶性TiO)のラマンスペクトルは、チタン酸に存在しない510cm−1付近にピークは存在するが、548cm−1にピークは認められず、367cm−1のピークは410cm−1のピークのショルダーピークとなる程度の強度しか持たない。
この結果とX線回折(XRD)による測定結果とを合わせて考えると、本実施形態に係る二酸化チタンは、層状構造とブロンズ相の中間的な構造であると判断することができる。
また、本実施形態に係る二酸化チタンを活物質とし、対極を金属リチウムとして充放電テストを行ったところ、焼成温度が700℃及び800℃である前駆体から生成した二酸化チタンも、ブロンズ相のTiOの充放電曲線に類似する充放電曲線を与えた。また、下表1に示すように700℃および800℃の前駆体から合成した二酸化チタンの可逆容量が大きいことがわかる。
また、本実施形態に係る二酸化チタンの特色は、リチウム二次電池の活物質に用いた場合に、従来の二酸化チタン(TiO(B))と比較して、優れた放電レート特性を有することである。例えば、前駆体の焼成温度が700℃である二酸化チタンでは、0.05Cから0.8Cまでは10%以下の容量の低下しか見られず、1.6Cでも180mAh/g以上の容量を保持することがわかる。なお、本実施形態における1Cは、公称容量値を220mAhg−1として算出したものである。
また、本実施形態に係る二酸化チタンは、リチウム二次電池の活物質に用いた場合に、充放電曲線の特色として、充放電レートを0.05C程度まで下げると現れる。また、本実施形態に係る二酸化チタンは、充放電曲線、特に充電曲線が1.8V以下の領域で二つのプラトーからなることである。これは、充放電曲線を微分することで明確にできる。この微分値(dQ/dV:Qは容量、Vは電圧)は、高結晶性の二酸化チタン(TiO(B))が高電圧側に一つのピークのみを持つのに対し、図3(a)に示すように、本実施形態に係る二酸化チタン(実施例1)は、高結晶性TiO(B)の低電圧側に、もう一つのピークを与えることになる。
つぎに、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記の実施例に制限するものではない。
(実施例1)
まず、原料である、アナターゼ型二酸化チタン7.99gと、炭酸カリウム3.46gと、酢酸リチウム1.53gと、を乳鉢に取り、少量の水を加えて混煉した。
そして、この混煉した原料を蒸発皿に移し、200℃で脱水し、乾燥させた。
さらに、この乾燥させた混合物を500℃、600℃又は700℃で20時間焼成して、二酸化チタンの前駆体であるKLi0.6Ti9.3を生成した。
500℃で焼成した生成物(500℃焼成試料)、600℃で焼成した生成物(600℃焼成試料)及び700℃で焼成した生成物(700℃焼成試料)をX線回折(XRD)法により分析した結果、いずれの生成物も原料のアナターゼ相を含まない単一相のレピドクロサイト相であった。
また、これらの前駆体(500℃焼成試料、600℃焼成試料、700℃焼成試料)を走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)により観察した結果、全ての前駆体において、一次粒子の粒子径が1μm以下の球状の微粒子(図1(a)参照)から構成されることがわかった。
つぎに、700℃焼成試料を2g取り、0℃〜70℃(好ましくは、常温)における100mlの3mol/L塩酸(3N HCl)に一夜(12時間)浸漬した。そして、上澄み液を除去し、蒸留水50mlを加えた。
これらの操作を5回繰り返した後に、ろ過し、80℃で一日乾燥してチタン酸を得た。
得られたチタン酸をX線回折(XRD)により評価したところ、前駆体の回折線は残存せず、完全にチタン酸に変わっていることが確認できた。
このチタン酸の試料を空気中において150℃、250℃、350℃又は450℃で4時間熱処理して、二酸化チタンを得た。
これらの二酸化チタンをX線回折(XRD)法により分析したところ、チタン酸を250℃以下で熱処理した二酸化チタンのX線回折(XRD)図には、CuKα線を用いて測定した2θが12°及び24°において、チタン酸由来のシャープなピークが残存する。
