JP2014169397A - ポリカーボネート樹脂製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フルオレン基を有するジヒドロキシ化合物を少なくとも含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを溶融重縮合してポリカーボネート樹脂を製造する方法において、前記ジヒドロキシ化合物が水分量を6000質量ppm以上12000質量ppm以下含むことを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法。
【選択図】なし
Description
一方、イソソルビドを原料として含むポリカーボネート樹脂は、透明性が高く、光弾性係数が低くかつ耐熱性を有するため、液晶表示装置の位相差板、基板などの光学用途に使用することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン(以下BHEPFと称する)とイソソルビドを原料とする、光弾性係数が低く、耐熱性、成形性に優れ、光学用途に適したポリカーボネート樹脂が提案されている(例えば、特許文献3、4参照)。
一方、このような分野で用いられるポリカーボネート透明フィルムは、屈折率や耐熱性、靭性などの要求特性を確保するために、一般的に複数のジオール成分を共重合させたポリカーボネート樹脂が用いられ、特性を一定に保つ必要があるため、共重合組成が一定である必要がある。しかしながら、一般的にフルオレン環を有するジオールは微粉であり、飛散しやすく、また、含有する液体成分が多量に残存すると流動性が悪化し、配管やサイ
ロなどに堆積しやすく、結果的にポリカーボネート樹脂の組成が一定になりにくい。また、光学フィルムは一般に色調が悪化すると、ディスプレイ画面の視認性が劣るため、色調が良好なものが望まれる。
[1] 下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物を少なくとも含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを溶融重縮合してポリカーボネート樹脂を製造する方法において、前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物が水分量を6000質量ppm以上12000質量ppm以下含むことを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法。
[2] 前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物が9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンまたは9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンであることを特徴とする[1]に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
[3] 前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物を予め窒素置換した後、溶融重縮合反応に供することを特徴とする[1]または[2]に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
[4] 容量0.01m3以上20m3以下のサイロにおいて前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物を窒素置換することを特徴とする[3]に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
[5] 前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物を25kg以上10000kg以下
前記サイロに投入し、窒素置換することを特徴とする請求項[3]又は[4]に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
本発明は、下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を少なくとも含むポリカーボネート樹脂の製造方法であって、原料として用いるジヒドロキシ化合物のうち少なくとも1種が、水分量を6000質量ppm以上12000質量ppm以下含む下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物であることを特徴とする。
ポリカーボネート樹脂は、上記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位に加え、必要に応じて、下記式(2)〜(6)で表されるジヒドロキシ化合物からなる群より選ばれた一種以上のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むことができる。
(上記式(3)中、R5は置換若しくは無置換の炭素数4〜20のシクロアルキレン基を示す。)
HO−CH2−R6−CH2−OH (4)
