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JP2014170689A - 非水電解液及びリチウム二次電池 - Google Patents

非水電解液及びリチウム二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】電池の保存特性を改善しつつ、低温放電特性を著しく改善できる非水電解液、及び該非水電解液を含むリチウム二次電池の提供。
【解決手段】2,2−ジオキソ−1,3,2−ジオキサチオラン等の環状硫酸エステル化合物及び1,3−プロパ−1−エンスルトン等の不飽和スルトン化合物から選択される少なくとも1種と、ホスファゼン化合物及びハロゲン化リン酸エステル化合物から選択される少なくとも1種と、を含有する非水電解液を用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は、非水電解液、並びに、携帯電子機器の電源、車載、及び電力貯蔵などに利用される充放電可能なリチウム二次電池に関する。
近年、リチウム二次電池は、携帯電話やノート型パソコンなどの電子機器、或いは電気自動車や電力貯蔵用の電源として広く使用されている。特に最近では、ハイブリッド自動車や電気自動車に搭載可能な、高容量で高出力かつエネルギー密度の高い電池の要望が急拡大している。
リチウム二次電池は、主に、リチウムを吸蔵放出可能な材料を含む正極および負極、並びに、リチウム塩と非水溶媒とを含む非水電解液から構成される。
正極に用いられる正極活物質としては、例えば、LiCoO、LiMnO、LiNiO、LiFePOのようなリチウム金属酸化物が用いられる。
また、非水電解液としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、メチルカーボネートなどカーボネート類の混合溶媒(非水溶媒)に、LiPF、LiBF、LiN(SOCF、LiN(SOCFCFのようなLi電解質を混合した溶液が用いられている。
一方、負極に用いられる負極用活物質としては、金属リチウム、リチウムを吸蔵及び放出可能な金属化合物(金属単体、酸化物、リチウムとの合金など)や炭素材料が知られており、特にリチウムを吸蔵、放出が可能なコークス、人造黒鉛、天然黒鉛を採用したリチウム二次電池が実用化されている。
電池性能の中で、特に自動車用途のリチウム二次電池に関しては、高出力化と長寿命化が必要とされている。電池の抵抗を種々の作動条件において最小化することと、電池の寿命性能を向上することの両立が大きな課題となっている
電池の抵抗が上昇する要因のひとつとして、負極表面に形成される溶媒の分解物や無機塩による皮膜が知られている。一般的に負極表面は、充電条件で負極活物質中にリチウム金属が存在することから、電解液の還元分解反応が起こることが知られている。このような還元分解が継続的に起これば、電池の抵抗が上昇し、充放電効率が低下し、電池のエネルギー密度が低下することになる。また一方で正極においても、経時的な劣化反応が起こり、抵抗が持続的に上昇して電池性能の低下をまねくことが知られている。これらの課題を克服するため、種々の化合物を電解液に添加する試みがなされてきた。
例えば、種々の環状硫酸エステル化合物を非水電解液に含有させて電池性能を改善する試みがなされている(例えば、特許文献1〜5参照)。また、例えば、不飽和スルトンを非水電解液に含有させて電池性能を改善する試みがなされている(例えば、特許文献6、7参照)。
特開平10−189042号公報 特開2003−151623号公報 特開2003−308875号公報 特開2004−22523号公報 特開2005−011762号公報 特許第4190162号公報 特許第4424895号公報
しかし、これまでの検討だけでは、低温放電特性の改善と電池の保存特性の改善との両立が、十分に満足できていないという問題がある。
特に、上記各文献に記載されている、環状硫酸エステル化合物及び不飽和スルトン化合物の添加は、電池の寿命向上には寄与するものの、低温放電特性が不十分という問題がある。
本発明は、前記課題に応えるためになされたものであり、本発明の目的は、電池の保存特性を改善しつつ、低温放電特性を著しく改善できる非水電解液、及び該非水電解液を含むリチウム二次電池を提供することである。
本発明者は、上記課題に対し、鋭意検討した結果、二次電池の非水電解液に対し、特定の化合物を加えることにより、電池の保存特性を改善しつつ、低温放電特性を著しく改善できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明の課題を解決する手段は、以下のとおりである。
<1> 環状硫酸エステル化合物及び不飽和スルトン化合物の少なくとも一方と、ホスファゼン化合物及びハロゲン化リン酸エステル化合物の少なくとも一方と、を含有する非水電解液。
<2> 前記環状硫酸エステル化合物が、下記一般式(I)で表される環状硫酸エステル化合物である<1>に記載の非水電解液。
一般式(I)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、一般式(II)で表される基、又は一般式(III)で表される基、又は、一体となって、Rが結合する炭素原子及びRが結合する炭素原子と共に、ベンゼン環若しくはシクロヘキシル環を形成する基を表す。一般式(II)中、Rは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は一般式(IV)で表される基を表す。一般式(II)、一般式(III)、及び一般式(IV)における波線は、結合位置を表す。
<3> 前記不飽和スルトン化合物が、下記一般式(V)で表される不飽和スルトン化合物である<1>又は<2>に記載の非水電解液。
一般式(V)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数が1〜6のアルキル基であって、nは0〜3の整数である。
<4> 前記ホスファゼン化合物が、下記一般式(VI)で表されるホスファゼン化合物である<1>〜<3>のいずれか1つに記載の非水電解液。
一般式(VI)中、R〜R13は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基及びアリールオキシ基から選択される少なくとも1つを表す。
<5> 前記ハロゲン化リン酸エステル化合物が、下記一般式(VII)で表される前記ハロゲン化リン酸エステル化合物である<1>〜<4>のいずれか1つに記載の非水電解液。

一般式(VII)中、R14〜R16は、それぞれ独立に、ハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基、及びハロゲン原子で置換されてもよいアリール基、から選択される少なくとも1つを表す。
<6> 下記一般式(VIII)で表される化合物、一般式(IX)で表される化合物、一般式(X)で表される化合物、及び一般式(XI)で表される化合物の少なくとも1つを含む<1>〜<5>のいずれか1つに記載の非水電解液。
一般式(VIII)中、Mは、アルカリ金属を表し、Yは、遷移元素、又は周期律表の13族、14族もしくは15族元素を表し、bは1〜3の整数、mは1〜4の整数、nは0〜8の整数、qは0又は1を表す。R17は、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、又は炭素数6〜20のハロゲン化アリーレン基(これらの基は、構造中に置換基、又はヘテロ原子を含んでいてもよく、またqが1でmが2〜4の場合にはm個のR17はそれぞれが結合していてもよい。)を表し、R15は、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のハロゲン化アリール基(これらの基は、構造中に置換基、又はヘテロ原子を含んでいてもよく、また、nが2〜8の場合はn個のR18はそれぞれが結合して環を形成していてもよい。)、又は−Q19を表す。Q、Q及びQは、それぞれ独立に、O、SまたはNR20を表し、R19およびR20は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数6〜20のハロゲン化アリール基(これらの基は、構造中に置換基、又はヘテロ原子を含んでいてもよく、R19またはR20が複数個存在する場合はそれぞれが結合して環を形成してもよい。)を表す。
一般式(IX)中、Xは、アルカリ金属、又は炭素数1〜12の炭化水素基を表す。
一般式(X)中、R21及びR22は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、又はプロピル基を示す。
一般式(XI)中、R23、R24、R25及びR26は、それぞれ独立に、炭素数1〜6の炭化水素基、フッ素原子により置換されてもよい炭素数1〜3のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、水素原子、フッ素原子、又は塩素原子を表す。但し、R23〜R26が同時に水素原子であることはない。
<7> 前記環状硫酸エステル化合物及び前記不飽和スルトン化合物の総含有量が、非水電解液総量の0.01質量%〜10質量%である<1>〜<6>のいずれか1つに記載の非水電解液。
<8> 前記ホスファゼン化合物及び前記ハロゲン化リン酸エステル化合物の総含有量が、非水電解液総量の0.01質量%〜30質量%である<1>〜<7>のいずれか1つに記載の非水電解液。
<9> 前記一般式(VIII)で表される化合物、一般式(IX)で表される化合物、一般式(X)で表される化合物、及び一般式(XI)で表される化合物の総含有量が、非水電解液総量の0.01質量%〜10質量%である<6>に記載の非水電解液。
<10> 正極と、金属リチウム、リチウム含有合金、リチウムとの合金化が可能な金属若しくは合金、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な酸化物、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な遷移金属窒素化物、及び、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な炭素材料から選ばれた少なくとも1種を負極活物質として含む負極と、<1>〜<9>のいずれか1つに記載の非水電解液と、を含むリチウム二次電池。
本発明によれば、リチウム二次電池に用いる非水電解液であって、電池の保存特性を改善しつつ、低温放電特性を著しく改善できる非水電解液、及び、該非水電解液を含むリチウム二次電池を提供することができる。
本発明のリチウム二次電池(非水電解質二次電池)の一例を示すコイン型電池の模式的断面図である。
本発明の非水電解液は、環状硫酸エステル化合物及び不飽和スルトン化合物の少なくとも一方と、ホスファゼン化合物及びハロゲン化リン酸エステル化合物の少なくとも一方、とを含有する。
すなわち、本発明の非水電解液は、環状硫酸エステル化合物及び不飽和スルトン化合物からなる群から選択される少なくとも1種と、ホスファゼン化合物及びハロゲン化リン酸エステル化合物からなる群から選択される少なくとも1種と、を含有する。
本発明の非水電解液は、上記構成とすることにより、電池の保存特性を改善しつつ、低温放電特性を著しく改善できる非水電解液となる。
以下、本発明の非水電解液の成分について具体的に説明する。
〔環状硫酸エステル化合物〕