また、チタン酸を350℃で熱処理した二酸化チタンのX線回折(XRD)図には、シャープなピークが無くなり、ブロンズ相に対応するブロードなピークのみが存在する。
また、チタン酸を450℃で熱処理した二酸化チタンのX線回折(XRD)図も同様に、ブロンズ相に対応するブロードなピークが存在する回折図であるが、CuKα線を用いて測定した2θの値である15°及び30°付近のピーク強度が増加し、よりブロンズ相的な回折図であった。
なお、チタン酸を350℃又は450℃で熱処理した二酸化チタンは、従来の二酸化チタン(TiO(B))と比較して、ピークの数が少なく、X線回折像の線幅が広く、強度の弱い非晶質材料であり、チタン酸の特徴はない。
また、これらの二酸化チタン試料におけるラマンスペクトルを測定したところ、チタン酸を150℃、250℃及び350℃で熱処理した試料は全体的に類似している。
ただし、大きな相違点としては、X線回折(XRD)的にはブロンズ相の二酸化チタンに属する350℃で熱処理した試料は、チタン酸には存在しない510cm−1付近にピークが存在する。
また、350℃から450℃に熱処理温度を上げると、ラマンスペクトルもブロンズ相の二酸化チタン特有のスペクトルに変化している。
つぎに、チタン酸を350℃で熱処理した二酸化チタンを活物質として電極を作成した。電極の作成には、アセチレンブラックとテフロン(登録商標)とからなる導電性バインダー12mgを用い、活物質を20mgとした。
また、電解液には、1M LiPF(六フッ化リン酸リチウム)/エチレンカーボネート(ethylene carbonate:EC)−ジメチルカーボネート(Dimethyl carbonate:DMC)を用いた。
そして、本実施例に係る二酸化チタンを活物質に用いた電極と、金属リチウム対極とを組み合わせ、電解液と共に、リチウム二次電池を構成する。
なお、負極に用いた本実施形態に係る二酸化チタンは、X線回折(XRD)的にはブロンズ相に対応し、ラマンスペクトル的には層状構造的である。
そして、これらの電極及び電解液を備えたリチウム二次電池の充放電を室温で行ない、電流密度を0.1mA/cm(0.05C)以上とした放電レート特性及びサイクル特性を図3(b)に示す。
図3(b)に示すように、放電レート特性及びサイクル特性は、0.05Cから1.6Cに放電レートを上げても80%以上の容量を維持し、20サイクル後、再び、0.05Cに戻しても、放電容量は最初と同じ値を維持しており、サイクル特性も良好である。
また、上記電極及び電解液を備えたリチウム二次電池(実施例1)の充放電曲線は、高温で合成した前駆体から生成した高結晶性TiO(B)を活物質とするリチウム二次電池(比較例1)には見られない形状を有する。即ち、実施例1に係るリチウム二次電池は、図3(a)の微分曲線(dQ/dV)に示すように、比較例1に係るリチウム二次電池と比較すると、低電圧側に新しいピークを有することが特色である。
また、上記電極及び電解液を備えたリチウム二次電池の充放電は、充放電の電圧範囲が1.2Vから2.5Vまでで、二酸化チタン1g当たり180mAh/gの容量が得られることを確認することができた。
(実施例2)
まず、原料である、アナターゼ型二酸化チタン10.0gと、炭酸ルビジウム6.20gと、炭酸リチウム0.66gと、を乳鉢に取り、少量の水を加えて混煉した。
そして、この混煉した原料を蒸発皿に移し、350℃で脱水し、乾燥させた。
さらに、この乾燥させた混合物を600℃又は700℃で20時間焼成して、二酸化チタンの前駆体であるRb0.75Li0.25Ti1.75 を生成した。
600℃で焼成した生成物(600℃焼成試料)及び700℃で焼成した生成物(700℃焼成試料)をX線回折(XRD)法により分析した結果、いずれの生成物も原料のアナターゼ相を含まない単一相のレピドクロサイト相であった。
また、これらの前駆体(600℃焼成試料、700℃焼成試料)を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した結果、全ての前駆体において、一次粒子の粒子径が1μm以下の球状の微粒子から構成されることがわかった。