(上記式(4)中、R6は置換若しくは無置換の炭素数4〜20のシクロアルキレン基を
示す。)
H−(O−R7)p−OH (5)
(上記式(5)中、R7は置換若しくは無置換の炭素数2〜10のアルキレン基を示し、pは2〜100の整数である。)
HO−R8−OH (6)
(上記式(6)中、R8は置換若しくは無置換の炭素数2〜20のアルキレン基、又は下記式(7)で表される基を示す。)
[式(1)で表されるジヒドロキシ化合物]
本発明に係るポリカーボネート樹脂は、下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含む。
中でも、前記R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数6〜15のアリール基が好ましく、置換若しくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基であるのがより好ましい。
又、R1〜R4のうち、R1およびR2が無置換のアルキル基であり、R3およびR4が水素原子であるか、R1〜R4が全て水素原子であることが特に好ましい。 R1〜R4が水素原子以外の置換基である場合、ベンゼン環のフルオレン環への結合位置に対して3位又は5位に結合していることが好ましく、該無置換のアルキル基としては、メチル基またはエチル基が好ましい。
ぞれ独立に、0〜5の整数である。
中でも、前記X1及びX2は、それぞれ独立に、置換若しくは無置換の炭素数1〜6のアルキレン基であるのが好ましい。
前記X1及びX2は、無置換の炭素数1〜4のアルキレン基がさらに好ましく、無置換のメチレン基、無置換のエチレン基、無置換のプロピレン基が特に好ましい。
前記m及びnはそれぞれ独立に0〜2の整数であるのが好ましく、0又は1が特に好ましい。尚、mとnとは同じであることが好ましい。
特に、前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物は、フルオレン環の対称軸を対称軸として左右対称構造であることが好ましい。
傾向がある。
本発明において、前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物中に含まれる、水分量は通常6000質量ppm以上であり、7000質量ppm以上が好ましく、8000質量ppm以上がさらに好ましい。水分量が少なすぎると仕込みの際に飛散しやすくなったり、窒素置換のために真空にした際に留出しやすくなったりする傾向がある。一方、前記化合物の含有量は通常12000質量ppm以下であり、11900質量ppm以下が好ましく、11800質量ppm以下がさらに好ましい。水分量が多すぎると、前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物粉体の流動性が悪化し、サイロ壁面や配管、特に荷姿がフレコンである場合はフレコン内袋中に、水分が残留しやすく、その結果、得られるポリカーボネート樹脂の共重合組成が目標通りになりにくくなる。
一方、前記の式(1)で表されるジヒドロキシ化合物の含有する水分量は乾燥することにより制御可能であるが、乾燥温度が高すぎたり、乾燥時間が長すぎたりすると、前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物が劣化し、得られるポリカーボネート樹脂の色調が悪化する傾向がある。
乾燥時の圧力としては、減圧下でおこなうことが乾燥効率の点から好ましく、上限としては、通常1000Pa以下が好ましく、500Pa以下がさらに好ましく、300Pa以下が特に好ましい。また、下限としては、通常10Pa以上である。
また、水分量を増加させるためには、前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に蒸気を1時間以上10時間未満晒したり、乾燥後10日以上50%湿度以上の環境下で吸湿させたり、前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物を原料ホッパーに投入後、一定量の水を加えるなどの方法がある。
[式(2)で表されるジヒドロキシ化合物]
本発明において、ポリカーボネート樹脂は、必要に応じて、下記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むことができる。
本発明において、ポリカーボネート樹脂は、必要に応じて、下記式(3)〜(6)で表されるジヒドロキシ化合物からなる群より選ばれた一種以上のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むことができる。
(上記式(3)中、R5は置換若しくは無置換の炭素数4〜20のシクロアルキレン基を示す。)
HO−CH2−R6−CH2−OH (4)
(上記式(4)中、R6は置換若しくは無置換の炭素数4〜20のシクロアルキレン基を示す。)
H−(O−R7)p−OH (5)
(上記式(5)中、R7置換若しくは無置換の炭素数2〜10のアルキレン基を示し、pは2〜100の整数である。)
HO−R8−OH (6)
(上記式(6)中、R8は置換若しくは無置換の炭素数2〜20のアルキレン基、又は下記式(7)で表される基を示す。)