前記本発明の環状硫酸エステル化合物は、下記一般式(I)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(I)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、一般式(II)で表される基、又は一般式(III)で表される基、又は、一体となって、Rが結合する炭素原子及びRが結合する炭素原子と共に、ベンゼン環若しくはシクロヘキシル環を形成する基を表す。一般式(II)中、Rは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は一般式(IV)で表される基を表す。一般式(II)、一般式(III)、及び一般式(IV)における波線は、結合位置を表す。
前記一般式(II)中、「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が具体例として挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
前記一般式(I)中、「炭素数1〜6のアルキル基」とは、炭素数が1以上6以下である直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、2−メチルブチル基、1−メチルペンチル基、ネオペンチル基、1−エチルプロピル基、ヘキシル基、3,3−ジメチルブチル基などが具体例として挙げられる。
炭素数1〜6のアルキル基としては、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましい。
前記一般式(II)中、「炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基」とは、炭素数が1〜6である直鎖又は分岐鎖のハロゲン化アルキル基であり、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロイソプロピル基、パーフルオロイソブチル基、クロロメチル基、クロロエチル基、クロロプロピル基、ブロモメチル基、ブロモエチル基、ブロモプロピル基、ヨウ化メチル基、ヨウ化エチル基、ヨウ化プロピル基などが具体例として挙げられる。
炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基がより好ましい。
前記一般式(II)中、「炭素数1〜6のアルコキシ基」とは、炭素数が1〜6である直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基であり、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、2−メチルブトキシ基、1−メチルペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、1−エチルプロポキシ基、ヘキシルオキシ基、3,3−ジメチルブトキシ基などが具体例として挙げられる。
炭素数1〜6のアルコキシ基としては、炭素数1〜3のアルコキシ基がより好ましい。
前記一般式(I)中のR及びRとして、好ましくは、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、前記一般式(II)で表される基(一般式(II)において、Rは、フッ素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、又は式(IV)で表される基であることが好ましい。)、前記式(III)で表される基、又は、一体となって、Rが結合する炭素原子及びRが結合する炭素原子と共に、ベンゼン環若しくはシクロヘキシル環を形成する基である。
前記一般式(I)中のRとして、より好ましくは、前記一般式(II)で表される基(一般式(II)において、Rは、フッ素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、又は式(IV)で表される基であることが特に好ましい。)、又は前記式(III)で表される基である。
前記一般式(I)中のRとして、より好ましくは、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、前記一般式(II)で表される基(一般式(II)において、Rは、フッ素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、又は、式(IV)で表される基であることがさらに好ましい。)、又は前記式(III)で表される基であり、さらに好ましくは水素原子又はメチル基であり、特に好ましくは水素原子である。
前記一般式(I)中のRが前記一般式(II)で表される基である場合、前記一般式(II)中のRは前述のとおり、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は式(IV)で表される基であるが、Rとしてより好ましくは、フッ素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、又は、式(IV)で表される基であり、更に好ましくは、フッ素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、又は、式(IV)で表される基である。
前記一般式(I)中のRが前記一般式(II)で表される基である場合、一般式(II)中のRの好ましい範囲については、前記一般式(I)中のRが前記一般式(II)で表される基である場合におけるRの好ましい範囲と同様である。
前記一般式(I)におけるR及びRの好ましい組み合わせとしては、Rが、前記一般式(II)で表される基(前記一般式(II)中、Rはフッ素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、又は前記式(IV)で表される基であることが好ましい)、又は前記式(III)で表される基であり、Rが、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、前記一般式(II)で表される基(前記一般式(II)中、Rはフッ素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、又は前記式(IV)で表される基であることが好ましい。)、又は前記式(III)で表される基である組み合わせである。
前記一般式(I)におけるR及びRのより好ましい組み合わせとしては、Rが前記一般式(II)で表される基(前記一般式(II)中、Rはフッ素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、又は前記式(IV)で表される基であることが好ましい)又は前記式(III)で表される基であり、Rが水素原子又はメチル基である組み合わせである。
前記一般式(I)におけるR及びRの特に好ましい組み合わせとしては、前記一般式(I)において、Rが前記式(III)で表される基であり、Rが水素原子である組み合わせ(最も好ましくは1,2:3,4−ジ−O−スルファニル−メゾ−エリスリトール)である。
本発明における環状硫酸エステル化合物としては、例えば、2,2−ジオキソ−1,3,2−ジオキサチオラン、4−メチル−2,2−ジオキソ−1,3,2−ジオキサチオラン、4−エチル−2,2−ジオキソ−1,3,2−ジオキサチオラン、4−プロピル−2,2−ジオキソ−1,3,2−ジオキサチオラン、4−ブチル−2,2−ジオキソ−1,3,2−ジオキサチオラン、カテコールサルフェート、1,2−シクロヘキシルサルフェート、及び下記例示化合物1〜30で示される化合物が挙げられる。
但し、一般式(I)で表される環状硫酸エステル化合物は、これらに限られない。
下記例示化合物の構造中、「Me」はメチル基を、「Et」はエチル基を、「Pr」はプロピル基を、「iPr」はイソプロピル基を、「Bu」はブチル基を、「tBu」はターシャリーブチル基を、「Pent」はペンチル基を、「Hex」はヘキシル基を、「OMe」はメトキシ基を、「OEt」はエトキシ基を、「OPr」はプロポキシ基を、「OBu」はブトキシ基を、「OPent」はペンチルオキシ基を、「OHex」はヘキシルオキシ基を、それぞれ表す。また、R〜Rにおける「波線」は、結合位置を表す。
なお、2,2−ジオキソ−1,3,2−ジオキサチオラン環の4位及び5位の置換基に由来する立体異性体が生じる場合があるが、両者とも本発明に含まれる化合物である。
また、前記一般式(I)で表される硫酸エステル化合物のうち、分子内に2個以上の不斉炭素が存在する場合はそれぞれ立体異性体(ジアステレオマー)が存在するが、特に記載しない限りは,対応するジアステレオマーの混合物である。
前記一般式(I)で表される環状硫酸エステル化合物として、好ましくは、2,2−ジオキソ−1,3,2−ジオキサチオラン、4−メチル−2,2−ジオキソ−1,3,2−ジオキサチオラン、4−エチル−2,2−ジオキソ−1,3,2−ジオキサチオラン、4−プロピル−2,2−ジオキソ−1,3,2−ジオキサチオラン、カテコールサルフェート、例示化合物1、例示化合物2、例示化合物16,例示化合物22、例示化合物23、例示化合物24〜28であり、特に好ましくは、2,2−ジオキソ−1,3,2−ジオキサチオラン、4−メチル−1,3,2−ジオキサチオラン、4−エチル−1,3,2−ジオキサチオラン、4−プロピル−1,3,2−ジオキサチオラン、カテコールサルフェート、例示化合物1、例示化合物2、例示化合物16,例示化合物22である。
〔不飽和スルトン化合物〕
本発明の不飽和スルトン化合物は、下記一般式(V)で表される化合物であることが好ましい。
前記一般式(V)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数が1〜6のアルキル基であって、nは0〜3の整数である。
炭素数が1〜6のアルキル基は、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基であってもよい。
前記一般式(V)中、「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が具体例として挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
前記一般式(V)中、「炭素数1〜6のアルキル基」とは、炭素数が1以上6以下である直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、2−メチルブチル基、1−メチルペンチル基、ネオペンチル基、1−エチルプロピル基、ヘキシル基、3,3−ジメチルブチル基などが具体例として挙げられる。
炭素数1〜6のアルキル基としては、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましい。
一般式(V)中、「炭素数1〜6のハロゲン原子を含んでいてもよいアルキル基」とは、炭素数が1以上6以下である直鎖又は分岐鎖のハロゲン化アルキル基であり、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロイソプロピル基、パーフルオロイソブチル基、クロロメチル基、クロロエチル基、クロロプロピル基、ブロモメチル基、ブロモエチル基、ブロモプロピル基、ヨウ化メチル基、ヨウ化エチル基、ヨウ化プロピル基などが具体例として挙げられる。
炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基がより好ましい。
4〜R7の好ましい組合せとしては、R4が、水素原子、フッ素原子、又は炭素原子1〜2のフッ素原子を含んでいてもよいアルキル基であり、Rが、水素原子、フッ素原子、又は炭素原子1〜2のアルキル基であり、Rが、水素原子、フッ素原子、又は炭素原子1〜2のフッ素原子を含んでいてもよいアルキル基であり、Rが、水素原子、フッ素原子、又は炭素原子1〜2のフッ素原子を含んでいてもよいアルキル基であり、nが1〜3である組合わせが挙げられる。