つぎに、700℃焼成試料を2g取り、0℃〜70℃(好ましくは、常温)における100mlの3mol/L塩酸(3N HCl)に一夜(12時間)浸漬した。そして、上澄み液を除去し、蒸留水50mlを加えた。
これらの操作を5回繰り返した後に、ろ過し、80℃で一日乾燥した。そして、この操作を2回又は3回繰り返してチタン酸を得た。
得られたチタン酸をX線回折(XRD)により評価したところ、前駆体の回折線は残っておらず、完全にチタン酸に変わっていることが確認できた。
このチタン酸の試料を空気中において250℃、350℃、500℃又は700℃で4時間熱処理して、二酸化チタンを得た。
これらの二酸化チタンをX線回折(XRD)法により分析したところ、チタン酸を250℃以下で熱処理した二酸化チタンのX線回折(XRD)図には、CuKα線を用いて測定した2θが12°及び24°において、チタン酸由来のシャープなピークが残存する。
また、チタン酸を350℃で熱処理した二酸化チタンのX線回折(XRD)図には、シャープなピークが無くなり、ブロンズ相に対応するブロードなピークのみが存在する。
また、チタン酸を500℃で熱処理した二酸化チタンのX線回折(XRD)図も同様に、ブロンズ相に対応するブロードなピークが存在する回折図であるが、CuKα線を用いて測定した2θの値である15°及び30°付近のピーク強度が増加し、よりブロンズ相的な回折図であった。
さらに、チタン酸を700℃で熱処理した二酸化チタンのX線回折(XRD)図には、アナターゼ相に変化した回折図であった。
なお、チタン酸の純度もチタン酸の熱処理物のX線回折(XRD)測定によって確認できる。また、プロトン交換反応の操作を2回繰り返したアルカリ金属を含むチタン酸の場合、800℃で熱処理した二酸化チタンのX線回折(XRD)図には、主生成物のアナターゼ相に加え、痕跡量のレピドクロサイト相の混入が認められた。即ち、2回のイオン交換では、アルカリ金属を完全に除去することができない。しかしながら、プロトン交換反応の操作を3回繰り返すと、X線回折(XRD)測定において、レピドクロサイト相の存在を確認できず、3回のイオン交換処理で痕跡量のアルカリ金属を除去することができることになる。
つぎに、3mol/L塩酸(3N HCl)によるイオン交換反応の操作を3回行って得たチタン酸を、500℃で熱処理した二酸化チタンを活物質として電極を作成した。電極の作成には、アセチレンブラックとテフロン(登録商標)とからなる導電性バインダー12mgを用い、負極活物質を20mgとした。
また、電解液には、1M LiPF(六フッ化リン酸リチウム)/エチレンカーボネート(EC)−ジメチルカーボネート(DMC)を用いた。
そして、本実施例に係る二酸化チタンを活物質に用いた電極と、金属リチウム対極とを組み合わせ、電解液と共に、リチウム二次電池を構成する。
そして、分極を少なくするために測定温度を50℃として、これらの電極及び電解液を備えたリチウム二次電池の充放電を行ない、電流密度を0.4mA/cmとし、電池特性を評価した。得られた充放電曲線を微分し、微分曲線(dQ/dV)を算出すると、二つの充放電プラトーの存在を確認することができた。
(実施例3)
まず、原料である、アナターゼ型二酸化チタン10.0gと、炭酸セシウム8.07gと、炭酸リチウム0.60gと、を乳鉢に取り、少量の水を加えて混煉した。
そして、この混煉した原料を蒸発皿に移し、350℃で脱水し、乾燥させた。
さらに、この乾燥させた混合物を600℃又は700℃で20時間焼成して、二酸化チタンの前駆体であるCs0.7Li0.23Ti1.77を生成した。
600℃で焼成した生成物(600℃焼成試料)及び700℃で焼成した生成物(700℃焼成試料)をX線回折(XRD)法により分析した結果、いずれの生成物も原料のアナターゼ相を含まない単一相のレピドクロサイト相であった。
また、これらの前駆体(600℃焼成試料、700℃焼成試料)を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した結果、全ての前駆体において、一次粒子の粒子径が1μm以下の球状の微粒子から構成されることがわかった。