HO−R5−OH (3)
(上記式(3)中、R5は置換若しくは無置換の炭素数4〜20のシクロアルキレン基を示す。)
前記式(3)で表されるジヒドロキシ化合物としては、R5に置換若しくは無置換のシクロアルキレン基を有する炭素数4〜20、好ましくは炭素数4〜18の脂環式ジヒドロキシ化合物である。ここで、R5が置換基を有する場合、当該置換基としては、置換若しくは無置換の炭素数1〜12のアルキル基が挙げられ、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基等が挙げられる。
前記R5のシクロアルキレン基としては、環構造を有する炭化水素基であれば特に制限は無く、橋頭炭素原子を有するような橋かけ構造であっても構わない。ジヒドロキシ化合物の製造が容易で不純物量を少なくすることができるという観点から、前記式(3)で表されるジヒドロキシ化合物は、5員環構造又は6員環構造を含む化合物、即ち、R5が置換若しくは無置換のシクロペンチレン基又は置換若しくは無置換のシクロへキシレン基であるジヒドロキシ化合物が好ましい。このようなジヒドロキシ化合物であれば、5員環構造又は6員環構造を含むことにより、得られるポリカーボネート樹脂の耐熱性を高くすることができる。該6員環構造は共有結合によって椅子形もしくは舟形に固定されていてもよい。
前記式(3)で表されるジヒドロキシ化合物として、より具体的には、テトラメチルシクロブタンジオール、1,2−シクロペンタンジオール、1,3−シクロペンタンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シク
ロヘキサンジオール、2−メチル−1,4−シクロヘキサンジオール等のシクロヘキサンジオール類;トリシクロデカンジオール類;ペンタシクロジオール類等が挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。
これらは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
HO−CH2−R6−CH2−OH (4)
(上記式(4)中、R6は置換若しくは無置換の炭素数4〜20のシクロアルキレン基を示す。)
前記式(4)で表されるジヒドロキシ化合物としては、R6に置換若しくは無置換のシクロアルキレン基を有する炭素数4〜20、好ましくは炭素数3〜18の脂環式ジヒドロキシ化合物である。ここで、R6が置換基を有する場合、当該置換基としては、置換若しくは無置換の炭素数1〜12のアルキル基が挙げられ、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基等が挙げられる。
R6のシクロアルキレン基としては、環構造を有する炭化水素基であれば特に制限は無く、橋頭炭素原子を有するような橋かけ構造であっても構わない。ジヒドロキシ化合物の製造が容易で不純物量を少なくすることができるという観点から、前記式(4)で表されるジヒドロキシ化合物は、5員環構造又は6員環構造を含む化合物、即ち、R6が置換若しくは無置換のシクロペンチレン基又は置換若しくは無置換のシクロへキシレン基であるジヒドロキシ化合物が好ましい。このようなジヒドロキシ化合物であれば、5員環構造又は6員環構造を含むことにより、得られるポリカーボネート樹脂の耐熱性を高くすることができる。該6員環構造は共有結合によって椅子形もしくは舟形に固定されていてもよい。なかでも、前記式(4)で表されるジヒドロキシ化合物は、R6が前記式(8)で示される種々の異性体であることが好ましい。
前記式(4)で表されるジヒドロキシ化合物の具体例のうち、特に、シクロヘキサンジメタノール類が好ましく、入手のしやすさ、取り扱いのしやすさという観点から、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノールが好ましい。
H−(O−R7)p−OH (5)
(上記式(5)中、R7は置換若しくは無置換の炭素数2〜10のアルキレン基を示し、pは2〜100の整数である。)
前記式(5)で表されるジヒドロキシ化合物としては、R7に置換若しくは無置換の炭素数2〜10、好ましくは炭素数2〜5のアルキレン基を有するジヒドロキシ化合物である。ここでpは2〜100、好ましくは6〜50、より好ましくは12〜40の整数である。
これらは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
HO−R8−OH (6)
(上記式(6)中、R8は置換若しくは無置換の炭素数2〜20のアルキレン基、又は下記式(7)で表される基を示す。)
前記式(6)で表されるジヒドロキシ化合物のうち、R8が置換若しくは無置換の炭素数2〜20のアルキレン基であるジヒドロキシ化合物としては、具体的にはエチレングルコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどが挙げられるが何らこれらに限定されるものではない。