nは、1〜3が好ましく、1〜2がより好ましく、1が特に好ましい。
前記一般式(V)で表される不飽和スルトン化合物としては、具体的には、例えば、以下のような化合物が挙げられる。
但し、一般式(V)で表される不飽和スルトン化合物は、以下の化合物に限られない。
これら不飽和スルトン化合物うち、特に好ましくは、以下の構造で表される1,3−プロパ−1−エンスルトンである。
〔環状硫酸エステル化合物及び前記不飽和スルトン化合物の総含有量〕
環状硫酸エステル化合物及び前記不飽和スルトン化合物の総含有量は、非水電解液総量の0.01質量%〜10質量%が好ましい。より好ましくは、0.05質量%〜5質量%であり、さらに好ましくは、0.1質量%〜2質量%である。
本発明の非水電解液は、環状硫酸エステル化合物の少なくとも1種のみ及び不飽和スルトン化合物の少なくとも1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
環状硫酸エステル化合物及び不飽和スルトン化合物を含む場合、含有比率に制限はない。
〔ホスファゼン化合物〕
本発明のホスファゼン化合物は、下記一般式(VI)で表される化合物であることが好ましい。
前記一般式(VI)中、R〜R13は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基及びアリールオキシ基から選択される少なくとも1つを表す。
アルコキシ基及びアリールオキシ基は、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルコキシ基又はアリールオキシ基であってもよい。
また、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルコキシ基は、直鎖状であっても、分岐していてもよい。
〜R13は、電気化学的安定性の点で、ハロゲン原子又はアルコキシ基、アリールオキシ基が好ましい。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素がより好ましく、電気化学的安定性と難燃効果の点で、フッ素が最も好ましい。一方、上記アルキル基、アリール基の炭素数に関しては特に制限はないが、アルコキシ基としては、難燃効果の点で、好ましくは炭素数10以下、より好ましくは炭素数6以下であることが好ましく、アルコキシ基のみに関しては、さらに炭素数3以下であることがより好ましい。
また、アリールオキシ基としては、炭素数は、6〜10が好ましく、フェノキシ基がより好ましい。
これらアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、エトキシ基、1−フルオロエトキシ基、2−フルオロエトキシ基、1,1−ジフルオロエトキシ基、1,2−ジフルオロエトキシ基、2,2−ジフルオロエトキシ基、1,1,2−トリフルオロエトキシ基、1,2,2−トリフルオロエトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ基、1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、プロポキシ基(n−プロポキシ基)、1−フルオロプロポキシ基、2−フルオロプロポキシ基、3−フルオロプロポキシ基、1,1−ジフルオロプロポキシ基、1,2−ジフルオロプロポキシ基、1,3−ジフルオロプロポキシ基、2,2−ジフルオロプロポキシ基、2,3−ジフルオロプロポキシ基、3,3−ジフルオロプロポキシ基、1,1,2−トリフルオロプロポキシ基、1,2,2−トリフルオロプロポキシ基、1,1,3−トリフルオロプロポキシ基、1,2,3−トリフルオロプロポキシ基、1,3,3−トリフルオロプロポキシ基、2,2,3−トリフルオロプロポキシ基、2,3,3−トリフルオロプロポキシ基、3,3,3−トリフルオロプロポキシ基、1,1,2,2−テトラフルオロプロポキシ基、1,1,2,3−テトラフルオロプロポキシ基、1,1,3,3−テトラフルオロプロポキシ基、1,2,2,3−テトラフルオロプロポキシ基、1,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ基、2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ基、2,3,3,3−テトラフルオロプロポキシ基、1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロポキシ基、1,2,2,3,3−ペンタフルオロプロポキシ基、1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシ基、1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシ基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシ基、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロポキシ基、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロポキシ基、1,2,2,3,
3,3−ヘキサフルオロプロポキシ基、ヘプタフルオロプロポキシ基、1−メチルエトキシ基(i−プロポキシ基)、1−フルオロ−1−メチルエトキシ基、2−フルオロ−1−メチルエトキシ基、1,2−ジフルオロ−1−メチルエトキシ基、1,2−ジフルオロ−1−(フルオロメチル)エトキシ基、1,2,2−トリフルオロ−1−メチルエトキシ基、2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエトキシ基、2,2,−ジフルオロ−1−(フルオロメチル)エトキシ基、1,2,2,2−テトラフルオロ−1−メチルエトキシ基、1,2,2−トリフルオロ−1−(フルオロメチル)エトキシ基、2,2,2−トリフルオロ−1−(フルオロメチル)エトキシ基、2,2−ジフルオロ−1−(ジフルオロメチル)エトキシ基、1,2,2,2−テトラフルオロ−1−(フルオロメチル)エトキシ基、1,2,2−トリフルオロ−1−(ジフルオロメチル)エトキシ基、2,2,2−トリフルオロ−1−(ジフルオロメチル)エトキシ基、1,2,2,2−テトラフルオロ−1−(ジフルオロメチル)エトキシ基、2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エトキシ基、1,2,2,2−テトラフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エトキシ基、等が挙げられる。
アリールオキシ基の具体例としては、無置換またはフッ素で置換されたフェノキシ基が好ましく、具体的にはフェノキシ基、2−フルオロフェノキシ基、3−フルオロフェノキシ基、4−フルオロフェノキシ基、2,3−ジフルオロフェノキシ基、2,4−ジフルオロフェノキシ基、2,5−ジフルオロフェノキシ基、2,6−ジフルオロフェノキシ基、3,4−ジフルオロフェノキシ基、3,5−ジフルオロフェノキシ基、2,3,4−トリフルオロフェノキシ基、2,3,5−トリフルオロフェノキシ基、2,3,6−トリフルオロフェノキシ基、2,4,5−トリフルオロフェノキシ基、2,4,6−トリフルオロフェノキシ基、3,4,5−トリフルオロフェノキシ基、2,3,4,5−テトラフルオロフェノキシ基、2,3,4,6−テトラフルオロフェノキシ基、2,3,5,6−テトラフルオロフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基等が挙げられる。
これらの中でも、製造の容易さから、メトキシ基、トリフルオロメトキシ基、エトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、プロポキシ基、1−メチルエトキシ基(i―プロポキシ基)、フェノキシ基がより好ましく、更に、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基が特に好ましい。
前記一般式(VI)は、R〜R13のうちの1つ〜3つが、アルコキシ基、若しくはアリールオキシ基であり、残りがハロゲン原子であること、又はR〜R13の全てがハロゲン原子である形態が好ましい。
前記一般式(VI)で表わされるホスファゼン化合物としては、具体的には、例えば以下のような化合物が挙げられる。
但し、一般式(VI)で表される不飽和スルトン化合物は、以下の化合物に限られない。
これら不飽和ホスファゼン化合物うち、好ましくは、以下の構造で表される化合物である。
〔ハロゲン化リン酸エステル化合物〕
本発明のハロゲン化リン酸エステル化合物は、下記一般式(VII)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(VII)中、R14〜R16は、それぞれ独立に、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、ハロゲン原子で置換されたアリール基、から選択される少なくとも1つを表す。
ハロゲン原子で置換されたアルキル基としては、フッ素原子で置換されたアルキル基が好ましく、具体例としては、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、1−フルオロエチル基、2−フルオロエチル基、1,1−ジフルオロエチル基、1,2−ジフルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、1,1,2−トリフルオロエチル基、1,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、1,1,2,2−テトラフルオロエチル基、1,2,2,2−テトラフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、1−フルオロプロピル基、2−フルオロプロピル基、3−フルオロプロピル基、1,1−ジフルオロプロピル基、1,2−ジフルオロプロピル基、1,3−ジフルオロプロピル基、2,2−ジフルオロプロピル基、2,3−ジフルオロプロピル基、3,3−ジフルオロプロポピル基、1,1,2−トリフルオロプロピル基、1,2,2−トリフルオロプロピル基、1,1,3−トリフルオロプロピル基、1,2,3−トリフルオロプロピル基、1,3,3−トリフルオロプロピル基、2,2,3−トリフルオロプロピル基、2,3,3−トリフルオロプロポピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、1,1,2,2−テトラフルオロプロピル基、1,1,2,3−テトラフルオロプロピル基、1,1,3,3−テトラフルオロプロピル基、1,2,2,3−テトラフルオロプロピル基、1,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、2,3,3,3−テトラフルオロプロピル基、1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロピル基、1,2,2,3,3−ペンタフルオロプロピル基、1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロピル基、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル基、1,2,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル基、ヘプタフルオロプロピル基、等が挙げられる。