つぎに、700℃焼成試料を2g取り、0℃〜70℃(好ましくは、常温)における100mlの3mol/L塩酸(3N HCl)に一夜(12時間)浸漬した。そして、上澄み液を除去し、蒸留水50mlを加えた。
これらの操作を5回繰り返した後に、ろ過し、80℃で一日乾燥した。そして、この操作を5回繰り返してチタン酸を得た。
得られたチタン酸をX線回折(XRD)により評価したところ、前駆体の回折線は残っておらず、完全にチタン酸に変わっていることが確認できた。
このチタン酸の試料を空気中において250℃、350℃、500℃又は700℃で4時間熱処理して、二酸化チタンを得た。
これらの二酸化チタンをX線回折(XRD)法により分析したところ、チタン酸を250℃以下で熱処理した二酸化チタンのX線回折(XRD)図には、CuKα線を用いて測定した2θが12°及び24°において、チタン酸由来のシャープなピークが残存する。
また、チタン酸を350℃で熱処理した二酸化チタンのX線回折(XRD)図には、シャープなピークが無くなり、ブロンズ相に対応するブロードなピークのみが存在する。
また、チタン酸を500℃で熱処理した二酸化チタンのX線回折(XRD)図も同様に、ブロンズ相に対応するブロードなピークが存在する回折図であるが、CuKα線を用いて測定した2θの値である15°及び30°付近のピーク強度が増加し、よりブロンズ相的な回折図であった。
さらに、チタン酸を700℃で熱処理した二酸化チタンのX線回折(XRD)図には、アナターゼ相がメインになるが、不純物相の混入が認められた。即ち、1回のイオン交換では、アルカリ金属を完全に除去することができない。しかしながら、プロトン交換反応の操作を3回繰り返すと、アルカリ金属を除去することができ、700℃の焼成であっても、X線回折(XRD)測定において、レピドクロサイト相の存在を確認することができないことになる。
よって、アルカリ金属の除去は、前駆体の構成元素に依存し、カリウム、ルビジウム、セシウムの順に除去が困難であることが明らかになった。
つぎに、3mol/L塩酸(3N HCl)によるイオン交換反応の操作を5回行って得たチタン酸を、500℃で熱処理した二酸化チタンを活物質として電極を作成した。電極の作成には、アセチレンブラックとテフロン(登録商標)とからなる導電性バインダー12mgを用い、電極活物質を20mgとした。
また、電解液には、1M LiPF(六フッ化リン酸リチウム)/エチレンカーボネート(EC)−ジメチルカーボネート(DMC)を用いた。
そして、本実施例に係る二酸化チタンを活物質に用いた電極と、金属リチウム対極を組み合わせ、電解液と共に、リチウム二次電池を構成する。
分極を抑制するために測定温度を50℃として、この電極及び電解液を備えたリチウム二次電池の充放電を行ない、電池特性を評価した。なお、電流密度は0.4mA/cmとした。得られた充放電曲線を微分し、微分曲線(dQ/dV)を算出すると、二つの充放電プラトーの存在を確認することができた。
(実施例4)
まず、原料である、アナターゼ型二酸化チタン10.0gと、炭酸セシウム8.07gと、を乳鉢に取り、少量の水を加えて混煉した。
そして、この混煉した原料を蒸発皿に移し、200℃で脱水し、乾燥させた。
さらに、この乾燥させた混合物を600℃又は700℃で20時間焼成して、二酸化チタンの前駆体であるCs0.73Ti1.82を生成した。
600℃で焼成した生成物(600℃焼成試料)及び700℃で焼成した生成物(700℃焼成試料)をX線回折(XRD)法により分析した結果、CuKα線を用いて測定した2θ=28°のピークがブロードになっているものの、いずれの生成物も原料のアナターゼ相を含まない単一相のレピドクロサイト相であった。
また、これらの前駆体(600℃焼成試料、700℃焼成試料)を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した結果、全ての前駆体において、一次粒子の粒子径が1μm以下の球状の微粒子から構成されることがわかった。