これらのジヒドロキシ化合物のなかでも、入手のし易さ、取扱いの容易さ、重合時の反応性の高さ、得られるポリカーボネート樹脂の色相の観点からは、1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオールが好ましい。また耐熱性の観点からは、アセタール環を有するスピログリコールが好ましい。これらは得られるポリカーボネート樹脂の要求性能に応じて、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、ポリカーボネート樹脂は、前記式(1)〜(6)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の他、さらに必要に応じて、その他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含んでいてもよい。
その他のジヒドロキシ化合物としては、例えば、ビスフェノール類等が挙げられる。
本発明において、ポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネート樹脂に含まれるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の合計に対して、前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の含有割合が、40質量%以上が好ましく、42質量%以上がより好ましく、44質量%以上がさらに好ましい。該構造単位の含有割合が過度に少ないと、ポリカーボネート樹脂を光学フィルムとして利
用する際の特性が好ましくならない場合がある。一方、前記含有割合は95質量%以下がよく、90質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましく、80質量%以下がさらに好ましい。該構造単位の含有割合が過度に多いと、ポリカーボネート樹脂を光学フィルムとして利用する際、ガラス転移温度が高すぎて製膜が困難になったり、脆くなったりする場合があるので特性が好ましいものとならない場合がある。
に高くなりフィルム成形が困難になる場合がある。
本発明において、ポリカーボネート樹脂は、それ自体既知の通常用いられる重合方法で製造することができ、その重合方法は、ホスゲンを用いた溶液重合法、炭酸ジエステルと反応させる溶融重合法のいずれの方法でもよい。さらに具体的には、例えば、前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物と、必要に応じて、前記式(2)〜(6)で表されるジヒドロキシ化合物からなる群より選ばれた一種以上のジヒドロキシ化合物と、さらに必要に応じて用いられるその他のジヒドロキシ化合物とを、重合触媒の存在下に、炭酸ジエステルと反応させる溶融重合法が好ましい。
この溶融重合法で用いられる炭酸ジエステルとしては、通常、下記式(10)で表されるものが挙げられる。
前記式(10)で表される炭酸ジエステルとしては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーネート、ビス(ビフェニル)カーボネートなどに代表されるジアリールカーボネート類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネートなどに代表されるジアルキルカーボネート類が挙げられる。なかでも、好ましくはジアリールカーボネート類が用いられ、特にジフェニルカーボネートが好ましく用いられる。
反応に用いる炭酸ジエステルのモル比率は、全ジヒドロキシ化合物に対して、0.90以上が好ましく、0.96以上がさらに好ましい。このモル比率が0.90より小さくなると、製造されたポリカーボネート樹脂の末端水酸基が増加して、ポリマーの熱安定性が悪化したり、所望する高分子量体が得られなかったりすることがある。一方、前記モル比率は1.10以下が好ましく、1.04以下がさらに好ましい。このモル比率が1.10より大きくなると、同一条件下ではエステル交換反応の速度が低下したり、所望とする分子量のポリカーボネート樹脂の製造が困難となったりする他、製造されたポリカーボネート樹脂中の残存炭酸ジエステル量が増加し、この残存炭酸ジエステルが、成形時、又は成形品の臭気の原因となることがある。
ェニルジカルボン酸、4,4'−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4'−ベンゾフェノンジカルボン酸、4,4'−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸などを挙げることができ、得られたポリマーの耐熱性や熱安定性の観点から、芳香族ジカルボン酸が好ましく、特には取扱いや入手のし易さから、テレフタル酸、イソフタル酸が好ましく、中でもテレフタル酸が好適である。これらのジカルボン酸成分はジカルボン酸そのものとして本発明の高分子の原料とすることができるが、製造法に応じて、メチルエステル体、フェニルエステル体等のジカルボン酸エステルや、ジカルボン酸ハライド等のジカルボン酸誘導体を原料とすることもできる。
本発明において、上述のように前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と前記式(10)で表される炭酸ジエステルとをエステル交換反応させてポリカーボネート樹脂を製造する。より詳細には、エステル交換させ、副生するモノヒドロキシ化合物等を系外に除去することによって得られる。この場合、通常、エステル交換反応触媒存在下でエステル交換反応により重縮合を行う。溶融重合における重合触媒(エステル交換触媒)としては、顕著な物性低下を招くものでなければ特に制限されないが、通常使用可能なものとして、長周期型周期表(Nomenclature of Ino