ハロゲン原子で置換されたアリール基としては、フッ素原子で置換されたアリール基が好ましく、具体例としては、例えば、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、2,3,4−トリフルオロフェニル基、2,3,5−トリフルオロフェニル基、2,3,6−トリフルオロフェニル基、2,4,5−トリフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、3,4,5−トリフルオロフェニル基、2,3,4,5−テトラフルオロフェニル基、2,3,4,6−テトラフルオロフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基等が挙げられる。
これらの中でも、2,2,2−トリフルオロエチル基が好ましい。
〔ホスファゼン化合物及びハロゲン化リン酸エステル化合物の総含有量〕
前記ホスファゼン化合物及びハロゲン化リン酸エステル化合物の総含有量は、非水電解液総量の0.01質量%〜30質量%が好ましい。より好ましくは、0.05質量%〜10質量%、最も好ましくは、0.1質量%〜5質量%である。
前記ホスファゼン化合物及びハロゲン化リン酸エステル化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。
ホスファゼン化合物及びハロゲン化リン酸エステル化合物を含む場合、含有比率に制限はない。
ホスファゼン化合物及びハロゲン化リン酸エステル化合物の総含有量を、非水電解液総量の5%以上添加した際には、さらに非水電解液に難燃性を付与する事ができる。
〔一般式(VIII)で表される化合物〕
本発明では、環状硫酸エステル化合物及び不飽和スルトン化合物から選択される少なくとも1種と、ホスファゼン化合物及びハロゲン化リン酸エステル化合物から選択される少なくとも1種と、を含有する非水電解液に、さらに一般式(VIII)で表される化合物を添加することができる。
一般式(VIII)で表される化合物を添加することにより、電池の低温性能をさらに向上させることができる。
一般式(VIII)中、Mは、アルカリ金属を表し、Yは、遷移元素、又は周期律表の13族、14族もしくは15族元素を表し、bは1〜3の整数、mは1〜4の整数、nは0〜8の整数、qは0又は1を表す。R17は、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、又は炭素数6〜20のハロゲン化アリーレン基(これらの基は、構造中に置換基、又はヘテロ原子を含んでいてもよく、またqが1でmが2〜4の場合にはm個のR17はそれぞれが結合していてもよい。)を表し、R18は、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のハロゲン化アリール基(これらの基は、構造中に置換基、又はヘテロ原子を含んでいてもよく、また、nが2〜8の場合はn個のR18はそれぞれが結合して環を形成していてもよい。)、又は−Q19を表す。Q、Q及びQは、それぞれ独立に、O、SまたはNR20を表し、R16およびR17は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数6〜20のハロゲン化アリール基(これらの基は、構造中に置換基、又はヘテロ原子を含んでいてもよく、R19またはR20が複数個存在する場合はそれぞれが結合して環を形成してもよい。)を表す。
一般式(VIII)で表される電解質化合物において、Mは、アルカリ金属であり、Yは、遷移金属、又は周期表の13族、14族もしくは15族元素である。Yとしては、このうちAl、B、V、Ti、Si、Zr、Ge、Sn、Cu、Y、Zn、Ga、Nb、Ta、Bi、P、As、Sc、Hf又はSbであることが好ましく、Al、BまたはPであることがより好ましい。YがAl、BまたはPの場合には、アニオン化合物の合成が比較的容易になり、製造コストを抑えることができる。アニオンの価数およびカチオンの個数を表すbは1〜3の整数であり、1であることが好ましい。bが3より大きい場合は、アニオン化合物の塩が混合有機溶媒に溶解しにくくなる傾向があるので好ましくない。また、定数m、nは、配位子の数に関係する値であり、Mの種類によって決まってくるものであるが、mは1〜4の整数、nは0〜8の整数である。定数qは、0または1である。qが0の場合には、キレートリングが五員環となり、qが1の場合にはキレートリングが六員環となる。
17は、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基又は炭素数6〜20のハロゲン化アリーレン基を表す。これらのアルキレン基、ハロゲン化アルキレン基、アリーレン基又はハロゲン化アリーレン基はその構造中に置換基、ヘテロ原子を含んでいてもよい。具体的には、これらの基の水素原子の代わりに、ハロゲン原子、鎖状又は環状のアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、スルホニル基、アミノ基、シアノ基、カルボニル基、アシル基、アミド基、又は水酸基を置換基として含んでいてもよい。また、これらの基の炭素元素の代わりに、窒素原子、硫黄原子、又は酸素原子が導入された構造であってもよい。また、qが1でmが2〜4のときには、m個のR17はそれぞれが結合していてもよい。そのような例としては、エチレンジアミン四酢酸のような配位子を挙げることができる。
18は、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のハロゲン化アリール基又は−Q19(Q、R19については後述する。)を表す。
18におけるこれらのアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基又はハロゲン化アリール基は、R17と同様に、その構造中に置換基、ヘテロ原子を含んでいてもよく、また、nが2〜8のときにはn個のR18は、それぞれ結合して環を形成してもよい。R15としては、電子吸引性の基が好ましく、特にフッ素原子が好ましい。
、Q及びQは、それぞれ独立に、O、S又はNR20を表す。つまり、配位子はこれらヘテロ原子を介してYに結合することになる。
16及びR17は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素集6〜20のハロゲン化アリール基を表す。これらのアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、又はハロゲン化アリール基は、R17と同様に、その構造中に置換基、ヘテロ原子を含んでいてもよい。また、R19及びR20は複数個存在する場合にはそれぞれが結合して環を形成してもよい。
Mにおけるアルカリ金属としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。このうち、リチウムが特に好ましい。
nとしては、0〜4の整数が好ましい。
本発明の非水電解液が一般式(VIII)で表される電解質化合物を含む場合、本発明の非水電解液は前記一般式(VIII)で表される化合物を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
また、一般式(VIII)で表される電解質化合物は、下記一般式(VIII−1)で表される化合物、下記一般式(VIII−2)で表される化合物、下記一般式(VIII−3)で表される化合物、及び、下記一般式(VIII−4)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることがより好ましい。一般式(VIII−1)〜(VIII−4)で表される化合物において、Mがリチウム、ナトリウム、又はカリウムである化合物が、一般式(VIII)で表される電解質化合物の更に好ましい化合物として挙げられ、特に好ましくは、一般式(VIII−3)においてMがリチウムである化合物である。
一般式(VIII−1)〜(VIII−4)中、Mは一般式(VIII)におけるMと同義である。
〔一般式(IX)で表される化合物〕
本発明では、環状硫酸エステル化合物及び不飽和スルトン化合物から選択される少なくとも1種と、ホスファゼン化合物及びハロゲン化リン酸エステル化合物から選択される少なくとも1種と、を含有する非水電解液に、さらに一般式(IX)で表される化合物を添加することができる。
一般式(IX)で表される化合物を添加することで、皮膜のイオン導電性の向上により、電池の低温性能をさらに向上させることができる。
一般式(IX)中、Xは、アルカリ金属、又は炭素数1〜12の炭化水素基を表す。
アルカリ金属としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。このうち、リチウムが特に好ましい。
炭素数1〜12の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、シクロヘキシル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、などが挙げられる。
炭素数1〜12の炭化水素基としては、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基である。
また、炭素数1〜12の炭化水素基は、ハロゲン原子又はヘテロ原子(好ましくは、アルコキシ基又はアリールオキシ基)で置換されていてもよい。
ハロゲン原子又はヘテロ原子(好ましくは、アルコキシ基又はアリールオキシ基)で置換されている炭素数1〜12の炭化水素基としては、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロヘプチル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロノニル基、パーフルオロデシル基、パーフルオロウンデカニル基、パーフルオロドデカニル基、パーフルオロイソプロピル基、パーフルオロイソブチル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、フェノキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、フェノキシプロピル基などが挙げられる。
ハロゲン原子又はヘテロ原子(好ましくは、アルコキシ基又はアリールオキシ基)で置換されていてもよい炭素数1〜12の炭化水素基としては、好ましくは、2,2,2−トリフルオロエチル基である。
前記一般式(IX)の化合物として、好ましくは、ジフルオロリン酸リチウム、ジフルオロリン酸メチル、ジフルオロリン酸エチル、ジフルオロリン酸プロピル、ジフルオロリン酸フェニル、ジフルオロリン酸2,2,2−トリフルオロエチルが挙げられ、さらに好ましくは、ジフルオロリン酸リチウムである。
〔一般式(X)で表される化合物〕
本発明では、環状硫酸エステル化合物及び不飽和スルトン化合物から選択される少なくとも1種と、ホスファゼン化合物及びハロゲン化リン酸エステル化合物から選択される少なくとも1種と、を含有する非水電解液に、さらに一般式(X)で表される化合物を添加することができる。
一般式(X)で表される化合物を添加することで、皮膜の安定化効果により、電池の寿命性能をさらに向上させることができる。
一般式(X)中、R21及びR22は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、又はプロピル基を示す。
一般式(X)で表される化合物は、ビニレンカーボネートが好ましい。
〔一般式(XI)で表される化合物〕
本発明では、環状硫酸エステル化合物及び不飽和スルトン化合物から選択される少なくとも1種と、ホスファゼン化合物及びハロゲン化リン酸エステル化合物から選択される少なくとも1種と、を含有する非水電解液に、さらに一般式(XI)で表される化合物を添加することができる。