つぎに、700℃焼成試料を2g取り、0℃〜70℃(好ましくは、常温)における100mlの3mol/L塩酸(3N HCl)に一夜(12時間)浸漬した。そして、700℃焼成試料をろ過した後、再度、3mol/L塩酸(3N HCl)を100ml加え、一夜(12時間)浸漬した。これらの操作を計5回行なった。そして、上澄み液を除去し、蒸留水50mlを加えた。
これらの操作を5回繰り返した後に、ろ過し、80℃で一日乾燥してチタン酸を得た。
このチタン酸の試料を空気中において500℃又は800℃で4時間熱処理して、二酸化チタンを得た。
これらの二酸化チタンをX線回折(XRD)法により分析したところ、チタン酸を500℃で熱処理した二酸化チタンのX線回折(XRD)図には、ブロンズ相に対応するブロードなピークのみが存在する。一方、チタン酸を800℃で熱処理した二酸化チタンのX線回折(XRD)図では、この二酸化チタンがアナターゼ相の単一相であることが確認できた。
つぎに、この二酸化チタンを活物質として電極を作成した。電極の作成には、アセチレンブラックとテフロン(登録商標)とからなる導電性バインダー12mgを用い、活物質は20mgとした。
また、電解液には、1M LiPF(六フッ化リン酸リチウム)/エチレンカーボネート(EC)−ジメチルカーボネート(DMC)を用いた。
本実施例に係る二酸化チタンを活物質に用いた電極と、金属リチウム対極とを組み合わせ、電解液と共に、リチウム二次電池を構成する。
そして、分極を抑制するために測定温度を50℃として、この電極及び電解液を備えたリチウム二次電池の充放電を行ない、電流密度を0.4mA/cmとし、電池特性を評価した。得られた充放電曲線を微分し、微分曲線(dQ/dV)を算出すると、二つの充放電プラトーの存在を確認することができた。
(実施例5)
実施例1で合成した本発明に係るブロンズ相の酸化チタンと、4V級正極材料のコバルト酸リチウム(LiCoO)又は5V級正極材料のスピネル構造のLiNi0.5Mn1.5と、を組み合わせてリチウムイオン二次電池を構成した。なお、電極作成法及び電解液は、前述のリチウム二次電池の場合と同様である。
コバルト酸リチウム(LiCoO)を正極とする場合には、13.5mgのコバルト酸リチウムに対して、酸化チタンを10.4mgとした。また、測定温度を50℃とし、電流密度を40mA/g(負極重量当たり)とし、充放電電圧を1.0V〜3.15Vとした。
充放電は2V以上で生じ、連続的に電圧が直線的に変化する。また、1サイクル目のクーロン効率は、80%を示し、負極重量当たりの容量は、200mAh/gとなった。また、2サイクル目の放電曲線にも顕著な変化はなく、放電容量は維持された。
スピネル構造のLiNi0.5Mn1.5を正極とする場合には、13.3mgのLiNi0.5Mn1.5に対して、酸化チタンを10.2mgとした。また、測定温度を50℃とし、電流密度を40mA/g(負極重量当たり)とした。なお、充放電電圧は、正極電圧が高いため、上限電圧を3.6Vとし、1.0V〜3.6Vとした。
1サイクル目の充電では、2V付近のスピネル正極の酸素欠損に基づくプラトーと3V付近のプラトーとからなる。また、1サイクル目の放電容量は140mAh/gとなるが、2サイクル目は115mAh/gと大きく劣化した。これは正極材料によるもので、酸素欠損とマンガンの溶解現象に要因がある。
このように、本発明に係るブロンズ相の酸化チタンは、4V級正極材料や5V級正極材料と組み合わせたリチウム電池を製造することができる。
(比較例1)
まず、原料である、アナターゼ型二酸化チタン7.99gと、炭酸カリウム3.46gと、酢酸リチウム1.53gと、を乳鉢に取り、少量の水を加えて混煉した。
そして、この混煉した原料を蒸発皿に移し、200℃で脱水し、乾燥させた。
さらに、この乾燥させた混合物を900℃又は1000℃で20時間焼成して、二酸化チタンの前駆体であるKLi0.6Ti9.3を生成した。
900℃で焼成した生成物(900℃焼成試料)及び1000℃で焼成した生成物(1000℃焼成試料)をX線回折(XRD)法により分析した結果、いずれの生成物も原料のアナターゼ相を含まない単一相のレピドクロサイト相であった(図2参照)。