rganic Chemistry IUPAC Recommendations 2005)における「第1族元素」及び/又は「第2族元素」(以下、単に「1族金属化合物」、「2族金属化合物」と表記する。)の金属化合物が使用される。1族金属化合物及び/又は2族金属化合物と共に補助的に、塩基性ホウ酸塩化合物、ホスフィン系化合物、塩基性ホスホニウム化合物、アミン系化合物、塩基性アンモニウム化合物等の塩基性化合物を併用することも可能であるが、1族金属化合物及び/又は2族金属化合物のみを使用することが特に好ましい。
また1属金属化合物及び/又は2族金属化合物と併用される塩基性ホウ酸塩化合物としては、例えば、テトラメチルホウ酸、テトラエチルホウ酸、テトラプロピルホウ酸、テトラブチルホウ酸、トリメチルエチルホウ酸、トリメチルベンジルホウ酸、トリメチルフェニルホウ酸、トリエチルメチルホウ酸、トリエチルベンジルホウ酸、トリエチルフェニルホウ酸、トリブチルベンジルホウ酸、トリブチルフェニルホウ酸、テトラフェニルホウ酸、ベンジルトリフェニルホウ酸、メチルトリフェニルホウ酸、ブチルトリフェニルホウ酸等のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、マグネシウム塩、あるいはストロンチウム塩等が挙げられる。
アミン系化合物としては、例えば、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリン等が挙げられる。
上記重合触媒の使用量は、1属金属化合物及び/又は2族金属化合物を用いる場合、反応に用いる全ジヒドロキシ化合物1モルに対して、金属換算量として、0.1μモル以上用いるのが好ましく、0.5μモル以上がより好ましく、1μモル以上が更に好ましい。重合触媒の使用量が少なすぎると、所望の分子量のポリカーボネート樹脂を製造するのに必要な重合活性が得られにくい傾向となる。一方、重合触媒を100μモル以下用いるのが好ましく、50μモル以下がより好ましく、25μ以下が更に好ましい。重合触媒の使用量が多すぎると、得られるポリカーボネート樹脂の色相が悪化し、副生成物が発生したりして流動性の低下やゲルの発生が多くなり、目標とする品質のポリカーボネート樹脂の製造が困難になることがある。
ポリカーボネート樹脂の製造に当たり、前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物は、固体として供給してもよいし、加熱して溶融状態として供給してもよい。
さらに、前記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物や、前記式(3)で表されるジヒドロキシ化合物、前記式(4)で表されるジヒドロキシ化合物、前記式(5)で表されるジヒドロキシ化合物及び前記式(6)で表されるジヒドロキシ化合物からなる群より選ばれた一種以上のジヒドロキシ化合物それぞれについては、固体として供給してもよいし、加熱して溶融状態として供給してもよいし、水に可溶なものであれば、水溶液として供給してもよい。その他のジヒドロキシ化合物についても同様である。
方法でもよい。
具体的には、第1段目の反応は140℃〜220℃、好ましくは150℃〜200℃の温度で0.1時間〜10時間、好ましくは0.5時間〜3時間実施される。第2段目以降は、反応系の圧力を第1段目の圧力から徐々に下げながら反応温度を上げていき、同時に発生するフェノール等のモノヒドロキシ化合物を反応系外へ除きながら、最終的には反応系の圧力が200Pa以下で、210℃〜280℃の温度範囲のもとで重縮合反応を行う。
ポリカーボネート樹脂を溶融重合法で製造する際に、着色を防止する目的で、リン酸化合物や亜リン酸化合物又はこれらの金属塩を重合時に添加することができる。
リン酸化合物としては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル等のリン酸トリアルキルの一種又は二種以上が好適に用いられる。これらは、反応に用いる全ジヒドロキシ化合物に対して、0.0001モル%以上添加することが好ましく、0.0003モル%以上添加することがさらに好ましい。リン酸化合物の添加量が上記下限より少ないと、着色防止効果が小さくなることがある。一方、これらは、反応に用いる全ジヒドロキシ化合物に対して、0.005モル%以下添加することが好ましく、0.003モル%以下添加することがさらに好ましい。上記上限より多いと、ポリカーボネート樹脂のヘイズが高くなる原因となったり、逆に着色を促進させたり、耐熱性を低下させたりすることがある。
なお、リン酸化合物、亜リン酸化合物の金属塩としては、これらのアルカリ金属塩や亜鉛塩が好ましく亜鉛塩が特に好ましい。また、このリン酸亜鉛塩の中でも、長鎖アルキルリン酸亜鉛塩がより好ましい。
<ガラス転移温度>