一般式(XI)で表される化合物を添加することで、皮膜の安定化効果により、電池の寿命性能をさらに向上させることができる。
一般式(XI)中、R23、R24、R25及びR26は、それぞれ独立に、炭素数1〜6の炭化水素基、フッ素原子により置換されてもよい炭素数1〜3のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、水素原子、フッ素原子、又は塩素原子を表す。但し、R23〜R26が同時に水素原子であることはない。
一般式(XI)中、R23〜R26における、フッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜3のアルキル基としては、例えばフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピルなどが挙げられる。
一般式(XI)で表される化合物としては、具体的には例えば、ビニルエチレンカーボネート、4,5−ジビニルエチレンカーボネート、4−フルオロエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネート、4,4,5−トリフルオロエチレンカーボネート、4,4,5,5−テトラフルオロエチレンカーボネートなどの、エチレンカーボネートにおいて1〜4個の水素がフッ素により置換されたフッ素化エチレンカーボネートが挙げられる。これらの中で好ましくは、ビニルエチレンカーボネート、4,5−ジビニルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネート、4−フルオロエチレンカーボネートである。
〔一般式(VIII)で表される化合物、一般式(IX)で表される化合物、一般式(X)で表される化合物、及び一般式(XI)で表される化合物の総含有量〕
前記一般式(VIII)〜一般式(XI)で表される化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合せ及び比率で用いてもよい。前記一般式(VIII)〜一般式(XI)で表される化合物の総含有量は、非水電解液総量の0.01質量%〜10質量%が好ましい。より好ましくは、0.05質量%〜5質量%、さらに好ましくは、0.1質量%〜2質量%である。
添加量が0.01重量%よりも少ない場合は、効果が発揮されにくくなり、10重量%以上では、電池の抵抗が大きくなるなどの不具合が発生する。
次に、非水電解液の他の成分について説明する。非水電解液は、一般的には、電解質と非水溶媒とを含有する。
〔非水溶媒〕
本発明に係る非水溶媒は、種々公知のものを適宜選択することができるが、環状の非プロトン性溶媒及び/又は鎖状の非プロトン性溶媒を用いることが好ましい。
電池の安全性の向上のために、溶媒の引火点の向上を志向する場合は、非水溶媒として環状の非プロトン性溶媒を使用することが好ましい。
〔環状の非プロトン性溶媒〕
環状の非プロトン性溶媒としては、環状カーボネート、環状カルボン酸エステル、環状スルホン、環状エーテルを用いることができる。
環状の非プロトン性溶媒は単独で使用してもよいし、複数種混合して使用してもよい。
環状の非プロトン性溶媒の非水溶媒中の混合割合は、10質量%〜100質量%、さらに好ましくは20質量%〜90質量%、特に好ましくは30質量%〜80質量%である。このような比率にすることによって、電池の充放電特性に関わる電解液の伝導度を高めることができる。
環状カーボネートの例として具体的には、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、2,3−ブチレンカーボネート、1,2−ペンチレンカーボネート、2,3−ペンチレンカーボネートなどが挙げられる。これらのうち、誘電率が高いエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートが好適に使用される。負極活物質に黒鉛を使用した電池の場合は、エチレンカーボネートがより好ましい。また、これら環状カーボネートは2種類以上を混合して使用してもよい。
環状カルボン酸エステルとして、具体的にはγ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、あるいはメチルγ−ブチロラクトン、エチルγ−ブチロラクトン、エチルδ−バレロラクトンなどのアルキル置換体などを例示することができる。
環状カルボン酸エステルは、蒸気圧が低く、粘度が低く、かつ誘電率が高く、電解液の引火点と電解質の解離度を下げることなく電解液の粘度を下げることができる。このため、電解液の引火性を高くすることなく電池の放電特性に関わる指標である電解液の伝導度を高めることができるという特徴を有するので、溶媒の引火点の向上を指向する場合は、前記環状の非プロトン性溶媒として環状カルボン酸エステルを使用することが好ましい。環状カルボン酸エステルの中でも、γ−ブチロラクトンが最も好ましい。
また、環状カルボン酸エステルは、他の環状の非プロトン性溶媒と混合して使用することが好ましい。例えば、環状カルボン酸エステルと、環状カーボネート及び/又は鎖状カーボネートとの混合物が挙げられる。
環状スルホンの例としては、スルホラン、2−メチルスルホラン、3―メチルスルホラン、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジプロピルスルホン、メチルエチルスルホン、メチルプロピルスルホンなどが挙げられる。
環状エーテルの例としてジオキソランを挙げることができる。
〔鎖状の非プロトン性溶媒〕
本発明の鎖状の非プロトン性溶媒としては、鎖状カーボネート、鎖状カルボン酸エステル、鎖状エーテル、鎖状リン酸エステルなどを用いることができる。
鎖状の非プロトン性溶媒の非水溶媒中の混合割合は、10質量%〜100質量%、さらに好ましくは20質量%〜90質量%、特に好ましくは30質量%〜80質量%である。
鎖状カーボネートとして具体的には、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、エチルブチルカーボネート、ジブチルカーボネート、メチルペンチルカーボネート、エチルペンチルカーボネート、ジペンチルカーボネート、メチルヘプチルカーボネート、エチルヘプチルカーボネート、ジヘプチルカーボネート、メチルヘキシルカーボネート、エチルヘキシルカーボネート、ジヘキシルカーボネート、メチルオクチルカーボネート、エチルオクチルカーボネート、ジオクチルカーボネート、メチルトリフルオロエチルカーボネートなどが挙げられる。これら鎖状カーボネートは2種類以上を混合して使用してもよい。
鎖状カルボン酸エステルとして具体的には、ピバリン酸メチルなどが挙げられる。
鎖状エーテルとして具体的には、ジメトキシエタンなどが挙げられる。
鎖状リン酸エステルとして具体的には、リン酸トリメチルなどが挙げられる。
〔溶媒の組み合わせ〕
本発明に係る非水電解液で使用する非水溶媒は、1種類でも複数種類を混合して用いてもよい。また、環状の非プロトン性溶媒のみを1種類又は複数種類用いても、鎖状の非プロトン性溶媒のみを1種類又は複数種類用いても、又は環状の非プロトン性溶媒及び鎖状のプロトン性溶媒を混合して用いてもよい。電池の負荷特性、低温特性の向上を特に意図した場合は、非水溶媒として環状の非プロトン性溶媒と鎖状の非プロトン性溶媒を組み合わせて使用することが好ましい。
さらに、電解液の電気化学的安定性から、環状の非プロトン性溶媒には環状カーボネートを、鎖状の非プロトン性溶媒には鎖状カーボネートを適用することが最も好ましい。また、環状カルボン酸エステルと環状カーボネート及び/又は鎖状カーボネートの組み合わせによっても電池の充放電特性に関わる電解液の伝導度を高めることができる。
環状カーボネートと鎖状カーボネートの組み合わせとして、具体的には、エチレンカーボネートとジメチルカーボネート、エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジエチルカーボネート、プロピレンカーボネートとジメチルカーボネート、プロピレンカーボネートとメチルエチルカーボネート、プロピレンカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとメチルエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネートなどが挙げられる。
環状カーボネートと鎖状カーボネートの混合割合は、質量比で表して、環状カーボネート:鎖状カーボネートが、5:95〜80〜20、さらに好ましくは10:90〜70:30、特に好ましくは15:85〜55:45である。このような比率にすることによって、電解液の粘度上昇を抑制し、電解質の解離度を高めることができるため、電池の充放電特性に関わる電解液の伝導度を高めることができる。また、電解質の溶解度をさらに高めることができる。よって、常温又は低温での電気伝導性に優れた電解液とすることができるため、常温から低温での電池の負荷特性を改善することができる。
環状カルボン酸エステルと環状カーボネート及び/又は鎖状カーボネートの組み合わせの例として、具体的には、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとジメチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとメチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトンとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとプロピレンカーボネートとメチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとプロピレンカーボネートとジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとメチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとスルホラン、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとスルホラン、γ−ブチロラクトンとプロピレンカーボネートとスルホラン、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとスルホラン、γ−ブチロラクトンとスルホランとジメチルカーボネートなどが挙げられる。
〔その他の溶媒〕
本発明に係る非水電解液は、非水溶媒として、上記以外の他の溶媒を含んでいてもよい。他の溶媒としては、具体的には、ジメチルホルムアミドなどのアミド、メチル−N,N−ジメチルカーバメートなどの鎖状カーバメート、N−メチルピロリドンなどの環状アミド、N,N−ジメチルイミダゾリジノンなどの環状ウレア、ほう酸トリメチル、ほう酸トリエチル、ほう酸トリブチル、ほう酸トリオクチル、ほう酸トリメチルシリル等のホウ素化合物、及び下記の一般式で表されるポリエチレングリコール誘導体などを挙げることができる。
HO(CHCHO)
HO[CHCH(CH)O]
CHO(CHCHO)
CHO[CHCH(CH)O]
CHO(CHCHO)CH
CHO[CHCH(CH)O]CH
19PHO(CHCHO)[CH(CH)O]CH
(Phはフェニル基)
CHO[CHCH(CH)O]CO[OCH(CH)CHOCH
前記式中、a〜fは、5〜250の整数、g〜jは2〜249の整数、5≦g+h≦250、5≦i+j≦250である。
〔電解質〕
本発明の非水電解液は、種々公知の電解質を使用することができ、通常、非水電解液用電解質として使用されているものであれば、いずれをも使用することができる。