また、これらの前駆体(900℃焼成試料、1000℃焼成試料)を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した結果、全ての前駆体において、一次粒子の粒子径が3μm〜10μmの角のある比較的平板状の粒子(図1(c),(d)参照)から構成されることがわかった。
つぎに、これらの前駆体(900℃焼成試料、1000℃焼成試料)を2g取り、0℃〜70℃(好ましくは、常温)における100mlの3mol/L塩酸(3N HCl)に一夜(12時間)浸漬した。そして、上澄み液を除去し、蒸留水50mlを加えた。
これらの操作を5回繰り返した後に、ろ過し、80℃で一日乾燥してチタン酸を得た。
得られたチタン酸をX線回折(XRD)により評価したところ、前駆体の回折線は残っておらず、完全にチタン酸に変わっていることが確認できた。
また、得られたチタン酸を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、(020)面に沿って劈開しており、厚み0.1μm〜0.2μmの厚み平板状に一次粒子の形状が変化していることがわかった。即ち、劈開現象は、高温で焼成した前駆体を用いたチタン酸の方が、高温で焼成した前駆体を用いたチタン酸に対して、進行し易いことがわかる。
900℃焼成試料(前駆体)から得たチタン酸の試料を空気中において450℃で4時間熱処理して、二酸化チタンを得た。
この二酸化チタンをX線回折(XRD)法により分析したところ、この試料は典型的なブロンズ相の回折図となり、CuKα線を用いて測定した2θの値である15°及び30°付近のピークが2本に分裂していることがわかった。
また、この二酸化チタン試料におけるラマンスペクトルを測定したところ、548cm−1及び367cm−1のピークが存在する典型的なブロンズ相のスペクトルであった。
つぎに、チタン酸を450℃で熱処理した二酸化チタンを活物質として電極を作成した。電極の作成には、アセチレンブラックとテフロン(登録商標)とからなる導電性バインダー12mgを用い、活物質は20mgとした。
また、電解液には、1M LiPF(六フッ化リン酸リチウム)/エチレンカーボネート(EC)−ジメチルカーボネート(DMC)を用いた。
そして、本比較例1に係る二酸化チタンを活物質に用いた電極と、金属リチウム対極とを組み合わせ、電解液と共に、リチウム二次電池を構成する。
上記電極及び電解液を備えたリチウム二次電池(比較例1)の充放電曲線は、2V以下に一つのピークのみを有するものであった。
(比較例2)
まず、原料である、アナターゼ型二酸化チタン7.99gと、水酸化セシウム5.8gを乳鉢に取り、少量の水を加えて混煉した。
そして、この混煉した原料を蒸発皿に移し、200℃で脱水し、乾燥させた。
さらに、この乾燥させた混合物を900℃で20時間焼成して、二酸化チタンの前駆体であるCs0.73Ti1.82を生成した。
この前駆体(900℃焼成試料)を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した結果、表面が平滑であり、短軸0.5μm〜3μm及び長軸5μm〜20μm程度のロッド状の粒子形態を有していた。なお、この粒子形態は、単斜晶相のNaTi、KTi及びCsTi11に共通の粒子形態である。
つぎに、この前駆体(900℃焼成試料)に対して、前述した特許文献3に開示された製造方法に従い、塩酸を用いて、5日間で12時間毎に塩酸溶液を交換し、イオン交換反応を行ない、チタン酸を得た。
そして、得られたチタン酸を450℃で4時間熱処理して、ブロンズ相の二酸化チタン(TiO(B))を得た。
この二酸化チタン(TiO(B))をX線回折(XRD)法により分析したところ、X線回折(XRD)図は、比較例1のX線回折(XRD)図に類似していた。
また、この二酸化チタン(TiO(B))におけるラマンスペクトルを測定したところ、実施例1のラマンスペクトルと一致した。