本発明において、ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度は、90℃以上が好ましく、110℃以上がより好ましく、120℃以上が特に好ましい。ガラス転移温度が過度に低いと耐熱性が悪くなる傾向にあり、フィルム成形後に寸法変化を起こす可能性がある。一方、前記ガラス転移温度は、200℃以下が好ましく、180℃以下がより好ましく、1
60℃以下が特に好ましい。ガラス転移温度が過度に高いと、フィルム成形時の成形安定性が悪くなる場合があり、またフィルムの透明性を損なう場合がある。
ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度は、後掲の実施例の項に記載される方法で測定できる。
本発明において、ポリカーボネート樹脂の共重合組成変動幅を下記のとおり定義する。
共重合組成変動幅:|F(1)g−F(1)p|
F(1)g:仕込んだ全ジヒドロキシ化合物中に対する、式(1)の化合物のモル分率
F(1)p:得られたポリカーボネート樹脂から任意に採取した複数のサンプルにおける、全ジヒドロキシ化合物由来の構造単位に対する、式(1)の化合物由来の構造単位のモル分率
上記共重合組成の変動幅は、0.003が好ましく、0.002がより好ましく、0.001がさらに好ましい。上記共重合組成の変動が大きいと、得られたポリカーボネート樹脂から任意に採取した複数のサンプルにおいて、光学特性や溶融粘度が変動する結果、均一な成形品が得られない場合がある。
本発明において、ポリカーボネート樹脂の分子量は、還元粘度で表すことができる。ポリカーボネート樹脂の還元粘度は、後掲の実施例の項に記載されるように、溶媒として塩化メチレンを用い、ポリカーボネート樹脂濃度を0.6g/dLに精密に調整し、温度20.0℃±0.1℃でウベローデ粘度管を用いて測定して求めることができる。
本発明において、ポリカーボネート樹脂は、温度240℃、せん断速度91.2sec−1での溶融粘度が、500Pa・sec以上が好ましく、800Pa・sec以上がより好ましく、900Pa・sec以上が特に好ましい。ポリカーボネート樹脂の溶融粘度が上記下限値より小さいと成形品の機械的強度が小さくなるという問題が生じる可能性が
ある。一方、2500Pa・sec以下が好ましく、2300Pa・sec以下がより好ましく、2000Pa・sec以下が特に好ましい。溶融粘度が上記上限値より大きいと、成形する際の流動性が低下し、生産性が低下するという問題が生じたり、成形の際に成形品に気泡が混入して成形品の外観が低下したり、ポリカーボネート樹脂中の異物を濾過などにより除去することが困難になったりするという問題が生じる可能性がある。
発明において、ポリカーボネート樹脂の着色を示す指標であるペレットYIは、50未満がよく、45未満が好ましく、40未満がさらに好ましい。ペレットYIが大きすぎると成形して得られるフィルムの黄色味が悪くなり、ディスプレイ用途に使用する際に、視認性が悪化する傾向がある。
重縮合により得られたポリカーボネート樹脂は、通常、重縮合槽の底部に設けられた抜き出し口からストランド状に抜き出して、水冷しながら若しくは水冷後、カッターで切断されてペレット状、チップ状等の粒状体とされる。ここで、本発明において「ペレット」とは、粒状体に切断された樹脂を意味するものである。また、後述するとおり、ポリカーボネート樹脂に各種の添加剤を添加して溶融混練した後に、ペレット状、チップ状等の粒状体とされるものも本発明におけるペレットに含まれる。なお、本発明において、粒状体とされたポリカーボネート樹脂のペレットを、「ポリカーボネート樹脂ペレット」、又は、単に「ポリカーボネート樹脂」と称することがある。
本発明において、ポリカーボネート樹脂には、成形時等における分子量の低下や色相の悪化を防止するために熱安定剤を配合することができる。
係る熱安定剤としては、例えば、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸及びこれらのエステル等が挙げられる。さらに具体的には、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。
4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、及びベンゼンホスホン酸ジメチルが好ましく使用される。
前記熱安定剤の添加方法は、溶融重合時にリン酸化合物や亜リン酸化合物、又はそれらの塩を添加せず、ポリカーボネート樹脂を得た後に、前記熱安定剤を添加してもよいが、溶融重合時にリン酸化合物や亜リン酸化合物、又はそれらの塩を添加し、加えて更に前記熱安定剤を追加添加することもできる。即ち、適当量の亜リン酸化合物やリン酸化合物を配合して、ポリカーボネート樹脂を得た後に、さらに亜リン酸化合物を配合すると、ポリカーボネート樹脂のヘイズの上昇、着色、及び耐熱性の低下を抑制しつつ、さらに多くの熱安定剤を配合でき、色相の悪化の防止が可能となる。また、前記熱安定剤は、例えば、溶融押出し法等の押出機を用いてフィルム等の成形を行う場合、押出機に前記熱安定剤やその他の添加剤を添加して成形してもよく、予め押出機を用いて、樹脂中に前記熱安定剤やその他の添加剤を添加して、ペレット等の形状にしてその後の成形に用いてもよい。
本発明において、ポリカーボネート樹脂には、酸化防止の目的で通常知られた酸化防止剤を配合することもできる。