本発明の非水電解液における電解質の具体例としては、(CNPF、(CNBF、(CNClO、(CNAsF、(CSiF、(CNOSO(2k+1)(k=1〜8の整数)、(CNPF[C(2k+1)(6−n)(n=1〜5、k=1〜8の整数)などのテトラアルキルアンモニウム塩、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiSiF、LiOSO(2k+1)(k=1〜8の整数)、LiPF[C(2k+1)(6−n)(n=1〜5、k=1〜8の整数)などのリチウム塩が挙げられる。また、次の一般式で表されるリチウム塩も使用することができる。
LiC(SO27)(SO28)(SO29)、LiN(SOOR30)(SOOR31)、LiN(SO32)(SO33)(ここでR27〜R33は互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基である)。これらの電解質は単独で使用してもよく、また2種類以上を混合してもよい。
これらのうち、特にリチウム塩が望ましく、さらには、LiPF、LiBF、LiOSO(2k+1)(k=1〜8の整数)、LiClO、LiAsF、LiNSO[C(2k+1)(k=1〜8の整数)、LiPF[C(2k+1)(6−n)(n=1〜5、k=1〜8の整数)が好ましい。
本発明に係る電解質は、通常は、非水電解質中に0.1mol/L〜3mol/L、好ましくは0.5mol/L〜2mol/Lの濃度で含まれることが好ましい。
本発明の非水電解液において、非水溶媒として、γ−ブチロラクトンなどの環状カルボン酸エステルを併用する場合には、特にLiPFを含有することが望ましい。LiPFは、解離度が高いため、電解液の伝導度を高めることができ、さらに負極上での電解液の還元分解反応を抑制する作用がある。LiPFは単独で使用してもよいし、LiPFとそれ以外の電解質を使用してもよい。それ以外の電解質としては、通常、非水電解液用電解質として使用されるものであれば、いずれも使用することができるが、前述のリチウム塩の具体例のうちLiPF以外のリチウム塩が好ましい。
具体例としては、LiPFとLiBF、LiPFとLiN[SO(2k+1)(k=1〜8の整数)、LiPFとLiBFとLiN[SO(2k+1)](k=1〜8の整数)などが例示される。
リチウム塩中に占めるLiPFの比率は、1質量%〜100質量%、好ましくは10質量%〜100質量%、さらに好ましくは50質量%〜100質量%が望ましい。このような電解質は、0.1mol/L〜3mol/L、好ましくは0.5mol/L〜2mol/Lの濃度で非水電解液中に含まれることが好ましい。
本発明の非水電解液は、リチウム二次電池用の非水電解液として好適であるばかりでなく、一次電池用の非水電解液、電気化学キャパシタ用の非水電解液、電気二重層キャパシタ、アルミ電解コンデンサー用の電解液としても用いることができる。
<リチウム二次電池>
本発明のリチウム二次電池は、負極と、正極と、前記本発明の非水電解液とを基本的に含んで構成されており、通常、負極と正極との間にセパレータが設けられている。
(負極)
前記負極を構成する負極活物質は、金属リチウム、リチウム含有合金、リチウムとの合金化が可能な金属もしくは合金、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な酸化物、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な遷移金属窒素化物、及び、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な炭素材料から選ばれた少なくとも1種(単独で用いてもよいし、これらの2種以上を含む混合物を用いてもよい)を用いることができる。
リチウム(又はリチウムイオン)との合金化が可能な金属もしくは合金としては、シリコン、シリコン合金、スズ、スズ合金などを挙げることができる。また、チタン酸リチウムでもよい。
これらの中でもリチウムイオンをドープ・脱ドープすることが可能な炭素材料が好ましい。このような炭素材料としては、カーボンブラック、活性炭、黒鉛材料(人造黒鉛、天然黒鉛)、非晶質炭素材料、等が挙げられる。前記炭素材料の形態は、繊維状、球状、ポテト状、フレーク状いずれの形態であってもよい。
前記非晶質炭素材料として具体的には、ハードカーボン、コークス、1500℃以下に焼成したメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、メソペーズビッチカーボンファイバー(MCF)などが例示される。
前記黒鉛材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛が挙げられる。人造黒鉛としては、黒鉛化MCMB、黒鉛化MCFなどが用いられる。また、黒鉛材料としては、ホウ素を含有するものなども用いることができる。また、黒鉛材料としては、金、白金、銀、銅、スズなどの金属で被覆したもの、非晶質炭素で被覆したもの、非晶質炭素と黒鉛を混合したものも使用することができる。
これらの炭素材料は、1種類で使用してもよく、2種類以上混合して使用してもよい。
前記炭素材料としては、特にX線解析で測定した(002)面の面間隔d(002)が0.340nm以下の炭素材料が好ましい。また、炭素材料としては、真密度が1.70g/cm以上である黒鉛又はそれに近い性質を有する高結晶性炭素材料も好ましい。以上のような炭素材料を使用すると、電池のエネルギー密度をより高くすることができる。
(正極)
前記正極を構成する正極活物質としては、MoS、TiS、MnO、Vなどの遷移金属酸化物又は遷移金属硫化物、LiCoO、LiMnO、LiMn、LiNiO、LiNiCo(1−X)〔0<X<1〕、LiFePOなどのリチウムと遷移金属とからなる複合酸化物、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリアセン、ジメルカプトチアジアゾール、ポリアニリン複合体などの導電性高分子材料等が挙げられる。これらの中でも、特にリチウムと遷移金属とからなる複合酸化物が好ましい。負極がリチウム金属又はリチウム合金である場合は、正極として炭素材料を用いることもできる。また、正極として、リチウムと遷移金属との複合酸化物と、炭素材料と、の混合物を用いることもできる。
上記の正極活物質は、1種類で使用してもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。正極活物質は導電性が不充分である場合には、導電性助剤とともに使用して正極を構成することができる。導電性助剤としては、カーボンブラック、アモルファスウィスカー、グラファイトなどの炭素材料を例示することができる。
(セパレータ)
前記セパレータは、正極と負極とを電気的に絶縁し且つリチウムイオンを透過する膜であって、多孔性膜や高分子電解質が例示される。
前記多孔性膜としては微多孔性高分子フィルムが好適に使用され、材質としてポリオレフィン、ポリイミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリエステル等が例示される。
特に、多孔性ポリオレフィンが好ましく、具体的には多孔性ポリエチレンフィルム、多孔性ポリプロピレンフィルム、又は多孔性のポリエチレンフィルムとポリプロピレンフィルムとの多層フィルムを例示することができる。多孔性ポリオレフィンフィルム上には、熱安定性に優れる他の樹脂がコーティングされてもよい。
前記高分子電解質としては、リチウム塩を溶解した高分子や、電解液で膨潤させた高分子等が挙げられる。
本発明の非水電解液は、高分子を膨潤させて高分子電解質を得る目的で使用してもよい。
(電池の構成)
本発明のリチウム二次電池は、前記の負極活物質、正極活物質及びセパレータを含む。 本発明のリチウム二次電池は、種々公知の形状をとることができ、円筒型、コイン型、角型、フィルム型その他任意の形状に形成することができる。しかし、電池の基本構造は、形状によらず同じであり、目的に応じて設計変更を施すことができる。
本発明のリチウム二次電池(非水電解質二次電池)の例として、図1に示すコイン型電池が挙げられる。
図1に示すコイン型電池では、円盤状負極2、電解質を非水溶媒に溶解してなる非水電解液を注入したセパレータ5、円盤状正極1、必要に応じて、ステンレス、又はアルミニウムなどのスペーサー板7、8が、この順序に積層された状態で、正極缶3(以下、「電池缶」ともいう)と封口板4(以下、「電池缶蓋」ともいう)との間に収納される。正極缶3と封口板4とはガスケット6を介してかしめ密封する。
なお、本発明のリチウム二次電池は、負極と、正極と、前記本発明の非水電解液とを含むリチウム二次電池(充放電前のリチウム二次電池)を、充放電させて得られたリチウム二次電池であってもよい。
即ち、本発明のリチウム二次電池は、まず、負極と、正極と、前記本発明の非水電解液と、を含む充放電前のリチウム二次電池を作製し、次いで、該充放電前のリチウム二次電池を1回以上充放電させることによって作製されたリチウム二次電池(充放電されたリチウム二次電池)であってもよい。
本発明の実施形態の非水電解液及びその非水電解液を用いたリチウム二次電池の用途は特に限定されず、種々公知の用途に用いることができる。例えば、ノートパソコン、モバイルパソコン、携帯電話、ヘッドホンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、電子手帳、電卓、ラジオ、バックアップ電源用途、モーター、自動車、電気自動車、バイク、電動バイク、自転車、電動自転車、照明器具、ゲーム機、時計、電動工具、カメラ等、小型携帯機器、大型機器を問わず広く利用可能なものである。
以下に実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって制限されるものではない。なお、以下の実施例において、「wt%」は質量%を表す。
〔実施例1〕
以下の手順にて、リチウム二次電池を作製した。
<負極の作製>
人造黒鉛20質量部、天然黒鉛系黒鉛80質量部、カルボキシメチルセルロース1質量部及びSBRラテックス2質量部を水溶媒で混錬してペースト状の負極合剤スラリーを調製した。
次に、この負極合剤スラリーを厚さ18μmの帯状銅箔製の負極集電体に塗布し乾燥した後に、ロールプレスで圧縮して負極集電体と負極活物質層からなるシート状の負極を得た。このときの負極活物質層の塗布密度は10mg/cmであり、充填密度は1.5g/mlであった。
<正極の作製>
LiCoOを90質量部、アセチレンブラック5質量部及びポリフッ化ビニリデン5質量部を、N−メチルピロリジノンを溶媒として混錬してペースト状の正極合剤スラリーを調製した。
次に、この正極合剤スラリーを厚さ20μmの帯状アルミ箔の正極集電体に塗布し乾燥した後に、ロールプレスで圧縮して正極集電体と正極活物質とからなるシート状の正極を得た。このときの正極活物質層の塗布密度は30mg/cmであり、充填密度は2.5g/mlであった。
<非水電解液の調製>
非水溶媒としてエチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とメチルエチルカーボネート(EMC)とをそれぞれ1:1:1(体積比)の割合で混合した中に、電解質であるLiPFを溶解して、電解質濃度が1モル/リットルとなるように調製した。
前記で得られた溶液に対して、添加剤として、環状硫酸エステル化合物〔例示化合物1〕0.5wt%および、ホスファゼン化合物〔下記化合物P−1〕0.5wt%をそれぞれ添加して、非水電解液を得た。
<コイン型電池の作製>
上述の負極を直径14mmで、上述の正極を直径13mmで、それぞれ円盤状に打ち抜いて、コイン状の電極(負極及び正極)を得た。また厚さ20μmの微多孔性ポリエチレンフィルムを直径17mmの円盤状に打ち抜きセパレータを得た。