つぎに、この二酸化チタン(TiO(B))を活物質として電極を作成した。電極の作成には、アセチレンブラックとテフロン(登録商標)とからなる導電性バインダー15mgを用い、活物質は25mgとした。
また、電解液には、1M LiPF(六フッ化リン酸リチウム)/エチレンカーボネート(EC)−ジメチルカーボネート(DMC)を用いた。
そして、本比較例2に係る二酸化チタンを活物質に用いた電極と、金属リチウム対極とを組み合わせ、電解液と共に、リチウム二次電池を構成する。
上記電極及び電解液を備えたリチウム二次電池(比較例2)の充放電曲線は、典型的な二酸化チタン(TiO(B))の形状を有し、その微分曲線(dQ/dV)は、2V以下に一つのピークのみを有するものであった。
以上のように、本実施形態に係る二酸化チタンは、リチウムイオン二次電池の電極材料として用いたときに、優れた初期放電容量及び初期充放電効率を示すリチウムイオン二次電池を提供することができるという作用効果を奏する。また、本実施形態に係る二酸化チタンは、リチウムイオン二次電池の電極材料として用いたときに、結晶内でのリチウムイオンの拡散距離が短く、且つ、チタン酸を高温で熱処理して合成しているために、電解液の分解に伴う不可逆容量も小さくなるという作用効果を奏する。
なお、本実施形態においては、リチウムイオン二次電池の負極活物質として二酸化チタンを用いる場合について説明したが、ハイブリッドキャパシタの負極活物質として二酸化チタンを用いてもよい。
ここで、ハイブリッドキャパシタは、2つの電極のうち、一方の電極に電気二重層を使用し、他方の電極にレドックス反応(酸化還元反応)を使用したものである。
特に、ハイブリッドキャパシタの一例としては、正極に電気二重層を使用し、負極にリチウムイオン二次電池を使用したリチウムイオンキャパシタがある。
即ち、本実施形態に係る二酸化チタンを負極活物質として用いたリチウムイオン二次電池からなる負極と、活性炭等の炭素材料の正極とを組み合わせることで、ハイブリッドキャパシタ(リチウムイオンキャパシタ)に適用することができる。
なお、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池を用いた負極の電位が1.6V程度であるために、平均電圧が1.4Vとなる活性炭を正極とするハイブリッドキャパシタ(リチウムイオンキャパシタ)や平均電圧が2.5V以上となる黒鉛を正極とするハイブリッドキャパシタを作成することができる。

Claims (6)

  1. アルカリ金属を含有するチタン酸化物から生成される一次粒子の集合体としての微結晶集合体である二酸化チタンであって、
    前記一次粒子が、層状構造を有し、粒子径を1μm以下とする球状粒子であり、
    前記微結晶集合体が、配向性を有しないことを特徴とする二酸化チタン。
  2. 請求項1に記載の二酸化チタンにおいて、
    前記一次粒子が、前記チタン酸化物を500℃〜800℃で焼成して生成されることを特徴とする二酸化チタン。
  3. 請求項1又は2に記載の二酸化チタンにおいて、
    ラマンスペクトルにおける367cm−1のピークが、ラマンスペクトルにおける410cm−1のピークのショルダーピークとして現れることを特徴とする二酸化チタン。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の二酸化チタンを負極活物質とすることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  5. 請求項4に記載のリチウムイオン二次電池を負極とすることを特徴とするハイブリッドキャパシタ。
  6. アルカリ金属を含有するチタン酸化物を500℃〜800℃で焼成する焼成工程と、
    前記焼成されたチタン酸化物を酸性水溶液に含浸してチタン酸を生成するチタン酸生成工程と、
    前記生成したチタン酸を焼成して二酸化チタンを生成する二酸化チタン生成工程と、
    を含むことを特徴とする二酸化チタンの製造方法。
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