これら酸化防止剤の配合量は、ポリカーボネートを100質量部とした場合、0.0001質量部以上0.5質量部以下が好ましい。
さらに、ポリカーボネート樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、通常用いられる核剤、難燃剤、無機充填剤、衝撃改良剤、発泡剤、染顔料、他の樹脂等を添加することができる。これら添加剤は、それ自体既知の通常用いられるものである。
ポリカーボネート樹脂と上記添加剤を同時に若しくは任意の順序で、タンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー等により混合したものを溶融混練した後に、又は、混練ロール、押出機等の混合機により混合した後に、上記のとおり、ストランド状に抜き出して粒状体に切断することにより製造することができる。
BHEPF;9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル)フルオレン(大阪ガスケミカル(株)製)
ISB;イソソルビド(ロケットフルーレ社製、商品名:POLYSORB)
PEG#1000;数平均分子量1000のポリエチレングリコール(三洋化成(株)製)
DPC;ジフェニルカーボネート(三菱化学(株)製)
[物性等の測定]
以下の例において、物性等の測定は特に明記しない限り次の方法により行った。なお、物性等の測定は以下の方法に限定されるものではなく、当業者が適宜選択することができる。
示差走査熱量計(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、DSC220)を用いて、ポリカーボネート樹脂約10mgを20℃/minの昇温速度で加熱して測定し、JIS−K7121(1987)に準拠して、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度である、補外ガラス転移開始温度を求め、それをガラス転移温度とした。
ポリカーボネート樹脂の還元粘度は森友理化工業社製ウベローデ型粘度管を用いて、溶媒として、塩化メチレンを用い、温度20.0℃±0.1℃で測定した。濃度は0.6g/dLになるように、精密に調整した。
溶媒の通過時間t0、溶液の通過時間tから、下記式:
ηrel=t/t0
より相対粘度ηrelを求め、相対粘度ηrelから、下記式: ηsp=(η−η0)/η0=ηrel−1より比粘度ηspを求めた。
ηred=ηsp/c
より還元粘度(換算粘度)ηredを求めた。
この数値が高いほど分子量が大きい。
ポリカーボネートの色相は、ASTM D1925に準拠して、ペレットの反射光におけるYI値(イエローインデックス値)を測定して評価した。装置はコニカミノルタ社製分光測色計CM−5を用い、測定条件は測定径30mm、SCE(正反射光除去)を選択した。シャーレ測定用校正ガラスCM−A212を測定部にはめ込み、その上からゼロ校
正ボックスCM−A124をかぶせてゼロ校正を行い、続いて内蔵の白色校正板を用いて白色校正を行った
BHEPFをカールフィッシャー式水分計(三菱化学(株)製CA−200)を用いて200℃で測定した。
本発明で例示するBHEPFとISBとPEG#1000の共重合ポリカーボネートの場合の1H NMRの解析は以下のとおり行う。次のピークの積分値を算出する。(α):8.0−7.6ppm:全BHEPF構造単位由来(プロトン数:2、分子量:464.51)
(β):5.6−4.8ppm:全ISB構造単位由来(プロトン数:3、分子量:172.14)
(γ):3.7−3.5ppm:全PEG#1000構造単位由来(プロトン数:82.3、分子
量:1025.99)
(δ):2.8−1.0ppm:ヒドロキシ末端基由来(プロトン数:1、分子量:17.01)
<BHEPF(a)>
BHEPFを何ら処理することなくポリカーボネートの製造に供した。該BHEPF中の水分量は11800ppmであった。
<BHEPF(b)>
BHEPFを何ら処理することなくポリカーボネートの製造に供した。該BHEPF中の水分量は4800ppmであった。
<BHEPF(c)>
前記BHEPF(a)300kgをコニカル式乾燥機にて110℃、200Pa、10時間乾燥した。該BHEPF中の水分量は6500ppmであった。
<BHEPF(d)>
前記BHEPF(a)300kgをコニカル式乾燥機にて140℃、200Pa、50時間乾燥した。該BHEPF中の水分量は3200ppmであった。
<BHEPF(e)>
前記BHEPF(b)300kgと水1.0kgを回転式タンブラーにて、混合した。該BHEPF中の水分量は10500ppmであった。
<BHEPF(f)>
前記BHEPF(a)300kgと水1.5kgを回転式タンブラーにて、混合した。該BHEPF中の水分量は15400ppmであった。
BHEPF(a)300kgをフレコンバックより1m3のサイロに投入し、サイロ内
を真空にした後に窒素にて置換をおこなった。その後、撹拌翼および130℃に制御された還流冷却器を具備し、窒素置換され、DPC、ISB、PEG#1000が溶解している重合反応装置(1)に、ホッパー内のBHEPFと酢酸マグネシウム4水和物を投入した。ポリカーボネート原料のモル比率がBHEPF/ISB/PEG#1000/DPC/酢酸マグネシウム4水和物=0.445/0.552/0.003/1.015/1.20×10−5となるように仕込んだ。