得られたコイン状の負極、セパレータ及びコイン状の正極を、この順序でステンレス製の電池缶(2032サイズ)内に積層し、上記非水電解液20μlを注入してセパレータと正極と負極に含漬させた。
さらに、正極上にアルミニウム製の板(厚さ1.2mm、直径16mm)及びバネを乗せ、ポリプロピレン製のガスケットを介して、電池缶蓋をかしめることにより電池を密封し、直径20mm、高さ3.2mmの図1で示す構成を有するコイン型のリチウム二次電池(以下、試験用電池と称する)を作製した。
得られたコイン型電池(試験用電池)について、各測定を実施した。
[評価方法]
<電池の初期特性、抵抗値(−20℃)測定>
上記コイン型電池を定電圧4.0Vで充電し、次いで、該充電後のコイン型電池を恒温槽内で−20℃に冷却し、−20℃において0.2mA定電流で放電し、放電開始から10秒間における電位低下を測定することにより、コイン型電池の直流抵抗[Ω]を測定した。得られた初期抵抗値について、[比較例1]の初期抵抗値を100としたときの本抵抗値を以下の式により求めた。
得られた結果を表1に示す。
初期特性、抵抗値(−20℃)
=実施例1での初期抵抗値[Ω]/比較例1での初期抵抗値[Ω]×100[%]
<電池の保存特性、容量維持率測定>
さらに、定電圧4.2V充電し、充電したコイン型電池を80℃の恒温槽内に3日間保存(以下、この操作を「高温保存試験」とする)した後、初回の放電容量と同様の方法で高温保存試験後の放電容量[mAh]を測定し、下記式にて電池の保存特性である容量維持率を計算した。
得られた結果を表1に示す。
保存特性、容量維持率[%]
=高温保存試験後の放電容量[mAh]/1サイクル目の放電容量[mAh]×100
<電池の保存特性、抵抗維持率(−20℃)測定>
初期抵抗値測定後のコイン型電池を定電圧4.2V充電し、充電したコイン型電池を80℃の恒温槽内に3日間保存(以下、この操作を「高温保存試験」とする)した後、高温保存試験後での抵抗値を初期抵抗値と同様の方法で測定し、電池の抵抗維持率を下式より計算した。
得られた結果を表1に示す。
保存特性、抵抗維持率(−20℃)
=(実施例1での高温保存試験後の抵抗値[Ω]/実施例1での初期抵抗値[Ω])/(比較例1での高温保存後の抵抗値[Ω]/比較例1での初期抵抗値[Ω])
〔実施例2〕
非水電解液の添加剤として、環状硫酸エステル化合物〔例示化合物1〕0.5wt%および、ホスファゼン化合物〔化合物P−1〕1.0wt%を使用した以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作成した。得られたコイン型電池について、実施例1と同様にして各測定を実施した。評価結果を表1に示す。
〔実施例3〕
非水電解液の添加剤として、環状硫酸エステル化合物〔例示化合物1〕1.0wt%および、ホスファゼン化合物〔化合物P−1〕1.0wt%を使用した以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作成した。得られたコイン型電池について、実施例1と同様にして各測定を実施した。評価結果を表1に示す。
〔実施例4〕
非水電解液の添加剤として、環状硫酸エステル化合物〔例示化合物1〕1.0wt%および、ホスファゼン化合物〔化合物P−1〕5.0wt%を使用した以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作成した。得られたコイン型電池について、実施例1と同様にして各測定を実施した。評価結果を表1に示す。
〔実施例5〕
非水電解剤として、環状硫酸エステル化合物〔例示化合物1〕1.0wt%および、ホスファゼン化合物〔化合物P−1〕10.0wt%を使用した以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作成した。得られたコイン型電池について、実施例1と同様にして各測定を実施した。評価結果を表1に示す。
〔実施例6〕
非水電解液の添加剤として、環状硫酸エステル化合物〔例示化合物22〕0.5wt%および、ホスファゼン化合物〔化合物P−1〕0.5wt%を使用した以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作成した。得られたコイン型電池について、実施例1と同様にして各測定を実施した。評価結果を表1に示す。
〔実施例7〕
非水電解液の添加剤として、環状硫酸エステル化合物〔例示化合物22〕1.0wt%および、ホスファゼン化合物〔化合物P−1〕1.0wt%を使用した以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作成した。得られたコイン型電池について、実施例1と同様にして各測定を実施した。評価結果を表1に示す。
〔実施例8〕
非水電解液の添加剤として、環状硫酸エステル化合物〔例示化合物22〕1.0wt%および、ホスファゼン化合物〔化合物P−1〕5.0wt%を使用した以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作成した。得られたコイン型電池について、実施例1と同様にして各測定を実施した。評価結果を表1に示す。
〔実施例9〕
非水電解液の添加剤として、環状硫酸エステル化合物〔例示化合物22〕1.0wt%および、ホスファゼン化合物〔化合物P−1〕10.0wt%を使用した以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作成した。得られたコイン型電池について、実施例1と同様にして各測定を実施した。評価結果を表1に示す。
〔実施例10〕
非水電解液の添加剤として、環状硫酸エステル化合物〔下記化合物SA−1〕1.0wt%および、ホスファゼン化合物〔化合物P−1〕1.0wt%を使用した以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作成した。得られたコイン型電池について、実施例1と同様にして各測定を実施した。評価結果を表1に示す。
〔実施例11〕
非水電解液の添加剤として、環状硫酸エステル化合物〔下記化合物SA−2〕1.0wt%および、ホスファゼン化合物〔化合物P−1〕1.0wt%を使用した以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作成した。得られたコイン型電池について、実施例1と同様にして各測定を実施した。評価結果を表1に示す。
〔実施例12〕
非水電解液の添加剤として、不飽和スルトン化合物〔1,3−プロパ−1−エンスルトン(下記化合物PRS)〕1.0wt%および、ホスファゼン化合物〔化合物P−1〕1.0wt%を使用した以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作成した。得られたコイン型電池について、実施例1と同様にして各測定を実施した。評価結果を表1に示す。
〔実施例13〕
非水電解液の添加剤として、環状硫酸エステル化合物〔例示化合物22〕1.0wt%、および、ホスファゼン化合物〔化合物P−2〕1.0wt%を使用した以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作成した。得られたコイン型電池について、実施例1と同様にして各測定を実施した。評価結果を表1に示す。
〔実施例14〕
非水電解液の添加剤として、環状硫酸エステル化合物〔例示化合物22〕1.0wt%、および、ハロゲン化リン酸エステル化合物〔化合物P−3〕1.0wt%を使用した以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作成した。得られたコイン型電池について、実施例1と同様にして各測定を実施した。評価結果を表1に示す。
〔実施例15〕
非水電解液の添加剤として、環状硫酸エステル化合物〔例示化合物1〕0.5wt%、環状硫酸エステル化合物〔例示化合物22〕0.5wt%、およびホスファゼン化合物〔化合物P−1〕1.0wt%を使用した以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作成した。得られたコイン型電池について、実施例1と同様にして各測定を実施した。評価結果を表1に示す。
〔実施例16〕
非水電解液の添加剤として、環状硫酸エステル化合物〔例示化合物22〕0.5wt%、不飽和スルトン化合物〔PRS〕0.5wt%、およびホスファゼン化合物〔化合物P−1〕1.0wt%を使用した以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作成した。得られたコイン型電池について、実施例1と同様にして各測定を実施した。評価結果を表1に示す。
〔実施例17〕
非水電解液の添加剤として、環状硫酸エステル化合物〔例示化合物22〕1.0wt%、ホスファゼン化合物〔化合物P−1〕1.0wt%、およびLiFOP〔下記化合物〕1.0wt%、を使用した以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作成した。得られたコイン型電池について、実施例1と同様にして各測定を実施した。評価結果を表1に示す。
〔実施例18〕
非水電解液の添加剤として、環状硫酸エステル化合物〔例示化合物22〕1.0wt%、ホスファゼン化合物〔化合物P−1〕1.0wt%、および下記ジフルオロリン酸リチウム(下記化合物)1.0wt%、を使用した以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作成した。得られたコイン型電池について、実施例1と同様にして各測定を実施した。評価結果を表1に示す。
〔実施例19〕
非水電解液の添加剤として、環状硫酸エステル化合物〔例示化合物22〕1.0wt%、ホスファゼン化合物〔化合物P−1〕1.0wt%、および下記ビニレンカーボネート(下記化合物)1.0wt%、を使用した以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作成した。得られたコイン型電池について、実施例1と同様にして各測定を実施した。評価結果を表1に示す。
〔実施例20〕
非水電解液の添加剤として、環状硫酸エステル化合物〔例示化合物22〕1.0wt%、ホスファゼン化合物〔化合物P−1〕1.0wt%、および下記フルオロエチレンカーボネート(下記化合物)1.0wt%、を使用した以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作成した。得られたコイン型電池について、実施例1と同様にして各測定を実施した。評価結果を表1に示す。
〔比較例1〕
非水電解液に添加剤を使用しなかった以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作成した。得られたコイン型電池について、実施例1と同様にして各測定を実施した。評価結果を表2に示す。
〔比較例2〕
非水電解液の添加剤として、環状硫酸エステル化合物〔例示化合物1〕1.0wt%のみを使用した以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作成した。得られたコイン型電池について、実施例1と同様にして各測定を実施した。評価結果を表2に示す。
〔比較例3〕
非水電解液の添加剤として、環状硫酸エステル化合物〔例示化合物22〕1.0wt%のみを使用した以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作成した。得られたコイン型電池について、実施例1と同様にして各測定を実施した。評価結果を表2に示す。
〔比較例4〕
非水電解液の添加剤として、環状硫酸エステル化合物〔化合物SA−1〕1.0wt%のみを使用した以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作成した。得られたコイン型電池について、実施例1と同様にして各測定を実施した。評価結果を表2に示す。
〔比較例5〕
非水電解液の添加剤として、環状硫酸エステル化合物〔化合物SA−2〕1.0wt%のみを使用した以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作成した。得られたコイン型電池について、実施例1と同様にして各測定を実施した。評価結果を表2に示す。
〔比較例6〕
非水電解液の添加剤として、不飽和スルトン化合物〔PRS〕1.0wt%のみを使用した以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作成した。得られたコイン型電池について、実施例1と同様にして各測定を実施した。評価結果を表2に示す。
〔比較例7〕
非水電解液の添加剤として、ホスファゼン化合物〔化合物P−1〕1.0wt%のみを使用した以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作成した。得られたコイン型電池について、実施例1と同様にして各測定を実施した。評価結果を表2に示す。
〔比較例8〕
非水電解液の添加剤として、ホスファゼン化合物〔化合物P−1〕5.0wt%のみを使用した以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作成した。得られたコイン型電池について、実施例1と同様にして各測定を実施した。評価結果を表2に示す。
〔比較例9〕
非水電解液の添加剤として、ホスファゼン化合物〔化合物P−1〕10.0wt%のみを使用した以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作成した。得られたコイン型電池について、実施例1と同様にして各測定を実施した。評価結果を表2に示す。
〔比較例10〕
非水電解液の添加剤として、ホスファゼン化合物〔化合物P−2〕1.0wt%のみを使用した以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作成した。得られたコイン型電池について、実施例1と同様にして各測定を実施した。評価結果を表2に示す。
〔比較例11〕
非水電解液の添加剤として、ホスファゼン化合物〔化合物P−3〕1.0wt%のみを使用した以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作成した。得られたコイン型電池について、実施例1と同様にして各測定を実施した。評価結果を表2に示す。
〔比較例12〕
非水電解液の添加剤として、LiFOP1.0wt%のみを使用した以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作成した。得られたコイン型電池について、実施例1と同様にして各測定を実施した。評価結果を表2に示す。
〔比較例13〕
非水電解液の添加剤として、ジフルオロリン酸リチウム1.0wt%のみを使用した以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作成した。得られたコイン型電池について、実施例1と同様にして各測定を実施した。評価結果を表2に示す。
〔比較例14〕
非水電解液の添加剤として、ビニレンカーボネート1.0wt%のみを使用した以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作成した。得られたコイン型電池について、実施例1と同様にして各測定を実施した。評価結果を表2に示す。
〔比較例15〕
非水電解液の添加剤として、フルオロエチレンカーボネート1.0wt%のみを使用した以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作成した。得られたコイン型電池について、実施例1と同様にして各測定を実施した。評価結果を表2に示す。
表1の実施例1〜16に示すように、環状硫酸エステル化合物及び不飽和スルトン化合物の少なくとも一方と、ホスファゼン化合物及びハロゲン化リン酸エステル化合物の少なくとも一方と、を添加することにより、環状硫酸エステル化合物、不飽和スルトン化合物をそれぞれ単独で使用する場合よりも、電池の保存特性を改善しつつ、低温放電特性を著しく改善できる。実施例17〜20の一般式(VIII)〜(XI)に対応する化合物をさらに追加した場合においては、それぞれ単独で使用する場合よりも、さらに電池の保存特性または低温放電特性を改善することができる。
効果が発揮される詳細な理由は不明であるが、環状硫酸エステル化合物及び不飽和スルトン化合物の少なくとも一方と、ホスファゼン化合物及びハロゲン化リン酸エステル化合物の少なくとも一方と、を添加することで、それぞれ単独で使用する場合よりも、負極、正極上の皮膜のイオン導電性の向上と皮膜の安定化が図られているものと思われる。
1 正極
2 負極
3 正極缶
4 封口板
5 セパレータ
6 ガスケット
7、8 スペーサー板

Claims (10)

  1. 環状硫酸エステル化合物及び不飽和スルトン化合物の少なくとも一方と、ホスファゼン化合物及びハロゲン化リン酸エステル化合物の少なくとも一方と、を含有する非水電解液。
  2. 前記環状硫酸エステル化合物が、下記一般式(I)で表される環状硫酸エステル化合物である請求項1に記載の非水電解液。

    〔一般式(I)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、一般式(II)で表される基、若しくは一般式(III)で表される基、又は、一体となって、Rが結合する炭素原子及びRが結合する炭素原子と共に、ベンゼン環若しくはシクロヘキシル環を形成する基を表す。一般式(II)中、Rは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は一般式(IV)で表される基を表す。一般式(II)、一般式(III)、及び一般式(IV)における波線は、結合位置を表す。〕
  3. 前記不飽和スルトン化合物が、下記一般式(V)で表される不飽和スルトン化合物である請求項1又は請求項2に記載の非水電解液。

    〔一般式(V)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数が1〜6のアルキル基であって、nは0〜3の整数である。〕
  4. 前記ホスファゼン化合物が、下記一般式(VI)で表されるホスファゼン化合物である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の非水電解液。

    〔一般式(VI)中、R〜R13は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基及びアリールオキシ基から選択される少なくとも1つを表す。〕
  5. 前記ハロゲン化リン酸エステル化合物が、下記一般式(VII)で表されるハロゲン化リン酸エステル化合物である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の非水電解液。


    〔一般式(VII)中、R14〜R16は、それぞれ独立に、ハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基、及びハロゲン原子で置換されてもよいアリール基、から選択される少なくとも1つを表す。〕
  6. 下記一般式(VIII)で表される化合物、一般式(IX)で表される化合物、一般式(X)で表される化合物、及び一般式(XI)で表される化合物の少なくとも1つを含む請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の非水電解液。

    〔一般式(VIII)中、Mは、アルカリ金属を表し、Yは、遷移元素、又は周期律表の13族、14族もしくは15族元素を表し、bは1〜3の整数、mは1〜4の整数、nは0〜8の整数、qは0又は1を表す。R17は、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、又は炭素数6〜20のハロゲン化アリーレン基(これらの基は、構造中に置換基、又はヘテロ原子を含んでいてもよく、またqが1でmが2〜4の場合にはm個のR17はそれぞれが結合していてもよい。)を表し、R18は、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のハロゲン化アリール基(これらの基は、構造中に置換基、又はヘテロ原子を含んでいてもよく、また、nが2〜8の場合はn個のR18はそれぞれが結合して環を形成していてもよい。)、又は−Q19を表す。Q、Q及びQは、それぞれ独立に、O、SまたはNR20を表し、R19およびR20は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数6〜20のハロゲン化アリール基(これらの基は、構造中に置換基、又はヘテロ原子を含んでいてもよく、R19またはR20が複数個存在する場合はそれぞれが結合して環を形成してもよい。)を表す。〕

    〔一般式(IX)中、Xは、アルカリ金属、又は、炭素数1〜12の炭化水素基を表す。〕

    〔一般式(X)中、R21及びR22は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、又はプロピル基を示す。〕

    〔一般式(XI)中、R23、R24、R25及びR26は、それぞれ独立に、炭素数1〜6の炭化水素基、フッ素原子により置換されてもよい炭素数1〜3のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、水素原子、フッ素原子、又は塩素原子を表す。但し、R23〜R26が同時に水素原子であることはない。〕
  7. 前記環状硫酸エステル化合物及び前記不飽和スルトン化合物の総含有量が、非水電解液総量の0.01質量%〜10質量%である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の非水電解液。
  8. 前記ホスファゼン化合物及び前記ハロゲン化リン酸エステル化合物の総含有量が、非水電解液総量の0.01質量%〜30質量%である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の非水電解液。
  9. 前記一般式(VIII)で表される化合物、一般式(IX)で表される化合物、一般式(X)で表される化合物、及び一般式(XI)で表される化合物の総含有量が、非水電解液総量の0.01質量%〜10質量%である請求項6に記載の非水電解液。
  10. 正極と、金属リチウム、リチウム含有合金、リチウムとの合金化が可能な金属若しくは合金、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な酸化物、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な遷移金属窒素化物、及び、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な炭素材料から選ばれた少なくとも1種を負極活物質として含む負極と、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の非水電解液と、を含むリチウム二次電池。
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