実施例1において、BHEPF(c)をBHEPF(a)に変えた以外は実施例1と同
様に行った。得られたポリカーボネート樹脂の還元粘度は0.351dL/g、ガラス転移温度は145℃、ペレットYIは43、ポリカーボネート樹脂の共重合組成BHEPF/ISB/PEG#1000=0.444/0.553/0.003で、実施例1とほぼ同等のポリカーボネート樹脂が得られた。
実施例1において、BHEPF(a)をBHEPF(e)に変えた以外は実施例1と同
様に行った。得られたポリカーボネート樹脂の還元粘度は0.348dL/g、ガラス転移温度は145℃、ペレットYIは37、ポリカーボネート樹脂の共重合組成BHEPF/ISB/PEG#1000=0.445/0.552/0.003で、実施例1とほぼ同等のポリカーボネート樹脂が得られた。
実施例1において、BHEPF(a)をBHEPF(b)に変えた以外は実施例1と同
様に行った。BHEPF(b)をフレコンバックより投入する際に、BHEPFの微粉が少量飛散した。得られたポリカーボネート樹脂の還元粘度は0.339dL/g、ガラス転移温度は144℃、ペレットYIは35、ポリカーボネート樹脂の共重合組成BHEPF/ISB/PEG#1000=0.442/0.555/0.003であり、実施例1に比べて共重合組成が変動し、YIが上昇した。
実施例1において、BHEPF(a)をBHEPF(d)に変えた以外は実施例1と同
様に行った。BHEPF(d)をフレコンバックより投入する際に、BHEPFの微粉が
少量飛散した。得られたポリカーボネート樹脂の還元粘度は0.341dL/g、ガラス転移温度は144℃、ペレットYIは51、ポリカーボネート樹脂の共重合組成BHEPF/ISB/PEG#1000=0.441/0.555/0.004であり、実施例1に比べて共重合組成が変動し、YIが大幅に上昇した。
実施例1において、BHEPF(a)をBHEPF(d)に変えた以外は実施例1と同
様に行った。BHEPF(f)をフレコンバックより投入する際に、BHEPFの微粉が投入ホッパーに多く付着した。得られたポリカーボネート樹脂の還元粘度は0.341dL/g、ガラス転移温度は144℃、ペレットYIは51、ポリカーボネート樹脂の共重合組成BHEPF/ISB/PEG#1000=0.439/0.557/0.004であり、実施例1に比べて共重合組成が変動した。
実施例1〜3及び比較例1〜3の結果を表−2に示す。
一方で、BHEPF中に水分を6000質量ppmより少なく含有する比較例1および比較例2の場合、BHEPFが飛散しやすくなり、重合反応装置(I)に投入する原料モル比率が変動するため、得られたポリカーボネート樹脂の共重合組成が大きく変動するとともに、YIが大幅に上昇し共重合反応速度が低下した結果、得られたポリカーボネート樹脂の還元粘度も低下した。
Claims (5)
- 下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物を少なくとも含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを溶融重縮合してポリカーボネート樹脂を製造する方法において、前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物が水分量を6000質量ppm以上12000質量ppm以下含むことを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物が9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンまたは9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンであることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物を予め窒素置換した後、溶融重縮合反応に供することを特徴とする請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 容量0.01m3以上20m3以下のサイロにおいて前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物を窒素置換することを特徴とする請求項3に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物を25kg以上10000kg以下前記サイロに投入し、窒素置換することを特徴とする請求項3又は4に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
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JP2011026557A (ja) * | 2009-06-29 | 2011-02-10 | Mitsubishi Gas Chemical Co Inc | ポリカーボネート樹脂の製造方法 |
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